(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026661
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】調節可能なエネルギーモダリティを有する超音波外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20230216BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20230216BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20230216BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61B17/32 510
A61B18/12
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023001046
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2019564437の分割
【原出願日】2018-05-18
(31)【優先権主張番号】62/509,336
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/967,775
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ノット・キャメロン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ソーニー・アムリタ・エス
(57)【要約】
【課題】調節可能なエネルギーモダリティを有する超音波外科用器具を提供する。
【解決手段】超音波外科用器具において、コントローラが、超音波ブレードの第1の超音波周波数を測定し、第1の超音波周波数を測定した後に、超音波ブレードの第2の超音波周波数を測定し、超音波ブレードの測定された第1の超音波周波数と第2の超音波周波数との間の周波数パラメータ変化を計算し、超音波ブレードの周波数パラメータ変化を、複数の所定のデータ相関に基づいてブレード温度に相関させ、それによってブレード温度の判定をし、ブレード温度を上限温度に制限するために、超音波エネルギーの少なくとも1つのパワーパラメータを調整する、ように構成されている。超音波外科用器具の顎部は複数のRF電極を備え、複数のRF電極にRFエネルギーが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波外科用器具であって、
(a)第1の構成から第2の構成に作動するように構成されているエンドエフェクタであって、
(i)組織に超音波エネルギーを選択的に印加するように構成されている超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に位置決めされており、かつ開放位置と閉鎖位置との間で移動するように構成されている顎部であって、前記開放位置にある前記顎部及び前記超音波ブレードが、前記組織を受容するように構成されており、前記閉鎖位置にある前記顎部及び前記超音波ブレードが、前記組織をクランプするように構成されている、顎部と、を含む、エンドエフェクタと、
(b)前記エンドエフェクタから近位に突出しているシャフトアセンブリと、
(c)前記シャフトアセンブリから近位に突出している本体であって、前記超音波ブレードに動作可能に接続されたエネルギー入力部を含む、本体と、
(d)前記超音波ブレードに動作可能に接続されているコントローラであって、前記コントローラが、前記超音波ブレードの測定された超音波周波数における変化を前記超音波ブレードのブレード温度と相関させる複数の所定のデータ相関を含むメモリを有し、前記コントローラが、
前記超音波ブレードの第1の超音波周波数を測定し、
前記第1の超音波周波数を測定した後に、前記超音波ブレードの第2の超音波周波数を測定し、
前記超音波ブレードの測定された前記第1の超音波周波数と前記第2の超音波周波数との間の周波数パラメータ変化を計算し、
前記超音波ブレードの前記周波数パラメータ変化を、前記複数の所定のデータ相関に基づいて前記ブレード温度に相関させ、それによって前記ブレード温度の判定をし、
前記ブレード温度を上限温度に制限するために、前記超音波エネルギーの少なくとも1つのパワーパラメータを調整する、
ように構成されている、コントローラと、を備え、
前記顎部が複数のRF電極を備え、前記複数のRF電極にRFエネルギーが提供される、超音波外科用器具。
【請求項2】
前記メモリが、所定の周波数パラメータ閾値を更に含み、前記コントローラが、前記超音波エネルギーの少なくとも1つの電力パラメータを調節するように、かつ前記ブレード温度を前記上限温度に制限するために、前記超音波ブレードの前記測定された超音波周波数を前記所定の周波数パラメータ閾値に制限するように構成されている、請求項1に記載の超音波外科用器具。
【請求項3】
前記複数の所定のデータ相関に基づいて、前記周波数パラメータ変化をリアルタイムで現在のブレード温度に相関させるように構成されている、請求項1に記載の超音波外科用器具。
【請求項4】
前記現在のブレード温度が、前記上限温度まで増加していない場合、前記周波数パラメータ変化を繰り返し前記現在のブレード温度に相関させるように構成されている、請求項3に記載の超音波外科用器具。
【請求項5】
少なくとも2つの超音波周波数測定の間の差によって、経時的に超音波周波数の勾配を監視するように更に構成されている、請求項1に記載の超音波外科用器具。
【請求項6】
前記複数のRF電極は、前記RFエネルギーの低動作温度において、血管を封止する、請求項1に記載の超音波外科用器具。
【請求項7】
前記第1の構成は開放構成であり、前記第2の構成は閉鎖構成であり、前記顎部は前記開放構成における開放位置から前記閉鎖構成における閉鎖位置に枢動するように構成されている、請求項6に記載の超音波外科用器具。
【請求項8】
前記超音波ブレードは枢動しない、請求項7に記載の超音波外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年5月22日に出願された、米国仮特許出願第62/509,336号、名称「Control Algorithm for Surgical Instrument with Ultrasonic and Electrosurgical Modalities」に対する優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
超音波外科用器具は、超音波エネルギーを正確な切断及び制御された凝固の両方の目的で利用する。超音波エネルギーは、組織と接触しているブレードを振動させることによって切断及び凝固させる。例えば、約55.5キロヘルツ(kHz)の周波数で振動させて、超音波ブレードは、組織内のタンパク質を変性させて、粘着性凝塊を形成する。ブレード表面で組織上に及ぼす圧力は、血管を圧潰し、凝塊が止血封止を形成することを可能にする。切断及び凝固の精度は、例えば、外科医の技術、並びに電力レベル、ブレードの刃、組織牽引、及びブレード圧力の調節によって制御され得る。
【0003】
超音波外科用デバイスの例としては、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesが挙げられ、これらはいずれもEthicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製である。かかるデバイス及び関連する概念の更なる例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1994年6月21日に発行された、米国特許第5,322,055号、名称「Clamp Coagulator/Cutting System for Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年2月23日に発行された、米国特許第5,873,873号、名称「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Mechanism」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、1999年11月9日に発行された、米国特許第5,980,510号、名称「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Arm Pivot Mount」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2001年9月4日に発行された、米国特許第6,283,981号、名称「Method of Balancing Asymmetric Ultrasonic Surgical Blades」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2001年10月30日に発行された、米国特許第6,309,400号、名称「Curved Ultrasonic Blade having a Trapezoidal Cross Section」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2001年12月4日に発行された、米国特許第6,325,811号、名称「Blades with Functional Balance Asymmetries for use with Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2002年7月23日に発行された、米国特許第6,423,082号、名称「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2004年8月10日に発行された、米国特許第6,773,444号、名称「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2004年8月31日に発行された、米国特許第6,783,524号、名称「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2011年11月15日に発行された、米国特許第8,057,498号、名称「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2013年6月11日に発行された、米国特許第8,461,744号、名称「Rotating Transducer Mount for Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年11月26日に発行された、米国特許第8,591,536号、名称「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2014年1月7日に発行された、米国特許第8,623,027号、名称「Ergonomic Surgical Instruments」、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年1月28日に公開された、米国特許出願公開第2016/0022305号、名称「Ultrasonic Blade Overmold」において開示されている。
【0004】
電気外科用器具は組織を封止するために電気エネルギーを利用し、両極又は単極動作用に構成可能な遠位に設けられたエンドエフェクタを一般に含む。両極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及びリターン電極によって組織を通して与えられる。単極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及び患者の身体上に別個に位置するリターン電極(例えば、接地パッド)によって組織を通して与えられる。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成する場合があり、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用な場合がある。電気外科用装置のエンドエフェクタはまた、組織に対して可動である切断部材、及び組織を離断するための電極を含んでもよい。
【0005】
電気外科用デバイスによって印加される電気エネルギーを、器具と結合する発電機によって器具へと伝達することができる。電気エネルギーは、無線周波数(「radio frequency、RF」)エネルギーの形態であってもよく、これは、概して、およそ300キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲内の電気エネルギーの形態である。使用中、電気外科用デバイスは、組織を通して、かかるエネルギーを伝達することができ、これによってイオン撹拌又は摩擦、事実上抵抗加熱をもたらし、それによって組織の温度が増加する。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が形成されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高度な正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は彫刻しつつ同時に血管を封止する上で有用であり得る。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成され、かつ熱に接触した際に収縮する結合組織に対して特に良好に作用する。
【0006】
RF電気外科用デバイスの一例は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)によるENSEAL(登録商標)Tissue Sealing Deviceである。電気外科用デバイス及び関連する概念の更なる例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年12月31日に発行された、米国特許第6,500,176号、名称「Electrosurgical Systems and Techniques for Sealing Tissue」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年9月26日に発行された、米国特許第7,112,201号、名称「Electrosurgical Instrument and Method of Use」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年10月24日に発行された、米国特許第7,125,409号、名称「Electrosurgical Working End for Controlled Energy Delivery」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月30日に発行された、米国特許第7,169,146号、名称「Electrosurgical Probe and Method of Use」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月6日に発行された、米国特許第7,186,253号、名称「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月13日に発行された、米国特許第7,189,233号、名称「Electrosurgical Instrument」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年5月22日に発行された、米国特許第7,220,951号、名称「Surgical Sealing Surfaces and Methods of Use」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月18日に発行された、米国特許第7,309,849号、名称「Polymer Compositions Exhibiting a PTC Property and Methods of Fabrication」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月25日に発行された、米国特許第7,311,709号、名称「Electrosurgical Instrument and Method of Use」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月8日に発行された、米国特許第7,354,440号、名称「Electrosurgical Instrument and Method of Use」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年6月3日に発行された、米国特許第7,381,209号、名称「Electrosurgical Instrument」において開示される。
【0007】
電気外科用デバイス及び関連する概念の付加的な例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年1月27日に発行された、米国特許第8,939,974号、名称「Surgical Instrument Comprising First and Second Drive Systems Actuatable by a Common Trigger Mechanism」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月20日に発行された、米国特許第9,161,803号、名称「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年3月29日に公開された、米国特許出願公開第2012/0078243号、名称「Control Features for Articulating Surgical Device」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年8月2日に発行された、米国特許第9,402,682号、名称「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年7月28日に発行された、米国特許第9,089,327号、名称「Surgical Instrument with Multi-Phase Trigger Bias」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月17日に発行された、米国特許第9,545,253号、名称「Surgical Instrument with Contained Dual Helix Actuator Assembly」、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月21日に発行された、米国特許第9,572,622号、名称「Bipolar Electrosurgical Features for Targeted Hemostasis」において開示される。
【0008】
いくつかの器具は、単一の外科用デバイスを通じて超音波及びRFエネルギー処理能力を提供し得る。かかるデバイス並びに関連する方法及び概念の例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年3月4日に発行された、米国特許第8,663,220号、名称「Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年5月21日に公開された、米国特許出願公開第2015/0141981号、名称「Ultrasonic Surgical Instrument with Electrosurgical Feature」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月5日に公開された、米国特許出願公開第2017/0000541号、名称「Surgical Instrument with User Adaptable Techniques」において開示される。
【0009】
超音波電気外科用デバイスの組み合わせを含む、様々なタイプの超音波外科用器具及び電気外科用器具が、作製及び使用されているが、本発明者(ら)に先だって本明細書において説明されるような発明を作製又は使用した者はいないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】シャフトアセンブリと、超音波発生器に動作可能に接続されたハンドルアセンブリと、を含む、例示的な超音波外科用器具の概略図を図示する。
【
図2A】患者の組織を受容するための開放構成にあるエンドエフェクタを示す、
図1の超音波外科用器具のエンドエフェクタの側面図を図示する。
【
図2B】
図2Aのエンドエフェクタの側面図を図示するが、エンドエフェクタは、患者の組織をクランプするための閉鎖構成にある。
【
図3】
図1の超音波外科システムのブレード温度を制御する高レベルの方法のフローチャートを図示する。
【
図4】
図3のブレード温度を制御する方法の変形形態のフローチャートを図示する。
【
図5】超音波周波数キャップを有する、
図4の変形形態の超音波エネルギーの超音波周波数のグラフを図示する。
【0011】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0013】
I.例示的な外科用システム
図1は、外科用器具(12)と、ケーブル(16)を介して結合された発電機(14)と、を含む、外科用システム(10)の一実施例を示す。外科用器具(12)は、近位に位置決めされ、またハンドピースとして称され得る、ハンドルアセンブリ(18)と、遠位に位置決めされたエンドエフェクタ(20)と、それらの間に延在するシャフトアセンブリ(22)と、超音波トランスデューサ(24)と、を有する。エンドエフェクタ(20)は、概して、超音波ブレード(28)に対して枢動可能に接続され、下記でより詳細に考察されるように、開放構成の開放位置から閉鎖構成の閉鎖位置に枢動するように構成されたクランプアーム(26)を含む。超音波ブレード(28)は、超音波ブレード(28)に超音波エネルギーを提供するための音響導波管(図示せず)を介して超音波トランスデューサ(24)と音響的に結合される。加えて、エンドエフェクタ(20)は、臨床医によって所望される際、組織を開放位置又は閉鎖位置のいずれかにおいて接触させるために、それに沿って位置決めされた複数のRF電極(30)を更に含む。発電機(14)は、超音波ブレード(28)及びRF電極(30)に動作可能に接続して、超音波エネルギー及びRFエネルギーを超音波ブレード(28)及びRF電極(30)にそれぞれ提供して、それによって使用される組織を切断及び/又は封止する。
【0014】
いくつかの変形形態では、クランプアーム(26)は、2つ以上の電極(30)を有する。いくつかのかかる変形形態では、クランプアームの電極(30)は、組織に双極RFエネルギーを印加することができる。いくつかのかかる変形形態では、超音波ブレード(28)は、電気的に中性のままであり、そのため超音波ブレード(28)は、RF回路の一部ではない。いくつかの他の変形形態では、超音波ブレード(28)は、RF回路の一部を形成し、そのため超音波ブレード(28)は、クランプアーム(26)の1つ又は2つ以上の電極(30)と協働して、双極RFエネルギーを組織に印加する。あくまで一例として、クランプアーム(26)のいくつかの変形形態は、RFエネルギーのためのアクティブ極として機能する1つの電極(30)を有してもよく、一方で、超音波ブレード(28)は、RFエネルギーのリターン極を提供する。このため、「電極(30)」という用語は、クランプアーム(26)が、1つの単一電極のみを有する変形形態を含むように読まれるべきである。
【0015】
「近位」及び「遠位」といった用語は、本明細書では、外科用器具(12)を基準として使用されていることを理解されたい。このため、エンドエフェクタ(20)は、より近位にあるハンドルアセンブリ(18)に関して遠位である。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「上部」及び「下部」といった空間的用語が、図面に関して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。同様に、「器具」及び「デバイス」、並びに「制限」及び「キャップ」などの用語は、互換的に使用されてもよい。
【0016】
A.例示的な発電機
図1を参照すると、発電機(14)は、超音波エネルギー及びRFエネルギーの両方を用いて、外科用器具(12)の組み合わせを駆動する。発電機(14)は、本実施例において外科用器具(12)とは別個に示されているが、代替的に、発電機(14)は、外科用器具(12)と一体的に形成されて、一体型外科用システムを形成してもよい。発電機(14)は、概して、発電機(14)の前面パネル(34)上に位置する入力デバイス(32)を含む。入力デバイス(32)は、発電機(32)の動作をプログラムするのに好適な信号を生成する任意の好適なデバイスを有し得る。例えば、動作中、臨床医は、(例えば、発電機内に含有された1つ又は2つ以上のプロセッサによって)入力デバイス(32)を使用して発電機(32)の動作をプログラムするか、又は別様に制御して、発電機(14)の動作(例えば、超音波発電機駆動回路(図示せず)及び/又はRF発電機駆動回路(図示せず)の動作)を制御することができる。
【0017】
様々な形態では、入力デバイス(32)は、汎用又は専用のコンピュータへのボタン、スイッチ、サムホイール、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンモニタ、ポインティングデバイス、リモート接続のうちの1つ又は2つ以上を含む。他の形態では、入力デバイス(32)は、タッチスクリーンモニタ上に表示される1つ又は2つ以上のユーザインターフェーススクリーンなどの好適なユーザインターフェースを有してもよい。したがって、臨床医は、超音波及びRF発電機駆動回路(図示せず)により生成された駆動信号又は複数の信号の電流(I)、電圧(V)、周波数(f)、及び/又は期間(T)などの、発電機の様々な動作パラメータを設定又はプログラムすることができる。具体的には、本実施例では、発電機(32)は、必ずしも限定されないが、超音波エネルギーのみ、RFエネルギーのみ、並びに超音波及びRFエネルギーの組み合わせを含む外科用器具(10)に様々な電力状態を送達するように構成され、かつ同時に、超音波ブレード(28)及びRF電極(30)に電力を供給する。入力デバイス(32)は、発電機(14)の動作をプログラムするのに好適な信号を生成する任意の好適なデバイスを有してもよく、本明細書に示され、説明される入力デバイス(32)に無用に限定されるべきではないことが理解されるであろう。
【0018】
あくまで一例として、発電機(14)は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.社(Cincinnati、Ohio)により販売されるGEN04又はGEN11を含み得る。加えて又は代替として、発電機(14)は、その開示が本明細書に参考として組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0087212号、名称「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」(2011年4月14日公開)の教示のうちの少なくともいくつかに従って構築され得る。
【0019】
B.例示的な外科用器具
図1に示される本実施例の外科用器具(10)は、複数のエネルギー入力部を含み、このエネルギー入力部は、本明細書では、上部ボタン(36)、下部ボタン(38)、及び側部ボタン(40)とより具体的に呼ばれる。例として、上部ボタン(36)は、発電機(14)を指向して、超音波トランスデューサ(24)に最大超音波エネルギー出力で電力供給するように構成され、一方、下部ボタン(38)は、発電機(14)を指向して、より低い超音波エネルギー出力で超音波トランスデューサ(24)に電力を供給するように構成される。更なる例として、側部ボタン(40)は、発電機(14)を指向して、5つの連続信号、及び5つ、4つ、3つ、2つ、又は1つのパルス信号などのパルスエネルギー出力で超音波トランスデューサ(24)に電力を供給するように構成される。1つ又は2つ以上の実施例では、エネルギー入力部によって指向された特定の駆動信号構成は、制御され、並びに/若しくは発電機(14)及び/又はユーザ電力レベル選択(複数可)におけるEEPROM設定に基づいてもよい。更なる例として、外科用器具(10)は、本明細書に記載されるように、超音波及びRFエネルギーを選択的に方向付けるための2ボタン構成を含んでもよい。2ボタン入力構成を有する器具の様々な例は、本明細書に引用される様々な特許参考文献に記載されている。いずれの場合も、本明細書に記載される発明は、任意の形態の入力部がそのように使用され得る限り、特定の入力ボタン、スイッチなどに不必要に限定されることを意図しないことが理解されるであろう。
【0020】
外科用器具(12)は、発電機(14)と通信する第1のデータ回路(42)及び第2のデータ回路(44)を更に含む。例えば、第1のデータ回路(42)は、バーンイン周波数スロープを示す。付加的に又は代替的に、任意のタイプの情報は、データ回路インターフェースを介して(例えば、論理デバイスを使用して)そこに記憶するために第2のデータ回路(42)と通信することができる。かかる情報は、例えば、外科用器具(12)が使用された最新の動作数、並びに/若しくは、その使用の日付及び/又は時間を含んでもよい。他の実施例では、第2のデータ回路(44)は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを伝達してもよい。更に他の実施例では、第2のデータ回路(44)は、発電機(14)からデータを受信し、外科用器具(12)への及び/又は外科用器具(12)から受信したデータに基づいて臨床医に表示(例えば、LED表示又は他の可視表示)を提供してもよい。本実施例では、第2のデータ回路(44)は、超音波ブレード(28)及び/又はRF電極(30)から測定並びに収集されたデータを含む、関連するトランスデューサ(24)及び/又はエンドエフェクタ(20)の電気的並びに/若しくは超音波特性に関する情報を記憶する。
【0021】
この目的のために、本明細書に記載される様々なプロセス及び技術は、内部論理を含む、コントローラ(46)によって実行される。一実施例では、コントローラ(46)は、発電機(14)と、超音波ブレード(28)と、RF電極(30)と、かかるプロセス並びに技術を監視及び実行するために本明細書に記載される他の入力部及び出力部と、通信する少なくとも1つのプロセッサ及び/又は他のコントローラデバイスを有する。一実施例では、コントローラ(46)は、1つ又は2つ以上の入力及び容量性タッチセンサを介して提供されたユーザ入力を監視するように構成されたプロセッサを有する。コントローラ(46)はまた、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの取得を制御及び管理するためのタッチスクリーンコントローラを含んでもよい。
【0022】
図1~2Bを参照すると、ハンドルアセンブリ(18)は、クランプアーム(26)に動作可能に接続されたトリガ(48)を更に含む。トリガ(48)及びクランプアーム(26)は、概して、非作動の開放構成に向かって付勢される。しかしながら、トリガ(48)を選択的に操作することは、クランプアーム(26)を、開放位置から閉鎖位置へと超音波ブレード(28)に向かって近位に枢動させる。本実施例で使用されるように、クランプアーム(26)及び超音波ブレード(28)はまた、概して、外科用器具(12)の上部顎部及び下部顎部と称されてもよい。開放位置において、クランプアーム(26)及び超音波ブレード(28)は、組織を受容するように構成され、一方でクランプアーム(26)は、組織を把持、封止、及び/又は切断するために超音波ブレード(28)に抗して組織をクランプするように構成される。
【0023】
超音波ブレード(28)は、組織を封止及び/又は切断するために超音波的に振動させ、一方でRF電極(30)は、組織に電力を提供する。本実施例のRF電極(30)は全て、超音波ブレード(28)と電気的に同様の電極であり、戻り電極として電気的に接続される。そこで使用されるように、「電極」という用語は、このため、RF電気回路に関してRF電極(30)及び超音波ブレード(28)の両方に適用され得る。組織なしで、RF電極(30)から超音波ブレード(28)への電気回路は、開放され、一方で電気回路は、使用中にRF電極(30)と超音波ブレード(28)との間の組織によって閉鎖される。RF電極(30)は、RFエネルギーを単独で、又は超音波ブレード(28)の超音波起動と組み合わせて印加するために起動され得る。例えば、RFエネルギーを単独で印加するためにRF電極(30)のみを起動させることは、超音波活性化超音波ブレード(28)で組織を不注意に切断することを懸念せずに、スポット凝固のために使用され得る。しかしながら、超音波エネルギーとRFエネルギーとの組み合わせは、診断又は治療効果の任意の組み合わせを達成するように、組織の封止及び/又は切断のために使用され得、その様々な実施例が、以下でより詳細に記載されるであろう。
【0024】
上述したように、発電機(14)は、RFエネルギー及び超音波エネルギーの両方を提供するために単一のポートを通じて電力を送達することができる単一の出力発電機であり、そのためこれらの信号が、組織を切断及び/若しくは封止するためにエンドエフェクタ(20)に別個に又は同時に送達され得る。かかる単一出力ポート発電機(14)は、組織上で実行される特定の治療に応じて、エンドエフェクタ(20)に、RF又は超音波エネルギーのいずれかに関する電力を提供するために、複数のタップを有する単一出力変圧器を有する。例えば、発電機(14)は、超音波トランスデューサ(24)を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためにRF電極(30)を駆動するのに必要とされる低電圧及び高電流で、又は単極若しくは双極電気外科用電極のいずれかを使用するスポット凝固のために凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発電機(14)からの出力波形は、所望の周波数を外科用器具(12)のエンドエフェクタ(20)に提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングすることができる。
【0025】
II.ブレード温度制御
図1の超音波ブレード(28)は、概して、組織への超音波エネルギーの初期適用の際、初期の室温で始まりながら、温度は、特に連続的な使用が比較的短時間にわたると、各連続使用で増加する傾向がある。超音波ブレード(28)の温度の増加は、特に超音波エネルギーに関して本明細書に記載されるような外科用システム(10)を動作させる任意の方法において、一般的に組織の封止及び離断に影響する傾向がある。より具体的には、比較的高い温度は、組織の不注意な離断、更に封止の前に非常に急速に組織を封止又は離断させる可能性を増加させる傾向があり、かつ動作中に考慮されない場合がある。かかる影響は、いくつかの組織治療において些細であり得るが、下記のような超音波エネルギーの1つ又は2つ以上の電気的パラメータに対する調節は、超音波エネルギーの組織への連続的な適用におけるより高い一貫性を提供するために、超音波ブレード(28)の温度を制限するように構成される。超音波ブレード(28)に対するかかる温度制限はまた、比較的高い温度によって損傷され得るクランプアーム(26)のクランプパッドの耐用年数を保つように構成される。
【0026】
本実施例では、
図3は、温度を上限温度に制限するために温度変動による超音波周波数の変化を監視することによって、使用中の
図1の外科用システム(10)の超音波ブレード(28)の温度を、少なくともある程度まで、制御する方法(1110)を示す。臨床医は、初期時間、T
oで工程(1112)において超音波エネルギー及びRFエネルギーをまず起動し、本明細書に記載されるようにエネルギーを組織に印加する。同時に、工程(1114)において、コントローラ(46)は、初期時間、T
oにおいて第1の超音波周波数の測定で超音波ブレード(28)に問い合わせ、かつ第1の超音波周波数測定を記憶する。工程(1114)における第1の超音波周波数測定の後、工程(1116)において、コントローラ(46)は、続く時間T
1で第2の超音波周波数の別の測定で超音波ブレード(28)に再度問い合わせ、第2の超音波周波数測定を記憶する。工程(1118)において、第1及び第2の超音波周波数の各々は、アクセスされ、第1の超音波周波数から第2の超音波周波数への周波数パラメータの変化の計算に適用される。一実施例では、周波数パラメータの変化は、製造中にEEPROM内で測定及び記憶されたベースライン周波数に基づいて計算され得る。
【0027】
工程(1120)において、コントローラ(46)は、計算された周波数パラメータの変化を超音波周波数の以前のデータと比較し、かつ工程(1118)からの計算された周波数パラメータの変化を、現在のブレード温度に相関させる。工程(1122)において、現在のブレード温度に基づいて、コントローラ(46)は、所定の周波数パラメータ変化閾値に到達したことに応じて、超音波エネルギーの出力の少なくとも1つの電力パラメータを調節し、それによって、工程(1124)において、超音波ブレード(28)の現在の温度を制限する。一実施例では、RF及び超音波エネルギーは、組織の離断を阻止し、かつ/又はクランプアーム(26)への損傷を低減しながら、組織が工程(1126)において封止されるまで、調節された電気的パラメータを考慮して印加され続ける。別の実施例では、超音波エネルギーの出力は、終了され、一方でRFエネルギーは、組織が封止されるまで、調節された電気的パラメータを考慮して印加され続ける。組織が封止されると、RFエネルギー及び超音波エネルギーが、終了される。上記の方法(1110)の説明は、超音波エネルギーに関する測定及び調節を含むが、かかる測定及び調節は、超音波エネルギーのみに不必要に限定されることを意図しないことが理解されるであろう。
【0028】
図4は、
図5内の参照番号(1211)によって表現される超音波周波数測定の1つの実施例と共に上で考察される方法(1110)(
図3を参照)のより具体的なバージョン(1210)を示す。本実施例のバージョン(1210)は、工程(1112)において、封止を開始するために超音波及びRFエネルギーの起動で始まり、同時に工程(1114)において、初期超音波周波数を測定する。コントローラ(46)は、次いで工程(1212)において、超音波ブレード(28)の第1の問い合わせ超音波周波数を測定し、工程(1214)において、工程(1114)の初期超音波周波数及び工程(1212)の第1の問い合わせ超音波周波数に基づいて、周波数パラメータ変化の計算が続く。組織離断を阻止するように構成された、ブレード温度と周波数パラメータ変化との所定のデータ相関(1216)が、工程(1218)において、コントローラ(46)によってアクセスされる。これにより、工程(1218)は、所定のデータ相関(1216)に基づいて、工程(1214)の周波数パラメータ変化をリアルタイムでの現在のブレード温度に相関させる。
【0029】
工程(1220)は、工程(1218)からの現在のブレード温度を、超音波ブレード(28)に関する所定の温度限界と比較して、現在のブレード温度が、少なくとも所定の温度まで増加したかどうかを判定する。現在のブレード温度が所定のブレード温度限界まで増加していない場合、工程(1212)から工程(1220)は、現在のブレード温度が少なくとも所定の温度になるまで繰り返しループする。工程(1220)において、現在のブレード温度が少なくとも所定のブレード温度になると、コントローラ(46)は、工程(1222)において、超音波エネルギー上に所定の周波数パラメータ変化閾値を設定する。本実施例では、超音波周波数(1211)は、
図5に示されるように、増加した温度を伴い減少する傾向があり、これは、例示的な所定の周波数パラメータ変化閾値(1223)を識別し、経時的に又は超音波周波数の勾配を少なくとも2つの超音波周波数測定(1211)の間の差によって監視され得る。この設定に応じて、工程(1224)は、超音波エネルギーの少なくとも1つの電力パラメータを調節して、超音波エネルギーを所定の周波数パラメータ変化閾値(1223)に制限し、順に、工程(1226)において、現在のブレード温度を制限して、組織の離断を阻止する。
【0030】
コントローラ(46)は、次いで、工程(1228)において、第2の問い合わせ超音波周波数を測定し、工程(1230)において、組織が封止されているかどうかの判定が続く。組織が封止された場合、コントローラ(46)は、上で考察されるように、工程(1128)において超音波及びRFエネルギーを終了させる。しかしながら、組織がまだ封止されていない場合、コントローラ(46)は、工程(1232)において、第2の問い合わせ超音波周波数が、所定の周波数パラメータ変化閾値(1223)に制限されているかどうかを判定する。第2の問い合わせ超音波周波数が所定の周波数パラメータ変化閾値(1223)に制限されている場合、工程(1228)及び工程(1230)が繰り返される。第2の問い合わせ超音波周波数が、所定の周波数パラメータ変化閾値(1223)を超える場合、工程(1224)及び工程(1226)に従って更に調節及び制限し、続いて工程(1228)及び工程(1230)の反復を繰り返す。工程(1232)に基づくこれらの繰り返しループは、工程(1230)において組織が封止され、続いてRF及び超音波エネルギーが、工程(1128)において終了するまで継続する。
【0031】
更に、1つ又は2つ以上の実施例では、周波数測定(1211)及び/又は周波数勾配に基づく伝達関数はまた、ブレード温度を制御するために、超音波エネルギーの出力を制御するように構成されてもよい。いずれの場合においても、ブレード温度制御はまた、超音波ブレード(28)からクランプアーム(26)への組織にわたる比較的均一な温度変化のためにRF電極(30)を介して組織に印加されるRFエネルギーを更に制御することによって、超音波ブレード(28)とクランプアーム(26)との間の温度差を低減及び/又は最小化するように構成されてもよい。
【0032】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で配置及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0033】
超音波エネルギーを組織に印加するように構成された超音波ブレードを有する外科用器具の超音波ブレード温度を制限する方法であって、(a)超音波ブレードの温度を上限温度に向かって増加させることと、(b)超音波ブレードにおける所定の周波数パラメータ変化閾値に到達することに応じて、超音波エネルギーの少なくとも1つの電力パラメータを調節することと、(c)超音波ブレードの温度を上限温度に制限することと、を含む、方法。
(a)超音波ブレードの第1の超音波周波数を測定することと、(b)第1の超音波周波数を測定した後に、超音波ブレードの第2の超音波周波数を測定することと、(c)超音波ブレードの測定された第1の超音波周波数と第2の超音波周波数との間の周波数パラメータ変化を計算することと、を更に含む、実施例1に記載の方法。