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特開2023-26623エソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウムを含む、優れた溶解特性を備えた薬学的製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026623
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】エソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウムを含む、優れた溶解特性を備えた薬学的製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20230216BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20230216BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61K47/02
A61K9/16
A61K9/50
A61K9/20
A61K9/28
A61P1/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000551
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2021507902の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0098744
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518208484
【氏名又は名称】チョン クン ダン ファーマシューティカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジョン ソ
(72)【発明者】
【氏名】キム ミン スー
(72)【発明者】
【氏名】パク シン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リム ジョン レ
(57)【要約】
【課題】本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤、並びにその調製方法に関する。
【解決手段】本発明は、炭酸水素ナトリウムが先に崩壊されてpHを上昇させ、その後にオメプラゾールが溶出されるようにすることで、有効成分の溶解特性を改善し、薬物の溶出パターン及び生物学的利用能を向上させた薬学的製剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤において、
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩が、ペレットまたは顆粒の形態であり、
前記製剤を溶液中に溶解させるとき、炭酸水素ナトリウムがオメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩よりも先に溶出されることを特徴とする、薬学的製剤。
【請求項2】
前記ペレットまたは顆粒が、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して、30重量%以下の炭酸水素ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項3】
前記ペレットまたは顆粒が、コーティング剤でコーティングされ、また炭酸水素ナトリウムを含まないことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項4】
前記コーティング剤が、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項3に記載の薬学的製剤。
【請求項5】
前記製剤をフロースルーセル(flow through cell)溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比が1未満であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項6】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が20分以内であることを特徴とする、請求項5に記載の薬学的製剤。
【請求項7】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が5~15分であることを特徴とする、請求項6に記載の薬学的製剤。
【請求項8】
前記製剤を単回投薬した後、50分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項9】
前記製剤を単回投薬した後、45分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項8に記載の薬学的製剤。
【請求項10】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項11】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項12】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム三水和物であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項13】
(a)コアにオメプラゾール、その鏡像異性体または薬学的に許容される塩を含む1次コーティング液でコーティングして、1次コーティング物を調製するステップと、
(b)前記1次コーティング物を、コーティング剤を含む2次コーティング液でコーティングして、2次コーティング物を調製するステップと、
(c)前記2次コーティング物を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(d)前記混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠を3次コーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤の調製方法。
【請求項14】
前記コーティング剤が、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項13に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項15】
ステップ(c)において、炭酸水素ナトリウムを湿式顆粒した後、コーティング物と混合することを特徴とする、請求項13に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項16】
(a)オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を、炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(b)前記混合物に結合液を練合して練合物を得るステップと、
(c)前記練合物を炭酸水素ナトリウムと混合して、最終混合物を得るステップと、
(d)前記最終混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠をコーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含み、前記ステップ(a)に混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、炭酸水素ナトリウムの全重量に対して0~75重量%である、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む、薬学的製剤の調製方法。
【請求項17】
前記ステップ(a)に混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、炭酸水素ナトリウムの全重量に対して30重量%以下であることを特徴とする、請求項16に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項18】
(a)オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(b)前記混合物を強打して強打物を得るステップと、
(c)前記強打物を炭酸水素ナトリウムと混合して、最終混合物を得るステップと、
(d)前記混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠をコーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む、薬学的製剤の調製方法。
【請求項19】
前記製剤をフロースルーセル溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比が1未満であることを特徴とする、請求項13ないし18のいずれか一項に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項20】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が20分以内であることを特徴とする、請求項19に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項21】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が5~15分であることを特徴とする、請求項20に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項22】
前記製剤を単回投薬した後、50分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項13ないし18のいずれか一項に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項23】
前記製剤を単回投薬した後、45分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項22に記載の薬学的製剤の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体または薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤、並びにその調製方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、炭酸水素ナトリウムが先に溶解されてpHを上昇させ、その後にエソメプラゾールが溶出されるようにすることで、有効成分の溶解特性を改善し、薬物の溶出パターン及び生物学的利用能を向上させた薬学的製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
オメプラゾール(Omeprazole)の化学名は、5-メトキシ-2-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)メチル]スルフィニル-1H-ベンズイミダゾールである。オメプラゾールは、二つの異性体、すなわち、R-異性体及びS-異性体として存在し、S-異性体がR-異性体に比べて、治療効果と副作用の面で著しく優れていることが知られている。前記S-異性体は、(S)-5-メトキシ-2-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)-メチル]スルフィニル-1H-ベンズイミダゾールであり、一般的にはエソメプラゾール(esomeprazole)と呼ばれる。
【0003】
エソメプラゾールは、消化不良、消化性潰瘍疾患(peptic ulcer disease)、胃食道逆流性疾患(gastroesophageal reflux disease)及びゾリンジャー・エリソン症候群(Zollinger-Ellison syndrome)などの治療に用いられる代表的なプロトンポンプ阻害剤(proton pump inhibitor;PPI)である。
【0004】
オメプラゾール、特にエソメプラゾールは、酸性媒質において分解または変形されやすいことが当業界によく知られており、より具体的には、pH値が3以下である水溶液中におけるエソメプラゾールの分解半減期は10分未満であることが知られている。従って、エソメプラゾールの分解は、酸性化合物によって促され、水分、熱、有機溶媒及び光による影響も受ける。従って、安定したエソメプラゾール製剤が切望されており、安定性の問題を解決するために、特許文献1には、エソメプラゾールマグネシウム塩を含むペレットを調製して、これを腸溶コーティングした後、賦形剤を添加して錠剤に製剤化する方法が開示されている。前記方法により調製された製剤は、ネキシウム(Nexium)という商品名で現在市販されている。
【0005】
しかしながら、ネキシウムなどの腸溶コーティング錠の場合、胃において直ちに吸収されず、腸で溶解及び吸収されるように設計されているため、胃酸関連疾患のように投薬した後、即時の治療効果が求められる疾患の治療には適していない。
【0006】
特許文献2には、酸化マグネシウムとポビドンで固体分散体剤型を調製することにより、オメプラゾールの安定性と物性の問題を改善した腸溶コーティング錠及びカプセル剤が開示されている。
【0007】
特許文献3には、オメプラゾールを有効成分とし、安定化成分としてβ-シクロデキストリン及び水酸化ナトリウムを添加して、固体分散体剤型を調製する方法が開示されている。しかしながら、前記特許に記載の発明は、人体に有害な水酸化ナトリウムを用いるという問題がある。固体分散体を調製する過程は、有効成分であるオメプラゾールを溶媒中に溶解させるプロセスを含んでいるため、このプロセス中にオメプラゾールを安定化させるためには、水酸化ナトリウムのような特殊な安定化剤が必要である。
【0008】
これらの問題を解決するために、特許文献4には、オメプラゾールの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)のような緩衝剤を使用する方法が開示されている。しかしながら、前記特許に記載の発明は、オメプラゾールと緩衝剤として炭酸水素ナトリウムを同時に含む複合製剤が開示されているのみで、胃液においてオメプラゾールがこれらの複合製剤から崩壊及び溶出されてくるとき、オメプラゾールが分解されるという問題を解決できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0384960号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1104349号公報
【特許文献3】韓国特許第10-1996-0003605号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-0679767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、オメプラゾールが低いpHにおいて不安定であるといった問題を解決すると共に、胃液において直ちに溶出され、迅速な効果を示す薬学的製剤を提供することを目的とした。
【0011】
従って、本発明者らは、オメプラゾールと炭酸水素ナトリウムを含む複合製剤において、これらの有効成分の溶出パターンを調節することで、酸性である胃液のpHが中和された後、直ちにオメプラゾールが溶出されてくる製剤を開発し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤において、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩は、ペレットまたは顆粒の形態であり、前記製剤を溶液中に溶解させるとき、炭酸水素ナトリウムがオメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩よりも先に溶解されることを特徴とする薬学的製剤を提供する。
【0013】
本発明において、「ペレット」は、球状白糖に活性成分または賦形剤を含むコーティング液を噴霧して調製されてもよい。
【0014】
本発明において、「顆粒」は、結合液を利用した湿式顆粒法を用いるか、あるいは結合液を利用しない乾式顆粒法を用いて調製されてもよい。
【0015】
一実施形態において、前記ペレットまたは顆粒は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して、30%以下の炭酸水素ナトリウムを含んでいてもよい。好ましくは、オメプラゾールが顆粒状で存在し、湿式顆粒法で調製される場合、前記オメプラゾール顆粒は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して、30%以下の炭酸水素ナトリウムを含んでいてもよい。
【0016】
一実施形態において、前記ペレットまたは顆粒は、コーティング剤でコーティングされ、また炭酸水素ナトリウムを含まなくてもよい。
【0017】
他の実施形態において、前記コーティング剤は、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0018】
また、本発明は、前記製剤をフロースルーセル(flow through cell;FTC)溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比が1未満である薬学的製剤を提供する。
【0019】
具体的には、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩は、pH5.0、好ましくはpH6.0、さらに好ましくはpH6.5以上の環境下で安定するので、溶液がpH6.5に到達した後、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の濃度が最高になることが好ましい。
【0020】
本発明のフロースルーセル溶出試験法は、USP apparatus4の固形製剤の溶出試験法に規定されており、薬物がセル(cell)内に固定され、試験液がセル(cell)を通過する溶出試験法であって、試験液のpHを即時変更することができるので、生体内(in-vivo)条件と同様のシンク条件(sink condition)を維持しながら、薬物の溶解速度を確認できる溶出試験法を意味する。
【0021】
また、本発明は、前記製剤をフロースルーセル溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が20分以内である薬学的製剤を提供する。好ましくは、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が5~15分であってもよい。
【0022】
また、本発明は、前記製剤を単回投薬した後、50分以内に胃内pHが増加する薬学的製剤を提供する。好ましくは、単回投薬した後、45分以内に胃内pHが増加してもよい。
【0023】
本発明において、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールであってもよい。
【0024】
また、本発明において、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム塩であってもよい。
【0025】
また、本発明において、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム三水和物であってもよい。
【0026】
本発明は、(a)コアにオメプラゾール、その鏡像異性体または薬学的に許容される塩を含む1次コーティング液でコーティングして、1次コーティング物を調製するステップと、
(b)前記1次コーティング物を、コーティング剤を含む2次コーティング液でコーティングして、2次コーティング物を調製するステップと、
(c)前記2次コーティング物を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(d)前記混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠を3次コーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤の調製方法を提供する。一実施形態において、ステップ(c)の炭酸水素ナトリウムは、湿式顆粒化した後、コーティング物と混合される。他の実施形態において、前記コアは、球状白糖であってもよい。
【0027】
本発明のコーティング剤は、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0028】
本発明は、また、(a)オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を、炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(b)前記混合物に結合液を練合して練合物を得るステップと、
(c)前記練合物を炭酸水素ナトリウムと混合して、最終混合物を得るステップと、
(d)前記最終混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠をコーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含み、前記ステップ(a)に混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して0~75重量%以下である、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤の調製方法を提供する。好ましくは、前記ステップ(a)に混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して30重量%以下である。
【0029】
本発明は、また、(a)オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(b)前記混合物を強打して強打物を得るステップと、
(c)前記強打物を炭酸水素ナトリウムと混合して、最終混合物を得るステップと、
(d)前記最終混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠をコーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤の調製方法を提供する。
【0030】
本発明は、前記製剤をフロースルーセル溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比が1未満である薬学的製剤の調製方法に関する。
【0031】
また、本発明は、前記製剤をフロースルーセル溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が20分以内である薬学的製剤の調製方法に関する。好ましくは、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が5~15分であってもよい。
【0032】
また、本発明は、前記製剤を単回投薬した後、50分以内に胃内pHが増加する薬学的製剤の調製方法を提供する。好ましくは、単回投薬した後、45分以内に胃内pHが増加してもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含み、炭酸水素ナトリウムが先に溶解され、オメプラゾールの分解を防ぐように溶解パターンが調整された薬学的製剤に関する。
【0034】
本発明は、オメプラゾールと炭酸水素ナトリウムの複合製剤において、溶液中で炭酸水素ナトリウムが先に溶解されて溶液のpHを上昇させ、その後にオメプラゾールが溶出されるようにすることにより、オメプラゾールの分解を防いで薬物の生物学的利用能を高め、投薬後20分以内にオメプラゾールが最大溶出率を示すことで直ちに効果を示すことができる薬学的製剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施例1の時間経過に伴う溶出率及びpHの変化を示すグラフである。
図2】実施例3の時間経過に伴う溶出率及びpHの変化を示すグラフである。
図3】実施例4の時間経過に伴う溶出率及びpHの変化を示すグラフである。
図4】試験薬及び対照薬の単回投薬後のpHの平均値を示すグラフである。
図5】試験薬及び対照薬の反復投薬後のpHの平均値を示すグラフである。
図6】エソメプラゾール顆粒内の炭酸水素ナトリウムの含有量に応じた溶出率の割合を示すグラフである。
図7】エソメプラゾール顆粒内の炭酸水素ナトリウムの含有量に応じた溶出率AUC(曲線下面積)の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものにすぎず、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
[実施例1]
エソメプラゾールと炭酸水素ナトリウムの複合錠剤の調製(ペレット)
以下の調製方法に従って実施例1の錠剤を調製した。
【0038】
1.1次ペレットコーティング
精製水とヒドロキシプロピルセルロースを入れて溶解させた後、アルギニン、シメチコン、エソメプラゾールマグネシウム三水和物(エソメプラゾールとして20~40mg)、酸化マグネシウム及びタルクを入れて分散させ、1次コーティング液を調製した。流動層コーティング機に球状白糖を入れ、1次コーティング液を噴霧して1次ペレットコーティング工程を行った(1次コーティング物)。
【0039】
2.2次ペレットコーティング
調製タンクに精製水、ポリビニルアルコール、タルク、酸化チタン、グリセロールモノカプリロカプレート、ラウリル硫酸ナトリウムを入れて分散させ、2次コーティング液を調製した。流動層コーティング機に前記1次コーティング物を入れ、2次コーティング液を噴霧して2次ペレットコーティング工程を行った(2次コーティング物)。
【0040】
3.後混合(単純混合法)
前記2次コーティング物をミキサーに入れ、炭酸水素ナトリウム(800mg)を入れる。そのとき、水分含有量に応じて精製水を含んでいてもよい。ここに、さらにコポビドン、クロスポビドン、及びフマル酸ステアリルナトリウムを入れて混合した(最終混合物)。
【0041】
4.打錠
最終混合物を打錠機で打錠した(裸錠)。
【0042】
5.3次コーティング
調製タンクにポリビニルアルコール、タルク、酸化チタン、グリセロールモノカプリロカプレート、ラウリル硫酸ナトリウム、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、及び精製水を入れて溶解させ、3次コーティング液を調製した。コーティング機に前記裸錠を入れ、3次コーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得た。
【0043】
[実施例2]
エソメプラゾールと炭酸水素ナトリウムの複合錠剤の調製(ペレット)
前記実施例1の調製方法に基づいて実施例2の錠剤を調製し、前記調製方法において、ステップ3の後混合工程では、単純混合の代わりに湿式顆粒工程を経た。
【0044】
3.後混合(湿式顆粒法)
別途容器にコポビドンと水で結合液を調製した後、炭酸水素ナトリウム(800mg)と練合し、乾燥して練合物を調製した。その後、ミキサーに前記練合物と2次コーティング物を入れ、コポビドン、クロスポビドン、フマル酸ステアリルナトリウムを入れて混合した(最終混合物)。
【0045】
[実施例3]
エソメプラゾールと炭酸水素ナトリウムの複合錠剤の調製(湿式顆粒)
以下の調製方法に基づいて実施例3の錠剤(エソメプラゾール20~40mg、炭酸水素ナトリウム800mg)を調製した。
【0046】
1.混合
エソメプラゾールマグネシウム三水和物、微結晶セルロース、及び炭酸水素ナトリウムを入れて高速ミキサー(High Speed Mixer)で混合した。
【0047】
2.練合
精製水にヒドロキシプロピルセルロースを入れて溶解させ、結合液を調製した。前記混合物に結合液を入れて練合した。
【0048】
3.最終混合及び滑沢
ミキサーに前記練合物、炭酸水素ナトリウム、コポビドン、クロスカルメロオスナトリウムを入れて混合した後、フマル酸ステアリルナトリウムを入れて滑沢し、最終混合物を調製した。
【0049】
4.打錠及びコーティング
最終混合物を打錠機で打錠した(裸錠)。調製タンクにポリビニルアルコール、酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク及び精製水を入れて溶解させた。コーティング機に前記裸錠を入れてコーティングし、乾燥してコーティング錠を得た。
【0050】
[実施例4]
エソメプラゾールと炭酸水素ナトリウムの複合錠剤の調製(乾式顆粒)
以下の調製方法に基づいて実施例4の錠剤(エソメプラゾール20~40mg、炭酸水素ナトリウム800mg)を調製した。
【0051】
1.混合及び滑沢
エソメプラゾールマグネシウム三水和物、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、クロスポビドンを入れて混合した後、フマル酸ステアリルナトリウムを入れて滑沢した混合物を得た。
【0052】
2.強打
前記混合物を強打機で強打した。
【0053】
3.最終混合及び滑沢
前記強打物、炭酸水素ナトリウム、コポビドン、クロスポビドンを入れて混合した後、フマル酸ステアリルナトリウムを入れて滑沢して、最終混合物を調製した。
【0054】
4.打錠及びコーティング
最終混合物を打錠機で打錠した(裸錠)。調製タンクにヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール、及び精製水を入れて溶解させた。コーティング機に前記裸錠を入れてコーティングし、乾燥してコーティング錠を得た。
【0055】
[試験例1]
錠剤の比較溶出試験
前記で調製された実施例1、3、及び4の錠剤(エソメプラゾール20mg/炭酸水素ナトリウム800mg)について溶出試験を行った。溶出試験及び分析条件は、以下のとおりである。
【0056】
<溶出試験条件>
1)溶出法:韓国薬局方第3法(Flow Through Cell法)
2)溶出液:pH1.2→pH4.0→pH6.8
3)溶出温度:37±0.5℃
4)流速:2mL/min
5)試験時間:pH1.2(15分)→pH4.0(15分)→pH6.8(30分)
6)cellサイズ:22.4mm
【0057】
<HPLC分析条件>
1)検出器:紫外吸光光度計(測定波長:302nm)
2)カラム:Capcell Pak C18(4.6×150mm、5μm)またはそれに相当するカラム
3)注入量:20μL
4)流量:1.0mL/分
5)カラム温度:30℃前後の一定温度
6)サンプル温度:10℃前後の一定温度
7)移動相:アセトニトリル、pH7.3緩衝液*及び水の混合液(350:500:150)
*pH7.3緩衝液は、1mol/Lのリン酸二水素ナトリウム溶液10.5mLと0.5mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液60mLをそれぞれ取り、1Lの容量フラスコに入れ、精製水で標線した液である
【0058】
前記溶出試験の結果、エソメプラゾールの濃度(ng/mL)及び溶液のpH変化の結果を下記表1及び図1ないし3に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
前記表1及び図1ないし3に示すように、実施例1、3、及び4の錠剤において、エソメプラゾールの最高濃度に到達する時間は、それぞれ約10分(実施例1)、約5分(実施例3)、約5分(実施例4)であり、pH6.5に到達する時間は、いずれも5分未満であることが確認された。従って、実施例1、3、及び4の錠剤において、オメプラゾールの最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比は、いずれも1未満であることが確認された。
【0061】
ただし、最大エソメプラゾール濃度が実施例1において最も高いことが確認されたが、これは、酸性条件下で容易に分解されるエソメプラゾールの特性上、炭酸水素ナトリウムが先に溶解され、胃酸が中和された後にエソメプラゾールが迅速に溶解される溶解パターンからして、最も優れた薬効を示すことが分かる。従って、実施例1の錠剤は、投薬後2.5~5.0分の間に、最初にpH6.5に達し、10分後には最大エソメプラゾール濃度に至るので、最も優れた溶解パターンを示すことが分かる。
【0062】
最終的には、炭酸水素ナトリウムは迅速に崩壊される必要があり、この場合でも、炭酸水素ナトリウムが崩壊され、一定時間の後にエソメプラゾールが溶解されて最大濃度に達するようにすることで、優れた効果を示すようになる。
【0063】
[試験例2]
エソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウムの複合剤の臨床試験結果
実施例1の錠剤(エソメプラゾール20mg/炭酸水素ナトリウム800mg)とネキシウム錠(D027 20mg)を、健康な成人を対象に、単回投薬及び反復投薬した後、薬物動態的及び薬力学的な特性と安全性を比較評価するために、ランダムに割り当て、公開、反復投薬、2×2クロスオーバー設計で下記表2のように行った。
【0064】
【表2】

T:実施例1の錠剤1錠、空腹時に1日1回ずつ7日間反復経口投与
R:D027 20mg1錠、空腹時に1日1回ずつ7日間反復経口投与
【0065】
すべての対象者は、午前の同じ時間に臨床試験用医薬品(RまたはT)を服用し、約1時間後に決められた標準食事(700~800kcal、脂肪5~25%含有)を開始して20分以内に食事を終了するようにした。
【0066】
対象者は、第1期にbaseline 24時間のpHモニタリング(monitoring)を行った後、第1期の1日目から、それぞれ割り当てられた群に基づいて、臨床試験用医薬品を1日1回ずつ、合計7日間の投薬を受けた。対象者全員は、臨床試験用医薬品の投薬後、約1時間後に決められた標準食事を開始して20分以内に終了するようにした。
【0067】
単回投薬後の24時間pHモニタリング及び薬物動態採血は、第1期の1日目に、反復投薬後の24時間pHモニタリング及び薬物動態採血は、第1期の7日目に行い、対象者全員は、8日目に退院した。その後、第1期の最終投薬から7日以上の休薬期を設けた後、再び入院して第2期の臨床試験を行った。
【0068】
単回投薬後及び反復投薬後における分単位pH平均値を図4及び5に示した。図4に示すように、実施例1の錠剤を単回投薬した後には、約30分経過した時点からpHが増加しており、それに対して、対照薬を単回投薬した後には、1時間が経過した時点からpHが増加することを確認した。
【0069】
また、図5に示すように、実施例1の錠剤を反復投薬した後には、約20分経過した時点からpHが増加しており、それに対して、対照薬を反復投薬した後には、30分経過した時点からpHが徐々に増加することを確認した。
【0070】
つまり、試験例1から確認されたように、実施例1の錠剤は、投薬時に胃内のpHを迅速に上昇させることが分かる。
【0071】
[試験例3]
エソメプラゾール顆粒内の炭酸水素ナトリウム含有量に応じた比較溶出率試験
エソメプラゾール顆粒内に含まれる炭酸水素ナトリウムの適切な重量%を確認するために、以下の試験を行った。
【0072】
前記実施例3の調製方法に基づいて、実施例5~10の錠剤を調製するが、実施例3のステップ<1.混合>において、炭酸水素ナトリウムは、錠剤全体の炭酸水素ナトリウム(800mg)の重量に対して、エソメプラゾール顆粒の調製の際に0、10、30、40、50、及び75重量%の炭酸水素ナトリウムを含む錠剤を調製した。前記調製された実施例5~10の錠剤に対する溶出試験を行い、溶出試験及び分析条件は、以下のとおりである。
【0073】
<溶出試験条件>
1)溶出法:韓国薬局方第3法(Flow Through Cell法)
2)溶出液:pH1.2→pH4.0
3)溶出温度:37±0.5℃
4)流速:2mL/min
5)試験時間:pH1.2(15分)→pH4.0(30分)
6)cellサイズ:22.4mm
【0074】
<HPLC分析条件>
1)検出器:紫外吸光光度計(測定波長:302nm)
2)カラム:Capcell Pak C18(4.6×150mm、5μm)またはそれに相当するカラム
3)注入量:20μL
4)流量:1.0mL/分
5)カラム温度:30℃前後の一定温度
6)サンプル温度:10℃前後の一定温度
7)移動相:アセトニトリル、pH7.3緩衝液*及び水の混合液(350:500:150)
*pH7.3緩衝液は、1mol/Lのリン酸二水素ナトリウム溶液10.5mLと0.5mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液60mLをそれぞれ取り、1Lの容量フラスコに入れ、精製水で標線した液である
【0075】
前記溶出試験の結果を表3、図6及び図7に示した。
【0076】
【表3】
【0077】
前記表3に示すように、錠剤全体の炭酸水素ナトリウムの重量(800mg)に対して、30重量%を超えるの炭酸水素ナトリウムを顆粒内に含んでいる実施例8~10は、AUCが減少することを確認した。従って、錠剤全体の炭酸水素ナトリウムの重量(800mg)に対して、30重量%以下の炭酸水素ナトリウムを顆粒内部に用いることが適していることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤において、
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩が、ペレットまたは顆粒の形態であり、
前記製剤を溶液中に溶解させるとき、炭酸水素ナトリウムがエソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩よりも先に溶出され
前記ペレットまたは顆粒が、前記製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して、30重量%以下の炭酸水素ナトリウムを含み、
前記エソメプラゾールまたはその薬学的に許容される塩が、前記薬学的錠剤中にエソメプラゾールとして20mg~40mg含まれ、炭酸水素ナトリウムが、前記薬学的錠剤中に800mg含まれることを特徴とする、薬学的製剤。
【請求項2】
前記ペレットまたは顆粒が、コーティング剤でコーティングされ、また炭酸水素ナトリウムを含まないことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項3】
前記コーティング剤が、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項4】
前記製剤をフロースルーセル(flow through cell)溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比が1未満であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項5】
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が20分以内であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項6】
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が5~15分であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項7】
前記製剤を単回投薬した後、50分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項8】
前記製剤を単回投薬した後、45分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項9】
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項10】
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム三水和物であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項11】
(a)コアにエソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩を含む1次コーティング液でコーティングして、1次コーティング物を調製するステップであって、前記エソメプラゾールまたはその薬学的に許容される塩の量がエソメプラゾールとして20mg~40mgであるステップと、
(b)前記1次コーティング物を、コーティング剤を含む2次コーティング液でコーティングして、2次コーティング物を調製するステップと、
(c)前記2次コーティング物を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(d)前記混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠を3次コーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含む、エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤の調製方法であって、
前記エソメプラゾールまたはその薬学的に許容される塩が、前記製剤中にエソメプラゾールとして20mg~40mg含まれ、炭酸水素ナトリウムが、前記製剤中に800mg含まれる、薬学的製剤の調製方法
【請求項12】
前記コーティング剤が、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項13】
ステップ(c)において、炭酸水素ナトリウムを湿式顆粒した後、コーティング物と混合することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項14】
(a)エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩を、炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(b)前記混合物に結合液を練合して練合物を得るステップと、
(c)前記練合物を炭酸水素ナトリウムと混合して、最終混合物を得るステップと、
(d)前記最終混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠をコーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含み、前記ステップ(a)に混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、炭酸水素ナトリウムの全重量に対して30重量%以下である、エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む、薬学的製剤の調製方法であって、
前記エソメプラゾールまたはその薬学的に許容される塩が、前記製剤中にエソメプラゾールとして20mg~40mg含まれ、炭酸水素ナトリウムが、前記製剤中に800mg含まれる、薬学的製剤の調製方法
【請求項15】
(a)エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(b)前記混合物を強打して強打物を得るステップと、
(c)前記強打物を炭酸水素ナトリウムと混合して、最終混合物を得るステップと、
(d)前記混合物を打錠し、裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠をコーティング液でコーティングした後、乾燥してコーティング錠を得るステップと、
を含み、前記ステップ(a)に混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、炭酸水素ナトリウムの全重量に対して30重量%以下であるエソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む、薬学的製剤の調製方法であって、
前記エソメプラゾールまたはその薬学的に許容される塩が、前記製剤中にエソメプラゾールとして20mg~40mg含まれ、炭酸水素ナトリウムが、前記製剤中に800mg含まれる、薬学的製剤の調製方法
【請求項16】
前記製剤をフロースルーセル溶出試験法でpH1.2溶液中に溶解させるとき、エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間に対して、前記溶液がpH6.5に到達する時間の比が1未満であることを特徴とする、請求項1ないし1のいずれか一項に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項17】
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が20分以内であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項18】
前記エソメプラゾールたはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が5~15分であることを特徴とする、請求項17に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項19】
前記製剤を単回投薬した後、50分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項1ないし1のいずれか一項に記載の薬学的製剤の調製方法。
【請求項20】
前記製剤を単回投薬した後、45分以内に胃内pHが増加することを特徴とする、請求項19に記載の薬学的製剤の調製方法。