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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026447
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】酵素による深鍋および平鍋用洗剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/386 20060101AFI20230216BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230216BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C11D3/386
C11D1/14
C11D1/90
C11D1/75
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/40
C11D3/395
C11D3/50
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193990
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2020568263の分割
【原出願日】2019-06-06
(31)【優先権主張番号】62/681,796
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー ジェンロン リウ
(72)【発明者】
【氏名】リンダル ジェンセン
(72)【発明者】
【氏名】エレナ ワースト
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ エー.ホッジ
(57)【要約】
【課題】タンパク質性およびデンプン性汚れの優れた洗浄および除去を提供する洗剤組成物が開示される。
【解決手段】出願人は、プロテアーゼおよび/またはアミラーゼなどの酵素の性能を強化および改善するように作用する界面活性剤パッケージを発見した。深鍋および平鍋用食器洗浄洗剤、ならびに浸漬のための組成物と、手動または食器洗浄機での洗浄におけるそれらの使用と、が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素の洗浄能力を最適化する、洗剤組成物中に含めるための酵素界面活性剤成分であって、前記成分は、
有効量のプロテアーゼと、
オレフィンスルホン酸ナトリウムおよび/またはラウレルエーテル硫酸ナトリウムのうちの1つ以上と、
1つ以上の両性界面活性剤と、を含み、
前記成分がアルキルベンゼンスルホン酸塩を含まない、酵素界面活性剤成分。
【請求項2】
前記両性界面活性剤が、アミンオキシド、および/またはコカミドプロピルベタインを含む、請求項1に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項3】
前記両性界面活性剤が、アミンオキシドおよびコカミドプロピルベタインの両方を含む、請求項1に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項4】
アミラーゼをさらに含む、請求項1に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項5】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドポリマーセグメントの両方を含むアルコールアルコキシレートのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項6】
前記アルコールアルコキシレートが2エチルヘキシルPO4~8EO3、6、9または14である、請求項5に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項7】
前記界面活性剤がゲルベアルコールエトキシレートである、請求項5に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項8】
前記界面活性剤がポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルである、請求項1に記載の酵素界面活性剤成分。
【請求項9】
請求項1に記載の酵素界面活性剤パッケージを含む洗剤。
【請求項10】
前記洗剤が酵素安定剤をさらに含む、請求項9に記載の洗剤。
【請求項11】
防腐剤をさらに含む、請求項9に記載の洗剤。
【請求項12】
増粘剤をさらに含む、請求項9に記載の洗剤。
【請求項13】
色素剤、芳香剤、水、アルカリ性源、キーラント、追加の酵素、分散剤、漂白剤または消泡剤のうちの1つ以上の追加の成分をさらに含む、請求項9に記載の洗剤。
【請求項14】
前記洗剤が液状である、請求項9に記載の洗剤。
【請求項15】
約0.01重量%~約20重量%の1つ以上の酵素と、
オレフィンスルホン酸ナトリウムおよびラウレルエーテル硫酸ナトリウムを含む、約5重量%~約45重量%のアニオン性界面活性剤と、
約0.01重量%~約25重量%の非イオン性または両性界面活性剤と
を含む、食器洗浄/浸漬用洗剤組成物であって、
残りは、水、酵素安定剤、増粘剤、防腐剤、芳香剤、および色素剤のうちの1つ以上を含む、食器洗浄/浸漬用洗剤組成物。
【請求項16】
前記酵素がプロテアーゼおよび/またはアミラーゼである、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項17】
前記酵素がプロテアーゼである、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項18】
前記酵素がアミラーゼであり、前記組成物が非イオン性共界面活性剤を含む、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項19】
プロピレングリコールの酵素安定剤をさらに含む、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項20】
塩化ナトリウムの粘度制御剤をさらに含む、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項21】
前記プロテアーゼが、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、カルボキシルプロテアーゼ、および/またはメタロプロテアーゼのうちの一つ又は複数である、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項22】
前記プロテアーゼが、細菌由来、放線菌由来、カビ由来、または酵母由来のプロテアーゼである、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項23】
前記プロテアーゼが細菌プロテアーゼである、請求項15に記載の組成物。
【請求項24】
組成物が、酵母、カビ、または細菌に由来するアミラーゼを含む、請求項18~23のいずれか一項に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項25】
前記アミラーゼが、B.リケニフォルミス、B.アミロリケファシエンス、B.サブティリス、またはB.ステアロサーモフィルスを含むバチルスに由来する、請求項15に記載の食器洗浄/浸漬用組成物。
【請求項26】
前記組成物が、使用時に希釈される濃縮組成物である、請求項15に記載の組成物。
【請求項27】
シンク内で、および/または食器洗浄機内で洗浄する前に、洗剤組成物を食器表面に塗布し;前記洗剤組成物が、相乗的に一緒に作用する界面活性剤ならびにプロテアーゼおよび/またはアミラーゼを含み;その後前記食器をすすぎ、前記洗剤が、改良タンパク質またはデンプン性の汚れ除去および手動食器洗浄性能のための許容可能な泡立ちをもたらし、前記界面活性剤が直鎖アルキルベンゼンスルホネートではない、タンパク質性またはデンプン性汚れの洗浄方法。
【請求項28】
前記洗剤がすぐに使用可能な溶液である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記食器洗浄機が施設用の食器洗浄機である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記食器洗浄機が定置洗浄機である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
酵素の洗浄能力を最適化する、洗剤組成物中に含めるための酵素界面活性剤成分であって、前記成分は、
有効量のプロテアーゼと、
有効量のアミラーゼと、
1つ以上のオレフィンスルホン酸ナトリウムおよび/またはラウレルエーテル硫酸ナトリウムと、アミンオキシドおよび/またはココアミドプロピルベタインのうちの1つ以上と、を含み、
成分がアルキルベンゼンスルホネートを含まない、酵素界面活性剤成分。
【請求項32】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドポリマーセグメントの両方を含有するアルコールアルコキシレートをさらに含む、請求項31に記載の成分。
【請求項33】
前記アルコールアルコキシレートが、2エチルヘキシルPO4-8EO3、6、9または14である、請求項31に記載の成分。
【請求項34】
ゲルベアルコールエトキシレートをさらに含む、請求項31に記載の成分。
【請求項35】
ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルをさらに含む、請求項31に記載の成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タンパク質、デンプン、および他の除去しにくい汚れを除去するための配合物中に存在する酵素の性能を最適化する食器洗浄洗剤組成物が開示されている。組成物は、相乗的な酵素-界面活性剤の組み合わせの使用を採用しており、重要なことに、洗剤中の酵素性能に対して有害な効果を有するものを避ける。食器を洗浄するための、深鍋および平鍋(pots and pans)を浸漬するための洗剤組成物を採用する方法、ならびに組成物の作製方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、洗浄製品における単一の最も重要な洗浄成分である。界面活性剤は、液気界面で吸着することによって水の表面張力を減少させる。界面活性剤はまた、液液界面で吸着することによって油と水との間の界面張力を減少させる。水に溶解すると、界面活性剤は、表面から汚れを除去する能力を製品に付与する。各界面活性剤分子は、水分子に引き付けられる親水性頭部と、水を弾き同時にそれ自体を汚れの中の油および脂に引き付ける疎水性尾部と、を含む。これらの反対の力が汚れを解き、それを水中に懸濁させる。
【0003】
染みを分解し、それが除去されたばかりの表面上への汚れの再付着を防止するために水溶液中に汚れを保持することによって、洗剤および洗浄組成物の基本的な作業を界面活性剤が行う。界面活性剤は、通常は水に溶解しない汚れを分散させる。環境規制、消費性向、および消費慣習は、界面活性剤産業における、低コスト、高性能、かつ環境にやさしい製品を製造する新たな発展を強いてきた。
【0004】
タンパク質性、デンプン、および脂肪性の汚れは、食器洗浄用途では困難であることが長く証明されてきた。過去に、これらの種類の汚れを除去する際に最も有効であった洗浄組成物は、リン酸含有成分を含んだ。これらの洗浄組成物は、通常、環境上の懸念により現在は禁止されている、リン酸三ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム(STPP)等のリン酸含有成分を含んだ。この禁止以降、洗浄組成物の性能における隔たりが存在してきた。
【0005】
酵素の使用は、30年以上もの間、洗浄配合物において洗浄を改善するために実施されてきた。そのような配合物中で使用される酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンノシダーゼ、および他の酵素、またはそれらの混合物を含む。商業的に最も重要な酵素は、プロテアーゼである。これらのプロテアーゼの多くは、食器洗浄用途における有効性を限定する、例えば洗浄性能、熱安定性、保存安定性、または触媒活性等の異なる特性を有する。これらの特性、および他の洗剤成分との有害な相互作用が、食器洗浄用途におけるプロテアーゼ性能を望ましく改善する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本開示の目的は、洗浄性能を改善する界面活性剤とプロテアーゼとの相乗的な組み合わせを提供することである。したがって、特にタンパク質性、デンプン性、油性および脂肪性の汚れについて、環境的に安全である洗浄利点を提供する食器洗浄洗剤/深鍋および平鍋用浸漬用組成物を開発することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出願人は、酵素の洗浄能力を最適化し、相乗的に作用して洗浄を改善することが多い食器洗浄洗剤ならびに深鍋および平鍋用予浸組成物中の界面活性剤および酵素の特定の組み合わせを識別した。これらの組み合わせは、酵素-界面活性剤相互作用が最適化されていない従来の食器洗浄洗剤組成物と比較した場合、優良なタンパク質およびデンプン性の汚れの除去を提供する。
【0008】
一実施形態では、食器洗剤組成物は、食器洗浄洗剤組成物の界面活性剤-酵素成分を含む。酵素成分は、プロテアーゼ、アミラーゼ、または好ましい実施形態では、タンパク質およびデンプン性の汚れを最適に除去するために両方の酵素を含むことができる。出願人はさらに、アニオン性界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホネートが各酵素の汚れ除去に有害な効果を有し、洗剤はこの界面活性剤を本質的に含まないか、またはその使用を避けるべきであることを識別した。密接に関係するアニオン性界面活性剤であるラウレルエーテル硫酸ナトリウムおよびオレフィンスルホン酸ナトリウムが、これらの界面活性剤のうちの一方または両方を含む洗剤の洗浄能力および性能を最適化する好ましい界面活性剤であるため、これは特に驚くべきことである。
【0009】
一実施形態では、出願人は、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレルエーテル硫酸ナトリウム、アミンオキシド、およびコカミドプロピルベタインの組み合わせがすべてプロテアーゼと相乗的に作用することを見出した。
【0010】
アニオン性界面活性剤は、それらの発泡特性にとって望ましいが、アミラーゼに悪影響を与える場合も有り、一実施形態では、洗剤または界面活性剤パッケージは、これらの効果を軽減するために非イオン性共界面活性剤を含むことができる。これらは、典型的には、ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルまたは分岐C8エチルヘキシル(PO)4~8(EO)3、6、9、または14非イオン性拡張界面活性剤等の分岐非イオン性界面活性剤を含む。
【0011】
さらなる実施形態では、食器洗浄洗剤/浸漬用組成物を基材表面に塗布することであって、洗剤組成物が酵素-界面活性剤パッケージを含み、洗剤組成物がタンパク質性またはデンプン性の汚れ除去に効果的である、塗布することと、その後、残留洗剤および屑を除去するために上記表面をすすぐことと、を含む、洗浄方法が開示されている。好ましい実施形態では、洗剤は、食器洗浄シンク内で使用される。いくつかの実施形態では、洗剤は、食器洗浄機または2槽もしくは3槽のコンパートメントシンク内で洗浄する前に塗布され得る浸漬用組成物である。
【0012】
洗浄組成物はまた、食器洗浄組成物に有用な様々な他の成分のうちのいずれかを含む。例えば、組成物は、キーラント、アルカリ、金属保護剤、充填剤、酵素安定剤、ビルダー、酸化剤、防腐剤、腐食抑制剤、緩衝剤、芳香剤等の成分を含み得る。
【0013】
そのような洗浄を必要とする物品としては、プラスチック製品、調理器具、食器類、平皿類、グラス、コップ、硬質表面、ガラス表面、食事用および調理用の道具、ならびに食器を有する任意の物品が挙げられる。追加の実施形態はまた、プラスチック製品の洗浄も含む。洗浄され得るプラスチックの種類としては、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。洗浄され得る別の例示的なプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0014】
組成物は、液体、すぐに使用可能な溶液、濃縮物、または固体として提供され得る。一実施形態では、洗浄組成物は、洗浄組成物が添加された水を実質的に含まないか、または濃縮物がわずかな量の水を含み得るように、濃縮物として提供されてもよい。濃縮物の運搬の費用を低減するために、濃縮物は、水を一切含まずに配合されるか、または比較的少量の水を含んで提供されてもよい。使用する際に、濃縮物は、使用組成物を形成するために希釈され、次いで、洗浄するために食器に塗布される。
【0015】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のなお他の実施形態は、例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本来は例示的であり、限定的ではないものとしてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】洗剤試作品にDM06を使用した、タンパク質汚れ除去を比較した図である。
図2】洗剤試作品にDM79を使用した、デンプン汚れ除去を比較した図である。
図3】洗剤試作品1および6対非酵素製品のタンパク質汚れ除去を比較した図である。
図4】洗剤試作品1および6対非酵素製品のデンプン汚れ除去を比較した図である。
図5】様々な温度で12週にわたる洗剤試作品1におけるLiquanaseおよびAmplifyの安定性を示す図である。
図6】30℃で12週にわたる5つの配合物におけるLiquanaseおよびAmplifyの安定性を比較した図である。
図7】30℃での3つの洗剤試作品における酵素貯蔵寿命安定性を比較した図である。
図8】37℃での3つの洗剤試作品における酵素貯蔵寿命安定性を比較した図である。
図9】50℃での3つの洗剤試作品における酵素貯蔵寿命安定性を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
食器洗浄洗剤組成物は、タンパク質性および/またはデンプン性の汚れの除去を改善し、リン酸塩含有成分を含まない相乗的な界面活性剤-酵素の組み合わせを採用して開示されている。
【0018】
本明細書で開示された実施形態は、特定の洗剤組成物に限定されず、これは変更することができ、当業者によって理解される。本明細書に使用されるすべての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。
【0019】
例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に明確に内容により示されない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSI認証形態で表示され得る。本明細書内に記載される数値範囲は、範囲を定義する数字を含んでおり、定義される範囲内の各整数を含む。
【0020】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、様々な実施形態が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、過度な実験を伴うことなく、本明細書で企図される実施形態の実践に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。本実施形態を説明し、請求する際に、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0021】
本明細書で使用されるとき、本発明の組成物中の成分または材料の量を修飾するか、または本発明の方法において用いられる「約」という用語は、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取扱い手順;それらの手順における不慮の誤差;組成物の作製または方法の実行に使用される成分の製造、供給源、または純度の違い等によって生じ得る、数量のばらつきを指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に関する異なる平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量に対する等価物を含む。
【0022】
「界面活性剤」または「表面活性剤」という用語は、液体に添加されると、表面でその液体の特性を変化させる有機化合物を指す。
【0023】
「洗浄」とは、汚れ除去、漂白、デスケーリング、脱染、微生物集団の減少、すすぎ、またはこれらの組み合わせを行うか、またはそれらにおいて補助することを意味する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「実質的に含まない」という用語は、成分を完全に欠くか、または成分が組成物の性能に影響を及ぼさないほどに少量の成分を有する組成物を指す。成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、成分の量は、0.1重量%未満であり、更に別の実施形態では、成分の量は、0.01重量%未満である。
【0025】
本明細書で使用される場合、「固体」洗剤組成物とは、固体形態、例えば、粉末、粒子、凝集体、フレーク、顆粒、ペレット、錠剤、トローチ、パック、ブリケット、ブリック、固体ブロック、単位用量、または当業者に既知の別の固体形態にある洗浄組成物を指す。「固体」という用語は、固体洗剤組成物の予測される保管および使用条件下での洗剤組成物の状態を指す。一般に、洗剤組成物は、100°Fおよび好ましくは120°Fの高温に曝露された場合、固体形態のままであることが予測される。鋳造、圧縮、または押出された「固体」は、ブロックを含む任意の形態をとり得る。鋳造、圧縮、または押出された固体に言及する場合、それは、硬化された組成物が、目に見えて流動せず、適度な応力、圧力、または単なる重力下でその形状を実質的に保持するであろうことを意味する。例えば、鋳型から取り外されたときの鋳型の形状、押出機からの押出に際して形成された物品の形状等である。固体鋳造組成物の硬度の程度は、コンクリートに類似した、比較的緻密で硬い溶融固体ブロックの硬度から、コーキング材に類似した、可鍛性でスポンジ様のものとして特徴付けられる軟度にわたり得る。
【0026】
「活性物質」、または「活性物質のパーセント」、または「活性物質の重量パーセント」、または「活性物質濃度」という用語は、本明細書において互換的に使用され、水または塩等の不活性成分を引いた百分率として表される、洗浄に関与するこれらの成分の濃度を指す。
【0027】
「実質的に同様の洗浄性能」という用語は、概して、同程度(または少なくとも著しくより少ない程度ではない)の洗浄度の、または概して同じ労力(または少なくとも著しくより少ない労力ではない)による、またはその両方である代替洗浄製品または代替洗浄システムによる達成を指す。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「給水」、「希釈水」、および「水」という用語は、開示された方法および組成物と共に使用され得る水の任意の供給源を指す。好適な水源には、多様な質およびpHの両方が含まれ、水道水、井戸水、用水システムによって供給される水、私設給水システムによって供給される水、及び/またはシステムもしくは井戸から直接得られる水が含まれるが、これらに限定されない。水には、使用済み水の貯水槽、例えば、再生水の貯蔵に使用される再生貯水槽、貯蔵タンク、またはこれらの任意の組み合わせからの水も含まれる。水には、食品加工用または運搬用の水も含まれる。システムおよび方法のための流入水の供給源にかかわらず、水源は、製造プラント内でさらに処理され得ることが理解されるべきである。例えば、ミネラル沈澱のためにライムを添加してもよく、炭素濾過によって臭気性汚染物質を除去してもよく、消毒のためにさらなる塩素もしくは二酸化塩素を使用してもよく、または逆浸透によって水を精製して蒸留水と同様の特性を持たせてもよい。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「食器」という用語は、食事および調理用具、食器類、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、天板、窓、鏡、運搬用車両、および床などの他の硬表面を指す。本明細書で使用される場合、「食器洗浄」という用語は、食器の洗浄、浄化、またはすすぎを指す。器物は、プラスチック製の品目も指す。洗浄され得るプラスチックの種類としては、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。洗浄され得る別の例示的なプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt.%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」、およびそれらの変形は、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」および同様のものは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されると理解される。
【0031】
本方法および組成物は、本明細書に記載の成分および材料、ならびに他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」とは、方法および組成物が、追加のステップ、成分、または材料を含み得るが、ただしその追加のステップ、成分、または材料が、特許請求される方法および組成物の基本的かつ新規の特徴を著しく変更しない場合に限ることを意味する。
【0032】
食器洗浄/予浸組成物
本発明の洗剤組成物は、食器から除去しにくい汚れの洗浄を助ける1つ以上の酵素を含む。出願人は、これらの酵素の活性を最適化する特定の界面活性剤および様々な配合物を識別した。洗剤は、プロテアーゼおよび/またはアミラーゼを含むことができ、好ましい実施形態では、デンプン性およびタンパク質の両方の汚れ除去を最適化するために両方の酵素が含まれる。
【0033】
プロテアーゼ
プロテアーゼは、汚れ残留物中に存在する複雑な高分子タンパク質構造を、より単純な短鎖分子に切断することができ、それ自体の短鎖分子が、プロテアーゼを含有する洗浄溶液によって、表面からより容易に脱着されるか、可溶化されるか、またはそうでなければより容易に除去される。プロテアーゼは一般に、それらの活性部位に応じて、セリンプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、カルボキシルプロテアーゼ、および金属プロテアーゼに分類される。それらはまた、それらの起源に応じて、微生物由来、植物由来、および動物由来のプロテアーゼの3つに分類され得る。微生物由来のプロテアーゼはさらに、細菌由来、放線菌由来、カビ由来、および酵母由来のプロテアーゼに分類される。
【0034】
任意の好適なプロテアーゼが洗剤中に含まれ得る。異なる例では、洗剤に含まれるプロテアーゼは、植物、動物、または微生物に由来することができる。一例では、洗剤は、酵母、カビ、または細菌等の微生物に由来するプロテアーゼを含む。例えば、洗剤は、例えば、バチルス・サブティリスまたはバチルス・リケニフォルミス等のバチルスの菌株に由来するセリンプロテアーゼを含み得る。これらのプロテアーゼは、天然および組換えのサブチリシンを含み得る。プロテアーゼは、精製されるか、または菌抽出物の成分であり得、野生型または変異型(化学的または遺伝子組換えによる)であり得る。いくつかの例では、プロテアーゼは、それが約6~約12のpHでおよび約20℃~約80℃の範囲の温度で活性であるように選択される。
【0035】
洗剤中に組み込まれ得る市販のプロテアーゼの例としては、Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)(例えば、Savinase(登録商標)Ultra16L)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Esperase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Progress Uno(登録商標)、Lavergy Pro(登録商標)、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Opticlean(登録商標)、Optimase(登録商標)PR、Effectenz(登録商標)、Purafect(登録商標)、およびPurafect OXの商標名で販売されているものが挙げられる。異なるプロテアーゼ酵素の混合物もまた、洗剤中に組み込まれ得る。さらに、様々な特定の酵素が記載されているが、組成物に所望のタンパク質分解活性を付与することができる任意のプロテアーゼを使用することができ、本開示は任意の特定のプロテアーゼに限定されないことが理解されるべきである。好ましい実施形態では、酵素は、Savinase(登録商標)またはLiquanase(登録商標)である。
【0036】
使用される場合、プロテアーゼは、例えば、食器の表面上に蓄積し得る種類のタンパク質汚れ構造の効果的な洗浄および除去を生じさせるのに十分な量で洗剤に組み込まれ得る。プロテアーゼは、食器洗浄組成物が使用/液体組成物として提供される場合に、所望の酵素活性を提供する量で含まれる。洗剤組成物中の酵素レベルの例示的な範囲には、約0.001~約20重量%、より好ましくは約0.01重量%~約15重量%、最も好ましくは約0.05重量%~約10重量%が含まれる。
【0037】
アミラーゼ
アミラーゼ酵素は、汚れ残留物中に存在するデンプン分子をより単純な短鎖分子(例えば、単糖)に切断することができ、それ自体の短鎖分子が、アミラーゼを含有する洗浄溶液によって、表面からより容易に脱着されるか、可溶化されるか、またはそうでなければより容易に除去される。本発明の組成物中に含まれるアミラーゼは、植物、動物、または微生物に由来することができる。一例では、組成物は、酵母、カビ、または細菌等の微生物に由来するアミラーゼを含む。例えば、組成物は、B.リケニフォルミス、B.アミロリケファシエンス、B.サブティリス、またはB.ステアロサーモフィルス等のバチルスに由来するアミラーゼを含む。アミラーゼは、精製されるか、または菌抽出物の成分であり得、野生型または変異型(化学的または遺伝子組換えによる)であり得る。いくつかの例では、組成物は、アルファアミラーゼ(α-アミラーゼ)を含む。
【0038】
組成物中に採用され得るアミラーゼ酵素の例としては、Gist-Brocades(登録商標)(Netherlands)によるRapidase、Termamyl(登録商標)、Fungamyl(登録商標)、Duramyl(登録商標)、Amplify(登録商標)、Amplify Prime(登録商標)、NovozymesによるStainzyme(登録商標)もしくはStainzyme Plus(登録商標)、Opitmase(登録商標)AA、Preferenz(登録商標)、またはDuPontによるPurastar(登録商標)等の商標名で販売されているものが挙げられる。アミラーゼの混合物も使用され得る。アミラーゼ酵素は、約6~12のpH範囲および約20℃~80℃の温度での活性を有し得る。
【0039】
使用される場合、アミラーゼは、例えば、食器の表面上に蓄積し得る種類のデンプン汚れ構造の効果的な洗浄および除去を生じさせるのに十分な量で組成物に組み込まれ得る。アミラーゼは、食器洗浄組成物が使用/液体組成物として提供される場合に、所望の酵素活性を提供する量で含まれる。洗剤組成物中の酵素レベルの例示的な範囲には、約0.001~約20重量%、より好ましくは約0.01~約15重量%、最も好ましくは約0.05重量%~約10重量%が含まれる。
【0040】
界面活性剤
組成物は、プロテアーゼおよび/またはアミラーゼとの拮抗的相互作用を有する界面活性剤を含まないか、または実質的に含まない。そのような界面活性剤は、主にアニオン性界面活性剤、直鎖アルキルベンゼンスルホネートを含むが、他の密接に関係するアニオン性界面活性剤は、例えば、オレフィンスルホン酸ナトリウムまたはラウレルエーテル硫酸ナトリウムなどの酵素に対して適合性または相乗効果さえも有する。
【0041】
一実施形態では、界面活性剤成分は、組成物が酵素と有害に相互作用する任意のアニオン性界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホネート)を含まないという条件で、深鍋および平鍋用/食器洗浄洗剤/浸漬用組成物に通常使用される任意の界面活性剤を含み得る。
【0042】
使用され得る例示的な界面活性剤は、多数の供給源から市販されている。界面活性剤の考察について、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume 8,pages 900-912を参照されたい。組成物が洗浄剤を含む場合、洗浄剤は、所望のレベルの洗浄を提供するために有効な量で提供され得る。
【0043】
洗剤組成物に有用なアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシレート(カルボン酸塩)およびポリアルコキシカルボキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ノニルフェノールエトキシレートカルボキシレートなどのカルボキシレート;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート(直鎖アルキルベンゼンスルホネートを除く)、アルキルアリールスルホネート、スルホン化脂肪酸エステルなどのスルホネート;硫酸化アルコール、硫酸化アルコールエトキシレート、硫酸化アルキルフェノール、アルキルサルフェート、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルサルフェートなどのサルフェート;ならびにアルキルリン酸エステルなどのリン酸エステルが挙げられる。組成物は、1つ以上のアニオン性界面活性剤、好ましくはアルキルアルコキシル化サルフェート、アルキルサルフェート、またはアルキルスルホネートなどを含む。例示的な好ましいアニオン性界面活性剤としては、ラウレルエーテル硫酸ナトリウム、オレフィンスルホン酸ナトリウム、および脂肪族アルコールサルフェートが挙げられる。好ましい実施形態では、アニオン性界面活性剤は、オレフィンスルホン酸ナトリウムおよびラウレルエーテル硫酸ナトリウムを含み、上記成分は、約4部のオレフィンスルホン酸ナトリウムと約1部のラウレルエーテル硫酸ナトリウムとの比率で存在する。
【0044】
洗剤組成物に有用な非イオン性界面活性剤としては、例えば、界面活性剤分子の一部分としてポリアルキレンオキシドポリマーを有するものが挙げられる。そのような非イオン性界面活性剤としては、例えば、塩素、ベンジル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び他の同様のアルキルでキャップされた、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル;アルキルポリグリコシド等のポリアルキレンオキシド不含非イオン性物質;ソルビタン及びスクロースエステルならびにそれらのエトキシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;アルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレート等のアルコールアルコキシレート;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテル等;カルボン酸エステル、例えばグリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のエトキシル化エステル及びグリコールエステル等;ジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等のカルボン酸アミド;ならびにPluronic(登録商標)(BASF-Wyandotte)の商品名で市販されているもの等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを含むポリアルキレンオキシドブロックコポリマー;ならびに他の同様の非イオン性化合物が挙げられる。ABIL(登録商標)B8852等のシリコーン界面活性剤も使用することができる。
【0045】
好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、エチレンおよびプロピレンセグメントの両方を含有するアルコールアルコキシレート、ゲゲルベアルコールエトキシレート、もしくはポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0046】
洗剤組成物中に使用することができるカチオン性界面活性剤としては、例えば、C1~8アルキルまたはアルケニル鎖を有する第一級、第二級、および第三級モノアミンなどのアミン、エトキシル化アルキルアミン、エチレンジアミンのアルコキシレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン、2-アルキル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン等のイミダゾール等;ならびに、例えば、アルキル四級塩化アンモニウム界面活性剤、例えば、塩化n-アルキル(C12~C18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化n-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化ジメチル-1-ナフチルメチルアンモニウム等のナフタレン置換四級塩化アンモニウム等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤は、衛生化特性を提供するために使用され得る。
【0047】
洗剤組成物中に使用することができる両性または双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン、スルタイン、アミンオキシド、イミダゾリン、およびプロピネートが挙げられる。好ましい実施形態では、両性界面活性剤は、コカミドプロピルベタインおよび/またはアミンオキシドである。
【0048】
アミラーゼが洗剤中に存在する場合、出願人は、アミラーゼ性能に対するアニオン性界面活性剤の効果に対抗するために、1つ以上の非イオン性共界面活性剤を含むことが望ましいことを見出した。効果的な共界面活性剤の例としては、エチレンおよびプロピレンセグメントの両方を含有する非イオン性界面活性剤であるアルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールエトキシレート、またはポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル、ならびにポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルまたは分岐C8エチルヘキシル(PO)4~8(EO)3、6、9、もしくは14の非イオン性拡張界面活性剤等の分岐第二級非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0049】
出願人は、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレルエーテル硫酸ナトリウム、アミンオキシド、およびコカミドプロピルベタインの組み合わせがすべてプロテアーゼと相乗的に作用することを見出した。別の実施形態では、アニオン性界面活性剤は、約4:1の比率でオレフィンスルホン酸ナトリウムとラウレルエーテルスルホン酸ナトリウムとが存在する。
【0050】
洗剤中に存在するアニオン性界面活性剤の合計は、約5重量%~約55重量%、好ましくは約8重量%~約50重量%、および最も好ましくは約10重量%~約45重量%である。
【0051】
両性/非イオン性界面活性剤は、約0.01重量%~約35重量%、約0.5重量%~約30重量%、および最も好ましくは約1重量%~約25重量%の量で存在する。
【0052】
アミラーゼが存在する場合の追加の非イオン性共界面活性剤は、約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、および最も好ましくは約0.5重量%~約5重量%を含み得る。
【0053】
一実施形態では、洗剤は、上に列挙されたものに加えて、追加の界面活性剤を含むことができる。上記配合中に存在する界面活性剤の合計は、約10重量%~約60重量%、より好ましくは約15重量%~55重量%の範囲、および最も好ましくは約20重量%~50重量%の範囲を含み得る。
【0054】
一実施形態では、組成物は、様々な洗浄組成物中に含めるための界面活性剤酵素パッケージを含む。一実施形態は、プロテアーゼと、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレルエーテル硫酸ナトリウム、アミンオキシドおよびコカミドプロピルベタインと、を含む。別の実施形態では、パッケージは、アミラーゼおよびプロテアーゼと、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレルエーテル硫酸ナトリウム、アミンオキシド、およびコカミドプロピルベタインと、を1つ以上の分岐第二級非イオン性共界面活性剤と共に含む。組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネートを含まず、パッケージは、約4部のオレフィンスルホン酸ナトリウムと約1部のラウレルエーテル硫酸ナトリウムとの比率を有することが好ましい。別の実施形態では、パケットは、アミラーゼおよびプロテアーゼの両方を含む。
【0055】
増粘剤
洗剤組成物は、任意選択で、少量であるが有効量の増粘剤または充填剤のうちの1つ以上を含み得る。好適な増粘剤のいくつかの例としては、塩化ナトリウム、デンプン、糖類、プロピレングリコール等のC~C10アルキレングリコール、硫酸塩、PEG、尿素、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、充填剤は、最大で約50重量%の範囲、いくつかの実施形態では、約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、最後に約1重量%~約15重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0056】
担体
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、担体を含む。担体は、組成物の他の成分を、溶解するか、懸濁させるか、または担持する媒体を提供する。本発明の組成物は、好ましくは水性担体、最も好ましくは水、好適には脱イオン水である好適な担体を含む。担体は、0~99重量%、好ましくは約1~80重量%、およびより好ましくは約10重量%~約60重量%の量で存在し、組成物の残りを合計100重量%に生成し、上述の成分に加えて、本明細書に記載するようにさらに希釈して使用溶液を形成することができる濃縮物組成物を形成する。
【0057】
安定化剤
洗剤組成物はまた、安定化剤を含み得る。好適な安定化剤の例としては、ホウ酸塩、カルシウム/マグネシウムイオン、プロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。洗剤は、安定化剤を含む必要はないが、洗剤が安定化剤を含む場合、それは、組成物の所望のレベルの安定性を提供する量で含まれ得る。安定化剤の例示的な範囲には、最大でおよそ20重量%、およそ0.05重量%~およそ15重量%、およびおよそ0.1重量%~およそ10重量%、およびおよそ1重量%~およそ5重量%が含まれる。
【0058】
防腐剤
洗剤組成物は、任意選択で、1つ以上の防腐剤および/または殺生物剤を含み得る。多くの異なる種類の防腐剤および/または殺生物剤を洗剤組成物中に使用することができる。さらに、1つ以上の防腐剤および/または殺生物剤を洗剤組成物中に使用することができる。洗剤組成物に使用することができる防腐剤の例の非限定的な例としては、静カビ剤(mildewstat)もしくは静菌剤(bacteriostat)、メチル、エチルおよびプロピルパラベン、短鎖有機酸(例えば、酢酸、乳酸、および/もしくはグリコール酸)、ビスグアニジン化合物(例えば、Dantogardおよび/もしくはGlydant)、ならびに/または短鎖アルコール(例えば、エタノールおよび/もしくはIPA)が挙げられるが、これらに限定されない。静カビ剤または静菌剤の非限定的な例としては、Avecia CorporationからのProxel GXLおよびVantocil IB、すべてRohm and HaasCompanyから入手可能なKathon GC(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、KATHON ICP(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、およびそれらのブレンド、ならびにKATHON886(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、ならびにNeolone M-10;Boots Company Ltd.からのBRONOPOL(2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール)、ICI PLCからのPROXEL CRL(プロピル-p-ヒドロキシヒドロキシベンゾエート);Nipa Laboratories Ltd.からのNIPASOL M(o-フェニル-フェノール、ナトリウム塩)、すべてDow Chemical Co.からのDOWICIDE A(1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン)、Dowacil75、およびBioban、ならびにCiba-Geigy A.GからのIRGASAN DP 200(2,4,4’-トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル)、およびSurety LaboratoriesからのSurcide P、Lonzaから市販されているDantogardPlus(例えば、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチルヒダントインおよびヒドロキシメチル-5,5-ジメチルヒダントイン)、Angusから市販されているBioban DXN(例えば、ジメトキサン)等を含む静カビ剤(非イソチアゾリノン化合物を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。殺生物剤の非限定的な例としては、第四級アンモニウム化合物およびフェノール樹脂が挙げられる。これらの第四級化合物の非限定的な例としては、塩化ベンザルコニウムおよび/または置換塩化ベンザルコニウム、ジ(C~C14)アルキルジ短鎖(C1~4アルキルおよび/またはヒドロキシアルキル)第四級アンモニウム塩、N-(3-クロロアリル)塩化ヘキサミニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、もしくは塩化セチルピリジニウムが挙げられる。他の第四級化合物としては、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、およびそれらの混合物からなる群が挙げられ、アルキルラジカルは、C1~C24であり得る。ビグアニド抗菌活性物質としては、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、p-クロロフェニルビグアニドが挙げられるが、これらに限定されず;4-クロロベンズヒドリルビグアニド、限定されるものではないがクロルヘキシジン(1,1’-ヘキサメチルレン-ビス-5-(4-クロロフェニルビグアニド)およびその塩等のハロゲン化ヘキシジンもこの分類に含まれる。1つ以上の防腐剤および/または殺生物剤が洗剤組成物中に含まれる場合、防腐剤および/または殺生物剤の量は、少なくとも約0.001重量パーセントおよび約1重量パーセント未満、典型的には約0.001~1重量パーセント、より典型的には約0.005~0.5重量パーセント、さらにより典型的には約0.01~0.1重量パーセントである。
【0059】
還元剤
酵素をさらに安定化するために、還元剤が洗剤中に含まれ得る。還元剤には、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム等の亜硫酸塩が含まれる。理論に束縛されるものではないが、亜硫酸塩または同様の材料の添加は、酵素がデンプン構造に浸透する能力を強化し、他の酵素-安定化剤の不存在下で効果的であると考えられている。これは、硫酸による酸加水分解修飾の技術と同様である。この修飾により、デンプンのゲル化機能が改善する。そのようなゲル化能力は、デンプン分子が余分な水を吸収することをもたらす。そのような余分な水の吸収により、浸透が増大し、それにより、アミラーゼ単独で用いるよりもデンプンの迅速な除去を可能にすると考えられている。
【0060】
追加の成分
洗剤組成物は、キーラント、金属保護剤、水調整ポリマー、漂白剤、洗剤ビルダー、硬化剤または溶解度調整剤、消泡剤、再付着防止剤、閾値剤(threshold agent)、分散剤、審美性向上剤(すなわち、色素剤、香料)等の他の添加剤を含み得る。アジュバント及び他の添加剤成分は、製造される組成物の種類によって異なるであろう。これらの添加剤は任意選択的であり、洗浄組成物中に含まれる必要はないことを理解されたい。それらが含まれる場合、それらは、特定の種類の成分の有効性を提供する量で含まれ得る。
【0061】
アルカリ源
洗剤組成物は、アルカリ性源を含み得る。例示的なアルカリ性源には、アルカリ金属炭酸塩及び/またはアルカリ金属水酸化物が含まれる。
【0062】
洗剤の配合物に使用されるアルカリ金属炭酸塩は、しばしば灰系洗剤と呼ばれ、炭酸ナトリウムをしばしば用いる。追加的なアルカリ金属炭酸塩には、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが含まれる。本発明の態様において、アルカリ金属炭酸塩は、メタケイ酸塩、重炭酸塩、及びセスキ炭酸塩を含むことがさらに理解される。本発明によると、任意の「灰系」または「アルカリ金属炭酸塩」は、全てのアルカリ金属炭酸塩、メタケイ酸塩、ケイ酸塩、重炭酸塩、及び/またはセスキ炭酸塩を含むことも理解されるべきである。
【0063】
洗剤の配合物に使用されるアルカリ金属水酸化物は、しばしば腐食性洗剤と呼ばれる。好適なアルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムが挙げられる。例示的なアルカリ金属塩には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及びそれらの混合物が含まれる。アルカリ金属水酸化物は、固体ビーズ、水性溶液中への溶解、またはそれらの組み合わせを含む、当該技術分野で既知である任意の形態で組成物に添加され得る。アルカリ金属水酸化物は、約12~100のUSメッシュの範囲の混合した粒子サイズの混合物を有する小球化された固体もしくはビーズの形態の固体として、または水溶液として、例えば、45重量%および50重量%の溶液として、市販されている。
【0064】
第1のアルカリ性源に加え、洗剤組成物は、第2のアルカリ性源を含んでもよい。有用な第2のアルカリ性源の例としては、ケイ酸またはメタケイ酸ナトリウムまたはカリウム等の金属ケイ酸塩;炭酸、重炭酸、セスキ炭酸ナトリウムまたはカリウム等の金属炭酸塩;ホウ酸ナトリウムまたはカリウム等の金属ホウ酸塩;ならびにエタノールアミン及びアミンが挙げられるが、これらに限定されない。かかるアルカリ性薬剤は、水性または粉末形態のいずれかで一般に入手可能であり、いずれも本発明の洗剤組成物の配合に有用である。
【0065】
キレート剤
組成物はまた、組成物全体の0.01重量%~25重量%、好ましくは0.05重量%~20重量%、より好ましくは0.1重量%~15重量%のレベルでキーラントを含み得る。本明細書において、キレート化とは、二座または多座リガンドの結合または複合体形成を意味する。これらのリガンドは、多くの場合、有機化合物であり、キーラント(chelant)、キレーター、キレート剤(chelating agent)、および/または金属イオン封鎖剤と呼ばれる。キレート剤は、単一の金属イオンと複数の結合を形成する。キーラントは、特定の金属イオンと可溶性複合体分子を形成する化学物質であり、それらが他の元素またはイオンと正常に反応して沈殿物またはスケールを生成することができないように、それらのイオンを不活性化する。リガンドは、基材とキレート複合体を形成する。用語は、金属イオンがキーラントの2つ以上の原子に結合している複合体のものである。キーラントは、結晶成長阻害特性を有するもの、すなわち、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムの小粒子と相互作用し、それらが硬いスケール沈積に凝集することを阻止するものである。粒子は互いに弾き、水中に懸濁したままであるか、または堆積し得る緩い凝集物を形成する。これらの緩い凝集物は、容易にすすぎ流され、堆積物を形成しない。
【0066】
好適なキレート剤は、アミノカルボキシレート(これは、金属保護に使用されるものと同じアミノカルボキシレートであっても、追加的なさらなるアミノカルボキシレートであってもよい)、アミノホスホン酸塩、多官能性置換芳香族キレート剤、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。本明細書における使用に好ましいキーラントは、アミノ酸系キーラント、および好ましくはクエン酸塩、酒石酸塩、およびグルタミン酸-N,N二酢酸、ならびに誘導体、ならびに/またはホスホン酸塩系キーラントおよび好ましくはジエチレントリアミンペンタメチルホスホン酸等の弱キーラントである。
【0067】
アミノカルボキシレートとしては、エチレンジアミンテトラ-アセテート、N-ヒドロキシルエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロ-トリアセテート、エチレンジアミンテトラプロ-プリオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、およびエタノールジ-グリシン、アルカリ金属、アンモニウム、ならびにそれらの中の置換アンモニウム塩、ならびにそれらの中の混合物が挙げられる。ならびに、MGDA(メチル-グリシン-ジ酢酸)、ならびにそれらの塩および誘導体、ならびにGLDA(グルタミン酸-N,N-ジ酢酸)、ならびにそれらの塩および誘導体。GLDA(それらの塩および誘導体)が、特に好ましく、それらの四ナトリウム塩が特に好ましい。
【0068】
他の好適なキレート剤には、アミノ酸系化合物またはコハク酸塩系化合物が含まれる。「コハク酸塩系化合物」および「コハク酸系化合物」という用語は、本明細書において互換的に使用される。他の好適なキレート剤は、米国特許第6,426,229号に記載されている。特定の好適なキレート剤には、例えば、アスパラギン酸-N-モノ酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸-N-モノプロピオン酸(ASMP)、イミノジコハク酸(IDS)、イミノ二酢酸(IDA)、N-(2-スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)、アラニン-N,N-二酢酸(ALDA)、セリン-N,N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N,N-二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N,N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N,N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N,N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N,N-二酢酸(TUDA)、及びスルホメチル-N,N-二酢酸(SMDA)、及びそれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が含まれる。米国特許第4,704,233号に記載されているような、エチレンジアミンジコハク酸塩(「EDDS」)、特に[S,S]異性体が好適である。さらに、ヒドロキシエチレンイミノ二酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸も好適である。アラニン,N,N-ビス(カルボキシメチル)-,トリナトリウム塩が特に好ましい。
【0069】
他のキーラントとしては、ポリカルボン酸およびそれらの部分的または完全に中和された塩のホモポリマーおよびコポリマー、モノマーポリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸、ならびにそれらの塩が挙げられる。上述の化合物の好ましい塩は、アンモニウムおよび/またはアルカリ金属塩、すなわち、リチウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩であり、特に好ましい塩は、ナトリウム塩である。
【0070】
好適なポリカルボン酸は、非環式、脂環式、多環式、および芳香族カルボン酸であり、この場合、それらは、それぞれ好ましくは2つ以下の炭素原子によって互いから分離している少なくとも2つのカルボキシル基を含有する。2つのカルボキシル基を含むポリカルボキシレートには、例えば、マロン酸、(エチルエネジオキシ)二酢酸、マレイン酸、ジグリコール酸、酒石酸、タルトロン酸、およびフマル酸の水溶性塩が含まれる。3つのカルボキシル基を含有するポリカルボキシレートには、例えば、水溶性クエン酸塩が含まれる。相応に、好適なヒドロキシカルボン酸は、例えば、クエン酸である。別の好適なポリカルボン酸は、アクリル酸のホモポリマーである。スルホネートでエンドキャップされたポリカルボキシレートが好ましい。
【0071】
アミノホスホネートもまた、キレート剤としての使用に好適であり、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)をDEQUESTとして含む。約6個超の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含有しないこれらのアミノホスホネートが好ましい。
【0072】
多官能置換芳香族キレート剤もまた、米国特許第3,812,044号に記載されているような本明細書の組成物において有用である。酸形態であるこの種類の好ましい化合物は、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジスルホベンゼンなどのジヒドロキシジスルホベンゼンである。
【0073】
本明細書における使用のためのさらなる好適なポリカルボキシレートキーラントには、全て好ましくは水溶性塩の形態である、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、ギ酸が含まれる。他の好適なポリカルボキシレートは、米国特許第4,663,071号に記載されているような、オキソジスクシネート、カルボキシメチルオキシスクシネート、ならびに酒石酸モノコハク酸および酒石酸ジコハク酸の混合物である。
【0074】
腐食抑制剤/金属保護剤
洗剤組成物はまた、腐食抑制剤を含み得る。一般に、腐食抑制剤成分は、それが少なくとも8.0のpHに供されると、カルシウムを緩く保持して、任意の炭酸カルシウムの沈澱を低減させる(それがアルカリ性源として使用されている場合)ことが予想させる。
【0075】
例示的な腐食抑制剤には、ホスホノカルボン酸、ホスホン酸塩、リン酸塩、ポリマー、及びそれらの混合物が含まれる。例示的なホスホノカルボン酸には、BayerからBayhibit(商標)AMの名称で利用可能なものが含まれ、2-ホスホノブタン-1,2,4,トリカルボン酸(PBTC)が含まれる。例示的なホスホン酸塩には、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン1-1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及びそれらの混合物が含まれる。例示的なホスホン酸塩は、MonsantoからDeques(商標)の名称で利用可能である。例示的なポリマーには、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、ポリマレイン酸、スルホン化ポリマー、ならびにそれらのコポリマー及び混合物が含まれる。この混合物は、同じ一般クラス内の異なる酸置換ポリマーの混合物を含み得ることを理解されたい。さらに、酸置換ポリマーの塩が使用され得ることを理解されたい。有用なカルボキシル化ポリマーは、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸等の水溶性カルボン酸ポリマー、またはビニル付加ポリマーとして一般的に分類され得る。企図されるビニル付加ポリマーのうち、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、イソブチレン、アクリル酸、及びビニルエーテルと同様に無水マレイン酸コポリマーが例である。ポリマーは、水溶性であるか、または少なくとも水中にコロイド性に分散可能である傾向にある。これらのポリマーの分子量は、幅広い範囲で変動し得るが、1,000から最大1,000,000の平均分子量、より好ましくは100,000未満の分子量、及び最も好ましくは1,000~10,000の分子量を有するポリマーを使用することが好ましい。
【0076】
ポリマーまたはコポリマー(酸置換ポリマーまたは他の付加ポリマーのいずれか)は、付加または加水分解技術のいずれかによって調製され得る。このように、無水マレイン酸コポリマーは、無水マレイン酸およびスチレンなどの別のコモノマーの付加重合によって調製される。低分子量アクリル酸ポリマーは、アクリル酸またはその塩の、それ自体または他のビニルコモノマーとの付加重合によって調製され得る。代替的に、そのようなポリマーは、低分子量アクリロニトリルホモポリマーまたはコポリマーのアルカリ加水分解によって調製され得る。そのような調製技術については、Newmanの米国特許第3,419,502号を参照されたい。
【0077】
腐食抑制剤/金属保護剤は、濃縮物の重量に基づいて、約0.05重量%~約15重量%の範囲、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%の範囲、および最も好ましくは約1重量%~7.5重量%で提供され得る。ポリマー、ホスホノカルボン酸塩、及びホスホン酸塩は、単独でまたは組み合わせで使用され得ることを理解されたい。
【0078】
水調整ポリマー
一実施形態では、洗剤組成物は、水調整ポリマーを含む。いくつかの態様では、水調整ポリマーは、洗剤組成物のための二次ビルダーまたはスケール抑制剤である。特定の理論に限定されものではないが、アミノカルボキシレートと水調整ポリマーとの併用は、腐食性を含まない洗剤組成物を採用する処理された表面上でのスケール蓄積の相乗的な抑制を提供する。
【0079】
一態様では、水調整ポリマーは、ポリアクリレート、ポリカルボキシレート、またはポリカルボン酸である。ビルダーおよび/または水調整ポリマーとして使用することができる例示的なポリカルボキシレートとしては、ペンダントカルボキシレート(-CO )基を有するもの、例えば、アクリル酸ホモポリマー、ポリアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、スルホン化コポリマーまたはターポリマー、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、および加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。水調整ポリマーのさらなる考察については、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume 5,pages 339-366およびvolume 23,pages 319-320を参照されたい。
【0080】
一実施形態によれば、水調整ポリマーは、非リンポリマーであり得る。さらなる実施形態では、中和ポリカルボン酸ポリマーは、水調整ポリマーとして使用される。例示的な中和ポリカルボン酸は、Acumer1000(Rohm&Haas Company)として市販されている。
【0081】
一態様では、洗剤組成物は、約0.05重量%~15重量%の水調整ポリマー、約0.1重量%~10重量%の水調整ポリマー、好ましくは約1重量%~5重量%の水調整ポリマーを含む。水調整ポリマーは、硬水中の洗剤の使用溶液(例えば、17または20グレーンの水硬度)が沈殿物の形成を引き起こさないようなレベルで存在する。
【0082】
再付着防止剤
本組成物は、洗浄溶液中での汚れの持続した懸濁を促進し、除去された汚れが洗浄された基材上に再付着するのを防ぐための再付着防止剤を含み得る。好適な再付着防止剤の例としては、脂肪酸アミド、フルオロカーボン界面活性剤、複合リン酸エステル、スチレン無水マレイン酸コポリマー、およびヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。好ましい実施形態では、再付着防止剤は、濃縮物中に含まれる場合、約0.5重量%~約10重量%、およびより好ましくは約1重量%~約5重量%の量で添加される。
【0083】
分散剤
使用され得る分散剤には、マレイン酸/オレフィンコポリマー、ポリアクリル酸、およびそれらの混合物が含まれる。濃縮物は、分散剤を含む必要はないが、分散剤が含まれる場合、それは、所望の分散特性を提供する量で含まれ得る。濃縮物中の分散剤の例示的な範囲には、約0~約20重量%、より好ましくは約0.5重量%~約15重量%、および最も好ましくは約2重量%~約9重量%が含まれる。
【0084】
追加の酵素
デンプン、タンパク質等の強固な汚れの汚れ除去を補助するために、追加酵素が組成物中に含まれ得る。酵素の例示的な種類には、プロテアーゼ、アルファ-アミラーゼ、及びこれらの混合物が含まれる。使用され得る例示的なプロテアーゼには、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レヌス(Bacillus lenus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)、およびバチルス・アミロリケファシエンスに由来するものが含まれる。例示的なアルファ-アミラーゼには、バチルス・サブティリス、バチルス・アミロリケファシエンス、およびバチルス・リケニフォルミスが含まれる。濃縮物は、酵素を含む必要はない。濃縮物が酵素を含む場合、それは、物品組成物が使用組成物として提供されたときに所望の酵素活性を提供する量で含まれ得る。濃縮物中の追加の酵素の例示的な範囲には、約0~約15重量%、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%、および最も好ましくは約1重量%~約5重量%が含まれる。
【0085】
染料、付臭剤等
多様な色素剤、香料を含む付臭剤、及び他の審美性向上剤が組成物中に含まれ得る。組成物の外観を変化させるために、色素剤、例えば、Direct Blue 86(Miles)、Fastusol Blue(Mobay Chemical Corp.)、Acid Orange 7(American Cyanamid)、Basic Violet 10(Sandoz)、Acid Yellow 23(GAF)、Acid Yellow 17(Sigma Chemical)、Sap Green(Keystone Analine and Chemical)、Metanil Yellow(Keystone Analine and Chemical)、Acid Blue 9(Hilton Davis)、Sandolan Blue/Acid Blue 182(Sandoz)、Hisol Fast Red(Capitol Color and Chemical)、Fluorescein(Capitol Color and Chemical)、Acid Green 25(Ciba-Geigy)等が含まれ得る。
【0086】
組成物中に含まれ得る芳香剤もしくは香料は、例えば、シトロネラール等のテルペノイド、アミルシンナムアルデヒド等のアルデヒド、C1S-ジャスミンもしくはジャスマル等のジャスミン、バニリン等を含む。
【0087】
配合物
洗剤は、液体、自由流動性の粒状形態、粉末、固体ブロック、ゲル、ペースト、スラリー、および泡を含む任意の形態であるすぐに使用可能な溶液または濃縮溶液中で配合され得る。
【0088】
成分は、成分が全体にわたって実質的に均一に分配された、実質的に均質な稠度を形成するように混合される。混合物は、ダイまたは他の成形手段によって、混合システムから排出され得る。
【0089】
使用方法
洗剤組成物を採用する使用方法は、手動の食器洗浄に特に好適である。洗浄組成物は、濃縮物、すぐに使用可能な組成物、または使用溶液として分配することができる。組成物は、洗浄される物品、シンク内、または水に直接塗布して、使用溶液を形成することができる。使用溶液は、予浸用途中、手動洗浄用途の直前、または手動洗浄用途中に物品表面に塗布することができる。
【0090】
洗剤はまた、施設用の食器洗浄にも使用することができる。食器洗浄用途の例示的な開示は、そこに引用される全ての参考文献を含む、米国特許出願第13/474,771号、第13/474,780号、および第13/112,412号に記述され、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本方法は、任意の消費者向けまたは施設用の食器洗浄機において実行され得、例えば、全ての図および図面を含むその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,092,613号に記載されるものを含む。食器洗浄機のいくつかの非限定的な例としては、ドア型機械またはフード型機械、コンベヤ型機械、カウンター下機械、グラスウォッシャー、フライト機械、鍋釜用機械、用具洗浄機、及び消費者向け食器洗浄機が挙げられる。食器洗浄機は、一槽式または多槽式洗浄機のいずれかであり得る。
【0091】
フード型食器洗浄機とも呼ばれるドア型食器洗浄機は、汚れた食器がラック上に置かれ、その後ラックが食器洗浄機内に移動する商業用食器洗浄機を指す。ドア型食器洗浄機は、一度に1つまたは2つのラックを洗浄する。かかる機械において、ラックは静止し、洗浄及びすすぎアームが移動する。ドア型機械は、洗浄アーム及びすすぎアームのセット、またはすすぎアームのセットの2つのアームのセットを含む。
【0092】
ドア型機械は、高温または低温機であり得る。高温機において、食器は熱水によって衛生化される。低温機において、食器は化学的洗浄剤によって衛生化される。ドア型機械は、再循環機または廃棄充填機(dump and fill machine)のいずれかであり得る。再循環機において、洗剤溶液は、洗浄サイクル間で再利用または「再循環」される。適切な濃度が維持されるように、洗剤溶液の濃度は、洗浄サイクル間で調節される。廃棄充填機において、洗浄溶液は洗浄サイクル間で再利用されない。次の洗浄サイクルの前に、新しい洗剤溶液が添加される。ドア型機械のいくつかの非限定的な例としては、Ecolab Omega HT、Hobart AM-14、Ecolab ES-2000、Hobart LT-1、CMA EVA-200、American Dish Service L-3DW及びHT-25、Autochlor A5、Champion D-HB、ならびにJackson Tempstarが挙げられる。
【0093】
洗剤組成物の使用用途のさらなる例としては、例えば、グリルおよびオーブン洗浄剤、食器洗浄用剤、排水管洗浄剤、硬質表面洗浄剤、外科用器具用洗浄剤、食器洗浄予浸剤、食器洗浄洗剤、飲料機洗浄剤、脱脂剤、ならびに焦げ付き汚れ除去剤として効果的なアルカリ性洗剤が挙げられる。
【0094】
特定の実施形態では、洗剤組成物は、使用の前または使用の時点で、水源と混合され得る。他の実施形態では、洗剤組成物は、使用溶液の形成及び/またはさらなる希釈を必要とせず、さらなる希釈を伴わずに使用され得る。
【0095】
固体洗剤組成物を採用する態様では、水源が洗剤組成物と接触して、固体洗剤組成物、特に粉末を、使用溶液に変換する。さらなる分配システムが利用され得、これは代替的な固体洗剤組成物を使用溶液に変換するためにより好適である。本方法は、例えば、押し出されたブロックまたは「カプセル」の種類のパッケージを含む、様々な固体洗剤組成物の使用を含む。一態様では、ディスペンサーを採用し、水を噴霧して(例えば、ノズルからの噴霧パターンにおいて)、洗剤使用溶液を形成することができる。例えば、水は、装置または他の保持リザーバに向かって洗剤組成物と共に噴霧され得、水は固体洗剤組成物を溶解して、使用溶液を形成する。特定の実施形態では、使用溶液は、洗浄組成物の溶解溶液が使用のために分配されるまで、重力によって下向きに滴るように構成され得る。一態様では、使用溶液は、食器の手動洗浄または浸漬のために、浴槽または2槽もしくは3槽のコンパートメントシンク等のシンクの中に分配され得る。
【0096】
使用組成物
組成物は、濃縮組成物および使用組成物を含む。例えば、濃縮組成物は、使用組成物を形成するために、例えば、水で希釈され得る。一実施形態では、濃縮組成物は、対象物への塗布の前に使用溶液に希釈され得る。経済面の理由から、濃縮物が売られ、エンドユーザは、濃縮物を水または水性希釈剤で使用溶液に希釈することができる。
【0097】
濃縮組成物中の活性成分のレベルは、意図される希釈倍率および組成物の所望の活性に依拠する。一般に、約1液量オンス対約10ガロンの水から、約10液量オンス対約1ガロンの水の希釈が、水性組成物に関して使用される。いくつかの実施形態において、高温の使用温度(25℃超)または長時間の曝露時間(30秒超)が用いられ得る場合には、より高い使用希釈が用いられ得る。典型的な使用位置において、濃縮物は、一般に入手可能な水道水または上水を使用して、大部分の比率の水を用いて水100ガロン当たり約3~約40オンスの濃縮物の希釈率で希釈される。
【0098】
他の実施形態では、使用組成物は、約0.01~約10重量%の濃縮組成物および約90~約99.99重量%の希釈剤、または約0.1~約1重量%の濃縮組成物および約99~約99.9重量%の希釈剤を含み得る。
【0099】
使用組成物中の成分の量は、濃縮組成物について上記に列挙される量およびそれらの希釈倍率から計算することができる。これらの値および範囲の間の全ての値および範囲は、本開示によって包含されることが理解されるべきである。
【0100】
サンプル配合
全て、組成物の重量パーセントである。本明細書に記載される追加の成分は、最大で組成物の0.001~約15重量%に及び得る。
【表1】
【0101】
本明細書における全ての刊行物および特許出願は、本開示が関連する当業者のレベルを示している。すべての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として付与されることを理解されたい。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本質的な特徴を確認し得、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な利用法および条件にそれを適合するために実施形態の様々な変更および修正を行い得る。したがって、本明細書に示され、説明されるものに加えて、実施形態の様々な修正は、前述の説明から当業者に明らかとなろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【実施例0103】
このプロジェクトの範囲は、1つまたは複数の酵素を用いた酵素汚れ除去技術を利用した食器洗浄洗剤組成物を開発することであった。市販のインライン液体深鍋および平鍋用洗剤がベンチマーク製品であった。浸漬および複雑な汚れ除去などの追加の利点を有する洗剤が望ましい。これらの製品は、既存の製品と同様の物理的および化学的特性(例えば、分配プロファイル、中性pH付近の低アルカリ性、および高発泡)を維持しながら、より強力な汚れ除去性能および大幅な浸漬利益の両方を提供することを目的としている。市販の配合は、いずれの酵素も含有しておらず、オレフィンスルホネート、ラウリルエーテルサルフェート、およびアミンオキシドの界面活性剤パッケージが含まれる。
【0104】
以下のデータを、試験方法「硬質表面洗浄用途でのタンパク質汚れの酵素除去(Enzymatic Removal of Protein Soil in Hard-Surface Cleaning Applications)」および「硬質表面洗浄用途でのデンプン汚れの酵素除去(Enzymatic Removal of Starch Soil in Hard-Surface Cleaning Applications)」を使用して収集した。どちらの方法も、汚れ除去性能評価のために市販のメラミンタイルを利用している。DM06、チーズ(焼き付け)メラミンタイルを、硬質表面上のタンパク質汚れを表すために使用する。DM79、馬鈴薯デンプン(着色)メラミンタイルを、硬質表面上のデンプン汚れを表すために使用する。すべてのタイルを、HunterLab比色計を使用して、浸漬試験の前後の明暗反射値Lにおける差ΔLを測定することによって評価する。
【0105】
Novozymesからの市販のプロテアーゼであるLiquanase Evity3.5Lを、標準的な手動の深鍋および平鍋用条件下(例えば、高発泡界面活性剤を用いる、pH8、120F)で試験するためのプロテアーゼの典型的例として識別した。Novozymesからの市販のアミラーゼであるAmplify24Lを、これらの条件下で試験するための典型的なアミラーゼとして識別した。また、最近商品化されたアミラーゼであるAmplify Prime100Lを試験した。LiquanaseとAmplify(またはAmplify Prime)との組み合わせは、単一の酵素が存在する際よりも、タンパク質が豊富な汚れの除去およびデンプンが豊富な汚れの除去の両方で大きな利点を示した。本明細書で論じられる配合物は、これらのプロテアーゼ-アミラーゼの組み合わせの相乗効果に依拠しているが、最適化された界面活性剤パッケージを有する単一の酵素の使用も企図している。
【0106】
ベンチマーク洗剤(オレフィンスルホネート、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、およびアミンオキシド)中のアニオン性および両性界面活性剤は、タンパク質汚れ除去においてプロテアーゼと相乗的であることを見出したが、これらの界面活性剤はいずれもアミラーゼと理想的なものではなかった。したがって、新しい試作品の酵素深鍋および平鍋用配合物では、分岐第二級アルコールエトキシレート界面活性剤(ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル、Dow ChemicalからTergitol TMN-6として市販されている)または分岐C8エチルヘキシル(PO)(EO)非イオン性拡張界面活性剤(Dow ChemicalからEcosurf EH-9として市販されている)を含む、アミラーゼ性能について好ましい界面活性剤を識別し、いずれかの添加により、アミラーゼ性能が向上し、濃縮物中の酵素安定性において利点を提供することが示された。Stepanから市販されているコカミドプロピルベタイン(CAPB)であるAmphosol CGは、SLES(ラウレルエーテル硫酸ナトリウム)と非常に類似したプロテアーゼおよびアミラーゼの適合性、発泡プロファイル、ならびに汚れ除去性能を有することを見出した。CAPBはまた、皮膚低刺激性(skin mildness)の利点を追加する。Tergitol TMN-6およびCAPBを含む配合物全体を以下に示す。
【表2】
【0107】
性能試験では、試作品の配合のほとんどを、色素剤、芳香剤、防腐剤、または酵素を用いずに調製した。試験中に酵素をRTU溶液の中に投入した。色素剤、芳香剤、酵素適合性防腐剤を添加しても、試作品のいずれも酵素の性能または安定性は変化しない。試作品6を、市販の洗剤配合と同じ界面活性剤パッケージを用いて、同じ重量の洗剤投与量および同じ濃度の酵素を使用して両方の酵素を添加した実験配合である試作品1と比較した。
【表3】
【0108】
図1および図2は、Liquanaseのみ、Amplifyのみ、および両方の酵素を用いた試作品6および1のタンパク質汚れ除去およびデンプン汚れ除去についてのプロットを示す。これらのプロットは、Liquanaseのみを追加した場合、試作品1と6の間に性能の差がなかったことを示している。しかし、アミラーゼが好ましい界面活性剤を含む試作品6は、Liquanaseの有無にかかわらず、Amplifyを伴う条件において試作品1よりも良好な性能を明らかに示した。各図では、両方の酵素が存在する場合、プロテアーゼとアミラーゼの間に相乗的な相互作用がある。破線は、界面活性剤単独、または任意の酵素以外の深鍋および平鍋用配合物についての基本応答を示す。酵素が一緒に存在する場合の相乗効果を示す。これは、2つの異なる種類の汚れに当てはまり、これらのどちらもタンパク質とデンプンの混合物を含有している。
【0109】
試作品1および6のタンパク質およびデンプンの汚れ除去性能もまた、他の非酵素深鍋および平鍋用製品と比較した。これらの製品のすべてを、表4に示すように、それらの推奨された高投与量で投与した。性能結果を、図3および4に示す。
【表4】
【0110】
既存の非酵素製品は、タンパク質が豊富またはデンプンが豊富な汚れの除去ではうまく働かなかった。それらの性能は、炭酸緩衝剤溶液中にタイルを浸漬することとあまり違いは無かった。酵素試作品1および6は、図3および4に示すように、タンパク質が豊富およびデンプンが豊富な汚れを除去する際にかなり良好であった。
【0111】
いくつかの配合物を、濃縮物中の酵素の貯蔵寿命安定性について研究した。配合物には、1.5%w/wもしくは1.9%w/wのLiquanase Evity3.5L、0.5%w/wもしくは1.0%w/wのAmplify24L、または両方の酵素の組み合わせを投与した。酵素(複数可)を添加すると、サンプルを、22または25℃、30℃、37℃、および49℃で保存した。時間ゼロの対照サンプルを、初期活性を維持するためにすぐに凍結した。サンプルを、2、4、8、および12週間の培養時間で引き出し、凍結した。酵素活性データを、時間ゼロでの初期回復に対する酵素活性の保持率として表示している。
【0112】
LiquanaseおよびAmplifyを用いた5つの異なる配合物を比較した。配合1は、酵素を添加したインラインの市販の液体洗剤である。配合2は、第四級アンモニウム化合物(quat)-アニオン性相互作用に焦点を当てた実験配合である。配合物3、4、および5は、改善されたアミラーゼの性能および安定性を目的とした実験的界面活性剤パッケージである。式1を表1に示す。配合物2、3、4、および5を以下の表に示す。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0113】
図5は、配合1についての12週間にわたる4つの温度で、配合に個別に追加されたLiquanaseおよびAmplifyの相対保持を示す。どちらの酵素も30℃以下での優れた安定性および37℃での許容可能な安定性を有する。49℃での保存は、典型的には液体酵素配合物には推奨されず、したがって、49℃でのデータは、酵素を配合するための限定要因であってはならない。プロットにおける49℃についてのデータは、酵素の安定性に影響を与える配合を比較する目的を果たす。
【0114】
図6は、配合1から5についての30℃で12週間にわたる、配合に個別に追加されたLiquanaseおよびAmplifyの相対保持を図示している。配合2は、他の4つの配合と比較して、LiquanaseおよびAmplifyの両方の安定性に明らかに負の効果を有していた。配合1、3、4、および5はすべて、30℃で12週後に優れたAmplify安定性を示した。配合1は、配合3、4、および5よりも驚くほど良好なLiquanase安定性を有しており、配合1中のプロピレングリコールの存在に補助されたように思われた。配合3、4、および5の間の単一の界面活性剤の変化は、どちらの酵素の安定性にも影響を与えておらず、3つの界面活性剤が交換可能であることを示している。
【0115】
2つの主要な試作品配合である試作品6および試作品9を、酵素が追加されたインラインの市販の液体洗剤配合である試作品1と比較する。試作品6および試作品1の配合を、それぞれ表2および表3に列挙している。試作品9は、Tergitol TMN-6がEcosurf EH-9に置き換えられていることを除けば、試作品6に非常に類似している。Ecosurf EH-9は、Tergitol TMN-6およびEcosurfEH-6と同様のアミラーゼ適合性を提供する。
【表9】
【0116】
1%のAmplify Prime、1.9%Liquanaseを有する1%Amplify Prime、および1.9%Liquanaseを有する1%Amplifyを用いた試作品1、6、および9の12週安定性データを図7~9に示す。
【0117】
30℃以下では、これら3つの試作品配合間で酵素安定性において大きな差はない。濃縮物配合においてAmplify Prime単独が最高の安定性を有しているが、すべての酵素の組み合わせが素晴らしい安定性プロファイルを示している。37℃では、酵素の安定性に影響を与える配合物がより顕著になった(図8)。2つのうちの堅牢性の低いアミラーゼであるAmplifyは、試作品6および9よりも試作品1において早く活性を失った。50℃では、AmplifyとAmplify Primeの両方は、試作品6および9よりも試作品1における安定性が劣っていた。これらの観察結果は、配合にアミラーゼ適合性界面活性剤(Tergitol TMN-6、Ecosurf EH-9等)を有することにより、アミラーゼの貯蔵寿命の安定性を改善することができることを示した。しかし、これらの配合物間ではLiquanase安定性に差はない。また、これらの完全な配合は、図6に示す実験的界面活性剤パッケージよりもかなり良好な酵素安定性を有しており、完全な配合中に存在する追加の成分、および得られた水分活性の低下が強化された安定性をサポートしたことを示唆している。具体的には、2%のプロピレングリコールが主な寄与要因のように思われた。
【0118】
実施例2 有害な酵素界面活性剤相互作用
試作品の酵素試験配合物(表10)を使用して、広範囲の界面活性剤についてのプロテアーゼの性能全体をスクリーニングした。焼き付けられたチーズ汚れを有する市販のメラミンタイルDM06を用いた以前と同じ方法を使用した。スクリーニング条件を、プロテアーゼ-界面活性剤のペア間の区別をサポートする動的応答範囲および応答変動性を提供するように最適化した。取得した性能結果(以下に詳述する)に基づいて、界面活性剤を、プロテアーゼと相乗的であるか、適合性があるか、または拮抗的であるかの3つのカテゴリーにグループ分けされた。
【表10】
【0119】
上記の配合を、1Lビーカ内で酵素を除くすべての成分を混合することによって調製した。NaOHを使用して、溶液をpH9.50(室温で)に調節し、水浴にて120°Fに加熱した。タイルを浸す直前に、加熱した溶液に酵素を加えた。2枚のタイルを各溶液中に40分間浸漬した。さらに繰り返して行う場合、2つのタイルの各セットに対して個別の溶液を調製した。性能応答を、処理済みおよび未処理のタイルについて記録された反射率変化ΔLの観点から測定した。ΔL値が大きいほど、汚れがより除去されることを表す。
【表11】
【0120】
見てわかるように、いくつかの界面活性剤は、プロテアーゼAと相乗的であるかまたは適合性があるが、LASは、プロテアーゼ活性に拮抗的である。
【0121】
同じ試験を、同じ試験配合において、プロテアーゼBおよび組み合わせ、ならびに様々な界面活性剤を用いて行った。結果を表12で報告している。ここでも、多くの界面活性剤が相乗的であるまたは少なくとも適合性があることが示されたが、LASは、プロテアーゼ活性に拮抗的であることが示された。
【表12】
【0122】
出願人は、驚くべきことに、LASが両方のプロテアーゼに対する酵素洗浄に有害である一方、密接に関係する界面活性剤であるSLESおよびAOSは各プロテアーゼと相乗的であることを見出した。
【0123】
組成物および方法が様々な形で変化し得ることは明らかであろう。そのような変動は、本実施形態の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのそのような修正は、以下の特許請求の範囲の範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】