(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026450
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20230216BHJP
B32B 17/04 20060101ALI20230216BHJP
B60J 1/00 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
B32B17/04
B60J1/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194139
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2020162306の分割
【原出願日】2016-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】中山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】乾 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】北野 紘史
(57)【要約】
【課題】ニップロール法によっても高い脱気性を発揮することができ、気泡が発生せず視認性の高い合わせガラスを製造可能な合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供する。
【解決手段】少なくとも一方の表面に、多数の凹部と多数の凸部とを有し、前記凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に並列している合わせガラス用中間膜であって、前記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smに対する前記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの比率(R/Sm×100)が15%以上であり、一端と、前記一端の反対側に他端とを有し、前記他端の厚みが、前記一端の厚みよりも大きい合わせガラス用中間膜。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表面に、多数の凹部と多数の凸部とを有し、前記凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に並列している合わせガラス用中間膜であって、
前記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smに対する前記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの比率(R/Sm×100)が15%以上であり、
一端と、前記一端の反対側に他端とを有し、前記他端の厚みが、前記一端の厚みよりも大きい
ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rが20~250μmであることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smが100~400μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されていることを特徴とする合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニップロール法によっても高い脱気性を発揮することができ、気泡が発生せず視認性の高い合わせガラスを製造可能な合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供する。
【背景技術】
【0002】
2枚のガラス板の間に、可塑化ポリビニルブチラール等の熱可塑性樹脂を含有する合わせガラス用中間膜を挟み、互いに接着させて得られる合わせガラスは、自動車用フロントガラスとして広く使用されている。
【0003】
このような自動車用フロントガラスの製造方法の1つとして、真空脱気法が行われている。
真空脱気法では、少なくとも2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体をゴムバックに入れて減圧吸引し、ガラス板と中間膜との間に残留する空気を脱気しながら予備圧着し、次いで、例えばオートクレーブ内で加熱加圧して本圧着を行うことにより自動車用フロントガラスを得る。
【0004】
真空脱気法による合わせガラスの製造工程においては、ガラスと合わせガラス用中間膜とを積層する際の脱気性が重要である。このため、合わせガラス用中間膜の少なくとも一方の表面には、合わせガラス製造時の脱気性を確保する目的で、微細な凹凸が形成される。とりわけ、該凹凸における凹部を、底部が連続した溝形状(刻線状)を有し、隣接する該刻線状の凹部が平行して規則的に形成される構造とすることにより、極めて優れた脱気性を発揮することができる(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方、合わせガラスの製造方法として、ニップロール法がある。ニップロール法では、少なくとも2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体を、コンベアを用いて搬送しながら、該積層体を、加熱ゾーンを通過させることで、一定の温度に加熱した後、ニップロールを通してガラスと中間膜との間に残留する空気を扱きだしながら除去すると同時に、熱圧着させ、積層体の中間膜とガラス間の空気を低減させて密着させる。
【0006】
しかしながら、真空脱気法による合わせガラスの製造に供していた合わせガラス用中間膜を用いて、ニップロール法により合わせガラスを製造した場合に、得られる合わせガラスの脱気性が低下することがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、ニップロール法により合わせガラスを製造した場合に、得られる合わせガラスの脱気性が低下する原因について研究を行った。その結果、脱気のために合わせガラス用中間膜の表面に形成された底部が連続した溝形状の凹部(以下、「刻線状の凹部」ともいう。)が原因であることを見出した。真空脱気法においては、減圧と加熱を同時に行い、予備圧着を行うため、刻線状の凹部は減圧により内部の空気を除去されるため、得られた合わせガラスにおいて凹部がつぶれずに残存することはほとんど問題になることはなかった。しかしながら、ニップロール法では予備圧着時に圧力のみで膜とガラスが圧着されるため、予備圧着後、凹部がつぶれずに残存することがある。潰れずに残った凹部に残存した空気量が多いと、オートクレーブにて加圧加熱圧着後にも膜中に気泡が残存し、視認性が低下する恐れがある。また、特に予備圧着時の合わせガラス前駆体の温度が低い場合、凹部がつぶれにくく、気泡が残存しやすい。
【0009】
本発明は、ニップロール法によっても高い脱気性を発揮することができ、気泡が発生せず視認性の高い合わせガラスを製造可能な合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することを目的とする。なお、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、ニップロール法だけではなく、真空脱気法に用いてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも一方の表面に、多数の凹部と多数の凸部とを有し、前記凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に並列している合わせガラス用中間膜であって、前記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smに対する前記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの比率(R/Sm×100)が15%以上であり、一端と、前記一端の反対側に他端とを有し、前記他端の厚みが、前記一端の厚みよりも大きい合わせガラス用中間膜である。
なお、本発明において、「少なくとも一方の表面に、多数の凹部と多数の凸部とを有し」とは「少なくとも一方の表面に、多数の凹部と多数の凸部とが形成されている」ことをも意味し、「凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に並列している」とは「凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に形成されている」ことをも意味する。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、合わせガラス用中間膜の凹凸形状を特定のものとすることにより、ニップロール法によっても高い脱気性を発揮することができ、視認性の高い合わせガラスを製造できることを見出し、本発明を完成した。なお、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、ニップロール法だけではなく、真空脱気法に用いてもよい。
【0012】
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも一方の表面に、多数の凹部と多数の凸部とを有し、前記凹部は、底部が連続した溝形状を有し、隣接する前記凹部が平行して規則的に並列している。これにより、ニップロール法による合わせガラスの製造時における脱気性を確保することができる。上記凹凸は、一方の表面にのみ有してもよいが、著しく脱気性が向上することから、合わせガラス用中間膜の両面に有することが好ましい。
【0013】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記少なくとも一方の表面に有する凹凸の凹部は、底部が連続した溝形状を有し(即ち、「刻線状の凹部」を有し)、隣接する凹部が平行して規則的に並列している。一般に、2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体を圧着するときの空気の抜け易さは、上記凹部の底部の連通性及び平滑性と密接な関係がある。中間膜の少なくとも一方の面の凹凸の形状を刻線状の凹部が平行して規則的に並列した形状とすることにより、上記の底部の連通性が優れ、著しく脱気性が向上する。
なお、「規則的に並列している」とは、隣接する上記刻線状の凹部が平行して等間隔に並列していてもよく、隣接する上記刻線状の凹部が平行して並列しているが、すべての隣接する上記刻線状の凹部の間隔が等間隔でなくともよいことを意味する。また、上記刻線上の凹部は、底部の全てが連続した溝形状である必要は無く、底部の一部に分断壁を有していてもよい。また、隣接する凹部が平行して規則的に並列していれば、底部が溝の形状は直線状でなくともよく、例えば、波形状やジグザグ状であってもよい。
【0014】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smに対する上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの比率(R/Sm×100)が15%以上である。これにより、ニップロール法で合わせガラスを製造する場合において、予備圧着時に充分な脱気性を発揮できるとともに、予備圧着時の圧力により刻線状の凹部を潰すことができ、空気が残存することを防止し、気泡のない透明な合わせガラスを得ることができる。
上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smに対する上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの比率(R/Sm×100)は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、更に好ましくは50%以上である。なお、上記底部が連続した溝形状の凹部の間隔Smに対する上記底部が連続した溝形状の凹部の底部の回転半径Rの比率(R/Sm×100)は、200%以下であることが好ましく、より好ましくは100%以下である。
【0015】
本明細書において上記刻線状の凹部の底部の回転半径Rは、合わせガラス用中間膜を片刃カミソリ(例えば、フェザー安全カミソリ社製、FAS-10)を用いて刻線状の凹部の方向に対して垂直方向、かつ、膜厚み方向に平行に、切断面を変形させないように、カミソリを凹部と垂直方向に滑らせることなく、厚み方向に平行方向に押し出すことで切断し、その断面をマイクロスコープ(例えば、オリンパス社製「DSX-100」)を用いて観察し、測定倍率を208倍にて撮影し、更に撮影画像を50μm/20mmになるように拡大表示させた状態で、付属ソフト内の計測ソフトを用いて、刻線状の凹部の底部に内接する円を描いたときの該円の半径を該凹部の回転半径Rとする方法により求めることができる。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下である。ここで、中間膜中の任意の5点を採取してサンプルとし、各サンプル毎にRを3点計測し、合計15点の平均値をRとする。
また、本明細書における上記刻線状の凹部の間隔Smは、JIS B-0601(1994)に規定される。上記刻線状の凹部の間隔Smは、光学顕微鏡(SONIC社製「BS-D8000III」)を用いて、合わせガラス用中間膜の第1面及び第2面(観察範囲20mm×20mm)を観察し、隣接する凹部の間隔を測定したうえで、隣接する凹部の最底部間の最短距離の平均値を算出することにより得られる。
【0016】
上記刻線状の凹部の底部の回転半径Rの好ましい下限は20μm、好ましい上限は250μmである。上記刻線状の凹部の底部の回転半径Rがこの範囲内であれば、ニップロール法で合わせガラスを製造する場合において、予備圧着時の圧力により刻線状の凹部を潰すことがより容易であり、より優れた脱気性を発揮する。上記刻線状の凹部の底部の回転半径Rのより好ましい下限は40μm、より好ましい上限は125μmである。
【0017】
上記刻線状の凹部の間隔Smの好ましい下限は50μm、好ましい上限は1000μmである。上記刻線状の凹部の間隔Smがこの範囲内であれば、ニップロール法で合わせガラスを製造する場合において、予備圧着時により優れた脱気性を発揮し、かつ、その圧力により刻線状の凹部を潰すことがより容易となる。上記刻線状の凹部の間隔Smのより好ましい下限は100μm、更に好ましい下限は175μm、より好ましい上限は400μm、更に好ましい上限は300μmである。上記刻線状の凹部の間隔を上記下限以上にすることで、真空バック方式においても良好な脱気性を持たせることができる。
【0018】
上記刻線状の凹部の粗さ(Rz)の好ましい下限は10μm、好ましい上限は80μmである。上記刻線状の凹部の粗さ(Rz)をこの範囲内とすることにより、優れた脱気性を発揮することができる。上記刻線状の凹部の粗さ(Rz)のより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は65μmである。更に好ましい上限は50μmである。
なお、本明細書において刻線状の凹部の粗さ(Rz)は、JIS B-0601(1994)に規定され、刻線方向の凹部が連続する方向に対して横断するように垂直方向に測定することで得られる。ここで、測定機としては例えば小坂研究所社製「Surfcorder SE300」等を用いることができ、測定時のカットオフ値は2.5mm、基準長さは2.5mm、測定長さを12.5mmとし、予備長さを2.5mmとし、触診針の送り速度は0.5mm/秒、触針形状は先端半径2μm、先端角60°のものを用いる条件により測定することができる。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下である。また測定する中間膜は測定時の環境下で3時間以上静置した後に測定する。
【0019】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記凹凸の凸部の先端の回転半径R’の好ましい下限は15μmである。これにより、ガラスと合わせガラス用中間膜間の摩擦力が大きくなり、ニップロール法により合わせガラスを製造する際に、コンベア上でガラスと合わせガラス用中間膜とがずれてしまうのをより効果的に防止することができる。上記凸部の先端の回転半径R’の上限は特に限定されないが、100μm以下が好ましい。これにより、中間膜同士を積層した際にも膜同士が接着することなく、取り扱い性が向上する。上記凸部の先端の回転半径R’のより好ましい下限は30μm、より好ましい上限は80μmである。
なお、上記凸部の先端の回転半径R’は、中間膜を刻線状の凹部の方向に対して垂直方向、かつ、膜厚み方向に切断し、その断面をマイクロスコープ(例えば、オリンパス社製「DSX-100」)を用いて観察し、測定倍率を555倍にて撮影し、更に撮影画像を50μ/20mmになるように拡大表示させた状態で、付属ソフト内の計測ソフトを用いて、凸形状の頂点に内接する円を描いたときの該円の半径を該凸部の先端の回転半径とする方法により求めることができる。また、測定時の環境は23℃及び30RH%下である。
【0020】
本発明の合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール、又は、エチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。
【0021】
上記ポリビニルアセタールは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。PVAのけん化度は、一般に、70~99.9モル%の範囲内である。
【0022】
上記ポリビニルアセタールを得るためのPVAの重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1700以上、特に好ましくは2000以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、より一層好ましくは3000以下、更に好ましくは3000未満、特に好ましくは2800以下である。上記ポリビニルアセタールは、重合度が上記下限以上及び上記上限以下であるPVAをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタールであることが好ましい。上記重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0023】
PVAの重合度は平均重合度を示す。該平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n-ブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドが好ましく、n-ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0024】
上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラールであることが好ましい。ポリビニルブチラールの使用により、合わせガラス部材に対する中間膜の耐候性等がより一層高くなる。
【0025】
本発明の合わせガラス用中間膜は、可塑剤を含有することが好ましい。
上記可塑剤としては、合わせガラス用中間膜に一般的に用いられる可塑剤であれば特に限定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機可塑剤や、有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物等のリン酸可塑剤等が挙げられる。
上記有機可塑剤として、例えば、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコール-ジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、テトラエチレングリコール-ジ-n-ヘプタノエート、ジエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、ジエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコール-ジ-n-ヘプタノエート等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、又は、トリエチレングリコール-ジ-n-ヘプタノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0026】
本発明の合わせガラス用中間膜は、接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記接着力調整剤としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好適に用いられる。上記接着力調整剤として、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。
上記塩を構成する酸としては、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、2-エチル酪酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸の有機酸、又は、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。
【0027】
本発明の合わせガラス用中間膜は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、接着力調整剤として変成シリコーンオイル、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、熱線反射剤、熱線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
【0028】
本発明の合わせガラス用中間膜は、一端と、上記一端の反対側に他端とを有する。上記一端と上記他端とは、中間膜において対向し合う両側の端部である。本発明の合わせガラス用中間膜では、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい。このような一端と他端の厚みが異なる形状を有することで、本発明の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスをヘッドアップディスプレイとして利用した際に、二重像を効果的に抑制できる。
【0029】
本発明の合わせガラス用中間膜は、光沢度が35%以下であることが好ましい。
本明細書において光沢度とは、精密光沢計(例えば、村上色彩研究所製「GM-26PRO」等)を用いて、JIS Z 8741:1997に準拠して測定される75度鏡面光沢を意味する。光沢度が35%以下である中間膜は、微細な凹凸形状を持ち、膜同士を積層した際の自着力を抑制し、取扱い性を向上することができる。上記光沢度のより好ましい上限は20%以下、更に好ましい上限は10%以下である。光沢度が3%以上の場合、予備圧着時に微細な凹凸形状が膜とガラスの間に残留することを抑制し、オートクレーブにて加圧加熱圧着後にも膜中に気泡が残存することを防止することができる。
【0030】
本発明の合わせガラス用中間膜が多層構造である場合には、例えば、合わせガラスの遮音性を向上させるために、上記第1の樹脂層を保護層、上記第2の樹脂層を遮音層とし、2つの保護層で遮音層を挟持した、優れた遮音性を有する合わせガラス用中間膜(以下、「遮音中間膜」ともいう。)が挙げられる。
以下、該遮音中間膜について、より具体的に説明する。
【0031】
上記遮音中間膜において、上記遮音層は遮音性を付与する役割を有する。
上記遮音層は、ポリビニルアセタールXと可塑剤とを含有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタールXは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアセタールXは、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの重合度を200以上とすることにより、得られる遮音中間膜の耐貫通性を向上させることができ、5000以下とすることにより、遮音層の成形性を確保することができる。上記ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
【0032】
上記ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数の好ましい下限は4、好ましい上限は6である。アルデヒドの炭素数を4以上とすることにより、充分な量の可塑剤を安定して含有させることができ、優れた遮音性能を発揮することができる。また、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。アルデヒドの炭素数を6以下とすることにより、ポリビニルアセタールXの合成を容易にし、生産性を確保できる。
上記炭素数が4~6のアルデヒドとしては、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n-ブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド等が挙げられる。
【0033】
上記ポリビニルアセタールXの水酸基量の好ましい上限は30モル%である。上記ポリビニルアセタールXの水酸基量を30モル%以下とすることにより、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。上記ポリビニルアセタールXの水酸基量のより好ましい上限は28モル%、更に好ましい上限は26モル%、特に好ましい上限は24モル%、好ましい下限は10モル%、より好ましい下限は15モル%、更に好ましい下限は20モル%である。
上記ポリビニルアセタールXの水酸基量は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタールXの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0034】
上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量の好ましい下限は60モル%、好ましい上限は85モル%である。上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量を60モル%以上とすることにより、遮音層の疎水性を高くして、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、可塑剤のブリードアウトや白化を防止することができる。上記ポリビニルアセタールXのアセタール基量を85モル%以下とすることにより、ポリビニルアセタールXの合成を容易にし、生産性を確保することができる。上記アセタール基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタールXのアセタール基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0035】
上記ポリビニルアセタールXのアセチル基量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は30モル%である。上記ポリビニルアセタールXのアセチル基量を0.1モル%以上とすることにより、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、ブリードアウトを防止することができる。また、上記ポリビニルアセタールXのアセチル基量を30モル%以下とすることにより、遮音層の疎水性を高くして、白化を防止することができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は1モル%、更に好ましい下限は5モル%、特に好ましい下限は8モル%、より好ましい上限は25モル%、更に好ましい上限は20モル%である。上記アセチル基量は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
【0036】
特に、上記遮音層に遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を容易に含有させることができることから、上記ポリビニルアセタールXは、上記アセチル基量が8モル%以上のポリビニルアセタール、又は、上記アセチル基量が8モル%未満、かつ、アセタール基量が68モル%以上のポリビニルアセタールであることが好ましい。
【0037】
上記遮音層における可塑剤の含有量は、上記ポリビニルアセタールX100質量部に対する好ましい下限が45質量部、好ましい上限が80質量部である。上記可塑剤の含有量を45質量部以上とすることにより、高い遮音性を発揮することができ、80質量部以下とすることにより、可塑剤のブリードアウトが生じて、合わせガラス用中間膜の透明性や接着性の低下を防止することができる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は50質量部、更に好ましい下限は55質量部、より好ましい上限は75質量部、更に好ましい上限は70質量部である。なお、上記遮音層における可塑剤の含有量は、合わせガラス作製前の可塑剤含有量であってもよく、合わせガラス作製後の可塑剤含有量であっても良い。なお、合わせガラス作製後の可塑剤の含有量は、以下の手順に従って測定できる。合わせガラスを作製した後、温度25℃、湿度30%の環境下で4週間静置する。その後、合わせガラスを液体窒素により冷却することでガラスと合わせガラス用中間膜を引き剥がす。得られた保護層及び遮音層を、厚さ方向に切断し、温度25℃、湿度30%の環境下に2時間静置した後、保護層と遮音層との間に指又は機械を入れ、温度25℃、湿度30%の環境下で剥離し、保護層および遮音層それぞれについて10gの長方形状の測定試料を得る。測定試料について、ソックスレー抽出器を用いて12時間、ジエチルエーテルで可塑剤を抽出した後、測定試料中の可塑剤の定量を行い、保護層及び中間層中の可塑剤の含有量を求める。
【0038】
本発明の合わせガラス用中間膜は、合わせガラス全体として一端と、上記一端の反対側に他端とを有し、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい形状を有すればよく、上記遮音層の厚みは遮音層全体で均一であってもよく、異なっていても良い。上記遮音層は一端と、上記一端の反対側に他端とを有し、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい形状を有していても良い。上記遮音層は、厚み方向の断面形状が楔形状である部分を有することが好ましい。上記遮音層の最小厚みの好ましい下限は50μmである。上記遮音層の最小厚みを50μm以上とすることにより、充分な遮音性を発揮することができる。上記遮音層の最小厚みのより好ましい下限は80μmであり、更に好ましい下限は100μmである。なお、上記遮音層の最大厚みの上限は特に限定されないが、合わせガラス用中間膜としての厚さを考慮すると、好ましい上限は300μmである。上記遮音層の最大厚みのより好ましい上限は220μmである。
【0039】
上記保護層は、遮音層に含まれる大量の可塑剤がブリードアウトして、合わせガラス用中間膜とガラスとの接着性が低下するのを防止し、また、合わせガラス用中間膜に耐貫通性を付与する役割を有する。
上記保護層は、例えば、ポリビニルアセタールYと可塑剤とを含有することが好ましく、ポリビニルアセタールXより水酸基量が大きいポリビニルアセタールYと可塑剤とを含有することがより好ましい。
【0040】
上記ポリビニルアセタールYは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアセタールYは、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。また、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの重合度を200以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性を向上させることができ、5000以下とすることにより、保護層の成形性を確保することができる。上記ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
【0041】
上記ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は4である。アルデヒドの炭素数を3以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。アルデヒドの炭素数を4以下とすることにより、ポリビニルアセタールYの生産性が向上する。
上記炭素数が3~4のアルデヒドとしては、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n-ブチルアルデヒド等が挙げられる。
【0042】
上記ポリビニルアセタールYの水酸基量の好ましい上限は33モル%、好ましい下限は28モル%である。上記ポリビニルアセタールYの水酸基量を33モル%以下とすることにより、合わせガラス用中間膜の白化を防止することができる。上記ポリビニルアセタールYの水酸基量を28モル%以上とすることにより、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなる。
【0043】
上記ポリビニルアセタールYは、アセタール基量の好ましい下限が60モル%、好ましい上限が80モル%である。上記アセタール基量を60モル%以上とすることにより、充分な耐貫通性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができる。上記アセタール基量を80モル%以下とすることにより、上記保護層とガラスとの接着力を確保することができる。上記アセタール基量のより好ましい下限は65モル%、より好ましい上限は69モル%である。
【0044】
上記ポリビニルアセタールYのアセチル基量の好ましい上限は7モル%である。上記ポリビニルアセタールYのアセチル基量を7モル%以下とすることにより、保護層の疎水性を高くして、白化を防止することができる。上記アセチル基量のより好ましい上限は2モル%であり、好ましい下限は0.1モル%である。なお、ポリビニルアセタールYの水酸基量、アセタール基量、及び、アセチル基量は、ポリビニルアセタールXと同様の方法で測定できる。
【0045】
上記保護層における可塑剤の含有量は、上記ポリビニルアセタールY100質量部に対する好ましい下限が20質量部、好ましい上限が45質量部である。上記可塑剤の含有量を20質量部以上とすることにより、耐貫通性を確保することができ、45質量部以下とすることにより、可塑剤のブリードアウトを防止して、合わせガラス用中間膜の透明性や接着性の低下を防止することができる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は30質量部、更に好ましい下限は35質量部、より好ましい上限は43質量部、更に好ましい上限は41質量部である。合わせガラスの遮音性がよりいっそう向上することから、上記保護層における可塑剤の含有量は、上記遮音層における可塑剤の含有量よりも少ないことが好ましい。なお、上記保護層における可塑剤の含有量は、合わせガラス作製前の可塑剤含有量であってもよく、合わせガラス作製後の可塑剤含有量であっても良い。なお、合わせガラス作製後の可塑剤の含有量は、上記遮音層と同様の手順によって測定することができる。
【0046】
合わせガラスの遮音性がより一層向上することから、ポリビニルアセタールYの水酸基量はポリビニルアセタールXの水酸基量より大きいことが好ましく、1モル%以上大きいことがより好ましく、5モル%以上大きいことが更に好ましく、8モル%以上大きいことが特に好ましい。ポリビニルアセタールX及びポリビニルアセタールYの水酸基量を調整することにより、上記遮音層及び上記保護層における可塑剤の含有量を制御することができ、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、合わせガラスの遮音性がより一層向上する。
また、合わせガラスの遮音性がより一層向上することから、上記遮音層におけるポリビニルアセタールX100質量部に対する、可塑剤の含有量(以下、含有量Xともいう。)は、上記保護層におけるポリビニルアセタールY100質量部に対する、可塑剤の含有量(以下、含有量Yともいう。)より多いことが好ましく、5質量部以上多いことがより好ましく、15質量部以上多いことが更に好ましく、20質量部以上多いことが特に好ましい。含有量X及び含有量Yを調整することにより、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、合わせガラスの遮音性がより一層向上する。
【0047】
本発明の合わせガラス用中間膜は、合わせガラス全体として一端と、上記一端の反対側に他端とを有し、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい形状を有すればよく、上記保護層の厚みは保護層全体で均一であってもよく、異なっていても良い。上記保護層は一端と、上記一端の反対側に他端とを有し、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい形状を有していても良い。上記保護層は、厚み方向の断面形状が楔形状である部分を有することが好ましい。
上記保護層の厚さは、上記保護層の役割を果たし得る範囲に調整すればよく、特に限定されない。ただし、上記保護層上に凹凸を有する場合には、直接接する上記遮音層との界面への凹凸の転写を抑えられるように、可能な範囲で厚くすることが好ましい。具体的には、上記保護層の最小厚みの好ましい下限は100μm、より好ましい下限は300μm、更に好ましい下限は400μm、特に好ましい下限は450μmである。上記保護層の最大厚みの上限については特に限定されないが、充分な遮音性を達成できる程度に遮音層の厚さを確保するためには、実質的には1000μm程度が上限であり、800μmが好ましい。
【0048】
本発明の合わせガラス用中間膜は、合わせガラス用中間膜全体として、厚み方向の断面形状が楔形状である部分を有することが好ましい。合わせガラス用中間膜全体の厚み方向の断面形状が楔形状であることにより、本発明の合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラスをヘッドアップディスプレイとして用いた場合に、二重像の発生を効果的に防止することができる。厚み方向の断面形状が楔形状である部分を有する場合、上記合わせガラス用中間膜全体の楔角θは、二重像の発生を効果的に防止することができることから、0.01mrad以上が好ましく、0.2mrad以上がより好ましく、2mrad以下が好ましく、0.7mrad以下がより好ましい。
【0049】
本発明の合わせガラス用中間膜全体の厚みは特に限定されない。本発明の合わせガラス用中間膜全体の最小厚みは、合わせガラスの耐貫通性が十分に向上することから、250μm以上であることが好ましく、800μm以上であることがより好ましい。また、合わせガラス用中間膜の取扱性が十分に向上することから、本発明の合わせガラス用中間膜全体の最大厚みは、2800μm以下であることが好ましく、1800μm以下であることがより好ましく、1200μm以下であることが更に好ましい。
【0050】
一端と他端との間の距離をXとしたときに、中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最大厚みを有することが好ましく、中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最大厚みを有することがより好ましい。中間膜は一端に最小厚みを有し、中間膜は他端に最大厚みを有することが好ましい。
【0051】
上記遮音中間膜を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記遮音層と保護層とを、押し出し法、カレンダー法、プレス法等の通常の製膜法によりシート状に製膜した後、積層する方法等が挙げられる。
【0052】
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。
本発明において合わせガラス用中間膜の少なくとも一方の表面に多数の凹部と多数の凸部とを形成する方法としては、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、異形押出法、メルトフラクチャー法等が挙げられる。なかでも、エンボスロール法が好適である。
【0053】
本発明の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ガラスの表面に紫外線遮蔽コート層が形成された紫外線遮蔽ガラスも用いることができる。更に、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板との間に、本発明の合わせガラス用中間膜を積層した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
【0054】
本発明の合わせガラスは、ニップロール法により好適に製造することができる。
ニップロール法では、少なくとも2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が積層された積層体を、コンベアを用いて搬送しながら、該積層体を、加熱ゾーンを通過させることで、一定の温度に加熱した後、ニップロールを通してガラスと中間膜との間に残留する空気を扱きだしながら除去すると同時に、熱圧着させ、積層体の中間膜とガラス間の空気を低減させて密着させる。
なお、上記積層体を、コンベアを用いて搬送する際に、本発明の合わせガラス用中間膜の上記刻線状の凹部の傾きをコンベアによる流れ方向に対して55°以下となるようにすることが好ましい。これにより、コンベアによる移動時に該積層体においてガラスと合わせガラス用中間膜とがずれてしまうのを防止することができ、高い生産効率を実現することができる。コンベアを用いて搬送する際の、本発明の合わせガラス用中間膜の上記刻線状の凹部の傾きは、コンベアによる流れ方向に対して45°以下であることがより好ましく、25°以下であることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、ニップロール法によっても高い脱気性を発揮することができ、気泡が発生せず視認性の高い合わせガラスを製造可能な合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
(保護層用樹脂組成物の調製)
平均重合度が1700のポリビニルアルコールをn-ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量1モル%、ブチラール基量69モル%、水酸基量30モル%)100質量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)36質量部を添加した。更に、接着力調整剤として、2-エチル酪酸マグネシウムと酢酸マグネシウムとの混合物(質量比で1:1)を、マグネシウムの含有量が50ppmとなるように添加した。ミキシングロールで充分に混練し、保護層用樹脂組成物を得た。
【0058】
(中間層用樹脂組成物の調製)
平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn-ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量12.5モル%、ブチラール基量64モル%、水酸基量23.5モル%)100質量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)76.5質量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、中間層用樹脂組成物を得た。
【0059】
(合わせガラス用中間膜の作製)
得られた中間層用樹脂組成物と保護層用樹脂組成物を、共押出機を用いて共押出することにより、保護層用樹脂組成物からなる第1の保護層、中間層用樹脂組成物からなる中間層及び保護層用樹脂組成物からなる第2の保護層がこの順に積層された3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。
なお、凹凸付与後に得られる合わせガラス用中間膜において、第1の保護層の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが525μm、最小厚みが350μm、中間層の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが150μm、最小厚みが100μm、第2の保護層の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが525μm、最小厚みが350μm、中間膜全体の厚み方向の断面形状が楔形、最大厚みが1200μm、最小厚みが800μmとなるように押出条件を設定した。
【0060】
まず、第一の工程として、鉄ロール表面にブラスト剤により、ランダムな凹凸を施した後にロールをバーチカル研削し更により微細なブラスト剤を用いて、研削後の平坦部に微細な凹凸を施すことにより粗大なメインエンボスと微細なサブエンボスとをもつ同形状の一対のロールを凹凸形状転写装置として用い、得られた合わせガラス用中間膜の両面にランダムな凹凸形状を転写した。このときの転写条件として、合わせガラス用中間膜の温度を80℃、上記ロールの温度を145℃、線速を10m/分、プレス線圧を10~200kN/mとした。
第二の工程として、三角形斜線型ミルを用いて表面に彫刻加工を施した金属ロールと65~75のJIS硬度を有するゴムロールとからなる一対のロールを凹凸形状転写装置として用い、得られた合わせガラス用中間膜をこの凹凸形状転写装置に通し、合わせガラス用中間膜の一方の表面に底部が連続した溝形状(刻線状)である凹部が平行して等間隔に形成された凹凸を付与した。このときの転写条件として、合わせガラス用中間膜の温度を70℃、ロール温度を145℃、線速を10m/分、プレス線圧は5~100kN/mとした。
【0061】
(合わせガラス用中間膜の凹凸の評価)
JIS B-0601(1994)に準じる方法により、得られた合わせガラス用中間膜の表面における刻線状の凹部の間隔Sm、回転半径R及び刻線状の凹部の粗さRzを測定した。なお、測定方向は刻線に対して垂直方向とし、カットオフ値=2.5mm、基準長さ=2.5mm、評価長さ=12.5mm、触針の先端半径=2μm、先端角度=60°、測定速度=0.5mm/sの条件で測定を行った。
また、刻線状の凹部の間隔を光学顕微鏡(SONIC社製「BS-D8000III」)を用いて、合わせガラス用中間膜の表面を観察範囲20mm×20mmでそれぞれ5箇所を観察し、隣接する凹部の間隔を測定したうえで、隣接する凹部の最底部間の最短距離の平均値を算出することにより測定した。
また、合わせガラス用中間膜を片刃カミソリ(フェザー安全カミソリ社製、FAS-10)を用いて刻線状の凹部の方向に対して垂直方向、かつ、膜厚み方向に平行に切断面を変形させないように、カミソリを凹部と垂直方向に滑らせることなく、厚み方向に平行方向に押し出すことで切断し、その断面をマイクロスコープ(オリンパス社製「DSX-100」)を用いて観察した。上記断面を、測定倍率を208倍にて撮影し、更に撮影画像を50μm/20mmになるように拡大表示させた状態で、刻線状の凹部の底部に内接する円を描いたときの該円の半径(即ち、回転半径R)を求めた。第一の工程後の膜表面のRzは15μmであった。
合わせガラス用中間膜の表面及び裏面の凹凸についての測定値を表1に示した。
【0062】
(可塑剤の含有量の測定)
合わせガラスを作製した後、温度25℃、湿度30%の環境下で4週間静置した。その後、合わせガラスを液体窒素により冷却することでガラスと合わせガラス用中間膜を引き剥がした。得られた保護層及び遮音層を、厚さ方向に切断し、温度25℃、湿度30%の環境下に2時間静置した後、保護層と遮音層との間に指又は機械を入れ、温度25℃、湿度30%の環境下で剥離し、保護層および遮音層それぞれについて10gの長方形状の測定試料を得た。測定試料について、ソックスレー抽出器を用いて12時間、ジエチルエーテルで可塑剤を抽出した後、測定試料中の可塑剤の定量を行い、保護層及び中間層中の可塑剤の含有量を求めた。
【0063】
(実施例2~8、比較例1~3)
用いるポリビニルブチラールのアセチル基量、ブチラール基量及び水酸基量を表1に示すように変更し、第一の工程のエンボスロールの形状、三角形斜線型ロールを変更することにより付与する凹凸の形状を変更し、第1の保護層、中間層、第2の保護層及び中間膜全体の厚み方向の断面形状、最小厚み、最大厚み及び楔角を表1~3に変更した以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を調製した。実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜の表面及び裏面の凹凸についての測定値を表1~3に示した。
【0064】
(評価)
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜について、以下の方法により評価を行った。
結果を表1~3に示した。
【0065】
<ニップロール法での評価>
(1)予備圧着後に残存したエンボス形状の評価
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜を、23℃、30RH%の環境下で5時間置いた後、以後の操作に供した。
得られた合わせガラス用中間膜の厚みが厚い方の端部から、30cmの位置にガラスの中心が来る様に、かつ、クリアガラス板の横方向が膜の流れ方向と平行な方向に、縦方向が膜の幅方向と平行な方向になるように、合わせガラス用中間膜を二枚のクリアガラス板(縦15cm×横30cm×厚さ2.5mm)の間に挟み積層体とし、第一のニップロール(ロール圧力2kgf/cm2)にて1次脱気して積層体を得た。更にその積層体をローラーコンベアで搬送しながら赤外線オーブン内を通過させて表面温度が50℃になるように加熱した後に第2のニップロール(ロール圧力4kgf/cm2)で2次脱気して積層体を得た。
得られた積層体を更にローラーコンベア上に載せて搬送し、赤外線オーブンの内を通過させて積層体のガラス表面温度が85℃になるように加熱した後に、第3のニップロール(ロール圧力4kgf/cm2)を通して扱くことにより、ガラス板と中間膜との間に残留する空気を脱気しながら3次脱気を行い、予備圧着を完了した。各ニップロールを通す際のニップロール間の間隙は積層体の平均厚みより1mm狭く、ニップロールの周速度は5m/minになるようにした。なお、合わせガラス用中間膜の表面に形成された刻線状の凹部とコンベアの流れ方向との角度を表1~3に示した。
【0066】
予備圧着が完了した積層体を液体窒素内に浸けて十分冷却させることで中間膜表面にガラスが残らないようにガラスを剥離させ、中間膜シートを得た。得られた中間膜シートを23℃及び30RH%下に1時間静置した後、中間膜シート表面を3次元表面形状測定機(Bulker AXS社製、Contour GT-K)にて、残存したエンボス形状を測定した。なお、3次元表面形状測定機によるエンボス形状の測定は、24時間以内に行った。
測定点は、ローラーコンベアで搬送した際の進行方向側のガラス端部から10~20cmの間、左右のガラス端部から3cm離れた領域内を20点測定した。一つ当たりの測定視野は1.3mm×1.3mmとした。
得られた3次元形状より、3次元表面形状測定機に付属する解析ソフトの「Multivision解析により残存した溝形状の体積を計測した。体積を算出する際の基準面は、ガラスと膜の剥離面として、Multivision解析条件内の「ZeroLevel」条件を「BackGround」として「By Threshold」項目の値を調整することで設定した。
面積当たりの平均溝体積を算出し、計測した20点の平均が1.5μm3/μm2(=μm)を超えるものを「×」、1.0μm3/μm2(=μm)以上1.5μm3/μm2(=μm)以下のものを「〇」と評価し、1.0μm3/μm2(=μm)未満のものを「◎」と評価した。なお平均溝体積は同一点の表面と裏面の溝体積の平均値である。
【0067】
(2)合わせガラスの発泡の評価(条件1)
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜を、23℃、30RH%の環境下で5時間置いた後、以後の操作に供した。
得られた合わせガラス用中間膜の厚みが厚い方の端部から、30cmの位置にガラスの中心が来る様に、かつ、クリアガラス板の横方向が膜の流れ方向と平行な方向に、縦方向が膜の幅方向と平行な方向になるように、合わせガラス用中間膜を二枚のクリアガラス板(縦15cm×横30cm×厚さ2.5mm)の間に挟み積層体とし、第一のニップロール(ロール圧力2kgf/cm2)にて1次脱気して積層体を得た。更にその積層体をローラーコンベアで搬送しながら赤外線オーブン内を通過させて表面温度が50℃になるように加熱した後に第2のニップロール(ロール圧力4kgf/cm2)で2次脱気して積層体を得た。
【0068】
得られた積層体を更にローラーコンベア上に載せて搬送し、赤外線オーブンの内を通過させて積層体のガラス表面温度が85℃になるように加熱した後に、第3のニップロール(ロール圧力4kgf/cm2)を通して扱くことにより、ガラス板と中間膜との間に残留する空気を脱気しながら3次脱気を行い、予備圧着を完了した。各ニップロールを通す際のニップロール間の間隙は積層体の平均厚みより1mm狭く、ニップロールの周速度は5m/minになるようにした。なお、合わせガラス用中間膜の表面に形成された刻線状の凹部とコンベアの流れ方向との角度を表1~3に示した。
【0069】
(3)合わせガラスの発泡の評価(条件2)
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜を、23℃、30RH%の環境下で5時間置いた後、以後の操作に供した。
得られた合わせガラス用中間膜の厚みが厚い方の端部から、30cmの位置にガラスの中心が来る様に、かつ、クリアガラス板の横方向が膜の流れ方向と平行な方向に、縦方向が膜の幅方向と平行な方向になるように、合わせガラス用中間膜を二枚のクリアガラス板(縦15cm×横30cm×厚さ2.5mm)の間に挟み積層体とし、第一のニップロール(ロール圧力2kgf/cm2)にて1次脱気して積層体を得た。更にその積層体をローラーコンベアで搬送しながら赤外線オーブン内を通過させて表面温度が70℃になるように加熱した後に第2のニップロール(ロール圧力4kgf/cm2)で2次脱気して積層体を得た。
各ニップロールを通す際のニップロール間の間隙は積層体の平均厚みより1mm狭く、ニップロールの周速度は5m/minになるようにした。なお、合わせガラス用中間膜の表面に形成された刻線状の凹部とコンベアの流れ方向との角度を表1~3に示した。
【0070】
(4)合わせガラスの発泡の評価(条件3)
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜を、23℃、30RH%の環境下で5時間置いた後、以後の操作に供した。
得られた合わせガラス用中間膜の厚みが厚い方の端部から、30cmの位置にガラスの中心が来る様に、かつ、クリアガラス板の横方向が膜の流れ方向と平行な方向に、縦方向が膜の幅方向と平行な方向になるように、合わせガラス用中間膜を二枚のクリアガラス板(縦15cm×横30cm×厚さ2.5mm)の間に挟み積層体とし、第一のニップロール(ロール圧力2kgf/cm2)にて1次脱気して積層体を得た。更にその積層体をローラーコンベアで搬送しながら赤外線オーブン内を通過させて表面温度が60℃になるように加熱した後に第2のニップロール(ロール圧力4kgf/cm2)で2次脱気して積層体を得た。
各ニップロールを通す際のニップロール間の間隙は積層体の厚みより1mm狭く、ニップロールの周速度は5m/minになるようにした。なお、合わせガラス用中間膜の表面に形成された刻線状の凹部とコンベアの流れ方向との角度を表1~3に示した。
【0071】
合わせガラスの発泡の評価の条件1~3で得られた積層体を、オートクレーブ装置を用いて、槽内圧力13気圧、槽内温度140℃で20分維持した後、槽内温度を40℃になるまで冷却した後、圧力を1気圧になるまで除圧して、合わせガラスを作製した。
更に合わせガラスをオーブン中で140℃、2時間保管後、オーブンから取り出して3時間放冷した後、合わせガラスの外観を目視で観察した。各20枚についてガラス板と合わせガラス用中間膜との間に発泡(気泡)が生じた枚数を調べて、ガラス端部から1cm以上離れた領域に気泡が発生しているかどうか判定した。気泡枚数が5枚以下であった場合を「○」と、発泡枚数が6枚以上であった場合を「×」と評価した。
【0072】
<真空脱気法での評価>
(真空バック方式での予備圧着後脱気性の評価)
得られた合わせガラス用中間膜を二枚のクリアガラス板(縦15cm×横15cm×厚さ2.5mm)の間に挟み、はみ出た部分を切り取り、積層体を得た。得られた積層体をガラスの表面温度が50℃になるまでオーブン内で予備加熱した後、ゴムバッグ内に移し、ゴムバッグを吸引減圧機に接続し、加熱すると同時に-600mmHgの減圧下で保持しながら、積層体の温度(予備圧着温度)が18分間で90℃となるように加熱した後、大気圧に戻して予備圧着を終了して、予備脱気後積層体を得た。
【0073】
得られた予備脱気後積層体について、以下の方法により平行光線透過率を評価した。
即ち、JIS K 7105に準拠して、予備脱気後積層体の平行光線透過率Tp(%)を、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM-150)を用いて測定した。
測定位置は予備脱気後積層体の2つの対角線が交差する中央部、予備脱気後積層体の各頂点から対角線方向に5.6cm離れた4点を合わせた5点として、その平均値をTpとした。
測定前に上記測定点を中心に測定値に影響を与えない範囲の大きさに積層体から切り出し、測定用サンプルとした。
なお、合わせガラスの透明性の低下は、予備圧着時における脱気不良に起因する。従って、合わせガラス用中間膜の脱気性は、合わせガラスの発泡性等を評価するよりも、予備脱気後積層体の可視光線透過率を測定することにより、より精密に評価することができる。
【0074】
【0075】
【0076】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、ニップロール法によっても高い脱気性を発揮することができ、気泡が発生せず視認性の高い合わせガラスを製造可能な合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することができる。