IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Next Innovation合同会社の特許一覧

<>
  • 特開-固定構造 図1
  • 特開-固定構造 図2
  • 特開-固定構造 図3
  • 特開-固定構造 図4
  • 特開-固定構造 図5
  • 特開-固定構造 図6
  • 特開-固定構造 図7
  • 特開-固定構造 図8
  • 特開-固定構造 図9
  • 特開-固定構造 図10
  • 特開-固定構造 図11
  • 特開-固定構造 図12
  • 特開-固定構造 図13
  • 特開-固定構造 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026384
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 9/02 20060101AFI20230216BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20230216BHJP
   F16B 37/08 20060101ALI20230216BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20230216BHJP
   A61B 90/10 20160101ALI20230216BHJP
【FI】
F16B9/02 E
F16B37/00 F
F16B37/08 Z
F16B35/00 E
A61B90/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127736
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021131438
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【テーマコード(参考)】
3J023
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA01
3J023BB02
3J023CA01
3J023DA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被軸支部材を棒状体の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)可能で、且つ、簡単な操作で該位置決めされた場所で確実に固定する手段を提供する。
【解決手段】所定の領域に存して領域の周方向中央部に向かって軸からの半径が漸次縮小して成る縮径面と、縮径面に隣接するように軸方向に配設されて周方向に連続的又は断続的に延在し径方向外向きに突出するリブとを有する棒状体と、棒状体を周方向に沿って相対回転可能に挿通可能な挿通孔を有し挿通孔の内周には軸方向に配設されて上記リブを嵌合可能に凹設される凹状部を有し、棒状体との相対回転位置を凹状部が縮径面に対向させた位置に回転させることで棒状体の軸方向の変位を可能にし、凹状部がリブを嵌合する位置に回転させることで棒状体の軸方向の変位を規制する固定部材と、棒状体の縮径面に係合する係合面と、固定部材の膨径部を回転可能に収容する収容部とを有する被軸支部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域に存して該領域の周方向中央部に向かって軸からの半径が漸次縮小して成る縮径面と、該縮径面に隣接するように軸方向に配設されて周方向に連続的又は断続的に延在し径方向外向きに突出するリブとを有する棒状体と、
上記棒状体を周方向に沿って相対回転可能に挿通可能な挿通孔を有し、該挿通孔の内周には、上記軸方向に配設されて上記リブを嵌合可能に凹設される凹状部を有し、上記棒状体との相対回転位置を、該凹状部が縮径面に対向させた位置に回転させることで、上記棒状体の軸方向の変位を可能にし、上記凹状部が上記リブを嵌合する位置に回転させることで、上記棒状体の軸方向の変位を規制する固定部材と、
上記棒状体の縮径面に係合する係合面と、上記固定部材の膨径部を回転可能に収容する収容部とを有する被軸支部材と、
を備えることを特徴とする固定構造。
【請求項2】
前記被軸支部材の収容部は、前記固定部材を挿入可能な収容部切欠部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
前記固定部材は、膨径部を有し、該膨径部は対向する二領域を切り欠いた面状の外側面が形成され、前記収容部切欠部から挿入可能に設定される、
ことを特徴とする請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
前記収容部は略円錐台形状に形成され、
前記固定部材は、前記収容部のテーパ面に係合し得るテーパ面が形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の固定構造。
【請求項5】
前記固定部材は、前記棒状体を挿通孔の側方から挿入可能な切欠部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の固定構造。
【請求項6】
前記固定部材は、該固定部材を前記被軸支部材に対して相対回転するための操作部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の固定構造。
【請求項7】
前記被軸支部材は、前記固定部材を回転操作して、前記固定部材の凹状部と前記棒状体のリブが嵌合する回転位置に位置したときに前記操作部に係合する係止部を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の固定構造。
【請求項8】
前記リブは、平面展開状態において略四角錘状を成し、
前記凹状体は、該リブの略相似形状を成す、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の固定構造。
【請求項9】
所定の領域に存して該領域の周方向中央部に向かって軸からの半径が漸次縮小して成る縮径面と、該縮径面に隣接するように軸方向に配設されて周方向に連続的又は断続的に延在し径方向外向きに突出するリブとを有する棒状体と、
上記棒状体を周方向に沿って相対回転可能に挿通可能な挿通孔を有し、該挿通孔の内周には、上記軸方向に配設されて上記リブに螺合可能に凹設される螺旋溝を有する固定部材と、
上記棒状体の縮径面に係合する係合面と、上記固定部材の膨径部を回転可能に収容する収容部とを有する被軸支部材と、
を備えることを特徴とする固定構造。
【請求項10】
前記被軸支部材の収容部は、前記固定部材を挿入可能な収容部切欠部を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の固定部材。
【請求項11】
前記固定部材は、膨径部を有し、該膨径部は対向する二領域を切り欠いた面状の外側面が形成され、前記収容部切欠部から挿入可能に設定される、
ことを特徴とする請求項10に記載の固定構造。
【請求項12】
前記固定部材は、前記棒状体を挿通孔の側方から挿入可能な切欠部を有する、
ことを特徴とする請求項9乃至11の何れかに記載の固定構造。
【請求項13】
前記固定部材は、該固定部材を前記被軸支部材に対して相対回転するための操作部を有する、
ことを特徴とする請求項9乃至11の何れかに記載の固定構造。
【請求項14】
前記被軸支部材は、相対回転する前記操作部に係合すると共に一定程度の回転力で該操作部との係合が解除される係止部を有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の固定構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームを、支柱の軸方向所定位置に固定するための固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレームを、支柱の軸方向所定位置に固定する技術としては、例えば、医療分野における創外固定器に適用される固定技術が知られている。
【0003】
従来の創外固定器は、複数の支柱、複数のナット、複数のリング(フレーム)を備える。支柱の外周には、雄ねじが形成され、該雄ねじにナットが螺合可能とされている。リングには、周方向に沿って複数の挿通孔が形成され、該挿通孔の所望の位置に支柱を挿通し、リングを挟むように2つのナットを締め込むことで、リングと支柱とが固定される。このような創外固定器は、支柱の軸方向所定位置に一つのナットを螺合し、支柱を挿通孔に挿通した後にもう一つのナットを支柱に螺合して締め付けて二つのナット間にリングを挟持して固定することで、リングを支柱の軸方向所定位置に固定している。(例えば、特許文献1、2参照)
また、フレームを、支柱の軸方向所定位置に固定する技術としては、例えば、フレームラックにおける固定技術が知られている。
【0004】
従来のフレームラックは、4本の支柱、複数の分割スリーブ、複数の棚板(フレーム)を備える。支柱の外周には、複数の高さ位置(軸方向位置)に嵌め溝が形成され、分割スリーブは支柱を挟み込んだときに嵌め溝と嵌合することのできる凸条を内周に有している。分割スリーブの外周面は、上側が縮径するテーパ形状を成し、棚板の角位置には、該分割スリーブの外周面に対応して下側が縮径するテーパ形状を成す貫通孔が形成されており、分割スリーブが貫通孔の下側から挿入されると、分割スリーブと貫通孔のテーパ面同士が当接して、分割スリーブの凸条は支柱の嵌め溝と強く嵌合する。このようなフレームラックは、分割スリーブの凸条を支柱の適当な高さの嵌め溝に嵌合して位置決めし、棚板の貫通孔に分割スリーブを挿入させて、棚板を所望の高さ位置に位置決めする。すなわち、フレームを、支柱の軸方向所定位置に固定している。(例えば、特許文献3、4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002-522145号公報
【特許文献2】特表2003-532481号公報
【特許文献3】特開平6-70817号公報
【特許文献4】特開昭59-155213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1、2に記載された創外固定器に用いる固定構造は、複数のナットを用いて支柱をリングに固定する構造であるから、部品点数が多くなってしまう。また、支柱をフレームの所定位置に調整するためには、2つのナットそれぞれ支柱に対して旋回して位置調整する必要があるため、フレームを支柱の軸方向に大きく移動するためには、ナットを何十回もナットを旋回操作しなければならいから、極めて作業性が悪い。さらに、ナットは、振動などによって緩みが生じるため、長期間安定して固定することができないという問題がある。
【0007】
また、上述した特許文献3、4に記載されたフレームラックに用いる固定構造は、スリーブを介在させることで支柱に固定されるため、部品点数が多くなってしまう。またスリーブは、使用し始めてから時間が経つと、亀裂を生じることがあり、スリーブに亀裂が生じた場合には、棚板が落下してしまうため、安全性に欠けるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、被軸支部材を棒状体の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)可能で、且つ、簡単な操作で該位置決めされた場所で確実に固定する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の固定構造は、所定の領域に存して該領域の周方向中央部に向かって軸からの半径が漸次縮小して成る縮径面と、該縮径面に隣接するように軸方向に配設されて周方向に連続的又は断続的に延在し径方向外向きに突出するリブとを有する棒状体と、上記棒状体を周方向に沿って相対回転可能に挿通可能な挿通孔を有し、該挿通孔の内周には、上記軸方向に配設されて上記リブを嵌合可能に凹設される凹状部を有し、上記棒状体との相対回転位置を、該凹状部が縮径面に対向させた位置に回転させることで、上記棒状体の軸方向の変位を可能にし、上記凹状部が上記リブを嵌合する位置に回転させることで、上記棒状体の軸方向の変位を規制する固定部材と、上記棒状体の縮径面に係合する係合面と、上記固定部材の膨径部を回転可能に収容する収容部とを有する被軸支部材と、を備える。
【0010】
また、本発明の固定構造は、前記被軸支部材の収容部は、前記固定部材を挿入可能な収容部切欠部を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の固定構造は、前記固定部材は、膨径部を有し、該膨径部は対向する二領域を切り欠いた面状の外側面が形成され、前記収容部切欠部から挿入可能に設定されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の固定構造は、前記収容部は略円錐台形状に形成され、前記固定部材は、前記収容部のテーパ面に係合し得るテーパ面が形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の固定構造は、前記固定部材は、前記棒状体を挿通孔の側方から挿入可能な切欠部を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の固定構造は、前記固定部材は、該固定部材を前記被軸支部材に対して相対回転するための操作部を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の固定構造は、前記被軸支部材は、前記固定部材を回転操作して、前記固定部材の凹状部と前記棒状体のリブが嵌合する回転位置に位置したときに前記操作部に係合する係止部を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の固定構造は、前記リブは、平面展開状態において略四角錘状を成し、前記凹状体は、該リブの略相似形状を成すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡易な構造によって、被軸支部材を棒状体の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)可能で、且つ、簡単な操作で該位置決めされた場所で確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一の実施形態に係る固定構造が適用される創外固定器を示す斜視図である。
図2】支柱(棒部材)の一部を示す(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図、(d)斜視図である。
図3】固定部材を示す(a)後方斜視図、(b)前方斜視図、(c)平面図である。
図4】フレームの一部を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)(b)におけるA-A断面図である。
図5】支柱を固定部材に組付けた状態を示す(a)斜視図、(b)正面図である。
図6】固定部材をフレームに組付けた状態を示す(a)斜視図、(b)正面図である。
図7】固定部材をフレームにロックした状態を示す(a)斜視図、(b)正面図である。
図8】第二の実施形態に係る固定構造が適用されるフレームラックを示す斜視図である。
図9】第一の変形例に係る固定部材を示す(a)前方斜視図、(b)後方斜視図及びフレームの一部を示す(c)斜視図、(d)(c)におけるA-A断面図である。
図10】第二の変形例に係る(a)固定部材を示す斜視図、(b)フレームの一部を示す斜視図である。
図11】第三の変形例に係る(a)固定部材を示す斜視図、(b)フレームの一部を示す斜視図である。
図12】第四の変形例に係る固定部材を示す(a)後方斜視図、(b)前方斜視図、(c)平面図である。
図13】ストッパ部の2つの変形例(a)(b)を示すフレームの一部平面図である。
図14】他の支柱(棒部材)例の一部を示す(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図、(d)斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の固定構造を応用して成る創外固定器の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第一の実施形態に係る固定構造が適用される創外固定器を示す斜視図、図2は、支柱(棒部材)の一部を示す(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図、(d)斜視図、図3は、固定部材を示す(a)後方斜視図、(b)前方斜視図、(c)平面図、図4は、フレームの一部を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)(b)におけるA-A断面図である。
【0020】
本実施形態においては、本発明の固定構造を創外固定器に適用した例を説明するが、例えば、ラック類や建築用足場など様々なものに適用しても良く、適用対象は特に限定されるものではない。
【0021】
図1に示すように、創外固定器1は、二つのフレーム2、2を有し、該フレーム2、2は、四本の棒状体としての支柱3、3・・・によって支持されている。なお、下側のフレーム2は、上側のフレーム2を上下に反転した状態となっている。フレーム2は、二つに限られず、一つ或いは三つ以上であってもよい。また、支柱3は、三本以下或いは五本以上であってもよい。フレーム2と支柱3とは固定部材4を介して連結されており、固定部材4を操作することで、フレーム2を支柱3の軸方向所定位置に位置決めすると共に固定可能になっている。
【0022】
図2に示すように、支柱3は、軸心Oを挟んで相対する所定の二領域に存してそれぞれ軸方向に延在し該領域の周方向中央部に向かって軸からの半径が漸次縮小して成る縮径面31、31と、軸方向に列設されて径方向外向きに突出するリブ32と、軸方向に向かってリブ32に交番して凹設される凹径面33とを有する。すなわち、支柱3は、軸心Oを中心とする仮想円mによる丸棒において、軸心Oを挟んで相対する二領域に縮径面31、31が互いに平行となるように配置されるように形成され、該縮径面31、31との間の対向する二領域における湾曲面に、リブ32及び凹径面33が形成されている。なお、リブ32と凹径面31の交番形成ピッチは、必ずしも同等でなくてもよく、軸方向に列設されるリブ32同士の間隔は、リブ32自身の軸方向の幅に比して十分に長く、或いは著しく長く設定してもよいことは言うまでもない。縮径面31、31は、例えば、支柱3に形成される二面幅等があり得る。図2(c)に示すように、支柱3は軸方向視において、仮想円mの軸心Oを挟んで対向する二領域を縮径面31、31で平行に切り欠いた略長円形状を成しているが、楕円形状であっても良い。なお、支柱3は鉄、鋼、アルミ系材料等の剛性材や炭素繊維等を用いた強化樹脂等の樹脂の他、適宜材料によって構成され得る。リブ32及び凹径面33は、好ましくは、軸方向に等ピッチで形成される。創外固定器1にあっては、例えば、リブ32が1mmピッチで形成されている。
【0023】
凹径面33は、軸心Oからの距離が縮径面31における軸心Oからの距離の範囲内になるように設定される。例えば、凹径面33は、縮径面31の周方向中央部における半径に相当する距離となるように、軸心Oからの距離を設定し得る。
【0024】
リブ32は、全体的に丸みを帯びた形状を成し、径方向端部に先端部32aを有し、該先端部32aを成す稜線32bが軸直角方向に且つ両端が縮径面31に向って延設される。また、リブ32は、互いに異なる法線方向に向く四つの面32c1~32c4から成る。
【0025】
四つの面32c1~32c4は、支柱3の外周面を仮想の平面に展開(展開状態)したときに略四角錐形状を成す。ここで四つの面32c1~32c4の内、図2(b)に示す向きにおける左上を面32c1、左下を面32c2、右上を面32c3、右下を面32c4とする。
【0026】
面32c1と面32c2との間、及び面32c3と面32c4との間の境界となる稜線32bは、軸直角方向に延び、両端がそれぞれ対向する縮径面31、31に向っている。また、面32c1~32c4は、縮径面31側に位置する周方向端部に向って支柱3の軸方向に縮小した形状、即ち幅が縮小した形状を有する。従ってリブ32は、周方向端部が先鋭の先端部32aを成している。なお、先端部32aは、断面形状が略鋭角状又は略鈍角状或いは、略円弧状を成すものであってもよく、若しくは微小平坦面状であってもよいが、好ましくは、微小円弧状とし、外部との引っ掛かりを防止する様に構成する。
【0027】
リブ32は、中央部で最も径方向外向きに突出し、周方向端部に向って径方向の突出長さが漸次縮小する。即ち、図2(c)に示す支柱3の軸心からリブ32の突出長さが最長の点までを半径とした仮想円mよりも内側にリブ32の稜線32bが配される。また、リブ32は、周方向端部で径方向の突出長さが略零となるように設定され、且つ、周方向端部において稜線32bを縮径面31に略接続させている。勿論、稜線32bを縮径面31に接続させないで、リブ32の周方向端部が、縮径面31と略面一の端面を形成するようにしても良い。また、リブ32は、周方向に連続的又は断続的に延在するように形成しても良い。
【0028】
リブ32及び凹径面33は、軸心Oを挟んで相対する二領域に設けられており、各領域でリブ32同士及び凹径面33同士の軸方向位置が段違いに設定される。即ち、軸心Oを挟んで一方の領域のリブ32の軸方向位置に対応する、他方の領域の軸方向位置には凹径面33が配される。また一方の領域の凹径面33の軸方向位置に対応する、他方の領域の軸方向位置にはリブ32が配される。勿論、各領域のリブ32及び凹径面33同士の軸方向位置が一致するように設定してもよい。
【0029】
次に、図3により固定部材4について説明する。固定部材4は、支柱3を囲繞する挿通孔41を有している。固定部材4は鉄や鋼、アルミ系材料等の剛性材や炭素繊維等を用いた強化樹脂等の樹脂の他、適宜材料によって構成され得るが、弾性を有することが好ましい。挿通孔41の内周面における、軸心Pを挟んで相対する所定の二領域にはそれぞれ軸方向に延在する平行な内側平面42、42が形成され、該内側平面42、42との間の一領域には、湾曲面43が形成され、他領域には、内周から外周に向かって切り欠かれた切欠部44が形成されている。切欠部44は、挿通孔41の内側平面42、42から延設されて形成される。挿通孔41の内側平面42、42の間隔は、支柱3の縮径面31、31の間隔よりも若干大きく形成される。挿通孔41の湾曲面43の曲率は、支柱3の仮想円mの曲率よりも若干小さく形成されている。
【0030】
湾曲面43は、軸心Pからの距離が略等距離で且つ支柱3を囲繞したときに、リブ32よりも径方向外側に位置するように設定される。即ち、固定部材4の軸心Pと支柱の軸心Oとを一致させたとき、湾曲面43を通る仮想円nが、支柱3の仮想円mよりも若干大径となり、湾曲43がリブ32に略非接触状態となるように設定される。なお、湾曲面43は、軸心Pからの距離が略等距離に限定されるものではなく、少なくともリブ32に非接触状態であれば軸心からの距離が周方向に沿って変わるように設定してもよい。
【0031】
内側平面42、42には、支柱3のリブ32及び凹径面33に対応するように、係合凸部42a及び凹状部42bが形成される。凹状部42bは、係合凸部42aに対して相対的に凹形状を有する窪みであり、軸方向に向って係合凸部42aに交番して配される。実施形態においては、凹状部42bは、支柱3のリブ32に対応して、リブ32よりも若干大きな略相似形に窪んだ形状を成す。即ち、凹状部42bは、全体的に丸みを帯びて、軸心Pを中心として湾曲面43を通る外周面を仮想の平面に展開(展開状体)したときに略四角錘形状を成すように窪んでいる。
【0032】
凹状部42bは、所定の相対位置において底部が少なくともリブ32よりも径方向外側に配されるように、深さが設定されていれば良い。即ち、凹状部42bは、軸心Pからの距離が略等距離となるように深さを設定してもよく、且つ湾曲面43と略連続面を成すように連設させ得る。勿論、凹状部42bは、湾曲面43よりも軸心Pからの距離が長くなるように、即ち、湾曲面43を通る仮想円nよりも深くなるように深さを設定してもよい。
【0033】
なお、凹状部42bは、径方向視で、軸方向に平行な対称軸に対して非対称形状を有するように形成してもよい。即ち、周方向一端が拡幅した開放端となり、他端に向かって徐々に縮幅すると共に、他端がリブ32の周方向の変位を規制する閉塞端となるように構成してもよい。このとき、後述するように、固定部材4と支柱3とが相対回転したときに、リブ32が凹状部42bに入り込む又は抜け出る入出側が開放端となる。
【0034】
係合凸部42aは、凹状部42bに対して相対的に突出して周方向に延在する凸条であり、軸方向に向かって凹状部42bに交番して配される。実施形態においては、係合凸部42aは、支柱3の凹径面33に対応するように湾曲して形成され、係合凸部42aの頂面の半径は凹径面33の半径よりも若干大きく設定される。係合凸部42aは、仮想円nよりも径方向内側に突出し、該頂面は、内側平面42が位置する仮想面を越えない。係合凸部42aは、支柱3を囲繞して軸心Pを支柱3の軸心Oと一致させたときに、縮径面31、31よりも径方向外側に位置するように軸心Pからの距離が設定される。
【0035】
また、支柱3のリブ32及び凹径面33に対応するように、係合凸部42a及び凹状部42bは、軸心Pを挟んで相対する二領域に配設されており、一領域の係合凸部42aと他領域の係合凸部42aとは互いに軸方向位置が段違いになるように設定される。
【0036】
従って、支柱3のリブ32及び凹径面33と同様に、係合凸部42a及び凹状部42bを段違いにすることで、各凹状部42bに支柱3のリブ32が嵌合し得る。なお、支柱3が、軸心Oを挟んで相対する二領域でリブ32及び凹径面33同士の軸方向位置を一致させた形状の場合は、係合凸部42a及び凹状部42bは、支柱3のリブ32及び凹径面33の配置に合わせて、係合凸部42a及び凹状部42bの軸方向位置が段違いにならないように一致させるものとする。
【0037】
固定部材4の外周は、上部側が略円柱形状の円柱部45を成し、下部側が上方から下方に向かって拡径する略円錐台形状の膨径部46を成している。円柱部45の下端の径と膨径部46の上端の径は同一に形成されている。膨径部46は、軸心Pを挟んで相対する所定の二領域に外側平面46b、46bが互いに平行になるように形成されている。なお、外側平面46b、46bは、挿通孔41の内側平面42、42とも平行になるように形成されている。外側平面46b、46bとの間にはそれぞれテーパ面46aを形成することが出来る。
【0038】
固定部材4は、外周に操作部としての板状のレバー部47を有し、該レバー部47は、円柱部45における軸心Pを挟んで切欠部44と反対側の外周から径方向に突出するように設けることが出来る。
【0039】
続いて、図1図4によりフレーム2について説明する。フレーム2は棒状を成す支柱に軸支される被軸支部材であって、人体の治療患部の少なくとも一部を略包囲可能なように略正円の環状に形成することが出来る。フレーム2は、板枠状に形成されており、周方向に沿って略等間隔で段付挿通孔21、21・・・が一面から他面に貫通して形成されている。各段付挿通孔21、21・・・は、フレーム2の径方向内側に向かって切欠部21b、21b・・・を有しており、これにより、フレーム2の径方向内側から支柱3を挿入することが可能となっている。勿論、切欠部21b、21b・・・はフレーム2の内側から切り欠く様に形成しなければならないと言うものではなく、フレーム2の外側から切り欠く様に形成しても良く、或いは、切欠部を形成しなくても良い。フレーム2に形成される段付挿通孔21は、フレーム2の内側に切欠くもの、外側に切欠くもの及び切欠かないものを選択的に種々混在させたものであっても良い。フレーム2は鉄、鋼、アルミ系材料等の剛性材や炭素繊維等を用いた強化樹脂等の樹脂の他、適宜材料によって構成され得る。
【0040】
段付挿通孔21は、フレーム2の厚さ方向における中央からやや下面よりに段部21aを有し、段部21aの下方には、支柱3を囲繞する支柱挿通孔22を有し、段部21aの上方には、固定部材4の膨径部46を軸心Pを中心に回転可能に収容する固定部材収容部24を有している。
【0041】
支柱挿通孔22は、フレーム2の径方向内側(中心側)に向かって切り欠かれた支柱挿通孔切欠部23が形成されている。支柱挿通孔22の内周面における、軸心Qを挟んでフレーム2の周方向における相対する二領域にはそれぞれ軸方向に延在する平行な支柱係合面22b、22bが形成され、該支柱係合面22b、22bとの間の一領域には、フレーム2の径方向内側(中心側)に向かって切り欠かれた支柱挿通孔切欠部23が形成され、軸心Qを挟んで支柱挿通孔切欠部23に対向する他領域には、支柱案内面22aが形成されている。支柱挿通孔切欠部23は、支柱挿通孔22の支柱係合面22b、22bから延設されて形成される。支柱挿通孔22の支柱係合面22b、22bの間隔は、支柱3の縮径面31、31の間隔よりも若干大きく形成される。支柱挿通孔22の支柱案内面22aの曲率は、固定部材4の挿通孔41の湾曲面43の曲率と略同一に形成されている。
【0042】
固定部材収容部24は、上部が開口し、固定部材4の膨径部46を収容するように略円錐台形状の内周面を有している。内周面は、固定部材4の膨径部46のテーパ面46aと略同じ傾きの収容部テーパ面24aを成している。固定部材収容部24におけるフレーム2の厚さ方向の長さ(軸心Qの軸方向長さ)が、固定部材4の膨径部46の軸心Pの軸方向長さと略同一の長さを有し、固定部材収容部24の上部開口部の径は、膨径部46の上部の径よりも若干大径に形成され、固定部材収容部24の底面(段部21a上面)の径は、膨径部46の底面の径よりも若干大径に形成されている。
【0043】
固定部材収容部24は、フレーム2の内側(中心側)に向かって切り欠かれた収容部切欠部25を有している。収容部切欠部25は、軸心Qからフレーム2の中心に向かう直線を挟んで相対する切欠部対向面25a、25aを有している。切欠部対向面25a、25aは、軸心Qの軸方向に延在し、互いに平行に形成されている。また、切欠部対向面25a、25aの間隔は、固定部材4の膨径部46の外側平面46b、46bの間隔よりも若干大きく形成され、且つ、膨径部46の上部の直径(テーパ面46aを含む仮想円錐台の上面の直径)よりも小さく形成されている。
【0044】
フレーム2の上面には、固定部材4の膨径部46を収容部切欠部25から固定部材収容部24に挿入してレバー部47を右回りに略90°回転したときに、レバー部47と当接する係止部としてのストッパ部26が形成されている。
【0045】
なお、フレーム2は、一体的に形成しても、また、別体的に形成しても良い。例えば、フレームを段部を境として上下に分けて、支柱挿通孔が形成される下側フレームと、固定部材収容部24が形成される上側フレームでフレームを形成しても良い。
【0046】
また、本実施の形態において、固定部材4は、フレーム2に着脱可能に形成しているが、予めフレーム2に組み込んで、着脱できないように形成するように構成しても良い。その場合、収容部切欠部や支柱挿通部切欠部は不要となる。
【0047】
次に、フレーム2と支柱3とを固定する手順について、図面を参照して説明する。図5は、支柱を固定部材に組付けた状態を示す(a)斜視図、(b)正面図、図6は、固定部材をフレームに組付けた状態を示す(a)斜視図、(b)正面図、図7は、固定部材をフレームにロックした状態を示す(a)斜視図、(b)正面図である。なお、以下に説明する手順は、一例を示すものであって、固定する手順は説明する手順に限られるものではない。
【0048】
先ず、図5に示すように、支柱3を固定部材4の切欠部44から挿通孔41に挿入する。その際、支柱3の縮径面31、31を固定部材4の内側平面42、42(係合凸部42a及び凹状部42bを含む)に対向する位置に合わせる。このとき、支柱3は、固定部材4に接触せずに(遊嵌した状態で)軸方向に沿って移動し得る。即ち、縮径面31、31は、係合凸部42aや内側平面42よりも径方向内側に位置するため、支柱3を固定部材4の挿通孔41に挿入した状態で、軸方向に変位させ得る。
【0049】
続いて、図6に示すように、支柱3を挿通孔41に挿入した状態で、固定部材4の膨径部46をフレーム2の収容部切欠部25から固定部材収容部24に挿入する。挿入する際、固定部材4の膨径部46の外側平面46b、46bを、フレーム2の収容部切欠部25の切欠部対向面25a、25aに対向した位置に合わせる。固定部材4の膨径部46が固定部材収容部24に挿入されると、膨径部46は、固定部材収容部24の底面(段部21a上面)上に設置され、さらに、膨径部46の挿入方向先端側のテーパ面46aが、固定部材収容部24の収容部テーパ面24aに面接触するように当接して、固定部材収容部24からの膨径部46の軸方向上方への抜け出しが一定程度防止される。固定部材4を固定部材収容部24に挿入するとき、支柱3は、フレーム2の支柱挿通孔切欠部23から支柱挿通孔22に挿入される。その際、支柱3の縮径面31、31は、フレーム2の支柱係合面22b、22bに対向する位置に合わされ、支柱3の縮径面31、31は、フレーム2の支柱係合面22b、22bとの間に遊嵌される。
【0050】
このように、固定部材4の膨径部46がフレーム2の固定部材収容部24に挿入された状態において、支柱3は、縮径面31、31がフレーム2の支柱挿通孔22の支柱係合面22b、22b間に遊嵌しているため、軸心Oを中心としたフレーム2に対する回転が規制される。また、支柱3は、その縮径面31、31が、フレーム2の支柱挿通孔22の支柱係合面22b、22b間と固定部材4の内側平面42、42間に遊嵌し、さらに、支柱3のリブ32及び凹径面33は、固定部材4の挿通孔41の湾曲面43とフレーム2の支柱挿通孔22の支柱案内面22aとの間に遊嵌することによって、支柱3は、固定部材4とフレーム2とにガイドされながら軸方向に移動し得る。即ち、支柱3が、固定部材4とフレーム2とによって形成された、支柱3の外形よりも若干大きな相似形に囲まれた略長円形状の孔内を軸方向に移動可能であるから、フレーム2を支柱3の軸方向所定位置に容易に移動し得る。
【0051】
フレーム2を支柱3の所望の軸方向位置に設定した後、図7に示すように、レバー部47をフレーム2のストッパ部26に当接するまで操作して固定部材4をフレーム2に対して90°相対回転すると、固定部材4に支柱3が固定されると共にフレーム2に固定部材4が固定されて、これにより、フレーム2が支柱3の軸方向所定位置に固定される。詳述すると、固定部材4をフレーム2に対して相対回転すると、支柱3はフレーム2に対して相対回転不能に支持されていることから、固定部材4が支柱3に対して周方向に相対回転し、これによって、支柱3のリブ32が固定部材4の凹状部42b内に入り込んで、リブ32と凹状部42bとが嵌合する。支柱3のリブ32の先端部32aが固定部材4の挿通孔41の内側平面42付近にきたとき、支柱3と固定部材4が係合して、回転抵抗が生じるがこれを越えて回転するとリブ32と凹状部42bとが嵌合する。このとき、固定部材4は、切欠部22を有して平面視で略C字状を成しているため、拡径するように変形が可能となっている。凹状部42bとリブ32とが嵌合したとき、固定部材4に対する軸方向の変位が規制される。即ち、固定部材4に対する支柱3の引抜き向き及び押込み向きの何れの向きに対しても、固定部材4と支柱3との相対変位が規制される。更に固定部材4の凹状部42bに支柱3のリブ32が嵌合したとき、固定部材4は、支柱3に対する所定の回転向きに沿った周方向の変位も規制される。従って、固定部材4が支柱3の軸方向所定位置に固定される。
【0052】
また、固定部材4のフレーム2に対する相対回転に伴って、固定部材4の膨径部46がフレーム2の固定部材収容部24内で軸方向に略90°相対回転すると、膨径部46は、その外側平面46bがフレーム2の径方向に沿う位置からフレーム2の周方向に沿う位置へと回転する。これにより、膨径部46の収容部切欠部25側に位置するテーパ面46aも固定部材収容部24内へと進入して、全てのテーパ面46aが収容部テーパ面24aと面接触可能な位置に位置することになり、膨径部46の固定部材収容部24に対する軸方向上方への抜け出しが防止される。即ち、フレーム2の支柱3に対する軸方向への変位が規制される。このとき、膨径部46の外側平面46bに沿う方向の最大長さは、収容部切欠部25の切欠部対向面25a、25a間の幅よりも大きいことから、膨径部46が固定部材収容部24の収容部切欠部25から抜け出すことがない。即ち、支柱3のフレーム2に対する径方向への変位が規制される。従って、固定部材4を介して支柱3がフレーム2の軸方向所定位置に固定される。
【0053】
レバー部47を逆方向(反時計方向)に90°回転すると、支柱3とフレーム2との係合が解除される。すなわち、レバー部47を逆方向(反時計方向)に90°回転すると、固定部材4が支柱3に対して相対回転して、リブ32が凹状部42bから抜け出して、リブ32と凹状部42bとの嵌合が解除される。その後、図6の状態に戻り、支柱3は、その縮径面31、31が、フレーム2の支柱挿通孔22の支柱係合面22b、22b間と固定部材4の内側平面42、42間に遊嵌し、さらに、支柱3のリブ32及び凹径面は、固定部材4の挿通孔41の湾曲面43とフレーム2の支柱挿通孔22の支柱案内面22aとの間に遊嵌することになり、再び、フレーム2を支柱3の軸方向所定位置に移動し得る。
【0054】
フレーム2と支柱とを固定する手順は、以上の手順に限られず、例えば、まず、フレーム2の固定部材収容部24に固定部材4を挿入し、次に、固定部材4の挿通孔41と、フレーム2の挿通孔21に、支柱3を挿入しても良い。
【0055】
以上の構成の創外固定器を人体に取り付ける方法の一例を以下に説明する。なお、以下に説明する方法は、一例を示すものであって、取り付ける方法は説明する方法に限られるものではない。
【0056】
図1に示すように、一対のフレーム2、2を四本の支柱3、3・・・で支持し、フレーム2と支柱3とは八個の固定部材4、4・・・によってそれぞれ固定されている。
【0057】
まず、創外固定器1のフレーム2、2に肢体を通し、治療部位が対向するフレーム2、2の間に位置するように凡その位置を特定して配置する。
【0058】
続いて、フレーム2と支柱3とのロックを解除したい箇所の固定部材4のレバー部47を操作してロックを解除し、フレーム2を支柱3の所望の軸方向位置に位置決めし、その後、レバー部47をフレーム2のストッパ部26に係合するまで回転操作してフレーム2と支柱3とをロックする。
【0059】
これにより、治療部位に合わせるようにフレーム2、2の間隔を調整することができる。
【0060】
以上に説明したように、本発明の第一の実施形態の創外固定器は、簡易な構造によって、フレームを支柱の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)可能で、且つ、簡単な操作で該位置決めされた場所で確実に固定することができる。
【0061】
次に、本発明の固定構造をフレームラックに応用してなる第二の実施形態を図8を参照して説明する。図8は、本発明の固定構造が適用されるフレームラックを示す斜視図である。
【0062】
図8に示すように、フレームラック100は、二つの棚板200、200を有し、該棚板200、200は、四本の棒状体としての支柱300、300・・・によって支持されている。棚板200は、二つに限られず、一つ或いは三つ以上であってもよい。また、支柱3は、三本以下或いは五本以上であってもよい。棚板200と支柱300とは固定部材400を介して連結されており、固定部材400を操作することで、棚板200を支柱300の軸方向所定位置に位置決めすると共に固定可能になっている。
【0063】
第二の実施形態における、棚板200、支柱300、固定部材400が、第一の実施形態における、フレーム2、支柱3、固定部材4に対応する。第一の実施形態とは、棚板200が、略矩形の板状に形成される点、段付挿通孔が棚板200の四隅にのみ形成されており、且つ外側に切欠部を有している点で相違する。
【0064】
棚板200の支柱300に対する軸方向の高さ調整は、まず、高さ調整を行う棚板200の四隅のレバー部を90°逆方向(反時計方向)に回転して固定部材と支柱300とのロックを解除し、次に、棚板200を支柱の所望の軸方向位置に移動し、その状態で、四隅のレバー部をストッパ部材に係合するまで90°回転して固定部材と支柱300をロックして、棚板200の高さ調整を終了する。なお、上述した高さ調整方法は、一例を示すものであって、これに限られるものではない。
【0065】
以上の構成によって、第二の実施形態においても、簡易な構造によって、棚板を支柱の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)可能で、且つ、簡単な操作で該位置決めされた場所で確実に固定することができる。
【0066】
なお、第一の実施形態及び第二の実施の形態においては、棒状体としての支柱を略垂直方向に設置して使用する構造体に適用する例を説明したが、棒状体を略水平方向に設置して使用しても良い。例えば、本棚の左右に立設する板が被軸支部材を成し、該板間に棒状体を略水平に設置して使用するように構成しても良い。
【0067】
次に、図9を参照して第一の実施形態における固定部材とフレームの第一の変形例を示す。図9は、第一の変形例に係る固定部材を示す(a)前方斜視図、(b)後方斜視図及びフレームの一部を示す(c)斜視図、(d)(c)におけるA-A断面図である。
【0068】
図9で使用される符合は、基本的には、第一の実施形態の固定部材とフレームの対応する部位の符号に「A」を付したものである。第一の実施の形態とは、固定部材の膨径部の形状及びこれに対応するフレームの固定部材収容部の形状が相違している。
【0069】
具体的には、固定部材4Aの外周の下部側に形成される膨径部46Aは、上方が上部側の円柱部45Aから連なって成り、下方が上部側の円柱部45Aよりも大径の大径凸部46Aaを成している。膨径部46Aは、第一実施形態と同様に、軸心Pを挟んで相対する所定の二領域に外側平面46Ab、46Abが互いに平行になるように形成されている。
【0070】
フレーム2Aの固定部材収容部24Aは、上部が円柱部45Aよりも若干大きな径に開口し、下方には、固定部材4Aの膨径部46Aの大径凸部46Aaを収容するように上部開口よりも大径となる凹状の溝が周方向に亘って内周に形成され収容部凹溝部24Aaを成している。収容部凹溝部24Aaの軸方向の高さは、大径凸部46Aaの軸方向の高さよりも若干高く形成されている。収容部凹溝部24Aaの径は、大径凸部46Aaの径よりも若干大径に形成されている。
【0071】
その他の構成については、第一の実施形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0072】
以上のような構成を有するため、第一の実施形態と同様の手順で、固定部材4Aをフレーム2Aの固定部材収容部24Aへと収容し、レバー部47Aを操作して固定部材4Aをフレーム2Aに対して90°相対回転すると、膨径部46Aの全ての大径凸部46Aaが、固定部材収容部24Aの収容部溝部24Aa内へと進入した状態となり、膨径部46Aの固定部材収容部24Aに対する軸方向上方への抜け出しが防止される。
【0073】
これによって、第一の変形例においても第一の実施形態と同様の効果を生ずる。
【0074】
図10、11を参照して第一の実施形態における固定部材とフレームの第二、第三の変形例を示す。図10は、第二の変形例に係る(a)固定部材を示す斜視図、(b)フレームの一部を示す斜視図である。図11は、第三の変形例に係る(a)固定部材を示す斜視図、(b)フレームの一部を示す斜視図である。
【0075】
図10、11で使用される符合は、基本的には、第一の実施形態の固定部材とフレームの対応する部位の符号にそれぞれ「B」、「C」を付したものである。 第一の実施形態との相違点は、第一の実施形態が、固定部材4の膨径部46の外側平面46Abとこれに対応するフレーム2の収容部切欠部25の切欠部対向面25aとが何れも平面状に形成されているのに対し、第二、第三の変形例では、何れか一方が湾曲凸条、他方が湾曲凹溝で形成されている点である。
【0076】
第二の変形例は、図10に示すように、固定部材4Bは、第一の実施形態における外側平面46bに対応する位置に上下における中間付近が膨らんだ湾曲凸条に形成される外側面46Bbが形成され、フレーム2Bは、第一の実施形態における切欠部対向面25に対応する位置に、外側面46Bbの湾曲凸状に対応して、上下における中間付近が凹んだ湾曲凹溝に形成される切欠部対向面25Baが形成される。
【0077】
また、第三の変形例は、図11に示すように、固定部材4Cは、第一の実施形態における外側平面46bに対応する位置に上下における中間付近が凹んだ湾曲凹溝に形成される外側面46Cbが形成され、フレーム2Cは、第一の実施形態における切欠部対向面25に対応する位置に、外側面46Cbの湾曲凹溝に対応して、上下における中間付近が膨らんだ湾曲凸条に形成される切欠部対向面25Cが形成される。
【0078】
以上のような構成により、第一の実施形態と同様の効果を生じ、さらに、固定部材4B(4C)の膨径部46B(46C)をフレーム2B(2C)の収容部切欠部25B(25C)から固定部材収容部24B(24C)に挿入する際、外側面46Bb(46Cb)が切欠部対向面25B(25C)と凹凸嵌合して上下方向の位置が規制されて、確実に固定部材4B(4C)が固定部材収容部24B(24C)の所定位置に案内されるという効果を生ずる。なお、固定部材の外側面とフレームの切欠部対向面は、第二、第三の実施例のような凹凸面に限られず、外側面が切欠部対向面に案内されながら通過可能であれば、波型形状やジグザグ形状等であっても良い。
【0079】
次に、第四の変形例を図2図12に示す。第四の変形例は、固定部材と支柱とを螺合可能に構成することによって、固定部材を回動することで、固定部材4の支柱3に対する軸方向相対位置を変位することで、フレーム2を支柱3の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)できるようにしている点で第一の実施形態と相違する。
【0080】
支柱3は、基本的には、第一の実施形態で説明したものと同一のものである。すなわち、先に図2を用いて説明したように、軸心Oを挟んで相対する外周の湾曲面における二領域それぞれに、リブ32及び凹径面33が軸方向に交番して列設され、一領域に配置されるリブ32と他領域に配置されるリブ32同士及び一領域に配置される凹径面33と他領域に配置される凹径面33同士が、軸方向位置において段違いになるように設定されている。
【0081】
ここで、リブ32が仮想的な螺旋条(以下「仮想螺旋条」を構成し、凹径面33が仮想的な螺旋溝(以下「仮想螺旋溝」という)を構成している。
【0082】
図12に示すように、固定部材4Dは、挿通孔41Dの切欠部44Dを除いた内周面に、右ねじである雌ねじ螺旋条42Daが形成される。隣接する螺旋条と螺旋条との間に雌ねじ螺旋溝42Dbが凹設される。雌ねじ螺旋条42Da及び雌ねじ螺旋溝42Dbは、内側平面42D、42Dのみならず、湾曲面43D側にも一連に形成されている。右ねじである雌ねじ螺旋条42Da及び雌ねじ螺旋溝42Dbは、それぞれ支柱3の仮想螺旋溝及び仮想螺旋条と螺合可能となっている。なお、図12で使用される符合は、基本的には、第一の実施形態の固定部材の対応する部位の符号に「D」を付したものである。
【0083】
フレーム2と支柱3とを固定する手順について、以下に説明する。
【0084】
第一の実施形態とは固定部材の構成が異なっているが、説明の便宜上、図5図6図7を参考として使用する。
【0085】
まず、固定部材4Dを支柱3における凡その軸方向所望位置に合わせ、支柱3を固定部材4Dの挿通孔41Dへと切欠部44Dから挿入する(図5のような状態となる)。挿入する際、第一の実施形態と同様に、支柱3の縮径面31、31は、固定部材4Dの内側平面42D、42Dと対向する位置に合わされる(内側平面42D、42Dは、図5における42、42に対応する)。
【0086】
支柱3が固定部材4Dの挿通孔41Dに挿入されると、支柱3のリブ32及び凹径面33が、固定部材4Dの湾曲面43D側(挿通孔41Dの奥側)の雌ねじ螺旋条42Da及び雌ねじ螺旋溝42Dbと係合し、これによって、固定部材4Dと支柱3との軸方向への相対移動が規制されて、支柱3に対する固定部材4の凡その所望の軸方向位置への位置決めが成される。
【0087】
続いて、支柱3を挿通孔41Dに挿入した状態で、固定部材4Dの膨径部46Dを、フレーム2の収容部切欠部25から固定部材収容部24に挿入すると共に、支柱3を、フレーム2の支柱挿通孔切欠部23から支柱挿通孔22に挿入する(図6のような状態となる)。挿入する際、第一の実施形態と同様に、固定部材4Dの膨径部46Dの外側平面46Db、46Dbは、フレーム2の収容部切欠部25の切欠部対向面25a、25aと対向する位置に合わされ、支柱3の縮径面31、31は、フレーム2の支柱係合面22b、22bに対向する位置に合わされる。これにより、支柱3の縮径面31、31は、フレーム2の支柱係合面22b、22bと遊嵌して、支柱3の軸心Oを中心としたフレーム2に対する回転が規制される。
【0088】
固定部材4Dの膨径部46Dが固定部材収容部24に挿入されると、膨径部46Dは、固定部材収容部24の底面(段部21a上面)上に設置されると共に、膨径部46Dの挿入方向先端側のテーパ面46Daが、固定部材収容部24の収容部テーパ面24aに面接触するように当接して、膨張部46Dの固定部材収容部24からの軸方向への抜け出しが防止される。これによって、フレーム2の支柱3に対する軸方向への移動が規制される。
【0089】
その後、固定部材4Dのレバー部47Dをフレーム2のストッパ部26に当接するまで操作して、固定部材4Dをフレーム2に対して略90°相対回転すると、支柱3とフレーム2とは縮径面31、31と支柱係合面22b、22bとが遊嵌することから相対回転不能とされていることから、固定部材4Dが支柱3に対して周方向に相対回転し、これによって、固定部材4Dの内側平面42D、42Dの雌ねじ螺旋条42Da及び雌ねじ螺旋溝42Dbが、支柱3の外周湾曲面の二領域にそれぞれ設けられるリブ32及び凹径面33からなる仮想螺旋溝及び仮想螺旋条と螺合して、固定部材4Dと支柱3との軸方向への相対移動がより強固に規制される。
【0090】
このとき、固定部材4Dの膨径部46Dも、フレーム2に対して略90°相対回転して、膨径部46Dの外側平面46Dbがフレーム2の径方向に沿う位置からフレーム2の周方向に沿う位置へと回転する(図7のような状態)。第一の実施形態と同様に、膨径部46Dの外側平面46Dbに沿う方向の最大長さは、収容部切欠部25の切欠部対向面25a、25a間の幅よりも大きく設定されることから、膨径部46Dの収容部切欠部25からの抜け出しが防止される。また、膨径部46Dの収容部切欠部25側に位置するテーパ面46Daも固定部材収容部24内へと進入して、全てのテーパ面46Daが収容部テーパ面24aと面接触するため、膨径部46Dの固定部材収容部24に対する軸方向への抜け出しが確実に防止される。従って、固定部材4Dを介してフレーム2が支柱3の軸方向における凡その所望の位置に固定される。
【0091】
次に、フレーム2を支柱3の所望の軸方向位置に設置する手順を示す。
【0092】
レバー部47Dを右回り(ストッパ部26側)に操作して、ストッパ部26を乗り越えさせて、固定部材4Dを支柱3を中心として右回りに1回転して再びストッパ部26に当接するまで移動すると、フレーム2は、支柱3に対して一ピッチ分(リブ32のピッチ=1mm)下降する。逆に、固定部材4Dを支柱3を中心として左回りに1回転すると、フレーム2は、支柱3に対して一ピッチ分(リブ32のピッチ=1mm)上昇する。
【0093】
以上に説明したように、固定部材4Dの切欠部4Dから支柱3を挿入して支柱3の凡その所望の軸方向位置への位置決めができ、さらに、固定部材4Dを支柱3を中心として回動して、支柱3を上下動することによって、固定部材4Dを支柱3の所望の軸方向位置への位置決めができる。このように、フレーム2を支柱3の所望の軸方向位置にすばやく設置(位置決め)することができる。
【0094】
図13(a)に示すように、フレーム2Dは、ストッパ部26D、26Dがレバー部47D(47)を挟んで保持するように2つ形成されるようにしても良い。ストッパ部26Dの高さは、固定部材4D(4)に一定の回動力を加えることで乗り越えられるが、ちょっとした衝撃や振動では乗り越えられない程度に設定する。また、ストッパ部26Dの上面を面取りして、例えば角Rに形成することによって、レバー部47D(47)が乗り越えやすくすることができる。
【0095】
また、図13(b)に示すように、フレーム2Eは、ストッパ部26Ea、26Eaがレバー部47D(47)を挟んで保持するように2つ形成されると共に、更に、固定部材収容部24Eを挟んで反対側の上面にもストッパ部26Eb、26Ebがレバー部47D(47)を挟んで保持するように2つ形成されるようにしても良い。このように構成することによって、レバー部47D(47)は、半回転毎にストッパ部26Ea、26Ea間及び26Eb、26Eb間とで保持することができるので、フレーム2Eを支柱3に対して半ピッチ毎(0.5mm毎)に調整することが可能となる。なお、図13(b)では、説明の便宜上、レバー部47D(47)を2つ記載している。
【0096】
ストッパ部の配置位置は、上記の例に限られず、フレーム上であればレバー部がどの角度で係止される位置であっても良い。また、ストッパ部の数は、上記のような2つまたは4つに限られず6つ以上であっても良い。
【0097】
また、第四の変形例では、固定部材4Dの挿通孔の内周面に、右ねじである雌ねじ螺旋条及び雌ねじ螺旋溝を形成する例を示したが、左ねじである雌ねじ螺旋条及び雌ねじ螺旋溝を形成するようにしても良い。その場合、第四の変形例とは逆に、固定部材を右回りに回転すると、フレーム2は支柱に3に対して上昇し、固定部材を左回りに回転すると、フレーム2は支柱に3に対して下降するようになる。
【0098】
さらに、支柱は、図14に示すように、一種類の右ねじのみの雄ねじ螺旋条及び雄ねじ螺旋溝が形成されるように構成しても良い。なお、図12で使用される符合は、基本的には、第一の実施形態の支柱の対応する部位の符号に「A」を付したものであるが、32Aは、リブとしての雄ねじ螺旋条であり、33Aは、右ねじである雄ねじ螺旋溝である。勿論、支柱には、右ねじに代えて、一種類の左ねじのみの雄ねじ螺旋条及び雄ねじ螺旋溝が形成されるように構成してもよい。
【0099】
支柱3(3A)は、外周の湾曲面の二領域における軸方向全体に亘って連続的に、仮想螺旋条お及び仮想螺旋溝(雄ねじ螺旋条及び雄ねじ螺旋溝)を形成するようにしているが、軸方向における特定の箇所に断続的に形成するようにしても良い。
【0100】
以上に本発明の実施例を説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0101】
1 創外固定器
2 フレーム(被軸支部材)
21 段付挿通孔
26 ストッパ部
3 支柱(棒状体)
31 縮径面
32 リブ
33 凹径面
4 固定部材
41 挿通孔
42a係合凸部
42b凹状部
46 膨径部
47 レバー部
5 固定構造
100フレームラック
200棚板(被軸支部材)
300支柱(棒状体)
400固定部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14