(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026260
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】電子計算機のファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/30 20180101AFI20230216BHJP
【FI】
G06F8/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021149770
(22)【出願日】2021-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】515018965
【氏名又は名称】濱津 剛
(72)【発明者】
【氏名】濱津 剛
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BB01
5B376BB12
5B376BC14
5B376BC18
5B376BC74
5B376CA08
(57)【要約】
【課題】プログラム改変の際、手間と所要時間と費用を削減するために、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムを提供する。
【解決手段】プログラム改変箇所は、その箇所にプログラム改変仕様を直接実装するのではなくてファイルシステムを使ったファイル管理プログラムに置き換え、プログラム改変仕様を設計書の表に一定の規則に沿ってまとめ、表を表ファイルとして電子計算機上に配置し、ファイル管理プログラムに読ませてプログラム改変を実施することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子計算機で動作するプログラム作製または改変に際し、プログラム作製箇所または改変箇所は電子計算機のファイルシステムを利用するプログラムに置き換える過程と、電子計算機で動作するプログラム作製または改変仕様を設計書の表にまとめる過程と、表を電子ファイルとして電子計算機上に配置する過程とを経て、電子計算機のファイルシステムを利用するプログラムはその電子ファイルを読むことによって電子計算機で動作するプログラム作製または改変を実装して実施するのと同等の結果を得ることを特徴とする電子計算機のファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子計算機のファイルシステム(以下、単にファイルシステムと称す)を利用するプログラム改変の提供システムに関するもので、特に電子計算機で動作するプログラム作製または改変(以下、プログラム作製も含めてプログラム改変と称す)の発注者に、プログラム改変の規模に応じて、短期で安価なプログラムを提供するファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プログラム改変はその実現方法のまとめである設計書が存在し、その設計書にある実現方法のプログラムへの実装を人手またはプログラム自動生成機能もしくはその両者の組み合わせにより行うものである。
【先行技術文献】
【0003】
非特許文献でファイルシステムやデータベースシステムに関するものが多数存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これは次のような課題があった。
従来、プログラム改変は、相当の手間と所要時間と費用を要する。プログラム改変したらそのプログラム改変箇所を含むプロセス単体とそのプロセスと関連するプロセスを含むシステムのテストと評価を行わなければならない。プログラム自動生成機能を使用した場合でもテストと評価は行わなければならない。
データ変更だけが頻繁に行われるという理由でプログラム改変を繰り返し行う場合は、データベースシステムを導入してプログラム改変箇所をデータベースにアクセスするプログラムに変更する場合もある。しかし、この方法はプログラム改変を行う者がデータベースシステムについての知識と技術を習得するために相当の労力を要すること、もしくはその人材を必要とすることによりその分高価なプログラム改変になってしまう。データベースシステムを導入するためにデータベースシステムそのもののシステム資源を要するが、プログラム改変の発注者にとってこれは必ずしも必要とするところではなく、また、意に沿うシステム資源量の調整が容易でない。システム資源が制限される小規模なシステムではそもそもデータベースシステムの導入は適当ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した背景技術に鑑み成されたものであって、その目的は、プログラム改変の発注者に、プログラム改変の規模に応じて、短期で安価なプログラムを提供することにある。そのため、本発明は次の1~11の過程と12を有することを特徴としたファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムとした。
1.設計書に次の2~5を最低限の列項目として有する表(1)を設けることを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。表(1)は、設計書は電子計算機上でも紙面上でもよい。
2.プログラム改変箇所(2)がサブルーチンコール等でプログラムを改変しない箇所との接続を特定する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。以下、接続する箇所を接点と称し、接点はサブルーチンコールによるものとは限定しない。
3.上記2の接点がプログラム改変箇所から見たデータの入力か出力かを特定する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。以下、設計上で入力を通過しプログラム改変箇所に進入するデータを入力データ、設計上でプログラム改変箇所から出力を通過するデータを出力データと称す。
4.上記2の接点に識別番号を付与する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。識別番号を単数列にするか複数列でそれぞれの識別番号に意味を持たせるかは限定しない。
5.各々の識別番号と入力データについて入力から出力に至る条件を課す過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
6.入力データに上記4の入力識別番号、上記5の条件、上記4の出力識別番号、出力データより構成するレコードを行として表(1)に列挙する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。レコードは1レコードだけに限定しない。
7.表(1)を電子ファイル(以下、表ファイル(4)と称す)として読み、プログラム改変箇所(2)を含むプロセス(以下、単にプロセスと称す)に割り当てられた電子計算機上の記憶装置で表ファイルの内容を保持し、電子計算機上で適時入力接点を通過する入力識別番号を有するデータ(以下、これを生入力データと称す)と表ファイル(4)の各々のレコードより識別番号と入力データを比較し、一致は条件に従い表ファイル(4)より出力識別番号と出力データを取出し、出力接点にデータを出力するプログラム(以下、ファイル管理プログラムと呼ぶ)を作製する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
8.プログラム改変箇所(2)を上記2の接点すべてを引き継ぎファイル管理プログラムに置き換える過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
9.設計書より表(1)を抜き出し、表ファイル(4)として補助記憶装置の任意の位置に配置する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
10.プログラム改変箇所(2)を通過する大量のデータが存在し便宜上で表(1)を分割する場合やプログラム改変箇所(2)をデータが通過するに際して複数の条件があるため表(1)を複数記載する場合は、上記9の個々の表タイトルを記載するリストファイル(6)を作成して電子計算機の補助記憶装置の任意の位置に配置し、ファイル管理プログラムがリストファイル(6)に記載の表タイトルを参照して上記9を行う過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
11.発注者の従来のシステムにおいて、ファイル管理プログラムが実装済みのプロセスの更新と表ファイル(4)とリストファイル(6)導入で発注者のプログラム改変仕様の評価を実施する過程を有することを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
12.上記11より後のプログラム改変では、プロセスの更新は無く、表ファイル(4)とリストファイル(6)更新でその都度発注者のプログラム改変仕様の評価が実施できることを特徴とする、ファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システム。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムによれば、ファイル管理プログラムはファイルシステムを利用したものであり、一般的で世間に多くの電子計算機による信頼性のある動作実績が存在するため、作製の時点でテストと評価を行えばそれ以上のテストと評価は通常無くなる。このことを利用し、プログラム改変箇所の実装とテストに要す手間と所要時間は通常考慮せずにプログラム改変仕様の評価を実施する。
上記のようなことから、本発明に係るファイルシステムを利用するプログラムの提供システムは、プログラム改変の発注者に、短期で安価なプログラムを提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0005]8の置き換えに係るプログラム改変箇所とは従来のどこに当たるか、構成上のその位置づけを示した図。
【
図2】[0005]1の本発明の設計書と設計書に設ける図、同7のファイル管理プログラムで同2のプログラム改変箇所を置き換えた後のプログラム改変しない箇所とその接点、同6のレコード、同9の表ファイルの構成を示した図。
【
図3】[0005]10のリストファイルを使う場合の[
図2]の構成を示した図
【
図4】[0005]7の入力データと生入力データを比較し、出力データを得る過程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムを実施するための形態を説明する。
本発明は、プログラム改変箇所とプログラム改変しない箇所の接点を提示していただく過程と、接点がプログラム改変箇所からみて入力なのか出力なのかを提示していただく過程と、接点に識別番号を付与する過程と、識別番号と入力データに出力データを得る条件を課す過程と、識別番号と入力番号と条件と出力データの列項目からなるレコードを決定し設計書に表を設けてレコードを列挙する過程と、ファイル管理プログラムを作成する過程と、プログラム改変箇所をファイル管理プログラムに置き換える過程と、完成した表を設計書から抜き出し表ファイルとして補助記憶装置の任意の位置に配置する過程と、単数または複数の表タイトルを記載するリストファイルを作成して補助記憶装置の任意の位置に配置する過程を少なくとも有する開発を実施し、発注者の従来のシステムが運用可能な評価環境を用意しファイル管理プログラムが実装済みのプロセスの更新と表ファイルとリストファイルを導入し発注者のプログラム改変仕様の評価を実施する過程を少なくとも有するファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムである。
【0009】
[0008]の開発と評価の過程があることを発注者に説明する。加えて、ファイルシステムを利用するプログラムの提供価格と、それとは別に開発の過程で作成したレコードが評価の過程で電子計算機を使用して有効であることが確認できた場合は1レコードにつき1000円(税抜)の提供価格との合計額を要することを発注者に説明し、同意を得る。1レコードにつき1000円(税抜)は例としてプログラム製造元が予め決めておいた価格とするが、1レコード1000円(税抜)と限定するものではない。
【0010】
[0008]のプログラム改変箇所とプログラム改変しない箇所の接点を特定する過程では、発注者に接点を提示していただき、[0008]のプログラム改変箇所から見たデータの入力か出力かを特定する過程に進み、発注者にその接点を通過するデータが入力データなのか出力データなのかを提示していただき、[0008]の接点に識別番号を付与する過程に進み、各々の接点に識別番号を付与し、単数または複数の入力データとの組合せを得る。ここで、識別番号が単数列か複数列かは限定しない。例えば、ネットワーク通信プロセスとの接点であれば、識別番号はIPアドレスとポート番号の複数列で付与でき、デバイス通信プロセスとの接点であれば、機器固有番号の単数列で付与できる。処理優先度の高い接点であれば、識別番号は優先度キーとIPアドレスとポート番号の複数列で付与できる。これらの識別番号は発注者の所有物であるため、発注者より提示していただく。
【0011】
[0008]の各々の識別番号と入力データについて入力から出力に至る条件を課す過程にて、[0010]の識別番号と入力データの組合せの各々に条件を設定する。例えば、発注者のプログラム改変の仕様によれば、入力の識別番号[10.10.10.10]と[12345]で入力データに[こんにちは]が含まれているケースを出力の識別番号[20.20.20.20]と[12345]のプロセスに[こんばんは]のデータを出力するとあれば、該当の識別番号と入力データの組合せに[こんにちは]で部分一致の条件と出力の識別番号と出力データを付与する。条件は、プログラム製造元が用意する選択肢から発注者のプログラム改変の仕様に沿うものを選択する。
【0012】
[0008]の識別番号と入力番号と条件と出力データの列項目からなるレコードを決定し設計書に表を設けてレコードを列挙する過程にて、[0011]のレコードを設計書の表に列挙する。[0011]のレコードが大量であるとか、設計書のレイアウトの便宜上やポリシーなどで表を複数にすることも可能である。設計書の表の記載が完了したら、発注者のプログラム改変の仕様に適うものであるかどうかを発注者に確認し同意を得る。
【0013】
[0008]のファイル管理プログラムを作製する過程では、ファイル管理プログラムは、個別の発注者に依存せずプログラム製造元によって事前に作製とテストと評価が実施済みであることとするが、発注者の有するプログラム改変の仕様により種々の変更の可能性も排除しない。
【0014】
[0008]のプログラム改変箇所をプログラム改変しない箇所との接点すべてを引き継ぎファイル管理プログラムに置き換える過程では、本発明を初めて適用するプログラム改変箇所に対して実施する。
[0008]の設計書より表を抜き出し、表ファイルとして補助記憶装置の任意の位置に配置する過程、および個々の表タイトルを記載するリストファイルを作成して電子計算機の補助記憶装置の任意の位置に配置する過程では、例えば、設計書の表の部分のみを表計算ソフトの新規ページに貼り付け、/home/tempフォルダに[表分割1]のファイル名を付けてテキスト形式で保存する。また[表分割1][表分割2][・・・]と個々のファイル名が記入されたリストファイルを作成し、/home/tempフォルダに[表分割リスト]のファイル名を付けてテキスト形式で保存する。
【0015】
本発明を適用する前に発注者が運用をしていた環境に相当する評価環境を用意し、現行プロセスを[0014]実施済みのプロセスに置き換える。発注者の仕様のタイミングでプロセス操作者は[/home/temp/表分割リスト]の引数を指定してプロセスを起動する。発注者のプログラム改変の仕様のタイミングで生入力データを随時発生させる。設計書の表に列挙したレコードの該当出力データが出力されることを評価する。
【0016】
評価が終了したら、発注者に本発明に係るファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムの適用にかかる費用を請求する。費用を受領したら発注者に本発明の適用を受けたプロセス、表ファイル、およびリストファイルを引き渡す。実際の運用は発注者の都合のスケジュールでしていただく。
【0017】
以上、本発明に係るファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムの実施の形態を説明したが、本発明は、既述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変更が可能であることは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
プログラム改変に際して、発注者は短期で安価なプログラムを入手でき、ワープロソフトや表計算ソフトの操作が行える者であれば、表ファイルやリストファイルを即時に調整できるため、機動的なシステムの運用が可能となる。また、データベースシステムのような特定用途のシステムの導入せずに、標準的なファイルシステムを利用するプログラム改変の提供システムであるため、発注者の意に沿うシステム資源量の調整が容易となる。
【0019】
プログラム改変に際して、プログラム製造元はこの改変の手間と所要時間を削減することにより新製品の研究開発や新規市場開拓に注力する時間を設けることができ、バランスがとれたプロダクトポートフォリオマネジメントがし易くなる期待ができる。また、プログラム(コンパイル方式のプログラム、インタプリタ方式のプログラム、コンソールからのスクリプト実行やコマンド実行、データベースの構築や取扱など全般)についての知識や技術を持たなくてもワープロソフトや表計算ソフトの操作が行える者であれば表ファイルやリストファイルについては発注者へ支援が可能となる。
【符号の説明】
【0020】
1 表
11 設計書
2 プログラム改変箇所
21 プロセス
22 プログラム改変しない箇所
23 プログラム改変箇所に入るデータ
24 プログラム改変箇所から出るデータ
3 レコード
4 表ファイル
41 表ファイルを補助記憶装置へ配置
42 表ファイルの読み込み
5 ファイル管理プログラム
6 リストファイル
61 リストファイルを補助記憶装置へ配置
62 リストファイルの読み込み
63 表ファイルを読み込むための検索
7 生入力データ
8 出力データ