(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026953
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】乳幼児用衣料
(51)【国際特許分類】
A41B 13/06 20060101AFI20230221BHJP
A41B 13/08 20060101ALI20230221BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20230221BHJP
A41D 13/02 20060101ALI20230221BHJP
A44B 1/08 20060101ALI20230221BHJP
A44B 1/18 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A41B13/06
A41B13/08
A41D13/00 105
A41D13/02
A44B1/08 610A
A44B1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132420
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】511154261
【氏名又は名称】株式会社オオサカヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 真
【テーマコード(参考)】
3B011
3B128
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AC13
3B011AC18
3B011AC22
3B128PA00
3B128PA01
(57)【要約】
【課題】生地の一部を重ねて使用する乳幼児用衣料であって、スナップボタン同士の接合を容易に解除することができる、乳幼児用衣料を提供する。
【解決手段】ベビー服10は、左右前身頃13,14を有している。着用時には、左前身頃13の生地11と右前身頃14の生地11とが一部重なり合うようになっており、その重なりによって打合せ16が形成されている。左前身頃13には、スナップボタン41がテープ61を介して設けられている。右前身頃14には、スナップボタン51がテープ71を介して設けられている。各テープ61,71には、ユーザが手指で挟持する挟持部が設けられている。ベビー服10の着用に際して、打合せ16を閉状態とするとともに、対となるスナップボタン41,51を接合すると、対となる挟持部61,71は、対面した状態で打合せ16の外部に露出するようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の一部を重ねて使用する乳幼児用衣料であって、
前記生地の重なり部分にて前記生地同士を着脱可能に留める、対となるスナップボタンと、
前記対となるスナップボタンがそれぞれ取り付けられるとともに、前記生地に対してそれぞれ固定される対となるテープと、
を備え、
前記対となるテープは、前記対となるスナップボタンの着脱時にユーザに挟持される挟持部をそれぞれ有し、
前記挟持部は、前記テープのうち自由端を含み、かつ前記生地から浮いた部分によって形成されている、乳幼児用衣料。
【請求項2】
前記対となるテープは、前記対となるスナップボタンが接合状態である場合には、前記各挟持部同士の少なくとも一部が重なった状態となる、請求項1に記載の乳幼児用衣料。
【請求項3】
前記対となるテープは、前記対となるスナップボタンが接合状態である場合には、前記テープの長さ方向にみて前記各挟持部の先端が互いに異なる位置にあることによって、前記各挟持部の先端同士が所定の間隔を有する、請求項2に記載の乳幼児用衣料。
【請求項4】
前記所定の間隔は、12mm~15mmの範囲である、請求項3に記載の乳幼児用衣料。
【請求項5】
前記テープは、前記生地に固定される固定部と、前記スナップボタンが取り付けられる取付部と、を有し、
前記対となるテープの少なくとも一方は、前記固定部が、前記取付部と前記挟持部との間に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の乳幼児用衣料。
【請求項6】
前記固定部が前記取付部と前記挟持部との間に設けられている前記テープは、前記生地の重なり部分のうち、乳幼児側に配置される生地に設けられている、請求項5に記載の乳幼児用衣料。
【請求項7】
前記生地は、前記生地を補強する補強手段を有し、
前記テープは、前記生地に固定される固定部と、前記スナップボタンが取り付けられる取付部と、を有し、
前記対となるテープの少なくとも一方は、前記生地のうち前記補強手段により補強されている部分に対して固定され、前記取付部が、前記固定部と前記挟持部との間、又は前記固定部とともに前記補強手段により補強されている部分に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の乳幼児用衣料。
【請求項8】
前記挟持部の長さ寸法は、5mm~20mmの範囲である、請求項1~7のいずれか1項に記載の乳幼児用衣料。
【請求項9】
前記対となるテープは、前記対となるスナップボタンが接合状態である場合は、前記各挟持部の少なくとも先端側が、前記生地の重なり部分から外部に露出した状態となる、請求項1~8のいずれか1項に記載の乳幼児用衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地の一部を重ねて使用する乳幼児用衣料であって、スナップボタン同士の接合を容易に解除することができる、乳幼児用衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
ベビー服において採用される代表的な構造として、左右一対の前身頃を前後に重ねるようにして着脱可能に留める「開き」と呼ばれる構造がある。かかる開き構造によれば、乳幼児の腹部を二重に覆うことで、保温効果を高めることができる。また、乳幼児は、成人と比較すると、体幹部に対して頭部が相対的に大きい傾向があるが、開き構造を採用することにより、頭部によりベビー服の着脱が妨げられることを回避することができる。
【0003】
開き構造の留め方としては、スナップボタンを利用する方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ベビー服は、乳幼児が激しく動いたりした場合であっても、脱げないようなものである必要がある。したがって、スナップボタンとしては、一定以上の接合力を有するものが採用される。
【0006】
ただし、この場合、脱衣時にスナップボタンを容易に外すことができないことがある。このため、ベビー服の生地部分を引っ張ってスナップボタンを外そうとして、生地部分を損傷させてしまうことが懸念される。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生地の一部を重ねて使用する乳幼児用衣料であって、スナップボタン同士の接合を容易に解除することができる、乳幼児用衣料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の乳幼児用衣料は、
生地の一部を重ねて使用する乳幼児用衣料であって、前記生地の重なり部分にて前記生地同士を着脱可能に留める対となるスナップボタンと、
前記対となるスナップボタンがそれぞれ取り付けられるとともに、前記生地に対してそれぞれ固定される対となるテープと、
を備え、
前記対となるテープは、前記対となるスナップボタンの着脱時にユーザに挟持される挟持部をそれぞれ有し、
前記挟持部は、前記テープのうち自由端を含み、かつ前記生地から浮いた部分によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生地の一部を重ねて使用する乳幼児用衣料において、重なった生地同士を着脱可能に留める対となるスナップボタンが設けられている。スナップボタンは、テープを介して生地に取り付けられている。テープは、自由端を含む一定範囲が生地から浮いた状態(縫製等によって生地に固定されていない状態)とされており、その部分がユーザが手指で挟持可能な挟持部となっている。このため、ユーザは、スナップボタンの接合状態を解除する際に、挟持部を手指で挟持することができる。このため、ユーザは、各挟持部を左右の手指で挟持するとともに、各挟持部を離間させるように引っ張ることで、各スナップボタンに対し、分離方向の力を効率的に加えることができる。これにより、生地を手指で挟持して引っ張るような操作がなされることが回避され、生地を傷めることなく、スナップボタン同士の接合を容易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図7】スナップボタン同士の接合を解除する方法を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明を具現化した一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、乳幼児用衣料として、乳児により肌着として着用されるカバーオールタイプのベビー服10に具体化されている。
【0012】
ベビー服10は、複数の生地11を縫い合わせて形成されている。生地11は、オーガニックコットンを含む天竺組織である。
図1~
図3に示すように、ベビー服10は、身頃部12と、左袖部21と、右袖部22(以下、まとめて「左右袖部21,22」ということがある)と、股当て部26とが縫合されて形成されている。
【0013】
身頃部12は、着用者の身体を胴部から脚部にかけて覆うものであり、着用者の身体を前方から覆う左前身頃13及び右前身頃14(以下、まとめて「左右前身頃13,14」ということがある)と、着用者の身体を後方から覆う後身頃17とを有している。着用時には、着用者の胴部の前方において、左前身頃13と右前身頃14とが一部重なり合うようになっており、その重なりによって打合せ16が形成されている。打合せ16においては、左前身頃13が右前身頃14の表側に重なるようになっている。
【0014】
左右袖部21,22は、身頃部12の両肩部分にそれぞれ縫合されている。左右前身頃13,14の側端縁のうち打合せ16よりも上方の部分と、後身頃17の上端縁と、左右袖部21,22の各上端縁とで、ベビー服10の襟ぐり部24が形成されている。
【0015】
股当て部26は、着用者の股部を覆うものであり、後身頃17の下端よりも下方に突き出るようにして、後身頃17の下端中央に縫合されている。股当て部26は、着用時には、着用者の背後側から股部を通して前側に引き出した状態で、着用者の内股付近にて左右前身頃13,14と留め合わせるようになっている。この際、左右前身頃13,14の端縁と、股当て部26の端縁とが左右一対の環を形成し、着用者の左右腿部をそれぞれ囲むようになっている。左右前身頃13,14の下部と股当て部26とで、ベビー服10の脚部27が形成されている。
【0016】
ベビー服10の生地11の端縁の一部には、帯状のバインダ31が設けられている。詳しくは、バインダ31は、長手方向に沿って二つ折りとされている。二つ折りのバインダ31は、生地11の端縁において、バインダ31の内側面の一方が生地11の表面に当てられるとともに、バインダ31の内側面の他の一方が生地11の裏面に当てられた状態となっている。かかる状態で、バインダ31は、生地11に対してミシン糸36により縫合されている。これにより、ベビー服10の生地11の端縁が保護されるようになっている。なお、バインダ31に起因するごわつきの発生を抑制するため、バインダ31の素材としては、伸縮性のカットソーが採用されている。
【0017】
ベビー服10は、バインダ31として、左右前身頃13,14の各側端縁の下端から襟ぐり部24に亘って設けられた第1バインダ32と、股当て部26の下端縁に設けられた第2バインダ34とを有している。以下の説明において、第1バインダ32のうち、左前身頃13上の部分を第1バインダ32aといい、右前身頃14上の部分を第1バインダ32bということがある。
【0018】
ベビー服10は、生地11同士を重ねた状態で留めるためのスナップボタン41~47,51~57を有している。スナップボタン41~47は、リベットと凹部材とから構成される雌スナップボタンである。スナップボタン51~57は、リベットと凸部材とから構成される雄スナップボタンである。
【0019】
各スナップボタン41~47,51~57は、リベットと凸部材(又は凹部材)とで取付対象を挟むようにして取り付けられている。詳しくは、リベットは、針部59(
図4等参照)を有しており、この針部59が取付対象を貫通している。凸部材(又は凹部材)には、貫通孔が形成されており、この貫通孔にリベットの針部59の先端が挿入されている。この状態で、リベットの針部59の先端は、専用のハンドプレス機により押し潰されている。これにより、スナップボタン41~47,51~57は取付対象から外れないようになっている。
【0020】
第1バインダ32aには、4つのスナップボタン41,43,44,45が設けられている。スナップボタン41は、着用者の右胸部の前方にて左右前身頃13,14同士を留めるものである。スナップボタン43は、着用者の下腹部の前方にて左右前身頃13,14同士を留めるものである。スナップボタン44,45は、着用者の内股部にて、左前身頃13と股当て部26とを留めるものである。
【0021】
第1バインダ32bには、2つのスナップボタン46,47が設けられている。スナップボタン46,47は、着用者の内股部にて、左前身頃13と股当て部26とを留めるものである。
【0022】
第2バインダ34には、4つのスナップボタン54,55,56,57が設けられている。スナップボタン54,55は、股当て部26と左前身頃13とを留めるものであり、スナップボタン44,45とそれぞれ接合する。スナップボタン56,57は、股当て部26と右前身頃14とを留めるものであり、スナップボタン46,47とそれぞれ接合する。
【0023】
なお、スナップボタンをバインダ上に設ける場合、バインダの二つ折りでの幅寸法は、各スナップボタンの直径よりも大きくする必要がある。このため、本実施形態においては、バインダ31の二つ折り状態での幅寸法は、スナップボタン41,43~47,54~57の直径よりも若干大きく設定されている。
【0024】
生地11のうちバインダ31が設けられていない部分には、4つのスナップボタン42,51~53が設けられている。スナップボタン42,51~53は、いずれも左右前身頃13,14同士を閉状態で留めるためのものである。スナップボタン51は、スナップボタン41と接合する。スナップボタン42とスナップボタン52とは、互いに接合する。スナップボタン53は、スナップボタン43と接合する。
【0025】
ここで、股当て部26と、左右前身頃13,14のうちいずれか一方とを留めるスナップボタン44~47,54~57は、バインダ31に直接取り付けられている。詳しくは、スナップボタン44~47,54~57は、リベット及び凸部材(凹部材)でバインダ31と生地11とを挟むようにして取り付けられている。この際、リベットの針部59は、バインダ31と生地11とを貫通した状態となっている。
【0026】
他方、左右前身頃13,14同士を留めるスナップボタン41~43,51~53は、帯状のテープ61~63,71~73を介して生地11に取り付けられている。以下、スナップボタン41~43,51~53の取付構造について、
図4~
図6を参照しつつ説明する。なお、テープ61~63,71~73は、化学繊維からなり生地11よりも高い引張強さを有している。テープ61~63,71~73の幅は、10mm~13mmの範囲で設定される。
【0027】
まず、着用者の右胸部の前方にて、左右前身頃13,14同士を留めるスナップボタン41,51の取付構造について説明する。
【0028】
図4に示すように、スナップボタン41は、左前身頃13のうち第1バインダ32aが設けられている部分に対して、テープ61を介して設けられている。詳しくは、テープ61は、長手方向の中央部に形成された折り目61dで二つ折りされた状態となっている。二つ折りのテープ61は、折り目61d側の端部が左前身頃13からはみ出している。折り目61dと反対側の端部(換言すると、テープ61の二つ折り前の両端部が重なっている部分)が、第1バインダ32aの外側面のうち打合せ16を閉じた際に右前身頃14と対面する側の面に対して当接している。この状態で、二つ折りのテープ61は、ミシン糸36により第1バインダ32a及び生地11に縫合されている。なお、二つ折りのテープ61のうち、第1バインダ32aに縫合されている領域は、以下、「固定部61a」という。
【0029】
ちなみに、テープ61は、第1バインダ32aと左前身頃13とを縫合すべくミシン糸36で縫合を行う際に、併せて第1バインダ32aに縫合される。
【0030】
テープ61と第1バインダ32aと生地11との重なり部分には、スナップボタン41が取り付けられている。スナップボタン41は、リベット41a及び凹部材41bを有し、リベット41a及び凹部材41bで、テープ61と第1バインダ32aと生地11とを挟むようにして取り付けられている。この際、リベット41aが生地11側に配置されるとともに、凹部材41bがテープ61側に配置されており、凹部材41bの凹部が、打合せ16を閉じた際に右前身頃14と対面するようになっている。なお、二つ折りのテープ61のうち、スナップボタン41が取り付けられている領域は、以下、「取付部61b」という。
【0031】
二つ折りのテープ61のうち、固定部61a及び取付部61b以外の領域は、ユーザがスナップボタン41を扱う際に挟持することを想定した領域となっており、以下、「挟持部61c」という。挟持部61cは、左前身頃13からはみ出した状態となっている。
【0032】
一方、スナップボタン51は、右前身頃14と右袖部22との縫合箇所にて、右前身頃14の生地11の表面側に対して、テープ71を介して設けられている。詳しくは、テープ71は、Z字状に三つ折りされた状態(すなわち、テープ71の三つ折り前の両端部が、テープ71の中間部を挟むようにして重なった状態)となっている。三つ折りのテープ71は、テープ71の三つ折り前の両端部と、テープ71の中間部とが重なった部分が、右前身頃14と右袖部22との縫合箇所に重なるようにして、生地11の表面側に固定されている。より詳しくは、三つ折りのテープ71の中間部と、左前身頃13の生地11の端部と、右袖部22の生地11の端部とが、この順に重ねられた状態で、ミシン糸37により縫合されている。なお、三つ折りのテープ71のうち、生地11に縫合されている領域については、以下、「固定部71a」という。
【0033】
ちなみに、テープ71は、右前身頃14と右袖部22とを縫合すべくミシン糸37で縫合を行う際に、併せて生地11上に縫合される。縫合作業にあたっては、予めテープ71と右前身頃14とをしつけ糸38により留めておくとよい。これにより、作業性が向上する。
【0034】
三つ折りのテープ71は、固定部71aにより長手方向に二分されている。各領域のうち、右前身頃14側の領域は、スナップボタン51が取り付けられており、以下、「取付部71b」という。詳しくは、取付部71bは、右袖部22の前方に浮いた状態となっており、スナップボタン51は、リベット51a及び凸部材51bを有し、リベット51a及び凸部材51bにより、取付部71bを挟むようにして取り付けられている。この際、スナップボタン51は、凸部材51bの凸部が、打合せ16を閉じた際に左前身頃13(詳しくは、凹部材41bの凹部)と対面するような向きで取り付けられている。一方、右袖部22側の領域は、ユーザが挟持することを想定した領域となっており、以下、「挟持部71c」という。挟持部71cは、右前身頃14の前方に浮いた状態となっている。
【0035】
ここで、
図5に示すように、スナップボタン41とスナップボタン51とは、凸部材51bの凸部を凹部材41bの凹部に嵌入させて接合状態とすることができる。これにより、打合せ16を閉じた状態で留めることができる。スナップボタン41とスナップボタン51とを接合状態とした場合には、対となる挟持部61c,71cは互いに向き合った状態となる。この際、挟持部61c,71cは、いずれも打合せ16からはみ出してベビー服10の表面側に露出した状態となっている。
【0036】
また、挟持部61cの長さ寸法L1は、10mmとなっている。挟持部71cの長さ寸法L2は、15mmとなっている。挟持部61cの先端と挟持部71cの先端との間には、間隔D1が形成されている。間隔D1は14mmとなっている。固定部71aは、挟持部61cにより覆い隠された状態となっている。
【0037】
続いて、着用者の左胸部の前方にて、左右前身頃13,14同士を留めるスナップボタン42,52の取付構造について説明する。
【0038】
スナップボタン42は、左前身頃13(詳しくは、着用者の左胸部の前方に位置する部分)の生地11の裏面側に対して、テープ62を介して設けられている(
図3参照)。詳しくは、テープ62は、テープ71と同様、Z字状に三つ折りとされている(
図6参照)。三つ折りのテープ62は、一端部が左前身頃13の解放端側を向くとともに、他端部が左袖部21側を向くように配置され、中間部が左前身頃13の裏面側の生地11に縫合されている。
【0039】
三つ折りのテープ62は、生地11に対して縫合されている領域(以下、「固定部62a」という)によって、長手方向に二分されている。各領域のうち、左袖部21側の領域は、スナップボタン42(すなわち、リベット42a及び凹部材42b)が取り付けられており、以下、「取付部62b」という。左前身頃13の解放端側の領域は、ユーザがスナップボタン42を扱う際に挟持することを想定した領域であり、以下、「挟持部62c」という。このため、テープ62は、打合せ16が閉状態の場合には、取付部62bよりも挟持部62cの方が打合せ16の開閉端に近くなる。
【0040】
一方、スナップボタン52は、右前身頃14(詳しくは、着用者の左胸部の前方に位置する部分)の生地11の表面側に対して、テープ72を介して設けられている(
図3参照)。詳しくは、テープ72についても、テープ62,71と同様、Z字状の三つ折りとされている(
図6参照)。三つ折りのテープ72は、一端部が着用者の左肩方向(すなわち、右前身頃14の解放端側)を向くとともに、他端部が着用者の右腰方向を向くように配置され、中間部が右前身頃14の表面側の生地11に縫合されている。
【0041】
三つ折りのテープ72は、生地11に対して縫合されている領域(以下、「固定部72a」という)によって、長手方向に二分されている。各領域のうち、着用者の左肩方向の領域は、スナップボタン52(すなわち、リベット52a及び凸部材52b)が取り付けられており、以下、「取付部72b」という。着用者の右腰方向の領域は、ユーザが挟持することを想定した領域であり、以下、「挟持部72c」という。このため、テープ72についても、打合せ16が閉状態の場合には、取付部72bよりも挟持部72cの方が打合せ16の開閉端に近くなる。
【0042】
対となるスナップボタン42,52を接合状態とすると、打合せ16を閉状態で留めることができる。対となるスナップボタン42,52とを接合状態とした場合には、対となる挟持部62c,72cは、互いに向き合った状態となる。打合せ16が閉状態であると、各挟持部62c,72cは、いずれも左前身頃13によって覆われた状態となる。しかし、各テープ62,72は、打合せ16が閉状態である場合に、各挟持部62c,72c側の端部が打合せ16の開閉端側に近くなるように設けられている。このため、ユーザが左前身頃13をめくった場合には、各挟持部62c,72cが、いち早くベビー服10の表面側に露出することになる。
【0043】
また、挟持部62cの長さ寸法L3は、7mmとなっている。挟持部72cの長さ寸法L4は、19mmとなっている。挟持部62cの先端と挟持部72cの先端との間には、間隔D2が形成されている。間隔D2は12mmとなっている。
【0044】
続いて、着用者の右腹部の前方にて、左右前身頃13,14同士を留めるスナップボタン43,53の取付構造について説明する。スナップボタン43,53は、着用時に左前身頃13の一部が垂れ下がることを抑制すべく、補助的に設けられたものである。なお、スナップボタン43の取付構造はスナップボタン41の取付構造と同様であり、スナップボタン53の取付構造はスナップボタン52の取付構造と同様であるため、簡単に説明する。
【0045】
スナップボタン43は、二つ折りのテープ63を介して、第1バインダ32a(詳しくは、着用者の右腹部の前方に位置する部分)に取り付けられている(
図1参照)。2つ折りのテープ63は、第1バインダ32aと重なる部分において、第1バインダ32aに縫合されており、かつスナップボタン43が取り付けられている。以下、二つ折りのテープ63のうち、第1バインダ32aに縫合されている領域を「固定部63a」といい、スナップボタン43が取り付けられている領域を「取付部63b」という。二つ折りのテープ63のうち左前身頃13の端縁からはみ出した部分は、ユーザが挟持するための領域であり、「挟持部63c」という。
【0046】
スナップボタン53は、右前身頃14(詳しくは、着用者の右腹部の前方に位置する部分)の表面側の生地11上に、三つ折りのテープ73を介して設けられている。三つ折りのテープ73は、一端部が着用者の右腰方向を向き、かつ他端部が着用者の左胸方向を向くように配置されている。この状態で、三つ折りのテープ73の中間部が生地11に縫合されている。三つ折りのテープ73のうち、生地11に縫合されている領域を、以下、「固定部73a」という。三つ折りのテープ73のうち、固定部73aよりも着用者の左胸側の領域は、スナップボタン53が取り付けられており、以下、「取付部73b」という。固定部73aよりも着用者の右腰側の領域は、ユーザが挟持するための領域であり、以下、「挟持部73c」という。
【0047】
打合せ16を閉じてスナップボタン43,53を接合状態とした場合には、対となる挟持部63c,73cは、互いに向き合った状態となる。各挟持部63c,73cは、打合せ16からはみ出して、ベビー服10の表面側に露出した状態となる(
図2参照)。この際、挟持部63cの先端と挟持部73cの先端との間には、間隔D3が形成されている。各挟持部63c,73cの長さ寸法L5,L6は、それぞれ10mm、14mmとなっている。間隔D3は、14mmとなっている。なお、固定部73aは、挟持部63cにより覆い隠された状態となっている。
【0048】
ここで、各挟持部の長さ寸法は、5mm~20mmの範囲で設定され、好ましくは7mm~15mmの範囲で設定されるとよい。上記範囲とすることにより、スナップボタンを取り外す際に、テープに力を加えやすくなる。
【0049】
スナップボタンを接合させた場合に一方の挟持部の先端と他方の挟持部の先端との間に形成される間隔は、12mm~15mmの範囲であることが好ましい。これにより、対面した状態となっている挟持部同士を分離しやすくすることができる。
【0050】
対となる挟持部のうち、着用者からみた前方側に位置する挟持部の長さ寸法は、他方のテープの固定部を覆い隠せるように設定するとよい。これにより、固定部が露出してベビー服10の美観を損うことを抑制することができる。
【0051】
続いて、テープ61~63,71~73を介して生地11に取り付けられたスナップボタン41~43,51~53の接合を解除する方法について、スナップボタン41,51及びテープ61,71を例として、
図7を参照しつつ例示する。
【0052】
スナップボタン41,51が接合状態である場合には、挟持部61c,71cは、互いに向き合った状態となっている。そこでまず、ユーザは、挟持部61c,71cを各手の親指と人差し指とでそれぞれ挟持する。この際、各人差し指の先端を、リベット41a,51aに対して、直接又は生地11を介して当てるようにする。
【0053】
そして、各人差し指の位置をなるべく動かさないようにしつつ、挟持部61c,71cを互いに離間する方向に引っ張るようにする。そうすると、てこの原理によって、凸部材51bを凹部材41bから少ない力で脱離させることができる。これにより、スナップボタン41,51同士の接合を容易に解除することができる。
【0054】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏することができる。
【0055】
(1)ベビー服10は、左右前身頃13,14を有し、左右前身頃13,14の一部を重ねた状態で着用する乳幼児用衣料である。ベビー服10には、左右前身頃13,14同士(打合せ16)を着脱可能に留めるスナップボタン41~43,51~53が設けられている。スナップボタン41~43,51~53は、テープ61~63,71~73を介して、左右前身頃13,14にそれぞれ取り付けられている。61~63,71~73は、ユーザが手指で挟持可能な挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cを有している。このため、ユーザは、スナップボタン41~43,51~53の接合状態を解除する際に、テープ61~63,71~73を手指で挟持することができる。
【0056】
また、スナップボタン41~43,51~53が対となるもの同士で接合している場合には、挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cは、対となるもの同士が対面した状態となる。このため、ユーザは、挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cを各手で挟持するとともに、挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cを離間させるように引っ張ることで、スナップボタン41~43,51~53に対し、分離方向の力を効率的に加えることができる。これにより、スナップボタン41~43,51~53同士の接合を容易に解除することができる。
【0057】
(2)各挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cの長さ寸法L1~L6は、いずれも5mm~20mmの範囲となっている。これにより、ユーザが挟持61c,62c,63c,71c,72c,73cを挟持しやすくなっている。
【0058】
(3)対となるスナップボタン41~43,51~53が接合状態である場合には、対となる挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cは、左前身頃13からはみ出して打合せ16の外部に露出した状態となっている。これにより、ユーザが挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cを挟持しやすくなっている。
【0059】
(4)テープ61~63,71~73は、スナップボタン41~43,51~53が接合状態である場合には、対面した状態の挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cの先端同士の間に、間隔D1~D3を有している。これにより、対面した状態の挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cを分離させやすくなっている。
【0060】
(5)間隔D1~D3は、いずれも12mm~15mmの範囲となっている。これにより、対面した状態の挟持部61c,62c,63c,71c,72c,73cをより分離させやすくなっている。
【0061】
(6)テープ62,71~73においては、固定部62a,71a,72a,73aは、取付部62b,71b,72b,73bと、挟持部62c,71c,72c,73cとの間に設けられている。かかる構成とすると、ユーザがテープ62,71~73を引っ張ったとしても、テープ62,71~73の固定先の生地11に作用する負荷は比較的小さくなる。このため、スナップボタン41~43,51~53の接合状態を解除する際に、ベビー服10の生地11が損傷を受けることを抑制することができる。
【0062】
そして、これにより、テープ62,72,73のように、ベビー服10のうち生地11一枚からなる部分に対しても、テープを固定することができるようになる。このように、ベビー服10では、スナップボタンの配置箇所が制限されないため、デザインの自由度が高くなっている。
【0063】
(7)右前身頃14は、生地11の裏面側が着用者の肌に直接触れるようになっている。このため、スナップボタンのリベットが、右前身頃14の生地11の裏面側に露出していることは好ましくない。ここで、テープ71~73は、取付部71b,72b,73bが右前身頃14の生地11の前方に浮いた状態となるように設けられている。つまり、スナップボタン51~53は、右前身頃14の生地11の前方に浮いた状態となっている。これにより、着用者の肌にリベットが直接触れて着用感が損なわれることを防止できる。
【0064】
(8)テープ71は、右袖部22と右前身頃14との縫合箇所に対して固定されている。縫合箇所では、右袖部22の生地11と右前身頃14の生地11とが重なっており、特に強度が高くなっている。つまり、右袖部22の生地11が、右前身頃14の生地11を補強する補強手段となっている。これにより、スナップボタン41,51の接合状態を解除する際に、ベビー服10の生地11が損傷を受けることをより好適に抑制できる。
【0065】
また、テープ71は、固定部71aにより長手方向に二分された各領域のうち、右前身頃14側(着用者から見た左側)の領域が取付部71bとなっており、右袖部22側(着用者から見た右側)の領域が挟持部71cとなっている。ここで、テープ71において、取付部71bと挟持部71cとの位置関係が逆となった場合、つまり、固定部71aにより長手方向に二分された各領域のうち、右前身頃14側の領域が挟持部71cとなっており、右袖部22側の領域が取付部71bとなっている場合を想定する。この場合、着用時に左前身頃13に対して打合せ16を開く方向の力が加わると、テープ71(取付部71b)が左前身頃13に追従して浮き上がってしまい、左前身頃13が若干めくれ上がってしまうことが懸念される。しかし、本実施形態によれば、着用時に左前身頃13に対して打合せ16を開く方向の力が加わったとしても、テープ71(挟持部71c)が引き張られた状態となることで、左前身頃13のめくれ上がりは抑制される。これにより、着用時における打合せ16のずれを抑制できる。
【0066】
なお、テープ73についても同様に、固定部73aよりも着用者から見て左側の領域が取付部73bとなっており、固定部73aよりも着用者から見て右側の領域が挟持部73cとなっている。これにより、着用時における打合せ16のずれの抑制を図っている。
【0067】
(9)乳児の肌は敏感であるため、肌に直接触れるような乳児用の衣料においては、肌への刺激が小さく、着心地の良いものが特に望まれる。上記実施形態では、ベビー服10の生地11は、オーガニックコットン繊維を含む天竺組織となっている。これにより、乳児の肌にかかる負担を抑制するとともに、着用感についても大きく向上させることができる。一方で、かかる素材は繊細なものであるため、引っ張り等で容易に損傷を受けてしまうことが懸念される。しかし、上記実施形態においては、スナップボタン41~43,51~53の接合状態を解除する際に生地11にかかる負担が軽減されているため、せっかくのベビー服10が傷んでしまうことを抑制できる。
【0068】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、乳幼児用衣料として、乳児により肌着として着用される上半身のみを覆うタイプのベビー服80に具体化されている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心に、
図8及び
図9を参照しつつ説明する。また、以下の説明では、上記第1の実施形態と同様の構成については、その説明を適宜簡略化したり省略したりすることとする。
【0069】
上記第1の実施形態では、スナップボタン51付きのテープ71は、右袖部22と右前身頃14との縫合箇所に対して固定されていた。しかし、テープ71がベビー服10に固定される位置は、右袖部22と右前身頃14との縫合箇所である必要はない。このため、ベビー服80においては、テープ71は、右前身頃14のうち生地11一枚から構成される部分に縫合されている。
【0070】
テープ71が固定される位置を、右袖部22と右前身頃14との縫合箇所とした場合には、テープ71の固定と生地11同士の縫合とを同時に行わなければならない。しかし、テープ71を生地11一枚からなる部分に固定する場合には、ベビー服80の全体的な縫製が完了した後で、テープ71を追加で固定することができる。つまり、ベビー服80の製造時における作業手順の制約が小さくなるため、ベビー服80を効率よく製造することができる。
【0071】
上記第1の実施形態では、スナップボタン42は、三つ折りのテープ62に取り付けられていた。そして、三つ折りのテープ62は、中間部が固定部とされ、左前身頃13の裏面側において生地11一枚からなる部分に縫合されていた。しかし、かかる構成に限定されるものではない。このため、ベビー服80においては、テープ62は、二つ折りとされている。二つ折りのテープ62は、その一端部(詳しくは、二つ折り前の両端部が重なっている部分)が、左袖部21と左前身頃13との縫合箇所に対して、ミシン糸39により縫合されている。二つ折りのテープ62は、その中間部にスナップボタン42が取り付けられており、スナップボタン42よりも自由端側の部分が挟持部62cとなっている。すなわち、テープ62においては、取付部62bが固定部62aと挟持部62cとの間に存在する。
【0072】
テープにおいて、取付部が挟持部と固定部との間に存在する場合には、テープが引っ張られた際に、テープの固定先に大きな負荷が作用しやすい。しかし、ベビー服80においては、テープ62の固定先は、左袖部21と左前身頃13との縫合箇所となっている。左袖部21と左前身頃13との縫合箇所においては、左袖部21の生地11と左前身頃13の生地11とが重なった状態となっており、比較的強度が高くなっている。換言すると、左袖部21の生地11は、左前身頃13の生地11を補強する補強手段となっている。これにより、テープ62の固定先の生地11が、テープ62が引っ張られた際に損傷を受けてしまうことが抑制されている。
【0073】
上記第1の実施形態では、スナップボタン41,43は、テープ61,63と第1バインダ32aとを挟むようにして取り付けられていた。しかし、必ずしも第1バインダ32aを挟むようにして取り付けられている必要はない。
【0074】
ベビー服80においては、テープ61は、中間部が第1バインダ32aにミシン糸36により縫合されている。つまり、テープ61は、中間部に固定部61aが形成され、固定部61aにより長手方向に二分されている。二分された領域のうち、一方の領域は、左前身頃13からはみ出した状態となっており、挟持部61cとなっている。他方の領域は、第1バインダ32aからはみ出すとともに、左前身頃13の生地11に直接当接した状態となっている。そして、スナップボタン41が、テープ61と左前身頃13の生地11とを挟むようにして取り付けられており、取付部61bとなっている。
【0075】
テープ63は、上記第1の実施形態と同様、一端部が第1バインダ32aに固定され、他端部が左前身頃13からはみ出した状態となっている。しかし、スナップボタン43は、上記実施形態とは異なり、テープ63のうち左前身頃13からはみ出している領域に取り付けられている。そして、テープ63のうち左前身頃13からはみ出している領域のうち、スナップボタン43よりも自由端寄りの領域が、ユーザが手指で挟持するための領域となっている。つまり、テープ63は、第1バインダ32aと重なる部分に固定部63aが設けられている、左前身頃13からはみ出した部分に取付部63b及び挟持部63cが設けられている。
【0076】
テープ63においては、取付部63bが固定部63aと挟持部63cとの間に設けられているため、テープ63が引っ張られた際に、テープ63の固定先に負荷が作用しやすい。しかし、ベビー服80では、テープ63の固定先は、第1バインダ32aとなっており、引っ張りに対して十分高い強度を有している。つまり、第1バインダ32aは、左前身頃13の生地11を補強する補強手段に相当する。これにより、テープ63が引っ張られた際に、生地11が損傷を受けてしまうことが抑制されている。
【0077】
なお、スナップボタン53及びテープ73については、上記第1の実施形態と概ね同様の取付構造となっているが、スナップボタン53とスナップボタン43とが接合した際に挟持部73cと挟持部63cとがうまく対面するように、テープ73の配置を調整している。
【0078】
上記第1の実施形態では、第1バインダ32の幅寸法は、スナップボタン41,43の直径よりも若干大きく設定されていた。しかし、第1バインダ32を挟むようにして取り付けられているスナップボタンが存在しない場合には、第1バインダ32の幅寸法は、スナップボタンの直径よりも小さくしてもよい。このため、ベビー服80における第1バインダ32の幅寸法は、スナップボタン41,43の直径よりも小さくなっている。
【0079】
上記第1の実施形態では、第1バインダ32の幅寸法がある程度大きかったため、第1バインダ32によるごわつきの発生が懸念されていた。このため、第1バインダ32の素材として伸縮性のカットソーを採用し、ごわつきの抑制を図っていた。しかし、ベビー服80においては、第1バインダ32の幅寸法をより小さくしたことで、ごわつきが抑制されている。
【0080】
そして、第1バインダ32の幅寸法をより小さくした場合には、ごわつきが生じにくくなるため、第1バインダ32の素材の選択肢が広くなる。このため、ベビー服80においては、第1バインダ32の素材として非伸縮性の布帛が採用されている。また、非伸縮性の布帛は伸縮性のカットソーよりも安価である。これにより、ベビー服80の製造コストを抑制することができる。
【0081】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0082】
(a)乳幼児用衣料は、上記各実施形態で例示した乳児用の肌着に限定されない。例えば、ベスト、スリーパー、スタイといったものも想定され、生地の一部を重ねた状態で使用する乳児用の衣料であればよい。
【0083】
(b)乳幼児用衣料の素材は、特に限定されるものではない。ただし、乳児が肌着として着用する衣料については、できるだけ肌への刺激が小さな素材を採用することが好ましい。上記各実施形態のような乳幼児用衣料によれば、スナップボタンを外す際に、衣料にかかる負荷が低減される。これにより、比較的デリケートな素材であっても、乳幼児用衣料の素材として採用することができる。
【0084】
(c)上記各実施形態では、テープ61~63,71~73は、化学繊維からなり、生地11よりも高い引張強度を有していたが、これに限定されない。例えば綿製でもよく、ユーザが挟持部を挟持した状態でスナップボタンの接合を解除可能なものであれば、テープの材質及び引張強度については限定されない。
【0085】
(d)上記各実施形態では、第1バインダ32a,左右袖部21,22が補強手段としての機能を有していたが、補強手段はこれに限定されない。例えば、当て布を追加的に設け、テープの固定先の生地11を補強するようにしてもよい。ただし、当て布によってごわつきが生じるおそれがある。このため、なるべく追加の当て布は使用せず、ベビー服10,80自体の強度が高くなっている箇所を、テープの固定先として活用することが好ましい。
【0086】
(e)上記各実施形態では、スナップボタンを接合させた場合に、一方の挟持部の先端と他方の挟持部の先端との間に間隔D1~D3が形成されていたが、間隔D1~D3が形成されていることは必須ではない。ただし、間隔D1~D3が形成されていると、対となる挟持部を離間させやすくなる点で都合がよい。
【符号の説明】
【0087】
10…乳幼児用衣料としてのベビー服、11…生地、13…左前身頃、14…右前身頃、16…生地の重なり部分としての打合せ、21…補強手段としての右袖部、32a…補強手段としての第1バインダ、41~47…スナップボタン、51~57…スナップボタン、61…テープ、61a…固定部、61b…取付部、61c…挟持部、62…テープ、62a…固定部、62b…取付部、62c…挟持部、63…テープ、63a…固定部、63b…取付部、63c…挟持部、71…テープ、71a…固定部、71b…取付部、71c…挟持部、72…テープ、72a…固定部、72b…取付部、72c…挟持部、73…テープ、73a…固定部、73b…取付部、73c…挟持部。