IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

特開2023-27065情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
<>
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図1
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図2
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図3
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図4
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図5
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図6
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図7
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図8
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図9
  • 特開-情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027065
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20230221BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230221BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230221BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230221BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20230221BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H04L67/00
H04M11/00 301
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
G08G1/09 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181736
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2018151577の分割
【原出願日】2018-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】片多 啓二
(72)【発明者】
【氏名】幸田 健志
(57)【要約】
【課題】端末装置に所定の処理を好適に実行させる情報処理装置を提供する。
【解決手段】ビークルクラウドサーバ30は、車載端末20が実行する処理の内容を示すデータ収集条件情報及び収集データ指定情報と、所定条件下でのジョブリクエストの消去を禁止することを示す消去禁止フラグと、を含むジョブリクエストを記憶する。そして、ビークルクラウドサーバ30は、車載端末20の状態を示す状態情報の一例であるシステム起動メッセージを車載端末20から受信する。そして、ビークルクラウドサーバ30は、システム起動メッセージを受信した場合に、上述のジョブリクエストを車載端末20に送信する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、
前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信部と、
前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理の内容を示す情報の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に設置されたセンサの情報をサーバ装置において収集する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両等の移動体に設置されたセンサの出力に基づいて部分地図の変化点を検出した場合に、当該変化点に関する変化点情報をサーバ装置に送信する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-156973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に関する種々のサービスを提供する会社がそれぞれサーバを運営することで、車両に対してアップロードすべきデータを指定し、サービス提供に必要な車両に関する様々な情報を収集することが今後想定される。このようなシステムでは、車両は、指示されたデータをアップロードすることをジョブとして認識し、当該ジョブをシステムの再起動後においても継続して実行することが求められる。一方、このような指示データは、車のイグニッションオフなどのタイミングで消えてしまう場合がある。従って、サーバは、指示データが車両側に残っているかどうか判別できないため、常に指示データを出し続ける必要がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、端末装置に所定の処理を好適に実行させる情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、情報処理装置であって、端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信部と、前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信部と、を備える。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部を参照する情報処理装置が実行する制御方法であって、前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信工程と、前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信工程と、を有する。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部を参照するコンピュータが実行するプログラムであって、前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信部と、前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信部として前記コンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例に係るジョブ配信システムの概略構成を示す。
図2】車載端末と、ビークルクラウドサーバと、サービスクラウドサーバとの間のデータの流れを概略的に示した図である。
図3】車載端末の内部構成を示すブロック図である。
図4】ビークルクラウドサーバ及びサービスクラウドサーバの内部構成を示すブロック図である。
図5】ジョブリクエストのデータ構造の一例である。
図6】ジョブリクエストを受信してから電源オフになるまでに車載端末が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7】電源がオンになった後に車載端末が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図8】第2実施例における車載端末の起動時でのビークルクラウドと車載端末とのデータ授受の概要を示す図である。
図9】第2実施例においてビークルクラウドがサービスクラウドからジョブリクエストを受信したときに実行すべき処理手順を示すフローチャートである。
図10】第2実施例においてシステム起動メッセージを受信したビークルクラウドが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つの好適な実施形態は、情報処理装置は、端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信部と、前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信部と、を備える。この態様により、情報処理装置は、フラグ情報により消去が禁止された処理情報を記憶しておき、状態情報を受信した際に、状態情報の送信元である端末装置に処理情報を好適に送信することができる。
【0011】
上記情報処理装置の一態様では、前記端末装置は、車両に搭載される車載機である。また、上記情報処理装置の他の一態様では、前記状態情報は、前記端末装置が起動したことを示す情報である。この態様では、電源オフなどに伴い端末装置のシステムが一時停止した場合であっても、端末装置は、再起動後に状態情報を情報処理装置に送信することで、好適に処理情報を取得して実行すべき処理を遂行することができる。
【0012】
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、第2の情報処理装置から前記処理情報及び前記フラグ情報を受信する受信部をさらに備え、前記送信部は、前記受信部により受信した前記処理情報を前記端末装置へ送信する。この態様では、情報処理装置は、第2の情報処理装置から受信して端末装置に送信した処理情報を、端末装置からの状態情報の受信を契機として端末装置に再送信することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記フラグ情報には、前記フラグ情報の有効期限を示す有効期限情報が付加されており、前記記憶部は、前記有効期限が過ぎた場合に、前記処理情報及び前記フラグ情報を消去する。この態様により、情報処理装置は、不要となったデータを消去して記憶部の容量の圧迫を好適に抑制することができる。
【0014】
他の好適な実施形態では、端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部を参照する情報処理装置が実行する制御方法であって、前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信工程と、前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信工程と、を有する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、状態情報を受信した際に、状態情報の送信元である端末装置に処理情報を好適に送信することができる。
【0015】
さらに別の実施形態では、端末装置が実行する処理の内容を示す処理情報と、所定条件下での前記処理情報の消去を禁止することを示すフラグ情報とを記憶する記憶部を参照するコンピュータが実行するプログラムであって、前記端末装置の状態を示す状態情報を当該端末装置から受信する受信部と、前記状態情報を受信した場合に、前記処理情報を前記端末装置に送信する送信部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、状態情報を受信した際に、状態情報の送信元である端末装置に処理情報を好適に送信することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な第1及び第2実施例について説明する。
<第1実施例>
(1)全体構成
図1は、第1実施例に係るジョブ配信システムの概略構成を示す。ジョブ配信システムは、車両のセンサが生成した種々の情報を収集するためのシステムであり、車両Vと、ビークル(VEHICLE)クラウドサーバ30と、サービスクラウドサーバ40とを備える。
【0017】
車両Vには、車載端末20が搭載されている。車載端末20は、車両Vの状態又は周辺環境に関する情報を取得するための種々のセンサと接続し、所定の処理を行う情報処理装置である。車載端末20は、これらのセンサの出力に基づき、サービスクラウドサーバ40から依頼された処理(単に「ジョブ」とも呼ぶ。)を実行する。本実施例では、ジョブは、主に、サービスクラウドサーバ40から指定された特定の車両Vの状態又は周辺環境に関する情報をセンサにより取得してサービスクラウドサーバ40にアップロードする処理を指す。
【0018】
ビークルクラウドサーバ30は、ビークルクラウドを構成するサーバ装置(情報処理装置)である。ビークルクラウドとは、例えば、ユーザに提供された車両(例えば自動運転車)を管理し、車両から各種の情報を収集する情報収集会社が運営するクラウドである。情報収集会社は、自動車メーカー自身がその役割を担ってもよく、また、自動車メーカーによって直接、または間接的に運営されてもよい。例えば、自動車メーカーとしてA社、B社、C社の3社が存在する場合、A社が運営する情報収集会社、B社が運営する情報収集会社、C社が運営する情報収集会社が個別に存在し、各情報収集会社は運営する自動車メーカーが製造した車両から各種の情報を収集する。あるいは、D社、E社、F社などの複数の自動車メーカーが共同で委託/運営する形態でもよい。
【0019】
サービスクラウドサーバ40は、サービスクラウドを構成するサーバ装置(情報処理装置)である。サービスクラウドとは、例えば、車両に関するサービスを提供するサービス提供会社が運営するクラウドである。サービス提供会社としては、保険に関するサービスを提供する保険会社、地図に関するサービスを提供する地図サービス会社、駐車場に関するサービスを提供する駐車場サービス会社、経路探索に関するサービスを提供する経路探索サービス会社などが挙げられる。サービスクラウドサーバ40は、目的に応じて、車載端末20に実行させるジョブを指示する情報(「ジョブリクエスト」とも呼ぶ。)を生成し、ビークルクラウドサーバ30を介して車載端末20に配信する。
【0020】
車両Vに搭載されている車載端末20と、ビークルクラウドサーバ30と、サービスクラウドサーバ40とは、ネットワーク5を通じて有線又は無線により通信が可能である。本実施例では、車載端末20と、ビークルクラウドサーバ30と、サービスクラウドサーバ40とは、サービスクラウドサーバ40が生成したジョブリクエストの授受、及び、ジョブリクエストに応じて車載端末20が生成したデータ(「アップロードデータ」とも呼ぶ。)の授受を行う。
【0021】
図2は、車載端末20と、ビークルクラウドサーバ30と、サービスクラウドサーバ40との間のデータの流れを概略的に示した図である。図2に示すように、サービスクラウドサーバ40は、生成したジョブリクエストをビークルクラウドサーバ30に送信し、ビークルクラウドサーバ30は、サービスクラウドサーバ40から受信したジョブリクエストを車載端末20に送信する。なお、ジョブリクエストには、ジョブを実行すべき車両を示す車両IDやドライバIDなどを含めることが可能となっており、ビークルクラウドサーバ30は、必要に応して、送信対象とする車両IDやドライバIDをジョブリクエストに含めることで対応する車両の車載端末20に対してジョブリクエストを送信することができる。ジョブリクエストを受信した車載端末20は、ジョブリクエストにおいて指定されたデータをセンサより収集し、収集したデータをアップロードデータとしてビークルクラウドサーバ30に送信する。ビークルクラウドサーバ30は、車載端末20からアップロードデータを受信した場合、受信したアップロードデータを依頼元のサービスクラウドサーバ40へ送信する。ジョブリクエストのデータ構造については、[データ構造]のセクションにて詳しく説明する。
【0022】
(2)車載端末の構成
図3は車載端末20の内部構成を示すブロック図である。図示のように、車載端末20は、主に通信部21と、記憶部22と、入力部23と、制御部24と、インターフェース25と、出力部26とを有する。車載端末20内の各要素は、バスライン29を介して相互に接続されている。また、インターフェース25は、センサ部27と接続されている。
【0023】
通信部21は、制御部24の制御に基づき、アップロードデータをビークルクラウドサーバ30へ送信したり、地図DBを更新するための地図データをビークルクラウドサーバ30から受信したりする。また、通信部21は、車両を制御するための信号を車両に送信する処理、車両の状態に関する信号を車両から受信する処理を行ってもよい。
【0024】
記憶部22は、制御部24が実行するプログラムや、制御部24が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。記憶部22は、不揮発性メモリ(内部ストレージ)を含んでいる。本実施例では、記憶部22は、地図DBと、センサデータキャッシュと、車両属性情報とを記憶する。
【0025】
図DBは、例えば、道路データ、施設データ、及び、道路周辺の地物データなどを含むデータベースである。道路データには、経路探索用の車道/車線ネットワークデータ、道路形状データ、交通法規データなどが含まれる。地物データは、道路標識等の看板や停止線等の道路標示、センターライン等の道路区画線や道路沿いの構造物等の情報を含む。また、地物データは、自車位置推定に用いるための地物の高精度な点群情報などを含んでもよい。その他、地図DBには、位置推定に必要な種々のデータが記憶されてもよい。
【0026】
センサデータキャッシュは、センサ部27の出力データを一時的に保持するキャッシュメモリである。車両属性情報は、車両の種別、車両ID、車両長さ、車幅、車高などの車両サイズ、車両の燃料タイプなど、車載端末20を搭載した車両Vの属性に関する情報を示す。
【0027】
また、記憶部22には、通信部21によりビークルクラウドサーバ30から受信したジョブリクエストが記憶される。このとき、後述するように、ジョブリクエストに所定のフラグが含まれている場合には、当該ジョブリクエストは、不揮発性メモリのメモリ領域に記憶される。
【0028】
入力部23は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、例えば、経路探索のための目的地を指定する入力、自動運転のオン及びオフを指定する入力などを受け付け、生成した入力信号を制御部24へ供給する。出力部26は、例えば、制御部24の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
【0029】
インターフェース25は、センサ部27の出力データを制御部24やセンサデータキャッシュに供給するためのインターフェース動作を行う。センサ部27は、ライダやカメラなどの車両の周辺環境を認識するための複数の外界センサと、GPS受信機、ジャイロセンサ、ポジションセンサ、3軸センサなどの内界センサを含む。ライダは、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の表面を3次元の点群として認識し、点群データを生成する。カメラは、車両から撮影した画像データを生成する。ポジションセンサは、各外界センサの位置を検出するために設けられ、3軸センサは、各外界センサの姿勢を検出するために設けられている。なお、センサ部27は、図3に示した外界センサ及び内界センサ以外の任意の外界センサ及び内界センサを有してもよい。例えば、センサ部27は、外界センサとして、超音波センサ、赤外線センサ、マイクなどを含んでもよい。センサ部27は、検出装置の一例である。
【0030】
制御部24は、1または複数のプラットフォーム上で所定のプログラムを実行するCPUなどを含み、車載端末20の全体を制御する。制御部24は、機能的には、位置推定部と、オブジェクト検出部と、アップロードデータ生成部とを含む。制御部24は、プログラムを実行するコンピュータとして機能する。
【0031】
位置推定部は、センサデータキャッシュに保持されているセンサ部27の出力データ及び地図DBに基づき、自車位置(車両の姿勢も含む)を推定する。位置推定部は、種々の位置推定方法を実行可能となっている。位置推定部は、例えば、GPS受信機及びジャイロセンサ等の自立測位センサの出力に基づくデッドレコニング(自律航法)による自車位置推定方法、自律航法に地図DBの道路データなどをさらに照合する処理(マップマッチング)を行う自車位置推定方法、周囲に存在する所定のオブジェクト(ランドマーク)を基準としてライダやカメラなどの外界センサの出力データと地図DBの地物情報が示すランドマークの位置情報とに基づく自車位置推定方法などを実行する。そして、位置推定部は、現在実行可能な位置推定方法の中から最も高い推定精度となる位置推定方法を実行し、実行した位置推定方法に基づき得られた自車位置等を示した自車位置情報を、アップロードデータ生成部へ供給する。
【0032】
オブジェクト検出部は、センサ部27が出力する点群情報、画像データ、音声データ等に基づき、所定のオブジェクトを検出する。この場合、例えば、オブジェクト検出部は、位置推定部が推定した自車位置に基づき、センサ部27により検出したオブジェクトに対応する地物データを地図DBから抽出する。そして、オブジェクト検出部は、例えば、センサ部27により検出したオブジェクトの位置及び形状等と、地図DBから抽出した地物データが示すオブジェクトの位置及び形状等とに違いがある場合、又は、地図DBに該当する地物データが存在しない場合などに、センサ部27により検出したオブジェクトに関する情報を、アップロードデータ生成部へ供給する。
【0033】
アップロードデータ生成部は、位置推定部から供給される自車位置情報、オブジェクト検出部から供給されるオブジェクトデータ、及びセンサデータキャッシュから供給されるセンサ部27の出力データなどに基づき、アップロードデータを生成する。本実施例では、アップロードデータ生成部は、記憶部22に記憶されたジョブリクエストが指定する条件を満たすときに同データが指定するデータをアップロードデータとして生成する。そして、アップロードデータ生成部は、生成したアップロードデータを、通信部21によりビークルクラウドサーバ30へ送信する。
【0034】
(3)ビークルクラウドサーバの構成
次に、ビークルクラウドサーバ30について詳しく説明する。図4(A)はビークルクラウドサーバ30の内部構成を示すブロック図である。図示のように、ビークルクラウドサーバ30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。ビークルクラウドサーバ30内の各要素は、バスライン39を介して相互に接続されている。
【0035】
通信部31は、制御部33の制御に基づき、車両Vの車載端末20及びサービスクラウドサーバ40と通信する。具体的には、通信部31は、サービスクラウドサーバ40からジョブリクエストを受信したり、当該ジョブリクエストを車載端末20へ送信したりする。また、通信部31は、車載端末20からアップロードデータを受信したり、当該アップロードデータをサービスクラウドサーバ40へ送信したりする。
【0036】
記憶部32は、ROM、RAMなどを含み、ビークルクラウドサーバ30が実行する各種の処理のためのプログラムが記憶されている。また、記憶部32は、各種の処理が実行される際の作業メモリとしても使用される。また、記憶部32は、車両ごとに、車両ID又は/及びドライバIDと、対応する車両の車載端末20へデータを送信するための通信アドレス情報とを対応付けたテーブルを記憶する。
【0037】
また、記憶部32は、ビークルクラウドサーバ30がサービスクラウドサーバ40から受信したジョブリクエスト、及び、ビークルクラウドサーバ30が車載端末20から取得したアップロードデータの履歴データを記憶してもよい。この場合、例えば、記憶部32には、各車載端末20から受信したアップロードデータが、車載端末20を搭載している車両Vの車両IDや受信時刻などと関連付けて記憶される。同様に、記憶部32には、サービスクラウドサーバ40から受信したジョブリクエストが、送信元のサービスクラウドサーバ40を特定する情報及び受信時刻などと関連付けて記憶されてもよい。
【0038】
制御部33は、CPUなどのコンピュータにより構成され、ビークルクラウドサーバ30の全体を制御する。具体的には、制御部33は、記憶部32に記憶された各種のプログラムを実行することにより、各種の処理を行う。
【0039】
(4)サービスクラウドサーバの構成
次に、サービスクラウドサーバ40について詳しく説明する。図4(B)はサービスクラウドサーバ40の内部構成を示すブロック図である。図示のように、サービスクラウドサーバ40は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを備える。サービスクラウドサーバ40内の各要素は、バスライン49を介して相互に接続されている。
【0040】
通信部41は、制御部43の制御に基づき、ビークルクラウドサーバ30と通信する。具体的には、通信部41は、後述する提供情報に該当する情報をビークルクラウドサーバ30から受信する。
【0041】
記憶部42は、不揮発性メモリであるROM及び揮発性メモリであるRAMなどを含み、サービスクラウドサーバ40が実行する各種の処理のためのプログラムが記憶されている。また、記憶部42は、各種の処理が実行される際の作業メモリとしても使用される。また、記憶部42は、サービスクラウドサーバ40がビークルクラウドサーバ30に対して送信したジョブリクエスト、及び、サービスクラウドサーバ40がビークルクラウドサーバ30から取得したアップロードデータの履歴を記憶してもよい。この場合、例えば、ジョブリクエスト及びアップロードデータは、送信先又は送信元のビークルクラウドサーバ30を特定する情報及び送受信時刻などと関連付けられて記憶部42に記憶される。
【0042】
制御部43は、CPUなどのコンピュータにより構成され、サービスクラウドサーバ40の全体を制御する。具体的には、制御部43は、記憶部42に記憶された各種のプログラムを実行することにより、各種の処理を行う。
【0043】
(5)ジョブリクエストのデータ構造
図5は、ジョブリクエストのデータ構造の一例である。図示のように、ジョブリクエストは、「バージョン情報」と、「リクエスト識別情報」と、「属性情報」と、「データ収集条件情報」と、「収集データ指定情報」とを含む。
【0044】
「バージョン情報」は、ジョブリクエストを規定した仕様のバージョン等を識別する情報である。「リクエスト識別情報」は、このジョブリクエスト固有の識別情報である。従って、サービスクラウドサーバ40は、ジョブリクエストを生成する度に、ユニークなリクエスト識別情報を生成してジョブリクエストに含める。なお、このリクエスト識別情報は、ジョブリクエストに基づき生成されたアップロードデータにも含められる。
【0045】
「属性情報」は、対象のジョブリクエストの取り扱いを規定した情報である。本実施例では、「属性情報」として、「消去禁止フラグ」と、「フラグ有効期限」とが指定可能となっている。
【0046】
「消去禁止フラグ」は、対象のジョブリクエストの消去を禁止するためのフラグである。ジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれる場合、車載端末20は、当該ジョブリクエストを不揮発性メモリに記憶させ、電源オフなどの所定の条件においてジョブリクエストが消去されないようにする。消去禁止フラグは、フラグ情報の一例である。
【0047】
「フラグ有効期限」は、共に「属性情報」として記録された消去禁止フラグの有効期限を示す。車載端末20は、フラグ有効期限が消去禁止フラグと共にジョブリクエストに含まれている場合には、フラグ有効期限が示す期間内でのみ消去禁止フラグを有効とみなし、少なくとも当該期間内においてジョブリクエストを不揮発性メモリに記憶させ、電源オフなどの所定の条件においてジョブリクエストが消去されないようにする。なお、車載端末20は、フラグ有効期限が示す期間が過ぎた消去禁止フラグを含むジョブリクエストを、不揮発性メモリから削除してもよい。フラグ有効期限は、有効期限情報の一例である。
【0048】
「データ収集条件情報」は、データを収集する条件を示す情報である。例えば、「データ収集条件情報」は、車載端末20がアップロードデータを生成する地理的条件、アップロードデータを生成する時間的条件、イベント、車両Vの車両ID、又は/及び車両Vの運転者のドライバIDを示す情報である。ここで、上述のアップロードデータを生成する地理的条件とは、例えば、アップロードデータを生成する道路又はエリアを指定する条件であり、アップロードデータを生成する時間的条件とは、例えば、アップロードデータを生成する時間帯やインターバルなど、時間的な制約を指定する条件である。また、イベントとは、アップロードデータを生成する契機となるイベント等を示し、例えば、所定度合以上の衝撃(即ち事故)の発生や急ブレーキの発生などが上述のイベントとして指定される。
【0049】
「収集データ指定情報」は、データ収集条件情報が示す条件を満たす場合にアップロードデータとして含めるべきデータを指定する情報である。収集データ指定情報は、例えば、車両の加減速に関する情報、車速に関する情報、車両の走行軌跡(即ち時系列での自車位置)の情報、出発地及び目的地の情報、事故発生前後所定時間におけるカメラの撮影情報などである。データ収集条件情報及び収集データ指定情報として指定される内容は、ジョブリクエストを生成するサービスクラウドサーバ40が運営するサービス会社によって異なる。データ収集条件情報及び収集データ指定情報は、処理情報の一例である。
【0050】
なお、ジョブリクエストは、図5に示した情報以外の任意の情報を含んでもよい。例えば、ジョブリクエストには、ジョブリクエストの生成元であるサービスクラウドサーバ40へアップロードデータを送信するための送信先を指定したアドレス情報などが含まれてもよい。
【0051】
ここで、ジョブリクエストに消去禁止フラグを設けることの作用効果について補足説明する。
【0052】
一般に、ジョブリクエストを揮発性メモリに記憶した場合には、イグニッションオフやアクセサリーポジション(Acc)オフへの切替えに起因して車載端末20の電源がオフとなったときに、ジョブリクエストが消去されてしまう。これに対し、本実施例では、ジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれる場合には、ジョブリクエストは確実に不揮発性メモリに記憶されるため、イグニッションオフ等により車載端末20の電源がオフになってもジョブリクエストが消去されない。よって、再びイグニッションオン等により車載端末20の電源がオンとなったときに車載端末20により好適にジョブリクエストが参照され、車載端末20は、再起動後もジョブリクエストを参照して指定されたジョブを実行することができる。
【0053】
次に、消去禁止フラグを含むジョブリクエストを生成する具体例について説明する。
【0054】
たとえば、自動車保険のサービスを提供する保険会社では、保険料の算定のために、個別の車両、あるいは個別の運転者がどのような経路を通り、どのような運転操作(加減速等)をしているのか等を把握したい場合がある。このような場合、保険会社が運営するサービスクラウドサーバ40は、走行軌跡や加速度等のデータ収集の指示情報を車両ID又は/及びドライバIDと紐付けたジョブリクエストを生成して配信する。このようなジョブリクエストは、少なくとも保険契約期間中は破棄してほしくない情報である。このような場合に、サービスクラウドサーバ40は、消去禁止フラグと、保険契約期間と同等期間を指定したフラグ有効期限とを含むジョブリクエストを生成して配信を行う。これにより、サービスクラウドサーバ40は、対象の車両ID又は/及びドライバIDに対して保険料の算定に必要な情報を含むアップロードデータを、保険契約期間中において好適に取得することができる。
【0055】
(6)ジョブリクエストに基づく処理
ここで、ジョブリクエストを受信した車載端末20が実行する処理について図6及び図7を参照して説明する。図6は、ジョブリクエストを受信してから電源オフになるまでに車載端末20が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
まず、車載端末20は、ビークルクラウドサーバ30からジョブリクエストを受信する(ステップS101)。そして、車載端末20は、受信したジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれているか否か判定する(ステップS102)。そして、車載端末20は、ジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれていると判断した場合(ステップS102;Yes)、ジョブリクエストを不揮発性メモリに記憶する(ステップS103)。なお、ジョブリクエストが記憶される不揮発性メモリのメモリ領域は、例えば、他の情報による自動上書きが禁止となっており、電源がオフとなった場合、ビークルクラウドサーバ30との通信接続(セッション)が切断された場合、処理負荷が高まった場合などにおいてもジョブリクエストが自動消去されない領域である。これにより、車載端末20は、ジョブリクエストを任意のタイミングで参照できるように好適に管理することができる。
【0057】
一方、車載端末20は、ジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれていないと判断した場合(ステップS102;No)、ステップS104へ処理を進める。この場合、車載端末20は、例えば、ジョブの実行のためにジョブリクエストを揮発性メモリに一時的に記憶する。その他、車載端末20は、所定の条件において自動的に消去される不揮発性メモリのメモリ領域にジョブリクエストを記憶してもよい。上述の所定の条件は、例えば、ビークルクラウドサーバ30との通信接続が切断された場合、処理負荷が高まった場合、他の情報が新たに記憶される場合などが該当する。
【0058】
次に、車載端末20は、ステップS101で受信したジョブリクエストに基づき、アップロードデータを生成し、生成したアップロードデータをジョブリクエストの送信元のビークルクラウドサーバ30へ送信する(ステップS104)。この場合、車載端末20は、ジョブリクエストに含まれるデータ収集条件情報を参照し、当該情報が示す条件を満たすと判断した場合に、同ジョブリクエストに含まれる収集データ指定情報が示すデータをセンサ部27から取得し、アップロードデータとして生成及び送信を行う。
【0059】
そして、車載端末20は、車両Vに対するイグニッションオフなどの所定の操作等に起因して電源オフの指令が発生したか否か判定する(ステップS105)。そして、車載端末20は、電源オフの指令が発生した場合(ステップS105;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、車載端末20は、電源オフの指令がない場合(ステップS105;No)、引き続きステップS104においてジョブリクエストに基づくアップロードデータの生成及び送信を行う。
【0060】
図7は、電源がオンになった後に車載端末20が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0061】
まず、車載端末20は、イグニッションオンなどの所定の操作等に起因して車載端末20の電源がオンとなり再起動する(ステップS201)。この場合、車載端末20は、消去禁止フラグを含むジョブリクエストを記憶するための不揮発性メモリのメモリ領域にジョブリクエストが保存されているか否か判定する(ステップS202)。そして、車載端末20は、上述の不揮発性メモリのメモリ領域にジョブリクエストが保存されている場合(ステップS202;Yes)、当該ジョブリクエストを参照するために読み出す(ステップS203)。一方、車載端末20は、上述の不揮発性メモリのメモリ領域にジョブリクエストが保存されていない場合(ステップS202;No)、実行すべきジョブは存在しないと判断してフローチャートの処理を終了する。
【0062】
次に、車載端末20は、ステップS203で読み出したジョブリクエストに基づき、消去禁止フラグが有効期限内であるか否か判定する(ステップS204)。例えば、車載端末20は、現在日時がジョブリクエストに含まれるフラグ有効期限が示す期限内である場合、又は、ジョブリクエストにフラグ有効期限が含まれていない場合に、消去禁止フラグが有効期限内であると判断する。
【0063】
そして、車載端末20は、消去禁止フラグが有効期限内である場合(ステップS204;Yes)、ステップS203で読み出したジョブリクエストは有効であると判断し、図6のステップS104と同様、ジョブリクエストに基づき、アップロードデータの生成及び送信を行う(ステップS205)。そして、車載端末20は、電源オフの指令が発生した場合(ステップS206;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、車載端末20は、電源オフの指令がない場合(ステップS206;No)、引き続きステップS205においてジョブリクエストに基づくジョブリクエストの生成及び送信を行う。
【0064】
一方、車載端末20は、消去禁止フラグが有効期限内ではなかった場合(ステップS204;No)、当該消去禁止フラグを含むジョブリクエストを不揮発性メモリから消去する(ステップS207)。これにより、車載端末20は、不要なジョブリクエストが不揮発性メモリに記憶された状態が継続するのを好適に抑制する。
【0065】
以上説明したように、本実施例に係るジョブリクエストは、ビークルクラウドサーバ30から車載端末20に送信される送信データであって、車載端末20が実行する処理の内容を示すデータ収集条件情報及び収集データ指定情報と、車載端末20において、所定条件下でのジョブリクエストの消去を禁止することを示す消去禁止フラグと、を少なくとも含んでいる。これにより、ジョブリクエストは、電源オフなどの所定条件下においても車載端末20により好適に保持され、ビークルクラウドサーバ30は、ジョブリクエストを車載端末20が消去する可能性を考慮してジョブリクエストを車載端末20に出し続けるといった処理も必要ない。
【0066】
また、以上説明したように、本実施例に係る車載端末20は、ビークルクラウドサーバ30から受信したジョブリクエストに基づく処理を実行する情報処理装置であって、実行すべき処理の内容を示すジョブリクエストをビークルクラウドサーバ30から受信する。そして、車載端末20は、ジョブリクエストにジョブリクエストの消去を禁止することを示す消去禁止フラグが含まれている場合、記憶する情報を所定条件下で消去しない記憶部にジョブリクエストの書込みを行う。これにより、車載端末20は、ジョブリクエストを好適に管理し、ジョブリクエストに基づく処理を確実に実行することができる。
【0067】
<第2実施例>
第2実施例では、ビークルクラウドサーバ30が車載端末20の代わりに消去禁止フラグを含むジョブリクエストを不揮発性メモリに記憶し、車載端末20のシステム起動時に車載端末20に対してジョブリクエストを送信する点で、第1実施例と異なる。その他、図1に示されるジョブ配信システムの構成、図2に示されるジョブリクエストとアップロードデータのデータの流れ、図3及び図4に示される車載端末20、ビークルクラウドサーバ30、及びサービスクラウドサーバ40の構成、図5に示されるジョブリクエストのデータ構造については、第1実施例と同様であるため、その説明を省略する。
【0068】
図8は、第2実施例における車載端末20の再起動時でのビークルクラウドサーバ30と車載端末20とのデータ授受の概要を示す図である。
【0069】
車載端末20は、電源がオンとなって起動した後、車両Vにおけるシステムの起動を通知する情報(「システム起動メッセージ」とも呼ぶ。)をビークルクラウドサーバ30へ送信する。なお、システム起動メッセージには、例えば、車両Vの車両IDやドライバIDなどが含まれている。
【0070】
又は、車載端末20は、端末内部の消去禁止フラグを含むジョブリクエストが消去された事を通知する情報(「ジョブ消失メッセージ」とも呼ぶ。)をビークルクラウドサーバ30へ送信しても良い。なお、ジョブ消失メッセージには、例えば、車両Vの車両IDやドライバIDなどが含まれている。
【0071】
ここで、ビークルクラウドサーバ30は、サービスクラウドサーバ40から受信して車載端末20に送信したジョブリクエストのうち、消去禁止フラグを含むジョブリクエストについては、情報の自動消去が発生しない不揮発性メモリに記憶している。そして、ビークルクラウドサーバ30は、車載端末20からシステム起動メッセージを受信した場合、不揮発性メモリに記憶したジョブリクエストのうち、システム起動メッセージに含まれる車両ID又は/及びドライバIDを含むジョブリクエストを検索する。そして、ビークルクラウドサーバ30は、検索対象のジョブリクエストが存在する場合には、当該ジョブリクエストを車載端末20へ再送する。また、ビークルクラウドサーバ30は、車載端末20からジョブ消失メッセージを受信した場合、不揮発性メモリに記憶したジョブリクエストのうち、ジョブ消去メッセージに含まれる車両ID又は/及びドライバIDを含むジョブリクエストを検索する。そして、ビークルクラウドサーバ30は、検索対象のジョブリクエストが存在する場合には、当該ジョブリクエストを不揮発性メモリから消去する。
【0072】
この態様によれば、車載端末20は、電源がオフとなったタイミング等において受信したジョブリクエストが消失してしまった場合であっても、実行すべきジョブを示すジョブリクエストを起動時に好適に再取得することができる。従って、第2実施例では、車載端末20は、ジョブリクエストを自端末において管理する必要がなく、ジョブリクエストを記憶するための不揮発性メモリを備える必要がない。システム起動メッセージ(又はジョブ消失メッセージ)は、状態情報の一例である。また、ビークルクラウドサーバ30の制御部34は、プログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0073】
図9は、第2実施例においてビークルクラウドサーバ30がサービスクラウドサーバ40からジョブリクエストを受信したときに実行すべき処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
まず、ビークルクラウドサーバ30は、サービスクラウドサーバ40からジョブリクエストを受信する(ステップS301)。そして、ビークルクラウドサーバ30は、ステップS301で受信したジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれているか否か判定する(ステップS302)。そして、ビークルクラウドサーバ30は、ジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれている場合(ステップS302;Yes)、当該ジョブリクエストを記憶部32の不揮発性メモリに記憶する(ステップS303)。なお、ジョブリクエストが記憶される不揮発性メモリのメモリ領域は、例えば、他の情報による自動上書きが禁止となっており、対象の車載端末20との通信接続(セッション)が切断された場合、処理負荷が高まった場合などにおいてもジョブリクエストが自動消去されない領域である。そして、ビークルクラウドサーバ30は、不揮発性メモリに記憶したジョブリクエストを、当該ジョブリクエストにおいて指定された車両ID又はドライバIDに対応する車載端末20に送信する(ステップS304)。
【0075】
一方、ビークルクラウドサーバ30は、ジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれていない場合(ステップS302;No)、当該ジョブリクエストを車載端末20に送信する(ステップS304)。この場合、ビークルクラウドサーバ30は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれにジョブリクエストを記憶させてもよく、ステップS304での送信処理後にジョブリクエストを消去してもよい。
【0076】
図10は、第2実施例においてシステム起動メッセージを受信したビークルクラウドサーバ30が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
ビークルクラウドサーバ30は、イグニッションオンなどにより起動した車両の車載端末20からシステム起動メッセージを受信する(ステップS401)。この場合、ビークルクラウドサーバ30は、システム起動メッセージの送信元の車両に対応する車両ID又はドライバIDを含む消去禁止フラグ付きのジョブリクエストが不揮発性メモリに記憶されているか否か判定する(ステップS402)。そして、ビークルクラウドサーバ30は、該当するジョブリクエストが不揮発性メモリに記憶されている場合(ステップS402;Yes)、当該ジョブリクエストを読み出す(ステップS403)。
【0078】
そして、ビークルクラウドサーバ30は、ステップS403で読み出したジョブリクエストに基づき、消去禁止フラグが有効期限内であるか否か判定する(ステップS404)。そして、車載端末20は、消去禁止フラグが有効期限内である場合(ステップS404;Yes)、ステップS403で読み出したジョブリクエストは有効であると判断し、当該ジョブリクエストをシステム起動メッセージの送信元の車載端末20へ送信する(ステップS405)。これにより、ビークルクラウドサーバ30は、ジョブリクエストの送信先の車載端末20に対し、ジョブリクエストに基づき、アップロードデータの生成及び送信を好適に実行させることができる。
【0079】
一方、ビークルクラウドサーバ30は、消去禁止フラグが有効期限内ではなかった場合(ステップS404;No)、当該消去禁止フラグを含むジョブリクエストを不揮発性メモリから消去する(ステップS406)。これにより、ビークルクラウドサーバ30は、不要なジョブリクエストが不揮発性メモリに記憶された状態が継続するのを好適に抑制する。
【0080】
以上説明したように、第2実施例に係るジョブリクエストは、ビークルクラウドサーバ30から車載端末20に送信される送信データのデータ構造であって、車載端末20が実行する処理の内容を示すデータ収集条件情報及び収集データ指定情報と、ビークルクラウドサーバ30において、所定条件下でのジョブリクエストの消去を禁止することを示す消去禁止フラグと、を少なくとも含んでいる。これにより、ジョブリクエストは、ビークルクラウドサーバ30により好適に保持され、車載端末20は、ビークルクラウドサーバ30からジョブリクエストを受信することで、サービスクラウドサーバ40から依頼された処理を好適に実行することができる。
【0081】
また、以上説明したように、第2実施例に係るビークルクラウドサーバ30は、車載端末20が実行する処理の内容を示すデータ収集条件情報及び収集データ指定情報と、所定条件下でのジョブリクエストの消去を禁止することを示す消去禁止フラグと、を含むジョブリクエストを記憶する。そして、ビークルクラウドサーバ30は、車載端末20の状態を示す状態情報の一例であるシステム起動メッセージを車載端末20から受信する。そして、ビークルクラウドサーバ30は、システム起動メッセージを受信した場合に、上述のジョブリクエストを車載端末20に送信する。これにより、車載端末20は、再起動後においても、サービスクラウドサーバ40から依頼された処理を好適に継続することができる。
【0082】
<変形例>
次に、上述の第1実施例及び第2実施例に好適な変形例について説明する。
【0083】
(変形例1)
車載端末20に相当する機能が車両Vに内蔵されていてもよい。この場合、車両の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)は、車両のメモリに記憶されたプログラムを実行することで、車載端末20の制御部24に相当する処理を実行する。この場合、車両の電子制御装置は、情報処理装置の一例である。
【0084】
(変形例2)
第1実施例において、車載端末20は、データの書き込み及び参照が可能な外部の不揮発性メモリに消去禁止フラグ付きのジョブリクエストを記憶させてもよい。
【0085】
ここで、一例として、ビークルクラウドサーバ30の記憶部32に消去禁止フラグ付きのジョブリクエストを記憶させる態様について説明する。この場合、車載端末20は、図6のフローチャートのステップS102において、ビークルクラウドサーバ30から受信したジョブリクエストに消去禁止フラグが含まれていると判断したときに、ステップS103において、ジョブリクエストを不揮発性メモリに記憶すべき旨の書込み指示をビークルクラウドサーバ30へ送信する。これにより、車載端末20は、ビークルクラウドサーバ30にジョブリクエストを好適に管理させることができる。また、この場合、車載端末20は、図7の電源オフ後の再起動時に実行する処理では、ジョブリクエストを書き込んだビークルクラウドサーバ30のメモリ領域を示すURL等にアクセスすることで、ステップS203のジョブリクエストの読み出しを行う。これにより、車載端末20は、ジョブリクエストを好適に参照することができる。
【符号の説明】
【0086】
20 車載端末
27 センサ部
30 ビークルクラウドサーバ
40 サービスクラウドサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10