(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026983
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】冷却媒体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20230221BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B23Q11/10 D
B23Q17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132477
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 均
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
【Fターム(参考)】
3C011EE06
3C029EE01
3C029EE03
(57)【要約】
【課題】工作機械の主軸から供給される冷却媒体の圧力を高めることができる冷却媒体噴射装置を提供する。
【解決手段】ポンプ200の回転部は、本体部材110に連結されている。本体部材110が工作機械10の主軸20に取り付けられた状態において、回り止め装置300の回り止めピン310は、工作機械10の嵌合孔41に嵌合するとともに、嵌合孔41の壁面41aに当接する。そして、回り止めピン310および回り止めレバー340が、スプリング320の弾性力に抗して軸方向一方側に移動し、回り止めレバー340と、本体部材110に設けられている係合孔113との係合が解除される。これにより、支持部(カバー150とケース160)が工作機械10に固定され、支持部の、本体部材110周りの回転が阻止される。また、本体部材110の、支持部に対する回転が可能となる。力検出センサー50は、壁面41aがピン310によって押圧される力を示す力検出信号を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸から供給される冷却媒体を、圧力を高めて噴射する冷却媒体噴射装置であって、
本体部と、支持部と、ポンプと、キャップと、ノズルと、回り止め装置と、力検出装置と、を備え、
前記本体部は、前記主軸に着脱自在に取り付けられ、また、前記主軸に取り付けられた状態において、前記主軸から供給される冷却媒体が通される本体部通路を有し、
前記支持部は、前記本体部が回転可能に配置される支持部内側空間と、第1通路と、第2通路と、を有し、前記第1通路は、前記本体部通路に連通しており、
前記ポンプは、前記本体部に連結されているとともに、前記支持部の前記支持部内側空間内に回転可能に配置される回転部と、前記支持部の前記第1通路に連通している吸入部と、前記支持部の前記第2通路に連通している吐出部と、を有し、前記回転部が回転することによって、前記吸入部から吸入した冷却媒体の圧力を高め、圧力を高めた冷却媒体を前記吐出部から吐出するように構成され、
前記キャップは、前記支持部の、前記ポンプより軸方向一方側の箇所に、前記支持部の前記支持部内側空間を閉じるように設けられ、また、前記支持部の前記第2通路に連通しているキャップ通路と、前記キャップ通路に連通しているノズル取り付け孔を有し、
前記ノズルは、前記キャップの前記ノズル取り付け孔に取り付けられ、また、冷却媒体を噴射する噴射孔と前記ノズル取り付け孔に連通しているノズル通路を有し、
前記回り止め装置は、前記支持部に設けられている押圧部材を有し、また、前記本体部が前記主軸に取り付けられた状態において、前記押圧部材が、工作機械に設けられている当接部に当接することにより、前記支持部が、前記本体部回りに回転するのを阻止するように構成され、
前記力検出装置は、前記当接部が前記押圧部材により押圧される力を示す力検出信号を出力する力検出センサーを有していることを特徴とする冷却媒体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却媒体噴射装置であって、
前記本体部を、前記主軸に対して軸方向他方側に移動させることによって、前記本体部が前記主軸に取り付けられるように構成され、
前記回り止め装置は、前記支持部に設けられている弾性力発生部を有し、
前記押圧部材は、前記支持部に対して軸方向に沿って移動可能であるとともに、工作機械に設けられている嵌合部に嵌合可能に形成され、
前記弾性力発生部は、前記押圧部材を、前記支持部に対して軸方向他方側に移動させる弾性力を発生し、
前記回り止め装置は、前記本体部が前記主軸に取り付けられた状態において、前記押圧部材が、前記嵌合部に嵌合し、また、前記嵌合部の壁面に当接して、前記弾性力発生部により発生する弾性力に抗して軸方向一方側に移動することにより、前記支持部が、前記本体部回りに回転するのを阻止するように構成されていることを特徴とする冷却媒体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却媒体噴射装置であって、
前記回り止め装置は、前記本体部に設けられている係合部と、前記押圧部材と連動して軸方向に沿って移動し、前記本体部に設けられている前記係合部と係合可能な係合部材を有し、
前記回り止め装置は、前記本体部が前記主軸に取り付けられていない状態では、前記係合部材が、前記係合部と係合する係合位置に配置されて、前記本体部の、前記支持部に対する回転が阻止され、前記本体部が前記主軸に取り付けられた状態では、前記係合部材が、前記係合部との係合が解除される係合解除位置に配置されて、前記本体部の、前記支持部に対する回転が可能となるように構成されていることを特徴とする冷却委媒体噴射装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の冷却媒体噴射装置であって、
前記支持部の前記第2通路内の冷却媒体の圧力が、前記押圧部材を軸方向他方側に移動させる力として作用するように構成されていることを特徴とする冷却媒体噴射装置。
【請求項5】
請求項2に記載の冷却媒体噴射装置であって、
前記回り止め装置は、前記弾性力発生部により発生する弾性力を前記押圧部材に伝達する伝達部材を有し、
前記支持部の前記第2通路内の冷却媒体の圧力が、前記伝達部材を介して、前記押圧部材を軸方向他方側に移動させる力として前記押圧部材に伝達されるように構成されていることを特徴とする冷却媒体噴射装置。
【請求項6】
請求項3に記載の冷却媒体噴射装置であって、
前記支持部に対して軸方向に沿って移動可能であるとともに、前記本体部が前記主軸に取り付けられた状態において、前記係合部材に当接する伝達部材を備え、
前記本体部が前記主軸に取り付けられた状態において、前記支持部の前記第2通路内の冷却媒体の圧力が、前記伝達部材および前記係合部材を介して、前記押圧部材を軸方向他方側に移動させる力として前記押圧部材に伝達されるように構成されていることを特徴とする冷却媒体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の主軸から供給される冷却媒体を噴射する冷却媒体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製のワークの切削加工等を行う工作機械では、工作機械の主軸(「スピンドル」と呼ばれる)に取り付け可能な工具ホルダが用いられている。また、工具によりワークを加工する際には、ワークと工具との潤滑、ワークや工具の冷却、加工により発生した切り屑(「切粉」と呼ばれることもある)の除去(洗浄)等のために、油等の冷却媒体を工具の刃先等に噴射する必要がある。このため、工作機械の主軸から供給される冷却媒体を通し、工具の刃先等に噴射する冷却媒体噴射機構が設けられた工具ホルダが用いられている。さらに、冷却媒体を安定して噴射することができるようにするために、特許文献1(特開昭62-4550号公報)に開示されているような、主軸に連結される回転部を有するポンプにより構成される冷却媒体噴射機構が設けられた工具ホルダが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な工作機械の主軸から供給される冷却媒体の圧力では、工具ホルダに設けられている冷却媒体噴射機構から噴射される冷却媒体によって、ワークの加工時に発生する切り屑を十分に除去することができない。また、ワークの加工時に発生するバリも十分に除去することができない。
このため、作業員は、ワークを加工した後、ワークに残っている切り屑やバリを除去する作業(除去作業)を行っていた。
ここで、工具ホルダに設けられている冷却媒体噴射機構から噴射される冷却媒体の圧力を高めることによって、切り屑やバリの除去効果を高めることが考えられる。
工具ホルダに設けられている冷却媒体噴射機構から噴射される冷却媒体の圧力を高めるには、工作機械の主軸から供給される冷却媒体の圧力を高める必要がある。
しかしながら、工作機械の主軸から供給される冷却媒体の圧力を高めるためには、工作機械を高圧仕様に設計する必要があり、非常に高価となる。
また、特許文献1に開示されているような、主軸に連結される回転部を有するポンプにより構成される冷却媒体噴射機構が設けられた工具ホルダを用い、ポンプの回転部の回転数を高めることによって、冷却媒体噴射機構から噴射される冷却媒体の圧力を高めることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されている工具ホルダは、保持している工具を用いてワークを加工しながら、工具の刃先等に冷却媒体を噴射するものである。このため、工具ホルダの回転数を高めるには限界がある。
さらに、特許文献1に開示されている工具ホルダでは、冷却媒体噴射機構の噴射孔が主軸とともに回転する。このため、噴射孔から噴射される冷却媒体の噴射方向が遠心力によって拡散し、冷却媒体を、所定箇所に集中的に噴射させることができない。すなわち、冷却媒体を、切り屑が残り易い箇所やバリが発生し易い個所に集中的に噴射させることができない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、工作機械の主軸から供給される冷却媒体の圧力を高めることができるとともに、圧力を高めた冷却媒体を所定個所に集中的に噴射することができる冷却媒体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の冷却媒体噴射装置は、本体部、支持部、ポンプ、キャップ、ノズル、回り止め装置および力検出装置を備えている。
本体部は、工作機械の主軸に着脱自在に取り付けられる。また、本体部は、主軸に取り付けられた状態において、主軸から供給される冷却媒体が通される本体部通路を有している。本体部を主軸に取り付ける方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、本体部の後端側にプルスタッドを取り付け、プルスタッドを主軸側に引き込む方法が用いられる。
支持部は、支持部内側空間を有する筒状に形成される。支持部内側空間内には、本体部が回転可能に配置される。また、支持部は、冷却媒体を通す第1通路と第2通路を有している。第1通路は、本体部の本体部通路に連通している。第1通路を本体部通路に連通する方法としては、種々の方法を用いることができる。
ポンプは、回転部、吸入部および吐出部を有している。ポンプの回転部は、本体部に連結されているとともに、支持部の支持部内側空間内に回転可能に配置される。吸入部は、第1通路に連通し、吐出部は、第2通路に連通している。ポンプは、回転部が回転することによって、吸入部から吸入した冷却媒体の圧力を高め、圧力を高めた冷却媒体を吐出部から吐出する。ポンプとしては種々の構成のポンプを用いることができる。ポンプの回転部は、本体部の回転に連動して回転すればよく、本体部に直接連結してもよいし、他の部材を介して連結してもよい。
キャップは、支持部の、ポンプより軸方向一方側(先端側)の箇所に、支持部の支持部内側空間を閉じるように設けられる。また、キャップは、ノズルが取り付けられるノズル取り付け孔と、ノズル取り付け孔に連通しているキャップ通路を有している。
ノズルは、噴射孔を有するノズル通路が形成されている。ノズルは、キャップのノズル取り付け孔に、ノズル通路がノズル取り付け孔に連通するように取り付けられる。
本発明では、支持部内側空間内に配置されている本体部は、支持部に対して、相対的に回転可能である。このため、本体部が主軸に取り付けられている状態(ポンプを作動させる場合)において、支持部が本体部回りに回転するのを阻止する回り止め装置を備えている。
なお、ポンプを作動させる場合には、本体部(ポンプの回転部)が取り付けられた主軸の回転数は、ノズルの噴射孔から噴射される冷却媒体の圧力が、切り屑やバリ等を除去するのに必要な圧力となるように設定される。
回り止め装置は、支持部に設けられている押圧部材を有している。また、回り止め装置は、本体部が主軸に取り付けられた状態において、押圧部材が、工作機械に設けられている当接部に当接することにより、支持部の、本体部回りの回転が阻止されるように構成されている。
力検出装置は、力検出センサーを有している。力検出センサーは、当接部が押圧部材により押圧される力を示す力検出信号を出力する。力検出センサーとしては、公知の種々の構成の力検出センサーを用いることができる。例えば、押圧される力に比例して変形する起歪体を有するロードセルを用いることができる。なお、力検出センサーは、当接部側(工作機械側)と押圧部材側(支持部側)のいずれに設けてもよい。
力検出センサーから出力される力検出信号で示される力が、正常範囲内であるか否かによって、当接部に対する押圧部材の押圧状態、すなわち、回り止め装置の作動状態を判別することができる。例えば、力検出信号で示される力が、正常範囲の下限値より低下していることにより、押圧部材を当接部に押圧する力が低下していることを判別することができる。これにより、冷却媒体噴射装置の状態(点検、補修あるいは交換等が必要である否か)を容易に判別することができる。
本発明の冷却媒体噴射装置では、工作機械の主軸から供給される冷却媒体の圧力を、ワークの加工時に発生する切り屑やバリを除去可能な圧力に高めることができるとともに、冷却媒体を所定方向に集中的に噴射させることができる。このため、本発明の冷却媒体噴射装置を用いることにより、工具を用いて加工作業を行った後にワークに残っている切り屑やバリを、安価に、簡単な構成で、確実に除去することができる。また、冷却媒体噴射装置の状態を容易に判別することができる。
本発明の異なる形態では、本体部を、主軸に対して軸方向他方側(後端側)に移動させることによって、本体部が主軸に取り付けられるように構成されている。
回り止め装置は、支持部に設けられている弾性力発生部を有している。
押圧部材は、支持部に対して軸方向に沿って移動可能であるとともに、工作機械に設けられている嵌合部に嵌合可能に形成されている。押圧部材としては、例えば、ピンが用いられる。
弾性力発生部は、押圧部材を、支持部に対して軸方向他方側に移動させる弾性力を発生する。
回り止め装置は、本体部が主軸に取り付けられた状態において、押圧部材が、嵌合部に嵌合するとともに、当接部である、嵌合部の壁面に当接し、弾性力発生部により発生する弾性力に抗して軸方向一方側に移動する。嵌合孔は、押圧部材が嵌合孔に嵌合した状態において、支持部が本体部回りに回転するのが阻止されるように形成される。本形態の回り止め装置は、嵌合孔への押圧部材の嵌合と、嵌合孔の壁面への押圧部材の当接(押圧)により、支持部が本体部回りに回転するのが阻止される。
本形態では、支持部の、本体部回りの回転をより確実に阻止することができる。
本発明の異なる形態では、回り止め装置は、係合部と係合部材を有している。係合部は、本体部に設けられている。係合部材は、押圧部材と連動して軸方向に沿って移動し、本体部に設けられている係合部と係合可能に形成されている。
回り止め装置は、本体部が主軸に取り付けられていない状態では、係合部材が、係合部と係合する係合位置に配置されて、本体部の、支持部に対する回転が阻止されるように構成されている。また、本体部が主軸に取り付けられた状態では、係合部材が、係合部との係合が解除される係合解除位置に配置されて、本体部の、支持部に対する回転が可能となるように構成されている。
本形態では、本体部が主軸に取り付けられていない状態において、本体部と支持部を容易に管理することができ、本体部が主軸に取り付けられた状態において、本体部、すなわち、本体部に連結されているポンプの回転部を、確実に回転させることができる。
ここで、支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力は、ノズルの噴射孔から噴射される冷却媒体の圧力に対応している。このため、支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力を判別することができるように構成するのが好ましい。支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力を判別することにより、ノズルの噴射孔からの冷却媒体の噴射状態、すなわち、冷却媒体噴射装置の状態を判別することができる。
本発明の異なる形態では、支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力が、押圧部材を軸方向他方側(後端側)に移動させる力として作用するように構成されている。支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力を押圧部材に直接作用させてもよいし、間接的に作用させてもよい。
冷却媒体噴射装置のポンプは、ポンプの回転部を所定回転数で回転させた時に所定圧力を有する冷却媒体を吐出するように構成されている。
本体部が主軸に取り付けられているが、主軸(ポンプの回転部)が回転していない状態では、押圧部材が嵌合部の壁面を押圧する力(押圧力)は、弾性力発生部により発生する弾性力Faに対応する。すなわち、力検出センサーは、弾性力Faに対応する力(押圧力)Gaを示す力検出信号を出力する。一方、本体部が主軸に取り付けられ、主軸(ポンプの回転部)が所定回転数で回転している状態では、押圧部材が嵌合部の壁面を押圧する力(押圧力)は、弾性力発生部により発生する弾性力Faに対応する力(押圧力)Gaと第2通路内の冷却媒体の圧力Tに対応する力(押圧力)Gbの和である。すなわち、力検出センサーは、弾性力Faに対応する力(押圧力)Gaと冷却媒体の圧力Tに対応する力(押圧力)Gbの和Gc(=Ga+Gb)を示す力検出信号を出力する。
ポンプの性能が低下した場合には、第2通路内の冷却媒体の圧力Tが低下し、また、ノズルの噴射孔が詰まった場合には、第2通路内の冷却媒体の圧力Tが増加する。このため、第2通路内の圧力Tに基づいて、ポンプ性能が低下した状態やノズルの噴射孔が詰まった状態等を判別することができる。
第2通路内の冷却媒体の圧力Tは、力検出センサーから出力される力検出信号に基づいて判別することができる。例えば、ポンプの回転部が所定回転数で回転している時の力(押圧力)Gcとポンプの回転部が停止している時の力(押圧力)Gaの差Gb(=Gc-Ga)に基づいて、第2通路内の冷却媒体の圧力Tを判別することができる。
本形態では、冷却媒体噴射装置の状態(点検、補修あるいは交換等が必要である否か)をより確実に判別することができる。
本発明の異なる形態では、回り止め装置は、弾性力発生部により発生する弾性力を押圧部材に伝達する伝達部材を有している。そして、回り止め装置は、支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力が、伝達部材を介して、押圧部材を軸方向他方側(後端側)に移動させる力として押圧部材に伝達されるように構成されている。
本形態では、簡単な構成で、第2通路内の冷却媒体の圧力を判別することができる。
本発明の異なる形態では、支持部に対して軸方向に沿って移動可能であるとともに、本体部が主軸に取り付けられた状態において、係合部材に当接可能な伝達部材を備えている。
そして、本体部が主軸に取り付けられた状態において、支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力が、伝達部材および係合部材を介して、押圧部材を軸方向他方側(後端側)に移動させる力として押圧部材に伝達されるように構成されている。
本形態では、簡単な構成で、第2通路内の冷却媒体の圧力を判別することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の冷却媒体噴射装置を用いることにより、冷却媒体の圧力を高めることができるとともに、圧力を高めた冷却媒体を所定個所に集中的に照射することができ、加工後のワークに残っている切り屑やバリを容易に、確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の冷却媒体噴射装置の断面図である。
【
図2】第1実施形態の冷却媒体噴射装置を工作機械に取り付ける動作を説明する図である。
【
図4】第1実施形態の冷却媒体噴射装置を工作機械に取り付けた状態を示す図である。
【
図5】第2実施形態の冷却媒体噴射装置の断面図である。
【
図6】第2実施形態の冷却媒体噴射装置を工作機械に取り付ける動作を説明する図である。
【
図9】第2実施形態の冷却媒体噴射装置を工作機械に取り付けた状態を示す図である。
【
図10】第3実施形態の冷却媒体噴射装置の断面図である。
【
図11】第3実施形態の冷却媒体噴射装置を工作機械に取り付ける動作を説明する図である。
【
図12】第3実施形態の冷却媒体噴射装置を工作機械に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の冷却媒体噴射装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、以下では、冷却媒体噴射装置の中心線Pに沿った方向を「軸方向」といい、ノズルが配置されている側(
図1、
図5、
図10では矢印A方向(右側))を「先端側」あるいは「軸方向先端側」といい、ノズルが配置されている側と反対側(本体部材が配置されている側)(
図1、
図5、
図10では矢印B方向(左側))を「後端側」あるいは「軸方向後端側」という。
【0009】
本発明の冷却媒体噴射装置の第1実施形態を、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100の断面図であり、
図2は、
図1の要部の部分拡大図である。
図3は、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100を工作機械10に取り付ける動作を説明する図である。
図4は、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100を工作機械10に取り付けた状態を示す図である。
【0010】
第1実施形態の冷却媒体噴射装置100は、本体部、支持部、キャップ170、ノズル180、ポンプ200、回り止め装置300、力検出装置を有している。
【0011】
本体部は、本体部材110とアダプタ130により構成されている。
本体部材110は、後端側に、工作機械10の主軸20に取り付けられるシャンク部112を有している。シャンク部112に対応する本体部材外周面部分112aは、先端側から後端側に向かって外径が小さくなるように傾斜しているテーパー面に形成されている。本体部材外周面部分112aのテーパー面は、後述する、工作機械10の主軸20の主軸内周面部分21aのテーパー面とテーパー嵌合可能に形成されている。また、本体部材110は、後述する、カバー150に設けられている回り止めレバー340が係合可能な係合孔113を有している。
また、本体部材110は、中心側に軸方向に沿って延在する本体部材通路111を有している。本体部材通路111は、本体部材110のシャンク部112が主軸20に取り付けられた状態において、主軸20から供給される冷却媒体が通るように形成されている。
フィルタ115は、本体部材通路111内に配置され、本体部材通路111を通る冷却媒体に含まれている異物を除去する。フィルタ115としては、冷却媒体に含まれている異物を除去可能な公知の種々のフィルタを用いることができる。
【0012】
アダプタ130は、本体部材110の先端側に取り付けられている。本実施形態では、アダプタ130の後端側の部分が、本体部材110の本体部材通路111内に、本体部材110の先端側から挿入されてネジ結合されている。また、アダプタ130の先端側の部分は、本体部材110の先端側端面から飛び出ている。本体部材110とアダプタ130の間には、Oリング等のシール部材が配置されている。
アダプタ130は、冷却媒体が通るアダプタ通路131を有している。本実施形態では、アダプタ通路131は、軸方向に沿って延在する第1通路部分と、第1通路部分の先端側に接続され、径方向に沿って延在する第2通路部分を有している。第1通路部分の後端側は、本体部材通路111と連通し、第2通路部分は、アダプタ130の先端側の部分の外周面に開口している。
本体部材110とアダプタ130によって、本発明の「本体部」が構成され、本体部材通路111とアダプタ通路131によって、本発明の「本体部通路」が形成されている。
【0013】
支持部は、本体部(本体部材110、アダプタ130)およびポンプ200の回転部を回転可能に支持する。支持部は、カバー150、ケース160、リング部材190により構成されている。
【0014】
カバー150のカバー内側空間内には、ベアリング(軸受け)151を介して本体部材110が回転可能に配置されている。これにより、本体部材110は、カバー150に対して回転可能である。
カバー150は、本体部材110が配置されるカバー内側空間と径方向(軸方向と直交する方向)に離間する位置に軸方向に沿って延在し、後端側が開口している孔152を有している。孔152内には、回り止めピン310が、孔152の延在方向に沿って移動可能に挿入されている。回り止めピン310は、軸方向に沿って延在し、先端側が開口している孔311を有している。
そして、孔311の底壁311aと孔152の底壁152aとの間にスプリング320が配置されている。
スプリング320の弾性力は、回り止めピン310を軸方向後端側に移動させるように作用する。すなわち、回り止めピン310は、スプリング320の弾性力によって、孔152から抜け出る方向(後端側)に移動する力が加えられる。
【0015】
回り止めピン310の後端側には、回り止めレバー340が固定されている。回り止めレバー340の軸方向に沿った位置は、回り止めピン310にネジ結合されているナット341によって調整される。
本体部材110が主軸20に取り付けられていない状態(カバー150が工作機械10に固定されてない状態)では、回り止めピン310は、スプリング320の弾性力によって、孔152から抜け出る方向(後端側)に移動する。この時、回り止めレバー340は、本体部材110の係合孔113を係合する係合位置(
図3に破線で示されている位置)に移動する。これにより、カバー150に対する本体部材110の回転が阻止される。
一方、本体部材110が主軸20に取り付けられた状態(カバー150が工作機械10に固定された状態)では、回り止めピン310は、嵌合孔41の壁面41aに当接し、スプリング320の弾性力に抗して、孔152内に挿入される方向(先端側)に移動する。この時、回り止めレバー340は、本体部材110の係合孔113との係合が解除される係合解除位置(
図3に実線で示されている位置)に移動する。これにより、カバー150に対する本体部材110の回転が可能となる。
【0016】
ケース160は、ボルト等によってカバー150の先端側に固定されている。
ケース160は、ケース第1通路161とケース第2通路162を有している。
リング部材190は、ケース160の後端側の部分とアダプタ130の先端側の部分との間に配置されている。リング部材190は、径方向に延在し、リング部材190の内周面および外周面に開口しているリング部材通路191を有している。リング部材190は、リング部材通路191とアダプタ通路131(詳しくは、アダプタ通路131の第2通路部分)およびケース第1通路161が連通するように配置される。
リング部材190とアダプタ130の間およびリング部材190とケース160の間には、シール部材(例えば、Oリング)が配置される。
【0017】
ポンプ200は、吸入部201、吐出部202、回転部を有している。
回転部は、ケース160のケース内側空間内に回転可能に配置されている。
ポンプ200の回転部は、後端側が本体部材110に連結されている。本実施形態では、回転部の後端側は、本体部材110に連結されているアダプタ130に、ノックピン140を介して連結されている。また、回転部の先端側の部分は、キャップ170に形成されている凹部内に回転可能に支持されている。すなわち、回転部は、ケース160のケース内側空間内に回転可能に配置されている。これにより、主軸20に取り付けられる本体部材110の回転に連動して、ポンプ200の回転部が回転する。
吸入部201は、ケース第1通路161に連通している。また、吐出部202は、ケース第2通路162に連通している。
ポンプ200は、回転部の回転によって、吸入部201から吸入した冷却媒体の圧力を、回転部の回転数に対応する圧力に高め、圧力を高めた冷却媒体を吐出部202から吐出する。
ポンプ200としては、回転部を有する、公知の種々のポンプを用いることができる。本実施形態では、内接型ギヤポンプを用いている。
【0018】
カバー150、ケース160、リング部材190によって、本発明の「支持部」が構成されている。また、リング部材通路191とケース第1通路161によって、本発明の「支持部の第1通路」が構成され、ケース第2通路162によって、本発明の「支持部の第2通路」が構成されている。また、ケース160、回転部、吸入部201、吐出部202によって、本発明の「ポンプ」が構成されている。
【0019】
キャップ170は、ボルト等によって、ケース160の先端側に、ケース160のケース内側空間を塞ぐように固定される。
キャップ170は、ノズル180が取り付けられるノズル取り付け孔171と、ノズル取り付け孔171に連通しているキャップ通路172を有している。
キャップ170は、キャップ通路172がケース160のケース第2通路162と連通するように、ケース160に固定される。
ノズル180は、噴射孔182に連通しているノズル通路181を有している。
ノズル180は、ノズル通路181がノズル取り付け孔171に連通するように、ノズル取り付け孔171に取り付けられる。
【0020】
なお、工作機械10には、固定部40が設けられている。
固定部40には、本体部材110が主軸20に取り付けられた状態において、回り止めピン310の後端部が嵌合される(挿入される)嵌合孔(挿入孔)41が設けられている。
また、嵌合孔41の壁面41a(回り止めピン310の後端部が嵌合孔41に嵌合した状態で、回り止めピン310の回り止めピン後端面312と対向する面)に、回り止めピン後端面312と当接する当接部が設けられている。
さらに、回り止めピン310(詳しくは、回り止めピン後端面312)により当接部が押圧される力(押圧力)を検出する力検出センサー50が設けられている。本実施形態では、本体部材110が主軸20に取り付けられた状態において、受圧面51が回り止めピン後端面312と当接するように、力検出センサー50を配置している。
力検出センサー50としては、公知の力検出センサーを用いることができる。本実施形態では、押圧される力に比例して変形する起歪体を有するロードセルを用いている。
【0021】
工作機械10側に設けられている嵌合孔(挿入孔)41が、本発明の「嵌合部(挿入部)」に対応し、回り止めピン310が、本発明の「押圧部材」に対応し、嵌合孔(挿入孔)41の壁面41aが、本発明の「当接部」に対応し、スプリング320が、本発明の「弾性力発生部」に対応する。
また、本体部材110に設けられている係合孔113が、本発明の「係合部」に対応し、回り止めピン310に固定されている回り止めレバー340が、本発明の「係合部材」に対応する。
回り止めピン310、スプリング320、回り止めレバー340、係合孔113、嵌合孔41、嵌合孔41の壁面41aによって、本発明の「回り止め装置」が構成される。
力検出センサー50が、本発明の「当接部が押圧部により押圧される力を検出し、力検出信号を出力する力検出センサー」あるいは「当接部が押圧部により押圧される押圧力を検出し、押圧力検出信号を出力する押圧力検出センサー」あるいは「当接部が押圧部により押圧される荷重を検出し、荷重検出信号を出力する荷重検出センサーに対応する。また、「力検出センサー(押圧力検出センサー、荷重検出センサー)50によって、本発明の「力検出装置(押圧力検出装置、荷重検出センサー)」が構成される。
【0022】
次に、本実施形態の冷却媒体噴射装置100を工作機械10に取り付ける動作の一例を、
図2を参照して説明する。
本体部材110の後端側に、プルスタッド120が取り付けられる。例えば、プルスタッド120の外周面に形成されている雄ネジと、本体部材通路111を形成する本体部材内周面に形成されている雌ネジをネジ結合させる。プルスタッド120は、中心側に、軸方向に沿って延在し、両端が開口しているプルスタッド通路121を有している。プルスタッド120が本体部材110の後端側に取り付けられることによって、プルスタッド通路121と本体部材通路111が連通する。
プルスタッド120の後端側の部分を、工作機械10の主軸20の主軸内周面21により形成される主軸内側空間20a内に挿入する。そして、工作機械10側に設けられている引き込み部材30によりプルスタッド120を工作機械10側(後端側)に引き込む。主軸内周面21の先端側の主軸内周面部分21aは、内径が先端側から後端側に向かって小さくなるように傾斜しているテーパー面に形成されている。これにより、プルスタッド120が主軸内側空間20a内に引き込まれると、本体部材外周面部分112aと主軸内周面部分12aがテーパー嵌合し、本体部材外周面部分112a(シャンク部112)が主軸内周面部分21aにより挟持される。すなわち、本体部材110が主軸20に取り付けられる。
【0023】
また、本体部材110が後端側に移動することによって、カバー150も後端側に移動し、カバー150に設けられている回り止めピン310の後端部が、工作機械10側に形成されている嵌合孔41に嵌合される(挿入される)。そして、回り止めピン後端面312が嵌合孔41の壁面41aに当接する。この時、嵌合孔41の壁面41aは、スプリング320の弾性力によって、回り止めピン後端面312により押圧される。さらに、回り止めピン310は、スプリング320の弾性力に抗して、孔152内に挿入される方向(先端側)に移動する。
なお、嵌合孔41は、回り止めピン310が嵌合孔41に嵌合した(挿入された)状態において、回り止めピン310(カバー150)の、本体部材110回り(中性線P回り)の回転を阻止するように形成されている。例えば、嵌合孔41は、周方向両側に、回り止めピン310が当接可能な壁面を有するように形成される。
嵌合孔41の壁面41aが回り止めピン310の回り止めピン後端面312により押圧されることによって、また、回り止めピン310が嵌合孔41に嵌合する(挿入される)ことによって、カバー150が工作機械10に固定され、カバー150の、本体部材110回りの回転が阻止される。
【0024】
また、回り止めピン310が、スプリング320の弾性力に抗して先端側に移動することにより、回り止めピン310に固定されている回り止めレバー340が先端側に移動する。
そして、本体部材110が主軸20に取り付けられた状態では、回り止めレバー340は、本体部材110の係合孔113との係合が解除される解除位置に移動する。これにより、本体部材110、アダプタ130およびポンプ200の回転部は、カバー150およびケース160に対して回転可能となる。
【0025】
このような状態において、主軸20が回転すると、本体部材110、アダプタ130およびポンプ200の回転部が回転する。
ポンプ200の回転部が回転すると、主軸20から供給される冷却媒体が、プルスタッド通路121、本体部材通路111(フィルタ115を含む)、アダプタ通路151、リング部材通路191、ケース第1通路161を介して、ポンプ200の吸入部201から吸入される。そして、ポンプ200によって圧力が高められた(増圧された)冷却媒体が、ポンプ200の吐出部202、ケース第2通路162、キャップ通路172、ノズル取り付け孔171を介してノズル通路181に送られ、噴射孔182から噴射される。
本実施形態では、カバー150は、工作機械10に固定され、ケース160は、カバー150に固定され、キャップ170は、ケース160に固定され、ノズル180は、キャップ170に固定されている。すなわち、ノズル180は、キャップ170、ケース160、カバー150を介して工作機械10に回転不能に固定される。このため、ノズル180の噴射孔182から噴射される冷却媒体は、従来技術のように、噴射孔の回転による遠心力の影響を受けることがなく、所定箇所に集中的に噴射することができる。
冷却媒体に含まれている異物は、本体部材通路111に配置されているフィルタ115によって除去される。
【0026】
工具を用いてワークを加工する際の動作の一例を以下に説明する。以下では、工具を保持している複数の工具ホルダを収容可能なツールマガジンを備え、加工プログラムにより、ツールマガジンに収納されている複数の工具ホルダの中から選択した工具ホルダを主軸に取り付け、選択した工具ホルダに保持されている工具を用いてワークを加工する工作機械(「マシニングセンター」と呼ばれている)について説明する。なお、主軸20から、主軸20に取り付けられている工具ホルダに冷却媒体を供給可能に構成されている。
冷却媒体噴射装置100は、複数の工具ホルダとともにツールマガジンに収納される。
工作機械に、ワークを取り付ける。
ツールマガジンに収容されている工具ホルダの中から、加工に必要な工具を保持している工具ホルダを選択し、主軸20に取り付ける。主軸20に取り付けられた工具ホルダに保持されている工具を用いてワークを加工する。
ワークの加工を行った後、ツールマガジンに収容されている冷却媒体噴射装置100を使用可能な状態に設定する。詳しくは、本体部材110を主軸20に取り付け、カバー150を工作機械10に固定する。これにより、主軸20から供給される冷却媒体を、ノズル180の噴射孔182から噴射可能な状態にすることができる。
そして、主軸20の回転数を、ノズル180の噴射孔182から噴射される冷却媒体の圧力が切り屑やバリを除去可能な圧力となるように設定する。
本実施形態では、ポンプ200の吐出特性(回転数-吐出圧力特性)は、所定回転数において、切り屑やバリを除去可能な冷却媒体を噴射孔182から噴射させることができる所定圧力を有する冷却媒体を吐出するように構成されている。このため、主軸20の回転数は、所定回転数に設定される。
そして、ノズル180の噴射孔182から、加工が終了したワークの、切り屑が残っている個所(あるいは、切り屑が残り易い箇所)やバリが発生している個所(あるいは、バリが発生し易い箇所)に冷却媒体を噴射させながら、冷却媒体噴射装置100(またはワーク)を移動させる。
以上のように、本実施形態の冷却媒体噴射装置100を用いることにより、加工後のワークに残っている切り屑や加工時に形成されたバリを、主軸20から供給される冷却媒体を簡素な構成で所定方向に集中的に噴射させて、また、作業員による除去作業を必要とすることなく、確実に除去することができる。
なお、冷却媒体噴射装置100を用いて切り屑やバリを除去する動作は、前記説明した動作に限定されない。
【0027】
ここで、回り止めピン310の回り止めピン後端面312が、嵌合孔41の壁面41aを押圧する圧力が低下すると、回り止め装置300の動作が不安定となる。このため、回り止めピン後端面312が壁面41aを押圧する力が低下した場合には、冷却媒体噴射装置100を点検、補修あるいは交換する必要がある。
本実施形態では、回り止めピン310の回り止めピン後端面312が、嵌合孔41の壁面41aを押圧する力を検出する力検出センサー50を有する力検出装置を備えている。
なお、以上の説明では、力検出センサー50を嵌合孔41側(当接部側)に設けたが、回り止めピン310側(押圧部材側)に設けることもできる。
【0028】
本実施形態では、本体部材110が主軸20に取り付けられた状態において、回り止めピン後端面312は、スプリング320の弾性力(回り止めピン310が先端側に移動することにより圧縮された状態の弾性力)Faに対応する力Gaにより、嵌合孔41の壁面41aを押圧している。この場合、力検出センサー50から出力される力検出信号は、弾性力Faに対応する力Gaを示す。
力検出センサー50から出力される力検出信号は、例えば、表示装置や警報装置に送られる。
表示装置は、力検出センサー50から送られる力検出信号で示される力を表示する。作業員は、表示装置に表示される力が正常範囲内でない場合には、冷却媒体噴射装置100の状態が、点検、補修あるいは交換する必要がある状態(異常状態)であることを判別する。例えば、表示装置に表示される力が、正常範囲の下限値より低下すると、カバー150を工作機械10に固定する力が低下している可能性があることを判別する。
警報装置は、力検出センサー50から送られる力検出信号で示される力が正常範囲内であるか否かを判断する。そして、力検出信号で示される力が正常範囲内でないと判断した場合には、冷却媒体噴射装置100の状態が、点検、補修あるいは交換する必要がある状態(異常状態)であることを作業員に報知する。例えば、力検出信号で示される力が、正常範囲の下限値より低下すると、カバー150を工作機械10に固定する力が低下している可能性があることを報知する。
【0029】
次に、本発明の冷却媒体噴射装置の第2実施形態を
図5~
図9を参照して説明する。
図5は、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400の断面図であり、
図6は、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400を工作機械10に取り付ける動作を説明する図である。
図7は、
図5の要部の部分拡大図であり、
図8は、
図6の要部の部分拡大図である。
図9は、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400を工作機械10に取り付けた状態を示す図である。
【0030】
第1実施形態の冷却媒体噴射装置では、冷却媒体噴射装置の状態(カバーが工作機械に固定されている状態)を、回り止めピン後端面が嵌合孔の壁面を押圧する圧力に基づいて判別している。
ここで、ポンプの性能が低下すると、所定回転数において、ポンプの吐出部から吐出される冷却媒体の圧力が低下し、ケース第2通路内の冷却媒体の圧力が低下する。ケース第2通路内の冷却媒体の圧力が低下すると、ノズルの噴射孔から噴射される冷却媒体の圧力も低下し、切り屑やバリの除去効果が低下する。このため、ケース第2通路内の冷却媒体の圧力が低下した場合には、冷却媒体噴射装置を点検、補修あるいは交換する必要がある。
また、ノズルの噴射孔が詰まると、ノズルの噴射孔から噴射される冷却媒体の圧力が低下し、切り屑やバリの除去効果が低下する。このため、ノズルの噴射孔が詰まった場合には、冷却媒体噴射装置を点検、補修あるいは交換する必要がある。なお、ポンプが、所定回転数において、所定圧力の冷却媒体を吐出部から吐出している状態で、ノズルの噴射孔が詰まると、ノズルの噴射孔から噴射される冷却媒体の流量が減少し、ケース第2通路内の冷却媒体の圧力が増加する。したがって、ノズルの噴射孔が詰まっている状態は、ケース第2通路内の冷却媒体の圧力の増加により判別することができる。
第2実施形態の冷却媒体噴射装置400では、回り止めピン後端面が嵌合孔の壁面を押圧する力と、ケース第2通路内の冷却媒体の圧力を判別することができるように構成されている。
【0031】
第2実施形態の冷却媒体噴射装置400は、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100と同様に、本体部、支持部、キャップ470、ノズル480、ポンプ500、回り止め装置600、力検出装置を有している。
なお、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400は、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力を判別するために、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力を回り止めピン610に伝達する構成要素を備えている以外は、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100と同じ構成要素を備えている。このため、以下では、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100の構成要素と同じ構成要素については、説明を省略あるいは簡略化する。
【0032】
本体部は、本体部材410とアダプタ430により構成されている。
支持部は、カバー450、ケース460、リング部材490により構成されている。
【0033】
本実施形態では、カバー450は、軸方向に沿って延在し、後端側が開口している孔452を有している。孔452内には、回り止めピン610が、孔452の延在方向に沿って移動可能に挿入されている。回り止めピン610は、軸方向に沿って延在し、先端側が開口している孔611を有している。
孔452の先端側には、孔452の底壁452aに開口し、軸方向に沿って延在する通路453が形成されている。
また、伝達部材630が、孔611と通路453に跨って、孔611および通路453の延在方向に沿って移動可能に挿入されている。
そして、伝達部材630の後端側の段差面633と孔452の底壁452aとの間にスプリング620が配置されている。
これにより、伝達部材630の後端面631が孔611の底壁611aに当接し、スプリング620の弾性力が、伝達部材630を介して回り止めピン610に伝達される。すなわち、回り止めピン610は、スプリング620の弾性力によって、孔452から抜け出る方向(後端側)に移動する力が加えられる。
【0034】
回り止めピン610の後端側には、本体部材410の係合孔413に係合可能な回り止めレバー640が固定されている。
第1実施形態の冷却媒体噴射装置100と同様に、本体部材410が主軸20に取り付けられていない状態では、回り止めピン610は、スプリング620の弾性力によって後端側に移動する。これにより、回り止めレバー640は、本体部材410の係合孔413に係合する係合位置(
図8に破線で示されている位置)に移動する。
一方、本体部材410が主軸20に取り付けられた状態では、回り止めピン610は、スプリング620の弾性力に抗して先端側に移動する。これにより、回り止めレバー640は、本体部材410の係合孔413との係合が解除される係合解除位置(
図8に実線で示されている位置)に移動する。
【0035】
ケース460は、ケース第1通路461とケース第2通路462を有している。本実施形態では、ケース第2通路462から分岐通路462aが分岐している。
ケース内側空間内には、ポンプ500の回転部が回転可能に配置されている。
【0036】
カバー450、ケース460、リング部材490によって、本発明の「支持部」が構成されている。また、リング部材通路491とケース第1通路461によって、本発明の「支持部の第1通路」が構成され、ケース第2通路462によって、本発明の「支持部の第2通路」が構成されている。また、ケース460、回転部、吸入部501、吐出部502によって、本発明の「ポンプ」が構成されている。
【0037】
また、本実施形態では、カバー450とケース460の間に接続部材650が設けられている。
接続部材650は、接続通路651を有している。接続部材650は、接続通路651が、カバー450の通路453とケース460の分岐通路462aを連通するように設けられる。
これにより、ケース第2通路462(詳しくは、分岐通路462a)内の冷却媒体の圧力が、接続部材650の接続通路651およびカバー450の通路453を介して伝達部材630の先端面632に加えられる。すなわち、ケース第2通路622内の冷却媒体の圧力は、伝達部材630を介して回り止めピン610に伝達され、回り止めピン610を後端側に移動させる力として作用する。
冷却媒体噴射装置400においても、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100と同様に、回り止めピン後端面612が嵌合孔41の壁面41aを押圧する力を検出する力検出センサー50により構成される力検出装置を備えている。
回り止めピン610、スプリング620、伝達部材630、回り止めレバー640、係合孔413、嵌合孔41、嵌合孔41の壁面41aによって、本発明の「回り止め装置」が構成される。
力検出センサー50によって、本発明の「力検出装置」が構成される。
接続部材650の接続通路651とカバー450の通路453により、本発明の「連通路」が形成される。
【0038】
冷却媒体噴射装置400を工作機械10に取り付ける動作の一例が、
図6に示されている。冷却媒体噴射装置400を工作機械10に取り付ける動作は、第1実施形態の冷却媒体噴射装置100を工作機械10に取り付ける動作と同様である。
【0039】
第1実施形態の冷却媒体噴射装置100と同様に、本体部材410が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態では、回り止めピン後端面612は、スプリング620の弾性力Faに対応する力Gaにより、嵌合孔41の壁面41aを押圧している。
この状態では、力検出センサー50から出力される力検出信号は、弾性力Faに対応する力Gaを示す。
【0040】
また、冷却媒体噴射装置400を工作機械10に取り付けた状態で主軸20を回転させると、本体部材410およびポンプ500の回転部が回転する。この時、主軸20(ポンプ500の回転部)の回転数は、所定回転数に設定される。
ポンプ500の回転部が回転すると、主軸20から供給される冷却媒体の圧力が、ポンプ500によって高められる。そして、圧力を高められた冷却媒体は、ポンプ500の吐出部502、ケース第2通路462、キャップ通路472、ノズル取り付け孔471を介してノズル通路481に送られ、噴射孔482から噴射される。
この時、ケース第2通路462内の冷却媒体は、分岐通路462a、接続部材650の接続通路651を介して通路453に送られる。すなわち、ケース第2通路462内の冷却委媒体の圧力Tは、分岐通路462a、連通路(接続通路651、通路453)を介して伝達部材630の先端面632に加えられる。これにより、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力Tが、伝達部材630を介して回り止めピン610に、回り止めピン610を後端側に移動させる力として作用する。
この状態では、回り止めピン後端面612は、スプリング620の弾性力Faに対応する力Gaと、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力Tに対応する力Gbを加算した力Gc(=Ga+Gb)により、嵌合孔41の壁面41aを押圧する。すなわち、力検出センサー50から出力される力検出信号は、弾性力Faに対応する力Gaと、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力Tに対応する力Gbの和Gc(=Ga+Gb)を示す。
【0041】
そして、本体部材410が主軸20に取り付けられ、主軸20が回転している状態における力(押圧力)Gc(=Ga+Gb)と、本体部材410が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態における力(押圧力)Gaに基づいて、冷却媒体噴射装置400の状態を判別する。
力Gaと力Gcに基づいて、冷却媒体噴射装置400の状態を判別する方法としては、種々の方法を用いることができる。
例えば、以下の方法を用いることができる。
【0042】
力検出センサー50から出力される力検出信号は、例えば、表示装置や警報装置に送られる。
表示装置は、例えば、力検出センサー50から送られる力検出信号で示される力を表示する。
作業員は、本体部材410が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態において表示装置に表示されている力Gaを読み取る。そして、力Gaが、正常範囲内でない場合には、冷却媒体噴射装置400の状態が、点検、補修あるいは交換する必要がある状態(異常状態)であることを判別する。例えば、表示装置に表示される力が、正常範囲の下限値より低下すると、カバー450を工作機械10に固定する力が低下している可能性があることを判別する。
また、作業員は、本体部材410が主軸20に取り付けられて、主軸20が回転している状態において表示装置に表示されている力Gcを読み取る。そして、力Gcと力Gaとの差Gb(=Gc-Ga)が正常範囲内でない場合には、冷却媒体噴射装置400の状態が、点検、補修あるいは交換する必要がある状態(異常状態)であることを判別する。例えば、表示装置に表示される力が、正常範囲の下限値より低下すると、ポンプの性能が低下している可能性があることを判別し、正常範囲の上限値より増加すると、ノズルの噴射孔が詰まっている可能性があることを判別する。
なお、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力Tは、[力Gb(N)/伝達部材先端面632の断面積(mm2)]で表される。
【0043】
警報装置は、本体部材410が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態において、力検出センサー50から送られる力検出信号で示される力Gaが正常範囲内でないと判断した場合には、表示灯や警報器等を作動させ、冷却媒体噴射装置400の状態が、点検、補修あるいは交換する必要がある状態(異常状態)であることを作業員に報知する。例えば、表示装置に表示される力が、正常範囲の下限値より低下すると、カバー450を工作機械10に固定する力が低下している可能性があることを報知する。
また、警報装置は、本体部材410が主軸20に取り付けられて、主軸20が回転している状態において力検出センサー50から送られる力検出信号で示される力Gcから、本体部材410が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態において、力検出センサー50から送られる力検出信号で示される力Gaを減算した力Gb(=Gc-Ga)を算出する。そして、力Gbが正常範囲内でないと判断した場合には、表示灯や警報器等を作動させ、冷却媒体噴射装置400の状態が、点検、補修あるいは交換する必要がある状態(異常状態)であることを作業員に報知する。例えば、力Gbが、正常範囲の下限値より低下すると、ポンプの性能が低下している可能性があることを報知し、正常範囲の上限値より増加すると、ノズルの噴射孔が詰まっている可能性があることを報知する。
【0044】
本発明の冷却媒体噴射装置の第3実施形態を
図10~
図12を参照して説明する。
図10は、第3実施形態の冷却媒体噴射装置700の断面図である。
図11は、第3実施形態の冷却媒体噴射装置700を工作機械10に取り付ける動作を説明する図である。
図12は、第3実施形態の冷却媒体噴射装置700を工作機械10に取り付けた状態を示す図で
第3実施形態の冷却媒体噴射装置700は、ケース第2通路内の冷却媒体の圧力を回り止めピンに加える構成が、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400と異なっている。
したがって、以下では、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400と異なっている構成のみを説明する。
【0045】
本実施形態の冷却媒体噴射装置700は、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400と同様に、本体部、支持部、キャップ770、ノズル780、ポンプ800、回り止め装置900、力検出装置を有している。
本体部は、本体部材710とアダプタ730により構成されている。
支持部は、カバー750、ケース760、リング部材790により構成されている。
【0046】
本実施形態では、ケース760は、ケース第2通路762から分岐している分岐通路762aを有している。
本実施形態では、カバー750は、軸方向に沿って延在し、後端側が開口している孔752を有している。孔752内には、回り止めピン910が、孔752の延在方向に沿って移動可能に挿入されている。回り止めピン910は、軸方向に沿って延在し、先端側が開口している孔911を有している。
そして、孔911の底壁911aと孔752の底壁752aとの間に、スプリング920が配置されている。
回り止めピン910の後端側には、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400と同様に、本体部材710の係合孔713に係合可能な回り止めレバー940が固定されている。
また、カバー750には、伝達部材930が、カバー750に対して軸方向に沿って移動可能に設けられている。伝達部材930は、伝達部材後端面931がカバー750から後端側に突出し、伝達部材先端面932がカバー750から先端側に突出するように配置されている。伝達部材930は、伝達部材後端面931が、回り止めレバー940に、先端側から当接可能に構成されている。
【0047】
また、接続通路951を有する接続部材950を備えている。接続通路951は、両端が開口している。接続部材950は、接続通路951の一方側の開口がケース第2通路722(分岐通路722a)に連通し、伝達部材先端面932が、接続通路951の他方側の開口から接続通路951内に挿入されるように配置されている。
これにより、ケース第2通路722(分岐通路722a)内の冷却媒体の圧力は、接続通路951により構成される連通路を介して伝達部材先端面932に加えられる。すなわち、ケース第2通路722内の冷却媒体の圧力は、接続通路951、伝達部材930および回り止めレバー940を介して回り止めピン910に伝達され、回り止めピン910を後端側に移動させる力として作用する。
また、本実施形態においても、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400と同様に、回り止めピン後端面912が嵌合孔41の壁面41aを押圧する力(押圧力)を検出する力検出センサー50により構成される力検出装置を備えている。
回り止めピン910、スプリング920、伝達部材930、回り止めレバー940、係合孔713、嵌合孔41、嵌合孔41の壁面41aによって、本発明の「回り止め装置」が構成される。
【0048】
冷却媒体噴射装置700を工作機械10に取り付ける動作の一例が、
図11に示されている。冷却媒体噴射装置700を工作機械10に取り付ける動作は、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400を工作機械10に取り付ける動作と同様である。
【0049】
第1実施形態の冷却媒体噴射装置100と同様に、本体部材710が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態では、回り止めピン後端面912は、スプリング920の弾性力Faに対応する力Gaにより、嵌合孔41の壁面41aを押圧している。
この状態では、力検出センサー50から出力される力検出信号は、弾性力Faに対応する力Gaを示す。
また、第2実施形態の冷却媒体噴射装置400と同様に、本体部材710が主軸20に取り付けられて、主軸20を回転させた状態では、回り止めピン後端面912は、スプリング920の弾性力Faに対応する力Gaと、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力Tに対応する力Gbを加算した力Gc(=Ga+Gb)により、嵌合孔41の壁面41aを押圧する。すなわち、力検出センサー50から出力される力検出信号は、弾性力Faに対応する力Gaと、ケース第2通路462内の冷却媒体の圧力Tに対応する力Gbの和Gc(=Ga+Gb)を示す。
【0050】
そして、本体部材710が主軸20に取り付けられ、主軸20が回転している状態における力Gc(=Ga+Gb)と、本体部材710が主軸20に取り付けられているが、主軸20が回転していない状態における力Gaに基づいて、冷却媒体噴射装置400の状態を判別する。
力Gaと力Gcに基づいて、冷却媒体噴射装置700の状態を判別する方法としては、例えば、第2実施形態の冷却媒体噴射装置700と同様の方法を用いることができる。
なお、本実施形態では、ケース第2通路762内の冷却媒体の圧力Tは、[力Gb(N)/伝達部材先端面932の断面積(mm2)]で表される。
【0051】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
詳細な説明では、当接部(嵌合孔の壁面)が押圧部(回り止めピン)によって押圧される圧力と支持部の第2通路内(ケース第2通路内)の冷却媒体の圧力を検出する場合について説明したが、本発明は、当接部が押圧部によって押圧される圧力あるいは支持部の第2通路内の冷却媒体の圧力の一方を検出するように構成することもできる。
当接部が押圧部により押圧され力(押圧力、荷重)を検出する力検出センサーは、当接部と押圧部のいずれに設けてもよい。
押圧部材(回り止めピン)を嵌合部(嵌合孔)に嵌合させる(挿入する)とともに、押圧部材(回り止めピン)を当接部(嵌合孔の壁面)に当接させることにより、支持部の本体部回りの回転を阻止するように構成したが、押圧部材(回り止めピン)を当接部に当接させることにより、あるいは、押圧部材(回り止めピン)を嵌合部に嵌合させることにより、支持部の本体部回りの回転を阻止するように構成することもできる。
本体部を、別体の本体部材とアダプタにより構成したが、一つの部材で構成することもできる。また、本体部の形状や構成は、種々変更可能である。
支持部を、カバー、ケース、リング部材により構成したが、一つの部材で構成することもできる。また、支持部の形状や構成は、種々変更可能である。
本体部を支持部に回転可能に支持する構成としては、種々の構成を用いることができる。
支持部を、本体部が主軸に取り付けられている状態において、工作機械に固定する方法としては、種々の方法を用いることができる。
ポンプとしては、回転部、吸入部および吐出部を有する、公知の種々の構成のポンプを用いることができる。
本体部とポンプの回転部を連結する方法としては、種々の方法を用いることができる。
キャップの形状や構成は、種々変更可能である。
ノズルとしては、種々の構成のノズルを用いることができる。
フィルタとしては、公知の種々のフィルタを用いることができる。なお、フィルタは、省略することもできる。
回り止め装置としては、少なくとも、本体部を工作機械の主軸に取り付けてポンプの回転部を回転させる際に、保持部を工作機械に固定できればよく、種々の構成の回り止め装置を用いることができる。また、保持部を工作機械に固定する方法としては、種々の方法を用いることができる。
力検出装置としては、種々の構成の力検出装置を用いることができる。
また、ポンプにより増圧された冷却媒体の圧力を判別する方法としては、実施形態で説明した方法に限定されず、種々の方法を用いることができる。例えば、圧力検出装置により、冷却媒体の圧力を直接的あるいは間接的に検出することができる。
また、圧力を検出する冷却媒体の個所は、適宜変更可能である。
実施形態で説明した構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の冷却媒体噴射装置は、好適には、複数の工具ホルダを収容可能なツールマガジンを備える工作機械に用いられるが、これ以外の種々の構成の工作機械に用いることもできる。
【符号の説明】
【0052】
10 工作機械
20 工作機械の主軸
20a 主軸内側空間
21 主軸内周面
21a 主軸内周面部分
30 引き込み部材
40 固定部
41 嵌合孔(嵌合部)
41a 壁面
50 力検出センサー(押圧力検出センサー、荷重検出センサー)
51 受圧面
100、400、700 冷却媒体噴射装置
110、410、710 本体部材
111、411、711 本体部材通路
112、412、712 シャンク部
112a、412a、712a 本体部外周面部分
113、413、713 係合孔(係合部)
120、420、720 プルスタッド
121、421、721 プルスタッド通路
115、415、715 フィルタ
130、430、730 アダプタ(接続部材)
131、431、731 アダプタ通路(接続部材通路)
140、440、740 ノックピン
150、450、750 カバー
151、451、751 ベアリング(軸受け)
152、452、752 孔
152a、452a、752a 底壁
160、460、760 ケース
161、461、761 ケース第1通路(第1通路)
162、462、762 ケース第2通路(第2通路)
170、470、770 キャップ
171、471、771 ノズル取り付け孔
172、472、772 キャップ通路
180、480、780 ノズル
181、481、781 ノズル通路
182、482、782 噴射孔
190、490、790 リング部材
191、491、791 リング部材通路
200、500、800 ポンプ
201、501、801 吸入部
202、502、802 吐出部
300、600、900 回り止め装置
310、610、910 回り止めピン
311、611、911 孔
311a、611a、911a 底壁
341、641
312、612、912 回り止めピン後端面
320、620、920 スプリング(弾性力発生部)
340、640、940 回り止めレバー
341、641、941 ナット
453 通路
462a、762a 分岐通路
611 孔
630、930 伝達部材
631、931 伝達部材後端面
632、932 伝達部材先端面
650、950 接続部材
651、951 通路