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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026952
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】マスクインナー
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132419
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】511292817
【氏名又は名称】株式会社アメイズプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】横江 俊一
(57)【要約】
【課題】使用者の顔面が受ける負担を低減することができるマスクインナーを提供する。
【解決手段】マスクインナー10は、口61及び鼻孔63aを覆う本体部11を備える。本体部11は、顔面60のうち、鼻孔63aの上端部よりも上方且つ目の下端部よりも下方となる領域に当接する左右一対の第1当接部13と、下唇61bの下端部よりも下方且つオトガイ67の下端部よりも上方となる領域に当接する左右一対の第2当接部14と、を有する。本体部11は、各第1当接部13を連結する第1連結部26と、第1当接部13と第2当接部14とを連結する第2連結部35と、各第2当接部14を連結する第3連結部44とを有する。第1連結部26、第2連結部35及び第3連結部44は、顔面60に対して前方に凸となる湾曲形状をなし、第1当接部13及び第2当接部14の変位に伴って弾性変形可能であり、顔面60との間に隙間が形成されるように設けられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクと使用者の顔面との間に介在させて使用されるマスクインナーであって、
使用者の口及び鼻孔を覆い、マスクと使用者の口及び鼻孔との間に空間を確保する本体部を備え、
前記本体部は、
使用者の顔面のうち、鼻孔の上端よりも上方且つ目の下端よりも下方となる領域に当接する左右一対の第1当接部と、
使用者の顔面のうち、下唇の下端よりも下方且つオトガイの下端よりも上方となる領域に当接する第2当接部と、
前記第1当接部同士を連結し、前記本体部の周縁部の一部を構成する第1連結部と、
前記各第1当接部と前記第2当接部とをそれぞれ連結し、前記本体部の周縁部の一部を構成する第2連結部と、
を有し、
前記第1連結部及び前記第2連結部は、使用者の顔面に対して前方に凸となる湾曲形状をなし、前記第1当接部及び前記第2当接部の変位に伴って弾性変形可能である、マスクインナー。
【請求項2】
前記第2当接部は、左右一対として設けられ、
前記本体部は、前記左右一対の第2当接部同士を繋ぎ、前記本体部の周縁部の一部を構成する第3連結部を有し、
前記第3連結部は、使用者の顔に対して前方に凸となる湾曲形状をなし、前記第2当接部の変位に伴って弾性変形可能である、請求項1に記載のマスクインナー。
【請求項3】
前記本体部は、前記第1連結部の中間部と、前記本体部の周縁部のうち使用者の下唇の下端よりも下方に位置する部分と、を連結する第4連結部を有し、
前記第4連結部と使用者の顔面との間に隙間が形成されるように、前記第4連結部は前方に凸となる形状をしている、請求項1又は2に記載のマスクインナー。
【請求項4】
前記第4連結部は、前記本体部の周縁部よりも、弾性変形しにくく構成されている、請求項3に記載のマスクインナー。
【請求項5】
前記本体部には、複数の前記第4連結部が、左右方向に間隔をおいて設けられている、請求項3又は4に記載のマスクインナー。
【請求項6】
前記第1当接部は、使用者の小頬骨筋、上唇挙筋、大頬骨筋及び口角挙筋からなる群より選ばれた少なくとも1つの筋肉の前面の皮膚に対して当接し、
前記第2当接部は、使用者の口角下制筋、下唇下制筋及びオトガイ筋からなる群より選ばれた少なくとも1つの筋肉の前面の皮膚に対して当接する、請求項1~5のいずれか1項に記載のマスクインナー。
【請求項7】
前記各当接部及び前記各連結部によって前記本体部の周縁部である環状のフレームが形成されており、前記フレームは当該フレームの延びる方向と直交する断面が扁平形状をなし、前記各当接部において前記扁平形状の幅広部が使用者の顔面に当接され、前記各連結部において前記扁平形状の幅広部と直交する方向に前記弾性変形する、請求項1~6のいずれか1項に記載のマスクインナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクの着用時に、使用者の顔面が受ける負担を低減することができるマスクインナーに関する。
【背景技術】
【0002】
マスクを着用した際の快適性や清潔性が向上するものとして、特許文献1に記載のマスク用サポート部材が知られている。
【0003】
上記のマスク用サポート部材は、使用者の少なくとも口部を被覆するマスク用サポート部材本体を備え、マスクに装着することで、マスクと使用者の少なくとも口部とが接触しないようすることができる。これにより、使用者がしゃべるときにマスクが唇に触れて不快に感じることを防止したり、マスクに化粧や唾液等が付着することを防止したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マスクと使用者の顔面との接触を抑制できる一方で、マスク用サポート部材は使用者の顔面に密着した状態となる。このため、マスク用サポート部材自体が、使用者の顔面に負担をかけてしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、使用者の顔面が受ける負担を低減することができるマスクインナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明のマスクインナーは、
マスクと使用者の顔面との間に介在させて使用されるマスクインナーであって、
使用者の口及び鼻孔を覆い、マスクと使用者の口及び鼻孔との間に空間を確保する本体部を備え、
前記本体部は、
使用者の顔面のうち、鼻孔の上端よりも上方且つ目の下端よりも下方となる領域に当接する左右一対の第1当接部と、
使用者の顔面のうち、下唇の下端よりも下方且つオトガイの下端よりも上方となる領域に当接する第2当接部と、
前記第1当接部同士を連結し、前記本体部の周縁部の一部を構成する第1連結部と、
前記各第1当接部と前記第2当接部とをそれぞれ連結し、前記本体部の周縁部の一部を構成する第2連結部と、
を有し、
前記第1連結部及び前記第2連結部は、使用者の顔面に対して前方に凸となる湾曲形状をなし、前記第1当接部及び前記第2当接部の変位に伴って弾性変形可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスクインナーは、左右一対の第1当接部と、第2当接部により使用者の顔面と当接する。そして、マスクインナーの本体部の周縁部は、第1当接部同士を連結する第1連結部と、第1当接部及び第2当接部を連結する第2連結部とを含んで構成されており、第1連結部及び第2連結部は、前方に凸となる湾曲形状とされている。これにより、本体部の周縁部が全域に亘って使用者の顔面と当接するような構成と比較して、マスクインナーと使用者の顔面との当接面積を小さくすることができる。
【0009】
また、マスクインナーと顔面との当接面積を小さくしたことで、使用者が口元を動かした際に、第1当接部及び第2当接部が使用者の顔面上でスライドして、使用者の顔面がこすれてしまうことが懸念される。この点、第1連結部及び第2連結部は、第1当接部及び第2当接部の動きにあわせて弾性変形可能なものとなっている。これにより、マスクインナーは、使用者の口元の動きに追従して変形することができる。したがって、使用者が口元を動かした際に、第1当接部及び第2当接部が使用者の顔面上でスライドしにくくなり、使用者の顔面をこすってしまうことを抑制できる。
【0010】
以上より、マスクインナーについて、使用者の顔面が受ける負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係るマスクインナーの使用状態を示す斜視図。
図2】(a)はマスクインナーの正面図、(b)は側面図。
図3】(a)はマスクインナーの平面図、(b)は底面図。
図4】マスクインナーが使用者の顔面に当接する位置を示す図。
図5】マスクインナーが変形する様子を示す正面図。
図6】マスクインナーの他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るマスクインナーを具体化した一実施の形態について図1図3を参照しながら説明する。
【0013】
<マスクインナー10の概略について>
まず、本実施の形態に係るマスクインナー10について概略的に説明する。マスクインナー10は、使用者がマスク50を着用する際に使用されるものである。
【0014】
図1に示すように、マスクインナー10は、使用者の顔面60とマスク50との間に介在した状態で使用される。マスクインナー10は、複数のフレームからなり、使用者の口61及び鼻孔63aを覆う本体部11を有している。本体部11は、口61及び鼻孔63aを囲む環状フレーム12と、環状フレーム12の上部と下部とを繋ぎ、上下方向に延びる中央フレーム16とを有している。中央フレーム16は、口61及び鼻孔63aを跨ぐように設けられており、中央フレーム16と口61及び鼻孔63aとの間には、間隔が形成されている。これにより、本体部11と口61及び鼻孔63aとの間には空間が確保される。
【0015】
したがって、使用者がマスク50を着用する際に、マスクインナー10を顔面60とマスク50との間に介在させると、マスクインナー10は、マスク50と口61及び鼻孔63aとの間に空間を確保することができる。このため、マスク50が口61や鼻孔63aと接触して、使用者が不快に感じることを防止したり、マスク50に化粧や唾液等が付着することを防止したりすることができる。
【0016】
マスクインナー10は、左右一対のフック部15を備える。フック部15は係止部に相当し、マスク50の上縁部に引っ掛かかることができる。これにより、マスクインナー10がマスク50からずれ落ちてしまうことを防止できる。
【0017】
<マスクインナー10の詳細構成について>
続いて、マスクインナー10について詳細に説明する。マスクインナー10は、正面視において左右対称に形成されている(図2(a)参照)。
【0018】
環状フレーム12は、正面視において角が丸い略四角環状に形成されている。環状フレーム12の周縁部は、その上辺部を形成する上部フレーム21と、左右辺を形成する左右一対の側部フレーム31と、下辺部を形成する下部フレーム41とから構成されている。
【0019】
中央フレーム16は、上部フレーム21と下部フレーム41とを上下に繋ぐように、左右一対として設けられている。各中央フレーム16の間の左右方向の間隔は、上端部から下端部にかけて徐々に狭くなる。各中央フレーム16の上端部においては、各中央フレーム16の間の左右方向の間隔は、人の鼻梁63bの標準的な幅よりも広くなるように設定されている(図1(b)参照)。
【0020】
各中央フレーム16の上端部には、補助フレーム17が、各中央フレーム16の上端部同士を繋ぐように設けられている。つまり、中央フレーム16と上部フレーム21との接合部には、補助フレーム17が更に接続されている。補助フレーム17は、使用者からみて斜め下方かつ斜め前方へ向けた円弧上に形成されており、鼻孔63aの前方を覆う位置に配置される。これにより、マスク50と鼻孔63aとが接触することを、より確実に抑制することができる。なお、以下の説明において、中央フレーム16と上部フレーム21と補助フレーム17との接合部を第1接合部18といい、中央フレーム16と下部フレーム41との接合部を第2接合部19ということがある。
【0021】
マスクインナー10を構成する中央フレーム16,補助フレーム17、上部フレーム21、側部フレーム31、下部フレーム41及びフック部15は、弾性変形可能なポリスチレン樹脂からなり、全て一体として成形されている。各フレーム16,17,21,31,41の横断面は、角が丸みを帯びた扁平形状となっており、幅広面が使用者に当接するようになっている。角が丸みを帯びた扁平形状の例としては、四隅に面取りが施された長方形状、楕円形状、四隅に面取りが施されかつ対角線のうち一方が他方よりも長いひし形状などが挙げられる。また、各フレーム16,17,21,31,41は、扁平となった幅広面側に弾性変形するようになっている。
【0022】
本体部11を構成する上部フレーム21、側部フレーム31、下部フレーム41、中央フレーム16及び補助フレーム17は、いずれも湾曲形状をなしている。以下、各フレーム16,17,21,31,41の湾曲の態様について説明する。
【0023】
上部フレーム21は、正面視において、中間部における上下方向への湾曲はほとんどないが、左右端部付近が下方に向けて若干湾曲しており、左右端部が各側部フレーム31の上端部と接続されている(図2(a)(b)参照)。
【0024】
上部フレーム21は、平面視において、左右端部から中央部に向かうにつれて徐々に前方に突出していく(図3(a)参照)。上部フレーム21は、左右一対の曲げ部22を有しており、当該曲げ部22よりも左右方向の中央側の部分が、前方に向けて曲げられている。これにより、上部フレーム21の前方への突出量は、左右端部から曲げ部22までの区間(以下、「外側区間22a」という)では相対的に小さくなっており、各曲げ部22の間の区間(以下、「内側区間22b」という)では前方への突出量は相対的に大きくなっている。このように、上部フレーム21は、外側区間21aと、内側区間22bとから構成されている。
【0025】
上部フレーム21は、平面視において、外側区間21aが略直線状をなし、内側区間21bが前方に凸となる山型形状をなしている。詳しくは、上部フレーム21は、内側区間21bにおいて、各曲げ部22から所定の間隔をおいて左右一対の変曲点24を有している。各変曲点24の間の区間では、上部フレーム21は、左右方向の外側(または使用者からみて前方)に膨らむように湾曲しており、各変曲点24よりも外側の区間では、左右方向の中央側に凹むように湾曲している。つまり、内側区間21bは、鼻梁63b周辺の隆起にあわせて前方に湾曲している。
【0026】
上部フレーム21は、各変曲点24より外側において各中央フレーム16及び補助フレーム17と接続されている。換言すると、第1接合部18は各変曲点24より外側において形成されている。フック部15は、各曲げ部22の位置において、上部フレーム21と接合されている(図2(a)(b)参照)。フック部15は、上部フレーム21から前方へ突出し、その突出端から下方へ延びるフック片部15aを備えている。フック部15は、フック片部15aと前後方向に所定間隔をおいて上部フレーム21から下方へ延びる環状部15bを備えている。
【0027】
側部フレーム31は、上下2つの変曲点32,33を有している。側部フレーム31は、上端部から変曲点32までの区間(以下、「上側区間31a」という)においては、上側区間31aの上端部が左右方向の外側且つ後方側に向けて凸となるように湾曲する。変曲点32と変曲点33との間の区間(以下、「中間区間31b」という)においては、中間区間31bの中央部が左右方向の中央側且つ前方側に向けて凸となるように湾曲する。変曲点33から下端部までの区間(以下、「下側区間31c」という)においては、下側区間31cの下端部が左右方向の外側且つ後方側に向けて凸となるように湾曲する。このように、側部フレーム31は、上側区間31aと中間区間31bと下側区間31cとから構成されている。
【0028】
下部フレーム41は、中央部が左右端部よりも若干上方に位置している。下部フレーム41は、左右端部付近が上方に向けて若干湾曲するとともに、各側部フレーム31の下端部と接続している。
【0029】
下部フレーム41は、左右端部から中央部に向かうにつれて徐々に前方に突出していく(図3(b)参照)。下部フレーム41は、左右両端寄りに左右一対の曲げ部42を有しており、当該曲げ部42よりも左右方向の中央側の部分が、前方に向けて曲げられている。これにより、下部フレーム41の前方への突出量は、左右端部から曲げ部42までの区間(外側区間41a)では相対的に小さくなっており、各曲げ部42の間の区間(内側区間41b)では相対的に大きくなっている。このように、下部フレーム41は、外側区間41aと内側区間41bとから構成されている。
【0030】
また、下部フレーム41は、底面視において、外側区間41aが略直線状をなしている。一方、内側区間41bにおいては、下部フレーム41が各第2接合部19において折り曲げられ、前方に向けて幅狭になる凸となりかつ下底側が切除された略台形状をなしている。詳しくは、各第2接合部19の間の区間が略台形の上底を形成し、各第2接合部19よりも左右方向の外側の区間が略台形の各斜辺を形成している。このようにして、内側区間41bは、オトガイ67周辺の隆起にあわせて前方に突出した形状となっている。
【0031】
以上のように、環状フレーム12を構成する上部フレーム21、側部フレーム31及び下部フレーム41は、いずれも使用者の顔面60に対して前方に凸となる湾曲形状となっている。
【0032】
一方、中央フレーム16は、前方且つ左右方向の外側に向けてわずかに膨らんだ湾曲形状となっている(図2(a)(b)参照)。中央フレーム16の湾曲の程度は、環状フレーム12を構成する上部フレーム21、側部フレーム31及び下部フレーム41と比較して小さいものとなっている。
【0033】
補助フレーム17は、中央部が前方且つ下方に向けて凸となる山型の湾曲形状となっている。
【0034】
続いて、本体部11を構成する上部フレーム21、側部フレーム31、下部フレーム41、中央フレーム16及び補助フレーム17の位置関係について説明する。
【0035】
側面視において、マスクインナー10においては、補助フレーム17の中央部が、最も前方に位置している(図2(b)参照)。次いで、上部フレーム21の中央部が、補助フレーム17の中央部よりも後方に位置している。次いで、下部フレーム41の中央部(詳しくは、各第2接合部19の間の区間)が、上部フレーム21の中央部よりも後方に位置している。
【0036】
上部フレーム21の第1接合部18は、下部フレーム41の中央部よりも後方に位置している。すなわち、第1接合部18よりも第2接合部19が前方に位置している。中央フレーム16は、上端部から下端部に向かうに従って、緩やかな弧を描くようにして前方に突出していく。
【0037】
側部フレーム31は、その全体が第1接合部18よりも後方に位置している。フック部15は、第1接合部18より後方且つ側部フレーム31より前方に位置している。
【0038】
平面視及び底面視において、マスクインナー10のうち、各第1接合部18よりも左右方向の中央側の領域においては、上部フレーム21が下部フレーム41を前方側から覆っており、補助フレーム17が上部フレーム21を前方側から更に覆っている(図3(a)(b)参照)。換言すると、補助フレーム17の山型の内側に上部フレーム21の山型が配置され、上部フレーム21の山型の内側に、下部フレーム41の略台形が配置された状態となっている。
【0039】
<マスクインナー10が顔面60と当接する位置について>
続いて、使用者がマスクインナー10を使用する際に、マスクインナー10が顔面60と当接する位置について図4に基づき説明する。人の顔には、表面の皮膚の後面側に各種表情筋が存在している。そこで、図4(a)の左半分において、口61及び鼻63の周囲にある表情筋について、位置及び名称を例示している。具体的には、小頬骨筋71、上唇挙筋72、大頬骨筋73、口角挙筋74、口角下制筋76、下唇下制筋77及びオトガイ筋78の位置及び名称を示している。これらの筋肉は、上唇61aを上方に引き上げたり下唇61bを下方に引き下げたりするなどして、口61を動かす機能を有している。
【0040】
マスクインナー10は、マスク50と顔面60との間に介在させて使用される。この際、図4(a)に示すように、マスクインナー10は、正面視において、環状フレーム12が口61及び鼻孔63aを囲むように配置される。
【0041】
詳しくは、正面視において、上部フレーム21は、使用者の鼻孔63aの上端部よりも上方且つ目65の下端部よりも下方となる領域において左右に延びており、使用者の鼻梁63bと交差している。上部フレーム21の左右端部は、小頬骨筋71の前面の皮膚に当接している。
【0042】
下部フレーム41は、使用者の下唇61bの下端部よりも下方且つオトガイ67の下端部よりも上方となる領域において、左右に延びている。下部フレーム41の左右端部は、口角下制筋76の前面の皮膚に当接している。
【0043】
側部フレーム31は、上部フレーム21の左右端部及び下部フレーム41の左右端部と接続されている。このため、側部フレーム31は、上端部が小頬骨筋71の前面の皮膚に当接し、下端部が口角下制筋76の前面の皮膚に当接している。
【0044】
ここで、図4(b)に示すように、上部フレーム21、下部フレーム41及び側部フレーム31は、いずれも中間部が前方に凸となるように湾曲している。これにより、上部フレーム21、下部フレーム41及び側部フレーム31の中間部は、顔面60との間に間隔を有するようになっている。
【0045】
詳しくは、上部フレーム21は、上述のとおり、前方への突出量が、内側区間21bでは相対的に大きく外側区間21aでは相対的に小さくなっている。そして、内側区間21bが鼻梁63b周辺の隆起にあわせるように前方に湾曲している。これにより、内側区間21bは、鼻梁63b周辺との接触を回避することができ、顔面60との間に間隔を有している。一方、外側区間21aは、小頬骨筋71及び上唇挙筋72の前面の皮膚に当接している。
【0046】
下部フレーム41も、前方への突出量は、内側区間21bでは相対的に大きく、外側区間21aでは相対的に小さくなっている。これにより、内側区間21bは、オトガイ67の隆起を回避することができ、顔面60との間に間隔を有している。一方、外側区間21aは、口角下制筋76及び下唇下制筋77の前面の皮膚に当接している。
【0047】
側部フレーム31は、中間区間31bが前方に突出し、上側区間31a及び下側区間31cが後方に突出している。これにより、側部フレーム31は、中間区間31bと顔面60との間に間隔を有している。上側区間31aは、小頬骨筋71及び口角挙筋74の前面の皮膚と当接している。下側区間31cは、口角下制筋76の前面の皮膚と当接している。
【0048】
つまり、マスクインナー10は、使用者の鼻孔63aの上端部よりも上方且つ目65の下端部よりも下方となる領域において、上部フレーム21の外側区間21a及び側部フレーム31の上側区間31aが、小頬骨筋71、上唇挙筋72及び下唇下制筋77の前方の皮膚に当接している。そして、マスクインナー10においては、上部フレーム21の外側区間21aと側部フレーム31の上側区間31aとから構成される区間が、第1当接部13に相当する。なお、マスクインナー10は左右対称に形成されているため、第1当接部13は、左右一対として設けられていることになる。
【0049】
また、マスクインナー10は、使用者の下唇61bの下端部よりも下方且つオトガイ67の下端部よりも上方となる領域において、下部フレーム41の外側区間41a及び側部フレーム31の下側区間31cが、口角下制筋76及び下唇下制筋77の前面の皮膚に当接している。そして、マスクインナー10においては、下部フレーム41の外側区間41aと側部フレーム31の下側区間31cとから構成される区間が、第2当接部14に相当する。なお、マスクインナー10は左右対称に形成されているため、第2当接部14についても、左右一対として設けられていることになる。
【0050】
そして、上部フレーム21の内側区間21bが、第1当接部13同士を繋ぐ第1連結部26に相当する。側部フレーム31の中間区間31bが、第1当接部13と第2当接部14とを繋ぐ第2連結部35に相当する。下部フレーム41の内側区間41bが、第2当接部14同士を繋ぐ第3連結部44に相当する。中央フレーム16は第4連結部に相当し、補助フレーム17は突出部に相当する。なお、以下の説明において、内側区間21bを第1連結部26、中間区間31bを第2連結部35、内側区間41bを第3連結部44と称することがある。
【0051】
第1連結部26、第2連結部35及び第3連結部44は、弾性変形可能なポリスチレン樹脂により形成されており、且つ前方に湾曲した形状となっている。これにより、第1当接部13及び第2当接部14が変位した場合には、第1連結部26、第2連結部35及び第3連結部44は、湾曲の程度が変化することで伸び縮みすることができる。このため、マスクインナー10は、使用者が口61を動かすと、口61周辺の動きに追従して変形することができる。
【0052】
なお、各図においてマスクインナー10が顔面60と当接している位置は、あくまでも一例であり、使用者の顔の大きさや形状によっても異なる。つまり、マスクインナー10と顔面60とが当接する位置は、上述の範囲に限定されるものではない。ただし、第1当接部13が顔面60と当接する位置は、好ましくは、小頬骨筋71、上唇挙筋72、口角挙筋74及び大頬骨筋73からなる群より選ばれる少なくとも一種の筋肉の前面の皮膚上であるとよい。より好ましくは、第1当接部13は、小頬骨筋71、上唇挙筋72及び口角挙筋74からなる群より選ばれる少なくとも一種の筋肉の前面の皮膚上であるとよく、更に好ましくは、小頬骨筋71の前面の皮膚上であるとよい。
【0053】
また、第2当接部14が顔面60に当接する位置としては、好ましくは、口角下制筋76、下唇下制筋77及びオトガイ筋78からなる群より選ばれる少なくとも一種の筋肉の前面の皮膚上であるとよい。より好ましくは、口角下制筋76及び下唇下制筋77からなる群より選ばれる少なくとも一種の筋肉の前面の皮膚上であるとよく、更に好ましくは、口角下制筋76の表面の皮膚上であるとよい。
【0054】
<マスクインナー10が変形する様子について>
上述のとおり、マスクインナー10は、使用者の口61の動きに追従して変形することができる。そこで、使用者の口61の開きにあわせてマスクインナー10が変形する様子について、図5を参照しつつ説明する。なお、マスクインナー10は弾性変形可能なポリスチレン樹脂により形成されているため、使用者が口61を閉じると、元の形状に弾性復帰するようになっている。
【0055】
図5(a)に示すように、使用者が口61を縦方向に開けた場合には、第1当接部13と第2当接部14とが上下に離間することになる。この際、側部フレーム31は、中間部が湾曲しているため、湾曲による撓みが解消されるようにして、上下方向に引き伸ばされる。これにより、マスクインナー10は全体として上下方向に伸びるように変形する。一方、中央フレーム16は、湾曲の程度がわずかとされており、変形しにくくなっている。これにより、マスクインナー10が過剰に変形することを抑制したり、マスクインナー10が元の形状に復帰しやすくしたりすることができる。
【0056】
また、使用者が口61を縦方向に開いても、上部フレーム21、下部フレーム41及び補助フレーム17は、ほとんど変形しない。このため、上部フレーム21(第1連結部26)、下部フレーム41(第2連結部35)及び補助フレーム17と顔面60との距離は概ね一定で保たれる。このように、マスクインナー10は、口61の上下方向の動きに伴って、マスク50と顔面60とが接近しすぎないように設計されている。
【0057】
図5(b)に示すように、使用者が口61を横方向に開けた場合には、第1当接部13同士が左右方向に離間し、第2当接部14同士が左右方向に離間することになる。この際、上部フレーム21及び下部フレーム41は、中間部が湾曲しているため、湾曲による撓みが解消されるようにして、左右方向にそれぞれ引き伸ばされる。これにより、マスクインナー10は全体として左右方向に伸びるように変形する。
【0058】
なお、本体部11が引き伸ばされると、本体部11の湾曲部が引き伸ばされて、当該湾曲部が顔面60に近づくことになる。かかる場合であっても、本体部11のうち第1当接部13及び第2当接部14以外の部分が顔面60と接触することがないように、本体部11の湾曲の程度が設定されている。
【0059】
また、本体部11が左右方向に伸びると、上部フレーム21の湾曲が引き伸ばされて、上部フレーム21の中央部の前方への突出量が小さくなる。これにより、マスク50と鼻孔63aとが接近してしまうことが懸念される。そこで、マスクインナー10には、上部フレーム21よりも更に前方に突出するようにして補助フレーム17が設けられている。補助フレーム17は、口61の動きにあわせて左右方向に伸びるようになっているものの、その変形量は上部フレーム21よりも小さい。このため、マスクインナー10が左右方向に伸びた場合であっても、補助フレーム17の中央部の前方への突出量はほとんど変化しない。つまり、補助フレーム17は、マスクインナー10の左右方向への伸びを妨げることなく、マスク50と鼻孔63aとが接近してしまうことを抑制する機能を有している。これにより、マスクインナー10は、口61の左右方向の動きに伴ってマスク50と鼻孔63aとが接近することを抑制できる。
【0060】
マスクインナー10が追従可能な表情筋の変形は、口61を縦横に開くことを伴うものに限定されない。マスクインナー10は、口61を閉じたままで顎を動かしたり、口角を上下したりといった、日常生活における様々な表情筋の変形に追従して変形可能となっている。
【0061】
以上詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0062】
・マスクインナー10は、左右一対の第1当接部13(上部フレーム21の外側区間21a及び側部フレーム31の上側区間31a)と、左右一対の第2当接部14(下部フレーム41の外側区間41a及び側部フレーム31の上側区間31a)とによって、顔面60と当接する。そして、環状フレーム12は、第1当接部13同士を連結する第1連結部26(上部フレーム21の内側区間21b)と、第1当接部13及び第2当接部14を連結する第2連結部35(側部フレーム31の中間区間31b)と、第2当接部14同士を連結する第3連結部44(下部フレーム41の内側区間41b)とを有している。第1連結部26、第2連結部35及び第3連結部44は、顔面60との間に隙間を有している。これにより、本体部11の周縁部が全域に亘って顔面60と当接するような構成と比較して、マスクインナー10と顔面60との当接面積を小さくすることができる。したがって、使用者の顔面60が受ける負担を低減することができる。
【0063】
・マスクインナー10と顔面60との当接面積を小さくしたことで、使用者が口61を動かした際に、第1当接部13及び第2当接部14が顔面60上でスライドして、顔面60がこすれてしまうことが懸念される。そこで、第1連結部26、第2連結部35及び第3連結部44は、顔面60に対して前方に凸となる湾曲形状をなしている。また、ポリスチレン樹脂により形成されており、第1当接部13及び第2当接部14の動きにあわせて弾性変形可能となっている。これにより、マスクインナー10は、口61周辺の動きに追従して変形することができる。したがって、使用者が口61を動かした際に、第1当接部13及び第2当接部14が顔面60上でスライドして顔面60をこすることを抑制できるため、使用者の顔面60が受ける負担を低減することができる。
【0064】
例えば、使用者が発話する際には、口61を縦横に開くことになるが、マスクインナー10は、口61の縦横の開きに追従して変形することができる。これにより、使用者は、マスク50及びマスクインナー10を使用しながら発話をした場合であっても、マスク50の周縁及びマスクインナー10により顔面60が擦れてしまうことを抑制できる。
【0065】
なお、マスクインナー10が追従可能な表情筋の変形は、口61を縦横に開くことを伴うものに限定されない。マスクインナー10は、口61を閉じたままで顎を動かしたり、口角を上下したりといった、日常生活における様々な表情筋の変形に追従して変形可能となっている。これにより、マスク50及びマスクインナー10を長時間使用していても、マスク50の周縁及びマスクインナー10により顔面60が擦れてしまうことを抑制できる。
【0066】
・各フレーム16,17,21,31,41の横断面は、角が丸みを帯びた扁平形状となっており、幅広面が使用者に当接するようになっている。これにより、例えば各フレーム16,17,21,31,41の横断面を円形状とした場合と比べて、より平坦な面で顔面60に当接するため、顔面60に対する接触圧を低減することができる。各フレーム16,17,21,31,41の横断面の角が丸みを帯びていることで、使用者の表情変化に伴って、角の部分が顔面60に食い込むことを抑制できる。これにより、マスクインナー10の使用時に使用者の顔面60が痛くなることを好適に抑制できる。
【0067】
・各フレーム16,17,21,31,41は、扁平となった幅広面側に弾性変形するようになっている。すなわち、各フレーム16,17,21,31,41は、弾性変形可能な方向が制限されている。これにより、各フレーム16,17,21,31,41が所望の方向に変形するように導くことができる。各フレーム16,17,21,31,41の不必要な変形を抑制することで、マスクインナー10の強度を高めることができる。
【0068】
・中央フレーム16は、上部フレーム21の中間部と下部フレーム41の中間部とを上下に繋ぎ、口61及び鼻孔63aを跨ぐように設けられている。そして、中央フレーム16と口61及び鼻孔63aとの間には、間隔が形成されている。これにより、使用者が息を吸った場合や、本体部11が変形した場合に、マスク50が使用者の口61及び鼻孔63aに接近することを抑制できる。このため、例えば、運動時など通常時よりも呼吸が荒くなる場合であっても、使用者は快適にマスク50を着用することができる。
【0069】
・中央フレーム16が設けられていることで、本体部11の強度を高めることができる。そして、中央フレーム16は、環状フレーム12や中央フレーム16よりも、湾曲の程度が小さくなっている。これにより、中央フレーム16は、相対的に弾性変形しにくいものとなっている。中央フレーム16は、本体部11の変形しやすさに対する寄与度が小さいため、本体部11の変形しやすさを損なうことなく、本体部11の強度を高めることができる。
【0070】
・中央フレーム16は、左右方向に所定の間隔をおいて左右一対として設けられている。これにより、各中央フレーム16の間に空気を通過させることができるため、マスクインナー10によって使用者の呼吸や発声が妨げられることを抑制できる。
【0071】
・感染防止効果を高めるためには、マスク50の周縁部と顔面60との間には、なるべく隙間ができないことが好ましい。このため、マスクインナー10をマスク50と顔面60との間に介在させて使用する場合には、本体部11の周縁部(すなわち、環状フレーム12)と顔面60との間の隙間は過大とならないことが好ましい。ここで、中央フレーム16の上端部には、補助フレーム17が設けられている。補助フレーム17は、中央部が前方且つ下方に向けて凸となる山型の湾曲形状をなし、環状フレーム12及び中央フレーム16よりも大きく前方に突出するように設けられている。そして、補助フレーム17は、鼻孔63aの前方において、マスク50を支えるようになっている。これにより、環状フレーム12と顔面60との間の隙間を必要以上に増大させることなく、マスク50と鼻孔63aとの間の空間をより大きく確保することができる。したがって、感染防止効果を高めることと、マスク50と顔面60との接触を抑制することとを両立することができる。
【0072】
・第1当接部13は、小頬骨筋71、上唇挙筋72、大頬骨筋73及び口角挙筋74からなる群より選ばれた少なくとも1つの筋肉の前面の皮膚に対して当接する。第2当接部14は、口角下制筋76、下唇下制筋77及びオトガイ筋78からなる群より選ばれた少なくとも1つの筋肉の前面の皮膚に対して当接する。これにより、マスクインナー10は、顔面60上にバランスが良い状態で配置される。したがって、マスクインナー10が顔面60上でずれ動くことを抑制できるため、使用者は、運動時など衝撃が加わりやすい状況においても、マスクインナー10を好適に使用することができる。
【0073】
・上部フレーム21には、左右一対のフック部15が設けられている。フック部15は、マスク50に対し本体部11を装着状態で係止することができる。これにより、マスクインナー10がマスク50から脱落してしまうことを防止できる。
【0074】
・マスク50の着用時に、使用者が口61を上下方向に大きく開きすぎると、マスク50がずれてしまい、鼻孔63aが露出することが懸念される。ここで、マスクインナー10は、変形しにくい中央フレーム16が設けられていることで、上下方向に伸ばされにくくなっている。これにより、使用者は、口61を上下方向に一定以上大きく開こうとすると、マスクインナー10による抵抗を感じるため、口61を開きすぎないように気を付けることができる。
【0075】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0076】
(a)上記実施形態では、第2当接部14は、左右一対として設けられているが、1つであってもよい。例えば、図6に示すように、1つの第2当接部14が、オトガイ筋78の前面の皮膚に対して当接する構成とすることができる。この場合、側部フレーム31の下側区間31cと、下部フレーム41の全区間とが第2当接部14を構成している。また、中央フレーム16の中間部は、前方への湾曲が上記実施形態よりも大きくなっている。これにより、下部フレーム41が顔面60に当接していても、中央フレーム16と口61及び鼻孔63aとの間の空間が確保されるようになっている。
【0077】
(b)上記実施形態では、中央フレーム16は左右一対として設けられているが、中央フレーム16の本数は限定されない。ただし、中央フレーム16は、使用者の呼吸や発声が妨げられないようにするために、本体部11の左右方向の中央部を避けて設けることが好ましい。
【0078】
(c)上記実施形態では、中央フレーム16の下端部は、下部フレーム41に接続されているが、これに限定されない。例えば、中央フレーム16の下端部は側部フレーム31に接続されていてもよく、本体部11の周縁部のうち、下唇61bの下端よりも下方に位置する部分と接続されていればよい。つまり、中央フレーム16がマスク50を支えた際に、マスク50と口61及び鼻孔63aとの間の空間が良好に確保されるものであればよい。
【0079】
(d)上記実施形態では、補助フレーム17の左右端部は、各中央フレーム16の上端部と上部フレーム21との接合部(第1接合部18)に接合されているが、これに限定されない。例えば、補助フレーム17の左右端部は、各中央フレーム16や上部フレーム21の第1接合部18以外の部分と接合されていてもよいし、各側部フレーム31に接合されていてもよい。
【0080】
(e)上記実施形態では、上部フレーム21,側部フレーム31,下部フレーム41,中央フレーム16及び補助フレーム17の横断面は、角が丸みを帯びた扁平形状となっているが、これに限定されない。例えば真円状であってもよく、この場合、肌ざわりが向上する。
【0081】
(f)上記実施形態では、フック部15は、上部フレーム21に設けられているが、これに限定されない。例えば、下部フレーム41に設けられていてもよい。
【0082】
(g)上記実施形態では、第1当接部13及び第2当接部14は、環状フレーム12の一部を構成するものであるが、これに限定されない。第1当接部13及び第2当接部14は、本体部11とは別部材として設けられていてもよい。例えば、マスクインナー10は、当接部としてのストッパを備え、当該ストッパは、環状フレーム12の顔面60側に取り付けられ、顔面60上の所定の位置と当接する構成が考えられる。
【0083】
(h)上記実施形態では、マスクインナー10は、全体がポリスチレン樹脂により一体成形されたものであるが、これに限定されない。素材としては、適度な弾力性を有し、本体部11が適切に弾性変形可能なものであればよく、例えばポリプロピレン樹脂でもよい。また、マスクインナー10の全体が同一の素材により構成されている必要はなく、一部のみ素材を変更してもよい。例えば、中央フレーム16は、本体部11の変形に対する寄与が小さいため、環状フレーム12よりも硬質の素材を採用してもよい。これにより、本体部11の変形しやすさを損なうことなく、本体部11の強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0084】
10…マスクインナー、11…本体部、13…第1当接部、14…第2当接部、21a…第1当接部を構成する外側区間、21b…第1連結部としての内側区間、26…第1連結部、31a…第1当接部を構成する上側区間、31b…第2連結部としての中間区間、31c…第2当接部を構成する下側区間、35…第2連結部、41a…第2当接部を構成する外側区間、41b…第3連結部としての内側区間、44…第3連結部、50…マスク、60…顔面、61…口、63a…鼻孔、65…目。
図1
図2
図3
図4
図5
図6