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特開2023-27153機器の管理における臨床データの受け渡し及びデータ共有
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027153
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】機器の管理における臨床データの受け渡し及びデータ共有
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20230221BHJP
   A61H 31/00 20060101ALI20230221BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20230221BHJP
【FI】
A61N1/39
A61H31/00
G16Y20/40
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022192700
(22)【出願日】2022-12-01
(62)【分割の表示】P 2021196558の分割
【原出願日】2016-03-29
(31)【優先権主張番号】62/140,400
(32)【優先日】2015-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュラン、イアン
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、ゲリー、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】フレイシャッカー、アンドルー、イー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示の態様は、医療的イベントの間の臨床データの受け渡しのためのシステム、方法、及び装置に関する。
【解決手段】医療的イベントの第1部分の間に患者をモニタリングして臨床情報を格納するよう構成される第1の医療機器と、第2の医療機器とを含む。第2の医療機器は、臨床情報のうちの少なくとも一部を表示し、第2の医療機器のオペレーションを変更し、又は、臨床情報を格納し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する第1の臨床情報を収集する第1の医療機器及び前記患者に関する第2の臨床情報を収集する第2の医療機器が同一の患者に関連付けられることを検証するための情報のための誘導を提供し、前記第1の臨床情報の受け渡しのために、前記第2の医療機器による前記第1の医療機器への機器同士のアクセスを確立し、前記第1の医療機器による、前記第2の医療機器への前記第1の臨床情報の少なくとも一部の転送を、前記第1の医療機器及び前記第2の医療機器が同一の患者に関連付けられることを検証するための前記情報に少なくとも部分的に基づいて、可能にする
装置。
【請求項2】
前記第1の医療機器は、医療的イベントの第1部分の間に、前記患者をモニタリングすること、又は医療的イベントの前記第1部分の間に、前記患者に治療を行うことの1または複数を行うためのものであり、
前記第2の医療機器は、前記医療的イベントの第2部分の間に、前記患者をモニタリングすること、又は前記医療的イベントの前記第2部分の間に、前記患者に治療を行うことの1または複数を行うためのものであり、前記医療的イベントの前記第2部分は、前記医療的イベントの前記第1部分の後に発生する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の医療機器は、前記第1の臨床情報を、前記第1の医療機器又は遠隔サーバの1又は複数に格納するためのものである
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の医療機器は、前記第2の臨床情報を、前記第2の医療機器又は遠隔サーバの1又は複数に格納するためのものである
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の医療機器は、前記第1の医療機器から転送された前記第1の臨床情報の前記少なくとも前記一部を、前記第2の医療機器又は遠隔サーバの1又は複数に格納するためのものである
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記遠隔サーバは、電子医療記録システムを含む
請求項3から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記遠隔サーバは、クラウドサーバーを含む
請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の医療機器及び前記第2の医療機器が前記同一の患者に関連付けられることを検証するための前記情報は、鍵コードを含む固有の識別情報を有する
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の医療機器は、除細動器であり、
前記第1の臨床情報の前記少なくとも一部は、前記患者が心停止になる前に収集される前記患者の第1のECGデータと、前記第1の医療機器により前記患者に電気ショックが実施された後に収集される前記患者の第2のECGデータとを含む
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の医療機器及び前記第2の医療機器の各々は、自動体外式除細動器、二次救命処置除細動器、病院ベースの除細動器、着用型自動除細動器、ポータブル電子インフュージョンポンプ、患者モニターと除細動器システム、胸部圧迫補助機器、及び呼吸補助機器のうちの1つを有する
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の医療機器及び前記第2の医療機器の少なくとも一方は、タブレットコンピュータに結合された治療機器を有する
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の医療機器は、治療機器に結合されたタブレットコンピュータを有する
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の医療機器及び前記第2の医療機器は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、インターネット、セルラネットワーク、及びピアツーピアネットワークのうちの1又は複数に接続される
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の医療機器は、前記第1の臨床情報の前記少なくとも前記一部に基づいて前記第2の医療機器のオペレーションを変更する
請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の臨床情報の前記少なくとも前記一部に基づいて前記第2の医療機器の前記オペレーションを変更することは、前記第2の医療機器によって使用される1又は複数のアルゴリズムを変更することを含む
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の医療機器によって使用される前記1又は複数のアルゴリズムは、少なくとも1つの臨床決断支援アルゴリズムを含む
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の医療機器は、前記第1の臨床情報の前記少なくとも前記一部と前記第1の臨床情報の前記少なくとも前記一部から導き出された情報との少なくともいくつかの1又は複数を表示する
請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の臨床情報の前記少なくとも前記一部は、ECGデータ、心拍数、血圧、体温、呼吸数、血中酸素濃度、呼気終末二酸化炭素濃度、肺機能、血糖値、及び体重のうちの1又は複数を含む
請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記医療的イベントの前記第1部分及び前記医療的イベントの前記第2部分は、病院以前の環境において発生する
請求項2に記載の装置。
【請求項20】
前記医療的イベントの前記第1部分は、病院以前の環境において発生し、前記医療的イベントの前記第2部分は、病院の環境において発生する
請求項2に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、前記第1の医療機器に配置される、前記第2の医療機器に配置される、又は前記第1の医療機器及び前記第2の医療機器にわたって分散される
請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2015年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/140400号明細書の利益を主張するものであり、あらゆる目的に対して、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示の複数の実施形態は、一般的に医療機器間におけるデータの管理及び共有に関する。
【背景技術】
【0003】
複数の医療機器が、医療的状況(例えば、緊急事態)において使用され得る。これらの機器は、異なる人により使用され得る。例えば、自動体外式除細動器(AED)は、最初の対応者等の訓練されていない医療機器作業員により使用され得る。更に、救急救命士(EMT)は、緊急事態に応じて、病院で使用される機器とは異なり得る、異なる機器及び追加の機器を使用し得る。これらの機器間を通信することは、対応者アクション及びプロトコルを運用することと同様に、緊急事態において患者を効率的かつ適切にケアすることの恩恵を受け得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態による、医療的イベントにおける臨床データの受け渡しのためのシステムであって、通信可能にネットワークに結合されているサーバ機器であって、サーバ機器は、メモリ、及びメモリと通信可能に結合されるプロセッサを有し、メモリは、プロセッサにより実行された場合、プロセッサに少なくとも1つのコンポーネントを開始させる命令を含み、少なくとも1つのコンポーネントは、通信コンポーネントであって、医療的イベントの間、第1の医療機器及び第2の医療機器との通信を容易によう構成され、第1の医療機器から第1の臨床情報を受信し、医療的イベントの間に第2の医療機器上で、(a)第2の医療機器上に第1の臨床情報のうちの少なくとも一部を表示すること、(b)第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報を第2の医療機器上に表示すること、(c)第1の臨床情報に基づいて第2の医療機器のオペレーションを変更すること、及び、(d)第2の医療機器又は遠隔データベースに第1の臨床情報を格納すること、のうちの1又は複数を実行することを含む通信コンポーネントとを含む、サーバ機器と、ユーザと通信コンポーネントとの間のインタラクションを容易にするよう構成される、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)とを含む、システム。
【0005】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を更に含み、第1の医療機器及び第2の医療機器は、WLANを介して通信可能に結合されている、段落[0004]に記載のシステム。
【0006】
第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの1つはまた、WLANを介して通信を提供する、段落[0004]から[0005]のいずれかに記載のシステム。
【0007】
第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの1つはまた、サーバ機器である、段落[0004]から[0006]のいずれかに記載のシステム。
【0008】
第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの1つはまた、WLAN上の通信ルータである、段落[0004]から[0007]のいずれかに記載のシステム。
【0009】
第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの1つは、医療情報を表示する携帯型コンピューティング機器である、段落[0004]から[0008]のいずれかに記載のシステム。
【0010】
携帯型コンピューティング機器は、iPad(登録商標)、携帯電話、スマートフォン、又は、iWatch(登録商標)である、段落[0004]から[0009]のいずれかに記載のシステム。
【0011】
第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの少なくとも1つは、身体に装着されている、段落[0004]から[0010]のいずれかに記載のシステム。
【0012】
WLANは動的に再構成可能であり、かつ安全である、段落[0004]から[0011]のいずれかに記載のシステム。
【0013】
第1の臨床情報は、医療的イベントの間の患者への心肺蘇生法(CPR)の実施について詳述する、段落[0004]から[0012]のいずれかに記載のシステム。
【0014】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR品質のインディケーションを含む、段落[0004]から[0013]のいずれかに記載のシステム。
【0015】
CPR品質のインディケーションは、胸部圧迫メトリックのインディケーションを含む、段落[0004]から[0014]のいずれかに記載のシステム。
【0016】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR時間のインディケーションを含む、段落[0004]から[0015]のいずれかに記載のシステム。
【0017】
CPR時間のインディケーションは、CPR実施の開始時間、CPR実施の終了時間、CPR実施の継続期間、及び、胸部圧迫タイミングのうちの1又は複数を含む、段落[0004]から[0016]のいずれかに記載のシステム。
【0018】
第1の臨床情報は、患者が心停止になる前に観察された患者ECGを含む、段落[0004]から[0017]のいずれかに記載のシステム。
【0019】
第1の臨床情報は、第1の医療機器により、患者に電気ショックが実施された後に観察される患者ECGを含む、段落[0004]から[0018]のいずれかに記載のシステム。
【0020】
通信コンポーネントは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定すると、第1の医療機器及び第2の医療機器との通信を容易にするよう構成される、段落[0004]から[0019]のいずれかに記載のシステム。
【0021】
通信コンポーネントは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器の一方又は両方を確認するよう誘導するよう構成され、また、誘導は、鍵コード、可視ビーコン、可視光、可聴誘導、及び、患者特有の入力のうちの少なくとも1つを含む、段落[0004]から[0020]のいずれかに記載のシステム。
【0022】
通信コンポーネントは更に、無線周波数信号を交換すると、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0021]のいずれかに記載のシステム。
【0023】
通信コンポーネントは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器のそれぞれからグローバルポジショニングシステム(GPS)信号を受信すると、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0022]のいずれかに記載のシステム。
【0024】
通信コンポーネントは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器のそれぞれが共有ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されていることに応答して、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0023]のいずれかに記載のシステム。
【0025】
通信コンポーネントは更に、第1の臨床情報と、第2の医療機器を使用して処置されている患者の身元識別情報、患者又は第2の医療機器の場所、時間、介護福祉士(caregiver)の身元識別情報、及び、第2の医療機器により集められた第2の臨床情報、に列挙する項目のうちの1つ又はそれらの組み合わせに関する情報との間の相関性を判定すると、第1の医療機器及び第2の医療機器との通信を容易にするよう構成される、段落[0004]から[0024]のいずれかに記載のシステム。
【0026】
医療的イベントは救急医療イベントである、段落[0004]から[0025]のいずれかに記載のシステム。
【0027】
本開示の実施形態による、(例えば、医療的イベントにおける)臨床データの受け渡しのためのシステムであって、システムは、医療的イベントの第1部分の間に、患者をモニタリングし、第1の臨床情報を格納するよう構成される第1の医療機器と、第2の医療機器であって、医療的イベントの第2部分の間に、患者をモニタリングし、患者に関する第2の臨床情報を格納するよう構成される第2の医療機器と、制御モジュールであって、第1の医療機器及び第2の医療機器が医療的イベントの間に同じ患者に対して使用される、というインディケーションを受信よう構成され、インディケーションに基づいて、第2の医療機器による第1の臨床情報へのアクセスを確立する結果、第2の医療機器が、医療的イベントの間に、(a)第1の臨床情報のうちの少なくとも一部を第2の医療機器上に表示すること、(b)第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報を第2の医療機器上に表示すること、(c)第1の臨床情報に基づいて第2の医療機器のオペレーションを変更すること、及び、(d)第1の臨床情報を第2の医療機器又は遠隔データベースに格納すること、のうちの1又は複数を実行することを可能にする制御モジュールとを含む、システム。
【0028】
第1の医療機器は第1のメモリに第1の臨床情報を格納するよう構成され、第2の医療機器は第2のメモリに第2の臨床情報を格納するよう構成され、制御モジュールは更に、インディケーションに基づいて、第2の医療機器による第1のメモリへのアクセスを確立するよう構成される、段落[0004]から[0027]のいずれかに記載のシステム。
【0029】
第1のメモリ及び第2のメモリは同じメモリ機器の一部である、段落[0004]から[0028]のいずれかに記載のシステム。
【0030】
医療的イベントの第2部分は、その医療的イベントの第1部分の後に発生する、段落[0004]から[0029]のいずれかに記載のシステム。
【0031】
制御モジュールは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定すると、第2の医療機器によるアクセスを確立するよう構成される、段落[0004]から[0030]のいずれかに記載のシステム。
【0032】
制御モジュールは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器の一方又は両方を確認するよう誘導するよう構成され、また、誘導は、鍵コード、可視ビーコン、可視光、可聴誘導、及び、患者特有の入力のうちの少なくとも1つを含む、段落[0004]から[0031]のいずれかに記載のシステム。
【0033】
制御モジュールは更に、無線周波数信号を交換すると、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0032]のいずれかに記載のシステム。
【0034】
制御モジュールは更に、第1の医療機器及び第2の医療機器のそれぞれからグローバルポジショニングシステム(GPS)信号を受信すると、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0033]のいずれかに記載のシステム。
【0035】
制御モジュールは更に、共有ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されている第1の医療機器及び第2の医療機器のそれぞれに応答して、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0034]のいずれかに記載のシステム。
【0036】
制御モジュールは更に、第1の臨床情報と、第2の医療機器を使用して処置されている患者の身元識別情報、患者又は第2の医療機器の場所、時間、介護福祉士の身元識別情報、及び、第2の医療機器により集められた第2の臨床情報、に列挙する項目のうちの1つ又はそれらの組み合わせに関する情報との間の相関性を判定すると、第2の医療機器による第1の臨床情報へのアクセスを確立するよう構成される、段落[0004]から[0035]のいずれかに記載のシステム。
【0037】
第1のメモリは第1の医療機器上に設けられ、第2のメモリは第2の医療機器上に設けられる、段落[0004]から[0036]のいずれかに記載のシステム。
【0038】
第1のメモリ及び第2のメモリのうちの少なくとも1つは、ネットワーク内にある第1の医療機器及び第2の医療機器から遠く離して配置され、また、第1の医療機器及び第2の医療機器は、ネットワークを介して無線で通信可能に結合されている、段落[0004]から[0037]のいずれかに記載のシステム。
【0039】
第1の医療機器及び第2の医療機器は、臨床情報を直接転送するよう構成され、制御モジュールは更に、インディケーションに基づいて、第2の医療機器による第1の医療機器への機器同士の直接アクセスを確立し、第2の医療機器が第1の臨床情報へアクセスすることを可能とするよう構成される、段落[0004]から[0038]のいずれかに記載のシステム。
【0040】
医療的イベントは救急医療イベントである、段落[0004]から[0039]のいずれかに記載のシステム。
【0041】
第1の臨床情報は、医療的イベントの第1部分の間の患者への心肺蘇生法(CPR)の実施について詳述する、段落[0004]から[0040]のいずれかに記載のシステム。
【0042】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR品質のインディケーションを含む、段落[0004]から[0041]のいずれかに記載のシステム。
【0043】
CPR品質のインディケーションは、胸部圧迫メトリックのインディケーションを含む、段落[0004]から[0042]のいずれかに記載のシステム。
【0044】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR時間のインディケーションを含む、段落[0004]から[0043]のいずれかに記載のシステム。
【0045】
CPR時間のインディケーションは、CPR実施の開始時間、CPR実施の終了時間、CPR実施の継続期間、及び、胸部圧迫タイミングのうちの1又は複数を含む、段落[0004]から[0044]のいずれかに記載のシステム。
【0046】
本開示の実施形態による、(例えば、医療的イベントにおける)臨床データの受け渡しのためのシステムであって、患者モニタリング除細動器であって、前記患者モニタリング除細動器は二次救命処置機器であって、前記患者モニタリング除細動器は、医療的イベントの間に自動体外式除細動器、呼吸補助機器、及び自動胸部圧迫機器のうちの1又は複数により記録された臨床データを、前記医療的イベントの間に受信し、(a)前記患者モニタリング除細動器上に前記臨床データのうちの少なくとも一部を表示すること、(b)前記臨床データのうちの少なくとも一部から導き出された前記患者モニタリング除細動器情報を表示すること、(c)前記臨床データに基づいて前記患者モニタリング除細動器のオペレーションを変更すること、及び、(d)前記患者モニタリング除細動器に前記臨床データを格納すること、のうちの1又は複数を、前記医療的イベントの間に実行するよう構成される通信モジュールを含む、患者モニタリング除細動器を含む、システム。
【0047】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器の一方又は両方の確認を介してペアリングするよう構成される、段落[0004]から[0046]のいずれかに記載のシステム。
【0048】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器が近接して配置されていることを判定すると、自動的にペアリングするよう構成される、段落[0004]から[0047]のいずれかに記載のシステム。
【0049】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、無線周波数信号を交換すると、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0048]のいずれかに記載のシステム。
【0050】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器のそれぞれからグローバルポジショニングシステム(GPS)の信号を受信すると、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0049]のいずれかに記載のシステム。
【0051】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、共有ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されている患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器のそれぞれに応答して、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器が近接して配置されていることを判定するよう構成される、段落[0004]から[0050]のいずれかに記載のシステム。
【0052】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、ネットワークを介して無線で通信可能に結合されている、段落[0004]から[0051]のいずれかに記載のシステム。
【0053】
患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器は、無線で通信可能に結合され、患者モニタリング除細動器及び自動体外式除細動器間における臨床情報の機器同士の直接転送を提供する、段落[0004]から[0052]のいずれかに記載のシステム。
【0054】
医療的イベントは救急医療イベントである、段落[0004]から[0053]のいずれかに記載のシステム。
【0055】
臨床データは、医療的イベントの間の患者への心肺蘇生法(CPR)の実施について詳述する、段落[0004]から[0054]のいずれかに記載のシステム。
【0056】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR品質のインディケーションを含む、段落[0004]から[0055]のいずれかに記載のシステム。
【0057】
臨床データは第1の臨床データであり、通信モジュールは更に、第1の臨床データと、患者モニタリング除細動器を使用して処置されている患者の身元識別情報、患者又は患者モニタリング除細動器の場所、時間、介護福祉士の身元識別情報、及び、患者モニタリング除細動器により集められた第2の臨床データ、に列挙する項目のうちの1つ又はそれらの組み合わせに関する情報との間の相関性を判定すると、第1の臨床データを受信するよう構成される、段落[0004]から[0056]のいずれかに記載のシステム。
【0058】
本開示の実施形態による、(例えば、医療的イベントにおいて)臨床データの受け渡しのための方法であって、第1の医療機器から、医療的イベントの間に患者をモニタリングしている第1の医療機器により生成される臨床情報を受信することと、医療的イベントの間、患者に対して第2の医療機器が使用されることを確認することと、確認に基づいて、医療的イベントの間、(a)第2の医療機器に臨床情報のうちの少なくとも一部を表示すること、(b)臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報を第2の医療機器上に表示すること、(c)臨床情報に基づいて第2の医療機器のオペレーションを変更すること、及び、(d)第2の医療機器又は遠隔データベースに臨床情報を格納すること、のうちの1又は複数を実行することとを含む、方法。
【0059】
臨床情報は、患者が心停止になる前に医療的イベントの第1部分の間に生成され、第2の医療機器は医療的イベントの後続の部分の間に患者をモニタリングするために使用され、臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報を第2の医療機器上に表示することは、第2の医療機器に、(A)第1の医療機器が患者のモニタリングを始めたときの心拍リズムを示す表現を表示すること、(B)患者が心停止になる直前の心拍リズムを示す表現を表示すること、及び、(C)患者の心臓に対して電気ショックを実施した後の時間における患者の心拍リズムの表現を表示すること、のうちの1又は複数を表示することを含む、段落[0058]に記載の方法。
【0060】
医療的イベントの間、患者に対して第2の医療機器が使用されることを確認することは、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されているというインディケーションを、第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの少なくとも1つに提供することを更に含む、段落[0058]から[0059]のいずれかに記載の方法。
【0061】
確認する段階は更に、無線周波数信号を交換すると、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されていることを判定することを含む、段落[0058]から[0060]のいずれかに記載の方法。
【0062】
臨床情報は、医療的イベントの間の患者への心肺蘇生法(CPR)の実施について詳述する、段落[0058]から[0061]のいずれかに記載の方法。
【0063】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR品質のインディケーションを含む、段落[0058]から[0062]のいずれかに記載の方法。
【0064】
CPR品質のインディケーションは、胸部圧迫メトリックのインディケーションを含む、段落[0058]から[0063]のいずれかに記載の方法。
【0065】
第1の臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報は、CPR時間のインディケーションを含む、段落[0058]から[0064]のいずれかに記載の方法。
【0066】
CPR時間のインディケーションは、CPR実施の開始時間、CPR実施の終了時間、CPR実施の継続期間、及び、胸部圧迫タイミングのうちの1又は複数を含む、段落[0058]から[0065]のいずれかに記載の方法。
【0067】
臨床情報は第1の臨床情報であり、医療的イベントの間、第2の医療機器が患者に対して使用されることを確認することは、第1の臨床情報と、第2の医療機器を使用して処置されている患者の身元識別情報、患者又は第2の医療機器の場所、時間、介護福祉士の身元識別情報、及び、第2の医療機器により集められた第2の臨床情報、に列挙する項目のうちの1つ又はそれらの組み合わせに関する情報との間の相関性を判定することを含む、段落[0058]から[0066]のいずれかに記載の方法。
【0068】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のその他の実施形態も、例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明より当業者には明らかになるであろう。従って、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定するものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本開示の実施形態による例示的な動作環境を示す。
【0070】
図2】本開示の実施形態による例示的なコンピューティング機器を示す。
【0071】
図3】本開示の実施形態による例示的な動作環境を示す。
【0072】
図4】本開示の実施形態による例示的な医療機器の管理の方法を示すフロー図である。
【0073】
図5】本開示の実施形態による動作環境の例示的なオペレーションを示す。
【0074】
図6】本開示の複数の実施形態による、1又は複数の医療機器を含む例示的なデータ共有システムを示す。
【0075】
図7】本開示の複数の実施形態による、1又は複数の医療機器からのデータ受け渡しの例示的な方法を示す。
【0076】
図8】公開鍵基盤の例を示す。
【0077】
本発明は様々な変更及び代替的な形態に対応可能であるが、複数の特定の実施形態が例として図面に示されており、以下に詳細に説明される。しかし、本発明は説明される複数の特定の実施形態に限定されるものではない。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲に含まれる全ての変更例、均等例、及び代替例を包含するよう意図されている。
【0078】
「ブロック」という用語は、本明細書において、例示的に採用される異なるコンポーネントを意味するために用いられ得るが、個々の段階の順序を明示的に参照しない限り、また、参照する場合をのぞき、本明細書に開示される様々な段階の中で、いずれかの要件又は特定の順序を意味するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0079】
様々な種類の施設(例えば、病院、学校、オフィスビル、飛行機、バス等)は、医療的状況における低頻度の使用のために構成される1又は複数の医療機器を備え得る。本明細書において用いられるように、「医療的状況」及び「医療的イベント」という語句は、医療的な注意が求められる、患者が医療的な問題を経験する、又は、患者が治療若しくはケアを受ける、あらゆる状況又はイベントを含み得ること、及び、例えば緊急事態を含むこと、を指すためにその最も広い意味で用いられる。限定するものではないが、例えば、患者が医療的症状を経験し、緊急サービス(例えば緊急医療サービス)への通報がなされたときに医療的イベントが開始し得て、患者が救助され、治療され、搬送され、及び/又は解放されたときに医療的イベントが終了し得る。医療的イベント又は状況が、例えば緊急搬送を含む、医療的イベント内の様々なイベントを含み得る。医療的イベント又は状況は、例えば緊急搬送を含む医療的イベントの中の様々なイベントを含み得る。
【0080】
更に、1より多くの種類の医療機器が、医療的状況/緊急事態において使用され得る。例えば、自動体外式除細動器(AED)は、心停止の患者を伴う医療的状況で使用されるよう設計されており、心停止の患者の補助に対応する、訓練された救急救命士よりも前の最初の対応者によって使用され得る。救急救命士は、異なる医療機器、又は、追加の医療機器を使用して患者の治療に当たり得る。更に、1又は複数の医療機器が、救急車の中、あるいは患者が病院に到着する前に使用され得る。患者が病院に到着すると、異なる医療機器及び追加の医療機器が、救急医及び救急看護師等の、他の種類の医療関係者によって使用され得る。
【0081】
実施形態によると、医療機器は、機器間の通信をするよう構成され、医療機器のうちの1つ上にキャプチャされた臨床情報が、他方の医療機器、及び/又は、対応する患者の記録若しくはファイルに関連する遠隔データベースに表示及び/若しくは格納されることを可能にし、並びに/又は、収集された臨床情報に基づいて、医療機器のうちの1つが他方の医療機器のオペレーションを変更することを可能にする。治療を実施する医師は、例えば、AEDが起動されたときから患者が医療施設に到着するまで、「完全な」イベント詳細を閲覧し、その完全なイベントを見ることが可能となるだろう。アクセスは医療機器間において制御され、その目的は、正しい臨床情報が伝えられることを確実にすること、及び、所与の医療機器が認証されており、他の医療機器上でキャプチャされた臨床情報にアクセスすることが、可能であり、かつ許されていることを確実にすることである。
【0082】
図1は、本開示の実施形態による例示的な動作環境100(及び、いくつかの実施形態においては、本発明の態様)を、例として示す。図1に示されるように、例示的な動作環境100は、1又は複数のネットワーク110を介して1又は複数の管理サーバ108と通信する、多数の医療機器102、104及び106を含み得る。ネットワーク110は、任意の数の異なる種類の通信ネットワークであり得る、又はそれを含む。通信ネットワークとは、例えば、ショートメッセージサービス(SMS)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線LAN(WLAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、ピアツーピア(P2P)ネットワーク、2つ以上の機器間の直接有線接続(例えば、RS-232接続)、及び/又は、2つ以上の機器間の直接無線接続(例えば、がBluetooth(登録商標)接続)等である。実施形態において、ネットワーク110は複数のネットワークの組み合わせであり得る。
【0083】
医療機器102、104、及び/又は106は、緊急事態又は医療的状況における低頻度の使用のために構成され得る。例えば、医療機器102、104及び106は、例えば、自動体外式除細動器(AED)及び/又は携帯型注入器等を含んでよい。医療機器102、104及び/又は106は、例えば、除細動器(例:ZOLL(登録商標) X-Series(登録商標)、E-Series(登録商標)、又はR-Series(登録商標)機器)、自動体外式除細動器(AED)(例:ZOLL(登録商標) AED Pro(登録商標)機器、ZOLL(登録商標) AED Plus(登録商標)機器)、着用型自動除細動器(例:ZOLL(登録商標) LifeVest(登録商標)機器)、携帯型電子注入ポンプ(例:ZOLL(登録商標) Power Infuser(登録商標)機器)、機器システム(例:ZOLL(登録商標) Propaq(登録商標)システム)、胸部圧迫補助機器又は技術(例:ZOLL(登録商標) Real CPR Help(登録商標)、ZOLL(登録商標) AutoPulse(登録商標)、又はZOLL(登録商標) PocketCPR(登録商標))、及び/又は、呼吸補助機器(例:IMPACT(登録商標) Instrumentation ventilators)等、であり得る。医療機器102、104及び/又は106は、処置(例えば、除細動ショック、及び/又は薬品の注入等)を提供し、及び/又は、例えば心拍数、血圧、体温、呼吸数、血中酸素値、呼気終末二酸化炭素濃度値、肺機能、血糖値、及び/又は、体重等の様々な生理的パラメータをモニタリング、検出、及び/又は、取得若しくは計算するよう構成され得る。実施形態において、医療機器102、104及び/又は106は、例えば心電図(ECG)等の波形を決定及び/又は表示し得る。
【0084】
ある特定の複数の例において、医療機器102、104および106のうちの1又は複数が救急医療イベントの第1部分の間に使用され、及び/又は、他の医療機器102、104および106のうちの1又は複数が救急医療イベントの第2部分の間に使用される。例えば、救急医療イベントの第1部分の間に使用される医療機器102、104及び/又は106は、救急医療イベントに対応する最初の対応者によって動作され得るものとして、自動体外式除細動器(AED)、及び/又は、携帯型注入器等を含み得る。他のタイプの医療機器102、104及び/又は106はまた、例えば、救急医療イベントに対応してEMTによって実施され得るものとして、除細動器(例えば、ZOLL(登録商標) X-Series(登録商標)又はE-Series(登録商標)機器)、呼吸補助機器、及び/又は、胸部圧迫補助機器を含む救急医療イベントの第2部分の間等に使用され得る。
【0085】
実施形態において、医療機器102、104及び/又は106は、同じ場所又は異なる場所に配置される。例えば、ある組織が、1又は複数の医療機器102、104及び/又は106を、様々な施設及び/又は地理的に様々な場所等に設置し得る。実施形態において、医療機器102、104及び/又は106は、単一のエンティティ又は複数の異なるエンティティによって管理され得る。示されるように、異なる医療機器102、104及び106は、異なる種類のネットワーク及び/又はネットワークの組み合わせ等を使用して他の機器と通信するよう構成され得る。例えば、医療機器102及び104は、無線ローカルアクセスネットワーク(WLAN)112を介して通信するよう構成され得るが、医療機器106はセルラネットワーク114を介して通信するよう構成され得る。実施形態において、医療機器102、104及び/又は106は、複数の異なる種類のネットワークを介して通信を可能にする技術を含み得、それにより、医療機器102、104及び/又は106は、ある種類のネットワークから他の種類のネットワークへと移行することが出来る。
【0086】
実施形態によると、医療機器102、104及び/又は106は、機器の準備情報、機器の性能情報、及び/又は、臨床イベント情報等の情報を、管理サーバ108に提供するよう構成される。機器の準備情報又はデータは、医療機器が設計された目的である機能を果たすための能力を担い得る、医療機器の1又は複数のコンポーネントの状況に関連付けられたあらゆる情報を含んでよい。例えば、機器の準備情報は、1つの又は複数のバッテリ、電極、センサ、及び/又は、通信コンポーネント等の状況、状態、及び/又は電池残量に関連する情報を含んでよい。機器の性能情報又はデータは、医療機器のコンポーネントの性能及び/又は機能に関連するあらゆる情報を含んでよい。例えば、機器の性能情報は、例えば、心停止状況の間に除細動ショックがどのように加えられたか、その状況の間に加えられた、ショックのエネルギー値及び/又はショックの回数等、医療的状況及び/又は緊急事態の間に医療機器が実行した機能に関する情報を含んでよい。臨床イベント情報又はデータは、臨床イベントの間に記録される、患者に関連するあらゆる情報を含んでよい。例えば、臨床イベント情報は、生理的パラメータ、患者の人口統計情報、患者のECGデータ、機器誘導の(prompting)記録、機器の動作及びオペレーション、CPR(心肺蘇生)性能データ、不具合、エラー、及び/若しくは音声記録、並びに/又は同様のものを含んでよい。
【0087】
医療機器102、104及び/又は106は、管理サーバ108に通信可能に結合されており、いくつかの実施形態においては、管理サーバ108と直接通信するよう構成される一方で、他の実施形態においては、医療機器102、104及び/又は106は、管理サーバ108と通信するよう構成される、収集サーバ116と通信するよう構成される。実施形態において、効率を改善するため、医療機器102、104及び/又は106の全ては、単一のユニフォームリソースロケータ(URL)に情報を伝送することによって、その情報を管理サーバ108に提供するよう構成され得る。管理サーバ108及び収集サーバ116は、本明細書においてそれぞれ単数形で参照されるが、管理サーバ108及び収集サーバ116は、複数のサーバインスタンス内に(例えば、サーバクラスタとして)実装され、複数のコンピューティング機器にわたって分散され、及び/又は、複数の仮想マシン内でインスタンス化される等であり得る。
【0088】
更に、Apple iPad(登録商標)、iPhone(登録商標)若しくはiWatch(登録商標)などのユーザ機器、又は、Google Glass(登録商標)等の身体装着型機器があり得、一又は両方のどちらかのローカル医療機器102、104及び遠隔医療機器106からの特定のデータを閲覧するために医療関係者によって使用され得る。本説明において、医療機器102、104からの特定のデータを表示する、又はそうでなければ、医療関係者と通信する、これらのユーザ機器はまた、本願において例えば医療機器として称される。他の実施形態において、WLAN(例えば110)のエリア内にある医療機器のうちの1つは、サーバ機能を提供し得、医療機器102、104であることに加えて、ローカルレベル112でネットワークを提供するサーバ機器であり得る。ローカル医療機器102、104のうちの1つはまた、ローカルエリアにおいて、医療機器102、104の間の通信トラフィックをルーティングするルータ機能を提供し得る。
【0089】
新しい医療機器が現場に(例えば、医療的イベントの場所に)到着するとき、及び、医療関係者が出発し医療機器が去るとき、互いに近接している医療機器102、104に対して、安全、かつ動的に再構成可能なネットワークが、動的な様式で提供され得る。いくつかの実施形態において、ネットワークは自己構成可能である。つまり、医療機器及び他のユーザ機器自体が、任意の必要なサーバ、ルーティング、及び他の通信機能を提供する。この構成は、例えば、病院到着前の環境などの移動中の環境において実装され得、患者の自宅又は公共の場における医療的状況に対して患者に処置を施す。病院の環境において、無線ルータはユビキタスであり、それにより病院のネットワーク上のローカルな医療機器から分離して存在している、より有能なサーバへのアクセスが提供される。医療機器がサーバ機能を提供する場合、医療機器及び他のローカル機器から収集されたデータは、メイン収集サーバ116及び/又は管理サーバ108に安全に通信可能に接続出来るまで、サーバ医療機器上に一時的に格納され得る。
【0090】
一実施形態において、医療機器間のローカルネットワークは、サーバが第1に採用しているネットワーククローキング(network cloaking)によって動的かつ安全に確立されており、それによると、例えば、サーバはそのサービスセット識別子
(SSID)のブロードキャストを抑制する。すると、一実施形態によると、任意の追加の医療機器又はユーザ機器が、そのSSIDを明確に要求する場合にのみ参加することが出来る。そのブロードキャストされなかった、予め知られているSSIDは、「ZOLLMEDICAL」のように単純であり得るし、又は、より複雑な、見かけ上ランダムな英数字のシーケンスであり得、共通の発信者(例えば、ZOLL Medical Corporation由来の機器)により所有されている機器、又は、同じマスター鍵を提供されている機器にのみ知られているマスター鍵を使用し、暗号アルゴリズムを介して生成され得る。いくつかの場合には、そのようなマスター鍵は更に、例えば日付を組み込んだシードを使用して、イベントの際に暗号化され得る。
【0091】
Wikipedia(登録商標)及び他のソースにより説明されるように、いくつかの実施形態において、予め承認されたMACアドレス及びMACフィルタリングのみが用いられ得る。予め共有された鍵モード(PSK、パーソナルモードとしても知られる)もまた用いられ得る。WPA2-PSK及びWPA2-EAPの両方が、サプリカント(クライアント)及びオーセンティケータ(AP)の両方に知られているペアワイズマスター鍵(PMK)をもたらす。(PSKにおいて、PMKはパスワードから直接取得されるが、一方、EAPにおいては、それは認証プロセスの結果である。)4ウェイWPA2ハンドシェイクは、サプリカント及びオーセンティケータに両方ともPMKを知っているということを互いに本質的に証明し合わせ、ネットワークデータを実際に保護するために使用される一時的な鍵を生成する。
【0092】
4ウェイハンドシェイクをキャプチャすることで、PMK又はPSKが漏えいすることはない(なぜなら、ハンドシェイクをキャプチャすることは、無線を介して容易に達成されるからである)。PMKはまた、ハンドシェイクの間は送信されないが、代わりに、メッセージ完全性チェック(MIC)を計算するのに使用される。256ビットマスター鍵(PMK)は、パスフレーズ及びSSIDの組み合わせを使用して生成され得る。しかし、一実施形態によると、このPMKはハンドシェイクの間は交換されない。このような実施形態によれば、交換されるのはノンス値(Nonce value)(ランダムな数)である。APはメッセージ1でAノンスを送信する。ステーションはメッセージ2でSノンスを送信する。セッション鍵は、一実施形態によれば、2つのノンス及びPMK及びMacアドレスの組み合わせを使用して生成され得る。
【0093】
代替的に、公開鍵基盤(PKI)が安全なチャネルの確立のために使用され得る。公開鍵基盤(PKI)において、証明書は認証の目的のために使用される。証明書は、一例によると、オーセンティケータが、ユーザに関するいかなる事前の知識(PSKで使用される、予め共有された鍵、等)も有することなしに、ユーザの身元識別情報を検証することを可能にする仮想文書である。公開鍵基盤にはいくつかの形式が存在する。図8は、PKI認証アーキテクチャの一例である。図において、数字はイベントの順序を示す。図8において、PKIアーキテクチャは簡潔な形式で示され、認証局(CA)804と呼ばれる一つの追加のエンティティが関与する。全てのピアに対するセットアッププロセスは、CA804で証明書を入手することである。CAは、1度は「対面で」身元識別情報を確認する責任がある。近距離通信(NFC)携帯電話の場合、例えば、電話及び/又は安全なエレメントを製造している間に、セットアッププロセスは、「対面の」チェックインとして実施することが出来得る。CA804が要求者の身元識別情報を検証した後、ピア1(P1)802を呼び出し、証明書Cp1 808を作成し署名する。周知の証明書の規格には、RFC 2459にて定義されたX.509がある。証明書808上の情報1は、ピアの識別情報(Ip1と称され得る)、及び、それに署名したCA(Icaと称され得る)、公開鍵(Kpub、p1)、及び署名(Sp1)を含む。
【0094】
署名は、CAの秘密鍵(Kpriv、ca)803を使用してKpub、p1及びIp1をハッシング及び暗号化することによって計算される。署名の後、CA 804は要求者802にその証明書Cp1 808を与える。更に、CA804はそれ自体の証明書(Cca)806を、公開鍵(Kpub,ca)を保有する要求者に提供する。一例によると、Cca 806は、他の証明書に署名するために使用され得ることをインディケートする特別な種類の証明書であるが、しかしCCA自体は署名されていない。一例によると、この後、セットアッププロセスは終了される。
【0095】
全てのピアが、信頼されたCA証明書のリストを保持し、この例においては、これはそのリスト内のCAのうちの1つによって署名された証明書を有するピアのどれもが信頼されていることを示唆する。従って、このような例において、このリストは注意深く選択され、意図しない変更から保護され得る。2つのピアp1 802及びp2 805が互いを認証したい場合、それらはまず証明書を交換する。それらはそれぞれ、証明書がそれらが信頼するCAにより署名されていることを検証する。これは、CAの公開鍵(CAの証明書上にある)を有するピア証明書上の署名を復号化することにより実行される。次に、ピアはそれぞれ、他方が証明書上の公開鍵に対応する秘密鍵を所有していることを検証する。これは、PSKにおいて実行されるのと同様、チャレンジ/レスポンス機構により実行され得る。CA804の秘密鍵を含む秘密鍵は、この例においては、その所有者に秘密のままである。ここで説明されている例では、1つのCAを有するPKIが説明されてきたが、複数の認証局の階層基盤を有することも可能であり、その場合ティア2の複数の認証局はティア1の認証局により署名された証明書を有し、それは次にルート認証局により署名される。ルート認証局は、自己署名された証明書を有し得る。これは、いくつかの場合には、署名はそれ自体の秘密鍵から計算され、ルート認証局の下の階層にある認証局が、ルート認証局の信頼性を継承することを意味する。このアーキテクチャは、負荷分散の目的で、大きなシステムにおいて有用であり得る。EAP-TLS、EAP-TTLS、EAP-IKEv2等のPKIスキーム、又は、当業者に公知の他のスキームが、本開示に基づき用いられ得る。
【0096】
代替的に、ZigBee(登録商標)等の動的に再構成可能かつ安全なメッシュネットワークプロトコルが用いられ得る。ZigBee(登録商標)は、小型で低電力のデジタル無線から構築されるパーソナルエリアネットワークを作成するのに使用される一連の高レベル通信プロトコルの仕様であり、IEEE802.15.4規格に準拠している。
【0097】
いくつかの実施形態によると、Wikipedia及び他のソースにより説明されるように、ZigBee(登録商標)機器は以下の3種類であり得る。
【0098】
1つ目は、ZigBee(登録商標) Coordinator(ZC)である。いくつかの実施形態によると、最も有能な機器で、Coordinatorはネットワークツリーのルートを形成し、他のネットワークにブリッジすることもあり得る。それぞれのネットワークには、厳密に1つのZigBee(登録商標) Coordinatorが存在する。なぜなら、いくつかの実施形態によると、そのネットワークを最初に始動したのがその機器だからである(ZigBee(登録商標) LightLink仕様はまた、ZigBee(登録商標) Coordinatorなしのオペレーションを可能とし、既製の家庭用製品に対してより使いやすくなっている)。いくつかの実施形態によると、ネットワークに関する情報を格納し、セキュリティ鍵のためのトラストセンタ及びリポジトリとして機能することを含む。
【0099】
2つ目は、ZigBee(登録商標) Router(ZR)である。いくつかの実施形態によると、Routerは、アプリケーション機能を実行する他に、中間ルータとしても機能し得て、他の機器からのデータを通過させる。
【0100】
3つ目は、ZigBee(登録商標) End Device(ZED)である。いくつかの実施形態によると、親ノード(Coordinator又はRouterのどちらか)と交信するのにちょうど十分な機能を含み、他の機器からのデータをリレー出来ない。いくつかの実施形態によると、この関係によって、ノードはかなりの時間の間スリープしていることが出来、これによりバッテリの寿命が長くなる。いくつかの実施形態によると、ZEDは最小限のメモリを必要とし、従って、ZR又はZCよりも安価に製作することが出来得る。
【0101】
現行のZigBee(登録商標)プロトコルは、ビーコン及び非ビーコンを有効化したネットワークをサポートする。非ビーコンを有効化したネットワークにおいて、非スロット化搬送波感知多重アクセス及び衝突回避方式(CSMA/CA)チャネルアクセス機構が使用される。この種類のネットワークにおいて、いくつかの実施形態によると、ZigBee(登録商標) Routerは通常それらのレシーバを連続的にアクティブにしており、よりロバストな電力供給を必要とする。しかし、これはヘテロジニアスネットワークを可能にし、いくつかの実施形態によると、そこではある機器は連続的に受信し、一方、他の機器は外部刺激が検出された場合にのみ伝送する。
【0102】
いくつかの実施形態によると、ビーコンを有効化したネットワークにおいて、ZigBee(登録商標) Routerと呼ばれる特別なネットワークノードは周期的なビーコンを伝送し、その存在を他のネットワークノードに対して確認する。いくつかの実施形態によると、ノードがビーコン間においてスリープし得、従って、デューティーサイクルは下がりバッテリ寿命が延びる。ビーコン間隔はデータレートに依存する。いくつかの実施形態によると、ビーコン間隔は、250kbit/sにおいて15.36ミリ秒から251.65824秒の範囲、40kbit/sにおいて24ミリ秒から393.216秒の範囲、20kbit/sにおいて48ミリ秒から786.432秒の範囲であり得る。しかし、いくつかの実施形態によると、長いビーコン間隔を有する低デューティーサイクルのオペレーションは、正確なタイミングの恩恵を受けることが多いが、それは低い製品コストへのニーズと競合し得る。
【0103】
一般的に、いくつかの実施形態によると、ZigBee(登録商標)プロトコルは無線をオンにしている時間を最小化する結果、電力の使用を低減させる。いくつかの実施形態によるビーコニングネットワークにおいて、ビーコンが伝送されている間だけ、ノードがアクティブになる必要がある。いくつかの実施形態による非ビーコンを有効化したネットワークにおいて、電力消費は非対称的である。ある機器は常にアクティブであり、一方、他の機器はその殆どの時間をスリープに費やす。いくつかの実施形態によると、ZigBee(登録商標)は128ビット鍵を使用しそのセキュリティ機構を実装する。いくつかの実施形態によると、鍵は、ZigBee(登録商標)レイヤ及びMACサブレイヤの両方によって使用され得るネットワーク、又は、事前インストール、合意、又はトランスポートを介して取得されたリンクのどちらかに関連し得る。いくつかの実施形態によると、リンク鍵の確立は、リンク鍵の対応を制御するマスター鍵に基づいてよい。いくつかの実施形態によると、最終的に、少なくともイニシャルマスター鍵は安全な媒体(トランスポート又は事前インストール)を介して取得される。なぜなら、ネットワークのセキュリティはそれに依存し得るためである。いくつかの実施形態によると、リンク鍵及びマスター鍵はアプリケーションレイヤにのみ可視である。いくつかの実施形態によると、漏えい及びセキュリティリスクを回避するため、異なるサービスが、異なるリンク鍵の一方向バリエーションを用いる。
【0104】
図1に示されるように、ユーザ機器118及び120は管理サーバ108に通信可能に結合され得、管理サーバ108により提供されるサービスにアクセスするよう構成され得る。例えば、管理サーバ108は、医療機器102、104及び/又は108から受信される情報を、ユーザ機器118及び/又は120に提供することを容易にし得る。更に、ユーザは管理サーバ108を利用して、ユーザ機器118及び/又は120を介して、医療機器102、104及び/又は108を構成、及び/又は、それらにソフトウェアアップデートを提供等し得る。
【0105】
本明細書において用いられるように、「通信可能に結合され」という語句は、情報が渡され得るあらゆる結合を指すために、その最も広い意味で用いられる。従って、例えば、通信可能に結合されることは、例えば配線によって電気的に結合されること、例えば光学ケーブルによって光学的に結合されること、及び/又は、例えば無線周波数若しくは他の伝送媒体によって無線結合されることを含む。「通信可能可能に結合されること」はまた、例えば、ネットワーク又は一連の機器及び/又は通信プロトコルを介して等による間接結合又は直接結合を含む。
【0106】
図1に示される例示的な動作環境100は、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関して、いかなる限定を示唆することを意図するものではない。例示的な動作環境100は、本明細書に例示される任意の単一のコンポーネント又は複数のコンポーネントの組み合わせに関する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。更に、図1に示される、又は本明細書に記載の複数のコンポーネントのうちの任意の1つ又は複数は、実施形態において、その中に示される他のコンポーネント(及び/又は図示されていないコンポーネント)のうちの様々なものと統合され得、それらの全ては本発明の範囲内であるとみなされる。例えば、収集サーバ116は管理サーバ108と統合され得、ネットワーク110は、WLAN112及び/又はセルラネットワーク114を含み得る、又はその内部に含まれ得る。
【0107】
実施形態によると、図1に示される動作環境100の様々なコンポーネントは、1又は複数のコンピューティング機器上に実装され得る。例えば、医療機器102、104、106のうちの1又は複数と、管理サーバ108と、収集サーバ116と、ユーザ機器118及び120とは、1又は複数のコンピューティング機器について、それらを含み得、それらに通信可能に結合され得、及び/又は、それらの中に含まれ得る。コンピューティング機器は、本発明の実施形態を実装するのに適切な任意の種類のコンピューティング機器を含み得る。コンピューティング機器の例としては、「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「タブレットコンピュータ」、「ハンドヘルド機器」、及び/又は、医療機器のコンポーネント等の、専用コンピューティング機器又は汎用コンピューティング機器が挙げられ、それらの全ては図1の範囲及び動作環境100の様々なコンポーネントへの参照内で考慮される。
【0108】
図2に示されるように、コンピューティング機器200は、直接的及び/又は間接的に、プロセッサ204、メモリ206、入力/出力(I/O)ポート208、I/Oコンポーネント210、及び電源212のうちの1又は複数の機器を結合する、バス202を含む。任意の数の追加のコンポーネント、異なるコンポーネント、及び/又はコンポーネントの組み合わせはまた、コンピューティング機器200に含まれ得る。バス202は1又は複数のバス(例えば、アドレスバス、データバス、及び/又はそれらの組み合わせ等)を表し得る。同様に、実施形態において、コンピューティング機器200は、多数のプロセッサ204、多数のメモリコンポーネント206、多数のI/Oポート208、多数のI/Oコンポーネント210、及び/又は、多数の電源212を含み得る。更に、任意の数のこれらのコンポーネント及び/又はそれらの組み合わせは、多数のコンピューティング機器200にわたって分散され及び/又は複製され得る。
【0109】
明確性のため、図2の様々なコンポーネントは別個のコンポーネントとして示されているが、実際には、コンピューティング機器200の様々なコンポーネントを描写することは図2ほど明確でない場合がある。例えば、I/Oコンポーネント210は、コンピューティング機器200及び/又はコンピューティング機器200から分離されている機器に内包される機器を含み得る。他の例として、プロセッサ204はメモリを有し得る。そのように、図2の図は1又は複数の実施形態に関連して用いられ得るコンピューティング機器200の例を図示したものに過ぎず、本明細書に記載の複数の実施形態の様々な態様を達成するコンピュータ実行可能命令を実行し得るコンピューティング機器200の任意の数の他の構成はまた、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0110】
複数の様々な実施形態に従って、プロセッサ204(又は複数のプロセッサ)は、メモリ206、及び/又はI/Oコンポーネント210等の様々なエンティティからデータを読み出す。例えば、実施形態において、プロセッサ204は、メモリ206に格納されるコンピュータ実行可能命令214を実行し得る。更に、実施形態において、プロセッサ204は、1又は複数のI/Oコンポーネント210からコンピュータ実行可能命令、信号、及び/又は、他の種類の情報を受信し得る。プロセッサ204が情報を読み出して操作するように、プロセッサ204はメモリ206に情報を格納もさせ得る。
【0111】
本開示の実施形態において、メモリ206は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリの形態でコンピュータ可読媒体を含み、取外し可能、取外し不可能、又はこれらの組み合わせであってよい。媒体例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、光媒体又はホログラム媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶機器若しくは他の磁気記憶機器、データ伝送、又は、情報を符号化するのに用いられ得、例えば量子状態メモリ及び/又は同様のもの等のコンピューティング機器等によってアクセスされ得る任意の他の媒体、を含む。
【0112】
実施形態において、メモリ206は、プロセッサ204に本明細書に記載されるシステムコンポーネントの実施形態の態様を実装させる、及び/又は、本明細書に記載の方法及び/又は手順の実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ実行可能命令を格納する。コンピュータ実行可能命令は、例えば、コンピュータコード、マシンが使用できる命令、及び、例えばコンピューティング機器に関連する1つ又は複数のプロセッサによって実行されることが可能なプログラムコンポーネント等の同様のものを含み得る。そのようなプログラムコンポーネントの例が図3に示されており、システムマネージャ328、通信コンポーネント330、機器ダッシュボード332(及びそのコンポーネント)、及び/又はデータベース336等を含み得る。本明細書において考慮される機能の一部又は全てはまた、ハードウェア及び/又はファームウェア内に実装されてもよいし、又は代替的に実装されてもよい。
【0113】
本開示に記載の実施形態において、1又は複数のプロセッサによって実行されると、コンピュータ実行可能命令は、例えば通信コンポーネントなどの1又は複数のコンポーネントを、1又は複数のプロセッサに開始させ得る。コンポーネントは、プログラムコンポーネント、電気回路、論理モジュール、機械的アセンブリ、及び/又は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの任意の数の異なる種類の組み合わせであり得る、又はそれらを含み得る。「開始」という用語は、その語句が本明細書において用いられるように、インスタンス化、作成、アクティベート、及び/又は利用等を含み得る。つまり、例えば、プロセッサにより開始されるコンポーネントは、プロセッサにより作成、インスタンス化、又は呼び出されるソフトウェアコンポーネントであり得る。他の例として、コンポーネントはプロセッサによってアクティベートされるハードウェア(例えば、電子回路)を含み得る。このように、「モジュール」又は「制御モジュール」又は「通信モジュール」とも称され得る「コンポーネント」は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのうちの2つ以上の組み合わせとして、又はその内部で、開始及び/又は実装されてよく、1つの機器若しくは場所において開始及び/又はインスタンス化及び/又は配置されてよく、又は、代替的に複数の機器及び/若しくは場所及び/又はネットワーク110若しくはクラウド内にわたって分散されてよい。
【0114】
実施形態において、I/Oポート208は、一部は内蔵され得る外部機器及び/又はI/Oコンポーネント210を含む他の機器、コンピューティング機器200が論理的に結合されることを可能にし得る。I/Oコンポーネント210の例としては、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ、プリンタ、無線機器、キーボード、ペン、音声入力機器、タッチ入力機器、タッチスクリーン機器、対話型ディスプレイ機器、及び、マウス等を含む。実施形態において、I/Oコンポーネント210は、例えば表示コンポーネント(例:ディスプレイ、印刷機器、タッチスクリーンI/Oディスプレイ、等)、及び/又は、通信コンポーネント(例:送受信機、アンテナ、等)などを含み得る。
【0115】
図2に示される例示的なコンピューティング機器200は、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関して、いかなる限定を示唆することを意図するものではない。例示的なコンピューティング機器200は、本明細書に例示される任意の単一のコンポーネント又は複数のコンポーネントの組み合わせに関する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。更に、図2に示される複数のコンポーネントのうちの任意の1つ又は複数は、実施形態において、本明細書に図示される他のコンポーネント(及び/又は図示されていないコンポーネント)のうちの様々なものと統合され得、それらの全ては本発明の範囲内であるとみなされる。
【0116】
図3は、本発明の実施形態による例示的な動作環境300を示す。例示的な動作環境300は、ネットワーク306を介して医療機器304と通信するよう構成される管理サーバ302を含む。任意の数の追加の医療機器308は、管理サーバ302とも通信するよう構成され得る。管理サーバ302と医療機器304及び/又は308との間の通信は、一方向又は双方向であり得る。実施形態によると、ユーザはユーザ機器310を利用し管理サーバ302と通信し得る。管理サーバ302は、例えば、図1に示される管理サーバ108であって(又は、それと類似していて)よく、医療機器304及び/又は308は、例えば、図1に示される医療機器102、104及び/又は106であって(又は、それと類似していて)よく、ネットワーク306は、図1に示されるネットワーク110、112及び114のうちの任意の1つ又は複数であって(又は、それと類似していて)よく、ユーザ機器310は、図1に示されるユーザ機器118及び/又は120であって(又は、それと類似していて)よい。
【0117】
医療機器304は、1又は複数のバッテリ312により電力を供給され得て、患者に処置を提供し、及び/又は、その患者から生理的パラメータ測定値を取得するよう構成される患者インターフェースコンポーネント314と、ネットワーク306を介し、情報を管理サーバ302へ伝送することを容易にするよう構成される通信コンポーネント316とを含み得る。実施形態において、患者インターフェースコンポーネント314は、1又は複数の除細動電極(パッド)、及び/又は、1又は複数の注入針等であり得る、又はそれを含み得る。医療機器304は、プロセッサ318及びメモリ320も含み得る。
【0118】
医療機器304は、患者に繋がれている1又は複数の患者インターフェースコンポーネント314(例えば、センサ又は電極)から信号を受信してよく、プロセッサ318を使用して信号を解析し、様々な生理的パラメータをモニタリング、検出、及び/又は、取得若しくは計算してよい。例えば、プロセッサ318は、心拍数、血圧、体温、呼吸数、血中酸素値、呼気終末二酸化炭素濃度値、肺機能、血糖値、及び/又は体重等を、モニタリング、検出、及び/又は、取得若しくは計算し得る。これらの生理的パラメータのうちの任意の1つ又は複数、他の測定されたパラメータ、及び/又は、他の取得されたパラメータ等は、メモリ320に格納され得る。いくつかの実施形態において、医療機器304は、上述の生理的パラメータ、他の臨床イベント情報、及び/又は、構成オプション等のうちの1又は複数に関連するデータを表示するためのディスプレイ322を含む。臨床イベント情報(例えば、臨床イベントの間に医療機器304の使用中に記録された、生理的パラメータ、及び/又は、機器使用メトリック等)、自己診断情報、及び/又は、構成情報等はメモリ320に格納され得る。
【0119】
通信コンポーネント316は、I/Oポート(例えば、論理ポート、仮想ポート、物理ポート等)、1又は複数のアンテナ、1又は複数の送受信機、及び/又は、1又は複数の受信機等を含み得る。実施形態において、例えば、通信コンポーネント316は、例えば、モデムベースダイアルアップ接続に使用するためのRS-232ポート、銅又はファイバ10/100/1000イーサネット(登録商標)ポート、Bluetooth(登録商標)又はWiFi(登録商標)インターフェース、赤外線ポート、及び/又は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート等などの、I/Oポートを含み得る。実施形態において、通信コンポーネント316は、近距離通信、及び/又は、セルラ通信等を容易にするよう構成されてよい。
【0120】
実施形態において、医療機器304は、管理サーバ302へ情報を伝送し、管理サーバ302から通信を受信し、及び/又は、患者データ、機器の状態及び履歴、及び/又は、機器エラーログ等の管理を容易にするよう構成され得る。医療機器304は、ソフトウェアアップデート及び構成情報を、通信コンポーネント316を介して受信するよう構成され得る。実施形態において、医療機器304は、自己診断情報、臨床イベント情報、アラーム情報を、自動で(例えば、プログラムされたスケジュールに従って、及び/又はイベントに応答して等)、及び/又は、手動で(例えば、ユーザ入力に応答して)管理サーバ302に伝送するよう構成され得る。
【0121】
図3に示されるように、管理サーバ302は、プロセッサ324及びメモリ326を含むコンピューティング機器上に実装され得る。実施形態において、管理サーバ302は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを指してよく、1つのコンピューティング機器、多数のコンピューティング機器、1つの仮想マシン、多数の仮想マシン、及び/又はサービス等であり得る、又はそれらを含み得る。例えば、管理サーバ302は、スタンドアロンサーバ機器又はサーババンクであり得る。実施形態において、管理サーバ302は、例えば、ユーザ機器310等のコンピューティング機器によって実行されるよう構成されるソフトウェアであり得る。例えば、システムマネージャ328、通信コンポーネント330、及び/又は、機器ダッシュボードサービス332等の様々なプログラムコンポーネントが、メモリ326に格納され得る。実施形態において、プロセッサ324はシステムマネージャ328、通信コンポーネント330、及び/又は、機器ダッシュボードサービス332を実行する。
【0122】
システムマネージャ328は、医療機器304及び/又は306、及び/又は、機器ダッシュボードサービス330等の様々な態様の管理を容易にし得る。例えば、システムマネージャ328は、管理サーバ302と医療機器304及び/又は306との間の通信を調整し、ログイン及び認証手続を容易にし、データベース336に格納されるユーザアカウント及びアカウント情報334を作成、削除、操作、及び管理し、データベース336に対して対話し、クエリし、及び/又はインデックスし、他のシステム(例えば、電子カルテ(EMR)システム、管理システム、及び/又は、保険/会計システム)との統合を容易にし、関連する法律及び規制の順守を維持するためのオペレーション及び手続を容易にし、及び/又は、管理サーバ302の実施形態の様々な態様の構成及び/又はカスタマイズを容易にする等、を行うよう構成され得る。データベース336は、1又は複数の表、1又は複数のリレーショナルデータベース、1又は複数の多次元データキューブ、及び/又は、1又は複数の非リレーショナルデータベース等であり得る、又はそれらを含み得る。更に、単一のコンポーネントとして示されているが、データベース336は実際、単一のコンピューティング機器上に実装され得る又は多数のコンピューティング機器及び/又はメモリコンポーネント等に分散され得る、例えばデータベースクラスタ等の複数のデータベース336であり得る。
【0123】
通信コンポーネント330は、医療機器304の通信コンポーネント316として類似の態様を含み得、医療機器304の通信コンポーネント316と通信するよう構成され得る。通信コンポーネント330と通信コンポーネント316との間のこの通信は、機器同士の直接通信であり得、及び/又は、ネットワーク306を介する、及び/若しくは、1又は複数の他の機器308、310、336を介する間接通信でもあり得る。実施形態において、動作環境300は、収集サーバ(例えば、図1に示される収集サーバ112等)を含み得る。その場合、通信コンポーネント330は、医療機器304の通信コンポーネント316と通信するよう構成され得る、収集サーバの通信コンポーネントと通信するよう構成され得る。実施形態において、通信コンポーネント330はまた、管理サーバ302及び医療機器308、ユーザ機器310、他の機器、及び/又は他のシステム等の間の通信を容易にするよう構成され得る。
【0124】
実施形態において、通信コンポーネント330は、医療機器304及び/又は308から、例えば無線通信で、機器の準備情報338、機器の性能情報、及び/又は、臨床イベント情報340を受信するよう構成され得る。示されるように、受信された情報338及び/又は340は、データベース336に格納され得る。実施形態によると、通信コンポーネントはまた、USBフラッシュドライブ、CD-ROMディスク、及び/又は、任意の数の他の記憶媒体及び/又は伝送媒体から、情報(例えば、機器の準備情報、機器の性能情報、及び/又は、臨床イベント情報)を受信するよう構成され得る。
【0125】
通信コンポーネント316及び330(及び512)が機器に関連するボックスとして図3及び図5に示されているが、上述したように、そのような「コンポーネント」又は「モジュール」は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのうち2つ以上の組み合わせとして、又はその内部で、開始及び/又は実装されてよく、1つの機器又は場所において開始及び/又はインスタンス化及び/又は配置されてよく、又は、代替的に複数の機器及び/又は場所にわたって分散されてよい。例えば、通信コンポーネント316、330及び/又は512のうちのいずれか1つは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの何らかの組み合わせであり得、複数の機器にわたって分散されている、通信中の情報又はデータを収集している機器と同じ機器内又は機器上で開始されてよく、及び/又は、通信中の情報又はデータを収集している機器とは異なる機器上で開始されてよい。
【0126】
実施形態によると、機器ダッシュボードサービス332は、ユーザの医療機器の管理についてユーザを補助するよう構成されるアプリケーションであり得る。機器ダッシュボードサービス332は、ユーザが医療機器を管理する中心的な場所として機能し得る。機器ダッシュボードサービス332へのアクセスは webベースであってよく、オプションとして、コンピュータシステム/ネットワークに顧客がアプリケーションを追加し得る。機器ダッシュボードサービス332は、任意の数の異なる医療機器と互換性を有し得るよう構成されてよく、ユーザが医療機器及び/又は競合する機器等に関する追加の情報を入力することが出来るよう構成され得る。このようにして、機器ダッシュボードサービス332は、実施形態において、医療機器の管理を整理して簡略化すること、医療機器を遠隔モニタリングすること、AEDソフトウェアを遠隔管理すること、医療機器を遠隔構成すること、臨床イベント情報を閲覧すること、及び/又は、機器の準備(自己診断)情報を閲覧すること等を容易にし得る。
【0127】
実施形態によると、機器ダッシュボードサービス332は、医療機器304及び306、医療機器304及び306から受信される情報、及び/又は同様のものの管理を容易にするよう構成され得る。図3に示されるように、機器ダッシュボードサービス332は、(ディスプレイ(図示せず)を含み得る)ユーザ機器310上のGUI344の表示を容易にするよう構成されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)コンポーネント342を含む。GUI344がユーザ機器310上で動作中のブラウザ346を使用してレンダリングされている様子が図示されているが、実施形態において、GUI344は、クライアントアプリケーション、ブラウザプラグイン、アプリケーションプラグイン、及び/又は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)等を使用して提供され得る。GUI344は、例えば、機器の準備情報、機器の性能情報、臨床イベント情報、構成情報、ソフトウェアステータス及び/又はアップデートに関連する情報、医療機器に対応する位置の情報、ユーザ情報、及びアカウント情報等を含む、任意の数の異なる種類の情報をユーザに表示することを容易にし得る。
【0128】
実施形態において、例えば、医療機器304はAEDであってよく、また、GUI344は、自己診断レポートから生成される以下の機器情報を表示するよう構成されてよい。機器情報とは、最新の自己診断の結果、機器のシリアルナンバー、電極の状況/使用期限、バッテリの状況/使用期限、機器ソフトウェアの改訂、機器ユーザID(プログラムされている場合)、及び/又は、機器の自己診断の実行間隔、である。自己診断に不合格となると、該当する場合には、例えば、自己診断に「不合格」となった統合機器、及び/又は、自己診断に不合格となった理由等の情報を集計及び表示することになり得る。
【0129】
実施形態によると、機器ダッシュボードサービス332は、GUI344を使用しての表示、印刷、及び/又は転送等され得るレポートを、GUIコンポーネント342に提供させるよう構成されてよい。例えば、機器ダッシュボードサービス332は、周期的に、自己診断に合格したことを、電子メール及び/又はGUI344等を介し、ユーザに通知してよい。他の例において、毎日、毎週、及び/又は、毎月のレポートが提供されてよい。更に、実施形態において、レポート、アラート、及び/又は、他の種類のデータが、電子メール、及び/又はショートメッセージサービス(SMS)メッセージ等を介し、ユーザに提供されてよい。
【0130】
実施形態によると、管理サーバ108、302は、機器の準備情報を受信、管理、及び表示するよう構成され得る。機器ダッシュボードサービス332は、医療機器304の準備状況についての最新の情報を、ユーザに提供するよう構成され得る。この情報は、機器の準備状況(例えば、医療機器304が最新の自己診断に合格したかどうかに関するインディケーション)と、電極の使用期限/準備状況と、バッテリ情報(例えば、バッテリに最低1回の救助のために十分な電力が残されているかどうか)とを含み得る。特定の実施形態によると、管理サーバ108、302は、機器の性能情報又はデータを受信、管理、及び表示するよう構成され得る。
【0131】
実施形態によると、管理サーバ108、302はまた、臨床イベント情報を受信、管理、及び表示するよう構成され得る。機器ダッシュボードサービス332は、医療機器304から一度ダウンロードされれば、完全なイベント情報をユーザに提供するよう構成され得る。このデータは、HIPPAに準拠した方法でダウンロードされてよい。ダウンロードされると、ユーザは、メインスクリーンにおいて、基本機器情報と共に、機器の動作及び誘導を閲覧することが可能となり得る。このメインスクリーンから、ユーザは、例えばECG及びCPR解析等の追加のタブへ移動することが可能となり得る。臨床イベント情報がダウンロードされると、機器ダッシュボードサービス332は、医療機器がデータを記録した、複数の言語での誘導及び/又は基本情報の表示を提供するよう構成され得る。実施形態によると、臨床イベント情報は、イベントログ及び機器誘導ログ、ECG及び波形、CPR解析、CPR品質誘導、及び、スクリーンを含み得る。
【0132】
機器ダッシュボードサービス332は更に、構成情報を医療機器304及び/又は308に提供するよう構成される構成コンポーネント348を含む。実施形態において、医療機器304は、ユーザによって選択され得る多くの異なるオプションに基づいて構成可能であってよい。ユーザは、医療機器304に直接ユーザ入力を提供することによって、及び/又は、構成コンポーネント348を介して医療機器304に構成情報を提供すること等によって、医療機器304を構成することが可能であり得る。実施形態において、例えば、構成コンポーネント348は、GUI344を介してユーザ入力を受信し、様々な構成オプションを構成してよい。構成情報(構成されたオプションを含む)は、構成コンポーネント348を使用して、医療機器304に提供され得る。実施形態において、例えば、構成情報は構成ファイルで医療機器304に提供されてよく、医療機器304は、その構成ファイルの読み出しとパース、構成情報の抽出、及び、その構成情報に基づき、医療機器304自体を構成するよう構成されてよい。機器ダッシュボードサービス332により、同じ構成情報をユーザが管理している(類似の種類の)全ての医療機器に、固有の構成情報をそれぞれの医療機器に、及び/又は、上記の様々な組み合わせを、ユーザが提供することが可能となり得る。実施形態によると、構成コンポーネント348は、ネットワーク306を通して医療機器304に伝送される、及び/又は、記憶媒体(例えば、USBフラッシュドライブ)にダウンロードされる等の構成情報を提供し得る。
【0133】
任意の数の異なるオプション、特徴、及び/又は、設定等は、構成情報を使用して構成され得る。ユーザによって構成可能な構成オプションの特徴及び/又は設定の種類は、ユーザに割り当てられた役割、法規制の順守による制限、及び/又は、安全性の考慮等に基づいていてよい。実施形態において、例えば、医療機器304はAEDであってよく、以下の表1に示される構成オプション及びパラメータは、第1種のユーザ(例えば、非管理者)に利用可能なものであり得、一方、以下の表2に示される構成オプション及びパラメータは、第2種のユーザに利用可能なものであり得る。
【表1】
【表2】
【0134】
図3に示されるように、機器ダッシュボードサービス332はまた、医療機器304にソフトウェアアップデートを提供するよう構成されるアップデートコンポーネント352を含み得る。実施形態によると、アップデートコンポーネント352は、ネットワーク306を通して医療機器304に伝送される、及び/又は、記憶媒体(例えば、USBフラッシュドライブ)にダウンロードされる等のソフトウェアアップデートを提供し得る。更に、アップデートコンポーネント352は、スケジュールされたソフトウェアアップデート、及び/又は、周期的なソフトウェアアップデート等を可能にするよう構成され得る。
【0135】
実施形態において、機器ダッシュボードサービス332は、管理サーバ302により提供される1又は複数のサービスを使用するためにユーザが登録するのを補助するよう構成される、顧客登録ウィザード350を含み得る。顧客登録ウィザード350は、ユーザに登録プロセスを段階的に説明し、そのユーザから様々な種類の情報を集め、その情報を様々な適切なサービス、データベース、及び/又は、エンティティ等に送信するよう構成され得る。例えば、登録ウィザード350は、特定のユーザ機器、ユーザ、組織、単一の医療機器、医療機器群、及び/又は、ユーザアカウント等に対応するログイン証明書の作成を要請し、及び/又はその作成を容易にし得る。これらのログイン証明書は、第1のサービス及び/又はエンティティに提供され得る。登録ウィザード350は、第2のサービス及び/又はエンティティに提供され得るアカウント設定情報の作成を要請し、及び/又はその作成を容易にするよう構成され得る。更に、例えば、登録ウィザード350は、第3のサービス及び/又はエンティティに提供され得る、機器保証登録情報を要請するよう構成され得る。任意の数の異なる種類の情報が、ユーザから要求され得、及び/又は、登録手続において生成され得て、登録ウィザード350は、任意の数の異なる種類の情報を、任意の数の異なるサービス及び/又はエンティティに提供することを容易にし得る。
【0136】
登録プロセスにおいて、ユーザは、機器ダッシュボードサービス332に関連する、任意の数の様々な態様、特徴、及び/又は、オプション等を構成し得る。実施形態において、例えば、ユーザが通知頻度を指定することが可能であり得る。その通知頻度は、医療機器304が管理サーバ302に情報を通信するよう構成されている頻度であり得る。機器ダッシュボードサービス332は、実施形態において、階層化された機器の管理、地理的情報に基づいた医療機器のグループ化、使用される言語の選択、及び/又は、流通パートナー向けのポータルの提供等を容易にし得る。
【0137】
実施形態によると、機器ダッシュボードサービス332は、ユーザの役割に基づく許可を容易にし得る。つまり、実施形態において、特定のアカウント、及び/又は、医療機器群等に関連する各ユーザは、特定の役割を割り当てられ得る。その役割は、様々な種類の情報、及び/又は機能等に対して、ユーザが有するアクセスのレベルを定義する。機器ダッシュボードサービス332はまた、各ユーザの責任を識別し、相対的な評価、法規制の順守、及び/又は、内部ポリシーの順守等、を追跡するためのメカニズムを実装し得る。実施形態において、機器ダッシュボードサービス332は、医療機器の各種類に関連する異なる多数のユーザ種類を管理するよう構成され得る。
【0138】
例として、機器ダッシュボードサービス332は、AEDに関連する様々な種類のユーザを認識するよう構成され得る。つまり、例えば、機器ダッシュボードサービス332は、AED機器自体に関連する5つの主要なユーザの役割を認識し得る。その役割とは、AED保守者、AEDプログラムマネージャ、AED救助者、医療ディレクタ、及び医師、である。明確性及び可能な実施概念を明瞭にする目的で、AEDに関連するこれらのユーザの役割が本明細書にて説明されているが、本発明の実施形態は、任意の数の異なる種類の医療機器に関連する任意の数の異なるユーザの役割をサポートすることを容易にする。
【0139】
実施形態によると、AED保守者が、一群のAED(例えば、1から100以上のAED)を保守する任務を負い得る。AED保守者は、全てのAEDがきちんと動作し、最新であり、及び/又は、電流電極及びバッテリを有すること等を確実にする責任を担い得る。AEDプログラムマネージャは、例えば、AED保守者が存在する多数の場所を管理する任務を負い得る。AEDプログラムマネージャは、AEDプログラム全体(会社、学区、軍事基地、及び同様のもの)に対して責任を担い得、全ての場所が内部及び外部要求のどちらも満たすことを確実にする。実施形態において、階層システムを経由して、AEDプログラムマネージャは、責任を担っている全てのAEDに関連する情報を閲覧する能力を提供され得る。AED救助者は、臨床患者イベントの間、AEDを操作し得る。
【0140】
実施形態において、医療ディレクタは、多数のAEDを経由して医療指示を提供し得る。医療ディレクタの責任は、例えば、医療ディレクタの監督下にあるAEDの全てが適切に保守されていることを確実にすること、全てのAEDのサイトに最新のCPR/AED資格を保有する対応者がいることを確実にすること、イベント後のサポート及び/又は臨床イベントデータレビューを提供することを含み得る。従って、例えば、医療ディレクタは、場所を迅速に閲覧する能力を提供され得る。その場所とは、例えば、医療的緊急事態に応答するために、機器の準備状況及び場所の準備状況を確認する等の、AED管理の様々な側面に関する順守を確認するために彼らが管理を担当している場所である。更に、実施形態において、AEDを臨床的に使用したすぐ後に、医師は臨床イベント情報を閲覧する能力を提供され得る。
【0141】
同様に、機器ダッシュボードサービス332は、多数のダッシュボードユーザの役割を認識するよう構成され得る。例えば、実施形態において、ダッシュボードユーザは、1つのAED又は複数のAEDの管理及び保守することに対して責任を担い得る。更に、これらのユーザは、臨床イベント情報のダウンロード及び/又はレビューに対して責任を担い得る。実施形態において、これらのユーザは、4つのユーザの役割(管理者、サイトユーザ、医療ディレクタ/医師、及びEMS機関)のうちの割り当てられた1又は複数の役割であり得る。
【0142】
例えば、管理者は複数の場所に分散する複数のAEDの管理について責任を担い得る。それら複数の場所は、(例えば、国、州、又は町等によって)さまざまであり得、各サイトに特定の責任を担うユーザがいる。管理者は、全てのサイト、及び/又は、複数のサイトグループ等を管理することに責任を担い得る。管理者の責任に関する例示的な活動は、「善きサマリア人」の法の順守を確実にすること、AEDプログラム順守を確実にすること、機器の準備状況を確実にすること、CPR/AED訓練を提供すること、及び、機器構成を容易にすることを含み得る。実施形態において、管理者の主要な任務は、割り当てられた任務がAEDプログラムの管理である場合があり得るので、AED機器の管理を伴わない場合もある。
【0143】
実施形態において、サイトユーザは、個々の場所に関連する全てのAEDに対して責任を担い得る。サイトは一顧客に関連した複数の場所のうちの1つであり得るので、サイトユーザは管理者に報告してよい。サイトユーザの責任に関する例示的な活動は、機器の準備状況、機器の性能、及び/又は緊急対応チームの訓練等を確実にすることを含み得る。医療ディレクタ/医師は、複数の場所の複数のAEDに対して責任を担い得て、処方医であってよい。医療ディレクタ/医師は、複数の場所に配備されたAEDに対して責任を担い得る。彼らは、全てのサイトがAEDを適切に保守し、訓練認証に準拠していることを確実にする責任を担い得る。更に、医療ディレクタ/医師はまた、イベント後のサポートを提供し得、及び、臨床イベント情報をレビューし得る。医療ディレクタ/医師の責任に関する例示的な活動は、個々のサイトコンプライアンスを追跡すること、イベント後のサポートを提供すること、及び/又は、臨床イベント情報のレビュー、等を含み得る。更に、実施形態において、EMSサービスがPAD(Public Access Defibrillation)プログラムを提供する場合、EMS機関はまた、「管理者」であり得る。更に、機器ダッシュボードサービス332は、例えば、心停止の緊急事態の最寄りのAEDの場所の発信のアラートをすることを、EMS応答ソフトウェアに統合するよう構成され得る。
【0144】
実施形態によると、管理サーバ302、医療機器304、ユーザ機器310、及び/又は、例えば管理システム(例えば、図5に示される管理システム542)等の他のシステムコンポーネントは、医療機器304から受信される情報を処理し、実施形態において、情報及び/又は処理された情報を活用して追加のサービスを容易にするよう構成され得る。例えば、実施形態において、機器の準備情報、機器の性能情報、臨床イベント情報のうちの任意の1つ又は複数は、処理されて、下記の項目にわたる統計的レポートを生成し得る。その項目とは、地理的エリア、顧客、一群の中の機器、機器の種類、特定の年月が経過した機器、バージョン、及び/又は、構成、環境条件(例:標高、平均気温、気温の範囲、平均湿度、湿度の範囲、平均気圧、気圧の範囲、太陽露光レベル及び/又は時間、及び/又は、大気汚染物質の種類及び/又はレベル、等)、使用状況(例:使用頻度、使用の性質、及び/又は、使用期間、等)、ユーザの人口統計値(例:ユーザの役割、ユーザの種類、ユーザの年齢、及び/又は、ユーザの経験値、等)、及び/又は、結果(例:介入成功の方策、予後、及び/又は、診断、等)等である。レポートは、定期的に、手動及び/又は自動等で生成され得、任意の数の機器、ユーザ、ユーザグループ、規制機関、及び/又は臨床医等に提供され得る。
【0145】
実施形態において、管理サーバ302、医療機器304、ユーザ機器310、及び/又は、例えば管理システム(例えば、図5に示される管理システム542)等の他のシステムコンポーネントは、任意の数の他の機能、サービス、及び/又は、一群の医療機器を管理することに関連する特徴を容易にするよう構成され得る。例えば、ユーザは、医療機器304に関連するオーディオ/ビデオ機器に遠隔アクセスし、医療会計及び/又は他の金融取引を容易にし、医療情報への要求に応答し、及び/又は、個人の識別が可能な情報を曖昧にする等を行うことが出来得る。
【0146】
図3に示される例示的な動作環境300は、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関して、いかなる限定を示唆することを意図するものではない。例示的な動作環境300は、本明細書に図示される任意の単一のコンポーネント又は複数のコンポーネントの組み合わせに関する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。更に、図3に示される複数のコンポーネントのうちの任意の1つ又は複数は、実施形態において、その中に図示される他のコンポーネント(及び/又は例示されていないコンポーネント)のうちの様々なコンポーネントと統合され得、それらの全ては本発明の範囲内であるとみなされる。例えば、(管理サーバ302の1又は複数のコンポーネント、特徴又は態様を含み得る)webサーバが、医療機器304に統合され得、ブラウザ346によってアクセス可能であり得、及び、1又は複数の他の医療機器308を管理するために使用され得る。医療機器304がこのようにwebサーバを含む状況の実施形態は、例えば、2014年3月14日にBrownらにより出願された、米国特許出願公開第2014/0266794号明細書「PATIENT MONITOR SCREEN AGGREGATION」に開示されており、あらゆる目的に対して、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0147】
上述のように、本発明の実施形態は、多数の医療機器、及び/又は、それらから受信される情報の遠隔管理を容易にするよう構成される管理サーバを提供する。図4は、本発明の実施形態による医療機器の管理を容易にする例示的な方法400を示すフロー図である。図4に示されるように、方法400の実施形態は、医療機器(例えば、図1に示される医療機器102、104、及び/又は106、及び/又は、図3に示される医療機器304及び308)により実行され得て、電源オン(ブロック402)及び自己診断手順を開始すること(ブロック404)を含み得る。実施形態において、医療機器は、プログラムされたスケジュールに従って、1つのバッテリ又は複数のバッテリの装着の際に、電源オン(つまり、電源が入れられる)の際に、及び/又は、ユーザ入力を受信する際に等、定期的に自己診断手順を開始するよう構成され得る。
【0148】
実施形態において、自己診断手順は、任意の数の異なる機能及び/又は特徴等を診断するよう構成され得る。図4に示されるように、例示的な方法400は、患者インターフェースコンポーネントを診断すること(ブロック406)と、1つのバッテリ(又は複数のバッテリ)を診断すること(ブロック408)とを含む。自己診断手順から得られる機器の準備情報を使用して、機器の状態ファイルが生成され、ローカルメモリコンポーネント内に保存される(ブロック410)。実施形態によると、必要な場合には、安全かつ効果的に動作できるように、自己診断手順は、患者インターフェースコンポーネント、バッテリ、及び/又は、通信コンポーネント等の能力を検証するための任意の数の異なるプロトコル及び手順を含み得る。
【0149】
実施形態によると、患者インターフェースコンポーネントは、患者とのインタラクションを容易にするよう構成されるあらゆる種類のコンポーネント(例えば、処置提供コンポーネント、センシングコンポーネント、及び/又は、通信コンポーネント等)を含み得る。例えば、AEDである、又はAEDを含む医療機器の場合、自己診断手順は、除細動電極が機器に適切に接続されていることを検証し、ECG信号の取得及び電子機器を処理することが機能することを検証し、除細動器の電子機器が機能し、所定のレベルに充放電を行うことが可能であることを検証し、マイクロプロセッサ電子機器、及びソフトウェアの完全性の適切な機能を検証し、CPRモニタリングリング及び胸部圧迫深さ検知が機能することを検証し、音声誘導及び/又は視覚インディケータが機能することを検証し、バッテリの電池容量が十分残っているかを検証し、及び/又は、除細動電極に使用可能な電池残量が十分残っているかを検証する、等を含み得る。
【0150】
図4に示されるように、方法は更に、サーバに接続すること(ブロック412)、及び、ファイルをサーバに転送すること(ブロック414)を含み得る。サーバは、例えば、図1に示される管理サーバ108及び/又は収集サーバ116、及び/又は、図3に示される管理サーバ302であり得、又はそれらに類似のものであり得る。任意で、医療機器は、ファイルをサーバに転送した後に電源をオフする(ブロック416)よう構成され得る。例示的な方法400の実施形態はまた、臨床イベントの発生を判断すること(ブロック418)、その臨床イベントの発生を判断することに応答して、記録を開始すること(ブロック420)を含み得る。実施形態において、医療機器は、任意の数の異なる種類の臨床イベント情報(例:心拍数、血圧、体温、呼吸数、血中酸素値、呼気終末二酸化炭素濃度値、肺機能、血糖値、体重、及び/又は心電図、等)を記録するよう構成され得る。医療機器は、いつ臨床イベントが終了したかを決定し(ブロック422)、記録を停止し(ブロック424)、臨床イベントファイルを生成し保存する(ブロック426)。臨床イベント情報を含む臨床イベントファイルは、別の通信及び/又は同様のもので、機器の状態ファイルと共に、サーバに転送され得る(ブロック414)。
【0151】
図5は、本発明の実施形態による動作環境500の例示的なオペレーションを示す、概略的なブロック図である。図5に示されるように、動作環境500は、収集サーバ504に通信可能に結合されている医療機器502(例えば、AED)を含む。医療機器502は、例えば、図1に示される医療機器102、104及び/又は106、及び/又は、図3に示される医療機器304及び/又は308(又は、これらに類似)であり得、収集サーバは、例えば、図1に示される収集サーバ116(又は、それに類似)であり得る。実施形態において、医療機器502は、1又は複数のバッテリ、及び/又は、1又は複数の患者インターフェースコンポーネント(例えば、電極)等の状況を評価するために、周期的な自己診断を実行するよう構成され得る。自己診断の結果は、機器の準備情報として、医療機器502上のローカルメモリに格納され得る。機器の準備情報は、例えば、自己診断の日時、実行される自己診断の種類、及び/又は、自己診断の結果を含み得る。
【0152】
医療機器502は、機器の準備情報506と臨床イベント情報508とを収集サーバ504に通信するよう構成される。収集サーバ504は、例えば、医療機器502の地理的な場所に依存しない、クラウド上にホストされるSaaS(software-as-a-service)実装であり得る。医療機器502はまた、収集サーバ504に対して、性能データ、保守ログ、機器識別子(ID)、及び/又は、機器のシリアルナンバ等を通信し得る。実施形態において、医療機器502はグローバルポジショニングシステム(GPS)、又は、他の位置特定技術を含み得、位置情報を収集サーバ504に通信し得る。他の実施形態において、医療機器502は、GPS又は他の位置特定技術を含まず、その場合、場所情報が収集サーバ504に通信されない。実施形態において、機器IDは、そのテキスト内に医療機器502の位置に関する情報を、含むよう構成され得る。実施形態において、様々な種類の情報が、医療機器502から収集サーバに、機器履歴ファイル(DHF)510として送信され得る。DHF510は、例えば、ある専用のファイルフォーマットを使用して構成され、標準 的なHTTP/SSLを経由して通信されるファイルであり得る。実施形態によると、DHF510は、任意の数の異なるフォーマットを使用して構成され得、任意の数の異なる通信プロトコルを使用して通信され得る。
【0153】
実施形態によると、医療機器502は、任意の数の様々な方法で収集サーバ504と通信を開始し得る。例えば、医療機器502は、手動で(例えば、医療機器502へのユーザ入力に応答して)、及び/又は、自動で(例えば、所定のスケジュールに従って、イベント等に応答して、等)、通信を開始し得る。自動構成において、医療機器502は、DHF510を受信すると、及び/又は、任意の他の構成されたスケジュールに従って、定期的に収集サーバ504とセッションを開始しようと試みるよう構成され得る。実施形態において、医療機器502が収集サーバ504との通信の確立に失敗した場合、医療機器502は、電源をオフにして、スケジュールに従って通信を再び開始することを試みるのを待つ前に、通信の開始をある特定の回数再試行するよう構成され得る。
【0154】
示されるように、収集サーバ504は、医療機器502からDHF510を受信するよう構成される通信コンポーネント512と、DHF510をパースするよう構成されるパースコンポーネント514と、データベース520にパースされた情報518を保存するよう構成されるインデクシングコンポーネント516とを含む。データベース520は、リレーショナルデータベース、表形式データベース、及び/又は、多次元データキューブ等を含み得る。更に、データベース520は、1又は複数のメモリコンポーネント、及び/又はコンピュータ等にわたって分散された1又は複数のデータベースを表し得る。実施形態によると、収集サーバ504は、医療機器502に問い合わせを行うよう構成され得、及び/又は、通信する医療機器のレジストリを保持し得るが、他の実施形態においては、収集サーバ504は、医療機器に問い合わせを行わず、及び/又は、通信する医療機器のレジストリを保持しない。特定の医療機器502に関連する情報は、機器ID、及び/又は、その医療機器502に対応するシリアルナンバに応じて、インデックスされ得る。実施形態において、収集サーバ504は、データベース520を、その中に含まれる情報をパージすることなく構築し続け得るが、他の実施形態においては、収集サーバ504は、データベース520からの情報を連続的又は定期的にパージし、新しい情報のための余地を作り得る。
【0155】
図5に示されるように、動作環境500はまた、管理サーバ522を含み、管理サーバ522は、ユーザ機器524を介して、医療機器502から取得した情報へのユーザアクセスを容易にするよう構成され得る。管理サーバ522は、図1に示される管理サーバ108及び/又は収集サーバ116、及び/又は、図3に示される管理サーバ302であって(又は、それらと類似していて)よい。実施形態において、管理サーバ522は、様々な医療機器502の遠隔保守、モニタリング、及び/又は管理を容易にする。実施形態に示されるように、管理サーバ522は医療機器502と直接通信せず、収集サーバ504を経由してのみ医療機器502から情報を受信する。他の実施形態において、管理サーバ522は医療機器502と直接通信するよう構成され得る。
【0156】
管理サーバ522は、収集サーバ504を介し、任意の数の異なる方法で、医療機器502から情報を取得するよう構成され得る。例えば、管理サーバ522は、特定のクエリ(例えば、機器固有のクエリ)を介してインデックスされた情報528を取得するよう構成されるクエリコンポーネント526を含み得る。クエリコンポーネント526は、ユーザ入力(例えば、ユーザ機器524を介して受信される)に応答して、自動的に、及び/又は、構成されたオプションに従って、等、データベース520にクエリするよう構成され得る。実施形態において、収集サーバ504は、例えば、収集サーバ504により情報が受信された時はいつでも、定期的に、及び/又は、不合格となった自己診断に関連する情報が受信された時はいつでも、等の構成されたオプションに従って、データベース520から管理サーバ522へインデックスされた情報528を送信するよう構成され得る。 信頼性を高めるため、管理サーバ522及び/又は収集サーバ504は、特定の医療機器502に関して受信されるはずの情報が受信されないというイベントにおいて、アラートをユーザ機器524に提供するよう構成され得る。このアラートは、電子メール、及び/又は、ポップアップスクリーン等の形式で提供され得る。
【0157】
管理サーバ522は機器ダッシュボード530を含み得、機器ダッシュボード530は、ユーザ機器524を介してユーザがインタラクトすることが出来るグラフィカルユーザインターフェース(GUI)532を提供するよう構成される。機器ダッシュボード530は、データベース534とインタラクトし、特定のユーザ、ユーザ機器、及び/又は、医療機器群等に関連するアカウント情報536を、格納、取得、及び/又は、操作するよう構成され得る。オペレーションにおいて、例えば、ユーザは、ユーザーネーム及びパスワードを使用して、機器ダッシュボード530によって提供されるサービスにログインすると、そのユーザに登録されている医療機器502に関連する情報が提供される。機器ダッシュボード530は、医療機器を登録し、全体的なコンプライアンスを表すダッシュボードの特徴(例えば、全ての登録医療機器の保守状態)を閲覧し、保守診断をログし、複数の医療機器及びそれらが配置されているサイトに関する情報を閲覧及び編集することを、顧客が行えるように構成され得る。実施形態において、管理サーバ522は、複数の医療機器が配置されている様々なサイトに対応する機器管理のための、役割に基いたシステムを提供する。
【0158】
更に図5に示されるように、例示的な動作環境500は、データベース520と1又は複数のシステム又は機器の間のインタラクションを容易にするよう構成される統合コンポーネント538を含む。例えば、示されるように、統合コンポーネント538はインデックスされた情報528(例えば、臨床イベント情報)を電子カルテ(EMR)システム540及び/又は管理システム542等に提供するよう構成され得る。EMRシステム540は、任意のEMRシステム、及び/又は、複数のEMRシステムの組み合わせ等であり得る。実施形態において、管理システム542は、例示的な動作環境500の実施形態の1又は複数の態様を管理するよう構成されるシステムであり得る。例えば、管理システム542は、管理サーバ522、収集サーバ504及び/又は医療機器502等を管理し、ホストし、及び/又はそうでなければ、提供するエンティティに関連し得る。管理システム542の実施形態は、品質コントロール、ソフトウェアアップデート、構成アップデート、及び/又は、法令順守等を容易にし得る。
【0159】
図5に示される例示的な動作環境500は、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関して、いかなる限定を示唆することを意図するものではない。例示的な動作環境500は、本明細書に例示される任意の単一のコンポーネント又は複数のコンポーネントの組み合わせに関する任意の依存性又は要件を有すると解釈されるべきではない。更に、図5に示される又は本明細書に記載のコンポーネントのうちの任意の1つ又は複数は、実施形態において、その中に図示される他のコンポーネント(及び/又は図示されていないコンポーネント)のうちの様々なものと統合され得、それらの全ては本発明の範囲内であるとみなされる。
【0160】
図6は、本発明の複数の実施形態による、1又は複数の医療機器を含む例示的なデータ共有システム600を示す。図6に示されるように、医療機器602/604のそれぞれには、プロセッサ608、メモリ610、及び、ディスプレイ612が設けられる。特定の実施形態において、医療機器602/604のうちの1又は複数は、患者モニタリング除細動器、又は、自動体外式除細動器であり得る。更に、医療機器602/604のそれぞれに、電力のために1又は複数のバッテリ614が任意で設けられ得る。更に、図3を参照して上述されたように、医療機器602/604のそれぞれに、1又は複数の除細動電極(パッド)、及び/又は、1又は複数の注入針等などの患者インターフェースコンポーネント(図示せず)が設けられ得る。医療機器602/604のそれぞれにまた、プロセッサ608が設けられ得る。プロセッサ608は、例えば通信コンポーネント618と共に、医療機器602/604、及び/又は、一方向又は双方向であり得るクラウドベースのネットワーク606の間の通信を提供するよう構成される。従って、医療機器602は医療機器604と直接通信することが出来(また、その逆も同様)、又は、クラウドベースのネットワーク606を介して医療機器604と通信することが出来る。
【0161】
医療機器602/604のいずれか一方は、救急医療イベントの第1部分の間において使用され得る。特定の例において、救急医療イベントの第2部分のは、救急医療イベントの第1部分の後に発生する。例えば、救急医療イベントの第1部分は、最初の対応者(緊急対応状況における訓練の経験が少ししかない、又は全くない人、等)が患者を支援するように特徴付けられ得る。他の例において、救急医療イベントの第1部分は、救急医療イベントに対応する訓練された医療機器作業員として特徴付けられ得る。医療機器602及び医療機器604のいずれか一方は、救急医療イベントの第2部分において使用され得る。救急医療イベントの第2部分は、例えば、最初の対応者の後に、EMTがその救急医療イベントに従事する、又は、そのEMT及び/又は最初の対応者の後に、病院の医師がその救急医療イベントに従事する状況として特徴付けられ得る。
【0162】
潜在的な救急医療イベントにおいて、(第1の)医療機器602は、患者をモニタリングし、そのメモリ610に第1の臨床情報を格納するよう構成される(そのようなメモリは、機器602上、ネットワーク化された機器上、又はその両方にあり得、及び/又は、機器602を含む、若しくは含まない複数の機器にわたって分散され得る)。 (第2の)医療機器604は、患者をモニタリングし、そのメモリ610に患者に関する第2の臨床情報を格納するよう構成される(そのようなメモリは、機器602上、ネットワーク化された機器上、又は、その両方にあり得、及び/又は、機器602を含む、若しくは含まない複数の機器にわたって分散され得る)。制御モジュール616は、(第1の)医療機器602及び(第2の)医療機器604、又は任意でクラウドベースのネットワーク606に、設けられる、若しくは、それらを提供される。(第2の)医療機器604を設けられた制御モジュール616は、(第1の)医療機器602及び(第2の)医療機器604が同じ救急医療イベントの間に同じ患者に対して使用される、というインディケーションを受信するよう構成される。このインディケーションについては、図7を参照して更に詳細に説明される。インディケーションに基づいて、(第1の)医療機器602上に格納されるような第1の臨床情報へのアクセスは、(第2の)医療機器604により確立される。このアクセスの結果として、(第2の)医療機器604は、そのディスプレイ612上に、救急医療イベントの間の第1の臨床情報のうちの少なくとも一部を表示することが許される。更に、(第2の)医療機器604はまた、第1の臨床情報に基づいて、(第2の)医療機器604のオペレーションを変更し得る。更にまだその上に、(第2の)医療機器604はまた、(第2の)医療機器604のメモリ610に第1の臨床情報を格納し得る。(第2の)医療機器604はまた、クラウドベースのネットワーク606を介して、第1の臨床情報を遠隔データベースに通信し得る。
【0163】
制御モジュール616はまた、(第2の)医療機器604に、(第1の)医療機器602に設けられたメモリ610へのアクセスを提供するよう構成される。特定の実施形態において、臨床情報は、(第1の)医療機器602及び(第2の)医療機器604によって、第1のメモリ及び第2のメモリにそれぞれ格納され得る。第1のメモリ及び第2のメモリは、同じメモリ機器(図6に示されるメモリ610など)の一部であり得る。特定の実施形態において、第1のメモリ610は(第1の)医療機器602上に設けられ、第2のメモリ610は(第2の)医療機器606上に設けられる。クラウドベースのネットワーク606はまた、臨床情報を格納する第1及び第2のメモリを含み得る。このような実施形態において、(第1の)医療機器602及び(第2の)医療機器604は、クラウドベースのネットワーク606を介して無線で通信可能に結合される。
【0164】
特定の実施形態において、医療機器602/604はまた、複数の機器のクロックをインディケートするデータを通信するよう構成される。このように、医療機器602/604は、収集及びログされたデータが同じリファレンスクロックを含むよう、データ伝送を調整することが出来る。医療機器602/604の複数のクロックのそれぞれを同期させることは、データエントリの欠損又は重複による潜在的なエラーを最小限に抑える。複数の機器クロックのタイムスタンピング及び同期させることに関する議論については更に、2013年2月28日に公開された、米国特許出願公開第2013/0049956号が参照され得、あらゆる目的に対して、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0165】
上述のように、医療機器602/604は互いの間で直接、無線で通信することが出来、またクラウドベースのネットワーク606を介し無線で通信することが出来る。このようにウェブサーバがまた、クラウドベースのネットワーク606にアクセスすることが出来る。更に、医療機器602/604はまた、ウェブブラウザを含み得る。従って、通信は、医療機器602/604の1又は複数と、ウェブサーバとの間に、クラウドベースのネットワーク606を介して発生し得る。このように、ウェブサーバに接続される訓練された専門家が、医療機器602/604のうちの1又は複数に設けられたウェブブラウザを介して医療的緊急事態に応答することを通じて、一般市民をガイドすることが出来る。ウェブサーバとウェブブラウザとの間の接続を可能にすべく提供され得る、ウェブソケット接続に関する議論については更に、例えば、2014年3月14日にBrownらにより出願された、米国特許出願公開第2014/0266794号「PATIENT MONITOR SCREEN AGGREGATION」に開示されており、あらゆる目的に対して、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0166】
図7は、本発明の複数の実施形態による、1又は複数の医療機器からのデータ受け渡しの例示的な方法を示すフロー図700である。ブロック702に示されるように、第1の医療機器は電源オンである。これは、遠隔での緊急対応状況の間、又は、病院での緊急対応状況の間に発生し得る。ブロック704に示されるように、第1の医療機器は、患者をモニタリングすることを通して、臨床情報を収集及び格納する。ブロック706に示されるように、第2の医療機器は電源オンである。この点において、第1の医療機器と第2の医療機器との近接度は、ブロック708および710に示されるように判定される。医療機器のそれぞれの近接度は、多数の方法で判定され得て、医療機器のそれぞれが同じ位置に設けられ、同じ患者に対して動作可能であることを判定するセーフガードとして提供される。例えば、特定の実施形態において、医療機器は、Bluetooth(登録商標)又は他の無線周波数信号を交換すると、近接度を判定する(例えば、図6を参照して上述された制御モジュールの使用を含む)。他の実施形態において、医療機器の近接度は、第1の医療機器及び第2の医療機器のそれぞれからのグローバルポジショニングシステム(GPS)信号を受信すると、判定される。更に、他の実施形態において、近接度は、第1の医療機器及び第2の医療機器のそれぞれが共有ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されていることに応答して判定され得る。
【0167】
ブロック712および714に示されるように、医療機器が互いに近くにあるとの判定に応答して、機器のうちの1又は複数がインディケーションの発生を誘導する。インディケーションは、複数の医療機器のディスプレイ上に視覚的に発生、又は、機器に設けられたスピーカから聴覚的に発生し得る。確認のためのインディケーションは、医療機器が接続に対して認証されていることを確実にする。認証は、両方の医療機器が、データを収集し及び/又は同じ患者に対して動作していることを意味し得る。機器が同じ患者に対して動作していない場合、臨床情報の交換は意図された機能を提供し得ない。更に、2より多くの医療機器が、緊急事態(又は、病院)において存在し得る。従って、インディケーションは、機器オペレータによる正しい臨床情報が交換されるかのチェックを可能にする。このようなインディケーションは、可視コード(例えば、両方の機器が同じ組み合わせの光、又は、同じ組み合わせの光の色を示す)、画像等の可視ビーコン、両方の機器が同じ色の光を示す等の可視光、鍵コードについての誘導、可聴誘導、及び/又は、患者の指紋、若しくは、免許証、又は、正しい臨床データが機器間で交換されることを確実にする他の固有の識別情報をスキャンする、などの患者特有の入力であり得る。
【0168】
医療機器は、ブロック716に示されるように、複数の医療機器上でインディケーションが一致した後に、アクセスを提供する。ブロック708-714の周囲の点線は、2つの医療機器をペアリングする認証ステージを表す。複数の機器が互いに近くにない場合、又は、インディケーションが一致しない場合、医療機器はペアリングせず、アクセスは提供されない。次に、ブロック718に示されるように、臨床情報の転送が発生し得る。
【0169】
上述のように発生し得る機器のペアリングに対して、追加的又は代替的に、遠隔サーバ又は「クラウド」を介して達成される臨床イベントデータの受け渡しはまた、自動的に、及び/又は、ペアリング又は医療機器のユーザによる他の介入がある場合又はない場合に、発生し得る。患者に関するデータは、第1の機器102により集められ得、サーバ(例えば、サーバ108及び/又は116)上で利用可能とされ得る、又は、格納され得る。データセットは、1又は複数のインディケーション若しくはフィールド、又は、他の関連事項を含み、それにより患者を特定し、データセットが収集された時間を特定し、データセットが収集された位置を特定し、及び/又は、データ収集、若しくは、データエントリに関連した個人、又は1又は複数のクルーメンバの特定をする。第2の機器104は、同じ医療的イベントの間に同じ患者に対して使用されることが意図される場合、例えば、第2の機器104は、患者を特定する情報、(例えば、クエリがサーバに送られる)時間に関する情報、第2の機器104の位置に関する情報、及び/又は、第2の機器104に関連した、又はそれを使用している個人又はクルーメンバを特定する情報、のうちの1又は複数を遠隔サーバに送信することによって、遠隔サーバにクエリし得る。サーバ(例えば、108)は、情報の1又は複数のそのようなデータポイント又は種類と、格納された臨床イベントデータを一致させるよう試み得る。サーバが一致を識別すると、サーバはその格納された臨床イベントデータを(第1の機器102から)取り出し、それを第2の機器104に送信する。患者情報は、患者の名前、社会保障番号、運転免許証番号、又は、患者に関する任意の他の固有の識別情報を含み得、このような情報は、(例えば、第1の機器102及び/又は第2の機器104、又は、何らかの他の機器を介して)自動で及び/又は手動で入力されサーバにクエリし得る。位置情報は、GPSシステム又は他のナビゲージョンシステム又は測位システムにより供給され得る。クルーの識別情報は、手動でのデータエントリにより、又は自動的に(例えば、無線周波数識別(radio frequency identification)を介して)供給され得、時間情報はクロック又はクロック信号によって提供され得る。
【0170】
言い換えれば、サーバによって機器102から受信されるデータが、患者P、時間T、位置L、及び、臨床データセットに対するクルーメンバCをインディケートする場合、かつ、時間Tにおいて患者Pに対して、又は、時間T及び位置Lにおいて、又は、時間TにおいてクルーメンバCにより、機器104が使用されていることをインディケートするサーバに機器104がクエリする場合、サーバはこの一致に基づき、臨床データセットを機器104に送信し、受け渡しを完了し得る。代替的に、このような一致は、P、T、L、C又はデータセット内の他の要素とのいずれか1つまたは複数の相関性により特定され得る。正確な一致又は直接の相関性がサーバにより観察されない場合であっても、機器102からのデータが機器104に送信されることを可能にするほど十分強い相関性をサーバは特定し得る。例えば、データセットは機器104によってインディケートされる時間よりも2時間前である時間Tにおいて、患者Pから収集されたデータセットであり、そのとき同じ患者Pを治療するために機器104が使用されている。データセットをクエリすることに代わり、サーバ自体が、その通信トラフィックを観察することによって、2つの機器が大体同じ時間に、同じ患者に対して使用されているかどうか判定出来得る。代替的に、サーバは、複数の臨床データセット同士を比較し、特定の患者を一意に特定することをインディケートするほどデータセット間の相関性が十分強いかどうか判定することにより、必要な相関性を特定するよう構成され得る。これは、ニューラルネットワーク、学習アルゴリズム、データセット比較、及び、当該技術分野において公知の他のデータ解析方法で達成され得る。例えば、機器102により観察される時間T1における患者のECG信号は、機器104により観察される時間T2における患者のECG信号と非常に類似している可能性があるので、サーバは、2つの機器102および104が、大体同じ時間に、同じ患者に対して使用されている、又は、使用されていたと認識し、従って、1つの機器により収集された臨床イベントデータの他方の機器への転送、及び/又は、その逆を(例えば、自動で及び/又は確認の後に)開始する。
【0171】
本明細書で議論されるように、臨床情報は、異なる製造元の機器でも互換性があるようなプロトコルを使用して転送され得る。このようなプロトコルは、NEMSIS、又は病院若しくは緊急医療データ等のための任意の他のタイプのデータ規格を含み得る。
【0172】
図6及び7において更に示されるように、臨床データは、例えば救急医療イベントなどの医療的イベントの間に、第1の医療機器602から第2の医療機器604へ受け渡され得る。これは機器同士で直接、及び/又は、ネットワーク606を介して行われ得る。複数の実施形態によると、これを実行するための命令及び/又は処理リソースは、第1の医療機器602、第2の医療機器604、ネットワーク606内のサーバ(例えば、302)、及び、そうでなければネットワーク606に通信可能に結合されたデータベース(例えば、336)、のうちの1つ、又はそれらの2若しくはそれより多くの組み合わせに含まれ得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、第1の医療機器602は、患者に装着され、又は通信可能に結合されており、医療的イベントの間の患者に関する臨床情報を生成し、収集し、及び/又は、記録する。同じ医療的イベントの間、第2の医療機器604が患者をモニタリングするために使用される場合、例えば、最初にAEDが患者に使用され、その後EMSクルーがALSモニタ/除細動器と共に到着し、それらがAEDの代わりに用いられる場合、第2の医療機器は同じ医療的緊急事態の間に同じ患者に対して使用されることが意図されるという事実が、インディケートされる、及び/又は、確認される。これは、第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの1つの又は両方のスクリーン上の視覚的インディケーションを介して、及び/又は、聴覚的な信号若しくは他のペアリング機構を介して行われ得る。実施形態によると、これは、第1の医療機器により集められた任意の臨床データが、正しい第2の医療機器に関連付けられ、及び、表示され、又は、使用されることを確実にする。
【0174】
適切な第1の医療機器と適切な第2の医療機器との間の関連付けが一度確認されると、以下のうちの1又は複数が医療的イベント(同じ医療的イベント)の間で実行され得る。
(a)第2の医療機器上の(例えば、ディスプレイ322上の)臨床情報のうちの少なくとも一部を表示すること、
(b)臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報を第2の医療機器上に表示すること、
(c)臨床情報に基づいて第2の医療機器のオペレーションを変更すること、及び、
(d)第2の医療機器又は遠隔データベース(例えば、336)内に臨床情報を格納すること。
【0175】
いくつかの実施形態によると、これら4項目のうちの2項目若しくはそれより多くは、医療的イベントの間に実行され得、又は、他の項目に加えて、及び/又は、その代わりに、3項目若しくはそれより多く、又は4項目全ても実行され得る。
【0176】
いくつかの場合には、臨床情報は医療的イベントの第1部分の間に生成され(例えば、患者が心停止の症状を経験しているとき、患者が心停止になる前、又は、心停止の最中)、及び、第2の医療機器は医療的イベントの後続の部分の間に患者をモニタリングするために使用される。臨床情報のうちの少なくとも一部から導き出された情報を第2の医療機器上に表示することは、第2の医療機器上に、以下のうちの1又は複数(及び/又は、2若しくはそれより多く、又は、3若しくはそれより多く)を表示することを含み得る。それらは、第1の医療機器が患者のモニタリングを始めたときの心拍リズムを示す表現の表示、患者が心停止になる直前の心拍リズムを示す表現の表示、及び、患者の心臓に対して電気ショックを実施した後の時間における患者の心拍リズムの表現の表示、である。多くの場合、EMS技術者又は救急医は患者が既に心停止になっている医療的緊急事態の場面に到着し、多くの場合、存在していた心拍リズムはどうであったか、どの心拍リズムが心停止を引き起こしたか若しくはその直前に存在したか、及び/又は、(AEDが患者に対して使用された状況において)1又は複数の電気ショックの後に、どのように心拍リズムが応答したかを判定することが出来ない。本発明の実施形態によると、第2の機器を第1の機器(例えば、AED)とペアリングすること、及び、第1の機器により集められた臨床情報を、第2の機器が本明細書に記載の方法で使用することが出来ることにより、EMS技術者がこの情報を第2の機器でレビューし、変更し、又は、臨床決断支援、若しくは、第2の機器により使用される他のアルゴリズムを情報提供し、第2の機器上に臨床データから導き出された情報を表示し、及び/又は、臨床データを第2の機器及び/又は遠隔データベース(例えば、336)に格納することが可能となる。
【0177】
いくつかの場合には、医療的イベントの間、患者に対して第2の医療機器が使用されることの確認は更に、第1の医療機器及び第2の医療機器が近接して配置されているというインディケーションを、第1の医療機器及び第2の医療機器のうちの少なくとも1つ上に提供することを含む。これは、例えばビーコンタイプの又は他の近接信号などの無線周波数信号の交換を介して発生し得る。
【0178】
いくつかの実施形態によると、臨床情報は、医療的イベントの間の患者への心肺蘇生法(CPR)の実施について詳述する。このようなCPRに関する臨床情報は、胸部圧迫メトリックなどのCPR品質に関する情報、及び/又は、CPR実施の開始時間、CPR実施の終了時間、CPR実施の継続期間、及び、胸部圧迫タイミングのうちの1又は複数を含むCPR時間のインディケーションを有し得る。このような臨床データをAEDからALSモニタ/除細動器へ受け渡さなければ、EMS技術者は多くの場合、CPRの実施の有無及びCPR品質の高低を判断することは出来ない。仮にこのようなデータがAED又は他の断続的に使用された医療機器により集められたとしても、そのような機器は、多くの場合、そうした情報を、又は、そうした情報を同じ緊急事態の間に役に立つレベルの深さで、提示又は表示することが出来ない。実施形態によると、第2の医療機器自体は、同じ緊急事態のより早い段階において臨床データを収集するために使用されてはいないものの、この臨床データを第2の医療機器で閲覧又は使用することが出来ることにより、EMS技術者は追加の治療プロトコルの種類及びタイミングに関してよりよい決定をすることが可能となる。また、ECG又は他の臨床データの受け渡しが出来ることにより、更なる決定をする前の、ある一定の期間、新しいセットの臨床データをとる必要がないので、EMS技術者は貴重な時間を節約することが出来る。
【0179】
本発明の実施形態によると、上述されたこのような考慮及び機能はまた、例えば、ALSモニタ/除細動器と、病院ベースのモニタ/除細動器との間の臨床データの受け渡しに対して等しく適用し得る。例えば、臨床データはAEDから携帯型ALSモニタ/除細動器に受け渡され得、次に、追加臨床データが生成されて第1の臨床データに追加され得、両方の臨床データのセットは次に、ALSモニタ/除細動器から、定置型若しくは病院ベースの、又は他の追加的なモニタ/除細動器に受け渡される。このようなシナリオにおいて、病院で担当する医師は、医療的イベントの始まりにおいて最初にAEDにより集められた臨床情報を、病院用の設定である1又は複数の機器上で、閲覧又は使用することが出来る。
【0180】
本開示の範囲から逸脱することなく、記載された複数の例示的な実施形態に対して、様々な変更及び追加を行うことが出来る。例えば、上述の実施形態は特定の特徴を指すが、本開示の範囲はまた、複数の特徴の異なる組み合わせを含む実施形態、及び、説明された全ての特徴を含まない実施形態も有する。従って、このような全ての代替例、変更例、及び変形例は特許請求の範囲に含まれるものであり、それらの全ての均等例と共に、本開示の範囲に包含されることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】