(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027024
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】横隔神経警告
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129237
(22)【出願日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】17/403,112
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK62
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】アブレーションシステムを提供すること。
【解決手段】一実施形態では、アブレーションシステムは、カテーテルであって、少なくとも1つの電極を備え、かつ生体対象の心臓の心腔に挿入されるように構成されている、カテーテルと、アブレーション電力発生器であって、心腔の組織をアブレーションするために、少なくとも1つの電極に電気信号を印加するように構成されている、アブレーション電力発生器と、少なくとも1つの体表面パッチであって、生体対象の身体表面に適用され、少なくとも1つの位置信号を提供するように構成されている、少なくとも1つの体表面パッチと、プロセッサであって、少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜動きの測定値の指標を計算することと、計算された指標に応答してアクションを実行することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションシステムであって、
カテーテルであって、少なくとも1つの電極を備え、かつ生体対象の心臓の心腔に挿入されるように構成されている、カテーテルと、
アブレーション電力発生器であって、前記心腔の組織をアブレーションするために、前記少なくとも1つの電極に電気信号を印加するように構成されている、アブレーション電力発生器と、
少なくとも1つの体表面パッチであって、前記生体対象の身体表面に適用され、少なくとも1つの位置信号を提供するように構成されている、少なくとも1つの体表面パッチと、
プロセッサであって、
前記少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することと、
前記計算された指標に応答してアクションを実行することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を含む、アブレーションシステム。
【請求項2】
前記処理が、前記計算された指標に応答して前記アブレーション電力発生器を制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理が、前記計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、所与の閾値を超える前記計算された指標に応答して、前記出力デバイスに前記アラートを出力するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記所与の閾値を設定するユーザー入力を受信するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アラートが、前記指標の現在の値、アラートメッセージ、触覚アラート、及び音声アラートからなる群から選択される、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を経時的に計算することと、
経時的に計算された前記指標に応答して前記アラートの強度を調整しながら、前記出力デバイスに前記アラートを出力することと、を行うように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標が、前記横隔神経に対する前記少なくとも1つの電極の近接度を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの体表面パッチを含む領域内に交流磁場を生成するように構成された磁場発生器コイルを更に含み、
前記少なくとも1つの体表面パッチが、前記生成された交流磁場を感知することに応答して、前記少なくとも1つの位置信号を提供するように構成された少なくとも1つの磁気センサを含み、
前記プロセッサが、前記少なくとも磁気センサから受信した前記少なくとも1つの位置信号に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの体表面パッチが、前記少なくとも1つの位置信号を提供するように構成された少なくとも1つのそれぞれの電極を含み、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つのそれぞれの電極から受信した前記少なくとも1つの位置信号に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記横隔膜の動きの速度の測定値に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記横隔膜の動きの加速度の測定値に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療システムに関し、具体的には、排他的にではないが、心臓アブレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置は、カテーテルなどのプローブを患者の身体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、ロケーション感知システムが開発されてきた。磁気的なロケーション感知は、当該技術分野において既知の方法のうちの1つである。磁気的なロケーション感知において、磁界発生器は、典型的には、患者の外部の既知の場所に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサは、これらの磁界に応答して電気信号を生成し、これらの信号は、プローブの遠位端の座標位置を判定するために処理される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号、及び同第2004/0068178号に説明されている。場所はまた、インピーダンス又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療処置の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として存続している。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心臓組織、とりわけ心内膜の電気的特性をマッピングすること、及びエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作るためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の処置において、典型的には、1つ又は2つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓内に前進させ、多数のポイントでデータを得ることによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動が感知及び測定される。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心内膜の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈に挿入された後、関心の心臓の心腔内へとガイドされる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極を通して印加し、先端電極と不関電極との間の先端電極の周囲の媒質、すなわち、血液及び組織に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触する電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、心臓組織内に非電導性である損傷部が形成される。
【0006】
不可逆的電気穿孔(IRE)は、細胞を不可逆的に損傷させるために、十分に高い電界(典型的には1センチメートル当たり450ボルトを超える)を発生させる短い電気パルスを印加する。非熱的IREは、周囲組織への熱損傷を引き起こすことなく、異なるタイプの腫瘍及び他の不要な組織を治療する際に使用されてもよい。小さな電極を標的組織に近接して配置して、短い電気パルスを印加する。パルスは、静止膜貫通電位を増大させ、ナノ細孔がプラズマ膜内に形成される。組織に印加された電気が標的組織の電界閾値を上回るときに、細胞は、ナノ細孔の形成から恒久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスがないことに起因して損傷を修復することができず、死滅し、細胞は典型的にはアポトーシスによって死滅する。
【0007】
IREは、他の心臓アブレーション技術、例えば、高周波(RF)心臓アブレーションの代替として心臓アブレーションに使用されてもよい。IRE心臓アブレーションは、パルス・フィールド・アブレーション(PFA)と称されることがある。IREが一般的に低熱技術であるため、IREは、他の技術と共に存在する、例えば、RF心臓アブレーションにおいて存在する側副細胞の損傷のリスクを低減し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の更に別の実施形態によれば、アブレーションシステムが提供され、当該アブレーションシステムは、カテーテルであって、少なくとも1つの電極を備え、かつ生体対象の心臓の心腔に挿入されるように構成されている、カテーテルと、アブレーション電力発生器であって、心腔の組織をアブレーションするために、少なくとも1つの電極に電気信号を印加するように構成されている、アブレーション電力発生器と、少なくとも1つの体表面パッチであって、生体対象の身体表面に適用され、少なくとも1つの位置信号を提供するように構成されている、少なくとも1つの体表面パッチと、プロセッサであって、少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することと、計算された指標に応答してアクションを実行することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を含む。
【0009】
更に、本開示の実施形態によれば、処理は、計算された指標に応答してアブレーション電力発生器を制御するように構成されている。
【0010】
また更に、本開示の実施形態によれば、処理は、計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力するように構成されている。
【0011】
加えて、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、所与の閾値を超える計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力するように構成されている。
【0012】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、所与の閾値を設定するユーザー入力を受信するように構成されている。
【0013】
更に、本開示の実施形態によれば、アラートは、指標の現在の値、アラートメッセージ、触覚アラート、及び音声アラートからなる群から選択される。
【0014】
なお更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、位置信号のうちの少なくとも1つに応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を経時的に計算することと、経時的に計算された指標に応答してアラートの強度を調整しながら、出力デバイスにアラートを出力することと、を行うように構成されている。
【0015】
更に、本開示の実施形態によれば、横隔膜の動きの測定値の指標は、横隔神経に対する少なくとも1つの電極の近接度を示す。
【0016】
更に、本開示の実施形態によれば、システムは、少なくとも1つの体表面パッチを含む領域内に交流磁場を生成するように構成された磁場発生器コイルを更に含み、少なくとも1つの体表面パッチは、生成された交流磁場を感知することに応答して、少なくとも1つの位置信号を提供するように構成された少なくとも1つの磁気センサを備え、プロセッサは、少なくとも磁気センサから受信した少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されている。
【0017】
更に、本開示の実施形態によれば、少なくとも1つの体表面パッチは、少なくとも1つの位置信号を提供するように構成された少なくとも1つのそれぞれの電極を備え、プロセッサは、少なくとも1つのそれぞれの電極から受信した少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されている。
【0018】
また更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、横隔膜の動きの速度の測定値に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されている。
【0019】
更に、本開示の実施形態によれば、プロセッサは、横隔膜の動きの加速度の測定値に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されている。
【0020】
本開示の別の実施形態によれば、アブレーション方法が更に提供され、当該アブレーション方法は、生体対象の心臓の心腔に挿入されたカテーテルの少なくとも1つの電極に電気信号を印加して、心腔の組織をアブレーションすることと、生体対象の身体表面に取り付けられた少なくとも1つの体表面パッチによって少なくとも1つの位置信号を提供することと、少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜動きの測定値の指標を計算することと、計算された指標に応答してアクションを実行することと、を含む。
【0021】
更に、本開示の実施形態によれば、方法は、計算された指標に応答してアブレーション電力発生器を制御することを含む。
【0022】
更に、本開示の実施形態によれば、方法は、計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力することを含む。
【0023】
また更に、本開示の実施形態によれば、出力することは、所与の閾値を超える計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力することを含む。
【0024】
加えて、本開示の実施形態によれば、方法は、所与の閾値を設定するユーザー入力を受信することを含む。
【0025】
更に、本開示の実施形態によれば、アラートは、指標の現在の値、アラートメッセージ、触覚アラート、及び音声アラートからなる群から選択される。
【0026】
更に、本開示の実施形態によれば、方法は、位置信号のうちの少なくとも1つに応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を経時的に計算することを含み、出力することは、経時的に計算された指標に応答してアラートの強度を調整しながら、出力デバイスにアラートを出力することを含む。
【0027】
なお更に、本開示の実施形態によれば、横隔膜の動きの測定値の指標は、横隔神経に対する少なくとも1つの電極の近接度を示す。
【0028】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つの体表面パッチを含む領域内に交流磁場を生成することを含み、提供することは、少なくとも1つの体表面パッチの少なくとも1つの磁気センサが、生成された交流磁場を感知することに応答して少なくとも1つの位置信号を提供することを含み、計算することは、少なくとも磁気センサから受信した少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することを含む。
【0029】
更に、本開示の実施形態によれば、提供することは、少なくとも1つの体表面パッチの少なくとも1つのそれぞれの電極が、少なくとも1つの位置信号を提供することを含み、計算することは、少なくとも1つのそれぞれの電極から受信した少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することを含む。
【0030】
更に、本開示の実施形態によれば、計算することは、横隔膜の動きの速度の測定値に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することを含む。
【0031】
また更に、本開示の実施形態によれば、計算することは、横隔膜の動きの加速度の測定値に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の例示的実施形態によるカテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
【
図2】
図1のシステムで使用されるバルーンカテーテルの概略描写図である。
【
図3】
図1のシステムの操作方法を含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
概論
アブレーション処置中に、アブレーションされる領域が横隔神経に近接し過ぎて、アブレーションが神経に損傷を与える場合があることが懸念される。医師は、電気信号が横隔膜運動を誘発するかどうかを観察しながら、電気信号(例えば、ペーシング信号)をアブレーション電極(複数可)に印加することによって、横隔神経に対するアブレーション電極(複数可)の近接度を試験することができる。しかしながら、この試験は、横隔膜の運動を観察している外科医に依存する。例えば、場合によっては、例えば、肺静脈(PV)のRFアブレーション中に、医師は、PVの周りでカテーテルをドラッグする場合があり、気づくことなく横隔に近づき過ぎる可能性がある。
【0034】
したがって、本発明の実施形態は、横隔膜の動きの測定値の指標を計算し、計算された指標標に応答して、アブレーション電力発生器を制御してアブレーションを停止若しくは防止する、又はアラートを提供するなどのアクションを実行することによって、上記の問題を解決する。指標は、横隔神経に対するカテーテル電極(複数可)の近接度を示す。したがって、警告は、横隔神経に対するカテーテル電極(複数可)の近接度に関する警告を医師に提供する。
【0035】
アラートは、例えば、医師によって設定された閾値を超える指標に応答して提供されてもよい。アラートは、以下のうちの任意の1つ又は2つ以上を含み得る:指標の電流値;ディスプレイに表示されるアラートメッセージ;例えば、医師が保持しているカテーテルのハンドルを介して、及び/又は医師が操作するフットペダル(foot peddle)を介して、医師に提供される触覚アラート;音声アラート(例えば、アラーム及び/又は口頭警告);及び時間に対する指標の値のグラフ。
【0036】
いくつかの実施形態では、カテーテル電極(複数可)が横隔神経に近づくにつれてアラートの強度及び/又は頻度が増加するように、アラートの強度及び/又は頻度は、指標の値に従って増加してもよい(例えば、アラートの音が大きくなる及び/又はアラートの頻度が高くなる、又は触覚アラート強度が強くなる及び/又は頻度が高くなる、あるいはディスプレイメッセージがより明るく、より大きく、又はより濃い色になる)。
【0037】
指標は、横隔膜の動きの変位、速度、及び/又は加速度に従って計算され得る。横隔膜の動きは、患者の身体表面(例えば、胸部及び/又は背中)に適用された1つ又は2つ以上のそれぞれの体表面パッチ内に配設された1つ又は2つ以上の位置センサによって提供される1つ又は2つ以上の位置信号に基づいて示されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、磁場発生器コイルは、1つ又は2つ以上のそれぞれの磁気センサを含む体表面パッチ(複数可)を含む領域内に交流磁場を生成する。磁気センサ(複数可)は、生成された交流磁場を感知することに応答して、位置信号(複数可)を提供してもよい。次いで、位置信号のうちの1つ又は2つ以上を処理して、対応する体表面パッチ(複数可)の位置(複数可)を計算する。次いで、計算された位置を使用して、横隔膜の動きの指数を計算することができる。例えば、計算された位置を合計する、平均化する、又は別の方法で組み合わせることによって指数を計算することができる。位置は、例えば、磁気座標系の原点に対する、胸部又は横隔膜の平均位置に対する、あるいは任意の好適な場所に対する相対位置であってもよい。指標の上記の計算では、胸部の横隔膜に最も近い体表面パッチの位置を使用してもよい。いくつかの実施形態では、指数を計算する際に、横隔膜に最も近い体表面パッチのサブセットの位置を使用してもよい。いくつかの実施形態では、指標の計算は、横隔膜に対する対応する体表面パッチの近接度に従って体表面パッチの(サブセットの)計算された位置に重み付けして、横隔膜により近いパッチにより高い重み付けを提供してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、体表面パッチは、位置信号を提供するそれぞれの電極を備える。電極は、例えば、カテーテル電極(複数可)によって提供された信号、体表面パッチのうちの他のパッチ又は他の複数のパッチからの信号、及び/又は患者の心臓内又は背中に配置された参照電極からの信号を検出することができる。次いで、位置信号を使用して、体表面パッチのうちの1つ又は2つ以上の位置を計算することができる。次いで、計算された位置のうちの1つ又は2つ以上を使用して、磁気センサについて計算された位置を参照して上述したように指数を計算することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、体表面パッチ電極上の電流値又はインピーダンス値の分布は、横隔膜の動きの指標を提供し得る。したがって、横隔膜の動きの指数は、体表面パッチ電極の全て又はサブセットの電流値又はインピーダンス値の分布に基づいて計算され得る。
【0041】
システムの説明
ここで、本発明の例示的実施形態によるカテーテルベース位置追跡及びアブレーションシステム20の概略描写図である
図1を参照する。本発明の一実施形態によるバルーンカテーテル40の概略描写図である
図2を更に参照する。
【0042】
位置追跡及びアブレーションシステム20は、
図1の差し込み
図25に示されかつ更に詳細に
図2に示されるバルーンカテーテル40の位置を判定するために使用される。バルーンカテーテル40は、シャフト22と、シャフト22の遠位端に取り付けられた膨張可能バルーン45とを含む。典型的には、バルーンカテーテル40は、例えば、左心房における心臓組織の空間的切除などの治療処置に使用される。カテーテル40は、生体対象(例えば、患者28)の心臓26の心腔内に挿入されるように構成されている。
【0043】
位置追跡及びアブレーションシステム20は、膨張可能バルーン45の両側でシャフト22に取り付けられた感知電極52(近位電極52a及び遠位電極52b)、及び近位電極52aのすぐ近位に取り付けられた磁気センサ50に基づいて、バルーンカテーテル40のシャフト22の位置及び向きを判定することができる。近位電極52a、遠位電極52b、及び磁気センサ50は、シャフト22を通るワイヤによって、コンソール24内の様々なドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、遠位電極52bは省略されてもよい。磁気センサ50は、例として、単軸センサ(SAS)、又は二軸センサ(DAS)、又は三軸センサ(TAS)であってもよい。
【0044】
シャフト22は、長手方向軸線51(
図2)を画定する。軸線51上の中心点58(
図2)は、膨張可能バルーン45の球体形状の原点であり、膨張可能バルーン45の公称位置を画定する。膨張可能バルーン45の周囲には複数のアブレーション電極55が配設され、感知電極52a及び52bよりも大きな面積を占めている。心臓組織をアブレーションするために、高周波電力又はIREアブレーション信号がアブレーション電極55に供給され得る。
【0045】
典型的には、配設されたアブレーション電極55は、膨張可能バルーン45の赤道に沿って均等に分布されており、この赤道は、シャフト22の遠位端の長手方向軸線51に対して略垂直に位置合わせされている。
【0046】
図2に示されている図は、純粋に概念を明確化する目的で選択されている。感知電極52及びアブレーション電極55の他の構成も可能である。磁気センサ50には、追加の機能が含まれてもよい。明確にするために、灌漑ポートなど、本発明の開示された実施形態に関連しない要素は省略されている。
【0047】
医師30は、カテーテルの近位端の近くのマニピュレータ32を使用して、及び/又はシース23からの偏向を使用して、シャフト22を操作することによって、バルーンカテーテル40を患者28の心臓26内の標的位置に誘導する。バルーンカテーテル40がシース23を通して挿入されている間、膨張可能バルーン45は収縮しており、バルーンカテーテル40がシース23から後退した後にのみ、膨張可能バルーン45は膨張し、意図した機能的形状に復帰する。バルーンカテーテル40を収縮構成で収容することにより、シース23は、標的位置へ向かう間の血管外傷を最小限に抑える役割を果たす。
【0048】
いくつかの実施形態では、マニピュレータ32は、医師30に触覚フィードバックを提供するための触覚デバイス73を含み得る。いくつかの実施形態では、触覚デバイス73は、医師30によって操作されるフットペダル内に配置され得る。
【0049】
コンソール24は、プロセッサ41、典型的には汎用コンピュータと、体表面パッチ49において信号を生成する及び/又は体表面パッチ49から信号を受信するのに好適なフロントエンド及びインタフェース回路44と、を含み、体表面パッチ49は、ケーブル39を通るワイヤによって取り付けられており、かつ患者28の胸部及び背中に取り付けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、体表面パッチ49は、以下でより詳細に説明するように、位置信号を提供する。体表面パッチ49は、それぞれの電極75及び/又はそれぞれの磁気センサ77を含み得る。各磁気センサ77は、一例として、単軸センサ(SAS)、又は二軸センサ(DAS)、又は三軸センサ(TAS)を含み得る。
【0050】
コンソール24は、磁気感知サブシステムを更に含む。患者28は、磁場発生コイル42を収容したパッドによって生成された磁場内に置かれ、磁場発生コイル42は、コンソール24内に配設されたユニット43によって駆動される。磁場発生コイル42は、磁気センサ50及び体表面パッチ49を含む領域である交流磁場を生成するように構成されている。コイル42によって生成された磁場は、磁気センサ50及び磁気センサ77内に指向性信号を生成し、次いで、この信号は対応する電気入力としてプロセッサ41に供給される。
【0051】
いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、感知電極52、磁気センサ50、及びアブレーション電極55から受信した位置信号を使用して、心臓腔内などの器官内のバルーンカテーテル40の位置を推定する。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、電極52、55から受信した位置信号と以前に取得した磁気位置較正位置信号とを相関させて、心臓腔内のバルーンカテーテル40の位置を推定する。感知電極52及びアブレーション電極55の位置座標は、他の入力の中でも特に、電極52、55と体表面パッチ49との間で測定されるインピーダンス又は電流分布の割合に基づいて、プロセッサ41によって判定され得る。コンソール24は、心臓26の内部のカテーテル位置の遠位端を示すディスプレイ27を駆動する。
【0052】
電流分布測定値及び/又は外部磁場を使用する位置感知の方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されるCarto(登録商標)システムにおいて実施されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、同第6,332,089号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されている。
【0053】
Carto(登録商標)3システムは、有効電流ロケーション(ACL)のインピーダンスベースの位置追跡方法を適用する。いくつかの実施形態では、上述したACL法を使用して、プロセッサ41は、感知電極52及びアブレーション電極55の位置を推定する。いくつかの実施形態では、電極52、55から受信した信号は、感知電極52、55によって測定されたインピーダンス(又は他の電気的値)を、磁気位置較正位置信号から以前に取得した位置とマッピングするマトリックスと相関している。
【0054】
いくつかの実施形態では、磁気センサを含まないカテーテルを可視化するために、プロセッサ41は、独立電流位置(ICL)法と称される電気信号ベースの方法を適用することができる。ICL方法では、プロセッサ41は、ある体積のバルーンカテーテル40の各ボクセルについて、局所スケーリング係数を計算する。この係数は、投げなわ形状のカテーテルのような、既知の空間的関係を有する複数の電極を備えたカテーテルを使用して決定される。しかしながら、(例えば、数ミリメートルにわたる)正確な局所スケーリングをもたらすが、ICLは、そのサイズが、約数センチメートルであるバルーンカテーテルに適用されたときには、それほど正確ではない場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、開示されたICL方法を適用し、ループ状カテーテルの電極間の既知の小スケール距離だけでなく、膨張可能バルーン45の両端部の感知電極52間の既知の距離に基づく大スケール距離に基づいて、バルーンカテーテルの形状を正確な形状にスケーリングする。
【0055】
プロセッサ41は、典型的には、本明細書に記載の機能を実施するようにソフトウェアでプログラムされている。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0056】
医療システム20はまた、アブレーション電力発生器69(RF又はIRE信号発生器ななど)を含むことができる。アブレーション電力発生器69は、カテーテル40に接続され、電極55のうちの1つ又は2つ以上と近位電極55aとの間、又は電極55のうちの2つ以上の間に電気信号を印加して、心臓の心腔内の組織をアブレーションするように構成されている。
【0057】
システム20は、
図3を参照してより詳細に説明される、音声メッセージ又はアラートを提供するための音声出力デバイス71を含み得る。
【0058】
図1に示される実施例の図は、単に概念を分かりやすくする目的で選択されている。
図1は、簡略化及び明確にするため、開示技法に関する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって
図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を含む。
【0059】
バルーンカテーテルは、例としてのみ本明細書に記載されている。システム20は、任意の好適な電極カテーテル、例えば、ラッソーカテーテル、バスケットカテーテル、又はグリッドカテーテルを使用して具現化され得る。
【0060】
ここで、
図1のシステムの動作方法を含むフローチャート100である
図3を参照する。
図1も参照する。
【0061】
プロセッサ41は、以下でより詳細に説明する、横隔膜の動きの測定値の指標が閾値を超えたときにアラートを出力する(及び/又はアブレーションを制御、停止、又は防止するためにアブレーション電力発生器69を制御するなどの別のアクションを実行する)ことに関連する閾値を設定するユーザー入力を受信する(ブロック102)ように構成されている。
【0062】
プロセッサ41は、体表面パッチ49によって提供される1つ又は2つ以上の位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を(すなわち、時間1で1つの指標、時間2で別の指標など)経時的に計算する(ブロック104)ように構成されている。電極55(
図2)のうちの1つが、横隔神経(
図1に点線47を使用して示される)に近い電気信号(例えば、ペーシング信号又はアブレーション信号)を提供する場合、横隔膜の動きは通常の呼吸よりも著しく大きく、したがって、体表面パッチ49によって提供される位置信号を使用して検出され得る。したがって、横隔膜の動きの測定値の指標は、横隔神経に対する電極55の近接度を示す。
【0063】
いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、位置信号のうちの1つ又は2つ以上に応答して、横隔膜の動きの変位、及び/又は速度、及び/又は加速度の測定値に応答して横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されている。速度及び加速度は、体表面パッチ49の位置の動きを経時的に分析することに基づいて計算され得る。代替的に、又は追加的に、磁気センサ77は、体表面パッチ49の加速度を示す信号を提供してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、体表面パッチ49の磁気センサ77は、磁場発生器コイル42によって生成された、生成された交流磁場を感知することに応答してそれぞれの位置信号を提供するように構成されている。プロセッサ41は、磁気センサ77から受信した位置信号のうちの1つ又は2つ以上に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、システム20は、1つの体表面パッチ49と1つの対応する磁気センサ77とを含んでもよく、磁気センサ77は、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するために使用される位置信号を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態では、磁気センサ77からの位置信号のうちの1つ又は2つ以上を処理して、対応する体表面パッチ49(複数可)の位置を計算してもよい。次いで、計算された位置を使用して、横隔膜の動きの指標を計算することができる。例えば、計算された位置を合計する、平均化する、又は別の方法で組み合わせることによって指標を計算することができる。位置は、例えば、磁気座標系の原点に対する、胸部又は横隔膜の平均位置に対する、あるいは他の所与の場所に対する相対位置であり得る。指標の上記の計算では、胸部の横隔膜に最も近い体表面パッチ49の位置を使用することができる。いくつかの実施形態では、横隔膜に最も近い体表面パッチ49のサブセットの位置を使用して、指標を計算することができる。いくつかの実施形態では、指標の計算は、横隔膜に対する対応する体表面パッチ49の近接度に従って体表面パッチ49の(サブセットの)計算された位置に重み付けして、横隔膜により近いパッチ49により高い重み付けを提供してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、体表面パッチ49のそれぞれの電極75は、それぞれの位置信号を提供するように構成されている。電極75は、例えば、カテーテル電極52、55によって提供される信号、及び/又は体表面パッチ49のうちの他のパッチ又は他の複数のパッチからの信号、及び/又は患者28の心臓26内又は背中に配置された参照電極(図示せず)からの信号を検出することができる。プロセッサ41は、電極75から受信した位置信号のうちの1つ又は2つ以上に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、電極のうちの1つから受信した位置信号のうちの1つに応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算するように構成されていてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、次に、電極75からの位置信号を使用して、体表面パッチ49のうちの1つ又は2つ以上の位置を計算することができる。次いで、計算された位置のうちの1つ又は2つ以上を使用して、磁気センサ77について計算された位置を参照して上述したように指標を計算することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、体表面パッチ電極49にわたる電流値又はインピーダンス値の分布は、横隔膜の動きの指標を提供し得る。したがって、横隔膜の動きの指標は、体表面パッチ電極49の全て又はサブセットの電流値又はインピーダンス値の分布に基づいて計算され得る。
【0069】
各指標の計算後、決定ブロック106において、プロセッサ41は、計算された指標が所与の閾値を超えているかどうかを判定するように構成されている。計算された指標が所与の閾値を超えていない場合(分岐108)、ブロック104のステップは次の指標を繰り返し計算する。計算された指標が所与の閾値を超える場合(分岐110)、プロセッサ41は、計算された指標に応答して、出力デバイス85に(例えば、ディスプレイ27、及び/又は音声出力デバイス71、及び/又は触覚デバイス73に)アラートを出力する(ブロック112)ように構成されている(例えば、以下でより詳細に説明されるように、アラートの強度及び/又は頻度は、指標の値に依存し得る)。したがって、プロセッサ41は、所与の閾値を超える計算された指標に応答して、出力デバイス85に(例えば、ディスプレイ27、及び/又は音声出力デバイス71、及び/又は触覚デバイス73に)アラートを出力するように構成されている。アラートは、以下のうちの任意の1つ又は2つ以上を含み得る:指標の電流値81;ディスプレイ27に表示されるアラートメッセージ83;触覚デバイス73を介して、例えば、医師30が保持しているマニピュレータ32を介して、及び/又は医師30が操作するフットペダル(foot peddle)(図示せず)を介して、医師に提供される触覚アラート;音声出力デバイス71を介した音声アラート(例えば、アラーム及び/又は口頭警告);及び経時的に指標の値を示すグラフ。
【0070】
いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、経時的に計算された指標に応答してアラートの強度及び/又は頻度を調整しながら、出力デバイスに(例えば、ディスプレイ27、及び/又は音声出力デバイス71、及び/又は触覚デバイス73に)アラートを出力するように構成されている。例えば、カテーテル電極(複数可)55が横隔神経に近づくにつれて、アラートの強度及び/又は頻度が増加するように、アラームの音を大きくしかつ/又は頻度を高くしてもよく、及び/又はアラートメッセージをより濃い色及び/又はより明るい及び/又はより大きなフォントで表示してもよく、及び/又は、指標の値に応じて、触覚アラートの強度を強くしかつ/又は頻度を高くしてもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値の範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指し得る。
【0072】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらはまた、単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0073】
上述の実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものに限定されない。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0074】
〔実施の態様〕
(1) アブレーションシステムであって、
カテーテルであって、少なくとも1つの電極を備え、かつ生体対象の心臓の心腔に挿入されるように構成されている、カテーテルと、
アブレーション電力発生器であって、前記心腔の組織をアブレーションするために、前記少なくとも1つの電極に電気信号を印加するように構成されている、アブレーション電力発生器と、
少なくとも1つの体表面パッチであって、前記生体対象の身体表面に適用され、少なくとも1つの位置信号を提供するように構成されている、少なくとも1つの体表面パッチと、
プロセッサであって、
前記少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することと、
前記計算された指標に応答してアクションを実行することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を含む、アブレーションシステム。
(2) 前記処理が、前記計算された指標に応答して前記アブレーション電力発生器を制御するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記処理が、前記計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサが、所与の閾値を超える前記計算された指標に応答して、前記出力デバイスに前記アラートを出力するように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサが、前記所与の閾値を設定するユーザー入力を受信するように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0075】
(6) 前記アラートが、前記指標の現在の値、アラートメッセージ、触覚アラート、及び音声アラートからなる群から選択される、実施態様3に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサが、
前記位置信号のうちの少なくとも1つに応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を経時的に計算することと、
経時的に計算された前記指標に応答して前記アラートの強度を調整しながら、前記出力デバイスに前記アラートを出力することと、を行うように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(8) 前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標が、前記横隔神経に対する前記少なくとも1つの電極の近接度を示す、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記少なくとも1つの体表面パッチを含む領域内に交流磁場を生成するように構成された磁場発生器コイルを更に含み、
前記少なくとも1つの体表面パッチが、前記生成された交流磁場を感知することに応答して、前記少なくとも1つの位置信号を提供するように構成された少なくとも1つの磁気センサを含み、
前記プロセッサが、前記少なくとも磁気センサから受信した前記少なくとも1つの位置信号に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記少なくとも1つの体表面パッチが、前記少なくとも1つの位置信号を提供するように構成された少なくとも1つのそれぞれの電極を含み、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つのそれぞれの電極から受信した前記少なくとも1つの位置信号に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0076】
(11) 前記プロセッサが、前記横隔膜の動きの速度の測定値に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記プロセッサが、前記横隔膜の動きの加速度の測定値に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(13) アブレーション方法であって、
生体対象の心臓の心腔に挿入されたカテーテルの少なくとも1つの電極に電気信号を印加して、前記心腔の組織をアブレーションすることと、
前記生体対象の身体表面に取り付けられた少なくとも1つの体表面パッチによって少なくとも1つの位置信号を提供することと、
前記少なくとも1つの位置信号に応答して、横隔膜の動きの測定値の指標を計算することと、
計算された前記指標に応答してアクションを実行することと、を含む、方法。
(14) 計算された前記指標に応答して、アブレーション電力発生器を制御することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記計算された指標に応答して、出力デバイスにアラートを出力することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0077】
(16) 前記出力することが、所与の閾値を超える前記計算された指標に応答して、前記出力デバイスに前記アラートを出力することを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記所与の閾値を設定するユーザー入力を受信することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記アラートが、前記指標の現在の値、アラートメッセージ、触覚アラート、及び音声アラートからなる群から選択される、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記位置信号のうちの少なくとも1つに応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の指標を経時的に計算することを更に含み、前記出力することが、前記経時的に計算された指標に応答して前記アラートの強度を調整しながら、前記出力デバイスに前記アラートを出力することを含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標が、前記横隔神経に対する前記少なくとも1つの電極の近接度を示す、実施態様13に記載の方法。
【0078】
(21) 前記少なくとも1つの体表面パッチを含む領域内に交流磁場を生成することを更に含み、
前記提供することが、前記少なくとも1つの体表面パッチの少なくとも1つの磁気センサが、前記生成された交流磁場を感知することに応答して前記少なくとも1つの位置信号を提供することを含み、
前記計算することが、前記少なくとも磁気センサから受信した前記少なくとも1つの位置信号に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算することを含む、実施態様13に記載の方法。
(22) 前記提供することが、前記少なくとも1つの体表面パッチの少なくとも1つのそれぞれの電極が、前記少なくとも1つの位置信号を提供することを含み、
前記計算することが、前記少なくとも1つのそれぞれの電極から受信した前記少なくとも1つの位置信号に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算することを含む、実施態様13に記載の方法。
(23) 前記計算することが、前記横隔膜の動きの速度の測定値に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算することを含む、実施態様13に記載の方法。
(24) 前記計算することが、前記横隔膜の動きの加速度の測定値に応答して、前記横隔膜の動きの前記測定値の前記指標を計算することを含む、実施態様13に記載の方法。
【外国語明細書】