(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026796
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】筋力測定用ベルト
(51)【国際特許分類】
A61B 5/22 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B5/22 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132157
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000101558
【氏名又は名称】アニマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 敏仁
(57)【要約】
【課題】
シンプルな構成でありながら、ベルトの引張力に十分に対抗する耐力を備えた筋力測定用ベルトを提供する。
【解決手段】
センサ装着部3と、第1端部と第2端部を着脱可能に連結する連結手段と、を備えた筋力測定用ベルトであって、前記連結手段は、第1端部に設けた第1プレート4と、第2端部に設けた第2プレート6と、前記第1プレートの面部に形成した係止突起5と、前記第2プレートの面部に形成された係止孔7と、係止突起5と係止孔7の係止状態を保持する係止状態保持手段としての固定用ベルト9、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部と、
第2端部と、
センサ装着部と、
第1端部と第2端部を着脱可能に連結する連結手段と、
を備えた筋力測定用ベルトであって、
前記連結手段は、
前記第1端部に設けた第1プレートと、
前記第2端部に設けた第2プレートと、
前記第1プレートの面部に形成した不動の係止部と、
前記第2プレートの面部に形成された不動の被係止部と、
前記係止部と前記被係止部の係止状態を保持する係止状態保持手段と、
を備えた、
筋力測定用ベルト。
【請求項2】
前記係止部は、前記第1プレートの面部に突成した係止突起であり、
前記被係止部は、前記第2プレートの面部に形成された係止孔である、
請求項1に記載の筋力測定用ベルト。
【請求項3】
前記係止突起は、軸部と、前記軸部の上端の頭部と、を備え、
前記係止孔は、前記頭部の径よりも大きい大径部と、前記頭部の径よりも小さく、前記軸部の径よりも大きい小径部と、から一体形成されており、
前記係止孔において、前記小径部は前記大径部に対して第2プレートの先端側に位置しており、
前記係止状態では、前記第1プレートと前記第2プレートが重なるように当接ないし近接した状態で、前記係止突起の前記軸部が、前記係止孔の前記小径部に位置している、
請求項2に記載の筋力測定用ベルト。
【請求項4】
前記係止突起の前記軸部の下端には、当該軸部及び前記小径部よりも大径のベースが突成されている、
請求項3に記載の筋力測定用ベルト。
【請求項5】
前記係止状態保持手段は、固定用ベルトを備え、
前記係止状態では、前記第1プレートと前記第2プレートは、前記第1プレートの面部と前記第2プレートの面部が重なるように当接ないし近接した状態で、前記係止部が、前記被係止部に係止した係止姿勢にあり、
前記固定用ベルトは、係止姿勢にある前記第1プレート及び前記第2プレートを包持するように設けることで、前記第1プレートと前記第2プレートの係止姿勢を保持する、
請求項1~4いずれか1項に記載の筋力測定用ベルト。
【請求項6】
前記固定用ベルトは、第1面と第2面を備え、
前記固定用ベルトは、一端側の第1部分と、他端側の第2部分と、第1部分と第2部分の間の第3部分と、からなり、
前記第1部分には挿入孔が形成されており、
前記第1部分の第2面には面ファスナの第1要素が設けられ、前記第2部分の第1面には面ファスナの第2要素が設けられ、
前記固定用ベルトは、前記第3部分の第1面を、係止姿勢にある第1プレートの裏面側に位置させて、前記第1部分を折り返して、第2プレートの係止孔から突出する係止突起を、前記挿入孔から突出させ、前記第2部分を折り返して、面ファスナの第1要素に第2要素を装着してなり、前記係止突起の上端部位は、面ファスナの第1要素と第2要素の間に挟まれている、
請求項5(請求項2の従属項に限る)に記載の筋力測定用ベルト。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の筋力測定用ベルトと、前記筋力測定用ベルトの前記センサ装着部に装着されたセンサ部と、センサ部で計測されたデータに基づいて筋力を算出する演算部と、を備えた筋力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力測定用ベルトに係り、詳しくは、筋力測定装置の構成要素として用いられる筋力測定用ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋力測定、例えば、等尺性筋力測定において、等尺性筋力測定用ベルトを用いた筋力測定方式が知られている。筋力計μTas(「ミュータス」は、株式会社アニマの登録商標)を使用した「膝伸展筋力の測定」については、例えば、非特許文献1(本出願人が提供する動画)に開示されている。また、等尺性筋力測定用ベルトを用いた筋力測定方式は、検者内再現性、検者間再現性が担保されることも知られている(非特許文献2)。
【0003】
筋力測定用ベルトを用いた筋力測定装置の具体的な構成例については、特許文献1、特許文献2に記載されている。特許文献1には、「押圧力を検出するためのセンサ部(2次元的に配置された複数の圧力検出素子を有し全体として平板状に形成されている)と、前記センサ部に結合されループ状に形成可能なベルトと、 前記センサ部を被覆可能な弾力性を有するパッドと、前記センサ部に電気的に接続され該センサ部からの検出信号に応じて筋力の測定値を表示する表示器とを備えた筋力測定装置」が記載されている。特許文献2には、「押圧力または引っ張り力を検出するためのセンサ部と、 前記センサ部に電気的に接続され該センサ部からの検出信号に応じて筋力の測定値を演算する演算回路と、前記演算回路により演算された測定値を表示する表示部と、を備えた筋力測定装置であって、前記演算回路は、前記表示部に表示するデータを生成するデータ処理回路およびデータを記憶するメモリを備え、前記メモリには身体の所定の部位の筋力(例えば、膝伸展筋力)の統計的データもしくは標準値が格納されていることを特徴とする筋力測定装置」が記載されている。
【0004】
特許文献1、2に記載された筋力測定装置は、例えば、被検者の等尺性膝伸展筋力を測定する場合に用いられ、
図12に示すように、椅子やベッドに着座した被検者の下肢Lの脛と椅子やベッドの脚ないし支柱Pとの間に水平状に測定用ベルト1を架け渡して端部を連結してループ状とし、センサ部Sを被検者の下肢Lの脛に接触させることで測定可能な状態とし、この状態で、被検者が下肢を伸展させるように力を入れると、その力がセンサ部Sの圧力検出素子を押圧し、センサ部Sのデータが演算部に送信されて等尺性膝伸展筋力が測定され、測定結果が表示部に表示されるようになっている。
【0005】
図13に示すように、従来のベルト本体の第1端部と第2端部の連結手段は、第1端部に設けた一対の爪状の嵌合片と、第2端部に設けた嵌合受部(嵌合姿勢と非嵌合姿勢との間で可動である)とからなり、嵌合受部が内蔵されたバネによって嵌合方向に付勢されて嵌合姿勢を維持しており、嵌合片を付勢力に抗して嵌合受部に差し込むことで、ワンタッチで第1端部の嵌合片と第2端部の嵌合受部が嵌合して連結するようになっており、一方、両側部を指で押し込んで嵌合受部を非嵌合姿勢とすることで、嵌合状態を解除するようになっている。
【0006】
このような従来の連結手段では、ベルトの第1端部と第2端部の着脱作業性は良いが、筋力測定用ベルトの繰り返しの使用によって、ベルトの引張力に対抗する耐力(嵌合片と嵌合受部の嵌合力)が低下するおそれがあり、また、連結部位の軽量化のため(計測時に連結部位が自重で垂れ下がることを避ける必要がある)、嵌合部位を頑強にすることが難しいという課題がある。また、筋力測定時に、意図せずに、嵌合部位が支柱に当接した状態で測定を行ったような場合には、嵌合部位に力が作用して、嵌合状態が外れてしまうおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4875916号
【特許文献2】特許第4875917号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】https://anima.jp/products/f1video/
【非特許文献2】固定用ベルトを使用した等尺性膝伸展筋力測定方法の検討 山崎裕司等、平成年度高知リハビリテーション学院紀要第11巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、連結手段の重量を実質的に増大させることがないシンプルな構成でありながら、ベルトの引張力に十分に対抗できる耐力を備えた筋力測定用ベルトを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が採用した技術手段は、
第1端部と、
第2端部と、
センサ装着部と、
第1端部と第2端部を着脱可能に連結する連結手段と、
を備えた筋力測定用ベルトであって、
前記連結手段は、
前記第1端部に設けた第1プレートと、
前記第2端部に設けた第2プレートと、
前記第1プレートの面部に形成した不動の係止部と、
前記第2プレートの面部に形成された不動の被係止部と、
前記係止部と前記被係止部の係止状態を保持する係止状態保持手段と、
を備えた、
筋力測定用ベルト、である。
不動の係止部とは、第1プレートの面部と一体形成ないし面部に固定されており、面部に対して不動であることを意味する。
不動の被係止部とは、第2プレートの面部と一体形成ないし面部に固定されており、面部に対して不動であることを意味する。
【0011】
1つの態様では、前記係止部は、前記第1プレートの面部に突成した係止突起であり、
前記被係止部は、前記第2プレートの面部に形成された係止孔である。
なお、前記被係止部は、前記第2プレートの面部に形成された係止溝でもよい。
また、前記係止部及び前記被係止部は、共に係止突起であってもよく、係止突起の形状は面部から垂直状に立ち上がる立ち上がり片、あるいは、面部から立ち上がる側面視L形状の突片であってもよい。
【0012】
1つの態様では、前記係止突起は、軸部と、前記軸部の上端の頭部と、を備え、
前記係止孔は、前記頭部の径よりも大きい大径部と、前記頭部の径よりも小さく、前記軸部の径よりも大きい小径部と、から一体形成されており、
前記係止孔において、前記小径部は前記大径部に対して第2プレートの先端側に位置しており、
前記係止状態では、前記第1プレートと前記第2プレートが重なるように当接ないし近接した状態で、前記係止突起の前記軸部が、前記係止孔の前記小径部に位置している。
1つの態様では、前記係止突起の前記軸部の下端には、当該軸部及び前記小径部よりも大径のベースが突成されている。
【0013】
1つの態様では、前記係止状態保持手段は、固定用ベルトを備え、
前記係止状態では、前記第1プレートと前記第2プレートは、前記第1プレートの面部と前記第2プレートの面部が重なるように当接ないし近接した状態で、前記係止部が、前記被係止部に係止した係止姿勢にあり、
前記固定用ベルトは、係止姿勢にある前記第1プレート及び前記第2プレートを包持するように設けることで、前記第1プレートと前記第2プレートの係止姿勢を保持する。
【0014】
1つの態様では、前記固定用ベルトは、第1面と第2面を備え、
前記固定用ベルトは、一端側の第1部分と、他端側の第2部分と、第1部分と第2部分の間の第3部分と、からなり、
前記第1部分には挿入孔が形成されており、
前記第1部分の第2面には面ファスナの第1要素が設けられ、前記第2部分の第1面には面ファスナの第2要素が設けられ、
前記固定用ベルトは、前記第3部分の第1面を、係止姿勢にある第1プレートの裏面側に位置させて、前記第1部分を折り返して、第2プレートの係止孔から突出する係止突起を、前記挿入孔から突出させ、前記第2部分を折り返して、面ファスナの第1要素に第2要素を装着してなり、前記係止突起の上端部位は、面ファスナの第1要素と第2要素の間に挟まれている。
【0015】
本発明は、上記筋力測定用ベルトと、前記筋力測定用ベルトの前記センサ装着部に装着されたセンサ部と、センサ部で計測されたデータに基づいて筋力を算出する演算部と、を備えた筋力測定装置としても提供され得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、第1端部と第2端部の連結手段を、前記第1プレートの面部に形成した不動の係止部と、前記第2プレートの面部に形成された不動の被係止部と、前記係止部と前記被係止部の係止状態を保持する係止状態保持手段と、から構成することで、連結手段の重量を実質的に増大させることがないシンプルな構成でありながら、ベルトの引張力に十分に対抗する耐力を備えた筋力測定用ベルトを提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る筋力測定用ベルトの全体図であり、ベルト本体の第1端部と第2端部を連結してループ状とした姿勢を示している。
【
図2】本実施形態に係る筋力測定用ベルトの全体図であり、ベルト本体の第1端部(構成要素を展開させた状態)と第2端部を離脱させた姿勢を示している。
【
図3】本実施形態に係る筋力測定用ベルトのベルト本体の第1端部(下図)と第2端部(上図)を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る筋力測定用ベルトのベルト本体の第1端部を詳細に示す図である。
【
図5】本実施形態に係る筋力測定用ベルトのベルト本体の第1端部を背面から見た図である。
【
図6】本実施形態に係る筋力測定用ベルトのベルト本体の第1端部と第2端部の係止状態を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る筋力測定用ベルトのベルト本体の第1端部の係止突起と第2端部の係止孔の係止状態を示す平面図である。
【
図8】
図7の状態から、固定用ベルトの第1部分を折り返した状態を示す図である。
【
図9】
図8の状態から、固定用ベルトの第2部分を折り返した状態を示す図である。
【
図10】係止姿勢にある第1プレートと第2プレートを固定用ベルトで包持した状態を示す概略断面図である。
【
図11】他の実施形態に係るベルト本体の第1端部と第2端部の連結手段を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る筋力測定用ベルト(センサ装着部、ベルト長調整部、連結手段は省略されている)を用いた筋力測定を説明する図である。
【
図13】ベルト本体の第1端部と第2端部の連結手段の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る筋力測定用ベルト1は、当該ベルト1に装着されるセンサ部Sと、センサ部Sと電気的(有線、無線を問わない)に接続された演算部、表示部と、から筋力測定装置を構成し(
図12参照)、典型的には、等尺性筋力計を提供する。
【0019】
筋力測定用ベルト1は、所定長で長尺部材からなるベルト本体1´を備え、ベルト本体1´は、長さ方向の一端側の第1端部と、長さ方向の他端側の第2端部と、を備えており、第1端部と第2端部は着脱可能に連結可能となっており、第1端部と第2端部を連結することでループ状のベルト1を得るようになっている。本実施形態に係るベルト本体1´はナイロン製の平ベルトであるが、ベルト本体1´を形成する材料は、軽量で所定の強度を備えている非伸縮性の材料であれば、ナイロン製に限定されない。ベルト本体1´は、複数本の長尺状要素を接続して形成してもよい。例えば、複数本の長尺状要素の接続部に位置してセンサ部Sが装着されるようにしてもよい。
【0020】
ベルト本体1´は、ベルト長調整部2を備えており、例えば、ベルト長調整部2のベルト余長部2´を引っ張ることで、ベルト長を短くすることができる。ベルト長調整部2は、筋力測定時に、第1端部と第2端部を連結してループ状のベルトを形成した時に、ループ状のベルト長を容易に調整可能なように、第1端部あるいは第2端部に近い部位に設けることが望ましく、本実施形態では、第1端部の近傍にベルト長調整部2が設けてある。ベルト長調整部2の構成自体は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
ベルト本体1´は、センサ装着部3を備えている。本実施形態に係るセンサ装着部3は、面ファスナを備えており、筋力計測用のセンサ部Sが着脱可能となっている。センサ部Sは荷重センサとパッドを備え、パットの側部から信号線が延出しており、荷重センサにより取得されたデータが演算部に送信され、演算部で算出された筋力が表示部に表示されるようになっている。1つの態様では、演算部及び表示部は、測定者の腕に装着可能や装着ベルトに搭載されている。センサ部Sは、1つの態様では、一対の平板と、当該平板間の4隅に配置された圧力検出素子と、から圧力センサとして構成される。センサ装着部3、センサ部S、演算部、表示部のより具体的な構成については、特許文献1、2を参照することができる。
【0022】
ベルト本体1´の第1端部と第2端部の連結手段について説明する。第1端部と第2端部の連結手段は、第1プレート4の面部に形成した不動の係止部と、第2プレート6の面部に形成された不動の被係止部と、前記係止部と前記被係止部の係止状態を保持する係止状態保持手段と、から構成される。本実施形態では、前記係止部は、第1プレート4に設けた係止突起5であり、前記被係止部は、第2プレート6に設けた係止孔7である。なお、係止突起5と係止孔7の組み合わせは、1つの好ましい態様であり、本発明に係る連結手段を限定するものではない。例えば、前記係止部及び前記被係止部は、共に係止突起であってもよく、係止突起の形状は面部から垂直状に立ち上がる立ち上がり片、あるいは、面部から立ち上がる側面視L形状や逆T形状の突片であってもよい。
【0023】
図2~
図4に示すように、ベルト本体1´の第1端部には、薄肉の金属製プレートからなる第1プレート4が設けてある。第1プレート4は第1面40と第2面41を備えており、第1プレート4の第1面40には係止突起5が突成されている。係止突起5は、第1プレート4の第1面40から突成する円板状のベース50と、ベース50から立ち上がる軸部51と、軸部50の上端に一体形成された円板状の頭部52と、からなる。本実施形態に係る第1プレート4はジュラルミンからなり、係止突起5は真鍮からなるが、なるべく軽量で所定の強度を備えていれば、材質は限定されない。第1プレート4は、例えば、ステンレスや鋼板でもよく、係止突起5はステンレスや鉄製でもよい。
【0024】
ベルト本体1´の第2端部には、薄肉の金属製プレートからなる第2プレート6が設けてある。第2プレート6は第1面60と第2面61を備えており、第2プレート6の面部には係止孔7が形成されている。係止孔7は、係止突起5の頭部52の径よりも大きい大径部70と、頭部52の径及びベース50の径よりも小さく、係止突起5の軸部50の径よりも大きい小径部71と、から一体形成された孔であり、いわゆるダルマ孔である。係止孔7において、小径部71は大径部70に対してベルト端部側に位置している。本実施形態に係る第2プレート6はジュラルミンからななるが、なるべく軽量で所定の強度を備えていれば、材質は限定されない。第2プレート6は例えば、ステンレスや鋼板でもよい。なお、係止孔7に代えて係止溝から被係止部を構成してもよい。
【0025】
第1プレート4の第1面40と第2プレート6の第2面61を対向させて重ねるように、第2プレート6の係止孔7の大径部70から第1プレート4の係止突起5の頭部51を差し入れ、第2プレート6を第1プレート4の先端側にスライドさせることで、係止突起5の軸部50を係止孔7の小径部71に係止することで係止状態となる(
図6下図、
図7参照)。すなわち、係止状態では、第1プレート4の第1面40と第2プレート6の第2面61が近接するように重なった状態(本実施形態では離間対向している)で、係止突起5の軸部50が、係止孔7の小径部71に位置している。第2プレート6の第1面60の小径部71の近傍部位は、係止突起5の頭部52に近接対向ないし接触し、第2プレート6の第2面61の小径部71の近傍部位は、係止突起5のベース50に近接対向ないし接触している。
【0026】
筋力測定用ベルト1は、係止突起5と係止孔7の係止状態を保持する係止状態保持手段を備えている。ベルト本体1´の第1端部には、第1プレート4の第2面側に位置して、ベルト延出部8が設けてあり、ベルト延出部8は、長尺要素を折り返して表側の第1部分80と背面側の第2部分81とを形成することで袋状になっており、基端部82が、第1プレート4が連結された部位の裏面に固定されている。なお、第1プレート4の第2面41とベルト延出部8の第1部分80は当接するようになっているが、固定されてはいない。第1プレート4は基端側を介してベルト本体1´の第1端部に対して回動可能である。
【0027】
ベルト延出部8の第1部分80と第2部分81の間には、ベルト本体1´の長さ方向に直交する方向に延びる短尺で可撓性の帯状部材からなる固定用ベルト9が挿入されている(
図2、
図4、
図5、
図7参照)。固定用ベルト9は、第1面と第2面を備え、長さ方向の一側の第1部分90と、他側の第2部分91と、第1部分90と第2部分91の間の中間に位置する第3部分91とからなり、第3部分91が、ベルト延出部8の第1部分80と第2部分81の間に挟まれた状態で、ベルト本体1´の第1端部に装着されている。ベルト延出部8及びベルト延出部8に挿入された固定用ベルト9の第3部分92は、第1プレート4の背面(第2面41側)に位置している。
【0028】
固定用ベルト9の第1部分90には、係止状態にある係止突起5の頭部51を受け入れ可能な孔部900が形成されており(
図2、
図4、
図5、
図7参照)、第1部分90を折り返して第1面を係止突起5及び第2プレート6の第1面に重ねるようにして、係止突起7の頭部71を孔部900から突出させる(
図8参照)。折り返された第1部分90の第2面(表側に位置する)には、面ファスナの第1要素901が設けてある。
【0029】
固定用ベルト9の第2部分91の第1面には、面ファスナの第2要素910が設けてあり(
図4、
図7、
図8参照)、第2部分91の第1面を、第1部分90の第2面に重ねるように折り返して、係止突起7の頭部71を挟みこむようにして、面ファスナの第2要素910と第1要素901を連結させる(
図9、
図10参照)。固定用ベルト9は、係止姿勢にある第1プレート4及び第2プレート6を包持するように設けられており、第1プレート4と第2プレート6が離間する方向の動き、及び、ループ状のベルト本体1´の連結部に引張力が作用する方向と反対方向へのスライド移動(係止突起5の軸部51が係止孔7の大径部71から小径部70への移動)を規制する。
【0030】
本実施形態に係る筋力測定用ベルト1は、筋力測定装置の構成要素として用いられる。筋力測定用ベルト1のベルト本体1´のセンサ装着部3にセンサ部Sを装着し、椅子やベッドに着座した被検者の下肢Lの脛と椅子やベッドの脚ないし支柱Pとの間に水平状に筋力測定用ベルト1のベルト本体1´を架け渡して、上記連結手段で第1端部と第2端部を連結してループ状とし、センサ部Sを被検者の下肢Lの脛に接触させた状態で、ベルト長調整部2によって、ベルト長を適宜調整することで測定可能な状態とし、この状態で、被検者が下肢を伸展させるように力を入れると、その力がセンサ部Sの圧力検出素子を押圧し、センサ部Sのデータが演算部に送信されて等尺性膝伸展筋力が測定され、表示部に表示されるようになっている。
【0031】
図11に、他の実施形態に係るベルト本体の第1端部と第2端部の連結手段を示す。ベルト本体1´の第1端部には、薄肉の金属製プレートからなる第1プレート4´が設けてあり、第1プレート4´の面部には係止突起5´が突成されている。図示の態様では、第1プレート4´の面部には係止突起5´の基端に位置してベースが50´が設けてある。ベルト本体1´の第2端部には、薄肉の金属製プレートからなる第2プレート6´が設けてあり、第2プレート6´の面部には係止突起7´が突成されており、面部には係止突起7´の基端に位置して開口溝70´が形成されている。
図11に示す本実施形態では、前記係止部は、第1プレート4´に設けた係止突起7´であり、前記被係止部は、第2プレート6´に設けた係止突起7´、開口溝70´である。第1プレート4´の面部と第2プレート6´の面部を対向させて重ねるように、第2プレート6´の開口溝70´から第1プレート4´の係止突起5´を差し入れ、第1プレート4´の係止突起5´と第2プレート6´の係止突起7´を当接させることで係止状態となる
【0032】
筋力測定用ベルト1は、係止突起5´と係止突起7´の係止状態を保持する係止状態保持手段を備えている。係止状態保持手段としては、固定用ベルト(
図11では図示せず)を用いることができる。固定用ベルトの説明については、「固定用ベルト9の第1部分90には、係止状態にある係止突起5の頭部51を受け入れ可能な孔部900が形成されており」を「固定用ベルトの第1部分には、係止状態にある係止突起5´、係止突起7´を受け入れ可能な孔部が形成されており」と読み替えることで、既述の記載を援用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 筋力測定用ベルト
1´ ベルト本体
2 ベルト長調整部
3 センサ装着部
4 第1プレート
5 係止突起
50 ベース
51 軸部
52 頭部
6 第2プレート
7 係止孔
70 大径部
71 小径部
8 ベルト延出部
9 固定用ベルト