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特開2023-26322運転状態解析方法及び運転状態解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026322
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】運転状態解析方法及び運転状態解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230216BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098084
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2021131640
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健斗
(72)【発明者】
【氏名】山崎 太一
(72)【発明者】
【氏名】品田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 良介
(72)【発明者】
【氏名】秋江 一志
(72)【発明者】
【氏名】倉本 航佑
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA06
3E138MB02
3E138MB03
3E138MB08
3E138MB10
3E138MB13
3E138MC12
3E138MD05
5H181AA01
5H181BB12
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】判定対象とするデータ量を押えつつ、危険因子を伴う動作の有無を検出することのできる運転状態解析方法を提供する。
【解決手段】車載器10によって検出可能な情報に基づいて、車両の運転状態解析方法であって、車載器10によって検出された情報を記憶手段22に取り込み、記憶手段22に記憶された情報を読み出し、演算手段24が、車両の速度が予め定めた閾値を超えて立ち上がるタイミングと、車両の加速度が予め定めた閾値を超えるタイミングとが一致する時刻情報に基づいて、車両の発進タイミングを検出し、車両の速度が予め定めた閾値を下回った後、予め定めた時間以上速度上昇が生じないタイミングを車両の停止タイミングとして検出することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器によって取得可能な情報に基づいて、車両の運転状態を解析する方法であって、
前記車載器によって取得された情報をコンピュータの記憶手段に取り込み、
前記記憶手段に記憶された情報を読み出し、
前記コンピュータの演算手段は、前記車両の位置情報に基づいて算出される最低移動距離を予め定め、前記最低移動距離を距離単位とした5つの検出点を検出し、5つの前記検出点のうちの中心に位置する検出点を基準検出点、前記基準検出点の前後に位置する検出点をそれぞれ隣接検出点、前記隣接検出点を介して前記基準検出点と反対側に位置する検出点をそれぞれ起点検出点、及び終点検出点と定め、
前記基準検出点と2つの前記隣接検出点を通る円を描く局所的曲率半径と、前記基準検出点と起点検出点及び終点検出点を通る円を描く大域的曲率半径とを求め、
前記局所的曲率半径と前記大域的曲率半径との双方が、それぞれに定めた閾値以下である場合に、前記基準検出点を検出した時刻情報を前記車両の右左折タイミングとして検出することを特徴とする運転状態解析方法。
【請求項2】
前記演算手段は、前記車両の速度が予め定めた閾値を超えて立ち上がるタイミングと、前記車両の加速度が予め定めた閾値を超えるタイミングとが一致する時刻情報に基づいて、前記車両の発進タイミングを検出することを特徴とする請求項1に記載の運転状態解析方法。
【請求項3】
前記演算手段は、前記車両の速度が予め定めた閾値を下回った後、予め定めた時間以上速度上昇が生じないタイミングを前記車両の停止タイミングとして検出することを特徴とする請求項2に記載の運転状態解析方法。
【請求項4】
前記演算手段は、前記停止タイミング中において、前記車両に進行方向と逆方向の加速度が生じた際、この逆方向の加速度の立ち上がるタイミングで、前記車両の速度上昇を検出した場合に、これを前記車両の後退タイミングとして検出することを特徴とする請求項2に記載の運転状態解析方法。
【請求項5】
前記演算手段は、前記車両の発進タイミングと前記車両の右左折タイミング、または前記車両の停止タイミングと前記車両の右左折タイミング、あるいは前記車両の発進タイミングと前記車両の停止タイミングとに基づいて、前記車両が直進している時間帯を検出することを特徴とする請求項4に記載の運転状態解析方法。
【請求項6】
前記車載器が、前記車両のバックギア信号を取得し、前記バックギア信号の立ち上がるタイミングで、前記車両の速度上昇を検出した場合に、これを前記車両の後退タイミングとして検出することを特徴とする請求項2に記載の運転状態解析方法。
【請求項7】
前記演算手段は、前記車両の発進タイミングと前記車両の右左折タイミング、または前記車両の停止タイミングと前記車両の右左折タイミング、あるいは前記車両の発進タイミングと前記車両の停止タイミングとに基づいて、前記車両が直進している時間帯を検出することを特徴とする請求項6に記載の運転状態解析方法。
【請求項8】
前記車載器が、前記車両の車速パルス信号を取得し、前記車両の速度情報として前記記憶手段に取り込むことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の運転状態解析方法。
【請求項9】
車載器によって取得され、時刻情報に関連づけて記憶手段に取り込まれた車両の位置情報を用いて実行されるプログラムであって、
演算手段を介して前記記憶手段に記憶された位置情報を読み出す処理と、
前記位置情報に基づいて算出される最低移動距離を予め定め、前記最低移動距離を距離単位とした5つの検出点を検出し、5つの検出点のうちの中心に位置する検出点を基準検出点、前記基準検出点の前後に位置する検出点をそれぞれ隣接検出点、前記隣接検出点を介して前記基準検出点と反対側に位置する検出点をそれぞれ起点検出点、及び終点検出点と定める処理と、
前記基準検出点と2つの前記隣接検出点を通る円を描く局所的曲率半径と、前記基準検出点と起点検出点及び終点検出点を通る円を描く大域的曲率半径とを求める処理と、
前記局所的曲率半径と前記大域的曲率半径との双方が、それぞれに定めた閾値以下である場合に、前記基準検出点を検出した時刻情報を前記車両の右左折タイミングと認定する処理と、を実行することを特徴とする運転状態解析プログラム。
【請求項10】
前記車載器によって取得される情報には、前記時刻情報に関連づけられた速度情報と加速度情報が含まれ、前記位置情報と共に前記記憶手段に取り込まれる場合に、
演算手段を介して前記記憶手段に記憶された速度情報と加速度情報を読み出す処理と、
前記速度情報に基づいて前記車両の速度が予め定めた閾値を超えて立ち上がるタイミングを検出すると共に、前記加速度情報に基づいて前記車両の加速度が予め定めた閾値を超えるタイミングを検出し、両者が一致する時刻情報を前記車両の発進タイミングとして認定する処理と、を実行することを特徴とする請求項9に記載の運転状態解析プログラム。
【請求項11】
前記演算手段を介して前記記憶された速度情報を読み出す処理と、
前記速度情報に基づいて前記車両の速度が予め定めた閾値を下回った後、予め定めた時間以上速度上昇が生じないタイミングを前記車両の停止タイミングとして認定する処理を実行することを特徴とする請求項10に記載の運転状態解析プログラム。
【請求項12】
前記停止タイミング中において、前記車両に進行方向と逆方向の加速度が生じたタイミングを検出すると共に、前記速度情報に基づいて前記車両の速度上昇の有無を検出し、両者が一致する時刻情報を前記車両の後退タイミングとして認定する処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の運転状態解析プログラム。
【請求項13】
前記車載器によって取得される情報には、前記時刻情報に関連づけられたバックギア信号が含まれ、前記位置情報と共に前記記憶手段に取り込まれる場合に、
前記バックギア信号の立ち上がるタイミングで、前記車両の速度上昇を検出した場合に、これを前記車両の後退タイミングとして検出する処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の運転状態解析方法。
【請求項14】
前記車両の発進タイミングと前記車両の右左折タイミング、または前記車両の停止タイミングと前記車両の右左折タイミングとに基づいて、前記車両が直進している時間帯を検出する処理を実行することを特徴とする請求項12または13に記載の運転状態解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転状態の解析に係り、特に、ドライブレコーダーによって取得可能な情報に基づいて車両の運転状態を解析する方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両には、運転中の映像を記録するドライブレコーダーを取り付ける事が普及してきている。このため、安全運転の観点から、ドライブレコーダーを介して記録された映像に基づいてドライバーの運転状態を調査することが行われるようになってきている。元来このような映像に基づく調査では、撮影された映像を見る事で、運転中の危険動作の有無などを判定していたが、判定対象となるような危険動作は、長時間に亙る映像の中の極僅かである場合が多く、判定員に要する労力が大きい。
【0003】
このため、ドライブレコーダー等の車載器に搭載されている加速度センサーの値に基づいて、急加速や急ブレーキといった危険動作を検出する事が試みられたが、加速度の変化は、急加速や急ブレーキに起因せずに生ずる事も多く、ノイズなどの影響も受けやすい。このため、誤判定が多いという実状があった。
【0004】
そうした中、特許文献1に開示されている技術では、ドライブレコーダー等の車載器によって記録された速度データと動画データに基づいて、速度変化(主に減速)が生じた時間帯における動画データのフレーム中に、検出部によって検出された領域の外接矩形の充填率と、外接矩形の対角にあるコーナー領域の大きさに基づいて危険動作に起因した検出対象を特定する事が記載されている。しかしながら、動画データを利用した判定は、記録動画の高画質化が進む昨今では、判定対象とするデータ量が膨大となり、検出対象の特定に時間を要する事が考えられる。
【0005】
一方、特許文献2には、車両の前後方向の加速度の時間微分により得られる前後加速度微分量と、車両の上下方向の加速度の時間微分により得られる上下加速度微分量との比較に基づいて、急ブレーキが踏まれたか否かを判定するといった技術が開示されている。このような技術であれば、判定に用いるデータは、加速度データだけであるため、記録時間が長い場合であっても、動画データに比べてデータ量を抑えることができる。
【0006】
しかし、特許文献2に開示されているような技術では、他の危険因子を伴う動作、例えば発進時や右左折時など、運転動作の切り替わり時を判定することはできず、全般的な危険動作の検出に寄与する事は難しいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5983749号公報
【特許文献2】特許第6406041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明では、判定対象とするデータ量を押えつつ、危険因子を伴う動作の有無を検出することのできる運転状態解析方法及び運転状態解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る運転状態解析方法は、車載器によって取得可能な情報に基づいて、車両の運転状態を解析する方法であって、前記車載器によって取得された情報をコンピュータの記憶手段に取り込み、前記記憶手段に記憶された情報を読み出し、前記コンピュータの演算手段は、前記車両の位置情報に基づいて算出される最低移動距離を予め定め、前記最低移動距離を距離単位とした5つの検出点を検出し、5つの前記検出点のうちの中心に位置する検出点を基準検出点、前記基準検出点の前後に位置する検出点をそれぞれ隣接検出点、前記隣接検出点を介して前記基準検出点と反対側に位置する検出点をそれぞれ起点検出点、及び終点検出点と定め、前記基準検出点と2つの前記隣接検出点を通る円を描く局所的曲率半径と、前記基準検出点と起点検出点及び終点検出点を通る円を描く大域的曲率半径とを求め、前記局所的曲率半径と前記大域的曲率半径との双方が、それぞれに定めた閾値以下である場合に、前記基準検出点を検出した時刻情報を前記車両の右左折タイミングとして検出することを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析方法において前記演算手段は、前記車両の速度が予め定めた閾値を超えて立ち上がるタイミングと、前記車両の加速度が予め定めた閾値を超えるタイミングとが一致する時刻情報に基づいて、前記車両の発進タイミングを検出するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、車両の発進動作を検出することが可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析方法において前記演算手段は、前記車両の速度が予め定めた閾値を下回った後、予め定めた時間以上速度上昇が生じないタイミングを前記車両の停止タイミングとして検出するようにすることもできる。このような特徴を有することによれば、車両の停止動作を検出することが可能となる。
【0012】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析方法において前記演算手段は、前記停止タイミング中において、前記車両に進行方向と逆方向の加速度が生じた際、この逆方向の加速度の立ち上がるタイミングで、前記車両の速度上昇を検出した場合に、これを前記車両の後退タイミングとして検出することもできる。このような特徴を有する事によれば、車両に対する後退動作の有無を検出することが可能となる。
【0013】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析方法では、前記車載器が、前記車両のバックギア信号を取得し、前記バックギア信号の立ち上がるタイミングで、前記車両の速度上昇を検出した場合に、これを前記車両の後退タイミングとして検出することもできる。このような特徴を有する場合でも、車両に対する後退動作の有無を検出することが可能となる。
【0014】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析方法において前記演算手段は、前記車両の発進タイミングと前記車両の右左折タイミング、または前記車両の停止タイミングと前記車両の右左折タイミング、あるいは前記車両の発進タイミングと前記車両の停止タイミングとに基づいて、前記車両が直進している時間帯を検出するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、車両が直進している時間の長さや距離を把握することが可能となる。
【0015】
さらに、上記のような特徴を有する運転状態解析方法では、前記車載器が、前記車両の車速パルス信号を取得し、前記車両の速度情報として前記記憶手段に取り込むようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、車速情報を高精度に取得することが可能となり、各種タイミングの検出の精度を向上させることができる。
【0016】
また、上記目的を達成するための本発明に係る運転状態解析プログラムは、車載器によって取得され、時刻情報に関連づけて記憶手段に取り込まれた車両の位置情報を用いて実行されるプログラムであって、演算手段を介して前記記憶手段に記憶された位置情報を読み出す処理と、前記位置情報に基づいて算出される最低移動距離を予め定め、前記最低移動距離を距離単位とした5つの検出点を検出し、5つの検出点のうちの中心に位置する検出点を基準検出点、前記基準検出点の前後に位置する検出点をそれぞれ隣接検出点、前記隣接検出点を介して前記基準検出点と反対側に位置する検出点をそれぞれ起点検出点、及び終点検出点と定める処理と、前記基準検出点と2つの前記隣接検出点を通る円を描く局所的曲率半径と、前記基準検出点と起点検出点及び終点検出点を通る円を描く大域的曲率半径とを求める処理と、前記局所的曲率半径と前記大域的曲率半径との双方が、それぞれに定めた閾値以下である場合に、前記基準検出点を検出した時刻情報を前記車両の右左折タイミングと認定する処理と、を実行することを特徴とする。
【0017】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析プログラムにおいて前記車載器によって取得される情報には、前記時刻情報に関連づけられた速度情報と加速度情報が含まれ、前記位置情報と共に前記記憶手段に取り込まれる場合に、演算手段を介して前記記憶手段に記憶された速度情報と加速度情報を読み出す処理と、前記速度情報に基づいて前記車両の速度が予め定めた閾値を超えて立ち上がるタイミングを検出すると共に、前記加速度情報に基づいて前記車両の加速度が予め定めた閾値を超えるタイミングを検出し、両者が一致する時刻情報を前記車両の発進タイミングとして認定する処理と、を実行するようにしても良い。このような特徴を有する事に寄れば、車両の発進動作を検出することが可能となる。
【0018】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析プログラムでは、前記演算手段を介して前記記憶された速度情報を読み出す処理と、前記速度情報に基づいて前記車両の速度が予め定めた閾値を下回った後、予め定めた時間以上速度上昇が生じないタイミングを前記車両の停止タイミングとして認定する処理を実行するようにしても良い。このような特徴を有することによれば、車両の停止動作を検出することが可能となる。
【0019】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析プログラムでは、前記停止タイミング中において、前記車両に進行方向と逆方向の加速度が生じたタイミングを検出すると共に、前記速度情報に基づいて前記車両の速度上昇の有無を検出し、両者が一致する時刻情報を前記車両の後退タイミングとして認定する処理を実行するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、車両に対する後退動作の有無を検出することが可能となる。
【0020】
また、上記のような特徴を有する運転状態解析プログラムにおいて前記車載器によって取得される情報には、前記時刻情報に関連づけられたバックギア信号が含まれ、前記位置情報と共に前記記憶手段に取り込まれる場合に、前記バックギア信号の立ち上がるタイミングで、前記車両の速度上昇を検出した場合に、これを前記車両の後退タイミングとして検出する処理を実行するようにしても良い。このような特徴を有する場合であっても、車両に対する後退動作の有無を検出することが可能となる。
【0021】
さらに、上記のような特徴を有する運転状態解析プログラムでは、前記車両の発進タイミングと前記車両の右左折タイミング、または前記車両の停止タイミングと前記車両の右左折タイミングとに基づいて、前記車両が直進している時間帯を検出する処理を実行するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、車両が直進している時間の長さや距離を把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
上記のような特徴を有する運転状態解析方法、及びプログラムによれば、判定対象とするデータ量を押えつつ、危険因子を伴う動作の有無を検出することができる。また、動画データに基づく運転状態の判定を行う場合には、長時間に亙る映像の全てを見る必要がなくなるため、判定員に要する労力の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る運転状態解析方法を実施するための車載器とコンピュータの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る運転状態解析方法を実施する際のフローを示す図である。
図3】運転状態解析方法を実施する際のデータ前処理の流れを説明するための図である。
図4】運転状態解析方法を実施する際の各運転状態検知の流れを説明するための図である。
図5】車両に右左折の動作が生じたか否かを判定するための解析処理を説明するための図である。
図6】n1=1、n2=3とした場合における車両の右左折解析に関する局地的曲率半径rと大域的曲率半径Rの求め方、及びその閾値の定め方を説明するための図である。
図7】車両に発進の動作が生じたか否かを判定するための解析処理を説明するための図である。
図8】車両に停止の動作が生じたか否かを判定するための解析処理を説明するための図である。
図9】車両に後退の動作が生じたか否かを判定するための解析処理を説明するための図である。
図10】車載器に車両信号検出手段を備えた場合の構成例を示す図である。
図11】車速パルスを用いて車両に発進の動作が生じたか否かの判定を行う場合の検出値の変化を示す図である。
図12】車速パルスを用いて車両に停止の動作が生じたか否かの判定を行う場合の検出値の変化を示す図である。
図13】バックギア信号の立ち上がり(入力)と、車速の変化に基づいて車両の後退動作の判定を行う場合の検出値の変化を示す図である。
図14】車速パルスの変化に基づく車両の発進、停止タイミングと、車両の右左折タイミングから、車両の直進タイミングを認定する場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の運転状態解析方法及び運転状態解析プログラムに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る運転状態解析方法は、車載器10によって検出される情報(ログ情報)をコンピュータ20に取り込み、右左折、発進、停止、後退等の車両動作(イベント)の発生タイミングを検出するプログラムを実行させるというものである。ここで本実施形態における車載器10とは、車体に固定が可能なGPS受信機、及び加速度センサーが実装されているデバイスであれば良く、例えばドライブレコーダーやデジタルタコグラフ、GPSロガー、スマートフォンなどを挙げることができる。なお、以下の実施形態においては、車載器10として、主にドライブレコーダーを例に挙げて説明している。
【0025】
本実施形態に係る車載器10にあたるドライブレコーダーは、少なくとも、撮影手段12と、位置情報取得手段14、加速度検出手段16、及び記録手段18を有する。撮影手段12は、カメラ機能を有するものであれば良く、動画を撮影することができれば良い。位置情報取得手段14は、いわゆるGPS機能であれば良く、この位置情報の変化に基づいて、移動距離や速度を算出し、これを記録することもできるものであると良い。加速度検出手段16は、加速度センサーであれば良い。さらに、記録手段18は、ドライブレコーダー等の車載器10によって検出、及び算出された各種情報や映像を記録することができる要素であれば良く、一般的には、SDカードなどの外部メモリが採用されている。
【0026】
実施形態に係る運転状態解析方法では、ドライブレコーダー等の車載器10によって取得される車両の位置情報、位置情報と時刻情報とに基づいて得られる移動距離情報、速度情報、及び加速度情報をコンピュータ20に取り込む事で運転状態の解析が成される。なお、コンピュータ20としては、少なくとも記憶手段22と、演算手段24、及び一時記憶手段26等を有するものであれば良い。記憶手段22は、HDDやSSDなどの大容量記憶手段であれば良く、車載器10の記録手段18に記録された各種情報を記憶するための要素である。なお、各種情報の取り込みは、図示しないインターフェースを介して取り込む構成とすれば良く、専用のスロットや有線を介した取込の他、無線通信などによって取り込む構成としても良い。
【0027】
演算手段24は、記憶手段22に記憶された各種情報を読み出し、プログラム等の指令に応じた演算を行うための手段であり、一般的にはCPUと称される要素である。また、一時記憶手段26は、演算手段24により記憶手段22から読み出された情報を一時的に展開し、演算処理等を行うための要素であり、いわゆる内部メモリに相当する要素であれば良い。
【0028】
[解析]
上記のような構成のコンピュータ20による運転状態の解析について、図2から図4に示すフローを参照して説明する。まず、コンピュータ20に対して車載器10の記録手段18に記録された各種情報を取込む。情報の取り込みは、専用スロットや有線を介した直接的なものであっても良いし、無線通信回線を介した間接的なものであっても良い。なお、コンピュータ20に取り込まれた各種情報は、時刻情報に関連付けられて記憶手段22に保存される(ステップ10:データ取得)。
【0029】
記憶手段22に取り込まれた各種データには、解析の精度を向上させるための前処理が施される。各種データの前処理は、図3に示すように行われる。具体的には、最初に、演算手段24が記憶手段22から各種データを読み出し、検出精度低下の要因となるデータの除去を行う。詳細には、エンジン始動直後や停止直前など、GPSによる位置情報を補足し辛い状態での検出値(例えばエンジン始動直後はGPSを補足できていないため位置情報の検出値の精度が下がる。また、エンジン停止直前も、車両が完全に停止する前にエンジンが停止される場合があり、位置情報の検出精度が下がる)を除外する処理を行う。本実施形態の場合は、連続して記録されている検出情報の間隔が1分以上開いている箇所をエンジン停止状態と判定し、その前後10秒間の記録情報を除外する処理を行う(ステップ22:フィルタリング)。
【0030】
次に、車載器10などの検出機器の設置状態が検出データに与える影響の除去を行う。詳細には、車載器10(車載器10内部のセンサー類)の傾きに応じて生ずるX軸方向、Y軸方向への重力加速度の影響を除去する。本実施形態では、検出値から記録情報全体の平均値を差し引くことで、加速度の変動値が顕著に示されるようにしている(ステップ24:バイアス除去)。
【0031】
さらに、フィルタリング、バイアス除去が成されたデータに対して、車両がアイドリング状態にあると認められる情報(例えば、加速度、速度等が共にゼロとなっている状態が所定時継続している間のデータ)のカットを行う(ステップ26:アイドリングカット)。このようにして各種データにフィルタリングやバイアス除去、及びアイドリングカットが施されることで、高精度な運転状態の解析への運用が可能となる(ステップ20:データの前処理)。
【0032】
各種データに対して前処理が施された後、各運転状態に関する検知が成される。各運転状態の検知の順番は特に限定するものでは無いが、例えば図4に示すように、右左折(ステップ32)、発進(ステップ34)、停止(ステップ36)、後退(ステップ38)といった順番で成されるようにすると良い。
【0033】
[右左折:ステップ32]
まず、右左折に関する状態検知は、車両(正確には車載器)の位置情報と時刻情報とに基づいて算出される最低移動距離Lに基づいて検出される(図5(A)参照)。なお、最低移動距離Lとは、予め定められた時間毎(例えば1秒毎)に検出される車両の位置情報のうち、基準となる検出点からの距離が予め定められた距離以上となった検出点間の距離(例えば10m以上)をいう。
【0034】
右左折の動作検知は、演算手段24が記憶手段22に記憶された位置情報(時刻情報に関連付けられたもの)を読み出し、各検出点からの距離が最低移動距離Lとして定めた間隔を満たす5つの検出点を検出する。5つの検出点を検出した後、演算手段24は、5つの検出点のうちの中心に位置する検出点を基準検出点P0と定め、基準検出点P0からn1L離れた一対の検出点を隣接検出点P1,P2と定める。さらに演算手段24は、隣接検出点P1,P2を介して基準検出点P0と反対側に位置する検出点(基準検出点P0からn2L離れた検出点)をそれぞれ、起点検出点P3、及び終点検出点P4と定める。なお、n1とn2は、それぞれ最低移動距離Lを単位とした距離を示す整数であり、両者の関係は、n1<n2を満たすものとする。
【0035】
演算手段24は、各検出点(P0からP4)を定めた後、基準検出点P0と2つの隣接検出点P1,P2を通る(基準検出点P0と2つの隣接検出点P1,P2が円周上に位置する)円を描く局所的曲率半径rと、基準検出点P0と、起点検出点P3、及び終点検出点P4を通る(基準検出点P0と起点検出点P3、及び終点検出点P4が円周上に位置する)円を描く大域的曲率半径Rと、を求める(図5(B)、(C)参照)。ここで、局所的曲率半径rと、大域的曲率半径Rとにはそれぞれ、閾値を定めておく。そして演算手段24は、局所的曲率半径rと、大域的曲率半径Rとをそれぞれ閾値と比較し、両方がそれぞれに定めた閾値以下である場合に、この基準検出点P0を有する地点で右左折が成されたと判定し、基準検出点P0を検出した時刻情報を車両の右左折タイミングと認定する。
【0036】
ここで、例えば車両が直進している場合には、図5(A)に示すように、3つの検出点を通る円を描く事はできない。これに対し、車両が右左折(図中右側を進行方向とした場合には右折)している場合には、図5(B)に示すように、局所的曲率半径rと大域的曲率半径Rは、いずれも比較的小さな値となる。一方、車両の動作が右左折では無く、車線変更等である場合(実際に車両の動作に変化があった場合の他、GPSによる検出データに、ノイズなどに起因した誤差が生じた場合も含む)、図5(C)に示すように、局所的曲率半径rは比較的小さな値となるが、大域的曲率半径Rは、(B)に示すものに比べて大きな値を示すこととなる。このため、局所的曲率半径rと大域的曲率半径Rの双方が閾値以下となる場合に、車両に右左折の動作が成されたと判定することが可能となる。
【0037】
なお、上記説明では、隣接検出点P1,P2は、基準検出点P0から1L(上記n1=1)離れた点とし、起点検出点P3と終点検出点P4はそれぞれ、基準検出点P0から2L(n2=2)離れた点としているが、n1とn2は、必ずしも連続する値である必要は無く、例えばn1=1、n2=3と定めるようにしても良い。また、局所的曲率半径rに対する閾値(rmax)と、大域的曲率半径Rに対する閾値(Rmax)とは、それぞれ、各検出点が右左折が生じたと認められる関係にある場合における曲率の最大値を基準として、それよりも大きな値を設定すれば良い。
【0038】
例えばn1=1、n2=3の場合において、図6に示すような場合、基準検出点P0と隣接検出点P2とは、最低限、次の関係を満たす場合に右左折が生じた可能性がある事が認められる。すなわち、両者(P0とP2)を結ぶ直線Lと、進入側において基準検出点P0に続く2つ以上の検出点を結ぶ直線Yと、脱出側において隣接検出点P2に続く2つ以上の検出点を結ぶ直線Xの交点の成す角θy、θxの和が90度以上となる場合である。
【0039】
図6に示す例では、θy、θxをそれぞれ45度としており、直線Yと直線Xは90度に交わっている。このため、基準検出点P0と隣接検出点P2は、それぞれ交点OからL/√2づつ離れた位置に存在することとなる。このような関係において、隣接検出点P1と基準検出点P0を結ぶ直線Yと、隣接検出点P1と隣接検出点P2を結ぶ直線L1の成す角をθ1、起点検出点P3と基準検出点P0を結ぶ直線Yと起点検出点P3と終点検出点P4を結ぶ直線L2の成す角をθ2とした場合、局所的曲率半径rと大域的曲率半径Rは、それぞれ数式1、数式2のように示すことができる。
【数1】

【数2】
【0040】
ここで、sinθ1、sinθ2は、それぞれ数式3、数式4で示すことができる。
【数3】


【数4】


L=10として、数式1、数式2に数式3、数式4の値をそれぞれ代入すると、局所的曲率半径r≒13.15、大域的曲率半径R≒25.63と求めることができる。
【0041】
局所的曲率半径rの閾値rmaxと、大域的曲率半径Rの閾値Rmaxは、右左折が成される交差点の角度の違いや、GPSによる位置情報の検出誤差、検出座標の検出タイミングのズレなどを考慮すると、それぞれ算出値としてのr、Rよりも大きな値として定める必要がある。これらを勘案すると、上記実施例の場合には、rmax、Rmaxは、それぞれ算出値の2倍弱の値を目安とすることができ、一例として、rmax=20、Rmax=50と定めることができる。
【0042】
[発進:ステップ34]
次に、発進(前進)に関する状態検知は、車両の速度情報の変化と、加速度情報の変化とに基づいて検出される。ここで、速度情報と、加速度情報にはそれぞれ、図7に示すように閾値(停止速度上限:任意の値、前方加速度下限:任意の値)が定められている。演算手段24は、記憶手段22から車両の速度情報と加速度情報(いずれの情報も、時刻情報に関連づけられている)を読み出し、各情報の変化を検知する。
【0043】
具体的には、車両の速度が閾値(停止速度上限)を超えて立ち上がるタイミングと、車両の加速度が閾値(前方加速度下限)を超えるタイミングとが一致した時を検出し、発進動作が成されたと判定し、発進のタイミングとして時刻情報を検出し、車両に発進動作が成されたタイミングと認定する。
【0044】
[停止:ステップ36]
次に、停止に関する状態検知は、車両の速度情報の変化と、経過時間とに基づいて検出される。ここで、速度情報には、発進時と同様に、停止を判定するための閾値(停止速度上限)が定められている(図8参照)。なお、発進検出時における速度情報の閾値と、停止検出時における速度情報の閾値とは、共通の値とすると良い。
【0045】
演算手段24は、車両速度が閾値(停止速度上限)よりも低い状態が、予め定めた最低停止時間(例えば3秒)以上続いた場合に、車両が停止したと判定する。単に速度の変化のみで判定する場合、ノイズ等の影響やブレーキングにより速度情報が局所的に閾値を下回った場合にも、車両が停止したと判定されてしまうからである。また、演算手段24は、停止判定後、予め定めた最低移動時間(例えば3秒)の範囲で、閾値(停止速度上限)を超える移動速度を検出した場合であっても、その後に閾値以下に移動速度が低下した場合には、停止状態が維持されていると判定する。ノイズ等の影響による検出値の変化を考慮するためである。そして演算手段24は、これらの停止動作が行われた時刻情報を検出し、車両が停止した、あるいは車両が停止状態にあったタイミングと認定する。
【0046】
[後退:ステップ38]
最後に、後退に関する状態検知は、発進状態の検知と同様に、車両の速度情報の変化と、加速度情報の変化とに基づいて検出される。ここで、加速度情報には図9に示すように、進行方向と逆側、すなわちマイナス方向の加速度情報に対する閾値(後方加速度下限:任意の値)が定められている(ステップ30:各運転検知)。
【0047】
演算手段24は、車両が停止状態にあると認定されている状態において、マイナス方向の加速度情報が閾値(後方加速度下限)を下回る加速度情報が検出され、かつこのタイミングで、速度情報の上昇が検出された場合に(速度情報は、停止速度上限に達しなくても良い)、車両の後退動作が成されたと判定して時刻情報を検出し、車両に後退動作が成されたタイミングと認定する。
【0048】
ステップ30において、各運転状態の検知が成された後、検知された動作の時刻情報を出力する(ステップ40:タイミング出力)。
【0049】
[効果]
このような運転状態解析方法及びプログラムによれば、判定対象とするデータ量を押えつつ、危険因子を伴う動作の有無、及びそのタイミングを検出することができる。よって、ドライブレコーダーの映像に基づく運転状態の調査は、危険因子を伴う運転動作として検出された右左折、発進、停止、及び後退が行われたタイミングをピックアップして実施することが可能となる。よって、判定の効率化、及び判定員に要する労力の軽減を図ることが可能となる。
【0050】
[応用例1]
上記実施形態では、車両の右左折に関する動作の検知について、検出点に基づく局所的曲率半径rと、大域的曲率半径Rの値が、それぞれ閾値以下であるか否かによって判定する旨記載した。しかしながら、上記の判定要素に加え、横方向の加速度の有無(閾値を超える加速度の有無)を検出することで、右左折の有無の判定精度を向上させるようにしても良い。なお、この場合、局所的曲率半径rと大域的曲率半径Rの双方が閾値以下であり、かつ横方向の加速度が閾値を超えている場合に、車両に右左折の動作が加えられたと判定されることとなる。
【0051】
[応用例2]
上記実施形態では、車両の速度情報については、位置情報取得手段14(GPS機能)により取得可能な位置情報の変化に基づいて算出する旨記載している。しかしながら車載器10は、車両の車速パルスを取得することで、これを速度情報として利用するようにしても良い。このような方法を採用する場合図10に示すように、車載器10には、車両信号検出手段28を備えるようにして、車速パルスの取り込みを可能な構成とすると良い。このような構成とした場合、車両信号検出手段28は、取り込まれた車速パルスを時刻情報と関連づけて記録手段18に記録する処理を行う。
【0052】
このような構成とした場合、図11図12に示すように、速度情報が矩形状の波形で示されるようになり、図7図8に示す速度情報に比べて速度情報に対するノイズや誤差が低減されることとなる。このため、位置情報に基づいて速度情報を算出する場合(例えば図7図8に示す例)に比べて、走行中か否かの判別が容易となる。このため、停止速度の閾値(停止速度上限)を低く設定することが可能となる。これに伴い、車両の速度が閾値(停止速度上限)を跨ぐタイミング、すなわち車両が動いているか否かについての判定をより正確に行うことが可能となる。よって、発進や停止のタイミングを検出する精度を向上させることができる。
【0053】
[応用例3]
また、上記実施形態では、車両の進行方向に対する速度情報の変化と、加速度情報の変化に基づいて車両の後退を検出する旨記載している。しかしながら、車載器10に車両信号検出手段28を備える構成とした場合、この車両信号検出手段28により、車両のバックギア信号も検出可能な構成とすることもできる。このような構成とした場合、図13に示すように、バックギア信号の立ち上がり(入力)と、速度情報の変化(車速パルスの上昇)により、車両の後退タイミングを正確に検出することができるようになる。
【0054】
また、バックギア信号の立ち上がりから車速パルスの立ち上がり(後退開始)までの猶予時間や、後退時の最高速度や移動距離なども正確に検出することができるようになる。このため、猶予時間や最高速度、及び移動距離などに閾値を設けておくことで、車両後退時における危険因子を伴う動作、及びその動作が生じた時間帯の検出が可能となる。よって、判定員による判定箇所の検出の効率化を図ることができ、判定員の労力を軽減することができるようになる。
【0055】
[応用例4]
また、車両信号検出手段28を介した車速パルスの検出により、車両の発進タイミングや停止タイミングを正確に検出することができるようになることで、例えば図14に示すように、車両の発進タイミングと右左折タイミング、または車両の右左折タイミングと停止タイミング、あるいは発進タイミングから停止タイミングの検出間隔、すなわち危険因子となり得るイベント間の間隔を、車両の直進タイミングと認定することができるようになる。
【0056】
[応用例5]
さらに、運転状態の解析を行うにあたっては、危険因子となり得るイベントと、そのイベントが生じた位置情報、並びに位置情報を反映可能な地図情報、並びに地図情報に付帯された交通規制情報(例えば一時停止箇所や、一方通行箇所、速度規制情報など)、及び速度情報などに基づき、交通規制違反の検出や、その日時の特定を行うことも可能となる。
【符号の説明】
【0057】
10………車載器、12………撮影手段、14………位置情報取得手段、16………加速度検出手段、18………記録手段、20………コンピュータ、22………記憶手段、24………演算手段、26………一時記憶手段、28………車両信号検出手段。
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