(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027028
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ロボット外科システムでの使用などのための外科器具用エンドエフェクタ駆動機構
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230221BHJP
A61B 34/35 20160101ALI20230221BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B34/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129280
(22)【出願日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】17/403,504
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ティー. チューディ
(72)【発明者】
【氏名】ディラン アール. キングスレー
(72)【発明者】
【氏名】サラ エー. マラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エイチ. ボドマー
(72)【発明者】
【氏名】トニー ジー. モウア
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ダブリュー. ゼッコラ
(72)【発明者】
【氏名】カーティス エム. シーベナラー
(72)【発明者】
【氏名】ハラランボス ピー. アポストロポウロス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ダブリュー. ホルブルック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム アール. ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ジー. ウェイへ
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリー エス. ハイリガー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK04
4C160KK15
4C160KK24
4C160KK47
4C160KL03
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】ロボット外科システムでの使用などのための外科器具用エンドエフェクタ駆動機構を提供すること。
【解決手段】ロボットシステムは、エンドエフェクタアセンブリと、組織を把持するために移動可能に取り付けられた第1および第2のジョー部材とを備えるシャフトを有する器具筐体を有する電気外科器具を含む。入力部は、ジョー部材を移動させるように構成され、その回転中に入力部のトルクを測定するトルクセンサに操作可能に結合するように構成されている。ハンドルは、器具筐体に対して遠隔に配設され、ジョー部材の移動を制御するために入力部と連通するように構成されている。動作可能に結合されたレバーを有する筐体は、レバーの移動がジョー部材の移動と相関するように、入力部に操作可能に接続するように構成された構成要素をその中に収容する。構成要素は、トルクセンサからのフィードバックに応じてレバーの抵抗を調整するように構成されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科システムであって、
延在するシャフトを有する器具筐体を含む電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配設されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2のジョー部材を含み、前記第1および第2のジョー部材が、前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが前記ジョー部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2のジョー部材が組織を把持するために協働する第2の位置との間で移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具筐体に操作可能に結合され、前記ジョー部材を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成された入力部であって、前記入力部が、その回転中に前記入力部のトルクを測定するように構成されたトルクセンサに動作可能に結合するように構成されている、入力部と、
前記器具筐体に対して遠隔に配設され、前記ジョー部材の移動を制御するために前記入力部と連通するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
操作可能に結合されたレバーを有する筐体であって、前記筐体が、前記筐体に対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記ジョー部材の移動に相関するように、前記入力部に動作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を中に収容するように構成された、その中に確定された空洞を含み、前記1つ以上の構成要素が、前記トルクセンサからのフィードバックに応答して、前記レバーの抵抗を動作可能に調整するように構成されている、筐体を含む、ロボット外科システム。
【請求項2】
前記1つ以上の構成要素が、製造中に測定された前記入力部の基準値トルク測定に対して前記レバーの前記抵抗を操作可能に調整するように構成されている、請求項1に記載のロボット外科システム。
【請求項3】
前記1つ以上の構成要素が、前記入力部のトルク曲線に対する前記レバーの前記抵抗を操作可能に調整するように構成されている、請求項1に記載のロボット外科システム。
【請求項4】
前記入力部の前記トルクに対する前記レバーの前記抵抗の相関関係が線形である、請求項1に記載のロボット外科システム。
【請求項5】
前記入力部の前記トルクに対する前記レバーの前記抵抗の相関関係が非線形である、請求項1に記載のロボット外科システム。
【請求項6】
前記空洞内に配設された構成要素の組み合わせが、レバー、ギア、リンケージ、およびばねを含む、請求項1に記載のロボット外科システム。
【請求項7】
ロボット外科システムであって、
電気外科エネルギーを生成するように構成された発生器と、
延在するシャフトを有する器具筐体を含む電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配設されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、向かい合う組織接触面を有する第1および第2のジョー部材を含み、前記ジョー部材が、前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが前記ジョー部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2のジョー部材が組織を把持するために協働する第2の位置との間で移動可能であり、前記向かい合う組織接触面が、前記発生器の反対の極性に操作可能に接続されている、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具筐体に操作可能に結合され、前記ジョー部材を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成された入力部と、
前記器具筐体に対して遠隔に配設され、前記ジョー部材の移動を制御するために前記入力部と連通するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
操作可能に結合されたレバーを有する筐体であって、前記筐体が、前記筐体に対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記ジョー部材の移動に相関するように、前記入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を中に収容するように構成された、その中に確定された空洞を含む、筐体を含み、
電気外科エネルギーを前記向かい合う組織接触面に供給する前に、前記発生器が、前記向かい合う組織接触面間のインピーダンスを感知し、それらの間に配設された組織の量を判定するように構成されており、前記1つ以上の構成要素が、前記発生器からのインピーダンスフィードバックに応じて、前記レバーの抵抗を操作可能に調整するように構成されている、ロボット外科システム。
【請求項8】
前記発生器が、前記向かい合う組織接触面にわたって低エネルギー信号を送信して、それらの間に配設された組織の存在およびその対応するインピーダンスを判定するように構成されている、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項9】
前記インピーダンスに対する前記レバーの抵抗の相関関係が線形である、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項10】
前記インピーダンスに対する前記レバーの抵抗の相関関係が非線形である、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項11】
前記空洞内に配設された構成要素の組み合わせが、レバー、ギア、リンケージ、およびばねを含む、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項12】
前記レバーまたは前記筐体のうちの少なくとも1つの上に操作可能に配設されたスイッチをさらに備え、前記スイッチが、前記レバーが、その移動時に、前記入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記ジョー部材に移動を与える第1の位置と、前記レバーの移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記ジョー部材に移動を与える第2の位置との間で移動可能である、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項13】
前記レバーの抵抗が、前記スイッチの前記位置と相関するように構成されている、請求項12に記載のロボット外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科器具に関し、より具体的には、例えばロボット外科システムでの使用などのための外科器具用エンドエフェクタ駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット外科システムは、様々な異なる外科処置においてますます利用されている。いくつかのロボット外科システムは、ロボットアームを支持するコンソールを含む。1つ以上の異なる外科器具は、ロボット外科システムと共に使用するように構成され、ロボットアームに選択的に装着可能であり得る。ロボットアームは、1つ以上の入力部を、装着された外科器具へ提供して、装着された外科器具の操作を可能にする。
【0003】
ロボット外科システムで利用できる器具の一種である外科鉗子は、そのジョー部材間の機械的作用により、組織を把持し、クランプし、収縮させる。電気外科鉗子は、機械的なクランプ作用およびエネルギーの両方を利用して組織を加熱して処置する(例えば、組織を凝固させ、焼灼し、または封止する)。通常、組織が治療されると、組織は切断要素を使用して切断される。したがって、電気外科鉗子は、治療された組織を効果的に切断するための切断要素を組み込むように設計されている。あるいは、エネルギーベース、例えば、熱、電気、超音波などの切断機構を実装することができる。
【0004】
従来の外科器具、例えば、開放型および内視鏡型外科器具では、外科医は、通常、ジョー部材間の組織のサイズ、ならびに操作およびシール中に加えられる力に関連するエンドエフェクタからの直接フィードバックを感じるか、さもなければ感知することができる。ロボット機器を使用すると、手術の疲労を軽減するために、使い勝手に対して触覚フィードバックが失われるか、または犠牲になる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、「遠位」という用語は、操作者(人間の外科医または外科ロボットにかかわらず)から離れた説明対象の部分を指し、「近位」という用語は、操作者に近い説明対象の部分を指す。本明細書においては、「約」、「実質的に」などの用語は、製造、材料、環境、使用、および/または測定許容差および偏差を説明することを意味し、いずれにしても10%までの差を含んでもよい。さらに、矛盾しない程度に、本明細書に記載される態様のいずれかを、本明細書に記載される他の態様のいずれかまたはすべてと併せて使用することができる。
【0006】
本開示の態様に従って提供されるのは、延在するシャフトを有する器具筐体を含む電気外科器具を含むロボット外科システムである。エンドエフェクタアセンブリは、シャフトの遠位端に配設され、第1および第2のジョー部材を含み、第1および第2のジョー部材は、ジョー部材のうちの少なくとも1つがジョー部材の他方に対して離間している第1の位置と、第1および第2のジョー部材が組織を把持するために協働する第2の位置との間で移動可能である。入力部は、器具筐体に操作可能に結合され、ジョー部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成されている。入力部は、その回転中に入力部のトルクを測定するように構成されたトルクセンサに操作可能に結合するように構成されている。1つ以上のハンドルは、器具筐体に対して遠隔に配設され、ジョー部材の移動を制御するために入力部と連通するように構成されている。ハンドルは、操作可能に結合されたレバーを有する筐体を含み、筐体が、筐体に対するレバーの移動が第1の位置と第2の位置との間のジョー部材の移動に相関するように、入力部に動作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を収容するように構成された空洞を中に画定する。1つ以上の構成要素は、トルクセンサからのフィードバックに応じて、レバーの抵抗を操作可能に調整するように構成されている。
【0007】
本開示による態様では、1つ以上の構成要素は、製造中に測定された入力部の基準値トルク測定に対してレバーの抵抗を操作可能に調整するように構成されている。本開示による他の態様では、1つ以上の構成要素は、入力部のトルク曲線に対するレバーの抵抗を操作可能に調整するように構成されている。
【0008】
本開示による態様では、入力部のトルクに対するレバーの抵抗の相関関係は、線形である。本開示による他の態様では、入力部のトルクに対するレバーの抵抗の相関関係は、非線形である。
【0009】
本開示による態様では、空洞内に配設された構成要素の組み合わせは、レバー、ギア、リンケージ、およびばねを含む。
【0010】
本開示の態様に従って提供されるのは、延在するシャフトを有する器具筐体を含む電気外科器具を含むロボット外科システムである。エンドエフェクタアセンブリは、シャフトの遠位端に配設され、向かい合う組織接触面を有する第1および第2のジョー部材を含む。ジョー部材は、ジョー部材のうちの少なくとも1つがジョー部材の他方に対して離間している第1の位置と、第1および第2のジョー部材が組織を把持するために協働する第2の位置との間で移動可能である。向かい合う組織接触面は、発生器の反対の極性に操作可能に接続されている。入力部は、器具筐体に操作可能に結合され、ジョー部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成されている。1つ以上のハンドルは、器具筐体に対して遠隔に配設され、ジョー部材の移動を制御するために入力部と連通するように構成されている。ハンドルは、操作可能に結合されたレバーを有する筐体を含む。筐体は、筐体に対するレバーの移動が第1の位置と第2の位置との間のジョー部材の移動に相関するように、入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を中に収容するように構成された、その中に確定された空洞を含む。電気外科エネルギーを向かい合う組織接触面に供給する前に、発生器は、向かい合う組織接触面間のインピーダンスを感知し、それらの間に配設された組織の量を判定するように構成されている。1つ以上の構成要素は、発生器からのインピーダンスフィードバックに応じて、レバーの抵抗を操作可能に調整するように構成されている。
【0011】
本開示による態様では、発生器は、向かい合う組織接触面にわたって低エネルギー信号を送信して、それらの間に配設された組織の存在およびその対応するインピーダンスを判定するように構成されている。
【0012】
本開示による態様では、インピーダンスに対するレバーの抵抗の相関関係は、線形である。本開示による他の態様では、インピーダンスに対するレバーの抵抗の相関関係は、非線形である。
【0013】
本開示による態様では、空洞内に配設された構成要素の組み合わせは、レバー、ギア、リンケージ、およびばねを含む。
【0014】
本開示による態様では、システムは、レバーまたは筐体上に操作可能に配設されたスイッチをさらに備え、スイッチは、レバーが、その移動時に、入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で第1の位置と第2の位置との間のジョー部材に移動を与える第1の位置と、レバーの移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力でジョー部材に移動を与える第2の位置との間で移動可能である。本開示による態様では、レバーの抵抗は、スイッチの位置と相関するように構成されている。
【0015】
本開示による態様では、システムは、ジョー部材間の閉鎖圧力の触覚的、視覚的および/または聴覚的インジケータをさらに含む。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
ロボット外科システムであって、
延在するシャフトを有する器具筐体を含む電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配設されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2のジョー部材を含み、前記第1および第2のジョー部材が、前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが前記ジョー部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2のジョー部材が組織を把持するために協働する第2の位置との間で移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具筐体に操作可能に結合され、前記ジョー部材を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成された入力部であって、前記入力部が、その回転中に前記入力部のトルクを測定するように構成されたトルクセンサに動作可能に結合するように構成されている、入力部と、
前記器具筐体に対して遠隔に配設され、前記ジョー部材の移動を制御するために前記入力部と連通するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
操作可能に結合されたレバーを有する筐体であって、前記筐体が、前記筐体に対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記ジョー部材の移動に相関するように、前記入力部に動作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を中に収容するように構成された、その中に確定された空洞を含み、前記1つ以上の構成要素が、前記トルクセンサからのフィードバックに応答して、前記レバーの抵抗を動作可能に調整するように構成されている、筐体を含む、ロボット外科システム。
(項目2)
前記1つ以上の構成要素が、製造中に測定された前記入力部の基準値トルク測定に対して前記レバーの前記抵抗を操作可能に調整するように構成されている、上記項目に記載のロボット外科システム。
(項目3)
前記1つ以上の構成要素が、前記入力部のトルク曲線に対する前記レバーの前記抵抗を操作可能に調整するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目4)
前記入力部の前記トルクに対する前記レバーの前記抵抗の相関関係が線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目5)
前記入力部の前記トルクに対する前記レバーの前記抵抗の相関関係が非線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目6)
前記空洞内に配設された構成要素の組み合わせが、レバー、ギア、リンケージ、およびばねを含む、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目7)
ロボット外科システムであって、
電気外科エネルギーを生成するように構成された発生器と、
延在するシャフトを有する器具筐体を含む電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配設されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、向かい合う組織接触面を有する第1および第2のジョー部材を含み、前記ジョー部材が、前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが前記ジョー部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2のジョー部材が組織を把持するために協働する第2の位置との間で移動可能であり、前記向かい合う組織接触面が、前記発生器の反対の極性に操作可能に接続されている、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具筐体に操作可能に結合され、前記ジョー部材を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成された入力部と、
前記器具筐体に対して遠隔に配設され、前記ジョー部材の移動を制御するために前記入力部と連通するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
操作可能に結合されたレバーを有する筐体であって、前記筐体が、前記筐体に対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記ジョー部材の移動に相関するように、前記入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を中に収容するように構成された、その中に確定された空洞を含む、筐体を含み、
電気外科エネルギーを前記向かい合う組織接触面に供給する前に、前記発生器が、前記向かい合う組織接触面間のインピーダンスを感知し、それらの間に配設された組織の量を判定するように構成されており、前記1つ以上の構成要素が、前記発生器からのインピーダンスフィードバックに応じて、前記レバーの抵抗を操作可能に調整するように構成されている、ロボット外科システム。
(項目8)
前記発生器が、前記向かい合う組織接触面にわたって低エネルギー信号を送信して、それらの間に配設された組織の存在およびその対応するインピーダンスを判定するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目9)
前記インピーダンスに対する前記レバーの抵抗の相関関係が線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目10)
前記インピーダンスに対する前記レバーの抵抗の相関関係が非線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目11)
前記空洞内に配設された構成要素の組み合わせが、レバー、ギア、リンケージ、およびばねを含む、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目12)
前記レバーまたは前記筐体のうちの少なくとも1つの上に操作可能に配設されたスイッチをさらに備え、前記スイッチが、前記レバーが、その移動時に、前記入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記ジョー部材に移動を与える第1の位置と、前記レバーの移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記ジョー部材に移動を与える第2の位置との間で移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目13)
前記レバーの抵抗が、前記スイッチの前記位置と相関するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(摘要)
ロボットシステムは、エンドエフェクタアセンブリと、組織を把持するために移動可能に取り付けられた第1および第2のジョー部材と、を備えるシャフトを有する器具筐体を有する電気外科器具を含む。入力部は、ジョー部材を移動させるように構成され、その回転中に入力部のトルクを測定するトルクセンサに操作可能に結合するように構成されている。ハンドルは、器具筐体に対して遠隔に配設され、ジョー部材の移動を制御するために入力部と連通するように構成されている。動作可能に結合されたレバーを有する筐体は、レバーの移動がジョー部材の移動と相関するように、入力部に操作可能に接続するように構成された構成要素をその中に収容する。構成要素は、トルクセンサからのフィードバックに応じて、レバーの抵抗を調整するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の様々な態様および特徴は、図面を参照して、本明細書で以下に説明される。
【0017】
【
図1】ロボット外科システムのロボットアーム上に装着するように構成された、本開示による外科器具の斜視図である。
【
図2】外側筐体を取り外した、
図1の外科器具の近位部分の後方斜視図である。
【
図3】
図1の外科器具を解除可能に受容するように構成された例示的なロボット外科システムの概略図である。
【
図4A】外科器具を遠隔制御するための一対の操作ハンドルを示す、
図3のロボット外科システムの上面斜視図である。
【
図4B】
図4Aのロボット外科システムの操作ハンドルのうち1つの拡大図である。
【
図5】本開示の別の実施形態による、操作ハンドルの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および2を参照すると、本開示に従って提供される外科器具10は、概して、筐体20と、筐体20から遠位側に延在するシャフト30と、シャフト30から遠位側に延在するエンドエフェクタアセンブリ40と、筐体20内に配設され、シャフト30およびエンドエフェクタアセンブリ40と操作可能に関連付けられた作動アセンブリ100と、を含む。器具10は、本明細書では、ロボット外科システム、例えばロボット外科システム500(
図3)と共に使用するように構成された関節式電気外科鉗子として詳述される。しかしながら、以下に詳述する、本開示に従って提供される器具10の態様および特徴は、(非ロボット外科器具を含む)他の好適な外科器具および/または(非ロボット外科システムを含む)他の好適な外科システムと共に使用するように等しく適用することができる。
【0019】
器具10の筐体20は、筐体の中で作動アセンブリ100を包囲するように協働する、第1の本体部分22aおよび第2の本体部分22bと、近位フェースプレート24(
図2)と、を含む。近位フェースプレート24は、その中に画定された開口を含み、そこを通って作動アセンブリ100の入力部110~140が延在する。一対のラッチレバー26(
図1では一方のみが図示される)は、筐体20の両側から外向きに延在し、かつ筐体20と、外科システム、例えばロボット外科システム500(
図3)のロボットアームとの解除可能な係合を可能にする。筐体20を通って画定された開口部28は、サムホイール440がそこを通って延在し、筐体20の外部からのサムホイール440の手動操作を可能にして、エンドエフェクタアセンブリ40の手動の開放および閉鎖を可能にする。
【0020】
器具10のシャフト30は、遠位セグメント32と、近位セグメント34と、遠位セグメント32と近位セグメント34との間にそれぞれ配設された関節運動区間36と、を含む。関節運動区間36は、1つ以上の関節運動構成要素37、例えばリンク、ジョイントなどを含む。複数の関節運動ケーブル38、例えば4つの関節運動ケーブルまたは他の好適なアクチュエータは、関節運動区間36を通って延在する。より具体的には、関節運動ケーブル38は、その遠位端でシャフト30の遠位セグメント32に操作可能に連結され、シャフト30の遠位セグメント32から、シャフト30の関節運動区間36およびシャフト30の近位セグメント34を通り、かつ、筐体20の中へ近位に延在し、関節運動ケーブル38は、作動アセンブリ100の関節運動アセンブリ200と動作可能に連結して、近位セグメント34および筐体20に対する、例えば少なくとも2つの関節運動軸を中心とした遠位セグメント32(したがってエンドエフェクタアセンブリ40)の選択的な関節運動(例えば、ヨーおよびピッチの関節運動)を可能にする。関節運動ケーブル38は、略矩形の構成で配置されるが、他の好適な構成も想到される。
【0021】
シャフト30の近位セグメント34に対するエンドエフェクタアセンブリ40の関節運動に関して、関節運動ケーブル38の作動は、対で達成される。より具体的には、エンドエフェクタアセンブリ40をピッチさせるためには、上方のケーブル対38を類似する様態で作動させ、一方で、下方のケーブル対38を、互いに対して類似するが、上方のケーブル対38に対して反対の様態で作動させる。ヨー関節運動については、右側のケーブル対38を類似する様態で作動させ、一方で、左側のケーブル対38を、互いに対して類似する様態で、右側のケーブル対38に対して反対の様態で作動させる。
【0022】
シャフト30の遠位セグメント32は、それぞれ、第1および第2のジョー部材42、44を支持するエンドエフェクタアセンブリ40のクレビス部分を画定する。各ジョー部材42、44は、それぞれ、近位延長部分43a、45aおよび遠位本体部分43b、45bを含む。遠位本体部分43b、45bは、向かい合う組織接触面46、48をそれぞれ画定する。近位延長部分43a、45aは、枢動ピン50を中心に互いに枢動可能に結合され、組織接触表面46、48の間で組織を把持するために、離間位置(例えば、エンドエフェクタアセンブリ40の開放位置)と、接近位置(例えば、エンドエフェクタアセンブリ40の閉鎖位置)との間で、ジョー部材44およびシャフト30の遠位セグメント32に対するジョー部材42の枢動を可能にするカム駆動機構52(以下により詳細に記載する)を介して互いに操作可能に結合される。この片側構成の代替として、両側構成を提供することができ、それによれば、両方のジョー部材42、44が互いにかつシャフト30の遠位セグメント32に対して駆動可能である。
【0023】
向かい合う長手方向に延在するチャネル(図示せず)が、ジョー部材42、44の組織接触面46、48をそれぞれ通して画定される。並進する切断要素(図示せず)が設けられ、それぞれジョー部材42、44の組織接触面46、48の間に把持された組織を切断できるように選択的に前進可能である。作動アセンブリ100の切断駆動アセンブリ300(
図2)は、組織接触面46、48の間に把持された組織を切断するために、ジョー部材42、44のチャネルを通して切断要素の選択的作動を提供する。切断駆動アセンブリ300は、第3の入力部130内への適切な回転入力を受け取ると、切断駆動アセンブリ300が、ジョー部材42、44の間で切断要素を前進させて、組織接触面46、48の間に把持された組織を切断するように、作動アセンブリ100の第3の入力部130に操作可能に結合される。
【0024】
図1および2を引き続き参照すると、駆動ロッド(図示せず)は、駆動ロッドの長手方向の作動が、以下に詳述するように、離間位置と近似位置との間でジョー部材44に対してジョー部材42を枢動させるように、エンドエフェクタアセンブリ40に操作可能に結合される。より具体的には、駆動ロッドを近位に付勢すると、ジョー部材42がジョー部材44に対して近似位置に向けて枢動し、一方、駆動ロッドを遠位に付勢すると、ジョー部材42がジョー部材44に対して離間位置に向けて枢動する。しかしながら、逆の構成も想到される。駆動ロッドは、エンドエフェクタアセンブリ40からシャフト30を通って筐体20内に近位に延在し、駆動ロッドは、作動アセンブリ100のジョー駆動アセンブリ400と操作可能に結合されて、エンドエフェクタアセンブリ40の選択的作動を可能にして、その間に組織を把持し、例えば、第4の入力部140内への適切な回転入力に応じて、適切なジョー閉鎖力範囲内で閉鎖力を加える。
【0025】
ジョー部材42、44の組織接触面46、48は、それぞれ、少なくとも部分的に導電性材料から形成され、異なる電位に通電可能であって、それらの間に把持された組織を通って電気エネルギーの伝導を可能にするが、組織接触面46、48は、代替的に、エネルギーベースの組織治療のために、それらの間に把持された組織を通して、任意の好適なエネルギー、例えば熱、マイクロ波、光、超音波などを供給するように構成されてもよい。器具10は、組織接触面46、48にエネルギーを供給して組織接触面46、48の間に把持された組織を処置、例えば、シールするために、ジョー部材42、44の組織接触面46、48をそれぞれエネルギー源(図示せず)、例えば、その間に延在する電気外科ケーブルを介して電気外科発生器へ電気接続できるようリード線、接触子、および/または導電性構成要素を含み得る、筐体20およびシャフト30を通ってエンドエフェクタアセンブリ40まで延在する導電経路を画定する。
【0026】
作動アセンブリ100は、筐体20内に配設され、かつ関節運動アセンブリ200と、切断駆動アセンブリ300と、ジョー駆動アセンブリ400と、を含む。関節運動アセンブリ200は、第1および/または第2の入力部110、120内への適切な回転入力を受け取ると、関節運動アセンブリ200がケーブル38(
図1)を操作して、所望の方向のエンドエフェクタアセンブリ40、例えば、ピッチおよび/またはヨーエンドエフェクタアセンブリ40を関節運動させるように、作動アセンブリ100の第1および第2の入力部110、120それぞれと関節運動ケーブル38との間に操作可能に結合される。上記のように、切断駆動アセンブリ300は、第3の入力部130内への適切な回転入力を受け取ったことに応じて、ジョー部材42、44の間の切断要素の往復運動を可能にして、組織接触面46、48の間で把持された組織を切断する。ジョー駆動アセンブリ400は、作動アセンブリ100の第4の入力部140と駆動ロッドとの間に操作可能に結合され、第4の入力部140内への適切な回転入力を受け取ると、ジョー駆動アセンブリ400は、ジョー部材42、44を離間位置と近似位置との間で枢動させて、組織をその間に把持し、適切な閉鎖力範囲内で閉鎖力を加える。
【0027】
作動アセンブリ100は、器具10がロボット外科システム500(
図3)に装着されたときロボット外科システム500(
図3)と操作可能に接続して、作動アセンブリ100のロボット操作を可能にして上記機能を提供するように構成される。すなわち、ロボット外科システム500(
図3)は、作動アセンブリ100の入力部110~140への回転入力を選択的に提供してエンドエフェクタアセンブリ40を関節運動させ、ジョー部材42、44の間で組織を把持し、および/またはジョー部材42、44の間で把持された組織を切断する。しかしながら、作動アセンブリ100は、任意の他の好適な外科システム、例えば手動外科ハンドル、電動外科ハンドルなどと接続するように構成されることも想到される。本明細書における目的のために、ロボット外科システム500(
図3)を概略的に説明する。
【0028】
図3を参照すると、ロボット外科システム500の概略図が、本開示に従って使用するために構成されている。本開示の理解に関係のないロボット外科システム500の態様および特徴は、不必要な詳細で本開示の態様および特徴を不明瞭にすることを避けるために省略される。
【0029】
ロボット外科システム500は、概して、複数のロボットアーム502、503と、制御デバイス504と、制御デバイス504に結合された操作コンソール505と、を含む。操作コンソール505は、特に三次元画像を表示するようにセットアップされ得るディスプレイデバイス506と、手動入力デバイスまたはハンドル507、508と、を含んでもよく、それにより、人、例えば外科医が第1の操作モードでロボットアーム502、503を遠隔操作することができる。ロボット外科システム500は、低侵襲的な様態で治療されるべく患者台512に横たわっている患者513に使用するように構成されてもよい。ロボット外科システム500は、特に制御デバイス504に結合されたデータベース514をさらに含むことができ、そこには、例えば、患者513由来の術前データおよび/または解剖図が記憶される。
【0030】
ロボットアーム502、503の各々は、ジョイントを通して接続される複数の部材と、例えば、外科ツール「ST」であり得る装着されたデバイスと、を含み得る。外科ツール「ST」のうちの1つ以上は、器具10(
図1)であり得、したがって、ロボット外科システム500上でそのような機能が提供される。
【0031】
ロボットアーム502、503は、制御デバイス504に接続された電動駆動、例えばモータにより駆動され得る。制御デバイス504、例えばコンピュータは、特にコンピュータプログラムによって、ロボットアーム502、503、したがってそれらの装着された外科ツール「ST」がそれぞれ、手動入力デバイス507、508からの対応する入力部に応じた所望の移動および/または機能を実行するように、モータを作動させるように構成されてもよい。制御デバイス504は、ロボットアーム502、503および/またはモータの移動を調節するように構成されてもよい。
【0032】
ここで
図4Aおよび4Bを参照すると、操作コンソール505の部分、すなわち、入力デバイスまたはハンドル507、508がより詳細に示されている。各入力デバイスまたはハンドル507、508は、同様の構成要素を含んでいるため、
図4Bには入力デバイスまたはハンドル508のみを示す。入力デバイス508は、上で詳細に説明した入力部110~140のうちの1つ以上と連通するように構成された作動アセンブリ550を収容するように構成された空洞521をその中に規定する筐体520を含む。筐体520は、1つ以上のジンバル機構540a~540cに結合して、上記のように、エンドエフェクタアセンブリ40の伸長、回転、関節運動などを制御することができる。この目的のために利用できる様々なタイプのジンバル機構に関する詳細は、2018年11月30日に出願された米国特許出願第16/306,420号、発明の名称「CONTROL ARM ASSEMBLIES FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS」に開示されており、その全体的内容は、参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0033】
作動アセンブリ550は、レバー530に操作可能に結合され、レバー530は、筐体520に対して作動すると、エンドエフェクタアセンブリ40のジョー部材42、44を開閉する。より具体的には、レバー530は、上記のように相互にジョー部材42、44の閉鎖を制御するために、入力部140と連通するように構成された一連の構成要素、例えば、リンク、カプラ、および/またはアクチュエータ551~555に結合する。一連のリンク、カプラ、および/またはアクチュエータ551~555として示されているが、任意のタイプの機械的または電気機械的配置が想到される。さらに、以下で説明するように、ジョー部材42、44の作動に対するレバー530の作動は、レバー530の全範囲の移動またはストロークの間、線形1:1、非線形1:2、または可変であり得る。
【0034】
レバー530は、筐体520に対するレバー530の相対的な移動を容易にするように構成されたフィンガサポート535を含む。より具体的には、フィンガサポート535は、レバー530のハウジング520からの離脱を促進し、上記で特定されたジンバル機構540a~540cのうちの1つ以上に関するハウジングの回転を促進するために、ユーザの1本以上の指を包み込むカフス状であってもよい。
【0035】
上記のように、血管または組織のシールを伴うロボット手術中、外科医は、組織を把持して操作するとき、かつ血管または組織をクランプしてシールを作成するときの両方で、ジョー部材42、44の間の圧力を適切に制御することが重要である。理解できるように、血管または組織を繊細に把持して操作するときのジョー部材42、44間の圧力は、血管または組織をシールするときよりも著しく低い。ジョー部材42、44の触覚フィードバックまたは「感触」は、ハンドル508を通して外科医に常に適切に伝えられるとは限らない。
【0036】
上記の様々な作動アセンブリ、レバー、ギア、リンケージ、およびばねはすべて協働して、遠隔入力デバイスまたはハンドル507、508からのジョー部材42、44の作動を容易にする。典型的には、レバー530の筐体520に対して固定された距離の移動は、血管または組織のサイズに関係なく、同じ力の下でジョー部材42、44を作動させることになる。
【0037】
例えば、上記のようなロボット血管シーリングデバイスでは、ジョー部材42、44の作動は、作動レバー530にマッピングされたモータの回転を通して制御される。適切なシールを生成するために必要な力は、通常、100psi以上のオーダであるため、ソフトウェアは、外科医の指およびレバー530の相対運動を筐体520にマッピングし、この相対運動をジョー部材42、44に相関させる。この目的のために、様々なソフトウェアアルゴリズムが利用されている。結果として、組織をシールするための適切な圧力を生成するために、外科医の指を介して筐体520に対してレバー530を動かすのに必要な力はごくわずかである。これは、手術の疲労を相殺するのにも役立つ。しかしながら、ロボットシーラは、レバー530において比較的にはるかに少ない力でジョー部材42、44においてシール圧力を生成するように設計されているので、外科医の意図が単に組織を把持する、操作する、または切断することである場合、場合によっては過度の圧力、例えば組織のシールに関連する圧力を、血管または組織束に加えることができる。
【0038】
本開示による一実施形態では、トルクセンサ「TS」は、器具10の入力部140に操作可能に結合され得るか、あるいは、モータ制御デバイス504に結合され得る。次に、トルクセンサ「TS」は、ハンドル508の駆動アセンブリ550の内部構成要素551~555のうちの1つ以上と操作可能に結合されている。トルクセンサ「TS」によって感知されたトルクの変化は、レバー530において、触覚フィードバック、例えば、抵抗に変換される。理解できるように、トルクセンサ「TS」とレバー530との相関の感度に応じて、外科医は、ジョー部材42、44の間に配設された組織の違い、例えば、厚さ、量などと、加えられている相対的な閉鎖圧力とを遠隔で「感じる」ことが可能であり得る。
【0039】
上記のように、作動アセンブリ550(および構成要素551~555)は、作動時に、エンドエフェクタアセンブリ40のジョー部材42、44を開閉するレバー530に操作可能に結合されている。構成要素551~555は、上述したように、ジョー部材42、44の互いに対する閉鎖を制御するための入力部140と操作可能に結合するか、または入力部140と連通するように構成される。トルクセンサ「TS」からの実際のフィードバックに応じて、ジョー部材42、44の作動に対するレバー530の作動は、レバー530の全範囲の移動またはストロークの間、線形1:1、非線形1:2または可変であり得る。理解できるように、レバー530とジョー部材42、44との間の可変の相関は、特定の器具機能、例えば、組織のシールのために、ジョー部材42、44において適切な閉鎖圧力を生成するために必要な全体的なレバーの力を減少させることができる。簡単な操作、把持、および切断の場合、レバーの力対ジョーの閉鎖圧力の比率は、特定の目的に応じて、線形1:1でも、あるいは逆比の2:1でもよい。組織をシールするために、比率はより大きくなり得る。
【0040】
実施形態では、トルクセンサ「TS」は、製造中または新しいエンドエフェクタアセンブリ40が交換される際のいわゆる「ホーミング」操作中に較正しなければならない場合がある。様々なホーミングアルゴリズムに関する詳細は、一般に所有されている米国特許出願第63/183,089号、発明の名称「MOTOR POSITION CONTROL AND METHODS FOR ROBOTIC ASSISTED SEALING INSTRUMENT」に開示されており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているように、製造またはホーミングステップの間、基準値トルクが、トルクセンサ「TS」、ロボットコントローラ505または制御デバイス504に記録され得(または基準値トルク曲線が記録され得)、これは、ソフトウェアアルゴリズム(または駆動アセンブリ550または1つ以上の個別構成要素551~555)によって利用されて、それに応じてレバー530を調節する。トルクセンサ「TS」がトルクの上昇を感知すると、レバー530を作動させるのに必要な力は、それに応じて、例えば、把持またはシールなどの器具の意図される機能に応じて、トルク曲線に沿って調整される。
【0041】
スイッチ536は、ハンドル508に操作可能に結合され得、正しい触覚応答を割り当てるためのソフトウェアに外科医の意図を伝えるために利用され得る。あるいは、1つ以上の起動スイッチ525が、組織をシールするためにジョー部材42、44に電気外科エネルギーを供給するハンドル508に含まれ得る。スイッチ525のうちの1つ以上の起動により、トルク曲線を調整して、レバー530の抵抗力をジョー部材42、44間のシール圧力と相関させることができる。この目的を達成するために、ソフトウェアアルゴリズムに遅延が生じる場合がある。
【0042】
想定される実施形態では、ソフトウェアは、可動構成要素との摩擦損失またはオフセット、シャフト30の関節運動、繰り返しおよび通常の摩耗などによる入力部140のトルク感度の通常の変動と、組織に関連する実際のフィードバックとを区別するように構成されたスマート機能「S」(
図3)として一般に示される1つ以上の「スマート」機能を含み得る。スマート機能「S」には、トルクセンサ「TS」からの信号を減衰させて、レバー530の触覚応答を調整し、実際の組織フィードバックをより厳密に反映するローパスフィルタを含めることができる。
【0043】
上記のように、ジョー部材42、44は、電気外科エネルギー源、例えば、発生器「G」から反対の電位の電気外科エネルギーを受け取るように構成されたそれぞれの向かい合う組織接触面46、48を含み、発生器「G」が起動されるとき、向かい合う組織接触面46、48の間に配設された組織が治療される。組織治療のタイプまたは電気外科エネルギーの量(または両方)は、組織接触面46、48の間に配設された組織の量に依存し得る。例えば、低エネルギー信号は、組織接触面46、48の一方または両方にわたって連続的に送信され得、発生器「G」は、「不足」状態を感知するように構成され得る。組織が接触面46、48の間に配設されていない場合、発生器「G」は「不足」状態を感知せず、電気外科エネルギーの活性化を妨げる可能性がある。他方、組織が組織接触面46、48の間に配設される場合、組織は、発生器「G」によって検出される低エネルギー「不足」状態を引き起こし、スイッチ525を介して起動のために発生器「G」が解放される。「不足」のインピーダンスレベルを測定し、ルックアップテーブルまたはアルゴリズムと相関させて、組織接触面46、48の間にどれだけの組織が配設されているかを判定することができる。
【0044】
検出されると、ロボットコントローラ504は、検出された組織の量に従って、レバー535の触覚フィードバックまたは抵抗を調整するために、ハンドル508にフィードバックを提供するように構成することができる。上記のように、外科医は、ジョー部材42、44の間に配設された組織の違い、例えば、厚さ、量などと、加えられている相対的な閉鎖圧力とを遠隔で「感じる」ことが可能であり得る。簡単な操作、把持、および切断の場合、レバーの力対ジョーの閉鎖圧力の比率は、特定の目的に応じて、線形1:1でも、あるいは逆比の2:1でもよい。組織をシールするために、比率はより大きくなり得る。さらに、上記で説明したように、ジョー部材42、44の作動に対するレバー530の作動は、レバー530の全範囲の移動またはストロークの間、非線形1:2、または可変であり得る。
【0045】
ジョー部材42、44の間の組織の量、および意図された組織作用、例えば、操作、把持、切断またはシールのために加えられるべき必要な圧力に関連して、様々な視覚的または聴覚的フィードバック545が外科医に伝達することができる。フィードバックは、外科医が組織を操作、把持または切断しようとするときに「安全」信号、例えば、緑色光、安全トーンと同じくらい単純であってもよいし、組織に加えられる圧力の量に関連して測定され得る。視覚的または聴覚的なフィードバックの測定は、外科医がこれらの組織作用のためにジョー部材42、44の間の意図しない圧力に近づいているときに、外科医にフィードバックを提供することができる。外科医が組織をシールしようとする場合、「不足」のインピーダンスレベルを測定し、ルックアップテーブルまたはアルゴリズムと相関させて、適切な組織シールを生成するために、組織接触面46、48の間にどれだけの組織が配設されているかを判定することができる。
【0046】
スイッチ536は、正しい触覚応答を割り当てるために、外科医の意図を発生器「G」に伝えるために利用され得る。第1の位置では、レバー530は、その移動時に、入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で、第1の位置と第2の位置との間でジョー部材42、44に移動を与える。また、以下に特定されたシール圧力範囲の下範囲まで、かつ下範囲を含む圧力が想到される。第2の位置では、レバー530の移動は、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で、ジョー部材42、44に移動を与える。
【0047】
図5に簡単に参照すると、各レバーストロークが、完全開放位置から、典型的な把持位置を通して、組織をシールする位置まで続くように、経験的データに基づいてレバー730の触覚フィードバックを調節するハンドル708の別の実施形態が想定される。スイッチ736は、この目的に対応するように構成され得る。
【0048】
より具体的には、レバー730上の点「A」の位置は、ジョー部材42、44が完全に開いて、その間に組織を配向させる、完全開放位置を示す。点「A」と点「B」との間で、レバー730が閉じ始めた状態で、レバー730に関連するわずかな触覚力、例えば、レバー730への抵抗はごくわずかである。点「B」は、特定の器具に応じて、または経験的データに基づいてカスタマイズ可能であり得、例えば、点「B」は、ジョー42、44内に配設された大きな血管とジョー42、44内に何もない状態との間の点としてレバー730上に構成されている。この場合も、スイッチ736は、この目的に対応するようにカスタマイズすることができる。他の例では、点「B」は、センサまたはトルクからのフィードバックに基づいて、カスタマイズ可能である場合がある。
【0049】
点「B」と点「C」との間で、レバー730は、ばね(または他の圧力制御機構(図示せず))を圧縮し始め、ジョー部材42、44間の圧力に関して外科医に直接触覚フィードバックが提供されるようになる。レバー730およびばねの関係は、線形または指数関数的であり得るか、または組み合わせ、例えば、最初は線形であり、次に指数関数的であり得る。実施形態では、点「B」と「C」との間でレバーを動かすと、上記で特定されたシール範囲内の圧力を誘発することができ、外科医は、このストローク範囲内で知覚される触覚フィードバックに基づいて組織をシールすることを選択することができる。あるいは、レバーストローク内に、ジョー圧力がシール範囲内であることを明確に特定する点「C」が含まれ得る。スイッチ736の移動は、特定の目的に応じて、点「C」の位置に影響を与えるようにカスタマイズ可能であり得る。レバー730のさらなる移動は、ジョー部材42、44の間の圧力を増加させず、例えば、圧力は、組織を過剰に圧縮しないように、ばね(または他の圧力制御機構(図示せず))によって負荷を軽減される。点「D」は、レバー730のボトムアウト点として含まれ得る。
【0050】
エネルギーが加えられているときにのみシール圧の送達を許容する1つ以上の機械的、電気機械的、またはソフトウェアを使用して、様々な安全対策を採用することができる。例えば、レバー530を介してジョー部材42、44の間に適切なジョー圧力が加えられるまで、電気外科エネルギーの活性化を遅らせるために、わずかな遅延を制御ソフトウェア内にプログラムすることができる。
【0051】
本明細書に開示された態様に様々な修飾が加えられ得ることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に様々な態様および特徴の例示として解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。