(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026828
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】鉛筆芯
(51)【国際特許分類】
C09D 11/16 20140101AFI20230221BHJP
B43K 19/02 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C09D11/16
B43K19/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132217
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】村田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】新井 啓之
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039AB04
4J039AB08
4J039AB12
4J039AD01
4J039AD05
4J039AD18
4J039AE01
4J039AE02
4J039AE11
4J039BA03
4J039BA23
4J039BB02
4J039BC01
4J039BC19
4J039BC20
4J039BC33
4J039BE01
4J039CA09
4J039EA36
4J039GA30
(57)【要約】
【課題】 筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯を提供する。
【解決手段】 融点45~80℃のワックスを含浸してなることを特徴とする鉛筆芯。または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温(25℃)で固体状の油状組成物を含浸してなることを特徴とする鉛筆芯。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点45~80℃のワックスを含浸してなることを特徴とする鉛筆芯。
【請求項2】
融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温(25℃)で固体状の油状組成物を含浸してなることを特徴とする鉛筆芯。
【請求項3】
前記融点45~80℃のワックスがグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉛筆芯。
【請求項4】
前記粘着性付与樹脂が下記A群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の鉛筆芯。
A群:テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ポリブテン
【請求項5】
更に、常温で液状のオイルを含むことを特徴とする請求項2又は4に記載の鉛筆芯。
【請求項6】
前記融点45~80℃のワックス又は前記常温で固体状の油状組成物の粘着性が10gf以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉛筆芯。
【請求項7】
前記融点45~80℃のワックス又は前記常温で固体状の油状組成物の粘着性が40gf以上で、かつ、50℃での粘性が40~200mPasであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉛筆芯。
【請求項8】
JIS S 6006:2020の方法で筆記した場合の摩耗量が2.0mm/6m以上で、かつ、その筆記描線を垂直荷重500gのフェルトで描線からはみ出すように4往復擦過し汚れの広がった部分の濃度で規定される汚れ性が0.60以下であることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の鉛筆芯。
【請求項9】
前記汚れ性/前記摩耗量の値が0.025以下であることを特徴とする請求項8に記載の鉛筆芯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などにも汚れが付きにくい鉛筆芯に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の焼成鉛筆芯は、色材として黒鉛を使用するので、筆跡は黒鉛のa-b面が紙面を覆う形となり、そのa-b面が光を反射し、筆跡が黒く見え辛いという欠点を持っていた。そのため、鉛筆芯の筆跡の濃度向上のために様々な工夫がなされてきている。
筆跡の濃度向上を図った場合、色材としての黒鉛を多量に筆記面に移すことになるため、相対する性能として、定着性(描線を擦ったときの汚れにくさ)が挙げられる。即ち、筆跡の濃度向上を目指せば定着性が劣り、逆に定着性を良好にすれば筆跡の濃度に難が出てくると言える。
【0003】
そこで、鉛筆芯の分野においては、これらの性能を両立させるべく鋭意研究がなされてきている。
例えば、焼成芯体の気孔中に油状物を含浸してなる鉛筆芯において、前記油状物が、常温で固体状のシリコーンオイル等の油状物と、この固体状の油状物と非相溶性の常温で液状の油状物とを、焼成鉛筆芯の細孔内に含浸させ、描線の反射濃度と、描線の定着性について検討を行っている焼成鉛筆芯が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでの「定着性良好」とは、擦過による汚れが推定20%超であるところを10%台に抑制させるものであり充分とはいえなかった。
【0004】
また、焼成により得られる多孔に、含浸成分を含浸させてなる鉛筆芯において、前記含浸成分が、シリコーンオイル等と、炭素数14~50(C14~C50)の極性基を有する有機物とを、焼成鉛筆芯の細孔内に含浸させ、濃い筆跡と、描線の定着性とを両立させようとしている鉛筆芯が知られている(例えば、特許文献2参照)。この場合も「定着性良好」とは、更に悪く擦過による汚れが推定20%超であるところを20%程度に抑制させるものであり、更に充分といえなかった。
【0005】
更に、窒化硼素と、炭素より成る焼結体と、該焼結体の気孔中に充填されている粘着物とから構成され、その粘着物と筆記される製図用フイルムとの、はく離強さが50g/2.5cm以上であって、焼成芯の細孔内に粘着物(粘着性ワックス、ワックスと樹脂の混合物)を配合し、高強度で、濃度も高く、製図用フィルムに対する定着性に優れた「鉛芯」が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この「鉛芯」は、製図用フィルムに対する定着性に優れるものであり、紙面に対しては粘着性が強すぎると考えられるものである。
【0006】
また、黒鉛を分散含有する焼成芯体とこの焼成芯体の気孔中に含浸された油状物とよりなる鉛筆芯において、前記油状物の少なくとも一部として、ワックスならびにロジン系樹脂及び/又は石油樹脂との相溶物を含浸させ、紙面に対する濃度向上と定着性向上を両立させた鉛筆芯が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、ここで言う「定着性向上」は擦過による汚れを推定で10%程度に抑制するものであり、不十分なものであると思われる。
更に本出願人より、白色若しくは単色の多孔質焼成芯の気孔内に、特定の顔料と、ホホバ油等を含浸して、発色性、描線濃度、描き味、耐光性、及び、機械強度に優れた鉛筆芯が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この鉛筆芯では、黒鉛を使用するものではなく、紙面への定着性についての開示や配慮はなされていないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5-271604号公報(発明の詳細な説明、実施例等)
【特許文献2】特開2005-314620号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等)
【特許文献3】特開昭60-105598号公報(発明の詳細な説明、実施例等)
【特許文献4】特開平3-31377号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等)
【特許文献5】特開2002-179975号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、融点が特定温度以上の成分を1種、又はこの成分と特定物性の成分とを含む2種以上の成分を含むものを含浸することなどにより、上記目的の鉛筆芯が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
すなわち、本発明の鉛筆芯は、融点45~80℃のワックスを含浸してなることを特徴とし、また、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温(25℃)で固体状の油状組成物を含浸してなることを特徴とする。
前記融点45~80℃のワックスがグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
前記粘着性付与樹脂が下記A群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
A群:テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ポリブテン
更に、常温で液状のオイルを含むことが好ましい。
前記融点45~80℃のワックス又は前記常温で固体状の油状組成物の粘着性が10gf以上であることが好ましい。
前記融点45~80℃のワックス又は前記常温で固体状の油状組成物の粘着性が40gf以上で、かつ、50℃での粘性が40~200mPasであることが好ましい。
前記鉛筆芯は、JIS S 6006:2020の方法で筆記した場合の摩耗量が2.0mm/6m以上で、かつ、その筆記描線を垂直荷重500gのフェルトで描線からはみ出すように4往復擦過し汚れの広がった部分の濃度で規定される汚れ性が0.60以下であることが好ましい。
前記汚れ性/前記摩耗量の値が0.025以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
本発明の鉛筆芯は、第1発明では、融点45~80℃のワックスを含浸してなることを特徴とし、また、第2発明では、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温(25℃、以下同様)で固体状の油状組成物を含浸してなることを特徴とするものである。以下、本発明という場合、第1発明及び第2発明の両方を含む物である。
【0014】
本発明において、上記融点45~80℃のワックス、または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物を含浸せしめる鉛筆芯体としては、黒色の多孔質焼成芯体が挙げられる。
この黒色の多孔質焼成芯体は、従来から用いられている配合材料及び製造方法などにより得ることができ、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体であれば、その配合材料種、製造方法は特に限定されるものでない。
例えば、鉛筆芯がシャープペンシル用では、配合材料として、黒鉛を少なくとも含有するものであり、また、シャープペンシル以外の鉛筆芯などの黒色の多孔質焼成芯体では、少なくとも黒鉛と、体質材とセラミック結合材などとを含有することが好ましい。
また、シャープペンシル用多孔質焼成芯体では、その他の成分として、結合材としてポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ピッチ、セルロース、ポリアクリロニトリル、ナノ粒子として、平均粒径100nm以下の金属ナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、これらのナノ粒子等からなる母材に対してアモルファスカーボン、黒鉛、ダイヤモンド及びセラミック材料などを被覆した被覆ナノ粒子、フラーレンなどのカーボン粒子、安定剤として、ステアリン酸Ca-Zn、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、可塑剤としてジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、フタル酸ジイソブチル、焼成鉛筆芯では、その他の成分として、色材、潤滑剤、バインダー成分、各種シリコーンオイル、ラード、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロイド及びその他の熱可塑性樹脂、有機溶剤等を用いることができる。
【0015】
用いることができる黒鉛としては、鱗片状天然黒鉛などの天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛などが挙げられ、セラミック結合材としては、結晶質又は非晶質のSiO2、Si3N4、Al2O3、ZrO、MgO、窒化ホウ素、B2O3、AlNなどが挙げられ、これらは各単独又は2種以上を用いてもよいものである。
なお、本発明(後述する実施例等を含む)における平均粒径は、レーザー回折・散乱法における測定結果から体積で重みづけされた体積平均径(mv値)をいい、例えば、ナノ粒子では、ナノトラック〔日機装社製、UPA-EX150(内部プローブ型)〕を用いて測定することができる。
【0016】
体質材としては、従来の鉛筆芯に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、窒化ホウ素、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の白色系体質材や、鉛筆芯の色相によっては、有色系の体質材も使用することができ、当然これら数 種類の混合物も使用できる。特に、好ましくは、その物性、形状から窒化ホウ素、カオリン、タルクが挙げられる。
【0017】
バインダー成分としては、従来の鉛筆芯に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロニドン等のポリビニル類、ポリオキシエチレン等のポリエーテル類、ポリアクリル酸等のアクリル酸類、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)縮合体等の無機高分子、モンモリロナイト等の粘土、セラミックガラス等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0018】
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトンなどを挙げられる。
用いる有機溶剤は、上記熱可塑性樹脂を溶解し得る可塑剤となるものが好ましく、具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジアリルイソフタレート、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類などを用いることができる。
【0019】
本発明において、焼成鉛筆芯体は、各鉛筆芯種、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯やシャープペンシル以外の焼成鉛筆芯に用いる各成分(黒鉛、カーボンブラック、ナノ粒子、体質材、界面活性剤、香料、熱可塑性樹脂、有機溶剤など)を混練、成型、乾燥及び非酸化性雰囲気下で焼成処理して得ることができる。
【0020】
例えば、鉛筆芯がシャープペンシル用の製造では、好ましくは、強度、濃度、書き味の点から、鉛筆芯配合組成物全量に対して、(a)上記黒鉛やカーボンブラック30~70質量%、(b)ナノ粒子0.01~1質量%を用いて、その他の成分である(c)熱可塑性合成樹脂30~60%、(d)該熱可塑性合成樹脂を溶解し得る有機溶剤0~30%を、ヘンシェルミキサーで分散混合し、加圧ニーダー、二本ロールで混練し、押出成型機により成型した後、電気炉で110~250℃で乾燥して、焼成前の鉛筆芯形成用の芯体を成形し、窒素などの不活性ガス雰囲気下で800~1400℃、20~40時間で焼成することにより鉛筆芯体を製造することができる。
【0021】
本発明では、上述に如く、従来から用いられている配合材料及び製造方法などにより得られ、例えば、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、融点45~80℃のワックス、または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂ヤー樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物を含浸することにより、目的の鉛筆芯を得ることができる。
【0022】
本発明に用いる融点45~80℃のワックスとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ウルシロウ(融点52℃)、モクロウ(融点53℃)、モンタンワックス(融点78~80℃)、パラフィンワックス(融点48~75℃)、ハゼロウ(融点52℃)などのワックスやエチレン-酢ビ共重合体(融点75~80℃以下のもの)、エチレンアクリル共重合体(融点65~80℃以下のもの)などの熱可塑性樹脂、パーム硬化油(融点45~59℃)といったようなものの少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
【0023】
「ワックス成分」として用いられるグリセリン脂肪酸エステルとしては、融点45~80℃(45℃以上で80℃以下)のもので一般的にグリセリン脂肪酸エステルとして分類されているものであれば、特に限定されず、いずれも使用できる。例えば、融点45~80℃のパルミチン酸グリセリド、ステアリン酸グリセリド等、また、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれも用いることができる。さらに、これら以外のものとしては、グリセリン脂肪酸エステルを主成分とする上記ハゼロウ、ウルシロウ等のモクロウ類、ヤマハゼロウ、ヤマウルシロウ等のスマックワックス類等の天然物のいずれをも用いることができる。上記融点45~80℃の各ワックスは、市販品があれば、それらを使用することができる。
好ましい融点45~80℃のワックスとしては、「ワックス成分」として用いられるグリセリン脂肪酸エステル、ウルシロウ、ヤマウルシロウ、ハゼロウ、モクロウである。
【0024】
本発明において、第1発明では、上記融点45~80℃のワックス(100質量%)を上述の焼成鉛筆芯体に含浸することにより、目的の鉛筆芯が得られるものであり、また、第2発明では、この融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物を含浸することにより、目的の鉛筆芯が得られるものある。
【0025】
第2発明で用いる粘着性付与樹脂(タッキファイヤー樹脂)としては、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ポリブテンの少なくとも1種が挙げられ、これらは通常分子量が数百~数千までの無定形オリゴマーであるとされている。テルペンフェノール樹脂の他のテルペン系樹脂には、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂ならびに水素化テルペン樹脂が存在する。
これらの粘着性付与樹脂は、特に定着性向上の点等から、前記融点45~80℃のワックスに加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ポリブテンの中から選ばれる少なくとも1種を所定量併用するものである。
【0026】
用いることができるテルペンフェノール樹脂は、テルペン化合物とフェノール類を、フリーデル・クラフツ触媒のもとでカチオン重合により共重合したものである。
上記テルペン化合物は、一般に、イソプレン(C5H8)の重合体で、モノテルペン(C10H16)、セスキテルペン(C15H24)、ジテルペン(C20H32)等に分類され、これらを基本骨格とする化合物である。これらの中で、本発明では、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンが好ましく、セスキテルペン、モノテルペンがより好ましく用いられる。
これらテルペン化合物としては、例えば、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-ピ
ネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-
テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオ
ール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、カンフェン、トリシクレン、サビネン
、パラメンタジエン類、カレン類が挙げられる。
これらの中では、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、α-
テルピネンが好ましい。
【0027】
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフ
ェノール、ノリルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、メトキシフェノール、ブロ
モフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられる。
これらの中では、フェノール、クレゾールが好ましい。
テルペンフェノール樹脂は、いわゆるタッキファイヤー(粘着性付与樹脂)の一種であり、通常分子量が数百~数千までの無定形オリゴマーであるとされている。テルペンフェノール樹脂の他のテルペン系樹脂には、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂ならびに水素化テルペン樹脂が存在する。本発明では、テルペンフェノール樹脂を水素添加処理して得られた水添テルペンフェノール樹脂であってもよい。
本第2発明では、テルペンフェノール樹脂の市販品があれば、それらを使用することができ、例えば、ヤスハラケミカル社製のポリスターシリーズやマイティーエースシリーズの商品名で市販されており容易に入手できる。具体的には、YSポリスターT30、YSポリスターT80、YSポリスターT115、YSポリスターT160(以上、ヤスハラケミカル社製)などが挙げられる。
【0028】
本発明に用いるロジンエステル樹脂は、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂、アビエチン酸等の樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)等を、アルコールによってエステル化させて得られた樹脂である。エステル化に用いたアルコールの水酸基の一部がエステル化に使用されずに樹脂内に含有されることで、水酸基価が上記範囲に調整される。アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。
なお、ロジン樹脂をエステル化した樹脂がロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂をエステル化した樹脂が不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂をエステル化した樹脂が水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂をエステル化した樹脂が重合ロジンエステル樹脂であり、本発明では、これらのいずれも用いることができる。
上記ロジンエステル樹脂としては、例えば、荒川化学工業社製のエステルガムHP、ハリマ化成社製のハリタックF85などが挙げられる。
【0029】
用いることができるケトン樹脂は、市販品を用いることができ、ケトンレジンK-90(荒川化学工業社製)などが挙げられ、
用いることができるロジン変性フェノール樹脂としては、次のようなものがあげられる。p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノールのようなp-アルキルフェノールとパラホルムアルデヒド、及びロジンをトルエンに溶解させ、酸、あるいは、アルカリ触媒下で反応後、グリセリン、ペンタエリスリトール、あるいは、ロジンを200℃で溶融し、レゾール樹脂を加えて反応後、グリセリンでエステル化したロジン変性フェノール樹脂、あるいは、ロジンのグリセリンエステルにレゾール樹脂を加えて反応させたロジン変性フェノール樹脂、あるいはロジン変性アルキド樹脂とフェノール樹脂を反応させたロジン変性フェノール樹脂等が挙げられ、市販品では、荒川化学工業(株)製のタマノル135、タマノル350、タマノル354などが挙げられる。
【0030】
用いることができるポリブテンとしては、特に限定されず、例えば、イソブテンのホモポリマー、イソブテンとn-ブテンとのコポリマー等が挙げられる。
ポリブテンとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、イネオス社製「インドポールH-100」、日油製「PB200N」、新日本石油化学製「日石ポリブテン」、新日本石油化学製「テトラックス」等が挙げられる。
【0031】
石油樹脂としては、芳香族系炭化水素樹脂あるいは飽和または不飽和脂肪族系炭化水素樹脂が挙げられ、例えば、C5系石油樹脂(イソプレン、1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン、メチルブテン、ペンテンなどの留分を重合した脂肪族系石油樹脂)、C9系石油樹脂(α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエンなどの留分を重合した芳香族系石油樹脂)、C5C9共重合石油樹脂などが例示される。市販品では、ペトロタック100V(東ソー社製)などを用いることができる。
【0032】
この第2発明の融点45~80℃のワックス50質量%以上、好ましくは、50~90質量%と、粘着性付与樹脂10質量%以上、好ましくは、10~30質量%とを含む常温で固体状の油状組成物には、更に、描線濃度向上の点、筆記潤滑性向上の点から、常温で液状のオイルを含むことができる。用いることができる常温で液状のオイルとしては、例えば、ホホバ油、エステルオイル、高級アルコール、流動パラフィンなどの少なくとも1種が挙げられる。
【0033】
この第2発明において、融点45~80℃のワックスの含有量が50質量%未満であると、本発明の効果を発揮することができないものとなる。また、粘着性付与樹脂10質量%以上とすることにより、オイル粘着性が上がり、描線定着を向上させることができる。
上記常温で液状のオイルの含有量は、油状組成物全量に対して、好ましくは、10~30質量%が望ましい。
【0034】
前記融点45~80℃のワックス又は前記常温で固体状の油状組成物の粘着性は、描線定着性の点から、好ましくは、10gf以上であることが望ましく、更に好ましくは、40~120gfである。
本発明(後述する実施例を含む)において、上記粘着性は、レスカ社製のタッキング試験機「TAC1000」測定により算出した値である。
【0035】
更に好ましくは、前記融点45~80℃のワックス又は前記常温で固体状の油状組成物の粘着性が40gf以上で、かつ、50℃での粘性が40~200mPasであることが好ましい。
本発明(後述する実施例を含む)において、上記50℃での粘性は、アントンパール社製のレオメーター「MCR102」測定により算出した値である。
【0036】
本発明では、上述した、黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に含浸成分として上記融点45~80℃のワックス、または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物を含浸させることにより、目的の鉛筆芯が得られ、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを更に高度に両立させ、しかも、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が得られることとなる。
【0037】
本発明において、上記構成の多孔質焼成芯体の気孔中に含浸処理する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記融点45~80℃のワックス(100質量%)を、または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物を、そのまま、または、これらをエチレングリコール、エタノール、2-エチルヘキサノール、ブチルセルソルブ、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、プロピレングリコールなどの溶剤で希釈した溶液中に少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体を浸漬、必要に応じて、加熱浸漬、また、減圧、加圧を用いて十分に含浸させた後、溶剤を除去(乾燥)させることで行うことができる。
【0038】
上記含浸処理では、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、上記融点45~80℃のワックス、または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物の含浸量については、特に限定されないが、鉛筆種、気孔率等により変動するが、鉛筆芯体重量に対して、好ましくは、0.1~30質量%程度の量で、十分に本発明の効果を発揮せしめることができ、更に好ましくは、0.5~15質量%である。
【0039】
本発明の鉛筆芯において、好ましくは、筆記硬度の点、描線濃度の点から、JIS S 6006:2020の方法で筆記した場合の摩耗量が2.0mm/6m以上で、かつ、その筆記描線を垂直荷重500gのフェルトで描線からはみ出すように4往復擦過し汚れの広がった部分の濃度で規定される汚れ性が0.60以下であることが望ましい。
更に好ましくは、前記汚れ性/前記摩耗量の値が0.025以下、特に好ましくは、0.005~0.020であることが望ましい。
上記汚れ性を0.60以下、更に、上記汚れ性/上記摩耗量の値を0.025以下とするには、鉛筆芯体種に応じて、上記融点45~80℃上の好適なワックス種の選択など、または、融点45~80℃のワックス種50質量%以上と、粘着性付与樹脂種10質量%以上などの好適な組み合わせなどにより行うことができる。
【0040】
このように構成される本発明では、黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、上記融点45~80℃のワックス、または、融点45~80℃のワックス50質量%以上と、粘着性付与樹脂10質量%以上とを含む常温で固体状の油状組成物を含浸させることにより含有すると、芯が摩耗する際に浸透して崩れやすく、摩耗粉は紙面へ定着しやすくなることにより、平滑な紙面等に濃く筆記可能となることにより、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、従来よりも定着性に優れるので、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が得られることとなる。
【実施例0041】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により限定されるものではない。
【0042】
(実施例1:シャープペンシル芯)
下記方法により、黒色の多孔質焼成芯体(焼成鉛筆芯体)を作製した。
鱗片状天然黒鉛 40質量部
ナノ粒子:ダイヤモンドナノ粒子(粒径:mv値50nm) 0.4質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 15質量部
上記ナノ粒子とジオクチルフタレートをビーズミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間20分、以下同様)し、加圧ニーダー、ロールで混練し、成形後、ジオクチルフタレートを乾燥後、窒素(N2)雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径0.565mm、長さ60mmの焼成鉛筆芯体(シャープペンシル芯)を製造した。
次いで、この焼成鉛筆芯体を、ウルシロウ(セラリカNODA社製)100質量%中に浸漬し、150℃-24時間含浸処理し、鉛筆芯を製造した。なお、重量測定により、芯体中の上記含浸量は、芯体重量に対して15.2質量%であることを確認した。
【0043】
(実施例2~8及び比較例1~3)
上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を、下記表1に示す配合組成のワックス+粘着性付与樹脂中に浸漬し、上記実施例1と同様に、含浸処理し、鉛筆芯を製造した。なお、上実施例1と同様に、重量測定により、各芯体中の上記含浸量を下記表1に表記する。
表1中で用いた成分は下記の製品などを用いた。
パラフィンワックス(パラフィンワックス150F、日本精蝋社製)
テルペンフェノール樹脂A(YSポリスターT30、ヤスハラケミカル社製)
テルペンフェノール樹脂B(YSポリスターT115、ヤスハラケミカル社製)
テルペンフェノール樹脂C(YSポリスターT160、ヤスハラケミカル社製)
テルペンフェノール樹脂D(YSポリスターT80、ヤスハラケミカル社製)
ロジンエステル樹脂(エステルガムHP、荒川化学社製)
ポリブテン(ポリブデンSV7000、ENEOS社製)
ジメチルシリコーン油(KF96-30cs、信越化学社製)
ラウリルアミン(アミンBB、日油社製)
ミリスチルアミン(アミンMB、日油社製)
【0044】
(実施例9:鉛筆芯体)
下記方法により、黒色の多孔質焼成芯体(焼成鉛筆芯体)を作製した。
鱗片状天然黒鉛 70質量部
天然粘土粉末 30質量部
ポリカルボン酸ナトリウム 4質量部
グラフトでんぷん 4質量部
水(精製水) 20質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間30分、以下同様)し、成形後、水を乾燥後、窒素(N2)雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径2.0mm、長さ180mmの焼成鉛筆芯体(鉛筆芯)を製造した。
次いで、この焼成鉛筆芯体を、ウルシロウ(セラリカNODA社製)100質量%中に浸漬し、150℃-24時間含浸処理し、鉛筆芯を製造した。なお、重量測定により、芯体中の上記含浸量は、芯体重量に対して16.1質量%であることを確認した。
【0045】
(実施例10~15及び比較例4~6)
上記実施例9で得た焼成鉛筆芯体を、下記表2に示す配合組成のワックス+粘着性付与樹脂+常温で液状のオイル中に浸漬し、上記実施例9と同様に、含浸処理し、鉛筆芯を製造した。なお、上実施例9と同様に、重量測定により、各芯体中の上記含浸量を下記表2に表記する。
表2中で用いた成分は下記の製品などを用いた。なお、表1と表記したものと同様のものは省略する。
ステアリン酸グリセリル(NIKKOL MGS-F50SEV、日光ケミカル社製)
パーム硬化油(パーム極度硬化油、横関油脂社製)
ホホバ油(NIKKOL ホホバ油S、日光ケミカルズ社製)
ケトン樹脂(ケトンレジンK-90、荒川化学社製)
石油樹脂(ペトロタック100V、東ソー社製)
カルナバワックス(カルナバワックス#2、加藤洋行社製)
【0046】
上記実施例1~8、実施例9~15及び比較例1~3、比較例4~6で得られた各鉛筆芯(シャープペンシル芯、鉛筆芯)について、下記各評価方法等により筆記描線の濃度、摩耗、擦過濃度、汚れ性、擦過濃度/摩耗、粘着性、粘性50℃の評価などを行った。
これらの結果を下記表1、表2に示す。
【0047】
(筆記描線濃度の評価方法)
上記実施例1~8及び比較例1~3のシャープペンシル芯は、三菱鉛筆社製のシャープペンシル(M5-450 1P)に装填し、JIS S 6005:2019に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線を濃度計(コニカミノルタ社製 DENSITOMETER PDA65)で測定し、下記評価基準(平均値、n=10)で評価した。
また、上記実施例9~15及び比較例4~6の鉛筆芯は、JIS S 6006:2020に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線を濃度計(コニカミノルタ社製 DENSITOMETER PDA65)で測定し、下記評価基準(平均値、n=10)で評価した。
評価基準:
○:同硬度並み
△:半硬度程度薄い
×:1硬度以上薄い
【0048】
(摩耗の評価方法)
上記実施例1~8及び比較例1~3のシャープペンシル芯は、三菱鉛筆社製のシャープペンシル(M5-450 1P)に装填し、筆記角度75°、荷重300gf、筆記距離5m筆記した際の芯の摩耗長さを測定した(平均値、n=10)。また、上記実施例9~15及び比較例4~6の鉛筆芯は、芯を角度17°の円すい形に削り、その先端径を0.6mmの円すい台とした鉛筆軸を、筆記角度75°、荷重300gf、筆記距離6m筆記した際の芯の摩耗長さを測定した(平均値、n=10)。
【0049】
〔定着性(汚れ性)擦過濃度の評価方法〕
上記実施例1~8及び比較例1~3のシャープペンシル芯は、JIS S 6005:2019に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線を、上記実施例9~15及び比較例4~6の鉛筆芯はJIS S 6006:2020に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線 を垂直荷重500gのフェルトで描線からはみ出す様に4往復擦過し、描線の汚れが広がった部分を濃度計(コニカミノルタ社製、DENSITOMETER PDA65)で測定し、下記評価基準(平均値、n=10)で評価した。
評価基準:
◎:1硬度以上汚れにくい
○:1硬度程度汚れにくい
△:半硬度分汚れにくい
×:同硬度並み
【0050】
(擦過濃度/摩耗の算出)
上記で得られた擦過濃度、摩耗の各値を用いて算出した。
【0051】
(粘着性の評価方法)
レスカ社製のタッキング試験機「TAC1000」を用いて、プローブ温度40℃、荷重500gで5秒間押し込み後、引き上げた時の粘着力の積分値を測定し(平均値、n=10)で評価した。
【0052】
(粘性@50℃の評価方法)
アントンパール社製のレオメーター「MCR102」を用いて、プレート温度50℃、せん断速度100s-1で粘性@50℃(mPas:平均値、n=10)を測定した。
【0053】
【0054】
【0055】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1~8のシャープペンシル芯、実施例9~15の鉛筆芯は、本発明の範囲外となる比較例1~3、比較例4~6に較べて、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、粘性も良好であり、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯となることが判明した。