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特開2023-26829樹脂組成物、ポリウレア樹脂、塗料、および塗膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026829
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】樹脂組成物、ポリウレア樹脂、塗料、および塗膜
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/80 20060101AFI20230221BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20230221BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20230221BHJP
   C09D 175/02 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C08G18/80
C08G18/32 025
C08G18/50 021
C09D175/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132220
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂下 昌平
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034CA15
4J034CA16
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034DA03
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG04
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HD01
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB07
4J034KC02
4J034KD04
4J034KE02
4J034QB14
4J034QB17
4J034QB19
4J034RA07
4J038DG061
4J038DG301
4J038NA24
4J038NA26
4J038PA15
4J038PA19
(57)【要約】
【課題】可使時間に優れながら、各種特性にも優れ、様々な塗工方法が利用可能なポリウレア樹脂を得るための樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)と、1級アミノ基を含むポリアミン(b)とを含有し、25℃で12時間静置したときの粘度が100~5,000,000mPa・sであり、60~200℃で硬化する、樹脂組成物である。1級アミノ基を含むポリアミン(b)が、多価芳香族アミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエチレンイミン、エチレンアミンおよび脂肪族ポリアミンから選択される1つ以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)と、1級アミノ基を含むポリアミン(b)とを含有し、
25℃で12時間静置したときの粘度が100~5,000,000mPa・sであり、
60~200℃で硬化する、樹脂組成物。
【請求項2】
1級アミノ基を含むポリアミン(b)が、多価芳香族アミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエチレンイミン、エチレンアミンおよび脂肪族ポリアミンから選択される1つ以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)を構成するイソシアネートが、芳香族系(ポリ)イソシアネートおよび/または脂肪族系(ポリ)イソシアネートである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
有機溶媒の含有量が、30質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物を硬化反応させて得られる、ポリウレア樹脂。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物を含有する、塗料。
【請求項7】
刷毛塗り、ローラー塗装、またはこて塗りで塗布される、請求項5に記載の塗料。
【請求項8】
請求項6または7に記載の塗料からなる、塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、ポリウレア樹脂、塗料、および塗膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレア樹脂は優れた物理特性、耐水性、耐薬品性等などを示すことが知られており、建築物外壁や床材などに広く用いられている。ポリウレア樹脂の原料となるイソシアネート化合物とポリアミンは、非常に反応性が高く、常温(15~30℃)において数秒~十数秒で硬化し、ゲル化して固まることが知られている。このため、ポリウレア樹脂の使用においては、原料どうしを混合し固まるまでの時間で塗工を行う、いわゆる2液型と呼ばれる製品形態を取ることができない。従って、ポリウレア樹脂を塗工するには、原料を別々に加温し吹付直前で混合した後、吹き付けるという、スプレーコート(吹付)と呼ばれる方法が一般的であった。
【0003】
スプレーコート法は、広い面積へ効率的に塗工することが可能である一方で、狭い面積への塗工が困難であった。また、混合した原料が飛散することから、人体や周囲環境に対して好ましくない場合があった。
【0004】
この問題を解決するため、アスパルテートと呼ばれるアミンを用いることで、ポリウレア樹脂の可使時間(塗工に使用できる粘度を維持できる時間)を延長し、手塗りに供することができる技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、イソシアネート化合物に対しブロック剤を用いることで、反応進行の制御が可能な2液型ポリウレタンウレアを作製する技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3415201号
【特許文献2】国際公開2019/189944号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1において得られる塗膜の物性については、スプレーコート法により作製されるものより劣るものである。
特許文献2においては、ブロック剤を用いることで、他のイソシアネートと比べて、反応性が抑制されたイソシアネート化合物を用いている。得られたポリウレア樹脂は、スプレーコート法により作製された塗膜と比較すると、塗膜とした際の物性に劣る。
【0008】
さらに、特許文献1、2のポリウレア樹脂はいずれも、可使時間の調整が困難であり、施工業者など人力作業で塗工される用途においては、作業時間的または材料的なロスが生じる。
【0009】
本発明の目的は、常温で十分な可使時間を確保され、刷毛塗りやローラーコートにより簡便に扱うことができながら、加熱して硬化反応を進行させることができ、さらに得られる塗膜の物性に優れるポリウレア樹脂を得るための、樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、特定の構造を有するポリアミンと、ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物とを用いることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の(1)~(8)を要旨とする。
(1)ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)と、1級アミノ基を含むポリアミン(b)とを含有し、25℃で12時間静置したときの粘度が100~5,000,000mPa・sであり、60~200℃で硬化する、樹脂組成物。
(2)1級アミノ基を含むポリアミン(b)が、多価芳香族アミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエチレンイミン、エチレンアミンおよび脂肪族ポリアミンから選択される1つ以上である、(1)の樹脂組成物。
(3)ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)を構成するイソシアネートが、芳香族系(ポリ)イソシアネートおよび/または脂肪族系(ポリ)イソシアネートである、(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)有機溶媒の含有量が、30質量%以下である、(1)~(3)の何れかの樹脂組成物。
(5)(1)~(4)の何れかの樹脂組成物を硬化反応させて得られる、ポリウレア樹脂。
(6)(1)~(4)の何れかの樹脂組成物を含有する、塗料。
(7)刷毛塗り、ローラー塗装、またはこて塗りで塗布される、(5)の塗料。
(8)(6)または(7)に記載の塗料からなる、塗膜。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)と1級アミノ基を有するポリアミン(b)とを含有するものであり、常温での硬化反応の進行を抑制できる一方で、適度な加熱温度では、硬化反応が進行する。これにより、可使時間を長くすることができ、優れた物性を有する塗膜を形成し得る、ポリウレア樹脂を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の樹脂組成物は、ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)と、1級アミノ基を含むポリアミン(b)とを含有する。
【0013】
ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物は、(ポリ)イソシアネートのイソシアネート基がブロック剤でブロックされたものである。ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)を用いることで、1級アミノ基を有するポリアミン(b)との反応性を抑制し、常温での硬化反応が抑制された樹脂組成物を得ることができる。また、ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物を用いることで、人体や環境への影響が低減される。
【0014】
本発明の樹脂組成物において、成分(a)と成分(b)との、ブロックされたイソシアネート基に対するポリアミンの当量比(NCO/NH)は、0.85~1.15が好ましく、0.90~1.05がより好ましく、0.97~1.03がさらに好ましい。当量比が0.85未満であると、得られるポリウレア樹脂塗膜の物性が低下する場合があり、一方、1.15を超えると、得られるポリウレア樹脂塗膜の物性が低下するとともに、着色が起こりやすくなる場合がある。
【0015】
ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物を構成する、(ポリ)イソシアネートとは、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であり、その形態は、モノマー、オリゴマー、ポリマーの何れであってもよい。
【0016】
(ポリ)イソシアネートとしては、芳香族系、脂肪族系および/または脂環族系ポリイソシアネートモノマー、これらとポリアミン、ポリオールを反応して得られるイソシアネート末端プレポリマーおよびその変成体(アロファネート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ビュレット変性体、ウレトジオン変性体、およびイソシアヌレート変性体等)等が挙げられる。
【0017】
芳香族系(ポリ)イソシアネート、脂肪族系(ポリ)イソシアネートとしては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2ーメチルペンタン-1,5ージイソシアネート、3-メチルペンタンー1,5ージイソシアネート、2,4,4-または2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0018】
脂環族系(ポリ)イソシアネートとしては1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6ーシクロヘキサンジイソシアネート、1,3ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、2,5-または2,6-ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)および芳香族系(ポリ)イソシアネートを水素添加したものなどが挙げられる。
【0019】
中でも、加熱時における、1級アミノ基を有するポリアミンとの硬化反応性の観点から、芳香族系(ポリ)イソシアネート、脂肪族系(ポリ)イソシアネートが好ましく、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が好ましく、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましい。また、これらは2種類以上を併用してもよい。
【0020】
イソシアネート末端プレポリマーとしては、前記(ポリ)イソシアネートモノマーと後述の高分子量ポリオールまたはポリアミンから選ばれた1種以上を主成分とし、必要により低分子量ポリオールまたはポリアミンを併用して得られたものが挙げられる。
【0021】
イソシアネート末端プレポリマーを得るには、例えば、公知の方法で(ポリ)イソシアネートモノマーと、ポリオールまたはポリアミンとを、窒素ガス雰囲気下で、さらに必要により溶剤やジオクチルチンジラウレート等の公知の触媒の存在下で、60~100℃で反応させる。
イソシアネート末端プレポリマーを得る際の反応におけるイソシアネート基/水酸基、イソシアネート基/アミノ基の当量比は、プレポリマーの特性や、硬化反応後のポリウレア樹脂の物性に応じて、適宜に選択することができるが、1.5/1.0~2.5/1.0であることが好ましい。。
【0022】
低分子量ポリオールとしては、例えば、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400未満の化合物が挙げられる。その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(7~22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、アルカン-1,2-ジオール(C17~20)、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシー2ーブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン、3,8-ジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール等が挙げられる。
また、これらアルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られる、数平均分子量400未満のポリアルキレンオキサイド(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
【0023】
高分子量ポリオールとしては、例えば、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上の化合物である。その具体例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
【0024】
低分子量ポリアミンとしては、例えば、1級もしくは2級アミノ基をあわせて2つ以上有する数平均分子量600未満の化合物が挙げられる。その具体例としては、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,2-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、ダイマージアミンなどのアルカンジアミン、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、1,8-ナフタレンジアミン、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、トリエチレングリコールジアミン、トリメチロールプロパンポリ(オキシプロピレン)トリアミン、メトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)-2-プロピルアミンなどのポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのエチレンアミン類、ポリエチレンイミン、マレイン酸ジエステルと1級アミンのマイケル付加体、エポキシ化合物と1級アミンの反応体等が挙げられる。
また、これらポリアミンに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られる、数平均分子量400未満のポリアルキレンオキサイド(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
【0025】
高分子量ポリアミンは、1級または2級アミノ基を2つ以上有する数平均分子量600以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルジアミン、ポリエチレンイミン、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミン、エポキシ化合物と1級アミンの反応体などが挙げられる。
【0026】
(ポリ)イソシアネートとしては、イソシアネート変性体を用いることもできる。具体例としては、ビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、ポリメリック体などがあげられる。これらは、樹脂組成物の粘度や、得られるポリウレア樹脂の物性に応じて、2種類以上を混合してもよい。
【0027】
ブロック剤の具体例としては、メタノール、エタノール、2-メチル-2-プロパノールなどのアルコール類、フェノール、クレゾール、p-クロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼンチオール、1-ドデカンチオールなどのチオール類、ε-カプロラクタムなどのラクタム類、メチルエチルケトンオキシムなどのオキシム類、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、マロン酸ジエステルなどの活性メチレン系、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾールなどのピラゾール系のものが挙げられる。トリアゾール系化合物やイミダゾール系化合物のブロック剤を用いた場合は、成分(a)と成分(b)との硬化反応を抑制できない場合があり、常温でも反応が進行する場合があるため、好ましくないことがある。
【0028】
本発明の樹脂組成物に用いるブロック化(ポリ)イソシアネート化合物(a)は、公知の方法で製造することができる。
例えば、上記の(ポリ)イソシアネートにブロック剤を添加し、窒素ガス雰囲気下、30~90℃で反応して得られる。反応の進行は赤外吸収スペクトルのイソシアネート基(2270cm-1付近)の吸収強度により確認し、消失した時を終点とする。反応はブロック化(ポリ)イソシアネート化合物の粘度や目的に応じて、溶剤や可塑剤を添加して実施することができる。
【0029】
(a)成分における、ブロック剤/イソシアネート基の当量比は0.90~1.50が好ましく、0.95~1.30がより好ましく、0.95~1.10がさらに好ましい。0.90以下では、残存するイソシアネート基がポリアミンと瞬時に反応し増粘する場合がある。1.50を超えると、得られる塗膜の物性が低下したり、硬化温度が高くなる場合がある。
【0030】
1級アミノ基を含むポリアミン(b)は、ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物と反応するものである。(b)成分としては、芳香族系、脂肪族系および/または脂環族系の1級ポリアミンが挙げられる。
【0031】
芳香族1級ポリアミンとしては、ベンゼンジアミン、2,4-ジエチル-6-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、トルエンジアミン等のベンゼンジアミン類、4,4´-ジアミノビフェニル、2,2´-ジメチルビフェニル-4,4´-ジアミンなどのジアミノビフェニル類、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル、2,2´-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン等が挙げられる。
【0032】
脂肪族系1級ポリアミンとしては、1,2-ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン(1,4-テトラメチレンジアミン)、1,5-ジアミノペンタン(1,5-ペンタメチレンジアミン)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ジアミノヘキサン(1,6-ヘキサメチレンジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2,3-トリアミノプロパン、トリアミノヘキサン、トリアミノノナン、トリアミノドデカン、1,8-ジアミノ-4-アミノメチルオクタン、1,3,6-トリアミノヘキサン、1,6,11-トリアミノウンデカン、3-アミノメチル-1,6-ジアミノヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0033】
脂肪族系1級ポリアミンとしてポリエーテルポリアミンが含まれる。具体的にはα,ω-ビス(2-アミノプロピルエ-テル)ポリ(プロピレングリコール)、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリ(オキシテトラメチレン)等が挙げられる。
【0034】
脂環族系1級ポリアミンとしては、ジアミノシクロブタン、イソホロンジアミン(3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン)、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、メチル-2,4-シクロヘキサンジアミン、メチル-2,6-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、トリアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
【0035】
本発明の樹脂組成物には、塗膜物性や可使時間を調節する目的で、脂肪族系および/または脂環族系2級ポリアミン、ポリオール化合物が含有されててもよい。
2級ポリアミンとしては、マレイン酸ジエステルと1級アミンのマイケル付加体、エポキシ化合物と1級アミンの反応体などが挙げられる。ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
【0036】
脂肪族系および/または脂環族系2級ポリアミンやポリオール化合物の添加量は、1級アミンとの当量比が0~0.2であることが好ましい。当量比が0.2を超えると、1級アミンとイソシアネートの反応物に由来する物性が損なわれる場合がある。
【0037】
本発明の樹脂組成物には、得られる塗膜物性を向上させたり、可使時間や硬化温度を調節したりするために、触媒が含有されていてもよい。
触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、2-ジメチルアミノエチルエーテル、ジアザビシクロウンデセン、N-メチルモルホリンなどの3級アミン、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ラウレート、3-ジアセトキシテトラブチルスタノキサン、オクテン酸錫、塩化錫、三塩化錫ブチル、三塩化ビスマス、オクテン酸ビスマス、テトラキス(2一エチルヘキシル)チタネート、テトラブトキシチタン、アセト酢酸の金属塩などの金属系触媒、4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、(a)成分、(b)成分、および必要に応じてその他の成分を、上記割合で混合することで製造することができる。
【0039】
本発明の樹脂組成物を、適度な加熱温度で反応し硬化させる。これにより、ポリウレア樹脂とすることができる。
硬化反応温度は60~200℃であり、80~180℃が好ましく、80~150℃がより好ましい。硬化温度が60℃未満であると、硬化反応が起こりにくくなる場合があり、200℃を超えると樹脂組成物の酸化や分解が起こる場合があるだけでなく、作業安全上も不利なことがある。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、加熱により硬化反応するので、塗工してポリウレア塗膜を得る際に、塗装下地に含まれる水分に影響されづらく、発泡が抑制される。
【0041】
本発明の樹脂組成物を加熱するための装置は、得られるポリウレア樹脂の粘度や被着物の形状やなどに鑑みて、公知の物を使用することができる。加熱装置の具体例としては、加熱ローラー、ローラーヒーター、ポリイミドヒーター、赤外線放射ヒーター、ポリイミドヒーター、空気高温加熱器、ヒートガン、ドライヤー、乾燥炉、焼付炉、恒温乾燥機、恒温炉などが挙げられる。
【0042】
本発明の樹脂組成物は形状が液体であり、手塗等でも塗工可能であり、、通常の塗工においては実質的に有機溶媒を含有せずとも、塗工することができる。しかし、粘度、膜厚、塗工速度などを調整するために、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶媒を含有してもよい。
有機溶媒の含有量は、樹脂組成物全体に対して合計量に対して、30質量%以下であることが好ましく、0~15質量%がより好ましく。0~5質量%がさらに好ましく、0~3質量%が特に好ましい。有機溶媒の含有量が30%を超えると、本発明の効果である人体や環境への負担の低減が、損なわれる場合がある。
有機溶媒の含有量が30質量%以下であると、通常の溶剤系の塗料やコーティング剤に比べて環境負荷を低減することができる。
【0043】
有機溶媒の種類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレンジエチルエーテル、ジイソピレングリコールジメチルエーテル等のグライム類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類、等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0044】
本発明の樹脂組成物は、例えば、公知の可塑剤、顔料・染料等の着色剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、炭酸カルシウムやタルク等の無機充填材、湿潤分散剤、沈降防止剤等を含有することができる。
その含有量は、用途と目的を達成するために任意の値とすることができる。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、粘度が100~500000mPa・sであることが好ましく、500~300000mPa・sであることがより好ましい。
【0046】
本発明の樹脂組成物は、常温での硬化反応が抑制されている。その指標としては、25℃で12時間静置したときの樹脂組成物の粘度が、100~5000000mPa・sであり、1000~2500000mPa・sであることが好ましい。
【実施例0047】
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
まず、各種物性の測定・評価方法について説明する。
(1)イソシアネート含有率
JIS K 7301のジノルマルブチルアミンの塩酸逆滴定法に準じて求めた。
【0049】
(2)アミン含有率
JIS K 7237の指示薬滴定法に準じて求めた。
【0050】
(3)NCO/NHの当量比
上記(1)および(2)で求めた含有率より、算出した。
【0051】
(4)(ポリ)イソシアネート化合物とブロック剤との反応終点
日本分光株式会社製のフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)(商品名:FT/IR-300)により、2270cm-1付近のイソシアネート基の吸収スペクトルが消失した点とした。
【0052】
(5)粘度
BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES,INC.製の、B型粘度計 BROOKFIELD DIAL VISCOMETER Model LVTを用い、温度25℃における回転粘度(mPa・s)を測定した。
【0053】
(6)12時間静置後の粘度
25℃で12時間静置し後の樹脂組成物の粘度を、上記(5)と同様にして測定した。
【0054】
(7)耐酸性
得られた樹脂組成物をベーカー式アプリケータ―にて金属板に厚みが1mmになるよう塗工し、140℃30分で硬化させた。その後、20mm×20mm×1mmに切り出して試験片とし、10質量%の硫酸水溶液に25℃で60日浸漬させた。その後、試験片にふくれ、割れ、軟化、溶出がいずれも発生していない場合を○、いずれか1つ以上が発生した場合を×とした。
【0055】
(8)耐アルカリ性
上記(7)と同様にして得た試験片を、水酸化カルシウムの飽和水溶液に25℃で60日浸漬させた。その後、試験片にふくれ、割れ、軟化、溶出がいずれも発生していない場合を○、いずれか1つ以上が発生した場合を×とした。
【0056】
(9)引張強度
上記(7)と同様にして得た試験片を、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用いて試験片を破断するまで伸長させ、得られた最大の強度を引張強度とした。
測定は、20℃、65%RHの雰囲気中、チャック間距離10mm、引張速度100mm/分で行った。測定はサンプル数5で行い、その平均値を採用した。
【0057】
(10)コンクリート付着強度
JIS A 1439:2016に定めるモルタル被着体の上に、厚みが1mmとなるよう樹脂組成物を塗布し、140℃で30分硬化させた。その後、付着力試験機(サンコーテクノ社製RQ-40A)を用いて付着強度を測定した。
測定はサンプル数5で行い、その平均値を採用した。
【0058】
(11)保存安定性(可使時間)
得られた樹脂組成物を15gになるようガラス製容器(100mL容)に秤量し、均一な見た目になるまで混合した。その後、温度25℃に設定した恒温槽で保管し、流動性がなくなるまでの時間を目視で確認し、可使時間とした。
保存安定性は、以下の基準で判定した。
◎:可使時間が24時間以上
○:可使時間が18時間以上24時間未満
△:可使時間が12時間以上18時間未満
×:可使時間が12時間未満
実用上、可使時間は12時間以上である必要があり、18時間以上であることがより好ましい。
【0059】
実施例および比較例において用いた各原料を以下に示す。なお、原料は精製や蒸留を行わずそのまま使用した。
【0060】
<(ポリ)イソシアネート>
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート(重量平均分子量 250、東京化成工業社製)
TDI:トルエンジイソシアネート(2,4-、2,6-混合品)(重量平均分子量 174、東京化成工業社製)
HDI:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(重量平均分子量 168、東京化成工業社製)
XDI:m-キシリレンジイソシアネート(重量平均分子量 188、三井化学社製タケネート500)
H12MDI:水添ジフェニルメタンジイソシアネート(重量平均分子量 262、東京化成工業社製)
H6XDI:水添キシリレンジイソシアネート(重量平均分子量 194、東京化成工業社製)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(重量平均分子量 222、東京化成工業社製)
24A-100:HDIのビウレット変性体(旭化成社製、NCO含有率23.5%)
TPA-100:HDIのイソシアヌレート変性体(旭化成社製、NCO含有率23.1%)
MR-200:MDIのポリメリック変性体(東ソー社製、NCO含有率31.2%)
【0061】
<ポリオール>
P-2010:ポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオール)アジペートジオール(クラレ社製クラレポリオールP-2010、数平均分子量2,000)
【0062】
<2級アミノ基を有するポリアミン>
DMEDA:N,N’-ジメチルエチレンジアミン(東京化成工業社製、重量平均分子量 88)
2MP:2-メチルピペラジン(東京化成社製、重量平均分子量 100)
NH1220:デスモフェンNH1220(Covestro社製、重量平均分子量 460、アミン価244mgKOH/g)
【0063】
<ブロック剤>
MEKO:メチルエチルケトンオキシム(東京化成工業社製、重量平均分子量 87)
DMP:ジメチルピラゾール(東京化成工業社製、重量平均分子量 96)
DEM:マロン酸ジエチル(東京化成工業社製、重量平均分子量 160)
E-CAP:ε-カプロラクタム(東京化成工業社製、重量平均分子量 113)
TA:1,2,4-トリアゾール(東京化成工業社製、重量平均分子量 69)
【0064】
<1級アミノ基を有するポリアミン>
DETDA:ジエチルトルエンジアミン(三井化学ファイン社製、重量平均分子量 178)
DEEDA:N,N‘-ジエチルエチレンジアミン(東京化成工業社製、重量平均分子量 116)
D400:ポリエーテルアミン(三井化学ファイン社製、重量平均分子量 400、1級アミノ基量 4.5mmol/g)
SP-018:ポリエチレンイミン(日本触媒社製、重量平均分子量 1800、1級アミノ基量 6.7mmol/g、2級アミノ基量 6.7mmol/g)
TETA:トリエチレンテトラミン(東京化成工業社製、重量平均分子量 146)
HMDA:ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業社製、重量平均分子量 116)
MBCHA:4,4‘-メチレンビスシクロヘキシルアミン(東京化成工業社製、重量平均分子量 210)
【0065】
<ポリオールを用いたイソシアネート末端プレポリマー(A)の製造>
撹拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、P-2010を358g、MDIを92g室温で添加した。その後、ジグライムを50g添加し、徐々に昇温させ90℃で5時間反応した。反応はIRによって、理論イソシアネート含有率に到達したことを確認し、反応を終了した。得られたプレポリマーの樹脂濃度は90%、NCO含量は3.2%、粘度は9,200mPa・s/25℃であった。
【0066】
<ポリオールを用いたイソシアネート末端プレポリマー(E)、(G)の製造>
ポリオールの種類を表1に記載の化合物とし、添加量をOH基量:NCO基量が1:2で全量が450gになるよう変更した以外は、(A)と同様の操作を行い、イソシアネート末端プレポリマーを得た。
【0067】
【表1】
【0068】
<ポリアミンを用いたイソシアネート末端プレポリマー(B)の製造>
撹拌器、温度計、滴下漏斗、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、DMEDA67gを滴下漏斗に、MDI383gを4つ口フラスコに仕込んだ。その後、N,N-ジメチルホルムアミド50gを4つ口フラスコに添加し、0℃を保ったまま撹拌しつつポリアミンを滴下した。滴下終了後、10分撹拌を続け、反応を終了した。得られたプレポリマーの樹脂濃度は90%、NCO含量は3.1%、粘度は43,000mPa・s/25℃であった。
【0069】
<ポリアミンを用いたイソシアネート末端プレポリマー(C)、(D)の製造>
ポリアミンの種類を表1に記載の化合物とし、添加量をOH基量:NCO基量が1:2で全量が450gになるよう変更した以外は、(B)と同様の操作を行い、イソシアネート末端プレポリマーを得た。
【0070】
<ポリアミンおよびポリオールを用いたイソシアネート末端プレポリマー(F)の製造>
ポリアミンおよびポリオールを表1に記載の化合物とし、添加量を(OH基量+アミン基量):NCO基量が1:2で全量が450gになるよう変更した以外は、(B)と同様の操作を行い、イソシアネート末端プレポリマーを得た。
【0071】
<ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物の製造>
(製造例1)
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、MDIを100質量部(このポリイソシアネートのイソシアネート基モル数を100とする)、酢酸n-ブチル92.4質量部、(ポリ)イソシアネートにおけるイソシアネート基の105モル%に相当する量のブロック剤を仕込み、60℃に保持した。その後、28%ナトリウムメチラート0.77質量部を添加し、4時間保持した。赤外スペクトルを測定した結果、イソシアネート基の消失を確認し、その後、n-ブタノールを19.6部添加し、固形分濃度60質量%のブロック化(ポリ)イソシアネート化合物を含む組成物を得た。
【0072】
(製造例2~13)
(ポリ)イソシアネート、ブロック剤の種類と添加量を表2、表2に記載したように変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物を含む組成物を得た。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
(実施例1)
<樹脂組成物の製造>
製造例1で得られたブロック化(ポリ)イソシアネート化合物と、表4に記載の1級アミンまたはポリアミンを、イソシアネート基量/(1級アミノ基量+2級アミノ基量)=0.98になるよう混合した。その後、真空ポンプにて溶媒を除去して溶媒含有量を30質量%以下とし、樹脂組成物を得た。
【0076】
【表4】
【0077】
(実施例2~19)
ブロック化(ポリ)イソシアネート化合物、ポリアミンの種類を、表4~表6に記載したように変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物を得た。
実施例にて得られた樹脂組成物の粘度、耐酸性、耐アルカリ性、引張強度、コンクリート付着強度、可使時間、保存安定性について評価した結果を表4~6に示す。
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
(比較例1)
ブロック化されていないイソシアネート化合物としてMDIを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、DETDAとMDIを混合した瞬間に硬化反応が進行し、樹脂組成物を得ることができず、一連の評価ができなかった。
【0081】
(比較例2)
表7にて示すように、製造例14で得られたブロック化(ポリ)イソシアネート化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の粘度、耐酸性、耐アルカリ性、引張強度、コンクリート付着強度、可使時間、保存安定性について評価した結果を表7に示す。
【0082】
【表7】
【0083】
(比較例3)
表7にて示すように、1級アミノ基を含まないポリアミンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の粘度、耐酸性、耐アルカリ性、引張強度、コンクリート付着強度、可使時間、保存安定性について評価した結果を表7に示す
【0084】
実施例1~19で得られた本発明の樹脂組成物は、可使時間が長く保存安定性に優れ、塗膜とした際の各種特性にも優れるものであった。
【0085】
比較例2で得られた樹脂組成物は、12時間静置後に流動性が無くなり粘度を測定することができかなった。可使時間が短く、保存安定性に劣るうえ、塗膜としたときの耐アルカリ性に劣っていた。
【0086】
比較例3で得られた樹脂組成物は、12時間静置後に流動性が無くなり粘度を測定することができかなった。可使時間が短く、保存安定性に劣るうえ、塗膜としたときの耐酸性、耐アルカリ性、引張強度、コンクリート付着強度に劣っていた。