(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027111
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】エンドプラグを有する薬剤容器、薬剤容器のエンドプラグを固定するためのプラグ固定部品の使用及びプラグ固定部品
(51)【国際特許分類】
A61J 1/06 20060101AFI20230221BHJP
A61M 5/28 20060101ALN20230221BHJP
【FI】
A61J1/06 G
A61M5/28
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186987
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2019563450の分割
【原出願日】2018-04-27
(31)【優先権主張番号】102017208255.0
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロッカー,ヨアヒム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、薬剤容器、特に、ベースボディを有するシリンジ又はカープルに関する。
【解決手段】ベースボディは、少なくとも部分で内部空間9を囲み、また、ベースボディは中心軸Mと近位開口部11とを有する。内部空間の中のエンドプラグ15は、中心軸に沿って移動可能で、エンドプラグに対して近位の、内部空間の第2の領域19からエンドプラグに対して遠位の、内部空間の第1の領域17を分離するようにエンドプラグが内部空間の中に配置されている。近位開口部を通して内部空間の第2の領域の中に少なくとも部分的に挿入可能なプラグ固定部品39が提供される。プラグ固定部品は、内部空間の中に挿入されたときに、エンドプラグよりも近位開口部の近くに、少なくとも保持領域49に、形状接続及び/又は摩擦接続によって、内部空間に、固定位置に保持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器(1)、特にシリンジ又はカープルであって、
ベースボディ(7)を備え、
前記ベースボディ(7)は、少なくとも部分的に内部空間(9)を囲み、
前記ベースボディ(7)は、中心軸(M)と近位開口部(11)とを有し、
前記内部空間(9)の中のエンドプラグ(15)が、前記中心軸(M)に沿って移動可能であり、前記エンドプラグ(15)に対して近位の、前記内部空間(9)の第2の領域(19)から前記エンドプラグ(15)に対して遠位の、前記内部空間(9)の第1の領域(17)を分離するように前記エンドプラグ(15)が前記内部空間(9)の中に配置され、
前記近位開口部(11)を通して、前記内部空間(9)の前記第2の領域(19)の中に少なくとも部分的に挿入可能なプラグ固定部品(39)を有し、
前記プラグ固定部品(39)は、前記内部空間(9)の中に挿入されたときに、前記エンドプラグ(15)よりも前記近位開口部(11)の近くに、少なくとも保持領域(49)において、形状接続及び/又は摩擦接続によって、前記内部空間(9)の固定位置に保持される薬剤容器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、前記プラグ固定部品(39)によって前記エンドプラグ(15)の移動が近位方向において制限されるような固定位置に及び/又は前記エンドプラグ(15)に対して配置されている薬剤容器(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、形状接続及び/又は摩擦接続で前記ベースボディ(7)の内壁(47)と相互作用する薬剤容器(1)。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、好適には、前記中心軸(M)に対して少なくとも半径方向に作用し、弾性を有する少なくとも1つの弾性保持手段(41)を有し、前記弾性保持手段(41)は、前記内部空間(9)の中に挿入されたときに、前記ベースボディ(7)上に、好適には、前記ベースボディ(7)の内壁(47)上に前記プラグ固定部品(39)を摩擦で保持するように構成されている薬剤容器(1)。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記弾性保持手段(41)は、
a)ばね、及び/又は、
b)ばね状構造、及び/又は、
c)ばね状要素、及び/又は、
d)加硫エラストマー、好適には、ラバー、及び/又は、
e)材料弱体化ゾーン(43)、好適には、隣接する材料、好適には、前記中心軸に対して垂直に外側に隣接する材料がその中に弾性的に変形可能な凹部を有する薬剤容器(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、少なくとも前記プラグ固定部品(39)の遠位領域において、丸、十字型、又はI型の断面を有する薬剤容器(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、係止構造(51)を有し、
前記プラグ固定部品(39)は、前記係止構造(51)の領域において、少なくとも前記ベースボディの前記近位開口部(11)の半径方向伸長部の最小値より大きく、好適には、半径方向伸長部の最大値より大きく、挿入状態において前記中心軸(M)に対して垂直な半径方向伸長部を少なくとも備えることによって、前記前記プラグ固定部品(39)の薬剤容器(1)の中への挿入深さが前記薬剤容器(1)に対する前記係止構造(51)の当接により制限される薬剤容器(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
挿入されたときに、前記プラグ固定部品(39)の近位端にグリップ部(55)が形成され、前記グリップ部(55)が、
a)アンダーカット構造(57)、及び/又は、
b)掴むことが容易な材料、及び/又は、
c)粗面構造
を備える薬剤容器(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記薬剤容器は、安全インジケータ、好適には、ラベル、又は収縮可能スリーブを有し、前記安全インジケータは、前記プラグ固定部品(39)の挿入状態において、前記プラグ固定部品(39)の移動によって、前記安全インジケータの変更、好適には、破損又は少なくとも部分的な除去が可能となるように、前記プラグ固定部品(39)がベースボディ(7)に隣接する1つの領域において、ベースボディ(7)上と前記プラグ固定部品(39)上とに配置される薬剤容器(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び/又は少なくとも1つの合成樹脂から構成される薬剤容器(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、機械的に、好適には非接触の、特に好適には、電磁的に読み取り可能な情報キャリア、特に、RFIDチップを有する薬剤容器(1)。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、挿入されたときに、前記薬剤容器(1)の外周面が覆われないように形作られている薬剤容器(1)。
【請求項13】
特に、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)のエンドプラグ(15)を固定するためのプラグ固定部品(39)の使用であって、
前記薬剤容器(1)は、少なくとも部分的に内部空間(9)を囲むベースボディ(7)と、中心軸(M)と、近位開口部(11)とを備え、
前記エンドプラグ(15)は、前記エンドプラグ(15)が前記中心軸(M)に沿って前記内部空間(9)の中を移動可能で、前記エンドプラグ(15)に対して近位の、前記内部空間(9)の第2の領域(19)から前記エンドプラグ(15)に対して遠位の、前記内部空間(9)の第1の領域(17)を分離するように前記内部空間(9)の中に配置され、
前記プラグ固定部品(39)は、前記エンドプラグ(15)よりも前記近位開口部(11)の近くに配置され、前記プラグ固定部品(39)は、形状接続及び/又は摩擦接続によって、少なくとも前記薬剤容器(1)の前記第2の領域の保持領域(49)に保持されるように前記近位開口部(11)を通して前記第2の領域(19)の中に挿入されているプラグ固定部品(39)の使用。
【請求項14】
請求項13に記載のプラグ固定部品(39)の使用であって、
前記エンドプラグ(15)の移動は、前記プラグ固定部品(39)によって、好適には、前記内部空間(9)の前記第1の領域(17)の無菌性が確保されるように制限されるプラグ固定部品(39)の使用。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)における使用に適合したプラグ固定部品(39)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドプラグを有する薬剤容器と、薬剤容器のエンドプラグを固定するためのプラグ固定部品の使用と、プラグ固定部品とに関する。
【背景技術】
【0002】
プラグ固定部品と、エンドプラグを有する薬剤容器と、その薬剤容器の中のエンドプラグを固定するためのそのプラグ固定部品の使用は公知である。このプラグは、従来、一体化したプラグ固定部を有する指掛けによりシリンジの中に固定される。2室式シリンジに対しても、その指掛けによるそのような固定方法は公知である。しかしながら、カープル、特に、2室式カープルでは、通例、指掛けはない。従って、カープルの中のプラグは、従来、そのカープルをアプリケーションデバイス、特に、使い捨てペンの中に取り付けることにより固定され、そのアプリケーションデバイスのピストンロッドがそのエンドプラグを固定している。
【0003】
これに加えて、複数のカープルを収容するための輸送ボックスが、特に空輸中に、そのエンドプラグを固定して、所定の位置に保持することは公知である。この目的のために、その輸送ボックスの底部に隆起部が設けられており、その中に配置されているエンドプラグを固定するために、その隆起部が薬剤容器のメインボディの中に侵入している。そのような輸送ボックス中の薬剤容器は、このように、従来、輸送ボックスの底部とふたとの間に配置され、そして、その底部で始まる隆起部が、輸送中に、薬剤容器のボディの内部空間に侵入して、その中に配置されているエンドプラグの、その底部の方向への移動を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この公知の先行技術の不利な点は、指掛けによるそのエンドプラグの固定は、その薬剤容器にそのような指掛けがある場合にのみ可能であることである。しかしながら、アプリケーションデバイスにカープルを取り付けることによってそのエンドプラグを固定することは厄介であるとともに高価である。輸送ボックスによってそのエンドプラグを固定することには、そのボックスの底部の隆起部が、そのエンドプラグの中心軸に沿って、その薬剤容器のエンドプラグの位置と正確に一致しなければならないという不利な点がある。従って、その隆起部の長さに正確に一致するエンドプラグの位置を有する薬剤容器のみ、又は、その薬剤容器のセットのみを輸送ボックスに確実に固定することが可能である。そのような輸送ボックスは、また、大きく、そして、その薬剤容器の中心軸に沿って、個別に異なるエンドプラグの位置を有する少量の薬剤容器を固定しようとするとき効率が良くない。
【0005】
使用されるシステムに起因して、薬剤容器を充填する場合に、充填するチャンバの中にエアポケットが生じる。特に2室式カープルにおいて、全体の充填量中の空気の量はかなり大きい。そのようなエアポケットは、その薬剤容器、従って、そのエンドプラグが負圧又は真空の影響下にあるとき、チャンバの境界を定めるプラグ、特に、エンドプラグに作用する力を引き起こす。その結果、特に、高度の変化が伴う薬剤容器の輸送中、特に、空輸中又は山岳地帯での輸送中に、そのエンドプラグが移動する可能性がある。このように、輸送中に発生する、その薬剤容器の密閉領域と外部の空気との間の圧力勾配により、そのエンドプラグの移動、特にその薬剤容器の近位端の方向への移動を引き起こす可能性がある。その結果、医学上の無菌領域が汚染されるか、又は、少なくとも汚染の危険にさらされる。
【0006】
本発明の目的は、薬剤容器と、プラグ固定部品の使用と、その不利な点を回避するプラグ固定部品とを提供することである。
【0007】
この目的は、独立請求項の対象を提供することのより達成される。有利な実施形態を従属請求項に記載する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特に薬剤容器、特にシリンジ又はカープル、特に好適には、ベースボディボディを有する2室式シリンジ又は2室式カープルを提供することにより達成される。ここで、前記ベースボディは、少なくとも部分的に内部空間を囲み、前記ベースボディは中心軸と近位開口部を有する。エンドプラグは、前記中心軸に沿って前記内部空間の中で移動可能で、前記エンドプラグに対して近位の、前記内部空間の第2の領域から前記エンドプラグに対して遠位の、前記内部空間の第1の領域を分離するように前記内部空間に配置される。前記薬剤容器は、前記近位開口部を通して前記内部空間の第2の領域の中に少なくとも部分的に挿入可能なプラグ固定部品が提供されることを特徴とする。ここで、前記プラグ固定部品は、前記内部空間の中に挿入されたときに、前記エンドプラグよりも前記近位開口部の近くに、少なくとも保持領域において、形状接続及び/又は摩擦接続によって、前記内部空間の固定位置に保持される。前記ベースボディは、好適には、回転対称の、特に好適には円筒形の形状を有し、薬剤及び/又は添加剤を充填することに少なくとも部分的に適合した前記内部空間を囲む。前記エンドプラグと、適切な場合、さらなるプラグ又はその他の閉鎖要素とともに、前記ベースボディは、少なくとも前記内部空間の一部を完全に密閉する。前記ベースボディは、好適に、少なくとも1つのさらなる閉鎖可能な開口部も有する。しかしながら、前記メインボディは、特に好適には、前記近位開口部とちょうどもう1つの閉鎖可能な遠位開口部のみを有する。以下で、その他の全ての閉鎖可能な開口部は閉鎖されているものとする。
【0009】
そのような薬剤容器において、前記エンドプラグは、前記薬剤容器の中にしっかり保持されている。前記プラグ固定部品により、前記エンドプラグが前記近位開口部を通って前記薬剤容器から移動することを防止でき、前記挿入状態で防止する。これに加えて、そのような薬剤容器のプラグ固定部品は、簡単に、特に手動で挿抜することができる。
【0010】
前記エンドプラグは前記内部空間の内壁と密着しているということによって、前記エンドプラグは、前記第2の領域から前記第1の領域を分離する。この分離によって、前記第1の領域の純度及び/又は無菌性が確保される。こうして、前記第1の領域は、前記エンドプラグが目的どおりに配置されたときに閉空間を形成する。好適には、第1の領域は、少なくとも1つのさらなるプラグ、特にセンタープラグによって、2つの別々のチャンバに分割される。このようにして、前記薬剤容器は、2室式システム、特に2室式カープル又は2室式シリンジを形成する。
【0011】
前記第1の領域は、薬剤及び/又は添加剤を収容するよう構成されている。これに加えて、前記メインボディと、前記エンドプラグと、その他の全ての開口部とは、外部の汚染物質に対して前記第1の領域を密閉するように構成されている。一方、前記第2の領域は必ずしも密閉されていない。それどころか、前記エンドプラグを前記遠位端の方向に移動させ、それによって、前記薬剤容器に貯蔵されている薬剤及び/又は添加剤を前記薬剤容器から取り出すために、アプリケーションデバイスは前記第2の領域を介して前記エンドプラグに作用することができる。従って、前記第2の領域は、前記メインボディの前記近位開口部を介して前記薬剤容器の周囲と流体接触している。その結果、前記第2の領域は無菌性ではないし、また汚染から保護されていない。
【0012】
ここで説明される、前記エンドプラグと、前記第1の領域及び第2の領域の配置により、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも前記メインボディの前記近位開口部から遠い。
【0013】
前記プラグ固定部品は、少なくとも部分的に挿入可能で、好適には、前記近位開口部を通して前記内部空間の前記第2の領域の中に挿入され、挿入状態において、前記近位開口部を通して前記内部空間の前記第2の領域から取り出すことができる。これに加えて、前記プラグ固定部品は、挿入状態において、前記中心軸に沿って移動可能であり、好適には、回転対称に、より好適には、前記中心軸に対して回転対称に取り付けられている。これに加えて、前記プラグ固定部品は、好適に、形状接続及び/又は摩擦接続により、前記ベースボディの前記内壁又は外壁に接続され、それによって、前記内部空間で固定位置に保持されている。好適には、前記プラグ固定部品は、代わりに又は付加的に、外部構造及び/又は前記ベースボディに係合する要素、特に輸送容器によって、形状接続及び/又は摩擦接続により、前記内部空間で固定位置に保持されている。
【0014】
本発明の一実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、特に圧力による前記エンドプラグの移動が近位方向において前記プラグ固定部品によって制限されるような位置的に固定された位置に及び/又は前記エンドプラグに対して配置されて保持される。特に、従って、前記薬剤容器からの前記エンドプラグの移動は、前記エンドプラグの近位端が前記プラグ固定部品の遠位端に当接することによって防止かつ制限される。
【0015】
特に好適には、前記プラグ固定部品は、挿入状態において前記エンドプラグに直接隣接することで、前記エンドプラグの前記近位開口部の方向への移動を防止する。
【0016】
このようにして、前記内部空間の第1の領域の無菌性を損なう、前記近位開口部の方向への前記エンドプラグの移動は、好適には、前記位置的に安定なプラグ固定部品によって防止される。前記エンドプラグが前記内部空間の第2の領域の中に完全に移動したとき、前記内部空間の第1の領域の無菌性は、特に危険な状態になる。従って、好適には、前記エンドプラグが前記第2領域の中に完全に移動できないように、前記プラグ固定部品によって前記エンドプラグの近位方向への移動は制限される。このことは、前記プラグ固定部品の遠位端が前記エンドプラグの近位端からある距離を置いて配置されるとき特に確実となり、当該距離は、前記エンドプラグの軸方向長さより小さい。有利なことに、前記第1の領域の無菌性は、こうして、とりわけ確実に確保される。しかしながら、前記エンドプラグの近位端を前記プラグ固定部品の遠位端に当てることも可能である。
【0017】
本発明の一実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、形状接続及び/又は摩擦接続で前記ベースボディの内壁と相互作用する。そのような形状接続及び/又は摩擦接続について、確立することは特に容易であり、前記プラグ固定部品と外壁との間の形状接続又は摩擦接続に比べ、障害は発生しにくい。
【0018】
本発明の一実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、好適には、前記中心軸に対して少なくとも半径方向に作用する、弾性を有する少なくとも1つの弾性保持手段を有する。ここで、前記弾性保持手段は、前記内部空間の中に挿入されたときに、前記ベースボディ上に、好適には、前記ベースボディの前記内壁上に前記プラグ固定部品を摩擦接続で保持するように構成されている。そのような弾性保持手段によって、前記プラグ固定部品は、前記内部空間の固定位置、少なくとも保持領域に摩擦接続で保持される。好適には、形状接続は、前記弾性保持手段によって可能となる。ここで、前記弾性保持手段は、前記第2の領域の半径方向テーパーを通して案内され、そして前記半径方向テーパーの後方でその弾性により広がることによって前記テーパーの後方で係合する。そのようなプラグ固定部品を有する前記薬剤容器は、前記弾性保持手段による前記エンドプラグの固定が実行しやすい、従って、そのようなプラグ固定部品の前記第2の領域への挿入及び前記第2の領域からの取り出しが特に実行しやすい、特に手動にて迅速に実行しやすいという利点がある。
【0019】
好適な一実施形態に従い、前記弾性保持手段は、ばね、及び/又はばね状構造、及び/又はばね状要素、及び/又は加硫エラストマー、好適にはラバー、及び/又は材料弱体化ゾーン、好適には、隣接する材料、好適には、前記中心軸に対して垂直に外側に隣接する材料がその中に弾性的に変形することが可能な、凹部を備える。材料弱体化ゾーンは、ここで、力が加えられたとき、前記材料弱体化ゾーンを囲む材料に対して柔軟及び/又は収縮可能である材料を有する領域を意味するものと解釈される。従って、前記材料弱体化ゾーンは、力が加えられたとき、前記材料弱体化ゾーンを囲む材料より強く圧縮される。代わりに又は付加的に、前記材料弱体化ゾーンは、液体及び/又は気体、特に空気から構成され、前記材料弱体化ゾーンの前記気体及び/又は液体は、力が加えられたとき、前記材料弱体化ゾーンから移動することができる。好適には、前記弾性保持手段は凹部を有する。そのような弾性保持手段を有する前記プラグ固定部品は、特に費用対効果が高い方法で及び/又は一体化して及び/又は同じ材料により生成することができる。
【0020】
本発明の一実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、少なくとも前記プラグ固定部品の遠位領域において、丸、十字型、又はI型の断面を有する。前記摩擦接続を実現するための特に好ましい力の配置は、前記プラグ固定部品の遠位領域、すなわち、前記薬剤容器の第2の領域の中へ前記プラグ固定部品を挿入する前の領域の断面によって与えられる。従って、前記弾性保持手段が、前記プラグ固定部品の中に挿入されるとき、当該遠位領域に配置、圧縮される場合、前記十字型又はI型の断面を形成する、前記中心軸に対向して位置するウェブ、及び/又は、前記中心軸に対向し、前記丸い断面を形成する領域は、好適に、互いに正確に安定する。このようにして、前記摩擦接続を与える半径方向に作用する力は、局所的に最大化され、偏倚する力成分が防止される。さらに、そのような断面は、前記プラグ固定部品が、少なくとも前記遠位領域で、好適には、前記プラグ固定部品の全体の領域で、空気を通し、その空気が前記第2の領域の中に侵入して、前記プラグ固定部品が前記薬剤容器に挿入されるとき、前記プラグ固定部品と前記エンドプラグとの間の領域が密閉されることを防止する。これにより、特に、前記プラグ固定部品の挿抜中に、圧力、特に前記プラグ固定部品と前記エンドプラグとの間の空気圧を増減することが可能になる。こうして、前記遠位方向及び/又は近位方向への、前記エンドプラグの意図しない移動が防止される。
【0021】
本発明の実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、係止構造を、特にその近位端に有する。ここで、前記プラグ固定部品は、前記係止構造(51)の領域において、少なくとも前記ベースボディの前記近位開口部(11)の半径方向伸長部の最小値より大きく、好適には、半径方向伸長部の最大値より大きく、挿入状態において前記中心軸(M)に対して垂直な半径方向伸長部を少なくとも備える。これにより、前記前記プラグ固定部品(39)の薬剤容器(1)の中への挿入深さが前記薬剤容器(1)に対する前記係止構造(51)の当接により制限される。前記係止構造は、好適には、前記プラグ固定部品の端部、すなわち、挿入状態において、前記ベースボディの中心軸からある半径方向距離を置いた、特に前記プラグ固定部品の外側面上に配置される。好適には、前記係止構造は、前記外側面に対して肉厚部又は突出部として形成される。特に好適には、前記係止構造は、前記プラグ固定部品と一体で形成され、かつ/又は、同じ材料から作られる。
【0022】
前記プラグ固定部品の少なくとも1つの半径方向伸長部が、前記メインボディの近位開口部の半径方向伸長部の最小値よりも少なくとも大きい場合には、挿入状態で、前記係止構造が前記薬剤容器の近位端に当接し、従って、前記プラグ固定部品が前記薬剤容器の中にそれ以上進入することを防止する、前記中心軸の周りに少なくとも1つの回転位置がある。しかしながら、好適には、前記プラグ固定部品の少なくとも1つの半径方向伸長部は、前記バースボディの近位開口部の半径方向伸長部の最大値よりも大きいので、前記挿入深さは、前記薬剤容器の近位端で前記係止構造が当接することにより、前記プラグ固定部品の各回転位置で制限される。
【0023】
いずれにしても、前記係止構造は、前記エンドプラグの近位端と前記ベースボディの近位開口部との間の軸方向距離より小さいか又は軸方向距離に等しい、前記プラグ固定部品の遠位端からの軸方向距離に配置されている。そのような薬剤容器には、その中に配置されている前記エンドプラグが移動できない、特に、前記プラグ固定部品によって移動できないという利点がある。従って、前記薬剤容器とその中の薬剤及び/又は添加剤の安全性が向上する。
【0024】
本発明の一実施形態に従い、前記プラグ固定部品が挿入されたときに、前記プラグ固定部品の近位端にグリップ部が形成される。前記グリップ部は、アンダーカット構造及び/又は掴むことが容易な材料及び/又は粗面構造を有する。掴むことが容易な材料は、ここで、特に、ノンスリップ材料、及び/又は、前記プラグ固定部品用に使用される他の材料の静摩擦より大きい静摩擦を有する材料、及び/又は、ラバー、及び/又は、ラバー状材料を指す。そのようなグリップ領域により、前記薬剤容器の取り扱いが容易になる。従って、前記薬剤容器のプラグ固定部品は、特に簡易かつ迅速に、とりわけ手動で挿抜することができる。
【0025】
本発明の一実施形態に従い、前記薬剤容器は、安全インジケータ、好適には、ラベル又は収縮可能なスリーブを有する。前記安全インジケータは、前記プラグ固定部品(39)の挿入状態において、前記プラグ固定部品(39)の移動によって、前記安全インジケータの変更、好適には、破損又は少なくとも部分的な除去が可能となるように意図され、前記プラグ固定部品(39)がベースボディ(7)に隣接する1つの領域において、ベースボディ(7)上と前記プラグ固定部品(39)上とに好適に配置される。前記安全インジケータは、好適に、所定の破壊箇所、特に穿孔を有する。そのような安全インジケータは、前記プラグ固定部品が移動したかどうかを、好適に、目視で検出することができる。特に、輸送中に起きるような圧力によって生じる移動の場合において、無菌性を損なう前記エンドプラグ及び/又は前記プラグ固定部品の移動は、遡及的に検出されないことが多い。というのは、外気圧が初期の水準にまで戻ったとき、前記エンドプラグはその元の位置に戻るからである。好適には、ここで説明した安全インジケータによって、前記プラグ固定部品及び/又は前記エンドプラグの一時的な移動のみが後で検出できる。ここで説明した型の安全インジケータは、前記プラグ固定部品が移動する、特に無菌性が損なわれる場合において、前記エンドプラグがその元の位置に戻ったとき前記安全インジケータがその初期状態に戻らないように、不可逆的に操作される。従って、一時的な移動が認識されるであろう。これにより、前記薬剤容器、特に薬品が充填されている薬剤容器の安全性が向上する。ここで説明した安全インジケータを有する薬剤容器の例示的な実施形態において、前記プラグ固定部品は、挿入されたとき、好適に前記エンドプラグに直接隣接して配置されるので、前記薬剤容器を前記安全インジケータによって確実に密閉し、前記エンドプラグの移動、少なくとも前記近位方向の移動を防止することができる。
【0026】
本発明の一実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、ポリプロピレン,ポリスチレン、及び/又は、少なくとも1つの合成樹脂から構成される。好適には、前記プラグ固定部品は、プラスチック射出成型プロセスで製造される。そのようなプラグ固定部品を有する薬剤容器には、特に費用効果が高いという利点がある。
【0027】
本発明の実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、機械的に、好適には非接触で、特に好適には電磁気的に読み取り可能な情報キャリア、特にRFIDチップを有する。そのような情報キャリアによって、特に費用対効果の高い仕方で、前記薬剤容器及び/又はその内容物に関する、内容物固有の、及び/又は、輸送固有の、及び/又は、原産地固有の情報を個別に記録、格納することができる。その結果、前記薬剤容器及び/又はその内容物に帰属するそのような情報を迅速かつ適切に格納、検索することができる。
【0028】
本発明の実施形態に従い、前記プラグ固定部品は、挿入状態されたときに、前記薬剤容器の外周面が覆われないように形作られる。その結果、前記外周面に取り付けられた情報を認識することができ、前記薬剤容器の取り扱いが改善される。
【0029】
好適な実施形態に従い、前記薬剤容器のプラグ固定部品は、特にモノクロ又は多色、白又は黒で着色されかつ/又はパターン又はマークが施されている。前記プラグ固定部品の当該デザインは、好適には、少なくとも1つの情報、特に、薬剤、薬剤投与量、及び/又は、薬剤の構成に関する情報が、そのような光学的特性、すなわち、色、パターン、及び/又は、文字に関連付けられているコーディングである。薬剤の構成は、特に、様々な活性成分及び/又は添加剤の構成であると解釈される。
【0030】
本発明は、上記で説明した実施形態のうちの1つに従う、薬剤容器のセット又は各種取り合わせも含む。ここで、各薬剤容器は、特にモノクロ又は多色、白又は黒で着色され、かつ/又は、パターン又は標識が施されたそれぞれのプラグ保護部品に関連付けられている。
【0031】
前記プラグ固定部品の着色デザイン及び/又はそれのパターン又は文字により、前記セット又は各種取り合わせの様々な薬剤容器は、光学的にマークが施されている。ここで、それぞれのマーキング、すなわち、色、パターン、及び/又は、文字は、前記薬剤容器に関する特定の情報、例えば、前記薬剤容器中の薬剤、薬剤投与量、及び/又は、薬剤の構成に関する情報に関連付けられている。前記エンドプラグの位置は、特に、前記薬剤容器に含まれる薬剤及び/又は薬剤の構成によって異なってもよい。それに応じて、前記薬剤容器に付随する前記プラグ固定部品は、前記近位開口部を通過して可能な限り近く、前記第2の領域のそれぞれの位置に到達することができるように、好適に、さまざまな長さを有する。前記プラグ固定部品のこの様々な長さは、代わりに又は付加的に、色、パターン及び/又は文字によって、好適にコード化されている。
【0032】
特に、各薬剤容器が異なるプラグ固定部品を有する薬剤容器のセットがある場合、そのような符号化情報は、光学的制御により検出することができ、また、それぞれの薬剤容器に関連付けることができる。特に好適には、そのような情報は、前記プラグ固定部品の前記中心軸に沿った長さにも関連付けられている。
【0033】
より好適には、各プラグ固定部品の長さは、前記薬剤容器のセットにおける前記薬剤容器の中の対応するエンドプラグの位置に適合しているため、前記各プラグ固定部品は、対応する前記エンドプラグに直接当接する。従って、同じメインボディでありながら異なるエンドプラグの位置を有する薬剤容器のセットの中の各個別のエンドプラグを、確実にそして個別的に固定することが可能である。
【0034】
本発明は、特に、モノクロ又は多色、白又は黒で着色され、かつ/又は、パターン又はマークが施された、プラグ固定部品のセット又は各種取り合わせも含む。前記プラグ固定部品の少なくとも2つは、この場合、色、パターン、及び/又は、文字に関して、互いに異なる。そこで、異なる情報は、異なる色、パターン、及び/又は、文字、特に、コーディングに従い関連付けられ、また、前記情報は、好適には、それぞれの前記プラグ固定部品により固定される薬剤容器に含まれる薬剤と、薬剤投与量及び/又は薬剤構成とに関連する。
【0035】
前記目的は、特に、少なくとも1つの薬剤容器のための少なくとも1つの入れ物を有する、少なくとも1つの薬剤容器のための輸送容器を提供することによっても達成される。ここで、前記入れ物は、前記プラグ固定部品が挿入された前記薬剤容器の、中心軸に沿った軸方向長さに一致する長さを有する。従って、前記薬剤容器を、少なくともその長さ方向において遊び無く、前記輸送容器の入れ物に貯蔵することができる。好適には、前記輸送容器に貯蔵される薬剤容器は、遊び無く、前記中心軸に対して垂直に貯蔵することもできる。前記輸送容器にいくつかの入れ物がある場合、前記薬剤容器が中心軸に沿って様々なエンドプラグ位置を有していても、前記薬剤容器の安全性及び/又は前記第1の領域の無菌性を危うくすることなく、有利に複数の薬剤容器と適切に関連付けられたプラグ固定部品とを確実に貯蔵することが可能である。特に、前記薬剤容器の各入れ物は、同じ長さであってもよい。前記プラグ固定部品を適合させることによって、薬剤容器のセットを前記輸送容器に配置することが可能であり、前記セットには、それぞれが異なるエンドプラグ位置を有する少なくとも2つの薬剤容器がある。
【0036】
前記目的は、特に、エンドプラグを固定するために、薬剤容器において使用するためのプラグ固定部品を提供することによって、さらに達成される。前記薬剤容器は、前述の実施形態のうちの1つに従い好適に考案される。本発明は、少なくとも部分的に内部空間を囲むベースボディと、中心軸と、近位開口部とを有する薬剤容器を必要とする。ここで、前記エンドプラグは、前記エンドプラグが前記中心軸に沿って前記内部空間で移動可能であり、そして、前記エンドプラグに対して近位の、前記内部空間の第2の領域から前記エンドプラグに対して遠位の、前記内部空間の第1の領域を分離するように、前記内部空間に配置されている。前記プラグ固定部品の使用は、前記近位開口部を通して前記第2の領域に前記プラグ固定部品を挿入し、前記エンドプラグよりも前記近位開口部の近くに配置することを特徴とする。ここで、前記プラグ固定部品は、形状接続及び/又は摩擦接続によって、少なくとも前記薬剤容器の第2の近位領域の保持領域に保持される。これにより、前記薬剤容器に関連してすでに上記で述べた利点が得られる。前記プラグ固定部品を前記のように使用するとき、前記エンドプラグは、特に、薬剤容器中に確実に保持される。
【0037】
前記使用の一実施形態に従い、前記エンドプラグの移動は、前記プラグ固定部品によって、好適には、前記内部空間の前記第1の領域の無菌性が確保されるように制限される。前記エンドプラグの移動は、前記エンドプラグの近位端が前記プラグ固定部品の遠位端に対して当接することによって、特に前記近位方向に制限される。
【0038】
前記目的は、上記で説明した実施形態のうちの1つに従って、薬剤容器中で使用するために構成されているプラグ固定部品を提供することによっても達成される。これにより、上記で述べた利点が得られる。
【0039】
全体として、ここで示す前記薬剤容器と、前記輸送容器と、前記プラグ固定部品と、薬剤容器中での前記プラグ固定部品の使用とにより、エンドプラグは、薬剤容器中でとりわけ確実に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図面を参照して本発明を以下に詳細に説明する。
【
図2】
図1の実施形態に係る薬剤容器の近位端の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、薬剤容器1、この場合、2室式カープル3の実施形態を縦断面図で示す。薬剤容器1は、遊びなしで、中心軸Mに沿って輸送容器5に貯蔵されている。薬剤容器1は、実質的に円筒形状で内部空間9を囲むメインボディ7と、中心軸Mと、近位開口部11及び遠位開口部13とを備える。エンドプラグ15は、エンドプラグ15が中心軸Mに沿って内部空間9の中で移動可能で、内部空間9のエンドプラグに対して近位の第2の領域19からエンドプラグに対する第1の遠位領域17を分離するようにメインボディ7の内部空間9に配置されている。第1の領域17は、ここで、センタープラグ21によって、第1のチャンバ23と第2のチャンバ25とに分割されている。
【0042】
遠位開口部13は、閉鎖要素27によって閉鎖されているため、第2のチャンバ25は、メインボディ7と、センタープラグ21と、閉鎖要素27とによって境界が定められる閉空間を形成する。実質的に空気31によって囲まれている凍結乾燥部29は、第2のチャンバ25の内部空間に貯蔵されている。同様に、メインボディ7の第2のチャンバ25の領域の中に、バイパス33が形成されている。センタープラグ21が中心軸Mに沿って遠位開口部の方向に移動することで、2つのチャンバ23、25の内容物を混合することが可能になる。
【0043】
第1のチャンバ23は、溶媒35と気泡37とを備える。第1のチャンバは、センタープラグ21と、ベースボディ7と、エンドプラグ15とによって境界が定められる閉空間を形成する。ここに図示されないアプリケーションデバイスによって、遠位開口部13が開口された後、遠位開口部13の方向に、エンドプラグ15と、それと同時に、センタープラグ21とを移動することが可能になる。センタープラグ21がバイパス33の軸方向断面に到着した場合、第1のチャンバ23の内容物、すなわち、基本的に溶媒35が第2のチャンバ25の中に移動する。これにより、2つのチャンバの内容物を混合することが可能になる。エンドプラグ15が、アプリケーションデバイスによって遠位開口部13の方向にさらに移動した場合、第2のチャンバ25の混合された内容物は、遠位開口部13を介して内部空間9から排出される。
【0044】
ここに図示する例示的実施形態において、プラグ固定部品39が第2の領域19に配置され、近位開口部11に面するエンドプラグ15の端部は、遠位開口部13に面するプラグ固定部品39の端部に直接隣接する。こうして、近位開口部11を介した、特に、アプリケーションデバイスによるエンドプラグ15の動作は、ここでは不可能であり、従って、エンドプラグは、遠位開口部13の方向の動作とそれに伴う移動から保護される。
【0045】
図2は、
図1に係る薬剤容器1の近位領域の拡大図を示す。同一の要素及び同じ機能を有する要素には同じ参照符号が付されているので、この点については上記の説明を参照されたい。
【0046】
図2より、プラグ固定部品39は、少なくとも1つの弾性保持手段41、この場合は、複数の弾性保持手段41によって、摩擦接続により内部空間9の第2の領域19に保持されていることが明らかである。少なくとも1つの弾性保持手段41は、材料弱体化ゾーン43を有し、それはここでは凹部として形成されている。材料弱体化ゾーン43には、半径方向に見て外側に弾性特性を有するプラグ固定部品39のウェブ状構造45がつながっている。
【0047】
ここに示すプラグ固定部品39がその挿入状態にあるとき、ウェブ状構造45は、材料弱体化ゾーン43の中に弾性的に変形するため、ばね力がベースボディ7の内壁47に内側から作用して、内部空間9の保持領域49で、プラグ固定部品39を摩擦接続で保持する。
【0048】
図3は、
図1及び
図2に係るプラグ固定部品39の斜視図を示す。この図において、プラグ固定部品39は、2つの直径に沿って対向する弾性保持手段41を有する十字型の断面を有する。当該十字型の断面は、遠位端から始まって、プラグ固定部品39の大きな領域にわたって、特に、遠位領域にわたって延び、挿入状態において、ベースボディ7の第2の領域19に配置される。
【0049】
図3において、プラグ固定部品39は挿入状態にはないため、弾性保持手段41は弛緩していて、その中に機械的応力エネルギは蓄えられていない。従って、ウェブ状構造45は、半径方向、すなわち、中心軸Mに垂直な方向に、ウェブ状構造45に隣接する領域に対して突出する。当該プラグ固定部品39を円筒形の内部空間9を有する薬剤容器1の中に挿入することにより、これらのウェブ状構造45は、中心軸Mの方向に、半径方向内側に向かって変形して材料弱体化ゾーン43の中に入る。
【0050】
さらに、
図3において、プラグ固定部品39は、プラグ固定部品39の挿入状態において、遠位開口部13とは反対側に面する係止構造51をその後部遠位領域に有することが分かる。
図3は、3つの係止構造51を示し、第4の係止構造51が観者の反対側に配置されている。係止構造51のそれぞれは、互いに垂直で十字型の断面形成する4つのウェブ53のうちの1つに突出段として形成されている。いずれの場合も、互いに反対側に配置されている2つの係止構造51は、薬剤容器1の近位開口部11の直径より大きい幅にわたって広がっている。特に、ここに示すプラグ固定部品39の各係止構造51は、挿入状態において、薬剤容器1の近位開口部11の半径より大きい、中心軸Mに対して垂直な半径方向伸長部を有する。これにより、プラグ固定部品39を薬剤容器1の中に挿入するとき、プラグ固定部品39を薬剤容器1の中に深く挿入し過ぎることを防止する。これにより、プラグ固定部品39によって、エンドプラグ15が意図した位置から遠位開口部13の方向に移動することを防止する。
【0051】
薬剤容器1のプラグ固定部品39の特に好適な実施形態において、係止構造51の突出段とプラグ固定部品39の遠位端との間の距離は、プラグ固定部品39は、挿入状態において、係止構造51によって薬剤容器1の近位端と当接し、プラグ固定部品39の挿入によってエンドプラグ15がその元の位置から移動することなく、プラグ固定部品39の遠位端がエンドプラグ15の近位端に直接隣接するように、薬剤容器1のエンドプラグ15の軸方向位置に対して適合している。
【0052】
なお、グリップ部55がプラグ固定部品39の近位端に形成されるが、
図3において特に明確に見える。ここで、グリップ部55は、近位端から始まるアンダーカット構造57を有する丸いグリッププレートによって形成されるが、
図2において特によく見ることができる。これにより、薬剤容器1からプラグ固定部品39を取り出すために、挿入状態において、プラグ固定部品39を特に容易に、とりわけ手動にて掴むことができる。
【0053】
全体として、ここで提案される薬剤容器1では、プラグ固定部品39と、薬剤容器1のプラグ固定部品39の使用とは、薬剤容器1についてカスタマイズ可能に、薬剤容器1のエンドプラグ15を、とりわけ、高い信頼性及び汎用性で固定することができることがわかる。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器(1)、特にシリンジ又はカープルであって、
ベースボディ(7)を備え、
前記薬剤容器(1)は、2室式システムとして構成され、
前記ベースボディ(7)は、少なくとも部分的に内部空間(9)を囲み、
前記ベースボディ(7)は、中心軸(M)と近位開口部(11)とを有し、
前記内部空間(9)の中のエンドプラグ(15)が、前記中心軸(M)に沿って移動可能であり、前記エンドプラグ(15)に対して近位の、前記内部空間(9)の第2の領域(19)から前記エンドプラグ(15)に対して遠位の、前記内部空間(9)の第1の領域(17)を分離するように前記エンドプラグ(15)が前記内部空間(9)の中に配置され、
前記近位開口部(11)を通して、前記内部空間(9)の前記第2の領域(19)の中に少なくとも部分的に挿入可能なプラグ固定部品(39)を有し、
前記プラグ固定部品(39)は、前記内部空間(9)の中に挿入されたときに、前記エンドプラグ(15)よりも前記近位開口部(11)の近くに、少なくとも保持領域(49)において、形状接続及び/又は摩擦接続によって、前記内部空間(9)の固定位置に保持され、
前記プラグ固定部品(39)は、係止構造(51)を有し、前記係止構造(51)の領域において、少なくとも前記ベースボディの前記近位開口部(11)の半径方向伸長部の最小値より大きく、好適には、半径方向伸長部の最大値より大きく、挿入状態において前記中心軸(M)に対して垂直な半径方向伸長部を少なくとも備えることによって、前記前記プラグ固定部品(39)の薬剤容器(1)の中への挿入深さが前記薬剤容器(1)に対する前記係止構造(51)の当接により制限され、
前記第2の領域(19)は、前記プラグ固定部品(39)の挿入状態において、前記ベースボディ(7)の前記近位開口(11)を介して前記薬剤容器(1)の周囲と流体接触し、前記プラグ固定部品(39)は、少なくとも前記プラグ固定部品(39)の前記係止構造と近位端との間の領域に半径方向の通気性を備え
る薬剤容器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、前記プラグ固定部品(39)によって前記エンドプラグ(15)の移動が近位方向において制限されるような固定位置に及び/又は前記エンドプラグ(15)に対して配置されている薬剤容器(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、形状接続及び/又は摩擦接続で前記ベースボディ(7)の内壁(47)と相互作用する薬剤容器(1)。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、好適には、前記中心軸(M)に対して少なくとも半径方向に作用し、弾性を有する少なくとも1つの弾性保持手段(41)を有し、前記弾性保持手段(41)は、前記内部空間(9)の中に挿入されたときに、前記ベースボディ(7)上に、好適には、前記ベースボディ(7)の内壁(47)上に前記プラグ固定部品(39)を摩擦で保持するように構成されている薬剤容器(1)。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記弾性保持手段(41)は、
a)ばね、及び/又は、
b)ばね状構造、及び/又は、
c)ばね状要素、及び/又は、
d)加硫エラストマー、好適には、ラバー、及び/又は、
e)材料弱体化ゾーン(43)、好適には、隣接する材料、好適には、前記中心軸に対して垂直に外側に隣接する材料がその中に弾性的に変形可能な凹部を有する薬剤容器(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、少なくとも前記プラグ固定部品(39)の遠位領域において、丸、十字型、又はI型の断面を有する薬剤容器(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
挿入されたときに、前記プラグ固定部品(39)の近位端にグリップ部(55)が形成され、前記グリップ部(55)が、
a)アンダーカット構造(57)、及び/又は、
b)掴むことが容易な材料、及び/又は、
c)粗面構造
を備える薬剤容器(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記薬剤容器は、安全インジケータ、好適には、ラベル、又は収縮可能スリーブを有し、前記安全インジケータは、前記プラグ固定部品(39)の挿入状態において、前記プラグ固定部品(39)の移動によって、前記安全インジケータの変更、好適には、破損又は少なくとも部分的な除去が可能となるように、前記プラグ固定部品(39)がベースボディ(7)に隣接する1つの領域において、ベースボディ(7)上と前記プラグ固定部品(39)上とに配置される薬剤容器(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び/又は少なくとも1つの合成樹脂から構成される薬剤容器(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、機械的に、好適には非接触の、特に好適には、電磁的に読み取り可能な情報キャリア、特に、RFIDチップを有する薬剤容器(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)であって、
前記プラグ固定部品(39)は、挿入されたときに、前記薬剤容器(1)の外周面が覆われないように形作られている薬剤容器(1)。
【請求項12】
特に、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)のエンドプラグ(15)を固定するためのプラグ固定部品(39)の使用であって、
前記薬剤容器(1)は、少なくとも部分的に内部空間(9)を囲むベースボディ(7)と、中心軸(M)と、近位開口部(11)とを備え、
前記エンドプラグ(15)は、前記エンドプラグ(15)が前記中心軸(M)に沿って前記内部空間(9)の中を移動可能で、前記エンドプラグ(15)に対して近位の、前記内部空間(9)の第2の領域(19)から前記エンドプラグ(15)に対して遠位の、前記内部空間(9)の第1の領域(17)を分離するように前記内部空間(9)の中に配置され、
前記プラグ固定部品(39)は、前記エンドプラグ(15)よりも前記近位開口部(11)の近くに配置され、前記プラグ固定部品(39)は、形状接続及び/又は摩擦接続によって、少なくとも前記薬剤容器(1)の前記第2の領域の保持領域(49)に保持されるように前記近位開口部(11)を通して前記第2の領域(19)の中に挿入されているプラグ固定部品(39)の使用。
【請求項13】
請求項12に記載のプラグ固定部品(39)の使用であって、
前記エンドプラグ(15)の移動は、前記プラグ固定部品(39)によって、好適には、前記内部空間(9)の前記第1の領域(17)の無菌性が確保されるように制限されるプラグ固定部品(39)の使用。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)における使用に適合したプラグ固定部品(39)。
【外国語明細書】