(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027002
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】不動産サブリース方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230221BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112275
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2021132150の分割
【原出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】512334202
【氏名又は名称】株式会社トラストワイズプロダクション
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 直彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】不動産物件の稼働効率を向上させる。
【解決手段】 不動産管理サーバーを用いて不動産業者が不動産オーナーから不動産を賃借し、該不動産を不動産ユーザーに転貸する不動産サブリース方法であって、不動産管理サーバーには、不動産オーナーの情報、不動産の物件情報、及び不動産ユーザーの情報が登録され、不動産の物件情報には、不動産業者が不動産オーナーに支払う賃料(即ち、賃借料)、不動産ユーザーが不動産業者に支払う賃料(即ち、転借料)、及び不動産ユーザーが不動産業者に支払う転貸借保証金が含まれる。転借料は、不動産業者が転貸借保証金を資産運用することにより見込める保証金収益に基づいて定まる転借料割引額を賃借料から差し引いた額であり、賃借料よりも安価である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産管理サーバーを用いて不動産業者が不動産オーナーから不動産を賃借し、該不動産を不動産ユーザーに転貸する不動産サブリース方法であって、
不動産管理サーバーには、不動産オーナーの情報、不動産の物件情報、及び不動産ユーザーの情報が登録され、
不動産の物件情報には、不動産業者が不動産オーナーに支払う賃料(以下、賃借料ともいう)、
不動産ユーザーが不動産業者に支払う賃料(以下、転借料ともいう)、及び
不動産ユーザーが不動産業者に支払う転貸借保証金
が含まれ、
該転借料は、不動産業者が転貸借保証金を資産運用することにより見込める保証金収益に基づいて定まる転借料割引額を賃借料から差し引いた額であり、賃借料よりも安価である
不動産サブリース方法。
【請求項2】
不動産管理サーバーに転借料割引額が登録される請求項1記載の不動産サブリース方法。
【請求項3】
不動産管理サーバーが、転借料として、賃借料と転借料割引額との差を算出する請求項2記載の不動産サブリース方法。
【請求項4】
不動産管理サーバーに、不動産業者が不動産オーナーに支払う賃貸借保証金、転貸借保証金、及び不動産業者が資産運用した場合に見込める資産運用収益率が登録され、
不動産管理サーバーが、賃貸借保証金、転貸借保証金及び資産運用収益率に基づいて転借料割引額を算出する請求項3記載の不動産サブリース方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産サブリース方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商業ビル、マンション、アパート等の不動産オーナーは、多くの空き室を抱えており、敷金、礼金を廃止したり、家賃を値引いたりして入居者の確保策を模索している。一方、賃借人は常により安価な物件を求めている。
【0003】
これに対し、実際の家賃と、不動産オーナーが賃借人に貸し出せる最低家賃であるベース家賃との差額に賃貸期間を乗じて算出されるキャッシュバック金を賃貸終了後に賃借人に返却するシステム(特許文献1)や、賃借人が支払った賃料を、将来的に賃借人が発注する新築等の工事の契約時に頭金として活用できるようにするシステム(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4156005号公報
【特許文献2】特許第6181269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不動産オーナーは賃貸物件に依然として多くの空き室を抱えている。そこで、本発明は、不動産物件の稼働効率を上げることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、不動産オーナーから不動産業者が不動産を賃借し、該不動産を不動産ユーザーに転貸するにあたり、不動産業者が不動産ユーザーから受け取る保証金を資産運用し、その運用収益の少なくとも一部を従前の、不動産業者が不動産ユーザーから受け取る賃料に充当すると、不動産業者が不動産ユーザーに実際に課する賃料は、不動産業者が不動産オーナーから不動産を賃借するために支払う賃料よりも安価に設定することが可能となり、これにより不動産物件の稼働効率を上げられることを見出し、本発明を想到した。
【0007】
即ち、本発明は、不動産管理サーバーを用いて不動産業者が不動産オーナーから不動産を賃借し、該不動産を不動産ユーザーに転貸する不動産サブリース方法であって、
不動産管理サーバーには、不動産オーナーの情報、不動産の物件情報、及び不動産ユーザーの情報が登録され、
不動産の物件情報には、不動産業者が不動産オーナーに支払う賃料(以下、賃借料ともいう)、不動産ユーザーが不動産業者に支払う賃料(以下、転借料ともいう)、及び不動産ユーザーが不動産業者に支払う転貸借保証金
が含まれ、
該転借料は、不動産業者が転貸借保証金を資産運用した場合に見込める保証金収益に基づいて定まる転借料割引額を賃借料から差し引いた額であり、賃借料よりも安価である
不動産サブリース方法
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の不動産サブリース方法によれば、不動産オーナーが不動産業者に賃貸するときの賃貸料よりも安価な賃料で不動産業者は不動産ユーザーに不動産を転貸する。したがって、不動産ユーザーは、立地、建物の種類、構造、築年数、広さ、間取り等の不動産物件情報が同等の不動産を従前よりも顕著に安価に借りることが可能となり、不動産ユーザーの賃料負担が軽減し、不動産ユーザーが不動産を借りようとする意欲が高まる。したがって、不動産物件の稼働率が上がる。
【0009】
一方、不動産業者は、不動産ユーザーからの保証金の運用収益があることで不動産ユーザーが不動産業者に支払う賃料を下げているので本発明のサブリース方法を実施することによる収支上の不利益はなく、不動産業者においても不動産物件の転貸の成約率が上がることによる利益を享受することができる。また、新たなサブリース方法を実施すること自体により不動産業者が注目され、宣伝効果を得ることができる。
【0010】
こうして、不動産オーナーに不動産業者が支払う賃借料よりも、不動産ユーザーが不動産ユーザーに支払う転借料が安価であるという本発明のサブリース方法の実施により、不動産オーナー、不動産ユーザー、不動産業者のいずれもが利益を享受することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例の不動産サブリース方法のスキームの説明図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の一つ実施例で使用する不動産管理サーバーの機能の説明図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の異なる実施例で使用する不動産管理サーバーの機能の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の不動産サブリース方法のスキームの説明図である。同図に示すように、この不動産サブリース方法は、不動産業者が不動産オーナーから不動産を賃借し、該不動産を不動産ユーザーに転貸する不動産サブリース方法であり、不動産業者は、不動産オーナーとの賃貸借契約に基づき、不動産を賃貸するために賃借料を支払い、必要に応じて保証金(即ち、賃貸借保証金)を支払う。また、不動産業者と不動産ユーザーとの転貸借契約により、不動産ユーザーは不動産業者に保証金(即ち、転貸借保証金)と賃料(即ち、転借料)を支払う。
【0013】
ここで、不動産とは、従来の不動産サブリース方法と同様に、土地、又は建物の一部もしくは全部をいう。不動産ユーザーが不動産を借りる目的は、テナント等の事業目的でもよく、個人の居住等のためでもよい。
【0014】
本発明においては、賃借料から転借料割引額を差し引いた額が転借料となっており、転借料は賃借料よりも安価であることを特徴としている。そこで、不動産業者が使用する不動産管理サーバーには、不動産オーナーの氏名、住所、連絡先等の不動産オーナー情報、不動産の住所、建物の種類、構造、築年数、広さ、間取り、賃借料、転借料、賃貸借保証金、転貸借保証金等の不動産の物件情報、不動産ユーザーの氏名、住所、連絡先等の不動産ユーザー情報が登録され、さらに、転借料割引額を登録することができる。転借料は、賃借料からこの転借料割引額を差し引いた額となっている。
【0015】
なお、不動産管理サーバーとしては、記憶機能、演算機能、通信機能を備えた、パーソナルコンピュータ等の一般的な演算装置を使用することができる。
【0016】
転借料割引額は、不動産業者が転貸借保証金を資産運用することにより見込める保証金収益に基づいて定まるもので、
図2Aに示したように、資金運用収益率等を考慮して不動産業者が設定した転借料割引額が不動産管理サーバーに直接的に入力され、不動産管理サーバーで賃借料から転借料割引額が差し引かれることにより転借料が算出されるようにしてもよく、また、転借料割引額が不動産管理サーバーで次のようにして算出され、その転借料割引額が賃借料から差し引かれることにより転借料が算出されるようにしてもよい。あるいはまた、別途同様の方法で算出された転借料が不動産管理サーバーに入力され、登録されてもよい。
【0017】
転借料割引額の算出方法としては、例えば、不動産会社が、自ら又は資産運用会社を利用して資産を運用した場合に見込める資産運用収益率が1ヶ月あたりa%であるとしたときに、1ヶ月あたりの保証金収益が、転貸借保証金と賃貸借保証金との差に資産運用収益率a%を掛け合わせることにより得られ、転借料割引額は、この保証金収益から必要に応じて不動産業者の儲け分を差し引くことにより得ることができる。
【0018】
あるいは、1ヶ月あたりの資産運用収益率がa%であり、当該不動産サブリース契約による不動産業者の1ヶ月あたりの儲け分をb%に設定した場合に、1ヶ月あたりの保証金収益が、転貸借保証金と賃貸借保証金との差に、a%とb%との差を掛け合わせることにより得られ、こうして算出された保証金収益を転借料割引額とすることができる。
なお、不動産業者の業態等、経営策略等に応じて不動産業者の儲け分はゼロでもよい。
【0019】
また、本発明では資産運用収益率がマイナスになることを本来的には想定していないが、現実的には不動産業者は、不動産サブリース契約の締結後に資産運用収益率がマイナスに転じた場合の損失を補填するため、保険に加入しておくことが好ましい。
【0020】
転借料割引額を上述のように算出する場合、
図2Bに示したように、不動産管理サーバーには、賃貸借保証金、転貸借保証金及び資産運用収益率を登録しておき、不動産管理サーバーで転借料割引額が算出され、さらに賃借料と転借料割引額との差から転借料が算出さるようにすることが好ましい。
【0021】
なお、資産運用収益率としては、例えば、過去数ヶ月の資産運用実績の平均値を使用することができる。資産運用収益率は、不動産業者と不動産ユーザーとの不動産転貸借の契約更新時等に適宜更新してもよい。
【0022】
また、上述の転借料割引額の計算方法において、賃貸借及び転貸借時の保証金は敷金とも称されているものである。賃貸借保証金は無しの場合があり、一般的な不動産サブリース契約では賃貸借保証金は賃借料の0~3ヶ月分に定められ、転貸借保証金は転借料の6~12ヶ月分に定められることが多いが、本発明の不動産サブリース方法において賃貸借保証金及び転貸借保証金は、それぞれ一般的なそれらの額と同様とすることができる。
【0023】
不動産業者と不動産ユーザーとの不動産転貸借契約が終了した場合には、転貸借保証金は、当該不動産を現状回復するための修繕費に使用されるが、当初の転貸借保証金から修繕費を差し引いた残金は不動産ユーザーに返却される。
【0024】
不動産管理サーバーには、不動産サブリースの対象となりうる不動産の物件情報、不動産オーナー情報が複数登録され、また、既に不動産サブリース契約が締結され、不動産サブリース方法が行われている不動産の物件情報、不動産オーナー情報及び不動産ユーザー情報が複数登録される。そして、不動産管理サーバーで算出された転借料等も含めて、不動産管理サーバーにおける登録内容は必要により随時出力することができる。
【0025】
以上、不動産管理サーバーを用いた不動産サブリース方法を説明したが、本発明は、同様の不動産管理サーバーを備えた、不動産サブリース方法を実施するための不動産サブリースシステムとしても構築することができる。