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特開2023-2693960歳以上の高齢者の健康管理に特化した糖取り込み能余力ならびに免疫力低下の程度を簡単な方法で表せるインスリン1単位当たりの耐糖能や経過変化を数字で表す指標とそれを使ったセルフメディケーションの新しい方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026939
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】60歳以上の高齢者の健康管理に特化した糖取り込み能余力ならびに免疫力低下の程度を簡単な方法で表せるインスリン1単位当たりの耐糖能や経過変化を数字で表す指標とそれを使ったセルフメディケーションの新しい方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230221BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132398
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】501451521
【氏名又は名称】松山 太
(72)【発明者】
【氏名】松山 太
(72)【発明者】
【氏名】デュモン デラクルーズ エリノア
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高齢者自身が計算して変化を楽しめる「3分計算じぶん健康シート」に関するシート及び方法を提供する。
【解決手段】自身の健康状態を身近に感じることができる健康方法を表記する「3分計算じぶん健康シート」は、高齢者の健康管理に特化した糖取り込み能余力ならびに免疫力低下の程度を簡単な方法で表せるインスリン1単位当たりの耐糖能や経過変化を数字で表す指標と、それを使った保健と医療データ類並びに自分で記入し自分で計算する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高齢者の健康管理に特化した糖取り込み能余力ならびに免疫力低下の程度を簡単な方法で表せるインスリン1単位当たりの耐糖能や経過変化を数字で表す指標とそれを使った保健と医療データ類並びに自分で記入し自分で計算し、自身の健康状態を身近に感じることができる「3分計算じぶん健康シート」の健康方法を表記するシート。
【請求項2】
食後30分の血糖値/インスリン値=20以上の数値を用いてインスリン分泌不全の疑いありを示唆、警告する方法と記載または記録するデジタルとアナログのデータを表記する方法。
【請求項3】
食後120分の血糖値/インスリン値=5以下の数値を用いてインスリン抵抗性の疑いありを示唆、警告する方法と記載または記録するデジタルとアナログのデータを表記する方法。
【請求項4】
空腹時血糖値/インスリン値=10以下の数値を用いて糖尿病またはインスリン抵抗性に疑いありを示唆、警告する方法と記載または記録するデジタルとアナログのデータを表記するシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の応用技術分野は[医学][統計][解析][ビジネスモデル]である。
【0002】
本発明の応用製品化分野アプリケーションは、[農業][食品][飲料][試薬][遺伝子工学][工場栽培農業][ゲノム編集][医療機器][分析機器][電器製品][連携ビジネスモデル][解析工学][コンピューターシミュレーション]などがある。
【背景技術】
【0003】
高齢者には高齢者の診断基準があるように高齢者独自の指標があっても良い。しかもその指標は医師から大した説明もなく指示付きの結果だけを告げられるものであってはならない。高齢者自らが計算が可能で、単純な基準で、自分の成人病、生活習慣病のリスクを知り、自ら食事や運動などの日常生活を健康な方向に改善するセルフメディケーションのキッカケになるようなものが望ましい。
【0004】
例えば血糖値の高い高齢者に「運動してください」「カロリー計算してバランスよく食べましょう」というのは簡単である。しかし高齢者にとっては「言うは易し行うは難し」である。提案する新しい指標とは・・・以下の通りである。これは組み合わせればさらに好ましい。今まで多くの高齢者向け、糖尿病、インスリン抵抗性の学術誌、健康ガイド、厚労省資料をみても同様のものは記載がない。ありそうでなかった新しい概念である。
(1) 食後30分の血糖値/インスリン値=20以上の人→インスリン分泌不全の疑いありを示唆、警告できる
(2) 食後120分の血糖値/インスリン値=5以下の人→インスリン抵抗性の疑いありを示唆、警告できる
(3) 空腹時血糖値/インスリン値=10以下の人→糖尿病またはインスリン抵抗性に疑いありを示唆、警告できる・・・である。
これならば計算は一回で高齢者でも簡単に計算できるであろう。
【0005】
この発明は、旨味の発見に似ている。もともと存在するものであっても独立した概念として確立され広く味覚の基準となった。旨味は、主にアミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸や、核酸構成物質のヌクレオチドであるイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸など、その他の有機酸であるコハク酸やその塩類などによって生じる味の名前。 五基本味の一つ。19世紀以前は、うま味の存在が科学的に立証されていなかった。現在は、舌にはうま味を感じる能力があり、うま味を示す物質があることが分かっている。
うま味物質は、東京帝国大学(現在の東京大学)教授だったK.Iによって、1908年にだし昆布の中から発見された。本発明は旨味と同様に新しい基準の発明である。
この世の中化に同じ人間は存在しない。また同じ人間でも毎日変化する。ヒトは加齢と共に変化し老化する。少年期、青年期、成人期、壮年期、高齢期など年齢によって呼ばれる方法はマチマチであるがヒトの一生には肉体の成長、出産、加齢により日々変化していくものである。
例えば年齢によって、男女の違いによって「推定エネルギー必要量」は大きく変化する。女性のピークは12歳~14歳であるが男性のピークは15歳~17歳とされる。また妊婦においては妊娠後期になると450キロカロリーの追加が必要とされる。
【0006】
このようにヒトの体調、状態や健康状態を表す数字(指標)は人種や年齢や性別だけで一概に一律という訳にはいかない。いわんや生活環境、食生活が異なる現代では新しい健康の判断指標が求められる。特に世界的な少子高齢化社会の到来を目前にして高齢者の健康維持は社会保険体制、医療費の軽減につながり労働力確保の観点からも重要である。
【0007】
本発明は、上記の社会的背景を基本に据えて高齢者には高齢者のわかりやすい、自分でも簡単に計算できる健康指標が必要ではないかとの発想から生まれたものである。
【0008】
「高齢者の定義」に決められたものは未だ明確なものはない。わが国を含む多くの国では、高齢者は暦年齢 65 歳以上と定義されている。しかし、この定義には医学的・生物学的に明確な根拠がなくわが国においては、近年個人差はあるもののこの高齢者の定義が現状に合わない状況が生じている。
【0009】
早急に高齢者が、「自分で計算出来て、自分の成人病、生活習慣病のリスクを知り、自ら食事や運動などの日常生活を健康な方向に改善するキッカケ」となる指標作りが必要である。
高齢者、特に前期高齢者の人々にはまだまだ若く活動的な人が多く、高齢者扱いをすることに違和感があることは多くの人が感じるところである。一方国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としている。日本での高齢者の割合は20%にもなり、65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んでいる。世界でも最も高い水準にある。現在の高齢者においては 10~20 年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現(老化)が 5~10 年遅延している。高齢者とされてきた65 歳以上の人であっても、中でも 65 ~74 歳の前期高齢者においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めている。
【0010】
さて、指標とは状況や物事に価値をつける際の基準となる要素を表し、意味する言葉であり数値である。計測された客観的なデータによって示され、状況の変化を見出したり、変化の程度を見定めたりするために用いられるものでなくてはならない。
指標作りの目的は、高齢者が自分で計算出来て、自分の成人病、生活習慣病のリスクを知り、自ら食事や運動などの日常生活を健康な方向に改善するキッカケとなるものを考案することである。当然その基準は医科学の医師、研究者、学会や統計・解析の専門家にも認められるものでなくてはならないであろう。
【0011】
本発明のキッカケは二回にわたって行ったMCI軽症認知症の臨床試験データを調べたことにある。血糖値とインスリンとγ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼは、肝臓の解毒作用に関係している酵素)の数字を解析している際に発見した。当該治験者達には事前のインフォームドコンセント、ご家族への聞き取り、Before & Afterの写真撮影、一人一人のインタビュー、動画撮影なども実行した。
【0012】
臨床試験の目的はスマホ中毒者の記憶機能回復の確認と、高齢者(MCI軽度認知障害)認知症の緩和と改善であった。対象物は東南アジアやオーストラリアや南北アメリカ大陸に広く分布する薬草バナバ(Lagerstroemia speciosa/オオバナサルスベリ)の認知症回復効果であり、その植物の活性化合物であるコロソリン酸(Corosolic acid)の処方量と安全性、効果の具合を知ることであった。
【0013】
以下は当該臨床試験の詳細である。
発明者は2019年と2020年の二年にわたってそれぞれ一回合計2回の臨床試験を実行した。実験対象は、30年間にわたって開発を続けてきたバナバ(オオバナサルスベリ)という薬草とそれに含まれる活性化合物コロソリン酸について、認知症の緩和と改善に対する効果があるかどうかを確認するために実行された。その結果の分析と解析が、本指標の使い方の発見と発明につながったものと考える。

【表1-1】

【表1-2】















【表1-3】
表1)インスリン係数(インスリンの糖に対する効きの耐糖能力を示す)
表の見方:
上段数字血糖値GLU/下段数字インスリン値IRI
下段枠内は糖負荷インスリン係数(血糖値をインスリン値で割ったもの)
インスリン1μU/mL当りのグルコース負荷量mg/dLを表している
定義:
1:糖負荷インスリン係数とはインスリン1μU/mL当り血糖値mg/dLを負荷いるかを表す。
そこで、提案する新しい指標とは・・・
(4) 食後30分の血糖値/インスリン値=20以上の人→インスリン分泌不全の疑いありを示唆、警告できる
(5) 食後120分の血糖値/インスリン値=5以下の人→インスリン抵抗性の疑いありを示唆、警告できる
(6) 空腹時血糖値/インスリン値=10以下の人→糖尿病またはインスリン抵抗性に疑いありを示唆、警告できる・・・である。これならば計算は一回で高齢者でも簡単に計算できる。
【0014】
当該臨床試験とは、70歳台を中心に60歳、80歳台を一回10名、合計20名のMCI軽度認知障害を疑われる高齢者を集めて行われた。目的はコロソリン酸の認知症への効果を見るためである。使用された用剤はコロソリン酸を1%、1ミリグラム含有するバナバのエタノール熱水抽出エキス錠剤で、日本でも血糖値上昇抑制効果と安全性が内閣府食品安全員会から効果と安全性のお墨付きが出されていた。
【0015】
臨床試験に使用された治験対象物はバナバ(オオバナサルスベリ)のエタノール熱水抽出エキスのタブレットでありジャンルは健康食品である。試薬の治験に比べ、臨床試験の実行バリアーが低いことも有利だった。また京都大学のプレ臨床でバナバエタノール熱水抽出エキス/錠剤の血糖値上昇抑制作用の活性化合物が、タンニン類、食物繊維、アルファリノレン酸などではなく「コロソリン酸」であることが二重盲検試験で確認されていたことも臨床試験の意味を明確にした。
【0016】
コロソリン酸がインスリンに直接関与し、インスリン抵抗性を緩和することは1999年の「バナバ抽出物タブレット」を使った臨床試験を始めとして6回のヒト臨床試験、2回の非臨床試験、2回のインビトロ試験合計10回のインビボ・インビトロ実験において示唆、証明されてきた。
それが2019年、2020年自社のフィリピンでのヒト臨床試験結果、並びに近年の世界の大手製薬会社の認知症治験によるアミロイドベータカスケード仮説の総崩れと認知症からの撤退、医科学学会の重要疾患のインスリン抵抗性原因説、また癌の抗体に差異があるとのノーベル賞学者などの発表などにより、発明者はコロソリン酸の摂取が成人病・生活習慣病に広く役立つと確信し本発明に至ったのである。
【0017】
MMSE試験と臨床試験の実施概容
厳密に計測したエタノール熱水抽出エキスを使用しコロソリン酸1ミリグラムに設定したものを使用した。
1. 試験期間:2019年6月15日(土)~10月5日(土)
2. 試験場所:フィリピン共和国ヌエバエシハ州タラベラ町サンパスクアル地区
3. 実施期間と試験対象物:コロソリン酸服用期間1か月(30日間)バナバエタノール熱水抽出エキス・コロソリン酸1ミリグラム含有の錠剤、1回1錠、1日3回摂取または1日1回3錠摂取。
4. 製造元:株式会社KW 千葉市
5. 錠剤:1錠の総重量250ミリグラム(3錠で0.75グラム)
6. 内容物:
バナバ錠剤:Lagerstroemia speciosaエタノール熱水抽出エキス40%(コロソリン酸1mg)、ラクトース25%、デキストリン28%、セルロース5%、エステル2%。
栄養成分:熱量0、タンパク質0、炭水化物0、灰分0、脂肪0、他の化学成分0、コロソリン酸1.0mg(以下画像/これを3粒x30日分=合計90錠与えて飲んでもらった)
処方量:毎食後1日1~3回を目処に摂取。水にて服用した。(コロソリン酸摂取用量の安全性についてはカナダにおいてヒト臨床試験で1日10ミリグラム摂取の安全性試験が行われている。)日本・韓国で「トクホ」(特定保健用食品の表示の許可)取得。
7. コロソリン酸1日10ミリグラム摂取安全性試験(臨床試験)実行者:
KGK SYNERGIZE INC.225 Queens Ave., Suite 1030 London, Ontario CANADA N6A 5R8
8. 実行日付: February 10.2006
9. 安全性・副作用の確認:治験者には途中2回の健康への影響を確認したが異常や、体調不良、体調変化を訴えた人はいなかった。
10. 実施責任者:発明者/松山太 京都府福知山市字天田(北本一区)117-7
11. インタビューアー:発明者/Ellynor DC DUMON 住所:662 San Pascual Talavera Nueva Ecija
【0018】

【表2-1】
【表2-1】

今回以前(2010年以前)に行った臨床・非臨床試験の一覧
表2)先行文献の一部で発明者が行った年度別の実験リスト
【0019】
2019年と2020年に行った立件のあらまし
試験の目的:コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(ヒト臨床試験)インスリン抵抗性が認知症の主たる原因たるかを確認した。
実行の内容:2019年8月、フィリピン国タラベラ、サンパスクアルにて治験者60歳以下スマホ中毒者20名、70歳80歳代21名合計41名。エタノール熱水エキス、一日3錠、1ヶ月服用、MMSEと(高齢者グループ21名のみ)OGTT採血試験、摂取前、2週間後、1か月後の計3回、OGTTは絶食時、75グラム砂糖水摂取30分後、2時間後の計3回採血し血糖値、インスリン値を測定した。
結論は、コロソリン酸が活性化合物であることが確認されたバナバエタノール熱水抽出エキスタブレットは、スマホ中毒の若年、成人並びに70歳、80歳代のMCI軽度認知障害の高齢者の記憶機能を回復しインスリン反応を向上させインスリン抵抗性を改善した。コロソリン酸服用から一か月後の、二回のOGTTの採血試験においてインスリン応答、インスリン抵抗性ともにMCI軽症認知症の治験者たちには共に改善しほぼ正常になった。
1)インスリン応答:インスリンの増加分を血糖値の増加分で割ったもの。数値が高かればインスリン反応が良いとされる。I.I.(Insulin Index)=IRIデルタ(増加分インスリンμU/ml)/GLUデルタ(増加分血糖mg/dl)0.4以下なら,インスリン低分泌と判定される.
2)インスリン抵抗性の判定:HOMA-IR指数(homeostasismodel assessment-insulin resistance)が用いられる. 「HOMA-IR=IRI(μU/ml)×FPG(mg/dl)/405」 空腹時のインスリン値に血糖値を掛けてそれを405で割った数値がインスリン抵抗性の目安となる。1.6以上でインスリン抵抗性の疑い,2以上でインスリン抵抗性と診断できる.
【0020】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(ヒト臨床試験)
2006年1月、本臨床試験に先がけてバナバ抽出物の活性化合物特定の必要性が京都大学Y.S教授から指摘され、指示に従い「プレテスト」を行った。バナバ抽出物の活性化合物を同定する臨床試験が京都市伏見区の民間総合病院にて実行された。
(1)コロソリン酸試薬レベルの標品(99%以上純度)と、(2)すべてのバナバ抽出物の65~70%を占めるタンニン類の中でも最も糖移動活性の高いことが確認された、エラジタンニン系のラガーストロエミンの血糖値上昇抑制の比較試験が40名のボランティアを集め上記民間総合病院にて二重盲検方式で行われた。
結果は歴然であった。バナバ抽出物の血糖値上昇抑制作用の活性化合物は明らかにコロソリン酸であることが確認された。その結果CRO計画のヒト臨床試験が実行され、コロソリン酸僅か1ミリグラムの投与で血糖値を有意に低下させたことが証明された。
当OGTT試験はコロソリン酸試薬(99%以上純度標品)を用いて行った。二重盲検試験にてコロソリン酸1ミリグラムを男性16名、女性15名の境界型糖尿病に投与して血糖値の上昇抑制を調べた。その結果、コロソリン酸による有意な血糖値上昇抑制効果が正式に確認された。
本発明の意義は、プレテストに大きな発見があった。それはまず1.コロソリン酸はインスリン抵抗性のある人には驚くほど血糖値上昇抑制作用を発揮したことである。次に2.同じくインスリン抵抗性の治験者に処方量を僅か3ミリグラムに上げれば極めて有意な血糖値上昇抑制効果が見られたという2点である。つまりコロソリン酸はインスリン抵抗性を持つ人には極めて有効な改善作用が見られる。これも本発明の大きな証拠となった。
【0021】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(2回のヒト臨床試験)
バナバ抽出物を用いて行われた臨床試験は2度行われた。1999年5月、最初の実験は、自社で製造したバナバ熱水抽出エキスを用いて2型の境界型糖尿病が疑われる治験者で血糖値上昇抑制作用を確認した。その結果、血糖値上昇抑制があった治験者はすべてインスリン分泌が良好または出過ぎ(抵抗性)の治験者で、インスリン応答や分泌不良の治験者にはほとんど血糖値上昇抑制が見られなかった。つまり血糖値上昇抑制作用はインスリン分泌のあるなしにかかっていたのである。
2000年8月、二度目の臨床試験は飲料大手のS社が製造したバナバエタノール熱水抽出エキス(コロソリン酸含有量1%以上、1錠あたり1ミリグラム)を用いて20~70歳代の血糖値が気になる人に二重盲検試験を実行した。この二回とも東京のCROを使い東京JK医科大学のIK教授の指導のもとに行われた。
結論として重要なことは、下がった血糖値の平均値ではなく、「どんな治験者にどのように効いた」かであった。有意に血糖値上昇抑制があったのはインスリン分泌が一定以上あった治験者グループで、血糖値が下がらなかったのはインスリン分泌不全の治験者グループであった。この結果は一回目の結果と同じであった。このことから、コロソリン酸はインスリン本体に強く働きかけていることが示唆された。
【0022】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(ヒト臨床試験)
2002年11月、弊社と共同開発の関係にあった日本の飲料大手S社は、治験者18名(男性14名、女性4名)二重盲検試験、クロスオーバー試験にてコロソリン酸を含むバナバエタノール熱水抽出エキス錠剤を用い単回摂取試験と長期摂取試験を行い、血糖値上昇抑制効果とインスリン分泌変化などを治験した。
バナバエタノール熱水抽出エキスは有意に食後血糖値を下げることが確認され、長期投与においての副作用は一切報告されなかった。このことよりバナバ抽出物の血糖値上昇抑制に対する有効性と安全性が確認された。
本発明としての意義は、長期投与治験者の食後30分のインスリン分泌反応が欧米人と同じように良くなった点にあった。食後30分のインスリン分泌のグラフは鋭い山頂にように尖ったカタチとなって表れたのである。これは農耕民族由来の日本人や東アジア人には見られない傾向である。
一方インスリンの反応が向上し摂食初期の血糖値が下がれば当然インスリンの総分泌量は抑えられ低減する。コロソリン酸摂取によりインスリンレスポンスが向上しその結果素早く血糖値が下がり、膵臓による追加インスリン分泌が不必要になりインスリン分泌量がセーブされたものと考えらる。
【0023】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(非臨床試験)
2006年11月、三重県鈴鹿市の鈴鹿科学医療大学のMT教授のコロソリン酸の非臨床試験がある。KKA-y(2型糖尿病・インスリン抵抗発症マウス)に対する、コロソリン酸試薬(99%以上純度標品)の摂取はインスリン感受性を向上させ、同時に血糖値を有意に下げることも確認された。
結論は、KKA-yマウスで、コロソリン酸試薬はインスリン感受性を高め有意に血糖値を下げたことである。インスリン反応のグラフは驚くべき有意差をもって示された。
【0024】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(非臨床試験)
2004年3月、コロソリン酸が GLUT4 トランスローケーションを促進し血糖値の低下作用を示すことがわかった。コロソリン酸の血糖値上昇抑制は広く知られていたが糖取り込みのメカニズムが解明されたのは初めてである。
結論は、KKA-yマウスで、コロソリン酸の血糖値上昇抑制作用が確認されそれがGLUT4メカニズムという糖取り込み作用であることが確認された。
【0025】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(インビトロ実験)
エネルギーのもとであるグルコースは肝臓によって貯蔵され再生される。その作用は血中のグルコースとインスリン濃度によってコントロールされている。血中のコロソリン酸濃度に依存して肝臓における糖新生が変化することが確認された。
結論は、コロソリン酸がインスリン感度を高めることにより、摂取したコロソリン酸濃度により肝臓における糖新生が依存していることが確認された。
【0026】
コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善する根拠(インビトロ実験)
1993年5月、広島大学医学部薬学科のYK教授と研究員MCらは、多くのフィリピンの薬草の中から現地で植物インスリンとして広く知られているバナバ(オオバナサルスベリ)に糖移動活性があることを発見し、活性化合物がコロソリン酸であることを突き止めた。またコロソリン酸の糖移動は細胞膜12回貫通型の糖取り込み型であることを確認した。
結論は、バナバはアジア各国で古来より代替インスリンと称され糖尿病対策薬草として用いられてきた。バナバ抽出物はインスリンの代わりをするかインスリン分泌を減らして血糖値を下げるとされている。伝承的にバナバのコロソリン酸がインスリン様の働きをすることが人知の証明にもなる。
【0027】
高齢になっても元気で楽しく生き続けることは多くの人々の願いである。本発明は、コロソリン酸とその類縁化合物及びそれらを含む抽出物を用いて限りある命である、「人間の健康寿命」を加齢などからくる「インスリン抵抗性に起因する種々の疾患」から守ろうという発明のアイデアである。インスリン抵抗性をインスリンサイドから緩和と改善しようとするものは未だ記載がない。
本発明の主旨はコロソリン酸の働きによって・・・
(1)インスリンそのものの効きを良くし、(2)細胞受容体のインスリン感受性を向上させ、(3)血糖値の上昇を抑制しながら、(4)肝臓における糖新生をコントロールさせ、(5)脳内ほかの分解されない残留インスリンを減らし、(6)インスリン分泌の総量を低減し、(7)膵臓のインスリン分泌の負担を軽減し、(8)インスリンそのものを「ノコギリの目立」のようにブラッシュアップして、(9)抗体、免疫、T細胞の働きを高め、(10)インスリン抵抗性を改善によって健康寿命を長くしようというものである。
【0028】
近年の成人病研究によれば、加齢とともに増加する生活習慣病のリスクの低減は、インスリン抵抗性の解決次第と言われるようになってきた。一方現在まで糖尿病関連としてのインスリン抵抗性改善には種々の薬剤が開発されてきた。
脂肪細胞に働きかけて脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させるチアゾリジン薬(グリタゾン)や、同系列の新しいくすりピオグリタゾン薬はインスリンに対する体の感受性を高める作用し、結果的にインスリンの働きがよくなり、血糖値が下がるとされている。おもに2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)に用い、肝臓、筋肉、脂肪組織などのインスリン感受性を高める作用がるとされ、肝臓での糖の産生が抑えられ、血液中の糖分は筋肉などに取り込まれる(膵外作用)。
【0029】

【表3】
本発明の「60歳以上の高齢者の健康管理に特化した糖取り込み能余力ならびに免疫力低下の程度を簡単な方法で表せるインスリン1単位当たりの耐糖能や経過変化を数字で表す指標」に至る経緯
表3)従来から使われてきた血糖値とインスリンの判定指標と基準数値
【0030】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】
【表5】

実験の目的:証明事項/高齢者への安全性:臨床試験に使用したものは安全か?
治験者全員のγ- GPT:が同等または低下し毒性や肝臓や胆管に悪影響がないこと証明する参考になった。(γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝臓の解毒作用に関係している酵素。)
表4)、表5)γ-GTP/γグルタミルトランスペプチダーゼ)は肝臓の解毒作用に関係している酵素
(コロソリン酸摂取に問題はなかった)
【0031】

【表6】

実験の目的:証明事項/高齢者治験者の血糖値変化の確認
1.試験前から治験者群に空腹時血糖値も食事120分後血糖値も境界型糖尿病者はいなかった。
2.治験者8人中6人がコロソリン酸摂取前よりコロソリン酸摂取1ヶ月後に血糖値が低下した。
3.コロソリン酸摂取により血糖値は正常にコントロールされるようになった

表6)2020年2~3月の第二回MCI軽症認知症群の臨床試験の血糖値変化
(コロソリン酸摂取前と摂取後の血糖値変化/血糖値に大きな変化はなかった)
【0032】
表7)2020年2~3月の第二回MCI軽症認知症群の臨床試験のインスリン値の変化
コロソリン酸摂取はインスリン分泌量を減らせたか?(小数点第2位まで記載)
【表7】

実験の目的:証明事項/コロソリン酸の摂取はインスリン分泌を早め、役割を果たせば素早く元に戻りインスリン総分泌量を節約した

表7)2020年2~3月の第二回MCI軽症認知症群の臨床試験のインスリン値の変化
コロソリン酸摂取はインスリン分泌量を減らせたか?(小数点第2位まで記載)
【0033】
実験の目的:証明事項/コロソリン酸はインスリン機能を高める
インスリンが加齢、インスリン抵抗性が原因で機能が劣化することは知られている。また合成インスリン(糖尿病患者のためのペン型インスリン溶薬)でも線維化などの劣化、あるいは女性の月経周期においてインスリンの機能変化が報告されている。
コロソリン酸摂取がインスリン機能を高めていることを対耐糖能数値の上昇で実証した。
新規性:コロソリン酸は、受容体である細胞に働きかけるものではなくインスリン本体の機能を回復させるものである。従来のインスリン抵抗性のクスリ(チアゾリジン系、ピオグリタゾン、イメグリミン塩酸塩)は糖尿病の緩和を目的に開発されたもので、それらの作用する対象はすべて受容体側、つまり脂肪細胞、骨格筋細胞もしくは細胞内のミトコンドリアである。
進歩性:コロソリン酸はインスリンそのものに働きかけ本体機能をブラッシュアップさせる。今まではインスリンは永遠に同じであり変わらないものとの考えがあった。しかし近年コロナウイルスの研究やニボルマブ(オプジーボ)の研究によりインスリンタンパクのスパイクやそのものにも変化があることが解明されてきた。コロソリン酸の摂取は、細胞やミトコンドリアなどの受容体サイドではなく、インスリン本体への働きと考えるのが自然である。
実験の目的:証明事項/コロソリン酸の摂取はインスリン本体の機能を高めている
具体的証明方法)
1. コロソリン酸摂取前と、コロソリン酸摂取1ヶ月後の空腹時インスリン値を比較し、
2. 正常な範囲(2~10μU/mL)で、かつ空腹時における最適の血糖値コントロールを可能している、効果的なるインスリン本体機能の回復を耐糖能数字で表す
得られた結論:コロソリン酸摂取は確実にインスリン抵抗性(空腹時インスリン値)を緩和と改善させ、応答を良くし、120分後のインスリン値も正常値に戻している。

【表8】
表8)コロソリン酸摂取前とコロソリン酸摂取2週間後と摂取前と摂取1ヶ月後の
空腹時インスリン変化率(小数点第2位まで/治験者3は除外)
血糖値は正常にコントロールされている上で、インスリン分泌の遅延が改善され総分泌量の節約がなされた。血糖値とインスリン値のギャップが解消された。
【0034】
実験の目的:証明事項/コロソリン酸の摂取による個人別の各症状に対処する選択的なインスリン分泌機能の改善と余剰分泌の低減
新規性:コロソリン酸とその類縁化合物及びそれらを含む抽出物をインスリン抵抗性の緩和と改善に用いた記載はない。
進歩性:高齢者それぞれの体調・症例に応じてインスリン分泌を高め、その一方では素早く血糖値コントロールし遅れて分泌される食後30分、120分の余剰インスリン分泌を低減するような考え方も化合物も組成物も未だ記載がない。
具体的証明方法:コロソリン酸の摂取が、インスリン産生指数(I.I.)の低めの群にはI.I値を上げ、一方、インスリン抵抗性が疑われるHOMA-IR指数の高い群は低めに調整したことを、2つの群からサンプルを取り出しコロソリン酸摂取前とコロソリン酸摂取1ヶ月後の数値を比較した。
結論:コロソリン酸の摂取はインスリン分泌の調整機能を果たしている。コロソリン酸はこれら応答と空腹時インスリン値の両方に選択的に改善効果があることが分かった。
コロソリン酸摂取によるインスリン産生指数上昇度。(食事後のインスリン増加治験者選択の理論的根拠)インスリン産生指数が正常とされる0.4以下の人。
結論:コロソリン酸摂取によってインスリン応答は明らかに素早く大幅に改善した。

【表9】
表9)インスリン産生指数の低い治験者のクイックレスポンス分泌。
(インスリン応答に問題のある治験者/I.I値0.4以下の治験者のコロソリン酸摂取の「前と後」の比較、インスリン応答が明らかに改善した。)
【0035】
実験の目的:証明事項/インスリン追加分泌が遅い人(例/境界型糖尿病)のインスリン分泌問題の解決
証明事項:コロソリン酸摂取と摂取後の比較により、インスリン分泌がインスリン値の絶対値により効果的に作用したことを証明。HOMA-IRの段階的低減もこれを補足する。
治験者選択の理論的根拠:コロソリン酸摂取前のHOMA-IRが高値(1.5以上)群
結果:コロソリン酸摂によって、インスリン抵抗性もインスリンの遅延分泌も明らかに改善した。

【表10】

表10)HOMA-IRが高値の群の
コロソリン酸摂取前と1ヶ月後のHOMA-IRとインスリン値の推移
(インスリン抵抗性が疑われる治験者は全員が大きく改善した)
【0036】
実験の目的:証明事項/臨床試験結果から導かれたコロソリン酸摂取のインスリン抵抗性の解決。
コロソリン酸摂取がインスリン総分泌量の低減させたことにより脳内の毛細血管に残留した未分解インスリンを減少させた。故にタンパク質との結合を少なくし、アミロイドベータ、タウ・タンパクの原因物質の産生を抑えた。同時にそのことは脳内の代謝をスムーズにしたため、脳の神経細胞へ栄養供給と酸素交換を向上させ認知機能の回復に&#32363;がったと結論付けられる。
【0037】
1千億ともいわれる脳の神経細胞に必要なものは栄養と酸素であり、それ運搬するのが血液でありインスリンである。それがなければ細胞は壊死し円滑でなければ劣化する。
事実A)コロソリン酸摂取は代謝を良くし血流を改善する。
事実B)認知機能は脳の神経細胞によって掌(つかさど)られている。神経細胞の活性化には良好な血流と代謝が不可欠である。
結論C)ゆえにコロソリン酸摂取は認知機能を向上させる。
脳の大脳皮質に存在する神経細胞を壊死させ、脳を萎縮させる原因はアミロイドベータ、タウ・タンパクの凝集から発生する毒素である。
事実A)アミロイド沈着、タウ・タンパクの異常・蓄積は、多くの場合脳の末梢血管の残留インスリンとタンパクの結合による原因物質からの毒素が原因とされる。
事実B)コロソリン酸摂取はインスリン総分泌量を低減し末梢血管内に残留するインスリンを減らす。
結論C)ゆえにコロソリン酸摂取はアミロイド沈着、アミロイドベータ、タウ・タンパクの異常・蓄積を防止し神経細胞を破壊する毒素を軽減する。
新規性/コロソリン酸とその類縁化合物及びそれらを含む抽出物が認知症の緩和と予防に用いられた記載はない。
進歩性/コロソリン酸を用いて生命体の一部である脳の神経細胞を元気よく働かせるためには、「脳神経細胞を活性させる足し算と脳神経細胞を破壊する毒素を減らす引き算」の両方サイドからのアプローチが不可欠である。このような複合的な働きを持つ認知症の緩和と改善の化合物は未だ報告がない。

【表11】
表11)加齢とインスリン抵抗性が始まりMCI軽症認知症を有する70歳台の男女
認知機能(見当識スコアーが大幅に改善した)
【0038】
コロソリン酸摂取は、OGTT試験(糖負荷試験)で血糖値を正常値に戻していることが証明された。それにとどまらずインスリン分泌反応が良くなっていることも証明された。
糖尿病患者では I.I値が0.4 以下となり、境界型でも 0.4 以下の者は糖尿病への進展率が高い。 HOMA-IR値が1.6 以下の場合は正常、2.5 以上の場合にインスリン抵抗性があると考えられる。原則75歳までの目安。

【表12】
表12)参考資料のみ/インスリン分泌指数=Insulinogenic Index (II)
【0039】
実験の目的:証明事項/コロソリン酸の1ヶ月摂取がインスリン機能を回復させた
コロソリン酸摂取による(1)インスリン抵抗性の緩和と改善、(2)インスリン劣化からの回復


表13)コロソリン酸摂取前とコロソリン酸摂取1ヶ月後の
空腹時血糖値と空腹時インスリン値の比較(素早く出て、素早く収まっている)
【表13】
上記の数字は、本当にOGTTの規定通りに(8時間以上絶食し75グラムの砂糖水を服用)行ったかの疑念を払拭し、インスリン応答も改善したことを示すためにコロソリン酸摂取前の空腹時血糖値とインスリン値、並びにコロソリン酸摂取1ヶ月後の空腹時血糖値とインスリン値を集計し解析したものである。
コロソリン酸摂取前とコロソリン酸摂取1ヶ月後の食事120分後の血糖値とインスリン値の比較

【表14】
表14)治験者全員の食後30分のインスリン応答(コロソリン酸摂取前と摂取1ヶ月後)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2003-219853
【特許文献2】特開2002-205949
【特許文献3】特開2001-039880
【特許文献4】特開2019-011305
【特許文献5】特開2018-139530
【特許文献6】特開2018-137712
【非特許文献】
【0041】
【非特許文献1】健康の指針/監修:東京大学医学部附属病院 特任教授/帝京大学医学部常勤客員教授1.早世指標 健康寿命を一つの基準として、疾病傷害によって引き起こされる死亡により健康寿命がどのくらい損失しているかを示す指標である。2.障害指標 死亡にまで至らないが、日常生活に種々の制限が加わり健康寿命が障害されていることを定量化するものである。障害の指標としては、寝たきり率、知的・精神・身体・咀嚼・視覚・聴覚の障害が該当する。3.早世障害総合指標上述の1、2の指標を統合したものであり、早世による健康負担と障害による健康負担を合計した指標であり、障害調整生存年数(Disability adjusted life years, DALY)や健康余命(Disease free life expectancy, DFLE)である。4.QOL指標 ここでは、日常生活に障害が現れない状態であっても、生き甲斐を持って自己実現を果たせるような日常生活を過ごしているか否かを評価するものである。生活の質であるQOLがどのような状況にあるかを定量的に評価する指標が含まれる。早世指標として、 区間死亡確率(LSMR) 損失生存年数(PYLL) の二つを用いて、早世による健康負担の定量的評価を行う。1.区間死亡確率(LSMR) 生命表による区間死亡確率(LSMR・65歳までに死亡する確率)は、平成9年(1997年)には男性で15.7%、女性で7.8%と改善してきており、今後も更に減少することが予想される。生産年齢である15歳までの死亡確率は5%に過ぎず、区間死亡確率の大半は45歳から64歳の中年期に集中している。2.損失生存年数(PYLL) 疾病障害により健康寿命を全うできなかった損失生存年数を指標として算出したものである。損失生存年数 = Σ(疾病障害による死亡率)× (死亡時点での平均余命)で表現されるものである。従来の死亡率では、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の順に表されたものが、標準早死損失年では悪性新生物、不慮の事故、自殺、心疾患、脳血管疾患の順で健康負担が表現される。働き盛りの中年期における「悪性新生物」、青年期における「自殺」や「不慮の事故」による死亡による健康負担を表現することに適した指標である。損失生存年数の算出に当たっては、対象集団での、疾患傷害別の性別・年齢階級別死亡率、我が国の生命表から平均余命と合わせて損失生存年数を求めることによる。1.既存の資料からの障害指標 我が国の既存の統計資料から、障害指標として以下の資料が入手できる。寝たきり率、 精神障害者保健福祉手帳交付率、身体障害者手帳交付率をもとに、対象地域における障害指標をしることが可能である。2.日常生活動作(activity of daily living, ADL)や手段的日常生活動作(instrumental activity of daily living)日常生活動作(ADL)には、 (1)基本的日常生活動作(basic ADL=BADL) (2)手段 的日常生活動作(instrumental ADL=IADL)がある。IADLとは,BADLの身の回り動作(食事,更衣,整容,トイレ,入浴等)・移動動作の次の段階である。具体的には,買い物,調整,洗濯,電話,薬の管理,財産管理,乗り物等の日常生活上の複雑な動作をいう。基本的日常生活動作として、katzらは「入浴、更衣、移動(ベッドから椅子)、食事」の4項目を、kaiらは「入浴、更衣、排泄、起立、食事、失禁」の6項目を、Tsujiらは「食事、更衣、排泄、入浴」の4項目を使用している。IADLとしては、バスや電車を使って1人で外出できますか、日用品の買い物ができますか、自分で食事の用意ができますか、請求書の支払いができますか、銀行預金・郵便貯金の出し入れが自分でできますか、ゲートボール、踊りなど趣味を楽しんでいますかを用いて、手段的日常動作を評価している。
【発明の概要】
【0042】
高齢者には高齢者の診断基準があるように高齢者独自の指標があっても良い。しかもその指標は医師から大した説明もなく指示付きの結果だけを告げられるものであってはならない。高齢者自らが、計算が可能で、単純な基準で、自分の成人病、生活習慣病のリスクを知り、自ら食事や運動などの日常生活を健康な方向に改善するセルフメディケーションのキッカケになるようなものが望ましい。
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
日本に始まらず中国、韓国、欧米各国においても少子高齢化社会は待ったなしにやってくる。特に高齢者の問題は、社会医療、保険制度のみならず社会福祉、労働力市場など社会の根源にかかわる大問題になることは疑いようがない。その解決のカギは高齢者のセルフメディケーションにかかっていると言っても過言ではないだろう。どうして高齢者に自分の健康は自分で守る意識を自然に無理なく楽しく行ってもらえるかが重要である。
今まで医師や看護師の指示は「運動してください」「バランスの良い食事を」「よく噛んで食べましょう」「カロリー計算して食べましょう」などいわば口うるさいものばかりであった。高齢者がどうして自分の食べるもののカロリーを計算したりするだろう。
本発明は、高齢者自身が計算し変化を楽しめる「3分計算じぶん健康シート」とその数字の出し方が基本である。小学生低学年でもすぐできるレベルでなければ達成感がないし楽しくないから普及しない。本発明は、高齢化社会の問題解決を目標に、セルフメディケーション意識の定着を目指すものである。
本発明は、以下のように要約される。
高齢者には高齢者の診断基準があるように高齢者独自の指標があっても良い。しかもその指標は医師から大した説明もなく指示付きの結果だけを告げられるものであってはならない。高齢者自らが計算が可能で、単純な基準で、自分の成人病、生活習慣病のリスクを知り、自ら食事や運動などの日常生活を健康な方向に改善するセルフメディケーションのキッカケになるようなものを提供するものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
新しい産業の創造として本発明が産業上の利用可能性として以下の業界・業種・製品が考えられる。新しい「3分計算じぶん健康シート」は下記への入り口になりえるだろう。
1. 認知症対策として/製薬会社、健康食品会社、製茶会社、通販会社、介護施設
2. 健康食品として/コロソリン酸の大量生産、キノコ培養業界
3. バイオマーカーとして/検査機器メーカー、試薬会社、日本赤十字、病院
4. ゲーム、スマホのソフトの導入口として/ソフト、CM、ゲーム市場
5. 据え置き噴霧器など/家電メーカー、医療機器メーカー、通信会社、携帯電話会
6. コロソリン酸含有農作物/種苗会社、大学農学部、農業共同組合、JAICA35
【手続補正書】
【提出日】2022-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
65歳以上の高齢者にとって健康管理に関する医師の指導や検査の数字は長続きしないものであったり、渡された検査数字は記号や数字の羅列で一番肝心な本人には理解できず医師や検査技師による上から目線によるものばかりである。しかし本発明は高齢者が自分で考え、続けられる運動や食事、体調管理のための計算を自分のスマホで解決できるものである。具体的には、2つのアプリで構成される。1.「じぶん撮影アプリ」と2.「きょうの体調アプリ」である。1.じぶん撮影アプリは、自分の顔を写せばAIが過去の写真デ-タ、体調デ-タと比較解析し、その日に合った運動と食事の一例を提示する。2.きょうの体調アプリは、簡単な質問10項目に答えをインプットするだけで、今日の健康状態、食事、体調、薬やサプリメント、趣味、音楽、運動、病院への要、検査の要などをスマホが音声でアドバイスする。本請求項の特別な技術は、スマホの両端を持つだけで計れるA.体組計、バンドを巻くB.外付け時計型、画像診断によるC.映像解析を中心とした、D.高齢者が自分で入力した情報などを、AIが総合的に解析し判断しアドバイスまでを完結するというスマートフォンで行う2つの、じぶん撮影アプリときょうの体調管理アプリ、並びにアプリをすでにインストールした高齢者用スマートフォン本体。
【請求項2】
請求項1の従属項として、1のじぶん撮影アプリの請求の範囲の特別な技術は、日常的に自分の顔と、2の今日の体調アプリの答えの組み合わせを、フェイス部分と答えのデ-タをデジタルキ-ワードに細分化、関連性や相互性を見出し、その日の体調と、健康のためのアドバイスをAIが導き出すというアプリケーションソフトならびにその印刷物。
【請求項3】
請求項1の従属項として、スマホの2箇所を握ることで判定できるスマホ体組計、バンドを巻くタイプの外付け時計型のスマートフォン機器内近距離通信機能付き健康管理ツール、写真解析による健康状態診断ハードと上記から得られた情報を解析し、音声で高齢者にアドバイスしデ-タ蓄積や、IoTネットワークとしてかかりつけの医師や家族に送信可能なアプリケーションソフトならびにその印刷物。
【請求項4】
請求項1の従属項として、上記の機能を複数以上インストールされた高齢者用、健康に気を使う人のためのセルフメディケーションスマホ。