(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027029
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ロボット外科システムなどで使用するための外科器具用エンドエフェクタ駆動機構
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129282
(22)【出願日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】17/403,491
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ティー. チューディ
(72)【発明者】
【氏名】ディラン アール. キングスレー
(72)【発明者】
【氏名】サラ エー. マラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エイチ. ボドマー
(72)【発明者】
【氏名】トニー ジー. モウア
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ダブリュー. ゼッコラ
(72)【発明者】
【氏名】カーティス エム. シーベナラー
(72)【発明者】
【氏名】ハラランボス ピー. アポストロポウロス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ダブリュー. ホルブルック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム アール. ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ジー. ウェイへ
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリー エス. ハイリガー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロボット外科システムなどで使用するための外科器具用エンドエフェクタ駆動機構を提供する。
【解決手段】ロボットシステム500は、シャフトを有する器具ハウジングを有する電気外科器具と、エンドエフェクタアセンブリとを含み、組織を把持するように移動可能な第1および第2の顎部材がエンドエフェクタアセンブリに取り付けられている。入力部は、器具ハウジングに動作可能に結合され、顎部材を移動させるように構成されている。ハンドルは、器具ハウジングに対して遠隔に配置され、顎部材を制御するために入力部と通信するように構成され、ハンドルは、入力部と協働してレバーの移動に対して顎部材を制御するように構成されたレバーを有する。レバーは、ホーミング位置と第1の位置との間を移動し、第1の位置は、顎部材が約0.1kg/cm
2~約2kg/cm
2の範囲の顎部材間の圧力で閉じることに相関している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科システムであって、
器具ハウジングを含む電気外科器具であって、前記器具ハウジングは、前記器具ハウジングから延びるシャフトを有する、電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2の顎部材を含み、前記第1および第2の顎部材は、前記顎部材のうちの少なくとも一方が前記顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間を移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具ハウジングに動作可能に結合され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させるように構成された入力部と、
前記器具ハウジングに対して遠隔に配置され、前記顎部材を制御するために前記入力部と通信するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記ハウジングに動作可能に結合されたレバーを有し、前記レバーが、次に前記入力部と協働して、前記レバーの移動に対する前記顎部材の前記移動を制御するように構成され、前記レバーは、前記レバーが前記ハウジングに対して離間し、前記相関する顎部材が前記第1の位置に配置されるホーミング位置と、前記レバーが前記ハウジングにより近く、前記相関する顎部材が約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲の前記顎部材間の圧力で組織の周りで閉じられた把持位置との間で移動可能であり、
前記レバーが、前記把持位置と、前記レバーが前記ハウジングにより近く、電気外科用エネルギーの作動時に前記顎部材間の組織を封止するために、前記相関する顎部材が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲の前記顎部材間の圧力で組織の周りで閉じられた封止位置との間で移動可能である、ロボット外科システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのハンドルの前記ハウジングは、前記ハウジングに対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記顎部材の移動に相関するように、前記入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を内部に収容するように構成された、前記ハウジングの中に画定された空洞を含む、請求項1に記載のロボット外科システム。
【請求項3】
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、線形である、請求項2に記載のロボット外科システム。
【請求項4】
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、非線形である、請求項2に記載のロボット外科システム。
【請求項5】
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、前記レバーの作動力を、組織が前記顎部材の間に係合された状態で前記顎部材間に加えられる閉鎖圧力に相関させる、請求項2に記載のロボット外科システム。
【請求項6】
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、レバー、歯車、リンク装置、およびばねを含む、請求項5に記載のロボット外科システム。
【請求項7】
ロボット外科システムであって、
器具ハウジングを含む電気外科器具であって、前記器具ハウジングは、前記器具ハウジングから延びるシャフトを有する、電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2の顎部材を含み、前記第1および第2の顎部材は、前記顎部材のうちの少なくとも一方が前記顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間を移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具ハウジングに動作可能に結合され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させるように構成された入力部と、
前記器具ハウジングに対して遠隔に配置され、前記顎部材を制御するために前記入力部と通信するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
ハウジングを含み、前記ハウジングが、前記ハウジングに動作可能に結合されたレバーを有し、前記レバーが、その移動時に、前記入力部と協働して、前記第1の位置および前記第2の位置の間で前記顎部材を移動させ、非作動位置から第1の位置までの前記レバーの初期移動が、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記顎部材を移動させ、前記第1の位置を超える前記レバーのそれに続く移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記顎部材を移動させる、ロボット外科システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのハンドルの前記ハウジングは、前記ハウジングに対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記顎部材の移動に相関するように、前記入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を内部に収容するように構成された、前記ハウジングの中に画定された空洞を含む、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項9】
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、線形である、請求項8に記載のロボット外科システム。
【請求項10】
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、非線形である、請求項8に記載のロボット外科システム。
【請求項11】
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、前記レバーの作動力を、組織が前記顎部材の間に係合された状態で前記顎部材間に加えられる前記圧力に相関させる、請求項8に記載のロボット外科システム。
【請求項12】
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、レバー、歯車、リンク装置、およびばねを含む、請求項11に記載のロボット外科システム。
【請求項13】
前記レバーが前記第1の位置を超えて移動された場合、ユーザに警告するように構成された、前記レバーに動作可能に関連付けられた触覚指示器、視覚指示器、または可聴指示器のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項7に記載のロボット外科システム。
【請求項14】
ロボット外科システムであって、
器具ハウジングを含む電気外科器具であって、前記器具ハウジングは、前記器具ハウジングから延びるシャフトを有する、電気外科器具と、
シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2の顎部材を含み、前記第1および第2の顎部材は、前記顎部材のうちの少なくとも一方が前記顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間を移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具ハウジングに動作可能に結合され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させるように構成された入力部と、
前記器具ハウジングに対して遠隔に配置され、前記顎部材を制御するために前記入力部と通信するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
ハウジングであって、前記ハウジングが、前記ハウジングに動作可能に結合されたレバーを有する、ハウジングと、
前記レバーまたは前記ハウジングのうちの少なくとも一方に動作可能に配置されたスイッチであって、前記スイッチは、前記レバーがその移動時に前記入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させる第1の位置と、前記レバーの移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記顎部材を移動させる第2の位置との間で動作可能である、スイッチと、を含む、ロボット外科システム。
【請求項15】
前記スイッチの前記第2の位置への移動が、前記顎部材を電気外科的作動のために構成する、請求項14に記載のロボット外科システム。
【請求項16】
前記スイッチが前記第1の位置に配置されると、電気外科エネルギーが非作動状態になる、請求項14に記載のロボット外科システム。
【請求項17】
前記顎部材間の前記閉鎖圧力の触覚的指示器、視覚的指示器または聴覚的指示器のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項14に記載のロボット外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科器具に関し、より具体的には、ロボット外科システムなどで使用するための外科器具用エンドエフェクタ駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット外科システムは、様々な異なる外科処置においてますます利用されている。いくつかのロボット外科システムは、ロボットアームを支持するコンソールを含む。1つ以上の異なる外科器具は、ロボット外科システムと共に使用するように構成され、ロボットアームに選択的に装着可能であり得る。ロボットアームは、1つ以上の入力を、装着された外科器具へ提供して、装着された外科器具の操作を可能にする。
【0003】
ロボット外科システムで利用できる器具の一種である外科用鉗子は、組織を把持し、クランプし、締め付けるその顎部材間の機械的作用に依存している。電気外科用鉗子は、機械的なクランプ作用とエネルギーの両方を利用して組織を加熱して処置する(例えば、組織を凝固させ、焼灼し、または封止する)。通常、組織が処理されると、組織は切断要素を使用して切断される。したがって、電気外科用鉗子は、処置された組織を効果的に切断する切断要素を組み込むように設計されている。あるいは、エネルギーベースの、例えば、熱、電気、超音波などの切断機構が実施されてもよい。
【0004】
従来の外科用器具、例えば、直視下および内視鏡式外科用器具では、外科医は、通常、顎部材間の組織のサイズ、および操作中および封止中に加えられている力に関連するエンドエフェクタからの直接的なフィードバックを感じるか、さもなければ感知することができる。ロボット機器では、使い易さがとりわけ外科的疲労を相殺するために、触覚に関するフィードバックが失われたり犠牲になったりすることもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で用いられる、「遠位」という用語は、操作者(人間の外科医または外科ロボットにかかわらず)から遠く離れた説明対象の部分を指すのに対し、「近位」という用語は、操作者により近い説明対象の部分を指す。本明細書においては、「約」、「実質的に」などの用語は、製造、材料、環境、使用、および/または測定許容差および偏差を説明することを意味し、いずれにしても10%までの差を含んでもよい。さらに、矛盾しない程度に、本明細書に記載される態様のいずれかを、本明細書に記載される他の態様のいずれかまたはすべてと併せて使用することができる。
【0006】
本開示の態様に従って提供されるのは、器具ハウジングを含む電気外科器具を含むロボット外科システムであり、この器具ハウジングは、器具ハウジングから延びるシャフトを有する。エンドエフェクタアセンブリは、シャフトの遠位端に配置され、第1および第2の顎部材を含み、第1および第2の顎部材は、顎部材の一方または両方が顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間で移動可能である。入力部は、器具ハウジングに動作可能に結合され、顎部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成される。1つ以上のハンドルは、器具ハウジングに対して遠隔に配置され、顎部材を制御するために入力部と通信するように構成される。ハンドルは、動作可能に結合されたレバーを有するハウジングを含み、レバーは、次に、入力部と協働してレバーの移動に対する顎部材の移動を制御するように構成される。レバーは、レバーがハウジングに対して離間して配置され、相関する顎部材が第1の位置に配置されるホーミング位置と、レバーがハウジングにより近く、相関する顎部材が約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲の顎部材間圧力で組織の周りで閉じられた把持位置との間で移動可能である。レバーはまた、把持位置と、電気外科エネルギーの作動時に顎部材間の組織を封止するために、レバーがハウジングにより近く、対応する顎部材が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲の顎部材間圧力で組織の周りで閉じられた封止位置との間で移動可能である。
【0007】
本開示による態様では、1つのハンドルのハウジングは、ハウジングに対するレバーの移動が第1の位置と第2の位置との間の顎部材の移動と相関するように、入力部に動作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を内部に収容するように構成された、ハウジングの中に画定された空洞を含む。
【0008】
本開示による態様では、レバーおよび顎部材の移動の相関は、線形である。本開示による他の態様では、レバーおよび顎部材の移動の相関は、非線形である。
【0009】
本開示による態様では、空洞内に配置された構成要素の組み合わせは、レバーの作動力を、組織が顎部材の間に係合された状態で顎部材間に加えられる閉鎖圧力に相関させる。本開示による態様では、空洞内に配置された構成要素の組み合わせには、レバー、歯車、リンク装置、およびばねが含まれる。
【0010】
本開示の態様に従って提供されるのは、器具ハウジングを含む電気外科器具を備えたロボット外科システムであり、この器具ハウジングは、器具ハウジングから延びるシャフトを有する。エンドエフェクタアセンブリは、シャフトの遠位端に配置され、第1および第2の顎部材を含み、第1および第2の顎部材は、顎部材の一方または両方が顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間で移動可能である。入力部は、器具ハウジングに動作可能に結合され、顎部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成される。1つ以上のハンドルは、器具ハウジングに対して遠隔に配置され、顎部材を制御するために入力部と通信するように構成される。ハンドルは、それに操作可能に結合されたレバーを有するハウジングを含む。レバーは、その動きの際に、入力部と協働して第1の位置と第2の位置との間で顎部材を移動させ、非作動位置から第1の位置へのレバーの最初の移動は、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で顎部材を移動させ、第1の位置を超えたその後のレバーの移動は、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で顎部材を移動させる。
【0011】
本開示による態様では、ハンドルのハウジングは、入力部に動作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素をその中に収容するように構成されその中に画定された空洞を含み、ハウジングに対するレバーの移動が、第1の位置と第2の位置との間の顎部材の移動と相関するようになっている。
【0012】
本開示による態様では、レバーおよび顎部材の移動の相関は、線形である。本開示による他の態様では、レバーおよび顎部材の移動の相関は、非線形である。
【0013】
本開示による態様では、空洞内に配置された構成要素の組み合わせは、レバーの作動力を、組織が顎部材の間に係合された状態で顎部材間に加えられる圧力に相関させる。本開示による他の態様では、空洞内に配置された構成要素の組み合わせには、レバー、歯車、リンク装置、およびばねが含まれる。
【0014】
本開示による態様では、システムは、レバーが第1の位置を超えて移動した場合にユーザに警告するように構成されたレバーに動作可能に関連付けられた触覚、視覚および/または可聴指示器をさらに含む。
【0015】
本開示の態様に従って提供されるのは、器具ハウジングを含む電気外科器具を含むロボット外科システムであり、この器具ハウジングは、器具ハウジングから延びるシャフトを有する。エンドエフェクタアセンブリは、シャフトの遠位端に配置され、第1および第2の顎部材を含み、第1および第2の顎部材は、顎部材の一方または両方が顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間で移動可能である。入力部は、器具ハウジングに動作可能に結合され、顎部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成される。1つ以上のハンドルは、器具ハウジングに対して遠隔に配置され、顎部材を制御するために入力部と通信するように構成される。ハンドルは、動作可能に結合されたレバーを含むハウジングと、レバーまたはハウジングの一方または両方に動作可能に配置されたスイッチと、を含む。スイッチは、レバーがその移動の際に入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で第1の位置と第2の位置との間で顎部材を移動させる第1の位置と、レバーの移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で顎部材を移動させる第2の位置との間で移動可能である。
【0016】
本開示による態様では、第2の位置へのスイッチの移動は、電気外科的作用のために顎部材を構成する。本開示による他の態様では、スイッチが第1の位置に配置されると、電気外科エネルギーが非作動状態になる。
【0017】
本開示による態様では、システムは、顎部材間の閉鎖圧力の触覚的、視覚的および/または聴覚的指示器をさらに含む。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
ロボット外科システムであって、
器具ハウジングを含む電気外科器具であって、前記器具ハウジングは、前記器具ハウジングから延びるシャフトを有する、電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2の顎部材を含み、前記第1および第2の顎部材は、前記顎部材のうちの少なくとも一方が前記顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間を移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具ハウジングに動作可能に結合され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させるように構成された入力部と、
前記器具ハウジングに対して遠隔に配置され、前記顎部材を制御するために前記入力部と通信するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記ハウジングに動作可能に結合されたレバーを有し、前記レバーが、次に前記入力部と協働して、前記レバーの移動に対する前記顎部材の前記移動を制御するように構成され、前記レバーは、前記レバーが前記ハウジングに対して離間し、前記相関する顎部材が前記第1の位置に配置されるホーミング位置と、前記レバーが前記ハウジングにより近く、前記相関する顎部材が約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲の前記顎部材間の圧力で組織の周りで閉じられた把持位置との間で移動可能であり、
前記レバーが、前記把持位置と、前記レバーが前記ハウジングにより近く、電気外科用エネルギーの作動時に前記顎部材間の組織を封止するために、前記相関する顎部材が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲の前記顎部材間の圧力で組織の周りで閉じられた封止位置との間で移動可能である、ロボット外科システム。
(項目2)
前記少なくとも1つのハンドルの前記ハウジングは、前記ハウジングに対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記顎部材の移動に相関するように、前記入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を内部に収容するように構成された、前記ハウジングの中に画定された空洞を含む、上記項目に記載のロボット外科システム。
(項目3)
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目4)
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、非線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目5)
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、前記レバーの作動力を、組織が前記顎部材の間に係合された状態で前記顎部材間に加えられる閉鎖圧力に相関させる、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目6)
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、レバー、歯車、リンク装置、およびばねを含む、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目7)
ロボット外科システムであって、
器具ハウジングを含む電気外科器具であって、前記器具ハウジングは、前記器具ハウジングから延びるシャフトを有する、電気外科器具と、
前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2の顎部材を含み、前記第1および第2の顎部材は、前記顎部材のうちの少なくとも一方が前記顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間を移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具ハウジングに動作可能に結合され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させるように構成された入力部と、
前記器具ハウジングに対して遠隔に配置され、前記顎部材を制御するために前記入力部と通信するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
ハウジングを含み、前記ハウジングが、前記ハウジングに動作可能に結合されたレバーを有し、前記レバーが、その移動時に、前記入力部と協働して、前記第1の位置および前記第2の位置の間で前記顎部材を移動させ、非作動位置から第1の位置までの前記レバーの初期移動が、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記顎部材を移動させ、前記第1の位置を超える前記レバーのそれに続く移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記顎部材を移動させる、ロボット外科システム。
(項目8)
前記少なくとも1つのハンドルの前記ハウジングは、前記ハウジングに対する前記レバーの移動が前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記顎部材の移動に相関するように、前記入力部に操作可能に接続するように構成された1つ以上の構成要素を内部に収容するように構成された、前記ハウジングの中に画定された空洞を含む、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目9)
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目10)
前記レバーおよび前記顎部材の移動の前記相関が、非線形である、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目11)
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、前記レバーの作動力を、組織が前記顎部材の間に係合された状態で前記顎部材間に加えられる前記圧力に相関させる、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目12)
前記空洞内に配置された構成要素の組み合わせが、レバー、歯車、リンク装置、およびばねを含む、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目13)
前記レバーが前記第1の位置を超えて移動された場合、ユーザに警告するように構成された、前記レバーに動作可能に関連付けられた触覚指示器、視覚指示器、または可聴指示器のうちの少なくとも1つをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目14)
ロボット外科システムであって、
器具ハウジングを含む電気外科器具であって、前記器具ハウジングは、前記器具ハウジングから延びるシャフトを有する、電気外科器具と、
シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリであって、前記エンドエフェクタアセンブリが、第1および第2の顎部材を含み、前記第1および第2の顎部材は、前記顎部材のうちの少なくとも一方が前記顎部材の他方に対して離間している第1の位置と、前記第1および第2の顎部材が協働して組織を把持する第2の位置との間を移動可能である、エンドエフェクタアセンブリと、
前記器具ハウジングに動作可能に結合され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させるように構成された入力部と、
前記器具ハウジングに対して遠隔に配置され、前記顎部材を制御するために前記入力部と通信するように構成された少なくとも1つのハンドルと、を備え、前記少なくとも1つのハンドルが、
ハウジングであって、前記ハウジングが、前記ハウジングに動作可能に結合されたレバーを有する、ハウジングと、
前記レバーまたは前記ハウジングのうちの少なくとも一方に動作可能に配置されたスイッチであって、前記スイッチは、前記レバーがその移動時に前記入力部と協働して、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記顎部材を移動させる第1の位置と、前記レバーの移動が、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の閉鎖圧力で前記顎部材を移動させる第2の位置との間で動作可能である、スイッチと、を含む、ロボット外科システム。
(項目15)
前記スイッチの前記第2の位置への移動が、前記顎部材を電気外科的作動のために構成する、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目16)
前記スイッチが前記第1の位置に配置されると、電気外科エネルギーが非作動状態になる、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(項目17)
前記顎部材間の前記閉鎖圧力の触覚的指示器、視覚的指示器または聴覚的指示器のうちの少なくとも1つをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のロボット外科システム。
(摘要)
ロボットシステムは、シャフトを有する器具ハウジングを有する電気外科器具と、エンドエフェクタアセンブリとを含み、組織を把持するように移動可能な第1および第2の顎部材がエンドエフェクタアセンブリに取り付けられている。入力部は、器具ハウジングに動作可能に結合され、顎部材を移動させるように構成されている。ハンドルは、器具ハウジングに対して遠隔に配置され、顎部材を制御するために入力部と通信するように構成され、ハンドルは、入力部と協働してレバーの移動に対して顎部材を制御するように構成されたレバーを有する。レバーは、ホーミング位置と第1の位置との間を移動し、第1の位置は、顎部材が約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲の顎部材間の圧力で閉じることに相関している。レバーは、封止位置にさらに移動可能であり、この位置は、封止するために顎部材が約3kg/cm2~約16kg/cm2の間の圧力で組織の周りで閉じることに相関している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の様々な態様および特徴は、図面を参照して、本明細書で以下に説明される。
【0019】
【
図1】ロボット外科システムのロボットアームに装着するように構成された、本開示による外科器具の斜視図である。
【
図2】外側ハウジングを取り外した、
図1の外科器具の近位部の正面斜視図である。
【
図3】
図1の外科器具を解放可能に受容するように構成された例示的なロボット外科システムの概略図である。
【
図4A】外科器具を遠隔操作するための一対の操作ハンドルを示す、
図3のロボット外科システムの上面斜視図である。
【
図4B】
図4Aのロボット外科システムの操作ハンドルの1つの拡大図である。
【
図5A】本開示の別の実施形態による操作ハンドルの1つの拡大図である。
【
図5B】本開示のさらに別の実施形態による操作ハンドルの1つの拡大図である。
【
図6】本開示のさらに別の実施形態による操作ハンドルの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~
図2Cを参照すると、本開示に従って提供される外科器具10は、一般に、ハウジング20と、ハウジング20から遠位側に延在するシャフト30と、シャフト30から遠位側に延在するエンドエフェクタアセンブリ40と、ハウジング20内に配設され、シャフト30およびエンドエフェクタアセンブリ40と動作可能に関連付けられた作動アセンブリ100と、を含む。器具10は、本明細書では、ロボット外科システム、例えばロボット外科システム500(
図3)と共に使用するように構成された関節式電気外科鉗子として詳述される。しかしながら、以下に詳述する、本開示に従って提供される器具10の態様および特徴は、他の好適な外科器具(非ロボット外科器具を含む)および/または他の好適な外科システム(非ロボット外科システムを含む)と共に使用するように等しく適用することができる。
【0021】
器具10のハウジング20は、第1および第2の本体部22a、22bと、その中で作動アセンブリ100を包囲するように協働する近位面板24(
図2)と、を含む。近位面板24は、その中に画定された開口部を含み、そこを通って作動アセンブリ100の入力部110~140が延在する。一対のラッチレバー26(
図1では一方のみ図示される)は、ハウジング20の両側から外向きに延在し、ハウジング20と、外科システム、例えばロボット外科システム500(
図3)のロボットアームとの解除可能な係合を可能にする。ハウジング20を通って画定された開口部28は、サムホイール440がそこを通って延在し、ハウジング20の外部からのサムホイール440の手動操作を可能にして、エンドエフェクタアセンブリ40の手動の開放および閉鎖を可能にする。
【0022】
器具10のシャフト30は、遠位セグメント32と、近位セグメント34と、遠位セグメント32と近位セグメント34との間に配設された関節運動区間36と、を含む。関節運動区間36は、1つ以上の関節運動構成要素37、例えばリンク、ジョイントなどを含む。複数の関節運動ケーブル38、例えば4つの関節運動ケーブルまたは他の好適なアクチュエータは、関節運動区間36を通って延在する。より具体的には、関節運動ケーブル38は、その遠位端部分でシャフト30の遠位セグメント32に動作可能に連結され、シャフト30の遠位セグメント32から、シャフト30の関節運動区間36およびシャフト30の近位セグメント34を通り、かつ、ハウジング20の中へ近位に延在し、関節運動ケーブル38は、作動アセンブリ100の関節運動アセンブリ200と動作可能に連結して、近位セグメント34およびハウジング20に対する、例えば少なくとも2つの関節運動軸を中心とした遠位セグメント32(したがってエンドエフェクタアセンブリ40)の選択的な関節運動(例えば、ヨーおよびピッチの関節運動)を可能にする。関節運動ケーブル38は、略矩形の構成で配置されるが、他の好適な構成も想到される。
【0023】
シャフト30の近位セグメント34に対するエンドエフェクタアセンブリ40の関節運動に関して、関節運動ケーブル38の作動は、対で達成される。より具体的には、エンドエフェクタアセンブリ40をピッチさせるためには、上方のケーブル対38を同様な方法で作動させ、一方で、下方のケーブル対38を、互いに対して同様であるが、上方のケーブル対38に対して反対の方法で作動させる。ヨー関節運動については、右側のケーブル対38を同様な方法で作動させ、一方で、左側のケーブル対38を、互いに対して同様であるが、右側のケーブル対38に対して反対の方法で作動させる。
【0024】
シャフト30の遠位セグメント32は、それぞれ第1および第2の顎部材42、44を支持するエンドエフェクタアセンブリ40のクレビス部を画定する。各顎部材42、44は、近位フランジ部43a、45aおよび遠位本体部43b、45bをそれぞれ含む。遠位本体部43b、45bは、対向する組織接触面46、48をそれぞれ画定する。近位フランジ部43a、45aは、枢軸ピン50を中心に互いに枢動可能に連結され、かつカム駆動機構52を介して互いに動作可能に連結され(以下により詳細に記載される)、離間位置(例えば、エンドエフェクタアセンブリ40の開放位置)と、組織接触面46、48の間で組織を把持するための接近位置(例えば、エンドエフェクタアセンブリ40の閉鎖位置)との間で、顎部材44およびシャフト30の遠位セグメント32に対する顎部材42の枢動を可能にする。この片側構成の代替として、両側構成を提供することができ、それによれば、両方の顎部材42、44が互いにかつシャフト30の遠位セグメント32に対して枢動可能である。
【0025】
対向する長手方向に延在するチャネル(図示せず)は、顎部材42、44のそれぞれ組織接触面46、48を通して画定される。移動切断要素(図示せず)が提供され、選択的に前進可能であるため、顎部材42、44のそれぞれの組織接触面46、48の間で把持された組織を切断することができる。作動アセンブリ100の切断駆動アセンブリ300(
図2)は、組織接触面46、48の間に把持された組織を切断するために、顎部材42、44のチャネル(単数または複数)を介して切断要素の選択的作動を提供する。切断駆動アセンブリ300は、作動アセンブリ100の第3の入力部130に動作可能に結合され、第3の入力部130への適切な回転入力を受け取ると、切断駆動アセンブリ300は、顎部材42、44の間に切断要素を前進させて、組織接触面46、48の間で把持された組織を切断する。
【0026】
図1および2を参照し続けると、以下に詳述するように、駆動ロッド(図示せず)は、エンドエフェクタアセンブリ40に動作可能に結合されて、駆動ロッドの長手方向の作動が、離間位置と接近位置との間で顎部材44に対して顎部材42を枢動させるようにする。より具体的には、駆動ロッドを近位に付勢することにより、顎部材42を顎部材44に対して接近位置に向かって枢動させる一方、駆動ロッドを遠位に付勢することにより、顎部材42を顎部材44に対して離間位置に向かって枢動させる。しかしながら、逆の構成も考えられる。駆動ロッドは、エンドエフェクタアセンブリ40からシャフト30を通ってハウジング20の中へ延在し、駆動ロッドは、作動アセンブリ100の顎駆動アセンブリ400と動作可能に結合されて、エンドエフェクタアセンブリ40の選択的な作動を可能にして、例えば、第4の入力部140内への適切な回転入力に応答して、それらの間で組織を把持して適切な顎閉鎖力の範囲内で閉鎖力を印加する。
【0027】
顎部材42、44の組織接触面46、48は、それぞれ、少なくとも部分的に導電性材料から形成され、異なる電位に通電可能であって、それらの間に把持された組織を通って電気エネルギーの伝導を可能にするが、組織接触面46、48は、代替的に、エネルギーベースの組織治療のために、それらの間に把持された組織を通して、任意の好適なエネルギー、例えば熱、マイクロ波、光、超音波などを供給するように構成されてもよい。器具10は、ハウジング20およびシャフト30を通ってリード線、接点、および/または導電性構成要素を含み得るエンドエフェクタアセンブリ40に延びる導電経路(図示せず)を画定して、エネルギーを組織接触面46、48に供給して組織接触面46、48間に把持された組織を処置、例えば封止するために、その間に延びる電気外科ケーブルを介して、それぞれ顎部材42、44の組織接触面46、48をエネルギー源(図示せず)、例えば、電気外科発電機へ電気的に接続できるようにする。
【0028】
作動アセンブリ100は、ハウジング20内に配設され、かつ関節運動アセンブリ200と、ナイフ駆動アセンブリ300と、顎駆動アセンブリ400と、を含む。関節運動アセンブリ200は、それぞれ、作動アセンブリ100および関節運動ケーブル38の第1の入力部110および第2の入力部120の間で動作可能に連結されて、第1の入力部110および/または第2の入力部120への適切な入力を受信すると、関節運動アセンブリ200が、ケーブル38(
図1)を操作して、エンドエフェクタアセンブリ40を所望の方向に関節運動させるように、例えばエンドエフェクタアセンブリ40を、ピッチおよび/またはヨーさせるようにする。上記のように、切断駆動アセンブリ300は、第3の入力部130内への適切な回転入力の受信に応答して、顎部材42、44の間で切断要素を往復運動させて、組織接触面46、48の間で把持された組織を切断することができる。顎駆動アセンブリ400は、作動アセンブリ100の第4の入力部140と駆動ロッドとの間に動作可能に結合されて、第4の入力部140への適切な回転入力を受信すると、顎駆動アセンブリ400が、顎部材42、44を離間位置と接近位置との間で枢動して、顎部材の間で組織を把持して、適切な閉鎖力の範囲内の閉鎖力を印加するようにする。
【0029】
作動アセンブリ100は、器具10がロボット外科システム500(
図3)に装着されたときロボット外科システム500(
図3)と動作的に接続して、作動アセンブリ100のロボット操作を可能にして上に詳述した機能を提供するように構成される。すなわち、ロボット外科システム500(
図3)は、作動アセンブリ100の入力部110~140への入力を選択的に提供してエンドエフェクタアセンブリ40を関節運動させ、顎部材42、44の間で組織を把持し、および/または顎部材42、44の間で把持された組織を切断する。しかしながら、作動アセンブリ100は、任意の他の好適な外科システム、例えば手動外科ハンドル、電動外科ハンドルなどと接続するように構成されることも想到される。本明細書における目的のために、ロボット外科システム500(
図3)を概略的に説明する。
【0030】
図3を参照すると、ロボット外科システム500は、本開示に従って使用するように構成される。本開示の理解に関係のないロボット外科システム500の態様および特徴は、不必要な詳細で本開示の態様および特徴を不明瞭にすることを避けるために省略される。
【0031】
ロボット外科システム500は、概して、複数のロボットアーム502、503と、制御デバイス504と、制御デバイス504に結合された操作コンソール505と、を含む。操作コンソール505は、特に3次元画像を表示するようにセットアップされ得るディスプレイデバイス506と、人、例えば外科医がそれによって第1の操作モードでロボットアーム502、503を遠隔操作し得る手動入力デバイスまたはハンドル507、508と、を含んでもよい。ロボット外科システム500は、低侵襲的方法で治療されるべく患者台512に横たわっている患者513に使用するように構成されてもよい。ロボット外科システム500は、特に制御デバイス504に結合されたデータベース514をさらに含むことができ、そこには、例えば、患者513由来の術前データおよび/または解剖図が記憶される。
【0032】
ロボットアーム502、503のそれぞれは、ジョイントを介して接続される複数の部材と、例えば、外科ツール「ST」であり得る装着されたデバイスと、を含み得る。外科ツール「ST」の1つ以上は、器具10(
図1)であり得、したがって、ロボット外科システム500においてそのような機能を提供する。
【0033】
ロボットアーム502、503は、制御デバイス504に接続された電動デバイス、例えばモーターにより駆動され得る。制御デバイス504、例えばコンピュータは、特にコンピュータプログラムによって、ロボットアーム502、503、したがってそれらの装着された外科ツール「ST」がそれぞれ、手動入力デバイス507、508からの対応する入力に応じた所望の移動および/または機能を実行するように、モーターを作動させるように構成されてもよい。制御デバイス504は、ロボットアーム502、503および/またはモーターの移動を調節するように構成されてもよい。
【0034】
ここで
図4Aおよび4Bを参照すると、操作コンソール505の一部、すなわち、入力デバイスまたはハンドル507、508がより詳細に示されている。各入力デバイスまたはハンドル507、508は、同様の構成要素を含み、したがって、入力デバイスまたはハンドル508のみが
図4Bに示されている。入力デバイス508は、上で詳細に説明した入力部110~140のうちの1つ以上と通信するように構成された作動アセンブリ550を収容するように構成された空洞521をその中に画定するハウジング520を含む。ハウジング520は、1つ以上のジンバル機構540a~540cに結合されて、上記のようにエンドエフェクタアセンブリ40の伸長、回転、関節運動などを制御してもよい。この目的のために利用できる様々な種類のジンバル機構に関する詳細は、2018年11月30日に出願された「CONTROL ARM ASSEMBLIES FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題される米国特許出願第16/306,420号に開示され、上記特許出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0035】
作動アセンブリ550は、レバー530に動作可能に結合され、レバー530がハウジング520に対して作動されると、エンドエフェクタアセンブリ40の顎部材42、44を開閉する。より具体的には、レバー530は、上記のように、お互いに対する顎部材42、44の閉鎖を制御するために入力部140と通信するように構成された一連の構成要素、例えば、リンク、カプラー、および/またはアクチュエータ551~555に結合する。一連のリンク、カプラー、および/またはアクチュエータ551~555として示されているが、任意の種類の機械的または電気機械的配置が考えられる。さらに、以下で説明するように、顎部材42、44の作動に対するレバー530の作動は、レバー530の全範囲の移動またはストロークの間において、線形1:1、非線形1:2、または可変であってもよい。
【0036】
レバー530は、ハウジング520に対するレバー530の相対的な移動を容易にするように構成された指支持体535を含む。より具体的には、指支持体535は、カフ状であって、ユーザの1本以上の指を包み込み、レバー530をハウジング520から引き離すのを助け、上記で特定されたジンバル機構540a~540cの1つ以上の周りのハウジングの回転を容易にすることができる。
【0037】
上記のように、血管または組織の封止を伴うロボット手術中、外科医が、組織を把持して操作する場合と血管または組織をクランプして封止を形成する場合の両方で、顎部材42、44の間の圧力を適切に制御することが重要である。理解できるように、血管または組織を繊細に把持して操作する場合の顎部材42、44の間の圧力は、血管または組織を封止する場合よりも著しく低い。上記の様々な上記の作動アセンブリ、レバー、歯車、リンク装置、およびばねはすべて協調して動作し、遠隔入力デバイスまたはハンドル507、508からの顎部材42、44の作動を容易にする。典型的には、レバー530がハウジング520に対して一定の距離だけ移動すると、血管または組織のサイズに関係なく、同じ力で顎部材42、44を作動させることになる。
【0038】
例えば、上記のようなロボット血管封止デバイスでは、顎部材42、44の作動は、作動レバー530にマップされたモーターの回転によって制御される。適切な封止を生成するために必要な力は、通常、100psi以上のオーダーであるため、ソフトウェアは、外科医の指およびレバー530の相対的移動をハウジング520にマップし、この相対的移動を顎部材42、44に相関させる。この目的のために、様々なソフトウェアアルゴリズムが利用されている。結果として、組織を封止するための適切な圧力を生成するために、外科医の指を介してハウジング520に対してレバー530を移動させるのに必要な力はごくわずかである。この設計は、外科的疲労を相殺するのにも役立つ。しかしながら、ロボットシーラーは、レバー530における力と比較して遥かに小さい力で顎部材42、44における封止圧力を生成するように設計されているため、場合によっては、外科医の意図が単に組織を把持する、操作する、または切断することである場合に、過度の圧力、例えば、組織を封止することに関連する圧力が、血管または組織束に印加される可能性もある。
【0039】
図5Aおよび5Bは、第1の位置に移動された場合に把持、操作および切断を可能にするように構成され、かつ血管および組織を封止するために第2の位置に移動された場合に顎部材42,44の間に必要な圧力を生成するように構成された可変力レバー630を含む、本開示による入力デバイスまたはハンドル608の一実施形態を示す。入力デバイス608は、レバー630の相対運動を顎部材42、44の運動と調整および相関させるように構成された様々な機械的、電気機械的または他の特徴(例えば、ソフトウェア)を有する可変力レバー630を含む。より具体的には、
図5Aに示されるように、レバー630の非作動位置またはホーム位置「H」から把持位置「G」に向かう最初の移動により、顎部材42、44の一方または両方を作動させて、敏感な組織への構造的損傷を回避することが知られている第1の圧力で血管または組織を把持する。約0.01Kg/cm
2~約2kg/cm
2の範囲の圧力が考えられる。以下に特定された封止圧力範囲の低い方の範囲までの圧力およびそれを含む圧力も考えられる。ハンドルにかかる力は、線形、例えば、位置「H」から位置「G」までの全範囲を通して同じ量の力である場合もあれば、非線形である場合、例えば、位置「H」から位置「G」までの運動の範囲を通して上で特定された範囲内で力の量が変化する場合もある。
【0040】
理解できるように、外科医は、血管や組織に過度の力を加えることを心配しないで、レバー630を位置「H」と位置「G」との間で継続的に移動させることによって、顎部材42、44を遠隔操作して、血管および組織を操作、把持、および切断することができる(例えば、該当する場合は封止はなし)。レバーを位置「G」から位置「H」に移動させる場合に、血管または組織を切開することもできる(例えば、穿刺および拡大切開)。
【0041】
血管または組織が適切に把持されると、外科医は、顎部材42、44の間で血管または組織を封止することを選択してもよい。この例では、外科医は、レバー630をハウジング620により近づけるように、例えば、位置「G」から位置「S」に移動させることで顎部材42、44の間に追加の力を生成して、ロボットシーラー10が1つ以上の作動ボタン525(
図4A)を介して起動されると封止が可能となる。約3kg/cm
2~約16kg/cm
2の範囲内の力が、封止する目的で考えられる。スイッチまたは他の安全機能632が、レバー630に動作可能に関連付けられ、レバー630をモード間で切り替えるか、または機械的または電気機械的構成要素650を再配置または追加して、加えられる力をレバー630から顎部材42、44に変更するために利用されてもよい。構成要素650が、ハウジング620内に画定された空洞621内に配置されてもよく、顎部材42、44の間に配置された組織の抵抗に相関するレバー630への抵抗を提供するように配置されてもよい。
【0042】
レバー630は、ハウジング620に対するレバー630の相対的な移動を容易にするように構成された指支持体635を含む。より具体的には、指支持体635は、カフ状であって、ユーザの1本以上の指を包み込み、レバー530をハウジング520から引き離すのを助け、上記で特定されたジンバル機構540a~540cの1つ以上の周りのハウジングの回転を容易にすることができる。
【0043】
図6を簡単に参照すると、各レバーのストロークが完全に開いた位置から典型的な把持位置を通って組織を封止するための位置まで続くように、経験的データに基づいてレバー730の触覚フィードバックを調整するハンドル708の別の実施形態が想定される。より具体的には、レバー730上の点「A」位置は、顎部材42、44が完全に開いて組織をそれらの間に配向する完全に開いた位置を示す。点「A」と点「B」との間で、レバー730が閉じ始めた状態で、レバー730に関連するわずかな触覚力、例えば、レバー730に対する抵抗はごくわずかに過ぎない。ポイント「B」は、特定の器具に応じて、または経験的データに基づいてカスタマイズ可能であってもよく、例えば、ポイント「B」は、顎42、44内に配置された大きな容器と顎42、44内に何もない状態との間の点としてレバー730上に構成される。他の例では、ポイント「B」は、センサーまたはトルクからのフィードバックに基づいてカスタマイズ可能であってもよい。
【0044】
点「B」と点「C」との間で、レバー730は、ばね(または他の圧力制御機構(図示せず))を圧縮し始め、顎部材42、44間の圧力に関して外科医に直接的な触覚フィードバックを提供することになる。レバー730とばねとの関係は、線形または指数関数的であってもよく、または組み合わせ、例えば、最初は線形で次に指数関数的であってもよい。実施形態では、点「B」と「C」との間でレバーを移動させると、上記で特定された封止範囲内の圧力を誘発することができ、外科医は、このストローク範囲内で知覚される触覚フィードバックに基づいて組織を封止することを選択することもできる。あるいは、点「C」は、顎圧力が封止範囲内にあることを明確に識別するレバーストローク内に含まれてもよい。レバー730をさらに移動させても、顎部材42、44の間の圧力を増加させることはなく、例えば、圧力は、組織を過度に圧縮しないように、ばね(または他の圧力制御機構(図示せず))によって軽減される。点「D」は、レバー730の底付き点として含まれてもよい。
【0045】
機械的構成要素、電気機械的構成要素、ソフトウェアなどの任意の組み合わせを利用して、レバー630の様々な位置を入力部140にマップまたは相関させ、それにより顎部材42、44の相対的な移動を制御することもできる。この場合も、顎部材42、44の移動に対するレバー630の関係は、特定の目的に応じて線形または非線形であってもよい。さらに、レバー630は、1つ以上の機械的、電気機械的構成要素、例えば、構成要素551~555(
図4B)、またはソフトウェアに結合されてもよく、それらは、血管または組織を把持、操作、または封止する顎部材42、44の「感触」をシミュレートして、レバー630がハウジング620に対して作動されると、作動力を(線形または非線形のいずれかで)変化させるように構成されている。他の例では、視覚信号(例えば、一連のLEDなどまたは変化する色)または可聴音(一般に、ロボットシステム500(
図3)の構成要素545によって表される)を使用して、レベル630の相対移動中に血管または組織に印加される圧力量を表してもよい。
【0046】
上記のように、レバー630にかかる力は、ハウジング620に対するレバー630の位置に基づいて、顎部材42、44との間の閉鎖圧力に相関されている。実施形態では、レバー630の抵抗は、内部の機械的または電気機械的構成要素551~555(
図4B)に関連してもよく、または構成要素の1つ以上または入力部140に関連するソフトウェアに基づいてもよい。この例では、レベル630の抵抗を変更さもなければ影響を与えるために、構成要素551~555またはソフトウェアにフィードバックを提供するセンサーに依存することはない。
【0047】
上記のように、様々な視覚的または聴覚的フィードバック545が、顎部材42、44の間の圧力量に関連して外科医に伝達されてもよい。フィードバックは、操作、例えば、緑色のライト、安全なトーンのための「SAFE」信号のように単純な場合もあり、または封止、例えば、「SEAL」信号を保証する圧力が加えられている場合など、組織に加えられている圧力量に関連して計量されてもよい。視覚的または聴覚的のいずれかによるフィードバックの計量は、外科医が顎部材42、44との間の意図しない圧力に近づいている場合に、外科医に十分なフィードバックを提供する。
【0048】
本開示による一実施形態では、ハンドル608、ロボットコントローラ505、ロボットシーラー10、または前述の1つ以上に関連するソフトウェアは、ユーザの選択に基づいて、レバー630の相対運動と、顎部材42、44に関連する得られる閉鎖圧力とを切り替えるように構成されてもよい。より具体的には、第1の例において、または第1のユーザ選択、例えば、把持、操作、切断または切開モードにおいて、レバー630の作動は、互いに離間している顎部材42、44(例えば、顎部材42、44間でゼロ閉鎖力)から、約0.1kg/cm2~約2kg/cm2の範囲内の顎部材42、44間の相関する圧力まで傾斜を与えてもよい。把持する、操作する、切断する、または切開するための他の圧力範囲も想定される。顎部材42、44の閉鎖圧力に対するレバー630の力の関係は、この範囲内で線形であっても非線形であってもよい。
【0049】
次の例では、または第2のまたは異なるユーザ選択、例えば、封止において、レバー630の作動は、互いに間隔を置いて配置された顎部材42、44から、約3kg/cm2~約16kg/cm2の範囲内の顎部材42、44間の相関する圧力まで傾斜を与えてもよい。この場合も、顎部材42、44の封止圧力に対するレバー630の力の関係は、この範囲内で線形であっても非線形であってもよい。様々な聴覚的または視覚的安全対策545をハンドル608またはロボット外科システム500とともに使用して、レバー630の現在の配置、およびその作動時に顎部材42、44にどの圧力が加えられるかについてユーザに警告することもできる。
【0050】
エネルギーが印加されている場合にのみ封止圧力を供給することができる1つ以上の機械的、電気機械的、またはソフトウェアを使用して、様々な安全対策を採用することができる。例えば、レバー630を介して顎部材42、44の間に適切な顎圧力が加えられるまで、電気外科エネルギーの作動を遅らせるように、わずかな遅延を制御ソフトウェアにプログラムしてもよい。
【0051】
本明細書に開示された態様および特徴に様々な変更が加えられ得ることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に様々な態様および特徴の例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および趣旨内で他の変更を想定するであろう。