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  • 特開-位置決め装置および位置決め方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026881
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】位置決め装置および位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230221BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
G01B11/00 H
H01L21/68 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132301
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 陽太
【テーマコード(参考)】
2F065
5F131
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA07
2F065CC19
2F065DD04
2F065DD15
2F065FF01
2F065FF04
2F065GG07
2F065HH02
2F065HH14
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065LL49
2F065PP22
5F131AA02
5F131CA18
5F131KA12
5F131KA47
5F131KB02
5F131KB54
(57)【要約】
【課題】位置決め対象物の位置を誤認識することによる位置決め不良が発生することを防止する。
【解決手段】位置決め装置EAは、光を発する発光手段10と、発光手段10で発した光を反射させて位置決め対象物WKに照射する反射手段20と、光が照射された位置決め対象物WKを撮像する撮像手段30と、撮像手段30の撮像結果を基に位置決め対象物WKを移動させ、当該位置決め対象物WKを位置決めする移動手段40とを備え、反射手段20は、発光手段10で発した光を乱反射させる乱反射手段21を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する発光手段と、
前記発光手段で発した光を反射させて位置決め対象物に照射する反射手段と、
光が照射された前記位置決め対象物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像結果を基に前記位置決め対象物を移動させ、当該位置決め対象物を位置決めする移動手段とを備え、
前記反射手段は、前記発光手段で発した光を乱反射させる乱反射手段を備えていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
前記発光手段は、前記撮像手段が撮像する前記位置決め対象物の被撮像面に写り込まない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記発光手段が発した光が前記反射手段によって直接入射されないように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
光を発する発光工程と、
前記発光工程で発した光を反射させて位置決め対象物に照射する反射工程と、
光が照射された前記位置決め対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程の撮像結果を基に前記位置決め対象物を移動させ、当該位置決め対象物を位置決めする移動工程とを実施し、
前記反射工程では、前記発光工程で発した光を乱反射させる乱反射工程を行うことを特徴とする位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め装置および位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光が照射された位置決め対象物を撮像手段で撮像し、撮像手段の撮像結果を基に位置決め対象物を位置決めする位置決め装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-121120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたウエハ外観検査装置A(位置決め装置)では、光源1(発光手段)が発した光を反射鏡4で正反射して被検体B(位置決め対象物)に照射するため、位置決め対象物の被撮像面が、正反射傾向が強い場合、発光手段が発した光の外縁が被撮像面にくっきり写り込んでしまう。このため、カメラ3(撮像手段)が位置決め対象物を撮像したときに、位置決め対象物の被撮像面で反射した光の外縁を当該位置決め対象物の外縁と誤認識し、位置決め対象物を所望の位置に位置決めすることができなかったり、位置決め対象物の位置決め自体ができなかったりする位置決め不良を発生するという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、位置決め対象物の位置を誤認識することによる位置決め不良が発生することを防止することができる位置決め装置および位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光手段で発した光を乱反射させて位置決め対象物に照射するため、当該発光手段が発した光の外縁が被撮像面にくっきり写り込んでしまうことがなくなり、位置決め対象物の位置を誤認識することによる位置決め不良が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る位置決め装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
位置決め装置EAは、光を発する発光工程を実施する発光手段10と、発光手段10で発した光を反射させて位置決め対象物WKに照射する反射工程を実施する反射手段20と、光が照射された位置決め対象物WKを撮像する撮像工程を実施する撮像手段30と、撮像手段30の撮像結果を基に位置決め対象物WKを移動させ、当該位置決め対象物WKを位置決めする移動工程を実施する移動手段40とを備えている。
【0011】
発光手段10は、LED(発光ダイオード、Light Emitting Diode)ランプで光を発する発光機器11を備え、撮像手段30が撮像する位置決め対象物WKの被撮像面WK1に写り込まない位置に配置されている。本実施形態では、被撮像面WK1に写る撮像手段30の視野FVの外側に発光手段10が配置されることで、当該撮像手段30が撮像する位置決め対象物WKの被撮像面WK1に発光手段10が写り込まないようになっている。
【0012】
反射手段20は、発光手段10で発した光を乱反射させる乱反射手段21を備えている。本実施形態の場合、乱反射手段21は、ステンレス板からなり、その表面(下面)が、サンドブラストやエッチング処理等の表面処理によって微細な凹凸が形成された反射面21Aとなっており、中央部に、撮像手段30が位置決め対象物WKを撮像するための貫通孔21Bが形成されている。
【0013】
撮像手段30は、カメラや撮影機等で構成された撮像機器31を備え、発光手段10が発した光が反射手段20によって直接入射されないように配置されている。本実施形態では、貫通孔21Bを通過した発光機器11の光線DL間の外側に撮像手段30が配置されることで、発光手段10が発した光が当該撮像手段30に直接入射されないようになっている。
【0014】
移動手段40は、駆動機器としてのリニアモータ41のスライダ41Aに支持された駆動機器としてのリニアモータ42と、リニアモータ42のスライダ42Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面43Aを有する支持手段としてのテーブル43とを備えている。
【0015】
以上の位置決め装置EAの動作を説明する。
先ず、図1中実線で示す初期位置に各部材が配置された位置決め装置EAに対し、当該位置決め装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。次いで、使用者または、多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、図1に示すように、位置決め対象物WKを支持面43A上の所定の位置に載置すると、移動手段40が図示しない減圧手段を駆動し、支持面43Aでの位置決め対象物WKの吸着保持を開始する。
【0016】
その後、発光手段10および撮像手段30が発光機器11および撮像機器31を駆動し、光を乱反射手段21で反射させて位置決め対象物WKに照射し、撮像機器31で当該位置決め対象物WKを撮像する。この際、発光手段10が発した光を乱反射手段21で反射させているので、位置決め対象物WKの被撮像面WK1が鏡面のように正反射傾向が強い場合であっても、発光機器11が発した光の外縁が当該被撮像面WK1にくっきり写り込んでしまうことはない。次に、移動手段40がリニアモータ41、42を駆動し、撮像手段30の撮像結果を基にテーブル43を前後左右に移動させ、位置決め対象物WKを所定の位置に位置決めする。そして、位置決め対象物WKに所定の処理を施す図示しない処理手段によって、位置決め対象物WKに所定の処理が施されると、移動手段40が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面43Aでの位置決め対象物WKの吸着保持を解除する。次いで、使用者または図示しない搬送手段が位置決め対象物WKを次工程に搬送すると、移動手段40がリニアモータ41、42を駆動し、テーブル43を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0017】
以上のような実施形態によれば、発光手段10で発した光を乱反射させて位置決め対象物WKに照射するため、当該発光手段10が発した光の外縁が被撮像面WK1にくっきり写り込んでしまうことがなくなり、位置決め対象物WKの位置を誤認識することによる位置決め不良が発生することを防止することができる。
【0018】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0019】
例えば、発光手段10は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等で光を発する発光機器11を採用してもよいし、それらを適宜に組み合わせた発光機器11を採用してもよいし、撮像手段30と位置決め対象物WKとの間に配置されてもよいし、撮像手段30よりも上方に配置されてもよいし、位置決め対象物WKよりも下方に配置されてもよいし、撮像手段30が撮像する位置決め対象物WKの被撮像面WK1に写り込む位置に配置されてもよいし、1体の発光機器11で構成されていてもよいし、複数体の発光機器11で構成されていてもよい。
【0020】
反射手段20は、発光手段10が発した光を乱反射して位置決め対象物WKに照射可能であれば、どこに配置されてもよいし、どのような構成でもよく、例えば、撮像手段30と発光手段10との間に配置されてもよいし、撮像手段30よりも上方に配置されてもよいし、発光手段10よりも下方に配置されてもよいし、複数の乱反射手段21間で光の反射を繰り返し、位置決め対象物WKに光を照射する構成でもよいし、光を正反射または乱反射する1または複数の部材と、1または複数の乱反射手段21との間で光の反射を繰り返し、位置決め対象物WKに光を照射する構成でもよい。
乱反射手段21は、発光手段10で発した光を乱反射させて位置決め対象物WKに照射可能であれば、どのような部材であってもよいし、その材質、種別、形状等も特に限定されることはなく、例えば、乱反射手段21は、硝子、鏡、樹脂、プラスチック、金属、セラミック、ゴム、布、紙等で形成されてもよいし、反射面21Aが凸曲面形状、凹曲面形状または屈曲面形状であってもよいし、反射面21Aに光を乱反射させる塗装が施されていてもよく、塗装の色は、白色や赤色等どのような色でもよい。
乱反射手段21は、1体でもよいし、複数体でもよいし、貫通孔21Bが形成されていなくてもよいし、貫通孔21Bの代わりに、複数の乱反射手段21の間から撮像手段30が位置決め対象物WKを撮像する構成としてもよいし、1体または複数体で発光手段10が発した光が撮像手段30に直接入射されないようにしてもよい。
【0021】
撮像手段30は、発光手段10が発した光が直接入射される位置に配置されてもよい。
【0022】
移動手段40は、リニアモータ41、42に代えてまたは併用して、駆動機器としての回動モータでテーブル43を回転させる構成を採用し、位置決め対象物WKを回転移動させて位置決めを行ってもよいし、多関節ロボット等の他の駆動機器でテーブル43を移動させてもよい。
【0023】
処理手段は、例えば、位置決め対象物WKを検査する検査手段、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段で位置決め対象物WKに接着シートを貼付するシート貼付手段、位置決め対象物WKに貼付された接着シートを剥離するシート剥離手段、位置決め対象物WKを清掃する清掃手段、位置決め対象物WKを研磨する研磨手段や研削する研削手段等、位置決め対象物WKに所定の処理を施すものであればどのようなものでもよい。
【0024】
位置決め対象物WKおよび処理手段として例示したシート貼付手段で使用される接着シートの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、位置決め対象物WKおよび接着シートは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性のものが採用された場合は、接着シートを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱機器を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、接着シートは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層との間に中間層を有するもの、基材の上面にカバー層を有する等3層以上のもの、さらには、基材を接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、位置決め対象物WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0025】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、撮像手段は、光が照射された位置決め対象物を撮像可能なものであればどのようなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0026】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や樹脂等の変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0027】
EA…位置決め装置
10…発光手段
20…反射手段
21…乱反射手段
30…撮像手段
40…移動手段
WK…位置決め対象物
WK1…被撮像面
図1