(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026464
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20230216BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20230216BHJP
G01N 21/53 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N15/14 G
G01N15/14 C
G01N21/17 A
G01N21/53 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198305
(22)【出願日】2022-12-13
(62)【分割の表示】P 2018152902の分割
【原出願日】2018-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2017192652
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真也
(72)【発明者】
【氏名】増田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中西 健二
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 由紀夫
(57)【要約】
【課題】複数のカメラで焦点距離の異なる複数の検体の画像を同時に撮像する。
【解決手段】有形成分を含む検体を透過した光を複数の光路に分岐させる分岐部と、複数の光路に分岐した光が入射する撮像面を備えた撮像素子を有し、流路内の検体の焦点位置の異なる画像を同時に撮像する複数のカメラと、撮像した画像を処理する制御部と、複数のカメラに対応する結像レンズから複数のカメラの撮像面までの夫々の光学距離のずれ量を変更するように複数のカメラのうち少なくとも一つのカメラを移動させることにより、複数のカメラ間の焦点位置のずれ量を変更する可変機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有形成分を含む検体の流路を有するフローセルと、
前記有形成分を含む検体を透過した光を複数の光路に分岐させる分岐部と、
前記複数の光路に分岐した光が入射する撮像面を備えた撮像素子を有し、前記流路内の前記検体の焦点位置の異なる画像を同時に撮像する複数のカメラと、
前記撮像した画像を処理する制御部と、
前記複数のカメラに対応する結像レンズから前記複数のカメラの撮像面までの夫々の光学距離のずれ量を変更するように前記複数のカメラのうち少なくとも一つのカメラを移動させることにより、前記複数のカメラ間の焦点位置のずれ量を変更する可変機構と、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記可変機構は、前記複数のカメラをそれぞれ移動させることにより、前記複数のカメラ間の焦点位置のずれ量を変更する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記分岐部は、ビームスプリッタである請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記複数のカメラは、3つのカメラを含み、
前記分岐部により分岐された光は、前記可変機構を介して、前記3つのカメラのうち少なくとも2つのカメラに入射する請求項1から3の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記分析装置は、分析モードである第一モード及び第二モードを有し、
前記可変機構は、前記第一モードと前記第二モードとで前記カメラの焦点位置を変更し、前記第一モードにおける前記カメラ間の焦点位置のずれ量は、前記第二モードにおける前記カメラ間の焦点位置のずれ量よりも小さい請求項1から4の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記可変機構は、前記第一モードにおいて前記複数のカメラで夫々撮像される範囲が一部重なるように前記焦点位置を調整する請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記可変機構は、前記第二モードにおいて、前記複数のカメラで夫々撮像される範囲が重ならないように前記焦点位置を調整する請求項5または6に記載の分析装置。
【請求項8】
表示部を更に備え、
前記制御部は、前記第一モードにおいて、前記複数のカメラが撮像した同じ有形成分の像を、前記焦点位置を基準とする降順又は昇順に切り替えて前記表示部に表示させる請求項5から7のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記複数のカメラで夫々撮像される範囲が一部重なる請求項1から4の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数のカメラで撮像された画像から、それぞれ対応する位置の画像を切り出す請求項1から9のいずれか1項に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
採取した尿の検査において、従来採取した尿を遠心分離し、尿中粒子を直接顕微鏡で観察する方法で尿中の沈査成分(有形成分)の分析が行われていたが、分析に時間を要していた。そのため、尿沈査分析の自動化が進み、透明な部材で形成されたフローセル内に設けられた流路を流れる尿検体を撮像し、撮像された画像を解析することにより尿中の沈渣成分(有形成分)の分析を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、ユーザが任意の画像を表示し、自動分類の修正、目視による再分類が可能となるレビュー機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
尿中の沈渣成分の検査は、尿中の沈渣成分の種別を判別する作業と、沈渣成分の数量を計数する作業とを含む。判別作業では、尿中の沈渣成分の種別を判別する装置が沈渣成分の画像から特徴量を抽出し、特徴量のパターンマッチングによって沈渣成分の種別を判別する。種別を判別できない場合、人が顕微鏡を用いて目視により種別の判別を行う。計数作業では、フローセルを流れる尿検体の画像から沈渣成分を抽出して数を計数する。
【0005】
装置を用いた判別作業では、固定の焦点距離で撮像した画像中の沈渣成分の像を用いて種別を判別する。このとき、像のピントがあっていないと、特徴量が適正に抽出できず、適正な判別ができない場合があった。この場合に、判別を顕微鏡を用いた目視により行うのは非効率であった。
【0006】
一方、計数作業では、フローセルを流れる尿検体は、所定の厚みを以て流れており、沈渣成分は厚み方向に分布している。厚み方向における沈渣成分の分布範囲は、装置が撮像する被写界深度よりも広い。固定の焦点距離で撮像を行う場合、被写界深度の範囲外にある沈渣成分を撮像できず、適正な計数ができない場合があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、複数のカメラで焦点距離の異なる複数の検体の画像を同時に撮像する分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様の一つは、有形成分を含む検体の流路を有するフローセルと、前記有形成分を含む検体を透過した光を複数の光路に分岐させる分岐部と、前記複数の光路に分岐した光を用いて、前記流路内の前記検体の焦点位置の異なる画像を同時に撮像する複数の撮像手段と、前記撮像した画像を処理する制御部と、を備える分析装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のカメラで焦点距離の異なる複数の検体の画像を同時に撮像することにより、フローセルを流れる検体の分析精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る分析装置の概略構成を示した図である。
【
図3】合流部及びテーパ部付近の概略構成を示したY軸方向の断面図である。
【
図4】第四流路を流通するシース液と検体の分布を示した図である。
【
図6】カメラの撮像面の位置と焦点位置との関係を示した図である。
【
図8】撮像部間の撮像範囲が一部重なるように撮像部間の焦点位置のずれ量を調整した場合の撮像範囲の関係を示した図である。
【
図9】一例として白血球に分類された有形成分の切り出し画像を示した図面代用写真である。
【
図10】第一モードにおける有形成分を同定するフローを示したフローチャートである。
【
図11】撮像部間の撮像範囲が重ならないように撮像部間の焦点位置のずれ量を調整した場合の撮像範囲の関係を示した図である。
【
図12】第二モードにおける有形成分を同定するフローを示したフローチャートである。
【
図13】焦点位置の切替制御のフローを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、検体としては、尿以外に、血液、髄液、漿液などの体液中の有形成分を分析することも可能である。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る分析装置20の概略構成を示した図である。分析装置20は、撮像装置1を備えている。撮像装置1は、検体として例えば尿を撮像する。分析装置20は、撮像された画像を解析することにより例えば尿中の有形成分(赤血球、白血球、扁平上皮細胞、その他の上皮細胞、円柱、結晶、細菌等などの尿中の固形成分)の分析を行う。この分析には、定性分析及び定量分析を含むことができる。ただし、撮像装置1は、例えば血液や体液などの尿以外の液体検体中の有形成分の分析に対して適用することも可能である。
【0013】
撮像装置1は、対物レンズ11A、撮像用の光源12、フローセルユニット13、第一分岐部21A、第二分岐部21B、第一可変機構22A、第二可変機構22B、第三可変機構22C、第一カメラ23A、第二カメラ23B、第三カメラ23Cを備える。さらに、撮像装置1は、第一鏡筒24A、第二鏡筒24B、第三鏡筒24Cを備え、第一鏡筒24Aには第一分岐部21A及び第二分岐部21Bが収容されている。第一鏡筒24Aの一端には対物レンズ11Aが配置されており、第一鏡筒24Aの他端には第一カメラ23Aが配置されている。また、第二鏡筒24B及び第三鏡筒24Cは、第一鏡筒24Aに対して中心軸が直交するように対物レンズ11A側から順に第一鏡筒24Aに接続されている。第二鏡筒24Bの端部に第二カメラ23Bが配置され、第三鏡筒24Cの端部に第三カメラ23Cが配置されている。
【0014】
撮像手段としての第一カメラ23A、第二カメラ23B、及び第三カメラ23Cは、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を用いて撮像を行う。第一カメラ23A、第二カメラ23B、及び第三カメラ23Cは、同じ性能であるが、性能が異
なるものを用いることもできる。
【0015】
以下では、対物レンズ11A、第一分岐部21A、第二分岐部21B、第一可変機構22A、第一カメラ23Aを合わせて第一撮像部10Aといい、対物レンズ11A、第一分岐部21A、第二可変機構22B、第二カメラ23Bを合わせて第二撮像部10Bといい、対物レンズ11A、第一分岐部21A、第二分岐部21B、第三可変機構22C、第三カメラ23Cを合わせて第三撮像部10Cという。
【0016】
第一鏡筒24A内の第一分岐部21Aよりも対物レンズ11A側には、結像レンズ11Bを備えている。対物レンズ11A、結像レンズ11Bおよび光源12は、第一撮像部10A、第二撮像部10B、及び第三撮像部10Cで共用される。第一撮像部10A、第二撮像部10B、及び第三撮像部10Cは、結像レンズ11B(結像レンズ11Bがない場合は対物レンズ11A)から第一カメラ23A、第二カメラ23B、及び第三カメラ23Cまでの光学距離が同じ場合には、被写界深度、視野、倍率は同じである。
【0017】
なお、以下では、第一撮像部10A、第二撮像部10B、第三撮像部10Cを区別しない場合には、単に撮像部10という。第一分岐部21A、及び第二分岐部21Bを区別しない場合には、単に分岐部21という。第一可変機構22A、第二可変機構22B、第三可変機構22Cを区別しない場合には、単に可変機構22という。第一カメラ23A、第二カメラ23B、及び第三カメラ23Cを区別しない場合には、単にカメラ23という。第一鏡筒24A、第二鏡筒24B、及び第三鏡筒24Cを区別しない場合には、単に鏡筒24という。
【0018】
第一分岐部21A及び第二分岐部21Bは、例えばハーフミラーなどのビームスプリッタであり光を2方向に分岐させる。第一分岐部21A及び第二分岐部21Bは、対物レンズ11Aの光軸110上に配置されている。第一分岐部21Aは、対物レンズ11Aを通過した光の一部を透過させ、残りを反射することにより、光を2方向に分岐している。第一分岐部21Aで反射した光の光軸111Bが第二鏡筒24Bの中心軸と一致するように、第一分岐部21Aが配置されている。このように第一分岐部21Aを配置することにより、第一分岐部21Aで反射した光が、第二カメラ23Bが有する撮像素子の撮像面に入射され、第二撮像部10Bにおいて撮像に供される。
【0019】
第二分岐部21Bは、第一分岐部21Aを透過した光の一部を透過させ、残りを反射することにより、光を更に2方向に分岐している。第二分岐部21Bで反射した光の光軸111Cが第三鏡筒24Cの中心軸と一致するように、第二分岐部21Bが配置されている。このように第二分岐部21Bを配置することにより、第二分岐部21Bを透過する光が、第一カメラ23Aが有する撮像素子の撮像面に入射され、第一撮像部10Aにおいて撮像に供される。また、第二分岐部21Bで反射される光が、第三カメラ23Cが有する撮像素子の撮像面に入射され、第三撮像部10Cにおいて撮像に供される。
【0020】
第二分岐部21Bを透過して第一カメラ23Aに入射する光の経路を第一光路といい、第一分岐部21Aで反射して第二カメラ23Bに入射する光の経路を第二光路といい、第二分岐部21Bで反射して第三カメラ23Cに入射する光の経路を第三光路という。第一光路の光軸は、対物レンズ11Aの光軸110と一致する。
図1では、第一光路の光軸を111Aで示し、第二光路の光軸を111Bで示し、第三光路の光軸を111Cで示している。第一光路の光軸、第二光路の光軸、第三光路の光軸を区別しないときには、単に光軸111という。
【0021】
図1に示すように、第一カメラ23A、第二カメラ23B、第三カメラ23Cは、対物レンズ11A及び結像レンズ11Bを共用するので、被写体に対して対物レンズ11Aの
光軸110が通過する位置(視野の中心と称する。)は、これらの複数のカメラ間で共通である。但し、後述するように、結像レンズ11Bと、第一カメラ23A、第二カメラ23B、第三カメラ23Cのそれぞれの撮像面との光学距離が異なる。このため、対物レンズ11Aの光軸110方向において、第一カメラ23A、第二カメラ23B、第三カメラ23Cの被写体側の焦点位置は、ずれている(
図6参照)。
【0022】
分析装置20には、制御部としてのコントローラ14が設けられている。コントローラ14は、CPU14A、ROM14B、RAM14C、EEPROM14D、およびインターフェイス回路14Eを備えており、バス線14Fにより相互に接続されている。
【0023】
CPU(central processing unit)14Aは、ROM(read only memory)14Bに
格納されてRAM(random access memory)14Cに読み込まれたプログラムに基づいて動作し、分析装置20の全体を制御する。ROM14Bには、CPU14Aを動作させるためのプログラムやデータが格納されている。RAM14Cは、CPU14Aにワーク領域を提供するとともに、各種のデータやプログラムを一時的に記憶する。EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)14Dは、各種の設定データ
などを記憶する。インターフェイス回路14Eは、CPU14Aと各種回路との間の通信を制御する。
【0024】
インターフェイス回路14Eには、表示部16、操作部17、第一可変機構22A、第二可変機構22B、第三可変機構22C、第一カメラ23A、第二カメラ23B、第三カメラ23C、光源12、第一ポンプ15A及び第二ポンプ15Bの制御線が接続されており、これらの機器が、コントローラ14からの制御信号によって制御される。第一ポンプ15Aは、第一供給管132Aを介してフローセル13Aにシース液を供給するポンプであり、第二ポンプ15Bは、第二供給管133Aを介してフローセル13Aに検体を供給するポンプである。シース液とは、フローセル13A中の検体の流れを制御する液体であり、例えば検体が尿である場合に生理食塩水が適用される。但し、生理食塩水以外の溶液をシース液として用いてもよい。
【0025】
光源12は、例えばキセノンランプまたは白色LEDを採用することができるが、これに限らず、他の光源を採用することも可能である。表示部16は、LCD(liquid crystal display)や発光ダイオードなどを備えており、CPU14Aにより制御されて各種の情報や検査結果、有形成分を撮像した画像などを表示する。操作部17は、ユーザが分析装置20を操作するときのインターフェイスであり、例えばスイッチ、キーボード、マウス等を含む。操作部17は、ユーザの操作に応じた操作信号をCPU14Aに供給する。
【0026】
フローセルユニット13は、検体が流通するフローセル13Aを固定配置するステージ(図示省略)を備える。フローセル13Aはステージに対して脱着自在としてもよい。フローセル13Aは、光源12と対物レンズ11Aとの間に配置される。
【0027】
図2は、フローセル13Aの概略構成を示した図である。フローセル13Aは、第一板130と第二板131とを接合(例えば熱圧着)することにより形成される。
図2は、第一板130側からフローセル13Aを見た図である。なお、
図2に示すフローセル13Aの幅方向を直交座標系におけるX軸方向、長さ方向をY軸方向、厚さ方向をZ軸方向とする。撮像される検体はフローセル13A内でY軸方向に流れる。対物レンズ11Aの光軸110は、Z軸方向に配置されている。
【0028】
フローセル13Aの材料には、PMMA(アクリル樹脂)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PP(ポリプロピレン)、石英ガラスといった例えば90%以上の可視光透過性がある材料を採用することができる。
【0029】
第一板130には、シース液を供給するための第一供給口132、検体を供給するための第二供給口133、シース液及び検体を排出するための排出口134が設けられている。第一供給口132、第二供給口133、排出口134は、夫々第一板130を貫通している。第一供給口132は第一板130の長手方向の一端側に設けられており、第二供給口133は第一板130の長手方向の他端側に設けられおり、排出口134は第一板130の長手方向の第一供給口132と第二供給口133との間に設けられている。
【0030】
第一供給口132、第二供給口133、排出口134は、互いに流路135A、135B、136、138によって連通されている。これら流路135A、135B、136、138は、第一板130の接合面側の表面から断面が矩形となるように凹んで形成されている。また、これら流路135A、135B、136、138の断面は、深さ方向(
図2のZ軸方向)よりも幅方向(
図2のX軸方向)のほうが大きくなるように形成されている。第一板130と第二板131とを接合すると、第二板131は、流路135A、135B、136、138を形成する壁材となる。
【0031】
第一供給口132には、第一流路135A及び第二流路135Bが接続されている。第一流路135A及び第二流路135Bは、夫々逆回りに、第一板130の外縁に沿って第二供給口133側に向かい、合流部137において合流している。また、第二供給口133には、第三流路136が接続されており、第三流路136は、合流部137において、第一流路135A及び第二流路135Bと合流している。合流部137は、第四流路138を介して排出口134に接続されている。第四流路138には、合流部137から排出口134に向かって第四流路138の深さ(第一板130の板厚方向(Z軸方向)の長さ)が徐々に小さくなるテーパ形状に形成されたテーパ部138Aが形成されている。テーパ部138Aには、例えば2°~8°の傾斜が設けられている。
【0032】
第一供給口132には、
図1に示した第一供給管132Aが接続され、第二供給口133には、
図1に示した第二供給管133Aが接続され、排出口134には、排出管(図示省略)が接続されている。第一供給管132Aから第一供給口132に供給されたシース液は、第一流路135A及び第二流路135Bを流通する。第二供給管133Aから第二供給口133に供給された検体は第三流路136を流通する。そして、シース液及び検体が合流部137において合流して第四流路138を流通し、排出口134から排出管に排出される。
【0033】
図3は、合流部137及びテーパ部138A付近の概略構成を示したY軸方向の断面図である。合流部137においては、第三流路136が第二板131側に偏って配置されており、検体は、合流部137において、第二板131に沿って流れる。
【0034】
図4は、第四流路138を流通するシース液と検体の分布を示した図である。
図4における上側からシース液と検体とが別々に供給された後、合流部137で合流している。合流部137においてシース液と検体とが合流した直後では、シース液内の検体は、第二板131の壁面側の比較的狭い範囲に集中している(
図4のA-A断面参照)。その後、検体がテーパ部138Aを流通すると、検体がシース液に押されて第二板131の壁面近くで壁面に沿って扁平状に広がる(
図4のB-B断面参照)。さらに検体が流れると、Tubular-pinch効果により検体が第二板131の壁面から離れて、第四流路138の中央方向
へ持ち上げられる(
図4のC-C断面参照)。
【0035】
有形成分の分布は、シース液中での検体流体の分布の影響を受ける。より多くの有形成分を撮像可能な位置において撮像を行うことにより、有形成分の分析精度を高めることができる。フローセル13A中では、
図4の断面図に示されるように、Y軸方向の位置によ
って検体の流れが変化する。
図4のC-C断面の位置では、B-B断面の位置よりも、Z軸方向における検体の幅が大きくなる。
図4のC-C断面の位置では、検体中の有形成分がZ軸方向に広がって分布するため、有形成分の撮像には不向きである。
【0036】
一方、
図4のB-B断面の位置では、上方からシース液が検体を第二板131に押しつけるように流れ、検体がシース液で押しつぶされて薄く広がる。そのため、
図4のB-B断面の位置では、検体中の有形成分がZ軸方向に広がらずに存在しており、焦点を合わせやすい。なお、シース流体、検体流体とも層流を形成しており、ほとんど混ざり合うことはない。このようなB-B断面の位置は、有形成分を撮像するのに適したY軸方向の位置
であるため、このY軸方向の位置で検体を撮像する。この位置を撮像位置といい、この撮像位置に対物レンズ11Aの光軸110を合わせている。
【0037】
なお、フローセル13Aのテーパ部138A通過後の検体は、フローセル13Aの壁面に接触している態様を一例として説明したが、フローセルの構造及び検体の流れについてはこの態様だけに限定されない。例えば、フローセル13Aのテーパ部138A通過後に、検体の周りをシース液が取り囲み、シース液の中心部で検体が薄く引き伸ばされる構造のフローセルを用いてもよい。
【0038】
図1に戻り、第一可変機構22Aは結像レンズ11Bから第一カメラ23Aの撮像面までの光学距離(以下、第一光学距離ともいう。)を変更し、第二可変機構22Bは結像レンズ11Bから第二カメラ23Bの撮像面までの光学距離(以下、第二光学距離ともいう。)を変更し、第三可変機構22Cは結像レンズ11Bから第三カメラ23Cの撮像面までの光学距離(以下、第三光学距離ともいう。)を変更する。なお、結像レンズ11Bからの距離といった場合には、結像レンズ11Bの前端部、後端部、または中心部からの距離とする。対物レンズ11Aについても同様である。対物レンズ11Aから結像レンズ11Bまでの光学距離は一定である。
【0039】
なお、撮像装置が結像レンズ11Bを有しない場合もある。この場合、第一可変機構22Aは対物レンズ11Aから第一カメラ23Aの撮像面までの光学距離を変更し、第二可変機構22Bは対物レンズ11Aから第二カメラ23Bの撮像面までの光学距離を変更し、第三可変機構22Cは対物レンズ11Aから第三カメラ23Cの撮像面までの光学距離を変更する。
【0040】
図5は、可変機構22の概略構造を示した図である。可変機構22は、可動部221、台座222、送りねじ223、モータ224を含んでいる。可動部221は筒状に形成されており、鏡筒24内に進退可能に挿入されている。鏡筒24の中心軸及び可動部221の中心軸は、光軸111上にある。可動部221は板状の台座222の一方の面に固定されており、台座222の他方の面にはカメラ23が固定されている。カメラ23の取付位置において台座222に孔222Aが設けられており、この孔222Aは、台座222を通過した光がカメラ23に入射するように形成されている。
【0041】
台座222の一方の面には、送りねじ223のナット223Aが固定されており、ナット223Aには、ねじ軸223Bが装着されている。ねじ軸223Bの軸方向は、光軸111方向と平行である。ねじ軸223Bは、モータ224に接続されており、モータ224を回転させることによりねじ軸223Bが回転する。このモータ224の回転はCPU14Aにより制御される。モータ224は、鏡筒24に対して相対移動しないように固定されているため、ねじ軸223Bが回転すると、ナット223Aがねじ軸223Bの軸方向に移動する。このときの移動距離は、ねじ軸223Bの回転角度とねじのピッチに応じて定まる。このナット223Aの移動によって可動部221、台座222、カメラ23がねじ軸223Bの軸方向、すなわち光軸111方向に移動することにより、結像レンズ1
1Bからカメラまでの光学距離を変更させる。なお、結像レンズ11Bからカメラ23までの光学距離を変更する手段は上記構成に限らない。例えば、ユーザが手動でねじ軸223Bを回転させて結像レンズ11Bからカメラ23までの光学距離を変更してもよい。
【0042】
なお、上記説明では、第一撮像部10A、第二撮像部10B、及び第三撮像部10Cが全て可変機構22を備えているが、可変機構22を備えない撮像部10があってもよい。この場合、可変機構22を備えない撮像部10における結像レンズ11Bからカメラ23までの光学距離が固定されるため、その固定された光学距離を基準とし、可変機構22を備えている他の撮像部10における結像レンズ11Bからカメラ23までの光学距離を変更すればよい。
【0043】
図6は、カメラ23の撮像面の位置と焦点位置との関係を示した図である。左から順に、第一撮像部10A、第二撮像部10B、第三撮像部10Cにおける関係を夫々示している。結像レンズ11Bから撮像面までの光学距離が短くなると、対物レンズ11Aから被写体側の焦点位置までの光学距離が長くなる。結像レンズ11Bから撮像面までの光学距離が長くなると、対物レンズ11Aから被写体側の焦点位置までの光学距離が短くなる。このように、結像レンズ11Bから撮像面までの光学距離と、対物レンズ11Aから被写体側の焦点位置までの光学距離とには相関がある。なお、以下では特に断らない限り、焦点または焦点位置といった場合には、被写体側の焦点または焦点位置を示すものとする。なお、結像レンズ11Bがない場合には、対物レンズ11Aと撮像面との光学距離が長くなるほど、対物レンズ11Aと被写体側の焦点位置との光学距離が短くなる。
【0044】
例えば、第一光学距離を基準として、第二光学距離が第一光学距離よりも短くなるようにCPU14Aが第二可変機構22Bを操作する。また、第三光学距離が第一光学距離よりも長くなるようにCPU14Aが第三可変機構22Cを操作する。第一光学距離を基準とすることにより、第一可変機構22Aによる第一光学距離は固定し、変更しない。(この場合、第一可変機構22Aは不要である。)第二撮像部10Bに係る焦点位置は、第一撮像部10Aに係る焦点位置よりも光軸110方向の奥側(対物レンズ11Aから遠い側)になり、第三撮像部10Cに係る焦点位置は、第一撮像部10Aに係る焦点位置よりも光軸110方向の手前側(対物レンズ11Aに近い側)になる。
【0045】
CPU14Aは、分析モードに応じて各撮像部10における焦点位置のずれ量を変更する。分析モードには、第一モード及び第二モードが用意されている。但し、3以上のモードが用意されても良い。CPU14Aは、ユーザによる操作部17の操作、または、ROM14Bに記憶されているプログラムにしたがって、第一モードと第二モードとを切り替える。この際に、分析対象となる有形成分の大きさ等に応じて各撮像部10における焦点位置のずれ量を変更する。焦点位置のずれ量と各可変機構22におけるモータ224の回転角度との関係を予め求めてROM14Bに記憶させておけば、この関係に基づいて、CPU14Aがモータ224を回転させることにより、焦点位置のずれ量を所望のずれ量に変更することができる。以下の説明では、第一撮像部10Aの焦点位置からの第二撮像部10Bの焦点位置のずれ量と、第一撮像部10Aの焦点位置からの第三撮像部10Cの焦点位置のずれ量とが同じになるように各焦点位置を調整しているが、これら焦点位置のずれ量が異なっていてもよい。以下、第一モード及び第二モードについて説明する。
【0046】
<第一モード>
第一モードでは、同じ有形成分を複数の撮像部10で撮像可能なように撮像部10(カメラ23)間の焦点位置のずれ量を変えて、その状態で撮像された各画像に基づいて、有形成分を分析する。第一モードでは、CPU14Aが、分析対象となる有形成分の大きさよりも各撮像部10間の焦点位置のずれ量(第一のずれ量)が小さくなるように、各撮像部10の焦点位置のずれ量を調整する。有形成分の幅または厚さの最大値を有形成分の大
きさとしてもよいし、有形成分の幅または厚さの平均値を有形成分の大きさとしてもよい。なお、尿検体の場合には、尿検体に含まれる有形成分の大きさを考慮して、上記焦点位置のずれ量を、例えば10μm未満に調整し、好ましくは、例えば1.5~5μmに調整する。尿検体に含まれる代表的な有形成分の大きさは以下の通りである。
赤血球:8μm以下、厚さは2μm以下
白血球:12~15μmの球形(好中球)
扁平上皮(表層型):60~100μm、厚さは3~5μm
扁平上皮(中層、深層型):20~70μm、厚さは5μm以上
円柱:さまざまな大きさのものが存在する
細菌:細菌は1μm以下、真菌は3~6μm
【0047】
なお、例えば、分析対象となる有形成分の中心に第一撮像部10Aの焦点が合っていると仮定した場合には、第二撮像部10B及び第三撮像部10Cが夫々同じ有形成分の異なる位置に焦点が合うように、撮像部10間の焦点位置のずれ量が調整される。
【0048】
また、例えば、第二撮像部10Bで撮像される画像の被写界深度と、第一撮像部10Aで撮像される画像の被写界深度と、が一部重複し、第三撮像部10Cで撮像される画像の被写界深度と、第一撮像部10Aで撮像される画像の被写界深度と、が一部重複するように、撮像部10間の焦点位置のずれ量(第一のずれ量)を調整してもよい。ただし、被写界深度から少し外れた位置に存在する有形成分であっても、画像から有形成分の分析が可能な場合もある。被写界深度に対してさらに所定のマージンを加えた範囲を撮像範囲と定義し、それぞれの画像の撮像範囲が一部重なるように、撮像部10間の焦点位置のずれ量を調整してもよい。
【0049】
図7は、撮像範囲を説明するための図である。撮像範囲は、撮像部10により撮像された画像によって有形成分を分析可能若しくは有形成分を抽出可能な範囲であり、カメラ23の視野範囲及び有形成分を抽出可能な奥行きから定まる範囲である。カメラ23の視野範囲は、撮像面のサイズと撮像に係る光学系の倍率とで決まる。有形成分を抽出可能な奥行きは、被写界深度に対して所定のマージンを加えた範囲である。なお、所定のマージンは、有形成分を分析可能な範囲または有形成分を抽出可能な範囲として予め設定される。
【0050】
図8は、撮像部10間の撮像範囲が一部重なるように撮像部10間の焦点位置のずれ量を調整した場合の撮像範囲の関係を示した図である。左から順に、第三撮像部10C、第一撮像部10A、第二撮像部10Bにおける関係を夫々示している。結像レンズ11Bからカメラ23の撮像面までの光学距離を変えることにより焦点位置が調整されると、その焦点位置の調整にしたがって撮像範囲がずれる。
図8に示した状態では、「重複」で示した範囲において、第三撮像部10Cの撮像範囲と第一撮像部10Aの撮像範囲とが一部重なっており、第一撮像部10Aの撮像範囲と第二撮像部10Bの撮像範囲とが一部重なっている。
【0051】
なお、
図8に示したように、撮像範囲が一部重なるように各撮像部10の焦点位置を調整した場合には、分析対象となる有形成分にもよるが、有形成分の大きさよりも各撮像部10間の焦点位置のずれ量が小さくなる傾向にある。
【0052】
CPU14Aは、撮像部10間の焦点位置のずれ量を調整した後、第一撮像部10A、第二撮像部10B、及び第三撮像部10Cによって光軸110が共通の同じ画像を同時に撮像する。以下では、第一撮像部10Aによって撮像された画像を第一画像ともいい、第二撮像部10Bによって撮像された画像を第二画像ともいい、第三撮像部10Cによって撮像された画像を第三画像ともいう。
【0053】
具体的には、第一カメラ23A、第二カメラ23B、及び第三カメラ23Cで、フローセル13Aを流通する検体中の有形成分の静止画像を同時に撮像する。撮像は、拡大撮像であり、光源12の点灯時間と第一カメラ23A、第二カメラ23B、及び第三カメラ23Cの撮像時間(露光時間)は、コントローラ14により同期される。光源12からフローセル13Aには平行光が入射する。撮像に際して光源12を1~複数回点灯させる。光源12の点灯時間は検体の流速に依存し、被写体ぶれが許容範囲内となるように設定される。1露光に対して、光源12を複数回発光させる場合には、一画像に含まれる有形成分の数が多くなるため、有形成分の分析精度をさらに高めることができる。この場合の光源12の点滅タイミングは、同じ検体が撮像されないように、検体の流速と光源12の点灯時間との関係を考慮して決定する。このような画像を各カメラ23で複数撮像してもよい。
【0054】
CPU14Aは、例えば、第一画像から、有形成分の位置、大きさ、数を把握し、把握された有形成分の大きさから画像の切り出しサイズを決定し、切り出し画像を生成する。以下、第一画像から生成された切り出し画像を、第一切り出し画像ともいう。第一切り出し画像は、背景画像と撮像した画像とを比較し、差異がある箇所を四角で囲ってその内部の画像を切り出した画像である。
【0055】
CPU14Aは、第一切り出し画像の生成に先立って、記憶された第一画像のデータを用いて、第一画像ごとに、各画素の画素値を平均化したものを背景画像として作成する。画素値は各画素の輝度でも良くRGB値でもよい。第一切り出し画像は、CPU14AがROM14Bに格納されているプログラム(切り出し処理)を実行することにより生成される。第一切り出し画像は、切り出し位置、切り出しサイズと共にRAM14Cに記憶される。例えば、CPU14Aは、撮像された各第一画像に含まれるすべての有形成分について第一切り出し画像を生成する。
【0056】
CPU14Aは、第二画像においても、第一切り出し画像に対応する位置(具体的にはX軸―Y軸座標が同じ位置)から有形成分を切り出して切り出し画像を生成する。さらに、CPU14Aは、第三画像においても、第一切り出し画像に対応する位置から有形成分を切り出して切り出し画像を生成する。以下、第二画像から生成された切り出し画像を、第二切り出し画像ともいい、第三画像から生成された切り出し画像を、第三切り出し画像ともいう。
【0057】
そして、CPU14Aは、第一画像、第二画像、第三画像の夫々同じ位置から切り出した、第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像を関連付けてRAM14Cに記憶させる。第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像は、CPU14Aにより各種分析に供される。これにより、顕微鏡による目視観察の際に、観察者が手動でピント位置を変えて有形成分を観察することと同様のことが、フローセルを用いた連続画像撮影でも実現できる。
【0058】
図9は、一例として白血球に分類された有形成分の切り出し画像を示した図である。但し、白血球以外の有形成分も分析対象となる。上から順に第三切り出し画像、第一切り出し画像、第二切り出し画像を示しており、同じ有形成分(同一個体)を切り出した画像を縦に並べている。このように、各切り出し画像が関連付けられてRAM14Cに記憶される。換言すれば、同一個体の有形成分の像が、対物レンズ11Aから焦点位置までの光学距離の短い順又は長い順(一方が昇順とされ他方が降順とされる)に並べられる。
【0059】
CPU14Aは、各切り出し画像の特徴量と、予めROM14Bに記憶されている有形成分毎の特徴量と、を比較することにより有形成分の分析(同定)を行う。特徴量には、色、形状、大きさを例示できる。仮に、撮像部10を1つだけしか設けていない場合には
、撮像部10のピントから外れた位置に有形成分が存在していれば、有形成分のピントが外れた像しか得られない。そのため、撮像画像からは適正な特徴量が得られず、その有形成分の種別をCPU14Aが判別不能となる可能性がある。有形成分の判別が不能である場合には、有形成分の同定のためにユーザが顕微鏡を用いて目視による観察を行う必要が生じる。
【0060】
一方、複数の撮像部10を用いて焦点位置をずらした画像を同時に複数取得することにより、ピント位置の異なるいずれかの画像から有形成分の種別の判別に十分な特徴量を取得することが可能となり、判別不能の割合を低減することが可能となり、ユーザの目視による観察を行う回数を減少させることができる。
【0061】
また、同じ有形成分(同一個体)を焦点位置が異なる複数の撮像部10によって撮像するため、同じ有形成分において取得できる情報量が多くなるので、有形成分の分析精度をより高めることができる。また、
図9に示したような同じ有形成分を抽出した切り出し画像を表示部16の同じ位置に、焦点位置が奥側の切り出し画像から順(すなわち、第二切り出し画像、第一切り出し画像、第三切り出し画像の順であって、
図9の下から順)、または、焦点位置が手前側の切り出し画像から順(すなわち、第三切り出し画像、第一切り出し画像、第二切り出し画像の順であって、
図9の上から順)に切り替えて表示させることにより、ユーザが手動で顕微鏡の焦点をずらして観察するのと同じ見え方で切り出し画像を切り替えることができる。このため、ユーザ自身が表示部16を参照して有形成分の同定を行う場合でも、有形成分を同定し易くなる。顕微鏡を用いる場合より、検査の時間や手間を減らすことができる。
【0062】
例えば、1つの切り出し画像では同定できない場合であっても、他の切り出し画像と切り替えて表示させることにより、他の切り出し画像に含まれる情報も考慮して同定を行うことができるため、同定をし易くすることができる。また、CPU14Aによって同定された有形成分に対して、切り出し画像を切り替えて表示することにより、正確に同定が行われたか否かユーザが確認することもできる。なお、切り出し画像を切り替えるときには、CPU14Aが自動で切り替えてもよく、ユーザがマウス等を用いて手動で切り替えてもよい。また、第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像を同じ位置に重ねて表示して同定を行ってもよい。この場合であっても、夫々の切り出し画像に含まれる情報を一度に見ることができるため、同定がし易くなる場合もある。また、
図9に示したように、第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像を異なる位置に並列に表示させてもよい。
【0063】
ここで、一般的な顕微鏡は有形成分の大きさに対して被写界深度が浅いために、有形成分の全体を一度に把握することが困難な場合がある。この場合、ユーザが手動で焦点位置を調整することにより、有形成分の全体を把握することになる。一方、分析対象となる有形成分の大きさよりも各撮像部10間の焦点位置のずれ量が小さくなるように各撮像部10の焦点位置を調整した場合には、同一個体の有形成分について焦点位置がずれた複数の画像を取得することができる。そして、取得された複数の画像を順に切り替えて表示させることにより、フローセルを用いた連続測定においても焦点位置の異なる画像を観察することが可能となる。
【0064】
また、CPU14Aは、切り出し画像の数に基づいて有形成分の個数をカウントすることもできる。第一モードでは、有形成分の個数をカウントするときには、1つの撮像部10(例えば第一撮像部10A)によって撮像された画像を用いる。
【0065】
CPU14Aは、例えば、第一切り出し画像の特徴量と、予めROM14Bに記憶されている有形成分毎の特徴量と、を比較することにより有形成分の同定を行う。このときに
同定できなかった有形成分については、対応する第二切り出し画像に基づいた同定を行う。すなわち、第二切り出し画像の特徴量と、予めROM14Bに記憶されている有形成分の特徴量と、を比較することにより有形成分の同定を行う。それでも同定できなかった有形成分に対して、第三切り出し画像に基づいた同定を同様にして試みる。このように、焦点位置の異なる複数の画像に基づいて複数回の同定を試みることにより、ユーザが同定のために目視で観察しなければならない有形成分の数を減少させることができる。
【0066】
なお、有形成分の同定方法はこれに限らず、第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像の夫々から得られる特徴量を総合的に判断して有形成分の同定を行ってもよい。この場合の同定も、ROM14Bに記憶されているプログラムにしたがって行われる。
【0067】
図10は、第一モードにおける有形成分を同定するフローを示したフローチャートである。本フローチャートは、CPU14Aによって実行される。
【0068】
ステップS101では、CPU14Aは、各可変機構22を操作して各撮像部10の焦点位置を調整する。このときに、有形成分の大きさよりも撮像部10間の焦点位置のずれ量が小さくなるように各撮像部10の焦点位置が調整される。このときには、各撮像部10の撮像範囲の一部が重なるように、各撮像部10の焦点位置が調整される。
【0069】
ステップS102では、CPU14Aは、第一撮像部10A、第二撮像部10B、及び第三撮像部10Cによって撮像される画像を取得する。
【0070】
ステップS102の処理が完了するとステップS103へ進み、CPU14Aは、第一画像から有形成分を切り出して第一切り出し画像を生成し、RAM14Cに記憶させる。第一切り出し画像は、第一画像に撮像されている有形成分の数だけ生成される。
【0071】
ステップS103の処理が完了するとステップS104へ進み、CPU14Aは、第一切り出し画像の位置情報及び特徴量を取得する。第一切り出し画像の位置情報及び特徴量は、第一切り出し画像と関連付けてRAM14Cに記憶される。特徴量の取得には、予めROM14Bに記憶されたプログラムが用いられる。
【0072】
ステップS104の処理が完了するとステップS105へ進み、CPU14Aは、第二画像及び第三画像から有形成分を切り出して、第二切り出し画像及び第三切り出し画像を生成する。第二切り出し画像及び第三切り出し画像は、複数の第一切り出し画像の夫々の位置情報に基づいて、第一切り出し画像と同じ位置の有形成分を切り出すことにより生成される。第一切り出し画像と同じ位置を切り出した第二切り出し画像及び第三切り出し画像は、その第一切り出し画像と関連付けてRAM14Cに記憶される。
【0073】
ステップS105の処理が完了するとステップS106へ進み、CPU14Aは、第二切り出し画像及び第三切り出し画像の特徴量を取得する。第二切り出し画像及び第三切り出し画像の特徴量はRAM14Cに記憶される。
【0074】
ステップS106の処理が完了するとステップS107へ進み、CPU14Aは、ステップS104及びステップS106で取得された各切り出し画像の特徴量に基づいて、有形成分の同定を行う。同定には、予めROM14Bに記憶されたプログラムが用いられる。例えばCPU14Aは、第一切り出し画像の特徴量、第二切り出し画像の特徴量、及び第三切り出し画像の特徴量の少なくとも1つと、予めROM14Bに記憶されている有形成分毎の特徴量と、を比較することにより有形成分の同定を行う。なお、S105とS106において、例えば第三画像の切り出しの前に、第二切り出し画像の特徴量の取得を行
ってもよく、S105およびS106内での工程の順番は特に拘らない。
【0075】
ステップS107の処理が完了するとステップS108へ進み、CPU14Aは、ステップS107で同定された有形成分の種類毎に有形成分を計数し、次いでステップS109へ進んでステップS108での計数結果を出力する。この計数結果に基づいて、CPU14Aが、各種分析を行ってもよい。なお、ステップS107において同定できない有形成分が存在する場合には、その旨を表示部16に表示させる。
【0076】
このように第一切り出し画像に基づいて、有形成分の位置や数を特定することができ、第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像に基づいて、有形成分の分析を行うことにより、有形成分の分析精度を高めることができる。また、第一画像、第二画像、第三画像という異なる画像を取得する際に、光源12、対物レンズ11A、結像レンズ11Bが夫々1つで済む。
【0077】
上記ステップS107において各切り出し画像の特徴量が、予めROM14Bに記憶されている有形成分毎の特徴量と一致しないために、有形成分を同定できない場合には、その有形成分に係る各切り出し画像に基づいて、ユーザが同定を行う。このときには、表示部16の同じ位置に、第二切り出し画像、第一切り出し画像、第三切り出し画像の順、または、第三切り出し画像、第一切り出し画像、第二切り出し画像の順に切り替えて表示されるように、CPU14AがRAM14Cに記憶されている各切り出し画像を表示させる。切り出し画像を切り替えるタイミングは、ROM14Bに記憶されている各切り出し画像の表示時間にしたがってCPU14Aが決定してもよく、ユーザの操作部17の操作にしたがって決定してもよい。ユーザが操作部17としてマウスのスクロールホイールを用いる場合には、スクロールホイールの回転にしたがって切り出し画像を切り替えてもよい。また、ユーザが操作部17としてキーボードを用いる場合には、何れかのキーの押下にしたがって切り出し画像を切り替えてもよい。
【0078】
このように、第一モードでは、分析対象となる有形成分の大きさよりも各撮像部10間の焦点位置のずれ量が小さくなるように、各撮像部10の焦点位置を調整することにより、有形成分の分析精度を高めたり、有形成分を同定し易くしたりできる。これにより、ユーザが有形成分を目視で観察する回数を減少させることができる。また、CPU14Aの処理では同定できない有形成分があったとしても、その有形成分の切り出し画像を焦点位置をずらして順に切り替えて観察することができるため、ユーザが顕微鏡で有形成分を観察する回数を減少させることができる。
【0079】
<第二モード>
第二モードでは、対物レンズ11Aの光軸110方向のより広い範囲で、フローセル中に分布している有形成分を撮像可能なように、撮像部10(カメラ23)間における被写体側の焦点位置のずれ量(第二の量)を調整し、その状態で撮像された各画像に基づいて、主に、有形成分の個数をカウントする。そのため、第二モードでは、撮像部10間における被写体側の焦点位置のずれ量を分析対象となる有形成分の大きさよりも大きくする。なお、尿検体の場合には、尿検体に含まれる有形成分の大きさを考慮して、上記焦点位置のずれ量を、例えば10μm以上に調整する。
【0080】
図11は、撮像部10間の撮像範囲が重ならないように撮像部10間の焦点位置のずれ量を調整した場合の撮像範囲の関係を示した図である。左から順に、第三撮像部10C、第一撮像部10A、第二撮像部10Bにおける関係を夫々示している。第三撮像部10Cの撮像範囲よりも、第一撮像部10Aの撮像範囲のほうが、光軸110方向で第四流路138の奥側(対物レンズ11Aから離れた位置)に存在しており、両撮像範囲は重複していない。また、第一撮像部10Aの撮像範囲よりも、第二撮像部10Bの撮像範囲のほう
が、光軸110方向で奥側に存在しており、両撮像範囲は重複していない。各撮像範囲は、隣接してもよく、離れていてもよい。
【0081】
なお、
図11に示したように、撮像範囲が重ならないように各撮像部10の焦点位置を調整した場合には、分析対象となる有形成分にもよるが、有形成分の大きさよりも各撮像部10間における焦点位置のずれ量が大きくなる。
【0082】
対物レンズ11Aの光軸110の方向において、各撮像部10の撮像範囲の厚みは、フローセル13Aを流れる検体の厚みよりも薄い。そのため、仮に1つの撮像部10で検体を撮像する場合には、撮像できない範囲が存在し、光軸110の方向において撮像範囲の手前側や奥側に存在する有形成分を撮像することはできない。この場合、例えば、検体の単位体積当たりの有形成分の数が、検体のどの箇所においても同一であると仮定して、撮像した画像に含まれる有形成分の数に基づいた分析を行うことが考えられる。
【0083】
しかし、フローセル13Aを流通している検体では、有形成分の分布に偏りが生じる場合がある。これにより、検体の単位体積当たりの有形成分の数が均一でなくなるため、有形成分を撮像する際の焦点位置によって、撮像される有形成分の数が異なってしまう。そうすると、焦点位置によって分析結果が異なる虞がある。このように、検体中の有形成分の数に基づいた分析を行う場合には、撮像された画像に含まれる有形成分の数が、検体に含まれる有形成分の全数と相関がなければ、分析の精度が低くなってしまう。
【0084】
一方、分析装置20は複数の撮像部10を備えているため、夫々の撮像部10に係る焦点位置を対物レンズ11Aの光軸110方向(Z軸方向)にずらすことにより、より広い範囲に含まれる有形成分を撮像することができる。ここで、第二モードでは、撮像部10間の撮像範囲が重ならないように撮像部10間における被写体側の焦点位置のずれ量(第二の量)を調整する。すなわち、第二の量として、撮像部10間の焦点位置のずれ量が分析対象となる有形成分の大きさよりも大きくなるように、焦点位置のずれ量を調整している。その結果、第二モードにおけるずれ量(第二の量)は、第一モードにおけるずれ量(第一の量)よりも大きくなる。このように焦点位置を調整して取得される第一画像、第二画像、第三画像には、夫々、光軸110方向で異なる(重複しない)撮像範囲に存在する有形成分が撮像される。そのため、撮像された第一画像、第二画像、第三画像に含まれる有形成分の数と、検体に含まれる有形成分の全数と、の相関がより高くなるので、分析精度を高めることが可能となる。
【0085】
なお、有形成分が被写界深度から外れて像がぼけていたとしても、有形成分が存在していることを把握できれば有形成分の数をカウントできるため、有形成分の存在が確認できる範囲で重複しないように焦点位置のずれ量を調整してもよい。第一モードと第二モードとは用途が異なるため、夫々の用途に応じて最適な撮像範囲が設定される。また、第二モードにおいて、単に、各画像の被写界深度が重複しないように、焦点位置のずれ量を調整してもよい。焦点位置の調整は、CPU14Aが各可変機構22を操作することによって行われる。
【0086】
CPU14Aは、第一切り出し画像、第二切り出し画像、第三切り出し画像を夫々作成し、これら切り出し画像の総計を有形成分の数としてカウントする。なお、第一画像、第二画像、第三画像と、それぞれの画像に対応する背景画像とを比較し、差異がある箇所に有形成分が存在すると考えて、この箇所をカウントすることにより、有形成分の数をカウントしてもよい。このようにして取得された有形成分の数はRAM14Cに記憶され、CPU14Aにより各種分析に供される。
【0087】
各撮像部10により撮像される範囲に重複がなく、且つ、より広い範囲で検体を撮像す
ることができるため、有形成分のカウント漏れを抑制できる(有形成分の計数の精度向上を図ることができる)。これにより、有形成分の数に基づいた分析の精度を高めることができる。
【0088】
図12は、第二モードにおける有形成分を同定するフローを示したフローチャートである。本フローチャートは、CPU14Aによって実行される。
【0089】
ステップS201では、CPU14Aは、各可変機構22を操作して各撮像部10の焦点位置を調整する。このときに、例えば有形成分の大きさよりも撮像部10間の焦点位置のずれ量が大きくなるように各撮像部10の焦点位置が調整される。
【0090】
ステップS202では、CPU14Aは、第一画像、第二画像、及び第三画像を取得する。ステップS202の処理が完了するとステップS203へ進み、CPU14Aは、第一画像、第二画像、及び第三画像から有形成分を切り出して第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像を生成し、RAM14Cに記憶させる。
【0091】
ステップS203の処理が完了するとステップS204へ進み、CPU14Aは、第一切り出し画像、第二切り出し画像、及び第三切り出し画像の数の合計を算出する。この合計値は、有形成分の数に相当する。CPU14Aは、この合計値をRAM14Cに記憶させる。ステップS204の処理が完了するとステップS205へ進み、CPU14Aは、ステップS204での計数結果を出力する。この計数結果に基づいて、CPU14Aが、各種分析を行ってもよい。
【0092】
このように、第二モードでは、分析対象となる有形成分の大きさよりも各撮像部10間の焦点位置のずれ量が大きくなるように、各撮像部10の焦点位置を調整することにより、有形成分の個数をより正確にカウントすることができる。
【0093】
<分析モードの切り替え処理>
分析モードの切り替えは、以下の
図13に示したフローチャートにしたがって行われる。
図13は、焦点位置の切替制御のフローを示したフローチャートである。
図13に示したフローチャートは、CPU14Aによって実行される。
【0094】
ステップS301では、CPU14Aが、ユーザが設定した分析モードを取得する。例えば、第一モードと第二モードとはユーザが操作部17を操作することにより切り替えられる。したがって、CPU14Aは、操作部17の操作状態を取得することにより、ユーザが設定した分析モードを取得する。
【0095】
ステップS301の処理が完了するとステップS302へ進み、CPU14Aは、ユーザが設定した分析モードが第一モードであるか否か判定する。そして、ステップS302で肯定判定がなされるとステップS303へ進み、CPU14Aは、第一モードによる有形成分の分析を行う。このときには、
図10に示したフローチャートが実行される。
【0096】
一方、ステップS302で否定判定がなされるとステップS304へ進み、CPU14Aは、第二モードによる有形成分の分析を行う。このときには、
図12に示したフローチャートが実行される。このように、ユーザが所望した分析モードに応じて各撮像部10に係る焦点位置を切り替えて撮像を行うことにより、異なる態様で有形成分の分析を行うことができる。
【0097】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、少なくとも一部の撮像部10が可変機構22を備えているが、これ
に代えて、全ての撮像部10が可変機構22を備えていなくてもよい。この場合、ユーザは、各撮像部10の焦点位置を変更することができない。例えば、鏡筒24の端部にカメラ23を固定する。これにより、第一光学距離、第二光学距離、及び第三光学距離を固定する。その際、フローセル13A中の各撮像部10の焦点位置が異なるように第一光学距離、第二光学距離、及び第三光学距離を調整しておく。この場合の各撮像部10の撮像範囲及び焦点位置は、上記実施形態で説明した第一モードまたは第二モードのどちらに対応したものであってもよい。そして、CPU14Aは、第一撮像部10A、第二撮像部10B、及び第三撮像部10Cによって光軸110が共通の画像を同時に撮像する。撮像の方法及びその後の処理の方法については、第一モードまたは第二モードと同じ方法を用いることができる。
【0098】
上記実施形態では、撮像部10を3つ備えているが、撮像部10の数はこれに限らず、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。撮像部10の数が多くなるほど、有形成分の分析精度を高めることができるため、要求される分析精度に応じて撮像部10の数を決定してもよい。
【0099】
また、分析モードの切り替えは、有限遠補正光学系及び無限遠補正光学系の何れであっても適用することができる。結像レンズ11Bは必須の構成ではない。
【0100】
また、夫々の撮像部10の光学距離を調整するときに、物理的な距離を変更するのではなく、夫々の光路に異なる厚みの光学素子を挿入するなどして光学距離を変更してもよい。
【0101】
また、第一モード及び第二モードの他に、これらのモードとは各撮像部10の焦点位置が異なる他のモードを更に組み合わせることもできる。また、全ての撮像部10を用いて撮像する必要はなく、一部の撮像部10を用いて撮像を行ってもよい。また、分析対象となる有形成分が検体中に光軸110方向に偏っている場合には、第二モードを実行することによって分析対象となる有形成分が比較的多い箇所を把握し、この箇所に第一撮像部10Aの焦点位置を合わせて第一モードを実行して有形成分の分析を行ってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 撮像装置
11A 対物レンズ
11B 結像レンズ
12 光源
13A フローセル
14 コントローラ
16 表示部
17 操作部
20 分析装置
22A 第一可変機構
22B 第二可変機構
22C 第三可変機構
23A 第一カメラ
23B 第二カメラ
23C 第三カメラ
110 光軸