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特開2023-27104スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法及び装置
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  • 特開-スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法及び装置 図1
  • 特開-スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法及び装置 図2
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  • 特開-スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法及び装置 図4A
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  • 特開-スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法及び装置 図4C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027104
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/089 20160101AFI20230221BHJP
【FI】
H02P25/089
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186543
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2021022704の分割
【原出願日】2018-04-08
(31)【優先権主張番号】15/787,444
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/519,807
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517271692
【氏名又は名称】ターンタイド テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Turntide Technologies Inc.
【住所又は居所原語表記】1295 Forgewood Avenue, Sunnyvale, California 94089, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュ クリシュナムルティ
(72)【発明者】
【氏名】トレイバー エー. クレアリー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ノデル
(72)【発明者】
【氏名】ピユシュ シー. デサイ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジョンストン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータの準センサレス適応制御のための方法及び装置を提供する。
【解決手段】本方法は、非アクティブ相巻線に電圧パルスを印加するステップと、各非アクティブ巻線の電流応答を測定するステップとを含む。モータ・インデックス・パルスが速度計算に使用され、タイムベースを確立する。電流の勾配が継続的に監視され、それにより、シャフト速度が複数回更新されること及びいかなる速度の変化も追跡することが可能になり、シャフト速度に基づいてドエル角を決定する。多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス制御用の装置は、固定子及び回転子を有するスイッチト・リラクタンス・モータと、スイッチト・リラクタンス・モータに接続されたプロセッサにより制御される3相インバータと、負荷と、コンバータとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する方法であって、
a)磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立するステップと、
b)前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新するステップと、
c)前記モータのシャフト速度を計算し、ソフトウェア・エンコーダを、前記タイムベースに基づいて動作するように較正するステップと、
d)前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと、
e)前記モータのアクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整するステップと、
f)推定タイムベースに基づいて、パルス時間tonを調節するステップと、
g)前記シャフト速度を監視して、前記シャフト速度のいかなる変化も追跡するステップと、
h)前記シャフト速度及び電流に基づいて、ドエル角を調節するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
回転子は、既知の相で開始するように初期位置に対して並ぶ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期位置は、インダクタンス・プロファイルを推定することにより、初期回転中に非アクティブ相巻線上で診断パルスを使用して推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回転子が回転するときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、前記回転子は、前記固定子極の各々においてインダクタンス・プロファイルを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アクティブ相巻線は、前記整列位置に近接した回転子極を有する相である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
電流応答を測定するために、パルス状の電圧が前記相巻線に印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ソフトウェア制御モジュールのための前記確定タイムベースを確立するために、複数の診断パルスが少なくとも10回転の間に印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
10回転後、前記ソフトウェア制御モジュールは前記タイムベースを確立し、非アクティブ相は動作を維持する必要がない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記モータの前記シャフト速度は較正される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
指令電流が低帯域より低い場合、前記ドエル角は減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
指令電流が高帯域より高い場合、前記ドエル角は増大する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス適応制御のための方法であって、
a)磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立するステップと、
b)前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新するステップと、
c)前記モータのシャフト速度を較正し、ソフトウェア・エンコーダを、前記タイムベースに基づいて動作するように較正するステップと、
d)前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと、
e)前記モータのアクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整するステップと、
f)推定タイムベースに基づいて、パルス時間tonを調節するステップと、
g)前記シャフト速度を監視して、いかなる速度変化も追跡し、前記シャフト速度に基づいてドエル角を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
回転子が回転するときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、前記回転子は、前記固定子極の各々においてインダクタンス・プロファイルを生成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アクティブ相巻線は、前記整列位置に近接した回転子極を有する相である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
電流応答を測定するために、パルス状の電圧が前記相巻線に印加される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ソフトウェア制御モジュールのための前記確定タイムベースを確立するために、複数の診断パルスが少なくとも10回転の間に印加される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
10回転後、前記ソフトウェア制御モジュールは前記タイムベースを確立し、非アクティブ相は動作を維持する必要がない、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記モータの前記シャフト速度は較正される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
指令電流が低帯域より低い場合、前記ドエル角は減少する、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
指令電流が高帯域より高い場合、前記ドエル角は増大する、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス制御のための装置であって、
固定子及び回転子を有するスイッチト・リラクタンス・モータであり、前記回転子は複数の円周方向に離間された回転子極を有し、前記回転子は、磁気センサを有するモータ・シャフトに回転方向に関連付けられている、スイッチト・リラクタンス・モータと、
前記スイッチト・リラクタンス・モータの入力に接続されたプロセッサにより制御される3相インバータであり、前記スイッチト・リラクタンス・モータに電力を提供するように適合可能であり、前記プロセッサはソフトウェア制御モジュール及びソフトウェア・エンコーダを有する、3相インバータと、
インライン・トルク計を介して、前記スイッチト・リラクタンス・モータの出力に接続された負荷と、
前記負荷に接続されたコンバータと、を含み、
それにより、回転子位置推定の精度を高めるために、前記HRSRMの相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスが使用される、装置。
【請求項24】
非アクティブ相を利用して、前記磁気センサ内で確定タイムベースが確立される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記シャフト速度は較正される、請求項23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年6月14日に出願された米国特許仮出願第62/519807号の優先権を主張する。その仮出願の開示は、完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に、スイッチト・リラクタンス・モータ駆動システムに関し、より詳細には、スイッチト・リラクタンス・モータの相のインダクタンス測定に基づく、回転子位置推定のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
スイッチト・リラクタンス・モータ(「SRM:switched reluctance motor」)は回転電気機械であり、固定子及び回転子はいずれも突極を有する。スイッチト・リラクタンス・モータは、その頑丈でロバストな構造に因り、様々なモータ制御用途にとって有力な候補である。スイッチト・リラクタンス・モータは、所与の回転子位置と相まって電圧ストロークにより駆動される。SRMは、回転子と固定子の両方に複数の極を備えたブラシレス電気機械である。固定子は、励磁されず且つ固定子を有さない回転子と異なり、相巻線を有する。固定子は、励磁されず且つ巻線又は取り付けられている永久磁石を有さない回転子と異なり、相巻線を有する。むしろ、SRMの回転子は、電流が流れている場合に固定子極上に巻線により生成される磁束を引き付ける磁気透過性の材料、通常は鉄、で形成されている。その磁力は、固定子相巻線に対する励磁が回転子位置に対応して逐次的な方法でオンとオフとで切り替えられると、回転子を回転させる。SRMでは、一対の正反対の固定子極が、一対の対応する回転子極を固定子極との整列に誘引するために、トルクを生成する。結果として、このトルクはSRMの回転子に動きを作り出す。
【0004】
工業的応用のためのスイッチト・リラクタンス・モータ駆動の使用は起源が新しい。SRM駆動は、いくつかの可変速駆動用途における従来の駆動に対する可能性のある代替案と考えられてきた。従来のSRMでは、エンコーダ又はレゾルバなどの軸角コンバータが回転子位置信号を生成し、コントローラがこの回転子位置信号を読み出す。サイズ及びコストを縮小すると同時に確実性を向上させる努力において、基準転流角を決定することによりシャフト位置センサを無くすために、様々な手法が以前は提案されてきた。これらの手法は、モータの端子電圧及び端子電流を監視することにより、間接的な回転子位置検出を実施する。スイッチト・リラクタンス機械の性能は、部分的に、回転子位置に関する相通電の正確なタイミングに依存する。これらの方法は、少なくとも1つの相が通電され且つ回転子がスピンしている場合に有用である。
【0005】
別の手法は、アクティブ相(active phase)の電圧及び電流の測定を用いる、SRM駆動のセンサレス制御を達成するためのシステム及び方法を説明している。このセンサレス・システム及び方法は、一般に、SRM駆動の動的モデルに依存する。アクティブ相の電流はこれらの測定を用いてリアルタイムで測定され、動的方程式は、アクティブ相が数値手法によって解かれて、回転子位置情報を得ることを示す。相インダクタンスは、相電流の多項式関数として表される係数を用いるフーリエ級数によって表され、磁気飽和を相殺する。コントローラは、基本的に、駆動システムと並行してオブザーバを動作させる。モータの磁気特性が正確に示されるので、オブザーバによりコンピュータで計算される状態変数は実際の状態変数と一致すると予想される。したがって、状態変数でもある回転子位置が間接的に利用可能になる。このシステムは、アクティブ相から測定される相インダクタンスを用いて回転子位置を推定する一般的方法を教示している。ここで、それらはアクティブ相に電圧を印加し、測定位置への電流応答を測定する。この電流量は、モータのシャフトに生成されるいかなる負トルクも最小限にするために少なく保たれる。
【0006】
別の手法は、1つの非通電相に電圧検出パルスを印加するステップを含む、間接的モータ位置検出の方法を説明している。結果は、相インダクタンスの瞬間値に比例する相電流の変化である。適正な転流時間が、基準電流に対する相電流の変化を比較することにより決定され、それにより、回転子位置に相励起を同期させる。相励起は、閾値それぞれを減少させるか又は増加させることにより、早められるか又は遅延させられることが可能である。より高速の間の非アクティブ相(inactive phase)の非可用性に因り、SRMの非アクティブ相を活用するこの転流方法は低速に限定される。さらに、非アクティブ相では電流レベル及びトルクレベルが比較的小さいが、それらは本願のSRMの効率性の損失の一因となる。
【0007】
さらに別の手法は、瞬間的な相フラックス(phase flux)及び相電流の測定に基づく、SRM用の回転子位置推定器を開示している。相電流及び相フラックスの検出が、SRM動作の特定の象限によって決まる所定のシーケンスで、相に関して実施される。所定の検出シーケンスで、各相に関して、相フラックス及び相電流の測定が、各々が回転子位置の範囲に亘って画定されている一対の所定の検出領域内で、動作中に行われる。回転子位置推定は、それの各検出領域の間の、各それぞれの相に関する相フラックス及び相電流の測定に由来する。各相に関する回転子位置推定は共通の基準相に対して正規化され、SRMのための回転子位置推定は、定められた任意の所定の回転子位置に関して、SRMの回転子極が整列又は不整列に接近している可能性があるということを説明する方程式により、コンピュータで計算される。サンプルの相電圧及び相電流が積分されて、相フラックスが得られる。
【0008】
相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスを用いて回転子位置推定の精度を高める、スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御の方法に対する必要性が依然としてある。本方法は、回転当たり30更新もの数で、速度を非常にしっかりと監視すると考えられ、それは、したがって、現在使用中のいくつかのセンサレス手法より高度な解決をもたらすと考えられる。それは全ての製造される機械間での完全な画一性を想定しないと考えられるので、そのような必要な方法がモータ間の変動又はプロセスの変動に自動的に適応すると考えられる。さらに、本手法は、全てのモータ仕様及び電力定格に関して較正される必要がないと考えられる制御アルゴリズムを作り出すと考えられる。さらに、本方法は、試験されている機械のインダクタンス・プロファイルに対する制御アルゴリズムを必然的に較正することができると考えられる。そのようなシステムは、制御アルゴリズムにおけるいかなる調整も必要としないと考えられ、モータの製造仕様に関するいかなる予備知識も必要としないと考えられ、それにより、機械メーカの構造上の細部の負担がさらに低減されると考えられる。本手法は、任意の機械のインダクタンス・プロファイルを自動的に較正する、それ自体の一連のステップを用いると考えられ、したがって、産業状況における機械の据付け及び試験に関与する時間及び資源を節約すると考えられる。最後に、本方法は確実で、ロバストで、完全にスケーラブルであり、製造される各機械のモデルを積極的に較正しようとする明快な技術をもたらすと考えられる。本実施形態は、これらの重要な目的を達成することにより、当該分野における欠点を克服する。
【発明の概要】
【0009】
既存のシステム及び方法に認められる制限を最小限にするために、且つ本明細書を読むと明らかになる他の制限を最小限にするために、本発明の好適な実施形態は、多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM:high rotor pole switched-reluctance motor)の準センサレス適応制御のための方法及び装置を提供する。
【0010】
本方法は、HRSRMの相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスを用いて、HRSRMの回転子の初期位置を推定するステップと、次に、既知の相で開始し、正しい方向の回転をもたらすように、初期位置に対して回転子を並ばせるステップとを含む。アクティブ相巻線に電流が流されてモータを回転させ、初期回転の間に非アクティブ相巻線上で診断パルスを使用して、インダクタンス・プロファイルを推定することにより、位置を推定する。非アクティブ相巻線に電圧パルスが印加され、各非アクティブ相において電流応答が測定される。次に、システムは非アクティブ相に複数の診断パルスを印加して、次の相を確認し、磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベース(firm time base)が確立される。次に、システムは速度を計算し、磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、タイムベースを更新する。モータのシャフト速度は較正され、それにより、ソフトウェア・エンコーダが、タイムベースに基づいて動作するように較正される。本方法は磁気センサのスイッチング閾値を無効にし、アクティブ相の電流波形の勾配を監視し、エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整する。推定タイムベースに基づくパルス時間ton及びシャフト速度が調節されて、いかなる監視された速度変化も追跡する。シャフト速度に基づくドエル角が決定される。
【0011】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス制御のための装置は、固定子及び回転子を有するスイッチト・リラクタンス・モータと、スイッチト・リラクタンス・モータに接続されているプロセッサにより制御される3相インバータと、負荷と、コンバータとを含む。回転子は、複数の円周方向に離間された回転子極を含み、磁気センサを有するモータ・シャフトに回転方向に関連付けられている(rotationally related to)。3相インバータは、スイッチト・リラクタンス・モータへの電源部としての機能を果たすように適合可能であり、プロセッサはソフトウェア制御モジュールとソフトウェア・エンコーダとを有する。負荷はインライン・トルク計を介してスイッチト・リラクタンス・モータに接続されており、コンバータは負荷に接続されている。
【0012】
本発明の第1の目的は、相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスを用いて回転子位置推定の精度を高める、スイッチト・リラクタンス・モータ駆動の準センサレス適応制御のための方法を提供することである。
【0013】
本発明の第2の目的は、計算されたシャフト速度を監視し、速度の変化が検出された場合に継続的に更新する方法を提供することである。
【0014】
本発明の第3の目的は、全てのモータ仕様及び電力定格に関する較正を確実に必要とする制御アルゴリズムを作り出す方法を提供することである。
【0015】
本発明の第4の目的は、試験されている機械のインダクタンス・プロファイルに対する制御アルゴリズムを必然的に較正する方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、制御アルゴリズムにおけるいかなる調整又はモータの製造仕様に関する予備知識も必要としない方法及び装置を提供することであり、それにより、機械メーカから必要とされる構造上の細部は除去される。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、いかなる機械のインダクタンス・プロファイルも自動的に較正し、これにより、産業状況において機械の特性評価及び試験における時間及び資源を節約する方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、確実で、ロバストで、スケーラブルであり、製造される各機械のモデルを積極的に較正しようとする明快な技術をもたらす方法を提供することである。
【0019】
本発明のこれらの且つ他の利点及び特徴は、当業者に対して本発明を理解可能にするために、具体性を備えて記載される。
【0020】
本発明のこれらの様々な要素及び実施形態の明確さを高め且つ理解を向上させるために、図の要素は必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。さらに、本発明の様々な実施形態の明瞭な図を提供するために、一般的であり且つ当業者によく理解されていることが分かっている要素は描写されておらず、したがって、図面は分かり易さ及び簡潔さのために、形状が一般化されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による、多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する方法の流れ図である。
【0022】
図2】本発明による、3相SRMの相変化に基づくインダクタンス・プロファイルを示すグラフである。
【0023】
図3】本発明による、多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する装置のブロック図である。
【0024】
図4A】本発明による、特定の負荷での3相SRMの電流波形を示すグラフである。
【0025】
図4B】本発明による、別の負荷での3相SRMの電流波形を示すグラフである。
【0026】
図4C】本発明による、さらに別の負荷での3相SRMの電流波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書のいくつかの実施形態及び応用に取り組む以下の検討において、本明細書の一部を成し且つ例として本発明が実践され得る具体的な実施形態が示されている添付図面を参照する。当然のことながら、他の実施形態が利用されてもよく、且つ本発明の範囲から逸脱することなく、変更が施されてもよい。
【0028】
各々が互いに独立して又は他の特徴と組み合わせて用いられ得る様々な発明の特徴が以下に記載される。しかし、任意の1つの発明の特徴が前段で検討されている問題のいずれにも対処しない可能性があるか、又は前段で検討されている問題の1つだけに対処する可能性がある。さらに、前段で検討されている問題の1つ又は複数が、後述されている特徴のいずれかにより、完全には対処されない可能性がある。
【0029】
本明細書に用いられている単数形「a」、「an」及び「the」は、別段の明示がある場合を除き、複数の指示対象を含む。本明細書に用いられている「and(及び)」は、明示的に別段の定めをした場合を除き、「or(又は)」と同義で用いられる。本明細書に用いられている用語「about(約)」は、記載されているパラメータの+/-5%を意味する。本発明の任意の態様の全ての実施形態は、別段の明示がある場合を除き、組み合わせて用いられ得る。
【0030】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除き、明細書及び特許請求の範囲を通じて、語「comprise(含む)」、「comprising(含む)」等は、排他的又は網羅的意味とは対照的に、包括的意味で、すなわち「~を含むが、それに限定されない」の意味で解釈されるべきである。また、単数又は複数を使用する語は複数及び単数それぞれを含む。さらに、語「herein」、「wherein」、「whereas」、「above」及び「below」ならびに同様の意味の語は、本願において用いられる場合、本願を全体として指すものであり、本願のいかなる特定の部分も指すものではない。
【0031】
本開示の実施形態の記載は、網羅的であること又は本開示を開示されている正確な形に限定することを意図するものではない。本開示の特定の実施形態及び実施例が例示目的で本明細書に記載されているが、当業者には理解されるように、様々な等価の修正が本開示の範囲内で可能である。
【0032】
図1図2を参照すると、本発明による、多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)100を制御する方法のフローチャートが図1に示されている。本実施形態に記載されている本方法100は、回転子位置を推定する精度を高め、また、時計回り方向又は反時計周り方向どちらかの回転からの、完全に整列された位置でのSRMの少なくとも1つの相の位置決めを可能にする。本方法100はスイッチト・リラクタンス・モータの速度の準センサレス制御を可能にし、SRMのインダクタンス・プロファイルを用いて必然的に較正する制御アルゴリズムを作り出す。SRMの適切なスイッチング動作では、固定子相励磁を回転子位置と同期させることが重要である。
【0033】
本方法100は、ブロック102に示されているように、HRSRMの相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスを用いて、HRSRMの回転子の初期位置を推定するステップを含む。
【0034】
回転子が回転したときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、回転子は固定子極の各々におけるインダクタンス・プロファイルを作り出す。3相SRMのインダクタンス・プロファイルは図2に示されている。例えば、初期回転子位置を推定するために、図2に示されているように、6つの始動領域がインダクタンス・プロファイル内に画定され、そこでは、相インダクタンスの値は一定の関係を有する。L、L及びLは相A、B及びCそれぞれのインダクタンスとする。インダクタンスの関係から、どの相(単数又は複数)が励磁されて、完全な整列位置までモータを駆動する必要があるかが確認され得る。初期位置は、各相巻線に順番に電圧パルスを印加すること、及び結果として生じる相電流が前もって設定された限界に到達するのにかかる時間を測定することにより決定される。
【0035】
初期位置を推定するために、電圧パルスが各相巻線に順番に印加され、結果として生じる相電流が前もって設定された限界に到達するのにかかる時間が測定される。電流ランプ時間は相インダクタンスと電圧パルス振幅の関数であり、以下の方程式:
E=L*di/dt
により与えられ、ここで、Eは印可された電圧の基準振幅、Lは相インダクタンス、iは相電流である。
【0036】
電流が基準限界まで上昇する時間は、インダクタンスの値が大きいほど長い。ゼロの初期相電流及びIrefの基準電流では、参照すべき時間Tpは、
Tp=L*Iref/E
により与えられる。初期位置が、測定された電流ランプ時間から確認される。
【0037】
初期位置に基づき、ブロック104に示されているように、既知の相で開始し且つ正しい方向に回転するために、確かな整列が設定される。ブロック106に示されているように、アクティブ相巻線に電流が流され、モータを回転させる。アクティブ相は、本質的に、最も近接した整列位置に最も近い回転子極を有する相である。ブロック108に示されているように、初期回転中、非アクティブ相巻線上に診断パルスを印加することにより且つインダクタンス・プロファイルを推定することより、位置が推定される。SRMのインダクタンス・プロファイルは、回転子が整列位置にある場合にインダクタンスが最大であること、及び回転子が不整列位置にある場合に最小インダクタンスが起こることを示す。次のステップは、ブロック110に示されているように、非アクティブ相巻線への電圧パルスの印加及び各非アクティブ相の電流応答の測定である。ブロック112に示されているように、複数の診断パルスが非アクティブ相に印加されて、次の相がいつ点弧されなければならないかを確認し、ブロック114に示されているように、磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立する。磁気センサは、磁気センサからのインデックス・パルス(回転当たり20エッジ)を生成して、速度を計算し、タイムベースを継続的に更新する。複数の診断パルスは10回転の間に印加されることが可能であり、ソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立し、次の相を点弧する。10回転後、ソフトウェアのタイミングが優勢になり、非アクティブ相はもはや動作を維持する必要がない。ブロック116に示されているように、モータ速度が計算され、タイムベースは、磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより更新される。回転子極当たり3つの信号が生成される。換言すれば、モータのシャフト速度が、10の回転子極を有するモータに関して30回較正される。このステップは10(以上の、より高い精度のための)回転の間に繰り返され、ソフトウェア・エンコーダを、このタイムベースに基づいて動作するように較正するのに使用される。ブロック118に示されているように、モータのシャフト速度が較正され、ソフトウェア・エンコーダはタイムベースに基づいて動作するように較正される。タイムベースが確立されて、計算された速度値のいかなるずれ(slip)をも回避する。また、ブロック120に示されているように、本発明の方法は磁気センサのスイッチング閾値を無効にする。このことは、制御アルゴリズムにおいてタイムベースがしっかりと確立されて、計算された値のいかなるずれも回避することを確実にする。ブロック122に示されているように、アクティブ相の電流波形の勾配が監視され、エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整する。電流波形の勾配は決められた継続時間の間に評価されて、エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整する。計算されたシャフト速度は1サイクルにおいて30回更新されて、いかなる速度の変化も継続的に追跡する。
【0038】
ブロック124に示されているように、推定タイムベースに基づき、パルス時間tonは各相に関して個々に調節される。このステップにより、パルスtonは各相に関して個々に調節され、機械的回転当たり30回の訂正をなし遂げる。ブロック126に示されているように、本方法は、次いで、シャフト速度を監視して、いかなる速度変化も追跡し、シャフト速度に基づいてドエル角を決定する。速度は、一例では回転当たり30もの更新で、非常にしっかりと監視されることが可能であり、それにより、現在使用中のいくつかのセンサレス手法より優れた解決をもたらす。
【0039】
速度に基づいてドエルが決定される。指令電流が低帯域より低い場合にドエルを減少させ、指令電流が高帯域より高い場合にドエルを増大させる電流帯域が確立される。指令電流が低帯域より低い場合、ドエル角が減少され、指令電流が高帯域より高い場合、ドエル角が増大される。このことは、より低い電力レベルで相電流を増大させる効果を有し、それにより、より高い飽和レベルでSRMを動作させる。所与の電力出力では、ドエルを減少させることがより低い相電流を命令する。
【0040】
図3は、固定子と回転子とを有するスイッチト・リラクタンス・モータ202を含む、多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス制御用の装置200を示す。回転子は円周方向に離間された複数の回転子極を含み、モータ・シャフトに回転方向に関連付けられており、モータ・シャフトは磁気センサを有する。HRSRMは、インライン・トルク計206を介してスイッチト・リラクタンス・モータ202の出力に接続されたプログラム可能なブラシレス直流電流負荷204と、負荷に接続されたコンバータ208とをさらに含む。ソフトウェア・エンコーダが制御プロセッサ210内に配置されており、ソフトウェア・エンコーダは磁気センサに確定タイムベースを確立している。回転子が回転したときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、回転子は、固定子極の各々においてインダクタンス・プロファイルを生成する。回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、その結果、モータのシャフト速度が較正される。制御プロセッサ210により制御される3相インバータ212がスイッチト・リラクタンス・モータ202に接続されている。インバータ212は、スイッチト・リラクタンス・モータ202用の電源部としての機能を果たすように適合可能であり、制御プロセッサ210はソフトウェア制御モジュールとソフトウェア・エンコーダとを有する。
【0041】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)202の準センサレス制御は、試験されているスイッチト・リラクタンス・モータ202のインダクタンス・プロファイルに対する制御アルゴリズムを必然的に較正する。スイッチト・リラクタンス・モータ202は全電力レベルに対してスケーラブルであり、制御アルゴリズムの生成は、全てのモータ仕様及び電力定格用に較正される必要がない。スイッチト・リラクタンス・モータ202はモータ間の変動又はプロセスの変動のために自動的に適応し得る。
【0042】
一実施形態では、システムは、多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する方法を含み、本方法は:HRSRMの相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスを用いて、HRSRMの回転子の初期位置を推定するステップと;アクティブ相巻線に電流を流して、モータを回転させるステップと;非アクティブ相巻線に電圧パルスを印加するステップと;非アクティブ相の電流応答を測定するステップと;非アクティブ相に複数の診断パルスを印加して、次の相を確認するステップと;磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立するステップと;磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、タイムベースを更新するステップと;モータのシャフト速度を計算し、ソフトウェア・エンコーダを、タイムベースに基づいて動作するように較正するステップと;磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと;アクティブ相の電流波形の勾配を監視して、エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整するステップと;推定タイムベースに基づいて、パルス時間tonを調節するステップと;シャフト速度を監視して、いかなる速度の変化も追跡するステップと;シャフト速度及び電流に基づいて、ドエル角を調節するステップとを含む。
【0043】
図4A図4Cを参照すると、本発明による、異なる負荷での3相SRMの電流波形が示されている。900PRMの速度及び1Nmを有する軽負荷での3相SRMの電流波形が図4Aに示されており、1200PRMの速度及び6Nmを有する部分負荷での3相SRMの電流波形が図4Bに示されている。図4Cは、1800PRMの速度及び6Nmを有する全負荷での3相SRMの電流波形を示す。本発明の方法は電流波形の勾配を監視して、エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整する。図4A図4Cは、負荷の変動に基づくドエル角の変動を示す。ソフトウェア制御モジュールを備えたプロセッサは、負荷又は指令電流の変化に応答して、電流波形のタイミングを早めるか又は遅延させる。急進又は遅延の量は、一定の基準値に対する電流勾配を維持するように選択される。
【0044】
本発明の好適な実施形態の上述の説明を例示及び説明の目的で示した。網羅的であること又は本発明を開示されている正確な形に限定することは意図されていない。上記の教示を踏まえて、多くの修正形態及び変形形態が可能である。本発明の範囲がこの詳細な説明により限定されず、特許請求の範囲及び本明細書に添付されている特許請求の範囲の等価物により限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する制御装置であって、
磁気センサにソフトウェア制御モジュールのためのタイムベースを確立する確立部と、
前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新する更新部と、
前記モータのシャフト速度を計算し、ソフトウェア・エンコーダを、前記タイムベースに基づいて動作するように較正する計算部と、
前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にする無効部プと、
前記モータのアクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記ソフトウェア・エンコーダからの点弧角を微調整する第1監視部と、
記タイムベースに基づいて、パルス時間tonを調節する第1調整部と、
前記シャフト速度を監視して、前記シャフト速度のいかなる変化も追跡する第2監視部と、
前記シャフト速度及び電流に基づいて、ドエル角を調節する第2調整部と
を含み、
回転子は、既知の相で開始するように、初期位置に対して整列位置にある制御装置
【請求項2】
前記初期位置は、インダクタンス・プロファイルを推定することにより、初期回転中に非アクティブ相巻線上で診断パルスを使用して推定される、請求項に記載の制御装置
【請求項3】
前記回転子が回転するときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、前記回転子は、前記固定子極の各々においてインダクタンス・プロファイルを生成する、請求項1又は2に記載の制御装置
【請求項4】
前記アクティブ相巻線は、前記整列位置に近接した回転子極を有する相である、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項5】
電流応答を測定するために、パルス状の電圧が前記相巻線に印加される、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項6】
前記ソフトウェア制御モジュールのための前記タイムベースを確立するために、複数の診断パルスが少なくとも10回転の間に印加される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項7】
10回転後、前記ソフトウェア制御モジュールは前記タイムベースを確立し、非アクティブ相は動作を維持する必要がない、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項8】
回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記モータの前記シャフト速度は較正される、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項9】
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項10】
指令電流が低帯域より低い場合、前記ドエル角は減少する、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項11】
指令電流が高帯域より高い場合、前記ドエル角は増大する、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置
【請求項12】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する方法であって、
a)アクティブ相巻線に電流を流して、モータを回転させるステップと、
b)磁気センサにソフトウェア制御モジュールのためのタイムベースを確立するステップと、
c)前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新するステップと、
d)前記モータのシャフト速度を計算するステップと、
e)前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと、
f)前記アクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記シャフト速度に基づいて点弧角を微調整するステップと、
g)推定タイムベースに基づいて、パルス時間t on を調節するステップと、
h)前記シャフト速度を監視して、前記シャフト速度のいかなる変化も追跡するステップと、
i)前記シャフト速度及び電流に基づいて、ドエル角を調節するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス適応制御のための方法であって、
a)初期位置に対して回転子を並べて、既知の相で開始し、ある方向に回転させるステップと、
b)アクティブ相巻線に電流を流して、モータを回転させるステップと、
c)磁気センサにソフトウェア制御モジュールのためのタイムベースを確立するステップと、
d)速度を計算して、前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新するステップと、
e)前記モータのシャフト速度を較正し、ソフトウェア・エンコーダを、前記タイムベースに基づいて動作するように較正するステップと、
f)前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと、
g)前記アクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記ソフトウェア・エンコーダからの点弧角を微調整するステップと、
h)前記タイムベースに基づいて、パルス時間t on を調節するステップと、
i)前記シャフト速度を監視して、前記シャフト速度のいかなる変化も追跡し、前記シャフト速度に基づいて、ドエル角を固定するステップと、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
本発明の好適な実施形態の上述の説明を例示及び説明の目的で示した。網羅的であること又は本発明を開示されている正確な形に限定することは意図されていない。上記の教示を踏まえて、多くの修正形態及び変形形態が可能である。本発明の範囲がこの詳細な説明により限定されず、特許請求の範囲及び本明細書に添付されている特許請求の範囲の等価物により限定されることが意図されている。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)を制御する方法であって、
a)磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立するステップと、
b)前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新するステップと、
c)前記モータのシャフト速度を計算し、ソフトウェア・エンコーダを、前記タイムベースに基づいて動作するように較正するステップと、
d)前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと、
e)前記モータのアクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整するステップと、
f)推定タイムベースに基づいて、パルス時間t on を調節するステップと、
g)前記シャフト速度を監視して、前記シャフト速度のいかなる変化も追跡するステップと、
h)前記シャフト速度及び電流に基づいて、ドエル角を調節するステップと
を含む、方法。
(項目2)
回転子は、既知の相で開始するように初期位置に対して並ぶ、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記初期位置は、インダクタンス・プロファイルを推定することにより、初期回転中に非アクティブ相巻線上で診断パルスを使用して推定される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記回転子が回転するときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、前記回転子は、前記固定子極の各々においてインダクタンス・プロファイルを生成する、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記アクティブ相巻線は、前記整列位置に近接した回転子極を有する相である、項目1に記載の方法。
(項目6)
電流応答を測定するために、パルス状の電圧が前記相巻線に印加される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記ソフトウェア制御モジュールのための前記確定タイムベースを確立するために、複数の診断パルスが少なくとも10回転の間に印加される、項目1に記載の方法。
(項目8)
10回転後、前記ソフトウェア制御モジュールは前記タイムベースを確立し、非アクティブ相は動作を維持する必要がない、項目1に記載の方法。
(項目9)
回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記モータの前記シャフト速度は較正される、項目1に記載の方法。
(項目10)
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、項目1に記載の方法。
(項目11)
指令電流が低帯域より低い場合、前記ドエル角は減少する、項目1に記載の方法。
(項目12)
指令電流が高帯域より高い場合、前記ドエル角は増大する、項目1に記載の方法。
(項目13)
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス適応制御のための方法であって、
a)磁気センサにソフトウェア制御モジュールのための確定タイムベースを確立するステップと、
b)前記磁気センサからモータ・インデックス・パルスを生成することにより、前記タイムベースを更新するステップと、
c)前記モータのシャフト速度を較正し、ソフトウェア・エンコーダを、前記タイムベースに基づいて動作するように較正するステップと、
d)前記磁気センサのスイッチング閾値を無効にするステップと、
e)前記モータのアクティブ相巻線の電流波形の勾配を監視して、前記エンコーダ・ソフトウェアからの点弧角を微調整するステップと、
f)推定タイムベースに基づいて、パルス時間t on を調節するステップと、
g)前記シャフト速度を監視して、いかなる速度変化も追跡し、前記シャフト速度に基づいてドエル角を決定するステップと、
を含む、方法。
(項目14)
回転子が回転するときに回転子極の各々が固定子極と整列し、不整列になると、前記回転子は、前記固定子極の各々においてインダクタンス・プロファイルを生成する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アクティブ相巻線は、前記整列位置に近接した回転子極を有する相である、項目13に記載の方法。
(項目16)
電流応答を測定するために、パルス状の電圧が前記相巻線に印加される、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記ソフトウェア制御モジュールのための前記確定タイムベースを確立するために、複数の診断パルスが少なくとも10回転の間に印加される、項目13に記載の方法。
(項目18)
10回転後、前記ソフトウェア制御モジュールは前記タイムベースを確立し、非アクティブ相は動作を維持する必要がない、項目13に記載の方法。
(項目19)
回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記モータの前記シャフト速度は較正される、項目13に記載の方法。
(項目20)
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、項目13に記載の方法。
(項目21)
指令電流が低帯域より低い場合、前記ドエル角は減少する、項目13に記載の方法。
(項目22)
指令電流が高帯域より高い場合、前記ドエル角は増大する、項目13に記載の方法。
(項目23)
多回転子極スイッチト・リラクタンス・モータ(HRSRM)の準センサレス制御のための装置であって、
固定子及び回転子を有するスイッチト・リラクタンス・モータであり、前記回転子は複数の円周方向に離間された回転子極を有し、前記回転子は、磁気センサを有するモータ・シャフトに回転方向に関連付けられている、スイッチト・リラクタンス・モータと、
前記スイッチト・リラクタンス・モータの入力に接続されたプロセッサにより制御される3相インバータであり、前記スイッチト・リラクタンス・モータに電力を提供するように適合可能であり、前記プロセッサはソフトウェア制御モジュール及びソフトウェア・エンコーダを有する、3相インバータと、
インライン・トルク計を介して、前記スイッチト・リラクタンス・モータの出力に接続された負荷と、
前記負荷に接続されたコンバータと、を含み、
それにより、回転子位置推定の精度を高めるために、前記HRSRMの相インダクタンス間の関係の固有のシーケンスが使用される、装置。
(項目24)
非アクティブ相を利用して、前記磁気センサ内で確定タイムベースが確立される、項目23に記載の装置。
(項目25)
計算された速度値のずれを回避するために、前記タイムベースが確立される、項目24に記載の装置。
(項目26)
前記回転子極当たり少なくとも3つの信号が生成され、前記シャフト速度は較正される、項目23に記載の装置。
【外国語明細書】