(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026875
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】回数券発行車載器、回数券発行システム、及び回数券発行プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 13/00 20060101AFI20230221BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230221BHJP
【FI】
G07B13/00 G
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132292
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 一哉
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA19
3E127BA06
3E127CA31
3E127DA19
3E127EA02
3E127EA19
3E127EA33
5L049CC41
(57)【要約】
【課題】タクシーの回数券が発行されている場合に、タクシーの車内販売によりその回数券を効率よく利用者に販売可能にする
【解決手段】タクシーの回数券の情報を販売価格データベース21Aを用いて管理する。乗車地、降車地の各位置に対応するエリア毎にそれぞれ異なる回数券の種類を割り当てて、回数券の販売価格、一括定額運賃などの情報をデータベースから取得可能にする。回数券ボタンの操作により、タクシーメータの車載器、又はサーバが乗車地、降車地の座標からエリアを特定し、データベースを検索して適切な回数券の販売価格や一括定額運賃を取得し、タクシーメータ等で金額等を表示して乗客に回数券を販売可能にする。各エリアの中心座標、住所区分、郵便番号などを用いて乗車地、降車地と各エリアとを対応付ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器であって、
少なくとも、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索部と、
タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得可能な位置情報取得部と、
所定の要求に従い、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索部で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出部と、
前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力部と、
を備えた回数券発行車載器。
【請求項2】
前記回数券料金算出部は、位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の実車区間の運賃と、前記回数券検索部が取得した前払い式乗車回数券の販売価格、及び一括定額運賃とを選択的に所定の運賃表示部に表示する、
請求項1に記載の回数券発行車載器。
【請求項3】
前記回数券検索部は、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の検出座標と、前記販売価格データベースの各地点に割り当てられた複数の基準座標とを対比して特定エリアを選択し、選択された前記特定エリアに対応付けられた前記前払い式乗車回数券の販売価格、及び一括定額運賃の少なくとも一方を前記販売価格データベースから取得する、
請求項1又は2に記載の回数券発行車載器。
【請求項4】
前記販売価格データベースは、タクシーの過去の利用実績の履歴データを反映した内容に決定される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回数券発行車載器。
【請求項5】
タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器と、
所定の無線通信回線を経由して前記車載器と通信が可能な後方端末と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索部と、
前記車載器に配置され、前記タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得可能な位置情報取得部と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、所定の要求に従い、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索部で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出部と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力部と、
を備えた回数券発行システム。
【請求項6】
タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器、を含むシステムを制御する1つ以上のコンピュータが実行可能な回数券発行プログラムであって、
少なくとも、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索手順と、
タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得する位置情報取得手順と、
所定の要求に従い、前記位置情報取得手順により取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索手順で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出手順と、
前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力手順と、
を備えた回数券発行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回数券発行車載器、回数券発行システム、及び回数券発行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タクシー車両の運行サービスを提供する業界においては、タクシー利用者の利便性などを考慮して従来より様々なサービスの実施が試みられている。
例えば特許文献1は、複数のタクシー利用情報の記録媒体として使用可能なタクシーチケットの技術を開示している。また、タクシーチケットは、タクシー車両のタクシーメータに接続されたICタグリーダ/ライタを介して各種のタクシー利用情報を書き込み可能なICタグを備えている。タクシー利用情報には、タクシー車両の利用料金と、タクシー車両への乗車地を示す乗車地座標と、利用者のタクシー車両からの降車地を示す降車地座標とが含まれる。
【0003】
一方、特許文献2はチケット利用会社のタクシーチケットの発注状況を管理するための事務作業の負担を軽減するための発注処理装置の技術を開示している。この発注処理装置は、複数の通信端末を有するチケット利用会社からのタクシーチケットの発注を処理するものであり、タクシーチケットの発注を受け付ける発注受付部と、受け付けた発注の履歴が記録された発注履歴データベースと、チケット利用会社からの照会要求に応じて、発注履歴データベースを参照して履歴データを取得し、この履歴データをチケット利用会社に送信する照会処理部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-72728号公報
【特許文献2】特開2018-92568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タクシーの新たな運賃・料金サービスである「一括定額運賃」の申請受付が開始された。
「一括定額運賃」は、閑散時等の需要喚起を目的として、あらかじめ利用回数の上限、利用時間帯の制限、適用地点又はエリア、タクシーの利用権を行使する期限等の条件を設定し、当該条件に応じた価格を定め、定額で複数回のタクシーの利用権を一括して設定する運賃、として定義される。
【0006】
したがって、タクシー車両の運行サービスを提供する業者(以下、タクシー業者)は、通常のタクシー運賃よりも割安な料金でタクシーを利用可能な回数券や定期券を発行可能である。なお、回数券等を発行する可能性については、必ずしも閑散時に限らない。
【0007】
利用者のタクシー利用の促進が見込めるような場合には、タクシー業者が回数券や定期券を発行することで、1回あたりの運賃は安くなるが、タクシー業者におけるトータルの収益を増やすことが可能になる。一方、タクシーを利用する利用者においては、回数券や定期券を事前に購入することで、通常よりも割安な料金でタクシーを利用可能になるため利便性が向上し、タクシーの利用頻度が上がる可能性が高い。
【0008】
ところで、上記の回数券等は、通常はそれぞれのタクシー会社が発行することになる。したがって、タクシーを利用する一般消費者等の顧客は、タクシー会社の販売窓口まで出向くことで目的の回数券を購入可能である。
【0009】
但し、上記「一括定額運賃」の定義からも明らかなように、発行するそれぞれの回数券には様々な条件がある。すなわち、利用可能な時間帯、利用可能な場所、回数や金額などのタクシー利用権がそれぞれ異なっている。
【0010】
そのため、タクシー回数券の購入希望者は、自分がタクシーを利用する状況と、実際に発行されている各回数券のそれぞれの制約条件とを比較することになる。つまり、例えば以下の(1)~(4)のような事項について購入前に検討する必要がある。
(1)自分が利用する区間の乗車地及び降車地の条件で利用できる回数券か否か。
(2)自分が利用する時間帯の条件で利用できる回数券か否か。
(3)回数券の利用により十分に割安な運賃になるか否か。
(4)回数券の枚数や購入金額が自分にとって適正か否か。
【0011】
一方、例えばタクシーの車内で実際に乗車した乗客に対して回数券を販売しようとすると、販売に伴ってその都度、乗務員が乗客の希望と一致する回数券の有無を調べたり、それぞれの回数券に関する制約条件を説明する必要があるので、乗務員の負担が非常に大きくなり、タクシー運行の効率を下げることにも繋がりかねない。
【0012】
また、タクシーの車内で回数券を購入しようとする乗客にとっても、急いでいるような場合には回数券の細かい制約条件について確認する余裕がない。その為、回数券の車内販売の場合は、乗務員と乗客との間でトラブルが発生したり、乗客同士のトラブルに繋がる可能性も考えられる。
【0013】
また、顧客が回数券をタクシー会社に出向いて購入しようとする場合でも、タクシー会社の所在地が分かりづらい場合がある。したがって、タクシーの顧客にとって回数券の購入手続きは容易ではない。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タクシーの回数券が発行されている場合に、タクシーの車内販売によりその回数券を効率よく利用者に販売するために役立つ回数券発行車載器、回数券発行システム、及び回数券発行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
【0016】
タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器であって、
少なくとも、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索部と、
タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得可能な位置情報取得部と、
所定の要求に従い、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索部で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出部と、
前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力部と、
を備えた回数券発行車載器。
【0017】
タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器と、
所定の無線通信回線を経由して前記車載器と通信が可能な後方端末と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索部と、
前記車載器に配置され、前記タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得可能な位置情報取得部と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、所定の要求に従い、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索部で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出部と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力部と、
を備えた回数券発行システム。
【0018】
タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器、を含むシステムを制御する1つ以上のコンピュータが実行可能な回数券発行プログラムであって、
少なくとも、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索手順と、
タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得する位置情報取得手順と、
所定の要求に従い、前記位置情報取得手順により取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索手順で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出手順と、
前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力手順と、
を備えた回数券発行プログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回数券発行車載器、回数券発行システム、及び回数券発行プログラムは、タクシーの回数券が発行されている場合に、タクシーの車内販売によりその回数券を効率よく利用者に販売するために役立てることができる。すなわち、タクシーに搭載されたタクシーメータなどの車載器を用いて適切な回数券の情報を乗客等に自動的に提供できるので、車内販売に伴う乗務員の負担が小さくなり、乗客にとっても回数券の購入が容易になる。
【0020】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る回数券発行システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、販売価格データベースの構成例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、中心座標データベースの構成例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、住所データベース及び郵便番号データベースの構成例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、タクシーメータにおけるメータ画面表示の状態遷移例-1を示す状態遷移図である。
【
図7】
図7は、タクシーメータにおけるメータ画面表示の状態遷移例-2を示す状態遷移図である。
【
図8】
図8は、タクシーメータにおけるメータ画面表示の状態遷移例-3を示す状態遷移図である。
【
図9】
図9は、単独で動作する場合のタクシーメータの動作例-1を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、単独で動作する場合のタクシーメータの動作例-2を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、タクシーメータとサーバが連携する場合のシステム動作例-1を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、タクシーメータとサーバが連携する場合のシステム動作例-2を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、タクシーメータとサーバが連携する場合のシステム動作例-3を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0023】
本発明の実施形態に係る回数券発行システム100の構成例を
図1に示す。この回数券発行システム100は、本発明の回数券発行車載器を含んでいる。
【0024】
図1に示すように、タクシー車両10は車載器として無線通信装置11、タクシーメータ12、GPS(Global Positioning System)受信機13、及びプリンタ14を搭載している。また、回数券の販売機能をタクシーメータ12単独で実現する場合には、データベース15がタクシーメータ12に接続される。
【0025】
無線通信装置11は、LTE(Long Term Evolution)網31が提供する無線通信網を経由して、インターネット30上のサーバ20と接続し通信することができる。サーバ20は予め登録されたタクシーの回数券の情報を蓄積し管理しているデータベース21と接続されている。
【0026】
タクシーメータ12は、タクシー車両に搭載されている一般的なタクシーメータと同様に、乗客の運賃を算出して表示したり、運賃の精算を行ったり、領収書の発行を行うための各機能を有している。更に、
図1に示したタクシーメータ12は、タクシーの回数券の情報を提示したりこの回数券を販売するための特別な機能を備えている。この特別な機能は、通信によりサーバ20と連携した処理を行うことにより実現できる。また、タクシー車両10上にデータベース15が存在する場合にはタクシーメータ12はサーバ20との連携なしでも特別な機能を実現できる。
【0027】
GPS受信機13は、複数のGPS衛星から受信した電波の時間に基づいてタクシー車両10の現在位置の緯度経度を表す情報を逐次算出することができる。また、タクシーメータ12と連携し、タクシーの顧客が乗車した位置(乗車地)や、顧客が降車した位置(降車地)の緯度経度を表す情報をタクシーメータ12に与えることができる。
【0028】
プリンタ14は、タクシーメータ12と接続されており、タクシーメータ12が乗客の運賃を精算する際に発行する領収書を紙に印刷する機能を有している。また、本実施形態では、タクシーメータ12がタクシー利用者に販売した回数券の情報を紙の媒体に印刷するためにプリンタ14を利用できる。
【0029】
サーバ20は、例えば所定のデータセンタなどに設置されたコンピュータのハードウェア及びソフトウェアにより構成されており、インターネット30と接続されている。また、サーバ20は事前に登録されたタクシーの回数券の情報の中から、特定の条件を満たす回数券の情報を検索して抽出したり、特定の条件を満たす回数券を販売するために必要な機能を備えている。
【0030】
サーバ20と接続されているデータベース21は、事前に登録されたタクシーの回数券の情報を管理するために必要な情報を保持している。
サーバ20は、インターネット30及びLTE網31を介してタクシー車両10上のタクシーメータ12と常時接続されており、タクシーメータ12との間で必要に応じて通信できる。
【0031】
タクシーメータ12は、一般的なタクシーメータと同様に、メータの状態を現在の営業状態と一致する状態に切り替える各種ボタン、すなわち「賃走」、「支払」、「貸切」、「割増」等の操作部を有している。タクシーメータ12の基本的な動作は次の通りである。
【0032】
(1)乗客がタクシー車両10に乗車して乗務員の操作で「賃走」、「支払」、「貸切」、「割増」等のボタンが押下されると、その地点の緯度経度を表す位置データを乗車地として取得し、その位置データを記録及び保持する。
(2)タクシー車両10が目的地に到着し、乗務員のボタン操作によりタクシーメータ12が「合計」、又は「支払」の営業状態になると、その地点の緯度経度を表す位置データを降車地として取得し、その位置データを記録及び保持する。
(3)タクシーメータ12は、通常は、乗客が乗車して実車状態になってからの運賃を、事前に定めた料金表の内容と、実際の走行距離、走行時間などの計量結果とに基づいて逐次算出し、乗客に見える状態で運賃を表示する。
本実施形態のタクシーメータ12は、上記機能の他に、回数券の料金を表示したり回数券を販売するための機能も備えている。
【0033】
<回数券の説明>
図1に示した回数券発行システム100は、顧客がタクシーに乗車する際に利用可能な回数券を、タクシー車両10の車内で顧客に販売するために必要な機能を備えている。この回数券は、国土交通省が定めた「一括定額運賃」の制度に対応したものであり、タクシーの前払い式乗車回数券を意味している。
【0034】
すなわち、あらかじめ利用回数の上限、利用時間帯の制限、適用地点又はエリア、タクシーの利用権を行使する期限等の条件を設定し、当該条件に応じた価格を定め、定額で複数回のタクシーの利用権を一括して設定する運賃が「一括定額運賃」である。
【0035】
タクシー業者は、事前に「一括定額運賃」を決定し、この運賃を割り当てた回数券を必要に応じて発行し、発行した回数券を顧客に販売できる。顧客は前払いでタクシー業者から回数券を購入した後、この回数券の権利を行使してタクシーを利用できる。
【0036】
したがって、タクシー車両の運行サービスを提供するタクシー業者は、通常のタクシー運賃よりも割安な料金でタクシーを利用可能な回数券を発行できる。タクシーの利用者は、回数券の購入により通常よりも割安な運賃でタクシーを利用可能になる。但し、発行される回数券には乗車区間、利用時間帯、利用回数、利用期限などの制約条件がそれぞれ個別に割り当てられる。
【0037】
実際に発行される回数券の制約条件は、回数券の種類毎に異なり、タクシー業者毎にそれぞれ異なる。また、発行される時期の違いに応じて料金など回数券の制約条件が変化する可能性もある。そのため、タクシーを利用するそれぞれの顧客は、自分にとって利用価値の高い特定の回数券を逐次選択して購入する必要がある。
【0038】
図1に示した回数券発行システム100においては、タクシー車両10の車内でタクシー回数券の金額などの情報を顧客に提示したり、回数券を顧客に販売するための操作を簡単にするための機能をタクシーメータ12が備えている。また、その機能を実現するために、タクシーメータ12とサーバ20とが連携した動作を行う場合もある。
【0039】
<回数券情報の検索を可能にする機能>
<乗降地とエリア区分の関係>
表示画面16の例を
図2に示す。回数券発行システム100と直接の関係はないが、例えば一般的なカーナビゲーション装置の画面上には
図2のような道路地図を含む表示画面16を表示することができる。
【0040】
本実施形態では、タクシー会社が発行する回数券の適用エリアを決めるために、タクシー車両10が走行する予定の各地域の中で複数のエリア区分を予め決定する。
図2に示した表示画面16内の例では、この地域に、それぞれが矩形形状の範囲として区切られた複数のエリア「A」、「B」、「C」、「D」、及び「E」が存在している。エリア「A~E」のそれぞれの範囲は、タクシー会社が必要に応じて決めるものである。
【0041】
そして、タクシー会社が発行する各回数券については、「一括定額運賃」を概算距離で簡単に特定できるように、タクシー乗客の乗降地が所属するエリア「A~E」の区分を利用する。
【0042】
図2に示した例では、地図の中に乗車地Ps及び降車地Peが示されている。乗車地Psは乗客がタクシーに乗車した地点の座標を表し、降車地Peは乗客がタクシーから降車した地点(目的地)の座標を表す。
【0043】
また、
図2の例では乗車地Psの座標はエリア区分「C」の中に存在しており、降車地Peの座標はエリア区分「A」の中に存在している。
実際の回数券発行システム100の処理においては、乗車地Ps、降車地Peの座標と各エリアの中心座標との距離の大小関係について比較し、乗車地Ps、降車地Peとエリア区分との対応関係を特定する。
【0044】
すなわち、乗車地Psを処理する場合には、乗車地Psの座標と、その近傍の各エリアのエリア中心座標Bo、Co、Doとの距離をそれぞれ計算し、最も距離が近いエリア中心座標Coが属するエリア区分「C」を特定する。つまり、
図2の例では乗車地Psはエリア区分「C」に所属している。
【0045】
また、降車地Peを処理する場合には、降車地Peの座標と、その近傍の各エリアのエリア中心座標Ao、Boとの距離をそれぞれ計算し、最も距離が近いエリア中心座標Aoが属するエリア区分「A」を特定する。つまり、
図2の例では降車地Peはエリア区分「A」に所属している。
【0046】
<システムが利用するデータベース>
<販売価格データベース>
販売価格データベース21Aの構成例を
図3に示す。
【0047】
図3に示した販売価格データベース21Aは、タクシー会社により事前に発行が決定され所定のデータベースに登録された回数券毎の販売価格を管理するためのものであり、回数券発行システム100のデータベース21又は15の一部分として存在している。
【0048】
図3に示すように、この販売価格データベース21Aは乗車地エリア21Aa、降車地エリア21Ab、時間帯21Ac、販売可否21Ad、販売価格21Ae、及び一括定額運賃21Afの各項目のデータを互いに関連付けて保持している。すなわち、制約条件がそれぞれ異なる複数種類の回数券の一覧情報を、販売価格データベース21Aが保持している。
【0049】
この販売価格データベース21Aにおいて、例えば、乗車地のエリア区分「A」、降車地のエリア区分「B」、時間帯が「11:30-15:00」の組み合わせの条件を満たす回数券は、販売可否21Adが販売可能(○)であり、販売価格21Aeが「15000円」であり、一括定額運賃21Afが「1800円」である。
【0050】
この回数券が、例えば10回のタクシー乗車の権利を有する場合には、回数券の販売価格「15000円」は、10回分の一括定額運賃「1800円×10」に比べて割安である。つまり、タクシー利用者は、その都度運賃を払うよりも、事前に回数券を購入してタクシーに乗車した方が安上がりになる。また、この回数券によりタクシー利用者の新たな需要を喚起できる。
【0051】
図3の販売価格データベース21Aを利用する場合には、乗車地エリア21Aa、降車地エリア21Ab、及び時間帯21Acを特定できれば、該当する回数券の販売可否21Ad、販売価格21Ae、及び一括定額運賃21Afを容易に特定できる。
【0052】
販売価格データベース21Aの内容は、各タクシー会社が自社の、又は他社も含めた多数のタクシー車両の過去の営業運行実績の履歴を管理するデータベース(図示せず)の内容を考慮して適切に決定する。更に、自社で稼働しているタクシー車両の台数の変化や、その需給バランスを把握してその変化をほぼリアルタイムで販売価格データベース21Aに反映する。また、回数券の需給動向を把握して、その変化も販売価格データベース21Aに反映する。
【0053】
例えば、リアルタイムのタクシー運行状況において、タクシーの需要が急増して自社の空き状態のタクシー車両が残り少なくなった場合には、該当する時間帯の回数券について、販売可否21Adの内容を可能から不可(×)に切り替えることで、需給バランスを調整できる。したがって、リアルタイム性に優れたバランス調整が実現する。
【0054】
タクシー車両10上に配置するデータベース15についても、基本的には
図3に示した販売価格データベース21Aと同じものを利用できる。タクシー車両10上のデータベース15の場合にはその内容をリアルタイムで更新することはできないが、各タクシー車両10を運行する乗務員がそれぞれ所持している乗務員カードの記録媒体(例えばSDカード)を利用すれば、当日のタクシー運行を開始する前にデータベース15のデータを最新の内容に更新できる。
【0055】
その場合は、タクシー会社の事務所等において、前日までの回数券の利用状況や、売上げ、配車などを総合的に加味して、後方ソフトで需要と供給のバランスを把握し、本日販売できる回数券の情報をデータベース15として各乗務員の乗務員カードに書き込み登録する。各乗務員は、タクシー車両10の運行を開始する前に、自分の乗務員カードの内容をタクシーメータ12に読み取らせ、最新のデータベース15として利用する。
【0056】
<中心座標データベース>
中心座標データベース21Bの構成例を
図4に示す。
図4に示した中心座標データベース21Bは、エリア区分21Baと中心座標21Bbとの対応関係の一覧を表すデータを保持している。
【0057】
中心座標データベース21Bにおけるエリア区分21Baの「A」、「B」、「C」、「D」、・・・は、販売価格データベース21Aにおける乗車地エリア21Aa、降車地エリア21Abの区分と同じものを表している。また、中心座標データベース21Bにおける中心座標21Bbは、それぞれ対応するエリア毎に事前に決めた中心座標(緯度経度)を表す。なお、この中心座標をエリア中心以外の座標に変更してもよい。
【0058】
図4に示した中心座標データベース21Bを利用することで、サーバ20又はタクシーメータ12は、例えば
図2に示したエリア中心座標Ao、Bo、Co、Doを特定できる。したがって、例えば乗車地Ps、降車地Peの各座標と、エリア中心座標Ao、Bo、Co、Doとの距離をそれぞれ算出して比較することができる。
【0059】
その結果、乗車地Psが属しているエリア区分「C」と、降車地Peが属しているエリア区分「A」とが中心座標データベース21Bからそれぞれ定まる。また、乗車地Psのエリア区分「C」と、降車地Peのエリア区分「A」と、現在時刻とに基づいて、販売価格データベース21Aから1つの回数券の情報を特定できる。
【0060】
<住所、郵便番号のデータベース>
回数券発行システム100が利用可能な住所データベース21C、及び郵便番号データベース21Dの構成例を
図5に示す。
【0061】
これらの住所データベース21C、及び郵便番号データベース21Dは、いずれも
図4に示した中心座標データベース21Bの代わりとして利用可能である。
図5の住所データベース21Cは、エリア区分21Caの項目と住所区分21Cbの項目とを互いに対応付けた一覧情報を保持している。
【0062】
また、住所データベース21Cにおけるエリア区分21Caの「A」、「B」、「C」、・・・は、販売価格データベース21Aにおける乗車地エリア21Aa、降車地エリア21Abの区分と同じものを表している。
【0063】
また、住所区分21Cbのそれぞれは、エリア区分21Caの「A」、「B」、「C」、・・・よりも小さい範囲を表し、住所の「市」、「区」、「丁目」などの組み合わせて表される住所の区分を表す情報を保持している。
【0064】
住所データベース21Cを使用する場合には、例えば
図2に示した乗車地Ps、降車地Peの座標を、サーバ20が地図又は地名のデータベース(図示せず)と照合することで、乗車地Psの住所、及び降車地Peの住所の情報をそれぞれ事前に取得する。
【0065】
そして、乗車地Psの住所から住所データベース21Cを用いて該当するエリア区分21Caの内容を取得し、降車地Peの住所から住所データベース21Cを用いて該当するエリア区分21Caの内容を取得する。これにより、乗車地Psが所属しているエリア、及び降車地Peが所属しているエリアを特定できるので、販売価格データベース21Aを利用して回数券の情報を特定できる。
【0066】
図5の郵便番号データベース21Dは、エリア区分21Daの項目と住所毎の郵便番号21Dbの項目とを互いに対応付けた一覧情報を保持している。
また、郵便番号データベース21Dにおけるエリア区分21Caの「A」、「B」、「C」、・・・は、販売価格データベース21Aにおける乗車地エリア21Aa、降車地エリア21Abの区分と同じものを表している。
【0067】
郵便番号データベース21Dを使用する場合には、例えば
図2に示した乗車地Ps、降車地Peの座標を、サーバ20が地図のデータベース(図示せず)と照合することで、乗車地Psの郵便番号、及び降車地Peの郵便番号の情報をそれぞれ事前に取得する。
【0068】
そして、乗車地Psの郵便番号から郵便番号データベース21Dを用いて該当するエリア区分21Daの内容を取得し、降車地Peの郵便番号から郵便番号データベース21Dを用いて該当するエリア区分21Daの内容を取得する。これにより、乗車地Psが所属しているエリア、及び降車地Peが所属しているエリアを特定できるので、販売価格データベース21Aを利用して回数券の情報を特定できる。
【0069】
<メータ画面表示の具体例>
<タクシーメータ12が単独で動作する場合>
タクシーメータ12におけるメータ画面表示の状態遷移例を
図6に示す。すなわち、タクシー車両10を運転している乗務員、及びタクシーの乗客は、タクシーメータ12の前面パネルの箇所で
図6に示したようなメータ画面表示12a1~12a4の表示を視認できる。
【0070】
図6における画面表示12a1は、タクシー車両10に乗車した乗客が降車地、すなわち目的地に到着して運賃の支払いを行う状況における通常の表示状態を表している。また、メータ画面表示12a1の例では、乗車地と降車地との間の実車区間の運賃が「2700円」であることが表示されている。
【0071】
メータ画面表示12a1の状態で、乗務員はこの中に表示されている回数券ボタンB01を押下することができる。ここで回数券ボタンB01を押下すると、タクシーメータ12は次のメータ画面表示12a2の状態に遷移する。
【0072】
メータ画面表示12a2の中には、「回数券 25000円」が表示されている。この金額は、この回数券を乗客が購入する場合の販売金額であり、
図3に示した販売価格21Aeの内容に相当する。また、メータ画面表示12a2の中には、購入ボタンB02及び取消ボタンB03が表示されている。
【0073】
メータ画面表示12a2を表示した状態で、乗客がこの回数券の購入を希望した場合は、乗務員が購入ボタンB02を押下する。これにより、回数券が例えばプリンタ14の印刷により発行されるので、乗務員は回数券を乗客に渡し、乗客から25000円の代金を受け取る。この決済が完了すると、タクシーメータ12は回数券の領収書をプリンタ14の印刷により発行する。乗務員は発行された領収書を乗客に渡す。
【0074】
また、メータ画面表示12a2を表示した状態で乗務員が購入ボタンB02を押下するとタクシーメータ12は次のメータ画面表示12a3の表示状態に遷移する。このメータ画面表示12a3の中には、「一括定額運賃」が「3000円」であることが表示されている。この「一括定額運賃」は、
図3に示した販売価格データベース21A中の一括定額運賃21Afの内容に相当する。
【0075】
メータ画面表示12a2を表示した状態で、乗客が回数券を購入しない場合は、乗務員は取消ボタンB03を押下する。これにより、元の運賃表示状態、すなわちメータ画面表示12a1の状態に戻る。
【0076】
また、メータ画面表示12a3を表示した状態で、乗務員が取消ボタンB03を押下すると、タクシーメータ12はメータ画面表示12a4の表示状態に遷移する。したがって、通常の運賃が表示される。
【0077】
<サーバ20を利用する場合>
タクシーメータ12におけるメータ画面表示の状態遷移例を
図7及び
図8に示す。すなわち、タクシー車両10を運転している乗務員、及びタクシーの乗客は、タクシーメータ12の前面パネルの箇所で
図7、
図8に示したようなメータ画面表示12b1~12b5の表示を視認できる。
【0078】
図7における画面表示12b1は、タクシー車両10に乗車した乗客が降車地、すなわち目的地に到着して運賃の支払いを行う状況における通常の表示状態を表している。また、メータ画面表示12b1の例では、乗車地と降車地との間の実車区間の運賃が「2700円」であることが表示されている。
【0079】
メータ画面表示12b1の状態で、乗務員はこの中に表示されている回数券ボタンB01を押下することができる。ここで回数券ボタンB01を押下すると、タクシーメータ12は乗降地の緯度経度を表すデータをサーバ20に送信する。
【0080】
サーバ20は、乗降地の緯度経度からデータベース21を検索し、乗降地に対応するエリアの回数券の情報を抽出してタクシーメータ12に送信する。タクシーメータ12は、サーバ20から受け取った回数券の情報を含むメータ画面表示12b2を表示する状態に遷移する。
【0081】
メータ画面表示12b2の中には、「回数券 25000円」が表示されている。この金額は、この回数券を乗客が購入する場合の販売金額であり、
図3に示した販売価格21Aeの内容に相当する。また、メータ画面表示12b2の中には、購入ボタンB02及び取消ボタンB03が表示されている。
【0082】
メータ画面表示12b2を表示した状態で、乗客がこの回数券の購入を希望した場合は、乗務員が購入ボタンB02を押下する。これにより、回数券が例えばプリンタ14の印刷により発行されるので、乗務員は回数券を乗客に渡し、乗客から25000円の代金を受け取る。この決済が完了すると、タクシーメータ12は回数券の領収書をプリンタ14の印刷により発行する。乗務員は発行された領収書を乗客に渡す。
【0083】
また、購入ボタンB02の押下によりタクシーメータ12は回数券の購入情報をサーバ20に送信する。サーバ20は、購入情報を受け取った回数券の「一括定額運賃」のデータを販売価格データベース21Aから取得してタクシーメータ12へ送信する。タクシーメータ12は、サーバ20から「一括定額運賃」のデータを受け取ると、
図8のメータ画面表示12b4の状態に遷移する。
【0084】
メータ画面表示12b4の中には、「一括定額運賃」が「3000円」であることが表示されている。この「一括定額運賃」は、
図3に示した販売価格データベース21A中の一括定額運賃21Afの内容に相当する。
【0085】
また、回数券を購入する乗客がスマートホン35などの電子媒体を所持している場合には、回数券の電子情報をタクシーメータ12から又はサーバ20からスマートホン35に送信することもできる。その場合は、タクシーメータ12がメータ画面表示12b4を表示する状態で、サーバ20がスマートホン35に購入した回数券の情報を送信する。これにより、スマートホン35の回数券アプリ画面36上に、「一括定額運賃」が「3000円」であること、及び回数券の残り枚数が11枚であることが表示される。
【0086】
図7のメータ画面表示12b2を表示した状態で、乗客が回数券を購入しない場合は、乗務員は取消ボタンB03を押下する。これにより、元の運賃表示状態、すなわちメータ画面表示12b3の状態に戻る。
【0087】
また、
図8のメータ画面表示12a4を表示した状態で、乗務員が取消ボタンB03を押下すると、タクシーメータ12はメータ画面表示12a5の表示状態に遷移する。したがって、通常の運賃が表示される。
【0088】
<回数券発行システムの動作>
<タクシーメータが単独で動作する場合>
タクシーメータ12が単独で動作する場合の動作例を
図9及び
図10に示す。なお、
図9、
図10に示した動作は周期的に繰り返し実行される。
図9、
図10の動作について以下に説明する。
【0089】
タクシーメータ12はその前面パネル上にある回数券ボタンB01の押下をS11で検知すると次のS12に進み、乗車地Ps及び降車地Peの緯度経度の位置情報を内部メモリから取得して判定対象とする。
【0090】
なお、乗客がタクシーに乗車して乗務員の操作により「実車」ボタンが押された時に取得した現在位置の緯度経度が営業実績の一部である乗車地Psとして内部メモリに記憶されている。また、タクシーが目的地に到着し、乗務員の操作により「支払い」ボタンが押された時に取得した現在位置の緯度経度が営業実績の一部である降車地Peとして内部メモリに記憶されている。
【0091】
タクシーメータ12は、利用可能な回数券のデータベース15が存在するか否かをS13で識別し、データベース15が存在する場合にS14以降の処理に進む。
【0092】
タクシーメータ12は、データベース15に含まれる中心座標データベース21Bに基づいて各エリアの中心座標と乗車地Ps、降車地Peの座標との距離を比較する。そして、乗車地Ps、降車地Peに該当するエリア区分が存在する場合にS14からS15の処理に進む。
【0093】
なお、中心座標データベース21Bの代わりに住所データベース21C、又は郵便番号データベース21Dを利用することも可能である。
【0094】
タクシーメータ12は現在時刻の情報を取得して、データベース15に含まれている販売価格データベース21Aの時間帯21Acと現在時刻とを比較し、回数券を販売可能な時刻の条件を満たすか否かをS15で識別する。現在時刻が回数券を販売可能な時刻であればS15からS16の処理に進む。
【0095】
タクシーメータ12は、乗車地Psのエリア、降車地Peのエリア、現在時刻の時間帯の組み合わせにより販売価格データベース21Aから選択される特定の回数券について、販売可否21Ad項目の内容を参照し、販売可否をS16で判定する。そして販売可能の条件を満たす場合はS16からS17の処理に進む。
【0096】
タクシーメータ12は、
図9のS17で例えば
図6に示したメータ画面表示12a2のように、抽出された特定の回数券の販売金額を表示する。この販売金額は、販売価格データベース21Aの販売価格21Aeの内容に相当する。
【0097】
タクシーメータ12は、乗客の判断結果に応じて、購入ボタンB02又は取消ボタンB03が押下されたか否かを
図10のS18で識別する。乗客が購入を決定し、購入ボタンB02が押下された場合はS18からS19に進む。また、乗客が購入しない場合は、取消ボタンB03の押下検出によりS18からS24の処理に進む。
【0098】
乗客が回数券を購入した場合は、例えば予め用意しておいた回数券を乗務員が乗客に渡して代金を受け取る。又はプリンタ14の印刷により新たに発行した回数券を乗務員が乗客に渡して代金を受け取る。
【0099】
タクシーメータ12は、購入ボタンB02の押下検出により、回数券代金の領収書をプリンタ14で印字する(S19)。乗務員は印字された領収書を乗客に渡す。
【0100】
タクシーメータ12は、S11で回数券ボタンB01の押下を検出する前の状態が「空車」であったか否かをS20で識別する。そして、「空車」状態であった場合はS20からS24に進み、それ以外であればS21に進む。
【0101】
タクシーメータ12は、今回のタクシー運行に伴う運賃の決済が終了しているか否かをS21で識別する。そして、運賃が決済済みであればS21からS24に進み、未決済であればS22に進む。
【0102】
タクシーメータ12は、
図10のS22で、例えば
図6のメータ画面表示12a3のように、一括定額運賃を表示する。この一括定額運賃は、販売価格データベース21Aにおける一括定額運賃21Afの内容に相当する。
【0103】
タクシーメータ12は、取消ボタンB03の押下の有無をS23で識別する。そして、取消ボタンB03の押下を検知した場合はS24の処理に進む。
S24では、タクシーメータ12は回数券ボタンB01が押下される前の画面、例えば
図6に示したメータ画面表示12a1、又は12a4を表示する。
【0104】
<タクシーメータとサーバが連携する場合>
タクシーメータ12とサーバ20が連携する場合の回数券発行システム100の動作例を
図11~
図13に示す。なお、この動作は周期的に繰り返し実行される。
図11~
図13に示した動作について以下に説明する。
【0105】
タクシーメータ12はその前面パネル上にある回数券ボタンB01の押下を
図11のS31で検知すると次のS32に進み、乗車地Ps及び降車地Peの緯度経度の位置情報を内部メモリから取得してサーバ20へ送信する。
【0106】
なお、乗客がタクシーに乗車して乗務員の操作によりタクシーメータ12上の「実車」ボタンが押された時に取得した現在位置の緯度経度が営業実績の一部である乗車地Psとしてタクシーメータ12の内部メモリに記憶されている。また、タクシーが目的地に到着し、乗務員の操作により「支払い」ボタンが押された時に取得した現在位置の緯度経度が営業実績の一部である降車地Peとしてタクシーメータ12の内部メモリに記憶されている。
【0107】
サーバ20は、利用可能な回数券のデータベース21が存在するか否かをS51で識別し、データベース21が存在する場合にS52以降の処理に進む。
【0108】
サーバ20は、データベース21に含まれる中心座標データベース21Bに基づいて各エリアの中心座標と乗車地Ps、降車地Peの座標との距離を比較する。そして、乗車地Ps、降車地Peに該当するエリア区分が存在する場合にS52からS53の処理に進む。
なお、中心座標データベース21Bの代わりに住所データベース21C、又は郵便番号データベース21Dを利用することも可能である。
【0109】
サーバ20は、S53で現在時刻の情報を取得して、データベース21に含まれている販売価格データベース21Aの時間帯21Acと現在時刻とを比較し、回数券を販売可能な時刻の条件を満たすか否かをS53で識別する。現在時刻が回数券を販売可能な時刻であればS53からS54の処理に進む。
【0110】
サーバ20は、乗車地Psのエリア、降車地Peのエリア、現在時刻の時間帯の組み合わせにより販売価格データベース21Aから選択される特定の回数券について、販売可否21Ad項目の内容を参照し、販売可否をS54で判定する。そして販売可能の条件を満たす場合はS54からS55の処理に進む。
【0111】
サーバ20は、乗車地Psのエリア、降車地Peのエリア、現在時刻の時間帯の組み合わせにより販売価格データベース21Aの中から選択した特定の回数券について、販売価格21Aeの金額をS55でタクシーメータ12に送信する。
【0112】
また、販売可能な条件に該当する回数券の情報がデータベース21上で見つからない場合には、サーバ20は乗車地Ps及び降車地Peに対応する通常の運賃のデータをS56でタクシーメータ12に送信する。
【0113】
タクシーメータ12は、S31で送信した乗車地Ps及び降車地Peに対するサーバ20からの検索結果をS33で受信してその結果をS34でタクシーメータ12の画面表示に反映する。
【0114】
すなわち、条件を満たす回数券が見つかった場合は、タクシーメータ12は例えば
図7に示したメータ画面表示12b1の状態からメータ画面表示12b2の状態に表示状態を遷移する。これにより、抽出された特定の回数券の販売金額が表示される。この販売金額は、販売価格データベース21Aの販売価格21Aeの内容に相当する。
【0115】
タクシーメータ12は、乗客の意向を反映して購入ボタンB02又は取消ボタンB03が押下されたか否かを
図12のS35で識別する。乗客が購入を決定し、購入ボタンB02が押下された場合はS35からS36に進む。
【0116】
また、乗客が購入しない場合は、取消ボタンB03の押下検出を、タクシーメータ12がサーバ20に通知する。その場合は、サーバ20はS64の処理を実行する。すなわち、S31で回数券ボタンB01が押下される前にタクシーメータ12に表示されていた運賃の金額を、サーバ20がタクシーメータ12に送信する。
【0117】
乗客が回数券を購入した場合は、例えば予め用意しておいた回数券を乗務員が乗客に渡して代金を受け取る。又はプリンタ14の印刷により新たに発行した回数券を乗務員が乗客に渡して代金を受け取る。若しくは、電子化された回数券を、タクシーメータ12又はサーバ20が乗客の所持しているスマートホン35等の電子媒体に対して無線通信で転送する。
【0118】
タクシーメータ12は、購入ボタンB02の押下検出により、回数券代金の領収書をプリンタ14で印字する(S36)。乗務員は印字された領収書を乗客に渡す。
更に、タクシーメータ12は回数券の購入情報をS37でサーバ20に送信する。
【0119】
サーバ20は、回数券の購入情報を受け取ると、S31で回数券ボタンB01の押下を検出する前の状態が「空車」であったか否かをS61で識別する。そして、「空車」状態であった場合はS61からS64に進み、それ以外の場合はS62に進む。
【0120】
サーバ20は、今回のタクシー運行に伴う運賃の決済が終了しているか否かをS62で識別する。そして、運賃が決済済みであればS62からS64に進み、未決済であればS63に進む。
【0121】
サーバ20は、選択した回数券について販売価格データベース21Aの一括定額運賃21Afの内容を示すデータをS63でタクシーメータ12に送信する。
【0122】
タクシーメータ12は、S38でサーバ20から受け取ったデータの内容を画面に表示する。すなわち、サーバ20から一括定額運賃のデータを受信した場合は、
図8に示すメータ画面表示12b4のように、一括定額運賃の金額を表示する。この一括定額運賃は、該当する回数券を表す販売価格データベース21Aの一括定額運賃21Afの内容に相当する。
【0123】
タクシーメータ12が回数券ボタンB01押下前の運賃のデータをサーバ20から受け取った場合には、タクシーメータ12は
図7のメータ画面表示12b3、又は
図8のメータ画面表示12b5のように回数券ボタンB01が押下される前の通常の運賃を表す画面をS38で表示する。
【0124】
タクシーメータ12は、
図8のメータ画面表示12b4のように一括定額運賃の金額を表示している状態か否かをS39で識別し、一括定額運賃を表示している状態であればS40の処理に進む。
【0125】
乗務員の判断により取消ボタンB03が押下された場合には、タクシーメータ12はそれを検知してS40からS41の処理に進む。そして、タクシーメータ12は一括定額運賃の表示取消の情報をS41でサーバ20に送信する。
【0126】
サーバ20は、S71で一括定額運賃の表示取消の情報を受信すると、回数券ボタンB01が押下される前にタクシーメータ12に表示されていた通常の運賃の金額をタクシーメータ12に送信する。
【0127】
タクシーメータ12は、S42でサーバ20から受信した通常の運賃の金額を、
図8のメータ画面表示12b5のように表示する。
【0128】
なお、1回のタクシー営業が終了し、タクシーメータ12が「空車」に遷移した時には、タクシーメータ12、又はサーバ20が前回営業における乗車地Ps及び降車地Peの緯度経度の値は、次回営業開始まで保持する。そのため、タクシーメータ12が既に「空車」状態に遷移した後の状態であっても、乗務員が回数券ボタンB01を押下するだけで、前回営業の乗車地Ps及び降車地Peに対応する回数券を乗客に販売できる。
【0129】
また、各タクシー車両10における回数券の購入記録の実績データは、それぞれの購入地点の位置情報と関連付けてサーバ20等が管理する。これにより、購入者が多いエリアを特定でき、回数券販売などで乗客の囲い込みが可能になる。
【0130】
<回数券発行システムの利点>
図1に示したタクシーメータ12は、
図3に示した販売価格データベース21Aを含むデータベース15又は21の内容を検索できるので、乗車地Ps、降車地Peに基づいて乗客が購入可能な目的の回数券を特定し、その販売価格21Aeの内容および一括定額運賃21Afの内容を乗客に見えるように表示できる。
【0131】
したがって、回数券の車内販売に伴う乗務員の負担を軽減できる。また、タクシー車両の車内で回数券を購入しようとする乗客は、乗務員が回数券ボタンB01を押下するだけで目的の回数券の販売金額が表示されるので、その回数券を購入するか否かを短時間で判断可能であり利便性が高い。
【0132】
特に、
図3に示した販売価格データベース21Aを利用する場合には、乗降地が所属するエリアに予め対応付けられた回数券をタクシーメータ12又はサーバ20が直ちに選択することができ、タクシー運行区間の距離や所要時間の僅かな違いに応じた運賃の変化を回数券の金額に反映する必要がない。そのため、乗客は金額が表示された回数券の購入可否について時間をかけて詳細に検討する必要がない。また、特定の条件と一致する回数券を検索するための特別な入力操作も不要である。
【0133】
また、
図3に示した販売価格データベース21Aを利用する場合には、時間帯21Acの違いを回数券の金額の違いに反映することができる。また、販売可否21Adの情報を切り替えることで、実際のタクシーの需給動向や回数券の需給動向の変化を反映して、タクシー業者が需給バランスを調整することが容易になる。
【0134】
なお、上述の実施形態では、乗車地Ps及び降車地Peの両方が特定された後で回数券ボタンB01の操作により回数券の情報を表示する場合を説明したが、乗車地Ps及び降車地Peの少なくとも一方が確定している状態であれば、回数券を特定可能である。例えば、タクシー車両10が目的地に到着する前であっても、現在位置が目的地に近い場合は現在位置のエリア区分が目的地と同じになる可能性が高いので、降車地Peの代わりに現在位置の座標を利用してエリアを特定し、適切な回数券の情報を選択できる。
【0135】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る回数券発行車載器、回数券発行システム、及び回数券発行プログラムの特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器であって、
少なくとも、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベース(21A)を検索する機能を有する回数券検索部(S12~S16、又はS32、S33)と、
タクシー車両における乗客の乗車地(Ps)の位置情報、及び降車地(Pe)の位置情報を取得可能な位置情報取得部と(GPS受信機13)、
所定の要求に従い、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索部で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出部(S17)と、
前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力部(S17、S22)と、
を備えた回数券発行車載器(タクシーメータ12等)。
【0136】
上記[1]の構成の回数券発行車載器によれば、乗車地、降車地の位置情報に基づいて自動的に選択した回数券の料金をタクシー乗客に提示できる。したがって、乗客に適切な回数券を提示するために乗務員が特別な検索作業や説明を行う必要がなく、タクシー車内で効率よく回数券を販売できる。また、乗客も面倒な端末操作や条件の検討をする必要がないので、回数券の購入を円滑に行うことができる。
【0137】
[2] 前記回数券料金算出部は、位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の実車区間の運賃と、前記回数券検索部が取得した前払い式乗車回数券の販売価格、及び一括定額運賃とを選択的に所定の運賃表示部に表示する(S17~S22、メータ画面表示12a2、12a3)、
上記[1]に記載の回数券発行車載器。
【0138】
上記[2]の構成の回数券発行車載器によれば、乗客は回数券を購入する前にその販売価格を知ることができるので、回数券を購入するか否かを容易に判断できる。また、一括定額運賃を知ることができるので、回数券が通常よりも割安な金額で販売されていることを容易に理解可能になる。
【0139】
[3] 前記回数券検索部は、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の検出座標と、前記販売価格データベースの各地点に割り当てられた複数の基準座標(エリア中心座標Ao~Do)とを対比して特定エリアを選択し(
図2参照)、選択された前記特定エリアに対応付けられた前記前払い式乗車回数券の販売価格、及び一括定額運賃の少なくとも一方を前記販売価格データベースから取得する(S14)、
上記[1]又は[2]に記載の回数券発行車載器。
【0140】
上記[3]の構成の回数券発行車載器によれば、回数券の種類をエリア毎に区別して管理するので、精密な走行距離や時間の算出を行うことなく、各回数券の金額を簡単に特定可能になる。
【0141】
[4] 前記販売価格データベース(21A)は、タクシーの過去の利用実績の履歴データを反映した内容に決定される、
上記[1]~[3]のいずれかに記載の回数券発行車載器。
【0142】
上記[4]の構成の回数券発行車載器によれば、発行する各回数券の条件にタクシーの過去の利用実績の履歴データを反映できるので、実際のタクシーの需給動向や回数券の需給動向を反映し、需給のバランスが適切になる条件で回数券を販売できる。
【0143】
[5] タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器(タクシーメータ12)と、
所定の無線通信回線を経由して前記車載器と通信が可能な後方端末(サーバ20)と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベース(21A)を検索する機能を有する回数券検索部(S51~S55)と、
前記車載器に配置され、前記タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得可能な位置情報取得部(GPS受信機13)と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、所定の要求に従い、前記位置情報取得部が取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索部で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出部(S55)と、
前記車載器および前記後方端末の少なくとも一方に配置され、前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力部(S34)と、
を備えた回数券発行システム。
【0144】
上記[5]の構成の回数券発行システムによれば、車載器と通信が可能な後方端末を利用することで、タクシーの需給動向や回数券の需給動向の変化に対して、ほぼリアルタイムで需給バランスを適正に調整するように、販売価格データベースの内容を更新し、回数券の販売状況調整に反映することが可能になる。また、乗車地、降車地の位置情報に基づいて自動的に選択した回数券の料金をタクシー乗客に提示できる。したがって、乗客に適切な回数券を提示するために乗務員が特別な検索作業や説明を行う必要がなく、タクシー車内で効率よく回数券を販売できる。また、乗客も面倒な端末操作や条件の検討をする必要がないので、回数券の購入を円滑に行うことができる。
【0145】
[6] タクシー車両に搭載され、少なくとも前記タクシー車両の運賃を算出する機能、及び前記運賃と関連のある情報を保存する機能を有する車載器、を含むシステムを制御する1つ以上のコンピュータが実行可能な回数券発行プログラムであって、
少なくとも、タクシーの前払い式乗車回数券に関する販売価格、一括定額運賃、乗車地、および降車地を互いに関連付けた一覧情報として管理する販売価格データベースを検索する機能を有する回数券検索手順(S12~S16、又はS51~S55)と、
タクシー車両における乗客の乗車地の位置情報、及び降車地の位置情報を取得する位置情報取得手順(S12、S32)と、
所定の要求に従い、前記位置情報取得手順により取得した乗車地及び降車地の少なくとも一方の位置情報に対応付けられた前記前払い式乗車回数券の所要料金を、前記回数券検索手順で検索した結果に基づいて算出する回数券料金算出手順(S17、S55)と、
前記前払い式乗車回数券に付随する情報を外部へ提供する回数券情報出力手順(S17、S34)と、
を備えた回数券発行プログラム(
図9~
図13参照)。
【0146】
上記[6]の構成の回数券発行プログラムを所定のコンピュータで実行することにより、乗車地、降車地の位置情報に基づいて自動的に選択した回数券の料金をタクシー乗客に提示できる。したがって、乗客に適切な回数券を提示するために乗務員が特別な検索作業や説明を行う必要がなく、タクシー車内で効率よく回数券を販売できる。また、乗客も面倒な端末操作や条件の検討をする必要がないので、回数券の購入を円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0147】
10 タクシー車両
11 無線通信装置
12 タクシーメータ
12a1,12a2,12a3,12a4 メータ画面表示
12b1,12b2,12b3,12b4,12b5 メータ画面表示
13 GPS受信機
14 プリンタ
15 データベース
16 表示画面
20 サーバ
21 データベース
21A 販売価格データベース
21Aa 乗車地エリア
21Ab 降車地エリア
21Ac 時間帯
21Ad 販売可否
21Ae 販売価格
21Af 一括定額運賃
21B 中心座標データベース
21Ba エリア区分
21Bb 中心座標
21C 住所データベース
21Ca エリア区分
21Cb 住所区分
21D 郵便番号データベース
21Da エリア区分
21Db 郵便番号
30 インターネット
31 LTE網
35 スマートホン
36 回数券アプリ画面
100 回数券発行システム
Ao,Bo,Co,Do エリア中心座標
B01 回数券ボタン
B02 購入ボタン
B03 取消ボタン
Pe 降車地
Ps 乗車地