(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002667
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】異なるレベルのセルロースナノ粒子を各々有する層を含む繊維構造物製品
(51)【国際特許分類】
D21H 27/30 20060101AFI20221227BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20221227BHJP
D21H 11/18 20060101ALI20221227BHJP
D04H 1/4274 20120101ALI20221227BHJP
D04H 1/425 20120101ALN20221227BHJP
【FI】
D21H27/30 B
D21H27/00 E
D21H11/18
D04H1/4274
D04H1/425
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166770
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2021529382の分割
【原出願日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】62/771,525
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518460509
【氏名又は名称】マーサー インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲンベイン,トビアス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】柔らかさ、透過性、印刷適性、インク吸収、バリア性、吸収性、および抄紙機/不織布機械信頼性などの他の性能特性を犠牲にせずに、繊維製品の物理的製品性能をさらに最適化する新規繊維構造物を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの層を有する繊維構造物が開示される。少なくとも2つの層の各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維の混合物を有する。少なくとも2つの層の各々は、対向関係で配置される。少なくとも2つの層の第2の層は、第2の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦目およびそれと直角かつ同一平面上の横目を有し、対向関係で接触して配置される少なくとも2つのプライを含む、繊維構造物であって、前記少なくとも2つのプライの各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維の混合物を含み、前記少なくとも2つのプライの第1のプライは、第1の層を含み、前記第1の層は、前記第1の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む、繊維構造物。
【請求項2】
前記第1のプライは、第2の層をさらに含み、前記第2の層は、意図的に加えられたセルロースナノ粒子を含まない、請求項1に記載の繊維構造物。
【請求項3】
前記第1のプライは、第2の層を含み、前記第2の層は、前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、請求項1に記載の繊維構造物。
【請求項4】
前記第1のプライは、第2の層を含み、前記第2の層は、前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と同じ重量のセルロースナノ粒子を含む、請求項1に記載の繊維構造物。
【請求項5】
前記繊維構造物は、第2のプライをさらに含み、前記第2のプライは、第1の層を含み、前記第2のプライの前記第1の層は、前記第2のプライの前記第2の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む、請求項1に記載の繊維構造物。
【請求項6】
前記第2のプライは、第2の層を含み、前記第2のプライの前記第2の層は、前記第2のプライの前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、請求項5に記載の繊維構造物。
【請求項7】
前記第2のプライは、第2の層をさらに含み、前記第2のプライの前記第2の層は、意図的に加えられたセルロースナノ粒子を含まない、請求項5に記載の繊維構造物。
【請求項8】
前記第2のプライは、第2の層を含み、前記第2のプライの前記第2の層は、前記第2のプライの前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、請求項5に記載の繊維構造物。
【請求項9】
前記第2のプライは、第2の層を含み、前記第2のプライの前記第2の層は、前記第2のプライの前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と同じ重量のセルロースナノ粒子を含む、請求項5に記載の繊維構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルロースナノ粒子を含む紙ウェブ製品に関する。より具体的には、製品は、層が不均一なレベルのセルロースナノ粒子を有する、層状紙繊維構造物である。選択された不均一なレベルのセルロースナノ粒子の使用は、製品設計者に、製造された製品のユーザ性能上の利益の最適化におけるさらなる自由度を提供する。
【背景技術】
【0002】
上質紙、印刷用紙、板紙、セメント/繊維複合体、化粧紙、ペーパータオル、バスティッシュ、ナプキン、および他の同様の製品などの紙製品は、各製品タイプに特有のいくつかの重要な特性のバランスをもたらすように設計される。例えば、ティッシュ製品は、良好な嵩、良好な吸収性、柔らかい感触を有するべきであり、かつ良好な強度および耐久性を有するべきである。別の例では、上質印刷用紙は、高い平滑性、最適な白色度、および良好な印刷適性/インク保持性を有するべきである。
【0003】
不運なことに、性能特性のバランスは、一般に限られた配合空間またはボックスに含まれる。製品タイプの中で、製品の1つの特性を増加させる工程が取られると、製品の他の特性はしばしば悪影響を受ける。例えば、ティッシュ製品の製品設計者は、長年、十分な強度を得ようとすると同時に、一般に、より高いレベルのこれらの軟材繊維の精製に起因する、柔らかさ、シート嵩、または吸収性への悪影響を最小限に抑えようとしながら、それらの紙構造物中のより低いレベルの軟材繊維のバランスをとるように試みてきた。
【0004】
別の例では、特にペーパータオル地、ナプキンおよびハンカチのために使用される多用途繊維シートでは、増加した軟材含有量、増加した精製およびカチオン性/アニオン性ポリマ添加が、耐久性要件に要求される強度目標を達成するために必要とされてきた。しかしながら、これらの作用は全て、シート感触および製品吸収性に悪影響を与える可能性がある。
【0005】
商業もしくはオフィス印刷または個人の手書きに使用される印刷用紙のさらに別の例では、インク浸透/吸収性の対応する低下を生じることなく強度を高めることが依然として必要とされている。環境利益が、上質紙製品中のより高い割合のリサイクルパルプおよび/またはより高いレベルのフィラーを推進するため、この必要性は増す。より高い割合のリサイクルパルプ、特に繰り返しリサイクルされたパルプは、繊維の劣化、結果として、製造される紙製品のより低い強度および品質をもたらす。伝統的に、この強度低下は、合成紙力増強添加剤および樹脂の大幅な増加によって補われており、これは次に、しばしば、製品により低いインク吸収性をもたらす。同様に、より高いレベルのフィラーも、合成紙力増強添加剤の大幅な増加および/または精製レベルの増加によって補われ、これは次に、しばしば、印刷紙むけが増加したより低い嵩および/またはより低い性能の紙構造物をもたらす。
【0006】
コストおよびインク吸収性を維持しながら、高い強度および不透過性を有する印刷用紙製品を開発することができる必要性が依然として存在しており、実際には必要性は増している。
【0007】
別の紙区分では、より環境に優しく、堆肥化可能なバリア性に対する必要性もまた存在する。今日では、これらのバリア性は、化学薬品および他の非有機バリアコーティングを使用してのみ達成され得る。目標とする、特定の製品層内でのセルロースナノ粒子の使用は、より高い割合のリサイクル可能なもの、堆肥化可能なものを使用しながら、製品の必要性を満たす構造を作り出すことができ、より高い割合の天然材料を有することができる。
【0008】
同様に、板紙製品も、リサイクルパルプのレベルの増加によって影響されている。例えば、食品貯蔵に使用される板製品は、繊維の強度がより低い場合、強度の低下を引き起こし得るだけでなく、紙構造物のより高い透過性ももたらし得る。この包装透過性の上昇は、より短い製品保存期間をもたらす、製品の抗菌性保護の低下をもたらし得る。伝統的に、これは、高価な合成添加剤の増加によって、またはリサイクル性および堆肥化可能性を妨げる、より厚く、より透過性の低いプラスチックコーティングによって補われる。
【0009】
したがって、柔らかさ、透過性、印刷適性、インク吸収、バリア性、吸収性、および抄紙機/不織布機械信頼性などの他の性能特性を犠牲にせずに、繊維製品の物理的製品性能をさらに最適化する新規繊維構造物が依然として必要とされている。当業者であれば、全ての繊維シート作製プロセスが、セルロースナノ粒子の選択的添加から利益を得ることができることを認識し、そのような構造物の非限定的な例は、従来の抄紙資産、従来の乾式クレープ加工ティッシュ機械、密度差または構造化ティッシュ抄紙プロセス、およびエアレイド(air-laid)抄紙機資産で製造される構造物、ならびに製品である。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、少なくとも2つの層を含む繊維構造物を提供する。少なくとも2つの層の各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維の混合物を含む。少なくとも2つの層の各々は、対向関係で配置される。少なくとも2つの層の第2の層は、第2の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む。
【0011】
本開示は、高アスペクト比ナノフィラメントを含む表面層を有する繊維構造物も提供する。
【0012】
本開示は、縦目およびそれと直角かつ同一平面上の横目を有し、対向関係で接触して配置される少なくとも2つのプライを含む、繊維構造物をさらに提供する。少なくとも2つのプライの各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維の混合物を含む。少なくとも2つのプライの第1のプライは、第1の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む第1の層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の繊維基材の2層の実施形態の例示的断面図である。
【
図2】基材の外層がセルロースナノ粒子を含む、本開示による繊維基材の3層の実施形態の例示的断面図である。
【
図3】基材の内層がセルロースナノ粒子を含む、本開示による繊維基材の3層の実施形態の例示的断面図である。
【
図4】セルロースナノ粒子を含む第1の層が、形成ワイヤ面上に形成された層である、本開示による、示された形成ワイヤ上に作製された繊維基材の2層の実施形態の例示的断面図である。
【
図5】セルロースナノ粒子を含む第1の層が、形成ワイヤと接触せずに形成された層である、本開示による、示された形成ワイヤ上に作製された繊維基材の2層の実施形態の例示的断面図である。
【
図6】本開示による、2つの平行な形成ワイヤを含むプロセスで作製された繊維基材の2層の実施形態の例示的断面図である。
【
図7】高アスペクト比セルロースナノフィラメントを含む第1の層が、濃縮された層、したがってより薄い層である、本開示による繊維基材の2層の実施形態の例示的断面図である。
【
図8】セルロースナノ粒子を含む第1の層が、形成ワイヤ面上に形成された層である、本開示による、示された形成ワイヤ上に作製された繊維基材の3層の実施形態の例示的断面図である。
【
図9】本開示による、2つの平行な形成ワイヤを含むプロセスで作製された繊維基材の3層の実施形態の例示的断面図である。
【
図10】セルロースナノ粒子を含む第1の層が、濃縮された層、したがってより薄い層であり、基材の第2および第3の層と対向関係で示された、本開示による繊維基材の3層の実施形態の例示的断面図である。
【
図12】
図12A-
図12E。繊維材料の2つの別個の層状プライを組み合わせるのに適した、典型的な変換操作の例示的流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
繊維構造物におけるセルロースナノ粒子の使用に関する多くの論文にもかかわらず、セルロースナノ粒子用語はいまだ統一されておらず、セルロース粒子を記述するのに一貫性のない用語が使用されている。用語「セルロースナノ粒子」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの寸法がナノスケールであるセルロース粒子を指す。セルロースナノ粒子としては、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)、ナノフィブリル化セルロース(NFC)、藻類セルロース粒子(AC)、細菌セルロース粒子(BC)、および高アスペクト比セルロースナノフィラメント(CNF)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本開示は、少なくとも2つの層を含む繊維基材100に関する。これらの層の第1の層110およびこれらの層の第2の層120は、対向関係で接触して配置される。これらの第1および第2の層の各々は、複数の重なり合う繊維、および特定の基材の最終用途に必要とされるような他の構成物から形成され、これらの第1の層は、複数のセルロースナノ粒子150を含む。紙ウェブ基材100の層は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される複数の重なり合う繊維、フィラー、活性成分、ならびにそれらの組み合わせから形成される。好ましくは、紙ウェブ基材の第1の層は、少なくとも約0.05重量パーセントのナノ粒子を含み、第2の層は、直接加えられたセルロースナノ粒子を含まない。別の実施形態では、少なくとも2つの層がセルロースナノ粒子を各々含有するが、層中のセルロースナノ粒子の組成が異なり、各々が少なくとも約0.05重量パーセントのセルロースナノ粒子を有することが想定される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「紙ウェブ基材」は、伝統的に、セルロース繊維を含むが、必ずしもそうではない、任意の湿式形成または乾式繊維構造物製品を指す。紙ウェブ基材の実施形態は、限定されることなく、サニタリティッシュ製品などのティッシュ製品、吸収性タオルなどのタオル製品、板紙グレード、紙包装基材、高圧積層構成に使用される紙、印刷および筆記に使用される紙、ならびにエアレイド不織布製品に使用される繊維基材を包含してよい。本開示で企図される紙ウェブ基材の他の実施形態は、限定されることなく、所望の繊維の緩く結合した「ふわふわした」構造物を包含する、エアレイド作製プロセスで使用されるような初期乾式ウェブも含む。
【0017】
「繊維構造」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の繊維層を含む構造を意味する。一例では、本開示による繊維構造は、機能を果たすための、構造内の繊維の秩序ある配置を意味する。本開示の繊維構造物の非限定的な例としては、あらゆる形態の紙基材、不織布基材、および複合材料(強化プラスチックおよび強化セメントを含む)が挙げられ得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「変換操作」は、製品が果たすように設計されたタスクにより良く適した製品を作製するために、繊維構造物がコーティングされ、組み合わされ、エンボス加工され、切断され、またはその他の方法で処理される、追加加工段階を意味する。これらの操作は、ウェブが抄紙機上で形成された直後、または別個のプロセスおよび機械を介した後のいずれかに、行われてよい。
【0019】
繊維ウェブ構造物を作製するためのプロセスの非限定的な例としては、既知の湿式抄紙プロセスおよびエアレイド抄紙(不織としても知られる)プロセスが挙げられる。そのようなプロセスは、典型的には、湿式、より具体的には水性媒体、または乾式、より具体的にはガス状すなわち空気を媒体として用いる媒体のいずれかの媒体中の、懸濁液の形態の繊維組成物を調整するための工程を含むことを当業者なら認識するであろう。湿式プロセスに使用される水性媒体は、しばしば繊維スラリーと呼ばれる。次いで、繊維懸濁液は、初期繊維構造物が形成されるように、複数の繊維を形成ワイヤまたはベルト上に堆積させるのに使用され、その後、繊維同士を乾燥および/または結合させ、繊維構造物をもたらす。最終繊維構造物が形成されるように、繊維構造物のさらなる加工が行われてよい。例えば、抄紙プロセスでは、仕上げは、ライン上またはライン外のいずれかで局所的処理を加えて中間構造物を作製することを含んでよく、ならびに/または1つ以上のプライは、組み合わされて最終基材を作り出してよい。多くの繊維ウェブ作製プロセスでは、最終繊維構造物は、巻き取られるかまたはシート状にされ、続いて、追加の「変換操作」を介して最終製品に変換されてよい。
【0020】
図11は、湿式抄紙機の非限定的な例を示す。典型的な抄紙機には、少なくとも5つの別個の操作セクションが存在する:
・形成セクションは、一般にウェットエンドと呼ばれ、繊維および他の構成物の水溶液を取り、初期ウェブを作り出す(乾式抄紙機では、繊維は、初期ウェブを作り出す前に空気中に分散される)。
・プレスセクションは、シートを支持し、押し出された水を吸収するプレスフェルトによって支援された、互いに対して押し付けるロールによって形成されたニップのシステムを介して、かなりの量の残留水を除去する。
・抄紙機のドライヤーセクションは、その名のとおり、一連の、水分を蒸発させる内部蒸気加熱シリンダ、またはウェブを乾燥させる他の外部手段のいずれかによって、紙を乾燥させる(乾式抄紙機では、プレスセクションおよびドライヤーセクションは、ウェブを処理して最終構造物を作り出すのに熱および/または化学薬品が使用される、結合および硬化プロセスに置き換えられる)。
・仕上げセクションは、紙が平滑化され、かつまたはコーティング/処理されて、コーティング、サイジング、表面改質、ならびに/または高荷重および高圧力下でのカレンダー加工などの、特定の表面変化または構造変化を提供する場所である。
・リールセクションでは、抄紙機から出てくる紙が、さらなる加工のためにスプール上に巻き取られる。
【0021】
コーティングで表面特性を改質するためのコーティングセクションも存在し得、コーティングの非限定的な例はカオリン粘土である。
【0022】
抄紙プロセスは、完成した紙に特殊な機能性を提供するために、任意の数の特殊材料または化学薬品の添加を可能とするように適合され得る。樹脂、膠、またはデンプンなどのサイジング剤は、紙の耐水性を改善することによってその特性を変えるためにウェブに加えられ得、その毛羽立つ能力を低下させ、摩損性を低減し、その印刷特性および表面結合強度を改善する。これらのサイジング剤は、ウェットエンド(内部サイジング)、またはドライエンド(表面サイジング)、または両方に適用されてよい。ドライエンドでは、サイジングは、通常、サイズプレスを用いて適用される。サイズプレスは、ロールアプリケータ(フラデッドニップ(flooded nip))またはノズルアプリケータであってよい。通常、最後のドライヤーセクションの前に配置される。一部の抄紙機は、通常、蒸解されたデンプンおよびスチレンブタジエンラテックスのバインダ中に懸濁させた、炭酸カルシウムまたは陶土などの顔料のコーティングを適用するために、「コータ」も使用する。コーティングは、最高印刷品質を有する非常に平滑な明るい表面を作る。一部の抄紙機は、表面構造を向上させ、印刷適性を改善し、かつ/またはシート剛性を変えるために、カレンダー加工またはスーパーカレンダー加工も使用し得る。
【0023】
繊維ウェブを作製するプロセスは、非常に適合性があり、所望の構造をより良く作り出すために基礎材料および/またはユニット操作のいずれかを変化させることによって、様々な最終用途のための構造を作り出すことを可能とするようにカスタマイズ可能であることを当業者なら認識するであろう。このカスタマイズの非限定的な例は、一部のタイプのティッシュ機械へのクレープ加工ブレードおよびより大きい乾燥ロール(ヤンキー)の追加である。別の非限定的な例は、乾式解繊(すなわち、乾燥繊維ウェブを「ふわふわさせる」ためのハンマーミル)装置、および乾式/エアレイド構造を作り出すための空気送出システムの使用である。
【0024】
伝統的な抄紙機の形成セクションまたはウェットエンドでは、繊維および他の製品材料の希釈水性混合物は、ワイヤ上に堆積される前にヘッドボックスに供給される。ヘッドボックスの目的は、乱流を作り出し、繊維同士が凝集するのを防ぎ、抄紙機にわたって均一な目付の材料を作り出すことである。ヘッドボックスは、1つ以上の層を含有してよく、これらの層は、それらに供給される、同じかまたは異なる水溶液を有し得る。ヘッドボックスから、水性スラリーが、動くワイヤまたはファブリックループ上に堆積される。次いで、スラリーは、所望により脱水されて所望の構造を作り出す。
【0025】
再び、抄紙機を、所望の紙供給材料、目付、およびシート構造に応じて変えることができることを当業者なら認識するであろう。1つの非限定的な変更例は、異なる繊維ブレンドを、部分的に形成されたベース層の上に置くためにウェットエンドに追加される、第2のヘッドボックスの追加である。二次ヘッドボックスは、通常、ベースシートが完全に排水される点に位置する。水の作用が上層および底層の繊維の混合にうまく働くため、これは別個のプライと見なされない。二次ヘッドボックスは、ライナーボードの製造で一般的である。
【0026】
形成/ウェットエンドセクション変更の別の非限定的な例は、排水テーブルの上の第2のワイヤの追加である。底部ワイヤおよび上部ワイヤは合流し、シートの両側からいくらかの排水が生じる。上部ワイヤは、形成を改善し、より多くの排水も提供し、機械が速度を上げ、特定の紙グレードを経済的な速度で作り出すのに役立つ。ツインワイヤ機またはギャップフォーマは、形成セクションで2つの垂直ワイヤを使用し、それにより、繊維スラリーの脱水率を増加させる一方、均一な両面性も与える。
【0027】
ティッシュ製品
「ティッシュ」または「タオル」紙製品は、従来のフェルトプレスまたは従来の湿式プレスティッシュペーパー、パターン高密度化ティッシュペーパー、クレープ加工ありまたはクレープ加工なしにかかわらずスルーエア乾燥ペーパーが挙げられるが、これらに限定されないペーパーティッシュまたはペーパータオル技術で製造された製品を指す。例えば、本開示の抄紙プロセスは、接着剤クレープ加工、湿式クレープ加工、二重クレープ加工、エンボス加工、湿式プレス加工、エアプレス加工、スルーエア乾燥、クレープ加工ありのスルーエア乾燥、クレープ加工なしのスルーエア乾燥、および紙ウェブの形成における他の工程を利用することができる。そのような技術のいくつかの例は、米国特許第4,529,480号、第5,048,589号、第5,399,412号、第5,129,988号、第5,494,554号、第5,607,511号、第6,398,916号、第7,744,726号、および第8,388,803号に開示されており、それらの全てが、本開示に合致する方法で、本明細書に組み込まれる。多プライティッシュ製品を形成する場合、別個のプライを、所望により、同じプロセスまたは異なるプロセスから作製することができる。
【0028】
例えば、一実施形態では、ティッシュウェブは、当該技術分野で既知のプロセスを使用して形成される、クレープ加工ありのスルーエア乾燥ウェブであってよい。他の実施形態では、ベースウェブは、クレープ加工なしのスルーエア乾燥プロセスによって形成される。関連するクレープ加工なしのスルーエア乾燥ティッシュプロセスは、例えば、米国特許第5,656,132号および第6,017,417号に記載されており、その両方が、本開示に合致する方法で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
本開示による繊維構造物のティッシュの実施形態は、米国特許第3,301,746号、第3,974,025号、第4,191,609号、第4,637,859号、第6,398,906号、および第8,388,803号に例示されているように、当該技術分野で周知のスルーエア乾燥繊維構造物、密度差繊維構造物、目付差繊維構造物、湿式繊維構造物、エアレイド繊維構造物、クレープ加工ありまたはクレープ加工なしの繊維構造物、パターン高密度化または非パターン高密度化繊維構造物、圧縮または非圧縮繊維構造物、二重再クレープ加工繊維構造物の形態であってよい。
【0030】
エアレイドプロセス
「エアレイイング(air-laying)」は、繊維不織層を形成することができる周知のプロセスである。エアレイイングプロセスでは、約0.5~約52ミリメートル(mm)の範囲の典型的な長さを有する個々の繊維または繊維の束は、分離され、空気供給に混入され、次いで、通常は真空供給の補助により、形成スクリーン上に堆積される。ランダムに堆積した繊維は、次いで、例えば、バインダ構成成分またはラテックス接着剤を活性化させる熱風を使用して、互いに結合される。エアレイイングは、例えば、米国特許第4,640,810号、第4,494,278号、第5,527,171号、第4,375,448号、または他の同様の方法で教示されている。これらの方法によって製造されたウェブは、続いて、熱融着、ラテックス結合、またはそれらの組み合わせによってともに結合されて、十分な引張強度のウェブを形成してよく、これは、当該技術分野で周知である。この文章で製造されたウェブは、DANWEBプロセスに最も良く例示されているが、これに限定されない。
【0031】
エアレイド不織布は、ウェットワイプとしての使用に特に良く適している。エアレイド不織布の目付は、約0.5~10デニールおよび長さ約6~15ミリメートルのステープルファイバで、約30~約350グラム/平方メートル(gsm)の範囲であってよい。ウェットワイプ基材は、一般に、約0.025g/cc~約0.2g/ccの乾燥繊維密度を有してよい。
【0032】
「層」は、本明細書で使用される場合、いくらかの厚さを有する、天然もしくは人工繊維、フィラー、および/または他の必要な添加剤を含むプライのその部分を意味する。層は、異なる供給源から供給され得る。例えば、異なる完成紙料が、同じかまたは異なるヘッドボックスから、混交された繊維の複数の別個の層を有する単一プライ構造に供給され得る。各完成紙料は、上で論じられたように、天然または合成繊維の任意の組み合わせを含み得る。また、理論に制限されることを望むものではないが、層は完全に別々ではなく、2層間の境界で、異なる層間の構成成分のいくらかの混合があると考えられる。
【0033】
層は単一の繊維構造内に構築されるため、それらは対向関係で配置される。すなわち、1つの層のそれぞれの縦×横面は、別の層の平行面に隣接する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「プライ」は、1つ以上の層を含有する繊維基材である。プライは、変換プロセスを通して加工されてよく、ともにエンボス加工、積層、または結合されて最終繊維構造物を作り出してよい。本開示の繊維構造物は、互いに対して対向関係で配置された1つ以上のプライを企図する。具体的には、2つのプライを含有する繊維構造物は、各々対向関係で係合された、1つ以上の層を有する第1のプライおよび1つ以上の層を有する第2のプライを有し得る。各プライは、重なり合う繊維を各々含む複数の層から形成され得る。しかしながら、各プライは、不均一な層を含む構造を有する繊維構造物を作り出す、異なる構成成分を含んでよい。少なくとも2つのプライの第1のプライは、複数のセルロースナノ粒子および/または他の繊維を含み得る。少なくとも2つのプライの第2のプライは、本質的にナノ粒子非含有であり得るか、または第1のプライと同じかもしくは異なる量のセルロースナノ粒子を含有してよい。
【0035】
「繊維」は、本明細書で使用される場合、見かけの長さがその見かけの直径を大きく上回る、すなわち、少なくとも約10かつ200未満の長さ対直径比を有する、細長い物理的構造を意味する。非円形断面および/または管形状を有する繊維が一般的であり;この場合の「直径」は、繊維の断面積と等しい断面積を有する円の直径であると考えることができる。より具体的には、本明細書で使用される場合、「繊維」は、繊維状構造物を作る繊維を指す。本開示は、例えば、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、または任意の好適な繊維、およびそれらの混合物などの、様々な繊維状構造物を作る繊維(本明細書では「構造繊維」とも呼ばれる)の使用を企図する。繊維は、天然または人工繊維であり得、さらに繊維は、バージンまたはリサイクル繊維であり得る。人工繊維は、セルロース材料から構成されたもの、および非セルロース材料から構成されたものの両方を含み得る。これらの繊維は、当業者に既知のプロセスのいずれかによって作り出され/製造され得る。加えて、本開示で企図される繊維は、非木質繊維、硬材繊維、軟材繊維、および人工繊維、リサイクル繊維、およびそれらの組み合わせを含む。
【0036】
リサイクル繊維が、完成紙料に任意の量で加えられてよい。本開示で企図されるリサイクル繊維は、プレコンシューマ供給源およびポストコンシューマ供給源の両方を含む。任意の好適なリサイクル繊維が使用されてよいが、比較的低いレベルの砕木パルプを有するリサイクル繊維が使用され得る。
【0037】
用語「セルロースナノ粒子」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの寸法がナノスケールであるセルロース粒子を指す。セルロースナノ粒子としては、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)、ナノフィブリル化セルロース(NFC)、藻類セルロース粒子(AC)、細菌セルロース粒子(BC)、および高アスペクト比セルロースナノフィラメント(CNF)が挙げられるが、これらに限定されない。本開示で使用される「セルロースナノ粒子」は、軟材および/または硬材のいずれかに由来してよく、したがって、軟材または硬材の繊維状要素を含有し得る。
【0038】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、本明細書では、セルロースフィブリルで構成される繊維材料と定義され、セルロースフィブリルは、非常に薄く、直径が約5~100nm、平均で約20nmであり、フィブリル長が約20nm~200μmであるが、通常は100nm~100μmである。
【0039】
ナノフィブリル化セルロース(NFC)は、前述のフィブリルサイズ範囲の下端の繊維寸法を有する、MFCの特定のクラスである。MFCでは、個々のミクロフィブリルは、互いから部分的または完全に離れている。フィブリル化されており、表面上にミクロフィブリルを有する繊維、および分離してスラリーの水相中にあるミクロフィブリルが、MFCの定義に含まれる。本開示におけるセルロースナノ粒子は、当業者に既知の任意のプロセスから作製され得る。セルロースナノ粒子を作り出すために使用されるプロセスとしては、改良精製装置、ホモジナイザ、超音波繊維処理、および酵素繊維改質を含む化学繊維処理が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
ミクロフィブリル化セルロースの構成成分は以下のとおりである:
【表1】
2011年6月13日にオンラインで公開された、Gary Chinga-Carrasco,“Cellulose fibres, nanofibrils and microfibrils: The morphological sequence of MFC components from a plant physiology and fibre technology point of view”, Table 1, Nanoscale Res Lett. 2011; 6(1): 417を参照されたい。
【0041】
「高アスペクト比セルロースナノフィラメント」は、特有の寸法を有する、MFCの別のサブセットである。高アスペクト比は、繊維幅で割った繊維長が、少なくとも約200~約5000、または約600~約1000の範囲であることを意味する。これらのセルロースナノフィラメントは、ナノメートル範囲の平均幅、例えば約30nm~約500nmの範囲の平均幅、およびマイクロメートル範囲またはそれを超える平均長、例えば約6μm~約2.5mmの平均長を有する。セルロースナノフィラメントは、約20nm~約600nm、または約30nm~約500nmの範囲の平均厚を有し得る。そのようなセルロースナノ粒子を、例えば機械的プロセスから得ることができる。例示的プロセスは、米国特許出願公開第2013/0017394号および第2015/0057442号に記載されている。
【0042】
セルロースナノ粒子を、均一な材料または「純粋な形態」として得ることは困難であり、したがって、ナノ粒子材料は、それらが製造される機械的または化学的プロセスの結果として、材料長の混合物を何倍も含有することを当業者なら認識するであろう。例えば、例示的セルロースナノ粒子は、精製された混合物中に、少なくとも約40重量%、または少なくとも約75重量%、または少なくとも約90重量%のセルロースナノ粒子を、6μm超の平均粒子長および約30~500nmの直径で有する。
【0043】
本開示で企図される実施形態で可能なセルロースナノ粒子の別の想定される用途は、抄紙場所に輸送される前に、純粋なセルロースナノ粒子および/またはセルロースナノ粒子と他の精製製品との混合物のいずれかを、わずかな割合で、バージンまたはリサイクルパルプストリームに含めることである。このようにして、バージン繊維源を、セルロースナノ粒子添加を介して強化することができ、次いで、セルロースナノ粒子は、新しい繊維投入ストリームを導入することなく、抄紙プロセスに添加され得る。パルプ製造施設でセルロースにナノ粒子を投入することによって、セルロースナノ粒子を含めることによってのみ可能な特性を有する「スーパーパルプ」と呼ばれ得るものを製造することができるであろう。したがって、セルロースナノ粒子添加のための多くの異なる方法が本開示で考慮され、これらとしては、純粋なセルロースナノ粒子を直接含めることが挙げられ、50%超のナノ粒子含有量を有する、セルロースナノ粒子と他の精製副産物との混合物が挙げられるが、これらに限定されず、セルロースナノ粒子は、製紙工場で含められる前に、バージンまたはリサイクル繊維中に含めることによって添加される。
【0044】
語句「フィブリル化セルロース繊維」は、本明細書で使用される場合、機械的または化学的処理を受けたセルロース繊維であり、その処理中、個々のセルロースフィラメントまたはセルロースフィラメントの束は、繊維本体から遊離するが繊維に一端で接合したままであり、より大きな結合面積および増加した繊維-繊維接触を作り出す。処理の程度が、繊維から放出されたセルロースナノ粒子の数を決定する。
【0045】
藻類セルロース粒子(AC)は、酸加水分解および/または機械的精製によって、様々な藻類の細胞壁から抽出されたミクロフィブリルである。結果として得られるミクロフィブリルは、長さがミクロンであり、高アスペクト比を有する。
【0046】
細菌セルロース粒子(BC)は、細菌体および増殖培地から分離された様々な細菌によって分泌されたミクロフィブリルである。結果として得られるミクロフィブリルは、長さがミクロンであり、高アスペクト比を有する。
【0047】
本開示で企図される繊維構造物の繊維は、複数の供給源およびベース材料から作り出された繊維を含み得ることを当業者なら認識するであろう。「フィブリル化人工非セルロース繊維」が、合成ポリマ、例えばポリエステル、ナイロン、およびポリオレフィンなどから作製される非セルロース繊維を指す「合成ポリマ繊維」および同様の専門用語とともに企図される。分割性繊維を作製するための分割型繊維調製は、熱可塑性繊維との関連で一般に知られおり、ここで、繊維は、異なるポリマで形成されるセグメントを有する。米国特許第5,759,926号、第5,895,710号、および米国特許出願公開第2003/0203695号を参照されたい。
【0048】
本開示と関連して製造され、利用される分割性繊維は、分割型パイ形状、海島配置、サイドバイサイド配置、中空配置などを有し得る。米国特許第4,735,849号、および米国特許出願公開第US2002/0168912号、
図2~9を参照されたい。分割性繊維は、以下で論じられるように、完成紙料中への組み込み前に好適に解砕される。
【0049】
湿式抄紙操作のためのいくつかの繊維の調製中、軟材繊維パルプおよびいくつかの硬材繊維パルプは、任意選択で機械的または化学的加工を受け、それにより繊維は圧縮され、高せん断を受け、かつ/または化学的に処理されて、繊維をより柔軟にし、かつ繊維フィブリル化、繊維膨潤、および/または増加した繊維柔軟性により、増加した繊維対繊維結合面積を作り出す。当業者であれば、パルプ繊維精製の3つの主要な生成物が下記のとおりであることを認識するであろう;1)ある割合の繊維は、精製強度および濃度によって、全く影響されない、2)かなりの割合の繊維がフィブリル化され、それにより繊維細胞壁が剥離され、元の繊維に結合されたままのミクロフィブリルが露出する、ならびに3)ある割合の繊維およびミクロフィブリルは、切断されるか、または非常に小さな小片(<74ミクロンの長さ)へと機械的に破壊され、この画分は微細繊維画分と呼ばれる。これらの微細繊維は、一次的(天然木材源中に存在するもの)または二次的(精製の作用中に作り出されるもの)のいずれかであり得る。
【0050】
本開示の繊維基材100は、ナノ粒子150を含む少なくとも1つの層を含み得る。第2の層110は、複数のセルロースナノ粒子を含み得る。この第2の層110は、第2の層の少なくとも約0.05重量パーセント、または約0.05重量パーセント~約20重量パーセント、または約0.1重量パーセント~約5重量パーセントのナノ粒子を含み得る。
【0051】
少なくとも2つの層120の第1の層120は、セルロースナノ粒子非含有であり得る。具体的には、第1の層120は、直接加えられたセルロースナノ粒子を含有しない場合がある。第1の層120は、意図的にまたは故意に加えられたセルロースナノ粒子を含有しない可能性がある。「意図的に」および/または「故意に」は、本明細書で使用される場合、セルロースナノ粒子を第1の層120に加える特定の意図を有する、自発的、意図的な行為を意味する。意図的に加えられたセルロースナノ粒子を有さないそのような第1の層120は、第1の層120が、第1の層120の約0.50重量パーセント未満、または約0.25重量パーセント未満、または約0.10重量パーセント未満、または約0.05重量パーセント未満のセルロースナノ粒子を含み得るという点で観察されてよい。
【0052】
当業者であれば、第1の層120も、第2の層110と同じかまたは大きく異なる混入で、ナノ粒子を含有することを想定することもできる。具体的には、第1の層120は、最終製品の所望の特質に応じて、多少のセルロースナノ粒子を含有してよい。第1の層120は、約0.05パーセント超、または約0.10パーセント超のセルロースナノ粒子を含み得る。
【0053】
構造全体の厚さにわたってセルロースナノ粒子濃度のレベルを変動させるように、繊維構造化生成物を層状に重ねることによって、さらに高い性能の紙製品を達成するための配合の選択肢は劇的に広がる。
【0054】
「目付」は、本明細書で使用される場合、lbs/3000ft2またはg/m2(gsm)で報告される試料の単位面積あたりの重量である。本開示の繊維ウェブ基材のティッシュの実施形態は、約5g/m2~約150g/m2、好ましくは約10g/m2~約120g/m2、より好ましくは約20g/m2~約100g/m2の目付を示してよい。本開示の繊維ウェブ構造物の紙の実施形態は、約25g/m2~約350g/m2、好ましくは約50g/m2~約300g/m2、より好ましくは約75g/m2~約250g/m2の目付を示してよい。本開示の繊維ウェブ構造物の板紙の実施形態は、約300g/m2~約1000g/m2、好ましくは約400g/m2~約800g/m2、より好ましくは約400g/m2~約600g/m2の目付を示してよい。
【0055】
目付は、ある一定の面積(m2)の1つ以上の試料を調製すること、ならびに本開示による繊維構造物および/またはそのような繊維構造物を含む紙製品の試料(複数可)を、0.01gの最小分解能を有するトップローディングはかりで秤量することによって測定される。はかりは、ドラフトシールドを使用して、気流および他の外乱から保護される。重量は、はかりの読み取り値が一定になった時に記録される。平均重量(g)および試料の平均面積(m2)が計算される。目付(g/m2)は、平均重量(g)を試料の平均面積(m2)で割ることによって計算される。
【0056】
図1は、第2の層110および第1の層120を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、第2の層110は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される繊維、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。いくつかの実施形態では、第1の層120も、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される繊維、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含有してよい。第2の層110は、第2の層110の少なくとも約0.05重量%(すなわち、約0.05重量%超)、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0057】
図2は、繊維構造物の外表面に近接して配置された第2の層110、第1の層120、および第3の層130を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。3つの層(110、120、および130)の各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含み得る。一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0058】
図3は、繊維構造物の内層の1つとしての第2の層110、第1の層120、および第3の層130をそれぞれ含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、繊維構造物の各層(110、120、130)は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0059】
図4は、構造物が、抄紙機または不織布機械の形成ベルト/ファブリック/ワイヤ200上に直接形成された第2の層110を有して形成される、第1の層120および第2の層110を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。第1の層120ならびに/または第2の層110は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0060】
図5は、構造物が、抄紙機の形成ベルト/ファブリック/ワイヤ200から離れた層に形成された第2の層110を有して形成される、第2の層110および第1の層120を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。第1の層110ならびに/または第2の層120は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0061】
図6は、繊維構造物100が、第1の層120および第2の層120の両方が抄紙機/不織布機械の2つの形成ベルト/ファブリック200および210の1つと接触して形成される、二重ベルト/ワイヤ作製プロセスで形成される、第1の層120および第2の層110を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、第1の層120ならびに/または第2の層110は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0062】
図7は、第2の層110が高濃度の高アスペクト比セルロースナノフィラメントである、第1の層110および第2の層120を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。そのような構造は、ヘッドボックス、噴霧、コーティング、グラビア塗布、または他の直接塗布プロセスなどで、高濃度の高アスペクト比セルロースナノフィラメントを直接加えることによって製造されてよい。いくつかの実施形態では、第2の層120は、軟材繊維、リサイクル材料繊維、硬材繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、フィラー、および/または活性成分、および/または他の繊維の特定の混合物を含有してよい。
図7に示すように、第2の層120は、第2の層110の少なくとも約40.0重量%(約40.0重量%超)、または50.0重量%超、または約55.0重量%~約100重量%の高アスペクト比セルロースナノフィラメント150を含む。
【0063】
図8は、構造物が、抄紙機の形成ベルト/ファブリック200上に直接形成された第2の層110を有して形成される、第1の層120、第2の層110、および第3の層130を含む、本開示の繊維ウェブ構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、第1の層120、第2の層110、ならびに/または第3の層130は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。一実施形態では、第2の層110は、繊維構造物の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。当業者であれば、第2の層110が、ワイヤ側(150)または繊維構造物の反対側(130)のいずれかに形成されることを想定することができる。さらに別の実施形態では、第1の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0064】
図9は、繊維構造物100が、第1の層120および第3の層130の両方が抄紙機の2つの形成ベルト/ファブリック200および210の1つと接触して形成される、二重ベルト/ワイヤ作製プロセスで形成される、第1の層120、第2の層110、および第3の層130を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、第1の層120、第2の層110、ならびに第3の層130は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物、フィラー、活性成分、他の繊維、ならびにそれらの組み合わせの特定の混合物を含んでよい。一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の約0.05重量%超、または約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約5重量%のナノ粒子を含み得る。
【0065】
図10は、第2の層110が高濃度の高アスペクト比セルロースナノフィラメントを有する、第2の層110、第1の層120、および第3の層130を含む、本開示の繊維構造物またはプライ100の例示的実施形態の断面図を示す。そのような繊維構造100は、ヘッドボックス、噴霧、コーティング、グラビア塗布、または他の直接塗布プロセスなどで、高濃度のセルロースナノ粒子および/または高アスペクト比セルロースナノフィラメントを直接加えることによって製造されてよい。第1の層120および第3の層130は、軟材繊維、リサイクル材料繊維、硬材繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、フィラー、および/または活性成分、および/または他の繊維の特定の混合物を含有してよい。
図10に示す一実施形態では、第2の層110は、第2の層110の少なくとも約40.0重量%(約40.0重量%超)、または約50.0重量%超、または約55.0重量%~約100重量%の、セルロースナノ粒子および/またはセルロースナノフィラメントおよび/または高アスペクト比セルロースナノフィラメント150を含む。
【0066】
図12Aは、第1のプライ210が、層状の、第2のプライと同様かまたは異なる濃度のセルロースナノ粒子を有する、第1のプライ210および第2のプライ220を含む、本開示の繊維構造物100Aの例示的実施形態の断面図を示す。各々3つの層を有する2つのプライは、一旦組み合わされると、単一プライ構造とは異なる構造および機能を作り出す。いくつかの実施形態では、各プライは、軟材繊維、リサイクル材料繊維、硬材繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、フィラー、および/または活性成分、および/または他の繊維の特定の混合物を含有し得る層も含有してよい。
図12Aに示す一実施形態では、第1のプライ210は、3つの層を含み得る。層#1は、層#1の少なくとも約40.0重量%(約40.0重量%超)、または50.0重量%超、または約55.0重量%~約100重量%のセルロースナノ粒子150を含有する。同様に、第2のプライ220は、3つの層を含み、層#1は、プライ220の第1の層の少なくとも約40.0重量%(約40.0重量%超)、または50.0重量%超、または約55.0重量%~約100重量%のセルロースナノ粒子150を含有し得る。加えて、第1のプライ210は、第2の層(例えば、層#2)をさらに含み得る。第2の層は、意図的に加えられたセルロースナノ粒子を含まない可能性がある。
【0067】
想定される別の実施形態は、最終繊維構造物を作製するための、層状および非層状プライの組み合わせである。層状プライが、軟材繊維、リサイクル材料繊維、硬材繊維、人工セルロースもしくは非セルロース繊維、フィラー、および/または活性成分、および/または他の繊維の特定の混合物を含む少なくとも1つの層を含有することも当業者なら認識することができる。一実施形態では、第1のプライは、少なくとも2つの層を含む。層#1は、層#1の少なくとも約.05重量%(約.05重量%超)、または0.05重量%~約20.0重量%のセルロースナノ粒子を含有する。第2のプライは、プライの0.05重量%~20重量%のセルロースナノ粒子を含む均質な繊維構造物である。別の実施形態では、第2の均質な繊維プライは、0.05%未満のセルロースナノ粒子を含有し得る。
【0068】
さらに別の実施形態では、第1のプライは、少なくとも1つの層中にナノ粒子を含み得、ナノ粒子は、異なる層に同じかまたは異なる混入率で入れられ得る。当業者であれば、各プライ、プライ1中の各層の完成紙料組成、およびプライの各層中のセルロースナノ粒子の含有量、および最終構造物を作り出すために組み合わされるプライの数を、独立して変動させることによって作り出すことができる多くの構造物を想定することができる。セルロースナノ粒子含有または非含有のいずれかの均質なプライを組み合わせることに加えて、セルロースナノ粒子をプライ1の別個の層中に適用する方法は、配合者が最終製品の特質をさらに最適化するのを可能とすることを、当業者ならさらに想定することができる。多くの用途では、ナノ粒子添加は、プライ1中の層または均質なプライ2の0.05~20重量%であり得るが、表面層の40重量%超のナノ粒子を含む表面層も想定される。
【0069】
各プライ内の層の完成紙料組成、プライの各層中のセルロースナノ粒子の含有量、および最終構造物を作り出すために組み合わされるプライの数を、独立して変動させることによって作り出すことができる無数の構造物が存在し得ることも、当業者なら認識することができる。セルロースナノ粒子を別個の層中に適用する方法は、配合者が最終製品の特質を最適化するのを可能とすることを、当業者ならさらに想定することができる。想定される構造物例の非限定的なサンプルを、
図12B、12C、12Dおよび12Eに示す。ナノ粒子は、少なくとも1つのプライで、少なくとも1つの層中に存在すると想定され、異なる層に同じかまたは異なる混入率で入れられ得る。多くの用途では、ナノ粒子添加は、混入される層の0.05~20%であり得る。別の用途では、ナノ粒子添加は、混入される層の0.05%未満を含有し得る。
【0070】
任意選択の成分-化学抄紙添加剤
所望により、様々な化学添加剤組成物が、柔らかさ、低リント、吸収性、シート柔軟性、ならびに一時的および/または永久的湿潤紙力増強添加剤などの、消費者所望の利点をさらに強化するために、任意選択で使用されてよい。当業者であれば、抄紙/不織プロセスおよび製品の最終用途に応じて、異なる材料が抄紙/不織プロセスに加えられ得ることを認識し、非限定的な例としては、鉱物添加剤、蛍光増白剤、サイジング剤、コーティング、剥離剤(debonder)、シリコーン柔軟添加剤、非シリコーン柔軟添加剤、紙力増強添加剤、吸収性添加剤、殺生物剤、歩留り向上剤、および審美的添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
鉱物添加剤
多くの繊維系製品は、フィラーと呼ばれる鉱物添加剤を含む。非限定的な例は、主にセルロース繊維ウェブならびに規定量の鉱物および/または有機フィラーを含み得る紙製品である。フィラーは、その名のとおり、ウェブのセルロース繊維によって囲まれた空間を充填するために使用される。フィラーは、不透明度、白色度、および印刷適性を含む、特定の紙特性も改善する。顔料、染料、デンプン、サイジング剤、および強度向上ポリマなどの他の添加剤も、所望の最終製品特性を有する紙を形成するために使用され得る。伝統的に、カオリン粘土(含水ケイ酸アルミニウム)、チョーク、粉砕した石灰石または大理石(炭酸カルシウム)、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、石膏(硫酸カルシウム)、珪藻土(二酸化ケイ素)、および二酸化チタンのような鉱物が、フィラーとして使用されてきた。他のほとんどのフィラーは、鉱物から合成的に(例えば、二酸化チタン、合成シリカ、硫酸バリウム)、または精製後の再生によって(例えば、石灰石-石灰-沈降炭酸カルシウム)、製造された無機材料である。本開示に先立って開発された方法を使用して紙製品を形成するのに使用されるフィラーは、そのような製品を作製するのに使用されるフィラーのパーセントが増加すると、製品のキロメートル単位の裂断長(TAPPI法T494により、引張強度÷目付×102)などの、強度特性を低下させる。所望の紙製品の所望の特性に応じて、フィラーは、紙ウェブ構造物の乾燥繊維基準の重量で、0%~約75%、好ましくは約5%~約60.0%、より好ましくは約10%~約50.0%、さらにより好ましくは約20%~約40%の任意の量で、組み込まれ得る。フィラーは、単層シートに、または多層ウェブ製品の任意の層に組み込まれ得る。
【0072】
紙力増強添加剤-本出願のプロセスは、紙力増強添加剤を抄紙用完成紙料に加えることも含む。一般に、紙力増強添加剤は、ウェブの所望の特性に応じて、様々な量で適用されてよい。本開示で有用な紙力増強添加剤としては、これに限定されないが、カチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、紙シートに湿潤紙力を付与し、抄紙技術分野で周知である。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
いくつかの実施形態では、繊維ウェブ製品の強度をさらに向上させるために、他の紙力増強剤が利用され得る。任意選択の化学成分の列挙は、本質的に例示的なものに過ぎないことが意図され、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。他の材料もまた、それらが本開示の利点を妨げない、または打ち消さない限り企図される。
【0074】
繊維構造物は、対向関係で接触して配置される少なくとも2つのプライを含んでよい。少なくとも2つのプライの各々は、全てが対向関係で配置される少なくとも2つの層を含み得る。各プライ中の少なくとも2つの層の各々は、軟材繊維、非木質繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維を含み得る。各多層プライは、セルロースナノ粒子を含む表面層を含み得る。繊維構造物は、上で論じられたように、各プライの表面層が繊維構造物の表面層になるように、プライを接合し得る。表面層は、表面層の約40重量パーセント超のセルロースナノ粒子を含み得る。セルロースナノ粒子は、第1のプライを、少なくとも2つのプライの第2のプライの表面と対向係合で接触して配置する前に、上に記載されたプロセスによって、第1のプライの表面層に適用され得る。さらに、セルロースナノ粒子は、セルロースナノフィラメントを含む表面層を作り出すために適用され得る。
【0075】
本明細書で開示された任意の寸法および/または値は、列挙された正確な数値に厳密に制限されると理解されるべきではない。代わりに、特に指定がない限り、そのような寸法および/または値は各々、列挙された寸法および/または値、ならびにその寸法および/または値の周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0076】
本明細書に引用された全ての文献は、相互参照または関連特許または出願、および本出願がその優先権または利益を主張する特許出願または特許を含めて、明示的に除外され、またはその他の方法で制限されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。文献の引用は、それが、本明細書で開示または特許請求される発明に対する先行技術であること、またはそれが単独で、もしくは他の参考文献(単数もしくは複数)との組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、もしくは開示することを認めるものではない。さらに、本書における用語の意味または定義が、参照により組み込まれた文献中の同じ用語の意味または定義と矛盾する限り、本書におけるその用語に割り当てられた意味または定義が適用されるものとする。
【0077】
本発明の特定の実施形態を図示し、説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲では、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正を全て包含することが意図される。
本発明の好ましい態様を以下に示す。
[1]少なくとも2つの層を含む繊維構造物であって、前記少なくとも2つの層の各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維の混合物を含み、対向関係で配置され、前記少なくとも2つの層の第2の層は、前記第2の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む、繊維構造物。
[2]前記少なくとも2つの層の第1の層は、前記第2の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む、[1]に記載の繊維構造物。
[3]前記第1の層は、前記第2の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、[2]に記載の繊維構造物。
[4]前記少なくとも2つの層の第1の層は、意図的に加えられたセルロースナノ粒子を含まない、[1]に記載の繊維構造物。
[5]前記少なくとも2つの層の第1の層は、製造中に抄紙機の形成表面と接触して形成される、[1]に記載の繊維構造物。
[6]前記第2の層は、前記第2の層の約0.1重量パーセント~約5重量パーセントの前記セルロースナノ粒子を含む、[1]に記載の繊維構造物。
[7]前記セルロースナノ粒子は、高アスペクト比ナノフィラメントを含む、[1]に記載の繊維構造物。
[8]高アスペクト比ナノフィラメントを含む表面層を含む、繊維構造物。
[9]前記表面層は、前記表面層の少なくとも約40重量パーセントの前記高アスペクト比ナノフィラメントを含む、[8]に記載の繊維構造物。
[10]前記表面層は、前記表面層の約50重量パーセント超の前記高アスペクト比ナノフィラメントを含む、[8]に記載の繊維構造物。
[11]縦目およびそれと直角かつ同一平面上の横目を有し、対向関係で接触して配置される少なくとも2つのプライを含む、繊維構造物であって、前記少なくとも2つのプライの各々は、軟材繊維、非木質繊維、天然非セルロース繊維、人工セルロースまたは非セルロース繊維、硬材繊維、リサイクル繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造繊維の混合物を含み、前記少なくとも2つのプライの第1のプライは、第1の層を含み、前記第1の層は、前記第1の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む、繊維構造物。
[12]前記第1のプライは、第2の層をさらに含み、前記第2の層は、意図的に加えられたセルロースナノ粒子を含まない、[11]に記載の繊維構造物。
[13]前記第1のプライは、第2の層を含み、前記第2の層は、前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、[11]に記載の繊維構造物。
[14]前記第1のプライは、第2の層を含み、前記第2の層は、前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と同じ重量のセルロースナノ粒子を含む、[11]に記載の繊維構造物。
[15]前記繊維構造物は、第2のプライをさらに含み、前記第2のプライは、第1の層を含み、前記第2のプライの前記第1の層は、前記第2のプライの前記第2の層の約0.05重量パーセント~約20重量パーセントのセルロースナノ粒子を含む、[11]に記載の繊維構造物。
[16]前記第2のプライは、第2の層を含み、前記第2のプライの前記第2の層は、前記第2のプライの前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、[15]に記載の繊維構造物。
[17]前記第2のプライは、第2の層をさらに含み、前記第2のプライの前記第2の層は、意図的に加えられたセルロースナノ粒子を含まない、[15]に記載の繊維構造物。
[18]前記第2のプライは、第2の層を含み、前記第2のプライの前記第2の層は、前記第2のプライの前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と異なる重量のセルロースナノ粒子を含む、[15]に記載の繊維構造物。
[19]前記第2のプライは、第2の層を含み、前記第2のプライの前記第2の層は、前記第2のプライの前記第1の層内に配置されたセルロースナノ粒子の重量と同じ重量のセルロースナノ粒子を含む、[15]に記載の繊維構造物。