IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アメシスタム ストレージ テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

特開2023-26411ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法
<>
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図1
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図2
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図3
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図4
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図5
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図6
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図7
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図8
  • 特開-ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026411
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及びその符号化方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/0065 20060101AFI20230216BHJP
   G11B 7/0037 20060101ALI20230216BHJP
   G11B 7/135 20120101ALI20230216BHJP
   G11B 7/085 20060101ALI20230216BHJP
   G11B 7/09 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G11B7/0065
G11B7/0037
G11B7/135
G11B7/085 A
G11B7/09 C
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129086
(22)【出願日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】202110923861.7
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521001294
【氏名又は名称】アメシスタム ストレージ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Amethystum Storage Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】フ ドォジァオ
(72)【発明者】
【氏名】リォウ イチョン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】タァォ シィアォシィアォ
【テーマコード(参考)】
5D090
5D789
【Fターム(参考)】
5D090AA01
5D090BB16
5D090CC01
5D090CC04
5D090FF02
5D090FF11
5D090GG02
5D090GG11
5D090GG16
5D090GG22
5D090GG27
5D090KK12
5D090KK15
5D789BA01
5D789BB20
5D789EA02
5D789HA23
5D789HA50
5D789KA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット及び符号化方法を提供する。
【解決手段】光ディスクのトラックフォーマットは、リードイン領域3、データ領域4及びリードアウト領域5を含む。データ領域のトラックにはデータホログラフィック位置マーク2及び開始マーク1が設置され、位置マークはトラックにおけるホログラム読み書き位置をマークし、開始マークはトラックにおけるデータ記録の開始位置をマークし、アドレス符号化情報をさらに含む。トラックを符号化する方法は以下の2種類がある。(1)2つの連続的な断口の間のトラックの長さを利用して2進符号化を行い、2つの断口の上昇端の間の距離がTのトラックを0、2つの断口の上昇端の間の距離がnTのトラックを1として符号化する。(2)レベル信号の高低を利用して2進符号化を行い、断口に対応するハイレベルを1、他の位置に対応するローレベルを0として符号化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの特徴情報、製品情報、読み書きパラメータ及びビーム校正用のホログラム等を記憶するリードイン領域と、データを持つホログラムを記録するデータ領域と、ファイナライズ情報等を記憶するリードアウト領域とを含む、ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットであって、
前記データ領域には、データホログラフィック位置マーク及び開始マークという2種類のマークが設置され、
前記データホログラフィック位置マークは、トラックにおけるホログラムの読み書き位置をマークし、
前記開始マークは、前記トラックにおける、データ記録を開始する位置をマークし、アドレス符号化情報をさらに含み、
前記リードイン領域には、前記トラックにおける校正用ホログラムの位置をマークする校正ホログラフィック位置マークが設置され、前記トラックにおける全てのマークについて、いずれもビームにより位置決定するか又はその中の情報を読み取ることができることを特徴とする、ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項2】
前記トラックは、ホログラフィック記憶用光ディスクの基板の内表面におけるランド又はピットであり、前記トラックに断口が設置され、各断口の両端はいずれも、高さが低下した下降端と高さが上昇した上昇端を含み、前記上昇端と下降端との高さは等しく、入射光波長の1/4以下であり、
前記リードイン領域及びリードアウト領域には、関連情報を記憶するために複数の断口が設置され、
前記ホログラフィック位置マークは、前記トラックにおける断口又はその上昇端又は下降端であり、
前記開始マークは、前記トラックにおける複数の断口と、前記断口により仕切られた複数のランド又はピットであることを特徴とする、請求項1に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項3】
前記トラックは、決定された間隔を有する複数の同心円であり、複数の前記開始マークは、同心円トラックを複数のセクタに分割し、前記リードイン領域は、前記光ディスクの円心に最も近い複数の同心円に設置され、前記リードアウト領域は、前記光ディスクの円心から最も離れた複数の同心円に設置され、データ領域は、リードイン領域とリードアウト領域との間の同心円に設置されることを特徴とする、請求項2に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項4】
前記開始マークは、前端、アドレスドメイン及び後端を含み、前記アドレスドメインは、前記前端と前記後端との間に位置し、トラック情報及びセクタ情報は、前記アドレスドメインに記録されることを特徴とする、請求項3に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項5】
前記トラックは、内から外への等間隔螺旋であり、前記リードイン領域は、前記光ディスクの円心に最も近い複数の螺旋状リングに設置され、前記リードアウト領域は、前記光ディスクの円心から最も離れた複数の螺旋状リングに設置され、前記データ領域は、前記リードイン領域と前記リードアウト領域との間の螺旋状リングに設置され、前記データ領域の先端と末端にそれぞれ前記開始マークが設置されることを特徴とする、請求項2に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項6】
前記開始マークは、前端及び後端を含むことを特徴とする、請求項5に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項7】
入射光スポットが断口の上昇端及び下降端を同時に覆い、前記断口の真ん中に位置するとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しく、
入射光スポットが断口の上昇端又は(及び)下降端を覆い、前記断口の真ん中からずれるとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しくなく、
光強度センサにより反射されたビームを受信し、光強度を比較し、反射されたビームをアナログ電圧信号、即ちタンジェンシャルプッシュプル信号に変換することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項8】
前記トラックにおける断口は、いずれも短い断口であり、前記短い断口の長さが一定であり、前記入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができ、前記断口に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、さらに単一のハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換されることを特徴とする、請求項7に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項9】
前記トラックにおける断口は、いずれも長い断口であり、前記入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができず、その上昇端と下降端とに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらに2つのハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換されることを特徴とする、請求項7に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマット。
【請求項10】
2つの連続的な断口の間のトラックの長さを利用して2進符号化を行うステップであって、トラックの長さは、2つの連続的なハイレベル立ち上がりエッジの間の時間間隔を決定するステップと、2つのホログラフィック位置マークの上昇端の間の空間距離とそれに対応するハイレベル立ち上がりエッジの間の時間間隔をそれぞれ空間領域と時間領域のシンボル長Tとして定義するステップと、
2つの断口の上昇端の間の距離がTのトラックを「0」として符号化するステップと、
2つの断口の上昇端の間の距離がnTのトラックを「1」として符号化するステップであって、ここで、nは正の整数であり、n≠1であるステップとを含むことを特徴とする、請求項8に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法。
【請求項11】
前記開始マークにおいて、前記前端の両側の断口の上昇端の間の距離又は対応するハイレベル信号の立ち上がりエッジの間の持続時間はaTに対応し、ここで、aは正の整数であり、a>nであり、前記後端の両側の断口の上昇端の間の距離又は対応するハイレベル信号の立ち上がりエッジの間の持続時間はbT~(b+1)Tに対応し、ここで、bは正の整数であり、b>nかつb≠aであり、n、a及びbの値は、明らかな差異を有するべきであることを特徴とする、請求項10に記載の符号化方法。
【請求項12】
レベル信号の高低を利用して2進符号化を行うステップと、
断口又はその上昇端又は下降端に対応するハイレベルを「1」として符号化し、該ハイレベル信号の持続時間をシンボル長Tとして定義するステップと、
ローレベルを「0」として符号化するステップであって、連続ローレベルの持続時間は、シンボル長の整数倍、即ち「0」の数であるステップとを含むことを特徴とする、請求項8に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法。
【請求項13】
前記開始マークの前端と後端はそれぞれ、一定の固有波形のレベル信号を有すると検出可能なトラックであることを特徴とする、請求項12に記載の符号化方法。
【請求項14】
レベル信号の高低を利用して2進符号化を行うステップと、
断口又はその上昇端又は下降端に対応するハイレベルを「1」として符号化し、該ハイレベル信号の持続時間をシンボル長Tとして定義するステップと、
ローレベルを「0」として符号化するステップであって、連続ローレベルの持続時間は、シンボル長の整数倍、即ち「0」の数であるステップとを含むことを特徴とする、請求項9に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法。
【請求項15】
前記開始マークの前端と後端はそれぞれ、一定の固有波形のレベル信号を有すると検出可能なトラックであることを特徴とする、請求項14に記載の符号化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック記憶の分野に関し、より具体的には、ホログラフィック記憶用ディスクにマークを設定する方法と、ホログラムの読み書き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック光記憶技術は、データ情報を2次元データページ画像の形で信号光にロードし、信号光と参照光が光ディスクで干渉し露光して周期的屈折率変調によるホログラム(即ち、ホログラフィック格子)を形成することにより、情報を記憶する記憶方式である。参照光を用いてホログラムを照射することにより、データ情報を持つ信号光を再生し、それにより記憶された情報の読み取りを実現することができる。記憶容量が大きく、記憶期間が長いなどの利点を有するため、大きな将来性のある保管用データ記憶方式となる。
【0003】
ホログラムは、光ディスク内に一定の体積を占める体積格子構造で存在するため、より高い記憶容量を実現するために、ホログラムを多重化記録する必要がある。現在、ホログラフィック記憶記録及び再生の多重化方法は、主に、シフト多重化、角度多重化、クロス多重化、波長多重化、偏波多重化などを含む。シフト多重化は、最も基本的で最も一般的な多重化方式であり、一定の小さなステップサイズで媒体を移動し、毎回移動した後にホログラムを記録する方式により、シフトして重なる方式で大量のホログラムを1つの領域内に記録することを実現する。シフト多重化は、軸外ホログラフィックの球面波シフト多重化及び同軸ホログラフィックのスペックルシフト多重化を含む。シフト多重化の種類にかかわらず、そのシフトはいずれも、xとy方向、又は接線方向と半径方向である2つの直交方向を含み、2つの方向のシフト距離は、同じであっても異なってもよい、球面波シフト多重化に対して、2つの直交方向のシフト距離は同じではない。他方では、シフト多重化技術により、ホログラムを再生する過程において、再生参照ビームが元の位置から小さい変位で外れると、信号対雑音比の高いデータページ情報を再現することができないため、記録及び再生過程において、ホログラムの位置を正確に位置決定することができることを要求する。
【0004】
ホログラフィック記憶用光ディスクにシフト距離の正確な制御及びホログラムの読み書き位置の正確な位置決定を実現するために、光ディスク内にトラック及び位置決定マークを設置する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、円形ホログラフィック記憶用光ディスクにおいて特定のホログラムを迅速に位置決定するという需要を効率的で簡単な方式で満たすことにより、ホログラフィック記憶データの高速読み書きを実現する、円盤式ホログラフィック記憶用光ディスクにおけるトラックフォーマット及びその符号化方法を設定することを目的とする。
【0006】
本発明の採用する技術手段は、以下を含む。
【0007】
ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットは、光ディスクの特徴情報、製品情報、読み書きパラメータ及びビーム校正用のホログラム等を記憶するリードイン領域と、データを持つホログラムを記録するデータ領域と、ファイナライズ情報を記憶するリードアウト領域とを含み、データ領域には、データホログラフィック位置マーク及び開始マークという2種類のマークが設置され、前記データホログラフィック位置マークは、トラックにおけるホログラムの読み書き位置をマークし、開始マークは、トラックにおける、データ記録を開始する位置をマークし、アドレス符号化情報をさらに含み、リードイン領域には、トラックにおける校正用ホログラムの位置をマークする校正ホログラフィック位置マークが設置され、トラックにおける全てのマークについて、いずれもビームにより位置決定するか又はその中の情報を読み取ることができる。
【0008】
データ領域には、開始マーク及びデータホログラフィック位置マークが設置されることにより、光ディスクにおける情報を効果的に分割し、マークによりトラック及びホログラム読み書き位置の位置决定を行うことにより、ビームは、迅速に位置決定しアドレス指定することができ、それによりホログラムの読み書き効率を向上させる。リードイン領域には、校正ホログラフィック位置マークが設置されることにより、ビームは、迅速に位置決定しアドレス指定することができる以外に、該校正ホログラフィック位置マークでのホログラムにより再生過程での参照光ビームを校正することができる。データを記録するとき、まず、リードイン領域の校正ホログラフィック位置マークにホログラムを書き込み、データを読み取る時、該ホログラムを再生することにより、再生参照ビームの照射位置及び角度を校正することにより、ホログラムの回折効率及び信号対雑音比は極大値に達し、それによりデータを正確に再生する。
【0009】
さらに、前記トラックは、ホログラフィック記憶用光ディスク基板の内表面におけるランド又はピットであり、トラックに断口が設置され、各断口の両端はいずれも、高さが低下した下降端と高さが上昇した上昇端を含み、前記上昇端と下降端との高さは等しく、入射光波長の1/4以下である。前記リードイン領域及びリードアウト領域には、関連情報を記憶するために複数の断口が設置される。前記ホログラフィック位置マークは、トラックにおける断口又はその上昇端又は下降端である。前記開始マークは、トラックにおける複数の断口と、断口により仕切られた複数のランド又はピットである。
【0010】
トラックのリードイン領域及びリードアウト領域には、複数の断口が設置されることにより、光ディスクの特徴情報、製品情報、読み書きパラメータ及びファイナライズ情報を、断口により仕切られた複数のランド又はピットに記憶する。
【0011】
異なるホログラム読み書き方式に対して、トラックを同心円又は螺旋形状に設計することができる。
【0012】
前記トラックが決定された間隔を有する複数の同心円である場合、複数の開始マークは、同心円トラックを複数のセクタに分割し、リードイン領域は、光ディスクの円心に最も近い複数の同心円に設置され、リードアウト領域は、光ディスクの円心から最も離れた複数の同心円に設置され、データ領域は、リードイン領域とリードアウト領域との間の同心円に設置される。同心円トラックにおいて、開始マークは、前端、アドレスドメイン及び後端を含み、アドレスドメインは、前端と後端との間に位置し、トラック情報及びセクタ情報は、アドレスドメインに記録される。同心円トラックにおいて、半径方向のシフト多重化距離を決定するように、円形トラックの間に決定された間隔を有する。
【0013】
前記トラックが内から外への等間隔螺旋である場合、リードイン領域は、光ディスクの円心に最も近い複数の螺旋状リングに設置され、リードアウト領域は、光ディスクの円心から最も離れた複数の螺旋状リングに設置され、データ領域は、リードイン領域とリードアウト領域との間の螺旋状リングに設置される。データ領域の先端と末端にそれぞれ開始マークが設置される。螺旋トラックにおいて、開始マークは、前端及び後端を含む。
【0014】
螺旋トラックにおいて、半径方向のシフト多重化距離を決定するように、決定されたトラック間隔を有する。データ領域の先端の開始マークは、トラックにおける、ホログラム記録を開始する箇所を位置決定し、データ領域の末端の開始マークは、ホログラム記録を終了する箇所を位置決定する。螺旋トラックにセクタ及びトラックが区別されないため、螺旋トラックにおける開始マークは、トラック情報及びセクタ情報を記載する必要がなく、螺旋トラックにおける開始マークは、該開始マークを識別するための前端及び後端のみを含む。
【0015】
さらに、入射光スポットが断口の上昇端及び下降端を同時に覆い、断口の真ん中に位置するとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しく、入射光スポットが断口の上昇端又は(及び)下降端を覆い、断口の真ん中からずれるとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しくない。光強度センサにより反射されたビームを受信し、光強度を比較し、反射されたビームをアナログ電圧信号、即ちタンジェンシャルプッシュプル信号(tangential push pull signal、TPP)に変換する。
【0016】
具体的には、反射された光束を4象限光検出器により受信でき、4象限光検出器は、A、B、C、Dの4つの領域を含み、トラックから反射された光を受信し、トラック方向の2つの領域であるABとCDとの光強度信号の差は、タンジェンシャルプッシュプル信号であり、TPP=(I+I)-(I+I)である。
【0017】
さらに、前記トラックにおける断口は、短い断口と長い断口に分けられる。
【0018】
トラックにおける断口がいずれも短い断口である場合、短い断口の長さが一定であり、入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができ、断口に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、さらに単一のハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換される。
【0019】
トラックにおける断口がいずれも長い断口である場合、入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができず、その上昇端と下降端とに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらに2つのハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換される。
【0020】
これにより、異なるレベル信号に基づいて、トラックの具体的な構造を識別する。
【0021】
ホログラフィック位置マークはトラックにおける断口であり、隣接する2つのホログラフィック位置マークの間のランド又はピットは、トラックにおける最小連続ユニットであり、該最小連続ユニットは断口の長さより大きい。
【0022】
ホログラフィック位置マークが短い断口である場合、入射光スポットがその上昇端及び下降端を同時に覆うことができるため、ホログラフィック位置マークに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、単一のハイレベルパルス信号であり、単一のハイレベルパルス信号のみにより、ホログラフィック位置マークを識別することができ、符号化する必要がない。ホログラフィック位置マークが長い断口である場合、入射光スポットがその上昇端及び下降端を同時に覆うことができないため、ホログラフィック位置マークに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、2つのハイレベルパルス信号であり、該パルス信号のみにより、ホログラフィック位置マークを識別することができ、符号化する必要がない。螺旋トラックにおける開始マークは、一定の固有構造を有するトラックであり、一定の固有波形を有するレベル信号に対応し、一定の固有波形のレベル信号のみにより、螺旋トラックの開始マークを識別することができ、符号化する必要がない。
【0023】
前記トラックフォーマットを符号化することにより、トラックのリードイン領域、リードアウト領域及び同心円の開始マークにおける関連情報を迅速に識別することができる。
【0024】
前記トラックフォーマットを符号化し、本発明は2種類の符号化方法を含む。
【0025】
(1)2つの連続的な断口の間のトラックの長さを利用して2進符号化を行い、トラックの長さは、2つの連続的なハイレベル立ち上がりエッジの間の時間間隔を決定し、2つのホログラフィック位置マークの上昇端の間の空間距離とそれに対応するハイレベル立ち上がりエッジの間の時間間隔をそれぞれ空間領域と時間領域のシンボル長Tとして定義し、
2つの断口の上昇端の間の距離がTのトラックを「0」として符号化し、
2つの断口の上昇端の間の距離がnTのトラックを「1」として符号化し、ここで、nは正の整数であり、n≠1である。
【0026】
前記開始マークにおいて、前端の両側の断口の上昇端の間の距離又は対応するハイレベル信号の立ち上がりエッジの間の持続時間はaTに対応し、ここで、aは正の整数であり、a>nであり、前記後端の両側の断口の上昇端の間の距離又は対応するハイレベル信号の立ち上がりエッジの間の持続時間はbT~(b+1)Tに対応し、ここで、bは正の整数であり、b>nかつb≠aであり、n、a及びbの値は、明らかな差異を有するべきである。
【0027】
(2)レベル信号の高低を利用して2進符号化を行い、断口又はその上昇端又は下降端に対応するハイレベルを「1」として符号化し、該ハイレベル信号の持続時間をシンボル長Tとして定義し、ローレベルを「0」として符号化し、連続ローレベルの持続時間は、シンボル長の整数倍、即ち「0」の数である。
【0028】
前記開始マークの前端と後端はそれぞれ、一定の固有波形のレベル信号を有すると検出可能なトラックである。
【0029】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0030】
(1)トラックに複数の開始マーク及びホログラフィック位置マークを設置することにより、光ディスク内の数万のトラック及び数千万のホログラムの位置を光ビームにより迅速に位置決定/アドレス指定することができ、ホログラムの読み書き効率を向上させる。
【0031】
(2)リードイン領域に位置決定及び校正用のホログラフィック位置マークが設置され、読み取るとき、該ホログラフィック位置マークでのホログラムを再生することにより、再生過程での参照ビームを校正して、再生過程での参照ビームと記録過程での参照ビームを等しくすることができ、ホログラムを再生する正確性を向上させる。
【0032】
(3)マークの断口とトラックの平面との高さの差により、反射光は、異なる光強度を有し、それにより異なるレベル信号に変換されて、トラックにおけるホログラフィック位置マーク及び開始マークを識別する。
【0033】
(4)本発明のトラックを符号化することにより、トラック自体は、関連情報を持ち、符号化方式が簡単で効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施例に係る光ディスクの同心円トラックにおける開始マーク及びホログラフィック位置マークの分布概略図である。
図2】実施例に係る同心円トラックにおける開始マーク及び開始マークの一部の符号化概略図である。
図3】実施例に係る同心円トラックにおける開始マーク及び開始マークの一部の符号化概略図である。
図4】実施例に係る同心円トラックにおける開始マーク及び開始マークの一部の符号化概略図である。
図5】実施例に係る光ディスクの同心円トラックにおけるホログラムの記憶軌跡の概略図である。
図6】実施例に係る4象限検出器の信号受信及び光スポット強度の分布図である。
図7】実施例に係る短い断口のタンジェンシャルプッシュプル信号及びレベル信号の概略図である。
図8】実施例に係る長い断口のタンジェンシャルプッシュプル信号及びレベル信号の概略図である。
図9】実施例に係る光ディスクの螺旋トラックと、トラックにおける開始マーク及びホログラフィック位置マークの概略図である。
【0035】
本発明の図面は、例示的な説明のみに用いられるが、本発明を限定するものとして理解されるべきでない。以下の実施例をよりよく説明するために、図面のいくつかの部材は、省略、拡大又は縮小される場合があり、実際の製品のサイズを表すものではなく、図面におけるいくつかの周知の構造及びその説明が省略され得ることは、当業者であれば理解できるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(具体的な実施例1)
ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットは、光ディスクの特徴情報、製品情報、読み書きパラメータ及びビーム校正用のホログラム等を記憶するリードイン領域3と、データを持つホログラムを記録するデータ領域4と、ファイナライズ情報を記憶するリードアウト領域5とを含み、データ領域には、データホログラフィック位置マーク2及び開始マーク1という2種類のマークが設置され、上記データホログラフィック位置マークは、トラックにおけるホログラムの読み書き位置をマークし、開始マークは、トラックにおける、データ記録を開始する位置をマークし、アドレス符号化情報をさらに含み、リードイン領域には、トラックにおける校正用ホログラムの位置をマークする校正ホログラフィック位置マーク2が設置され、トラックにおける全てのマークについて、いずれもビームにより位置決定するか又はその中の情報を読み取ることができる。
【0037】
データ領域には、開始マーク1及びデータホログラフィック位置マーク2が設置されることにより、光ディスクにおける情報を効果的に分割し、マークによりトラック及びホログラム読み書き位置の位置决定を行うことにより、ビームは、迅速に位置決定しアドレス指定することができ、それによりホログラムの読み書き効率を向上させる。リードイン領域には、校正ホログラフィック位置マーク2が設置されることにより、ビームは、迅速に位置決定しアドレス指定することができる以外に、該校正ホログラフィック位置マークでのホログラムにより再生過程での参照光ビームを校正することができる。データを記録するとき、まず、リードイン領域の校正ホログラフィック位置マークにホログラムを書き込み、データを読み取る時、該ホログラムを再生することにより、再生参照ビームの照射位置及び角度を校正することにより、ホログラムの回折効率及び信号対雑音比は極大値に達し、それによりデータを正確に再生する。
【0038】
さらに、上記トラックは、ホログラフィック記憶用光ディスクの基板の内表面におけるランド又はピットであり、トラックに断口が設置され、各断口の両端はいずれも、高さが低下した下降端と高さが上昇した上昇端を含み、上記上昇端と下降端との高さは等しく、入射光波長の1/4以下である。上記リードイン領域及びリードアウト領域には、関連情報を記憶するために複数の断口が設置される。上記ホログラフィック位置マークは、トラックにおける断口又はその上昇端又は下降端である。上記開始マークは、トラックにおける複数の断口と、断口により仕切られた複数のランド又はピットである。トラックのリードイン領域及びリードアウト領域には、複数の断口が設置されることにより、光ディスクの特徴情報、製品情報、読み書きパラメータ及びファイナライズ情報を、断口により仕切られた複数のランド又はピットに記憶する。
【0039】
図1に示すように、本実施例において、トラックは、決定された間隔を有する同心円であり、トラックの間の間隔はtpであり、隣接する2つのホログラフィック位置マークの間の距離はΔLである。トラックに複数の開始マークを設置して、トラックを複数のセクタに分割することにより、ビームは、開始マークに基づいてその位置するトラックと位置するセクタを決定し、さらにセクタ内にホログラムを読み書きする位置をホログラフィック位置マークにより決定することができる。光ディスクの円心に最も近い2つの同心円トラックはリードイン領域3であり、光ディスクの円心から最も離れた1つの同心円トラックはリードアウト領域5であり、他の同心円はデータ領域4である。リードイン領域において、半径が最も小さい同心円トラックには、光ディスクの特徴情報、製品情報及び読み書きパラメータが記載される。リードイン領域において、半径が大きい同心円トラックには、複数の開始マーク1及び校正ホログラフィック位置マーク2が設置され、開始マーク1は、ビームを位置決定し、校正ホログラフィック位置マーク2は、ビームを校正する。図1における各トラックのホログラフィック位置マークについて、いずれも一部のみを示して概略説明とする。図2に示すように、同心円トラックにおける開始マークは、前端、アドレスドメイン及び後端を含み、アドレスドメインは、前端と後端との間に位置し、トラック情報及びセクタ情報は、アドレスドメインに記録される。前端及び後端は、開始マークを識別し、アドレスドメインには、該開始マークのトラックにおける具体的な位置を識別するためのトラック情報及びセクタ情報が記載される。
【0040】
本実施例に係る別のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットにおいて、図9に示すように、トラックは、内から外への等間隔螺旋であってもよく、tpは、螺旋トラックの間隔であり、隣接する2つのホログラフィック位置マークの間の間隔はΔLであり、光ディスクの円心に最も近い螺旋はリードイン領域であり、光ディスクの円心から最も離れた螺旋はリードアウト領域であり、データ領域の先端と末端にそれぞれ開始マークが設置され、データ領域の先端の開始マークは、トラックにおける、ホログラム記録を開始する箇所を位置決定し、データ領域の末端の開始マークは、ホログラム記録を終了する箇所を位置決定する。リードイン領域の光ディスクの円心に近い螺旋には、光ディスクの特徴情報、製品情報及び読み書きパラメータが記載され、リードイン領域の他の螺旋には、ビームを校正する校正ホログラフィック位置マークが設置される。螺旋トラックにセクタ及びトラックが区別されないため、螺旋トラックにおける開始マークは、トラック情報及びセクタ情報を記載する必要がなく、螺旋トラックにおける開始マークは、該開始マークを識別するための前端及び後端のみを含む。
【0041】
同心円トラックにおいて、ホログラムを記録するとき、トラック方向に沿ったシフト多重化距離Lは、ホログラフィック位置マークの間の間隔ΔLの整数倍であり、即ち、L=c×ΔL、c≧1であり、cは正の整数であり、ホログラムの半径方向のシフト多重化距離rは、隣接するトラックの間の距離tpの整数倍であり、即ち、r=d×tp、d≧1であり、dは正の整数である。螺旋トラックにおいて、ホログラムを記録するとき、トラック方向に沿ったシフト多重化距離Lは、ホログラフィック位置マークの間の間隔ΔLの整数倍であり、即ち、L=c×ΔL、c≧1であり、cは正の整数であり、ホログラムの半径方向のシフト多重化距離rは、隣接するトラックの間の距離tpに等しく、即ち、r=tpである。
【0042】
具体的には、例として説明すると、図5に同心円トラックのホログラフィック記憶用光ディスクを示し、記録するとき、まず、リードイン領域3における光ディスクの円心に最も近いトラックで、光ディスクの特徴情報、製品情報及び読み書きパラメータを読み取る。次に、リードイン領域3における開始マーク1を位置決定し、該リードイン領域の開始マーク1でのセクタに、複数の校正用ホログラムを記録する。次に、データ領域4における1つのトラックの開始マーク1を位置決定し、該開始マーク1の位置するセクタにホログラムを記録する。該開始マーク1の位置するセクタがホログラムでいっぱいになる場合、該トラックの別の開始マーク1を位置決定し、該開始マーク1の位置するセクタにホログラムを記録する。読み取るとき、まず、リードイン領域3における光ディスクの円心に最も近いトラックで、光ディスクの特徴情報、製品情報及び読み書きパラメータを読み取る。次に、開始マーク及び校正ホログラフィック位置マークにより、リードイン領域における校正用ホログラムを見つけ、校正用ホログラムを再生することにより、再生参照ビームの照射位置及び角度を調整し、それによりホログラムの回折効率及び信号対雑音比が極大値に達する。次に、データ領域における1つのトラックの開始マークを位置決定し、該開始マークの位置するセクタのホログラムを読み取り、該トラックの他のセクタのホログラムを順次読み取る。データ領域におけるホログラムの読み取りが完了する場合、リードアウト領域を位置決定し、光ディスクのファイナライズ情報を読み取り、読み取り過程を完了する。
【0043】
(具体的な実施例2)
本実施例は、具体的な実施例1におけるホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法を提供する。図6に示すように、入射光スポットが断口の上昇端及び下降端を同時に覆い、断口の真ん中に位置するとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しく、入射光スポットが断口の上昇端又は(及び)下降端を覆い、断口の真ん中からずれるとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しくなく、反射されたビームを4象限光検出器により受信し、光強度を比較し、反射されたビームをアナログ電圧信号、即ちタンジェンシャルプッシュプル信号(tangential push pull signal、TPP)に変換する。4象限光検出器は、A、B、C、Dの4つの領域を含み、トラックから反射された光を受信し、トラック方向の2つの領域であるABとCDとの光強度信号の差は、タンジェンシャルプッシュプル信号であり、TPP=(I+I)-(I+I)である。
【0044】
好ましくは、トラックにおける全ての断口は、いずれも短い断口であり、長さが一定である。ホログラフィック位置マークはトラックにおける断口であり、隣接する2つのホログラフィック位置マークの間のランド又はピットは、トラックにおける最小連続ユニットであり、該最小連続ユニットは断口の長さより大きい。図2は、トラックの一部の構造を示す。
【0045】
図7に示すように、断口が短い断口である場合、入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができ、そのタンジェンシャルプッシュプル信号は、さらに単一のハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換される。異なるレベル信号に基づいて、トラックの具体的な構造を識別することができる。
【0046】
ホログラフィック位置マークの断口がいずれも短い断口であり、即ち、入射光スポットがその上昇端及び下降端を同時に覆うことができるため、ホログラフィック位置マークに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、単一のハイレベルパルス信号であり、単一のハイレベルパルス信号のみにより、ホログラフィック位置マークを識別することができ、符号化する必要がない。
【0047】
上記トラックフォーマットを符号化することにより、トラックのリードイン領域、リードアウト領域及び開始マークにおける関連情報を迅速に識別することができる。
【0048】
具体的な符号化方法は以下のとおりである。図2に示すように、2つの連続的な断口の間のトラックの長さを利用して2進符号化を行い、トラックの長さは、2つの連続的なハイレベル立ち上がりエッジの間の時間間隔を決定し、2つのホログラフィック位置マークの上昇端の間の空間距離とそれに対応するハイレベル立ち上がりエッジの間の時間間隔をそれぞれ空間領域と時間領域のシンボル長Tとして定義し、
2つの断口の上昇端の間の距離がTのトラックを「0」として符号化し、
2つの断口の上昇端の間の距離が4Tのトラックを「1」として符号化する。
【0049】
例として説明すると、図2は、一部の開始マークのコードを示す。図2において、アドレスドメインに合計7つの断口が示され、左から右へ、第1の断口と第2の断口との間の距離がTであるため、0として符号化され、第2の断口と第3の断口との間の距離が4Tであるため、1として符号化され、第3の断口と第4の断口との間、第4の断口と第5の断口との間、第5の断口と第6の断口との間、及び第6の断口と第7の断口との間の距離がTであるため、この4つの間隔がそれぞれ0として符号化され、したがって図2に示されたコードが010000である。
【0050】
好ましくは、上記開始マークにおいて、前端の両側の断口の上昇端の間の距離又は対応するハイレベル信号の立ち上がりエッジの間の持続時間は12Tに対応し、上記後端の両側の断口の上昇端の間の距離又は対応するハイレベル信号の立ち上がりエッジの間の持続時間は8T~9Tに対応する。
【0051】
入射光スポットは、トラックに沿って左から右へ移動し、持続時間が12Tのローレベル信号を識別するとき、トラックの開始マークの前端に来たことを示し、アドレスドメインにおけるトラック番号及びセクタ番号の読み取りを開始し、持続時間が8T~9Tのローレベル信号を識別するとき、開始マークの後端に来たことを示し、開始マークの識別が終了し、直ちに該セクタ内のホログラムの読み書きを開始するか又は他の位置に移動して他の開始マークを識別する。
【0052】
2進符号化により、リードイン領域、リードアウト領域及び開始マークにおける関連情報をトラックに記録する。本実施例に係る2進符号化方式は、簡単で効率的であり、複雑な符号化過程に関せず、トラックにおける有用な情報を効果的にスクリーニングすることができる。
【0053】
(具体的な実施例3)
本実施例は、具体的な実施例1に記載のホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法を提供する。図6に示すように、入射光スポットが断口の上昇端及び下降端を同時に覆い、断口の真ん中に位置するとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しく、入射光スポットが断口の上昇端又は(及び)下降端を覆うが、断口の真ん中からずれるとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しくなく、4象限光検出器により反射されたビームを受信し、光強度を比較し、アナログ電圧信号、即ちタンジェンシャルプッシュプル信号(tangential push pull signal、TPP)に変換する。4象限光検出器は、A、B、C、Dの4つの領域を含み、トラックから反射された光を受信し、トラック方向の2つの領域であるABとCDとの光強度信号の差は、タンジェンシャルプッシュプル信号であり、TPP=(I+I)-(I+I)である。
【0054】
好ましくは、トラックにおける全ての断口は、いずれも短い断口であり、長さが一定である。ホログラフィック位置マークはトラックにおける断口であり、隣接する2つのホログラフィック位置マークの間のランド又はピットは、トラックにおける最小連続ユニットであり、該最小連続ユニットは断口の長さより大きい。図3は、トラックの一部の構造を示す。
【0055】
図7に示すように、断口が短い断口である場合、入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができ、そのタンジェンシャルプッシュプル信号は、さらに単一のハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換される。異なるレベル信号に基づいて、トラックの具体的な構造を識別することができる。
【0056】
ホログラフィック位置マークの断口がいずれも短い断口であり、即ち、入射光スポットがその上昇端及び下降端を同時に覆うことができるため、ホログラフィック位置マークに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、単一のハイレベルパルス信号であり、単一のハイレベルパルス信号のみにより、ホログラフィック位置マークを識別することができ、符号化する必要がない。
【0057】
上記トラックフォーマットを符号化することにより、トラックのリードイン領域、リードアウト領域及び開始マークにおける関連情報を迅速に識別することができる。
【0058】
具体的な符号化方法は以下のとおりである。図3に示すように、レベル信号の高低を利用して2進符号化を行い、断口又はその上昇端又は下降端に対応するハイレベルを「1」として符号化し、該ハイレベル信号の持続時間をシンボル長Tとして定義し、ローレベルを「0」として符号化し、連続ローレベルの持続時間は、シンボル長の整数倍、即ち「0」の数である。
【0059】
例として説明すると、図3は、一部の同心円トラックにおける開始マークのコードを示す。図3において、アドレスドメインに合計7つの断口が示され、各断口は、1つのハイレベル信号に対応し、いずれも1として符号化される。左から右へ、第1の断口と第2の断口との間の距離が2Tであるため、00として符号化され、第2の断口と第3の断口との間の距離が11Tであるため、00000000000として符号化され、第3の断口と第4の断口との間、第4の断口と第5の断口との間、第5の断口と第6の断口との間、及び第6の断口と第7の断口との間の距離が2Tであるため、この4つの間隔がそれぞれ00として符号化され、したがって図3に示されたコードが1001000000000001001001001001である。
【0060】
好ましくは、上記開始マークにおいて、前端及び後端は、いずれも一定の固有波形のレベル信号に対応するトラックである。
【0061】
入射光スポットは、トラックに沿って左から右へ移動し、前端の一定の固有波形のレベル信号を識別するとき、トラックの開始マークの前端に来たことを示し、アドレスドメインにおけるトラック番号及びセクタ番号の読み取りを開始し、後端の一定の固有波形のレベル信号を識別するとき、開始マークの後端に来たことを示し、開始マークの識別が終了し、直ちに該セクタ内のホログラムの読み書きを開始するか又は他の位置に移動して他の開始マークを識別する。
【0062】
2進符号化により、リードイン領域、リードアウト領域及び開始マークにおける関連情報をトラックに記録する。本実施例に係る2進符号化方式は、簡単で効率的であり、複雑な符号化過程に関せず、トラックにおける有用な情報を効果的にスクリーニングすることができる。
【0063】
(具体的な実施例4)
本実施例は、ホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法を提供する。本実施例は、具体的な実施例1におけるホログラフィック記憶用光ディスクのトラックフォーマットの符号化方法を提供する。図6に示すように、入射光スポットが断口の上昇端及び下降端を同時に覆い、断口の真ん中に位置するとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しく、入射光スポットが断口の上昇端又は(及び)下降端を覆うが、断口の真ん中からずれるとき、反射光は、トラック方向に沿って3つのビームに発散し、両側のビームの光強度が等しくなく、4象限光検出器により反射されたビームを受信し、光強度を比較し、アナログ電圧信号、即ちタンジェンシャルプッシュプル信号(tangential push pull signal、TPP)に変換する。4象限光検出器は、A、B、C、Dの4つの領域を含み、トラックから反射された光を受信し、トラック方向の2つの領域であるABとCDとの光強度信号の差は、タンジェンシャルプッシュプル信号であり、TPP=(I+I)-(I+I)である。
【0064】
好ましくは、トラックにおける全ての断口は、いずれも長い断口である。ホログラフィック位置マークはトラックにおける断口であり、隣接する2つのホログラフィック位置マークの間のランド又はピットは、トラックにおける最小連続ユニットであり、該最小連続ユニットは断口の長さより大きい。図4は、トラックの一部の構造を示す。
【0065】
図8に示すように、断口が長い断口である場合、入射光スポットは、その上昇端及び下降端を同時に覆うことができず、その上昇端と下降端とに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらに2つのハイレベル信号に変換され、残りの位置に対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、それぞれさらにローレベル信号に変換される。これにより、異なるレベル信号に基づいて、トラックの具体的な構造を識別する。
【0066】
ホログラフィック位置マークがトラックにおける長い断口であり、入射光スポットがその上昇端及び下降端を同時に覆うことができないため、ホログラフィック位置マークに対応するタンジェンシャルプッシュプル信号は、2つのハイレベルパルス信号であり、該パルス信号のみにより、ホログラフィック位置マークを識別することができ、符号化する必要がない。
【0067】
上記トラックフォーマットを符号化することにより、トラックのリードイン領域、リードアウト領域及び開始マークにおける関連情報を迅速に識別することができる。
【0068】
具体的な符号化方法は以下のとおりである。図4に示すように、レベル信号の高低を利用して2進符号化を行い、断口又はその上昇端又は下降端に対応するハイレベルを「1」として符号化し、該ハイレベル信号の持続時間をシンボル長Tとして定義し、ローレベルを「0」として符号化し、連続ローレベルの持続時間は、シンボル長の整数倍、即ち「0」の数である。
【0069】
図4に示すように、例として説明すると、図4は、一部の同心円トラックにおける開始マークのコードを示す。図4において、アドレスドメインに2つのランド又はピットが示され、1つの断口の両端はそれぞれ1つのハイレベル信号に対応する。左から右へ、第1の断口の右端は1つのハイレベル信号に対応し、1として符号化され、第1の断口と第2の断口との間の距離が8Tであるため、00000000として符号化され、第2の断口と第3の断口との間の距離が8Tであるため、00000000として符号化され、第2の断口の左右両端はそれぞれ2つのハイレベル信号に対応し、1として符号化され、中間はローレベル信号に対応し、00として符号化され、第3の断口の左端は1つのハイレベル信号に対応し、1として符号化される。したがって、図4に示されたコードは1000000001001000000001である。
【0070】
好ましくは、上記開始マークにおいて、前端及び後端は、いずれも一定の固有波形のレベル信号に対応するトラックである。
【0071】
入射光スポットは、トラックに沿って左から右へ移動し、前端の一定の固有波形のレベル信号を識別するとき、トラックの開始マークの前端に来たことを示し、アドレスドメインにおけるトラック番号及びセクタ番号の読み取りを開始し、後端の一定の固有波形のレベル信号を識別するとき、開始マークの後端に来たことを示し、開始マークの識別が終了し、直ちに該セクタ内のホログラムの読み書きを開始するか又は他の位置に移動して他の開始マークを識別する。
【0072】
2進符号化により、リードイン領域、リードアウト領域及び開始マークにおける関連情報をトラックに記録する。本実施例に係る2進符号化方式は、簡単で効率的であり、複雑な符号化過程に関せず、トラックにおける有用な情報を効果的にスクリーニングすることができる。
【0073】
明らかに、本発明の上記実施例は、本発明の技術手段を明確に説明するための例に過ぎず、本発明の具体的な実施形態を限定するためのものではない。本発明の特許請求の範囲の精神及び原則の範囲内で行われたいかなる修正、同等の代替、改良などは、本発明の特許請求の範囲の保護の範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9