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▶ 藤原 保信の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026994
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ラップラウンド式トラス把手式箱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/462 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
B65D5/462 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021151577
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】592173043
【氏名又は名称】藤原 保信
(74)【代理人】
【識別番号】100147647
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 保信
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060CA01
3E060CA13
3E060CA24
3E060CA50
3E060DA26
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】重量物対応のトラス把手式箱容器を形成するにあたって、トラス把手機能を維持しながら、どうすれば普及品であるA式(通称ミカン箱)より、原紙の使用量が少なくコストを削減することが出来るかを課題とする。
【解決手段】[図―1]の展開図に示すように、矩形のダンボールシート等で形成されたシートを、ラップラウンド包装仕様にすることで、更に天面補強フラップを設けて、内側天面壁、外側天面壁とで三層状態の丈夫な天面を形成した中央部に、トラス把手を形成すると共に、サイド内側フラップ及びサイド外側フラップの長さを短く調整することで、普及品であるA式(通称ミカン箱)よりも原紙の使用量を少なくして、コストを削減したラップラウンド式トラス把手箱容器を提供できる。
【選択図】図―6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開閉仕様のA式(通称ミカン箱)と比較して、同体積のラップラウンド包装型箱容器の場合は、サイド内側フラップ及び、サイド外側フラップを短くして、原紙の使用量が少なくできることに知見を得て、天面を三層の剛構造にし、その中央部にトラス把手を設けても、原紙の使用量が、初めて少なくできることに気づき、その具体例として[図―1]に示すラップラウンド式トラス把手箱容器の展開図に、センチ単位の数値を入れ立体化した時の原紙面積が5,293cmであるのに対して、同体積に設計した[図―2]に示すA式(通称ミカン箱)の場合は、5,436cmであるのであり原紙の使用量が少なくできることが可能であると共に、天面補強フラップOFA1、内側天面壁ICW、及び外側天面壁OCWで構成された三層の剛構造の天面上部に、一重のトラス形成把手TT3、下部に二重のトラス形成把手TT1、TT2を形成した、耐荷重性の高いことを特徴とするラップラウンド式トラス把手箱容器。
【請求項2】
トラス把手式箱容器の耐荷重性を更に高めるために、[図―6]の(6-A)に示すように、外側天面壁OCWの短尺方向A、A′・B、B′に沿って把手を形成することで、(6-B)で示すようにトラス把手部を形成して、重量物を提げた時に天面の湾曲を防止できることを、特徴とする請求項1に記載のラップラウンド式トラス把手箱容器。
【請求項3】
A式(通称ミカン箱)の箱容器では、被包装物の出し入れは、上部からするため上部フラップは、テープ等で封緘するのみで、完全に固着させることができなかったが、ラップラウンド包装仕様にすることで、側面から出し入れができるので、天面補強フラップOFA1と内側天面壁ICWを接着面CB1で、内側天面壁ICWを接着面CB2で固着させることで、重量物を入れた箱容器のトラス把手を掴んで持ち上げた時に、天面補強フラップOFA1、内側天面壁ICW及び外側天面壁OCW間の面同士のズレが発生しなくなるので、より耐荷重性の高いトラス把手式箱容器が形成されることを特徴とする、請求項1、2に記載のラップラウンド式トラス把手箱容器。
【請求項4】
[図―6]の(6-B)に示すように、トラス把手部をスムースに形成できるようにするために、親指と中指でプッシュフラップPFを谷折線11Aで折り曲げて、トラス形成把手TT3を山折線3Yで折り曲げて引き上げると同時に、下部のトラス形成把手TT1、TT2を下方に押し下げ易くするために、トラス形成把手TT2の両端に打抜き穴BK1を設けると共に、上部のトラス形成把手TT3が下方に陥没しないようにするために、トラス形成把手TT3に対してTT1の長さを短くして、上部のトラス形成把手陥没防止ガードGDを形成したことを特徴とする、請求項1、2、3に記載のラップラウンド式トラス把手箱容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特願2021-58706で示した、トラス把手式箱容器をラップラウンド包装対応にして、強度を維持しながら原紙の使用量を減らしてコストを削減することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンボールシート等でできた箱容器に中身を入れて、提げる為にはセットアップ方式で、側壁に手掛け穴を開けて、両手で提げる方式や、天面にプラスチックで形成した把手を後づけしたものがあるが、ラップラウンド包装仕様の天面にトラス把手部を設けて片手で提げることができる、低コストの箱容器がなかった。
【先行技術文献】
【0003】
特願2020-115217
特願2021-58706
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願では、どうすれば筆者が考えたトラス把手式箱容器を、強度を保ちながら、コストを削減できるのかを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
箱容器のトラス把手部の強度を維持するために、天面を三層の剛構造として、コストを削減するために、必要でない紙の重なりを最小限に抑えるために、ラップラウンド包装仕様にすることで、側壁部分のサイド内外フラップを必要最小限にすることで、A式(通称ミカン箱)に比較しても同等以下のコストで、片手で提げることのできるトラス把手式箱容器が形成できることに、知見を得た。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の本発明によれば、先ず、同体積の箱容器で、ラップラウンド包装仕様とセットアップ包装仕様(ミカン箱)の原紙の使用状態をcm単位で、[図―1]、[図―2]に示すように、数値シミュレーションを示すが、ラップラウンド包装仕様の展開図[図―1]では5293cmに対して、同体積のセットアップ包装仕様(ミカン箱)[図―2]では5436cmであり優れている。ラップラウンド包装仕様のトラス把手式箱容器にすることで、本図においては、サイドフラップを幅狭側壁に設けられているが、幅広側壁に設けることで、更に原紙の使用率を低減しコストを削減することができる。
【0007】
請求項2に記載の本発明によれば、[図―6]の(6-A)に示すように、外側天面壁OCWの短尺側AA′、BB′に沿って把手を形成することで、天面の湾曲を防止できるので、重量物を提げるのに有効である。
【0008】
請求項3に記載の本発明によれば、A式(通称ミカン箱)の容器においては、天面部分のフラップを開閉するので、完全に固着することが出来なかったが、ラップラウンド包装仕様にすることで、側壁部分を開閉できるので、サイド内外フラップの長さを調整することで、完全密閉化も可能であるとともに、天面については天面補強フラップOFA1と内側天面壁ICWを接着面CB1で、又、内側天面壁ICWに外側天面壁OCWを接着面CB2で、固着させることで、天面補強フラップOFA1、内側天面壁ICW、外側天面壁OCW間の面同士のズレないようにすることで、三層の剛構造の天面が形成され、そこに[図―6]の(6-B)に示す上方一層、下方二層の菱形のトラス把手部を形成できる。
【0009】
請求項4に記載の本発明によれば、上に一重の、下に二重のトラス把手部を、スムースに形成されるように、プッシュフラップPFを親指と中指で押さえて、谷折線11Aで折り曲げると同時に、下部のトラス把手部TT1、TT2を下方に押し下げると共に、上部のトラス把手部TT3を引き上げることにより、[図―6]の(6-B)に示すように、断面が菱形のトラス把手部が形成される。更に、下部のトラス形成把手TT1、TT2を形成し易くするため、トラス形成把手TT2の両端部に打抜き穴BK1を形成して、更に、上部のトラス形成把手TT3が陥没しないように、トラス形成把手TT1の長さをTT3より短くすることで、上部トラス形成把手陥没防止ガードGDを形成して、よりスムースなトラス形成把手の形成が可能となる。
【0010】
又、[図―4]の(4-A)に示すように、両サイドの片側の内外サイドフラップを閉じて、もう一方の内外サイドフラップを開口状にしての、セットアップ包装仕様のトラス把手式箱容器としても、使用可能である。
【0011】
ラップラウンド包装仕様にて、ケースの納品に際しては、[図―1]の展開図の状態で集積して製造ラインに供給する方法、又、天面補強フラップOFA1を裏面切り目入谷折線ST1で折り曲げて、内側天面壁ICWに接着面CB1で固着して、谷折線9Aで折り曲げて(7-A)で示すように、均等に二層になるので(7-B)で示すように、数十枚単位で結束し積層できるので、保管場所が節減できる。
【0012】
[図―5]の(5-B)で示すように、包装完了後両サイドを開口して内容物を取り出した後、(5-C)で示すように、谷折り線7A、9Aで折り曲げることで、偏平化できるので、リユースが容易である。
【産業上の利用可能性】
【0013】
ダンボールシート等で形成された、ラップラウンド包装仕様のトラス把手式箱容器として、原紙の不必要部分を省くことで、A式(ミカン通称箱)に比べてコストを削減することができるので、剛性のあるトラス把手を付加していることと相俟って、瓶詰、缶詰をはじめ、マ
手で提げることができ、且、積重ねられ、側面より取り出せる箱容器として、利用と普及が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[図―1]は、ラップランド式トラス形成把手箱容器の展開図であるとともに、立体化した容器の体積は、[図―2]で示すA式と同等にして、各辺にセンチ単位の数値を入れて、原紙の使用量を比較表示した図であり、[図―1]の総面積は5293cmであり、[図―2]は5436cmより低くなっている。このことは重要で、天面補強フラップが付加されて、把手部が追加形成された上でのコスト比較であるからである。
[図―3]の(3-A)は、ラップランド包装にて、内容物を入れて、谷折線8A、9Aで折り曲げることで、天面補強フラップOFA1を裏面切目入り谷折線ST1で折り曲げ、内側天面壁ICWに、接着面CB1で固着した状態を示す斜視図である。
[図―4]の(4-A)は、谷折線7Aで内側天面壁ICWを、折り曲げた状態を示す斜視図である。
(4-B)は、外側天面壁OCWを谷折線10Aで折り曲げて、接着面CB2で内側天面壁ICWに固着した状態を示す斜視図である。
[図―5]の(5-A)は、双方のサイド内側フラップSTI3、STI4及び、STI3′、STI4′を内側に折り曲げた状態を示す斜視図である。
(5-B)は、サイド外側フラップSFO1、SFO1′をホットメルトHM1で、サイド外側フラップSFO2、SFO2′をホットメルトHM2で其々、内側フラップと固着させて、箱容器1が完成した状態を示す斜視図である。
(5-C)は、(5-B)の状態よりホットメルトHM1,HM2を解除して谷折線7A、9Aで折り曲げることで、偏平状態に折り畳んだ状態を示す。
[図―6]の(6-A)は、(5-B)の箱容器1のトラス形成把手TT3を、トラス形成把手引き上げフラップPFを、谷折線11Aで折り曲げながら引き上げて、上部のトラス形成把手を形成した状態を示す斜視図である。
(6-B)は、(6-A)の円弧部分の拡大図であり、上部にトラス形成把手を一重に、下部に二重に形成した状態を示す斜視図である。
[図―7]の(7-A)で示すように、ラップラウンド包装仕様のダンボールシートを供給するとき、コンパクトにするため、折り畳んだ状態で厚みを均一にするため、天面補強フラップOFA1を裏面切目入り谷折線ST1で折り曲げて、内側天面壁ICWと接着面CB1で固着して二層になると共に、側壁SW2とそれに延設する外側天面壁OCWを、谷折線9Aで折り曲げることにより、全体が均一に二層になるので、(7-B)で示すように、10~20枚単位で結束バンドTBにて結束して、段積みできることを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に付いて説明する。
<全体的構成>
[図―1]は、本発明の実施形態に関わるラップラウンド式トラス把手式箱容器の展開図であるとともに、[図―6]はその完成図を示す。以下、図示する実施形態については、ダンボールについて説明するが、それ以外の紙器又は、その他のシートであってもよい。
【0016】
[図―1]の展開図に示すように、一枚の矩形のダンボールシート等で形成され、上端部にトラス形成把手TT2を内設した天面補強フラップOFA1、その左右に、サイド内側フラップSFI1、SFI1′を配し、その下方の内側天面壁ICWに、トラス形成把手TT1を内設させ、その左右にサイド内側フラップSFI2、SFI2′を配し、その下方に側壁SW1、その左右にサイド外側フラップSFO1、SFO1′を配し、その下方に底壁BWとその左右に、サイド内側フラップSFI3、SFI3′を配し、その下方に側壁SW2とその左右に、サイド外側フラップSFO2、SFO2′を配し、最下端部にトラス形成把手TT3を内設し、左右にサイド内側フラップSF14,SF14′を配した外側天面壁OCWを形成し、天面壁補強フラップOFA1と内側天面壁ICWの境界には、折り曲げやすくするため、裏面に切目を入れた裏面切目入り谷折線ST1を付設し、其々の境界には、山折線、谷折線を入れ、全体を形成して構成される。
【0017】
次に、[図―3]の(3-A)に示すように、谷折線8A、9Aで折り曲げて、裏面切目入り谷折線ST1で天面壁補強フラップOFA1を折り曲げて、(3-B)で示すように内側天面壁ICWに接着面CB1で固着させる。
【0018】
[図―4]の(4-A)で示すように、内側天面壁ICWを谷折線7Aで折り曲げて又、(4-B)では、谷折線10Aで外側天面壁OCWを折り曲げて、接着面CB2で内側天面壁ICWと固着させる。
【0019】
[図―5]の(5-A)に示すように、サイド内側フラップSFI4、SFI4′を谷折線6Aで折り曲げると同時に、サイド内側フラップSFI2、SFI2′を谷折線1Aで折り曲げる。次に、底壁BWに延設するサイド内側フラップSFI3、SFI3′を谷折線4Aで折り曲げた状態にする。
【0020】
[図―5](5-A)、(5-B)に示すように、サイド外側フラップSFO1、SFO2の内側の上下にホットメルトHM1を塗布して、谷折線3A、5Aで折り曲げて内側サイドフラップSFI3、SFI4に固着させて、更に、サイド外側フラップSFO1′、SFO2′の内側の上下にホットメルトHM2を塗布して、谷折線3A、5Aで折り曲げて内側サイドフラップSFI3′、SFI4′に固着させて、箱容器1が完成することになる。
【0021】
最後に、本願発明の肝心部分であるトラス形成把手の取り付け方については、[図―6]の(6-A)に示すように、できる限り湾曲防止策として基本的に天面の短尺方向であるAA′・BB′方向に沿うようにして、その中心部に取り付ける。更に、(6-B)に示すように、トラス把手を親指と中指を使って、ワンタッチでスムースに形成できるようにするため、プッシュフラップPFを谷折線11Aで折り曲げて、トラス形成把手TT3を山折線3Yで折り曲げて、引き上げると同時に、下部のトラス形成把手TT1、TT2を下方に押し下げ易くするために、トラス形成把手TT2の両端部に[図―1]、[図―3]の(3-A)、(3-B)で示すように、打抜き穴BK1を設ける様構成する。更に、トラス形成把手TT3が下方に陥没しないようにするため、トラス形成把手TT3に対して、TT1の長さを短くして[図―6]の(6-B)に示す、上部トラス形成把手陥没防止ガードGDを設けるよう構成する。
【符号の説明】
1 :箱容器
ST1 :裏面切目入り谷折線
1Y、2Y、3Y :山折線
1A、2A、3A、4A、5A、6A、7A、8A、9A、10A、11A :谷折線TT1、TT2、TT3 :トラス形成把手
OFA1 :天面壁補強フラップ
ICW :内側天面壁
SW1、SW2 :側壁
BW :底壁
OCW :外側天面壁
SFI1、SFI1′、SFI2、SFI2′、SFI3、SFI3′、SFI4、SFI4′ :サイド内側フラップ
SFO1、SFO1′、SFO2、SFO2′ :サイド外側フラップ
BK1 :打抜き穴
PF :プッシュフラップ
CB1、CB2 :接着面
HM1、HM2 :ホットメルト
TB :結束バンド
GD :上部トラス形成把手陥没防止ガード
【図-1】
【図-2】
【図-3】
【図-4】
【図-5】
【図-6】
【図-7】