(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026499
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】自動車及び通信システム、並びに自動車用プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230216BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230216BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230216BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230216BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230216BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20230216BHJP
G08G 1/005 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G01C21/26 P
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
G08G1/005
【審査請求】有
【請求項の数】39
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201959
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2021142849の分割
【原出願日】2017-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】佐古 曜一郎
(57)【要約】
【課題】所定時間内に複数の携帯端末から無線通信要求あった場合に、自動車は安全に当該複数の無線通信要求に対応することができるようにした通信システムを提供する。
【解決手段】携帯端末と、携帯端末と無線通信する機能を備えると共に、手動運転モードと自律走行可能な自動運転モードとを備える自動車とを有する通信システムである。自動車は、所定時間内に、複数の携帯端末からの無線通信要求を受信した場合に、自車が手動運転モードの状態の場合には、自動運転モードに切り替える切替手段を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、前記携帯端末と無線通信する機能を備えると共に、手動運転モードと自律走行可能な自動運転モードとを備える自動車とを有する通信システムであって、
前記携帯端末は、
前記自動車に対して、無線通信要求を送出する通信要求送出手段を備え、
前記自動車は、
所定時間内に、複数の前記携帯端末からの前記無線通信要求を受信した場合に、自車が前記手動運転モードの状態の場合には、前記自動運転モードに切り替える切替手段を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
自端末の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記無線通信要求に応答した自動車との間で無線通信路を生成する無線通信路生成手段と、
前記無線通信路生成手段で生成された前記無線通信路を通じて、前記現在位置検出手段で検出された前記自端末の現在位置の位置情報を含む前記携帯端末の携帯者の振る舞い予定に関する情報を、前記自動車に送信する送信手段と、
前記応答した前記自動車からの返信情報に基づいて、前記応答した前記自動車の情報を前記携帯者に通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記自動車は、
前記携帯端末からの前記無線通信要求に応答して、前記無線通信路を生成する手段と、
前記生成された前記無線通信路を通じて、前記携帯端末からの前記携帯者の振る舞い予定に関する情報を受信する受信手段と、
前記携帯端末からの前記携帯者の振る舞い予定に関する情報に基づいて、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与するか否かを判別する関与判別手段と、
前記関与判別手段で、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与すると判別した場合に、返信情報を、前記無線通信路を通じて、前記携帯端末に送信する返信手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記携帯者の振る舞い予定に関する前記情報は、前記自動車の振る舞いに影響を及ぼす前記携帯者の振る舞い予定を通知するための振る舞い予定通知情報を含み、
前記自動車は、前記関与判別手段で、自車が前記振る舞い予定通知情報により通知される前記携帯者の振る舞い予定に関与すると判別した場合に、前記携帯者の振る舞い予定を優先させる自車の振る舞いを決定し、決定した前記自車の振る舞いを前記返信情報に含めて、前記無線通信路を通じて、前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末の前記通知手段は、前記自動車からの前記返信情報に、前記携帯者の振る舞い予定に対応する前記自車の振る舞いが含まれている場合に、前記振る舞い予定に対応する前記自動車の振る舞いを前記携帯者に通知する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記自動車からの返信情報には、前記自動車の現在位置の情報が含まれており、
前記携帯端末の前記通知手段は、前記現在位置検出手段で検出された自端末の現在位置と、前記自動車の現在位置の情報とに基づいて、表示画面に自端末の位置と前記自動車の位置とを表示する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記自動車からの返信情報には、前記自動車の特徴情報が含まれており、
前記携帯端末の前記通知手段は、前記自動車の前記特徴情報を前記携帯者に通知する
ことを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記携帯端末の前記通知手段は、前記携帯者に振動により通知する
ことを特徴とする請求項3~請求項6のいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
前記携帯端末の前記通知手段は、前記携帯者に振動により通知すると共に、前記振動のパターンを、前記自動車の特徴情報に応じたものとする
ことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記自動車は、前記関与判別手段で、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与しないと判別した場合に、その旨を前記携帯端末に通知して、前記無線通信路を切断する
ことを特徴とする請求項3~請求項8のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記携帯端末は、前記自動車から、前記携帯者の振る舞い予定に関与しない旨の通知を受信した場合に、前記無線通信要求を再送出する
ことを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記自動車からの前記返信情報には、前記自動車が緊急車両であることを示す情報を含み、
前記携帯端末は、前記返信情報を送ってきた前記自動車が緊急車両であることを前記携帯者に報知する報知手段を備える
ことを特徴とする請求項3~請求項10のいずれかに記載の通信システム。
【請求項12】
前記自動運転モードは、運転者が所定の操作をすることで前記手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記運転者が前記所定の操作をしても前記手動運転モードへ切り替えられない強制自動運転モードとを含み、
前記切替手段は、前記手動運転モードから前記通常自動運転モードに切り替え、
前記関与判別手段で、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与すると判別した場合に、前記通常自動運転モードから前記強制自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項3~請求項11のいずれかに記載の通信システム。
【請求項13】
前記携帯者の振る舞い予定に関する前記情報は、前記携帯者が歩行中、車椅子による移動中、または自転車走行中の情報を含む
ことを特徴とする請求項2~請求項12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記携帯者の振る舞い予定に関する前記情報は、前記携帯者の歩行速度の情報、車椅子による移動速度の情報、または自転車走行速度の情報を含む
ことを特徴とする請求項2~請求項13のいずれかに記載の通信システム。
【請求項15】
前記携帯者の振る舞い予定に関する前記情報は、前記携帯者が歩行中の移動方向の情報、車椅子による移動中の移動方向の情報、または自転車走行中の移動方向の情報を含む
ことを特徴とする請求項2~請求項14のいずれかに記載の通信システム。
【請求項16】
前記携帯者の振る舞い予定に関する前記情報は、前記自動車の振る舞いに影響を及ぼす前記携帯者の振る舞い予定を通知するための振る舞い予定通知情報を含む
ことを特徴とする請求項2~請求項15のいずれかに記載の通信システム。
【請求項17】
前記自動運転モードは、運転者が所定の操作をすることで前記手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記運転者が前記所定の操作をしても前記手動運転モードへ切り替えられない強制自動運転モードとを含み、
前記切替手段は、前記手動運転モードから前記強制自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれかに記載の通信システム。
【請求項18】
前記自動運転モードは、運転者が所定の操作をすることで前記手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記運転者が前記所定の操作をしても前記手動運転モードへ切り替えられない強制自動運転モードとを含み、
前記切替手段は、自車が前記通常運転モードの状態の場合に、前記強制自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の通信システム。
【請求項19】
前記携帯端末は、前記通信要求送出手段による前記無線通信要求に対して応答した前記自動車が無い場合に、前記携帯端末の携帯者の振る舞い予定に対応可能な自動車が無いことを前記携帯者に報知する
ことを特徴とする請求項1~請求項18のいずれかに記載の通信システム。
【請求項20】
前記携帯端末は、前記報知を、前記対応可能な自動車が無いことを振動により行う
ことを特徴とする請求項19に記載の通信システム。
【請求項21】
前記携帯端末は、
前記自動車に対する前記無線通信要求の、自端末を携帯する携帯者による送出要求操作を受け付ける受付手段を備え、
前記通信要求送出手段は、前記受付手段で前記送出要求操作を受け付けた場合に、前記自動車に前記無線通信要求を送出する
ことを特徴とする請求項1~請求項20のいずれかに記載の通信システム。
【請求項22】
前記携帯端末は、前記携帯者の属性情報として、交通安全上の弱者であることを示す情報を記憶する携帯者属性記憶部を備え、
前記通信要求送出手段は、前記携帯者属性記憶部に記憶されている前記交通安全上の弱者であることを示す情報を含めて前記無線通信要求を送出する
ことを特徴とする請求項1~請求項21のいずれかに記載の通信システム。
【請求項23】
前記交通安全上の弱者は、高齢者、乳幼児を帯同している者、障碍者、車椅子使用者、小学生または小学校入学前の幼児のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項22に記載の通信システム。
【請求項24】
前記携帯端末は、
歩行者用、車椅子用、及び/または自転車用の経路案内を実行するナビゲーション手段と、
前記ナビゲーション手段による前記経路案内を実行中であるか否かを判別する経路案内実行中判別手段と、
を備え、
前記通信要求送出手段は、前記経路案内実行中判別手段で、前記経路案内を実行中ではないと判別した場合には、受付手段で前記携帯者からの送出要求を受け付けた場合に、前記自動車に対して前記無線通信要求を送出し、前記経路案内を実行中であると判別した場合には、前記ナビゲーション手段の経路案内データに含まれる前記無線通信要求の必要な位置またはエリアに到着したと判別した場合に前記自動車に無線通信要求を送出する
ことを特徴とする請求項1~請求項23のいずれかに記載の通信システム。
【請求項25】
前記携帯端末は、前記無線通信要求を、1対1の通信またはブロードキャストあるいはマルチキャストにより前記自動車に送出する
ことを特徴とする請求項1~請求項24のいずれかに記載の通信システム。
【請求項26】
前記自動車は、前記携帯端末からの前記無線通信要求を受けた場合に、手動運転モードである場合に、運転者に自動運転モードへの切り替えを許可するか否かを問い合わせる手段を備えるが、前記問い合わせに対して前記許可しない場合においても、前記切替手段は、自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1~請求項25のいずれかに記載の通信システム。
【請求項27】
携帯端末と、前記携帯端末と無線通信する機能を備えると共に、手動運転モードと自律走行可能な自動運転モードとを備える自動車とを有し、前記携帯端末は、前記自動車に対して、無線通信要求を送出する通信要求送出手段を備える通信システムにおける前記自動車であって、
所定時間内に、複数の前記携帯端末からの前記無線通信要求を受信した場合に、自車が前記手動運転モードの状態の場合には、前記自動運転モードに切り替える切替手段を備える
ことを特徴とする自動車。
【請求項28】
前記携帯端末からの前記無線通信要求に応答して、前記無線通信路を生成する手段と、
前記携帯端末からの前記携帯者の振る舞い予定に関する情報に基づいて、自車が前記携帯端末の携帯者の振る舞い予定に関与するか否かを判別する関与判別手段と、
前記関与判別手段で、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与すると判別した場合に、返信情報を、前記無線通信路を通じて、前記携帯端末に送信する返信手段と、
を備えることを特徴とする請求項27に記載の自動車。
【請求項29】
前記携帯端末からの前記携帯者の振る舞い予定に関する前記情報は、前記携帯者の、前記自動車の振る舞いに影響を及ぼす振る舞い予定を通知するための振る舞い予定通知情報を含み、
前記関与判別手段で、自車が前記振る舞い予定通知情報により通知される前記携帯者の振る舞い予定に関与すると判別した場合に、前記携帯者の振る舞い予定を優先させる自車の振る舞いを決定し、決定した前記自車の振る舞いを前記返信情報に含めて前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項28に記載の自動車。
【請求項30】
前記返信情報には、自車の現在位置の情報、自車の特徴情報、または自車が緊急車両であるか否かの情報が含まれている
ことを特徴とする請求項28または請求項29に記載の自動車。
【請求項31】
前記関与判別手段で、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与しないと判別した場合に、その旨を前記携帯端末に通知して、前記無線通信路を切断する
ことを特徴とする請求項28~請求項30のいずれかに記載の自動車。
【請求項32】
前記自動運転モードは、運転者が所定の操作をすることで前記手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記運転者が前記所定の操作をしても前記手動運転モードへ切り替えられない強制自動運転モードとを含み、
前記切替手段は、前記手動運転モードから前記通常自動運転モードに切り替え、
前記関与判別手段で、自車が前記携帯者の振る舞い予定に関与すると判別した場合に、前記通常自動運転モードから前記強制自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項28~請求項31のいずれかに記載の自動車。
【請求項33】
前記自動運転モードは、運転者が所定の操作をすることで前記手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記運転者が前記所定の操作をしても前記手動運転モードへ切り替えられない強制自動運転モードとを含み、
前記切替手段は、前記手動運転モードから前記強制自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項27~請求項32のいずれかに記載の自動車。
【請求項34】
前記自動運転モードは、運転者が所定の操作をすることで前記手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記運転者が前記所定の操作をしても前記手動運転モードへ切り替えられない強制自動運転モードとを含み、
前記切替手段は、自車が前記通常運転モードの状態の場合に、前記強制自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項27~請求項33のいずれかに記載の通信システム。
【請求項35】
前記携帯端末は、交通安全上の弱者が携帯するものであり、
前記交通安全上の弱者は、高齢者、乳幼児を帯同している者、障碍者、車椅子使用者、小学生または小学校入学前の幼児のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項27~請求項34のいずれかに記載の自動車。
【請求項36】
自車が前記手動運転モードの状態の場合に、前記自動運転モードへの切替可否を運転者に問合せ、前記切替手段は、前記問い合わせの結果に応じて前記自動運転モードに切り替えるか否かを決定する
ことを特徴とする請求項27~請求項35のいずれかに記載の自動車。
【請求項37】
前記無線通信要求に対する処理機能を停止できる
ことを特徴とする請求項27~請求項36のいずれかに記載の自動車。
【請求項38】
前記停止をした場合に、前記無線通信要求に応じられない旨を前記携帯端末に通知して、前記無線通信路を切断する
ことを特徴とする請求項37に記載の自動車。
【請求項39】
携帯端末と、前記携帯端末と無線通信する機能を備えると共に、手動運転モードと自律走行可能な自動運転モードとを備える自動車とを有し、前記携帯端末は、前記自動車に対して、無線通信要求を送出する通信要求送出手段を備える通信システムにおける前記自動車が備えるコンピュータを、
所定時間内に、複数の前記携帯端末からの前記無線通信要求を受信した場合に、自車が前記手動運転モードの状態の場合には、前記自動運転モードに切り替える切替手段、
として機能させるための自動車用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末と無線通信する自動車及び携帯端末と自動車とを有する通信システムに関する。また、この発明は、自動車用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者による運転操作が無くても自律走行が可能である自動運転モードを備える自動車が登場してきている(例えば、特許文献1(特開2012-48563号公報)参照)。この種の自動車としては、手動運転モードと自動運転モードとを切り替え可能なもののほか、自動運転モードのみを備える自動運転車や、無人で自律走行することが可能な自動運転車も登場するものと考えられる。
【0003】
この種の自動車の自動運転モードによる自律走行は、現状では、安全性が容易に確保できる場所や環境でのみ認められるなど、制限が課されている場合が多いが、近い将来、公道を自由に走行することが可能になるものと推察される。
【0004】
自動運転モードを備える自動車が、公道を自由に走行することが可能になると、手動運転しかできない自動車(マニュアル仕様車)と、自動運転モードを備える自動車(便宜上、以下の説明では自動運転モードを備える自動車を自動運転車ということにする)とが、同じ道路上を同時に走行するようになる。
【0005】
マニュアル仕様車の場合には、運転者によって交通法規を厳守しなかったり、予測が不可能な振る舞いをすることがあるなどが不可避であるのが現状であるが、自動運転車による自動運転モードでは、交通法規が厳守されると共に、障害物は必ず避けて走行することが予測される。すなわち、マニュアル仕様車と、自動運転車とでは、異なる走行態様を取ることが予測される。
【0006】
したがって、周辺を走行している自動車が、マニュアル仕様車か、自動運転車かを知ることができれば、歩行者や、運転者や、自動車(自動運転車)自身が、それらの自動車の動きや振る舞いを予測して、自己の振る舞いや走行について、安全を確保したり、注意したりすることができる可能性が高まり、事故の発生を未然に防ぐなど、交通安全に役立つようになることが期待できる。つまり、走行中の自動車がマニュアル仕様車か、自動運転車かが分かれば、自分の行動や振る舞いを定めるについて、それを参考にすることができて、交通安全上、好ましい。
【0007】
そこで、例えば特許文献2(特開2015-228152号公報)には、自動車同士の間での車々間通信により、自車の動作中モードが自動運転モードか、手動運転モードかを互いに送受して、自車の周辺の他車についての動作モードを把握することができるようにしたものが提案されている。この特許文献2の技術によれば、自車の周辺の他車について払う注意を、把握した動作モードに応じて重くしたり、軽くしたりすることができて便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-48563号公報
【特許文献2】特開2015-228152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献2の技術は、走行中の自動車同士で通信を行うことで、互いの動作モードを知り、当該知った動作モードを参考にして安全運転をするようにするものであって、歩行者と自動車との間での通信を行って、交通安全に寄与できるものは提案されていない。
【0010】
例えば、歩行者が横断歩道を渡ろうとする際には、自動車が横断歩道の前で停止したのを確認してから横断を実行するのが一般的である。横断歩道を渡ろうとする歩行者が存在する場合には、自動車は、横断歩道の前で停止するようにするのが交通法規上の義務となっているが、実際上は、停止をしない自動車が多いのが現状である。このため、自動車が停止してくれるのを待ち切れずに、強硬に横断しようとする者もあって、交通安全を確保することが困難になることが多々ある。
【0011】
自動車が、運転者による運転操作が無くても自律走行が可能である自動運転モードを備える場合には、上述もしたように、交通法規を遵守して道路を走行するので、横断歩道の前では、歩行者がいれば必ず停止すると期待できる。したがって、自動運転モードで運行中の自動車がどれであるかが判明すれば、その自動車が横断歩道の前で停止してくれるのを待って、安心して横断することができる。
【0012】
しかしながら、歩行者は、どの自動車が自動運転モードで運行中かどうかは、外見からでは識別することができない。そのため、歩行者は、イライラした状態となって、危険な横断をしてしまう可能性が有る。
【0013】
また、横断歩道の無い場所では、自動運転モードで運行中の自動車であっても、必ずしも、横断しようとする歩行者の横断を優先するようにするために停車するとは限らない。自動車側からは、歩行者が横断しようとしているのか、単に、そこに佇んでいるのかは、判断できないからである。
【0014】
歩行者だけでなく、車椅子や自転車で通行しようとする者についても、上記の歩行者の場合と同様のことが言える。
【0015】
この発明は、以上の点に鑑み、歩行者、車椅子の利用者や自転車の乗車者等が横断等の振る舞いを安全に実行することができることを担保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
携帯端末と、前記携帯端末と無線通信する機能を備えると共に、手動運転モードと自律走行可能な自動運転モードとを備える自動車とを有する通信システムであって、
前記携帯端末は、
前記自動車に対して、無線通信要求を送出する通信要求送出手段を備え、
前記自動車は、
所定時間内に、複数の前記携帯端末からの前記無線通信要求を受信した場合に、自車が前記手動運転モードの状態の場合には、前記自動運転モードに切り替える切替手段を備える
ことを特徴とする通信システムを提供する。
【0017】
上述の構成の請求項1の発明においては、携帯端末は、無線通信要求を送出する。自動車は、複数の携帯端末から、所定時間内に無線通信要求を受信した場合に、自車が手動運転モードの状態の場合には、自動運転モードに切り替える。したがって、自動車は、自動運転モードの状態で、複数の無線通信要求に対して対応することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明による通信システムにおいては、所定時間内に複数の携帯端末から無線通信要求があった場合に、自動車は、手動運転モードの状態であっても、強制的に自動運転モードに切り替えられて、当該複数の無線通信要求に対して対応するようにされるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明による通信システムの実施形態の一例の概要を説明するための図である。
【
図2】この発明による通信システムの実施形態を構成する携帯端末の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2の例の携帯端末の要部の機能ブロック図である。
【
図4】この発明による通信システムの実施形態を構成する自動車の実施形態の電子制御回路部の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図4の例の自動車の電子制御回路部の要部の機能ブロック図である。
【
図6】
図2の例の携帯端末の処理動作の例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【
図7】
図6のフローチャートにおける一部の処理の詳細な流れの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図8】
図6のフローチャートにおける一部の処理の詳細な流れの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図9】
図6のフローチャートにおける一部の処理の詳細な流れの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図10】
図4の例の自動車の電子制御回路部の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図11】
図4の例の自動車の電子制御回路部の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図12】
図4の例の自動車の電子制御回路部の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図13】携帯者の振る舞い予定に対する、対自動車通信要求に基づく自動車の振る舞いの例を説明するための図である。
【
図14】携帯者の振る舞い予定に対する、対自動車通信要求に基づく自動車の振る舞いの例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明による通信システムの実施形態を、図を参照しながら説明する。
図1は、この実施形態の通信システムの構成例の概要を示す図である。
【0021】
この実施形態の通信システムは、携帯端末1と、自動車2とからなる。携帯端末1と、自動車2とは、互いに無線通信する機能を備えている。そして、自動車2は、自律走行が可能な自動運転モードを備えている。
【0022】
携帯端末1と自動車2との間の無線通信は、電波や光などを直接的にやり取りすることで行われる。通信路を生成するために、Wi-Fi(登録商標)通信の場合のアクセスポイントのような基地局が関与するものも勿論含む。無線通信ができる範囲は、例えば数100メートルの範囲のように制限されたものでよく、歩行者、車椅子の利用者や自転車の乗車者等の携帯端末1の携帯者3が、予定している振る舞い(以下、振る舞い予定という)、例えば道路の横断や右左折を、実際の実行に先立ち、携帯端末1から自動車2に無線通信により伝達して、自動車2が、その振る舞い予定に対応した振る舞い、例えば一時停止等を携帯端末1側に伝達して、その振る舞いを実行することが可能である範囲であれば良い。
【0023】
この例では、携帯端末1は、スマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末で構成されている。そして、この携帯端末1は、この例では、インターネットや携帯電話網を含む通信ネットワーク4を通じてナビゲーション支援サーバ装置5に接続可能とされており、携帯者3は、このナビゲーション支援サーバ装置5の支援を受けて、いわゆる歩行者ナビあるいは自転車ナビのサービスを受けることが可能とされている。また、車椅子の利用者専用の車椅子ナビのサービスも受けることが可能とされている。車椅子ナビのサービスにおいては、健常者の歩行者や自転車の乗車者の場合のような道路の横断や道路の右左折の場合のみでなく、車椅子の利用者特有の、例えば段差部分を超える走行(時間を要する)などの振る舞いにおいても、安全にその振る舞いを実行することができるように、そのような段差部分の手前で、注意喚起を行うようにするなどの案内サービスが行われるようにされている。
【0024】
そして、携帯端末1は、携帯者3からの指示操作に起因して、自動車2に対して対自動車通信要求を送出する。また、この実施形態では、ナビゲーション支援サーバ装置5により提供される歩行者ナビや自転車ナビ、また、車椅子ナビのサービスにおいては、携帯者3の交通安全を図るために、道路横断や右左折、段差部分を超える走行などの自動車2との関係で携帯者3にとって危険を伴う振る舞いをしなければならないときには、その振る舞いに先立ち、自動車2に対して対自動車通信要求を送出するように、経路案内サービスを実行するように構成されている。
【0025】
すなわち、ナビゲーション支援サーバ装置5は、携帯端末1から通信ネットワーク4歩行者ナビのサービス要求を受けたときには、そのサービス要求に含まれる出発地と目的地と必要に応じた経由地とに基づいて、推奨する経路の情報を生成し、その推奨する経路に沿った経路案内サービスを携帯端末1を通じて、携帯者3に提供するようにする。その場合に、この実施形態のナビゲーション支援サーバ装置5は、推奨する経路の情報には、自動車2に対して対自動車通信要求を送出するべき位置やエリアの情報を含めるようにしている。エリアの場合には、そのエリアに入ったとき、あるいは入る手前で対自動車通信要求を送出するように設定される。携帯端末1は、この経路案内サービスによる処理制御に従って、その対自動車通信要求を送出する処理を実行するようにする。
【0026】
一方、自動車2は、この実施形態では、手動運転モードと、上述した自律走行可能な自動運転モードとを備えている。そして、この実施形態では、自動車2は、自動運転モードとして、運転者がハンドル操作をする、アクセルペダルを踏む、ブレーキペダルを踏むなどの操作をすることで手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、前記の操作をしても手動運転モードに切り替えられず、自動運転モードを継続するようにする強制自動運転モードとを備える。
【0027】
そして、この実施形態の自動車2は、携帯端末1からの対自動車通信要求を受けたときには、自車が自動運転モードで走行中であるか、あるいは、手動運転モードで走行中であるかを判別し、自動運転モードで走行中であれば、携帯端末1からの対自動車通信要求に対して応答して、無線通信路を生成する。また、手動運転モードで走行中であれば、運転者により自動運転モードへの切り替えを許可しない旨の設定がなされているか否か判別し、許可されている場合には、携帯端末1からの対自動車通信要求に対して応答して、無線通信路を生成する。
【0028】
そして、自動車2は、生成された無線通信路を通じて携帯端末1から送られてくる携帯者3の振る舞い予定の情報を受信して、自車がその振る舞い予定に関与するかどうかを判別し、関与しないと判別したときには、その旨を携帯端末1に返信して、無線通信路を切断する。携帯端末1は、自動車2からの返信の情報を受けてそれを解析することで、自車が携帯者3の振る舞い予定に関与しないことを確認して、無線通信路を切断する。
【0029】
また、自動車2は、携帯者3の振る舞い予定に関与すると判別したときには、自車を強制自動運転モードに切り替えて、携帯端末1の携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いをするように決定し、それを実行するように制御する。そして、自動車2は、自車の現在位置情報と、自車を視認するための情報を携帯端末1に送ると共に、携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いを自動運転モードで実行する旨の通知を携帯端末1に返信するようにする。
【0030】
携帯端末1は、自動車2からの返信の情報を受けてそれを解析し、その解析結果を表示画面に表示すると共に、音声により携帯者3に通知する。すなわち、携帯端末1は、自動車2からの現在位置情報と自車を視認するための特定用情報とに基づいて、携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いをする自動車2の位置と、特定用情報に基づく表示を、表示画面に表示して、携帯者3に報知すると共に、携帯者3に、当該自動車2が自動運転モードで行う振る舞いを表示画面及び/または音声により通知する。なお、目や耳の不自由な障碍者のために振動で報知や通知をするようにしてもよい。この場合は、特定用情報等が振動のパターンで特定できるように、あらかじめ設定しておく必要がある。
【0031】
したがって、携帯端末1の携帯者3は、表示画面で、自分が実行しようとする道路横断等の振る舞い予定に対して、停止してくれる自動車2の存在を確認することができ、しかも、当該自動車2は、自動運転モードで当該振る舞いをしてくれることを認識することができる。よって、携帯者3は、自動車2の停止を予測して、それを待って、安全に、振る舞い予定を実行することができる。
【0032】
また、この実施形態においては、自動車2は、携帯端末1からの対自動車通信要求を受けたときに、自車が手動運転モードで走行中であって、運転者により自動運転モードへの切り替えを許可しない旨の設定がなされていると判別したときには、一旦、携帯端末1との間の無線通信路を生成し、携帯端末1から送られてくる携帯者3の振る舞い予定の情報を受信して、自車がその振る舞い予定に関与するかどうかを判別し、関与しないと判別したときには、その旨を携帯端末1に返信して、無線通信路を切断する。
【0033】
また、自動車2は、携帯者3の振る舞い予定に関与すると判別したときには、自車の現在位置情報と、自車の走行速度及び走行方向の情報と、自車を視認するための特定用情報を携帯端末1に送ると共に、振る舞い予定に応じた振る舞いはできない旨を携帯端末1に送り、その後、無線通信路を切断するようにする。なお、この実施形態では、自車の特定用情報には、自動車2に予め記憶されている運転者の属性情報(性別、年齢、国籍、運転歴等)が含められる。
【0034】
携帯端末1は、自動車2からの返信の情報を受けてそれを解析し、その解析結果を表示画面に表示すると共に、音声により携帯者3に通知する。すなわち、携帯端末1は、自動車2からの現在位置情報と自車を視認するための特定用情報とに基づいて、携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いをする自動車2の位置と、特定用情報に基づく表示を、表示画面に表示して、携帯者3に報知すると共に、携帯者3に、当該自動車2が自動運転モードで行う振る舞いを表示画面及び/または音声により通知する。
【0035】
以上のように、この実施形態では、自動車2の運転者が手動運転モードから自動運転モードへの切り替えを許可しない場合においても、当該自動車2が携帯者3の振る舞い予定に関与するときには、表示画面や音声により、手動運転モードの自動車を確認することができると共に、運転者の属性が分かるので、携帯者3は、その手動運転モードの自動車2に対して、自動車2から得た情報に応じた注意度で注意を払うことができて便利である。例えば、運転者の属性が高齢者であったり、運転歴が少なかったりする場合、手動運転モードの自動車2への注意度を高めることで、安全性を高めることができる。
【0036】
なお、自動車2は、手動運転モードを有さず、自動運転モード(強制自動運転モードを含む)のみを備えるものであってもよい。
【0037】
以下、この実施形態における通信システムにおける携帯端末1及び自動車2の構成及びそれらの動作について、より詳細に説明する。
【0038】
[携帯端末1の構成例]
図2は、この実施形態の携帯端末1のハードウェア構成例を示すブロック図である。この実施形態の携帯端末1は、例えばコンピュータを備える制御部101により、後述する各部が制御される構成を備える。
【0039】
制御部101には、システムバス100を通じて、携帯電話通信部102と、音声入出力部103と、表示制御部104と、操作入力部インターフェース105と、現在位置検出部106と、携帯者属性記憶部107と、対自動車無線通信部108と、対自動車通信制御処理部109と、地図データ格納部110と、経路探索案内部111と、音声認識部112と、が接続されている。
【0040】
携帯電話通信部102は、携帯電話網の基地局を通じて通信を行うもので、通常の携帯電話端末の電話通信機能や、インターネットを通じたクラウドへのアクセス機能を実行することが可能である。
【0041】
音声入出力部103には、マイクロフォン121及びスピーカ122が接続されている。音声入出力部103は、制御部101の制御を受けて、携帯電話通信部102を通じて電話通信が行われる場合には、マイクロフォン121が送話器として働き、スピーカ122が受話器として働くように動作する。また、音声入出力部103は、制御部101の制御を受けて、マイクロフォン121から収音した音声の音声情報を、音声認識部112に送り、音声認識させるようにする。また、音声入出力部103は、制御部101の制御を受けて、後述するようにして生成された所定の音声メッセージをスピーカ122を通じて放音する処理も行う。
【0042】
表示制御部104には、例えばLCDからなる表示部123が接続されている。また、操作入力部インターフェース105には、表示部123を構成するLCDの表示画面に重ねて配設されているタッチセンサで構成される操作入力部124が接続されている。表示部123を構成するLCDの表示画面には、携帯者による歩行者ナビアプリや自転車ナビアプリの起動のための入力用画面や、出発地、目的地、経由地などの入力用画面などが表示され、それらの入力用画面に含まれるソフトウェアボタンへの操作を、タッチセンサからなる操作入力部124で検出し、操作入力部インターフェース105を通じて、制御部101に伝達される。制御部101は、操作入力部124での操作入力に応じた処理を行う。
【0043】
現在位置検出部106は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波や携帯電話の基地局からの情報を受信して、携帯端末1の現在位置を検知し、その検知した現在位置のデータ(緯度、経度、高さのデータ)を、制御部101に転送する。現在位置検出部106は、ジャイロや地磁気センサ等を用いて、携帯端末1の現在位置の検出を補助する。
【0044】
携帯者属性記憶部107には、予め利用者により入力された属性情報が格納される。この属性情報としては、携帯者の国籍、性別、年齢、持病、などが登録されて記憶されている。この携帯者属性記憶部107には、携帯者の歩幅や歩行速度(平均値)、車椅子に乗ったときの移動速度(平均値)や自転車に乗車したときの走行速度(平均値)が記憶されていてもよい。歩行速度、車椅子移動速度や自転車に乗車したときの走行速度は、現在位置検出部106で検出される現在位置の、所定時間毎の変化から距離を求め、その距離を前記所定時間で割り算することで求められて、この携帯者属性記憶部107に記憶しておくことができる。なお、車椅子は、手動車椅子なのか電動車椅子なのかで車椅子移動速度のみならず、性能も異なるため、手動か電動かの種別と手動での平均速度、電動での平均速度とを携帯者属性記憶部107に記憶するようにしてもよい。また、介護者または付添い者の存在の有無を携帯者属性記憶部107に記憶しておくこともできる。
【0045】
対自動車無線通信部108は、自動車2と無線通信するための通信部である。対自動車通信制御処理部109は、この対自動車無線通信部108を通じた自動車2と無線通信を制御する。この対自動車通信制御処理部109については、後で詳述する。
【0046】
地図データ格納部110には、汎用的な地図データが予め格納され、あるいは現在位置検出部106により検出された現在位置に対応する地図データが携帯電話通信部102を通じて、ナビゲーション支援サーバ装置5から取得されて格納される。
【0047】
経路探索案内部111は、予めナビゲーション支援サーバ装置5からダウンロードされたアプリケーションソフトウェアプログラムにより構成される処理部であり、ナビゲーション支援サーバ装置5と協働することで、歩行者ナビ及び自転車ナビなどのサービスを実行する。
【0048】
すなわち、経路探索案内部111は、ナビゲーション支援サーバ装置5と協働することで、携帯者3により設定された出発地から目的地までの徒歩ナビの経路探索及び経路案内(誘導)を行う。
【0049】
音声認識部112は、例えば携帯端末1の機能メニューから操作入力部124を通じて音声認識機能が選択されたときに、制御部101の制御を受けて、マイクロフォン121で収音した音声の音声信号を受け、その音声認識を実行し、その認識結果を制御部101に返す。制御部101は、その音声認識結果により指示された処理を実行するように制御する。
【0050】
以上のように、携帯端末1は構成されるが、
図2に示した各処理ブロックのうち、音声入出力部103、表示制御部104、現在位置検出部106、対自動車通信制御処理部109、経路探索案内部111、音声認識部112、の各処理機能は、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウェア処理として実現することができる。
【0051】
[対自動車通信制御処理部109の処理機能について]
図3は、対自動車通信制御処理部109が実行する機能を機能ブロックとして示した図である。すなわち、対自動車通信制御処理部109は、発信トリガー監視部1091と、対自動車通信要求部1092と、通信路生成管理部1093と、送信情報生成送信部1094と、返信情報受信解析部1095と、自動車振る舞い通知部1096と、確認通知送信部1097とを備える。
【0052】
発信トリガー監視部1091は、歩行者ナビや自転車ナビや車椅子ナビが実行されていないときには、操作入力部124を通じた携帯者3からの通信要求操作を検知したときに、それを対自動車通信要求の発信トリガーとして検出し、その検出結果を対自動車通信要求部1092に通知する。また、発信トリガー監視部1091は、歩行者ナビや自転車ナビが実行されているときには、ナビアプリからの対自動車通信要求を受けたときに、それを対自動車通信要求の発信トリガーとして検出し、その検出結果を対自動車通信要求部1092に通知する。
【0053】
対自動車通信要求部1092は、発信トリガー監視部1091で、発信トリガーが検出されたときに、それに基づき、対自動車通信要求を、対自動車無線通信部108を通じて送出する。
【0054】
通信路生成管理部1093は、携帯端末1と自動車2との間の無線通信路を生成して管理する。すなわち、対自動車通信要求部1092により送出された対自動車通信要求に対する自動車からの応答を監視し、応答を検出したときには、無線通信路を生成すると共に、その生成した無線通信路について終了事象が発生したか否かを監視し、終了事象を検出したときには、無線通信路を終了させる。なお、以下の説明においては、対自動車通信要求に対して応答を送ってきて、無線通信路を生成したときの相手側の自動車を応答自動車と称することとする。
【0055】
送信情報生成送信部1094は、応答自動車に無線通信路を通じて送信する送信情報を生成して送信する。この実施形態では、送信情報には、携帯端末1の現在位置情報と、携帯者3が行おうとしている振る舞い予定の情報と、携帯者3が歩行中か、車椅子移動中か、または自転車走行中かの情報、携帯者3の属性情報などを含めるようにする。このとき、送信情報生成送信部1094は、携帯者3の歩行速度の情報、車椅子移動速度の情報、または自転車走行速度の情報と、移動方向の情報をも併せて送信情報に含めるようにしてもよい。歩行速度、車椅子移動速度や自転車走行速度は、現在位置検出部106で検出される現在位置の時間変化に基づいて所定時間内での移動距離を算出することで求めることができる。
【0056】
返信情報受信解析部1095は、応答自動車からの返信情報を受信して解析する。応答自動車からの返信情報としては、後述するように、携帯者3の振る舞い予定に対して応答自動車が関与するか否かの情報や、応答自動車が関与する場合における携帯者3の振る舞い予定に対して応答自動車が自動運転モードで行う振る舞いの情報、当該応答自動車を視認するための特定用情報及びその現在位置情報等が含まれる。返信情報受信解析部1095は、その解析結果を、通信路生成管理部1093と、自動車振る舞い通知部1096とに伝達する。
【0057】
通信路生成管理部1093は、返信情報受信解析部1095から、携帯者3の振る舞い予定に対して応答自動車が関与する旨の解析結果を受けたときには、無線通信路を維持するようにするが、携帯者3の振る舞い予定に対して応答自動車が関与しない旨の解析結果を受けたときには、応答自動車との間に生成していた無線通信を切断し、再度の対自動車通信要求を送出するように、対自動車通信要求部1092に通知する。
【0058】
自動車振る舞い通知部1096は、携帯者3の振る舞い予定に対して応答自動車が関与する場合に、返信情報受信解析部1095から解析結果として送られてくる、応答自動車が自動運転モードで行う振る舞いと、応答自動車を視認するための特定用情報を、表示部123の表示画面を通じて携帯者に通知したり、スピーカ122を通じて音声として携帯者に通知したりする。また、自動車振る舞い通知部1096は、返信情報受信解析部1095から解析結果として送られてくる応答自動車の現在位置に基づいて、地図上に、その応答自動車の現在位置を表示して、その位置を携帯者3に通知するようにする。そして、自動車振る舞い通知部1096は、上記の携帯者3への通知処理を終了したら、その旨を確認通知送信部1097に伝達する。
【0059】
確認通知送信部1097は、自動車振る舞い通知部1096から、携帯者3への通知処理が終了したことの伝達を受けたときには、応答自動車に、その振る舞いを確認したことの確認通知を送信する。この確認通知は、携帯者3からの確認操作を受けた後に行ってもよい。すなわち、その場合には、確認通知送信部1097は、自動車振る舞い通知部1096から、携帯者3への通知処理が終了したことの伝達を受けたときには、携帯者3に確認したか否かを、表示部123の表示画面を通じて、また、スピーカ122を通じて問い合わせ、その問い合わせに応じた確認回答操作を待つ。そして、確認通知送信部1097は、携帯者3による確認回答操作を受け付けたことを確認した後、応答自動車に、確認通知を送信するようにする。
【0060】
[自動車2の電子制御回路例]
図4は、この発明による自動車の実施形態としての自動車2の電子制御回路部20の一例のハードウェア構成例を示す図である。なお、この実施形態の自動車2は、電気自動車の場合の例である。ただし、バッテリーは、
図4では図示を省略した。
【0061】
また、この実施形態の自動車2は、自律的に自車の振る舞いを実行する自動運転モードと、手動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動車2自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら進路変更をする走行モードである。
【0062】
自動車2の運転者は、例えば後述するタッチパネル212を通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動車2を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作またはステアリング操作など所定の操作をすると、自動車2は、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。
【0063】
なお、前述したように、この実施形態の自動車2は、自動運転モードとして、所定の操作をすると、自動的に手動運転モードに戻る通常自動運転モードの他に、所定の操作を運転者がしても、自動運転モードを継続する強制自動運転モードを備える。
【0064】
図4に示すように、電子制御回路部20は、制御部201に対して、システムバス200を通じて、無線通信部202、モータ駆動制御部203、ステアリング駆動制御部204、運転モード切替制御部205、レーダー群206、カメラ群207、センサ群208、周囲状況把握部209、現在位置検出部210、表示部211、タッチパネル212、カーナビ機能部213、自車情報記憶部214、走行速度及び方向検出部215、時計部216、対端末通信制御処理部217、振る舞い制御部218、音声入出力部219、のそれぞれが接続されている。
【0065】
モータ駆動制御部203には、モータ駆動部221が接続されている。ステアリング駆動制御部204には、ステアリング駆動部222が接続されている。運転モード切替制御部205には、手動運転操作検知部223が接続されている。また、カーナビ機能部213には、カーナビ用データベース224が接続されている。さらに、音声入出力部219には、マイクロフォン225と、スピーカ226とが接続されている。
【0066】
制御部201は、コンピュータを搭載して構成されていて、自動車2の全体を制御する。
【0067】
無線通信部202は、携帯端末1との間で通信を行うためのもので、通常は、受信待機モードとなっている。そして、後述するように、無線通信部202は、対端末通信制御処理部217の制御に従って、受信待機モードにおいて、対自動車通信要求の受信したときには、当該対自動車通信要求を発信した携帯端末1との間に生成される無線通信路を通じた無線通信を行うように動作する。対端末通信制御処理部217の詳細については、後述する。
【0068】
モータ駆動制御部203は、制御部201の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動車2のモータ駆動部221への駆動信号の供給を制御して、自動車2の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
【0069】
ステアリング駆動制御部204は、制御部201の制御の下に、この実施形態の自動車2のステアリング駆動部222への駆動制御信号の供給を制御して、自動車2の進路変更の制御をするようにする。
【0070】
運転モード切替制御部205は、タッチパネル212を通じた選択操作入力に応じて、自動車2の運転モードを、手動運転モードと通常自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。また、運転モード切替制御部205は、対端末通信制御処理部217による制御指示により、強制自動運転モードに切り替える処理、また、強制自動運転モードを解除する処理も行う。
【0071】
手動運転操作検知部223は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を運転モード切替制御部205に供給する。
【0072】
運転モード切替制御部205は、自動車2が手動運転モードのときには、この手動運転操作検知部223からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部203、ステアリング駆動制御部204に供給して、モータ駆動部221、ステアリング駆動部222を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
【0073】
また、運転モード切替制御部205は、自動車2が通常自動運転モード及び強制自動運転モードのときには、後述するようにして、レーダー群206、カメラ群207、センサ群208、周囲状況把握部209の出力に基づいて制御部201で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部203、ステアリング駆動制御部204に供給して、モータ駆動部221、ステアリング駆動部222を、自動運転操作情報により駆動制御する。なお、自動運転モード及び強制自動運転モードにおいては、カーナビ機能部213において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。
【0074】
なお、手動運転モードを備えずに自動運転モードのみを備える完全自動運転車の場合、運転モード切替制御部205は、手動運転モードと通常自動運転モードとの切り替え機能及び手動運転操作検知部223は、もちろん備えていない。また、手動運転操作に必要なアクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリング(ハンドル)などもなくてもよい。ただし、安全確保のために、ブレーキペダル(ブレーキボタン、ブレーキに対応するタッチパネル入力や音声入力でもよい)を備え、ブレーキ操作だけは手動で対応できるようにしてもよい。
【0075】
レーダー群206は、自動車2の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、レーザー・レーダー(ライダー)やミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、サブミリ波レーダーやマイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的で音波や超音波によるソナー(図示せず)を用いることができる。
【0076】
カメラ群207は、第1の実施形態のカメラ群207に対応するもので、自動車2の車内を撮影する1~複数個のカメラと、自動車2の前方、側方、後方など、車外の周囲を撮影する1~複数個のカメラとを含む。
【0077】
センサ群208は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサなどの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群208には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)等の点滅、バックライトやブレーキライト等の点灯を検知するセンサも含まれている。
【0078】
周囲状況把握部209は、レーダー群206やセンサ群208、また、カメラ群207の撮影画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)や、道路の車線数及び自車の走行中車線、上り坂、下り坂などの周囲環境を把握するようにする。周囲状況把握部209は、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。この周囲状況把握部209で把握された周囲環境、周囲の障害物や移動体の情報は、後述する対端末通信制御処理部217や振る舞い制御部218において、交通法規に則ると共に、安全を確保する振る舞いを決定するために利用される。
【0079】
また、この実施形態では、周囲状況把握部209は、カメラ群207の自車の周囲の撮影画像から、交通標示や交通標識を認識する機能を備えている。周囲状況把握部209で認識された交通標示や交通標識は、後述する振る舞い制御部218において、交通法規に則った振る舞いをするために利用される。
【0080】
現在位置検出部210は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部210は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度をさらに高めるため、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群208に含まれる1~複数個のセンサ及びレーダー群206、カメラ群207の撮影画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0081】
自動車2は、通常自動運転モード及び強制自動運転モードにおいては、現在位置検出部210や周囲状況把握部209において、レーダー群206、カメラ群207、センサ群208、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論などにより処理し、これに基づき、制御部201は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(AI(人工知能))及び制御(AI(人工知能))を行って、自動運転操作情報を生成する。そして、生成された自動運転操作情報に基づいて、モータ駆動制御部203によりモータ駆動部221が駆動され、ステアリング駆動制御部204によりステアリング駆動部222が駆動されることで、自律移動制御がなされる。したがって、この実施形態では、自律移動制御手段は、制御部201と、レーダー群206、カメラ群207、センサ群208、周囲状況把握部209、現在位置検出部210、及びモータ駆動制御部203、モータ駆動部221、ステアリング駆動制御部204、ステアリング駆動部222、更に後述するカーナビ機能部213とにより構成される。
【0082】
表示部211は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル212は、LCDからなる表示部211の表示画面の上に、指によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部211の表示画面には、制御部201の制御に基づき、ソフトウェアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル212は、表示画面に表示されているソフトウェアボタン上の指によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部201に伝達する。これを受けた制御部201は、ソフトウェアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。なお、ソフトウェアボタンは、別途キーボードなどを用いることで対応してもよい。
【0083】
カーナビ機能部213に接続されているカーナビ用データベース224には、国内の地図及び経路案内データが、予め格納されている。カーナビ機能部213は、カーナビ用データベース224に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動車2が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。カーナビ機能部213は、使用者(運転車または乗車者)により設定入力された出発地、経由地、目的地、探索条件に基づいて経路探索を行って、経路案内データを作成し、この経路案内データを用いて経路案内処理を実行する。この実施形態では、カーナビ機能部213は、手動運転モードと、自動運転モード(通常自動運転モード及び強制自動運転モード)とで、若干異なる経路案内処理をするように構成されている。
【0084】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部213は、表示部211の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部210で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
【0085】
一方、自動運転モード(通常自動運転モード及び強制自動運転モード)においては、カーナビ機能部213は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を、後述する振る舞い制御部218に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を振る舞い制御部218に通知するようにする。
【0086】
振る舞い制御部218は、制御部201の制御の下において、このカーナビ機能部213から通知された情報と、現在位置検出部210の現在位置確認結果及び周囲状況把握部209の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部203を通じてモータ駆動部221を制御すると共に、ステアリング駆動制御部204を通じてステアリング駆動部222を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モード(通常自動運転モード及び強制自動運転モード)におけるカーナビ機能部213及び制御部201による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動車2は、目的地まで移動することができる。
【0087】
また、この実施形態では、カーナビ機能部213は、自動運転モード(通常自動運転モード及び強制自動運転モード)においては、右折時や左折時の方向指示器の点滅、また、緊急停止時などのハザードランプの点滅などをする地点及び点滅させる指示器の情報(左側の指示器か、右側の指示器や、両方か)についての指示器制御情報も、経路案内データに含めるようにしている。振る舞い制御部218は、この経路案内データに含まれる指示器制御情報に基づいて、現在位置が当該指示器制御地点になった位置で、指示された指示器の点滅制御を実行する。
【0088】
なお、指示器制御情報は、点滅などをする地点及び点滅させる指示器の情報には限られるものではなく、点灯などをする地点及び点灯させる指示器の情報であってもよい。例えば、バック走行時のバックライト(後退灯)の点灯(白色点灯)やブレーキ時のブレーキライト(制動灯)の点灯(赤色点灯)などをする地点及び点灯させる指示器の情報(バックライトか、ブレーキライトか、両方か)についての指示器制御情報も、経路案内データに含めるようにすることができる。振る舞い制御部218は、点滅制御の場合と同様、この経路案内データに含まれる指示器制御情報に基づいて、現在位置が当該指示器制御地点になった位置で、指示された指示器の点灯制御を実行する。
【0089】
自車情報記憶部214は、自車が自動運転モード(通常自動運転モード及び強制自動運転モード)を備えるか否かの情報を含むモード情報と、自車を他車と区別して視認により特定させるための自車特定用情報とからなる自車情報を記憶している。この自車情報は、自動車2の製造工場において、作業者により入力されて格納される。また、自動車2の販売時に、ディーラーなど販売店において、販売者により入力されて格納される。もちろん、作業者や販売者による自車情報の入力は、直接入力の場合でも、自動車会社などの所定のサーバからのダウンロード入力であってもよい。さらに、自車情報が、自動車2の販売後に入力される場合には、自動車2の所有者や使用者、あるいは管理者や管理会社などにより入力されて格納される。
【0090】
自車情報記憶部214に記憶されるモード情報としては、この例では、マニュアル仕様車か、自動運転モードを備える自動運転車か、そして、自動運転車であれば、マニュアル運転モードと自動運転モードとを切り替えられるタイプ、強制自動運転モードを備えるタイプ、自動運転モードのみのタイプ、無人運転が可能なタイプなどの複数タイプの内のいずれのタイプかなどの情報を含む。なお、自動運転車に搭載され利用されるAI(Artificial Intelligence;人工知能)の開発元やバージョンなど、ソースが何であるか、レベルの高さがどれぐらいかなどが特定できる場合は、それらの情報を自車情報として含んでもよい。また、AIの場合、一般的に学習により進化し、安全性や走行性能などを高めていくため、走行時間や走行距離と、AIに依拠する安全性や走行性能などの間には高い相関があるため、走行時間や走行距離を自車情報として含めるようにしてもよい。なお、AIは、LSIなどハードウェアで搭載される場合と、ソフトウェアで搭載される場合がある。さらに、レーダー群206、カメラ群207、センサ群208に用いられるレーダー、カメラ、センサのメーカーや性能の情報を自車情報として含んでもよい。
【0091】
また、自車情報記憶部214に記憶される、自車の自動車2を他車と区別して視認により特定させるための特定用情報としては、他車と異なる情報のみならず、当該自動車2の仕様の情報などを含んでもよいことは言うまでもない。自車情報記憶部214に記憶される自車情報の例としては、例えば、国番号(どこの国の車か)、製造会社(自動車会社)、車種、車名、ボディーカラー、排気量、駆動方式(ガソリン車、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、EV(Electric Vehicle)、燃料電池車など)、自動運転モードの有無、乗車可能人数、ナンバープレートのナンバー、一般車両か特殊車両(救急車、消防自動車、パトカー、タクシー、バスなど)か、その他のメーカーオプション(製造会社が自由に設定可能)などとされる。
【0092】
また、この実施形態では、自車情報記憶部214には、自車に乗車する運転者の属性情報が登録されて記憶されている。運転者の属性情報は、この実施形態では、性別、年齢、国籍、運転歴などが運転者により登録(入力)されて、運転者の識別情報に対応付けられて、自車情報記憶部214に記憶される。運転者の識別情報としては、この例では、運転者の顔画像情報とされる。そして、この実施形態では、自動車2の制御部201は、カメラ群207の内の運転席を撮影するカメラにより、運転者の顔画像を撮影し、自車情報記憶部214に記憶されている運転者の識別情報である顔画像とを比較することで、運転席に着座している者が、自車情報記憶部214に記憶されている運転者の内のいずれの者であるかを認識するようにしている。もちろん、自車が完全自動運転車の場合、無人運転が可能であるので、運転者が存在せず、運転者の属性情報も必要ない。
【0093】
走行速度及び方向検出部215は、センサ群208の速度センサのセンサ出力から、あるいは、時計部216からの時刻変化の間の現在位置検出部210で検出された現在位置の位置変化から、自動車2の走行速度を検出し、また、センサ群208の加速度センサ、ジャイロセンサや方位センサのセンサ出力から、自動車2の走行方向を検出する。
【0094】
時計部216は、年、月、日、時、分、秒の時間情報を生成する。時間情報は、走行速度及び方向検出部215における走行速度の検出のために用いられる。また、現在時点の時点における携帯者3の位置、自車の位置、携帯者3の歩行による移動速度及び移動方向や自転車による移動速度及び移動方向と、自車の移動速度及び移動方向とを勘案して、携帯端末1からの対自動車通信要求の際の振る舞い予定に自車が関与するか否かを判別する際にも、時間情報は用いられる。
【0095】
対端末通信制御処理部217は、この実施形態における無線通信部202を用いて受信待機動作、携帯端末1からの対自動車通信要求の受信時動作を制御する。この対端末通信制御処理部217については、後で詳述する。
【0096】
振る舞い制御部218は、自動運転モードにおける自車の振る舞いの実行を制御する。すなわち、この実施形態の自動車2は、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部213による経路探索により決定された目的地までの経路案内情報に従って、現在位置検出部210で検出された現在位置においてするべき振る舞いを実行しながら走行する。振る舞い制御部218は、現在位置検出部210で検出された現在位置において当該自動車2がするべき、経路案内情報に基づいた振る舞いを決定して、その振る舞いの実行を制御する機能部である。
【0097】
そして、この実施形態の自動車2においては、さらに、振る舞い制御部218は、対端末通信制御処理部217において後述するようにしてその時にすべき振る舞いが決定された場合には、その決定された振る舞いを優先的に実行するように制御する。
【0098】
音声入出力部219は、マイクロフォン225で収音した周囲の音声の音声信号を取り込むと共に、運転者等に報知するための音声信号をスピーカ226に供給して放音させるようにする。この実施形態では、マイクロフォン225で収音した周囲の音声の内、例えば緊急車両(救急車、消防車、パトカー等)のサイレンの音は、対端末通信制御処理部217や振る舞い制御部218における振る舞いの決定処理の際に利用され、この場合にも緊急車両の走行を優先するように振る舞いを決定する。そして、この実施形態では、運転者に対して通知する必要なメッセージ音声信号が、制御部201、対端末通信制御処理部217などで生成され、そのメッセージ音声信号がスピーカ226を通じて放音される。
【0099】
以上のように、自動車2の電子制御回路部20は構成されるが、
図4に示した各処理ブロックのうち、モータ駆動制御部203、ステアリング駆動制御部204、運転モード切替制御部205、周囲状況把握部209、現在位置検出部210、カーナビ機能部213、走行速度及び方向検出部215、対端末通信制御処理部217、振る舞い制御部218、の各処理機能は、制御部201がプログラムを実行することで行うソフトウェア処理として実現することができる。
【0100】
[対端末通信制御処理部217の構成例]
図5は、対端末通信制御処理部217の処理機能を説明するための機能ブロック図である。すなわち、この実施形態では、対端末通信制御処理部217は、機能部として、通信要求受信監視部2171と、通信路生成管理部2172と、受信情報解析部2173と、振る舞い決定部2174と、返信情報生成送信部2175と、確認通知受信確認部2176とを備えて構成される。
【0101】
通信要求受信監視部2171は、携帯端末1からの対自動車通信要求の受信を常時監視し、対自動車通信要求の受信を確認したときには、その受信確認を、その時の自車の運転モードの情報と共に、通信路生成管理部2172に通知する。
【0102】
通信路生成管理部2172は、自車の運転モードを考慮しながら、携帯端末1との間の無線通信路を生成し、管理するようにする。
【0103】
受信情報解析部2173は、生成された無線通信路を通じて携帯端末1から送られてくる情報を解析して、携帯端末1の携帯者3の現在位置、歩行中か、または、自転車走行中か、実行しようとしている振る舞い予定などを認識し、振る舞い決定部2174に伝達する。
【0104】
振る舞い決定部2174は、携帯端末1の携帯者3が実行しようとしている振る舞い予定に対して、自車が関与するか否かを判断して、関与しないと判断したときには、その旨を通信路生成管理部2172に通知する。通信路生成管理部2172は、携帯者3が実行しようとしている振る舞い予定に対して、自車が関与しない旨を携帯端末1に無線通信路を通じて通知して、無線通信路を切断する。
【0105】
また、振る舞い決定部2174は、携帯端末1の携帯者3が実行しようとしている振る舞い予定に対して、自車が関与すると判断したときには、自車が手動運転モードであって、運転者により、自動運転モードへの切り替えが拒否されていないかどうか判別し、拒否されていると判別したときには、その旨を返信情報生成送信部2175に伝達する。
【0106】
このときには、返信情報生成送信部2175は、携帯端末1の振る舞い予定に対して対応する振る舞いはできない旨を携帯端末1に無線通信路を通じて通知すると共に、自車の現在位置の情報、走行速度及び走行方向の情報及び自車を視認できるようにするための特定用情報及び運転者の属性情報を、携帯端末1に無線通信路を通じて送信する。そして、返信情報生成送信部2175は、その送信後、通信路生成管理部2172に通信路接続要求を伝達する。通信路生成管理部2172は、この通信路接続要求を受けて、携帯端末1との間の無線通信路を切断する。
【0107】
また、振る舞い決定部2174は、携帯端末1の携帯者3が実行しようとしている振る舞い予定に対して、自車が関与すると判断したときには、自車が手動運転モードであって、運転者により、自動運転モードへの切り替えが許可されている場合、また、携帯端末1からの対自動車通信要求の受信時に自車が自動運転モードとなっている場合には、自車を強制自動運転モードに切り替えて、携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いを決定し、その決定した振る舞いを振る舞い制御部218により実行させるようにすると共に、その決定した振る舞いの情報を、返信情報生成送信部2175に伝達する。
【0108】
返信情報生成送信部2175は、このときには、振る舞い決定部2174で決定された携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いの情報と、自車の現在位置の情報、走行速度及び走行方向の情報及び自車を視認により特定できるようにするための特定用情報を、携帯端末1に無線通信路を通じて送信する。
【0109】
確認通信受信確認部2176は、返信情報生成送信部2175により、携帯端末1に対して、振る舞い決定部2174で決定された携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いの情報と、自車の現在位置の情報、走行速度及び走行方向の情報及び自車を視認により特定できるようにするための特定用情報が送信された後、携帯端末1から送られてくる自車の振る舞いについての確認通知を受信したか否かを確認し、確認したときには、振る舞い制御部218にその確認通知を転送して、確実に、決定した振る舞いを実行するように促すようにする。
【0110】
[携帯端末1と自動車2の処理動作の例]
図6~
図9は、この実施形態の携帯端末1の処理動作の流れの例を示すフローチャートである。また、
図10~
図12は、以上説明した実施形態の自動車2の処理動作の流れの例を示すフローチャートである。以下、これらのフローチャートを参照しながら、携帯端末1と、自動車2の処理動作の流れの例について説明する。
【0111】
なお、以下の説明では、携帯端末1においては、制御部101が、
図2に示した各処理ブロックのうち、音声入出力部103、表示制御部104、現在位置検出部106、対自動車通信制御処理部109、経路探索案内部111、音声認識部112、の各処理機能を、プログラムを実行することで行うソフトウェア処理として実現として説明する。また、自動車2においては、制御部201が、
図4に示した各処理ブロックのうち、モータ駆動制御部203、ステアリング駆動制御部204、運転モード切替制御部205、周囲状況把握部209、現在位置検出部210、カーナビ機能部213、走行速度及び方向検出部215、対端末通信制御処理部217、振る舞い制御部218、の各処理機能を、プログラムを実行することで行うソフトウェア処理として実現した場合として説明する。
【0112】
<携帯端末1の処理動作例>
図6は、携帯端末1の対自動車通信制御処理部109が主として実行する処理動作の全体の流れの例を説明するためのフローチャートである。前述したように、以下の説明では各ステップの実行主体は携帯端末1の制御部101として説明する。なお、以下に説明する例では、携帯端末1は、歩行者ナビと自転車ナビとに対応している場合として説明するが、前述した車椅子ナビにも対応するように構成することもできることは言うまでもない。
【0113】
制御部101は、携帯端末1において、歩行者案内ナビゲーション(以下、ナビゲーションはナビと略称する)の動作中であるか否か判別する(ステップS101)。歩行者案内ナビの動作中ではないと判別したときには、制御部101は、自転車ナビの動作中であるか否か判別する(ステップS102)。ステップS102で、自転車ナビの動作中ではないと判別したときには、制御部101は、携帯者3により対自動車通信要求の入力操作が操作入力部124を通じてなされたか否か判別する(ステップS103)。そして、このステップS103で、対自動車通信要求の入力操作がなされてはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降を繰り返す。
【0114】
ステップS101で、歩行者案内ナビの動作中であると判別したときには、制御部101は、現在位置を検出し(ステップS104)、その検出した現在位置が、歩行者案内ナビにおいて設定されている対自動車通信要求の発信トリガー位置であるか否か判別する(ステップS105)。このステップS105で、対自動車通信要求の発信トリガー位置ではないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS101に戻して、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0115】
また、ステップS105で、対自動車通信要求の発信トリガー位置であると判別したときには、制御部101は、後述の
図7及び
図8に処理例の流れを示す対自動車通信処理を実行し(ステップS108)、その終了を確認したら(ステップS109)、処理をステップS101に戻して、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0116】
また、ステップS102で、自転車ナビの動作中であると判別したときには、制御部101は、現在位置を検出し(ステップS106)、その検出した現在位置が、自転車ナビにおいて設定されている対自動車通信要求の発信トリガー位置であるか否か判別する(ステップS107)。このステップS107で、対自動車通信要求の発信トリガー位置ではないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS101に戻して、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0117】
また、ステップS107で、対自動車通信要求の発信トリガー位置であると判別したときには、制御部101は、後述の
図7及び
図8に処理例の流れを示す対自動車通信処理を実行し(ステップS108)、その終了を確認したら(ステップS109)、処理をステップS101に戻して、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0118】
なお、携帯端末1が車椅子ナビにも対応している場合には、現在位置を検出し、その検出した現在位置が、車椅子ナビにおいて設定されている対自動車通信要求の発信トリガー位置であるか否か判別し、その判別結果に応じて上述の歩行者ナビや自転車ナビの場合と同様の処理をするものである。
【0119】
さらに、ステップS103で、対自動車通信要求の入力操作がなされたと判別したときには、制御部101は、後述の
図7及び
図8に処理例の流れを示す対自動車通信処理を実行し(ステップS108)、その終了を確認したら(ステップS109)、処理をステップS101に戻して、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0120】
次に、
図6のステップS108における対自動車通信処理の処理例の流れを、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0121】
制御部101は、対自動車無線通信部108を通じて対自動車通信要求を送出し(ステップS111)、この対自動車通信要求に対する自動車からの応答情報を受信したか否かを判別する(ステップS112)。このステップS112で、自動車からの応答情報を受信しなかったと判別したときには、制御部101は、無線通信路を生成せずに、通信可能な自動車は存在しない旨を表示部123の表示画面を通じて表示すると共に、スピーカ122を通じて音声により報知する(ステップS113)。もちろん、表示部123の表示画面に表示をしないことをもって、通信可能な自動車は存在しない旨を報知するようにしてもよい。そして、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。
【0122】
また、ステップS112で、自動車からの応答情報を受信したと判別したときには、制御部101は、当該応答した自動車(以下、応答自動車と称する)との間に無線通信路を生成する(ステップS114)。そして、制御部101は、携帯端末1の現在地の位置情報と、歩行中であるかまたは自転車走行中であるかの情報と、携帯者3の振る舞い予定の情報とを含む送信情報を生成し、応答自動車に対して無線通信路を通じて送信する(ステップS115)。このとき、ステップS115で、生成する送信情報には、前述したように、携帯者3の歩行速度の情報、車椅子移動速度の情報、または自転車走行速度の情報と、移動方向の情報をも併せて送信情報に含めるようにしてもよい。
【0123】
制御部101は、次に、応答自動車からの返信情報を受信して、その返信情報の内容を解析する(ステップS116)。そして、制御部101は、応答自動車が、携帯者3の振る舞い予定に関与するか否かを判別し(ステップS117)、関与しないと判別したときには、ステップS114で生成した無線通信路を切断する(
図8のステップS121)。そして、制御部101は、対自動車通信要求を再送出し(ステップS122)、自動車からの応答情報を受信したか否か判別し(ステップS123)、応答情報を受信したと判別したときには、処理を
図7のステップS114に戻し、このステップS114以降の処理を繰り返す。
【0124】
また、ステップS123で、自動車からの応答情報を受信しないと判別したときには、携帯者3の振る舞い予定に対応する自動車2は存在しない旨を表示部123の表示画面を通じて表示すると共に、スピーカ122を通じて音声により報知する(ステップS124)。もちろん、表示部123の表示画面に表示をしないことをもって、通信可能な自動車は存在しない旨を報知するようにしてもよい。そして、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。
【0125】
また、ステップS117で、応答自動車が、携帯者3の振る舞い予定に関与すると判別したときには、制御部101は、応答自動車が携帯者3の振る舞い予定に対応する振る舞いをしてくれるか否か判別する(ステップS118)。
【0126】
そして、このステップS118で、応答自動車が携帯者3の振る舞い予定に対応する振る舞いをしてはくれないと判別したときには、制御部101は、応答自動車は、携帯者3の振る舞い予定に対応する振る舞いはしない旨を表示部123の表示画面を通じて表示すると共に、スピーカ122を通じて音声により携帯者3に報知する(ステップS119)。すなわち、このステップS119では、携帯者3の振る舞い予定に対応する振る舞いをしない応答自動車であっても、その応答自動車の返信情報には、当該応答自動車の現在位置情報と、当該応答自動車の特定用情報と、運転者の属性情報と、走行速度及び走行方向の情報とが送られてくるので、制御部101は、それらの情報に基づいて、自分の位置を表示している地図上において、その応答自動車の位置及び動きを表示すると共に、その特定用情報を表示画面上で及び/またはスピーカ122を通じて携帯者3に報知するようにする。
【0127】
これにより、携帯者3は、自分が実行しようとしている振る舞い予定を優先してくれる振る舞いをしてはくれない自動車ではあるものの、自分の振る舞い予定に関与する自動車の存在を知ると共に、その自動車が現在何処にあって、また、どのような車で、どのような属性の運転者が運転をしているかを知ることができるので、当該自動車に注意しながら、自分の振る舞い予定を実行することができるようになる。
【0128】
もちろん、応答自動車の返信情報には、当該応答自動車が緊急車両(救急車、消防車、パトカー等)かどうかの情報を入れることもできる。応答自動車が緊急車両の場合、その旨を表示画面上で及び/またはスピーカ122を通じて携帯者3に報知するようにすることで、携帯者3は、自分が実行しようとしている振る舞い予定を優先せず、当該緊急車両の動きを優先させることができ、当該緊急車両の通過後、自分の振る舞い予定を実行するようにできる。
【0129】
このステップS119の次には、制御部101は、処理を
図8のステップS121に進め、無線通信路を切断した後、ステップS122で、対自動車通信要求を再送出して、携帯者3の振る舞い予定に応答した振る舞いをしてくれる自動車の応答が可能とするようにするための処理(ステップS122以降の処理)を繰り返すようにする。なお、無線通信路が切断されることで、応答自動車の現在位置が送られてこなくなるが、走行速度及び走行方向が送られてきているので、最後の現在位置から、走行速度及び走行方向に応じた移動位置を算出して、地図上には、その自動車の表示を継続することができる。
【0130】
また、ステップS118で、応答自動車が携帯者3の振る舞い予定に対応する振る舞いをしてはくれると判別したときには、制御部101は、携帯者3の振る舞い予定に対応して応答自動車が実行する予定の振る舞いを、表示部123の表示画面を通じて表示すると共に、スピーカ122を通じて音声により携帯者3に報知すると共に、当該応答自動車の情報を表示画面を通じて表示すると共に、スピーカ122を通じて音声により報知する(ステップS120)。応答自動車の返信情報には、当該応答自動車の現在位置情報と、当該応答自動車の特定用情報と、運転者の属性情報と、走行速度及び走行方向の情報とが送られてくるので、このステップS120においても、制御部101は、それらの情報に基づいて、自分の位置を表示している地図上において、その応答自動車の位置及び動きを表示すると共に、その特定用情報を表示画面上で及び/またはスピーカ122を通じて携帯者3に報知するようにする。
【0131】
これにより、携帯者3は、自分が実行しようとしている振る舞い予定を優先してくれる振る舞いをしてくれる自動車の存在を知ると共に、その自動車が現在何処にあって、また、どのような車で、どのような振る舞いをしてくれるかを知ることができるので、当該自動車に注意しながら、自分の振る舞い予定を安全に実行することができるようになる。
【0132】
このステップS120で、携帯者3への報知を終了した後には、制御部101は、応答自動車に確認通知を送信する(
図9のステップS131)。なお、前述したように、この確認通知は、携帯者3への報知に対する携帯者3からの確認操作を待って行うようにしても勿論よい。
【0133】
次に、制御部101は、携帯者3の振る舞い予定の実行が終了したか否か判別する(ステップS132)。この携帯者3の振る舞い予定の実行の終了は、振る舞い予定が行われる位置または所定のエリアを携帯者3が通過したか否かにより判別される。このステップS132で、携帯者3の振る舞い予定の実行が終了してはいないと判別したときには、制御部101は、現在位置検出部106で検出された携帯端末1の現在位置の情報と、対自動車無線通信部108を通じて受信した応答自動車2の現在位置の情報とから、表示部123の表示画面に表示されている自端末の位置と、応答自動車の位置を更新するようにする(ステップS133)。そして、制御部101は、処理をステップS132に戻し、このステップS132以降の処理を繰り返す。
【0134】
ステップS132で、携帯者3の振る舞い予定の実行が終了したと判別したときには、制御部101は、応答自動車に無線通信路を通じて携帯者の振る舞い終了通知を送信する(ステップS134)。そして、制御部101は、応答自動車との間の無線通信路を切断して(ステップS135)、この処理ルーチンを終了する。
【0135】
[自動車2の処理動作例]
図10~
図12は、この実施形態の自動車2の対端末通信制御処理部217が主として実行する処理動作の流れの例を示すフローチャートである。前述したように、以下の説明では各ステップの実行主体は自動車2の電子制御回路部20の制御部201として説明する。
【0136】
制御部201は、携帯端末1からの対自動車通信要求の受信を検知したか否か判別し(ステップS201)、受信を検知しないと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS202)、その処理の終了後、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
【0137】
ステップS201で、携帯端末1からの対自動車通信要求の受信を検知したと判別したときには、制御部201は、対自動車通信要求を発信してきた携帯端末1に、対自動車通信要求に対する応答情報を送り、当該携帯端末1との間に通信路を生成する(ステップS203)。
【0138】
ステップS203の次には、制御部201は、携帯端末1からの携帯者3の振る舞い予定情報を受信して、解析する(ステップS204)。そして、制御部201は、その解析結果から、携帯端末1からの振る舞い予定情報で示される携帯者3の振る舞い予定が、自車の振る舞いに関与する(影響する)か否か判別する(ステップS205)。
【0139】
ステップS205で、振る舞い予定情報で示される携帯者3の振る舞い予定が、自車の振る舞いに関与しない(影響がない)と判別したときには、制御部201は、携帯者3の振る舞い予定に関与しない旨を携帯端末1に送信し(ステップS206)、その後、無線通信路を切断して(ステップS207)、この処理ルーチンを終了する。
【0140】
ステップS205で、振る舞い予定情報で示される携帯者3の振る舞い予定が、自車の振る舞いに関与する(影響する)と判別したときには、制御部201は、自車は自動運転モードしか有しない自動運転車であるか否か判別する(
図11のステップS211)。
【0141】
ステップS211で、自車は、自動運転モードしか有しない自動運転車ではないと判別したときには、制御部201は、自動運転モード中か否か判別する(ステップS212)。このステップS212で、自動運転モード中ではないと判別したときには、制御部201は、自動運転モードへの切り替えが許可されているか否か判別する(ステップS213)。このステップS213では、例えば運転者に、「携帯端末1から通信要求があるので、自動運転モードに切り替えてよいか」と問い合わせて、その問い合わせに対して、自動運転モードへの切り替えの許可を運転者が回答してきたか否かを判別する。なお、予め、運転者により、自動運転モードへの切り替えを許可するか否かの設定入力が自動車2に対して行われている場合には、その設定入力を参照して、自動運転モードへの切り替えが許可されているか否か判別する。
【0142】
また、ステップS213で、自動運転モードへの切り替えが許可されていない(運転者が切替を拒否)と判別したときには、制御部201は、携帯者3の振る舞い予定に対して対応する振る舞いはできないと決定し(ステップS214)、その旨の情報と、自車の現在位置の情報と、走行速度及び走行方向の情報と、自車を視認できるようにするための特定用情報と、運転者の属性情報とを含む返信情報を生成し、携帯端末1に無線通信路を通じて送信する(ステップS215)。次に、制御部201は、無線通信路を切断して(ステップS216)、この処理ルーチンを終了する。
【0143】
そして、ステップS211で、自車は、自動運転モードしか有しない自動運転車であると判別したとき、また、ステップS212で、自動運転モード中であると判別したとき、さらに、ステップS213で、自動運転モードへの切り替えが許可されていると判別したときには、制御部201は、自車を強制自動運転モードに切り替え、その旨を運転者にスピーカ226を通じて報知する(
図12ステップS221)。
【0144】
そして、制御部201は、携帯者の振る舞い予定に対応する自車の振る舞いを決定し(ステップS222)、その決定した自車の振る舞いの情報(当該振る舞いを強制自動運転モードで実行する旨を含む)と、自車の現在位置の情報と、走行速度及び走行方向の情報と、自車を視認できるようにするための特定用情報とを含む返信情報を生成して、対自動車通信要求を発信してきた携帯端末1に送る(ステップS223)。
【0145】
そして、制御部201は、携帯端末1からの確認通知の受信を待ち(ステップS224)、確認通知の受信を判別したときには、決定した自車の振る舞いを実行するように、振る舞い制御部218に伝達する(ステップS225)。
【0146】
次に、制御部201は、携帯端末1からの振る舞いの実行終了通知の受信を待ち(ステップS226)、実行終了通知を受信したと判別したときには、携帯端末1との間の無線通信路を切断する(ステップS227)。そして、制御部201は、手動運転モードへの切替禁止を解除し(ステップS228)、表示部211の表示画面を通じて、また、スピーカ226による放音音声により、対端末通信による振る舞い処理終了を運転者に通知する(ステップS229)。そして、制御部201は、この処理ルーチンを終了する。
【0147】
[通信制御の他の例]
上述の実施形態では、携帯端末1と、自動車2とが1対1で通信するようにしたが、次のようにすることで、携帯端末1からの対自動車通信要求に対して、複数台の自動車2からの返信情報を携帯端末1が取得することができるようにすることもできる。
【0148】
すなわち、この例では、携帯端末1は、ブロードキャストあるいはマルチキャストにより対自動車通信要求を送出し、その送出が終了したら、自動車2からの返信情報のアクセスを待つようにする。この場合には、対自動車通信要求には、携帯端末1の現在位置情報及び携帯者の振る舞い予定の情報が含まれる。この対自動車通信要求を受信した自動車2は、自車が携帯者の振る舞い予定に関与するか否かを判別し、関与すると判別したときには、返信情報を生成して、その返信情報を、携帯端末1が取得するまで携帯端末1に対して発信するようにする。
【0149】
携帯端末1では、対自動車通信要求に対して送られてきた自動車からの返信情報のそれぞれを、携帯者3に対して通知するようにする。この場合に、携帯端末1の表示画面に表示する地図上には、返信情報を送ってきた自動車のそれぞれの位置を、その特定用情報の表示と共に表示するようにする。
【0150】
このようにすれば、携帯端末1は、対自動車通信要求に含まれる携帯者3の振る舞い予定に関与する自動車の全てからの返信情報を受信して、それぞれの自動車の振る舞いを、携帯者3に通知することが可能になる。
【0151】
また、上述の実施形態の場合には、携帯端末1と無線通信が可能である自動車の位置しか地図上には表示しなかったが、次のようにすることで、携帯端末1との無線通信機能を有しない自動車の位置をも、その特徴(属性)を含めて携帯者3に通知できる。
【0152】
すなわち、携帯端末1からの対自動車通信要求に対する自動車からの返信情報に、自車のカメラ群で撮影した自車の前後左右の周囲の撮影画像を含めて携帯端末1に送信する。携帯端末1は、受信した撮影画像を解析して、その撮影画像に含まれる自動車を認識し、撮影画像を送ってきた自動車の現在位置及び走行方向から、その認識した自動車の位置を推定する。この場合に、無線通信可能な自動車が、複数台、存在する場合には、携帯端末1では、その複数台の自動車からの撮影画像の認識結果と、それら撮影画像を送ってきた自動車の現在位置及び走行方向とを用いることで、より精度良く、無線通信機能を備えない自動車の位置を検出するようにすることができる。
【0153】
携帯端末1では、その検出した無線通信機能を備えない自動車の位置をも、自動車2に加えて地図上に表示することで、携帯者3は、自分の周辺の交通状況を把握しながら、自分の振る舞い予定を実行することができるようになる。
【0154】
[携帯者の振る舞い予定に対する、対自動車通信要求に基づく自動車の振る舞いの例]
以下の説明では、便宜上、全ての自動車が、実施形態の対端末通信制御処理部217を有するものとして説明する。なお、当該対端末通信制御処理部217を搭載していない自動車とは、実施形態の携帯端末1は、通信ができないので、その自動車は、携帯者の振る舞い予定に対応して振る舞いを決定してくれる対象車から排除するようにする。
【0155】
図13の例は、携帯端末1を所持する携帯者3が、道路7の右側に沿って歩行中である場合において、進行方向の前方にある側路6をそのまま直進して横断する動作を振る舞い予定とする場合である。
図13の例では、道路7には、携帯者3の進行方向と同方向を進行方向として走行している3台の自動車2A,2B,2Cが存在している。
【0156】
この場合において、携帯者3が保持している携帯端末1から、側路6の手前の所定の位置において、対自動車通信要求が送出されると、その対自動車通信要求は、3台の自動車2A,2B,2Cの全てが受信可能であり、それぞれ応答して無線通信路を生成するようにする。しかし、自動車2Aは、既に側路6を通過した位置を走行中であるため、携帯者3の側路6の横断という振る舞い予定に関与することはないので、その旨の通知を、携帯端末1に返信して、無線通信路を切断するようにする。また、2車線の道路7の追い越し車線側を走行中の自動車2Cは、側路6の位置を通過して直進をするように予定しているので、同様に、携帯者3の側路6の横断という振る舞い予定に関与することはない。そのため、自動車2Cも、携帯者3の振る舞い予定に関与しない旨の通知を携帯端末1に送って、無線通信路を切断する。
【0157】
自動車2Bは、この例では、道路7から側路6に進入するように左折する予定である。このため、自動車2Bは、携帯者3の振る舞い予定に関与と判断し、この例では、強制自動運転モードで携帯者3の側路6の横断を優先するように、例えば側路6側に左折する手前のところで停止して、携帯者3の横断が終了するまで待つという振る舞いを行うと決定し、その旨及び自車の位置及び自車の特定用情報を携帯端末1に返信する。
【0158】
すると、携帯端末1は、表示画面及びスピーカを通じて、自動車2Bが携帯者3の振る舞い予定を優先する振る舞いをしてくれることを携帯者3に通知すると共に、当該自動車2Bが現在、どこを走行中であって、視認する上でどのような特徴を有する自動車であるかを通知する。このため、携帯端末1を所持する携帯者3は、自動車2Bを視認し、その動き振る舞いを確認しながら、側路6を安全に横断することができる。
【0159】
図14の例は、携帯端末1を所持する携帯者3が、建物BL1と建物BL2との間から、片側1車線の道路8の側に出て、横断歩道を
図14において左側から右側に渡るという振る舞い予定をしている場合の例である。この例では、道路8には、横断歩道の道路標識はあるが、信号機は設置されていない。道路8の右側車線8Rには、3台の自動車2D,2E,2Fが走行中であり、左側車線8Lには、2台の自動車2G、2Hが走行中である。
【0160】
そして、この
図14の例では、携帯端末1は、対自動車通信要求を例えばブロードキャストで送出し、複数の自動車2からの返信の全てを順次に取得することができる場合としている。
【0161】
この場合において、建物BL1と建物BL2との間に居る携帯者3が保持している携帯端末1から、対自動車通信要求が送出されると、その対自動車通信要求は、5台の自動車2D,2E,2F,2G,2Hの全てが受信可能であり、それぞれ応答して無線通信路を生成するようにする。しかし、自動車2Fは、既に横断歩道を通過した位置を走行中であるため、携帯者3の横断歩道を渡るという振る舞い予定に関与することはないので、その旨を含む返信情報を、携帯端末1に返信して、無線通信路を切断するようにする。
【0162】
また、道路8の右側車線8Rを走行している自動車2Eと、左側車線8Lを走行している自動車2Gは、携帯者3の横断という振る舞い予定に関与しているが、横断歩道に近づきすぎていて、急ブレーキをかけなければ横断歩道の手前で停止することができないと判断して、携帯者3の振る舞い予定を優先するように対応する振る舞いができないとしてその旨を含む返信情報を携帯端末1に対して返信し、その後、無線通信路を切断するようにする。
【0163】
そして、道路8の右側車線8Rを走行している自動車2Eと、左側車線8Lを走行している自動車2Gは、携帯者3の横断という振る舞い予定に関与しており、携帯者3の振る舞い予定を優先するように対応する振る舞いができると判断して、その旨を含む返信情報を、携帯端末1に対して返信し、その後、無線通信路を切断するようにする。
【0164】
この例の携帯端末1は、5台の自動車2D,2E,2F,2G,2Hの全てからの返信情報を取得する。そして、それらの受信した返信情報には、それぞれの自動車2D,2E,2F,2G,2Hの現在位置と、特定用情報と、走行速度及び走行方向の情報とが含まれているので、携帯端末1は、それらを用いて表示画面の地図上に、自動車2D,2E,2F,2G,2Hのそれぞれを表示する。そして、さらに、携帯端末1は、それぞれの自動車の携帯者3の横断に対する振る舞いについても、表示画面を通じて、及び/またはスピーカ122を通じて携帯者3に通知するようにする。
【0165】
したがって、携帯者3は、携帯端末1の表示画面やスピーカ122からの放音音声による通知を参照しながら、自分が行おうとしている横断歩道の横断という振る舞い予定を、安全に実行することができる。もちろん、横断歩道の横断という振る舞い予定に限らず、横断歩道のない道路の横断という振る舞い予定や、駐車場の出入り口や駅のロータリーなどの車の動きが予測しづらい場所における通行という振る舞い予定にも適用し、これらの自分が行おうとしている振る舞い予定も安全に実行することができる。
【0166】
[その他の実施形態又は変形例]
なお、自動車2は、緊急の用事があるなどの理由で、携帯者3からの対自動車通信要求に対して、できるだけ応答したくない場合を考慮して、上記の機能を停止しておくことができるように構成するようにしてもよい。その場合には、自動車2は、要求を受けたときには、要求に対応できない旨を携帯端末1に対して送信して、通信路を切断するようにする。
【0167】
なお、上述の実施形態では、自動車は、携帯端末1からの対自動車通信要求を受けたときに、自動車が手動運転モードで運転中のときには、運転者に自動運転モードへの切り替えを許可するか否かを問い合わせて、許可が得られなかったときには、対自動車通信要求に対して対応しないようにした。しかしながら、歩行者などの携帯者3が、高齢者、乳幼児を帯同している者、障碍者、車椅子利用者、小学生あるいは小学校入学前の幼児などの交通安全上の弱者である場合には、常に、対自動車通信要求に対して対応するように自動車2を構成するようにしてもよい。
【0168】
すなわち、手動運転モードで走行中でも、それらの交通安全上の弱者からの対自動車通信要求に対しては、運転者に問い合わせることなく、強制的に通常自動運転モードまたは強制自動運転モードに切り替えて、当該交通安全上の弱者の振る舞い予定を優先する振る舞いをするように構成する。この場合には、対自動車通信要求には、要求する携帯者3の属性情報として、前記の弱者の情報を含めるようにして、自動車が、それを確認することができるようにする。
【0169】
また、自動車が、所定の短い時間内(例えば30秒以内)に、2以上の所定の台数の携帯端末からの対自動車通信要求を受けたときには、自動車が手動運転モードで運転中のときに、運転者が自動運転モードへの切り替えをそれまで許可しなかった場合でも、安全性の観点から、強制的に通常自動運転モードまたは強制自動運転モードへ切り替え、対自動車通信要求に対して対応するように自動車2を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…携帯端末、2…自動車、3…携帯者、20…自動車の電子制御回路部、106…現在位置検出部、108…対自動車無線通信部、109…対自動車通信制御処理部、202…無線通信部、205…運転モード切替制御部、210…現在位置検出部、217…対端末通信制御処理部、218…振る舞い制御部