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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026308
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】電動シリンダ及びその遠心式安全装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20230216BHJP
   F16D 43/14 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
F16H25/20 H
F16D43/14
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072250
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】63/232146
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/719984
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513105432
【氏名又は名称】第一傳動科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲イク▼暢
【テーマコード(参考)】
3J062
3J068
【Fターム(参考)】
3J062AA45
3J062AA60
3J062AB02
3J062AB21
3J062BA21
3J062CD02
3J062CD22
3J062CD45
3J068AA05
3J068BA11
3J068CA02
3J068CB03
3J068GA10
(57)【要約】
【課題】遠心式安全装置により、伸縮管が急速に収縮し外管内部に入る時の衝撃力を軽減可能な電動シリンダを提供する。
【解決手段】遠心式安全装置50は外スリーブ51、内スリーブ53、遠心アセンブリ55を備え、外スリーブ51はキャビティー511、ストッパ部512、第一収容部513を有する。内スリーブ53は外スリーブ51の内部に設置され、突起部531と第二収容部532を有する。遠心アセンブリ55は第一収容部513と第二収容部532の間に設置され、遠心ブロック551、弾性部材555を含む。内スリーブ53は遠心アセンブリ55を回転させ、遠心ブロック551の遠心力が弾性部材555の弾力より小さい時、外スリーブ51の内部で回転でき、遠心ブロック551の遠心力が弾性部材555の弾力より大きい時、遠心ブロック551は第一収容部513内に移入し、突起部531とストッパ部512で挟持され内スリーブ53と外スリーブ51を連動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動シリンダであって、
モータ、リードスクリュー、外管及び伸縮管を含み、前記リードスクリューは前記モータの駆動を受けて回転し、前記外管が前記伸縮管の外部に外嵌され、前記伸縮管が前記リードスクリューと相互に螺接し伝動するアクチュエータ本体と、
前記リードスクリューに外嵌されているクイックリリース機構、及び
前記リードスクリューに外嵌されている遠心式安全装置を含み、
前記遠心式安全装置は、
キャビティーを備え、前記キャビティー内には少なくとも1つのストッパ部が設けられており、前記ストッパ部の一側辺において第一収容部が形成される外スリーブと、
前記外スリーブの内部に設置され、その外周面には少なくとも1つの突起部が延設されており、前記突起部の一側辺において第二収容部が形成される内スリーブ、及び
少なくとも1つの遠心ブロック及び少なくとも1つの弾性部材を含み、前記遠心ブロックは前記第一収容部と前記第二収容部の間に移動可能に設置されている遠心アセンブリを備え、
前記リードスクリューは前記内スリーブと前記遠心アセンブリを動かして回転させ、前記遠心ブロックの遠心力が前記弾性部材の弾性作用力より小さい時、前記遠心ブロックは前記弾性部材によって前記第二収容部の中に制限され、これにより前記内スリーブを前記外スリーブの内部で回転させることができ、前記遠心ブロックの遠心力が前記弾性部材の弾性作用力よりも大きい時、前記遠心ブロックは前記第一収容部の中に移入し、前記突起部と前記ストッパ部により挟持され、これにより前記内スリーブと前記外スリーブを連動させる、電動シリンダ。
【請求項2】
さらに減速ばねを含み、前記減速ばねは前記外スリーブにおいて緊束され、かつ前記減速ばねは位置決めアームを備え、前記アクチュエータ本体はさらにハウジングベースを含み、前記位置決めアームが前記ハウジングベースに固定されている、請求項1に記載の電動シリンダ。
【請求項3】
ストッパ部と突起部がともに複数であり、かつ各前記ストッパ部はストッパブロックで、各前記突起部は凸形の細長い形状である、請求項1に記載の電動シリンダ。
【請求項4】
遠心アセンブリが複数であり、前記遠心式安全装置はさらにフロントキャップとリアキャップを含み、前記フロントキャップと前記リアキャップは、前記内スリーブと各前記遠心アセンブリの両端をそれぞれ覆う、請求項3に記載の電動シリンダ。
【請求項5】
前記リアキャップの内部に各前記弾性部材の一端がそれぞれ当着するための平らな当着面が設けられている、請求項4に記載の電動シリンダ。
【請求項6】
前記遠心ブロックの断面が階段形状を呈し、かつ前記遠心ブロックの両側端の厚みは中段の厚みより薄く、また前記遠心ブロックの両側端にはそれぞれ止まり穴が設けられており、前記弾性部材は圧縮ばねであり、各前記圧縮ばねの他端は前記止まり穴の中に収容されている、請求項5に記載の電動シリンダ。
【請求項7】
各前記突起部には嵌合スロットが設けられており、前記リアキャップの内部にそれぞれ各前記嵌合スロットに嵌設される嵌合ストリップが延設されている、請求項4に記載の電動シリンダ。
【請求項8】
さらに緩衝部材を含み、前記緩衝部材は前記リードスクリューに外嵌され、前記フロントキャップの側辺において形成される、請求項4に記載の電動シリンダ。
【請求項9】
各前記突起部に複数の径方向溝が設けられ、遠心アセンブリは複数であり、各前記遠心ブロックには複数の別の径方向溝が設けられ、前記弾性部材はC形リングであり、各前記C形リングは各前記径方向溝と各前記別の径方向溝にそれぞれ対応し係合する、請求項3に記載の電動シリンダ。
【請求項10】
さらに減速ばねを含み、前記外スリーブの一端が拡張し凸形リングが延設され、前記減速ばねは前記外スリーブにおいて緊束され、かつ前記凸形リングの側辺に付着している、請求項9に記載の電動シリンダ。
【請求項11】
前記減速ばねは位置決めアームを備え、前記アクチュエータ本体はさらにハウジングベースを含み、前記位置決めアームが前記ハウジングベースにおいて固定されている、請求項10に記載の電動シリンダ。
【請求項12】
前記外スリーブの外周面に複数の位置決めバーが延在し、前記外管には各前記位置決めバーがそれぞれ嵌設され固定されるための位置決め溝が設けられている請求項1に記載の電動シリンダ。
【請求項13】
遠心式安全装置であって、
キャビティーを備え、前記キャビティー内には少なくとも1つのストッパ部が設けられており、前記ストッパ部の一側辺において第一収容部が形成されている外スリーブと、
前記外スリーブの内部に設置され、その外周面には少なくとも1つの突起部が延設されており、前記突起部の一側辺において第二収容部が形成されている内スリーブ、及び
少なくとも1つの遠心ブロック及び少なくとも1つの弾性部材を含み、前記遠心ブロックが前記第一収容部と前記第二収容部の間に移動可能に設置されている遠心アセンブリを含み、
前記内スリーブは前記遠心アセンブリを動かして回転させ、前記遠心ブロックの遠心力が前記弾性部材の弾性作用力より小さい時、前記遠心ブロックは前記弾性部材によって前記第二収容部の中に制限され、これにより前記内スリーブを前記外スリーブの内部で回転させることができ、前記遠心ブロックの遠心力が前記弾性部材の弾性作用力よりも大きい時、前記遠心ブロックは前記第一収容部の中に移入し、前記突起部と前記ストッパ部により挟持され、これにより前記内スリーブと前記外スリーブを連動させる遠心式安全装置。
【請求項14】
ストッパ部と突起部がともに複数であり、かつ各前記ストッパ部はストッパブロックで、各前記突起部は凸形の細長い形状である、請求項13に記載の遠心式安全装置。
【請求項15】
遠心アセンブリが複数であり、さらにフロントキャップとリアキャップを含み、前記フロントキャップと前記リアキャップは、前記内スリーブと各前記遠心アセンブリの両端をそれぞれ覆う、請求項14に記載の遠心式安全装置。
【請求項16】
前記リアキャップの内部に各前記弾性部材の一端がそれぞれ当着するための平らな当着面が設けられている、請求項15に記載の遠心式安全装置。
【請求項17】
前記遠心ブロックの断面が階段形状を呈し、かつ前記遠心ブロックの両側端の厚みは中段の厚みより薄く、また前記遠心ブロックの両側端にはそれぞれ止まり穴が設けられており、前記弾性部材は圧縮ばねであり、各前記圧縮ばねの他端は前記止まり穴の中に収容されている、請求項16に記載の遠心式安全装置。
【請求項18】
各前記突起部には嵌合スロットが設けられており、前記リアキャップの内部にはそれぞれ各前記嵌合スロットに嵌設される嵌合ストリップが延設されている、請求項15に記載の遠心式安全装置。
【請求項19】
各前記突起部に複数の径方向溝が設けられ、遠心アセンブリは複数であり、各前記遠心ブロックには複数の別の径方向溝が設けられ、前記弾性部材はC形リングであり、各前記C形リングが各前記径方向溝と各前記別の径方向溝にそれぞれ対応し係合する、請求項14に記載の遠心式安全装置。
【請求項20】
さらに減速ばねを含み、前記減速ばねは前記外スリーブにおいて緊束されている請求項13に記載の遠心式安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シリンダ技術分野に関し、特に電動シリンダ及びその遠心式安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動シリンダ(Linear Actuator)は、医療用電動ベッド、トレッドミル又は車椅子などの各方面で、仰角の大きさ又は位置の高さの調整変換のために取り付けられており、既にかなり広範囲で一般大衆に受け入れられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ベッドのフレームに対して水平位置と傾斜位置の間で移動可能な背もたれ部分を有する、連結可能な支持具を含む医療用ベッドが開示されている。ベッドの枠組みの支柱は可逆型電動駆動モータを備え、減速ギア装置と着脱可能なカップリング機構により、ねじ軸を回転駆動できる。ナットは軸と接合され、軸に従って回転しないように保持され、かつ連動装置はナットを背もたれ部分に連結することで、軸に沿ったナットの往復運動に応動して背もたれ部分の往復運動を実現する。背もたれ部分には手動リリース装置を提供し、かつ駆動時にリリース可能連結機構から離脱して接合することにより、ねじ軸をモータ及びギア装置から独立させて自由に回転可能にする。
【0004】
また、特許文献2には、ローラーナットと接合するねじ軸を駆動する可逆型モータを有する電動シリンダが開示されている。ナットに連結する管状ハウジングは、その遠端に台座部材と負荷固定突起部を備えている。線形減速を提供する油圧ショックアブソーバは通常、最も弛緩した状態に保持され、台座部材とナットに当接する間隔管の端部との間にある。ナットが軸の従動端のショックアブソーバのストローク距離内にある時、軸の自由端はショックアブソーバを台座上に押し付ける。ナットが軸の自由端のショックアブソーバのストローク距離内にある時、リングとスナップリングが咬合し、これによりショックアブソーバ本体と軸の自由端との固定の距離が保持され、間隔管はショックアブソーバを圧縮する。遠心ブレーキは軸継手を駆動するベルトプーリー上に設置され、また軸の回転が所定の速度を超えるのを制限する。
【0005】
また、特許文献3には、可逆型モータのリニアアクチュエータを備える電動シリンダが開示されており、伝動装置を通じて非セルフロック主軸を駆動し、それにより管状位置決め部材を軸方向に移動させることができ、なぜならその一端はスピンドル上のスピンドルナットに連結されているからである。アクチュエータは、管状位置決め部材をモータから及び部分的にモータからクイックリリース装置に到達させるのに用いる伝動装置を含み、主軸を管状位置決め部材上の負荷によって回転するように設置する。アクチュエータは、さらに制動装置を含み、クイックリリース装置が起動された時、外部負荷サイクルにおいて管状位置決め部材の速度を制御するのに用いられる。制動装置は遠心式ブレーキによって構成され、クイックリリース装置が起動された時、下降速度は自動制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5329657号明細書
【特許文献2】米国特許第5346045号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/240696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、遠心式安全装置の設置によって、伸縮管が急速に収縮して外管内部に入る時の衝撃力を軽減可能な電動シリンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、アクチュエータ本体、クイックリリース機構及び遠心式安全装置を含む電動シリンダを提供し、上記アクチュエータ本体は、モータ、リードスクリュー、外管及び伸縮管を含み、上記リードスクリューは、上記モータの駆動を受けて回転し、上記外管は上記伸縮管外部に外嵌され、上記伸縮管は上記リードスクリューと互いに螺接し伝動する。上記クイックリリース機構は上記リードスクリューに外嵌している。上記遠心式安全装置は、上記リードスクリューに外嵌しており、上記遠心式安全装置は、外スリーブ、内スリーブ及び遠心アセンブリを含み、上記外スリーブはキャビティーを備え、上記キャビティー内には少なくとも1つのストッパ部が設けられており、上記ストッパ部の一側辺は第一収容部を形成する。上記内スリーブは上記外スリーブの内部に設置されており、上記内スリーブの外周面には少なくとも1つの突起部が延設され、上記突起部の一側辺は第二収容部を形成する。上記遠心アセンブリは少なくとも1つの遠心ブロック及び少なくとも1つの弾性部材を含み、上記遠心ブロックは上記第一収容部と上記第二収容部の間に移動可能に設置されている。上記リードスクリューは上記内スリーブと上記遠心アセンブリを動かして回転させ、上記遠心ブロックの遠心力が上記弾性部材の弾性作用力より小さい時、上記遠心ブロックは上記弾性部材によって上記第二収容部の中に制限され、これにより上記内スリーブを上記外スリーブの内部で回転させることができる。上記遠心ブロックの遠心力が上記弾性部材の弾性作用力よりも大きい時、上記遠心ブロックは上記第一収容部の中に移入し、上記突起部と上記ストッパ部により挟持され、これにより上記内スリーブと上記外スリーブを連動させる。
【0009】
本発明の目的は、運転過程における失速状況を防止できることによって使用の安全性が向上した遠心式安全装置を提供することにある。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、外スリーブ、内スリーブ及び遠心アセンブリを含む遠心式安全装置を提供し、上記外スリーブはキャビティーを備え、上記キャビティー内には少なくとも1つのストッパ部が設けられており、上記ストッパ部の一側辺において第一収容部が形成されている。上記内スリーブは上記外スリーブの内部に設置されており、上記内スリーブの外周面には少なくとも1つの突起部が延設され、上記突起部の一側辺において第二収容部が形成されている。上記遠心アセンブリは、少なくとも1つの遠心ブロック及び少なくとも1つの弾性部材を含み、上記遠心ブロックは、上記第一収容部と上記第二収容部の間に移動可能に設置されている。上記内スリーブは上記遠心アセンブリを動かして回転させ、上記遠心ブロックの遠心力が上記弾性部材の弾性作用力より小さい時、上記遠心ブロックは上記弾性部材によって上記第二収容部の中に制限され、これにより上記内スリーブを上記外スリーブの内部で回転させることができる。上記遠心ブロックの遠心力が上記弾性部材の弾性作用力よりも大きい時、上記遠心ブロックは上記第一収容部の中に移入し、上記突起部と上記ストッパ部により挟持され、これにより上記内スリーブと上記外スリーブを連動させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にはさらに以下の効果がある。遠心式安全装置の設置により、電動シリンダの全体構造をよりコンパクトにすることで医療用ベッドへの取付に利用できる。既存の電動シリンダの基本構造の下で遠心式安全装置を取付可能であるため、開発スケジュールを短縮し、また金型設置のコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の電動シリンダの立体外観図である。
図2】本発明のアクチュエータ本体の組み合わせの概略図である。
図3】本発明の遠心式安全装置の分解図である。
図4】本発明の遠心式安全装置の組み合わせの概略図である。
図5】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の分解図である。
図6】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の組み合わせの概略図である。
図7】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の組み合わせの断面図である。
図8】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の別方向からの断面図である。
図9】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の使用状態の断面図(一)である。
図10】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の使用状態の断面図(二)である。
図11】本発明のリードスクリュー、外管及び遠心式安全装置の使用状態の断面図(三)である。
図12】本発明の遠心式安全装置の他の実施例の分解図である。
図13】本発明の遠心式安全装置を電動シリンダに応用した組み合わせの断面図である。
図14】本発明の遠心式安全装置のさらに別の実施例の分解図である。
図15】本発明の遠心式安全装置のさらに別の実施例の組み合わせの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の詳細及び技術的内容について、図面を使用して下記のとおり説明するが、添付の図面は参考及び説明のためにのみ提供するものであり、本発明に制限を加えるために用いるものではない。
【0014】
図1から図11を参照されたい。これらの図に示すとおり、本発明は電動シリンダ及びその遠心式安全装置を提供し、電動シリンダ1は主にアクチュエータ本体10、クイックリリース機構30及び遠心式安全装置50を含む。
【0015】
まず図1図2を参照されたい。これらの図に示すとおり、アクチュエータ本体10は主にハウジングベース11、モータ12、リードスクリュー13、外管14及び伸縮管15を含む。
【0016】
ハウジングベース11は、主に下部ハウジング111及び下部ハウジング111に対応してかぶせ合わせる上部ハウジング112を含む。モータ12は、下部ハウジング111の内部に設置され、かつウォーム121を備え、このモータ12は内部の磁極、コイル及び電流などの動作により、ウォーム121に正、反方向の回転を発生させることができる。
【0017】
図6図7を合わせて参照されたい。これらの図に示すとおり、リードスクリュー13は前軸受16と後軸受17の支持によりリードスクリュー13の後部を上部ハウジング112内に形成し、リードスクリュー13の残りの部分はハウジングベース11の外部に突出し、また前軸受16の後ろ側のリードスクリュー13上において、上記ウォーム121に対応して咬合するウォームホイール18が外嵌され、本実施例のリードスクリュー13は非セルフロック式のリードスクリューであり、即ち伸縮管15が制限されて回転を発生できない時、伸縮管15が軸方向の推力又は圧力の作用を受けると、リードスクリュー13が伸縮管15に相対して自由に回転でき、これにより伸縮管15に線形の移動を発生させる。
【0018】
外管14はリードスクリュー13の外周縁に沿って外嵌され、かつ外管14の一端は下部ハウジング111と上部ハウジング112により共同で被覆され固定されている。伸縮管15の端部にはナット151が連結されており(図2に示すとおり)、伸縮管15はリードスクリュー13の外周縁に外嵌され、またナット151によってリードスクリュー13と互いに螺接し伝動する。
【0019】
続いて、図7を参照されたい。この図に示すとおり、クイックリリース機構30は、主に位置決めホイール31及びクラッチギア32を含み、位置決めホイール31はリードスクリュー13に外嵌されて固定され、これにより位置決めホイール31をリードスクリュー13と共に回転できるようにし、クラッチギア32は案内部材33を介してリードスクリュー13に嵌合するとともに、位置決めホイール31の一側辺に形成され、クラッチギア32は案内部材33上で軸方向の移動をすることが可能で、リードスクリュー13はモータ12のウォーム121と上記ウォームホイール18の噛み合いによって駆動され、このためクラッチギア32と位置決めホイール31とが噛み合うと、位置決めホイール31はクラッチギア32と一緒にリードスクリュー13の伝動を受けて回転する。クラッチギア32が位置決めホイール31から分離した時、伸縮管15が推力の作用を受けると、リードスクリュー13は自由回転を生じる。
【0020】
位置決めホイール31とクラッチギア32は共に略円筒体を呈し、また複数の凸キーと複数のキー溝が設けられ、各凸キーは各キー溝の中に嵌入可能であり(図示していない)、これによりクラッチギア32は位置決めホイール31に操作可能に対応して分離又は咬合する。
【0021】
再び図1図7を参照されたい。これらの図に示すとおり、本実施例のクイックリリース機構30はさらにプルアセンブリ34を備え、このプルアセンブリ34は主にトリガ(番号をつけていない)を含み、トリガの一端は上部ハウジング112の外部に枢着され、かつボルトを貫通させて設置されている。トリガの操作を通じてクラッチギア32と位置決めホイール31を連結又は離脱させることが可能で、クラッチギア32と位置決めホイール31が連結している時、リードスクリュー13、位置決めホイール31、クラッチギア32、案内部材33及びウォームホイール18は一緒に回転する。クラッチギア32が位置決めホイール31から離脱している時、リードスクリュー13は位置決めホイール31と一緒に回転し、クラッチギア32、案内部材33及びウォームホイール18には回転が生じない。
【0022】
続いて、図3から図6を参照されたい。これらの図に示すとおり、本実施例の遠心式安全装置50はリードスクリュー13に外嵌され、またクイックリリース機構30の一側辺において形成され、本実施例の遠心式安全装置50は、前軸受16の前側の位置にあり、かつ主に外スリーブ51、内スリーブ53及び遠心アセンブリ55を含む。
【0023】
本実施例の外スリーブ51は円筒体であり、キャビティー511を備え、キャビティー511内にはその軸心に近い径方向に向かって複数のストッパ部512が延設され、本実施例の各ストッパ部512はストッパブロックであるが、この種の形態に限定するものではなく、各ストッパ部512は互いに等間隔の距離に配置され、任意の2つの隣接するストッパ部512の間にはそれぞれ第一収容部513が形成されており、本実施例の各第一収容部513は溝であるが、この種の形態に限定するものではない。また外スリーブ51の外周面には軸心とは離れる方向に向かって径方向に2つの位置決めバー514が延在し、また上記外管14には各位置決めバー514が嵌設され固定されるための位置決め溝141がそれぞれ設けられている。このほか、ストッパ部512は単一の形態でもよく、第一収容部513はストッパ部512の一側辺に形成される。
【0024】
本実施例の内スリーブ53もまた円筒体であり、外スリーブ51の内部に設置され、内スリーブ53の外周面には軸心とは離れる方向に向かって径方向に複数の突起部531が延設されており、本実施例の各突起部531は凸形の細長い形状であるが、この種の形態に限定するものではなく、各突起部531は互いに等間隔の距離で配設され、任意の2つの隣接した突起部531の間には第二収容部532が形成され、本実施例の各第二収容部532もまた溝であるが、この種の形態に限定するものではない。また、各突起部531の中間位置には嵌合スロット534が設けられている。また、内スリーブ53の内部に位置決め平面533が設けられており、この位置決め平面533は、リードスクリュー13の位置決め平面131(図5に示すとおり)と互いに係合するのに用いられる。このほか、突起部531と第二収容部532の数量は、上記ストッパ部512と第一収容部513の数量に合うように設置されている。
【0025】
遠心アセンブリ55は単一の形態であってよく、本実施例のように複数の設置であってもよく、それは第一収容部513と第二収容部532の間に移動可能に設置され、本実施例の各遠心アセンブリ55は主に遠心ブロック551及び2つの弾性部材555を含み、遠心ブロック551の軸方向の断面は略階段形状を呈し、かつ遠心ブロック551の両側端の厚みは中段の厚みより薄く、また遠心ブロック551の両端にはそれぞれ止まり穴552が設けられている。本実施例の弾性部材555は圧縮ばねであり、各弾性部材555の一部のエリアは止まり穴552の中に収容され、他の一部のエリアは止まり穴552の外部に突出している。また、弾性部材555は単一の形態であってもよい。また、各遠心アセンブリ55は、複数の遠心ブロック551及び弾性部材555によって構成される形態(図示していない)であってもよい。
【0026】
実施例において、本実施例の遠心式安全装置50は、さらにフロントキャップ57とリアキャップ59を含み、フロントキャップ57とリアキャップ59は、内スリーブ53と各遠心アセンブリ55の前後両端をそれぞれ覆い、リアキャップ59の内部には各弾性部材555の一端が当着する平らな当着面591がそれぞれ設けられている。またリアキャップ59の内部には上記各嵌合スロット534に嵌設される嵌合ストリップ592が延設されている。同様に、フロントキャップ57にも上記平らな当着面と嵌合ストリップが設けられている(図示していない)。
【0027】
実施例において、遠心式安全装置50の内スリーブ53はリードスクリュー13に対応して外嵌され、フロントキャップ57の側辺に緩衝部材65が設置され、それによって遠心式安全装置50の応力を均衡させている。
【0028】
再び図1図2を参照されたい。これらの図に示すとおり、実施例において、本発明の電動シリンダ1は、さらにリアホルダ70とフロントホルダ75を含み、リアホルダ70は後軸受17に外嵌され、また上部ハウジング112と下部ハウジング111により固定されており、フロントホルダ75は伸縮管15のナット151から離れた端部に外嵌される。
【0029】
操作時は、リアホルダ70とフロントホルダ75をそれぞれ医療用電動ベッド(図示していない)に固定し、ウォーム121の回転を利用することによりウォームホイール18に回転を発生させるようにし、またウォームホイール18によってリードスクリュー13を回転させ、伸縮管15は外管14によって制限されているため、リードスクリュー13が回転する過程において、伸縮管15はリードスクリュー13に相対して軸方向の線形移動が発生し、これにより医療用電動ベッドの前部において起き上がる動作が発生する。
【0030】
図8から図11を合わせて参照されたい。これらの図に示すとおり、患者の応急処置過程において、必ず仰向けに寝る方式で電気ショック等の動作を行わなければならない時、プルアセンブリ34の回転によって、クラッチギア32と位置決めホイール31に分離が生じるようにする。患者自身の重量を利用し、又は医療スタッフが医療用電動ベッドの前部に対して作用力をかけ、伸縮管15が上記作用力を受けた後、リードスクリュー13に急速回転を発生させ、外管14内に収縮して入るようにし、そして内スリーブ53はリードスクリュー13によって動かされ、遠心アセンブリ55と一緒に回転し、遠心ブロック551が回転する時の遠心力が弾性部材555の弾性作用力より小さい時、遠心ブロック551は弾性部材555により第二収容部532の中に制限され、これにより内スリーブ53が外スリーブ51の内部で自由に回転可能となる(図9に示すとおり)。
【0031】
遠心ブロック551が回転する時の遠心力が弾性部材555の弾性作用力よりも大きい時、遠心ブロック551は一部分が第一収容部513の中に移入し、また突起部531とストッパ部512により共同で挟持され、これにより内スリーブ53と外スリーブ51を連動させ、本実施例の内スリーブ53と外スリーブ51は一緒に回転している(図11に示すとおり)。各位置決めバー514が各位置決め溝141の中に嵌設され固定されており、即ち外スリーブ51が不動を維持する状況下において、内スリーブ53の回転は外スリーブ51によって止められ、このように即ちこの遠心式安全装置50によって伸縮管15が急速に下降する時の衝撃力を吸収可能であり、これにより患者に対してもたらされる傷害を軽減でき、またユーザーの使用上の快適感を向上させることができる。
【0032】
実施例において、本発明の遠心式安全装置50は、上記電動シリンダ1に応用できるほか、タービンの歯面損傷又はモータの軸心の断裂等、各種の場面で使用可能であり、運転過程における失速状況を防止できることにより有効に安全性の保護機構の役割を果たす。
【0033】
図12図13を参照されたい。これらの図に示すとおり、本実施例の遠心式安全装置50Aは、上記実施例の特性を備えるほか、さらに減速ばね60を含み、それは上記外スリーブ51の外周面において緊束され、かつ減速ばね60は外方向に向かって延在する位置決めアーム61を備え、位置決めアーム61はハウジングベース11に穿設して固定するのに用いられ、遠心式安全装置50Aが電動シリンダ1に取り付けられる時、内スリーブ53を利用してリードスクリュー13に外嵌され、さらに位置決め平面131と位置決め平面533が互いにぴったりと合わさり(図11に示すとおり)、これによってリードスクリュー13により内スリーブ53を動かして回転させ、遠心ブロック551は一部分が第一収容部513の中に移入し、また突起部531とストッパ部512により共同で挟持され、これによって内スリーブ53と外スリーブ51が一緒に回転する時、摩擦力が減速ばね60の内周面と外スリーブ51の外周面との間に形成されることで、減速ばね60によって外スリーブ51に対しブレーキ又は減速の作用を生じさせる。
【0034】
図14図15を参照されたい。これらの図に示すとおり、本実施例の遠心式安全装置50Bと上記各実施例との差異は下記のとおりである。外スリーブ51Bの一端の縁が外方向へ拡張して凸形リング515が延在し、内スリーブ53Bの各突起部531には2つの径方向溝535が設けられており、かつ内スリーブ53Bの一端の縁にも外方向に拡張して凸形リング536が延在し、さらに内スリーブ53Bの内部には上記リードスクリュー13の位置決め平面131とぴったり合わさる位置決め平面533が設けられている。遠心アセンブリ55Bの各遠心ブロック551Bにも2つの径方向溝553が設けられており、本実施例の弾性部材555BはC形リングであり、各弾性部材555Bは上記各径方向溝535、553にそれぞれ対応して係合している。減速ばね60は、外スリーブ51Bの外周面において緊束され、また凸形リング515の側辺に付着している。
【0035】
上記内容をまとめると、本発明の電動シリンダ及びその遠心式安全装置は、期待する使用目的を確かに達成できるとともに、既知の欠点を解決する。
【符号の説明】
【0036】
1 電動シリンダ
10 アクチュエータ本体
11 ハウジングベース
111 下部ハウジング
112 上部ハウジング
113 ストッパ部
12 モータ
121 ウォーム
13 リードスクリュー
131 位置決め平面
14 外管
141 位置決め溝
15 伸縮管
151 ナット
16 前軸受
17 後軸受
18 ウォームホイール
30 クイックリリース機構
31 位置決めホイール
32 クラッチギア
33 案内部材
34 プルアセンブリ
50、50A、50B 遠心式安全装置
51、51B 外スリーブ
511 キャビティー
512 ストッパ部
513 第一収容部
514 位置決めバー
515 凸形リング
53、53B 内スリーブ
531 突起部
532 第二収容部
533 位置決め平面
534 嵌合スロット
535 径方向溝
536 凸形リング
55、55B 遠心アセンブリ
551、551B 遠心ブロック
552 止まり穴
553 径方向溝
555、555B 弾性部材
57 フロントキャップ
59 リアキャップ
591 平らな当着面
592 嵌合ストリップ
60 減速ばね
61 位置決めアーム
65 緩衝部材
70 リアホルダ
75 フロントホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15