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特開2023-27023サイズ調整可能な電極を有するカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027023
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】サイズ調整可能な電極を有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129234
(22)【出願日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】17/403,009
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK62
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテルの電極のサイズを制御すること。
【解決手段】方法は、患者の器官に、拡張可能な遠位端アセンブリを有するカテーテルを挿入することを含み、拡張可能な遠位端アセンブリは、シャフトに結合されており、かつ複数のスプラインを含み、複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインは、器官の組織と接触して配置されている電極を含む。組織と接触している電極の部分の少なくともサイズは、拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上でチューブを移動させることによって制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズ調整可能な電極を有するカテーテルであって、
患者の器官に挿入するためのシャフトと、
前記シャフトに結合されており、かつ複数のスプラインを備える拡張可能な遠位端アセンブリであって、前記複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインが、前記器官の組織と接触して配置されるように構成された電極を備える、拡張可能な遠位端アセンブリと、
前記拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に通されるように構成されており、かつ前記組織と接触している前記電極の部分の少なくともサイズを制御するために、前記遠位端アセンブリに沿って移動可能なチューブであって、前記遠位端アセンブリに対する前記チューブの移動を制限するための停止部を有している、チューブと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記チューブが、少なくとも前記所与のスプラインの位置を前記チューブの周囲に沿って制御するための少なくともチャネルを有している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記スプラインが、前記遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合されており、前記チューブが、(i)前記部分の前記サイズを増加させるために前記近位頂部に向かって、かつ(ii)前記部分の前記サイズを減少させるために前記遠位頂部に向かって、移動されるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記停止部が、前記チューブの前記移動を、前記遠位端アセンブリの前記近位頂部と前記遠位頂部との間に制限するように構成されている、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
少なくとも前記所与のスプラインが導電性であり、前記電極が、(i)前記組織にアブレーション信号を印加すること、及び(ii)前記組織内の電気解剖学的(EA)信号を感知すること、のうちの一方又は両方を実施するように構成されている、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項6】
少なくとも前記電極が、(i)前記部分の前記サイズが増加したときに前記アブレーション信号を印加し、かつ(ii)前記部分の前記サイズが減少したときに前記EA信号を感知するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記チューブに結合されており、かつ前記組織と接触して配置されることは意図されていない、追加の電極を備え、前記遠位端アセンブリが、前記電極と前記追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記チューブに結合されており、かつ前記組織と接触して配置されることは意図されていない、追加の電極を備え、前記遠位端アセンブリが、前記電極と前記追加の電極との間の単極EA信号を感知するように構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項9】
カテーテルを製造するための方法であって、
複数のスプラインを備える拡張可能な遠位端アセンブリをシャフトに結合することであって、前記複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインが、患者の器官の組織と接触して配置されるように構成された電極を備える、結合することと、
前記拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に、前記組織と接触している前記電極の部分の少なくともサイズを制御するために移動可能であるチューブを通すことであって、前記チューブが、前記遠位端アセンブリに対する前記チューブの移動を制限するための停止部を有している、通すことと、を含む、方法。
【請求項10】
前記チューブが、前記スプラインのうちの少なくとも1つの位置を前記チューブの周囲に沿って制御するための少なくともチャネルを有している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スプラインが、前記遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合され、前記停止部が、前記部分の少なくとも前記サイズを制御するために、前記チューブの前記移動を、前記遠位頂部と前記近位頂部との間に制限するように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記組織と接触して配置されることは意図されていない追加の電極を前記チューブに結合して、(i)前記電極と前記追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加すること、及び(ii)前記電極と前記追加の電極との間の単極EA信号を感知すること、のうちの一方又は両方を行うようにすることを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療用カテーテルに関し、具体的には、サイズ調整可能な電極を有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
拡張可能なカテーテルの機能を高めるための様々な技術が公開されている。
【0003】
例えば、欧州特許出願第3141181(A1)号は、細長い本体部材と、複数の径方向に拡張するスプラインを含むバスケットと、径方向に拡張するスプラインのうちの1つに位置する第1の電極とを有するアブレーションカテーテルについて記載している。アブレーション処置中に、径方向に拡張するスプラインに隣接する組織にエネルギーを印加するように構成された第1の電極。径方向に拡張するスプラインのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの開口、管腔、管腔の内部の光出射要素、及び管腔の内部の光受容要素を含む。光出射要素は、アブレーション処置中に開口を通して隣接する組織に光学的放射を出射するように構成されている一方、光受信要素は、アブレーション処置中に開口を通して光放射を収集するように構成されている。光放射は、アブレーション処置中に隣接する組織の特性を示す。
【0004】
米国特許出願公開第2020/0206461号は、拡張可能な遠位端アセンブリと、近位位置センサと、遠位位置センサと、プロセッサとを含むシステムについて記載している。その拡張可能な遠位端アセンブリは、患者の器官の腔内に挿入するためのシャフトの遠位端に結合されている。近位位置センサ及び遠位位置センサは、それぞれ遠位端アセンブリの近位端及び遠位端に位置する。プロセッサは、すべてプロセッサによって使用される座標系における、近位センサの位置及び長手方向、並びに遠位センサの位置を推定するように構成されている。プロセッサは、推定された長手方向によって画定された軸線上に、遠位センサの推定位置を投影し、近位センサの推定位置と遠位センサの投影位置との間の距離を計算することによって、遠位端アセンブリの伸長を計算するように、更に構成されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、患者の器官に、拡張可能な遠位端アセンブリを有するカテーテルを挿入することを含む方法を提供し、拡張可能な遠位端アセンブリは、シャフトに結合されており、かつ複数のスプラインを含み、複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインは、器官の組織と接触して配置されている電極を含む。組織と接触している電極の部分の少なくともサイズは、拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上でチューブを移動させることによって制御される。
【0006】
いくつかの実施形態では、少なくともサイズを制御することは、少なくとも所与のスプラインの位置をチューブの周囲に沿って制御することを含む。他の実施形態では、スプラインは、遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合されており、少なくともサイズを制御することは、(i)部分のサイズを増加させるためにチューブを近位頂部に向かって移動させることと、(ii)部分のサイズを減少させるためにチューブを遠位頂部に向かって移動させることと、を含む。更に他の実施形態では、チューブを移動させることは、チューブの移動を、遠位端アセンブリの近位頂部と遠位頂部との間に制限するために、チューブの停止部を使用することを含む。
【0007】
一実施形態では、少なくとも所与のスプラインは導電性であり、電極は、(i)組織にアブレーション信号を印加すること、及び(ii)組織内の電気解剖学的(electro-anatomic、EA)信号を感知すること、のうちの一方又は両方を行うために使用される。別の実施形態では、方法は、(i)部分のサイズが増加したときにアブレーション信号を印加することと、(ii)部分のサイズが減少したときにEA信号を感知することと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、アブレーション信号を印加することは、電極と追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加することを含み、追加の電極はチューブに結合されており、組織と接触して配置されることは意図されていない。他の実施形態では、EA信号を感知することは、電極と追加の電極との間の単極EA信号を感知することを含み、追加の電極は、チューブに結合されており、組織と接触して配置されることは意図されていない。
【0009】
更に、本発明の実施形態によれば、カテーテルであって、(i)患者の器官に挿入するためのシャフトと、(ii)シャフトに結合されており、かつ複数のスプラインを含む拡張可能な遠位端アセンブリであって、複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインが、器官の組織と接触して配置されるように構成された電極を含む、拡張可能な遠位端アセンブリと、(iii)拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に通されるように構成されており、かつ組織と接触している電極の部分の少なくともサイズを制御するために、遠位端アセンブリに沿って移動可能なチューブであって、遠位端アセンブリに対するチューブの移動を制限するための停止部を有している、チューブと、を含む、カテーテルが提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、チューブは、少なくとも所与のスプラインの位置をチューブの周囲に沿って制御するための少なくともチャネルを有している。他の実施形態では、スプラインは、遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合されており、チューブは、(i)部分のサイズを増加させるために近位頂部に向かって、かつ(ii)部分のサイズを減少させるために遠位頂部に向かって、移動されるように構成されている。
【0011】
本発明の実施形態によれば、カテーテルを製造するための方法が更に提供され、方法は、複数のスプラインを含む拡張可能な遠位端アセンブリをシャフトに結合することを含み、複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインは、患者の器官の組織と接触して配置されるように構成された電極を含む。組織と接触している電極の部分の少なくともサイズを制御するために移動可能であるチューブは、拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に通され、チューブは、遠位端アセンブリに対するチューブの移動を制限するための停止部を有している。
【0012】
いくつかの実施形態では、チューブは、スプラインのうちの少なくとも1つの位置をチューブの周囲に沿って制御するための少なくともチャネルを有している。他の実施形態では、スプラインは、遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合され、停止部は、部分の少なくともサイズを制御するために、チューブの移動を、遠位頂部と近位頂部との間に制限するように構成されている。更に他の実施形態では、方法は、組織と接触して配置されることは意図されていない追加の電極をチューブに結合して、(i)電極と追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加すること、及び(ii)電極と追加の電極との間の単極EA信号を感知すること、のうちの一方又は両方を行うことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
図1】本発明の例示的な実施形態に従う、カテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
図2A】本発明の例示的実施形態による、カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリ、並びに組織と接触して配置された遠位端アセンブリの1つ又は2つ以上の電極のサイズを制御するための可動チューブの概略側面図である。
図2B】本発明の例示的実施形態による、カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリ、並びに組織と接触して配置された遠位端アセンブリの1つ又は2つ以上の電極のサイズを制御するための可動チューブの概略側面図である。
図3】本発明の例示的実施形態による、組織と接触して配置された拡張可能な遠位端アセンブリの1つ又は2つ以上の電極のサイズを制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図4】本発明の例示的実施形態による、電極を有する拡張可能な遠位端アセンブリと、組織と接触して配置された電極のサイズを制御するためのチューブと、を備えるカテーテルを製造するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
電気生理学的処置は、典型的には、電気解剖学的(EA)をマッピングし、心臓の不整脈を発生させ得る組織内の位置を識別するために、患者の器官、例えば、心臓の組織内のEA信号を感知することを必要とする。続いて、EAマッピングに基づいて必要に応じて、電気生理学的処置は、問題の組織の前述の位置にアブレーション信号を印加することを必要とし得る。EAマッピングは、典型的には、高解像度を必要とし、これは、小さなサイズ(例えば、約2.5mm)を有する電極を使用することによって得られる。しかしながら、アブレーションは、より大きなサイズ(例えば、約10mm)を有する電極を必要とし得る。
【0015】
原則として、EA感知用の1つ又は2つ以上の感知電極、及び組織アブレーション用の1つ又は2つ以上のアブレーション電極を有する1つのカテーテルを使用することが可能である。代替的に、1つは感知用であり、もう1つはアブレーション用である、異なるカテーテルを使用することが可能である。第1の選択肢は、複合カテーテルを必要とし、これは、(例えば、EAマッピング及び組織アブレーション中に異なるタイプの電極を組織に結合することによって)動作上の課題を引き起こし得る。第2の選択肢は、2つの異なるカテーテルを患者の心臓に挿入することを必要とする。要約すると、両方の選択肢は、サイクル時間及び電気生理学的処置のコストを増加させる。
【0016】
以下に記載される本発明の実施形態は、EAマッピング及び組織アブレーションの両方を実施するための改善された技術を、制御可能かつ/又はサイズ調整可能な電極を有する単一のカテーテルを使用して提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、EAマッピング及び組織アブレーションの両方を実施するように構成されたカテーテルは、(i)患者の器官(例えば、心臓)に挿入するためのシャフトと、(ii)シャフトに結合され、かつ複数のスプラインを備える拡張可能な遠位端アセンブリと、(iii)可動チューブと、を備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインは、EA感知及び組織アブレーションを実施するために心臓の組織と接触して配置されるように構成された電極を備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、チューブは、拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に通されるように構成されており、組織と接触している電極の部分の少なくともサイズ、及び任意選択的に形状を制御するために、遠位端アセンブリの長手方向軸線に沿って移動可能である。
【0020】
いくつかの実施形態では、チューブは、遠位端アセンブリに対するチューブの移動を、例えば、遠位端アセンブリの近位頂部と近位頂部との間に制限するための停止部を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の追加の電極が、チューブに結合され、この追加の電極は、カテーテルに電気的に配線されるが、スプラインのうちのいずれかと電気的に接続されること又は問題の組織と接触して配置されることは意図されていない。そのような実施形態では、カテーテルは、(i)組織と接触しているカテーテル(例えば、スプラインの部分)の選択された電極と、追加の電極との間の単極信号、及び/又は(ii)遠位端アセンブリの2つの選択された電極(例えば、2つの異なるスプラインの部分)との間の双極信号、を感知するかつ/又は印加するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリの長手方向軸線に沿ってチューブを移動させることにより、医師、又はカテーテルの任意の他のユーザは、EA感知及び/又は組織アブレーションに使用される電極のサイズを調整することができる。例えば、医師は、(i)組織の所与の領域をアブレーションするために、スプラインの全長(本明細書では大きなアブレーション電極と称される)を、及び(ii)所与の領域よりも小さい領域内のEA信号を感知するために、スプラインの一部(すなわち、大きなアブレーション電極よりも小さい電極)を、使用することができる。
【0023】
そのような実施形態では、医師は、(より小さい電極を使用することによって)高解像度EAマッピングを取得することができる。続いて、EAマッピングに基づいて、上記の所与の領域をアブレーションために、又は、例えば、EAマッピングを行うために電極によって覆われている組織領域よりも典型的に大きいサイズを有する組織の任意の他の領域をアブレーションするために、医師は、チューブを長手方向軸線に沿って遠位に移動させることによって電極のサイズを増加させることができる。
【0024】
開示された技術は、EAマッピング及び/又は組織アブレーションに必要なサイズに対応するように電極のサイズを調整することによって、電気生理学的処置の質を改善する。更に、開示された技術は、電極サイズの迅速かつ単純な調整を可能にし、それによって組織のEAマッピングと組織のアブレーションとの間の迅速な切り替えを可能にすることによって、電気生理学的処置のサイクル時間を短縮する。
【0025】
更に、開示された技術は、2つの異なるカテーテル、又は2つ若しくはそれ以上の異なるタイプの電極を有する複合カテーテルよりも典型的には安価である単純なカテーテルを使用して、医師が組織内のEA信号の感知及び組織のアブレーションの両方を行うことを可能にすることによって、電気生理学的処置のコストを削減する。
【0026】
システムの説明
図1は、本発明の例示的実施形態による、カテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステム20の概略描写図である。いくつかの実施形態では、システム20は、本実施例ではバスケット形状を有する拡張可能な心臓カテーテルであるカテーテル22と、制御コンソール24とを備える。本明細書に説明されている実施形態では、カテーテル22は、心臓26内の組織のアブレーションなどであるが、これらに限定されない、任意の好適な治療目的及び/又は診断目的で使用され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、フロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ42を備え、フロントエンド回路及びインターフェース回路は、カテーテル22からの信号を受信し、かつ本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御することに好適なものである。プロセッサ42は、システムによって使用される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされてもよく、かつ、ソフトウェア用のデータをメモリ51に格納するように構成されている。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードされてもよく、又は光学的記憶媒体、磁気的記憶媒体、若しくは電子的記憶媒体などの、非一時的な有形媒体で提供されてもよい。代替的に、プロセッサ42の機能の一部又は全部は、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)又は任意の好適なタイプのプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素を使用して実行されてもよい。
【0028】
ここで、挿入図25を参照する。いくつかの実施形態では、カテーテル22は、複数のスプラインを有する遠位端アセンブリ40(以下の図2に詳細に示す)と、心臓26内の組織のアブレーションを行うために遠位端アセンブリ40を標的位置に挿入するためのシャフト23と、を備える。アブレーション処置中、医師30は、テーブル29に横たわる患者28の脈管系を通して、カテーテル22を挿入する。医師30は、プロセッサ42のインターフェース回路に接続されたカテーテル22の近位端付近のマニピュレータ32を使用して、遠位端アセンブリ40を心臓26内の標的位置に移動させる。
【0029】
いくつかの実施形態では、カテーテル22は、例えば、遠位端アセンブリ40にごく近接してカテーテル22の遠位端に結合される、位置追跡システムの位置センサ39を備える。本実施例では、位置センサ39は磁気位置センサを備えるが、他の実施形態では、任意の他の好適なタイプの位置センサ(例えば、磁気ベース以外)が使用されてもよい。
【0030】
再度、図1の概略図を参照する。いくつかの実施形態では、心臓26内での遠位端アセンブリ40の誘導中、プロセッサ42は、例えば、心臓26内での遠位端アセンブリ40の位置を測定するために、外部磁場発生器36からの磁場に応答して、磁気位置センサ39から信号を受信する。いくつかの実施形態では、コンソール24が、磁場発生器36を駆動するように構成された駆動回路34を備える。磁場発生器36は、例えば、テーブル29の下など、患者28の外部の既知の位置に配置されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、例えば、コンソール24のディスプレイ46上に、心臓26の画像44上に重ねられた遠位端アセンブリ40の追跡された位置を表示するように構成されている。
【0032】
外部磁場を使用するこの位置感知方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムにおいて実施されており、開示内容がすべて参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されている。
【0033】
サイズ調整可能な電極を有する遠位端アセンブリ
図2Aは、本発明の例示的な実施形態による、心臓26の組織と接触して配置された遠位端アセンブリ40の1つ又は2つ以上の電極のサイズを制御するように構成された、遠位端アセンブリ40及び可動チューブ55の概略側面図である。
【0034】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40はシャフト23に結合され、上記の図1に記載されるように、心臓26の問題の組織と接触して又は患者の任意の他の器官の組織と接触して配置されるように、医師30によってナビゲートされる。
【0035】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、拡張可能であり、本実施例ではバスケット形状を有しているが、他の実施形態では、遠位端アセンブリ40は、任意の他の好適なタイプの拡張可能な形状を有し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、その近位頂部66と遠位頂部77との間に結合されたスプライン33を有する。本実施例では、少なくとも1つ、典型的にはすべてのスプライン33は、ニチノール又は任意の他の好適な生体適合性材料から作製される。スプライン33は導電性であり、例えば、頂部66及び77によって、又は任意の他の好適な電気絶縁装置を使用して、電気的に短絡させるか、又は互いに分離することができる。
【0037】
他の実施形態では、スプライン33のうちの1つ又は2つ以上は、両方の縁部の電気的に絶縁された表面と、縁部と縁部との間の、電極として機能し得る導電性表面とを有し得る。そのような実施形態では、頂部66及び頂部77のうちの少なくとも1つは、導電性であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、頂部66及び頂部77は、遠位端アセンブリ40を拡張及び収縮させるように互いに対して移動可能である。例えば、頂部66は、遠位端アセンブリ40を拡張するように、カテーテル22の軸線68に平行な、矢印72によって示される方向に、遠位に移動される。同様に、頂部66は、遠位端アセンブリ40を収縮させるように、軸線68に沿って近位に移動される。本実施例では、軸線68は、カテーテル22及び遠位端アセンブリ40の両方の長手方向軸線を構成する。
【0039】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、頂部66及び頂部77にそれぞれ隣接してそれらに結合された2つの位置センサ39を有し得る。位置センサ39から受信した位置信号に基づいて、プロセッサ42は、頂部66と頂部77との間の距離を計算し、それによって遠位端アセンブリ40の拡張レベルを計算する。
【0040】
いくつかの実施形態では、チューブ55は、軸線68に沿って固定されていても又は変化してもよい直径88と、チューブ55の内周囲又は外周囲の表面に結合された少なくとも1つの電極70とを有する。電極70は、例えば、所与のスプライン33と電極70との間の単極アブレーション信号を問題の組織に適用するための参照電極として使用されるように構成される。同様に、電極70は、問題の組織内の、所与のスプライン33と電極70との間の単極EA信号を感知するための参照電極として使用され得る。このような実施形態では、電極70は、問題の組織と接触して配置されることが意図されておらず、所与のスプライン33の電極は、問題の組織と接触して配置されることに留意されたい。
【0041】
いくつかの実施形態では、チューブ55は、シャフト23の少なくとも一部の上に、かつ遠位端アセンブリ40の少なくとも一部の上に通されるように構成されている。チューブ55は、1つ又は2つ以上のスプライン33から作製されかつ組織と接触して配置されている電極の本明細書に記載の部分の少なくともサイズを制御するために、軸線68に沿って近位及び遠位に移動されるように構成されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、チューブ55は、チューブ55の上縁部75上に形成された停止部99を有する。停止部99は、遠位端アセンブリ40に対するチューブ55の移動を制限するように構成されている。停止部99の構造は本明細書に記載されている。
【0043】
図2Aの実施例では、チューブ55の縁部75は、頂部66と接触して配置されており、その結果、停止部99は、チューブ55が軸線68に平行な方向72に遠位にのみ移動するように制限するように構成されている。
【0044】
ここで、チューブ55の上縁部75の上面図AAである挿入図81を参照する。
【0045】
いくつかの実施形態では、チューブ55の上縁部75は、ドーナツ形状を画定する内周囲82及び外周囲86を有する。周囲82と周囲86との間の表面84は、以下で詳細に説明するように、チューブ55の上縁部75の移動を頂部66と頂部77との間に制限するように構成された立体表面を備えることに留意されたい。本実施例では、停止部99は、表面84と周囲82及び86とからなる。
【0046】
いくつかの実施形態では、停止部99の最小直径、例えば、内周囲82によって囲まれた円は、シャフト23の直径よりも大きく、その結果、チューブ55は、シャフト23及び遠位端アセンブリ40の少なくとも一部の上で軸線68に沿って移動することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、チューブ55の上縁部75は、チャネル80を有し、チャネル80は、チューブ55の外周囲86の内面に沿ってスプライン33を誘導し、かつスプライン33の少なくとも1つの位置を制御するように構成されている。言い換えれば、チャネル80は、2つ又はそれ以上のスプライン33の相互間の望ましくない物理的及び電気的接触をもたらす可能性のある、周囲86に沿った1つ又は2つ以上のスプライン33の滑り又はシフトを防止する。
【0048】
いくつかの実施形態では、停止部99は、チューブ55が方向72に遠位に移動したときに、上縁部75が頂部77に対して遠位に位置付けられることができないようにチューブ55の移動を制限するように構成されている。本構成では、表面84は、遠位頂部77に結合されたスプライン33の上縁部部分に衝突するので、チューブ55の上縁部75が遠位頂部77を越えて遠位に移動するのを制限する。
【0049】
本実施例では、停止部99は、チューブ55の上縁部75に形成されている。他の実施形態では、停止部99は、チューブ55の軸線68に沿った任意の他の場所に形成されてもよく、例えば、軸線68に沿って任意の好適な長さを有してもよい。そのような構成では、遠位頂部77に対する上縁部75の最遠位位置は、上述の位置と比較して異なり得ることに留意されたい。代替実施形態では、停止部99は、チューブ55の構成から排除されてもよく、及び/又は任意の他の好適な構成を使用して具現化されてもよい。
【0050】
再度、図2Aの概略図を参照する。いくつかの実施形態では、図2Aに示される位置では、(i)遠位端アセンブリ40は拡張されており、(ii)チューブ75は、遠位端アセンブリ40に対してその最近位位置に位置付けられており、その結果、縁部75は頂部66と接触して配置されている。この位置では、遠位端アセンブリ40は、部分60の最大長さ(そのサイズは以下に提供される)、及び最大直径90(例えば、約12mm)を有する。したがって、スプライン33の外面全体が心臓26に対して露出されており、スプライン33のうちの1つ又は2つ以上が心臓26の組織と接触して配置されることができる。言い換えれば、遠位端アセンブリ40の電極(例えば、スプライン33)の部分の最大サイズが、組織と接触して配置されることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、医師30は、システム20を使用して、1つ又は2つ以上のアブレーション信号(例えば、アブレーションパルス)を、組織と接触して配置された1つ又は2つ以上のそれぞれのスプライン33に適用して、組織内の1つ又は2つ以上の意図された位置に損傷を形成することができる。
【0052】
他の実施形態では、医師30は、組織内の1つ又は2つ以上のEA信号を感知するためにシステム20を使用することができるが、図2Aに示される位置は、典型的にはアブレーションに使用される一方、EA信号を感知するためには、通常はより小さい電極が使用される。
【0053】
いくつかの実施形態では、チューブ55を遠位端アセンブリ40に沿って移動させることによって、医師30、又はシステム20を使用する任意の別の人物は、心臓26の組織と接触して配置された電極(例えば、スプライン33の部分)のサイズを調整又は制御することができる。更に、停止部99は、チューブ55の上縁部75の移動を、遠位端アセンブリ40の近位頂部66と遠位頂部77との間に制限するように構成されている。
【0054】
図2Bは、本発明の実施形態による、心臓26の組織と接触して配置された遠位端アセンブリ40の電極のサイズを制御するための遠位端アセンブリ40及び可動チューブ55の概略側面図である。
【0055】
いくつかの実施形態では、医師30は、マニピュレータ32、又はシステム20の任意の他の装置を使用してチューブを軸線68に沿って移動させることにより、問題の組織と接触して配置された電極のサイズを調整することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、図2Bに示されるチューブ55の位置において、チューブ55を軸線68に沿って近位及び遠位の両方に移動させて、心臓26の組織と接触して配置されたスプライン33の部分のサイズを調整することができる。図2Bの実施例では、部分62及び64は、上記の図2Aに示される部分60とほぼ同じ長さを有する。例えば、部分60の長さは、約15mm~10mmであってもよく、部分62の長さは、約6mm~3mmであってもよく、典型的には部分60から部分62の長さを引くことによって得られる部分64の長さは、約12mm~7mmであってもよい。この構成では、チューブ55は、部分64と心臓26との間に位置付けられており、これにより、電極(例えば、スプライン33)の部分62のみが心臓26の問題の組織と接触して配置されることができることに留意されたい。
【0057】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、任意の数値又は数値の範囲に関する「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語とは、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されたその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。更に、「約」又は「およそ」という用語はまた、2つ又はそれ以上の要素の物理的寸法又は測定可能な特徴を比較するために使用され得、「約」又は「およそ」という用語は、比較された要素間の好適な寸法公差を示し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、組織と接触して配置されたスプライン33の部分(例えば、部分62)のサイズを縮小することによって、医師30は、組織内の1つ又は2つ以上のEA信号を感知するためにシステム20を使用することができる。典型的には、必ずしもそうではないが、問題の組織内のEA信号を感知するためには、より小さい電極(例えば、スプライン33の部分62)が好ましく、問題の組織をアブレーションするためには、より大きな電極(例えば、上記の図2Aに示されるスプライン33の部分60)が好ましいことに留意されたい。
【0059】
他の実施形態では、医師30は、頂部66と頂部77との間の距離を調整するためにマニピュレータ32を使用してもよい。例えば、チューブ55が図2Bに示される位置にあるとき、医師30は、遠位端アセンブリ40を部分的に収縮させるように頂部66を軸線68に沿って近位に移動させることができ、それによって直径90のサイズを低減し、遠位端アセンブリ40の長さを増加させる。
【0060】
いくつかの実施形態では、カテーテル22の操作柔軟性を医師30に提供するために、(頂部77に対する)チューブ55及び頂部66の移動は、独立して実施されてもよい。
【0061】
開示された技術は、バスケットカテーテル(例えば、遠位端アセンブリ40)の同じスプライン33上に一組の電極を組み込むことを可能にする。電極は、心臓26の組織と接触して配置されるスプライン33の部分のサイズを制御及び調整することにより、組織のアブレーション及びEA信号の感知の両方に役立ち得る。
【0062】
図3は、本発明の実施形態による、心臓26の組織と接触して配置された拡張可能な遠位端アセンブリ40の1つ又は2つ以上の電極のサイズを制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【0063】
この方法は、上記の図1に記載されるように、医師30がカテーテル22の遠位端アセンブリ40を心臓30に挿入する、カテーテル挿入ステップ100で開始する。いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、複数のスプライン33を有し、スプライン33うちの少なくとも1つ、典型的にはすべてのスプライン33は、導電性合金から作製され、これにより、各スプライン33の表面全体又は大部分は、上記の図2A及び図2Bに詳細に記載されるように、心臓26の組織と接触して配置されることが意図された電極として機能するようになっている。
【0064】
方法を終了する電極サイズ調整ステップ102では、医師30は、チューブ55を軸線68に沿って遠位端アセンブリ40の少なくとも一部の上で移動させることによって、1つ又は2つ以上の電極の、組織と接触している部分のサイズを制御する。図2Aの実施例では、医師30は、例えば、心臓26の組織をアブレーションするために、組織と接触している1つ又は2つ以上のスプライン33(電極として機能する)の全長である部分60を露出させる。図2Bの実施例では、医師30は、チューブ50を遠位端アセンブリ40の遠位端に向かって移動させる。この構成では、チューブ55は、部分64を覆い、スプライン33の部分62のみが、心臓26の組織と接触して配置されることができる。図2Aの部分60は、図2Bの部分62と部分64との合計長さとほぼ同様の長さを有することに留意されたい。したがって、部分60よりも小さい部分62は、心臓26の組織内のEA信号を感知するために、又は任意の他の好適な動作のために使用されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40に対するチューブ55の移動ストロークは、上記の図2Aに詳細に記載される停止部99を使用することによって、又は任意の他のタイプの好適な装置を使用することによって制限される。停止部99の実施例では、チューブ55の上縁部75のストロークは、図2A及び図2Bに詳細に記載されるように、近位頂部66と遠位頂部77との間に制限される。
【0066】
いくつかの実施形態では、EA感知及び/又は信号アブレーションは、上記の図2Aに記載されるように、(i)例えば、組織と接触している2つのスプライン33との間の双極、又は(ii)例えば、チューブ55に結合された電極70との間の単極、であり得る。
【0067】
図4は、本発明の実施形態による、電極として機能するスプライン33を有する拡張可能な遠位端アセンブリ40と、組織と接触して配置された電極のサイズを制御するためのチューブ55と、を備えるカテーテル22を製造するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【0068】
この方法は、シャフト23に、複数のスプライン33を備える拡張可能な遠位端アセンブリ40(例えば、バスケット形状を有する)を結合する、遠位端アセンブリ結合ステップ200で開始する。スプライン33のうちの少なくとも1つ、及び典型的には各スプライン33は、例えば、EA信号を感知するため及び/又は組織にアブレーション信号を印加するために、心臓26の組織と接触して配置されるように構成された少なくとも電極を備える。
【0069】
チューブ組み立てステップ202で、チューブ55は、拡張可能な遠位端アセンブリ40の少なくとも一部の上に通される。上記の図2A及び図2Bに記載されるように、チューブ55は、組織と接触している電極の部分のサイズを制御するために、遠位端アセンブリ40の軸線68に沿って移動可能である。例えば、上記の図2Aの部分60、又は上記の図2Bの部分62。
【0070】
いくつかの実施形態では、チューブ55は、チューブ55の移動を遠位端アセンブリ40の近位軸線66と遠位頂部77との間に制限するための停止部99を有する。チューブ55はまた、上記の図2Aに記載されるように、スプライン33の位置を、上縁部75の外周囲86の表面に沿って制御(例えば、固定)するためのチャネル80を有し得る。
【0071】
本実施例では、8つのスプライン33及びチューブ55としての遠位端アセンブリ40は、8つのチャネル80(スプライン33につき1つ)を有する。他の構成では、遠位端アセンブリ40は、任意の他の好適な数のスプライン33を有することができ、チューブ55は、遠位端アセンブリ40のスプライン33の数と同様であっても又は異なっていてもよい任意の好適な数のチャネル80を有することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、本方法は、単極アブレーション信号の印加、及び上記の図2Aに詳細に記載される単極EA信号の感知を可能にするように、1つ又は2つ以上の電極70をチューブ55に結合することを含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、電極70は、上記の図2Aに記載されるように、チューブ55の内面又は外面に結合されてもよく、又はチューブ55の壁に埋め込まれてもよい。更に、電極70とカテーテル22との間を電気的に接続するために、電気リード又はトレースが形成されてもよい。電極70及びリード又はトレースは、単極信号の印加及び/又は検知が可能となるように、問題の組織と接触して配置されることが意図されないことに留意されたい。
【0074】
本明細書に記載の実施形態は、患者の心臓の電気生理学的処置(例えば、EA感知及び組織アブレーション)を主な課題としているが、本明細書に記載の方法及びシステムは、患者の他の器官に対して行われる電気生理学的処置において、及び患者の肺において実施される電気生理学的処置において、並びに腎臓神経除去治療においてなど、他の用途にも使用することができる。
【0075】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分とみなすものとする。
【0076】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルの電極のサイズを制御するための方法であって、
患者の器官に、シャフトに結合されており、かつ複数のスプラインを備える拡張可能な遠位端アセンブリを有するカテーテルを挿入することであって、前記複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインが、前記器官の組織と接触して配置されている電極を備える、挿入することと、
前記拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上でチューブを移動させることによって、前記組織と接触している前記電極の部分の少なくともサイズを制御することと、を含む、方法。
(2) 少なくとも前記サイズを制御することが、少なくとも前記所与のスプラインの位置を前記チューブの周囲に沿って制御することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記スプラインが、前記遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合されており、少なくとも前記サイズを制御することが、(i)前記部分の前記サイズを増加させるために前記チューブを前記近位頂部に向かって移動させることと、(ii)前記部分の前記サイズを減少させるために前記チューブを前記遠位頂部に向かって移動させることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記チューブを移動させることが、前記チューブの前記移動を、前記遠位端アセンブリの前記近位頂部と前記遠位頂部との間に制限するために、前記チューブの停止部を使用することを含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 少なくとも前記所与のスプラインが導電性であり、前記電極が、(i)前記組織にアブレーション信号を印加すること、及び(ii)前記組織内の電気解剖学的(EA)信号を感知すること、のうちの一方又は両方のために使用される、実施態様3に記載の方法。
【0077】
(6) (i)前記部分の前記サイズが増加したときに前記アブレーション信号を印加することと、(ii)前記部分の前記サイズが減少したときに前記EA信号を感知することと、を含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記アブレーション信号を印加することが、前記電極と追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加することを含み、前記追加の電極は、前記チューブに結合されており、かつ前記組織と接触して配置されることは意図されていない、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記EA信号を感知することが、前記電極と追加の電極との間の単極EA信号を感知することを含み、前記追加の電極は、前記チューブに結合されており、かつ前記組織と接触して配置されることは意図されていない、実施態様5に記載の方法。
(9) サイズ調整可能な電極を有するカテーテルであって、
患者の器官に挿入するためのシャフトと、
前記シャフトに結合されており、かつ複数のスプラインを備える拡張可能な遠位端アセンブリであって、前記複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインが、前記器官の組織と接触して配置されるように構成された電極を備える、拡張可能な遠位端アセンブリと、
前記拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に通されるように構成されており、かつ前記組織と接触している前記電極の部分の少なくともサイズを制御するために、前記遠位端アセンブリに沿って移動可能なチューブであって、前記遠位端アセンブリに対する前記チューブの移動を制限するための停止部を有している、チューブと、を備える、カテーテル。
(10) 前記チューブが、少なくとも前記所与のスプラインの位置を前記チューブの周囲に沿って制御するための少なくともチャネルを有している、実施態様9に記載のカテーテル。
【0078】
(11) 前記スプラインが、前記遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合されており、前記チューブが、(i)前記部分の前記サイズを増加させるために前記近位頂部に向かって、かつ(ii)前記部分の前記サイズを減少させるために前記遠位頂部に向かって、移動されるように構成されている、実施態様9に記載のカテーテル。
(12) 前記停止部が、前記チューブの前記移動を、前記遠位端アセンブリの前記近位頂部と前記遠位頂部との間に制限するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 少なくとも前記所与のスプラインが導電性であり、前記電極が、(i)前記組織にアブレーション信号を印加すること、及び(ii)前記組織内の電気解剖学的(EA)信号を感知すること、のうちの一方又は両方を実施するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(14) 少なくとも前記電極が、(i)前記部分の前記サイズが増加したときに前記アブレーション信号を印加し、かつ(ii)前記部分の前記サイズが減少したときに前記EA信号を感知するように構成されている、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記チューブに結合されており、かつ前記組織と接触して配置されることは意図されていない、追加の電極を備え、前記遠位端アセンブリが、前記電極と前記追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加するように構成されている、実施態様13に記載のカテーテル。
【0079】
(16) 前記チューブに結合されており、かつ前記組織と接触して配置されることは意図されていない、追加の電極を備え、前記遠位端アセンブリが、前記電極と前記追加の電極との間の単極EA信号を感知するように構成されている、実施態様13に記載のカテーテル。
(17) カテーテルを製造するための方法であって、
複数のスプラインを備える拡張可能な遠位端アセンブリをシャフトに結合することであって、前記複数のスプラインのうちの少なくとも所与のスプラインが、患者の器官の組織と接触して配置されるように構成された電極を備える、結合することと、
前記拡張可能な遠位端アセンブリの少なくとも一部の上に、前記組織と接触している前記電極の部分の少なくともサイズを制御するために移動可能であるチューブを通すことであって、前記チューブが、前記遠位端アセンブリに対する前記チューブの移動を制限するための停止部を有している、通すことと、を含む、方法。
(18) 前記チューブが、前記スプラインのうちの少なくとも1つの位置を前記チューブの周囲に沿って制御するための少なくともチャネルを有している、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記スプラインが、前記遠位端アセンブリの遠位頂部と近位頂部との間に結合され、前記停止部が、前記部分の少なくとも前記サイズを制御するために、前記チューブの前記移動を、前記遠位頂部と前記近位頂部との間に制限するように構成されている、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記組織と接触して配置されることは意図されていない追加の電極を前記チューブに結合して、(i)前記電極と前記追加の電極との間に単極アブレーション信号を印加すること、及び(ii)前記電極と前記追加の電極との間の単極EA信号を感知すること、のうちの一方又は両方を行うようにすることを含む、実施態様17に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【外国語明細書】