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特開2023-26339計時器において潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニット
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  • 特開-計時器において潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026339
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】計時器において潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニット
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230216BHJP
   G04D 7/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G04D7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022116138
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21191299.3
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ボスコ タン カイ・ディン
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA15
2G043EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設計が単純、実装が容易で、検査操作を単純化する、計時器における蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニットの提供。
【解決手段】白色光の励起光束から、計時器10における蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニットに関する。携行可能なモジュラーユニット1000は、第1のモジュールを形成する光学的ハウジング体100と、第2のモジュールを形成し励起光束201を発する携行可能な白色光源200と、及び第3のモジュールを形成する携行可能な拡大デバイス300とを備え、第1の取り付けインタフェース110は、携行可能な白色光源200が発した励起光束201が励起フィルター101の方向を向くように構成しており、第2の取り付けインタフェース120は、携行可能な拡大デバイス300が検査開口105に対向するように構成している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光の励起光束から、計時器(10)における蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニット(1000)であって、
前記携行可能なモジュラーユニット(1000)は、第1のモジュールを形成する光学的ハウジング体(100)と、
第2のモジュールを形成し励起光束(201)を発する携行可能な白色光源(200)と、及び
第3のモジュールを形成する携行可能な拡大デバイス(300)とを備え、
前記光学的ハウジング体(100)は、励起フィルター(101)、ダイクロイックフィルター(102)、及び出口フィルター(103)を支持し、
前記励起フィルター(101)は、前記携行可能な白色光源(200)の前記励起光束(201)において、検査対象の潤滑剤又はエピラメの蛍光マーカーの励起に適した波長範囲を選択し、フィルタリング済み励起光束(202)を透過するように構成しており、
前記ダイクロイックフィルター(102)は、フィルタリング済み励起光束(202)を反射し、そのフィルタリング済み励起光束(202)を、前記計時器(10)に対向するように配置することができる検査開口(105)の方向に向けるように構成しており、
前記ダイクロイックフィルター(102)は、さらに、フィルタリング済み励起光束(202)の励起の下で前記計時器(10)が発した反射光束(203)を通過させることができるように構成しており、
前記出口フィルター(103)は、前記反射光束(203)をフィルタリングし、検査対象の潤滑剤又はエピラメの蛍光マーカーの蛍光に対応する蛍光光束(204)を透過するように構成しており、
前記光学的ハウジング体(100)は、前記光学的ハウジング体(100)に前記携行可能な白色光源(200)を取り外し可能に取り付けるための第1の取り付けインタフェース(110)と、及び前記光学的ハウジング体(100)に前記携行可能な拡大デバイス(300)を取り外し可能に取り付けるための第2の取り付けインタフェース(120)とを備え、
前記第1の取り付けインタフェース(110)は、前記携行可能な白色光源(200)が発した励起光束(201)が前記励起フィルター(101)の方向を向くように構成しており、
前記第2の取り付けインタフェース(120)は、前記携行可能な拡大デバイス(300)が前記検査開口(105)に対向するように構成している
ことを特徴とする携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項2】
前記第1の取り付けインタフェース(110)及び/又は前記第2の取り付けインタフェース(120)は、機械的及び/又は磁気的効果の結合を行うように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項3】
前記第1の取り付けインタフェース(110)は、前記携行可能な白色光源(200)が発した励起光束(201)が前記励起フィルター(101)に対して垂直に向いているように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項4】
前記携行可能な白色光源(200)は、トーチ又はペンライトである
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項5】
前記携行可能な拡大デバイス(300)は、時計技師用ルーペである
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項6】
前記ダイクロイックフィルター(102)は、フィルタリング済み励起光束(202)に対して45°傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項7】
前記光学的ハウジング体(100)は、ポリマー材料又は複合材料によって作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項8】
前記光学的ハウジング体(100)は、3D印刷法を用いてポリマー材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項9】
前記第1の取り付けインタフェース(110)及び/又は前記第2の取り付けインタフェース(120)は、前記携行可能な白色光源(200)及び/又は前記携行可能な拡大デバイス(300)の結合を前記光学的ハウジング体(100)に可逆的にロックするためのロック手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【請求項10】
前記第2の取り付けインタフェース(120)には、前記出口フィルター(103)のポジショニング及び/又は分解を容易にするためのノッチ(115)が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の携行可能なモジュラーユニット(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器の検査、更改及び保守の分野に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、計時器を検査するために、特に、白色光の光束の励起の下で計時器における蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメ(エピラム)の存在を制御するために、一般的に用いられている様々な計時器用装置を組み合わせて調整することを可能にする携行可能なモジュラーユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
特定の発光励起が与えられたときに可視性を向上させるような蛍光マーカーを組成物に含む、油、グリースのような潤滑剤、又はエピラメが存在する。
【0004】
部品数が多く潤滑箇所が多い計時用ムーブメントの検査及び保守のために前記のような蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメを使用することは、特に高く評価されている。
【0005】
このような蛍光マーカーは、約350nm~480nmの波長範囲の光束の励起の下で緑色の光を発する。
【0006】
したがって、複数の光学フィルターを用いて、蛍光マーカーの励起に望ましい波長又は波長範囲を得ることによって、目に有害であることが知られている紫外線(UV)放射光源(波長400nm未満)又は青色光源(波長470nm程度)によって、前記蛍光マーカーを励起することができる。
【0007】
しかし、これらの手法はどれも完全に満足できるものではない。特定の視覚保護が必要であったり、蛍光マーカーを励起するために特定の青色光源を用いる必要があったりするためである。
【0008】
したがって、計時器におけるこのような蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの検査を容易にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に関連して、本発明は、設計が単純であり、実装が容易であり、計時器の様々なメンテナンスや更改の間に行われる検査操作を単純化するような、計時器における蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニットを提案するものである。
【0010】
このために、本発明は、白色光の励起光束から、計時器における蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの存在を検査するための携行可能なモジュラーユニットに関し、前記携行可能なモジュラーユニットは、第1のモジュールを形成する光学的ハウジング体と、第2のモジュールを形成し励起光束を発する携行可能な白色光源と、及び第3のモジュールを形成する携行可能な拡大デバイスとを備え、前記光学的ハウジング体は、励起フィルター、ダイクロイックフィルター、及び出口フィルターを支持し、前記励起フィルターは、前記携行可能な白色光源の前記励起光束において、検査対象の潤滑剤又はエピラメの蛍光マーカーの励起に適した波長範囲を選択し、フィルタリング済み励起光束を透過するように構成しており、前記ダイクロイックフィルターは、フィルタリング済み励起光束を反射し、そのフィルタリング済み励起光束を、前記計時器に対向するように配置することができる検査開口の方向に向けるように構成しており、前記ダイクロイックフィルターは、さらに、フィルタリング済み励起光束の励起の下で前記計時器が発した反射光束を通過させることができるように構成しており、前記出口フィルターは、前記反射光束をフィルタリングし、検査対象の潤滑剤又はエピラメの蛍光マーカーの蛍光に対応する蛍光光束を透過するように構成しており、前記光学的ハウジング体は、前記光学的ハウジング体に前記携行可能な白色光源を取り外し可能に取り付けるための第1の取り付けインタフェースと、及び前記光学的ハウジング体に前記携行可能な拡大デバイスを取り外し可能に取り付けるための第2の取り付けインタフェースとを備え、前記第1の取り付けインタフェースは、前記携行可能な白色光源が発した励起光束が前記励起フィルターの方向を向くように構成しており、前記第2の取り付けインタフェースは、前記携行可能な拡大デバイスが前記検査開口に対向するように構成している。
【0011】
前の段落で記載した特徴に加えて、本発明に係る携行可能なモジュラーユニットは、個別に又は技術的に可能な任意の組み合わせにしたがって考慮される、以下の追加の特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
- 前記第1の取り付けインタフェース及び/又は前記第2の取り付けインタフェースは、機械的及び/又は磁気的効果の結合を行うように構成しており、したがって、取り付けが容易になる。
- 前記第1の取り付けインタフェースは、前記携行可能な白色光源が発した励起光束が前記励起フィルターに対して垂直に向いているように構成している。
- 前記携行可能な白色光源は、トーチ又はペンライトである。したがって、特定の高価な光源を入手する必要はなく、単純なトーチ又はペンライトによって、蛍光潤滑剤の蛍光マーカーを励起することができる。
- 前記携行可能な拡大デバイスは、時計技師用ルーペである。
- 前記ダイクロイックフィルターは、フィルタリング済み励起光束に対して45°傾斜している。
- 前記光学的ハウジング体は、ポリマー材料又は複合材料によって作られている。したがって、製造コストが最小限に抑えられる。
- 前記光学的ハウジング体は、3D印刷法を用いてポリマー材料によって作られる。したがって、このような光学的ハウジング体及び携行可能なモジュラーユニットの製造が、容易であり、経済的であり、可能なかぎり多くの人々に対するアクセシビリティーを向上させることができる。実際に、そして、市場で入手可能な光学フィルターを搭載するだけで十分である。
- 前記第1の取り付けインタフェース及び/又は前記第2の取り付けインタフェースは、前記携行可能な白色光源及び/又は前記携行可能な拡大デバイスの結合を前記光学的ハウジング体に可逆的にロックするためのロック手段を備える。したがって、様々なモジュールの取り付けが確実になり、これによって、このような携行可能なモジュラーユニットの使用中に望まずに分離してしまうことに対処することができる。
- 前記第2の取り付けインタフェースには、前記出口フィルターのポジショニング及び/又は分解を容易にするためのノッチが形成されている。
【0012】
図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴が一層明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る携行可能なモジュラーユニットの1つの実施例についての斜視図を概略的に示している。
図2図1に示した携行可能なモジュラーユニットの分解図を概略的に示している。
図3図1に示した携行可能なモジュラーユニットのサジタル断面図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
すべての図において、特に言及していないかぎり、共通の要素には同じ参照番号を割り当てている。
【0015】
図1は、本発明に係る携行可能なモジュラーユニット1000の1つの実施例を示している。この図において、このユニットの様々なモジュールが互いに組み付けられている。
【0016】
図2は、本発明に係る携行可能なモジュラーユニット1000の分解図を示している。
【0017】
図3は、図1に示している携行可能なモジュラーユニット1000のサジタル断面図を示している。
【0018】
図1~3を参照しながら説明する。本発明に係る携行可能なモジュラーユニット1000は、計時用ムーブメントのような計時器10(図3に示している)を検査することを可能にする。
【0019】
具体的には、本発明に係る携行可能なモジュラーユニット1000は、白色光源を用いて、発光励起に反応する蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメが十分な量存在するかどうかを検査することを可能にする。
【0020】
本出願において、「潤滑剤」とは、グリース、油、又は計時器の分野において伝統的に用いられているその他の潤滑用物質を意味する。
【0021】
携行可能なモジュラーユニット1000は、3つの異なるモジュールのアセンブリーである。
【0022】
携行可能なモジュラーユニット1000の第1のモジュールは、蛍光マーカーの励起及びこの励起から発生する蛍光光束の透過に必要な様々な光学要素を備える光学的ハウジング体100によって形成される。
【0023】
携行可能なモジュラーユニット1000の第2のモジュールは、トーチやペンライトのような一般的に用いられている携行可能な白色光源200によって形成される。携行可能な白色光源200は、当然、ユーザーの要求に応じて白色光の光束を発する。以下、この光束を励起光束201と呼ぶ。
【0024】
携行可能なモジュラーユニット1000の第3のモジュールは、計時器の分野において一般的に用いられている、時計技師用ルーペのような携行可能な拡大デバイス300によって形成される。
【0025】
これらの3つのモジュールとそれらのインタフェースの組み合わせのおかげで、取り外し可能かつ可逆的に、白色光源を用いる、蛍光マーカーを含む潤滑剤又はエピラメの検査のための携行可能なモジュラーユニット1000を容易かつ経済的に構築することが可能になる。本発明に係る携行可能なモジュラーユニット1000のおかげで、計時器のワークショップなどにおいて容易に利用することができる携行可能な白色光源200を用いることによって、眼に有害な光源の使用に関連する様々な課題に対処することができる。
【0026】
光学的ハウジング体100は、前記携行可能な白色光源200を取り外し可能かつ可逆的に結合することを可能にする第1の取り付けインタフェース110を備える。
【0027】
第1の取り付けインタフェース110は、トーチ又はペンライトによって形成される携行可能な白色光源200の円状の形に対応するような、円筒状などの形、特に円形の断面の円筒状の形、の第1の空洞111が形成されたメス型のインタフェースである。トーチは、このアセンブリーのオス部分を構成している。したがって、携行可能な白色光源200は、携行可能な白色光源200の端部分を第1の空洞111内に挿入することによって、ハウジング体100に取り付けられる。
【0028】
第1の取り付けインタフェース110の第1の空洞111は、光学的ハウジング体100内に形成される内側チャンバー150と連通している。
【0029】
光学的ハウジング体100には、時計技師用ルーペタイプの拡大デバイス300を取り外し可能かつ可逆的に結合することを可能にする第2の取り付けインタフェース120がある。
【0030】
また、第2の取り付けインタフェース120は、時計技師用ルーペタイプの拡大デバイス300の円の形に対応するように、円筒状などの形、特に円形の断面を有する円筒状の形、の第2の空洞121が形成されたメス型のインタフェースである。拡大デバイス300は、アセンブリーのオス部分を構成している。したがって、拡大デバイス300は、その拡大デバイス300の端部分を第2の空洞121内に挿入することによって、ハウジング体100に取り付けられる。
【0031】
また、第2の取り付けインタフェース120の第2の空洞121は、光学的ハウジング体100の内側チャンバー150とも連通している。
【0032】
内側チャンバー150は、この内側チャンバー150内に配置されるダイクロイックフィルター102によって2つの部分に分けられている。
【0033】
第1の空洞112は、第1の回転軸C1に沿って形成され、第2の空洞112は、第2の回転軸C2に沿って形成され、第1の空洞112と第2の空洞112は、それらの対応する回転軸C1、C2どうしが直交し内側チャンバー150において交差するように構成している。
【0034】
ダイクロイックフィルター102は、実質的に、前記2つの回転軸C1、C2それぞれに対して45°の角度を形成するように、前記2つの回転軸C1、C2の交点において配置される。
【0035】
光学的ハウジング体100には、励起フィルター101を受け支持するための第1の溝がある。この励起フィルター101は、白色光源200から到来する励起光束201において、計時器10において検査される潤滑剤又はエピラメの蛍光マーカーの励起に適した波長範囲を選択し、フィルタリング済み励起光束202を内側チャンバー150に透過させる性質を有する。
【0036】
励起フィルター101は、好ましいことに、内側チャンバー150と第1の取り付けインタフェース110の間の空洞111の回転軸C1に垂直に配置され、これによって、フィルタリング済み励起光束202が、光学的ハウジング体100の内側チャンバー150内を伝播し、45°に近い角度を形成してダイクロイックフィルター102に到達することができる。
【0037】
したがって、励起フィルター101は、光学的ハウジング体100の外側と連通している第1の取り付けインタフェース110の内側チャンバー150と第1の空洞111の間のインタフェースを形成する。
【0038】
ダイクロイックフィルター102には、内側チャンバー150内に到着するフィルタリング済み励起光束202を反射し、そのフィルタリング済み励起光束202を、ダイクロイックフィルター102の傾斜を反映して検査開口105の方向に向ける性質がある。この検査開口105は、拡大デバイス300を受ける第2の取り付けインタフェース120に対向するように位置している。
【0039】
また、ダイクロイックフィルター102は、フィルタリング済み励起光束202の励起の下で計時器10による反射によって発された反射光束203を通過させる性質を有する。
【0040】
光学的ハウジング体100には、出口フィルター103を受け支持するための第2の溝がある。この出口フィルター103は、反射光束203をフィルタリングして、検査対象の潤滑剤又はエピラメの蛍光マーカーの蛍光に対応する蛍光光束204のみを透過させる性質を有する。
【0041】
出口フィルター103は、好ましいことに、内側チャンバー150と第2の取り付けインタフェース120の間にて、空洞121の回転軸C2に対して垂直に配置される。これは、反射光束203をフィルタリングし、蛍光光束204をハウジング体100の第2の取り付けインタフェース120の第2の空洞121の内部に、そして、拡大デバイス300を通り抜けるように透過させるように行われる。
【0042】
したがって、出口フィルター103は、内側チャンバー150と、光学的ハウジング体100の外側と連通する第2の取り付けインタフェース120の第2の空洞121との間のインタフェースを形成する。
【0043】
第1の取り付けインタフェース110と第2の取り付けインタフェース120は、機械的に結合するように構成している。
【0044】
この機械的結合は、例えば、第1の取り付けインタフェース110及び第2の取り付けインタフェース120が、特定の形状を有すること及び/又は材料によって作られていることによって確実にされる。
【0045】
例として、第1の取り付けインタフェース110及び/又は第2の取り付けインタフェース120は、弾性を有するフレキシブルなポリマー材料によって作られている又はエラストマー材料によって作られている部分を少なくとも1つ有することができ、これによって、携行可能な白色光源200及び/又は拡大デバイス300のまわりの材料の弾性又は粘弾性応答によって保持力を与えることを可能にする。
【0046】
また、第1の取り付けインタフェース110の第1の空洞111、及び/又は第2の取り付けインタフェース120の第2の空洞112には、これらの空洞111、121を形成している周壁において、コーティング又はエラストマーシールがあることができ、これによって、携行可能な白色光源200及び/又は拡大デバイス300の摩擦又は適切な位置における保持が改善することがある。
【0047】
1つの代替的実施形態において、又は上記のような機械的結合に加えて、第1の取り付けインタフェース110及び/又は第2の取り付けインタフェース120が磁気的効果によって結合するように構成している。この場合、第1のインタフェース110及び/又は第2のインタフェース120には、その第1の取り付けインタフェース110及び/又は第2の取り付けインタフェース120において留め置かれた又は埋め込まれた磁性材料又は永久磁石によって作られた部分がある。この代替的実施形態は、携行可能な白色光源200又は拡大デバイス300の少なくとも一部が強磁性材料によって作られている場合に特に興味深い。このようにして、磁気引力によって結合が確実になり促進される。
【0048】
第1の取り付けインタフェース110と第2の取り付けインタフェース120は、さらに、光学的ハウジング体100上における適切な位置にある携行可能な白色光源200及び拡大デバイス300それぞれの様々なモジュールのロックを暫定的かつ可逆的に確実にしてこのようなモジュールの取り付けを確実にするためのロック手段を備えることができる。
【0049】
このロック手段は、例えば、ねじ込み式のロック手段、嵌め込み(バヨネット)式のロック手段である。
【0050】
ロック手段は、例えば、取り付けヘッドとねじ山付き本体があるロックメンバー106によって形成され、このねじ山付き本体は、取り付けインタフェースにおいて半径方向に配置されるねじ山付き開口と連係する。
【0051】
図1~3に示している実施例において、ロックメンバー106は、第1の取り付けインタフェース110の周部に配置されるねじ山付き開口と連係する。これは、ロックメンバー106のねじ込みによって、携行可能な白色光源200を光学的ハウジング体100上の適切な位置にロックするように行われる。
【0052】
当然、光学的ハウジング体100上の適切な位置に拡大デバイス300をロックするために、ねじ山付き開口と連係するこのようなロックメンバーを、第2の取り付けインタフェース120において設けることができる。
【0053】
第1の取り付けインタフェース110と第2の取り付けインタフェース120は、同じであることも異なっていることもでき、同じ又は異なる結合を確実にする。また、第1の取り付けインタフェース110及び第2の取り付けインタフェース120は、同じ又は異なるロック手段を備えることができる。
【0054】
追加のロック手段の存在のおかげで、特に携行可能なモジュラーユニット1000の様々な操作中に、様々なモジュール200、300のカップリング、そして、適切な位置における保持を確実にすることができる。しかし、このロック手段は、光学的ハウジング体1000上の携行可能な白色光源200又は拡大デバイス300の結合、そして、適切な位置における保持、を確実にするために必須ではない。実際に、第1の取り付けインタフェース110及び/又は第2の取り付けインタフェース120に、適切な取り付け遊びがあるように、携行可能な白色光源200及び拡大デバイス300の挿入、そして、適切な位置における保持を確実にするような寸法構成を有する空洞111、121があることで十分である。したがって、空洞111、121の重要な長さが十分であり直径が適切であることで、携行可能な白色光源200と拡大デバイス300は、光学的ハウジング体100に完全に取り外し可能に取り付けられ、携行可能なモジュラーユニット1000の使用中に適切な位置に保持することができる。
【0055】
図示している実施例において、さらに、光学的ハウジング体100には、その光学的ハウジング体100内のその溝内に励起フィルター101をポジショニングするための穴107がある。この溝状の穴107のおかげで、内側チャンバー150と、第1の取り付けインタフェース110の空洞111との間における、励起フィルター101のその溝内におけるポジショニングを容易にすることができる。
【0056】
光学的ハウジング体100は、励起フィルター101が配置された後に空欠部107を閉じるようになるブッシュ108を備えることができる。ブッシュ108は、励起フィルター101にわずかに力を加えて、励起フィルターがその溝内の適切な位置に保持されることを確実にするように構成していることができる。
【0057】
また、光学的ハウジング体100には、取り付けインタフェース110、120にてノッチ115が形成されていて、光学フィルターの取り付け及び/又は取り外しを容易にすることができる。図1~3に示している実施例において、このようなノッチ115を、拡大デバイス300を受ける第2の取り付けインタフェース120にのみ示している。第2の取り付けインタフェース120において、ノッチ115のおかげで、第2の空洞121の底部に配置された出口フィルター103の取り付け又は取り外しを考慮して、操作を容易にすることができる。これらのノッチ115は、取り付けられる又は取り外される出口フィルター103が、拡大デバイス300を受ける第2の空洞112の寸法構成よりも小さい寸法構成を有する場合に特に有用である。
【0058】
光学的ハウジング体100は、好ましいことに、ポリマー材料又は複合材料によって作られる。例として、光学的ハウジング体100は、3D(三次元)印刷法などを用いて、ポリマー材料によって作られ、このような光学的ハウジング体100の製造を容易にし、アクセシビリティーを向上させる。光学的ハウジング体100を3D印刷で作った後には、市場で入手可能な様々な光学フィルター101、102、103を、光学的ハウジング体100においてこの目的のために形成された様々な溝内にて容易に設けることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 計時器
100 光学的ハウジング体
101 励起フィルター
102 ダイクロイックフィルター
103 出口フィルター
105 検査開口
110 第1の取り付けインタフェース
115 ノッチ
120 第2の取り付けインタフェース
200 携行可能な白色光源
201 励起光束
202 フィルタリング済み励起光束
203 反射光束
204 蛍光光束
300 携行可能な拡大デバイス
1000 携行可能なモジュラーユニット
図1
図2
図3
【外国語明細書】