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特開2023-27195水混和性の薬学的に許容可能な溶媒の水性ブレンド中のロフルミラストの医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027195
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】水混和性の薬学的に許容可能な溶媒の水性ブレンド中のロフルミラストの医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/44 20060101AFI20230221BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230221BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61K31/44
A61K9/06
A61K47/10
A61P17/00
A61P37/08
A61P43/00 111
A61K9/107
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195731
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2020516414の分割
【原出願日】2018-09-19
(31)【優先権主張番号】15/712,900
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518194257
【氏名又は名称】アーキュティス・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,デビッド・ダブリュー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低い水溶性を有するロフルミラストの溶解性を改善した医薬組成物を提供する。
【解決手段】ロフルミラストおよび水混和性の薬学的に許容可能な溶媒のブレンドを含む医薬組成物であって、前記のブレンドが、ロフルミラストの溶解度を水に対する溶解度より増大させる重量比でジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水を含み、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは組成物全体に対して20~30重量%の量で存在し、ロフルミラストは組成物全体に対して0.005~2重量%の量で存在し、前記組成物は溶解していないロフルミラストを含まず、ジエチレングリコールモノエチルエーテル対水の重量比が、1:4~9:1である、医薬組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロフルミラストおよび水混和性の薬学的に許容可能な溶媒のブレンドを含む医薬組成物であって、前記のブレンドが、ロフルミラストの溶解度を水に対する溶解度より増大させる重量比でジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水を含み、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは組成物全体に対して2030重量%の量で存在し、ロフルミラストは組成物全体に対して0.005~2重量%の量で存在し、前記組成物は溶解していないロフルミラストを含まず、ジエチレングリコールモノエチルエーテル対水の重量比が、1:4~9:1である、医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、水中油型エマルジョン、増粘水性ゲル、増粘ハイドロアルコールゲル、親水性ゲル、泡状物質、および親水性または疎水性軟膏からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、さらに溶媒、保湿剤、界面活性剤または乳化剤、ポリマーまたは増粘剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整溶液、皮膚浸透増強剤、フィルム形成剤、色素、顔料および芳香剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む医薬組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、さらにアントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキサート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル類、コルチコステロイド類、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張薬および抗生物質からなる群から選択される追加の有効薬剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、局所、非経口または肺投与に適したキャリヤーを含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、局所投与に適したキャリヤーを含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、さらに0.1~20%w/wの量のヘキシレングリコールを含む医薬組成物。
【請求項8】
ロフルミラスト配合物の低い水溶性を克服するための方法であって、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水をロフルミラストを含む組成物中で組み合わせることを含み、ロフルミラストの溶解度を水に対する溶解度より増大させる重量比で前記のジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水を含み、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは組成物全体に対して2030重量%の量で存在し、ロフルミラストは組成物全体に対して0.005~2重量%の量で存在し、前記組成物は溶解していないロフルミラストを含まず、ジエチレングリコールモノエチルエーテル対水の比が、1:4~9:1である、方法。
【請求項9】
患者においてホスホジエステラーゼ4を阻害する方法に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の医薬組成物であって、前記の患者が、炎症性の病気を患っている医薬組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の医薬組成物であって、前記の患者が、アトピー性皮膚炎を患っている医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水混和性の薬学的に許容可能な溶媒のブレンド中のロフルミラストの医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、水溶性の乏しい薬物であるロフルミラストがそのような溶媒ブレンド中で予想外に高い溶解性を示すという発見を含む。
【背景技術】
【0002】
ロフルミラストは、気管支療法剤として、ならびに炎症性障害の処置のために適切であることが知られている。ロフルミラストを含有する組成物は、ヒトおよび獣医学において使用され、炎症性およびアレルゲン誘発性気道障害(例えば気管支炎、喘息、COPD);皮膚疾患(例えば増殖性、炎症性およびアレルゲン誘発性皮膚障害);ならびに胃腸領域における全身性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)を含むがそれらに限定されない疾患の処置および予防のために提案されてきた。
【0003】
ロフルミラストおよびその合成は、本明細書に参照により援用される米国特許第5,712,298号(”’298号特許”)において記載されている。別途示されない限り、本明細書に参照により援用される参考文献は、全ての目的に関してそのまま援用される。)ロフルミラストのようなホスホジエステラーゼ(PDE)阻害特性を有する医薬化合物は、乾癬およびアトピー性皮膚炎(’298号特許、第11欄52~61行)ならびに他の慢性炎症性およびアレルゲン誘発性皮膚疾患を処置するために有用であることが、長い間認識されてきた。そのような皮膚疾患の処置のために、局所適用のためのロフルミラストエマルジョン、懸濁液、ゲルまたは溶液が、記載されている(‘298号特許、第12欄、37~64行)。ロフルミラストの経口錠剤が商品化されているが、この化合物の低い水溶性は、国際公開第95/01338号(’298号特許に対応し、参照により本明細書に援用される)において21℃でわずか0.53mg/lであると報告されている。この低い水溶性は、水を含有する非経口製剤および局所用エマルジョン、懸濁液、ゲルまたは溶液の開発において問題になっていた。米国特許第9,205,044号(参考により本明細書に援用される)において、ロフルミラストの乏しい水溶性は、非経口投与のための共溶媒としてアルコキシル化脂肪、特にポリオキシエチル化12-ヒドロキシステアリン酸を使用することによって克服された。欧州特許第1511516B1号(参考により本明細書に援用される公開された米国特許出願第14/075,035号に対応する)では、ロフルミラストの低い水溶性は、局所用エマルジョン(クリーム)製剤において、水の重量百分率を10%未満に保ちながら62%(w/w)を超える濃度でポリエチレングリコール400(PEG 400)と共に配合することにより克服された。
【0004】
皮膚疾患の処置のためのロフルミラストのような強力な薬理学的薬剤の局所適用は、優秀な送達、より低い全身曝露および患者に関するより大きな使用の容易さを提供することが見出されている。化合物の分子構造は、最終的に、製品が適用される組織の上皮を横切る薬物の能力を決定する。皮膚適用に関して、配合物の構成要素の選択は、配合者(formulator)が達成することができる最大皮膚浸透を決定する。クリーム、ローション、ゲル、軟膏、泡状物質および溶液は、‘298号特許(第12欄、37~64行)において開示されているような皮膚への適用のための完全に溶解された有効医薬成分(API)をしばしば含有する局所用ロフルミラスト配合物のよりよく知られている形態のほんの少数である。そのような皮膚疾患の処置に関して、局所適用のためのロフルミラストエマルジョン、懸濁液、ゲルまたは溶液が記載されているが、この化合物の低い溶解度は、それらの適用を制限してきた。
【0005】
低い水溶性を有する有効成分の溶解度を高めるために、いくつかのアプローチが提案されてきた。これらのアプローチは、粒径の低減、ヒドロトロピー(hydrotrophy)、沈殿抑制剤(例えばHPMC、PVP、PVA、PEG)、錯体形成、溶媒沈着(solvent deposition)、pHの変更、凍結乾燥、界面活性剤、共溶解性、マイクロエマルジョン、固体分散および溶媒和物形成を含む。国際公開第2013/030789号は、糖類(例えばスクロース、ラクトース、デンプン類、微結晶性セルロース、低粘度ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、タンパク質(例えばゼラチン)または合成ポリマー(例えばポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびプロピレングリコール)から選択される結合剤と組み合わせた乏しい水溶性を有するPDE-IV阻害剤を開示している。米国特許第9,205,044号(参照により本明細書に援用される)において、ロフルミラストの乏しい水溶性は、アルコキシル化脂肪、特にポリオキシエチル化12-ヒドロキシステアリン酸、を共溶媒として使用することによって克服された。欧州特許第1511516B1号(参照により本明細書に援用される公開された米国特許出願第14/075,035号に対応する)では、ロフルミラストの低い水溶性は、局所用エマルジョン配合物(クリーム)において、水の重量百分率を10%未満に保ちながら62%(w/w)を超える濃度でポリエチレングリコール400(PEG 400)と共に配合することにより克服された。米国特許第7,951,398号(参照により本明細書に援用される)は、溶解性の乏しい薬物として示されているロフルミラストの固体分散体を開示しており、ここで、ロフルミラストは、脂肪アルコール、トリグリセリドおよび脂肪酸エステルを含むマトリックス中に高温で分散させられ、次いで冷却され、親水性ポリマーで顆粒化される。米国特許第6,074,670号は、溶解性の乏しい薬物であるフェノフィブラートの組成物を開示しており、それは、向上した溶解を有する。その組成物は、親水性ポリマーおよび界面活性剤を含み、ここで、フェノフィブラート(fenobibrate)は、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマーの溶液で顆粒化され、それは、結果として向上した溶解プロファイルをもたらす。米国特許第8,431,154号(参照により本明細書に援用される)は、固溶体または固体分散体を調製することによるロフルミラストの顆粒化のためにポリビニルピロリドン(PVP)の水溶液を使用することによって向上した放出および向上した薬物動態プロファイルを有するロフルミラストの組成物を開示している。公開された米国特許出願第14/114,541号(参照により本明細書に援用される)は、新規のPI3K阻害剤が、それらの溶解性、溶解速度、矯味、生物学的利用能および/または安定性を向上させるために溶解性高分子実体、例えばシクロデキストリンおよびその適切な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマー、と組み合わせられることができることを開示している。
【0006】
国際公開第2015/132708号は、ロフルミラストおよび不活性構成要素を含有する多粒子組成物の使用を開示している。不活性構成要素は、顆粒化によって調製され、次いでロフルミラストと組み合わせられ、結果として向上した溶解を有する組成物をもたらす。組成物は、好ましくは不活性構成要素の一部としてポリビニルアルコールを含む。
【0007】
有効成分の溶解度を増大させるための1つの技法は、アルコールまたはグリコールを水とブレンドして水よりも極性が低い溶媒ブレンドを作り出すことであった。エタノールまたはイソプロピルアルコールのような薬学的に許容可能なアルコールは、炎症を起こした皮膚をさらに刺激する傾向があるため炎症性皮膚疾患への局所適用に関する望ましい賦形剤ではないので、プロピレングリコールが、共溶媒として乾癬またはアトピー性皮膚炎の処置のための局所用クリームおよびゲルにおいて頻繁に使用される。プロピレングリコール(PGと略される)は、20%を超える水および揮発性物質ならびに/または50%未満の炭化水素、蝋剤もしくはポリオール類を含有する傾向がある局所用ゲル、ローションおよびクリーム中のコルチコステロイド類の溶解度を増大させるために使用されてきた(USP<1151>局所用エマルジョンの定義)。2005年にFDAに承認された局所
用製品において最初に使用されたPGと化学的に非常に類似した別の溶媒は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(商標名TRANSCUTOL(登録商標))であり、DEGEEと略される。ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、医薬組成物を調製するためのビヒクルとしておよび可溶化剤として使用される(例えば米国特許出願第14/242,973号;第12/846079号および第15/376,345号(参照により本明細書に援用される)を参照)。ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、皮膚透過性増強剤(米国特許出願第15/260,554号および第15/297,998号、参照により本明細書に援用される)としておよび界面活性剤(米国特許第9,649,302号、参照により本明細書に援用される)としても使用される。PGは、さらに多くのFDAにより承認された局所用製品においてDEGEEよりも数十年長い間使用されてきたが、その2種類の溶媒は、表1に示されるように著しく類似している。しかし、これらの溶媒は、異なる有効成分の溶解度および皮膚透過性に対して異なる作用を有する。
【0008】
【表1】
【0009】
Minghettiら(J. Pharm. Sci. 96(4)814-823, 2007)は、ジクロフェナクの
4種類の塩類のニートPGおよびニートDEGEE中における溶解度を決定し、この溶解度データが、表2において要約されている。
【0010】
【表2】
【0011】
両溶媒は、約50重量パーセントまでおよび約50重量パーセントを超える局所適用に関して安全であると考えられるが、医薬配合物では、通常は、患者の亜集団において見られる刺激のために、DEGEEまたはPGの量を約30%に制限する。従って、局所用ゲルまたはエマルジョン(クリームまたはローション)を配合する場合、これらのグリコール類はほとんど常に水とブレンドされる。2種類の溶媒をブレンドする場合、あらゆるブレンドの理想的な溶解度は、個別の溶媒の各々における有効成分の溶解度に基づいて計算されることができる。計算された“理想的な”溶解度は、2種類の溶媒の物理的特性が密接にそろっている(aligned)場合の観察される溶解度と最もよく一致するであろう。混合溶媒系における溶解度の熱力学に関するJ.W.Lorimerの刊行物(Pure
& Appl. Chem. 65(2)183-191, 1993)は、水(HO)および酸化重水素(DO)の
ブレンド中で溶解させた際のNaClの理想的な溶解度および測定された溶解度の間の厳密な相関、ならびに水およびエチレングリコールのブレンドにおけるNaClデータに関する妥当な相関を示した。水およびエチレングリコールのブレンドに関して、計算された“理想的な”溶解度および観察された溶解度の間の最も乏しい相関は、その2種類の溶媒の等モルブレンドで生じ、観察された飽和溶解度は、計算された理想的な溶解度よりも18倍低かった(J. Solution Chem., 14, 635 (1985))。Lorimerは、古典的熱力
学を用いて、溶媒ブレンドのモル分率に対して線形相関を有する溶媒中の溶質(API)の化学ポテンシャルに基づいて理想的な溶解度(論文中でln(m (12)/m)として示される)を導いている。
【0012】
2種類のニート溶媒のそれぞれにおける薬物溶解度を実験的に決定した後、溶媒ブレンドの任意の比率で予想される溶解度を計算する能力は、局所用製品の配合を容易にする。通常、目標濃度は、APIの効力に基づいて決定されている。コルチコステロイド類の一部またはカルシポトリエンのような非常に強力な薬物有効成分は、0.05%~0.5%の局所用製品中の目標濃度を有するであろう。ほとんどの局所用製品は、約2%であろう。皮膚を横切る熱力学的駆動力のうち最大のものは、飽和において生じるため、当業者は、ある範囲の溶媒ブレンド比にわたる溶媒ブレンド中の飽和薬物濃度を知ることを望むであろう。実験的溶解度決定の完全なマトリックスを設定する前に理想的な溶解度の値を計算することによって、実験の回数は、数百から100未満の観察される飽和薬物溶解度決定まで減らされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,712,298号
【特許文献2】国際公開第95/01338号
【特許文献3】米国特許第9,205,044号
【特許文献4】欧州特許第1511516B1号
【特許文献5】米国特許出願第14/075,035号
【特許文献6】国際公開第2013/030789号
【特許文献7】米国特許第7,951,398号
【特許文献8】米国特許第6,074,670号
【特許文献9】米国特許第8,431,154号
【特許文献10】米国特許出願第14/114,541号
【特許文献11】国際公開第2015/132708号
【特許文献12】米国特許出願第14/242,973号
【特許文献13】米国特許出願第12/846079号
【特許文献14】米国特許出願第15/376,345号
【特許文献15】米国特許出願第15/260,554号
【特許文献16】米国特許出願第15/297,998号
【特許文献17】米国特許第9,649,302号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】USP<1151>
【非特許文献2】J. Pharm. Sci. 96(4)814-823, 2007
【非特許文献3】Pure & Appl. Chem. 65(2)183-191, 1993
【非特許文献4】J. Solution Chem., 14, 635 (1985)
【発明の概要】
【0015】
本発明によれば、驚くべきことに、高濃度のロフルミラストがジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)および水の溶媒ブレンド中で溶解し得ることが、発見された。このロフルミラストの劇的に増大した溶解度は、溶媒ブレンドが皮膚軟化剤クリーム中0.5%までのロフルミラストと共に配合された際に維持された。
【0016】
本特許または出願ファイルは、カラーで制作された少なくとも1つの図を含む。カラーの図を含む本特許または特許出願公開の写しは、請求して必要な料金を支払えば庁により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、10×対物レンズを備えた偏光顕微鏡を用いた配合物1の試料の顕微鏡的光景を示す。
図2図2は、10×対物レンズを備えた偏光顕微鏡を用いた配合物2の試料の顕微鏡的光景を示す。
図3図3は、10×対物レンズを備えた偏光顕微鏡を用いた配合物3の試料の顕微鏡的光景を示す。青色の矢印は、これらの5種類のクリームの顕微鏡写真における溶解していないロフルミラスト粒子の最大のもののうちの5個を示している。
図4図4は、10×対物レンズを備えた偏光顕微鏡を用いた配合物4の試料の顕微鏡的光景を示す。青色の矢印は、これらの5種類のクリームの顕微鏡写真における溶解していないロフルミラスト粒子の最大のもののうちの5個を示している。
図5図5は、10×対物レンズを備えた偏光顕微鏡を用いた配合物5の試料の顕微鏡的光景を示す。青色の矢印は、これらの5種類のクリームの顕微鏡写真における溶解していないロフルミラスト粒子の最大のもののうちの5個を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ロフルミラストは、式(I)の化合物であり:
【0019】
【化1】
【0020】
式中、R1は、ジフルオロメトキシであり、R2は、シクロプロピルメトキシであり、R3は、3,5-ジクロロピリド-4-イルである。
この化合物は、化学名N-(3,5-ジクロロピリド-4-イル)-3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシベンズアミド(INN:ロフルミラスト)を有する。ロフルミラストは、当該技術で既知の方法によって調製されることができる(例えば、’298号特許および米国特許出願第14/075,035号を参照)。
【0021】
ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、式(II)の化合物である:
【0022】
【化2】
【0023】
本発明は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE、Gattefosse商品名TRANSCUTOL(登録商標))および水のブレンド中で溶解したロフルミラストの医薬組成物に向けられており、それは、場合により1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーを含む。TRANSCUTOL(登録商標)P、TRANSCUTOL(登録商標)HP、TRANSCUTOL(登録商標)VおよびTRANSCUTOL(登録商標)CGを含むあらゆる適切なグレードのTRANSCUTOL(登録商標)が、使用されることができる。DEGEEおよび水のこのブレンドは、賦形剤の添加およびさらなる処理を受けて、さまざまな医薬剤形を形成し、薬物製品の貯蔵寿命にわたって溶解または分子的に分散されたロフルミラストを維持することができる。
【0024】
本発明は、局所用配合物に特に有用である。DEGEE-水ブレンドに基づくことができるであろう局所用ロフルミラスト医薬製品配合物は、米国薬局方USP<1151>において定義されており、エアロゾル、泡状物質、スプレー、エマルジョン(クリーム、ローションまたは軟膏とも呼ばれ得る)、ゲル(2相または単相)、液体、軟膏、ペースト、シャンプー、懸濁液および系を含む。これらは、ヒトを含む哺乳動物への局所適用のための薬学的に有効な成分を含有する典型的な剤形である。
【0025】
局所適用は、処置から利益を得るであろう患者の皮膚、毛髪または爪に医薬品を投与することを指す。局所的とは、限局的な送達のための患者の上皮への適用も意味し得る。これは、ロフルミラストの眼、耳(ottic)、口腔粘膜、膣粘膜、直腸粘膜または尿道への適用を含むであろう。局所的の最も広い定義は、療法的全身レベルの有効成分を得るための投与経路として患者の上皮を使用することを含むであろう。局所的のこの定義は、
しばしば療法的有効成分の経皮送達と呼ばれる。
【0026】
DEGEEは、しばしば局所用配合物において10~30%(w/w)、好ましくは15~20%(w/w)として配合される。同様に、水は、局所用製品において約20~90%(w/w)として配合される。DEGEEおよび水のブレンドに関して、比は、1:10~20:1の範囲であり得る。好ましくは、DEGEE:水の比は、ロフルミラストを含有する配合物において1:4~9:1である。
【0027】
一般に、DEGEE-水ブレンドは、2.0%までのロフルミラスト(最終製品中)または好ましくは0.5%までのロフルミラスト(最終製品中)を溶解させるために使用されることができる。最終製品は、好ましくは以下の形態の1つである:
水中油型エマルジョン:局所用製品は、離散疎水相および連続水相を含み、連続水相が、DEGEE-水ブレンドおよび場合により1種類以上の極性親水性賦形剤に加えて溶媒、共溶媒、塩類、界面活性剤、乳化剤および他の構成要素を含む、エマルジョンであることができる。これらのエマルジョンは、エマルジョンを安定化するのを助ける水溶性または水膨潤性ポリマーを含むことができる。
【0028】
油中水型エマルジョン:組成物は、連続疎水相および水相を含み、水相が、DEGEE-水ブレンドおよび場合により1種類以上の極性親水性キャリヤー(単数または複数)に加えて塩類または他の成分を含む、エマルジョン中にロフルミラストが組み込まれている配合物であることができる。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマーならびにエマルジョンを安定化するのを助ける1種類以上の乳化剤(単数または複数)を含み得る。
【0029】
水中油型エマルジョンおよび油中水型エマルジョンの両方に関して、添加の順序が重要であり得る。ロフルミラストは、DEGEE-水ブレンドを含有する連続水相に予め溶解させられて添加されることができる。同様に、ロフルミラストは、エマルジョンの疎水性離散相に予め溶解させられることができ、次いでそれは、DEGEE-水ブレンドおよび有効成分を含有しない任意の親水性賦形剤と混合される。ロフルミラストは、エマルジョンの油相および水相の両方に予め溶解させられることができ、またはエマルジョンが形成された後にDEGEEもしくはDEGEE-水ブレンドに予め溶解させられて添加されることができる。一部のエマルジョンは、エマルジョンの冷却の間に特定の温度範囲にわたって相反転を経る。従って、ロフルミラストは、相反転温度より上で油中水型エマルジョンに添加されることができ、最終薬物製品は、制御された室温において水中油型エマルジョンであるか、またはその逆である。
【0030】
増粘水性ゲル:これらの系は、溶解したロフルミラストおよび場合により1種類以上の極性親水性キャリヤー(単数または複数)、例えばヘキシレングリコール、を伴なうDEGEE-水ブレンドを含み、それは、例えば以下に記載されるような、適切な天然増粘剤、改質天然増粘剤または合成増粘剤、によって増粘されている。あるいは、増粘水性ゲルは、適切なポリエトキシレートアルキル(alky)鎖界面活性剤または他の非イオン系、陽イオン系、または陰イオン系を使用して増粘されることができる。
【0031】
増粘ハイドロアルコールゲル:これらの系は、溶解したロフルミラストおよび場合により1種類以上の極性親水性キャリヤー(単数または複数)、例えばヘキシレングリコール、を極性相として伴なうDEGEE-水-アルコールブレンドを含み、それは、例えば以下に記載されるような、適切な天然ポリマー、改質天然ポリマーまたは合成ポリマー、によって増粘されている。あるいは、増粘ハイドロアルコールゲルは、適切なポリエトキシレートアルキル鎖界面活性剤または他の非イオン系、陽イオン系または陰イオン系を使用して増粘されることができる。アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコールまた
は他の薬学的に許容可能なアルコールであり得る。
【0032】
親水性または疎水性軟膏:組成物は、疎水性基剤(例えばワセリン、増粘またはゲル化水不溶性油等)と共に配合され、場合により少量のDEGEE-水ブレンドを、溶解したロフルミラストと共に有する。親水性軟膏は、一般に1種類以上の界面活性剤または湿潤剤を含有する。
【0033】
溶媒
本発明の組成物は、製品中の有効成分溶解度の所望のレベルを得るために、1種類以上の溶媒または共溶媒を含み得る。溶媒は、局所用製品に含有される他の賦形剤の皮膚浸透または活性も改変し得る。溶媒は、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、N-メチルピロリジノン、プロピレングリコールおよびSDアルコールを含むが、それらに限定されない。
【0034】
保湿剤
本発明の組成物は、水和のレベルを増大させるために保湿剤を含むことができる。エマルジョンに関して、保湿剤は、しばしば不連続または連続疎水性相の構成要素である。保湿剤は、湿潤剤を含む親水性材料であることができ、またはそれは、皮膚軟化剤を含む疎水性材料であることができる。適切な保湿剤は、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200~8000、ステアリン酸ブチル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステル蝋剤、パルミチン酸セチル、ココアバター、ココナッツ油、シクロメチコン、ジメチコン、ドコサノール、エチルヘキシルヒドロキシステアレート、脂肪酸、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラノリン、鉱油、リモネン、中鎖トリグリセリド類、メントール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、オリーブ油、パラフィン、落花生油、ワセリン、プラスチベース-50Wおよびステアリルアルコールを含むが、それらに限定されない。
【0035】
界面活性剤および乳化剤
本発明に従う組成物は、組成物を乳化させ、有効成分または賦形剤の表面を濡らすのを助けるために、場合により1種類以上の界面活性剤を含むことができる。本明細書で用いられる際、用語“界面活性剤”は、水の表面張力ならびに/または水および不混和性液体の間の界面張力を低減することができる両親媒性物質(共有結合した極性領域および非極性領域の両方を有する分子)を意味する。界面活性剤は、アルキルアリールナトリウムスルホネート、Amerchol-CAB、ラウリル硫酸アンモニウム、アプリコットカーネルオイルPEG-6エステル、Arlacel、塩化ベンザルコニウム、Ceteareth-6、Ceteareth-12、Ceteareth-15、Ceteareth-30、セテアリルアルコール/セテアレス-20、セテアリルエチルヘキサノエート、セテス-10、セテス-10ホスフェート、セテス-2、セテス-20、セテス-23、セテス-24、コカミドエーテルサルフェート、コカミンオキシド、ココベタイン、ココジエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、ココカプリレート/カプレート、リン酸ジセチル、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、オレアミドモノエタノールアミンスルホコハク酸二ナトリウム、ドクサートナトリウム、ラウレス-2、ラウレス-23、ラウレス-4、ラウリン酸ジエタノールアミド、レシチン、メトキシ
PEG-16(mehoxy PEG-16)、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、メチルグルコースセスキステアレート、オレス-2、オレス-20、PEG 6-32ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-12グリセリルラウレート、PEG-120メチルグルコースジオレエート、PEG-15コカミン、PEG-150ジステアレート、PEG-2ステアレート、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG-22メチルエーテル、PEG-25プロピレングリコールステアレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-5オレエート、PEG-50ステアレート、PEG-54硬化ヒマシ油、PEG-6イソステアレート、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-7メチルエーテル、PEG-75ラノリン、PEG-8ラウレート、PEG-8ステアレート、Pegoxol 7ステアレート、ペンタエリスリトールココエート、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、ポリグリセリル-3オレエート、ポリオキシエチレンアルコール類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル6およびポリオキシル32、ポリオキシルグリセリルステアレート、ポリオキシルステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、PPG-26オレエート、PROMULGEN(商標)12、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールモノステアレート、キシレンスルホン酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-40、獣脂グリセリドならびに乳化蝋剤を含むが、それらに限定されない。
【0036】
ポリマーおよび増粘剤
特定の適用に関しては、可溶性、膨潤性、または不溶性の有機ポリマー性増粘剤、例えばアクリレートコポリマー、カルボマー1382、カルボマーコポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプA、カルボマーホモポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプC、カルボオキシビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カラギーナン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性蝋剤およびメチルセルロースを含むがそれらに限定されない天然および合成ポリマーまたは無機性増粘剤を用いて増粘された局所用製品を配合することが望ましい可能性がある。
【0037】
追加の構成要素
本発明に従う組成物は、化粧品および医薬的局所用製品に従来見られる追加の構成要素と共に配合されることができる。追加の構成要素は、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整溶液、皮膚浸透増強剤、フィルム形成剤、色素、顔料、芳香剤および製品の安定性または美観を向上させるための他の賦形剤を含むが、それらに限定されない。好ましい態様において、組成物の貯蔵寿命にわたる粒径分布の変化を抑制するために、ヘキシレングリコールが添加される。ヘキシレングリコールは、重量/重量基準で0.1%~20%、好ましくは重量/重量基準で0.25%~8%、最も好ましくは重量/重量基準で0.5%~2%添加されることができる。
【0038】
本発明に従う組成物は、処置されるべき病気に応じて追加の有効薬剤と共に配合されることができる。追加の有効薬剤は、アントラリン(ジトラノール)、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキサート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル類、コルチコステロイド類(例えばアクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、クロベタゾ
ール、クロコルトロン、モメタゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ジフロラゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾン)、コルチコトロピン、ビタミンD類似体(例えばカルシポトリエン、カルシトリオール)、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張薬(例えばベータ作動薬、抗コリン薬、テオフィリン)、および抗生物質(例えばエリスロマイシン、シプロフロキサシン、メトロニダゾール)を含むが、それらに限定されない。
【0039】
投与および投与量
本発明に従う組成物は、経口、直腸、非経口(例えば皮内、皮下、筋肉内、静脈内、髄内、動脈内、髄腔内、硬膜外)、眼、吸入、噴霧、皮膚(局所)、経皮および粘膜(例えば舌下、頬側、鼻腔)を含むがそれらに限定されないあらゆる適切な投与経路によって投与されることができる。好ましい態様において、組成物は、局所的に投与される。
【0040】
適切な医薬剤形は、エマルジョン、懸濁液、スプレー、油、軟膏、脂肪軟膏、クリーム、ペースト、ゲル、泡状物質、経皮パッチおよび溶液(例えば注射用、経口)を含むが、それらに限定されない。
【0041】
本組成物は、好ましくは投与単位あたり0.005~2%w/w、より好ましくは0.05~1%w/w、最も好ましくは0.1~0.5%w/wの量のロフルミラスト、ロフルミラストの塩類、ロフルミラストのN-酸化物またはそれらの塩類を含有する。
【0042】
組成物は、好ましくは5%~50%w/w、より好ましくは20%~30%w/w、最も好ましくは22.5%~27.5%w/wのいずれかの量のジエチレングリコールモノエチルエーテルを含有する。
【0043】
組成物は、1日あたり1回以上投与されることができ、好ましくは、組成物は、1日あたり1~2回投与される。
組成物は、ロフルミラストを使用することによって処置可能または予防可能であるとみなされる全ての疾患(急性および慢性気道障害;増殖性、炎症性およびアレルギー性皮膚疾患;TNFおよびロイコトリエン類の過剰放出に基づく障害;PDE阻害剤によって処置されることができる心臓の障害;胃腸系または中枢神経系における炎症;眼の障害;関節炎性障害;ならびにPDE阻害剤の組織弛緩作用によって処置されることができる障害を含むがそれらに限定されない)の処置および予防のために獣医学およびヒト医学において使用されることができる。好ましくは、組成物は、乾癬(尋常性)、湿疹、ざ瘡、単純苔癬、日焼け、そう痒症、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状ルプスエリテマトーデスおよび膿皮症(pyodermias)のような増殖性、炎症性およびアレルギー性皮膚疾患を処置するために使用される。
【0044】
以下の実施例は、当業者が本発明の方法および組成物を作製および使用することを可能にするために提供される。これらの実施例は、本発明者らが彼らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。追加の利点および修正は、当業者には容易に明らかであろう。
【実施例0045】
実施例1
ロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)0.0061グラムを、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。PG(プロピレングリコール、Spectrum Chemical ロットIEC0004)を、混合しながら
ロフルミラストを含有するバイアルに滴加した。PGを添加するたびに混合した後、きつく蓋をしたバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。25℃でPG中0.3w/w%のロフルミラストの観察された飽和溶解度に等しい0.0061グラムのロフルミラストを完全に溶解するためには、1.9332グラムのPGが必要であった。国際公開第95/01338号における(21℃で)0.53mg/lの引用値を、0.000053w/w%に等しい水中でのロフルミラストの飽和溶解度に関する観測値として使用した。Lorimerの方程式、0.3%ロフルミラストのPG中の観察された飽和溶解度および0.000053%の水中の観察された飽和溶解度を用いて、等モルのPG:水中のロフルミラストの計算された理想的な溶解度は、0.0040w/w%である。
【0046】
2.3200グラムのPG(Spectrum Chemical ロットIEC0004)および蒸留水の等モルブレンドを調製し、0.0012グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのBatch A14367P)を含有するシンチレーションバイアルに添加した。25℃に平衡化した後、ロフルミラストは完全に溶解して0.052%溶液を形成した。等モルブレンドは、重量/重量パーセント基準で80.7%のPGおよび19.3%の水である。2.2696gの等モルのPG:水の添加は、25℃で0.0017gのロフルミラスト(0.075%ロフルミラスト)を完全には溶解しなかった。25℃でのロフルミラストの等モルのPG:水中における実験的に決定された観察された飽和溶解度は、0.06w/w%であった。
【0047】
25℃で、等モルのPG:水中でのロフルミラストの観察された飽和溶解度は、等モルのPG:水ブレンド(80.7:19.3 PG:水w/w)中でのロフルミラストの計算された理想的な溶解度よりも15倍大きかった。
【0048】
実施例2
ロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)0.0205グラムを、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。DEGEE(Transcutol P、ロット146063、Gattefosse)を、混合しながらロフルミラストを含有するバイアルに滴加した。DEGEEを添加するたびに混合した後、きつく蓋をしたバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。25℃でDEGEE中7.1w/w%のロフルミラストの観察された飽和溶解度に等しい0.0205グラムのロフルミラストを完全に溶解するためには、0.2699グラムのDEGEEが必要であった。国際公開第95/01338号における(21℃で)0.53mg/lの引用値を、0.000053w/w%に等しい水中でのロフルミラストの飽和溶解度に関する観測値として使用した。Lorimerの方程式、7.1%ロフルミラストのDEGEE中の観察された飽和溶解度および0.000053%の水中の観察された飽和溶解度を用いて、等モルのDEGEE:水中のロフルミラストの計算された理想的な溶解度は、0.019w/w%である。
【0049】
ロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)0.0111グラムを、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。DEGEE(Transcutol P、ロット146063、Gattefosse)および蒸留水の等モルブレンドを調製し、混合しながらロフルミラストを含有するバイアルに滴加した。等モルブレンドは、重量/重量パーセント基準で88.3%のDEGEEおよび11.7%の水である。等モルのDEGEE:水を添加するたびに混合した後、きつく蓋をしたバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。しかし、0.0111グラムのロフルミラストは、0.2337グラムの等モルのDEGEE:水の添加(4.53%ロフルミラスト)後に溶解しなかったが、0.2477グラムの等モルのDEGEE:水の添加(4.29%ロフルミラスト)後に溶解した。25℃でのロフルミラストの等モルのDEGEE:水中における実験的に決定された飽和溶解度は、4.4w/w%であることが観察された。
【0050】
25℃において、ロフルミラストの等モルのDEGEE:水中における観察された飽和溶解度は、ロフルミラストの等モルのDEGEE:水ブレンド(88.3:11.7 DEGEE:水w/w)中における計算された理想的な溶解度より232倍大きかった。
【0051】
実施例3
0.5%ロフルミラストクリームを、以下の配合に従って調製した。きつく閉めたガラス容器中で少なくとも1ヶ月間貯蔵した後、クリームの薄い塗抹標本をガラス顕微鏡スライド上に装填し、カバーガラスを試料上に置いた。10×対物レンズを備えた偏光顕微鏡を用いた試料の顕微鏡光景を得た(図1~5)。顕微鏡的光景(顕微鏡写真)を調べて、溶解していないロフルミラストがクリーム中に存在するかどうかを決定した。青い矢印は、これらの5種類のクリームの顕微鏡写真における溶解していないロフルミラスト粒子の最大のもののうちの5個を示している。Transcutol(25%)を含有する2種
類のクリームのみが、溶解していない有効物質を含有していなかった。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]ロフルミラストおよび水混和性の薬学的に許容可能な溶媒のブレンドを含む医薬組成物であって、前記のブレンドが、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水を含み、前記のジエチレングリコールモノエチルエーテルが、10~30%(w/w)の量であり、前記の水が、20~90%(w/w)の量である医薬組成物。
[2][1]に記載の医薬組成物であって、前記のジエチレングリコールモノエチルエーテルが、15~20%w/wの量である医薬組成物。
[3][1]に記載の医薬組成物であって、前記のロフルミラストが、0.005~2%w/wの量である医薬組成物。
[4][1]に記載の医薬組成物であって、ジエチレングリコールモノエチルエーテル対水の比が、1:10~20:1である医薬組成物。
[5][4]に記載の医薬組成物であって、前記のジエチレングリコールモノエチルエーテル対水の比が、1:4~9:1である医薬組成物。
[6][1]に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、水中油型エマルジョン、増粘水性ゲル、増粘ハイドロアルコールゲル、親水性ゲルおよび親水性または疎水性軟膏からなる群から選択される医薬組成物。
[7][1]に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、さらに溶媒、保湿剤、界面活性剤または乳化剤、ポリマーまたは増粘剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整溶液、皮膚浸透増強剤、フィルム形成剤、色素、顔料および芳香剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む医薬組成物。
[8][1]に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、さらにアントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキサート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル類、コルチコステロイド類、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張薬および抗生物質からなる群から選択される追加の有効薬剤を含む医薬組成物。
[9][1]に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、局所、非経口または肺投与に適したキャリヤーを含む医薬組成物。
[10][9]に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、局所投与に適したキャリヤーを含む医薬組成物。
[11][1]に記載の医薬組成物であって、前記の医薬組成物が、さらに0.1~20%w/wの量のヘキシレングリコールを含む医薬組成物。
[12]ロフルミラスト配合物の低い水溶性を克服するための方法であって、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水をロフルミラストを含む組成物中で組み合わせることを含み、前記のジエチレングリコールモノエチルエーテルが、10~30%(w/w)の量であり、前記の水が、20~90%(w/w)の量であり、前記のロフルミラストが、飽和濃度である方法。
[13][12]に記載の方法であって、ジエチレングリコールモノエチルエーテル対水の比が、1:10~20:1である方法。
[14][13]に記載の方法であって、前記のジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル対水の比が、1:4~9:1である方法。
[15][12]に記載の方法であって、前記のジエチレングリコールモノエチルエーテルが、15~20%(w/w)の量である方法。
[16][12]に記載の方法であって、前記のロフルミラスト組成物が、0.005~2%のロフルミラストを含む方法。
[17]患者においてホスホジエステラーゼ4を阻害する方法であって、ロフルミラストおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルを含む組成物を前記の患者に投与することを含む方法。
[18][17]に記載の方法であって、前記の患者が、炎症性の病気を患っている方法。
[19][18]に記載の方法であって、前記の患者が、アトピー性皮膚炎を患っている方法。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
図1
図2
図3
図4
図5