(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026975
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】掃除機から塵埃を回収する回収装置及び回収装置に接続可能な掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20230221BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20230221BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20230221BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20230221BHJP
A47L 9/20 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A47L9/10 D
A47L5/24 A
A47L9/00 104
A47L9/10 Z
A47L9/28 A
A47L9/28 U
A47L9/28 T
A47L9/20 J
A47L9/20 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132456
(22)【出願日】2021-08-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸一
(72)【発明者】
【氏名】水野 陽章
(72)【発明者】
【氏名】堀部 勇
(72)【発明者】
【氏名】大高 弘之
【テーマコード(参考)】
3B006
3B057
3B062
【Fターム(参考)】
3B006MA03
3B057DA01
3B057DE01
3B057DE06
3B062AA08
3B062AB03
3B062AG00
(57)【要約】
【課題】回収装置への塵埃の回収の後に掃除機のフィルタ部に残る塵埃を減らし、掃除機のフィルタ部の目詰まりを抑制する回収装置を提供する。
【解決手段】回収装置は、フィルタ部と貯塵室を有する掃除機から塵埃を回収するように構成されており、塵埃流路と吸引源と制御部とを備えている。制御部は、フィルタ部に捕捉されている塵埃の少なくとも一部を塵埃流路に流入させるように吸引源の吸引力を制御する第1吸引制御と、吸引源の吸引力を低減させてフィルタ部の吸引力による変形状態を変えることにより、フィルタ部において網目に詰まった塵埃の詰まり状態を変化させる第2吸引制御と、吸引源の吸引力を増加させて網目において詰まり状態が変化した塵埃の少なくとも一部を塵埃流路に流入させる第3吸引制御とを順次実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の通過を許容しつつ塵埃を捕捉する網目が形成されたフィルタ部を収容しているとともに前記フィルタ部によって捕捉された塵埃を排出するための排塵口が形成された貯塵室を有している掃除機から塵埃を回収する回収装置であって、
前記掃除機が前記回収装置に接続されたときに、前記排塵口を通じて前記貯塵室と連通する塵埃流路と、
前記貯塵室に連通した前記塵埃流路を通じて、前記貯塵室内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、
前記吸引源を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記フィルタ部に捕捉されている塵埃の少なくとも一部を前記塵埃流路に流入させるように前記吸引源の前記吸引力を制御する第1吸引制御と、
前記吸引源の前記吸引力を低減させて、前記吸引力による前記フィルタ部の変形状態を変えることにより、前記フィルタ部において前記網目に詰まった塵埃の詰まり状態を変化させる第2吸引制御と、
前記吸引源の前記吸引力を増加させて前記網目において詰まり状態が変化した塵埃の少なくとも一部を前記塵埃流路に流入させる第3吸引制御と、
を順次実行する、回収装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2吸引制御において、前記フィルタ部に捕捉されている塵埃の少なくとも一部を前記塵埃流路に流入させるように前記吸引源の前記吸引力を制御する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2吸引制御において、前記吸引源の作動を停止させる、請求項1に記載の回収装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回収装置に接続可能に構成された掃除機であって、
空気の通過を許容しつつ塵埃を捕捉する網目が形成されたフィルタ部と、
前記フィルタ部を収容している貯塵室と、を備え、
前記貯塵室には、前記掃除機が前記回収装置に接続されたときにおいて前記回収装置の前記塵埃流路に前記貯塵室を連通させる排塵口が形成されており、
前記フィルタ部は、前記回収装置が前記吸引制御を行っているときにおいて前記塵埃流路及び前記排塵口を通じて前記貯塵室に作用する前記吸引力によって弾性変形可能に構成されている、掃除機。
【請求項5】
前記フィルタ部は、不織布フィルタを含んでいる、請求項4に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機から塵埃を回収する回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図13に示すスティック型の掃除機300が開示されている。この掃除機300は、掃除機本体310と、掃除機本体310から下方に延設された吸引管320と、吸引管320の下端に接続された吸込ノズル330と、を備えている。掃除機本体310は、吸込ノズル330を通じて塵埃を吸い込むとともに、吸い込んだ塵埃を貯留するように構成されている。
【0003】
掃除機本体310は、矩形箱状の筐体311を備えている。筐体311は、塵埃を吸引するための吸引力を発生する吸塵源312を収容したファン室315と、フィルタ部313によりファン室315から区画されて、フィルタ部313により捕捉された塵埃を貯留する貯塵室317と、を有している。筐体311には、貯塵室317に貯まった塵埃を排出するための排塵口319が形成されている。
【0004】
特許文献1では、掃除機300の貯塵室317に貯まった塵埃を回収するために、
図14に示す回収装置400が用いられる。回収装置400は、矩形箱状の筐体410を有しており、筐体410の内部には、掃除機300の貯塵室317内の塵埃を吸い出す吸引力を発生する吸引源420と、吸引源420の吸引力により掃除機300から回収された塵埃が溜められる回収室440と、回収室440から延設された塵埃流路430と、が配置されている。
【0005】
塵埃流路430の先端は、掃除機300の排塵口319に接続可能に形成されている。塵埃流路430の先端が排塵口319に接続された状態で、回収装置400の吸引源420が作動すると、吸引源420の吸引力は、貯塵室317内の塵埃に作用する。貯塵室317内の塵埃は、この吸引力により、掃除機300の排塵口319から排出され、回収装置400の塵埃流路430を通じて回収室440に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回収装置400によって掃除機300の貯塵室317内の塵埃が回収された後も、塵埃がフィルタ部313に残った状態になっていることがある。この状態で、掃除機300が回収装置400から取り外され、清掃作業に使用されれば、フィルタ部313の目詰まりが進行する。
【0008】
本発明は、回収装置400への塵埃の回収の後に掃除機のフィルタ部に残る塵埃を減らし、掃除機のフィルタ部の目詰まりを抑制する回収装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示における回収装置は、空気の通過を許容しつつ塵埃を捕捉する網目が形成されたフィルタ部を収容しているとともにフィルタ部によって捕捉された塵埃を排出するための排塵口が形成された貯塵室を有している掃除機から塵埃を回収する回収装置であって、掃除機が回収装置に接続されたときに、排塵口を通じて貯塵室と連通する塵埃流路と、貯塵室に連通した塵埃流路を通じて、貯塵室内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、吸引源を制御する制御部と、を備えている。制御部は、フィルタ部に捕捉されている塵埃の少なくとも一部を塵埃流路に流入させるように吸引源の吸引力を制御する第1吸引制御と、吸引源の吸引力を低減させて、吸引力によるフィルタ部の変形状態を変えることにより、フィルタ部において網目に詰まった塵埃の詰まり状態を変化させる第2吸引制御と、吸引源の吸引力を増加させて網目において詰まり状態が変化した塵埃の少なくとも一部を塵埃流路に流入させる第3吸引制御と、を順次実行する。
【0010】
本開示における掃除機は、空気の通過を許容しつつ塵埃を捕捉する網目が形成されたフィルタ部と、フィルタ部を収容している貯塵室と、を備える。貯塵室には、掃除機が回収装置に接続されたときにおいて回収装置の塵埃流路に貯塵室を連通させる排塵口が形成されている。フィルタ部は、回収装置が吸引制御を行っているときにおいて塵埃流路及び排塵口を通じて貯塵室に作用する吸引力によって弾性変形可能に構成されている。
【発明の効果】
【0011】
上述の回収装置によれば、回収装置への塵埃の回収の後に掃除機のフィルタ部に残る塵埃を減らし、掃除機のフィルタ部の目詰まりを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図8】掃除機及び回収装置に設けられた検出回路の概略的な機能構成図
【
図9】掃除機及び回収装置に設けられた検出回路の概略的な機能構成図
【
図11】(a)(b)メッシュフィルタの一部の拡大図
【
図14】従来の掃除機及び回収装置の概略的な斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(掃除機の全体的な構造)
図1は、スティック型の掃除機100の概略的な断面図である。
図2は、掃除機100の正面図である。
図1及び
図2を参照して、掃除機100を説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、掃除機100は、床面上の塵埃を吸い込む吸込ノズル130と、吸込ノズル130に取り付けられた掃除機本体110と、掃除機本体110の上端112から上方に延設された把持部140と、を備えている。掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して前後方向に傾動可能に取り付けられている。
図1及び
図2において、掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して直立した姿勢をとっており、この直立姿勢より前方には傾動しない。掃除機100の使用時には、掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して後方に傾動した姿勢で使用者によって保持される。
【0016】
吸込ノズル130は、塵埃を吸い込むための幅広の吸込空間131を形成するように、掃除機本体110よりも幅広のノズルケース132を備えている。吸込空間131は、ノズルケース132の前側部分において、床面に向けて開口している。この開口部分の後側では、吸込空間131は、ノズルケース132の底部134により閉じられている。吸込空間131には、回転式の掻取ブラシ133が配置されており、掻取ブラシ133は、吸込空間131の開口を通じて床面に接触可能にノズルケース132から露出している。
【0017】
掃除機本体110は、上下方向に細長い円筒状の筐体111を有している。筐体111の下端は、掃除機本体110の前後方向の傾動を許容するように、ノズルケース132の後部に取り付けられている。筐体111の上部は、筐体111の上端112に向けて細くなっており、上端112から把持部140が上方に延設されている。把持部140は、使用者により握持される太さを有している棒状の部分である。把持部140には、
図2に示すように、使用者によって操作される操作部141(操作ボタン)が設けられている。
【0018】
筐体111は、床面上の塵埃を吸い上げるとともに吸い上げた塵埃を貯留するための様々な部品を内蔵するように構成されている。詳細には、筐体111内には、筐体111の上部に配置されたファン室153と、ファン室の下側に配置された貯塵室152と、貯塵室152の下側に配置されており上下方向に延設された吸引管113と、が設けられている。ファン室153と、貯塵室152と、吸引管113とは互いに連通している。
【0019】
ファン室153には、床面上の塵埃を吸い上げる吸引力を発生させて上向きの吸引気流を生じさせる吸引ファン116が配置されている。ファン室153にはさらに、吸引ファン116に電力を供給するバッテリ117と、バッテリ117を充電するための充電回路である回路部170と、が配置されている。吸引ファン116は、操作部141に対する操作に応じて、作動したり、停止したりする。
【0020】
筐体111の前壁には、ファン室153と連通するように形成された排気口151と、排気口151の上側に配置された一対の電気接点171と、磁性板173と、が設けられている。吸引ファン116の吸引力により生じた吸引気流は、排気口151を通じて、ファン室153から掃除機100外に排気される。
【0021】
電気接点171は、回路部170に電気的に接続されており、後述する回収装置200の接触部280に接触するように突出して形成されている。磁性板173は、後述する回収装置200の保持部297に当接するように形成されている。
【0022】
貯塵室152内には、下向きに開口する容器状のフィルタ部115が配置されている。フィルタ部115は、
図3に示すように、フィルタ部115の周面及び上面を形成するメッシュフィルタ118と、メッシュフィルタ118を保持するための保持フレーム119と、を有している。メッシュフィルタ118は、空気の通過を許容する一方で通過する空気に含まれている塵埃を捕捉する素材によって構成されている。メッシュフィルタ118の素材には、例えば、不織布が用いられる。メッシュフィルタ118は、互いに絡み合うようにして配置された繊維161により形成されている。メッシュフィルタ118には、互いに絡み合う繊維161間に、網目162が形成されている。フィルタ部115内の空間には、吸引ファン116の吸引力により吸引管113を通じて床面上から吸い上げられた塵埃が貯留される。
【0023】
メッシュフィルタ118に吸引ファン116の吸引力が作用すると、メッシュフィルタ118は吸引力の大きさに応じて弾性的に変形する。そして、メッシュフィルタ118に吸引力が作用しなくなると、弾性的に変形していたメッシュフィルタ118は、吸引力が作用する前の形状に概ね復元する。このとき、メッシュフィルタ118の弾性的な変形により、メッシュフィルタ118の網目162の形状や大きさが変化し得る。
【0024】
貯塵室152には、
図4に示すように、筐体111の前壁において開口する排塵口124と、排塵口124を開閉するための回動可能に形成された蓋体121と、が設けられている。蓋体121が直立して配置されている場合には、排塵口124は閉じられた閉姿勢となる。一方で、蓋体121が閉姿勢の状態から所定の角度(90°以下の回動角度)だけ下方に回動している場合には、排塵口124は開いた開姿勢となる。フィルタ部115内に貯留されている塵埃は、排塵口124を通じてフィルタ部115外に排出される。
【0025】
筐体111の下部に内蔵された吸引管113は、筐体111内で固定されており、掃除機本体110が直立姿勢(
図1に示す姿勢)から後方に傾動すると、筐体111とともに後方に傾動する。掃除機本体110が直立姿勢にあるときには、吸引管113の下端は、ノズルケース132の底部134に当接した状態になっている。すなわち、掃除機本体110が直立姿勢にあるときにおいて、吸引管113の下端は、ノズルケース132の底部134によって閉じられている。掃除機本体110が直立姿勢から後方に傾動すると、吸引管113の下端は、
図1の矢印Aで示す方向に移動する。この結果、吸引管113の内部空間は、ノズルケース132の吸込空間131に連通した状態になる。
【0026】
吸引管113の上端には、吸引ファン116が作動していないときにおいて吸引管113の上端を塞ぐ逆止弁114が取り付けられている。逆止弁114は、吸引ファン116の上向きの吸引力により変形して、吸引管113の上端の開口を開放するように構成されている。
【0027】
(回収装置の全体的な構造)
貯塵室152に貯留された塵埃は、
図4に示す回収装置200により回収され得る。回収装置200は、掃除機100を接続可能に構成されている。詳細には、回収装置200は、筐体210と、台座板220と、塵埃流路230と、回収室240と、吸引源250と、制御部260と、を備えている。台座板220の前部には筐体210が据え付けられており、後部には掃除機100が載置される。
【0028】
筐体210内には、掃除機100の貯塵室152内の塵埃が流入するように、一端部が筐体210の外側に回収口216として開口する塵埃流路230が設けられている。塵埃流路230の他端部は、掃除機100から回収された塵埃が貯留される回収室240の後面に接続されている。回収室240の下側には、吸引源250が配置されている。吸引源250は、制御部260と電気的に接続されており、制御部260の制御下で吸引力を発生させて、掃除機100の貯塵室152内の塵埃を回収装置200の回収室240に流入させるための回収気流が生ずるように構成されている。
【0029】
筐体210の左右の側面には、外部から筐体210内に空気を流入させる吸気口234と、筐体210内から外部に空気を流出させる排気口235と、が設けられている。吸気口234及び排気口235は多数の小孔から構成されている。
【0030】
筐体210の後面には、
図5に示すように、掃除機本体110を接続可能に形成された接続壁214が形成されている。筐体210の下部には、
図4に示すように、掃除機100が回収装置200に接続されたときに吸込ノズル130が筐体210に干渉しないように吸込ノズル130を収容するための収容空間213が形成されている。
【0031】
筐体210の接続壁214には、
図6に示すように、上下方向に延びる凹溝部215と、掃除機本体110との接続状態を検出するための接触部280と、保持部297と、通気口236と、回収口216と、が形成されている。
【0032】
凹溝部215は、
図5に示すように、掃除機本体110の前側部分と相補的に形成されており、直立姿勢の掃除機本体110の前側部分が嵌め込み可能である。掃除機本体110の前側部分が凹溝部215に嵌め込まれることにより、掃除機本体110は、回収装置200に対して左右方向に位置決めされる。
【0033】
接触部280は、
図6に示すように、一対の導電性の接触片283と、突出片299と、を有している。接触片283は、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれたときに、掃除機100の一対の電気接点171に対向しており、接続壁214に形成された穴部において出没可能に構成されている。接触片283は、前記穴部から突出する方向に付勢されており、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態では、掃除機本体110の電気接点171と接触して、接触片283と電気接点171とは電気的に接続される。一方で、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれていない状態では、接触片283と電気接点171とは互いに絶縁された状態になっている。
【0034】
突出片299は、接続壁214に形成された穴部において出没可能に構成されている。突出片299は、前記穴部から突出する方向に付勢されており、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態では、掃除機本体110の前壁に当接して前記穴部に押し込まれ、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれていない状態では、前記穴部から突出する。
【0035】
保持部297は、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれたときに掃除機本体の磁性板173と対向する位置に形成されている。保持部297は、例えば、磁性板173を磁気的に吸着する磁石板によって構成されている。保持部297と磁性板173との間で作用する磁力により、掃除機本体110は回収装置200に対して上下方向及び左右方向に位置決めされる。この磁力はさらに、回収装置200に接続された掃除機本体110の接続状態を保持するための保持力となる。これにより、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態では、回収装置200に対する掃除機100の位置及び姿勢が保持される。
【0036】
通気口236は、
図4及び
図5に示すように、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、排気口151に対向して形成されており、筐体210とファン室153とは、通気口236及び排気口151を通じて連通する。そして、回収室240と筐体210の周壁部271との間には、
図5に矢印で示す吸気流路246が形成されている。このため、筐体210では、吸気口234からの空気が吸気流路246を通じてファン室153に流入するように構成されている。
【0037】
回収口216は、
図7に示すように、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、排塵口124に対向して形成されており、貯塵室152内の空気が排塵口124及び回収口216を通じて塵埃流路230に流入するように構成されている。回収口216は、掃除機100の蓋体121が
図7に矢印で示す開姿勢になったときに、蓋体121が回収口216内に入り込めるような大きさを有している。
【0038】
回収室240内には、
図4に示すように、掃除機100から回収した塵埃を集積させるための空間が形成されている。回収室240の底壁245には、回収室240内の空間と吸引源250とを連通する円形の連通口が形成されている。連通口には、
図5に示すように、空気の通過を許容する一方で通過する空気に含まれた塵埃を捕捉する除塵フィルタ247が取り付けられている。
【0039】
吸引源250は、除塵フィルタ247を通じて回収室240内の空気を吸い込むように構成されている。吸引源250の吸引力は、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、回収室240及び塵埃流路230を通じて、掃除機100の蓋体121に作用する。吸引源250は、蓋体121を閉姿勢から開姿勢に傾動させるとともに、貯塵室152内の塵埃を吸引する大きさの吸引力が得られるように構成されている。吸引源250は、例えば、ファン及びモータにより構成されている。
【0040】
吸引源250に吸引された空気は、吸引源250と周壁部271との間に形成された空間に流入して、排気口235を通じて筐体210の外部に排気される。すなわち、掃除機100及び回収装置200では、吸気口234を上流端とし、排気口235を下流端とし、ファン室153、貯塵室152、塵埃流路230、回収室240及び吸引源250を繋ぐ流路が形成されている。掃除機100及び回収装置200は、吸引源250で吸引力が生じたときに、前記流路において
図4に矢印で示す回収気流が生じるように構成されている。
【0041】
(検出回路の構成)
筐体210内には、掃除機本体110に対する接触片283及び突出片299の接触状態を検出するための検出回路290が設けられている。検出回路290は、
図8に示す第1検出回路201と、
図9に示す第2検出回路202と、を含んでいる。第1検出回路201は、回収装置200の一対の接触片283に対応して構成されている。第2検出回路202は、回収装置200の突出片299に対応して構成されている。第1検出回路201及び第2検出回路202には、掃除機本体110に対する接触片283及び突出片299の接触状態を検出する接触検知部286が設けられている。接触検知部286は、制御部260に電気的に接続されている。
【0042】
第1検出回路201は、
図8に示すように、接触検知部286に加えて、給電部285が設けられている。給電部285は、一対の接触片283に電気的に接続されており、接触片283間において所定の電位差を生じさせるように構成されている。給電部285は、例えば、外部電源に電気的に接続されて、外部電源の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータにより構成されている。接触片283と電気接点171とが接触した状態では、給電部285と、接触片283と、電気接点171と、回路部170とを繋ぐ第1通電経路288が形成される。第1通電経路288には、給電部285からの電流が流れる。第1通電経路288に流れる電流は、接触検知部286によって検知される。
【0043】
第2検出回路202は、
図9に示すように、突出片299とともに変異するように突出片299に取り付けられた導電性のスイッチ片294と、電池295と、を含んでいる。スイッチ片294は、付勢部292(例えば、スプリング)により弾性的に支持されており、付勢部292は、スイッチ片294を穴部から突出させる方向にスイッチ片294及び突出片299を付勢する。掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれたときには、突出片299が穴部に没入して、スイッチ片294が開状態から閉状態となる。これにより、スイッチ片294、電池295とを繋ぐ第2通電経路289が形成される。第2通電経路289には、電池295からの電流が流れる。第2通電経路289を流れる電流もまた、接触検知部286によって検知される。
【0044】
接触検知部286は、第1通電経路288を流れる電流と、第2通電経路289を流れる電流とを検知することにより、接触片283及び突出片299が掃除機本体110の外面に接触したかどうかを判断する。接触片283及び突出片299が掃除機本体110の外面に接触している場合には、接触検知部286から制御部260に、掃除機本体110が回収装置200に接続されたことを表す検知信号が送られる。接触検知部286から検知信号を受け付けた制御部260により、吸引源250が作動される。
【0045】
(清掃作業時における掃除機の動作の説明)
掃除機100は、清掃作業時において、吸込ノズル130に対して掃除機本体110及び把持部140が後方に傾斜した姿勢で、使用者に保持される。吸込ノズル130に対して掃除機本体110及び把持部140が後方に傾斜した姿勢にすることで、吸込ノズル130を押しながら前方に移動させ易くなる。この状態において、吸引管113の内部空間は、吸込ノズル130の吸込空間131と連通している。
【0046】
使用者が操作部141を操作して、吸引ファン116を作動させると、吸引ファン116は、上向きの吸引力を発生させる。この吸引力により、逆止弁114は、吸引管113の上端を開く。吸引管113の上端が開かれると、吸引ファン116の吸引力は、吸込ノズル130の吸込空間131を通じて塵埃を吸引する吸引気流を生じさせる。吸引気流は、吸込ノズル130及び吸引管113を通過し、貯塵室152に流入する。床面上の塵埃は、吸引気流に乗って貯塵室152に流入し、貯塵室152に配置されたフィルタ部115により捕捉される。フィルタ部115により捕捉された塵埃は、貯塵室152内で貯留される。
【0047】
清掃作業が終了すると、使用者は操作部141を操作して、吸引ファン116を停止させる。この結果、吸引ファン116の吸引力はなくなるので、逆止弁114は、吸引管113の上端を閉じる。したがって、フィルタ部115により捕捉された塵埃は、吸引管113内に落下することなく、貯塵室152内に留められる。
【0048】
(塵埃回収時における回収装置の動作及び制御方法の説明)
使用者は、貯塵室152に貯まった塵埃を回収するために、回収装置200に掃除機100を取り付ける。詳細には、使用者は、回収装置200の台座板220上に掃除機100を設置し、掃除機本体110及び把持部140を直立姿勢にする。直立姿勢になった掃除機本体110が、回収装置200の凹溝部215に嵌め込まれると、掃除機100の蓋体121は、回収装置200の回収口216に前後方向に対向する。また、掃除機100のファン室153は、排気口151を通じて、回収装置200の吸気流路246に連通する。この状態において、回収装置200の接触片283及び突出片299は、掃除機本体110によって前方に押されており、接触片283及び突出片299は、接続壁214の穴部内に没入している。
【0049】
このとき、接触片283は掃除機本体110の電気接点171に接触しており、
図8に示す第1通電経路288が形成されて、第1通電経路288に電流が流れる。同時に、突出片299が穴部内に没入することにより、
図9に示す第2通電経路289が形成されて、第2通電経路289に電流が流れる。制御部260では、第1通電経路288及び第2通電経路289の電流を検知した接触検知部286から検知信号を受け付けることにより、吸引源250において吸引力を生じさせる吸引制御が開始される。
【0050】
図10に、吸引制御における吸引源250の吸引力と経過時間との関係を示す。
図10では、縦軸に吸引源250の吸引力が示されており、横軸に吸引制御を開始してからの経過時間が示されている。吸引制御が開始されると、制御部260は、
図10に示すように、吸引力の大きさを第1吸引力A10まで大きくするとともに第1吸引力A10が生じている状態を所定の第1吸引時間T10の間保持するように、吸引源250を制御する(第1吸引制御)。第1吸引力A10は、貯塵室152のフィルタ部115内に貯留されている塵埃を塵埃流路230を通じて回収室240に流入させ得る大きさの吸引力である。
【0051】
第1吸引制御が開始されると、吸引源250の吸引力は、回収室240及び塵埃流路230を通じて排塵口124に設けられた蓋体121に作用する。これにより、蓋体121は閉姿勢から
図7に示す開姿勢に傾動するため、排塵口124は開放されて、回収室240と、塵埃流路230と、貯塵室152と、ファン室153と、吸気流路246とは連通した状態になる。
【0052】
吸引源250の吸引力はさらに、回収室240、塵埃流路230、貯塵室152、ファン室153及び吸気流路246を通じて、吸気流路246の吸気口234に作用する。このため、
図4に矢印で示すように、筐体210の外の空気が回収気流として吸気口234から吸気流路246に流入し、通気口236、排気口151、ファン室153及び貯塵室152に順次流入する。回収気流は、貯塵室152を通過するときに、貯塵室152のフィルタ部115内に貯留されている塵埃を貯塵室152外に流出させる。
【0053】
排塵口124から流出した塵埃は、回収気流に乗って、回収口216及び塵埃流路230を通じて、回収室240内に流入する。回収室240内において、塵埃は、除塵フィルタ247により捕捉されて回収室240に貯留される。一方で、回収気流は、除塵フィルタ247、吸引源250を通過して、筐体210の排気口235から筐体210外に排気される。
【0054】
第1吸引制御の実行時において、回収気流は、フィルタ部115内に貯留されている塵埃だけでなく、メッシュフィルタ118の網目162内に詰まっている塵埃をも、網目162から押し流すようにして、貯塵室152外に流出させる。すなわち、掃除機100は、回収装置200からの吸引力により、網目162に詰まっている塵埃が取り除かれて、メッシュフィルタ118の目詰まりが抑制されるように構成されている。しかしながら、第1吸引制御を行ったにもかかわらず、一部の塵埃が網目162に詰まったままメッシュフィルタ118から除去されないことがある。
図11(a)は、網目162に詰まった状態の塵埃を模式的に示している。塵埃が網目162に詰まった状態で、掃除機100が回収装置から取り外されて清掃作業に使用されれば、メッシュフィルタ118の目詰まりがさらに進行する虞がある。
【0055】
第1吸引制御が行われた後、
図10に示すように、制御部260は、吸引力の大きさを第2吸引力A20まで小さくするとともに第2吸引力A20が生じている状態を所定の第2吸引時間T20の間保持するように、吸引源250を制御する(第2吸引制御)。第2吸引力A20は、第1吸引力A10よりも小さく且つ掃除機100及び回収装置200に回収気流を生じさせてメッシュフィルタ118を弾性的に変形させ得る大きさの吸引力である。第2吸引時間T20は、第1吸引時間T10よりも短かい時間であるが、第1吸引時間T10より長い時間であってもよい。
【0056】
第2吸引制御の実行時において、第1吸引制御の実行時とは異なる流速の回収気流が、貯塵室152に流入する。このため、フィルタ部115のメッシュフィルタ118は、回収気流(吸引源250からの吸引力)によって弾性的に変形するものの、第1吸引制御の実行時とは異なる変形状態に変化する。すなわち、第1吸引制御から第2吸引制御に切り替わったときに、メッシュフィルタ118の変形状態が変化するため、メッシュフィルタ118における網目162の形状や大きさが変化し得る。
【0057】
図11(b)に、第1吸引制御から第2吸引制御に切り替わったあとの網目162における塵埃の状態を模式的に示す。第1吸引制御では、網目162に塵埃が詰まった状態であったメッシュフィルタ118は、第2吸引制御を行うことにより、塵埃の詰まりが解消し得る変形状態に変化する。第2吸引制御によって、網目162に詰まっていた塵埃が、回収気流により網目162から押し流されて、
図11(b)に矢印で示すように、網目162から離れ得る。すなわち、掃除機100及び回収装置200では、第1吸引制御では網目162に詰まったまま残された塵埃を、第2吸引制御により網目162から離れさせることにより、メッシュフィルタ118の目詰まりを抑制するように構成されている。
【0058】
第2吸引制御が行われた後、制御部260は、吸引力の大きさを第1吸引力A10まで大きくして所定の第3吸引時間T30の間保持するように、吸引源250を制御する(第3吸引制御)。第3吸引時間T30は、第1吸引時間T10よりも短い時間であるが、第1吸引時間T10よりも長い時間であってもよい。
【0059】
第3吸引制御の実行時において、第2吸引制御によって網目162から押し流された貯塵室152の塵埃は、回収気流に乗って回収室240内に流入し、回収室240内の除塵フィルタ247に捕捉されて回収室240に貯留される。さらに、第3吸引制御では、第2吸引制御と異なる流速の回収気流が貯塵室152に流入するため、メッシュフィルタ118の変形状態がさらに変化し得る。これにより、第2吸引制御において網目162に詰まったまま残された塵埃を網目162から離れさせつつ、離れさせた塵埃を貯塵室152外に流出させられる。
【0060】
第3吸引制御が行われた後、制御部260は吸引源250の作動を停止させて、回収装置200の吸引制御を終了する。
【0061】
このように構成された掃除機100及び回収装置200では、第1吸引制御により、掃除機100のフィルタ部115内の塵埃が回収装置200の塵埃流路230に吸引される。このとき、フィルタ部115内の塵埃の一部がメッシュフィルタ118の網目162に詰まり、塵埃流路230に吸引されないことがある。しかし、第1吸引制御とは吸引力の異なる第2吸引制御により、メッシュフィルタ118の変形状態を変化させて、メッシュフィルタ118の網目162に詰まっている塵埃の詰まり状態を変化させて、吸引され易くさせることができる。
【0062】
網目162に詰まっている塵埃の詰まり状態を変化させた後、塵埃を回収するための動作が行われずに清掃作業のための動作が行われた場合には、吸引ファン116による貯塵室152からファン室153に向けて空気が流れる。この場合、第2吸引制御により吸引され易くさせた塵埃が、再びメッシュフィルタ118の網目162に詰まってしまう虞がある。しかし、回収装置200では第3吸引制御が行われるため、第2吸引制御によって吸引され易くさせた塵埃は、回収気流によりメッシュフィルタ118から押し流されて、貯塵室152外に流出する。この結果、回収装置200による塵埃回収の後では、掃除機100のフィルタ部115に残る塵埃は低減するため、掃除機100のフィルタ部115の目詰まりが抑制される。
【0063】
なお、第2吸引制御における第2吸引力A20は、掃除機100及び回収装置200において回収気流を生じさせてメッシュフィルタ118を弾性的に変形させつつ貯塵室152に貯留されている塵埃を貯塵室152外に流出させ得る大きさの吸引力であってもよい。この場合、第2吸引制御では、回収気流により、第1吸引制御において網目162に詰まったままの塵埃を網目162から押し流しつつ、押し流すことにより吸引され易くさせた塵埃を貯塵室152外に流出させられる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述の実施形態の回収装置は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0065】
100 掃除機
110 掃除機本体
115 フィルタ部
118 メッシュフィルタ
124 排塵口
152 貯塵室
162 網目
200 回収装置
230 塵埃流路
250 吸引源
260 制御部
【手続補正書】
【提出日】2022-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の通過を許容しつつ塵埃を捕捉する網目が形成されたフィルタ部を収容しているとともに前記フィルタ部によって捕捉された塵埃を排出するための排塵口が形成された貯塵室を有している掃除機から塵埃を回収する回収装置であって、
前記掃除機が前記回収装置に接続されたときに、前記排塵口を通じて前記貯塵室と連通する塵埃流路と、
前記貯塵室に連通した前記塵埃流路を通じて、前記貯塵室内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、
前記吸引源を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記フィルタ部に捕捉されている塵埃の少なくとも一部を前記塵埃流路に流入させるように前記吸引源の前記吸引力を制御する第1吸引制御と、
前記吸引源の前記吸引力を低減させて、前記吸引力による前記フィルタ部の変形状態を変えることにより、前記フィルタ部において前記網目に詰まった塵埃の詰まり状態を変化させる第2吸引制御と、
前記吸引源の前記吸引力を増加させて前記網目において詰まり状態が変化した塵埃の少なくとも一部を前記塵埃流路に流入させる第3吸引制御と、
を順次実行する、回収装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2吸引制御において、前記フィルタ部に捕捉されている塵埃の少なくとも一部を前記塵埃流路に流入させるように前記吸引源の前記吸引力を制御する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2吸引制御において、前記吸引源の作動を停止させる、請求項1に記載の回収装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回収装置に接続可能に構成された掃除機であって、
空気の通過を許容しつつ塵埃を捕捉する網目が形成されたフィルタ部と、
前記フィルタ部を収容している貯塵室と、を備え、
前記貯塵室には、前記掃除機が前記回収装置に接続されたときにおいて前記回収装置の前記塵埃流路に前記貯塵室を連通させる排塵口が形成されており、
前記フィルタ部は、前記回収装置が前記第1吸引制御乃至前記第3吸引制御を行っているときにおいて前記塵埃流路及び前記排塵口を通じて前記貯塵室に作用する前記吸引力によって弾性変形可能に構成されている、掃除機。
【請求項5】
前記フィルタ部は、不織布フィルタを含んでいる、請求項4に記載の掃除機。