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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002691
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】ガラスリボン形成方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
C03B17/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168163
(22)【出願日】2022-10-20
(62)【分割の表示】P 2021113390の分割
【原出願日】2016-11-04
(31)【優先権主張番号】62/257,078
(32)【優先日】2015-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/331,762
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ロバート デリア
(72)【発明者】
【氏名】ブレント コカトゥルム
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン トーマス スターンクィスト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より高い形成温度を提供して、ガラスの失透を軽減しうる、新たなガラスリボン形成方法および装置を提供する。
【解決手段】ガラスリボン形成装置は、筐体内に配置された形成ウェッジ62を含んでもよく、それは1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部66a、66bを含んでもよい。複数の加熱カートリッジ110を、筐体のポート部112に配置してもよい。各加熱カートリッジ110は、加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含んでもよい。熱方向付け面は、熱方向付け面に隣接して位置する少なくとも1つの加熱部124を含んでもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボン形成装置において、
溶融ガラスを受け入れるトラフ部、および、1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部を含む形成槽と、
前記形成槽を囲む筐体と、
前記筐体のポート部に配置した複数の加熱カートリッジを含み、
各前記加熱カートリッジは、熱方向付け面を含み、前記熱方向付け面は、該熱方向付け面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含み、
前記熱方向付け面が、前記形成槽と対向すると共に、該熱方向付け面の上縁部および前記加熱カートリッジの上面を前記形成槽の前記トラフ部の上方に配置するように、各該加熱カートリッジを配置して、該加熱カートリッジの該熱方向付け面からの熱を、該形成槽の該トラフ部に向ける装置。
【請求項2】
前記熱方向付け面は、前記加熱カートリッジの底面に対して90°以上の大きい角度に向いたものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の加熱カートリッジの隣接した前記加熱カートリッジは、互いに階段状構成で配置したものである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数加熱カートリッジが、前記形成槽の幅に亘って配列されたものである、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記熱方向付け面の下縁部、および、前記加熱カートリッジの底面が、前記形成槽の堰部の上面の下方に配置したものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
各前記加熱カートリッジの前記熱方向付け面からの形態係数は、該加熱カートリッジの上面の下方の方が、該加熱カートリッジの前記上面の上方より大きく、該熱方向付け面の前記上縁部、および、該加熱カートリッジの該上面が、該熱方向付け面の上方の領域を、該熱方向付け面の下方の領域から熱的に遮蔽する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの加熱部は、二珪化モリブデンを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2016年5月4日出願の米国仮出願第62/331,762号、および、2015年11月18日出願の米国仮出願第62/257,078号の優先権の利益を主張して2016年11月4日に出願された国際出願の日本国へ国内移行された特願2018-525666を親出願とする分割出願である。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、ガラスリボン製作方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス形成装置は、LCD表示装置などで使用するガラスシートなど、様々なガラス製品を形成するのに、よく使用されている。これらのガラスシートは、溶融ガラスを、形成ウェッジに伝わせて下向きに流して、連続したガラスリボンを形成することによって、製造しうる。開発中の技術では、液相粘度を更に低下させたガラス組成物を用いている。したがって、より高い形成温度を用いて、形成ウェッジを通り抜ける時の溶融ガラスの失透を防いでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、より高い形成温度を提供して、ガラスの失透を軽減しうる、新たなガラスリボン形成方法および装置が、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、ガラスリボン形成装置は、筐体内に配置された形成ウェッジを含んでもよく、それは、1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部を含んでもよい。複数の加熱カートリッジを、筐体のポート部に配置してもよい。各加熱カートリッジは、加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含んでもよい。熱方向付け面は、熱方向付け面に隣接して位置する少なくとも1つの加熱部を含んでもよい。熱方向付け面が、形成ウェッジに対向すると共に、熱方向付け面の上縁部が根元部の上方に位置するように、加熱カートリッジを配置して、熱方向付け面からの熱を、形成ウェッジの根元部に向けてもよい。
【0006】
他の実施形態によれば、ガラスリボン形成装置で使用するための加熱カートリッジは、加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含んでもよく、熱方向付け面は、加熱カートリッジの面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含みうる。耐火性材料を、熱方向付け面の後方に配置してもよい。熱方向付け面からの形態係数は、加熱カートリッジの上面の下方の方が、加熱カートリッジの上面の上方より大きくてもよい。熱方向付け面の上縁部、および、加熱カートリッジの上面が、熱方向付け面の上方の領域を、熱方向付け面の下方の領域から、熱的に遮蔽してもよい。
【0007】
更に他の実施形態によれば、ガラスリボン製作方法は、溶融ガラスを、形成ウェッジの1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部に伝わせて流す工程を含んでもよい。溶融ガラスを、形成ウェッジの根元部から引き出して、ガラスリボンを形成してもよい。根元部を、複数の加熱カートリッジで加熱してもよく、各加熱カートリッジは、加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含んでもよい。熱方向付け面は、熱方向付け面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含んでもよい。熱方向付け面が、形成ウェッジと対向すると共に、熱方向付け面の上縁部および各加熱カートリッジの上面を根元部の上方に配置するように、各複数の加熱カートリッジを配置して、各複数の加熱カートリッジの熱方向付け面からの熱を、形成ウェッジの根元部に向けてもよい。
【0008】
更に他の実施形態によれば、ガラスリボン形成装置は、筐体内に配置された形成槽を含んでもよく、それは、溶融ガラスを受け入れるトラフ部、および、1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部を含んでもよい。複数の加熱カートリッジが、筐体のポート部に配置されてもよい。各加熱カートリッジは、熱方向付け面を含み、熱方向付け面は、熱方向付け面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含んでもよい。熱方向付け面が、形成槽と対向すると共に、熱方向付け面の上縁部および加熱カートリッジの上面を形成槽のトラフ部の上方に配置するように、加熱カートリッジを配置して、加熱カートリッジの熱方向付け面からの熱を、形成槽のトラフ部に向けてもよい。
【0009】
ガラスリボン形成方法および装置の更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、部分的には、当業者には、その記載から容易に明らかであるか、または、詳細な記載、請求項、および、添付の図面を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することで、分かるだろう。
【0010】
上記概略的記載、および、以下の詳細な記載の両方が、様々な実施形態を記載し、請求した主題の特性および特徴を理解するための概観および枠組みを提供することを意図していると、理解すべきである。添付の図面は、様々な実施形態の更なる理解のために含められたものであり、本明細書に組み込まれ、一部を構成する。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を示し、記載と共に、請求した主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態によるガラスリボン形成装置を示す概略図である。
図2図1の3‐3線での断面の概略斜視図である。
図3】本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態による図2のガラスリボン形成装置を概略的に示す斜視前面図である。
図4A】本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態によるガラス製作装置で使用する交換可能な加熱カートリッジを示す概略図である。
図4B図4Aの交換可能な加熱カートリッジの4B‐4B線に沿った断面を示す概略図である。
図5】本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態による交換可能な加熱カートリッジを概略的に示す斜視後面図である。
図6】本明細書に記載した二珪化モリブデンの加熱部を含む加熱カートリッジへの個別のパワー変化に対する、根元部の温度応答の数学モデルを示すグラフである。
図7】ガラス製造装置の形成槽の他の実施形態を示す概略図であり、本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態により、加熱カートリッジが、形成槽のトラフ部の近傍に配置されている。
図8】本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態による図7の形成槽の8‐8線に沿った断面を示す概略図である。
図9】ガラス製造装置の形成槽の他の実施形態を示す概略図であり、本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態により、加熱カートリッジが、形成槽のトラフ部の近傍に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、ガラスリボン形成方法および装置、並びに、それと共に使用する加熱カートリッジの実施形態を、詳細に記載し、その例を、添付の図面に示している。全図を通して、同じ、または、類似の部分を参照するには、可能な限り、同じ参照番号を用いている。図1に、ガラスリボン製作装置の一実施形態を示し、概して、全明細書を通して、参照番号10で示している。一実施形態によれば、ガラスリボン形成装置は、筐体内に配置した形成ウェッジを含み、それは、1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部を含む。複数の加熱カートリッジを、筐体のポート部に配置してもよい。各加熱カートリッジは、加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含んでもよい。熱方向付け面は、熱方向付け面に隣接して配置した加熱部を含んでもよい。熱方向付け面が、形成ウェッジと対向すると共に、熱方向付け面の上縁部および加熱カートリッジの上面が、形成ウェッジの根元部または形成ウェッジのトラフ部の少なくとも1つの上方に配置されるように、加熱カートリッジを配置して、加熱カートリッジの熱方向付け面からの熱を、形成ウェッジの根元部または形成ウェッジのトラフ部のいずれかに向けてもよい。ガラスリボン形成方法および装置、並びに、それと共に使用する加熱カートリッジの様々な実施形態を、添付の図面を特に参照して、更に詳細に記載する。
【0013】
本明細書において、範囲を、「約」1つの特定の値から、および/または、「約」他の特定の値までと、表しうる。そのような範囲を表した場合には、他の実施形態では、その1つの特定の値から、および/または、他のその特定の値までという範囲を含む。同様に、「約」を付して、値を近似値で表した場合には、その特定の値が、他の実施形態を形成すると、理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係で、および、他方の端点とは独立に、の両方で重要であると、理解されるだろう。
【0014】
本明細書で使用する方向を表す用語、例えば、上、下、右、左、前、後ろ、上面、底面は、図面を参照して使用したものにすぎず、絶対的な向きを意味することを意図しない。
【0015】
そうでないという記載がない限りは、本明細書に示した、いずれの方法においても、工程を特定の順序で行うことを必要とすると解釈されることも、装置の特定の向きを必要とすると解釈されることも、意図していない。したがって、方法の請求項が、工程を行う順序を実際に記載しないか、若しくは、装置の請求項が、個々の構成要素の順序または向きを実際に記載しないか、若しくは、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されるべきであると特に記載しないか、若しくは、装置の構成要素の特定の順序または向きを記載しない場合には、いかなる点でも、具体的な順序または向きが推測されることを意図しない。このことは、表していないことに基づく任意の解釈に適用され、それは、以下についての論理事項を含む:工程の順序、動作フロー、構成要素の順序または構成要素の向き、文法構造または句読点に由来する通常の意味、並びに、本明細書に記載の実施形態の数または種類。
【0016】
本明細書で使用するように、原文の英語の不定冠詞および定冠詞は、そうでないことが文脈から明らかでない限りは、複数のものを含む。従って、例えば、単数を表す不定冠詞を付したものは、そうでないことが文脈から明らかでない限りは、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0017】
ここで、図1を参照すると、ガラスリボン12を形成するためのガラス形成装置10の一実施形態を、概略的に示している。ガラス形成装置10は、概して、ガラスバッチ材料16を保存容器18から受け入れるように構成された溶融槽15を含む。ガラスバッチ材料16を、モータ22によって動力を供給されるバッチ送出装置20によって、溶融槽15に導入しうる。任意で、制御部24を備えて、モータ22を作動させてもよく、溶融ガラス高さプローブ28を用いて、スタンドパイプ30内の溶融ガラス高さを測定して、その測定情報を制御部24に通信しうる。
【0018】
ガラス形成装置10は、溶融槽15の下流側に位置して、第1の接続管36によって、溶融槽15に連結された清澄管などの清澄槽38を、含む。攪拌室などの混合槽42が、清澄槽38の下流側に位置する。ボウル部などの送出槽46が、混合槽42の下流側に位置していてもよい。図示したように、第2の接続管40が、清澄槽38を混合槽42に連結し、第3の接続管44が、混合槽42を送出槽46に連結する。更に示しているように、下降部48を配置して、溶融ガラスを、送出槽46から形成槽60の投入部50に送り出している。
【0019】
溶融槽15は、典型的には、耐火性(例えば、セラミック)レンガなどの耐火性材料から製作される。ガラス形成装置10は、典型的には、白金、若しくは、白金ロジウム、白金イリジウム、および、それらの組合せなどの白金含有金属から製作された構成要素を、更に含んでもよく、構成要素は、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、および、それらの合金、並びに/若しくは、二酸化ジルコニウムなどの耐火性金属も含んでもよい。白金含有構成要素は、第1の接続管36、清澄槽38、第2の接続管40、スタンドパイプ30、混合槽42、第3の接続管44、送出槽46、下降部48、および、投入部50の1つ以上を含みうる。形成槽60も、耐火性材料(例えば、耐火性レンガ、および/または、耐火性金属)から製作しうるものであり、溶融ガラスをガラスリボン12に形成するように設計される。
【0020】
図2は、図1のガラス形成装置10の3‐3線に沿った断面を示す斜視図である。図示したように、形成槽60は、上向きに(つまり、図2に示した座標軸の+x方向に)開いたトラフ部61と、1対の下向きに(つまり、図2に示した座標軸の-x方向に)傾いて、形成ウェッジ62の両端部64a、64b間に延伸する形成面部66a、66bとを含む形成ウェッジ62を含む。下向きに傾いた形成面部66a、66bは、下流方向68に沿って収束し、根元部70を形成する。ドロー平面72は、根元部70を通って延伸する。本明細書で更に記載するように、ガラスリボン12を、形成ウェッジ62から、下流方向68に、ドロー平面72に沿って引き出しうる。図示したように、ドロー平面72は、根元部70を通り抜けて、根元部70を、形成槽60の略水平の長さ方向(図2に示した座標軸の+/-y方向)に、二分する。しかしながら、ドロー平面72は、根元部を通って形成槽60を二分する向き以外の、根元部70に対する他の様々な向きに延伸してもよいと、理解すべきである。図1および2は、概して、ガラス形成装置および形成槽の一実施形態を示しているが、本開示の態様は、様々な他の形成槽の構成で使用しうることも、理解すべきである。
【0021】
図1および2を参照すると、ある実施形態において、形成槽60は、1対の下向きに傾いた形成面部66a、66bと交差する縁部方向付け部80a、80bを含みうる。縁部方向付け部は、溶融ガラスを形成槽60の根元部70近傍へと向けることによって、望ましいガラスリボン幅および縁部特性を実現するのを助ける。更なる実施形態において、縁部方向付け部は、下向きに傾いた形成面部66a、66bの両方と交差しうる。更に、または、その代わりに、ある実施形態において、縁部方向付け部を、形成ウェッジ62の各両端部64a、64bに配置しうる。例えば、図1に示したように、縁部方向付け部80a、80bを、形成ウェッジ62の各両端部64a、64bに配置して、各縁部方向付け部80a、80bが、下向きに傾いた形成面部66a、66bの両方と交差するように構成しうる。更に示したように、各縁部方向付け部80a、80bは、互いに実質的に同一である。しかしながら、代わりの実施形態において、縁部方向付け部は、ガラス形成装置の具体的特徴に応じて、異なる構成および/または幾何学形状を有してもよいと、理解すべきである。更に、様々な形成ウェッジおよび縁部方向付け部の構成を、本開示の態様に応じて用いてもよいと、理解すべきである。例えば、本開示の態様を、米国特許第3,451,798号、米国特許第3,537,834号、および、米国特許第7,409,839号の各明細書、2014年5月15日に出願された米国特許出願第14/278582号明細書、並びに/若しくは、2009年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/155,669号明細書に開示されたように構成した形成ウェッジおよび縁部方向付け部と共に用いてもよく、各々、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0022】
図1を更に参照すると、ガラス形成装置10は、任意で、ガラスリボンを形成槽60の根元部70から引き出す少なくとも1つの縁部ローラアセンブリ(不図示)を、含みうる。様々な縁部ローラアセンブリ構成を、本開示の態様に応じて使用してもよいと、理解すべきである。例えば、本開示の態様は、2014年5月15日に出願された米国特許出願第14/278582号明細書に開示されたような縁部ローラアセンブリ構成と共に、使用しうるものであり、それは、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0023】
筐体14は、形成槽60を囲んでいる。筐体14は、スチールから形成されて、耐火性材料、および/または、形成槽60を熱的に遮断する断熱材を含んでもよく、更に、周囲の環境からの溶融ガラスが、形成槽60の中へ、および、その周りを流れる。
【0024】
ここで、図1および2を参照すると、動作中に、バッチ材料16、詳しくは、ガラスを形成するためのバッチ材料を、保存容器18から溶融槽15へ、バッチ送出装置20を用いて供給する。溶融槽15において、バッチ材料16は溶融して、溶融ガラスになる。溶融ガラスは、溶融槽15から清澄槽38へ、第1の接続管36を通って送られる。清澄槽38において、ガラスの欠陥を引き起こしうる溶解した気体を、溶融ガラスから除去する。次に、溶融ガラスは、清澄槽38から混合槽42へ、第2の接続管40を通って送られる。混合槽42は、撹拌などによって、溶融ガラスを均質にし、均質溶融ガラスを、第3の接続管44を通って、送出槽46に送る。送出槽46は、均質溶融ガラスを、下降部48を通って、投入部50へ解放し、次に、それが、均質溶融ガラスを、形成槽60のトラフ部61へ送る。
【0025】
溶融ガラス17は、形成ウェッジ62の上向きに開いたトラフ部61を満たし、トラフ部61から溢れて、傾いた形成面部66a、66bを伝って流れて、形成ウェッジ62の根元部70で再び一緒になり、それによって、ガラスリボン12を形成する。図2に示したように、ガラスリボン12を、下流方向68に、根元部70を通って延伸するドロー平面72に沿って引き出してもよい。
【0026】
図1および2に示したガラス形成装置について、有機発光ダイオード(OLED)技術を利用した高性能表示装置(HPD)などの開発中の技術は、低い液相粘度を有するガラス組成物などの形成が難しいガラス組成物から恩恵を、受けることを、見出した。そのようなガラス組成物は、典型的には、より高い形成温度で製作されて、形成槽60から引き出したガラスリボンの失透などの欠陥の形成を防いでいる。本明細書に記載のガラス形成装置は、形成槽60の根元部の近傍に配置した加熱カートリッジを利用して、溶融ガラスを比較的高い形成温度で維持し、それによって、シート形成処理を助けると共に、ガラスリボン内の欠陥の形成を防いでいる。
【0027】
具体的には、再び、図1から3を参照すると、形成槽60の根元部70から引き出されるガラスリボン12の溶融ガラスを比較的高い温度に維持するために、ガラス形成装置10は、筐体14に形成された一連のポート部112に配置した複数の加熱カートリッジ110、111、および/または、筐体封止板136(図3)を、更に含む。筐体封止板136は、筐体14(図1および2)の一部を形成する。図3に示したように、第1の一連のポート部112、および、第2の一連のポート部(不図示)は、第1の複数の加熱カートリッジ110、および、第2の複数の加熱カートリッジ111が、根元部70の両側に位置するように配置され、したがって、ドロー平面72は、第1の複数の加熱カートリッジ110と第2の複数の加熱カートリッジ111の間に延伸する。第1の複数の加熱カートリッジ110、および、第1の一連のポート部112を、より詳細に記載する。しかしながら、第1の複数の加熱カートリッジ110と第2の複数の加熱カートリッジ111は、互いに、実質的に同一か、または、同様の構造であると、理解すべきである。同様に、各一連のポート部112は、実質的に同一か、または、同様の構造であると、理解すべきである。
【0028】
図1および2に示したように、第1の一連のポート部112は、形成槽60の幅に亘って(図1および2に示した座標軸の+/-y方向に)配列され、第1の一連のポート部112が、ガラスリボン12が、その上で引き出されるドロー平面72の幅(図1および2に示した座標軸の+/-y方向に)に及ぶようにしている。したがって、第1の複数の加熱カートリッジ110は、対応するポート部に挿入された場合にも、形成槽60の幅に亘って配列されて、ガラスリボン12のドロー平面72の幅に亘って延伸すると、理解すべきである。いくつかの実施形態において、第1の一連のポート部112の各ポート部は、形成槽の幅に亘って、横方向に(つまり、図1および2の座標軸の+/-y方向に)互いに離間している。ある実施形態において、第1の一連のポート部112の各ポート部は、等距離で、横方向に互いに離間しうる。
【0029】
第1の複数の加熱カートリッジ110を、熱を根元部70に向けるように構成してもよく、それによって、根元部70を、溶融ガラスの失透温度より高い温度などの望ましい温度で維持し、それにより、ガラス内の欠陥の形成を軽減する。図2および3に示したように、第1の複数の加熱カートリッジ110を、形成槽60の根元部70の隣りに、そこから、z方向に離間して配置するように、第1の一連のポート部112を、筐体14内に配置しうる。図3に示した実施形態において、第1の複数の加熱カートリッジ110を、根元部70からz方向に離間して配置し、更に、各加熱カートリッジ110の一部が、根元部70の上方に(座標軸の+x方向に)に位置し、更に、一部が、根元部70の下方に(座標軸の-x方向に)位置するように配置する。その代わりに、図1に示した実施形態において、第1の複数の加熱カートリッジ110が、完全に根元部70の上方に位置するように、第1の一連のポート部112を筐体14内に配置しうる。更に他の実施形態(不図示)において、第1の複数の加熱カートリッジ110が、根元部70の下方に位置するように、第1の一連のポート部112を筐体14内に配置しうる。
【0030】
図1から3は、5つの加熱カートリッジ110a、110b、110c、110d、110eを含む第1の複数の加熱カートリッジ110を示している。したがって、図1から3は、筐体14内に形成された5つのポート部112a、112b、112c、112d、112eを含む第1の一連のポート部112に配置した、これらの5つの加熱カートリッジを示している。しかしながら、この数は例示的なものに過ぎず、第1の複数の加熱カートリッジ110の加熱カートリッジの数、および、対応する第1の一連のポート部112のポート部の数は、5つより大きくても、5つより小さくてもよいと、理解すべきである。同様に、加熱カートリッジの幅は、利用する加熱カートリッジの数、および、形成槽の幅に応じたものである。例えば、図1は、形成槽の全幅に亘る5つの加熱カートリッジを示し、一方、図2および3は、形成槽の全幅より狭い範囲に亘る5つの加熱カートリッジを示している。ここでは、第1の複数の加熱カートリッジ110の1つを、より詳細に記載する。しかしながら、第1の複数の加熱カートリッジ110の各加熱カートリッジ110a、110b、110c、110d、および、110e、並びに、第2の複数の加熱カートリッジ111の各加熱カートリッジは、実質的に同一または同様の構成であると、理解すべきである。
【0031】
ここで、図3から5を参照すると、実施形態において、各第1の複数の加熱カートリッジ110は、熱方向付け面122を有する囲い部120を含み、少なくとも1つの加熱部124が、その表面上に位置するか、または、それに隣接して位置する。囲い部120は、ガラス形成装置10に関連する高温条件での使用に適した様々な材料から作製しうる。例えば、囲い部120、および、加熱カートリッジ110aの他の部分を、高温ニッケル系合金、スチール(例えば、ステンレス鋼)、若しくは、他の合金または材料(または、材料の組合せ)などの耐火性材料から形成して、ガラス形成装置10に関する構造、および/または、熱パラメータを満たすようにしうる。例えば、一実施形態において、囲い部120は、ヘインズインターナショナル社製のニッケル系合金であるHaynes(登録商標)214(登録商標)などのニッケル系合金で、製作されてもよい。
【0032】
図3から5は、加熱カートリッジ110aを、囲い部を含むものとして示しているが、他の実施形態も企図しており、可能であると、理解すべきである。例えば、別個の囲い部120を含むのではなく、金属/合金から形成した別個の囲い部を有する代わりに、熱方向付け面122を、耐火性材料のブロック(または、複数のブロック)に取り付けてもよい。例であって、限定するものではないが、実施形態において、熱方向付け面を、ANH refractories社製の耐火性ブロックNA-33で形成した物体に取り付ける。
【0033】
一実施形態において、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122は、低放射率を有するセラミック耐火性バッカー材料から形成される。適切なセラミック耐火性材料は、限定するものではないが、Zircar ceramics社から入手可能なSALIボードを含む。加熱カートリッジ110aのうち、ガラス形成装置10の高温に直接には曝されない部分は、低温での利用に適した材料から製作されてもよい。例えば、加熱カートリッジ110aが囲い部を含む場合、囲い部120の裏面125は、例えば、420ステンレス鋼など、ガラス形成装置10に関する構造、および/または、熱パラメータを満たすように選択したステンレス鋼から、製作されてもよい。
【0034】
本明細書に記載の実施形態において、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122は、加熱カートリッジ110aの底面126に対して角度αに向いている。本明細書に記載の実施形態において、角度αは、90°より大きい。例えば、ある実施形態において、熱方向付け面122の角度αは、加熱カートリッジ110aの底面126に対して、約120°から約150°であってもよい。他の実施形態において、熱方向付け面122の角度αは、加熱カートリッジ110aの底面126に対して、約130°から約140°であってもよい。具体的な実施形態において、加熱カートリッジ110aの底面126に対する、熱方向付け面122の角度αは、約135°である。
【0035】
いくつかの実施形態において、熱方向付け面122が下向きになることで、各交換可能な加熱カートリッジの熱方向付け面122が形成槽60の根元部70に対向するように、ガラス形成装置10の筐体14内の加熱カートリッジ110aを位置決めするのを、容易にする。具体的には、熱方向付け面122が下向きになることで、熱方向付け面122が、熱を放射して、周囲の環境、特に、加熱カートリッジの上方の領域など、根元部70の上方の領域への熱損失を最小にして、形成槽60の根元部70に向けるのを、可能にする。
【0036】
再び、図1から3を参照すると、いくつかの実施形態において、熱方向付け面122の上縁部123、および、各加熱カートリッジ110aの上面127が、根元部70の上方に位置するように、加熱カートリッジ110aは、ガラス形成装置10の筐体14内に配置される。この配置により、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122が、熱を形成槽60の根元部70に向けるのを可能にし、それによって、根元部70の温度、および、形成槽60を伝って流れる根元部70領域の溶融ガラスの温度を高める。例えば、図1に示したように、加熱カートリッジ110aを、完全に、根元部70の上流側に配置しうる。その代わりの実施形態において、図3に示したように、加熱カートリッジ110aを、部分的に、根元部70の上流側に配置しうる。例えば、加熱カートリッジ110aの上面127を、根元部70の上流側に配置し、加熱カートリッジ110aの底面126を、根元部70の下流側に配置しうる。加熱カートリッジ110aを、部分的に、根元部70の上流側に配置することで、加熱カートリッジの角度のついた熱方向付け面に起因する根元部70の上方の非対象領域への熱損失を削減しながら、根元部70を適切に加熱して、溶融ガラスの失透を防ぎうる。更に、加熱カートリッジ110aを、部分的に、根元部70の上流側に配置することで、加熱カートリッジ、詳しくは、熱方向付け面122を、根元部70に、より近く配置することが可能になり、より大きい量の熱が、根元部70、および、根元部70を伝って流れる溶融ガラスに当たる。
【0037】
より具体的には、熱方向付け面122の角度、および、加熱カートリッジ110aの筐体14内での位置は、熱方向付け面からの形態係数が、加熱カートリッジ110aの上面127の下方に位置する(形成槽60の根元部70などの)物体についての方が、加熱カートリッジ110aの上面127の上方に位置する物体についてのものより大きくなるようにする。本明細書で使用する「形態係数」という用語は、熱方向付け面122からの熱放射のうち、特定の面に当たる相対的な割合のことを称する。例えば、熱方向付け面122からの形態係数が、加熱カートリッジ110aの上面127の下方に位置する(形成槽60の根元部70などの)物体についての方が、加熱カートリッジ110aの上面127の上方に位置する物体についてのものより大きいので、加熱カートリッジ110aの上面127の下方に位置する物体は、加熱カートリッジ110aの上面127の上方に位置する物体より、大きい熱流束を、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122から受け取ることになる。
【0038】
いくつかの他の実施形態(不図示)において、加熱カートリッジ110は、根元部70の下流側に(つまり、-x方向に)位置してもよい。これらの実施形態において、加熱カートリッジの熱方向付け面は、角度がついたもので、熱が、角度がついた熱方向付け面に沿って上に向かうにつれて、熱が根元部70の方に向かうようにしてもよい。
【0039】
本明細書に記載の実施形態において、加熱カートリッジ110aは、根元部70を加熱する加熱部、および、加熱カートリッジ110aの上方の領域を、加熱カートリッジ110aの下方の領域から、熱的に隔離遮蔽する熱遮蔽部の両方として機能しうるものであり、それによって、根元部70、および、根元部70を伝って流れる溶融ガラスから、形成槽60の根元部70の上方に位置する非対象領域への熱損失を防ぐと、理解すべきである。具体的には、上記のように、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122を、加熱カートリッジ110aの底面126に対して90°より大きい角度αに向ける。したがって、加熱カートリッジ110aの上面127、および、熱方向付け面122の上縁部123は、加熱カートリッジ110aの下縁部129および底面126の上方で、片持ち状態で保持される。この熱方向付け面122の配置は、本明細書に記載したような形態係数を生成する。更に、熱方向付け面122の片持ち状態の配置は、熱方向付け面122を、熱方向付け面122と形成槽60の間の間隙170に亘って延伸させ、形成槽60と加熱カートリッジの間の空間を縮小して、ガラス形成装置10のうち、根元部の下流側領域から、形成槽60の根元部70の上流側に位置する領域への熱損失を、遅らせる。つまり、加熱カートリッジ110aは、更に、熱方向付け面122の上方の領域を、熱方向付け面122の下方の領域から、熱的に遮蔽する。
【0040】
更に、図4および5を参照すると、熱方向付け面122上に、または、隣接して位置する加熱部124は、耐火加熱部である。ある実施形態において、耐火加熱部の材料は、二珪化モリブデンでありうる。いくつかの実施形態において、加熱部124を、二珪化モリブデンから形成したワイヤーで構成してもよい。例であって、限定するものではないが、一実施形態において、加熱部124を、熱方向付け面122上に配置されて蛇行状の二珪化モリブデンのワイヤーから構成してもよい。例であって、限定するものではないが、二珪化モリブデンから形成された加熱部124は、熱方向付け面122上に配置された巻き線部を含みうる。加熱カートリッジ110aを通って延伸する加熱部124の端部は、熱方向付け面122からのパワー損失を最小にするように選択した直径を有してもよい。
【0041】
本明細書に記載したように加熱カートリッジを形成することで、加熱カートリッジの加熱効率を大きく高めうることを見出した。これは、二珪化モリブデンの加熱部のパワー担持容量が、他の材料と比べて高いこと、並びに、更なる耐火性材料による遮断、および、角度がついた熱方向付け面によるものでありうる。更に、本明細書に記載の加熱カートリッジのように、部分に分かれた加熱カートリッジ、および、二珪化モリブデンの加熱部は、根元部70において、他の従来の加熱部材料より高い形成温度を可能にする。これにより、例えば、より高い形成温度の使用が可能になり、それは、溶融ガラスの失透を防いて、形成槽60の根元部70から引き出したガラスリボン内の欠陥を軽減する。更に、根元部70での形成温度が等しい場合でも、二珪化モリブデンの加熱部は、そのような形成温度を、従来の加熱部材料で使用されるより低いパワーを加えることで、有利に実現する。
【0042】
図4Aは、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122上に位置する1つの加熱部124を示しているが、他の構成も企図し、可能であると、理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態において、加熱部124は、2つ以上の別々の加熱部を含む、部分に分かれた加熱部であってもよく、各部が、別々にパワーを供給されて、制御されてもよい。これにより、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122を、独立に制御しうる個々の加熱ゾーンに形成することが可能になり、それによって、熱方向付け面122の熱プロファイルを、より高度に制御しうる。
【0043】
更に図4および5を参照すると、耐火性材料128の1つ以上のブロックが、熱方向付け面122の後方に位置して、加熱カートリッジ110aの残りの部分から、熱方向付け面122を遮断している。図4および5が示すように、これらの耐火性材料128のブロックを、囲い部120の中に配置しうるが、その代わりに、囲い部を使わずに、熱方向付け面122に、直接、取り付けてもよい。ある実施形態において、耐火性材料128を、熱方向付け面122からの熱伝達を最小にするように向ける。具体的には、耐火性材料128を、垂直方向重ねと水平方向重ねに交互することで、ブロック間の継ぎ目での熱を減らすのを助けうると考えられるので、ある実施形態において、耐火性材料128を、垂直方向重ねと水平方向重ねに交互になるように向けている。ある実施形態において、耐火性材料128を、熱方向付け面122と略等しい角度に向けうる。熱方向付け面122が、SALIボードなどの耐火性材料から形成された、更に他の実施形態において、熱方向付け面122の耐火性材料は、囲い部の中に延伸してもよい。本明細書に記載の実施形態において、耐火性材料128は、限定するものではないが、SALIボード、耐火断熱レンガ(IFB)、DuraBoard(登録商標)3000、および/または、DuraBoard(登録商標)2600を含む、市販の耐火性材料であってもよい。ある実施形態において、耐火性ブロックは、熱方向付け面122に最も近く、SALIボードで形成された第1の層、および、第1の層の後方に位置して、IFBで形成された第2の層を含みうる。
【0044】
様々な取付け構造物を用いて、加熱カートリッジ110aを、根元部70に対して載置しうる。図3に示したように、いくつかの実施形態において、加熱カートリッジ110aを、筐体14、および/または、筐体封止板136と係合したブラケット114上に載置しうる。更に、または、その代わりに、図2に示したように、加熱カートリッジ110aを、筐体14、および/または、筐体封止板136に取り付けたT型壁支持ブラケット116上に載置してもよい。いくつかの実施形態において、各加熱カートリッジを、ガラス形成装置10の筐体14のポート部に、取り外し自在に載置する。個々の各加熱カートリッジを独立に制御することによって、複数の加熱カートリッジを用いて、形成ウェッジの根元部に亘って、望ましい温度分布を得られる。更に、各加熱カートリッジが別々であることは、故障した加熱部の影響、および/または、加熱カートリッジの交換を、最小にする。つまり、動作中に、1つの加熱部が故障した際に、その加熱部の故障は、全体の加熱性能の一部だけの損失につながる。更に、加熱カートリッジが、別々に制御されるので、隣接した加熱カートリッジを個々に調節して、故障した加熱部による加熱性能の損失を相殺しうる。更に、加熱カートリッジのモジュール性は、個々のカートリッジの交換が、全加熱性能の一部だけに影響を与えることを意味し、それによって、製品損失を削減する。
【0045】
ある実施形態において、装置は、複数の加熱カートリッジ110、111についての加熱を制御するように構成された制御部180を、更に含んでもよい。図1に示したように、ある実施形態において、制御部180は、複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジに、動作可能に接続されてもよい。ある実施形態において、複数の加熱カートリッジ110、111の個別の制御は、部分に分かれたものでありうる。本明細書において、「部分に分かれた」という用語は、製造中に、ガラスリボンの温度の管理した制御を行うために、各加熱カートリッジの温度を独立に制御調節する能力のことを、称する。制御部は、プロセッサ、および、コンピュータで読み取り可能および実行可能な命令を保存するメモリーを、含みうるものであり、その命令を、プロセッサによって実行した場合には、各加熱カートリッジのパワーを個々に調整して、それによって、各加熱カートリッジによって提供される熱を、温度フィードバックまたは他の処理パラメータに基づいて、個々に増加または減少させうる。したがって、制御部180を用いて、根元部70の幅およびガラスリボン12のドロー平面72の幅に亘る複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジに提供されるパワーを、差別化して調整しうる。
【0046】
ある実施形態において、制御部180を、複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジを、ガラス形成装置からの熱フィードバックに基づいて、個々に動作させるように、構成しうる。例えば、一実施形態において、図1に示したように、制御部180は、熱フィードバックを、熱センサー182から得るように構成される。制御部180は、ガラスリボン製造の進行に合わせて、装置の熱特性の管理した制御を行うために、熱センサーによって得られたフィードバックを用いて、複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジを、個々に調節しうる。熱特性は、例えば、複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジの熱方向付け面122、縁部方向付け部80a、80bの一部、形成槽60の端部の一部、溶融ガラスの一部、および/または、ガラス形成装置10の他の特徴物など、ガラス形成装置の一部に関連した温度および/または熱損失を含みうる。
【0047】
一実施形態において、熱センサー182は、ターゲットレベルより高い温度を検出し、制御部180は、複数の加熱カートリッジ110、111のうち少なくとも1つの加熱カートリッジへのパワーを低下させて、対象領域への熱伝達を減らして、それによって、ターゲットレベルの温度が得られるまで、温度を低下させうる。その代わりに、ある実施形態において、熱センサー182が、ターゲットレベルより低い温度を検出して、制御部180が、複数の加熱カートリッジ110、111のうち少なくとも1つの加熱カートリッジへのパワーを増加させて、対象領域への熱伝達を増やして、それによって、ターゲットレベルの温度が得られるまで、温度を増加させうる。
【0048】
再び、図2を参照すると、典型的には、ガラスリボン12のドロー平面72の2つの(形成槽の幅方向に、つまり、+/-y方向の)外端部において、周囲の環境に失われる熱の方が、ドロー平面72の中間部において周囲の環境に失われる熱より、大きい。したがって、制御部180は、複数の加熱カートリッジ110、111のうち、ガラスリボン12のドロー平面72の縁部(図2に示した座標軸の+/-y方向)の近傍に位置する加熱カートリッジに、ドロー平面72の中間に位置する加熱カートリッジに供給するより大きいパワーおよび熱を、供給して、熱損失、および、ドロー平面72の縁部の近傍のガラスの方が厚いことの両方について、これらの領域で、相殺するようにする。
【0049】
ある実施形態において、制御部を、ガラス形成装置10からの熱フィードバックに基づいて、複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジを個々に動作させるように構成しうる。例えば、一実施形態において、制御部を、形成槽60の根元部70の近傍に位置する少なくとも1つの熱センサー(不図示)から熱フィードバックを得るように、構成する。制御部は、ガラスリボン製造の進行に合わせて、装置の熱特性の管理した制御を行うために、少なくとも1つのセンサーが得たフィードバックを用いて、複数の加熱カートリッジ110、111の各加熱カートリッジを個々に調節しうる。熱特性は、例えば、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122、根元部70、形成槽60の端部の一部、溶融ガラスの一部、および/または、ガラス形成装置10の他の特徴物など、ガラス形成装置10の一部に関連した温度および/または熱損失を含みうる。
【0050】
一実施形態において、少なくとも1つの熱センサーが、ターゲットレベルより高い温度を検出し、制御部が、対象領域への熱伝達を減らすように、複数への加熱カートリッジ110、111の少なくとも1つの加熱カートリッジへのパワーを個々に低下させて、それによって、ターゲットレベルの温度が得られるまで、温度を低下しうる。その代わりに、ある実施形態において、少なくとも1つの熱センサーが、ターゲットレベルより低い温度を検出して、制御部が、対象領域への熱伝達を増やすように、複数の加熱カートリッジ110、111の少なくとも1つの加熱カートリッジへのパワーを増加してもよく、それによって、ターゲットレベルの温度が得られるまで、温度を上昇させうる。
【0051】
図1から3は、加熱カートリッジ110aから110eが、形成ウェッジ62の根元部70の近傍に配置されたガラス形成装置10の一実施形態を、概略的に示しているが、他の実施形態も企図され、可能であると理解すべきである。例として、図4A、4B、5、7、および、8を参照すると、一実施形態において、複数の加熱カートリッジが、形成槽60のトラフ部61の近傍に位置してもよい。具体的には、本明細書に記載したように、形成槽60は、筐体(不図示)内に配置されて、溶融ガラスを受け入れるためのトラフ部61、および、1対の下向きに傾いて、根元部70で収束する形成面部66a、66bを含んでもよい。本明細書で記載したように、複数の加熱カートリッジ110aから110eは、筐体内に形成されたポート部に、取り外し自在に配置され、各加熱カートリッジの熱方向付け面122が、形成槽60に対向し、熱方向付け面122の上縁部123、および、加熱カートリッジの上面127が、形成槽60のトラフ部61の上方に位置して、加熱カートリッジの熱方向付け面122からの熱を、形成槽60のトラフ部61に向けるようにし、それによって、ガラスを、形成槽60のトラフ部61の堰部63の上面で加熱して、失透を防ぎうる。
【0052】
より具体的に、これらの実施形態において、本明細書で、図4A、4B、および、5について記載したように、各加熱カートリッジは、実質的に同じ構造であってもよい。これらの実施形態において、加熱カートリッジ110aの底面126に対して、加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122の角度αも、90°以上であってもよい。例えば、ある実施形態において、熱方向付け面122の角度αは、加熱カートリッジ110aの底面126に対して約120°から約150°であってもよい。他の実施形態において、熱方向付け面122の角度αは、加熱カートリッジ110aの底面126に対して約130°から約140°であってもよい。具体的な実施形態において、加熱カートリッジ110aの底面126に対する、熱方向付け面122の角度αは、約135°である。
【0053】
いくつかの実施形態において、熱方向付け面の下縁部129、および、加熱カートリッジの底面126が、堰部63の上面の下方に位置するように、加熱カートリッジ110aから110eは、形成槽60と比べて高い位置に配置されてもよい。これらの実施形態において、加熱カートリッジ110aの底面126に対する加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122の角度αは、加熱カートリッジからの熱が形成槽60のトラフ部61に向けられるように、90°以上であってもよい。いくつかの他の実施形態において、加熱カートリッジ110aから110eは、熱方向付け面の下縁部129、および、加熱カートリッジの底面126がトラフ部61の上方に位置するように、形成槽60と比べて高い位置に配置されてもよい。これらの実施形態において、加熱カートリッジからの熱が、下向きに、形成槽60のトラフ部61に向けられるように、加熱カートリッジ110aの底面126に対する加熱カートリッジ110aの熱方向付け面122の角度αは、90°より大きくてもよい。
【0054】
実施形態において、図7に示したように、加熱カートリッジ110aから110eは、形成槽60の幅に亘って配列されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の加熱カートリッジ110aから110eの各加熱カートリッジを、+/-X方向について、略同じ高さに配置する。しかしながら、いくつかの実施形態において、図9に示したように、複数の加熱カートリッジ110aから110eは、階段状構成で配置されてもよい。この加熱カートリッジの構成は、図9に示したように、堰部63、または、トラフ部61の側壁部が、角度がついている場合に、使用しうる。
【0055】
図2および3を参照して記載したように、複数の加熱カートリッジ110aから110eが、形成槽60のトラフ部61の近傍に位置する実施形態において、複数の加熱カートリッジ110aから110eは、形成槽60を囲む筐体のポート部に位置して、筐体に取り付けられもよい。更に、複数の加熱カートリッジ110aから110eを、図2および3を参照して、本明細書に記載したように、動作および制御して、形成槽60のトラフ部61の近傍の溶融ガラスの温度を調整して、トラフ部61内および形成槽60を伝って流れる溶融ガラスの失透を防ぎうる。
【実施例0056】
本明細書に記載の実施形態は、以下の実施例によって、より明確になる。
【0057】
実施例1
図6は、本明細書に記載したような二珪化モリブデンの加熱部を含む加熱カートリッジへの個別のパワー変化に対する、根元部の温度応答の数学モデルを示すグラフである。このモデルは、5つの交換可能な加熱カートリッジ(SL1、SL2、SL3、SL4、SL5)に基づいており、各々が、加熱カートリッジの底面126に対し、約135°である角度αに向いた熱方向付け面122を有する。熱を効果的に根元部70に向けるように、加熱カートリッジは、完全に、根元部70の上流側に位置するものとして、モデル化された。加熱カートリッジは、形成槽の幅に亘るように構成された。モデルにおける各加熱カートリッジを、一度に1つ、二珪化モリブデンの構成要素に提供するパワーを、1000Wずつ増加させて、調節した。このモデルにおける1000Wの増分のパワー変化による温度応答を、形成槽の投入堰部(つまり、図1に示した形成槽60の端部64aの近傍)からのインチで表した位置で、測定した。
【0058】
図6のデータは、各加熱カートリッジへのパワーを個々に調節することで、根元部の幅に亘って、局所領域の温度の管理した制御が可能であることを示している。加熱カートリッジへの増分のパワー変化による根元部の温度応答は、調節された加熱カートリッジに最も近い根元部の局所領域で、最も高い。図6が示すように、調節された加熱カートリッジからの距離が遠くなるにつれて、根元部の温度応答が低下する。例えば、(図6では、曲線SL1として示した)投入堰部に最も近い加熱カートリッジによる投入堰部における温度応答は、投入堰部に最も近い位置で、最も高く、投入堰部からの距離が長くなるにつれて低下する。更に、図6が示すように、根元部における温度の違いは、根元部の幅に亘って間隔をあけて配置した多数の加熱カートリッジを使用することで、軽減しうる。例えば、図6が示すように、加熱カートリッジは、各カートリッジの有効加熱領域が互いに重なるように、間隔をあけて配置し、それによって、根元部の幅に亘って、「冷点」を軽減しうる。つまり、図6において、温度応答曲線SL1-SL5は、x軸に示した投入堰部からの距離で示したように、根元部の幅方向に重なっている。これは、形成槽の根元部領域に亘って生じる厚さの影響または温度変動のいずれも、その領域において、対応して位置する加熱カートリッジへのパワーを個々に調節/制御することによって、容易に修正できることを示している。したがって、データは、本明細書に開示したような、部分に分かれて、交換可能な複数の加熱カートリッジを容易に調節して、根元部に亘って引き出されたガラスのいかなる失透も、効果的に削減しうることを示している。
【0059】
当業者には、請求した主題の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載した実施形態に様々な変更および変形が可能なことが、明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載した様々な実施形態の変更および変形も、添付の請求項、および、その等価物の範囲である限りは、そのような変更および変形も網羅することを意図している。
【0060】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0061】
実施形態1
ガラスリボン形成装置において、
1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部を含む形成ウェッジと、
前記形成ウェッジを囲む筐体と、
加熱カートリッジと、
を含み、
前記加熱カートリッジは、該加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含み、前記熱方向付け面は、該熱方向付け面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含み、
前記熱方向付け面が、前記形成ウェッジと対向すると共に、該熱方向付け面の上縁部および前記加熱カートリッジの上面を前記根元部の上方に配置するように、該加熱カートリッジを配置して、該加熱カートリッジの該熱方向付け面からの熱を、該形成ウェッジの該根元部に向ける装置。
【0062】
実施形態2
前記熱方向付け面の前記角度が、前記加熱カートリッジの前記底面に対して約120°から約150°である、実施形態1に記載の装置。
【0063】
実施形態3
前記熱方向付け面の前記角度が、前記加熱カートリッジの前記底面に対して約130°から約140°である、実施形態1に記載の装置。
【0064】
実施形態4
前記形成ウェッジの幅に亘って配列された複数の加熱カートリッジを、
更に含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の装置。
【0065】
実施形態5
前記熱方向付け面の下縁部、および、前記加熱カートリッジの前記底面を、前記根元部の下方に配置した、実施形態1から4のいずれか1つに記載の装置。
【0066】
実施形態6
前記加熱カートリッジの前記熱方向付け面からの形態係数は、該加熱カートリッジの上面の下方の方が、該加熱カートリッジの前記上面の上方より大きく、該熱方向付け面の前記上縁部、および、該加熱カートリッジの該上面が、該熱方向付け面の上方の領域を、該熱方向付け面の下方の領域から熱的に遮蔽する、実施形態1から5のいずれか1つに記載の装置。
【0067】
実施形態7
前記少なくとも1つの加熱部が、二珪化モリブデンを含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載の装置。
【0068】
実施形態8
ガラスリボン形成装置で使用する加熱カートリッジにおいて、
前記加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向くと共に、該加熱カートリッジの表面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含む熱方向付け面と、
前記熱方向付け面の後方に配置した耐火性材料と、
を含み、
前記熱方向付け面からの形態係数は、前記加熱カートリッジの上面の下方の方が、該加熱カートリッジの前記上面の上方より大きく、該熱方向付け面の上縁部、および、該加熱カートリッジの該上面が、該熱方向付け面の上方の領域を、該熱方向付け面の下方の領域から、熱的に遮蔽するものである加熱カートリッジ。
【0069】
実施形態9
前記熱方向付け面の前記角度が、前記加熱カートリッジの前記底面に対して約120°から約150°である、実施形態8に記載の加熱カートリッジ。
【0070】
実施形態10
前記熱方向付け面の前記角度が、前記加熱カートリッジの前記底面に対して約130°から約140°である、実施形態8に記載の加熱カートリッジ。
【0071】
実施形態11
前記少なくとも1つの加熱部が、二珪化モリブデンを含む、実施形態8から10のいずれか1つに記載の加熱カートリッジ。
【0072】
実施形態12
ガラスリボン製作方法において、
溶融ガラスを、形成ウェッジの1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部に伝わせて流す工程と、
前記溶融ガラスを、前記形成ウェッジの前記根元部から引き出して、ガラスリボンを形成する工程と、
前記根元部を、複数の加熱カートリッジで加熱する工程と、
を含み、
各前記加熱カートリッジは、該加熱カートリッジの底面に対して約90°より大きい角度に向いた熱方向付け面を含み、前記熱方向付け面は、該熱方向付け面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含み、
前記熱方向付け面が、前記形成ウェッジと対向すると共に、該熱方向付け面の上縁部および各前記加熱カートリッジの上面を前記根元部の上方に配置するように、各該複数の加熱カートリッジを配置して、各該複数の加熱カートリッジの該熱方向付け面からの熱を、該形成ウェッジの該根元部に向ける方法。
【0073】
実施形態13
前記熱方向付け面の前記角度が、前記加熱カートリッジの前記底面に対して約120°から約150°である、実施形態12に記載の方法。
【0074】
実施形態14
前記熱方向付け面の前記角度が、前記加熱カートリッジの前記底面に対して約130°から約140°である、実施形態12に記載の方法。
【0075】
実施形態15
前記複数の加熱カートリッジが、前記形成ウェッジの幅に亘って配列されたものである、実施形態12から14のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態16
前記熱方向付け面からの形態係数は、前記加熱カートリッジの上面の下方の方が、該加熱カートリッジの前記上面の上方より大きく、該熱方向付け面の前記上縁部、および、該加熱カートリッジの該上面が、該熱方向付け面の上方の領域を、該熱方向付け面の下方の領域から熱的に遮蔽する、実施形態12から15のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態17
前記熱方向付け面の下縁部、および、各前記加熱カートリッジの前記底面を、前記根元部の下方に配置したものである、実施形態12から16のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態18
前記少なくとも1つの加熱部は、二珪化モリブデンを含む、実施形態12から17のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態19
ガラスリボン形成装置において、
溶融ガラスを受け入れるトラフ部、および、1対の下向きに傾いて根元部で収束する形成面部を含む形成槽と、
前記形成槽を囲む筐体と、
前記筐体のポート部に配置した複数の加熱カートリッジと、
を含み、
各前記加熱カートリッジは、熱方向付け面を含み、前記熱方向付け面は、該熱方向付け面に隣接して配置した少なくとも1つの加熱部を含み、
前記熱方向付け面が、前記形成槽と対向すると共に、該熱方向付け面の上縁部および前記加熱カートリッジの上面を前記形成槽の前記トラフ部の上方に配置するように、該加熱カートリッジを配置して、該加熱カートリッジの該熱方向付け面からの熱を、該形成槽の該トラフ部に向ける装置。
【0080】
実施形態20
前記熱方向付け面は、前記加熱カートリッジの底面に対して約90°以上の大きい角度に向いたものである、実施形態19に記載の装置。
【0081】
実施形態21
隣接した前記加熱カートリッジは、互いに階段状構成で配置したものである、実施形態19に記載の装置。
【0082】
実施形態22
前記複数の加熱カートリッジが、前記形成ウェッジの幅に亘って配列されたものである、実施形態19から21のいずれか1つに記載の装置。
【0083】
実施形態23
前記熱方向付け面の下縁部、および、前記加熱カートリッジの底面が、形成槽の堰部の上面の下方に配置したものである、実施形態19から22のいずれか1つに記載の装置。
【0084】
実施形態24
前記加熱カートリッジの前記熱方向付け面からの形態係数は、該加熱カートリッジの上面の下方の方が、該加熱カートリッジの前記上面の上方より大きく、該熱方向付け面の前記上縁部、および、該加熱カートリッジの該上面が、該熱方向付け面の上方の領域を、該熱方向付け面の下方の領域から熱的に遮蔽する、実施形態19から23のいずれか1つに記載の装置。
【0085】
実施形態25
前記少なくとも1つの加熱部は、二珪化モリブデンを含む、実施形態19から24のいずれか1つに記載の装置。
【符号の説明】
【0086】
10 ガラス形成装置
12 ガラスリボン
14 筐体
15 溶融槽
20 バッチ送出装置
22 モータ
24 制御部
28 溶融ガラス高さプローブ
30 スタンドチューブ
36 第1の接続管
38 清澄槽
40 第2の接続管
42 混合槽
44 第3の接続管
46 送出槽
48 下降部
50 投入部
60 形成槽
61 トラフ部
62 形成ウェッジ
63 堰部
64a、64b 形成ウェッジの端部
66a、66b 形成面部
70 根元部
72 ドロー平面
80a、80b 縁部方向付け部
110、111 加熱カートリッジ
112 ポート部
120 囲い部
122 熱方向付け面
123 熱方向付け面の上縁部
124 加熱部
126 加熱カートリッジの底面
127 加熱カートリッジの上面
128 耐火性材料
129 熱方向付け面の下縁部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9