(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026833
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】収納体
(51)【国際特許分類】
A47B 67/04 20060101AFI20230221BHJP
B65D 6/06 20060101ALI20230221BHJP
B65D 21/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A47B67/04 A
B65D6/06
B65D21/00
A47B67/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132228
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】391049448
【氏名又は名称】天馬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】石塚 渉
【テーマコード(参考)】
3B160
3E061
【Fターム(参考)】
3B160AA08
3B160AB02
3B160CA04
3B160CA06
3B160CA15
3B160DA14
3E061AA03
3E061AB09
(57)【要約】
【課題】非使用時の容積を小さくでき、販売前の品質保持が良好な収納体を提供する。
【解決手段】複数の収納用フレーム20と、収納用フレームに取り付けられる複数の支柱40と、収納用フレーム間に配置される引出しとを備え、組み立て可能に構成された収納体において、収納用フレームは、平面視矩形の枠であり、枠の一辺に設けられて上方に突出する係合部23と、下方に位置する他の収納用フレームの係合部が接触するリブとを有して積み重ね可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収納用フレームと、前記収納用フレームに取り付けられる複数の支柱と、前記収納用フレーム間に配置される引出しと、を備え、組み立て可能に構成された収納体であって、
前記収納用フレームは、
平面視矩形の枠であり、
前記枠の一辺に設けられて上方に突出する係合部と、下方に位置する他の収納用フレームの係合部が接触するリブとを有して積み重ね可能に構成されている、
収納体。
【請求項2】
前記係合部の前記一辺からの突出長が、前記リブの下端の最も高い位置と前記一辺の下端との距離よりも大きい、
請求項1に記載の収納体。
【請求項3】
前記一辺の延びる方向に見た前記係合部の形状がテーパー状である、
請求項1に記載の収納体。
【請求項4】
前記支柱は、前記収納用フレームと一体に接続されている、
請求項1に記載の収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の収納用フレームを備える収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種収納物を収納するための収納体が広く使用されている。収納体の一態様として、複数の台枠(フレーム)を支柱で連結し、フレーム間に引出しを配置した構成のものが知られている。
【0003】
収納体は、収納物を入れる前後で容積が同一であるため、非使用時における占有スペースが大きくなりがちであり、輸送コストや保管コストがかさみやすい。
この問題に関連して、特許文献1には、枠形成体の間に引出しケースが収容される引き出し式収納ケースが記載されている。
特許文献1に記載の引き出し式収納ケースは、引出しケースおよび枠形成体を積み重ねることにより、出荷時等における容積を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の引き出し式収納ケースは、非使用時の容積を小さくできるが、上下に積み重ねられた枠形成体がこすれ合う等により、使用前に外観等を損なう可能性がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、非使用時の容積を小さくでき、販売前の品質保持が良好な収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の収納用フレームと、収納用フレームに取り付けられる複数の支柱と、収納用フレーム間に配置される引出しとを備え、組み立て可能に構成された収納体である。
収納用フレームは平面視矩形の枠であり、枠の一辺に設けられて上方に突出する係合部と、下方に位置する他の収納用フレームの係合部が接触するリブとを有して積み重ね可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非使用時の容積を小さくでき、販売前の品質保持が良好な収納体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る収納体の斜視図である。
【
図2】初期状態における同収納体の収納用フレームを示す斜視図である。
【
図3】初期状態における同収納用フレームの平面図である。
【
図4】初期状態における同収納用フレームの正面図である。
【
図5】初期状態における同収納用フレームを下側から見た図である。
【
図6】初期状態における同収納用フレームを重ねた状態を示す図である。
【
図7】初期状態における同収納用フレームを重ねた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る収納体1を示す斜視図である。収納体1は、収納物が収容される複数の引出し10と、複数の収納用フレーム(以下、単に「フレーム」と称する。)20、複数の支柱40、および天板50を備えている。引出し10は、フレーム20、支柱40、および天板50により形成された空間に収容されている。
本実施形態においては、引出し10の前側に、意匠性を高めるためのパネル11が取り付けられているが、これは必須ではなく、省略されてもよい。
収納体1の各部の材料に特に制限はないが、合成樹脂を使用すると製造が簡便である。
【0011】
フレーム20は、平面視長方形または正方形の枠であり、寸法は適宜設定できる。フレーム20の隅部には穴21が設けられており、支柱40は、穴21に差し込むことにより、フレーム20の四辺と概ね直角をなすように取り付けられる。支柱40の上端部および下端部が、それぞれ一つのフレーム20に取り付けられることにより、上下方向に隣り合う2つのフレーム20が略平行に配置され、2つのフレーム20間に引出し10を収容する空間が形成される。最も上方に位置するフレーム20の上端部には、天板50が取り付けられる。
【0012】
図1は、収納体1が組み立てられて使用可能となった状態を示している。収納体1は、組み立てられていない初期状態で製造され、店頭に陳列されたり倉庫に保管されたりする。
初期状態においては、複数の引出し10が重ねられ、さらにフレーム20が重ねられることにより、
図1に示す状態に比してはるかに小さい体積となるため、輸送や陳列、保管等を効率よく行える。
【0013】
図2は、初期状態におけるフレーム20の斜視図である。
図3および
図4は、それぞれ初期状態のフレーム20の平面図および正面図である。
初期状態のフレーム20には、ランナー41を介して4本の支柱40が接続されている。各支柱40は、フレームの四辺に囲まれた内部空間内に、並んで配置されている。
ランナー41および支柱40が一体に接続された初期状態のフレーム20は、例えば合成樹脂を用いた射出成型により簡便に製造できる。
【0014】
フレーム20の四辺のうち、組み立てられて使用可能となった際に左右に位置する短辺22Aおよび22Bには、穴21が設けられた隅部間において上方に突出する係合部23が形成されている。本実施形態の係合部は、
図4に示すように、斜辺23Aを外側に向けた略直角三角形の正面視形状を有する。すなわち、短辺22A、22Bの延びる方向に見た際の係合部23の形状は、上端に向かって徐々に寸法が減少するテーパー状である。係合部23の上端部は丸められている。
【0015】
図5は、フレーム20を下方から見た図である。係合部23の下方には、他のフレーム20の係合部を受け止めるためのリブ24が、短辺22A、22Bの延在方向に間隔を空けて複数設けられている。
各リブ24の下端は、短辺の内縁(枠形状における内側の縁)側でもっとも上方に位置している。下端は、短辺の外縁に向かって一定長さ水平に延びた後、一定の傾きでフレーム20の下端に接近している。リブ24において、一定の傾きでフレーム20の下端に接近する部分の傾斜角は、係合部23の正面視形状における斜辺の傾斜角と同一もしくはほぼ同一となっている。
さらに、各短辺において、短辺の延びる方向における両側に、複数のリブ24を挟むようにストッパ25が設けられている。
図5には、一対のストッパ25の一方のみが見えている。
フレーム20の下側の隅部および天板50の下側隅部にも、支柱を差し込むための穴が設けられている。
【0016】
図6は、2つ重ねられた初期状態のフレーム20を示す部分拡大図である。
図7に断面で示すように、下側のフレームの係合部23が、上側のフレームのリブ24の下方に進入することにより、2つのフレーム20が積み重なる。
【0017】
このとき、係合部23がテーパー状であるため、上側のフレームと下側のフレームとを精密に位置合わせしなくても、係合部23をリブ24の下方に進入させることができる。
また、リブの下端と係合部斜面とが概ね同一の傾斜角を有するため、積み重ねた後は、上下のフレームの位置関係が安定し、ガタを生じにくい。
【0018】
さらに、本実施形態では、
図7に示す係合部23の上端と、係合部を除く短辺22A、22Bの上端との上下方向における距離として定義される短辺からの係合部の突出長D1が、リブ24の下端の最も高い位置と短辺22A、22Bの下端との距離D2よりも大きく設定されている。なお、本実施形態においては、穴21が設けられた隅部の上端が、係合部を除く短辺の上端となっている。
このため、2つのフレーム20が積み重なった状態において、上側のフレームの短辺の下端と、下側のフレームの隅部の上端との間には、
図6および
図7に示すように、隙間が確保される。
これにより、使用前にフレーム20が積み重ねられた際も短辺どうしが接触することがなく、損傷や外観の悪化が生じない。
【0019】
加えて、フレーム20に接続された支柱40の上端は、初期状態において短辺22A、22Bの上端より下方に位置しているため、
図6に示すように、フレームを積み重ねた際に上側のフレームの支柱と下側のフレームの支柱40とが接触することも抑制されている。
【0020】
特許文献1に記載の枠形成体は、積み重ねられた際に、上側の枠形成体の下端と、下側の枠形成体の上端とが接触し、隣接する2つの枠体が上下方向において重畳しないように積み重なる。その結果、上側の枠形成体の下端や下側の枠形成体の上端がこすれ合い等により損傷する可能性があり、外観が損なわれたり、組み立て動作に悪影響が及んだりする可能性がある。また、積み重ねられた枠形成体は、水平方向に容易に相対移動できるため、手で触ったり物品が接触したりした際に崩れる可能性もある。
本実施形態のフレーム20は、下側のフレームの係合部が上側のフレームのリブの下方に進入することにより、上下方向に一部重畳した状態で積み重ねられる。したがって、水平方向に力が加わるだけで容易に崩れることはなく、積み重ね状態が安定して維持される。その一方で、フレームどうしは嵌合していないため、上側のフレームを上方に移動させるだけで、容易に係合を解除して取り出せる。
【0021】
さらに、複数のリブ24を挟むようにストッパ25が設けられているため、下側のフレームが上側のフレームに対して短辺の延びる方向に相対移動すると、係合部23がストッパ25と接触し、それ以上の相対移動を防止する。これにより、積み重ねたフレーム間に大きなずれが生じることを好適に抑制できる。
【0022】
初期状態の収納体1を入手した使用者は、ニッパー等を用いて支柱40を切り離し、フレーム20の上側又は下側の穴に差し込んで取り付ける。これを所望の数重ね、最下部にフレーム20、最上部に天板50を配置すると、引出し10を収納するための空間が所望の数だけ形成される。
この空間にパネル11を取り付けた引出し10を差し込むと、使用可能な収納体1が完成する。
【0023】
以上説明したように、本実施形態の収納体1においては、複数のフレームが重ねられた際に、係合部とリブ以外の部位が、隣接するフレームにおいて接触したり干渉したりしないため、製造後の各過程において容積を著しく減少させつつ、消費者が購入するまで外観も良好に保持できる。
【0024】
さらに、本実施形態の初期状態においては、収納用フレームと支柱とが一体化されている。このため、収納用フレームと予め別体とされた支柱を初期状態において引出し内に収納するような態様に比較して、支柱同士がぶつかり合ったり、支柱と引出しとがぶつかり合ったりすることにより外観の低下の可能性が排除されており、損傷等を防止するために支柱を梱包する等の手間も省略できる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0026】
例えば、収納体のデザイン等に応じて、短辺でなく長辺に係合部及びリブが設けられてもよいし、四辺のすべてに設けられてもよい。
【0027】
係合部が複数に分割されて設けられてもよいし、リブが一方向に連続して1つ設けられてもよい。
【0028】
本発明に係る収納体は、フレームの下側の穴に取り付け可能なキャスターを備えてもよい。すなわち、最も下側のフレームにキャスターを取り付けることにより、収納体を移動しやすくすることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 収納体
10 引出し
20 収納用フレーム
22A、22B 短辺
23 係合部
24 リブ
40 支柱