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特開2023-26463サーバ装置、端末装置、情報処理方法並びに情報処理システム及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026463
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】サーバ装置、端末装置、情報処理方法並びに情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20230216BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230216BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230216BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230216BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230216BHJP
   G16Y 40/40 20200101ALI20230216BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/26 A
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197952
(22)【出願日】2022-12-12
(62)【分割の表示】P 2021025857の分割
【原出願日】2013-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 禎司
(57)【要約】
【課題】ナビゲーション装置の移動に用いられる地図データを更新するために必要な情報を正確に、且つ効率的にサーバ装置に収集することができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】移動用の地図データVDを記憶する記録部14と、地図に含まれている地物に対応する照合結果等をナビゲーション装置Sから受信するインターフェース10と、受信した照合結果等と地図データVDとが一致するか否かを判定する処理部11と、不一致と判定された場合に照合結果等を記録する記録部14と、を備える。照合結果等は、ナビゲーション装置Sに記憶されている地図データに含まれている実写データと、ナビゲーション装置Sにおいて新たに撮像された実写データと、が相違するとされた場合にのみ、ナビゲーション装置Sから送信されてくる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置の移動に用いられる地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報に含まれている地物に対応する地物情報が前記端末装置から送信されてきたとき、当該送信されてきた地物情報を受信する受信手段と、
前記受信した地物情報を記憶する地物情報記憶手段と、
を備え、
前記受信される地物情報は、当該地物情報を送信した前記端末装置に記憶されている端末装置地図情報に含まれている地物情報と、当該端末装置において新たに取得された地物情報と、が、当該端末装置において相違するとされた場合にのみ、当該端末装置から送信されてくることを特徴とするサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、サーバ装置、端末装置、情報処理方法並びに情報処理システム及び情報処理プログラムの技術分野に属する。より詳細には、車両又は人等の移動体の移動に用いられる地図情報に係る処理を行うサーバ装置及び端末装置、情報処理方法及び情報処理システム並びに当該サーバ装置用の情報処理プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば車両に搭載されてその移動を案内するナビゲーション装置が広く一般化している。一般的にナビゲーション装置においては、出発地から目的地までの経路に沿った案内を、例えば地図を表示しながら、或いは案内音声を出力しながら行う。
【0003】
また最近では、例えば交差点や大きな看板がある地点などについては、それら交差点の周囲の風景や看板自体を運転者の目線で実際に撮影した実写画像(静止画像及び動画像の双方を含む。以下、同様。)を当該交差点等の案内のために地図と共に表示することも行われる。このような実写画像を表示するナビゲーション装置によれば、運転者から実際に見える風景等が例えばディスプレイ等に表示されつつそれに対応する地点が案内されることから、運転者にかかる負担を減らしつつ、より便利且つ確実な案内が可能となる。このとき上記のような実写画像を表示した案内を行うための構成として、当該実写画像に相当する画像情報を、その実写画像が撮影された地点を含む地図情報に対応付けて記録することが行われる。
【0004】
一方上記交差点の周囲の風景や看板等は、当然ながら時間の経過によってその内容が変わることがある。この場合、当該変更に伴って、それらを従前に撮影した実写画像の内容と実際の状況(看板等の内容)とが異なってくる。この結果、実際の状況とは異なる古い実写画像を使って案内が行われた場合には、かえって運手者等を混乱させることにもなりかねない。そこで、例えば所定の期間ごとに、地図情報に含まれている実写画像に相当する画像情報を最新のものに更新する必要性が生じる。このような画像情報の更新に関する従来の技術は、例えば下記特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0005】
このとき、下記特許文献1に記載されている技術では、実写画像を含む施設情報をセンタ側で更新するため、車両に搭載した周辺撮影用のカメラを利用することとされている。より具体的には、過去に施設を撮影した画像と、カメラで新たにその施設を撮影した画像とを比較して、両者に相違がある場合に、当該新たに撮影した画像をセンタに送信して画像情報の更新に供させることとされている。
【0006】
また、下記特許文献2に記載されている技術では、看板画像のモデルを予め用意しておき、車載のカメラにおいてそのモデルと一致する看板が撮影された場合に、例えばGPS(Global Positioning System)から得られるその位置情報と共に、新たに撮影された画像を地図情報として記録することとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4946238号公報
【特許文献2】特開2004-151523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記各特許文献に記載されている技術では、以下のような問題点を生じる。
【0009】
先ず上記特許文献1に記載されている技術では、車両における比較結果が否定的である場合に、「常に」、「画像情報自体」がセンタに送信されるため、カメラを搭載した車両が多くなってくると、多量の画像情報がセンタに集中的に送信されることで、結果として通信量が莫大になる可能性があるという問題点がある。
【0010】
また上記特許文献2に記載されている技術では、車両上での看板等の照合結果に誤りがある可能性があり、更にはGPSによる位置情報にも誤差が含まれている可能性がある。よって、これらの場合に画像をそのまま地図情報として記録してしまうと、地図情報自体としての精度の低下を来すと共に、他の車両用の地図情報との共有に対しても適切でないという問題点がある。
【0011】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、ナビゲーション装置の移動に用いられる地図情報を更新するために必要な情報を正確に、且つ効率的に収集することができるサーバ装置及び端末装置、情報処理方法及び情報処理システム並びに当該サーバ装置用の情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、端末装置の移動に用いられる地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図情報に含まれている地物に対応する地物情報が前記端末装置から送信されてきたとき、当該送信されてきた地物情報を受信する受信手段と、前記受信した地物情報を記憶する地物情報記憶手段と、を備え、前記受信される地物情報は、当該地物情報を送信した前記端末装置に記憶されている端末装置地図情報に含まれている地物情報と、当該端末装置において新たに取得された地物情報と、が、当該端末装置において相違するとされた場合にのみ、当該端末装置から送信されてくるように構成される。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、端末装置と、当該端末措置とネットワークを介して接続されたサーバ装置と、を含む情報処理システムにおいて、前記サーバ装置は、前記端末装置の移動に用いられる地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図情報に含まれている地物に対応する地物情報が前記端末装置から送信されてきたとき、当該送信されてきた地物情報を受信する受信手段と、前記受信した地物情報を記憶する地物情報記憶手段と、を備え、前記端末装置は、端末装置地図情報を記憶する端末装置記憶手段と、前記記憶されている端末装置地図情報に含まれる地物情報と、当該端末装置において当該地物について新たに取得された地物情報と、が相違するか否かを判定する端末装置判定手段と、前記端末装置地図情報に含まれている前記地物情報と、前記取得された地物情報と、が相違すると判定された場合にのみ、前記地物情報を前記サーバ装置に送信する端末装置送信手段と、を備える。
【0014】
上記の課題を解決するために請求項8に記載の発明は、ネットワークを介してサーバ装置と接続された端末装置において、地図情報を記憶する記憶手段と、前記記憶されている地図情報に含まれる地物情報と、当該端末装置において当該地物について新たに取得された地物情報と、が相違するか否かを判定する判定手段と、前記地図情報に含まれている前記地物情報と、前記取得された地物情報と、が相違すると判定された場合にのみ、前記地物情報を前記サーバ装置に送信する送信手段と、を備える。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、端末装置に接続されたサーバ装置であって、前記端末装置の移動に用いられる地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、地物情報記憶手段と、を備えるサーバ装置において実行される情報処理方法であって、前記地図情報に含まれている地物に対応する地物情報が前記端末装置から送信されてきたとき、当該送信されてきた地物情報を受信する受信工程と、前記受信された地物情報を前記地物情報記憶手段に記憶させる記憶制御工程と、を含み、前記受信される地物情報は、当該地物情報を送信した前記端末装置に記憶されている端末装置地図情報に含まれている地物情報と、当該端末装置において新たに取得された地物情報と、が、当該端末装置において相違するとされた場合にのみ、当該端末装置から送信されてくるように構成される。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、端末装置に接続されたサーバ装置であって、前記端末装置の移動に用いられる地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、地物情報記憶手段と、を備えるサーバ装置に含まれるコンピュータを、前記地図情報に含まれている地物に対応する地物情報が前記端末装置から送信されてきたとき、当該送信されてきた地物情報を受信する受信手段、及び、前記受信した地物情報を前記地物情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段、として機能させる情報処理プログラムであって、前記受信される地物情報は、当該地物情報を送信した前記端末装置に記憶されている端末装置地図情報に含まれている地物情報と、当該端末装置において新たに取得された地物情報と、が、当該端末装置において相違するとされた場合にのみ、当該端末装置から送信されてくるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】第1実施例に係る情報処理システムの概要構成を示すブロック図である。
図3】第1実施例に係るナビゲーション装置の細部構成を示すブロック図等であり、(a)は当該ブロック図であり、(b)はナビゲーション装置内に記録されている地図データの内容を例示する図である。
図4】第1実施例に係るサーバ装置の細部構成を示すブロック図等であり、(a)は当該ブロック図であり、(b)はサーバ装置内に記録されている地図データの内容を例示する図である。
図5】第1実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。
図6】第2実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。
図7】第3実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。
図8】第4実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。
図9】第5実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。
図10】第6実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。
図11】第2変形例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートであり、(a)は更新リストの生成処理を示すフローチャートであり、(b)は更新リストを用いた地物データの更新処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係るサーバ装置の概要構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、実施形態に係るサーバ装置SVは、地図情報記憶手段14と、受信手段10と、地物情報記憶手段15と、を備えて構成されている。
【0020】
この構成において地図情報記憶手段14は、端末装置Sの当該移動に用いられる地図情報を記憶する。
【0021】
一方受信手段10は、上記地図情報に含まれている地物に対応する地物情報が端末装置Sから送信されてきたとき、当該送信されてきた地物情報を受信する。
【0022】
これにより地物情報記憶手段15は、受信手段10により受信した地物情報を記憶する。
【0023】
このとき、受信部10により受信される地物情報は、当該地物情報を送信した端末装置Sに記憶されている端末装置地図情報に含まれている地物情報と、当該端末装置Sにおいて新たに取得された地物情報と、が、当該端末装置Sにおいて相違するとされた場合にのみ、当該端末装置Sから送信されてくるように構成される。
【0024】
以上説明したように、実施形態に係るサーバ装置SVによれば、端末装置Sに記憶されている端末装置地図情報に含まれている地物情報と、端末装置Sで当該地物について新たに取得された地物情報と、が相違する場合にのみ送信されてくる地物情報を記憶する。
【0025】
よって、サーバ装置SVに記憶されている地図情報を更新するために必要な地物情報を正確に、且つ効率的に収集することができる。
【実施例0026】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図10を用いて説明する。なお以下に説明する各実施例は、車両等の移動体にそれぞれ搭載又は所持されている複数のナビゲーション装置と、サーバ装置と、が、例えばインターネット等のネットワークを介して接続されてなる情報処理システムに対して実施形態を適用した場合の実施例である。
【0027】
(1)第1実施例
初めに、実施形態に対応する第1実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお、図2は第1実施例に係る情報処理システムの概要構成を示すブロック図であり、図3は第1実施例に係るナビゲーション装置の細部構成を示すブロック図等である。また図4は第1実施例に係るサーバ装置の細部構成を示すブロック図等であり、図5は第1実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。このとき図2図5(a)及び図5(b)では、図1に示した実施形態に係るサーバ装置SVにおける各構成部材に対応する第1実施例の構成部材それぞれについて、当該サーバ装置SVにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0028】
図2に示すように、第1実施例に係る情報処理システムSSは、サーバ装置SVと、それぞれが実施形態に係る端末装置Sの一例としての複数のナビゲーション装置S1、ナビゲーション装置S2、…、ナビゲーション装置Sn(nは自然数)と、を含んで構成されている。そしてサーバ装置SVと、各ナビゲーション装置S1、ナビゲーション装置S2、…、ナビゲーション装置Snと、は、例えばインターネット等のネットワークWを介して情報の授受が可能に接続されている。なお以下の説明において、各ナビゲーション装置S1、ナビゲーション装置S2、…、ナビゲーション装置Snについて共通の事項を説明する場合、適宜、単に「ナビゲーション装置S」と称する。
【0029】
この構成において各ナビゲーション装置Sはそれぞれ、図3(a)に例示するように、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ20と、操作ボタン又はリモコン等からなる操作部4と、上記移動体の移動を案内する際に表示される地図等に相当する後述の地図データSD等を含むデータベースを不揮発性に記録するハードディスク等からなる記録部9と、加速度センサ等の自立型センサ及びGPSセンサ並びに渋滞情報等収集用のVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センサ等からなるセンサ部6と、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像部を備えてなり且つ後記処理部8により指定された方向を撮像するカメラ7と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部8と、により構成されている。なお記録部9には、上記地図データ等の他に、上記移動体の移動の案内に必要な例えば音声データ等のナビゲーション用データも、併せて不揮発性の情報として記録されている。
【0030】
また処理部8は、インターフェース1と、判定部3と、更新部5と、を含んで構成されている。このとき上記インターフェース1、判定部3及び更新部5は、いわゆるハードウェアロジック回路により構成されていてもよいし、或いは、後述する第1実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートに相当するプログラムを処理部8内のCPUが読み込んで実行することにより、機能的に実現されるものであってもよい。また、上記カメラ7が本願に係る「撮像手段」の一例に相当し、上記処理部8が本願に係る「検出手段」の一例、「端末装置判定手段」の一例及び「判定手段」の一例にそれぞれ相当し、上記記録部9が本願に係る「端末装置記憶手段」の一例及び「記憶手段」の一例にそれぞれ相当し、上記インターフェース1が本願に係る「端末装置送信手段」の一例及び「送信手段」の一例にそれぞれ相当する。
【0031】
次に記録部9に記録されている第1実施例に係る地図データSDについて、図3(b)を用いて例示しつつ説明する。図3(b)に例示するように、第1実施例に係る各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDとしては、地物データ90と、道路データ91と、背景データ92と、が含まれている。このとき地物データ90には、移動体の移動を案内する際にディスプレイ20に表示される地図に含まれるべき地物に関するデータが含まれている。
【0032】
ここで第1実施例に係る「地物」とは、当該移動体の移動を案内するに当たって有意となる物を言い、例えば建物、公園又は陸橋等の施設、或いは信号、標識又は横断歩道等の、原則として道路又はその周辺に存在している物を言う。そして地物データ90としては、他の地物から識別するための予め設定された地物IDに対応付けられて、当該地物IDにより識別される地物を示すデータの地図データSDにおけるヴァージョンを示すヴァージョンデータと、当該地物の位置を示す例えば緯度データ及び経度データからなる位置データと、当該地物の特徴を定量的に示した特徴量データと、が、それぞれ記録されている。なお上記特徴量データの例としては、画像内の物体認識等に用いられているアルゴリズムであるSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)方式により抽出された特徴量データが挙げられる。このSIFT方式は、従来から当該物体認識等に用いられているアルゴリズムである。例えば当該地物の実際の画像に相当する画像データに代えてSIFT方式による特徴量データを記録することにより、データ量の大幅な削減が可能となる。
【0033】
一方上記道路データ91は、従来のナビゲーション装置において用いられる地図データ用の道路データと同様のものであり、地図上に含まれる道路を示す道路データが、例えば複数のリンクを示すリンクデータとして記録されている。また背景データ92は、これも従来のナビゲーション装置において用いられる地図データ用の背景データと同様のものであり、地図上に含まれる道路及び地物以外の背景(平面的な地図で言えば、道路や地物の下地)の描画に用いられる背景データが記録されている。
【0034】
なお、地図データSDとしてナビゲーション装置Sに記録されている地図の地理的な範囲は、例えばナビゲーション装置Sが用いられる国(例えば日本国)全体に渡ってもよいし、或いは、例えば一つの県や一つの地方といった部分的な地域に限定されるものであってもよい。また、地物データ90におけるヴァージョンと地図データSD全体としてのヴァージョンとは、相互に一致していてもよいし、地図データSD全体のヴァージョンと地物データ90それぞれにおけるヴァージョンとがそれぞれ別個に設定されるものであってもよい。
【0035】
他方、第1実施例に係るサーバ装置SVは、図4(a)に例示するように、実施形態に係る受信手段10の一例に相当するインターフェース10と、CPU、RAM及びROM等からなり且つ本願に係る「判定手段」の一例に相当する処理部11と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ12と、キーボード及びマウス等からなる操作部13と、サーバ装置SVに接続される各ナビゲーション装置Sに記録されている上記地図データSDの更新に用いられるマスター地図データとしての地図データVD等を含むデータベースを不揮発性に記録するハードディスク等からなる記録部14と、により構成されている。なお、上記記録部14が実施形態の地図情報記憶手段14の一例及び地物情報記憶手段15の一例にそれぞれ相当する。また上記処理部11が、本願に係る「更新手段」の一例及び「抽出手段」の一例にそれぞれ相当する。更にインターフェース10が本願に係る「送信手段」の一例及び「識別情報送信手段」の一例に、それぞれ相当する。
【0036】
次に記録部14に記録されている第1実施例に係る地図データVDについて図4(b)を用いて例示しつつ説明する。図4(b)に例示するように、第1実施例に係るサーバ装置SVに記録されている地図データVDとしては、地物データ140と、道路データ141と、背景データ142と、が含まれている。このとき地物データ140には、各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDの地物データ90と同様の、移動体の移動を案内する際にナビゲーション装置Sのディスプレイ20に表示される地図に含まれるべき地物に関するデータが含まれている。即ち地物データ140としては、地図データSDと同様の地物IDに対応付けられて、当該地物IDにより識別される地物を示すデータの地図データVDにおけるヴァージョンを示すヴァージョンデータと、当該地物IDにより識別される地物の位置を示す位置データと、が、それぞれ記録されている。加えて当該地物IDにより識別される地物を撮影した実写の画像データが記録されていてもよい。なお以下の説明においては、上記実写の画像データを、単に「実写データ」と称する。
【0037】
一方上記道路データ141は、各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDの道路データ91と同様に、地図上に含まれる道路を示す道路データが例えばリンクデータとして記録されている。また背景データ142は、これも各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDの背景データ92と同様に、地図上に含まれる道路及び地物以外の背景の描画に用いられる背景データが記録されている。以上の地物データ140、道路データ141及び背景データ141は、上述したように、各ナビゲーション装置Sに記録されている地物データ90、道路データ91及び背景データ92に対して、それぞれマスター地図データとしての位置付けを有するものである。
【0038】
なお、地図データVDとしてサーバ装置SVに記録されている地図の地理的な範囲は、ナビゲーション装置Sで用いられる地図データSDのように一定の地域に限定されていてもよい。しかしながら、複数のナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDを更新するための更新データの生成に地図データVDが用いられるという観点からは、対応する地理的な範囲は、例えば一つの国(例えば日本国)全体に渡っているのが望ましい。
【0039】
また、地物データ140におけるヴァージョンと地図データVD全体としてのヴァージョンとは、ナビゲーション装置Sにおける地物データ90と同様に、相互に一致していてもよいし、地図データVD全体のヴァージョンと地物データ140それぞれにおけるヴァージョンとがそれぞれ別個に設定されるものであってもよい。
【0040】
以上説明した構成において各ナビゲーション装置Sのインターフェース1は、処理部8の制御の下、サーバ装置SVとの間のネットワークWを介したデータの入出力を制御すると共に、記録部9、センサ部6及びカメラ7との間のデータの入出力を制御する。そして処理部8の判定部3及び更新部5は、ナビゲーション装置Sに予め設定された更新の可否を表す情報、或いは操作部4における使用者(運転者等)による操作に基づき、必要な情報をディスプレイ20に表示させつつ、実施例に係る地図データ更新処理を実行する。このとき記録部9に記録されている地物データ90等は、必要により読み出されて判定部3等により当該地図データ更新処理に供される。またカメラ7は、処理部8の制御の下、ナビゲーション装置Sが搭載された車両等の前方又は側方、或いは後方を撮像し、その画像に相当する実写データを処理部8に出力する。更に処理部8は、センサ部6から出力されてくる現在位置データ及び渋滞情報等に基づき、ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体の移動を案内するナビゲーション処理を実行すると共に、後述する第1実施例に係る地図データ更新処理を実行する。
【0041】
このとき、各ナビゲーション装置Sの処理部8は、主としてセンサ部6から出力されてくる現在位置データや移動体の移動方向を示す方向データ等に基づき、カメラ7(換言すれば、ナビゲーション装置S自体)の地図上の現在位置、及びカメラ7としての撮影方向を算出/推定することができる。また移動体が車両である場合、カメラ7の当該車両内における設置位置及び設置方向を予め入力することにより、上記撮影方向の算出/推定に用いることもできる。そしてこれらのことから処理部8は、地図上の上記地物が、その時点でカメラ7により撮影され得る位置及び方向にあるか否かを、各地物ごとに算出/推測することが可能となる。
【0042】
一方サーバ装置SVのインターフェース10は、処理部11の制御の下、各ナビゲーション装置Sとの間のネットワークWを介したデータの入出力を制御する。そして処理部11は、操作部13における使用者(管理者)による操作に基づき、必要な情報をディスプレイ12に表示させつつ、第1実施例に係る地図データ更新処理を実行する。このとき記録部14に記録されている地物データ140等は、必要により読み出されて処理部11により当該地図データ更新処理に供され、或いは処理部11の制御の下、各ナビゲーション装置Sから送信されてくる実写データ等により更新される。
【0043】
次に、第1実施例に係る地図データ更新処理について、図2乃至図5を用いて具体的に説明する。なお当該地図データ更新処理は、サーバ装置SVに記録されている地図データVDをマスター地図データとして各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDを更新する処理であり、主として各ナビゲーション装置Sの処理部8及びサーバ装置SVの処理部11を中心として実行される。
【0044】
即ち図5に示すように、第1実施例に係る地図データ更新処理においてナビゲーション装置Sの処理部8は、例えば予め設定された移動距離、予め設定された位置、又は時間ごとに、カメラ7により周辺の地物のいずれかを撮影した可能性があるか否かを監視している(ステップS1)。このとき処理部8は上述したように、移動体の周辺に位置する地図上の地物が、その時点でカメラ7により撮影され得る位置及び方向にある可能性があるか否かを、各地物ごとに算出しながら監視している。
【0045】
ステップS1の監視において、いずれの地物も撮影された可能性がない場合(ステップS1;NO)、処理部8はステップS1に係る地物撮影の可能性の監視を継続する。一方ステップS1の監視においていずれかの地物が撮影された可能性がある場合(ステップS1;YES)、次に処理部8の判定部3は、撮影された可能性がある地物に相当する特徴量データ(図3(b)参照)により示される特徴量と、実際にカメラ7から出力されてくる実写データ内に映り込んでいる地物に相当する特徴量と、を照合し(ステップS2)、それらに相違があるか否かを判定する(ステップS3)。
【0046】
ステップS3の判定において両者に相違がない場合(ステップS3;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS3の判定において、二つの特徴量が相違していると判定される場合(ステップS3;YES)、処理部8はその旨(不一致である旨の照合結果)を、インターフェース1を介してサーバ装置SVに送信する(ステップS4)。このとき処理部8は、上記ステップS2及びステップS3において照合された地物を示し且つヴァージョンデータ及び対応する位置データ並びに最新のヴァージョンアップ(更新)の日付及び時刻を少なくとも含む地物データ90と共に、当該照合結果をサーバ装置SVに送信する。ここで、当該照合結果がナビゲーション装置Sからサーバ装置SVへ送信されるということは即ち、上記ステップS1の監視において撮影された地物が看板である場合のその内容が変更された等の事情により、当該地物に対応する地物データ90を更新する必要がある可能性が高いことを意味する。
【0047】
次に処理部8は、上記ステップS4の処理により送信した照合結果に対応してサーバ装置SVから送信された、ナビゲーション装置Sの上記地図データSDを更新するための更新データを受信したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において更新データが受信されない場合(ステップS5;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物撮影の可能性を監視する。一方ステップS5の判定において更新データが受信された場合(ステップS5;YES)、処理部8は、当該受信された更新データを用いてそれに対応する地図データSDの部分を更新する(ステップS6)。
【0048】
その後処理部8は、例えばナビゲーション装置Sの電源がオフとされる等により、ナビゲーション装置Sとしての第1実施例に係る地図データ更新処理を終了するか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の判定において当該地図データ更新処理を終了する場合(ステップS7;YES)、処理部8はそのまま当該処理を終了し、一方ステップS7の判定において当該地図データ更新処理を終了しない場合(ステップS7;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物撮影の可能性を監視する。
【0049】
次に、上述したナビゲーション装置Sにおける第1実施例に係る地図データ更新処理に対応した、サーバ装置SVにおける第1実施例に係る地図データ更新処理について、図5を用いて説明する。
【0050】
即ち図5に示すように、第1実施例に係る地図データ更新処理においてサーバ装置SVの処理部11は、例えばその電源がオンとされると、いずれかのナビゲーション装置Sからの上記不一致である旨の照合結果を受信したか否かを監視する(ステップS10)。ステップS10の監視において、いずれのナビゲーション装置Sからも照合結果を受信しない場合(ステップS10;NO)、処理部11は当該照合結果の受信の監視を継続する。
【0051】
一方、ステップS10の監視においていずれかのナビゲーション装置Sからの上記照合結果を受信したら(ステップS10;YES)、次に処理部11は、当該受信した照合結果に基づいて、当該照合結果が生成される(上記ステップS2及びステップS3参照)際に撮影された地物についての地物データ90を含む地図データSDを更新する必要があるか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11の判定として具体的には、例えば、照合結果と共に送信されてきた地物データ90のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容(図3(b)参照)と、当該地物データ90に相当する記録部14内の地物データ140のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容(図4(b)参照)と、を比較し、両者が異なれば上記更新の必要性があると判定し、両者が一致すれば更新の必要性がないと判定する。また、照合結果と共に送信されてきた地物データ90に相当する記録部14内の地物データ140がそもそも存在していない場合にも、上記更新の必要性があると判定される。
【0052】
ステップS11の判定において地図データSDの更新の必要性がないと判定された場合(ステップS11;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って照合結果の受信の監視を継続する。一方ステップS11の判定において、地図データSDの更新の必要性があると判定された場合(ステップS11;YES)、処理部11は、更新対象たる地物データSDに相当する地図データVD(例えば、更新対象たる地図データ90に相当する地図データ140)を含む上記更新データを生成し、上記照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS12)。この更新データを受信したナビゲーション装置Sでは、その後上記ステップS5乃至ステップS7の処理が実行されることになる。
【0053】
その後、サーバ装置SVの処理部11は、例えばサーバ装置SVの電源がオフとされる等により、サーバ装置SVとしての第1実施例に係り地図データ更新処理を終了するか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13の判定において当該地図データ更新処理を終了する場合(ステップS13;YES)、処理部11はそのまま当該処理を終了し、一方ステップS13の判定において当該地図データ更新処理を終了しない場合(ステップS13;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って照合結果の受信の監視を継続する。
【0054】
以上それぞれ説明したように、第1実施例に係る地図データ更新処理によれば、移動用の地図データSDに含まれ且つ周辺の地物に相当する地物データ90と、これとは別に新たに撮影された地物の地物データと、を比較し、両者に相違があると判定されたときに地物データ90をサーバ装置SVに送信する。そして、送信した地物データ90に対応してサーバ装置SVから更新データが送信されてきたときのみ、当該更新データを用いて地図データSDを更新する。
【0055】
よって、サーバ装置SVにおいて、地図データVDを更新するための地物データ90を正確に、且つ効率的に収集することができる。また、サーバ装置SVにおいて更新の必要性が判定されて生成された更新データを用いてのみ、ナビゲーション装置Sの地図データSDが更新されることで、地図データSDを一元的に且つ正確に更新することができる。更に、地物データ間に相違があり且つ更新データが送信されてきたときのみ地図データSDを更新するので、サーバ装置SVとの間で授受される情報の量を低減しつつ地図データSDを更新することができる。更にまた、送信した地物データ90に対応した更新データにより地図データSDが更新されるので、ナビゲーション装置Sが移動する経路や地域に応じた地図データSDの更新が可能となる。
【0056】
また、ナビゲーション装置Sにおける照合結果(図5ステップS2乃至ステップS4参照)及びそれに対応する地物の位置を示す位置データが、サーバ装置SVに送信される地物データ90に含まれているので(図3(b)参照)、データ量が少ない位置データにより、変化のあった地物を特定して地図データSDを更新することができる。
【0057】
更に、対応する地物を撮影した実写データの特徴量データが地物データ90に含まれているので、変化のあった地物を実写データにより正確に特定して地図データSDを更新することができる。
【0058】
更にまた、カメラ7により地物を新たに撮影した実写データにおける特徴量データに基づいて、記録部9に記録されている地図データ90との間の相違があるか否かを判定するので、より正確に当該相違の有無を判定することができる。
【0059】
なお、上述した第1実施例においては、複数のナビゲーション装置Sで用いられている地図データSD同士を比較したときに、地図データSD全体として相互に世代(ヴァージョン)が異なる場合があり、更にそれらの間で互換性がない場合もあり得る。このような場合サーバ装置SVの地図データVDとしては、それら地図データSDの世代ごとに複数の地図データVDを記録しておき、それぞれの世代ごとに上記更新データの生成/送信を行うように構成することが望ましい。
【0060】
また、実写データとして動画像を用いる場合、各ナビゲーション装置Sにおける照合処理(図5ステップS2及びステップS3参照)は、複数フレーム画像分の連続した静止画像を上記実写データとして用いることにより行われる。この場合、サーバ装置SVへの上記照合結果の送信(図5ステップS4参照)は、例えば、撮影対象たる地物が動画像として撮影されると算出/推測される位置が含まれ得る所定の範囲を予め設定しておき、移動体の現在位置がその範囲を出た以降に行われるのが好ましい。
【0061】
これは、上記所定の範囲内においては複数のフレーム画像を対象とした上記照合処理が継続して行われており、その照合結果が上記範囲を出た後に生成されることになるからである。即ち上記照合処理では、正しい照合結果が短時間で得られるとは限らず、例えば何らかの障害物の存在により地物自体が撮影できない場合や、撮影方向によって照合結果が変わる場合もあり、このような場合には、上記範囲外にまで移動体が移動しないと動画像の実写データを用いた照合結果が正しく得られないのである。
【0062】
なおこの場合、上記照合処理の手法にもよるが、上記範囲内で一度でも肯定的な照合結果(特徴量データが一致したとされる照合結果)が得られれば、一般には上記ステップS3としての判定結果は「NO」とされる。これに対し、上記ステップS3としての判定結果が「YES」となるのは、移動体が上記範囲を出た後とするのがよいと考えられる。
【0063】
なお、動画像の実写データを用いた上記ステップS3としての判定結果が「NO」となる場合が統計的に既定の割合以上となる場合以外に、その判定結果を「YES」とする照合処理の手法を用いることもできる。この場合には、移動体の現在位置が上記範囲内であっても、上記照合結果がサーバ装置SVに送信される場合がある。
【0064】
(2)第2実施例
次に、実施形態に対応する他の実施例である第2実施例について、図6を用いて説明する。なお図6は、第2実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第2実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第2実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図6に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0065】
上述した第1実施例に係る地図データ更新処理では、ナビゲーション装置Sの地図データSDの更新の必要性があるとサーバ装置SVにおいて判定された場合(図5ステップS11;YES参照)、直ちにそれに対応した更新データをナビゲーション装置Sに送信する構成とされていた。これに対し、以下に説明する第2実施例に係る地図データ更新処理では、地図データSDの更新の必要性があるとサーバ装置SVにおいて判定された場合には、初めにその旨のみをナビゲーション装置Sに送信し、その後ナビゲーション装置Sから更新データの要求があって初めて、対応する更新データをサーバ装置SVから送信する構成とする。
【0066】
即ち第2実施例に係る地図データ更新処理では、図6に示すように、先ずいずれかのナビゲーション装置Sにおいて図5に示すフローチャートにおけるステップS1からステップS4の処理が実行されると、その結果として送信されてくる照合結果に基づき、サーバ装置SVにおいて図5に示すフローチャートにおけるステップS10及びステップS11の処理が実行される。
【0067】
ステップS11の判定において、地図データSDの更新の必要性があると判定された場合(ステップS11;YES)、次にサーバ装置SVの処理部11は、当該更新が必要である旨の更新必要通知を、上記ステップS10の監視において照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS20)。その後処理部11は、当該更新必要通知を送信したナビゲーション装置Sから当該更新を要求する旨の更新要求が送信されてきたか否かを監視する(ステップS21)。ステップS21の監視において当該更新要求がナビゲーション装置Sから送信されてこない場合(ステップS21;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って照合結果の受信を監視する。一方ステップS21の監視において上記更新要求が送信されてきたとき(ステップS21;YES)、処理部11は、当該更新要求に対応した更新対象たる地物データSDに相当する地図データVDを含む上記更新データを生成し、上記照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS12)。その後処理部11は、図5に示すフローチャートにおけるステップS13の処理を実行する。
【0068】
これに対して、上記ステップS4の処理により照合結果を送信したナビゲーション装置Sの処理部8は次に、上記ステップS20の処理によりサーバ装置SVから送信される更新必要通知が送信されてきたか否かを監視する(ステップS15)。ステップS15の監視において更新必要通知を受信しない場合(ステップS15;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS15の判定において、サーバ装置SVから送信された更新必要通知を受信した場合(ステップS15;YES)、処理部8は、例えばディスプレイ20に表示する等の方法により、ナビゲーション装置Sの使用者(運転者等)に対して地図データSDの当該更新の必要性を告知し、これに対して更新する旨が例えば操作部4を用いた操作、又はナビゲーション装置Sの設定に基づき示されたか否かを判定する(ステップS16、ステップS17)。ステップS17の判定において当該操作が実行されない場合(ステップS17;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS17の判定において、対応する地図データSDを更新する旨の操作が実行された場合(ステップS17;YES)、処理部8は当該更新に対応する上記更新要求をサーバ装置SVに送信する(ステップS18)。
【0069】
その後処理部8は、図5に示すフローチャートにおけるステップS5乃至ステップS8の処理を実行し、地図データSDの更新を行う。
【0070】
以上説明したように、第2実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、操作部4を用いた更新を行う旨の操作がナビゲーション装置Sにおいて実行されたとき(図6ステップS17;YES)、サーバ装置SVから受信した更新データを用いた地図データSDの更新を行うので、ナビゲーション装置Sの使用者(運転者等)の意思に応じて地図データSDを更新することができる。
【0071】
(3)第3実施例
次に、実施形態に対応する更に他の実施例である第3実施例について、図7を用いて説明する。なお図7は、第3実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第3実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第3実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図7に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0072】
上述した第1実施例及び第2実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、サーバ装置SVから更新データを送信することで、各ナビゲーション装置Sの地図データSDを更新する構成とした。これに対し、以下に説明する第3実施例では、上記地図データSDの更新に加えて、ナビゲーション装置Sで撮影された実写データを用いて、サーバ装置SVに記録されている地図データVDを更新する構成とする。
【0073】
即ち第3実施例に係る地図データ更新処理では、図7に示すように、先ずいずれかのナビゲーション装置Sにおいて図5に示すフローチャートにおけるステップS1からステップS6の処理が実行される。またこれと並行して、第3実施例に係るサーバ装置SVでは、図5に示すフローチャートにおけるステップS10乃至ステップS13の処理が実行される。
【0074】
次に、第3実施例に係るサーバ装置SVの処理部11は、上記ステップS11の判定において地図データSDの更新の必要性がないと判定された場合(ステップS11;NO)、上記ステップS10の監視において送信されてきた照合結果に対応する照合処理(ステップS2及びステップS3参照)に係る実写データを、当該照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに送信させるか否かを判定する(ステップS27)。このステップS27の判定処理については、後ほど詳述する。
【0075】
ステップS27の判定において、受信した照合結果に対応する照合処理に係る実写データを送信させない場合(ステップS27;NO)、処理部11は、上記ステップS10に戻って照合結果の受信の監視を継続する。一方ステップS27の判定において当該実写データを送信させる場合(ステップS27;YES)、処理部11は、対応するナビゲーション装置Sに対して当該実写データをサーバ装置SVに送信することを要求する実写データ要求を送信する(ステップS28)。次に処理部11は当該実写データ要求に対応した実写データがナビゲーション装置Sから送信されてきたか否かを監視する(ステップS29)。ステップS29の監視において、例えば所定時間経過しても実写データが送信されてこない場合(ステップS29;NO)、処理部11は、再度実写データ要求をナビゲーション装置Sに送信すべく上記ステップS28の処理に戻る。一方ステップS29の監視において、所望される実写データが送信されて来た場合には(ステップS29;YES)、送信されてきた実写データを用いて地図データVD(より具体的には、地図データVD内の対応する地物データ140)を更新する(ステップS30)。その後処理部11は図5に示すフローチャートにおけるステップS13の判定に移行する。
【0076】
これに対応してナビゲーション装置Sの処理部8では、上記ステップS6の処理により地図データSDの部分を更新した後は、サーバ装置SVから上記実写データ要求が送信されてきたか否かを監視する(ステップS25)。ステップS25の監視において実写データ要求が送信されてこない場合(ステップS25;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS25の判定において、サーバ装置SVから送信された実写データ要求を受信した場合(ステップS25;YES)、処理部8は、受信した実写データ要求に対応する実写データ(換言すれば、上記ステップS1の処理により撮影された実写データ)をサーバ装置SVに送信し(ステップS26)、その後処理部8は図5に示すフローチャートにおけるステップS7の判定に移行する。
【0077】
次に、サーバ装置SVの処理部11における上記ステップS27の判定処理について、具体的に説明する。
【0078】
上記ステップS27の判定においては、例えば、上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に、直ちに上記ステップS10の監視において送信されてきた照合結果に係る実写データを送信させる必要があると判定することが考えられる(上記ステップS27;YES)。即ち当該照合結果と共に送信されてきた地物データ90のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容と、当該地物データ90に相当する記録部14内の地物データ140のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容とが一致した場合に、上記実写データを送信させる必要があると判定する。この場合には、両者のヴァージョンデータ等が一致するにも拘わらず上記不一致である旨の照合結果を受信したことになるので、サーバ装置SVに記録されている地図データVDの方を更新する可能性があると判断する。
【0079】
また上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に加えて他の条件を課してもよい。より具体的には、地図データVDの地図データ140に含まれていない地物についての照合結果であること、又は、地物データ140としてのデータを収集中である地物についての照合結果であること(換言すれば、既に十分なデータが集まっている地物については、それに対応する実写データの送信を要求しないとすること)を条件に加えてもよい。
【0080】
ここで、上記地物データ140としての「データを収集中」である地物とは、上記ステップS10の監視において受信した照合結果が誤っている場合があり得ることに関連している。即ち、実施例に係るナビゲーション装置Sにおける照合処理(上記ステップS2及びステップS3参照)では、照合対象たる地物の特徴が、あるタイミングの時だけ一時的に正しく照合できなくなる場合があり、この場合においては、照合対象たる地物が不変でも、照合結果として不一致となる(換言すれば、不一致である旨の照合結果が誤っている)場合があり得るのである。このとき、上記「正しく照合できなくなる」条件とは、例えば、カメラ7の撮影範囲に障害物がある場合、地物自体が何らかの工事中であってそれが隠されていて撮影できない場合、或いは地物に直射日光が当たって鮮明に撮影できない場合等が挙げられる。そしてこのような場合、サーバ装置SVとしては、いわゆる「統計的に」地物データVDの更新を行うことが妥当であると考えられる。つまり、地物データ140に含まれるデータとして、ある程度の数のデータを母集団として集めるまでの間、それらデータを一連のものとして扱うべく、そのデータを「地物データ140における更新候補の対象」として扱う(管理する)のである。
【0081】
また、ステップS27の判定における他の条件としては、例えば上記地物データ140としてのサーバ装置SVにおけるデータの取得を終了するとしたタイミングから、少なくとも取得した複数のデータを用いた地物データVDの更新の可否の判定が行われる(上記ステップS27及びステップS29参照)タイミングまでの間に、判定対象たる地物データ140に対応する地物に関して他のナビゲーション装置Sから不一致である旨の照合結果(上記ステップS3;YES参照)が送信されてきたとしても、実写データは不要とすることも考えられる。
【0082】
またステップS27の判定として、下記の五つの条件を加重的に勘案してもよい。
(I)カメラ7の性能や撮影条件(いわゆるカメラパラメータ)
(II)撮影日時、天候、カメラ7の方向や位置(地物の写り具合の推定)
(III)ナビゲーション装置Sで照合ミスが起き易い地物か否か(それを示すデータがある場合)
(IV)サーバ装置SVの処理部11における負荷の状況やネットワークWの負荷状況
(V)各ナビゲーション装置Sからの過去における照合結果の送信等の通信状況
このうち、上記(I)及び(II)の勘案条件を加えることで、実写データにおける地物の写り具合と、それに対応した照合処理の「確度」が推定可能となる。また上記(III)の勘案条件を加えることで、過去の照合結果の事例から「照合処理の確度が概ね低い」といった統計結果が得られる場合がある。そしてこれら「確度」は、対応する実写データをサーバ装置SVにおいて取得する価値があるか否かを判断する基礎とすることができ、この確度が所定値よりも高ければ実写データを送信させるべき、と判定することができる。一方、情報処理システムSSにおけるその他の負荷の状況により、地図データVDの更新処理を現在行うのが困難或いは(サービス上)不当であると判断される場合があるが、この場合に上記(IV)及び(V)の勘案条件を加えることで、「現在行うのが困難或いは不当」である場合については実写データの送信を行わせないとの判定の一つの基準となり得る。
【0083】
更に、上記ステップS30に係る実写データを用いた地図データVDの更新処理においては、当該更新処理を処理部11が自動的に実行するように構成してもよいし、或いは送信されてきた(ステップS29;YES参照)実写データをディスプレイ12に表示することにより、サーバ装置SVの使用者(管理者等)の判断を交えつつ行うように構成してもよい。
【0084】
以上説明したように、第3実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、サーバ装置SVからの実写データ要求があったときのみ、実写データがナビゲーション装置Sからサーバ装置SVに送信されるので、例えばネットワークW上の通信に係るデータ量等を低減しつつ、当該実写データをサーバ装置SVにおける地図データVDの更新処理等に供させることができる。
【0085】
(4)第4実施例
次に、実施形態に対応する更に他の実施例である第4実施例について、図8を用いて説明する。なお図8は、第4実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第4実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第4実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図8に示すフローチャートにおいて、図7に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0086】
上述した第1実施例乃至第3実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、いずれかのナビゲーション装置Sのカメラ7により撮影された実写データを用いて、地図データSDに含まれる地物データ90と実際の当該地物の状況との異同を照合した(上記ステップS2及びステップS3参照)。これに対し、以下に説明する第4実施例では、ナビゲーション装置Sのセンサ部6からの現在位置データ等に基づいて、地図データSDにおける道路データ91とナビゲーション装置Sが備えられた移動体の現在位置とを照合し、必要に応じて当該道路データ91を更新する構成とする。
【0087】
即ち第4実施例に係る地図データ更新処理では、図8に示すように、先ずいずれかのナビゲーション装置Sの処理部8において、例えば予め設定された移動距離又は時間ごとに、上記現在位置データ等に基づき、移動体の現在位置又は移動してきた経路と、道路データ91により示される道路の位置と、を照合し(ステップS35)、それらに相違があるか否かを判定する(ステップS36)。ここで、ステップS36の判定において両者に相違があること(ステップS36;YES)は即ち、例えば道路データ91には含まれていない新しい道路を移動体が移動中であることを意味する。
【0088】
ステップS36の判定において両者に相違がない場合(ステップS36;NO)、処理部8は上記ステップS35に戻って道路データ91との照合を継続する。一方ステップS36の判定において、両者に相違していると判定される場合(ステップS36;YES)、処理部8は、その旨の照合結果(道路データ91にない道路上に位置している旨、及び
その際の現在位置データ等を含む)を、インターフェース1を介してサーバ装置SVに送信する(ステップS4)。その後処理部8は、図7に示すフローチャートにおけるステップS5乃至ステップS7並びにステップS25及びステップS26の処理を行う。
【0089】
このとき、ステップS5の処理では道路データ91とは別の新規道路データとして更新するための更新データを受信し、それを用いたステップS6の処理により、新規の当該道路データを更新することになる。またステップS26の処理としてサーバ装置SVに送信する実写データは、上記ステップS35及びステップS36の照合処理の際にカメラ7により撮影された、当該道路付近の地物を撮影した実写データである。また当該実写データとしては、例えば、上記ステップS36の判定において両者が不一致であると判定される(ステップS36;YES参照)直前にカメラ7により撮影された地物の実写データ、又は当該不一致であると判定された直後に撮影された地物の実写データ、或いは当該判定中において撮影された地物の実写データ、のいずれかが送信される。
【0090】
これに対し、第4実施例に係る地図データ更新処理におけるサーバ装置SVの処理部11は、基本的には第3実施例に係る地図データ更新処理におけるサーバ装置SVの処理部11と同様の、ステップS10乃至ステップS13及びステップS27乃至ステップS30の処理を実行する。
【0091】
このとき、ステップS11の判定において処理部11は、ステップS10の監視において受信された照合結果に含まれている現在位置が含まれている道路データ141が地図データVDに含まれているか否かを判定する。そして、当該照合結果に含まれている現在位置が含まれている道路データ141が地図データVDに含まれている場合、これを更新データとしてナビゲーション装置Sに送信する(ステップS11;YES及びステップS12)。
【0092】
また、ステップS27の判定処理において処理部11は、上記第3実施例としてのステップS27の判定処理と同様に、上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に、直ちに上記ステップS10の監視において送信されてきた照合結果に係る実写データを送信させる必要があると判定することが考えられる(ステップS27;YES)。即ち当該照合結果と共に送信されてきた現在位置データ等により示される位置に道路データがない場合(上記ステップS11;NO参照)、上記実写データを送信させる必要があると判定する。この場合には、送信されてきた現在位置データ等により示される位置に相当する道路が地図上にないにも拘わらず移動体が移動している旨の照合結果を受信したことになるので、サーバ装置SVに記録されている地図データVDの道路データを更新する必要があると判断するのである。
【0093】
また上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に、第3実施例の場合と同様のi)地図データVDの道路データに含まれていない道路についての照合結果であること、又は、新規道路データとしてのデータを収集中である地物についての照合結果であること、という条件が更に満たされた場合に、実写データを送信させるように構成してもよい。なおこの場合の「データを収集中」の意味は、第3実施例の場合と同様である。更にステップS27の判定として、第3実施例において説明した五つの勘案条件を加重的に加えてもよい。
【0094】
更にまた、第4実施例のステップS30の処理としては、送信されてきた実写データを用いて新規道路データを含む地図データVDが更新されることになる。
【0095】
以上説明したように、第4実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例及び第3実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、更新データを用いた地図データSD及び新規道路データの更新がナビゲーション装置Sの移動中に行われるので、更新された地図データSD及び新規道路データを用いて移動を行うことができる。
【0096】
(5)第5実施例
次に、実施形態に対応する更に他の実施例である第5実施例について、図9を用いて説明する。なお図9は、第5実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第5実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第5実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図9に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0097】
上述した第1実施例乃至第4実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、いずれかのナビゲーション装置Sにおいて取得された種々のデータ(例えば実写データ等)を用いて、ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSD又はサーバ装置SVに記録されている地図データVDを更新した。これに対し、以下に説明する第5実施例では、ナビゲーション装置Sにおいて設定された移動案内用の経路に含まれる案内地を示す案内地データ等に基づいて、地図データSDの道路データ91を更新する構成とする。
【0098】
即ち図9に示すように、第5実施例に係る地図データ更新処理においてナビゲーション装置Sの処理部8では、当該ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体の移動を案内するための経路を示す経路データが、例えば所定の経路探索方法により設定される(ステップS40)。この経路データには、上記経路としての出発地の位置等を示す出発地データ、上記経路としての目的地の位置等を示す目的地データ、及び目的地までに経由すべき案内地の位置等を示す案内地データが含まれている。
【0099】
次に処理部8は、ステップS40の処理により生成された経路データのうち、例えば案内地データをサーバ装置SVに送信する(ステップS41)。なおこのとき、目的地データを同時に送信してもよい。その後処理部8は、図5に示すフローチャートにおけるステップS5からステップS7の処理を実行する。このとき処理部8は、上記ステップS41の処理により送信した案内地データについての更新データがサーバ装置SVから送信されてくるとこれを受信し(ステップS5;YES)、当該受信した更新データを用いて地図データSDを更新する(ステップS6)。
【0100】
一方第5実施例に係る地図データ更新処理においてサーバ装置SVの処理部11は、例えばサーバ装置SVとしての電源がオンとされると、いずれかのナビゲーション装置Sからの上記案内地データ等を受信したか否かを監視する(ステップS45)。ステップS45の監視において、いずれのナビゲーション装置Sからも案内地データ等を受信しない場合(ステップS45;NO)、処理部11は当該案内地データ等の受信の監視を継続する。
【0101】
一方、ステップS45の監視においていずれかのナビゲーション装置Sからの上記案内地データ等を受信したら(ステップS45;YES)、次に処理部11は、当該受信した案内地データ等に基づいて当該案内地データ等に含まれる案内地等について地図データVDを検索し、当該案内地等について新たな地物データ140等が記録されているか否かを確認することにより、当該案内地等についての地物データ90を含む地図データSDを更新する必要があるか否かを判定する(ステップS11)。
【0102】
第5実施例としての上記ステップS11の判定において地図データSDの更新の必要性がないと判定された場合(ステップS11;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って案内地データ等の受信の監視を継続する。一方ステップS11の判定において、地図データSDの更新の必要性があると判定された場合(ステップS11;YES)、処理部11は、更新対象たる地物データSDにおける案内地データに相当する地図データVDの案内地データを含む上記更新データを生成し、上記案内地データ等を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS12)。この更新データを受信したナビゲーション装置Sでは、その後上記ステップS5乃至ステップS7の処理が実行されることになる。
【0103】
その後、サーバ装置SVの処理部11は、図5に示すフローチャートにおけるステップS13の処理を実行する。
【0104】
以上説明したように、第5実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、更新データを用いた地図データSDの更新が経路設定の際に行われるので、更新された地図データSDを用いて移動用の経路の設定及び当該経路を用いた案内を行うことができる。
【0105】
ここで、上述した第5実施例に係る地図データ更新処理では、結果的に、経路を用いた案内における各目標(案内地)となる施設のデータについての更新となる場合が多いが、これ以外に例えば、案内地となる施設の種類等に基づき、経路又はその目的地からの一定の地理的範囲内にある他の施設に関する地図データSDについて、その更新の有無の判定(図9ステップS56参照)及びその更新を行ってもよい。より具体的に例えば、お勧めの観光施設(スポット)や避難施設等について、それに対応する地図データSDの更新の有無の判定等を行ってもよい。またこの場合の上記一定の地理的範囲を、上記他の施設の種類等に基づいて変更するように構成することもできる。
【0106】
(6)第6実施例
最後に、実施形態に対応する更に他の実施例である第6実施例について、図10を用いて説明する。なお図10は、第6実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第6実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第6実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図10に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャート又は図9に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0107】
上述した第1実施例乃至第4実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、いずれかのナビゲーション装置Sにおいて取得された種々のデータ(例えば実写データ等)を用いて、ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSD又はサーバ装置SVに記録されている地図データVDを更新した。これに対し、以下に説明する第6実施例では、ナビゲーション装置Sにおいて設定された経路を示す経路データ等に基づいて、地図データSDを更新する構成とする。
【0108】
即ち図10に示すように、第6実施例に係る地図データ更新処理においてナビゲーション装置Sの処理部8では、図9に示すフローチャートにおけるステップS40の処理を実行する。次に処理部8は、ステップS40の処理により生成された経路データ自体をサーバ装置SVに送信する(ステップS50)。ステップS50としての送信のタイミングは、例えば上記経路が探索された直後でもよいし、その探索結果をナビゲーション装置Sの使用者(運転者等)が承認した後でもよい。
【0109】
その後処理部8は、上記送信した経路データに対応した再探索結果及びそれに対応する更新データがサーバ装置SVから送信されてきたか否かを監視する(ステップS51)。ステップS51の監視において上記再探索結果等が送信されてこない場合(ステップS51;NO)、処理部8は後述するステップS52の処理に移行し、上記ステップS40の処理により生成された経路データを用いた移動体の経路案内を行う。
【0110】
一方ステップS51の監視において、上記再探索結果等が送信されてきた場合(ステップS51;YES)、処理部8は、当該送信されてきた更新データを用いて地図データSDの更新を行い(ステップS6)、更に上記再探索結果に含まれている経路データを用いて移動体の経路案内を行う(ステップS52)。その後処理部8は、図5に示すフローチャートにおけるステップS7の処理を実行する。
【0111】
他方、第6実施例に係る地図データ更新処理においてサーバ装置Vの処理部11は、例えばサーバ装置SVとしての電源がオンとされると、いずれかのナビゲーション装置Sからの上記経路データを受信したか否かを監視する(ステップS55)。ステップS55の監視において、いずれのナビゲーション装置Sからも経路データを受信しない場合(ステップS55;NO)、処理部11は当該経路データの受信の監視を継続する。
【0112】
一方、ステップS55の監視においていずれかのナビゲーション装置Sからの上記経路データを受信したら(ステップS55;YES)、次に処理部11は、当該受信した経路データに基づいて、その経路データにより示される経路が、その時点でサーバ装置SVに記録されている地図データVDに照らして最適か否かの検証を行う(ステップS56)。より具体的に処理部11は、送信されてきた経路データに含まれる出発地データ及び目的地データを用いて改めて経路の探索を行い、上記ステップS55の監視において受信した経路データの内容と同一の経路であるか否かを判定する。またこのとき、ナビゲーション装置Sにおいて探索した経路の中で既に使用できなくなっている道路があるか否かも、併せて判定する。そして、上記ステップS55の監視において受信した経路データの内容が、改めて探索された経路の内容と同一である場合(ステップS56;NO)、処理部11は上記ステップS55に戻って経路データの受信の監視を継続する。なおこの場合、当該同一である旨を上記ステップS55の監視において経路データを送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信してもよい。
【0113】
一方ステップS56の判定において双方の経路データの内容が異なる場合(ステップS56;YES)、処理部11は、上記改めて探索した経路を示す経路データを、上記再探索結果として、上記ステップS55の監視において経路データを送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS57)。またこのとき処理部11は、上記ステップS55の監視において受信された経路データの中に既に使用できなくなっている道路がある場合は、その旨及び関連する更新データについても、併せて送信する。その後処理部11は、図5に示すフローチャートにおけるステップS13の処理を実行する。
【0114】
なお上述した第6実施例に係る地図データ更新処理において、サーバ装置SVから送信された再探索結果等だけではナビゲーション装置Sの地図データSDを更新するために十分な更新データがない場合、ナビゲーション装置Sの処理部8は、当該不十分な部分の更新データ(例えば不足している道路データ91等)をサーバ装置SVへ改めて要求して取得し、それを用いて地図データSDを更新する構成としてもよい。
【0115】
また上述した第6実施例に係る地図データ更新処理において、ナビゲーション装置Sから送信される経路データ(上記ステップS50参照)に、それに含まれる道路における進行の指示や時間帯による変化等の付帯情報が含まれていてもよい。またその付帯情報には、当該経路データに含まれる案内地を示す道路データ91のヴァージョンデータが含まれ
ていてもよい。この場合にサーバ装置SVの処理部11は、それら付帯情報を含めて地図データVDが最新であるか否かについて判定し、更新されたデータが地図データVD内にある場合は、それらを更新データとしてナビゲーション装置Sに送信して地図データSDの更新をさせてもよい。
【0116】
以上説明したように、第6実施例に係る地図データ更新処理によっても、上記第5実施例に係る地図データ更新処理と同様の作用効果を奏することができる。
【0117】
次に、実施形態に係る変形例について説明する。
【0118】
(7)第1変形例
先ず第1変形例について説明する。上述した第1実施例乃至第3実施例では、例えば予め設定された移動距離又は時間ごとにカメラ7により地物を撮影して照合を行うこととしたが、これ以外に、ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体に対する経路を用いた案内中において、地物の照合を行うように構成することもできる。
【0119】
より具体的には、一般に経路案内中においては、案内地ごとに判り易い周辺地物の情報を含めて案内する。例えば、音声により「前方30メートルの交差点、××(施設名)を左折です」といった案内が行われる。そして通常、各交差点では、その曲がり角ごとに案内施設の候補となる施設が複数存在しており、移動体の現在の移動方向と曲がる方向等に基づき、使用者(運転者等)が見易いとされるものが経路における案内地の施設として選定されている。そしてこれらの案内施設及びその候補となる施設のデータは、経路の設定時には判明している。また、案内地を設定した上で、当該案内地に接近した時点で、その案内地の周辺にある施設から実際に案内に用いる施設が決定される場合もある。
【0120】
そこで、ある案内地に接近した時、その案内地で案内に使用する一つの施設、又はその候補も含めた複数の施設に関して地図データSDとの間の照合処理(上記ステップS2及びステップS3参照)を行うことが考えられる。この場合の照合処理は、原則として当該施設をカメラ7から撮影することができ、且つ照合処理に使用できると算出/推測できる範囲内の実写データを用いて行う。なおこの場合に、予め照合処理を行う地理的範囲を設定しておいてもよい。そして照合結果を用いたサーバ装置SVへの送信は、例えば当該地理的範囲の外に移動してから行うこととする。
【0121】
そして、サーバ装置SVへの送信の結果として、当該施設についての上記更新データがサーバ装置SVから送信されてきた場合、その更新データを用いてナビゲーション装置Sの地図データSDを更新する(上記ステップS6参照)。
【0122】
以上の第1変形例の構成によれば、移動体の案内に使用する施設についての地図データSDを重点的に更新できると共に、サーバ装置SVとの間の通信量をも抑えることができる。
【0123】
(8)第2変形例
次に第2変形例について、図11を用いて説明する。なお図11は、第2変形例に係る地図データ更新処理を示すフローチャートである。また第2変形例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第2変形例に係る情報処理システムの動作等を説明する。
【0124】
上述した各実施例及び第1変形例では、いずれかのナビゲーション装置Sからの照合結果がサーバ装置SVにおいて受信されることをもって、地図データSD又は地図データVDの更新処理が開始される。このとき、例えば人が余り立ち寄らない場所に存在する地物である場合といった種々の原因により、対応する地物データ140又は地物データ90が長期間に渡って更新されない場合がある。このことは特に、マスター地図データとしての位置付けを有する地図データVDとして、好ましいことではない。
【0125】
そこで第2変形例に係る地図データ更新処理では、対応する地物データ140が長期間更新されない地物をサーバ装置SVにおいて一定期間ごとに特定し、当該地物について、各ナビゲーション装置Sから更新用の地物データを収集して地物データ140の更新を行う。なお第2実施例に係る地図データ更新処理は、例えば各実施例に係る地図データ更新処理をメインルーチンとした場合の割込処理として実行される処理である。また、第2変形例に係る地物データ140としては、それらが更新されたタイミングを示す時刻データが、各地物IDに対応付けられて地物ごとに記録部14に記録されている。
【0126】
具体的に第2変形例に係る地図データ更新処理では、初めに長期間更新されない地物データ140に対応する地物を、一定期間ごとに特定してリスト化する。なお以下の説明では、当該リストを「更新リスト」と称する。この更新リストはサーバ装置SVの記録部14に不揮発性に記録されている。
【0127】
即ち図11(a)に示すように、第2変形例に係る地図データ更新処理としてサーバ装置SVの処理部11は、長期間更新されない地物データ140を特定すべきタイミングとして予め設定されたタイミングが到来したか否かを監視している(ステップS60)。このときの特定すべきタイミングとして処理部11は、例えば、数週間に一度程度の間隔を定期的に上記特定すべきタイミングとする。
【0128】
ステップS60の監視において上記特定すべきタイミングが到来していない場合(ステップS60;NO)、処理部11は元のメインルーチンに戻る。一方ステップS60の監視において上記特定すべきタイミングが到来した場合(ステップS60;YES)、処理部11は次に、全ての地物についてリスト化の処理が完了しているか否かを判定し(ステップS61)、完了している場合は(ステップS61;NO)元のメインルーチンに戻る。
【0129】
他方、リスト化の処理が完了していない地物がある場合(ステップS61;YES)、処理部11は次に、その地物についての直近の更新タイミングを示す上記時刻データを記録部14から読み込み(ステップS62)、次に現在時刻が当該読み込んだ更新タイミングから所定期間(例えば数週間程度)経過した時刻であるか否かを判定する(ステップS63)。ステップS63の判定において、現在時刻が上記所定期間を経過した時刻でない場合(ステップS63;NO)、その地物に対応する地物データ140の更新のためのリスト化は不要であるとして、処理部11は元のメインルーチンに戻る。一方ステップS63の判定において、現在時刻が上記所定期間を経過した時刻である場合(ステップS63;YES)、処理部11は、その地物を更新リストに追加し(ステップS64)、更に次の地物について上記ステップS61以降の処理を繰り返すべく地物IDを「1」だけインクリメントして(ステップS65)、上記ステップS61の処理に移行する。以上のステップS60乃至S65の処理が全ての地物について繰り返されることで、上記所定期間更新されない地物データ140に対応する地物を含む更新リストが生成されることになる。
【0130】
次に、上記更新リストを用いた地物データ140の更新処理について、具体的に図11(b)を用いて説明する。図11(b)に示すように、第2実施例に係る地物データ140の更新処理としてサーバ装置SVの処理部11は、例えば図11(a)に示す更新リストの生成処理と並行して、いずれかのナビゲーション装置Sからの何らかの通信があったか否かを監視している(ステップS70)。このステップS70における通信には、上記各実施例における照合結果の受信だけでなく、送信元たるナビゲーション装置Sを識別し得る他の通信も含まれる。ステップS70の判定においていずれの通信もない場合(ステップS70;NO)、処理部11は元のメインルーチンに戻る。一方ステップS70の判定において何らかの通信があった場合(ステップS70;YES)、処理部11は次に、その通信元たるナビゲーションSが地物データ140の更新に対応しているか否かを識別し(ステップS71)、対応してない場合は(ステップS71;NO)元のメインルーチンに戻る。
【0131】
一方ステップS71の識別において、通信しているナビゲーション装置Sが地物データ140の更新に対応している場合(ステップS71;YES)、次に処理部11は、そのナビゲーション装置Sにおいて移動案内用の経路(経路データ)が設定されているか否かを、例えば上記受信した照合結果等を用いて判定する(ステップS72)。ステップS72の判定においてナビゲーション装置Sにおいて経路が設定されている場合(ステップS72;YES)、処理部11は、当該設定されている経路上又は当該経路に沿った地域にある地物であって、上記更新リストに現在含まれている地物を、対応する地物IDによりリスト化する(ステップS73)。一方ステップS72の判定において、上記経路が設定されていない場合(ステップS72;NO)、処理部11は、例えば当該ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体の現在位置を中心とした既定の地理的範囲内、又は当該現在位置が属する行政区分内のいずれか等にある地物であって上記更新リストに現在含まれている地物を、対応する地物IDにより特定してリスト化する(ステップS74)。
【0132】
次に処理部11は、上記ステップS73の処理又は上記ステップS74の処理により生成されたリスト(対応する地物IDを含む)に相当するデータを、ステップS70の監視において通信しているナビゲーション装置Sに送信する(ステップS75)。
【0133】
なお、当該データを受信したナビゲーション装置Sの処理部8は、当該受信したデータに相当するリストに地物IDが含まれている地物について、当該ナビゲーション装置Sが記録している地物データ90、又は当該ナビゲーション装置Sのカメラ7等により撮影した実写データを伴う地物データ90を、サーバ装置SVに送信する。
【0134】
上記ステップS73の処理又はステップS74の処理により生成されたリストに相当するデータを送信した後にサーバ装置SVの処理部11は、当該送信先のナビゲーション装置Sから当該リストに相当する地物データ90が送信されてきたか否かを監視する(ステップS76)。ステップS76の監視において当該相当する地物データ90が送信されてこない場合(ステップS76;NO)、処理部11は元のメインルーチンに戻り、一方送信されてきた場合(ステップS76;YES)、処理部11は、当該送信されてきた地物データ90の内容を用いて、対応する地物の地物データ140(長期間更新されていなかった地物データ140)及びそれに関連する地図データVDを更新する(ステップS77)。その後処理部11は、元のメインルーチンに戻る。以上のステップS70乃至ステップS77の処理が、ナビゲーション装置Sとの間の何らかの通信が行われる度に実行されることで、上記所定期間更新されない地物データ140が、ナビゲーション装置Sから送信された地図データ50により更新されることになる。
【0135】
以上説明した第2変形例に係る地図データ更新処理によれば、対応する地物データ140が規定期間更新されない地物を抽出し、その地物を示す地物IDに対応してナビゲーション装置Sから送信されてきた地物データ90を用いて当該地物データ140を含む地図データVDを更新するので、上記規定期間ごとに地図データVDを最新化することができる。
【0136】
なお、図11(a)を用いて説明したように定期的に全ての地物を確認して都度リスト化する他に、上記更新リスト生成の他の例としては、例えば最初に全ての地物について(一時的な)更新リストを生成しておき、これを地物ごとに個別に更新していく方法も考えられる。
【0137】
より具体的に例えば、最初に一度作成した更新リストにおいて処理部11は、更新された日時が新しい順に地物データ140を並べると共に、地物ごとに地物データ140の更新(即ちナビゲーション装置Sからの地物データ90を用いた更新)を随時行う。そして、一つの地物データ140について更新が行われたら、その更新された日時に基づいて既存の更新リストにおけるその地物データ140の順番を入れ換える。このようにすれば、更新日時の新旧が一目で判明する更新リストが記録部14内に記録されている状態を、維持することができることになる。
【0138】
また、最初に作成した更新リストにおいて処理部11は、一定期間ごとに、直近の更新日時が時間的に後のものを順次含むように更新対象となる地物データ140の範囲を順次拡大してゆき、その時に更新対象となっている地物データ140について、ナビゲーション装置Sからの地物データ90を用いた更新を行う方法も考えられる。
【0139】
更に、図5乃至図10にそれぞれ示したフローチャートに相当するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部8及び処理部11として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0140】
10 受信手段(インターフェース)
11 処理部
14 地図情報記憶手段(記録部)
15 地物情報記憶手段
90、140 地物データ
91、141 道路データ
92、142 背景データ
S 端末装置
SS 情報処理システム
S1、S2、Sn ナビゲーション装置
SV サーバ装置
W ネットワーク
SD、VD 地図データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11