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特開2023-26386アブレーション処置で形成された病変の評価
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026386
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】アブレーション処置で形成された病変の評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20230216BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20230216BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B34/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127838
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】17/400,414
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK07
4C160KK70
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】血管のアブレーション処置で形成された病変の形状及び連続性を評価するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】方法は、(i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセットを受信することを含む。選択された3Dセクションが2次元(2D)マップに変換され、2Dマップ上で、病変のセットが指定された輪郭を覆っているかどうかがチェックされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
(i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)前記選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセット、を受信するように構成されたインターフェースと、
(i)前記選択された3Dセクションを2次元(2D)マップに変換し、(ii)前記2Dマップ上で、前記病変のセットが前記指定された輪郭を覆っているかどうかをチェックするように構成されているプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記インターフェースが、前記2Dマップ上の開始点を受信するように構成され、前記プロセッサが、受信された前記開始点から始まる前記指定された輪郭を覆う連続アブレーション領域を見出そうとするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記2Dマップを表示するように構成された出力デバイスを備え、前記プロセッサが、前記2Dマップ上に、前記病変のセットを示す記号のセットを提示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、少なくとも2つの隣接する記号に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることにより、前記病変のセットの連続性をチェックするように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記記号のセットが、2Dグラフィック表現を有し、前記プロセッサが、前記2Dマップ及び前記記号のセットの前記2Dグラフィック表現を、前記2Dグラフィック表現を3Dグラフィック表現に変換させた3Dマップに変換し、前記3Dグラフィック表現を前記3Dマップ上に表示するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記指定された輪郭が閉ループを含み、前記プロセッサが、前記病変のセットが前記閉ループを覆っていることを検証するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
(i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)前記選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセットを受信することと、
前記選択された3Dセクションを2次元(2D)マップに変換することと、
前記2Dマップ上で、前記病変のセットが前記指定された輪郭を覆っているかどうかをチェックすることと、を含む、方法。
【請求項8】
前記2Dマップ上でチェックすることが、前記2Dマップ上の開始点を受信することと、受信された前記開始点から始まる前記指定された輪郭を覆う連続アブレーション領域を見出そうとすることと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記2Dマップ上に、前記病変のセットを示す記号のセットを提示することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記2Dマップ上でチェックすることが、少なくとも2つの隣接する記号に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることにより、前記病変のセットの連続性をチェックすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記記号のセットが、2Dグラフィック表現を有し、前記2Dマップ及び前記記号のセットの前記2Dグラフィック表現を3Dマップに変換することを含み、前記3Dマップが、前記2Dグラフィック表現を3Dグラフィック表現に変換させて前記3Dマップ上に表示させる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記指定された輪郭が閉ループを含み、前記2Dマップ上でチェックすることが、前記病変のセットが前記閉ループを覆っていることを検証することを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療システムにおけるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)、特に血管のアブレーション処置で形成された病変の形状及び連続性を評価するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
肺静脈(PV)隔離などの組織アブレーションで生成された病変を提示及び評価するための様々な技術が公開されている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2020/0107877号は、病変形成を示すグラフィック出力の評価及び便利な表示を容易にし、病変形成を示すデータを3Dマッピングシステムに出力して3Dモデル上に表示するためのシステム及び方法を記載している。
【0004】
米国特許出願公開第2020/0245885号は、患者の心臓における心律動障害の発生源の位置を検出するためのシステム、デバイス、構成要素、及び方法を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、(i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセットを受信することを含む、方法を提供する。選択された3Dセクションは2次元(2D)マップに変換され、2Dマップ上で、病変のセットが指定された輪郭を覆っているかどうかがチェックされる。
【0006】
いくつかの実施形態では、2Dマップ上でチェックすることが、2Dマップ上の開始点を受信することと、受信された開始点から始まる指定された輪郭を覆う連続アブレーション領域を見出そうとすることと、を含む。別の実施形態では、本方法は、2Dマップ上に、病変のセットを示す記号のセットを提示することを含む。更に他の実施形態では、2Dマップ上でチェックすることが、少なくとも2つの隣接する記号に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることにより、病変のセットの連続性をチェックすることを含む。
【0007】
一実施形態では、記号のセットが、2Dグラフィック表現を有し、本方法は、2Dマップ及び記号のセットの2Dグラフィック表現を、2Dグラフィック表現を3Dグラフィック表現に変換させた3Dマップに変換し、3Dグラフィック表現を3Dマップを3Dマップ上に表示することを含む。別の実施形態では、指定された輪郭は閉ループを含み、2Dマップ上でチェックすることは、病変のセットが閉ループを覆っていることを検証することを含む。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、インターフェースと、プロセッサと、を含むシステムが追加的に提供される。インターフェースは、(i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセット、を受信するように構成されている。プロセッサは、(i)選択された3Dセクションを2次元(2D)マップに変換し、(ii)2Dマップ上で、病変のセットが指定された輪郭を覆っているかどうかをチェックするように構成されている。
【0009】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステムの概略描画図である。
図2】本発明の一実施形態による、2次元(2D)マップに提示される、患者の心臓の選択された3次元(3D)セクションと、2Dマップ上に提示される病変のセット及び指定された輪郭とを示す概略描画図である。
図3】本発明の一実施形態による、組織アブレーションに形成された病変のセットが特定の輪郭を覆うかどうかをチェックするための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概論
アブレーション処置は、典型的には、例えば、器官を横切る電気生理学的(EP)波の伝播を遮断するように、患者の器官の組織内の所定位置に病変を生成することを目的とする。組織をアブレーションした後、病変が連続的であり、所望のサイズ及び形状を有し、EP波を遮断することを検証することが重要である。
【0012】
肺静脈(PV)又は患者の心臓に連結された別の血管などの管状組織をアブレーションするとき、病変の特性及び有効性の評価は困難である。具体的には、PV隔離手順は、患者の心臓の不整脈を防止又は最小化するように、PVの内周に沿ってリング形状の連続病変を生成することを意図している。したがって、PV隔離における病変の特性及び有効性の評価及び/又は検証は、患者の安全性にとって非常に重要である。
【0013】
以下に記載される本発明の実施形態は、指定された輪郭に従ってアブレーションされている組織内に形成された1つ以上の病変のセットが、指定された輪郭を覆っている(例えば、位置合わせされている)かどうかをチェックするための改善された技術を提供する。より具体的には、PV隔離処置において、病変のセットがPVの内周に沿って連続リングを形成しているかどうかをチェックすることである。
【0014】
原則として、心臓及びPV(複数可)の3次元(3D)解剖学的マップに病変を表示することが可能である。しかしながら、3D器官において、特にPV又は任意の他の血管などの管状器官において、PVの内周に沿って形成された病変のセットの連続性を確認することは困難である。
【0015】
いくつかの実施形態では、インターフェース、プロセッサ、及びディスプレイを備えるシステムは、PV隔離処置において、病変のセットがPVの内周に沿って連続リングを形成するかどうかをチェックする際に医師を支援するように構成されている。インターフェースは、特定の輪郭に従ってアブレーションされ、医師によって選択されている、少なくともPVの3Dセクションを受信するように構成されている。インターフェースは、選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセットを受信するように更に構成されている。指定された輪郭は、アブレーション計画中に医師によって生成され得る、又はPVの内周上に生成された任意の種類の連続リングであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、選択された3Dセクションを2次元(2D)マップに変換し、2Dマップ上に、病変のセットを示す記号のセットを提示するように構成されている。2Dマップ及び記号のセットは、ディスプレイ、又はプロセッサに接続された任意の他の適切な出力デバイス上に表示される。本実施例では、プロセッサは、各アブレーション点におけるアブレーションのパラメータ(例えば、エネルギー、持続時間、及び他のパラメータ)を有し、それにより、記号のセットは、アブレーションされた組織の各点で病変が形成される領域を示す、対応する円形(又は楕円形)形状のセットを含む。他の実施形態では、プロセッサは、病変を示す任意の他の好適なタイプの記号を使用し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、インターフェースは、記号(例えば、円形形状)のセットが指定された輪郭を覆うかどうかをチェックするために、2Dマップ上の開始点を医師から受信するように構成されている。一実施形態では、プロセッサは、インターフェースを介して医師から受信した開始点から始まる指定された輪郭を覆う連続アブレーション領域を見出そうとするように構成されている。
【0018】
他の実施形態では、プロセッサは、医師なしで自動的に開始点を選択する、及び/又は開始点を医師に推奨するように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、少なくとも2つの隣接する記号(例えば、円形形状)に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることによって、病変のセットの連続性をチェックするように構成されている。そのような実施形態では、PVの内周に沿って閉ループを一緒に生成する一連の重なり合う円形形状は、PVの所望の隔離を取得し、PVの組織を通る前述のEP波の伝播を防止するための連続病変を示す。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、病変の不連続性を検出するように構成され、アラームを生成する、及び/又は不連続性を医師(又はシステムの任意の他のユーザ)に表示することができる。更に、検出された不連続性に基づいて、プロセッサは、連続病変を生成し、PVの所望のEP隔離を得るために、1つ以上の追加点でアブレーションを実行するように医師に推奨するように構成されている。
【0021】
開示された技術は、特に肺静脈などの血管のアブレーションにおいて、アブレーション処置で生成される病変の質を改善する。更に、開示された技術は、アブレーション処置の結果を検証するために必要な時間を短縮する。
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステム20の概略描画図である。
【0023】
いくつかの実施形態では、システム20は、本実施例では心臓カテーテルであるカテーテル22と、制御コンソール24と、を備える。本明細書に記載の実施形態では、カテーテル22は、以下に詳細に記載するように、例えば、限定するものではないが、電気生理学的(EP)信号の検知、心臓26の組織の電気解剖学的(EA)マッピングの実行、及び心臓26の組織のアブレーションなど、任意の好適な治療及び/又は診断目的のために使用され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、カテーテル22を介して信号を受信するのに好適であり、かつ本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するのに好適である、フロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ34を含む。いくつかの実施形態では、コンソール24は、プロセッサ34とシステム20の他の実体との間で信号を交換するように構成されるインターフェース回路38を備える。コンソール24は、プロセッサ34から心臓26のマップ27及び他のグラフィカル表示を受信し、かつマップ27及びグラフィカル表示を表示するように構成されたユーザディスプレイ35を更に備える。追加的又は代替的に、システム20は、マップ27及び以下に記載される他のグラフィック要素をシステム20のユーザに表示するように構成された任意の他の適切な出力デバイスを含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、マップ27は、任意の好適な技術を使用して生成された任意の好適な種類の2次元(2D)又は3次元(3D)解剖学的マップを含み得る。例えば、解剖学的マップは、好適な医療用撮像システムを使用することによって生成された解剖学的画像を使用して、又はBiosense Webster inc.(Irvine,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムで利用可能な高速解剖学的マッピング(FAM)技術を使用して、又は任意の他の好適な技術を使用して、又は上記の任意の好適な組み合わせを使用して生成され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、マップ27は、3D解剖学的又は電気解剖学的マップを含んでもよく、医師がマップ27内のセクションを選択した後、プロセッサ34は、以下の図2に詳細に記載されるように、選択されたセクションを2Dマップに変換するように構成されている。
【0027】
ここで、挿入図23を参照する。いくつかの実施形態では、アブレーション処置を実行する前に、医師30は、心臓26の当織の電気解剖学的マッピングを実行するために、テーブル29に横たわる患者28の脈管系を通じてカテーテル22を挿入する。
【0028】
いくつかの実施形態では、組織アブレーションを実行した後、医師30は、アブレーションされた組織のEAマップを生成するために、カテーテル22の1つ以上の電極55(以下に詳細に記載)を組織と接触させ得る。その後、医師30は、アブレーション衝撃及びアブレーションされた組織の状態を評価するために、生成されたEAマップを使用する。
【0029】
いくつかの実施形態では、カテーテル22は、バルーン70を有する遠位端アセンブリと、本明細書ではラッソー44と称されるラッソー形状アセンブリとを備える。本実施例では、バルーン70は、1つ以上のアブレーションパルスを組織に印加するように構成されたアブレーション電極(図示せず)を有し、バルーン70に遠位に取り付けられたラッソー44は、複数の検知電極55を有する。本開示及び特許請求の文脈において、ラッソー44の電極55を指す用語「電極」及び「検知電極」は互換的に使用される。非検知電極は、本明細書では、以下で詳細に説明するように、バルーン70に結合された「アブレーション電極」と称される。
【0030】
いくつかの実施形態では、心臓26の組織におけるEP信号、例えば心電図(ECG)信号の検知に応答して、各検知電極55は、検知されたEP信号を示す1つ以上の信号を生成するように構成されている。挿入図23に示される例では、医師30は、患者28の心臓26と肺(図示せず)との間で血液を伝達する肺静脈(PV)51に遠位端アセンブリを挿入する。アブレーション処置は、典型的には、(i)ラッソー44を使用した第1のEAマッピング、(ii)バルーン70の電極を使用する組織アブレーション、及び(iii)ラッソー44を使用した第2のEAマッピング、の少なくとも3つの工程を必要とする。ラッソー44及びバルーンは両方とも拡張可能であり、それらの電極のうちの1つ以上をPV51の組織と接触させるように構成されている。これらの工程は、以下でより詳細に記載する。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のEAマッピングに基づいて、医師30は、組織アブレーションを実行することを意図した1つ以上の位置を決定する。組織のアブレーション後、医師30は、アブレーションが患者心臓26の不整脈を治療するための所望の結果を得たかどうかをチェックするための第2のEAマッピングを実行する。
【0032】
ここで、PV51と、PV51の長手方向軸59に沿って挿入されたラッソー44とを示す側面図である挿入図57を参照する。PV51の組織をアブレーションするように構成され、かつラッソー44の近位でカテーテル22に結合されているバルーン70は、挿入図57には示されていないことに留意されたい。
【0033】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、インターフェース38を介して、又は直接的に、特に、(i)典型的には、医師30によって指定される組織アブレーションの輪郭、(ii)指定された輪郭に従って(以下に記載される位置追跡システムを使用して)、組織と接触して配置されるバルーン70の各アブレーション電極の位置、及び(iii)アブレーション中に組織に印加されるアブレーションパルスの選択されたパラメータ、を含むデータセットを受信する。選択されたパラメータは、アブレーションパルスのエネルギー、アブレーションパルス(複数可)の持続時間、及びアブレーション電極の各々とアブレーションされる組織との間に印加される接触力を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、データセットに基づいて、プロセッサ34は、以下の図2及び図3により詳細に説明するように、病変のセットが医師30によって指定された輪郭を覆っているかどうかをチェックし、任意選択で提示するように構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、アブレーション処置中、医師30は、上述の検知及び組織アブレーション活動を実行するように、PV51の開口部54を通じてラッソー44を挿入する。医師30は、ラッソー44を長手方向軸59に沿って移動させ、所望の位置を取得するとき、医師30は、ラッソー44を拡張するためのマニピュレータ32を使用して、ラッソー44の1つ以上の電極55をPV51の内壁セクション62の表面と接触して配置する。本開示の文脈において、内壁セクションという用語は、PV51の内壁の長手方向軸59に沿って延在する環状セクションを指す。
【0036】
以下、ラッソー44の上面図である挿入図50を参照する。いくつかの実施形態では、ラッソー44は、(i)マニピュレータ32によって制御され、(a)PV51の内壁セクション62の表面に適合するように拡張し、(b)患者28の心臓26及び血管系内でラッソー44を移動させるように圧潰するように構成されている、可撓性アーム52と、(ii)アーム52に結合され、かつ(本実施例では)EP信号を検知する、及び/又はPV51の内壁セクション62の表面をアブレーションするように構成された複数の電極55、を備える。電極55は、EP信号を検知するように構成され、バルーン70の電極(図示せず)は、PV51の内壁セクション62の組織にアブレーションパルスを印加するように構成されていることに留意されたい。
【0037】
ここで再び挿入図23を参照する。いくつかの実施形態では、医師30は、シース25を通じてカテーテル22を挿入し、マニピュレータ32を使用して、カテーテル22を操作し、PV51の開口部54に近接してラッソー44及びシース25の遠位端を位置決めする。その後、医師30は、マニピュレータ32を使用して、シース25を後退させ、バルーン70及びラッソー44をPV51内の所望の位置に露出及び移動させる。第1のEAマッピングの間、医師30は、電極55の少なくともいくつかをPV51の内壁セクション62の表面と接触して配置するように、マニピュレータ32を適用してアーム52を拡張させる。PV51内のバルーン70及びラッソー44の位置決めは、以下で詳細に説明される位置追跡システムを使用して実行されることに留意されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、PV51の所望の位置(複数可)にラッソー44を位置決め及び拡張した後、医師30は、組織アブレーションを計画及び実行する前に第1のEAマッピングを実行する。第1のEAマッピングに基づいて、プロセッサ34は、ディスプレイ35上に第1のEAマップを生成及び表示し、第1のEAマップに基づいて、医師30は、PV51の内壁セクション62に沿ってアブレーション部位(複数可)を定義し得ることに留意されたい。本実施例では、アブレーション処置は、上述の第1のEAマッピングに基づいて医師30によって定義された標的位置で、PV51の内壁セクション62の組織がバルーン70の電極によってアブレーションされるPV隔離処置を含む。PV隔離は、PV51の内壁セクション62の組織を通る及び/又は組織に沿ったEP波の伝播を防止する又は(例えば、所定閾値未満まで)最小化するように、組織に病変を形成することを意図している。いくつかの例示的な実施形態では、ラッソー44は、マッピング及びアブレーションの両方のために操作される。任意選択で、同じ電極55は、マッピングとアブレーションを交互に行うように構成されている。任意選択で、ラッソー44は、アブレーション用の1つ以上の専用電極、例えば、電極55以外の1つ以上の電極を含む。任意選択で、ラッソー44がマッピング及びアブレーションの両方のために操作されるとき、バルーン70は必要とされない。
【0039】
言い換えれば、「PV隔離」という用語は、PV51の壁を通って及び/又は壁に沿って伝播するEP波の遮断を指す。
【0040】
いくつかの実施形態では、典型的には組織をアブレーションした後に実行される第2のEAマッピングでは、医師30は、ラッソー44を長手方向軸59に沿って移動させ、アブレーション部位でEP信号を検知するためにラッソー44を拡張する1つ以上の位置、及び典型的には、PV51に沿った追加の位置を選択する。本実施例では、アブレーションパルスは、開口部54に近接して又は直接位置する内壁セクション62の組織に印加され、第2のEAマッピングは、長手方向軸59に沿った、開口部54とPV51内約2cmとの間の複数の位置で実行される。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2のEAマッピングを実行するとき、医師30は、アブレーションされたPV51の1つ以上の品質測定値をチェックする。1つの例示的な品質測定値は、それぞれの電極55によって検知されたEP信号(例えば、電圧)の振幅を含み得る。検知されたEP信号は、PV51のアブレーション部位におけるEP波の伝播又は遮断のいずれかを示す。言い換えれば、第2のEAマッピングは、アブレーションがPV51の所望の電気的絶縁を得たかどうかをチェックする。
【0042】
いくつかの実施形態では、アブレーションが所望のレベルのPV隔離を得た場合、医師30は、ラッソー44をPV51から引き出し、ラッソー44をシース25に挿入し、カテーテル22を患者28の身体から引き出すことによってアブレーション処置を終了する。検知されたEP電圧の振幅が、内壁セクション62に沿った1つ以上の位置における所定閾値よりも大きい場合、医師30は、検知されたEP電圧の振幅によって、又は任意の他の適切な測定されたパラメータによって測定される所望のレベルのPV隔離を得るために、追加のアブレーションセッションを実行する必要があり得る。バルーン70を使用して組織アブレーションを実施した後、医師30は、典型的には、所望のレベルのPV隔離が得られたことを確認するために、第2のEAマッピングを繰り返す。
【0043】
再度図1の概略図を参照する。いくつかの実施形態では、カテーテル22の近位端は、EP検知された信号をコンソール24のメモリ(図示せず)に移送及び保存するために、特に、インターフェース回路(図示せず)に接続され、これにより、プロセッサ34は、EAマッピングを実行するために記憶されたEP信号を使用することができる。いくつかの実施形態では、検知されたEP信号に基づいて、プロセッサ34は、前述の2D及び/又は3Dマップを医師30に(例えば、ディスプレイ35上に)提示するように構成されている。更に、プロセッサ34は、2D又は3Dマップ上に、上記の1つ以上の品質測定値を示すグラフィック表示、及び/又はアブレーション処置中に組織内に形成された1つ以上の病変に関連する他のパラメータを示す別のグラフィック表示を提示するように構成されている。例示的なグラフィック表示の実施形態を、以下の図2により詳細に示す。
【0044】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、任意の数値又は数値の範囲に関する用語「約」又は「およそ」とは、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されたその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。
【0045】
他の実施形態では、カテーテル22は、前述のPV隔離を実行するために、内壁セクション62に沿って1つ以上の所望の位置(複数可)で組織をアブレーションするための、バルーン70以外の装置を有し得る。追加的又は代替的に、医師30は、PV51の組織アブレーションのために別個のカテーテルを使用してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、心腔内及びPV51に沿った遠位端アセンブリの位置は、任意の好適な位置で遠位端アセンブリに結合され得る磁気位置追跡システムの位置センサ39を使用して測定される。本実施例では、コンソール24は、駆動回路41を備え、この駆動回路41は、テーブル29に横たわった患者28の外部の既知の位置、例えば、患者の胴体の下に配置された磁界発生器36を駆動するように構成されている。上述したように、位置センサ39は、遠位端に連結され、磁界発生器36からの検知された外部磁界に応じて位置信号を生成するように構成されている。位置信号は、位置追跡システムの座標系におけるカテーテル22の遠位端の位置を示す。
【0047】
この位置検知方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムにおいて実施されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれている。
【0048】
いくつかの実施形態では、位置追跡システムの座標系は、システム20及びマップ27の座標系と位置合わせされており、その結果、プロセッサ34は、解剖学的又はEAマップ27上に、遠位端アセンブリのラッソー44及び/又はバルーン70の位置を表示するように構成されている。
【0049】
いくつかの実施形態において、プロセッサ34は、好適なコンピュータ内に組み立てられ、典型的には、汎用プロセッサを含み、この汎用プロセッサは、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードされてもよい。あるいは代替的に又は追加的に、ソフトウェアは、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの非一時的実体的媒体に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0050】
システム20のこの特定の構成は、本発明の実施形態が対処する特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を明示するために、例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なシステムに決して限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、他の種類の医療システムにも同様に適用され得る。
【0051】
他の実施形態では、システム20は、ラッソー44及び/又はバルーン70の代わりに、又はラッソー44及び/又はバルーン70に加えて、PV51内、又は任意の他の種類の血管内、又は任意の他の器官内、又は管状若しくは任意の他の3D形状を有する器官の一部内で、上述の検知及びアブレーションを実行するように構成された任意の他の適切な種類の1つ以上のカテーテルを有し得る。
【0052】
アブレーション組織に形成された病変のセットの幾何学的特性の提示及びチェック
図2は、本発明の一実施形態による、2次元(2D)マップ99に提示される、患者の心臓26内の選択された3次元(3D)セクション88の概略描画図である。
【0053】
本実施例では、3Dセクション88は、心臓26のPV51を含み、このセクションは、ディスプレイ35上に表示された3Dマップ27に示されている。いくつかの実施形態では、医師30による(又はシステム20の任意の他のユーザによる)3Dセクション88の選択に応答して、プロセッサ34は、3Dセクション88を2Dマップ99に変換するように構成されている。2Dマップ99は、PV51の内壁の平坦化表現であり得る。任意選択で、2Dマップは、アブレーションで処理されている任意の他の略円筒形容器の内壁の平坦化表現であり得る。そのような実施形態では、2Dマップ99は、PV51の長手方向軸59に沿って医師30によって選択された位置におけるPV51の断面図を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、2Dマップ99は、PV51の長手方向軸59を示す原点58を有する極座標系を含む。そのような実施形態では、開口部54は円53で表され、円56は、上記の図1に記載されるように、開口部54から長手方向軸59に沿ってPV51内の約2cmに位置する第2の位置を表す。
【0055】
他の実施形態では、円53及び56のうちの少なくとも1つは、円形の代わりに、楕円又は任意の他の適切な形状の形状を有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、PV51の内壁セクション62の組織は、円53と56との間に画定されたドーナツ状要素、例えば、開口部54から開口部54から約2cmまでの長手方向軸59に沿って延在するPV内壁のセクションによって表される。極座標系は、2Dマップ99におけるPV51の3D形状の2D表示を可能にし、極軸に沿った、本明細書において極と称される原点58からの距離は、PV51の長手方向軸59に沿った内壁セクション62上の本明細書に記載される任意の要素の位置を示す、例えば、極軸は、PV51の長さに沿った位置を画定する。
【0057】
本実施例では、2Dマップ99は、心臓26の空洞(例えば、左心房)からPV51へのビューを表し、その結果、円53(開口部54を表す)は、長手方向軸59に沿ってPV51内の約2cmの位置にある円56よりも大きく見える。
【0058】
他の実施形態では、医師30は、分析のために、PV51の長手方向軸59に沿った3Dセクション88の任意の他の位置を選択し得る。そのような実施形態では、円53及び56のうちの少なくとも1つは、PV51の長手方向軸59に沿った任意の他のそれぞれの位置を指し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、PV51の組織をアブレーションする前に、医師30は、例えば、マップ27上に、PV51の長手方向軸59に沿った選択位置におけるアブレーションの指定された輪郭(マップ27には示されていないが、2Dマップ99に示され説明される)を描画することによって画定する。いくつかの実施形態では、アブレーション中、医師30は、上記の図1に詳細に記載するように、1つ以上の位置でPV51の組織の内壁セクション62をアブレーションするためにバルーン70を膨張させる。
【0060】
いくつかの実施形態では、組織アブレーションを実行した後、医師30は、分析のために3Dセクション88を選択し、プロセッサ34は、3Dセクション88を2Dマップ99に変換し、ディスプレイ35上に2Dマップ99を提示する。
【0061】
ここで、ディスプレイ35に表示され得る2Dマップ99を示す挿入図63を参照する。
【0062】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、例えば、インターフェース38を介して、PV51の選択セクションのアブレーション中に形成された病変66のセットと、プロセッサ34が2Dマップ99上に提示する指定の輪郭77と、を示すデータセットを受信する。図2の実施例では、病変66という用語は、符号66(例えば、病変66a、66b、66cなど)から始まる全ての病変を指す。輪郭77は、上述のように、医師30によって指定された輪郭に基づいており、その2D投影は、2Dマップ99上に提示されることに留意されたい。
【0063】
円56は、病変66と、円56によって表される長手方向軸59に沿った所与の位置におけるPV51の内周とを図式的に区別するためにのみ、点線のテクスチャで充填されていることに留意されたい。PV51は中空であり、長手方向軸59に沿って延びており、そのため、点線のテクスチャは、PV51を通って流れる血液以外の任意の閉塞物又は任意の種類の材料を表していないことが理解されよう。
【0064】
上記の図1に記載されるように、データセットは、特に、バルーン70の電極によって組織に印加されるアブレーションパルスのパラメータを含む。いくつかの実施形態では、パラメータに基づいて、プロセッサ34は、各病変66のサイズ(例えば、直径)を推定し、2Dマップ99上の病変66のセットを示す記号のセットを提示するように構成されている。プロセッサ34は、輪郭77を覆う病変66のうちの1つ以上をチェックするように更に構成されている。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、「覆う」という用語は、所与の病変66と輪郭77のセクションとの間の重なりを指す。更に、プロセッサ34は、本明細書に記載されるように、(例えば、輪郭77に沿って)連続病変を生成するように、2つ以上の隣接する病変66(例えば、輪郭77に沿って位置付けられた病変66)の領域が互いに重なり合うかどうかをチェックするように構成されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、医師30は、任意の好適な技術を使用して、プロセッサ34を用いて、輪郭77に沿って形成された病変66の連続性をチェックし得る。そのような実施形態では、医師30は、プロセッサ34のアブレーション点72を選択して、病変の連続性チェックを開始し得る。続いて、プロセッサ34は、選択された点(例えば、アブレーション点72)と接触している組織をアブレーションしたアブレーション点をチェックする。本実施例では、病変66aは、アブレーション点72上に位置付けられ、したがって、アブレーション点72を覆う。プロセッサ34は、位置追跡システムの座標系に基づいて、PV51の内壁セクション62上の各アブレーション点の位置を(例えば、インターフェース38を介して)受信することに留意されたい。更に、プロセッサ34は、PV51の2Dマップ99上に提示された各病変66のサイズ(例えば、直径)を決定する、輪郭77に沿った各アブレーション点について定義されたアブレーションパラメータを保持する。
【0066】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、初期点(例えば、点72)に戻るまで、又はプロセッサ34がもはや有効なアブレーション点を見つけることができなくなるまで、輪郭77に沿った各点についてこのプロセスを継続するように構成されている。
【0067】
本実施例では、病変66aが点72を覆った後、プロセッサ34は、輪郭77に沿って点73に進み、(i)点73を覆い、(ii)面積が病変66aの領域と重なり合う病変66bを識別する。プロセッサ34は、輪郭77に沿って移動することによってチェックを継続し、輪郭77を覆う病変66と、隣接する病変66とが互いに重なり合うことをチェックする。本実施例では、プロセッサ34は、輪郭77に沿って時計回りに移動し、その病変66、66c、66e、及び66gが全て輪郭77を覆い、輪郭77に沿った連続病変に対して重なり合っていることを識別する。しかしながら、プロセッサ34はまた、内壁セクション62に沿って形成された病変が完全なPV隔離を得ることができないことを識別する。
【0068】
他の実施形態では、プロセッサ34は、アブレーション処置の計画中に医師30によって生成されたアブレーション輪郭に関係なく、内壁セクション62に沿って形成された病変66の連続性をチェックし得る。そのような実施形態では、プロセッサ34は、互いに重なり合う隣接する病変66間に連続する線を生成するように構成されている。例えば、輪郭77を表す線は、PV51の内壁セクション62に沿って病変66によって覆われた領域の連続性を表すために、プロセッサ34によって生成された線を含み得る。挿入図63に示すように、線は、点72と74との間で時計回りに移動するときに連続的であるが、病変66gと66aとの間で切り離されている。
【0069】
そのような実施形態では、プロセッサ34は、(i)病変66g及び66hの領域が互いに重なり合っていない、(ii)病変66i及び66aの領域が互いに重なり合っていない、及び(iii)病変66h及び66iの領域が互いにほとんど接触していないことを識別するように構成されている。したがって、内壁セクション62に沿って連続病変が形成されていないため、EP波はPV51の組織を通って伝播することができる。更に、プロセッサ34は、病変66c’が病変66cと重なり合うが、アブレーション処置中に生成された全ての他の病変66から切り離されていることを識別するように構成されている。同様に、プロセッサ34は、病変66e及び66fが病変66dと66gとの間に第2のより長い連続線を形成していることを識別するように構成されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、(i)病変66gと66hとの間の間隙67、(ii)病変66iと66aとの間の間隙68、及び(iii)病変66iと66hとの間の不十分な重なり又は重なりの欠如を識別する。言い換えれば、プロセッサ34は、これらの病変対の間の不連続性を識別する。そのような実施形態では、プロセッサ34は、PV51の内壁セクション62に沿って病変66の連続リングを取得する方法について医師30に推奨するように構成されている。例えば、プロセッサ34は、PV51の完全な単離を得るため、すなわちPV51の組織を通って進行するEP波を遮断するために、間隙67及び68において、及び病変66iと66hとの間でアブレーションを実行することを推奨し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、連続性は典型的には3Dマップよりも2Dマップにおいてより容易であるため、3Dセクション88の表示と比較して、2Dマップ99は、アブレーション処置中に形成された病変の改善された視覚化を医師30に提供する。他の実施形態では、2Dマップ99を提示した後、プロセッサ34は、2Dマップ99を3Dマップ(図示せず)に変換し、3Dマップをセクション88に実装するように構成されている。更に、病変の不連続性を識別し、間隙67及び68において、及び病変66iと66hとの間で追加のアブレーションを実施した後、プロセッサ34は、内壁セクション62内の病変66のセットから作製された連続リングの形成を視覚化する修正2Dマップ99を生成するように構成されている。その後、プロセッサ34は、修正2Dマップ99を3Dマップに変換し、3Dセクション88の代わりに新しい3Dを実装するように構成されている。修正2D及び3Dマップの形成は、自動的に、又は医師30又はシステム20の任意の他のユーザからの要求に応答して実行され得る。
【0072】
代替の実施形態では、プロセッサ34は、病変66及び/又は輪郭77を2Dマップ99上に表示することなく、(i)1つ以上の病変66が輪郭77を覆っているかどうか、及び(ii)輪郭77を覆う隣接する病変66の領域間の重なりがあるかどうかをチェックするように構成されている。例えば、プロセッサ34は、(i)輪郭77が、病変66によって完全に覆われていない、及び/又は(ii)輪郭77に沿って位置付けられた2つ以上の隣接する病変66の領域が互いに重なり合っていない場合に、ポップアップ警告を発行し得る。そのような実施形態では、プロセッサ34は、ディスプレイ35上に提示されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)に、2Dマップ99上で病変66及び/又は輪郭77を隠す又は表示するオプションを示すように構成されている。
【0073】
図3は、本発明の一実施形態による、組織アブレーションに形成された病変66のセットが輪郭77を覆うかどうかをチェックするための方法を概略的に示すフローチャートである。この方法は、3Dセクション受信工程100で開始され、プロセッサ34は、上記の図2に記載するように、医師30によって定義される指定された輪郭77に従ってアブレーションされているPV51の3Dセクション88を(例えば、インターフェース38を介して)受信する。
【0074】
データセット受信工程102で、プロセッサは、PV51の3Dセクション88上のアブレーション中に形成された病変のセット(例えば、上記の図2に示される病変66)を示すデータセットを(例えば、インターフェース38を介して)受信する。
【0075】
変換工程104で、プロセッサ34は、選択された3Dセクション88を、図示されているように2Dマップ99に変換し、上記の図3の挿入図63に詳細に描写される。方法を終了する病変チェック工程106で、プロセッサ34は、病変66のセットが指定された輪郭77を覆っているかどうかをチェックする。
【0076】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、2Dマップ99にわたって病変66のセットを示す記号のセットを提示するように構成されている。図2の実施例では、記号のセットは、円のセットを含み、その結果、医師30は、円の領域が互いに重なり合っているかどうかをチェックすることができる。プロセッサ34は、2Dマップ99を介してグラフィックオブジェクト(例えば、線)として輪郭77を提示するように更に構成されている。更に、プロセッサ34は、(i)(例えば、インターフェース38を介して)2Dマップ上の開始点(例えば、点72)を医師34から受信し、(ii)上記の図2に記載されるように、受信した開始点(例えば、点72)から始まる輪郭77を覆う連続的なアブレーション領域を見出そうとするように構成されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、それぞれ少なくとも2つの病変66を表す少なくとも2つの隣接する記号に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることによって、輪郭77を覆うアブレーション領域の連続性をチェックするように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、輪郭77は、閉ループを備え得、プロセッサ34は、病変66のセットの形状を評価し、病変66のセットが、上記の図2に記載されるように、アブレーションパルスを組織に印加する前又は後に、医師30によって指定された輪郭77の閉ループ全体を覆っていることを検証するように構成されている。
【0079】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、「評価」、「チェック」及び「検証」という用語は、互換的に使用され、上記の図2に記載された病変のセットがPV51の内壁セクション62内に連続閉ループを形成しているかどうかを検証するプロセッサ34の機能を指す。更に、これらの用語はまた、システムのユーザ(例えば、医師30)が、プロセッサ34によってディスプレイ35上に提示されるGUIに基づいて、前述の指定された輪郭に対する病変の連続性及び形状を検証する機能も指し得る。
【0080】
本明細書に記載の実施形態は主に、PVの組織をアブレーションすることによって実行される肺静脈(PV)隔離処置に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムは、任意の血管のアブレーション又は別の適切な種類の3次元器官のアブレーションなどの他の用途にも使用することができる。
【0081】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0082】
〔実施の態様〕
(1) (i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)前記選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセットを受信することと、
前記選択された3Dセクションを2次元(2D)マップに変換することと、
前記2Dマップ上で、前記病変のセットが前記指定された輪郭を覆っているかどうかをチェックすることと、を含む、方法。
(2) 前記2Dマップ上でチェックすることが、前記2Dマップ上の開始点を受信することと、受信された前記開始点から始まる前記指定された輪郭を覆う連続アブレーション領域を見出そうとすることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記2Dマップ上に、前記病変のセットを示す記号のセットを提示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記2Dマップ上でチェックすることが、少なくとも2つの隣接する記号に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることにより、前記病変のセットの連続性をチェックすることを含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記記号のセットが、2Dグラフィック表現を有し、前記2Dマップ及び前記記号のセットの前記2Dグラフィック表現を3Dマップに変換することを含み、前記3Dマップが、前記2Dグラフィック表現を3Dグラフィック表現に変換させて前記3Dマップ上に表示させる、実施態様3に記載の方法。
【0083】
(6) 前記指定された輪郭が閉ループを含み、前記2Dマップ上でチェックすることが、前記病変のセットが前記閉ループを覆っていることを検証することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) システムであって、
(i)指定された輪郭に従って患者器官内でアブレーションされている選択された3次元(3D)セクション、及び(ii)前記選択された3Dセクションのアブレーション中に形成された病変のセットを示すデータセット、を受信するように構成されたインターフェースと、
(i)前記選択された3Dセクションを2次元(2D)マップに変換し、(ii)前記2Dマップ上で、前記病変のセットが前記指定された輪郭を覆っているかどうかをチェックするように構成されているプロセッサと、
を備える、システム。
(8) 前記インターフェースが、前記2Dマップ上の開始点を受信するように構成され、前記プロセッサが、受信された前記開始点から始まる前記指定された輪郭を覆う連続アブレーション領域を見出そうとするように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記2Dマップを表示するように構成された出力デバイスを備え、前記プロセッサが、前記2Dマップ上に、前記病変のセットを示す記号のセットを提示するように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記プロセッサが、少なくとも2つの隣接する記号に対応する形状が互いに重なり合うことをチェックすることにより、前記病変のセットの連続性をチェックするように構成されている、実施態様9に記載のシステム。
【0084】
(11) 前記記号のセットが、2Dグラフィック表現を有し、前記プロセッサが、前記2Dマップ及び前記記号のセットの前記2Dグラフィック表現を、前記2Dグラフィック表現を3Dグラフィック表現に変換させた3Dマップに変換し、前記3Dグラフィック表現を前記3Dマップ上に表示するように構成されている、実施態様9に記載のシステム。
(12) 前記指定された輪郭が閉ループを含み、前記プロセッサが、前記病変のセットが前記閉ループを覆っていることを検証するように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
図1
図2
図3
【外国語明細書】