(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026292
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】パーフルオロオクタン酸の吸着分解方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20230216BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230216BHJP
C02F 1/72 20230101ALI20230216BHJP
【FI】
C02F1/32
C09K3/00 S
C02F1/72 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022015226
(22)【出願日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2021148971
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520182626
【氏名又は名称】田中 義信
(72)【発明者】
【氏名】田中 義信
(72)【発明者】
【氏名】石幸 成和
【テーマコード(参考)】
4D037
4D050
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB14
4D037BA18
4D037BB01
4D037CA11
4D050AA01
4D050AB19
4D050BC06
4D050BC09
4D050BD02
4D050BD06
(57)【要約】
【課題】本発明は、水溶性フッ素化合物、特にパーフルオロオクタン酸(PFOA)の吸着分解方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水溶性フッ素化合物を、アナターゼ型酸化チタン粉末とポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を配合した光触媒複合材料の存在下、紫外線を照射する工程を備える、前期水溶性フッ素化合物の吸着分解方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フッ素化合物を、アナターゼ型酸化チタン粉末とポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を配合した光触媒複合材料の存在下、紫外線を照射する工程を備える、前期水溶性フッ素化合物の吸着分解方法。
【請求項2】
前記水溶性フッ素化合物が、パーフルオロオクタン酸(PFOA)である、請求項1の吸着分解方法。
【請求項3】
前記光触媒複合材料は、前記アナターゼ型酸化チタン粉末が、前記複合材料中に、60重量%以上配合されている、請求項1の記載の吸着分解方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の分解方法によって造られた水浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フッ素化合物、特にパーフルオロオクタン酸(PFOA)の吸着分解の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PFOAを含む低分子PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、熱に強い特徴を持った化合物で、界面活性剤、柔軟剤、消化剤など様々な用途に使用されている。
一方、PFASは、廃棄された後、分解されるまでに長い時間がかかり、自然界に残り続けることから「フォーエバー・ケミカル」とも呼ばれている。近年、発がん性他の健康被害の可能性が指摘されており、生物蓄積性など環境への汚染が懸念され、国際的な規制の対象となっている。
PFASの中でも、工業的に大量に使用されていたPFOAは、海水、河川、地下水、水道水などに存在していることがわかっており、しかもその分解は、非常に困難な物質とされている。このため、PFOAの簡便な分解方法の開発が求めれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】重点研究室光触媒グループ KAST平成21年度研究概要 2010.7.16 藤嶋昭
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、PFOA等の水溶性フッ素化合物の吸着分解方法を提供することを目的とする。
PFOAを薬品などを用いることなく、酸化チタンを用いた光触媒複合材料の機能と低圧紫外線ランプ(254nm波長)やブラックライト(390nm波長)により吸着分解除去する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
水溶性フッ素化合物にアナターゼ型酸化チタンを含む光触媒機能を有する材料と紫外線を照射する工程を備える、前記水溶性フッ素化合物の吸着分解方法。
【0007】
光触媒機能を有する材料は、全体量に対し酸化チタンを60重量%以上、好ましくは70重量%以上さらに好ましくは80重量%以上の量を配合し、残部がポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)製の多孔質光触媒担持ボードをPFOA等含有水中に設置し、紫外線を当てることにより実現する。
【0008】
本発明に用いる多孔質光触媒担時ボードは、PTFEファインパウダー(ダイキン工業株式会社製F-104)と6nmサイズの酸化チタン微粉末(テイカ株式会社製AMT-100)をミキサー攪拌し、PTFEのフィブリル化の性質を利用し酸化チタン微粉末との分離を防止する。この綿状の混合粉末を多数の孔部を有する金属板、例えばエキスパンドメタル等に、孔部が閉塞するように圧着し付着させることによりPTFEを成形材とする多孔質酸化チタン担持ボードを作成した。
【発明の効果】
【0009】
PFOAを含有する水中にこの多孔質光触媒担持ボードを設置し、紫外線を照射することにより分解及び吸着を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
PFOAを含む試料液に、酸化チタン粉末、酸化チタン多孔質光触媒担持ボードを入れ、紫外線を照射する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものでは無い。
【実施例0012】
比較のため、酸化チタン粉末のみでのPFOAの分解を行った。
試験1 PFOA含有水200mlをガラス容器に入れ、酸化チタン粉末15gを投入し30分毎にガラス棒にて攪拌を行い、10W紫外線ランプ(波長254nm)にて4時間照射した。水中のPFOA量は、8.3mg/Lから6.9mg/Lに減少し、減少率16.9%と低圧紫外線ランプによる酸化チタンの光触媒効果が確認できた。
試験には
図1の装置を用いた。表1に試料液中のPFOA量の変化結果を示す。
【表1】
試験1と比較し、前記多孔質光触媒担持ボードを用いることにより、少ない酸化チタン量にて、効率よく効果的にPFOAを吸着分解出来ることが解った。また安全性が高い波長390nmの紫外線でも、PFOAが減少することを確認できた。
また、吸着効果により、紫外線量が少なくても、PFOA除去効果が発揮できることが確認できた。