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特開2023-27154注入ポンプ用の使い捨てポンプチャンバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027154
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】注入ポンプ用の使い捨てポンプチャンバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20230221BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20230221BHJP
   A61B 18/12 20060101ALN20230221BHJP
【FI】
A61M5/142 500
F04B43/02 A
F04B43/02 D
A61B18/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022192712
(22)【出願日】2022-12-01
(62)【分割の表示】P 2019554933の分割
【原出願日】2018-03-14
(31)【優先権主張番号】15/481,264
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心臓アブレーション処理の間の表面加熱による組織の炭化を防止するために、灌注流体を送達するためのダイヤフラム注入ポンプを提供する。
【解決手段】シャフト76を含むポンプ本体66と、シャフト76内に配置され第1の強磁性要素104を含むピストンヘッド80を有するピストン78と、シャフト内でピストン78の往復長手方向運動84を駆動するように連結されたモータと、ポンプ本体66に取り外し可能に取り付けられるように構成される剛性壁70を含むポンプチャンバ62と、第2の強磁性要素106を含むダイヤフラム102であって、ポンプチャンバ62がポンプ本体66に取り付けられると第2の強磁性要素106が第1の強磁性要素104と係合し、ピストンの往復長手方向運動84がダイヤフラム102の交互の伸張及び収縮を引き起こし、それによりポンプチャンバ62の容積を変更するダイヤフラム注入ポンプ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部シャフトを含むポンプ本体と、
前記内部シャフト内に配置され、第1の要素を含むピストンヘッドを有するピストンと、
前記内部シャフト内で前記ピストンの往復長手方向運動を駆動するように連結されたモータと、
前記ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバと、
前記開口部を横切って固定され、第2の要素を含む可撓性ダイヤフラムと、を含み、
前記第1の要素は、第1の強磁性要素またはピンの何れか一方であり、
前記第1の要素が前記第1の強磁性要素である場合に、前記第2の要素は第2の強磁性要素であり、前記ポンプチャンバが前記ポンプ本体に取り付けられると、前記第1の強磁性要素と前記第2の強磁性要素との間の磁気吸引力により前記第2の強磁性要素が前記第1の強磁性要素と係合し、前記第2の強磁性要素が前記第1の強磁性要素と係合した状態で、前記ピストンの前記往復長手方向運動が前記可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それにより前記ポンプチャンバの容積を変更し、
前記第1の要素が前記ピンである場合に、前記第2の要素はスロットであり、前記ポンプチャンバが前記ポンプ本体に取り付けられると、前記スロットが前記ピンと機械的に係合し、前記スロットが前記ピンと機械的に係合した状態で、前記ピストンの前記往復長手方向運動が前記可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それにより前記ポンプチャンバの容積を変更し、
前記流体入口および前記流体出口は、前記剛性壁の上部に設けられ、上方に向けて開口しており、前記開口部は、前記剛性壁の下部に設けられ、
前記剛性壁の前記上部に取り付けられる固定具を更に備え、前記固定具は、前記流体入口をポンプ入口管に連結する第1のコネクタ、及び、前記流体出口を灌注管に連結する第1のコネクタを備える、器具。
【請求項2】
前記第1の強磁性要素は永久磁石を含み、前記第2の強磁性要素は、強磁性を有する金属を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記第1の強磁性要素は強磁性を有する金属を含み、前記第2の強磁性要素は永久磁石を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記第1及び前記第2の強磁性要素はそれぞれの永久磁石を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記強磁性要素のうちの少なくとも1つは電磁石を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記モータに連結された医療用灌注システムと、前記医療用灌注システムを制御するように構成されたプロセッサと、を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記ポンプチャンバは使い捨て式である、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記ポンプチャンバ及び前記可撓性ダイヤフラムによって画定されるポンプは自給式である、請求項1に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、医療処置で使用される注入ポンプに関し、具体的には、取り外し可能な使い捨てポンプチャンバを有するダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓アブレーションなどの様々な治療処置で、患者の体内に挿入される侵襲性医療用プローブが使用されている。しかしながら、心臓のアブレーション処置の間に、アブレーションされる心臓表面及びその表面下の心組織の局所的な過熱が生じる場合がある。この表面過熱は炭化として現れる場合があり、こうした下層組織の過熱は組織に他の損傷をもたらし、組織の貫通につながる場合すらある。組織の炭化を防止するために、注入ポンプは、医療用プローブを介して、アブレーションされる領域に灌注流体を送達することができる。
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるBakerらの米国特許第8,834,408号は、取り外し可能なヘッドを備えたベースを有し、灌注機能及び吸引機能を部分的又は完全な分離に適合した灌注及び/又は吸引装置を記載している。装置は、取り外し可能、交換可能、及び詰め替え可能なリザーバを含む。
【0004】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるMayfieldらの米国特許第4,445,535号は、液剤の身体への正確な注入速度を提供する注入装置を記載している。注入装置は、常設部分と、分配される液剤で充填されたリザーバ、及びリザーバから身体内に薬剤をポンピングするためのポンプを含む使い捨て部分と、を含む。
【0005】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるGarrisonの米国特許第4,856,340号は、薬剤注入システム用の圧力ダイヤフラムを記載している。圧力ダイヤフラムは、主ポンプユニット上で使用するための使い捨てカセット内に設置することができ、高い精度で測定される流体ポンプ下流で圧力を可能にするように構成することができる。
【0006】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるRosenらの米国特許第5,540,568号は、ヘッドと、転動形ダイヤフラム充填ユニットと、吸気口及び排出口と、を含む単一モジュールを記載している。転動形ダイヤフラム充填ユニットは、ヘッドに固定されてもよく、又は取り外し可能に取り付けられてもよい。吸気口及び排出口を含むヘッドモジュール、並びに取り付けられた転動形ダイヤフラムは、流体製品と接触するポンプ表面の全てを含む使い捨てモジュールとして構成されてもよい。
【0007】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるFlahertyの米国特許第6,749,587号は、ヘッドと、使い捨て転動形ダイヤフラム充填ユニットと、吸気口及び排出口と、を含む単一モジュールを記載している。転動形ダイヤフラム充填ユニットは、ヘッドに固定されてもよく、又は取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0008】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるFlahertyの米国特許第6,749,587号は、出口ポートアセンブリを有する使い捨てアセンブリと、制御部分を有する再利用可能アセンブリと、を含む流体を送達するためのモジュール式注入装置を記載している。アセンブリは、取り外し可能に取り付けられるように適合され、再利用可能アセンブリ及び使い捨てアセンブリの取り付け時に再利用可能アセンブリに電力を供給するための電源が使い捨てアセンブリに収容される。
【0009】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるUber,IIIの米国特許第7,427,281号は、複数の患者に流体を送達するための注入器具を記載している。器具は、第1の流体源と、第2の流体源と、第1及び第2の流体源と患者との間に配設された流体経路と、を含む。流体経路は、混合装置と、複数の患者に流体を送達するための再利用可能部分と、再利用可能部分に取り外し可能に接続された患者ごとの使い捨て部分と、を含む。
【0010】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるMalackowskiの米国特許第7,753,880号は、ポンプモータ及び取り外し可能な管セットによって駆動される固定ポンプヘッドを含む灌注ポンプを操作するためのツールシステムを記載している。
【0011】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるBakerらの米国特許第8,827,945号は、単独に、連続的に、又は同時に吸引及び灌注するように構成され得る灌注装置及び/又は吸引装置を記載している。装置は、取り外し可能、かつ/又は交換可能、かつ/又は詰め替え可能であり、容易に洗浄可能な吸引物(aspirant)及び灌注液用リザーバを含んでもよい。
【0012】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるSmithらの米国特許第8,915,879号は、単回投与カートリッジから薬剤を投与できる着装携行式注入ポンプを記載している。
【0013】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるSmithらの米国特許出願第2016/0235913号は、動的及び静的シールのみならず、関連する構成要素及び構成要素の組み合わせを含む、着装携行式注入ポンプ及びリザーバアセンブリを記載している。
【0014】
参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献においていずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0015】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、内部シャフトを有するポンプ本体と、シャフト内に配置され、第1の強磁性要素を含むピストンヘッドを有するピストンと、シャフト内でピストンの往復長手方向運動を駆動するように連結されたモータと、ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバと、開口部を横切って固定され、第2の強磁性要素を含む可撓性ダイヤフラムであって、ポンプチャンバがポンプ本体に取り付けられると第2の強磁性要素が第1の強磁性要素と係合し、その結果、ピストンの往復長手方向運動が可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それによりポンプチャンバの容積を変更する、可撓性ダイヤフラムと、を含む器具が提供される。
【0017】
一実施形態では、第1の強磁性要素は永久磁石を含み、第2の強磁性要素は、強磁性を有する金属を含む。別の実施形態では、第1の強磁性要素は、強磁性を有する金属を含み、第2の強磁性要素は永久磁石を含む。追加の実施形態では、第1及び第2の強磁性要素は、それぞれの永久磁石を含む。更なる実施形態では、強磁性要素のうちの少なくとも1つは電磁石を含む。
【0018】
一部の実施形態では、器具は更に、モータに連結された医療用灌注システムと、医療用灌注システムを制御するように構成されたプロセッサと、を含んでもよい。医療用灌注システム及びプロセッサを含む実施形態では、器具は、流体出口に連結された灌注カテーテルを含んでもよい。
【0019】
更なる実施形態では、ポンプチャンバは使い捨て式である。補足的な実施形態では、ポンプチャンバ及び可撓性ダイヤフラムによって画定されるポンプは自給式である。
【0020】
本発明の実施形態によれば、内部シャフトを有するポンプ本体を準備することと、シャフト内に配置され、第1の強磁性要素を含むピストンヘッドを有するピストンを準備することと、シャフト内でピストンの往復長手方向運動を駆動するためにピストンにモータを連結させることと、ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバを準備することと、第2の強磁性要素を含む可撓性ダイヤフラムを開口部を横切って貼り付けることであって、ポンプチャンバがポンプ本体に取り付けられると第2の強磁性要素が第1の強磁性要素と係合し、その結果、ピストンの往復長手方向運動が可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それによりポンプチャンバの容積を変更することと、を含む、方法が更に提供される。
【0021】
本発明の実施形態によれば、内部シャフトを有するポンプ本体と、シャフト内に配置され、第1の要素を含むピストンヘッドを有するピストンと、シャフト内でピストンの往復長手方向運動を駆動するように連結されたモータと、ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバと、開口部を横切って固定され、第2の要素を含む可撓性ダイヤフラムであって、ポンプチャンバがポンプ本体に取り付けられると第2の要素が第1の要素と機械的に係合し、その結果、ピストンの往復長手方向運動が可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それによりポンプチャンバの容積を変更する、可撓性ダイヤフラムと、を含む、器具が更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書で、本開示をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
図1】本発明の一実施形態による、ポンプ本体及び使い捨てポンプチャンバを含むダイヤフラム注入ポンプを含む医療システムの概略絵図である。
図2】本発明の一実施形態による、ダイヤフラム注入ポンプのポンプ本体及び使い捨てポンプチャンバの概略絵図である。
図3】本発明の一実施形態による、ポンプ本体及び使い捨てポンプチャンバの概略的破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態では、ダイヤフラムポンプを含む医療システム用注入ポンプは、本明細書では、以下に記載されるように、取り外し可能かつ使い捨て式であるポンプチャンバを含む。ダイヤフラムポンプは、典型的には、医療処置中に身体組織に灌注流体を送達するための医療システムで従来使用される他のタイプの注入ポンプ(例えば、蠕動ポンプ)よりも高価である。しかしながら、注入ポンプとしてダイヤフラムポンプを使用すること(すなわち、蠕動ポンプを使用することとは対照的に)の利点としては、電気雑音が低減されること、及び灌注流体に管材料の破片(すなわち、蠕動ポンプの管材料が繰り返し圧縮及び減圧されることによる)が入る可能性が低減されることが挙げられる。医療処置の間で交換可能なポンプチャンバを組み込むことにより、本発明の実施形態を実践するダイヤフラム注入ポンプは、典型的には、従来のダイヤフラムポンプよりも経済的に使用することができる。
【0024】
本発明の実施形態では、ダイヤフラムポンプは、内部シャフトと、シャフト内に配置され、第1の強磁性要素を含むピストンヘッドを有するピストンと、を含むポンプ本体を含む。ダイヤフラムポンプは、更に、シャフト内でピストンの往復長手方向運動を駆動するように連結されたモータと、ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバと、を含む。上記で述べたように、ポンプチャンバは使い捨て式であり、典型的には医療処置の間で交換される。
【0025】
ダイヤフラムポンプは、開口部を横切って固定された可撓性ダイヤフラムを更に含む。可撓性ダイヤフラムは、ポンプチャンバがポンプ本体に取り付けられると第1の強磁性要素と係合し、その結果、ピストンの往復長手方向運動が可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それによりポンプチャンバの容積を変更する、第2の強磁性要素を含む。
【0026】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22及び制御コンソール24を含む、医療システム20の概略絵図である。医療システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California,U.S.A.)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づいていてもよい。図1に示される例では、医療用プローブ22は、医療専門家28が患者32の心臓30に対してアブレーション処置を行うために使用することができる遠位端26を有するバルーンカテーテル(本明細書では灌注カテーテルとも呼ばれる)を含む。アブレーション処置の間、遠位端26は、灌注管36を介してポンプ34から医療用プローブ22に運ばれる灌注流体(例えば、生理食塩水)を用いて心臓30内の組織を灌注することができる。以下でより詳細に説明されるように、ポンプ34は、ポンプ入口管37を介して灌注流体を受容する。灌注流体は、遠位端26にある灌注孔(図示せず)を通じて放出される。本発明の実施形態では、ポンプ34は、以下の図2図3を参照した説明で説明されるダイヤフラム注入ポンプを含む。
【0027】
制御コンソール24は、ケーブル38によって身体表面電極に接続され、身体表面電極は、典型的には患者32に貼り付けられた接着性皮膚パッチ40を含む。制御コンソール24は、接着性皮膚パッチ40と、遠位端26に貼り付けられた1つ以上のプローブ電極(図示せず)と、の間で測定されたインピーダンスに基づき心臓30の中の遠位端26の位置座標を決定するシステムプロセッサ42を含む。
【0028】
システムプロセッサ42は、典型的には、医療用プローブ22の要素からの信号を受信し、制御コンソール24の他の構成要素を制御するのに適したフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する汎用コンピュータを含む。プロセッサ42は、工程を含み、本明細書で説明されるようにこうした工程(例えば、上記で説明されたように位置座標を決定すること)を実施するようにプロセッサに連結されたモジュールの機能を用いる、本明細書に開示される少なくとも1つのアルゴリズムを実行するようにソフトウェア内でプログラムされてもよい。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態で制御コンソール24にダウンロードされてもよく、又は光学的記憶媒体、磁気的記憶媒体、若しくは電子的記憶媒体などの非一時的な有形媒体で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ42の機能の一部又は全ては、専用の構成要素又はプログラマブルデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0029】
図1に示される医療システムは、遠位端26の位置を測定するためにインピーダンス系の検知を使用しているが、他の位置追跡技術を使用してもよい(例えば、磁気系のセンサを用いる技術)。インピーダンスに基づく位置追跡技術については、例えば、それらの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、同第5,944,022号に記載されている。磁気位置追跡技術については、例えば、それらの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に記載されている。本明細書で上述する位置感知方法は、上述のCARTO(登録商標)システムに実装され、上記で引用した特許に詳細に説明されている。
【0030】
制御コンソール24は、入力/出力(I/O)通信インターフェース44を更に含むが、これは、制御コンソールが、プローブ電極及び接着性皮膚パッチ40から信号を伝達すること、かつ/又はこれらに信号を伝達することを可能にする。プローブ電極及び接着性皮膚パッチ40から受信した信号に基づいて、プロセッサ42は、患者の体内の遠位端26の位置を示すマップ46を生成することができる。処置中、プロセッサ42は、医療専門家28に対してディスプレイ48上にマップ46を提示し、このマップを表すデータをメモリ50に保存することができる。メモリ50は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。図1に示す構成では、医療専門家28は、1つ以上の入力装置52を使ってマップ46を操作することができる。
【0031】
本発明の実施形態では、遠位端26は、組織アブレーションに典型的に使用される1つ以上のアブレーション電極(図示せず)を含む。代替的な実施形態では、プローブ電極を組織アブレーションに使用することもできる。制御コンソール24は、アブレーションモジュール54、及び灌注モジュール56を更に含む。プロセッサ42は、アブレーションモジュール54を介してアブレーション電極に伝達されるアブレーション出力(例えば、高周波エネルギー)のレベル及び期間などのアブレーションパラメータを監視及び制御するための第1の所与のアルゴリズムを実行する。同様に、プロセッサ42は、ポンプ34のモータ(後述)に連結された灌注モジュール56(本明細書では灌注システムとも呼ばれる)を介してポンプ34から医療用プローブ22までの灌注流体の流れの速度(典型的には0~100ミリリットル/分)を制御するための第2の所与のアルゴリズムを実行する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態による、ダイヤフラム注入ポンプ34の概略絵図であり、図3は、本発明の実施形態による、ポンプの一部の概略的破断図である。本発明の実施形態では、ダイヤフラム注入ポンプ34は、固定基部ユニット60と、破線矢印64によって示されるように基部ユニットに取り外し可能に取り付けられ得るポンプチャンバ62と、を含む。いくつかの実施形態では、ポンプチャンバ62は使い捨て式である(すなわち、ポンプチャンバは、典型的には、各医療処置の前に交換される)。
【0033】
基部ユニット60は、ポンプ本体66及びモータ68を含む。ポンプチャンバ62は、流体入口73及び流体出口75を画定する剛性壁70を含む。図2に示される実施例では、ポンプ34は更に、流体入口73及び流体出口75を介してポンプチャンバ62に取り付けられる固定具77を含む。固定具77は、流体入口73を管37に連結する第1のコネクタ72と、流体出口75を灌注管36に連結する第2のコネクタ74と、を含む。
【0034】
ポンプチャンバ62は、流体入口73及び流体出口75内にそれぞれ配置される一方向弁79及び81を含む。動作中、一方向弁79は、灌注流体が、管37(図1)及び流体入口73を介して、流体リザーバ(図示せず)から剛性壁70によって画定された空洞内に流れることを可能にし、一方向弁81は、灌注流体が、流体出口75、コネクタ74、及び灌注管36を介して、空洞からプローブ22に流れることを可能にする。
【0035】
ポンプ本体66は、シャフト76と、シャフト内に配設され、シャフトを通って延在するロッド82の第1の端部に取り付けられたピストンヘッド80を含むピストン78と、を含む。モータ68はロッド82の第2の端部に連結され、実線矢印84によって示されるようにシャフト76内でピストン78の往復長手方向運動(すなわち振動)を駆動する。本発明の実施形態では、モータ68は、ピストン78に連結されたときにシャフト76内でピストンを振動させる任意の機械的装置を含む。本明細書の実施形態は、単一のピストン78を含む単純なピストン構成を有するポンプ34を説明しているが、他の種類のピストン構成を含むダイヤフラムポンプも本発明の趣旨及び範囲内であると考えられる。
【0036】
上記のように、ポンプチャンバ62は取り外し可能であり、典型的には使い捨て式である。そのため、本発明の実施形態では、ダイヤフラムポンプ34は、ポンプチャンバ62がポンプ本体66と連結することを可能にし、ポンプチャンバがポンプチャンバから連結解除することを可能にする連結機構を含む。一部の実施形態では、図2に示すように、連結機構は、ポンプチャンバ62及びポンプ本体66上にそれぞれオスねじ山86及びメスねじ山88と、ロック90と、を含む。
【0037】
ねじ山86及び88は互いに嵌合し、それによってポンプチャンバ62がポンプ本体66に「ねじ込まれる」ことを可能にする。図2に示される例では、ねじ山86はポンプ本体66から突出し、ロック90は、ポンプ本体34内のロックキーホール92と、ロックキーホールに嵌合するキー94と、を含む。動作中にポンプチャンバ62がポンプ本体66内にねじ込まれると、ねじ山88はキーホール92の下方に位置決めされ、医療専門家28(又は別の個人)が、キー94をキーホールに挿入して、ポンプチャンバ62を所定の位置に「ロックする」ことができる(すなわち、ポンプ本体からポンプチャンバが「ねじ抜け」するのを防ぐため)。
【0038】
図2の実施例は、ねじ山86によって所定の位置にロックされるキー94を含むロック90を示しているが、ポンプチャンバ62をポンプ本体66にロックするための他の種類の機構も本発明の趣旨及び範囲内にあると考えられる。例えば、ロック90は、キーホール92を通してキー94を剛性壁70内の窪みに打ち込み、それによってポンプチャンバ62をポンプ本体66にロックするバネを含んでもよい。
【0039】
一部の実施形態では、ダイヤフラムポンプ34は、ポンプチャンバ62とポンプ本体66との間に取り付けられたOリング96を含んでもよい。Oリング96は、ポンプチャンバのポンプ本体66に対するロックを補強するために、ポンプチャンバ62に圧力(例えば、バネのような)を加えるように構成され得る。
【0040】
図3は、ポンプチャンバ62及びポンプ本体66の概略的破断図である。視覚的に簡略化するために、ねじ山88を含むポンプ本体の上部は図3に示されていない。剛性壁70は、ポンプチャンバ62の底部に開口部100を画定し、可撓性ダイヤフラム102が開口部を横切って固定される。ダイヤフラム102に使用することができる材料の例としては、シリコン系及びポリウレタン系材料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ダイヤフラム102は、糊剤又は他の種類の接着方法(例えば、超音波接着)を使用して剛性壁70に(すなわち、開口部100において)貼り付けられ得るプラスチックリング(図示せず)を含んでもよい。代替的な実施形態では、剛性壁70は、ダイヤフラム102が開口部100に押し付けられると、プラスチックリングと係合してダイヤフラムを所定の位置にロックする、機械的機構を含んでもよい。
【0041】
本発明の実施形態では、ピストンヘッド80は第1の強磁性要素104を含み、可撓性ダイヤフラム102は第2の強磁性要素106を含む。一実施形態では、第1の強磁性要素104は永久磁石を含み、第2の強磁性要素106は、強磁性を有する金属を含む。別の実施形態では、第1の強磁性要素104は強磁性を有する金属を含み、第2の強磁性要素106は永久磁石を含む。追加の代替的な実施形態では、要素104及び106は両方とも永久磁石である。更なる実施形態では、要素104及び/又は106は電磁石を含んでもよい。
【0042】
図2及び図3に示される例は、ピストンヘッド80をダイヤフラム102に係合させるために強磁性要素104及び106を使用するが、ピストンヘッドをダイヤフラムに係合させる他の方法も本発明の趣旨及び範囲内であると考えられる。例えば、ピストンヘッド80は、第1の要素(例えば、ピン)を含んでもよく、ダイヤフラム102は、ポンプチャンバ62がポンプ本体66に取り付けられたときに第1の要素と機械的に係合するように構成された第2の要素(例えば、スロット)を含んでもよい。
【0043】
本発明の実施形態では、第1の強磁性要素104と第2の強磁性要素106との間の磁気吸引力により、ポンプチャンバ62がポンプ本体66に取り付けられたときに第1の強磁性要素が第2の強磁性要素と係合し、その結果、ピストン78の往復長手方向運動84が可撓性ダイヤフラム102の交互の伸張及び収縮を引き起こす。可撓性ダイヤフラム102の伸張及び収縮は、ポンプチャンバの容積を変更し、それによって、コネクタ72及び流体入口73を介してポンプチャンバ内に灌注流体を引き込み、流体出口75及びコネクタ74を介して灌注流体をチャンバからポンピングする。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポンプチャンバ62の寸法(したがって、ポンプチャンバの容積)によって、ダイヤフラム注入ポンプ34が自給式となることが可能となる。これらの実施形態では、ダイヤフラム102をポンプチャンバ62から遠ざかるように引くピストン78の(往復長手方向)運動中にポンプチャンバ62に入る灌注流体の容積は、ピストンの運動がダイヤフラムを固定治具77に向かって押すときに流体出口75を出る灌注流体の容積と一致する。
【0045】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上述のとおり具体的に示し説明したものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で上述のとおり様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を一読すると当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 内部シャフトを含むポンプ本体と、
前記シャフト内に配置され、第1の強磁性要素を含むピストンヘッドを有するピストンと、
前記シャフト内で前記ピストンの往復長手方向運動を駆動するように連結されたモータと、
前記ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバと、
前記開口部を横切って固定され、第2の強磁性要素を含む可撓性ダイヤフラムであって、前記ポンプチャンバが前記ポンプ本体に取り付けられると前記第2の強磁性要素が前記第1の強磁性要素と係合し、その結果、前記ピストンの前記往復長手方向運動が前記可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それにより前記ポンプチャンバの容積を変更する、可撓性ダイヤフラムと、
を含む、器具。
(2) 前記第1の強磁性要素は永久磁石を含み、前記第2の強磁性要素は、強磁性を有する金属を含む、実施態様1に記載の器具。
(3) 前記第1の強磁性要素は強磁性を有する金属を含み、前記第2の強磁性要素は永久磁石を含む、実施態様1に記載の器具。
(4) 前記第1及び前記第2の強磁性要素はそれぞれの永久磁石を含む、実施態様1に記載の器具。
(5) 前記強磁性要素のうちの少なくとも1つは電磁石を含む、実施態様1に記載の器具。
【0047】
(6) 前記モータに連結された医療用灌注システムと、前記医療用灌注システムを制御するように構成されたプロセッサと、を含む、実施態様1に記載の器具。
(7) 前記流体出口に連結された灌注カテーテルを含む、実施態様6に記載の器具。
(8) 前記ポンプチャンバは使い捨て式である、実施態様1に記載の器具。
(9) 前記ポンプチャンバ及び前記可撓性ダイヤフラムによって画定されるポンプは自給式である、実施態様1に記載の器具。
(10) 内部シャフトを含むポンプ本体を準備することと、
前記シャフト内に配置され、第1の強磁性要素を含むピストンヘッドを有するピストンを準備することと、
前記シャフト内で前記ピストンの往復長手方向運動を駆動するために前記ピストンにモータを連結させることと、
前記ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバを準備することと、
第2の強磁性要素を含む可撓性ダイヤフラムを前記開口部を横切って貼り付けることであって、前記ポンプチャンバが前記ポンプ本体に取り付けられると前記第2の強磁性要素が前記第1の強磁性要素と係合し、その結果、前記ピストンの前記往復長手方向運動が前記可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それにより前記ポンプチャンバの容積を変更することと、
を含む、方法。
【0048】
(11) 前記第1の強磁性要素は永久磁石を含み、前記第2の強磁性要素は、強磁性を有する金属を含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第1の強磁性要素は強磁性を有する金属を含み、前記第2の強磁性要素は永久磁石を含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記第1及び前記第2の強磁性要素はそれぞれの永久磁石を含む、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記強磁性要素のうちの少なくとも1つは電磁石を含む、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記モータに連結された医療用灌注システムと、前記医療用灌注システムを制御するように構成されたプロセッサと、を準備することを含む、実施態様10に記載の方法。
【0049】
(16) 前記流体出口に連結された灌注カテーテルを準備することを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記ポンプチャンバは使い捨て式である、実施態様10に記載の方法。
(18) 前記ポンプチャンバ及び前記可撓性ダイヤフラムによって画定されるポンプは自給式である、実施態様10に記載の方法。
(19) 内部シャフトを含むポンプ本体と、
前記シャフト内に配置され、第1の要素を含むピストンヘッドを有するピストンと、
前記シャフト内で前記ピストンの往復長手方向運動を駆動するように連結されたモータと、
前記ポンプ本体に取り外し可能に取り付けられるように構成され、流体入口、流体出口、及び開口部を画定する剛性壁を含むポンプチャンバと、
前記開口部を横切って固定され、第2の要素を含む可撓性ダイヤフラムであって、前記ポンプチャンバが前記ポンプ本体に取り付けられると前記第2の要素が前記第1の要素と機械的に係合し、その結果、前記ピストンの前記往復長手方向運動が前記可撓性ダイヤフラムの交互の伸張及び収縮を引き起こし、それにより前記ポンプチャンバの容積を変更する、可撓性ダイヤフラムと、
を含む、器具。
図1
図2
図3
【外国語明細書】