(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027009
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】歯科修復物の調製のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A61C 13/083 20060101AFI20230221BHJP
A61C 13/00 20060101ALI20230221BHJP
A61C 5/70 20170101ALI20230221BHJP
C04B 35/64 20060101ALI20230221BHJP
C04B 35/488 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61C13/083
A61C13/00 Z
A61C5/70
C04B35/64
C04B35/488
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022123136
(22)【出願日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】21191535
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コリーナ セルバン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ロスブラスト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン リッツベルガー
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン クロリコフスキ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159DD01
4C159GG04
4C159SS01
(57)【要約】
【課題】本発明は、歯科修復物を調製する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る歯科修復物を調製する方法では、酸化セラミック材料は、(a)少なくとも1つの熱処理を受け、(b)冷却され、前記冷却は、(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップとを含み、前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科修復物を調製する方法であって、
酸化セラミック材料は、
(a)少なくとも1つの熱処理を受け、
(b)冷却され、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと
(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップと
を含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい、方法。
【請求項2】
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと、
(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップと、
(b3)冷却速度T3を有する第3の冷却ステップと
を含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1および前記冷却速度T3の絶対値よりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b2)は、1000℃から1500℃の温度範囲、好ましくは1100℃から1400℃の温度範囲、より好ましくは1200℃から1300℃の温度範囲において実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b2)において、前記冷却速度T2の絶対値は、60K/分より小さく、好ましくは50K/分より小さく、より好ましくは40K/分より小さいく、さらに好ましくは25K/分より小さく、さらに好ましくは10K/分より小さく、最も好ましくは5K/分より小さい、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b2)は、実質的に一定の温度で実施される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
(b2)は、1分から20分、好ましくは1分から10分、より好ましくは2分から8分、特に好ましくは3分から7分、最も好ましくは4分から6分、の期間で実施される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却速度T1の絶対値および/または前記冷却速度T3の絶対値は、少なくとも40K/分、好ましくは少なくとも50K/分、特に好ましくは少なくとも60K/分であり、特に40K/分から200K/分、好ましくは50K/分から100K/分、特に好ましくは60K/分から80K/分、の範囲である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a)において、1100℃から1700℃の範囲、好ましくは1300℃から1600℃の範囲、より好ましくは1400℃から1550℃の範囲、特に好ましくは1450℃から1500℃の範囲、最も好ましくは約1480℃、の温度に加熱される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a)において、5K/分から500K/分の範囲、好ましくは50K/分から250K/分の範囲、より好ましくは100K/分から200K/分の範囲、の加熱速度で加熱される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化セラミック材料は、ステップ(b)において、20℃から1300℃の範囲、好ましくは100℃から1250℃の範囲、特に好ましくは1000℃から1200℃の範囲、の温度に冷却される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)における前記酸化セラミック材料は、
(a1)第1の加熱処理を受け、
(a2)第2の加熱処理を受け、
ステップ(a1)における前記加熱処理は、ステップ(a2)における前記加熱処理と比べてより低い圧力で実施される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a1)における前記加熱処理は、200mbar未満、好ましくは100mbar未満、特に好ましくは50mbar未満、特に0.1mbarから200mbarの範囲、好ましくは1mbarから150mbarの範囲、特に好ましくは50mbarから100mbarの範囲、の圧力で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a2)において、さらに、加熱および保持され、並びに、1100℃から1700℃の範囲、特に1300℃から1600℃の範囲、好ましくは1400℃から1550℃の範囲、特に好ましくは1450℃から1500℃の範囲、最も好ましくは約1480℃、好ましくは一定、の温度で焼結され、
前記保持は、好ましくは1分から60分、より好ましくは5分から30分、さらに好ましくは10分から25分、特に好ましくは15分から20分の間実行される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a2)における前記加熱処理は、500mbar超えの圧力で実施され、特に大気圧でおよび/または酸素含有雰囲気で、特に空気、酸素豊富な空気または酸素中で実施される、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a2)の間、酸素含有雰囲気、好ましくは空気、酸素豊富な空気または酸素は、不連続的に、または、好ましくは連続的に、特に0.1 l/分から50 l/分、好ましくは1 l/分から10 l/分、特に好ましくは2 l/分から5 l/分の流速で加熱チャンバーを通過する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a1)において、前記酸化セラミック材料がステップ(a2)において保持される温度または温度範囲と比べて、0Kから500K、特に10Kから250K、好ましくは50Kから150K、特に好ましくは75Kから100K、低い温度に加熱される、請求項11から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化セラミック材料は、ジルコニアをベースとし、特に正方晶ジルコニア多結晶(TZP)である、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ジルコニウム酸化物は、Y2O3、CeO2、MgOおよび/またはCaOにより安定化され、好ましくは、ジルコニウム酸化物の量に基づき、これら酸化物の2mol%から12mol%、特に3mol%から6mol%で安定化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化セラミック材料は、有色であり、好ましくは少なくとも2つの層を含み、前記少なくとも2つの層は特に異なる色を有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化セラミック材料は、Fe、Mn、Cr、Pr、Tb、Er、Yb、Ce、Co、Ni、Nd、CuおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つの発色元素を含み、特にFeを含む、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記歯科修復物は、ブリッジ、インレー、アンレー、クラウン、ベニヤ、ファセット、またはアバットメントであり、好ましくは二つ以上の部材を含む、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
歯科修復物の調製のための酸化セラミック材料の使用であって、
前記酸化セラミック材料は、
(a)少なくとも1つの熱処理を受け、
(b)冷却され、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと、
(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップと
を含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化セラミック材料から開始し、優れた特性を有する歯科修復物の生産を短期間に可能とするプロセスに関する。本発明は、さらに、本発明に係るプロセスにより、歯科修復物の調製のための酸化セラミック材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば酸化セラミックであるセラミック材料は、頻繁に、完全に解剖学的な歯科修復物を作り上げるために使用されている。これらは、高度な臨床的安全性を提供し、通常金属フリーであり、低侵襲の調製にも使用可能であり、他の金属フリーの修復物と比較して、価格において非常に魅力的である。しかしながら、このような修復物を作り上げるに必要とされる大量の作業ステップは、欠点として存在する。
【0003】
修復物は、通常予備焼結されたブランクからミルされ、または研削され、必要に応じてシェード(shade)され、熱処理により密に焼結され、最後、必要に応じて、更にシェードされ、つや付けされ、および/または仕上げられる。
【0004】
歯科セラミックのための従来の焼結プロセスは、使用される酸化セラミック材料が緻密に焼結される最大温度にゆっくり加熱することを含む。低い加熱速度のため、焼結過程は、一般的に4時間より多くかかると解されることで、特に診察台脇での処置において、歯科セラミックの生産サイクルの思わしくない長期間がかかることは顕著に発生する。
【0005】
加熱速度を増加させることにより焼結プロセスを加速するアプローチは、一般的に知られている。
【0006】
例えば、欧州特許出願公開第2098188号は、歯科用炉および、歯科材料を焼結するための方法を説明しており、その方法において、当該炉は、第1加熱期間において50K/分より速い加熱速度で少なくとも1000℃である予備焼結温度に加熱される。
【0007】
欧州特許出願公開第2101133号は、焼結炉、および歯科用品を焼結するためのプロセスを説明しており、そのプロセスにおいて、当該歯科用品は、焼結セクションに沿って移動され、異なる温度に暴露されている。300K/分またはそれよりも速い高速の加熱速度は、第1セクションに用いられ得る。
【0008】
国際公開第2012/057829号は、電磁的誘導またはプラズマを用いてセラミックを速く焼結するプロセスを説明している。
【0009】
国際公開第2015/091744号は、歯科予備焼結部分の焼結を計画するプロセスを説明しており、そのプロセスにおいて、歯科予備焼結部分の熱処理のための温度プロフィルは、生産される歯科予備焼結部分の所定のジオメトリーの一機能および材料のパラメーターとして、コンピューターにより自動的に決定されている。100K/分から400K/分の加熱速度は、所定の歯科予備焼結部分の焼結に使用される。
【0010】
国際公開第2015/121364号は、有用な範囲において、少なくとも200K/分の加熱速度を可能とする加熱装置を備える、歯科成分のための焼結炉を説明している。
【0011】
不活性ガス中または真空中での歯科材料の焼結も従来から知られている。
【0012】
国際公開第2011/020688号は、不活性ガス中で、歯科技術において、金属またはセラミックの酸素フリー焼結用装置を説明している。
【0013】
欧州特許出願公開第2703760号は、義歯を焼結するための歯科用炉を説明しており、その加熱チャンバーは、例えばドアである従来型の閉鎖装置、または真空容器を有する取付により閉じられ得ることで、通常の焼結または真空焼結のために使用され得る。
【0014】
国際公開第2017/189414号は、色変化を誘導する追加的熱処置を含む歯科修復物を製造する方法を説明している。
【0015】
欧州特許出願公開第3659548号は、歯科修復物を製造するプロセスを説明しており、当該プロセスにおいて、酸化セラミック材料が少なくとも2つの熱処理に供されており、第1の熱処理は、第2の熱処理よりも低圧で実行されている。
しかしながら、焼結プロセスを加速させるアプローチにより、セラミック材料の特性、特に光学的特性が、歯科分野における高い要求を満たさない結果をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2098188号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2101133号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/057829号
【特許文献4】国際公開第2015/091744号
【特許文献5】国際公開第2015/121364号
【特許文献6】国際公開第2011/020688号
【特許文献7】欧州特許出願公開第2703760号明細書
【特許文献8】国際公開第2017/189414号
【特許文献9】欧州特許出願公開第3659548号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本願は、歯科修復物を調製するプロセスを提供する課題に基づいており、当該プロセスにより、優れた機械的、特に光学的特性が酸化セラミック材料の焼結により短期間で達成可能である歯科修復物が生産される。
【0018】
本発明では、当該課題は、請求項1から21に係る歯科修復物を調製するためのプロセスにより解決される。本発明の更なる主題は、請求項22に係る歯科修復物の調製のための酸化セラミック材料の使用である。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
歯科修復物を調製する方法であって、
酸化セラミック材料は、
(a)少なくとも1つの熱処理を受け、
(b)冷却され、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと
(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップと
を含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい、方法。
(項目2)
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと、
(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップと、
(b3)冷却速度T3を有する第3の冷却ステップと
を含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1および前記冷却速度T3の絶対値よりも小さい、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目3)
ステップ(b2)は、1000℃から1500℃の温度範囲、好ましくは1100℃から1400℃の温度範囲、より好ましくは1200℃から1300℃の温度範囲において実施される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目4)
ステップ(b2)において、前記冷却速度T2の絶対値は、60K/分より小さく、好ましくは50K/分より小さく、より好ましくは40K/分より小さいく、さらに好ましくは25K/分より小さく、さらに好ましくは10K/分より小さく、最も好ましくは5K/分より小さい、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
ステップ(b2)は、実質的に一定の温度で実施される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
(b2)は、1分から20分、好ましくは1分から10分、より好ましくは2分から8分、特に好ましくは3分から7分、最も好ましくは4分から6分、の期間で実施される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記冷却速度T1の絶対値および/または前記冷却速度T3の絶対値は、少なくとも40K/分、好ましくは少なくとも50K/分、特に好ましくは少なくとも60K/分であり、特に40K/分から200K/分、好ましくは50K/分から100K/分、特に好ましくは60K/分から80K/分、の範囲である、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a)において、1100℃から1700℃の範囲、好ましくは1300℃から1600℃の範囲、より好ましくは1400℃から1550℃の範囲、特に好ましくは1450℃から1500℃の範囲、最も好ましくは約1480℃、の温度に加熱される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a)において、5K/分から500K/分の範囲、好ましくは50K/分から250K/分の範囲、より好ましくは100K/分から200K/分の範囲、の加熱速度で加熱される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記酸化セラミック材料は、ステップ(b)において、20℃から1300℃の範囲、好ましくは100℃から1250℃の範囲、特に好ましくは1000℃から1200℃の範囲、の温度に冷却される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
ステップ(a)における前記酸化セラミック材料は、
(a1)第1の加熱処理を受け、
(a2)第2の加熱処理を受け、
ステップ(a1)における前記加熱処理は、ステップ(a2)における前記加熱処理と比べてより低い圧力で実施される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
ステップ(a1)における前記加熱処理は、200mbar未満、好ましくは100mbar未満、特に好ましくは50mbar未満、特に0.1mbarから200mbarの範囲、好ましくは1mbarから150mbarの範囲、特に好ましくは50mbarから100mbarの範囲、の圧力で実施される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a2)において、さらに、加熱および保持され、並びに、1100℃から1700℃の範囲、特に1300℃から1600℃の範囲、好ましくは1400℃から1550℃の範囲、特に好ましくは1450℃から1500℃の範囲、最も好ましくは約1480℃、好ましくは一定、の温度で焼結され、
前記保持は、好ましくは1分から60分、より好ましくは5分から30分、さらに好ましくは10分から25分、特に好ましくは15分から20分の間実行される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
ステップ(a2)における前記加熱処理は、500mbar超えの圧力で実施され、特に大気圧でおよび/または酸素含有雰囲気で、特に空気、酸素豊富な空気または酸素中で実施される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
ステップ(a2)の間、酸素含有雰囲気、好ましくは空気、酸素豊富な空気または酸素は、不連続的に、または、好ましくは連続的に、特に0.1 l/分から50 l/分、好ましくは1 l/分から10 l/分、特に好ましくは2 l/分から5 l/分の流速で加熱チャンバーを通過する、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記酸化セラミック材料は、ステップ(a1)において、前記酸化セラミック材料がステップ(a2)において保持される温度または温度範囲と比べて、0Kから500K、特に10Kから250K、好ましくは50Kから150K、特に好ましくは75Kから100K、低い温度に加熱される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記酸化セラミック材料は、ジルコニアをベースとし、特に正方晶ジルコニア多結晶(TZP)である、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記ジルコニウム酸化物は、Y2O3、CeO2、MgOおよび/またはCaOにより安定化され、好ましくは、ジルコニウム酸化物の量に基づき、これら酸化物の2mol%から12mol%、特に3mol%から6mol%で安定化される、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記酸化セラミック材料は、有色であり、好ましくは少なくとも2つの層を含み、前記少なくとも2つの層は特に異なる色を有する、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記酸化セラミック材料は、Fe、Mn、Cr、Pr、Tb、Er、Yb、Ce、Co、Ni、Nd、CuおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つの発色元素を含み、特にFeを含む、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記歯科修復物は、ブリッジ、インレー、アンレー、クラウン、ベニヤ、ファセット、またはアバットメントであり、好ましくは二つ以上の部材を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
歯科修復物の調製のための酸化セラミック材料の使用であって、
前記酸化セラミック材料は、
(a)少なくとも1つの熱処理を受け、
(b)冷却され、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1の冷却ステップと、
(b2)冷却速度T2を有する第2の冷却ステップと
を含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい、使用。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、歯科修復物の調製のためのプロセスであって、
酸化セラミック材料が、
(a)少なくとも1つの熱処理に供され、
(b)冷却され、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1冷却ステップと
(b2)冷却速度T2を有する第2冷却ステップとを含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい、プロセスに関する。
本発明に係る歯科修復物の調製のためのプロセスは、
酸化セラミック材料が、
(a)少なくとも1つの熱処理に供され、
(b)冷却されることを特徴とし、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1冷却ステップと
(b2)冷却速度T2を有する第2冷却ステップとを含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい。
【0020】
驚くべきことに、本発明に係る前記プロセスは、酸化セラミックを非常に速く歯科修復物に焼結することを可能としており、良好な機械的特性および極めて高い密度を有すると共に、歯科修復物の高い美的要求を満たし、天然歯科材料の優れた光学特性を模倣することが見出された。
【0021】
ステップ(a)に使用される酸化セラミック材料は、通常、疎に焼結された、特に、予備焼結された酸化セラミック材料である。典型的に、使用された酸化セラミック材料は、30から90%の範囲、特に40から80%の範囲、好ましくは50から70%の範囲の相対的な密度を有し、それぞれの場合では、酸化セラミック材料の真密度に基づく。
【0022】
相対的密度は、酸化セラミック材料の真密度に対する酸化セラミック材料の見掛け密度の比率である。
【0023】
酸化セラミック材料の見掛け密度は、その材料を秤量しおよびその体積を幾何学的に決めることにより、決定される。次に、その密度は、既知の式
密度=重量/体積
に従い計算される。
【0024】
酸化セラミック材料の真密度の決定は、10から30μm、特に20μmの平均粒子サイズの粉末に酸化セラミック材料を研磨し、比重計により粉末の密度を決定することによって実施される。粒子サイズは、例えば、Quantachrome GmbH & Co. KG社によるCILAS(登録商標) Particle Size Analyzer 1064で、ISO13320(2009)に従いレーザ回折を用いて、決定することができる。
【0025】
当該プロセスに係る好適な形態では、冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1冷却ステップ、
(b2)冷却速度T2を有する第2冷却ステップ、および
(b3)冷却速度T3を有する第3冷却ステップを含み、
前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1およびT3の絶対値よりも小さい。
【0026】
さらに、本発明では、好ましくは、ステップ(b2)では、冷却速度T2の絶対値は、冷却速度T1の絶対値より小さく、必要に応じて冷却速度T3の絶対値よりも小さく、1000から1500℃、好ましくは1100から1400℃、特に好ましくは1200から1300℃の温度範囲で行われる。
【0027】
また、好ましくは、ステップ(b2)では、冷却速度T2の絶対値は、60K/分より少なく、好ましくは50K/分より少なく、より好ましくは40K/分より少なく、更に好ましくは25K/分より少なく、更に好ましくは10K/分より少なく、最も好ましくは5K/分より少ない。プロセスの特に好適な実施形態では、ステップ(b2)は、実質的に一定の温度で実施され、すなわち、冷却速度T2が約0K/分である。
【0028】
ステップ(b2)は、特に、1から20分、好ましくは1から10分、より好ましくは2から8分、特に好ましくは3から7分、最も好ましくは4から6分の期間で実施される。
【0029】
本発明では、冷却速度T2の絶対値は、冷却速度T1の絶対値より小さく、必要に応じて冷却速度T3の絶対値よりも小さい。好適な実施形態では、冷却速度T1の絶対値は、少なくとも40K/分であり、好ましくは少なくとも50K/分であり、特に好ましくは少なくとも60K/分であり、特に40から200K/分、好適には50から100K/分、特に好ましくは60から80K/分の範囲である。他の好適な実施形態では、冷却速度T3の絶対値は、少なくとも40K/分であり、好ましくは少なくとも50K/分、特に好ましくは少なくとも60K/分、特に、40から200K/分、好ましくは50から100K/分、特に好ましくは60から80k/分の範囲である。特に好適な実施形態では、冷却速度T1およびT3の絶対値は、それぞれ少なくとも40K/分であり、好ましくは少なくとも50K/分、特に好ましくは少なくとも60K/分であり、特に40から200K/分、好適には50から100K/分、特に好ましくは60から80K/分の範囲である。
【0030】
ステップ(a)では、好ましくは、酸化セラミック材料は、1100から1700℃、好ましくは1300から1600℃、より好ましくは1400から1550℃、特に好ましくは1450から1500℃の範囲、最も好ましくは約1480℃に加熱される。さらに好ましくは、酸化セラミック材料は、ステップ(a)の実施後に、各場合において、酸化セラミック材料の真密度に基づき、90から97%の範囲、好ましくは93から96%の範囲、特に好ましくは約95%の相対的密度を有する。
【0031】
好ましくは、酸化セラミック材料は、ステップ(a)において、5から500k/分、好ましくは50から250K/分、特に好ましくは100から200K/分の範囲である加熱速度で加熱されている。好適な実施形態では、酸化セラミック材料は、最初に、50から500K/分、好ましくは75から250K/分、特に好ましくは100から200K/分の加熱速度で加熱され、ステップ(a)において到達した最大温度よりも100から800K、好ましくは300から700K、特に好ましくは500から600K低い温度に到達し、更に、5から200K/分、好ましくは10から100K/分、特に好ましくは25から50K/分の加熱速度で加熱される。
【0032】
ステップ(b)では、好ましくは、酸化セラミック材料は、20から1300℃、好ましくは100から1250℃、特に好ましくは1000から1200℃の範囲に冷却される。このような温度に到達した後、酸化セラミック材料は、加熱チャンバーから除去され得る。
【0033】
更なる実施形態では、特に好ましくは、プロセスは、ステップ(a)における酸化セラミック材料は、
(a1)第1加熱処理に供され、
(a2)第2加熱処理に供され、
ステップ(a1)における加熱処理は、ステップ(a2)の加熱処理よりも、低めの圧力で実施されている。
【0034】
好ましくは、ステップ(a1)における加熱処理は、200mbarよりも低く、好ましくは100mbarよりも低く、特に好ましくは50mbarよりも低い圧力、特に0.1から200mbarの範囲、好ましくは1から150mbarの範囲、特に好ましくは50から100mbarの範囲の圧力で実施される。
【0035】
酸化セラミック材料を加熱し始める前に、当該圧力は、大気圧に設定され得る。代替的に、ステップ(a)で定義される圧力が調整される前に、酸化セラミック材料は、まず、室温より高い温度に加熱してよい。この温度は、好ましくは20から500℃の範囲であり、特に25から100℃の範囲である。
【0036】
ステップ(a2)では、好ましくは、酸化セラミック材料は、さらに加熱、保持され、好ましくは一定である、1100から1700℃の範囲、特に1300から1600℃の範囲、好ましくは1400から1550℃の範囲、より好ましくは1450から1500℃の範囲の温度、最も好ましくは約1480℃で焼結される。好ましくは、更なる加熱は、5から200k/分、特に10から100k/分、好ましくは25から50k/分の加熱速度で実施される。好ましくは、保持は、1から60分、特に5から30分、好ましくは10から25分、特に好ましくは15から20分で実施される。対応の温度で保持され、酸化セラミック材料は、一般、密に焼結された。その後、各場合において、酸化セラミック材料の真密度に基づき、好ましくは、酸化セラミック材料は少なくとも97%、特に少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは少なくとも99.5%の相対的密度を有する。
【0037】
好ましくは、ステップ(a2)における加熱処置は、500mbarより大きい圧力、特に大気圧で実施される。
【0038】
好ましくは、ステップ(a2)の加熱処置は、酸素含有雰囲気で実施される。特に、空気、酸素富化空気および酸素は、酸素含有雰囲気とみなされてもよい。このような雰囲気を設定するように、加熱処置のために使用される加熱チャンバーは、空気および/または酸素により充填される。好適な実施形態では、酸素含有雰囲気、好ましくは空気、酸素富化空気または酸素、不連続的に、または好ましくは連続的に、ステップ(2)の間の加熱処置に使用される加熱チャンバーを、特に、0.1から50 l/分、好ましくは1から10 l/分、特に好ましくは2から5 l/分の流速で通過する。
【0039】
また、好ましくは、ステップ(a1)において、酸化セラミック材料は、ステップ(a2)において酸化セラミック材料が保持される温度または温度範囲よりも、0から500K、特に10から250K、好ましくは50から150K、より好ましくは75から100K低い温度に加熱される。
【0040】
好ましくは、本発明によるプロセスで得られた酸化セラミック材料は、1nmから1000nm、特に10nmから800nm、好ましくは100nmから600nmの範囲の数平均粒径を有する。数平均粒径は、特に、DIN EN 623-3またはASTM E 112に従う線交差(line intersection)方法によって決定することができ、決定された値は、M.I.Mendelson,J.Am.Ceram.Soc.1969,52(8),443-446に基づき、1.56である比例定数でかけることにより、三次元マイクロ構造における、真の数平均粒径への変換に使用される。
【0041】
本発明に係るプロセスは、種々の酸化セラミック材料に適している。酸化セラミック材料は、酸化物をベースとして通常高い結晶性を有するセラミック材料であり、せいぜい、非常に少ない比率のガラス相を有する。典型的な酸化セラミック材料は、ZrO2、Al2O3、TiO2、MgO、その混合物、固溶系、または、特にZrO2/Al2O3(ZTA)、Al2O3/ZrO2(ATZ)またはZrO2/スピネルであるそれらの複合物であり、スピネルが好ましくはSr-スピネル、Mg-スピネル、La-スピネル、および/またはCe-スピネルである。ZrO2および/またはAl2O3をベースとする酸化セラミック材料は、本発明において好適である。
【0042】
ジルコニウム酸化物をベースとし、特に多結晶正方晶系ジルコニウム酸化物(TZP)をベースとする酸化セラミック材料は特に好適である。さらに好ましくは、Y2O3、La2O3、CeO2、MgOおよび/またはCaOにより安定化されるジルコニウム酸化物をベースとする酸化セラミック材料であり、好ましくは、ジルコニウム酸化物成分をベースとして、2から12mol%、特に3から6mol%のこれらの酸化物で安定化される。
【0043】
さらに好ましくは、酸化セラミック材料は色付きである。本発明では、酸化セラミック材料に、一つまたはそれより多くの有色元素が添加される。適切な有色元素の例は、Fe、Mn、Cr、Pr、Tb、Er、Yb、Ce、Co、Ni、Nd、CuおよびBiである。好ましくは、酸化セラミック材料は、特にFeを含む。特に好ましくは、酸化セラミック材料は、特にそれらの色で異なる少なくとも2つの層を含む。
【0044】
本願の範囲内では、「色」および「色付き」は、材料の色、光度、および/または透光性を意味する。
【0045】
「透光性」は、材料、本体または層の光透過性、例えば、入射光強度に対する透過光強度の比率である。
【0046】
歯科産業に通常使用されるL*a*b*色空間における色座標L*、a*、およびb*により、またはに色コードより、色が特徴付けられる。
【0047】
L*a*b色空間において、L*値が、0(黒色)から100(白色)までの値を有する色の輝度を表現しており、a*値が、色の緑色または赤色の成分を表現し、負の値が緑色を表し、正の値が赤色を表し、b*値が、色の青色または黄色の成分を表現し、負の値が青色を表し、正の値が黄色を表す。色彩の違いは、ΔE*値により、L*a*b*色空間において表現され得、ΔE*値は、下記式
ΔE*=√((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)
により計算される。
【0048】
通常歯科産業において使用される色彩コードの例は、VITA Zahnfabrik H.Rauter GmbH&Co.KGからのVitapan classical(登録商標)およびVita 3D Master(登録商標)、およびIvoclar Vivadent AGからのChromascop(登録商標)である。透光性は、対比値CRで特徴付けられ得、0%が完全透明を意味し、100%が完全不透明を意味する。
【0049】
通常、色座標L*、a*およびb*は、DIN 5033およびDIN 6174に基づいて決定され、透光性は、BS 5612に基づいて決定される。対応する測定値は、特に、CM-3700d型(Konica-Minolta社)の分光光度計により実施され得る。この目的のために、検体が測定のために使用され、ダイヤモンド粒子(粒子サイズが15から20μm)で検体の両面が湿式粉砕され、2.00±0.025mmの最終検体厚みを得る。
【0050】
好ましくは、本発明により得られた歯科修復物の単色または多色は、自然の歯の色の範囲に属する。特に好ましくは、本発明により得られた歯科修復物は、50から100の範囲、特に80から97の範囲であるL*値、-10から10の値の範囲、特に、-1から5の範囲のa*値、0から50の範囲、特に1から20の範囲におけるab*値、および/または、50から100%の範囲、特に75から99%の範囲のCR値を有する。
【0051】
本発明によるプロセスは、歯科修復物の調製に特に適している。特に好適には、歯科修復物は、ブリッジ、インレー、オンレイ、クラウン、ベニヤ、ファセットおよびアバットメントである。本発明によるプロセスは、特に歯科修復物の調製のために適しており、特にブリッジであり、二つまたはそれより以上の部材を含む。
【0052】
本発明は、さらに、歯科修復物の調製のための酸化セラミック材料の使用にも関しており、酸化セラミック材料は、
(a)少なくとも1つの加熱処理に供され、
(b)冷却され、
前記冷却は、
(b1)冷却速度T1を有する第1冷却ステップ、および
(b2)冷却速度T2を有する第2冷却ステップ
を含み、前記冷却速度T2の絶対値は、前記冷却速度T1の絶対値より小さい。
【0053】
使用の好適な実施形態は、本発明によるプロセスにおいて既に説明されている。
【0054】
本発明は、下記実施例を参照して詳細に説明される。
【実施例0055】
(実施例1Aから1F)
直径24mm、高さ2.9mmの試験検体は、9.23wt.%のY2O3、0.045wt.%のAl2O3、および0.25wt.%のFe2O3(Tosoh社からのZpexスマイルイエロー)を含む、市販のジルコニアベース酸化セラミック材料から作製されており、150MPaの圧力で、単軸にプレスして、1000℃で2時間熱処理を受けた。
【0056】
試験検体は、MoSi2加熱エレメントを有する焼結炉において焼結を受けた。この目的のために、試験検体を室温で焼結炉の加熱チャンバー内に配置し、加熱チャンバーを閉じ、加熱チャンバー内において約50から100mbarの最終的な圧力を有する部分真空を設けた。試験検体を、約130k/分の加熱速度で約900℃の温度に、その後、約50k/分の加熱速度で約1220℃の温度に、さらに、約10K/分の加熱速度で約1400℃の温度に加熱した。この温度に到達し、加熱チャンバーは、新鮮な空気で流して、その後、約2.2 l/分の流速で新鮮な空気を連続的に通過させながら、試験検体をさらに、約10k/分の加熱速度で1480℃の温度に加熱して、この温度で約17分間保持した。その後、表1に従い、試験検体は、約70k/分の冷却速度で、温度Tに冷却して、この温度でt分の期間で保持し、さらに、約70K/分の冷却速度で約1200℃の温度に冷却した。加熱チャンバーは、その後開放した。焼結プロセスの総持続期間は、64から66分間であった。
【0057】
実施例1G(比較)
実施例1Aと同様であったが、検体を、中断することなく連続的に約70K/分の冷却速度で1480℃から1200℃に冷却した。焼結プロセスの総持続期間は、約60分間であった。
【0058】
実施例1H(比較)
実施例1Aと同様であったが、遅い焼結プロセスを用いた。この目的のため、試験検体は、約10K/分の加熱速度で、約900℃の温度に加熱し、この温度で30分間保持し、さらに、約3K/分の加熱速度で約1500℃に加熱して、この温度で約120分間保持した。その後、試験検体は、約10K/分の冷却速度で、900℃に冷却し、さらに、約8K/分の冷却速度で300℃に冷却した。加熱チャンバーは、その後開放した。焼結プロセスの総期間は、約575分間であった。
【0059】
実施例1A-Hで得られた酸化セラミック材料のCR値および色座標は、表1に示されている。本発明による実施例1Aから1Fは、早い焼結プロセスを用いて得られた実施例1Gと比べて、顕著に高いa*値およびb*値を示し、a*値は、一貫して正の範囲である。その結果、これらの実施例は、天然歯科材料の色特性を模倣するためにより適している。同様に、本発明による実施例1Aから1Fに使用される焼結プロセスは、実施例1Hによる遅い焼結プロセスの期間の約10分の1に過ぎない。
【表1】
*(比較)