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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026212
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】発泡体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20230216BHJP
   B29C 39/06 20060101ALI20230216BHJP
   B29C 39/38 20060101ALI20230216BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20230216BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B29C44/00 A
B29C39/06
B29C39/38
B29C44/36
B29C44/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131991
(22)【出願日】2021-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】508067736
【氏名又は名称】マイクロ波化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木谷 径治
(72)【発明者】
【氏名】志賀 駿介
(72)【発明者】
【氏名】秋山 幸生
(72)【発明者】
【氏名】東松 慎也
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AB02
4F204AG20
4F204AJ08
4F204AK03
4F204EA01
4F204EB01
4F204EK02
4F204EK13
4F204EK17
4F204EK18
4F214AA36
4F214AB02
4F214AG20
4F214AJ08
4F214AK03
4F214UA01
4F214UB01
4F214UD03
4F214UD13
4F214UD17
4F214UD18
(57)【要約】
【課題】均質性に優れる発泡体を製造するための発泡体製造装置を提供する。
【解決手段】発泡体の製造装置は、発泡体の原料および発泡剤を含む混合液を収容し、マイクロ波を透過する容器と、容器を収容する本体と、本体の上方に配置された排気部と、本体の下方に配置された吸気部と、混合液を加熱して発泡しながら硬化させるべく本体内の混合液にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部とを備える発泡体の製造装置であって、容器には、マイクロ波を前記混合液に照射することで発生する蒸気を前記容器の外部に排出するための1又は複数の貫通孔が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体の原料および発泡剤を含む混合液を収容し、マイクロ波を透過する容器と、
前記容器を収容する本体と、
前記本体の上方に配置された排気部と、
前記本体の下方に配置された吸気部と、
前記混合液を加熱して発泡しながら硬化させるべく前記本体内の前記混合液にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部と
を備える発泡体の製造装置であって、
前記容器には、マイクロ波を前記混合液に照射することで発生する蒸気を前記容器の外部に排出するための1又は複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする発泡体の製造装置。
【請求項2】
発泡体の原料および発泡剤を含む混合液を収容し、マイクロ波を透過する容器と、
前記容器を収容する本体と、
前記本体の上方に配置された排気部と、
前記本体の下方に配置された吸気部と、
前記混合液を加熱して発泡しながら硬化させるべく前記本体内の前記混合液にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部と
を備える発泡体の製造装置であって、
前記排気部は、前記本体から排気口を通じて蒸気を排気することを特徴とする発泡体の製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡体の製造装置であって、
前記吸気部は、前記本体を挟んで配置される第1の吸気口および第2の吸気口を有する。
【請求項4】
請求項2に記載の発泡体の製造装置であって、
前記排気口に多孔板が配置されている。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の発泡体の製造装置であって、
前記吸気部から前記排気部に向けて排気するための排気機構をさらに備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミンフォーム等の発泡体が知られている。このような発泡体は、例えば、断熱材、吸音材、または食器を洗浄するスポンジに用いられる。
【0003】
特許文献1には、メラミンフォームの製造方法が開示される。当該製造方法では、マイクロ波の照射により、所定の内部輪郭形状を有する成形型内に供給されたメラミンフォームの原料を加熱することで、当該原料を発泡させながら硬化反応を進行させる。原料の発泡が進行することで成形型の内部全体に原料が行き渡り、この結果、当該成形型の内部輪郭形状に合致した外部輪郭形状を有するメラミンフォームが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-191255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マイクロ波を用いた発泡体の製造において、発泡過程の制御を改善する余地がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発泡体の製造装置において、発泡過程を制御して、発泡体の均質性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の発泡体の製造装置は、発泡体の原料および発泡剤を含む混合液を収容し、マイクロ波を透過する容器と、前記容器を収容する本体と、前記本体の上方に配置された排気部と、前記本体の下方に配置された吸気部と、前記混合液を加熱して発泡しながら硬化させるべく前記本体内の前記混合液にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部とを備える発泡体の製造装置であって、前記容器には、マイクロ波を前記混合液に照射することで発生する蒸気を前記容器の外部に排出するための1または複数の貫通孔が設けられている。
【0008】
本発明の第1の態様の発泡体の製造装置は、発泡体の原料および発泡剤を含む混合液を収容し、マイクロ波を透過する容器と、前記容器を収容する本体と、前記本体の上方に配置された排気部と、前記本体の下方に配置された吸気部と、前記混合液を加熱して発泡しながら硬化させるべく前記本体内の前記混合液にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部とを備える発泡体の製造装置であって、前記排気部は、前記本体から排気口を通じて前記蒸気を排気する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、製造装置において、吸気部から排気部に向けて本体の内壁面に沿って空気を流通させ、蒸気が本体の内壁で液化することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る発泡体製造装置の構成例を示す模式図である。
図2図1に示す発泡体製造装置のブロック図である。
図3図1に示す筐体のXZ平面による断面図である。
図4図1に示す筐体のYZ平面による断面図である。
図5図1に示す容器および内圧制御部材の断面図である。
図6図5中のA-A線断面に相当する図である。
図7】実施形態の発泡体の製造方法の流れを示す図である。
図8】発泡工程の説明図である。
図9】発泡工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法や縮尺は実際のものと適宜異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
実施形態に係る発泡体製造装置、および実施形態に係る発泡体の製造方法を説明する前に、まず、当該製造方法により製造された発泡体およびその原料である混合液を説明する。
【0013】
1.発泡体
後述のマイクロ波を用いた製造方法により製造される発泡体は、複数の気泡を有する多孔質体である。発泡体は、例えばウレタン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂で形成される。また、発泡体は、気泡が連続する連続気泡を有してもよいし、気泡が連続することなく単独で存在する独立気泡を有してもよい。ただし、発泡体が連続気泡を有することが好ましい。発泡体の密度、平均空孔径、気泡率、発泡倍率等の物性値は、それぞれ特に限定されない。また、発泡体の形状としては、特に限定されず、例えば、柱状、平板状等が挙げられる。
【0014】
かかる発泡体は、例えば、断熱材、吸音材、緩衝材、シール材、クッション材、スポーツ用マット、食器を洗浄するスポンジ等に用いられる。なお、発泡体の用途は特に限定されず任意である。気泡率等を調整することで、発泡体は任意の用途に使用される。
【0015】
2.混合液
前述の発泡体は、原料となる液状の混合液(以下、単に「混合液」ともいう)にマイクロ波を照射することにより、当該混合液を発泡させながら硬化させることで得られる。混合液は、樹脂原料を含む主剤、および発泡剤を含む。さらに、混合液は、必要に応じて、例えば発泡助剤、硬化剤等を含む。
【0016】
主剤は、樹脂原料と、界面活性剤とを含み、pH調整剤等の添加物をさらに含むことができる。樹脂原料としては、例えばウレタン、メラミン等の熱硬化性樹脂のモノマーが挙げられる。なお、樹脂原料としては、メラミンまたはホルムアルデヒドの縮合体等が含まれてもよい。発泡剤としては、例えばハイドロフルオロカーボン等のフッ素系不可性溶剤、水等が挙げられる。発泡助剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール化合物、炭化水素等が挙げられる。硬化剤としては、例えば、ギ酸等の酸性触媒が挙げられる。
【0017】
以上の主剤、発泡剤、発泡助剤および硬化剤の各含有率は、特に限定されず、例えば、製造予定の発泡体の密度等の物性値に応じて任意に設定される。また、混合液は、主剤、発泡剤、発泡助剤および硬化剤に加えて、これら以外の材料を含んでいてもよい。また、混合液は、ペースト状であってもよい。
【0018】
3.発泡体製造装置100
図1は、実施形態に係る発泡体製造装置100の構成例を示す模式図である。図1では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。X-Y平面は、水平面に平行であり、Z軸に沿った方向は、鉛直方向に平行である。なお、以下では、説明の便宜上、X軸に沿う一方向をX1方向といい、X1方向とは反対の方向をX2方向という。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向といい、Y1方向とは反対の方向をY2方向という。Z軸に沿う一方向をZ1方向といい、Z1方向とは反対の方向をZ2方向という。また、以下では、Z1方向を「上方」とし、Z2方向を「下方」とする。
【0019】
3-1.発泡体製造装置100の全体構成
図1に示す発泡体製造装置100は、前述の発泡体を製造する装置である。発泡体製造装置100は、混合液にマイクロ波を照射することにより当該混合液を加熱することで、当該混合液から発泡体を製造する装置である。
【0020】
図1に示すように、発泡体製造装置100は、筐体1と、容器2と、内圧制御部材3と、搬送機構4と、混合液供給部5と、位置センサー6と、複数のマイクロ波照射部7aおよび7bと、制御装置8とを備えることができる。なお、マイクロ波照射部7aとマイクロ波照射部7bとは同様の構成とすることができる。マイクロ波照射部7aおよび7bを区別しない場合、マイクロ波照射部7と記載する。マイクロ波照射部7は、単一又は3以上の照射部から構成されていてもよい。以下、各部を簡単に説明する。
【0021】
筐体1は、容器2を収容する箱状のハウジングである。筐体1の内壁は、マイクロ波に対する反射性を有しており、筐体1は、マイクロ波の外部への漏洩を抑止するように構成される。筐体1は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の非磁性の金属材料で構成することができる。なお、筐体1のうちの少なくとも内壁がマイクロ波に対する反射性を有すればよく、筐体1がマイクロ波に対する反射性を有さない部分を含んでもよい。また、筐体1には、内部を観察するための観察窓(図示せず)が設けられてもよい。
【0022】
また、図示の例では、筐体1の外形は、X軸に沿った長尺状である。一例において、筐体1の長手方向の両端の一方(X2方向の端)には、容器2が搬入される搬入口102が設けられ、他方(X1方向の端)には容器2が搬出される搬出口103が設けられる。マイクロ波の照射時には、搬入口102は、開閉可能な搬入用扉12により塞がれ、搬出口103は、開閉可能な搬出用扉13により塞がれる。なお、筐体1の外形は、X軸に沿った長尺状に限定されず、例えばY軸に沿った長尺状でもよいし、他の形状であってもよい。また、筐体1の大きさは、特に限定されず、例えば、筐体1の内部に照射されるマイクロ波の分布、発泡体の生産規模等に応じて決定される。
【0023】
容器2は、一例として、混合液を収容するケースである。容器2は、マイクロ波を透過する材料および厚さで形成される。容器2は、例えば、ガラス、樹脂等で構成される。また、容器2には、混合液の内圧を制御する内圧制御部材3を配置することができる。容器2は、図1ではZ1方向に開放する開口を有するが、当該開口の位置はこれに限定されない。内圧制御部材3は、一例において、平板状の部材である。内圧制御部材3は、フィルム状であってもよい。内圧制御部材3は、容器2と同様に、マイクロ波を透過する材料および厚さで形成される。なお、筐体1、容器2、および内圧制御部材3については、後で詳述する。
【0024】
搬送機構4は、容器2を搬送する機構である。搬送機構4は、主に、X1方向に容器2を搬送するが、X1方向およびX2方向の双方に搬送可能であってもよい。なお、以下では、容器2が搬送される方向であるX1方向を「搬送方向」ともいう。
【0025】
搬送機構4は、複数のコンベア40、41および42を有することができる。コンベア40は、コンベア41とコンベア42との間に配置され。コンベア40の一部は、筐体1の内部に位置する。コンベア40、41および42は、それぞれX1方向に容器2を搬送する。容器2は、コンベア41上からコンベア40上へと搬送され、筐体1内を通過し、その後、コンベア42上へと搬送される。なお、コンベア41および42は、容器2をX1方向に搬送可能であればよく、その構成は特に限定されない。また、コンベア41および42の一方または両方は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
【0026】
コンベア40は、プレート45、駆動用プーリー401、従動用プーリー402、ベルト403、複数のローラー404、モーター405、エンコーダー406および近接センサー407を有する。ベルト403は、駆動用プーリー401および従動用プーリー402に架け渡される。ベルト403の一部は、筐体1内に通っており、筐体1内に配置されるプレート45を支持する。なお、コンベア40を構成する要素のうちベルト403の当該一部およびプレート45以外の要素は、筐体1の外部に位置する。ベルト403は、マイクロ波を透過する材料および厚さで形成される。ベルト403は、例えば樹脂等で構成される。プレート45は、容器2を搬送するための部材であり、プレート45上には容器2が配置される。プレート45は、マイクロ波を透過する材料および厚さで形成される。プレート45は、例えば、ガラス、樹脂等で構成される。
【0027】
モーター405は、例えば、各種直流モーターまたは各種交流モーターである。モーター405の回転軸に駆動用プーリー401が接続される。モーター405が発生する駆動力が駆動用プーリー401に伝わりベルト403が走行する。ベルト403の走行に伴ってプレート45がX1方向またはX2方向に移動する。このプレート45の移動により、容器2がX1方向またはX2方向に搬送される。
【0028】
エンコーダー406は、例えばパルスジェネレータである。図1に示す例では、エンコーダー406が従動用プーリー402に取り付けられる。エンコーダー406は、従動用プーリー402の回転角度、回転速度等に応じた信号を出力する。当該信号に基づいて、プレート45の移動方向および移動量を検出することが可能である。また、近接センサー407は、例えばリミットスイッチである。近接センサー407は、プレート45のX1方向における移動の限界位置とX2方向における移動の限界位置を検出する。
【0029】
なお、以上の搬送機構4による容器2の移動は、連続的な移動であってもよく、移動と停止とを組み合わせた非連続な移動であってもよい。例えば、容器2にマイクロ波の照射が行なわれている間は、搬送機構4による容器2の移動が停止されてもよい。また、搬送機構4による容器2の移動速度は、一定でもよく、変化してもよい。また、搬送速度は、例えば、予め決められた速度に制御される。
【0030】
混合液供給部5は、筐体1の外部に設置されており、混合液を計量し、必要量の混合液を容器2内に供給する装置である。図示の例では、混合液供給部5は、コンベア41の上方に位置するが、コンベア41の上方の箇所以外の箇所に配置されてもよい。また、混合液供給部5は、攪拌機を備えていてもよい。混合液供給部5は、各種材料を所要量混合して混合液が生成する生成部として機能してもよい。
【0031】
位置センサー6は、筐体1に設置される。図1に示す例では、位置センサー6が内圧制御部材3の上方に位置するよう筐体1に取り付けられる。位置センサー6は、例えば赤外線等の光を用いたフォトセンサー等である。具体的には、位置センサー6は、内圧制御部材3に光を照射する発光素子と、内圧制御部材3で反射した反射光を受光する受光素子とを有する。また、位置センサー6が赤外線センサーである場合、内圧制御部材3は、赤外線に対する反射性を有する。位置センサー6は、内圧制御部材3との間の距離を計測し、その計測結果に基づいて内圧制御部材3のZ軸方向における位置(高さ)を検出する。例えば、内圧制御部材3のZ軸方向における位置は、容器2の底面からの内圧制御部材3の高さである。
【0032】
位置センサー6の数は、1個に限定されず、複数であってもよい。位置センサー6の設置箇所は、筐体1の上部でなくてもよく、例えばコンベア40に設置されてもよい。この場合、例えば、位置センサー6がマイクロ波の影響を受けないよう、位置センサー6はマイクロ波に対する反射性を有する部材で覆われる。また、位置センサー6は、内圧制御部材3のZ軸方向における位置を検出可能であれば、フォトセンサー以外のセンサーであってもよい。
【0033】
マイクロ波照射部7は、筐体1に設置される。マイクロ波照射部7は、筐体1内にマイクロ波を照射する。マイクロ波照射部7aおよび7bは、互いに離間し、X軸に沿って並んで配置される。すなわち、マイクロ波照射部7は、容器2の搬送方向に沿って配置される。マイクロ波照射部7aは、後述する排気部15よりも容器2の搬入側に位置し、マイクロ波照射部7bは、排気部15よりも容器2の搬出側に位置する。マイクロ波照射部7aは、図1中の右斜め下に向かってマイクロ波を照射し、マイクロ波照射部7bは、図1中の飛左斜め下に向かってマイクロ波を照射する。
【0034】
図2は、図1に示す発泡体製造装置100のブロック図である。図2に示すように、マイクロ波照射部7は、マイクロ波を発生するマイクロ波発振器71を有する。例えば、マイクロ波発振器71は、マグネトロン、クライストロン、ジャイロトロンまたは半導体型発振器等である。マイクロ波の周波数は、特に限定されないが、例えば、915MHzまたは2.45GHzである。また、図示はしないが、マイクロ波照射部7は、マイクロ波発振器71が発生するマイクロ波を伝送して容器2内にマイクロ波を照射する伝送部を有する。当該伝送部は、例えば、導波管またはマイクロ波を伝送する同軸ケーブル等である。
【0035】
なお、マイクロ波の出力は、発泡体製造装置100の規模等に応じて決められ、特に限定されない。ただし、本実施形態では、マイクロ波照射部7aからのマイクロ波の出力と、マイクロ波照射部7bからのマイクロ波の出力とは異なる。具体的には、マイクロ波照射部7aは、マイクロ波照射部7bからのマイクロ波の出力よりも大きいマイクロ波の出力となるよう、制御装置8によって制御される。また、マイクロ波照射部7aから出力されるマイクロ波の周波数と、マイクロ波照射部7bから出力されるマイクロ波の周波数とは同一であることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0036】
制御装置8は、搬送機構4の動作およびマイクロ波照射部7の出力を制御するコンピューターである。具体的には、制御装置8は、処理装置81と記憶装置82とを有する。処理装置81は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。記憶装置82は、半導体メモリー等のメモリーである。記憶装置82には、制御プログラムP1が記憶される。処理装置81は、制御プログラムP1を実行することで、搬送制御部811、位置算出部813、およびマイクロ波制御部812として機能する。
【0037】
搬送制御部811は、容器2をX軸に沿って搬送させるよう搬送機構4のモーター405の動作を制御する。具体的には、搬送制御部811は、エンコーダー406から出力される情報、および近接センサー407から出力される情報を基にして算出されたプレート45のX軸に沿った位置が所定位置となるように、モーター405の動作を制御する。
【0038】
位置算出部813は、例えば、位置センサー6から出力される情報に基づいて、単位時間あたりの内圧制御部材3のZ1方向における位置の変化量(すなわち内圧制御部材3のZ1方向の移動速度)を算出する。前述の位置センサー6および位置算出部813は、内圧制御部材3のZ1方向における位置を検出し、単位時間あたり位置の変化量を単位時間あたり発泡量として測定する「測定手段」である。
【0039】
マイクロ波制御部812は、マイクロ波照射部7aおよび7bが照射する各マイクロ波の出力を制御する。具体的には、マイクロ波制御部812は、位置センサー6から出力される情報に基づいてマイクロ波照射部7の出力を制御する。より具体的には、マイクロ波制御部812は、単位時間あたり位置の変化量に応じてマイクロ波照射部7から出力されるマイクロ波の強度を変更することで、混合液の発泡の程度が目標値となるようにマイクロ波の出力をフィードバック制御する。例えば、内圧制御部材3のZ1方向の移動速度が目標速度よりも速い場合にはマイクロ波の強度を低くし、当該移動速度が当該目標速度よりも遅い場合には、マイクロ波の強度を高くする。このように位置センサー6から出力される情報を基にしてマイクロ波の出力を制御することで、発泡倍率等の物性値を目標値と一致または近づけることができる。
【0040】
なお、処理装置81は、位置センサー6から出力される情報を基にして、マイクロ波の出力を制御することに加えて、または代えて、搬送機構4による搬送速度または搬送方向を制御してもよい。また、位置センサー6が複数設けられる場合、マイクロ波制御部812は、複数の位置センサー6のうちの1個の位置センサー6を用いてマイクロ波照射部7aを制御し、他の1個の位置センサー6を用いてマイクロ波照射部7bを制御してもよい。
【0041】
以上の構成の発泡体製造装置100は、筐体1、容器2、内圧制御部材3、搬送機構4、混合液供給部5、位置センサー6、マイクロ波照射部7a、マイクロ波照射部7bおよび制御装置8以外の要素を有してもよい。例えば、発泡体製造装置100は、位置センサー6以外に、温度および湿度等の筐体1内の状況等に関する情報を取得するセンサーを有してもよい。この場合、位置センサー6から出力される情報だけでなく、当該センサーから出力される情報を併用して、マイクロ波照射部7aおよびマイクロ波照射部7b等の駆動が制御されてもよい。また、発泡体製造装置100は、位置センサー6に加えてまたは代えて、混合液の発泡により内圧制御部材3に加わるZ1方向の圧力の情報を取得するセンサーを備えてもよい。この場合、位置センサー6から出力される情報と併用または単独で、当該センサーから出力される情報に基づいて、マイクロ波照射部7aおよびマイクロ波照射部7b等の駆動が制御されてもよい。したがって、「測定手段」は、圧力センサーを有しており、単位時間当たりの圧力の変化量を単位時間あたり発泡量として測定してもよい。
【0042】
3-2.筐体1
図3および図4は、それぞれ図1に示す筐体1の断面図である。図3では、筐体1をX-Z平面に沿って切断した断面が示される。図3に示すように、筐体1は、容器2を収容する箱状の本体11と、本体11の上方に配置された排気部15とを有する。本体11には、前述した搬入用扉12および搬出用扉13が取り付けられる。また、図4では、筐体1をY-Z平面に沿って切断した断面が示される。図4のでは、筐体1は、2個の吸気部14を本体11の下方に有する。吸気部14の2個に限らず、吸気部14を有しないことも考えられる。筐体1内は、空気で満たされるが、例えば窒素ガス等で満たされてもよい。
【0043】
図4に示すように、各吸気部14は、本体11に接続される。図示の例では、各吸気部14は、本体11におけるZ2方向(鉛直方向下側)の部分に接続される。各吸気部14は、X1方向を長手方向とする長尺な筒状の部材である。2個の吸気部14は、本体11に対してY1方向およびY2方向の両側に配置される。図3および図4に示すように、各吸気部14の長手方向における長さは、本体11のX1方向における長さとほぼ等しい。各吸気部14の長手方向での両端には、2個の開口端106aおよび106bが設けられる。2個の開口端106aおよび106bは、外部の空気を吸気部14の内部に導入する。
【0044】
各吸気部14の内部の空間は、本体11の側壁の下側に形成された吸気口104に連通している。吸気口104は、例えば、X1方向を長手方向とする長尺な孔である。吸気口104のX1方向における長さは、吸気部14の長手方向における長さとほぼ等しい。吸気口104には、マイクロ波の外部への漏洩を防ぐための多孔板161を配置することが好ましく、マイクロ波非透過性の多孔板161を配置することがさらに好ましい。多孔板161は、蒸気を流通可能な複数の微小な孔を有する板部材とすることができ、吸気口104の全域にわたり配置してもよい。多孔板161は、マイクロ波を反射させるために、金属製としたり、マイクロ波に曝露される側に金属層を有する多層構造としたり、マイクロ波に暴露される側にマイクロ波を反射する表面加工を施したりすることができる。多孔板161を設けることにより、吸気口104へのマイクロ波の漏洩を防ぐことができる。そのため、蒸気を問題なく給気する十分な大きさの吸気口104を備えることが可能となる。
【0045】
図3に示すように、排気部15は、本体11に接続される。排気部15は、一例として、本体11からZ1方向に突出する円筒状の部材である。排気部15は、Z1方向からみて、マイクロ波照射部7aとマイクロ波照射部7bとの間に位置する。図4に示すように、排気部15は、筐体1のY1方向における中央に配置することができる。なお、図示しないが、マイクロ波照射部7aおよび7bも筐体1のY1方向における中央に位置することができる。
【0046】
排気部15の内部の空間は、本体11の上面に形成された排気口105に連通している。排気口105は、例えば、円形の孔である。排気口105には、マイクロ波の外部への漏洩を防ぐための多孔板162を配置することが好ましく、マイクロ波非透過性の多孔板162を配置することがさらに好ましい。多孔板162は、蒸気を流通可能な複数の微小な孔を有する板部材とすることができ、排気口105の全域にわたり配置してもよい。また、排気部15には、図示しないが、排気用ファンを有するブロワー等の排気機構が接続され、本体11内に吸気口104から排気口105に向かう気流を生じさせる。多孔板162を設けることにより、排気口105へのマイクロ波の漏洩を防ぐことができる。そのため、蒸気を問題なく排気する十分な大きさの排気口105を備えることが可能となる。
【0047】
以上の通り、排気部15および吸気部14は、排気機構の動作により、吸気口104から排気口105に向けて筐体1の内壁面に沿って空気を流通させる。例えば、排気機構は、図4中の矢印A1の示す方向に沿って空気を流通させる。そのため、容器2内で混合液から発泡に伴って生じる水等の蒸気を筐体1の外部に放出させることができる。そのため、蒸気が本体11の内壁で液化することを防ぐことができる。したがって、水等にマイクロ波が吸収されることを防ぐことができる。そのため、このような排気を行わない場合に比べて、混合液10aに照射されるマイクロ波の分布の制御を図ることができる。そのため、均質な発泡体を効率よく製造することができる。
【0048】
また、前述のように、筐体1は、2個の吸気部14を有することができる。そのため、1個の吸気部14のみが設けられる場合に比べ、排気口105に向かう気流を本体11のより広範囲に生じさせることができる。その結果、本体11の広範囲にわたって蒸気の液化を防ぎ、よって本体11内の温度均一性を向上させることができる。加えて、2個の吸気部14を、本体11を挟んで配置することによって、さらに広範囲に及ぶ気流とすることができる。
【0049】
また、図4に示すように、開口端106aのZ1方向における長さT1は吸気口104のZ1方向における長さT2よりも長い。同様に、開口端106bのZ1方向における長さも長さT2よりも長い。そのため、開口端106aおよび106bから導入した空気を、吸気口104に全域にわたって均一に流通させることができる。したがって、吸気口104から排気口105に向けての気流を本体11の全域にわたって万遍なく生じさせることができる。そのため、本体11の全域にわたって蒸気が液化することを万遍なく防ぐことができる。また、本体11内の温度の更なる均一化を図ることができる。
【0050】
3-3.容器2
図5は、図1に示す容器および内圧制御部材の断面図である。図5に示すように、側壁22には、容器2の内外を連通する複数の貫通孔201が設けられてもよい。各貫通孔201は、側壁22に形成された小孔またはスリットである。当該複数の貫通孔201が設けられることで、容器2内の圧力を調整することができる。当該複数の貫通孔201は、蒸気を容器2の外部に排出する排出部として機能する。当該複数の貫通孔201は、容器2内の混合液10aが容器2の外部に流出しない位置、数および大きさで形成される。
【0051】
容器2について、4つの側面を有するものを例に説明をするが、相対する2つの側面だけを有するものとすることも可能であり、プレート45を容器2の底面として用いることも可能である。
【0052】
3-4.内圧制御部材3
また、図5に示すように、内圧制御部材3は、容器2の内部を移動可能である。図6は、図5中のA-A線断面に相当する図である。図6に示すように、内圧制御部材3のZ1方向からみた平面積、すなわちX-Y平面で平面積は、容器2の内部のZ1方向からみた平面積よりも小さい。また、内圧制御部材3と容器2との間には内圧制御部材3の全周にわたって間隙d1が形成されるよう、Z1方向からみた内圧制御部材3のサイズおよび配置が設定される。なお、間隔d1は、内圧制御部材3の全周にわたり一定であってもよく、変化してもよい。また、内圧制御部材3の一部は、容器2と接触していてもよい。
【0053】
このように、内圧制御部材3と容器2との間には間隙d1があることで、間隙d1が無い場合に比べ、容器2の内部における内圧制御部材3の移動が容易となる。また、間隙d1が設けられることで、混合液10aから発生する水等の蒸気を容器2の外部へと効率良く排出させることができる。すなわち、間隙d1は、蒸気を容器2の外部に排出する排出部として機能する。
【0054】
例えば、内圧制御部材3は、容器2を構成する材料と同一の材料で形成される。ただし、内圧制御部材3の材料は容器2の材料と異なっていてもよい。また、内圧制御部材3の厚さは容器2の厚さと同一でも異なっていてもよい。内圧制御部材3の厚さは、例えば発泡体の種類等によって決定される。内圧制御部材3の厚さに応じて内圧制御部材3の自重を設定することができる。また、内圧制御部材3の密度がρa、発泡前の混合液10aの密度がρbである場合、内圧制御部材3は、ρa<ρbとなるよう設定される。この密度の関係により、内圧制御部材3を発泡前の混合液10aに浮かせることができる。
【0055】
図5に示すように、内圧制御部材3は、混合液10aの表面に接触する。ここで、混合液10aは発泡により矢印A2方向に向かって膨張しようとする。この際、内圧制御部材3は、混合液10aの内圧、すなわち混合液10aで発生する気泡の内圧を制御する。具体的には、内圧制御部材3がその自重により混合液10aに矢印A2とは反対方向に圧力を加える。これにより、混合液10aの発泡による膨張が制限される。ただし、内圧制御部材3による圧力は、混合液10aの発泡により生じる圧力よりも小さい。そのため、内圧制御部材3は、混合液10aに接触しながら、混合液10aの発泡に伴って矢印A2方向に移動する。図5に示すように、内圧制御部材3は、徐々にZ1方向に移動する。これにより混合液10aはその内圧を一定に保ちつつZ1方向に緩やかに膨張する。
【0056】
4.発泡体の製造方法
図7は、実施形態の発泡体の製造方法の流れを示す図である。図7に示すように、発砲体の製造方法は、供給工程S11と発泡工程S12とを有する。以下、各工程を説明する。
【0057】
4-1.供給工程S11
供給工程S11では、図5に示すように、容器2の内部に混合液10aが供給される。供給工程S11では、例えば、図1に示すコンベア41上に容器2が配置された状態で、混合液供給部5から容器2内に混合液10aが所定量供給される。また、例えば、容器2への混合液10aの供給が終了したら、混合液10aに接触するように容器2の上方から内圧制御部材3が混合液10a上に載置される。
【0058】
4-2.発泡工程S12
図8および図9は、それぞれ発泡工程S12の説明図である。発泡工程S12では、混合液10aにマイクロ波を照射することにより混合液10aが加熱される。当該加熱により、混合液10aは発泡しながら硬化する。なお、発泡工程S12は、マイクロ波により混合液10aを加熱する加熱工程ともいえる。
【0059】
具体的には、まず、図8に示すように、コンベア41上からコンベア40上に容器2が搬送される。つまり、容器2が筐体1内に配置される。容器2が筐体1内に配置されるに際し、筐体1の搬入用扉12の開閉が行われる。
【0060】
次に、筐体1内に容器2が配置されたら、マイクロ波照射部7aおよび7bは、マイクロ波制御部812の制御の下で筐体1内へのマイクロ波の照射を開始する。なお、マイクロ波の照射は、搬入用扉12および搬出用扉13が閉じた状態で行われる。前述のように筐体1がマイクロ波の反射性を有するので、マイクロ波の外部への漏洩を防ぐことができる。
【0061】
混合液10aにマイクロ波が照射されることで混合液10aが加熱される。混合液10aが加熱されると、混合液10aの発泡が開始される。具体的には、混合液10aのうち加熱された部分が気化されることでガスが発生し、発生したガスが混合液10aを内部から膨張させる。また、かかる発泡とともに硬化反応が開始される。
【0062】
ここで、前述のように、供給工程S11において内圧制御部材3は混合液10a上に載置される。そのため、マイクロ波の照射の開始時には、内圧制御部材3は混合液10aに接触している。ただし、内圧制御部材3は、マイクロ波の照射の開始後に、混合液10aに接触するよう容器2内に配置されてもよい。つまり、内圧制御部材3は、供給工程S11と発泡工程S12との間、または発泡工程S12の最中に、混合液10a上に配置される。
【0063】
次に、マイクロ波照射部7aおよび7bによるマイクロ波の照射が開始されたら、コンベア40は、搬送制御部811の制御の下で、容器2をX1方向に搬送する。したがって、容器2の搬送と、混合液10aへのマイクロ波の照射とが、同時に並列して行われる。容器2を搬送しながらマイクロ波を照射することで、容器2を移動させずにマイクロ波を照射させる場合に比べ、混合液10aに対してマイクロ波の分布を制御することができる。その結果、製造される発泡体の均質性を高めることができる。また、容器2を筐体1に対して移動させることで、マイクロ波照射部7aおよび7bを筐体1に対して移動させる構成に比べ、発泡体製造装置100の構成を簡素化することができる。
【0064】
なお、マイクロ波の照射とコンベア40による容器2の搬送とは、同時に開始されてもよいし、コンベア40による容器2の搬送が開始された後に、マイクロ波の照射が開始されてもよい。また、マイクロ波照射部7aおよび7bは、マイクロ波の照射を同時に開始してもよいし、例えば、マイクロ波照射部7aのみが混合液10aにマイクロ波を照射した後、マイクロ波照射部7bのみが混合液10aにマイクロ波を照射してもよい。マイクロ波照射部7aおよび7bによる各照射開始タイミングは、例えば、容器2の搬送速度および搬送方向等に応じて決定されてもよい。
【0065】
コンベア40の搬送により、容器2は、図8に示すように搬出用扉13よりも搬入用扉12に近い位置から、図9に示すように搬入用扉12よりも搬出用扉13に近い位置へと移動する。この移動中、混合液10aには、マイクロ波が照射され続ける。そうすると、混合液10aはZ1方向に向かって膨張しながら、硬化反応が進行していく。発泡および硬化反応の進行中では、混合液10aには、硬化された部分と未硬化な部分とが混在する。なお、本明細書の説明では、硬化開始前の状態、および硬化された部分と未硬化な部分とが混在する状態の双方を、混合液10aとして説明する。
【0066】
また、前述のように、筐体1に容器2を配置する前に、内圧制御部材3は混合液10a上に載置されている。したがって、マイクロ波の照射中において、内圧制御部材3は混合液10aに接触している。そのため、混合液10aが発泡しながら硬化するとき、内圧制御部材3が、混合液10aに発生する気泡の内圧を制御する。そのため、混合液10aは、発泡による膨張が所定条件に制限された状態で、Z1方向に向かって膨張する。
【0067】
このように、混合液10aが発泡しながら硬化するとき、内圧制御部材3によって、混合液10aの内圧が制御される。そのため、発泡中において、容器2および内圧制御部材3によって混合液10aの全周に加わる圧力のバラつきを小さくすることができる。その結果、発生した気泡の膨張の程度に差が生じることを抑制することができる。また、内圧制御部材3は、発泡に伴って移動可能であるので、気泡の発生時間の違いによる気泡の径のバラつきを小さくすることができる。このようなことから、発泡体における気泡径のバラつきを抑制することができる。
【0068】
特に、内圧制御部材3は、混合液10aに対するマイクロ波の照射を開始する前から混合液10aの内圧は制御されることが好ましい。これにより、マイクロ波の照射が開始された後に混合液10aの内圧が制御される場合に比べて、発泡体における気泡径の均一化を図ることができる。
【0069】
また、前述のように、マイクロ波照射部7aは、図1中の右斜め下に向かってマイクロ波を照射し、マイクロ波照射部7bは、図1中の左斜め下に向かってマイクロ波を照射する。そのため、例えば容器2に対して真上からマイクロ波が照射される場合に比べ、容器2内に配置された混合液10aの中央部にもマイクロ波を効果的に照射することができる。
【0070】
また、図8に示すように、容器2が搬出用扉13よりも搬入用扉12に近い位置に配置される状態では、容器2内の混合液10aは、マイクロ波照射部7bよりもマイクロ波照射部7aによるマイクロ波の影響を強く受ける。一方、図9に示すように、容器2が搬入用扉12よりも搬出用扉13に近い位置に配置される状態では、容器2内の混合液10aは、マイクロ波照射部7aよりもマイクロ波照射部7bによるマイクロ波の影響を強く受ける。前述のように、マイクロ波照射部7aは、マイクロ波照射部7bから出力されるマイクロ波の強度よりも強い強度のマイクロ波が出力される。そのため、製造初期において混合液10aに照射されるマイクロ波の強度は、製造終期において混合液10aに照射されるマイクロ波の強度よりも強い。
【0071】
混合液10aに照射されるマイクロ波の出力を経時的に低下させることで、当該出力を経時的に変化させない場合に比べ、発泡体内における気泡の配置分布のバラつきを低減することができる。混合液10aに対するマイクロ波の照射開始直後においてマイクロ波の出力を高めることで発泡を迅速に進行させることができる。また、混合液10aが目標とする発泡体の形状まで発泡した後の期間では、その形状を維持すべく、当該発泡体の温度を保つことが好ましい。なお、当該出力の変化は、内圧制御部材3を有さない構成においても有効であると考えられる。
【0072】
次に、例えば、予め設定された照射時間に到達したと判断したら、マイクロ波制御部812の制御の下で、マイクロ波照射部7aおよび7bは、マイクロ波の照射を停止する。以上により、混合液10aから発泡体が製造される。なお、マイクロ波の照射後に、必要に応じて乾燥処理が施されてもよい。
【0073】
次に、発泡体が製造されたら、コンベア40上からコンベア42上に容器2が搬送される。そして、製造された発泡体は、容器2から脱型され、裁断機等により不要部分が除去されることで所定形状に成形される。
【0074】
以上、発泡体の製造方法について説明した。例えば、複数の容器2を連続的に処理する場合、ある1個の容器2に混合液10aが供給されている時、他の1個の容器2内の混合液10aにマイクロ波が照射される。筐体1内には複数の容器2が配置されてもよいが、発泡体の均質性を充分に高めるために、筐体1内には1個の容器2が配置されることが好ましい。また、前述の説明では、容器2の搬送中に混合液10aにマイクロ波が照射されたが、例えば、容器2の搬送を停止した状態で混合液10aにマイクロ波が照射されてもよい。
【0075】
本発明の発泡体製造装置について図示の実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0076】
1…筐体、2…容器、3…内圧制御部材、4…搬送機構、5…混合液供給部、6…位置センサー、7…マイクロ波照射部、7a…マイクロ波照射部、7b…マイクロ波照射部、8…制御装置、10a…混合液、11…本体、12…搬入用扉、13…搬出用扉、14…吸気部、15…排気部、21…底部、22…側壁、35…支持棒、36…弾性部材、37…ストッパー部材、38…ローラー、40…コンベア、41…コンベア、42…コンベア、45…プレート、71…マイクロ波発振器、81…処理装置、82…記憶装置、100…発泡体製造装置、102…搬入口、103…搬出口、104…吸気口、105…排気口、106a…開口端、106b…開口端、161…多孔板、162…多孔板、201…貫通孔、211…底面、401…駆動用プーリー、402…従動用プーリー、403…ベルト、404…ローラー、405…モーター、406…エンコーダー、407…近接センサー、811…搬送制御部、812…マイクロ波制御部、813…位置算出部、A1…矢印、A2…矢印、P1…制御プログラム、S11…供給工程、S12…発泡工程、d1…間隙、d2…空間、d3…空間、T1…長さ、T2…長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9