(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027199
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】抗LAG-3抗体および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230221BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230221BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230221BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230221BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230221BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230221BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230221BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230221BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230221BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230221BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230221BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230221BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230221BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230221BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230221BHJP
A61K 31/203 20060101ALI20230221BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20230221BHJP
A61K 31/59 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/30 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/46
C12N15/62 Z
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P37/04
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K31/203
A61K31/192
A61K31/59
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022195869
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2019520053の分割
【原出願日】2017-10-13
(31)【優先権主張番号】62/407,678
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518277815
【氏名又は名称】チア・タイ・ティエンチン・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100218268
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・モンラズ・グランダル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクラム・クラー・バティア
(72)【発明者】
【氏名】トーベン・ゲティング
(72)【発明者】
【氏名】カミラ・フレーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・ローラン・ガラー
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・クラウ
(72)【発明者】
【氏名】アイバン・デイビッド・ホラック
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ブーキン
(72)【発明者】
【氏名】ミッケル・ヴァンダール・ペダーセン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、抗LAG-3抗体、およびLAG-3活性を調節することで利益を得る疾患および状態(例えばがん)を処置するのに抗LAG-3抗体を用いる方法を提供する。
【解決手段】抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分、ここで該抗体は、抗体15532、15646、15723、15595、15431、15572または15011と同一のヒトLAG-3のエピトープに結合する、抗体を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分、ここで該抗体は、抗体15532、15646、15723、15595、15431、15572または15011と同一のヒトLAG-3のエピトープに結合する。
【請求項2】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)重鎖相補性決定領域(H-CDR)3が配列番号43のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号41~43のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号7および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)軽鎖相補性決定領域1~3(L-CDR1~3)が配列番号44、45および40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号8および34のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号43のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号40のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号41、42、43、44、45および40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号7および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号8および34のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項3】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)H-CDR3が配列番号37のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号35~37のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号3のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号3および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)L-CDR1~3が配列番号38~40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号4のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号4および34のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号37のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号40のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号35~40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号3のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号4のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号3および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号4および34のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項4】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)H-CDR3が配列番号46のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号35、42および46のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号11のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号11および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)L-CDR1~3が配列番号44、47および40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号12のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号12および34のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号46のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号40のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号35、42、46、44、47および40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号11のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号12のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号11および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号12および34のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項5】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)H-CDR3が配列番号50のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号48~50のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号15のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号15および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)L-CDR1~3が配列番号51、47および52のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号16のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号16および34のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号50のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号52のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号48、49、50、51、47および52のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号15のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号16のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号15および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号16および34のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項6】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)H-CDR3が配列番号55のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号53~55のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号19のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号19および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)L-CDR1~3が配列番号44、45および40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号20および34のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号55のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号40のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号53、54、55、44、45および40のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号19のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号19および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号20および34のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項7】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)H-CDR3が配列番号58のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号56~58のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号23のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号23および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)L-CDR1~3が配列番号59~61のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号24のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号24および34のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号58のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号61のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号56~61のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号23のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号24のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号23および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号24および34のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項8】
抗LAG-3抗体が以下からなる群から選択される、請求項1記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)H-CDR3が配列番号64のアミノ酸配列を含む抗体;
b)H-CDR1~3が配列番号62~64のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
c)重鎖可変領域(VH)の配列が配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
d)VHが配列番号27のアミノ酸配列を含む抗体;
e)重鎖(HC)が配列番号27および30のアミノ酸配列を含む抗体;
f)L-CDR1~3が配列番号65~67のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
g)軽鎖可変領域(VL)の配列が配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
h)VLが配列番号28のアミノ酸配列を含む抗体;
i)軽鎖(LC)が配列番号28および32のアミノ酸配列を含む抗体;
j)H-CDR3が配列番号64のアミノ酸配列を含み、L-CDR3が配列番号67のアミノ酸配列を含む抗体;
k)H-CDR1~3およびL-CDR1~3が配列番号62~67のアミノ酸配列をそれぞれ含む抗体;
l)VHの配列が配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であり、VLの配列が配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である抗体;
m)VHが配列番号27のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号28のアミノ酸配列を含む抗体;および
n)HCが配列番号27および30のアミノ酸配列を含み、LCが配列番号28および32のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項9】
抗LAG-3抗体が以下のH-CDR1~3およびL-CDR1~3アミノ酸配列を含む、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分:
a)それぞれ配列番号41、42、43、44、45および40;
b)それぞれ配列番号35、36、37、38、39および40;
c)それぞれ配列番号35、42、46、44、47および40;
d)それぞれ配列番号48、49、50、51、47および52;
e)それぞれ配列番号53、54、55、44、45および40;
f)それぞれ配列番号56、57、58、59、60および61;または
g)それぞれ配列番号62、63、64、65、66および67。
【請求項10】
抗LAG-3抗体が以下のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分:
a)それぞれ配列番号7および8;
b)それぞれ配列番号3および4;
c)それぞれ配列番号11および12;
d)それぞれ配列番号15および16;
e)それぞれ配列番号19および20;
f)それぞれ配列番号23および24;または
g)それぞれ配列番号27および28。
【請求項11】
以下を含む抗LAG-3抗体:
a)配列番号7および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号8および34のアミノ酸配列を含むLC;
b)配列番号3および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号4および34のアミノ酸配列を含むLC;
c)配列番号11および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号12および34のアミノ酸配列を含むLC;
d)配列番号15および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号16および34のアミノ酸配列を含むLC;
e)配列番号19および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号20および34のアミノ酸配列を含むLC;
f)配列番号23および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号24および34のアミノ酸配列を含むLC;または
g)配列番号27および30のアミノ酸配列を含むHC、ならびに配列番号28および32のアミノ酸配列を含むLC。
【請求項12】
以下から選択される少なくとも1つの性質を有する、請求項1~10のいずれかに記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)20μg/mLの濃度において、フローサイトメトリーによる競合アッセイによって決定された場合に、ヒトLAG-3のA375細胞上のヒトMHCクラスIIへの結合を陰性対照抗体と比較して85%よりも大きく減少させる;
b)20μg/mLの濃度において、フローサイトメトリーによる競合アッセイによって決定された場合に、ヒトLAG-3のA375細胞上のヒトMHCクラスIIへの結合を陰性対照抗体と比較して35%~85%減少させる;
c)Jurkat細胞上に発現しているヒトLAG-3とRaji細胞上に発現しているヒトMHCクラスIIとの間の結合を遮断する;
d)フローサイトメトリーによって測定された場合、ヒトLAG-3に0.1nM以下のEC50で結合する;
e)フローサイトメトリーによって測定された場合、カニクイザルLAG-3に0.3nM以下のEC50で結合する;
f)表面プラズモン共鳴によって測定された場合、ヒトLAG-3に3.0×10-8以下のKDで結合する;
g)表面プラズモン共鳴によって測定された場合、カニクイザルLAG-3に1.5×10-7以下のKDで結合する;
h)表面プラズモン共鳴によって測定された場合、マウスLAG-3に3.5×10-8以下のKDで結合する;
i)ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で処理されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるIL-2産生を刺激する;
j)ヒトT細胞中のLAG-3の細胞内レベルを減少させる;
k)ヒトT細胞の培養物中のLAG-3の溶解レベルを減少させる;
l)インビボにおいて腫瘍増殖の退縮を誘導する;
m)インビボにおいて腫瘍増殖を遅延させる;および
n)抗体25F7-Lag3.5と同一のヒトLAG-3のエピトープに結合しない。
【請求項13】
抗体がヒトLAG-3への結合について抗体15011と競合する、請求項1~12のいずれかに記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分。
【請求項14】
抗体がヒトLAG-3への結合について抗体15572と競合する、請求項1~12のいずれかに記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分。
【請求項15】
抗体がヒトLAG-3への結合について抗体15431と競合する、請求項1~12のいずれかに記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分。
【請求項16】
抗体または部分が以下を有するヒトLAG-3のエピトープに結合する、請求項1~12のいずれかに記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)配列番号68のアミノ酸残基H85、P86、A87、P89、S91、W92およびG93;
b)配列番号68のアミノ酸残基A40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67、D68、G93、P94、P96、R98、Y99、T100、V101、P106、G107、R119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163;
c)配列番号68のアミノ酸残基A40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67、D68、P96、Y99、T100、V101、P106、G107、R119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163;または
d)配列番号68のアミノ酸残基G107、L109、R110およびS111。
【請求項17】
抗体または部分が配列番号68のアミノ酸残基98~105を有するエピトープに結合する、請求項1または12に記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分。
【請求項18】
前記抗体または部分が以下を有するエピトープに結合する、請求項17記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分:
a)配列番号68のアミノ酸残基78~105および123~131;
b)配列番号68のアミノ酸残基23~30、40~66、88~105、123~137および148~152;または
c)配列番号68のアミノ酸残基23~30、40~66、98~105、118~137および148~161。
【請求項19】
抗体がアイソタイプIgGである、請求項1~18のいずれかに記載の抗LAG-3抗体。
【請求項20】
抗体がアイソタイプIgGのサブクラスIgG1である、請求項19記載の抗LAG-3抗体。
【請求項21】
抗体がFc領域に少なくとも1つの変異を含む、請求項20記載の抗LAG-3抗体。
【請求項22】
抗体が、重鎖アミノ酸位置228、234および235のうち1つ以上に変異を含み、これらがIMGT(登録商標)ナンバリングスキームに従って番号付けされている、請求項21記載の抗LAG-3抗体。
【請求項23】
234位および235位のアミノ酸残基の一方または両方がLeuからAlaに変異しており、かつ/または228位のアミノ酸残基がSerからProに変異している、請求項22記載の抗LAG-3抗体。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の少なくとも1つの抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項25】
1つの抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分を含む、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~23のいずれかに記載の抗LAG-3抗体の重鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、または軽鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、またはその両方を含む単離された核酸分子。
【請求項27】
発現制御配列をさらに含む、請求項26に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
【請求項28】
請求項1~23のいずれかに記載の抗LAG-3抗体の重鎖またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、および軽鎖またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞。
【請求項29】
請求項28記載の宿主細胞を提供すること、前記宿主細胞を抗体または部分の発現に適した条件下で培養すること、および得られた抗体または部分を単離することを含む、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分を作製する方法。
【請求項30】
請求項1~23のいずれかに記載の2つの異なる抗LAG-3抗体の抗原結合部分を含む二重特異性結合分子。
【請求項31】
請求項1~23のいずれかに記載の抗LAG-3抗体もしくは抗原結合部分、請求項24もしくは25に記載の医薬組成物、または請求項30記載の二重特異性結合分子を、LAG-3関連障害に罹患している患者に投与することを含む、前記患者を処置する方法。
【請求項32】
請求項1~23のいずれかに記載の抗体もしくは抗原結合部分、請求項24もしくは25に記載の医薬組成物、または請求項30記載の二重特異性結合分子を患者に投与することを含む、前記患者のがんを処置する方法。
【請求項33】
がんが、皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟部組織、造血系、頭頸部、肝臓、膀胱、乳房、胃、子宮および膵臓からなる群から選択される組織から生じている、請求項32記載の方法。
【請求項34】
がんが、線維肉腫、非小細胞肺がん、黒色腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫または大腸がんである、請求項32記載の方法。
【請求項35】
それを必要とする患者の免疫を増強させる方法であって、請求項1~23のいずれかに記載の抗LAG-3抗体もしくは抗原結合部分、請求項24もしくは25に記載の医薬組成物、または請求項30記載の二重特異性結合分子を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項36】
免疫賦活性物質、ワクチン、化学療法剤、抗悪性腫瘍剤、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、LAG-3経路阻害剤または放射線療法を患者に投与することをさらに含む、請求項31~35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
レチノイン酸、フェニルブチレート、オールトランスレチノイン酸および活性型ビタミンDからなる群から選択される化合物を患者に投与することをさらに含む、請求項31~35のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
以下のための薬物の製造のための、請求項1~23のいずれかに記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分の使用:
a)LAG-3関連障害に罹患している患者を処置する;
b)患者のがんを処置する;または
c)それを必要とする患者の免疫を増強する。
【請求項39】
以下における使用のための、請求項1~23のいずれかに記載の抗体または抗原結合部分:
a)LAG-3関連障害に罹患している患者の処置;
b)患者のがんの処置;または
c)それを必要とする患者の免疫の増強。
【請求項40】
以下に適した、請求項1~23のいずれかに記載の抗体または抗原結合部分を含む製品:
a)LAG-3関連障害に罹患している患者の処置;
b)患者のがんの処置;または
c)それを必要とする患者の免疫の増強。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が引用により本明細書に取り込まれる配列表を含む。2017年10月5日に作成された配列表の電子コピーの名称は022675_WO057_SL.txtであり、そのサイズは64,693バイトである。
【背景技術】
【0002】
LAG-3(リンパ球活性化遺伝子3;CD223としても知られている)は、免疫チェックポイント受容体として機能する免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質である。成熟タンパク質は、4つの細胞外Ig様ドメインを含む503アミノ酸のI型膜貫通タンパク質である。これは様々な種類の細胞(活性化T細胞、制御性T(Treg)細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞および形質細胞様樹状細胞を含む)上に発現する。LAG-3の配列データ、エクソン/イントロン構造および染色体内分布に関する情報は、LAG-3がCD4に密接に関連していることを示す。CD4と同様に、LAG-3はMHCクラスII分子に結合するが、CD4と比較してより高い親和性で異なる部位に結合する。
【0003】
LAG-3は、CTLA-4およびPD-1と類似の様式でT細胞増殖、活性化および恒常性を制御すると考えられている共抑制性受容体である。細胞外ドメインとのリガンド結合により、LAG-3は細胞質ドメインを介したその後のシグナル伝達を通してその効果を発揮する。最も良く特徴付けられているLAG-3のリガンドはMHCクラスII(MHCII)であるが、他のLAG-3リガンド(LSECtinを含む)も記述されている。
【0004】
LAG-3は古典的なITIMまたはITSMモチーフを有さないが、T細胞活性に対する阻害効果を達成するのに不可欠であると考えられている保存されたKIEELEモチーフ(配列番号73)を有する。LAG-3がT細胞活性に影響を与える正確な機構はほとんど解明されていない。LAG-3は、活性化T細胞が細胞周期の増殖期に移行するのを阻止し、S期における細胞の蓄積をもたらすことによってT細胞増殖を阻害する。LAG-3はまた、制御性T細胞の抑制活性の増強および樹状細胞機能の調節に関与していると考えられている。がん細胞はMHCIIの発現を上方制御する能力を有し、MHCIIはエフェクターT細胞上のLAG-3に結合し、したがってそれらの活性を阻害し、腫瘍免疫回避を誘導する。
【0005】
免疫調節物質としてのLAG-3の重要な役割を考慮すると、がんおよび免疫系の特定の障害を処置するためにLAG-3を標的とする新規な改良された免疫療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、LAG-3を標的とする新規組換え抗体、1以上のこれらの抗体を含む医薬組成物、ならびに患者の免疫の増強、および組織(皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟部組織、造血系、頭頸部、肝臓、膀胱、乳房、胃、子宮および膵臓など)から生じたがんの処置のための抗体および医薬組成物の使用に関する。このようながんのための現在利用可能な処置(抗体の処置を含む)と比較して、本発明の抗体は単独または別のがん治療法(別の免疫チェックポイントタンパク質を標的とする抗体など)との組合せのいずれにおいても優れた臨床応答を提供し得ることが想定される。
【0007】
ある実施態様において、本発明は抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗LAG-3抗体は、本明細書で抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572もしくは15011と呼ばれる抗体のうちいずれかまたはその変異体であり、変異体は例えば異なるアイソタイプまたはアイソタイプサブクラスであり得、かつ/または抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011と比較して親抗体の抗原結合特異性を失わない特定の最小限のアミノ酸変化を含み得る。
【0008】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、重鎖(H)CDR1~3および軽鎖(L)CDR1~3が抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR1~3およびL-CDR1~3と同一またはそれに由来している抗体と、ヒトLAG-3への結合について競合する。
【0009】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、重鎖(H)CDR1~3および軽鎖(L)CDR1~3が抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR1~3およびL-CDR1~3と同一またはそれに由来している抗体と、同一のヒトLAG-3のエピトープに結合する。
【0010】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR3アミノ酸配列を含むH-CDR3を含む。
【0011】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR1~3配列をそれぞれ含むH-CDR1~3を含む。
【0012】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のL-CDR3アミノ酸配列を含むL-CDR3を含む。
【0013】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のL-CDR1~3配列をそれぞれ含むL-CDR1~3を含む。
【0014】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR3およびL-CDR3アミノ酸配列を含む。
【0015】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR1~3およびL-CDR1~3アミノ酸配列を含む。
【0016】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011と、ヒトLAG-3への結合について競合する。
【0017】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011と、同一のヒトLAG-3のエピトープに結合する。
【0018】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号37、43、46、50、55、58または64のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)3を含む。
【0019】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号35~37;41~43;35、42および46;48~50;53~55;56~58;または62~64のアミノ酸配列をそれぞれ含むH-CDR1~3を含む。
【0020】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3、7、11、15、19、23または27の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVHを有する。
【0021】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3、7、11、15、19、23または27を含むVHを有する。
【0022】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3、7、11、15、19、23または27のVHアミノ酸配列および配列番号30の重鎖定常領域アミノ酸配列を含む重鎖(HC)を有する。
【0023】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号40、52、61または67のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(L-CDR)3を含む。
【0024】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号38~40;44、45および40;44、47および40;51、47および52;59~61;または65~67のアミノ酸配列をそれぞれ含むL-CDR1~3を含む。
【0025】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号4、8、12、16、20、24または28の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する。
【0026】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号4、8、12、16、20、24または28を含むVLを有する。
【0027】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号4、8、12、16、20、24または28のVLアミノ酸配列および配列番号32または34の軽鎖定常領域アミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を有する。
【0028】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、それぞれ配列番号37および40;43および40;46および40;50および52;55および40;58および61;または64および67のH-CDR3およびL-CDR3アミノ酸配列を含む。
【0029】
ある実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は以下のH-CDR1~3およびL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号35、36、37、38、39および40;
b)それぞれ配列番号41、42、43、44、45および40;
c)それぞれ配列番号35、42、46、44、47および40;
d)それぞれ配列番号48、49、50、51、47および52;
e)それぞれ配列番号53、54、55、44、45および40;
f)それぞれ配列番号56、57、58、59、60および61;または
g)それぞれ配列番号62、63、64、65、66および67。
【0030】
ある実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体はまたはその抗原結合部分は:
a)配列番号3のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号4のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する;
b)配列番号7のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号8のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する;
c)配列番号11のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号12のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する;
d)配列番号15のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号16のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する;
e)配列番号19のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号20のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する;
f)配列番号23のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号24のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する;または
g)配列番号27のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVH、および配列番号28のアミノ酸配列と配列が少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)同一であるVLを有する。
【0031】
ある実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は:
a)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する;
b)配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号8のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する;
c)配列番号11のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号12のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する;
d)配列番号15のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する;
e)配列番号19のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号20のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する;
f)配列番号23のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する;または
g)配列番号27のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVH、および配列番号28のアミノ酸配列を含むか、またはからなるVLを有する。
【0032】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は:
a)配列番号4および34のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号3および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する;
b)配列番号8および34のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号7および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する;
c)配列番号12および34のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号11および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する;
d)配列番号16および34のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号15および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する;
e)配列番号20および34のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号19および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する;
f)配列番号24および34のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号23および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する;または
g)配列番号28および32のアミノ酸配列を含むか、またはからなるLC;ならびに配列番号27および30のアミノ酸配列を含むか、またはからなるHCを有する。
【0033】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、以下の性質のうち少なくとも1つを有する:
a)20μg/mLの濃度において、フローサイトメトリーによる競合アッセイによって決定された場合に、ヒトLAG-3のA375細胞上のヒトMHCクラスIIへの結合を陰性対照抗体と比較して85%よりも大きく減少させる;
b)20μg/mLの濃度において、フローサイトメトリーによる競合アッセイによって決定された場合に、ヒトLAG-3のA375細胞上のヒトMHCクラスIIへの結合を陰性対照抗体と比較して35%~85%減少させる;
c)Jurkat細胞上に発現しているヒトLAG-3とRaji細胞上に発現しているヒトMHCクラスIIとの間の結合を遮断する;
d)フローサイトメトリーによって測定された場合、ヒトLAG-3に0.1nM以下のEC50で結合する;
e)フローサイトメトリーによって測定された場合、カニクイザルLAG-3に0.3nM以下のEC50で結合する;
f)表面プラズモン共鳴によって測定された場合、ヒトLAG-3に3.0×10-8以下のKDで結合する;
g)表面プラズモン共鳴によって測定された場合、カニクイザルLAG-3に1.5×10-7以下のKDで結合する;
h)表面プラズモン共鳴によって測定された場合、マウスLAG-3に3.5×10-8以下のKDで結合する;
i)ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で処理されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるIL-2産生を刺激する;
j)ヒトT細胞中のLAG-3の細胞内レベルを減少させる;
k)ヒトT細胞の培養物中のLAG-3の溶解レベルを減少させる
l)インビボ(in vivo)において腫瘍増殖の退縮を誘導する;
m)インビボにおいて腫瘍増殖を遅延させる;および
n)抗体25F7-Lag3.5と同一のヒトLAG-3のエピトープに結合しない。
【0034】
このような抗体の例には、限定されないが、抗体15646(少なくともb、c、d、e、iおよびnの性質を有する)、抗体15532(少なくともa、c、d、e、f、g、i、j、k、mおよびnの性質を有する)、抗体15723(少なくともb、c、d、e、iおよびnの性質を有する)、抗体15595(少なくともa、c、d、e、iおよびnの性質を有する)、抗体15431(少なくともa、c、d、e、f、g、iおよびnの性質を有する)、抗体15572(少なくともb、c、d、e、f、g、iおよびnの性質を有する)、および抗体15011(少なくともa、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、mおよびnの性質を有する)が含まれる。いくつかの実施態様において、本発明の抗TIM-3抗体または抗原結合部分は、前記性質のうち少なくとも13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1つを有する。いくつかの実施態様において、本発明の抗TIM-3抗体または抗原結合部分は、少なくともb、c、d、e、iおよびnの性質;少なくともa、c、d、e、f、g、i、j、k、mおよびnの性質;少なくともa、c、d、e、iおよびnの性質;少なくともa、c、d、e、f、g、iおよびnの性質;少なくともb、c、d、e、f、g、iおよびnの性質;または少なくともa、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、mおよびnの性質を有する。
【0035】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、抗体15011、15572および/または15431とヒトLAG-3への結合について競合する。
【0036】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分はヒトLAG-3のエピトープに結合し、このエピトープは以下を有する:
a)配列番号68のアミノ酸残基H85、P86、A87、P89、S91、W92およびG93;
b)配列番号68のアミノ酸残基A40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67、D68、G93、P94、P96、R98、Y99、T100、V101、P106、G107、R119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163;
c)配列番号68のアミノ酸残基A40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67、D68、P96、Y99、T100、V101、P106、G107、R119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163;または
d)配列番号68のアミノ酸残基G107、L109、R110およびS111。
【0037】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、配列番号68のアミノ酸残基98~105を有するエピトープに結合する。このような抗体の例には、限定されないが、抗体15532、15431、15572および15011が含まれる。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は以下を有するエピトープに結合する:
a)配列番号68のアミノ酸残基78~105および123~131;
b)配列番号68のアミノ酸残基23~30、40~66、88~105、123~137および148~152;または
c)配列番号68のアミノ酸残基23~30、40~66、98~105、118~137および148~161。
【0039】
いくつかの実施態様において、本発明の抗体はアイソタイプIgG(例えばアイソタイプIgGのサブクラスIgG1またはIgG2)である。ある実施態様において、抗体はFc領域に少なくとも1つの変異を含む。特定の実施態様において、抗体は重鎖アミノ酸位置228、234および235(これらはIMGT(登録商標)ナンバリングスキームに従って番号付けされている)のうち1つ以上に変異を含む。例えば、234位および235位におけるアミノ酸残基の一方または両方がLeuからAlaに変異されてい得、かつ/または228位のアミノ酸残基がSerからProに変異されてい得る。
【0040】
別の態様において、本発明は、(任意に、抗がん抗体治療法などのさらなる治療法を伴う)本明細書に記載の少なくとも1つ(例えば1つ)の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0041】
本発明はさらに、本明細書に記載の抗LAG-3抗体の、重鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、またはその両方を含む単離された核酸分子を提供する。本発明はまた、そのような単離された核酸分子を含むベクターを提供し、前記ベクターは発現制御配列をさらに含み得る。
【0042】
本発明はまた、本明細書に記載の抗LAG-3抗体の、重鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、またはその両方を含む宿主細胞を提供する。
【0043】
本発明はまた、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分を作製する方法を提供し、これは本明細書に記載の抗LAG-3抗体の重鎖またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列および軽鎖またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を提供すること、前記宿主細胞を抗体または部分の発現に適した条件下で培養すること、および得られた抗体または部分を単離することを含む。
【0044】
本発明はまた、多特異性(例えば二重特異性)結合分子を提供し、この分子は、本明細書に記載の抗LAG-3抗体の抗原結合部分、および別の異なる抗体((例えば本明細書に記載の)別の抗LAG-3抗体、または異なるタンパク質(別の免疫チェックポイントタンパク質、がん抗原またはその活性ががんなどの疾患状態を媒介する別の細胞表面分子など)を標的とする抗体など)の抗原結合部分を含む。
【0045】
本発明はまた、LAG-3関連障害に罹患している患者を処置する方法を提供し、この方法は前記患者に、本明細書に記載の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、医薬組成物または二重特異性結合分子を投与することを含む。他の指示がない限り、本明細書における患者はヒト患者を指す。
【0046】
本発明はまた、患者の免疫を増強する方法を提供し、この方法は前記患者に、本明細書に記載の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、医薬組成物または二重特異性結合分子を投与することを含む。
【0047】
本発明はさらに、患者のがんを処置する方法を提供し、この方法は前記患者に、本明細書に記載の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、医薬組成物または二重特異性結合分子を投与することを含む。いくつかの実施態様において、がんは、皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟部組織、造血系、頭頸部、肝臓、膀胱、乳房、胃、子宮および膵臓から選択される組織から生じる。ある実施態様において、がんは、線維肉腫、非小細胞肺がん、黒色腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫または大腸がんである。
【0048】
上記のあらゆる方法は、例えば、化学療法剤、抗悪性腫瘍剤、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、LAG-3経路阻害剤または放射線療法の投与をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、本方法は、レチノイン酸、フェニルブチレート、オールトランスレチノイン酸および/または活性型ビタミンDの投与をさらに含む。
【0049】
本発明はさらに、LAG-3関連障害に罹患している患者を処置し、患者のがんを処置し、かつ/またはそれを必要とする患者の免疫を増強する薬物の製造のための、本明細書に記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分を含む抗体組成物の使用を提供する。
【0050】
本発明はさらに、LAG-3関連障害に罹患している患者を処置し、患者のがんを処置し、かつ/またはそれを必要とする患者の免疫を増強する本明細書に記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分を提供する。
【0051】
本発明はさらに、本明細書に記載の抗LAG-3抗体または抗原結合部分を含む製品を提供し、ここで前記製品は、LAG-3関連障害に罹患している患者を処置し、患者のがんを処置し、かつ/またはそれを必要とする患者の免疫を増強するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1A】
図1A~1Cは、実施例2に記載されるように作製された抗体の代表的なフローサイトメトリードットプロットを示す。
図1A:ヒトLAG-3遺伝子導入細胞に特異的に結合する抗体クローン。
【
図1B】
図1A~1Cは、実施例2に記載されるように作成された抗体の代表的なフローサイトメトリードットプロットを示す。
図1B:CHO-S細胞に非特異的に結合する抗体クローン。
【
図1C】
図1A~1Cは、実施例2に記載されるように作成された抗体の代表的なフローサイトメトリードットプロットを示す。
図1C:スクリーニングに使用されたいかなる細胞集団にも結合しない抗体クローン。
【0053】
【
図2】
図2は、抗LAG-3モノクローナル抗体で処理した後のSEB刺激PBMCからのIL-2産生のレベルを示す。
【0054】
【
図3】
図3は、抗LAG-3モノクローナル抗体で処理した後のSEB刺激PBMCからのIL-2産生のレベルを示す。各点は単一のPBMCドナーからのIL-2分泌のレベルを表す。
【0055】
【
図4】
図4は、抗LAG-3モノクローナル抗体で処理した後のLAG-3-MHCクラスII遮断アッセイにおける発光のレベルを示す。データを平均値±SEMとして表す。
【0056】
【
図5】
図5は、抗LAG-3モノクローナル抗体で処理した後のLAG-3遺伝子導入T細胞株からの溶解物および上清におけるLAG-3のレベルを示す。データを平均値±SEMとして表す。アスタリスクは15532と参照抗体類似体との間の統計的有意差を示す(*:p<0.05、***:p<0.001、****:p<0.0001)。
【0057】
【
図6】
図6は、2つの同系マウス腫瘍モデルにおける抗体15011のインビボ有効性を示す。
【0058】
【
図7】
図7は、NOGマウスの免疫系をヒトPBMCで再構成し、マウスにヒトメラノーマA375細胞を移植した半ヒト化異種移植腫瘍モデルにおける抗体15532のインビボ有効性を示す。
【0059】
【
図8】
図8は、13種の抗LAG-3抗体のパネルの結合競合分析によって同定されたエピトープ群(エピトープビン(epitope bin))の概要を示す。黒線で結ばれた抗体は両方向(リガンドおよび分析物)の交差遮断活性を示す。点線で結ばれた抗体は、抗体が分析物としてテストされた場合にのみ遮断される一方向の遮断を示す。抗体は、他の抗LAG-3抗体との競合パターンに従って分類されている。
【0060】
【
図9】
図9は、リガンド抗体のエピトープ多様性のクラスター解析を示す。x軸の0より大きな値に分岐点を有する抗体は、パネル内の他の抗体のLAG-3結合についての競合に基づいて異なるエピトープを有する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、ヒト患者(がん患者など)の免疫系を増強するために使用され得る新規な抗ヒトLAG-3抗体を提供する。他の記載がない限り、本明細書において「LAG-3」はヒトLAG-3を指す。ヒトLAG-3ポリペプチド配列は、UniProtアクセッション番号P18627(LAG3_HUMAN)(配列番号68)として入手可能である。
【0062】
本明細書における用語「抗体」(Ab)または「免疫グロブリン」(Ig)は、ジスルフィド結合によって相互接続されている2つの重(H)鎖(約50~70kDa)および2つの軽(L)鎖(約25kDa)を含む四量体を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)で構成される。VHおよびVLドメインは、より保存された領域(「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる)の間に散在している超可変領域(「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる)にさらに細分され得る。各VHおよびVLは3つのCDR(本明細書においてH-CDRは重鎖由来のCDRを指し、L-CDRは軽鎖由来のCDRを指す)および4つのFRで構成され、これらはアミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖または軽鎖におけるアミノ酸番号の指定は、IMGT(登録商標)の定義(Lefranc et al., Dev Comp Immunol 27(1):55-77 (2003));またはKabatの定義、Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, MD (1987 and 1991));Chothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987);またはChothia et al., Nature 342:878-883 (1989)に従い得る。
【0063】
用語「組換え抗体」は、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む細胞または細胞株から発現される抗体を指し、ここで前記ヌクレオチド配列は天然には細胞に関連しない。
【0064】
用語「単離タンパク質」、「単離ポリペプチド」または「単離抗体」は、その起源または誘導の供給源のために、(1)天然状態においてそれに付随する天然で関連した成分に関連していない、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、および/または(4)天然に存在しない、タンパク質、ポリペプチドまたは抗体を指す。したがって、化学合成されるか、または天然で生じる細胞とは異なる細胞系で合成されるポリペプチドは、その天然で関連する成分から「単離」されている。タンパク質はまた、当分野で周知のタンパク質精製技術を用いて単離によって天然で関連する成分を実質的に含まないようにされ得る。
【0065】
本明細書において、用語「生殖系列」は、親から子孫に生殖細胞を介して伝達される抗体遺伝子および遺伝子セグメントのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を指す。生殖系列配列は、B細胞成熟の過程で組換えおよび超変異イベントによって変化した成熟B細胞中の抗体をコードするヌクレオチド配列とは区別される。特定の生殖系列配列を「利用する」抗体は、その生殖系列ヌクレオチド配列またはそれが特定するアミノ酸配列と他のあらゆる生殖系列ヌクレオチドまたはアミノ酸配列よりも厳密にアラインするヌクレオチドまたはアミノ酸配列を有する。
【0066】
用語「親和性」は、抗原と抗体との間の引力の尺度を指す。抗原に対する抗体の固有の誘引性は通常、特定の抗体-抗原相互作用の結合親和性平衡定数(KD)として表される。抗体はKDが≦1mM(好ましくは≦100nM)である場合、抗原に特異的に結合すると考えられる。KD結合親和性定数は、例えば表面プラズモン共鳴(Biacore(商標))またはバイオレイヤー干渉法によって、例えばIBIS TechnologiesのIBIS MX96 SPRシステムまたはForteBioのOctet(商標)システムを用いて測定され得る。
【0067】
用語「koff」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。koff解離速度定数は、例えばSPR(表面プラズモン共鳴)によって、例えばIBIS MX96システムを用いて測定され得る。
【0068】
本明細書における用語「エピトープ」は、抗体または関連分子(二重特異性結合分子など)に特異的に結合する抗原の部分(決定基)を指す。エピトープ決定基は一般に、分子(アミノ酸または炭水化物もしくは糖側鎖など)の化学的に活性な表面基群(surface grouping)からなり、一般に特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を有する。エピトープは「直線状」エピトープまたは「立体構造」エピトープであり得る。直線状エピトープにおいて、タンパク質(例えば抗原)と相互作用分子(抗体など)との間の全ての相互作用点はタンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線上に存在する。立体構造エピトープにおいて、相互作用点は一次アミノ酸配列において互いに分離されているタンパク質上のアミノ酸残基にわたって存在する。抗原上の所望のエピトープが決定されると、そのエピトープに対する抗体を当分野で周知の技術を用いて作成できる。例えば、直線状エピトープに対する抗体は、例えば直線状エピトープのアミノ酸残基を有するペプチドで動物を免疫することによって作成され得る。立体構造エピトープに対する抗体は、例えば立体構造エピトープの関連するアミノ酸残基を含むミニドメインで動物を免疫することによって作成され得る。また、特定のエピトープに対する抗体は、例えば対象の標的分子(例えばLAG-3)またはその関連部分で動物を免疫し、次いでエピトープに対する結合についてスクリーニングすることによって作成され得る。
【0069】
抗体が本発明の抗LAG-3抗体と同一のエピトープに結合するか、または本発明の抗LAG-3抗体と結合について競合するかは、当分野で公知の方法(限定されないが、競合アッセイ、エピトープビニングおよびアラニンスキャニングを含む)を用いて決定され得る。ある実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体を飽和条件下でLAG-3に結合させ、次いでテスト抗体がLAG-3に結合する能力を測定する。テスト抗体が参照抗LAG-3抗体と同時にLAG-3に結合できる場合、テスト抗体は参照抗LAG-3抗体とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、テスト抗体がLAG-3に同時に結合できない場合、テスト抗体は同一のエピトープ、重複しているエピトープまたは本発明の抗LAG-3抗体が結合するエピトープの近位にあるエピトープに結合する。この実験は、例えばELISA、RIA、BIACORE(商標)、SPR、バイオレイヤー干渉法またはフローサイトメトリーを用いて実行され得る。抗LAG-3抗体が別の抗LAG-3抗体と交差競合(cross-compete)するか否かを検証するために、上述の競合法が両方向において(すなわち、公知の抗体がテスト抗体を遮断するか否かおよびその逆を決定するのに)使用され得る。そのような交差競合実験は、例えばIBIS MX96 SPR装置またはOctet(商標)システムを用いて実行され得る。
【0070】
本発明の抗体と同一のエピトープに結合するか、または本発明の抗体と結合について競合する抗体は、好ましくは(例えば実施例6に記載されるフローサイトメトリーによる競合アッセイを用いて決定される)MHCII遮断活性を有する。本発明の抗体と同一のエピトープに結合するか、または本発明の抗体と結合について競合する抗体は、結合を少なくとも例えば35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%もしくは80%、または好ましくは少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%減少させ得る。
【0071】
用語「キメラ抗体」は、その最も広い意味において、ある抗体由来の1以上の領域および他の1以上の抗体由来の1以上の領域を含む抗体を指し、通常、部分的にヒト起源であり、部分的に非ヒト起源である(すなわち非ヒト動物(例えばマウス、ラットもしくは他の齧歯類、またはニワトリなどの鳥類)に部分的に由来する)抗体を指す。キメラ抗体はヒト抗抗体応答(例えばマウス抗体の場合におけるヒト抗マウス抗体応答)のリスクを減少させるため、非ヒト抗体よりも好ましい。典型的なキメラ抗体の例は、可変領域配列がマウスであり、定常領域配列がヒトであるキメラ抗体である。キメラ抗体の場合、抗体をヒト化するために非ヒト部分にさらなる変更が行われ得る。本明細書に記載のキメラ抗体は、例えばニワトリ可変領域配列およびヒト定常領域配列を有し得る。
【0072】
用語「ヒト化」は、抗体が完全または部分的に非ヒト起源(例えば、対象の抗原を用いたマウスもしくはニワトリの免疫からそれぞれ得られたマウス抗体もしくはニワトリ抗体、またはそのようなマウス抗体もしくはニワトリ抗体に基づくキメラ抗体)である場合、ヒトの免疫応答を回避または最小限にするために、(特に重鎖および軽鎖のフレームワーク領域および定常領域における)特定のアミノ酸を交換できるという事実を指す。特定の抗体の免疫原性およびそれによるヒト抗抗体応答を正確に予測することはできないが、非ヒト抗体はヒト抗体よりもヒトにおいてより免疫原性である傾向がある。外来性(例えば齧歯類または鳥類)の定常領域がヒト起源の配列に交換されているキメラ抗体は、一般に完全に外来性起源の抗体より免疫原性が低いことが示されており、治療抗体の傾向はヒト化抗体または完全ヒト抗体に向かっている。したがって、キメラ抗体または非ヒト起源の他の抗体は、ヒトの抗抗体応答のリスクを減少させるためにヒト化され得る。
【0073】
キメラ抗体について、ヒト化は通常、可変領域配列のフレームワーク領域の改変を含む。相補性決定領域(CDR)の部分であるアミノ酸残基のほとんどはヒト化に関連して変化しないが、特定の場合において(例えばグリコシル化部位、脱アミド化部位、アスパラギン酸異性化部位または望ましくないシステインもしくはメチオニン残基を除去するために)、個々のCDRアミノ酸残基を変化させることが望ましい場合がある。N結合型グリコシル化は、オリゴ糖鎖のトリペプチド配列Asn-X-SerまたはAsn-X-Thr(XはProを除く任意のアミノ酸であり得る)中のアスパラギン残基への結合によって生じる。N-グリコシル化部位の除去は、AsnまたはSer/Thr残基のいずれかを異なる残基に(好ましくは保存的置換によって)変異させることによって達成され得る。アスパラギンおよびグルタミン残基の脱アミド化は、pHおよび表面露出などの要素に依存して生じ得る。アスパラギン残基は主に配列Asn-Gly中に存在する場合、および程度は低いが他のジペプチド配列(Asn-Alaなど)中に存在する場合、特に脱アミド化されやすい。したがって、そのような脱アミド化部位(特にAsn-Gly)がCDR配列中に存在する場合、関与する残基のうち1つを除去するために典型的に保存的置換によってその部位を除去することが望ましい場合がある。
【0074】
抗体配列のヒト化のための多数の方法が当分野で公知である;例えば、Almagro & Fransson, Front Biosci. 13:1619-1633 (2008)による総説を参照。通常使用される方法のうち1つはCDR移植法であり、これは例えばマウス由来のキメラ抗体について、マウス可変領域遺伝子に対するヒト生殖系列遺伝子対応物の同定、およびマウスCDR配列のこのフレームワークへの移植を含む。抗体の標的抗原との相互作用の特異性は、主に重鎖および軽鎖の6つのCDR内に位置するアミノ酸残基に存在する。したがって、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも個々の抗体間においてはるかに可変である。CDR配列はほとんどの抗体-抗原相互作用の原因であるため、例えば異なる抗体由来のフレームワーク配列に移植された特異的抗体由来のCDR配列を発現する発現ベクターを構築することによって、天然に存在する特異的抗体またはより一般的には所定のアミノ酸配列を含む任意の特異的抗体の性質を模倣する組換え抗体を発現できる。結果として、非ヒト抗体を「ヒト化」し、元の抗体の結合特異性および親和性を未だ実質的に維持することが可能である。CDR移植法はKabatのCDRの定義に基づき得るが、より最近の刊行物(Magdelaine-Beuzelin et al., Crit Rev.Oncol Hematol. 64:210-225 (2007))は、IMGT(登録商標)の定義(the international ImMunoGeneTics information system(登録商標), www.imgt.org)がヒト化の結果を改善し得ることを示唆している(Lefranc et al., Dev. Comp Immunol. 27:55-77 (2003)参照)。
【0075】
CDR移植は、CDRが得られる親抗体と比較してCDR移植された抗体の結合特異性および親和性、ならびにしたがって生物活性を減少させ得る場合がある。親抗体の結合特異性および親和性を再確立するために、復帰変異(「フレームワーク修復」と呼ばれる場合がある)がCDR移植された抗体の(通常、フレームワーク領域内の)選択された位置に導入され得る。復帰変異が可能な位置は、文献および抗体データベースにおいて利用可能な情報を用いて同定され得る。復帰変異の候補となるアミノ酸残基は通常、抗体分子の表面に位置するアミノ酸残基であり、埋もれている残基または表面露出の程度が低い残基は通常変化されない。CDR移植および復帰変異に対する代替のヒト化技術はリサーフェシング(resurfacing)であり、これは非ヒト起源の表面に露出していない残基を保持し、表面残基をヒト残基に変化させる。
【0076】
特定の場合において、標的エピトープに対する結合親和性を改善するために、1以上のCDRアミノ酸残基を変化させることが望ましい場合がある。これは「親和性成熟」として知られ、例えば抗体のヒト化が結合特異性または親和性の減少を導き、復帰変異のみでは結合特異性または親和性を十分に改善できない状況において、任意でヒト化に関連して実行され得る。様々な親和性成熟法(例えば、Burks et al., Proc Natl Acad Sci USA, 94:412-417 (1997)に記載されるインビトロ(in vitro)でのスキャニング飽和変異誘発法(scanning saturation mutagenesis method)、およびWu et al., Proc Natl Acad Sci USA 95:6037-6042 (1998)の段階的インビトロ親和性成熟法)が当分野で公知である。
【0077】
本明細書における抗体の用語「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)は、抗原(例えばヒトLAG-3またはその一部)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1以上の部分またはフラグメントを指す。完全長抗体の特定のフラグメントは、抗体の抗原結合機能を実施できることが示されている。用語「抗原結合部分」に包含される結合フラグメントの例には、(i)Fabフラグメント:VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント:ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結している2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント;ならびに(vi)抗原に特異的に結合できる単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは別個の遺伝子によってコードされるが、これらは、これらを単一のタンパク質鎖として作成できる合成リンカーによって組換え法を用いて連結され得、VLおよびVHドメインは対を形成して一価の分子(単鎖Fv(scFv)として知られる)を形成する。また、VHおよび/またはVLを含む抗原結合分子も本発明に含まれる。VHの場合、分子はまた、CH1、ヒンジ、CH2またはCH3領域のうち1つ以上を含み得る。このような単鎖抗体もまた、抗体の用語「抗原結合部分」に包含されることが意図される。単鎖抗体の他の形態(ダイアボディなど)もまた包含される。ダイアボディは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現されているが、同一の鎖上の2つのドメイン間において対形成するには短すぎるリンカーを用いることで、ドメインを別の鎖の相補的なドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を作製する二価の二重特異性抗体である。
【0078】
抗体部分(FabおよびF(ab’)2フラグメントなど)は、通常の技術(抗体全体のパパインまたはペプシン消化など)を用いて抗体全体から調製され得る。さらに、抗体、抗体部分およびイムノアドヘシン分子は(例えば本明細書に記載の)標準的な組換えDNA技術を用いて取得され得る。
【0079】
抗LAG-3抗体のクラス(アイソタイプ)およびサブクラスは、当分野で公知のあらゆる方法によって決定され得る。一般に、抗体のクラスおよびサブクラスは、抗体の特定のクラスおよびサブクラスに特異的な抗体を用いて決定され得る。このような抗体は市販されている。クラスおよびサブクラスは、ELISA、ウエスタンブロットおよび他の技術によって決定され得る。あるいは、クラスおよびサブクラスは、抗体の重鎖および/または軽鎖の定常領域の全部または一部を配列決定すること、それらのアミノ酸配列を免疫グロブリンの様々なクラスおよびサブクラスの公知のアミノ酸配列と比較すること、ならびに抗体のクラスおよびサブクラスを決定することによって決定され得る。
【0080】
他の指示がない限り、本開示において言及されるあらゆる抗体アミノ酸残基の番号は、IMGT(登録商標)ナンバリングスキームに従う番号である。
【0081】
抗LAG-3抗体
本発明は、LAG-3に対する抗体およびその抗原結合部分を提供する。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗体は、ヒトイディオタイプを有する抗体を作成できるトランスジェニックラットから作成されたヒト抗体である。別の実施態様において、抗体はニワトリCDR配列およびヒトフレームワーク領域を含むニワトリ由来キメラ抗体であり、ここでフレームワーク領域はヒト化されている。
【0082】
本発明の新規な抗LAG-3抗体の利点の1つは、IL-2産生の増加によって測定されるように、この抗体がT細胞の活性を増強できることである(例えば実施例7参照)。いかなる特定の理論に拘束されることも意図しないが、本発明の抗LAG-3抗体は、LAG-3とその推定リガンド(MHCIIおよびLSECtinなど)との相互作用を遮断できると考えられる。抗体は、(例えば実施例6に示されるように)リガンド結合領域の遮断によって、またはLAG-3インターナリゼーションの誘導(これは実施例9に示される結果の背景にある可能性がある作用機構として想定される)によって、これを直接的に達成し得る。本発明の抗LAG-3抗体の別の潜在的な利点は、「LALA」変異(L234A/L235A)を有する抗体における低いレベルの二次のエフェクター機能であり、これはヒトFcgR(Fcガンマ受容体)への重要な抗体結合を妨げ、したがってエフェクターT細胞の枯渇を妨げる。
【0083】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号37、43、46、50、55、58および64のうちいずれかと配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号37、43、46、50、55、58および64のうちいずれかと少なくとも92%(少なくとも95%、96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)重鎖CDR3(H-CDR3)を有する。
【0084】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3、7、11、15、19、23または27のうちいずれかと配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号3、7、11、15、19、23または27のうちいずれかと少なくとも92%(少なくとも95%、96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)重鎖可変領域(VH)を有する。
【0085】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3、7、11、15、19、23または27のうちいずれかと配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号3、7、11、15、19、23または27のうちいずれかと少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)重鎖可変領域(VH);および配列番号30と配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号30と少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)重鎖定常領域を有する。
【0086】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3、7、11、15、19、23または27のいずれかのVHアミノ酸配列、および配列番号30の重鎖定常領域アミノ酸配列を含む重鎖(HC)を有する。
【0087】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号40、52、61および67のうちいずれかと配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号40、52、61および67のうちいずれかと少なくとも92%(少なくとも95%、96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)軽鎖CDR3(L-CDR3)を有する。
【0088】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号4、8、12、16、20、24または28のうちいずれかの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列と配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号4、8、12、16、20、24または28のうちいずれかと少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)VLを有する。
【0089】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号4、8、12、16、20または24のうちいずれかの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列と配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号4、8、12、16、20または24のうちいずれかと少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)VL;および配列番号34と配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号34と少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)軽鎖定常領域アミノ酸配列を有する。
【0090】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号28の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列と配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号28と少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)VL;および配列番号32と配列が少なくとも90%同一である(例えば、配列番号32と少なくとも92%(少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%など)同一である)軽鎖定常領域アミノ酸配列を有する。
【0091】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号4、8、12、16、20または24のうちいずれかおよび配列番号34を含む軽鎖を有する。
【0092】
別の実施態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号28および配列番号32を含む軽鎖を有する。
【0093】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、上述の重鎖のいずれかおよび上述の軽鎖のいずれかを含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、以下のH-CDR1~3およびL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号35、36、37、38、39および40;
b)それぞれ配列番号41、42、43、44、45および40;
c)それぞれ配列番号35、42、46、44、47および40;
d)それぞれ配列番号48、49、50、51、47および52;
e)それぞれ配列番号53、54、55、44、45および40;
f)それぞれ配列番号56、57、58、59、60および61;または
g)それぞれ配列番号62、63、64、65、66および67。
【0095】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、以下のアミノ酸配列と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるH-CDR3およびL-CDR3を含む:
a)それぞれ配列番号37および40;
b)それぞれ配列番号43および40;
c)それぞれ配列番号46および40;
d)それぞれ配列番号50および52;
e)それぞれ配列番号55および40;
f)それぞれ配列番号58および61;または
g)それぞれ配列番号64および67。
【0096】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、以下のアミノ酸配列と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるVHおよびVLを含む:
a)それぞれ配列番号3および4;
b)それぞれ配列番号7および8;
c)それぞれ配列番号11および12;
d)それぞれ配列番号15および16;
e)それぞれ配列番号19および20;
f)それぞれ配列番号23および24;または
g)それぞれ配列番号27および28。
【0097】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、以下のアミノ酸配列を有するVHおよびVLを含む:
a)それぞれ配列番号3および4;
b)それぞれ配列番号7および8;
c)それぞれ配列番号11および12;
d)それぞれ配列番号15および16;
e)それぞれ配列番号19および20;
f)それぞれ配列番号23および24;または
g)それぞれ配列番号27および28。
【0098】
いくつかの実施態様において、抗LAG-3抗体は以下を含む:
a)配列番号3および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号4および34のアミノ酸配列を含むLC;
b)配列番号7および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号8および34のアミノ酸配列を含むLC;
c)配列番号11および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号12および34のアミノ酸配列を含むLC;
d)配列番号15および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号16および34のアミノ酸配列を含むLC;
e)配列番号19および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号20および34のアミノ酸配列を含むLC;
f)配列番号23および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号24および34のアミノ酸配列を含むLC;または
g)配列番号27および30のアミノ酸配列を含むHCならびに配列番号28および32のアミノ酸配列を含むLC。
【0099】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のH-CDR1~3およびL-CDR1~3アミノ酸配列を含む。
【0100】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のVHおよびVLとアミノ酸配列がそれぞれ少なくとも90%同一であるVHおよびVLを含む。
【0101】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572または15011のそれぞれVHおよびVLであるVHおよびVLを含む。
【0102】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体は、抗体15646、15532、15723、15595、15431、15572もしくは15011、または前記抗体と同一のアミノ酸配列を含む抗体である。
【0103】
本発明はまた、ヒトLAG-3のエピトープに結合する抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分を提供し、このエピトープは以下を有する:
a)配列番号68のH85、P86、A87、P89、S91、W92およびG93から選択される1、2、3、4、5、6または全7個のアミノ酸残基(例えば抗体15532);
b)配列番号68のA40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67、D68、G93、P94、P96、R98、Y99、T100、V101、P106、G107、R119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31または全32個のアミノ酸残基(例えば抗体15431);
c)配列番号68のA40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67、D68、P96、Y99、T100、V101、P106、G107、R119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または全29個のアミノ酸残基(例えば抗体15572);または
d)配列番号68のG107、L109、R110およびS111から選択される1、2、3または全4個のアミノ酸残基(例えば抗体15011)。
【0104】
本発明はまた、残基98~105を有するヒトLAG-3のエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。いくつかの実施態様において、抗体または抗原結合部分はヒトLAG-3のエピトープに結合し、このエピトープは以下を有する:
a)配列番号68の残基78~105および123~131から選択される2または3個のアミノ酸セグメント(例えば抗体15532);
b)配列番号68の残基23~30、40~66、88~105、123~137および148~152から選択される1、2、3、4または5個のアミノ酸セグメント(例えば抗体15431);
c)配列番号68の残基23~30、40~66、98~105、118~137および148~161から選択される1、2、3、4または5個のアミノ酸セグメント(例えば抗体15572);または
d)配列番号68のアミノ酸残基98~105(例えば抗体15011)。
【0105】
本発明はまた、配列番号68の残基23~30および40~66を有するヒトLAG-3のエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。いくつかの実施態様において、エピトープは配列番号68の残基88~105、123~137および/または148~152をさらに有する。いくつかの実施態様において、エピトープは配列番号68の残基98~105、118~137および148~161をさらに有する。
【0106】
本発明はまた、15532、15646、15723、15595、15431、15572および15011からなる群から選択される抗体と同一のエピトープとの結合について競合もしくは交差競合するか、または該エピトープに結合する抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分を提供する。
【0107】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、抗体25F7-LAG3.5と同一のヒトLAG-3のエピトープに結合しない。
【0108】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、IGHV4-34、IGHV1-24、IGHV6-1、IGHV4-39およびIGHV3-23からなる群から選択されるヒト重鎖生殖系列遺伝子を利用する。ある実施態様において、重鎖生殖系列遺伝子は、抗LAG-3抗体または抗原結合部分における対応する重鎖配列と少なくとも75%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施態様において、前記重鎖生殖系列遺伝子のフレームワーク領域配列は、抗LAG-3抗体または抗原結合部分における対応する重鎖フレームワーク領域配列と少なくとも75%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0109】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、IGKV3-11、IGKV1-12、IGKV1-5およびIGLV3-19からなる群から選択されるヒト軽鎖生殖系列遺伝子を利用する。ある実施態様において、軽鎖生殖系列遺伝子は、抗LAG-3抗体または抗原結合部分における対応する軽鎖配列と少なくとも75%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施態様において、前記軽鎖生殖系列遺伝子のフレームワーク領域配列は、抗LAG-3抗体または抗原結合部分における対応する軽鎖フレームワーク領域配列と少なくとも75%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0110】
特定の実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、上記のヒト重鎖生殖系列遺伝子およびヒト軽鎖生殖系列遺伝子の任意の組み合わせ(例えば、IGHV4-34およびIGKV3-11、IGHV1-24およびIGKV1-12、IGHV6-1およびIGKV3-11、IGHV4-39およびIGKV1-5、またはIGHV3-23およびIGLV3-19)を利用する。いくつかの実施態様において、重鎖および軽鎖生殖系列遺伝子は、抗LAG-3抗体または抗原結合部分における対応する重鎖配列および軽鎖配列とそれぞれ少なくとも75%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施態様において、前記重鎖および軽鎖生殖系列遺伝子のフレームワーク領域配列は、抗LAG-3抗体または抗原結合部分における対応する重鎖および軽鎖フレームワーク領域配列とそれぞれ少なくとも75%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0111】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、例えば0.2nM以下、0.15nM以下、0.1nM以下、0.09nM以下、0.08nM以下、0.07nM以下、0.06nM以下、0.05nM以下または0.04nM以下のEC50でヒトLAG-3に結合し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、例えば0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、0.1nM以下、0.09nM以下、0.08nM以下、0.07nM以下、0.06nM以下、0.05nM以下、0.04nM以下または0.03nM以下のEC50でカニクイザルLAG-3に結合し得る。
【0112】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、例えば0.1nM以下のEC50でヒトLAG-3に結合し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、例えば0.3nM以下のEC50でカニクイザルLAG-3に結合し得る。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、例えば0.1nM以下のEC50でヒトLAG-3に結合し得、かつ例えば0.3nM以下のEC50でカニクイザルLAG-3に結合し得る。
【0113】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、リガンド(MHCクラスII(MHCII)またはLSECtinなど)のLAG-3への結合を阻害し得る。例えば、20μg/mLにおいて、抗LAG-3抗体または抗原結合部分は陰性対照抗体存在下における結合と比較して、LAG-3のMHCIIへの結合を少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%減少させ得る。ある実施態様において、抗LAG-3抗体または抗原結合タンパク質は、陰性対照と比較してLAG-3のMHCIIへの結合を85%よりも大きく減少させ得る。ある実施態様において、抗LAG-3抗体または抗原結合タンパク質は、陰性対照と比較してLAG-3のMHCIIへの結合を約35%~85%減少させ得る。
【0114】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは(例えば、0.1μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、30μg/mL、40μg/mLまたは50μg/mLの濃度において)、LAG-3とMHCクラスII(例えば、Jurkat細胞上に発現されているヒトLAG-3とRaji細胞上に発現されているヒトMHCクラスII)との間の結合を遮断し得る。
【0115】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、表面プラズモン共鳴によって測定された場合、5.0×10-8以下、4.0×10-8以下、3.0×10-8以下、2.0×10-8以下、1.0×10-8以下、9.0×10-9以下、8.0×10-9以下、7.0×10-9以下、6.0×10-9以下、5.0×10-9以下、4.0×10-9以下、3.0×10-9以下、2.0×10-9以下または1.0×10-9以下のKDでヒトLAG-3に結合し得る。
【0116】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、表面プラズモン共鳴によって測定された場合、1.5×10-7以下、1.0×10-7以下、9.0×10-8以下、8.0×10-8以下、7.0×10-8以下、6.0×10-8以下、5.0×10-8以下、4.0×10-8以下、3.0×10-8以下、2.0×10-8以下または1.0×10-8以下のKDでカニクイザルLAG-3に結合し得る。
【0117】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、表面プラズモン共鳴によって測定された場合、5.0×10-8以下、4.5×10-8以下、4.0×10-8以下、3.5×10-8以下または3.0×10-8以下のKDでマウスLAG-3に結合し得る。
【0118】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、(例えばSEB刺激PBMCからの)IL-2産生を刺激し得る。
【0119】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、例えばヒトT細胞株(LAG-3を過剰発現するヒトT細胞株など)において、LAG-3の細胞内レベルおよび/または溶解レベルを減少させ得る。
【0120】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、インビボにおいて腫瘍増殖の退縮を誘導し得、かつ/または腫瘍増殖を遅延させ得る。
【0121】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗LAG-3抗体または抗原結合部分のいずれかは、抗体25F7-Lag3.5とは異なるヒトLAG-3のエピトープに結合し得る。
【0122】
ある実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分の投与は、T細胞を活性化し得、抗腫瘍活性の増強を生じ得る。
【0123】
本明細書に記載の方法によって得られた抗LAG-3抗体のクラスは、別のクラスまたはサブクラスに変化またはスイッチされ得る。本発明のある態様において、VLまたはVHをコードする核酸分子は、それぞれCLまたはCHをコードする核酸配列を含まないように当分野で周知の方法を用いて単離される。VLまたはVHをコードする核酸分子は、異なるクラスの免疫グロブリン分子由来のCLまたはCHをコードする核酸配列にそれぞれ動作可能に連結される。これは、上述されるCL鎖またはCH鎖を含むベクターまたは核酸分子を用いて達成され得る。例えば、元々IgMであった抗LAG-3抗体はIgGにクラススイッチされ得る。さらに、クラススイッチはあるIgGサブクラスを別のサブクラス(例えばIgG1からIgG2)に変換するのに使用され得る。κ軽鎖定常領域は、例えばλ軽鎖定常領域に変化され得る。所望のIgアイソタイプを有する本発明の抗体を産生する好ましい方法は、抗LAG-3抗体の重鎖をコードする核酸分子および抗LAG-3抗体の軽鎖をコードする核酸分子を単離する工程、重鎖の可変領域を得る工程、重鎖の可変領域を所望のアイソタイプの重鎖の定常領域に連結する工程、細胞内に軽鎖および連結した重鎖を発現させる工程、ならびに所望のアイソタイプを有する抗LAG-3抗体を回収する工程を含む。
【0124】
本発明の抗LAG-3抗体は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgD分子であり得るが、通常、IgGアイソタイプ(例えばIgGサブクラスIgG1、IgG2aもしくはIgG2b、IgG3またはIgG4)である。ある実施態様において、抗体はIgG1である。別の実施態様において、抗体はIgG2である。ある実施態様において、抗体はIgG1である。別の実施態様において、抗体はIgG2である。ある実施態様において、本明細書に記載されるLAG-3エピトープに結合する本発明のIgG1抗体は、LAG-3機能を調整(例えば阻害)する優れた活性を提供し、がん処置または免疫賦活性効果を達成する。
【0125】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、Fc領域に少なくとも1つの変異を含み得る。多数の異なるFc変異が公知であり、これらの変異はエフェクター機能の変化を与える。例えば、多くの場合(例えばリガンド/受容体相互作用が望ましくない場合、または抗体-薬物コンジュゲートの場合)、エフェクター機能を減少または除去することが望ましい。
【0126】
ある実施態様において、抗LAG-3抗体は、エフェクター機能を減少させる少なくとも1つの変異をFc領域に含む。エフェクター機能を低減させるために変異させることが有利であり得るFc領域のアミノ酸位置は、228、233、234および235位のうち1つ以上を含む(アミノ酸位置はIMGT(登録商標)ナンバリングスキームに従って番号付けされている)。
【0127】
ある実施態様において、234位および235位のアミノ酸残基の一方または両方が(例えばLeuからAla(L234A/L235A)に)変異され得る。これらの変異は、IgG1抗体のFc領域のエフェクター機能を減少させる。さらにまたはあるいは、228位のアミノ酸残基が(例えばProに)変異され得る。いくつかの実施態様において、233位のアミノ酸残基が(例えばProに)変異され得、234位のアミノ酸残基が(例えばValに)変異され得、かつ/または235位のアミノ酸残基が(例えばAlaに)変異され得る。アミノ酸位置は、IMGT(登録商標)ナンバリングスキームに従って番号付けされている。
【0128】
いくつかの実施態様において、抗体がIgG4サブクラスである場合、抗体は変異S228Pを含み得(すなわち228位にプロリンを有し得)、ここでアミノ酸位置はIMGT(登録商標)ナンバリングスキームに従って番号付けされている。この変異は、望ましくないFabアーム交換を減少させることが知られている。
【0129】
ある実施態様において、本発明の抗体またはその抗原結合部分は、抗体または抗体部分と1以上の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合または非共有結合によって形成される、より大きいイムノアドヘシン分子の一部であり得る。そのようなイムノアドヘシンの例には、4量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov et al., Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101 (1995))、ならびに二価のビオチン化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチドおよびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov et al., Mol. Immunol. 31:1047-1058 (1994))が含まれる。他の例には、抗体由来の1以上のCDRを分子内に共有結合または非共有結合のいずれかによって組み込み、この分子を対象の抗原に特異的に結合するイムノアドヘシンにすることが含まれる。そのような実施態様において、CDRは、より大きなポリペプチド鎖の一部として組み込まれ得、別のポリペプチド鎖に共有結合され得、または非共有結合によって組み込まれ得る。
【0130】
別の実施態様において、別のポリペプチドに連結された本発明の抗LAG-3抗体の全部または一部を含む融合抗体またはイムノアドヘシンが作製され得る。ある実施態様において、抗LAG-3抗体の可変領域のみがポリペプチドに連結される。ある実施態様において、抗LAG-3抗体のVHドメインは第一のポリペプチドに連結され、抗LAG-3抗体のVLドメインは、VHおよびVLドメインが互いに相互作用して抗原結合部位を形成し得るように第一のポリペプチドに結合する第二のポリペプチドに連結される。別の好ましい実施態様において、VHおよびVLドメインが互いに相互作用し得るように、VHドメインはリンカーによってVLドメインから分離されている(例えば、単鎖抗体)。VH-リンカー-VL抗体は、対象のポリペプチドに連結される。さらに、2つ(またはそれ以上)の単鎖抗体が互いに連結している融合抗体が作製され得る。これは、単一のポリペプチド鎖上で二価もしくは多価抗体を作製したい場合、または二重特異性抗体を作製したい場合に有用である。
【0131】
単鎖抗体(scFv)を作製するために、VHおよびVL配列がフレキシブルリンカーによって結合されたVLおよびVHドメインを含む連続する一本鎖タンパク質として発現され得るように、VHおよびVLをコードするDNAフラグメントは、フレキシブルリンカーをコードする(例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3(配列番号74)をコードする)別のフラグメントに動作可能に連結される。例えば、Bird et al., Science 242:423-426 (1988); Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883 (1988); およびMcCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)参照。単鎖抗体は、1つのVHおよびVLのみを使用する場合、一価であり得る;2つのVHおよびVLを使用する場合、二価であり得る;または、3つ以上のVHおよびVLを使用する場合、多価であり得る。例えば、ヒトLAG-3および別の分子に特異的に結合する二重特異性抗体または多価抗体が作製され得る。
【0132】
他の実施態様において、他の修飾抗体が、抗LAG-3抗体をコードする核酸分子を用いて調製され得る。例えば、「カッパボディ(kappa body)」(Ill et al., Protein Eng. 10:949-57 (1997))、「ミニボディ」(Martin et al., EMBO J. 13:5303-9 (1994))、「ダイアボディ」(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993))、または「ジャヌシン(Janusin)」(Traunecker et al., EMBO J. 10:3655-3659 (1991)およびTraunecker et al., Int. J. Cancer (Suppl.) 7:51-52 (1992))が本明細書の教示に従って標準的な分子生物学技術を用いて調製され得る。
【0133】
本発明の抗LAG-3抗体または抗原結合部分は誘導体化され得、または別の分子(例えば別のペプチドまたはタンパク質)に連結され得る。一般に、抗体またはその部分は、LAG-3結合が誘導体化または標識化によって不利な影響を受けないように誘導体化される。したがって、本発明の抗体および抗体部分は、本明細書に記載のヒト抗LAG-3抗体のインタクトな形態および修飾された形態の両方を含むことが意図される。例えば、本発明の抗体または抗体部分は、1以上の他の分子実体(別の抗体(例えば二重特異性抗体またはダイアボディ)、検出物質、医薬品、および/または抗体もしくは抗体部分と別の分子との結合を媒介し得るタンパク質もしくはペプチド(ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグなど)など)に(化学カップリング、遺伝子融合、非共有結合、またはその他によって)機能的に連結され得る。
【0134】
ある種の誘導体化抗体は、(例えば二重特異性抗体を作製する、同じ種類または異なる種類の)2以上の抗体を架橋することによって作成される。適切な架橋剤には、適切なスペーサーで分離された明確な2つの反応基を有するヘテロ二官能性(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)またはホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)の架橋剤が含まれる。このようなリンカーは、例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ilから入手できる。
【0135】
抗LAG-3抗体はまた、化学基(ポリエチレングリコール(PEG)、メチルもしくはエチル基、または炭水化物基など)を用いて誘導体化され得る。これらの基は、抗体の生物学的特徴を改善するのに(例えば血清半減期を増加させるのに)有用であり得る。
【0136】
また、本発明における抗体は標識され得る。本明細書において、用語「標識」または「標識される」は、抗体への別の分子の取り込みを指す。ある実施態様において、標識は検出可能なマーカー(例えば、放射性標識アミノ酸の取り込み、または標識されたアビジン(例えば、光学法または比色法によって検出され得る蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチン化部分のポリペプチドへの結合)である。別の実施態様において、標識またはマーカーは治療用(例えば薬物コンジュゲートまたは毒素)であり得る。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が当分野で公知であり、使用され得る。ポリペプチドの標識の例には以下が含まれるが、これらに限定されない:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド燐光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、磁性物質(ガドリニウムキレートなど)、毒素(百日咳毒素など)、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらの類似体またはホモログ。いくつかの実施態様において、標識は潜在的な立体妨害を減少させるために、様々な長さのスペーサーアームによって結合されている。
【0137】
ある実施態様において、本発明の抗体は、中性型(両性イオン型を含む)または正に荷電した種もしくは負に荷電した種として存在し得る。いくつかの実施態様において、抗体は対イオンとともに複合体形成され得、薬学的に許容され得る塩を形成し得る。
【0138】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、1以上の抗体および1以上の対イオンを含む複合体を指し、ここで対イオンは薬学的に許容され得る無機および有機の酸および塩基に由来する。
【0139】
二重特異性結合分子
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の抗LAG-3抗体の結合特異性(例えば抗原結合部分を含む)、および別の抗LAG-3抗体(例えば、本明細書に記載の別の抗LAG-3抗体)または異なるタンパク質(別の免疫チェックポイントタンパク質、がん抗原、またはその活性が疾患状態(がんなど)を媒介する別の細胞表面分子など)を標的とする抗体の結合特異性を有する二重特異性結合分子を提供する。そのような二重特異性結合分子は当分野で公知であり、様々な種類の二重特異性結合分子の例が本明細書の他の箇所で与えられる。
【0140】
核酸分子およびベクター
本発明はまた、本明細書に記載の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸分子および配列を提供する。いくつかの実施態様において、種々の核酸分子が、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖アミノ酸配列をコードしている。他の実施態様において、同じ核酸分子が、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖アミノ酸配列をコードしている。
【0141】
ヌクレオチド配列についての言及は、他に明記されない限り、その相補体を包含する。したがって、特定の配列を有する核酸についての言及は、その相補配列を含む相補鎖を包含することが理解されるはずである。本明細書における用語「ポリヌクレオチド」は、少なくとも10塩基長のヌクレオチドのポリマー型を意味し、該ヌクレオチドはリボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、またはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾型である。この用語は一本鎖型および二本鎖型を含む。
【0142】
本発明はまた、本明細書に記載の1以上のヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、2、5、6、9、10、13、14、17、18、21、22、25および26からなる群から選択されるヌクレオチド配列、または配列番号3、4、7、8、11、12、15、16、19、20、23、24、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列を提供する。核酸配列の文脈における用語「パーセント配列同一性」は、一致が最大となるようにアラインさせた場合に2つの配列において同一である残基を指す。配列同一性比較の長さは、一続きの少なくとも約9ヌクレオチド、一般的には少なくとも約18ヌクレオチド、より一般的には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、および好ましくは少なくとも約36、48またはそれ以上のヌクレオチドにわたり得る。ヌクレオチド配列同一性を測定するのに使用され得る当分野で公知の多数の異なるアルゴリズムが存在する。例えば、ポリヌクレオチド配列は、FASTA、GapまたはBestfitを用いて比較され得、これらはWisconsin Packageバージョン10.0、Genetics Computer Group (GCG)、Madison、Wisconsinにおけるプログラムである。FASTA(例えばプログラムFASTA2およびFASTA3を含む)は、クエリ配列と検索配列との間の最良の重複領域のアライメントおよびパーセント配列同一性を提供する(例えば、Pearson, Methods Enzymol. 183:63-98 (1990); Pearson, Methods Mol. Biol. 132:185-219 (2000); Pearson, Methods Enzymol. 266:227-258 (1996);およびPearson, J. Mol. Biol. 276:71-84 (1998)参照、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。他に明記されない限り、特定のプログラムまたはアルゴリズムの初期設定パラメータが使用される。例えば、核酸配列間のパーセント配列同一性は、FASTAを初期設定パラメータ(ワードサイズ6およびスコアマトリックスのためのNOPAMファクター)で用いて、またはGapをGCGバージョン6.1(これは参照により本明細書に組み込まれる)において提供される初期設定パラメータで用いて決定され得る。
【0143】
ある態様において、本発明は、配列番号1、2、5、6、9、10、13、14、17、18、21、22、25および26からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。ある実施態様において、核酸分子は、配列番号1および2、配列番号5および6、配列番号9および10、配列番号13および14、配列番号17および18、配列番号21および22、または配列番号25および26のヌクレオチド配列を含む。
【0144】
上記のあらゆる実施態様において、核酸分子は単離され得る。
【0145】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分の鎖のうち1つを発現するのに適したベクターを提供する。本明細書における用語「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を輸送できる核酸分子を意味する。いくつかの実施態様において、ベクターはプラスミド(すなわち、その中にさらなるDNAセグメントが連結され得るDNAの環状二本鎖断片)である。いくつかの実施態様において、ベクターはウイルスベクターであり、ここでさらなるDNAセグメントがウイルスゲノム中に連結され得る。いくつかの実施態様において、ベクターは、導入された宿主細胞中で自己複製できる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソームの哺乳類ベクター)。他の実施態様において、ベクター(例えば非エピソームの哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入によって宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、それにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、動作可能に連結している遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単純に「発現ベクター」)と呼ばれる。
【0146】
本発明は、本発明の抗LAG-3抗体の重鎖もしくはその抗原結合部分、本発明の抗LAG-3抗体の軽鎖もしくはその抗原結合部分、または本発明の抗LAG-3抗体の重鎖および軽鎖の両方もしくはその抗原結合部分をコードする核酸分子を含むベクターを提供する。本発明はさらに、融合タンパク質、修飾抗体、抗体フラグメントおよびそのプローブをコードする核酸分子を含むベクターを提供する。
【0147】
本発明の抗LAG-3抗体の重鎖および/または軽鎖またはその抗原結合部分をコードする核酸分子は、そのような抗体または部分を産生するあらゆる供給源から単離され得る。様々な実施態様において、核酸分子は、ヒトLAG-3抗原で免疫された動物から単離された抗LAG-3抗体を発現するB細胞、またはそのようなB細胞から作成された不死化細胞から単離される。抗体をコードする核酸を単離する方法は当分野で周知である。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または抗体遺伝子のcDNAクローニングにおいて使用されるcDNAを作成するために、mRNAが単離および使用され得る。ある実施態様において、本発明の核酸分子は単離されるのではなく、合成され得る。
【0148】
いくつかの実施態様において、本発明の核酸分子は、任意の供給源由来の重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列にインフレームで結合した、本発明の抗LAG-3抗体由来のVHドメインまたは抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含み得る。同様に、本発明の核酸分子は、任意の供給源由来の軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列にインフレームで結合した、本発明の抗LAG-3抗体由来のVLドメインまたは抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0149】
本発明のさらなる態様において、重鎖(VH)および/または軽鎖(VL)の可変領域をコードする核酸分子は、完全長の抗体遺伝子に「変換」され得る。ある実施態様において、VHまたはVLドメインをコードする核酸分子は、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに動作可能に連結され、かつ/またはVLセグメントがベクター内のCLセグメントに動作可能に連結されるように、重鎖定常(CH)領域または軽鎖定常(CL)領域を既にコードしている発現ベクターにそれぞれ挿入されることによって完全長の抗体遺伝子に変換される。別の実施態様において、VHおよび/またはVLドメインをコードする核酸分子は、VHおよび/またはVLドメインをコードする核酸分子を、標準的な分子生物学の技術を用いてCHおよび/またはCL領域をコードする核酸分子に結合(例えば連結)させることによって、完全長の抗体遺伝子に変換される。そして、完全長の重鎖および/または軽鎖をコードする核酸分子は該分子が導入されている細胞から発現され得、抗LAG-3抗体が単離され得る。
【0150】
核酸分子は、大量の抗LAG-3抗体を組換え発現するのに使用され得る。核酸分子はまた、本明細書に記載のキメラ抗体、二重特異性抗体、単鎖抗体、イムノアドヘシン、ダイアボディ、変異抗体および抗体誘導体を産生するのに使用され得る。
【0151】
別の実施態様において、本発明の核酸分子は、特異的抗体配列のためのプローブまたはPCRプライマーとして使用される。例えば、核酸は診断方法におけるプローブとして、または(特に、抗LAG-3抗体の可変領域をコードするさらなる核酸分子を単離するのに使用され得る)DNAの領域を増幅するPCRプライマーとして使用され得る。いくつかの実施態様において、核酸分子はオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、対象の抗体の重鎖および軽鎖の高可変領域(highly variable domain)に由来する。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分の1以上のCDRの全部または一部をコードする。
【0152】
別の実施態様において、核酸分子およびベクターは、変異した抗LAG-3抗体を作製するのに使用され得る。抗体は、(例えば抗体の結合特性を変化させるために)重鎖および/または軽鎖の可変領域において変異され得る。例えば、変異は、抗LAG-3抗体のKDを増加もしくは減少させるために、koffを増加もしくは減少させるために、または抗体の結合特異性を変化させるために、1以上のCDRにおいて作成され得る。別の実施態様において、1以上の変異は、本発明のモノクローナル抗体において生殖系列と比較して変化していることが公知のアミノ酸残基に作成される。変異は、可変領域のCDRもしくはフレームワーク領域、または定常領域において作成され得る。好ましい実施態様において、変異は可変領域に作成される。いくつかの実施態様において、1以上の変異は、本発明の抗体またはその抗原結合部分の可変領域のCDRまたはフレームワーク領域において生殖系列と比較して変化していることが公知のアミノ酸残基に作成される。
【0153】
別の実施態様において、フレームワーク領域は、得られたフレームワーク領域が対応する生殖系列遺伝子のアミノ酸配列を有するように変異される。変異は、抗LAG-3抗体の半減期を増加させるためにフレームワーク領域または定常領域に作成され得る。例えば、PCT公報WO00/09560参照。フレームワーク領域または定常領域における変異はまた、抗体の免疫原性を変化させるために、かつ/または別の分子に共有結合もしくは非共有結合する部位を与えるために作成され得る。本発明において、単一の抗体は、可変領域のCDRもしくはフレームワーク領域のうち任意の1つ以上において、または定常領域において変異を有し得る。
【0154】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、遺伝子が必要とされる発現制御配列(転写および翻訳制御配列など)に動作可能に連結されるように、上述されるように得られた部分長または完全長の軽鎖および重鎖をコードするDNAを発現ベクターに挿入することによって発現される。
発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス(カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルスなど)、コスミド、YACおよびEBV由来エピソームなどが含まれる。抗体をコードする配列は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体をコードする配列の転写および翻訳を調節するという意図される機能を発揮するように、ベクターに連結され得る。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択され得る。抗体の軽鎖をコードする配列および抗体の重鎖をコードする配列は別々のベクターに挿入され得、同一または異なる発現制御配列(例えばプロモーター)に動作可能に連結され得る。ある実施態様において、両方のコード配列は同一の発現ベクターに挿入され、同一の発現制御配列(例えばプロモーター)を分離するために同一の発現制御配列(例えば共通のプロモーター)に、または異なる発現制御配列(例えばプロモーター)に動作可能に連結され得る。抗体をコードする配列は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子フラグメントおよびベクター上の相補的な制限部位の連結、または制限部位が存在しない場合には平滑末端の連結)によって発現ベクターに挿入され得る。
【0155】
簡便なベクターは、任意のVHまたはVL配列が上述のように容易に挿入および発現され得るように設計された適切な制限部位を有する、機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードするベクターである。そのようなベクター内のHCおよびLCをコードする遺伝子は、関連するmRNAを安定化させることによって全体的な抗体タンパク質の産生量の増強をもたらすイントロン配列を含み得る。イントロン配列はスプライスドナーおよびスプライスアクセプター部位に隣接し、これらはRNAスプライシングが起こる位置を決定する。イントロン配列の位置は、抗体鎖の可変領域もしくは定常領域のいずれかであり得、または複数のイントロンが使用される場合には可変領域および定常領域の両方であり得る。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流にある天然の染色体部位において起こり得る。組換え発現ベクターはまた、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが免疫グロブリン鎖のアミノ末端にインフレームで連結されるようにベクターにクローン化され得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種のシグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。
【0156】
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有し得る。発現ベクターの設計(調節配列の選択を含む)は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることが当業者に認識される。哺乳類宿主細胞発現のための好ましい調節配列は、哺乳類細胞において高レベルのタンパク質発現を導くウイルスエレメント(レトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、ポリオーマおよび強力な哺乳類プロモーター(天然免疫グロブリンおよびアクチンプロモーターなど)に由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなど)を含む。ウイルス調節エレメントおよびその配列のさらなる記述については、例えば米国特許第5,168,062号、第4,510,245号および第4,968,615号参照。植物において抗体を発現させる方法(プロモーターおよびベクターの記述、ならびに植物の形質転換を含む)は当分野で公知である。例えば米国特許第6,517,529号参照。細菌細胞または真菌細胞(例えば酵母細胞)においてポリペプチドを発現させる方法もまた、当分野で周知である。
【0157】
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターはさらなる配列(宿主細胞においてベクターの複製を調節する配列(例えば複製起点)および選択可能なマーカー遺伝子など)を保有し得る。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号参照)。例えば、選択可能なマーカー遺伝子は通常、ベクターが導入された宿主細胞に薬物(G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなど)に対する抵抗性を与える。例えば、選択可能なマーカー遺伝子には、(メトトレキサート選択/増幅を伴うdhfr-宿主細胞において使用される)ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子、(G418選択のための)neo遺伝子、およびグルタミン酸シンテターゼ遺伝子が含まれる。
【0158】
本明細書における用語「発現制御配列」は、それが連結されているコード配列の発現およびプロセシングをもたらすのに必要なポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列には、適切な転写開始、終結、プロモーター、およびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル(スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなど);細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増強する配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;および所望の場合、タンパク質分泌を増強する配列が含まれる。そのような制御配列の性質は宿主生物に依存して異なる;原核生物において、そのような制御配列は一般にプロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列を含む;真核生物において一般に、そのような制御配列はプロモーターおよび転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、その存在が発現およびプロセシングに必須であるあらゆる成分を少なくとも含むことが意図され、その存在が有利であるさらなる成分(例えばリーダー配列および融合パートナー配列)も含み得る。
【0159】
抗体および抗体組成物産生のための宿主細胞および方法
本発明のさらなる態様は、本発明の抗体組成物ならびに抗体およびその抗原結合部分を産生する方法に関する。本発明のこの態様のある実施態様は、本明細書に規定される抗体を産生する方法に関し、この方法は、抗体を発現できる組換え宿主細胞を提供すること、前記宿主細胞を抗体の発現に適した条件下で培養すること、および得られた抗体を単離することを含む。そのような組換え宿主細胞におけるそのような発現によって産生した抗体は、本明細書において「組換え抗体」と呼ばれる。本発明はまた、そのような宿主細胞の子孫細胞、およびこの子孫細胞によって産生された抗体も提供する。
【0160】
本明細書における用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入されている細胞を意味する。本発明は、例えば上述の本発明におけるベクターを含み得る宿主細胞を提供する。本発明はまた、例えば本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分の重鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖もしくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、またはその両方を含む宿主細胞を提供する。「組換え宿主細胞」および「宿主細胞」は特定の対象細胞のみならず、そのような細胞の子孫も意味することが理解されるはずである。その後の世代では、特定の修飾が変異または環境の影響のいずれかによって生じ得るため、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではない場合があるが、本明細書における用語「宿主細胞」の範囲に未だ含まれる。
【0161】
抗LAG-3抗体をコードする核酸分子およびこれらの核酸分子を含むベクターは、適切な哺乳類、植物、細菌、または酵母宿主細胞の遺伝子導入のために使用され得る。形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための公知のあらゆる方法によって行われ得る。異種ポリヌクレオチドを哺乳類細胞に導入する方法は当分野で周知であり、これにはデキストラン介在性遺伝子導入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン介在性遺伝子導入、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ポリヌクレオチドのリポソームへの封入、およびDNAの核内への直接マイクロインジェクションが含まれる。さらに、核酸分子はウイルスベクターによって哺乳類細胞に導入され得る。細胞を形質転換する方法は当分野で周知である。例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および第4,959,455号参照。植物細胞を形質転換する方法は当分野で周知であり、これには例えばアグロバクテリウム介在性の形質転換、微粒子銃での形質転換、直接注入、エレクトロポレーションおよびウイルス形質転換が含まれる。細菌および酵母細胞を形質転換する方法もまた当分野で周知である。
【0162】
発現用の宿主として利用可能な哺乳類細胞株は当分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株が含まれる。これらには、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK-293T細胞、293 Freestyle細胞(Invitrogen)、NIH-3T3細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞がん細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、および他の多くの細胞株が含まれる。特に好ましい細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有しているかを決定することによって選択される。使用され得る他の細胞株は昆虫細胞株(Sf9またはSf21細胞など)である。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳類宿主細胞に導入される場合、抗体は、宿主細胞における抗体の発現を可能にするために、またはより好ましくは宿主細胞が増殖する培養培地への抗体の分泌を可能にするために十分な期間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を用いて培養培地から回収され得る。植物宿主細胞には例えば、タバコ、シロイヌナズナ、ウキクサ、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモなどが含まれる。細菌宿主細胞には、大腸菌およびストレプトマイセス種が含まれる。酵母宿主細胞には、シゾサッカロミセス・ポンベ、サッカロマイセス・セレビジエおよびピキア・パストリスが含まれる。
【0163】
さらに、産生細胞株からの本発明の抗体またはその抗原結合部分の発現は、多数の公知の技術を用いて増強され得る。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)は特定の条件下で発現を増強するための一般的な手法である。GS系は全体または一部が、欧州特許第0216846号、第0256055号、第0323997号および第0338841号に関連して議論されている。
【0164】
異なる細胞株によって、またはトランスジェニック動物において発現された抗体は、互いに異なるグリコシル化パターンを有する可能性がある。しかしながら、本明細書において提供される核酸分子によってコードされ、または本明細書において提供されるアミノ酸配列を含むあらゆる抗体は、抗体のグリコシル化状態に依らず(より一般には、翻訳後修飾の有無に依らず)、本発明の一部である。
【0165】
医薬組成物
本発明の別の態様は、本発明の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、二重特異性結合分子または抗体組成物を活性成分として(または唯一の活性成分として)含む医薬組成物である。医薬組成物は、本明細書に記載のあらゆる抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、二重特異性結合分子または抗体組成物を含み得る。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、LAG-3関連障害および/またはがんの改善、予防および/または処置を対象とする。本明細書において、LAG-3関連障害またはLAG-3介在性障害は、LAG-3活性の調節によって改善し、またはその進行が遅延する障害、疾患または状態を指す。いくつかの実施態様において、組成物は、免疫系の活性化を対象とする。ある実施態様において、組成物は、組織(皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟部組織、造血系、頭頚部、肝臓、膀胱、乳房、胃、子宮および膵臓など)から生じたがんの改善、予防および/または処置を対象とする。ある実施態様において、がんは、線維肉腫、肺がんまたは黒色腫である。ある実施態様において、がんは、神経膠芽腫、神経膠肉腫または大腸がんである。ある実施態様において、本発明の医薬組成物は乾癬の処置を対象とする。
【0166】
一般に、本発明の抗体、抗原結合部分および二重特異性結合分子は、例えば以下に記述されるように、1以上の薬学的に許容され得る賦形剤と共に製剤として投与されるのに適している。
【0167】
本発明の医薬組成物は、本発明の1以上の抗LAG-3抗体、結合部分または二重特異性結合分子(例えば、1つまたは2つの抗LAG-3抗体、結合部分または二重特異性結合分子)を含む。ある実施態様において、組成物は、本発明の単一の抗LAG-3抗体またはその結合部分を含む。
【0168】
別の実施態様において、医薬組成物は、少なくとも1つの抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分(例えば1つの抗LAG-3抗体または部分)、および1以上の関連する細胞表面受容体(例えば1以上のがん関連受容体)を標的とする1以上のさらなる抗体を含み得る。
【0169】
用語「賦形剤」は本明細書において、本発明の化合物以外のあらゆる成分を記述するのに使用される。賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解度および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに剤形の性質などの要因に大きく依存する。本明細書において、「薬学的に許容され得る賦形剤」には、生理的に適合するあらゆる溶媒、分散培地、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容され得る賦形剤のいくつかの例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセロールおよびエタノールなど、ならびにそれらの組合せである。多くの場合、等張剤(例えば糖、多価アルコール(マンニトール、ソルビトールなど)または塩化ナトリウム)が組成物中に含まれることが好ましい。薬学的に許容され得る物質のさらなる例は、湿潤剤または微量の補助物質(湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝剤など)であり、これらは抗体の有効期間または有効性を増強する。
【0170】
本発明の医薬組成物およびその調製方法は当業者には容易に明らかである。そのような組成物およびその調製方法は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に見出され得る。医薬組成物は、好ましくはGMP(医薬品等の製造管理および品質管理の基準)条件に従って製造される。
【0171】
本発明の医薬組成物は、バルクにおいて、単一単位用量として、または複数の単一単位用量として調製、パッケージ化または販売され得る。本明細書において、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む別々の量の医薬組成物である。活性成分の量は、一般に対象に投与される活性成分の用量に等しいか、またはそのような用量の都合の良い分画(例えばそのような用量の2分の1または3分の1など)に等しい。
【0172】
当分野において承認されている、ペプチド、タンパク質または抗体を投与するあらゆる方法が、本発明の抗体および抗原結合部分のために適切に使用され得る。
【0173】
本発明の医薬組成物は通常、非経口投与に適している。本明細書において、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織の物理的な侵害を特徴とするあらゆる投与経路および組織の侵害を介する医薬組成物の投与を含み、したがって一般に血流、筋肉または内臓への直接投与をもたらす。したがって、非経口投与は、組成物の注射、外科的切開による組成物の適用、および非外科的な組織穿通性外傷による組成物の適用などによる医薬組成物の投与を含むが、これらに限定されない。特に、非経口投与には、限定されないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内、静脈内、動脈内、髄腔内、脳室内、尿道内、頭蓋内、腫瘍内および滑液嚢内の注射または注入;ならびに腎臓透析注入技術が含まれることが想定される。局所灌流もまた想定される。特定の実施態様は、静脈内経路および皮下経路を含む。
【0174】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は通常、薬学的に許容され得る担体(滅菌水または滅菌等張生理食塩水など)と組み合わされた活性成分を含む。そのような製剤は、ボーラス投与または継続投与に適した剤形で調製、パッケージ化または販売され得る。注射用製剤は、単位投与剤形(保存剤を含むアンプルまたは複数回投与量の容器など)で調製、パッケージ化または販売され得る。非経口投与用の製剤には、限定されないが、懸濁剤、液剤、油性または水性媒体中の乳剤、およびペースト剤などが含まれる。そのような製剤は、1以上のさらなる成分(限定されないが、懸濁剤、安定化剤または分散剤を含む)をさらに含み得る。非経口投与用の製剤のある実施態様において、活性成分は、適切な媒体(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)と共に再構成し、その後再構成された組成物を非経口投与するために乾燥(すなわち、粉末または顆粒)形態で提供される。また、非経口製剤はまた、賦形剤(塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3~9)など)を含み得る水溶液を含むが、いくつかの適用について非経口製剤は、滅菌の非水性溶液として、または適切な媒体(発熱物質を含まない滅菌水など)と共に使用される乾燥形態として、より適切に製剤化され得る。例示的な非経口投与剤形には、滅菌水溶液(例えば含水プロピレングリコールまたはデキストロース溶液)中の溶液または懸濁液が含まれる。そのような投与剤形は、必要に応じて適切に緩衝され得る。他の有用な非経口投与製剤には、微結晶型の、またはリポソーム調製物中の活性成分を含む製剤が含まれる。非経口投与用の製剤は、即時放出および/または調節された放出であるように製剤化され得る。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、瞬間放出、制御放出、標的化放出およびプログラム放出が含まれる。
【0175】
例えば、ある態様において、滅菌注射溶液は、必要量の抗LAG-3抗体、その抗原結合部分、二重特異性結合分子または抗体組成物を、上記で列挙された成分のうち1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒に組み込み、その後必要に応じて濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散剤は、活性化合物を、基本分散培地および上記で列挙された成分からの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体に組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、これらは予め濾過滅菌された溶液から活性成分プラス所望の任意の追加成分の粉末を生じる。溶液の適切な流動性は、例えばコーティング(レシチンなど)の使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する物質(例えばモノステアリン酸塩およびゼラチン)を組成物中に含めることによって、および/または放出調節コーティング(例えば徐放性コーティング)を用いることによってもたらされ得る。
【0176】
本発明の抗体は、典型的に乾燥粉末インヘラーから(単独、混合物として、または(例えば適切な薬学的に許容され得る賦形剤と混合された)混合された成分の粒子として)乾燥粉末の形状で、適切な噴霧剤の使用を含む、もしくは含まない加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは霧状ミストを産生するために電気流体力学を用いるアトマイザー)もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、または点鼻剤として、鼻腔内または吸入によって投与され得る。
【0177】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは一般に、例えば分散し、可溶化し、または活性物質の放出を持続させるのに適した物質である溶媒としての噴霧剤を含む、本発明の抗体の溶液または懸濁液を含む。
【0178】
乾燥粉末または懸濁剤製剤における使用の前に、製剤は一般に、吸入による送達に適したサイズ(通常5ミクロン未満)に微粒子化される。これは、あらゆる適切な粉砕方法(スパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ法または噴霧乾燥など)によって達成され得る。
【0179】
インヘラーまたは吸入器における使用のためのカプセル剤、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、適切な粉末基剤および性能修飾物質の粉末混合物を含むように製剤化され得る。
【0180】
電気流体力学を用いて霧状ミストを産生するアトマイザーにおける使用に適した液剤は、作動毎に適切な用量の本発明の抗体を含み得、作動容積は例えば1μL~100μLまで様々であり得る。
【0181】
吸入投与/鼻腔内投与用の製剤は、即時放出および/または調節された放出であるように製剤化され得る。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、瞬間放出、制御放出、標的化放出およびプログラム放出が含まれる。
【0182】
乾燥粉末インヘラーおよびエアロゾルの場合、用量単位は一定量を送達するバルブによって決定される。本発明における単位は通常、一定用量または「一吹き」の本発明の抗体を投与するように配置される。1日当たりの総投与量は通常、単回投与で投与されるか、またはより一般には1日を通して分割量で投与される。
【0183】
本発明の抗体および抗体部分はまた、経口経路の投与のために製剤化され得る。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むこと、および/または化合物が口から直接血流に入る口腔投与、舌への投与または舌下投与を含み得る。
【0184】
経口投与に適した製剤には、固体、半固体および液体系(錠剤;複数の粒子、ナノ粒子、液体または粉末を含む軟カプセルまたは硬カプセル;トローチ剤(液体充填型を含む);咀嚼剤(chew);ゲル;速分散剤形(fast dispersing dosage form);フィルム;胚珠(ovule);スプレー;および口腔内/粘膜付着性パッチなど)が含まれる。
【0185】
液体製剤には、懸濁剤、溶液、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作製される)軟または硬カプセル内の充填剤として利用され得、通常、担体(例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油)ならびに1以上の乳化剤および/または懸濁剤を含む。液体製剤はまた、例えば小袋からの固体の再構成によって調製され得る。
【0186】
本発明の抗体および組成物の治療的使用
ある態様において、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗LAG-3組成物ならびに二重特異性結合分子は、それを必要とするヒトの免疫系を増強または活性化するのに使用される。いくつかの実施態様において、患者は免疫抑制されている。例えば、医師は、本発明の抗LAG-3抗体を単独または他の治療物質と組み合わせて(連続的または同時に)投与することによって、患者自身の免疫系の抗がん活性を増強し得る。LAG-3抗体は免疫細胞におけるLAG-3の活性を調節し、抗がん免疫の増強をもたらす。
【0187】
ある実施態様において、抗体もしくはその抗原結合部分、組成物または二重特異性結合分子は、がん(例えば皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟部組織、造血系、頭頚部、肝臓、膀胱、乳房、胃、子宮および膵臓などの組織から生じたがん、ならびにLAG-3活性に依存し、かつ/または患者がLAG-3リガンド(例えば、MHCII、LSECtinまたはその両方)を発現または過剰発現しているあらゆるがんまたは他の状態)の処置において使用される。
【0188】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体、抗原結合部分、二重特異性結合分子および/または抗体組成物によって処置されるがんには、例えば、黒色腫(例えば進行黒色腫または転移性黒色腫)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、神経膠芽腫、神経膠腫、肺扁平上皮がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膀胱がん、上部尿路がん、食道がん、胃食道接合部がん、胃がん、肝がん、結腸がん、大腸がん、多発性骨髄腫、肉腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、鼻咽頭がん、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、卵巣がん、消化管がん、原発性腹膜がん、卵管がん、尿路上皮がん、HTLV関連T細胞白血病/リンパ腫、前立腺がん、尿生殖器がん、髄膜腫、副腎皮質がん、神経膠肉腫、線維肉腫、腎がん、乳がん、膵がん、子宮内膜がん、基底細胞皮膚がん、虫垂がん、胆道がん、唾液腺がん、進行メルケル細胞がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、中皮腫または固形腫瘍が含まれ得る。がんは例えば、早期、中期、後期または転移期であり得る。
【0189】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体、抗原結合部分、組成物および/または二重特異性結合分子によって処置されるがんには、例えば、血液悪性腫瘍、神経膠芽腫(例えば再発性神経膠芽腫)、神経膠肉腫、非小細胞肺がん(例えば進行非小細胞肺がん)、大腸がんおよび固形腫瘍が含まれ得る。
【0190】
ある態様において、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、免疫介在疾患(乾癬、全身性エリテマトーデス、MLS(硬化症)、クローン病、真性糖尿病および/または潰瘍性大腸炎(colitis ulcerotis)など)を処置するのに使用され得る。
【0191】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、(例えば病原体が宿主免疫応答を阻害する)ウイルス感染症および/または寄生虫感染症を処置するのに使用され得る。例えば、病原体は、例えばHIV、肝炎(A、BまたはC)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、アデノウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス(cornovirus)、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV)、デングウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ジョンカニンガム(JC)ウイルス、アルボウイルス脳炎ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、黄色ブドウ球菌または緑膿菌であり得る。
【0192】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、(例えば、化学療法または放射線療法のために)免疫不全である、または免疫不全のリスクがある患者を処置するのに使用され得る。
【0193】
いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、抗原特異的なT細胞のエクスビボ(ex vivo)での活性化および増殖のために使用され得る。
【0194】
「処置する」、「処置している」および「処置」は、生物学的障害および/またはそれに付随する症状のうち少なくとも1つを軽減または抑制する方法を指す。本明細書において、疾患、障害または状態を「軽減する」ことは、疾患、障害、または状態の症状の重症度および/または発生頻度を減少させることを意味する。さらに、本明細書における「処置」についての言及は、治癒的処置、緩和的処置および予防的処置についての言及を含む。
【0195】
「治療有効量」は、処置される障害の症状のうち1つ以上をある程度軽減する投与される治療物質の量を指す。治療有効量の抗がん治療は例えば、腫瘍の縮小、生存期間の増加、がん細胞の消失、疾患進行の減少、転移の回復または、医療専門家によって望まれる他の臨床エンドポイントをもたらし得る。
【0196】
本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、単独で、または1以上の他の薬物もしくは抗体と組み合わせて(またはそのあらゆる組合せとして)投与され得る。したがって、本発明の医薬組成物、方法および使用はまた、以下に詳述されるように他の活性物質との組合せ(同時投与)の実施態様を包含する。
【0197】
本明細書において、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物ならびに二重特異性結合分子を1以上の他の治療物質と共に参照する用語「同時投与」、「同時投与される」および「組み合わせて」という用語は、以下を意味することが意図され、以下を指し、以下を含む:
a)そのような成分が、処置を必要とする患者に前記成分を実質的に同時に放出する単回投与形態に共に製剤化されている場合における、本発明の抗体/抗原結合部分/抗体組成物/二重特異性結合分子および治療物質のそのような組み合わせの前記患者への同時投与、
b)そのような成分が、処置を必要とする患者によって実質的に同時に服用される別々の投与形態に互いに別々に製剤化されている場合(これにより前記成分は前記患者に実質的に同時に放出される)における、本発明の抗体/抗原結合部分/抗体組成物/二重特異性結合分子および治療物質のそのような組み合わせの前記患者への実質的な同時投与、
c)そのような成分が、処置を必要とする患者によって各投与間に有意な時間間隔を伴って連続して服用される別々の投与形態に互いに別々に製剤化されている場合(これにより前記成分は前記患者に実質的に異なる時間に放出される)における、本発明の抗体/抗原結合部分/抗体組成物/二重特異性結合分子および治療物質のそのような組み合わせの前記患者への連続投与;および
d)そのような成分が、前記成分を制御された様式で放出する単回投与形態に共に製剤化されている場合(これにより、これらは前記患者に同時および/または異なる時間に、同時に、連続的に、および/または重複して放出される)における、本発明の抗体/抗原結合部分/抗体組成物/二重特異性結合分子および治療物質のそのような組み合わせの前記患者への連続投与、ここで各部分は同じ経路または異なる経路のいずれかで投与され得る。
【0198】
本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、さらなる治療的処置を伴わずに(すなわち単独の治療法(単独療法)として)投与され得る。あるいは、本発明の抗LAG-3抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子による処置は、少なくとも1つのさらなる治療的処置(例えば、別の免疫賦活性物質、抗がん物質、抗ウイルス物質またはワクチン(例えば腫瘍ワクチン))を含み得る(併用療法)。
【0199】
いくつかの実施態様において、抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、がんの処置のための別の薬剤/薬物と共に同時投与または製剤化され得る。さらなる治療的処置は、例えば化学療法剤、抗悪性腫瘍剤、抗血管新生剤、種々の抗がん抗体および/または放射線療法を含み得る。
【0200】
本発明の抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子を、がん細胞の最終分化を誘導することが知られている物質と組み合わせることによって、効果がさらに改善され得る。そのような化合物は、例えば、レチノイン酸、トランスレチノイン酸、シスレチノイン酸、フェニル酪酸塩、神経成長因子、ジメチルスルホキシド、活性型ビタミンD3、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ、12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセタート、ヘキサメチレンビスアセトアミド、トランスフォーミング増殖因子ベータ、酪酸、環状AMPおよびベスナリノンからなる群から選択され得る。いくつかの実施態様において、化合物は、レチノイン酸、フェニル酪酸塩、オールトランスレチノイン酸および活性型ビタミンDからなる群から選択される。
【0201】
本発明の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子および少なくとも1つの他の物質(例えば、化学療法剤、抗悪性腫瘍剤または抗血管新生剤)を含む医薬品は、がん療法において同時投与、個別投与または連続投与のために併用処置として使用され得る。他の物質は、問題となる特定のがんの処置に適したあらゆる物質(例えば、アルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチンおよび/またはオキサリプラチンなどの白金誘導体);植物アルカロイド(plant alkoid)(例えばパクリタキセル、ドセタキセルおよび/またはイリノテカン);抗腫瘍抗生物質(例えばドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、アクチノマイシン、ルテオマイシンおよび/またはマイトマイシン);トポイソメラーゼ阻害剤(トポテカンなど);および/または代謝拮抗物質(例えばフルオロウラシルおよび/または他のフルオロピリミジン)からなる群から選択される物質)であり得る。いくつかの実施態様において、他の物質はダカルバジンまたはゲムシタビンである。
【0202】
本発明の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子はまた、他の抗がん療法(ワクチン、サイトカイン、酵素阻害剤、免疫賦活性化合物およびT細胞療法など)と組み合わせて使用され得る。ワクチンの場合、これは例えば、処置されるがんに関連する1以上の抗原を含むタンパク質、ペプチドもしくはDNAワクチン、または抗原と共に樹状細胞を含むワクチンであり得る。適切なサイトカインには、例えばIL-2、IFNガンマおよびGM-CSFが含まれる。抗がん活性を有するある種の酵素阻害剤の例は、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、例えば1-メチル-D-トリプトファン(1-D-MT)である。養子T細胞療法は、自身の腫瘍を認識および攻撃する患者自身のT細胞を増殖させ、または設計することを含む様々な免疫療法技術を指す。
【0203】
本発明の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、チロシンキナーゼ阻害剤に関連して補助療法において使用され得ることも想定される。これらは、受容体の細胞内チロシンキナーゼドメインと相互作用し、細胞内Mg-ATP結合部位について競合することによってリガンド誘導受容体リン酸化を阻害する、(主にキナゾリン由来の)低分子量合成分子である。
【0204】
いくつかの実施態様において、抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、免疫系の活性化を媒介する別の薬剤/薬物(限定されないが、A2AR、BTLA、B7-H3、B7-H4、CTLA-4、CD27、CD28、CD40、CD47、CD55、CD73、CD122、CD137、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、CTLA-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1および/またはCEACAM-5)、GAL9、GITR、HVEM、LY108、LAIR1、ICOS、IDO、KIR、LAIR1、PD-1/PD-L1/PD-L2、OX40、TIGIT、TIM-3、TGFRベータ、VISTA、LILRB2、CMTM6および/または2B4の発現または活性を調節する物質を含む)と組み合わせて使用され得る。ある実施態様において、物質は上記の分子のうち1つに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントである。本発明の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、サイトカイン(例えば、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15またはIL-21)、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤などと組み合わせて使用され得ることが想定される。
【0205】
ある態様において、本発明の抗体および抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、LAG-3経路の別の阻害剤と組み合わせて投与され得、これはLAG-3または1以上のそのリガンドを標的とし得る。そのような阻害剤の例には、他の抗LAG-3抗体、抗MHCII抗体、抗ガレクチン3抗体および抗LSECtin抗体が含まれる。いくつかの実施態様において、本発明の抗LAG-3抗体もしくはその抗原結合部分、二重特異性抗体または抗体組成物は、BMS-986016、GSK2831781、REGN3767、BAP050もしくはBAP050-chiまたはLAG525と組み合わせて投与され得る。
【0206】
本発明の抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物ならびに二重特異性結合分子は、本明細書に記載の処置方法において使用され得、本明細書に記載の処置において使用され得、かつ/または本明細書に記載の処置のための薬剤の製造において使用され得ることが理解される。本発明はまた、本明細書に記載の抗体およびその抗原結合部分、抗体組成物ならびに二重特異性結合分子を含むキットおよび製品を提供する。
【0207】
投与量および投与経路
本発明の抗体もしくはその抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、問題となる状態の処置のために有効量で(すなわち所望の結果を達成するのに必要な用量および期間で)投与される。治療有効量は、処置される特定の状態、患者の年齢、性別および体重、ならびに抗体が単独の処置として投与されるか、または1以上のさらなる抗がん処置と組み合わせて投与されるかなどの要因に従って変動し得る。
【0208】
投与レジメンは、最適な所望の応答を与えるように調整され得る。例えば、単回ボーラスが投与され得、いくつかの分割用量が経時的に投与され得、または用量が治療状況の緊急性に示されるように比例的に減少もしくは増加され得る。非経口組成物を投与の容易さおよび用量の均一性のために単位投与形態で製剤化することは特に有利である。本明細書における単位投与形態は、処置される患者/対象のための単位用量として適した物理的に分離された単位を指し、各単位は必要とされる薬学的担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の単位投与形態の仕様は、(a)化学療法剤の固有の特徴および達成される特定の治療効果または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためのそのような活性化合物を配合する当分野に固有の制限によって一般的に決定され、これらに直接依存する。
【0209】
したがって、当業者は本明細書に提供される本開示に基づいて、用量および投与レジメンが治療の分野において周知の方法に従って調整されることを認識する。すなわち、最大耐容量は容易に確立され得、患者に検出可能な治療効果を与えるように各物質を投与する時間的要求と同様に、患者に検出可能な治療効果を与える有効量もまた、決定され得る。したがって、特定の用量および投与レジメンが本明細書において例示されているが、これらの例は、本発明を実行する際に患者に提供され得る用量および投与レジメンをいかなる方法においても限定しない。
【0210】
用量の値は、軽減される状態の種類および重症度によって様々であり得、単回用量または複数回用量を含み得ることに注意すべきである。任意の特定の対象について、具体的な用量レジメンは、個々の要求および組成物を投与する人または組成物の投与を管理する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであり、かつ本明細書に記載の用量範囲は例示的なものに過ぎず、具体化された組成物の範囲または実行を限定することは意図されていないことがさらに理解されるはずである。さらに、本発明の組成物を含む投与レジメンは、多様な要因(疾患の種類、患者の年齢、体重、性別、病状、状態の重症度、投与経路および利用される特定の抗体を含む)に基づき得る。したがって、投与レジメンは多種多様であり得るが、標準的な方法を用いて日常的に決定され得る。例えば、用量は薬物動態または薬力学的パラメータ(これは、毒作用および/または臨床検査値などの臨床効果を含み得る)に基づいて調整され得る。したがって、本発明は、当業者によって決定される患者内の用量漸増を包含する。適切な用量およびレジメンの決定は関連する分野において周知であり、本明細書において開示される教示が提供された場合、当業者によって包含されることが理解される。
【0211】
本発明の抗体、抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子の適切な用量は、0.1~100mg/kg(約0.5~50mg/kg、例えば約1~20mg/kgなど)の範囲であることが想定される。例えば、抗体、抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子は、少なくとも0.25mg/kg、例えば少なくとも0.5mg/kg、少なくとも1mg/kgなど、例えば少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kgなど、例えば少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kgなど、例えば少なくとも5mg/kg;および例えば最大で50mg/kg、最大で30mg/kgなど、例えば最大で20mg/kg、最大で15mg/kgなどの用量で投与され得る。投与は通常、適切な間隔で(例えば週に1回、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回、および(必要に応じて用量を適宜増加または減少させ得る)担当医が適切であると考える間隔で)反復される。
【0212】
腫瘍療法の有効量は、患者の疾患の進行を安定化させる能力、および/または症状を改善する能力、ならびに好ましくは(例えば腫瘍サイズを減少させることによって)疾患の進行を逆転させる能力によって測定され得る。本発明の抗体、抗原結合部分、抗体組成物または二重特異性結合分子ががんを阻害する能力は、(例えば実施例に記載の)インビトロアッセイによって、およびヒト腫瘍における有効性を予測するのに適した動物モデルにおいて評価され得る。適切な投与レジメンは、(例えば単回ボーラスとして、または連続注入として投与される)特定の各状況において最適な治療応答を与えるために、各場合の緊急性によって示される用量の調整の可能性を伴って選択される。
【0213】
診断的使用および組成物
本発明の抗体はまた、診断プロセス(例えばインビトロ、エクスビボ)において有用である。例えば、抗体は、患者由来の試料(例えば組織試料または体液試料(炎症性滲出液、血液、血清、腸液、唾液または尿など))中のLAG-3のレベルを検出および/または測定するのに使用され得る。適切な検出および測定方法には、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、化学発光アッセイ、ラジオイムノアッセイおよび免疫組織学などの免疫学的方法が含まれる。本発明はさらに、本明細書に記載の抗体を含むキット(例えば診断キット)を包含する。
【0214】
本明細書において他に規定されない限り、本発明に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。例示的な方法および物質を以下に記述するが、本明細書に記載の方法および物質と類似または同等の方法および物質もまた、本発明の実行または試験に使用され得る。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。
【0215】
一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、合成有機化学、医化学および薬化学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法およびそれらの技術は、当分野で周知であり、当分野で一般的に使用される。酵素反応および精製技術は、当分野で通常達成されるように、または本明細書に記載されるように製造者の仕様書に従って実行される。
【0216】
さらに、文脈によって他の場合が必要でない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含む。本明細書および実施態様のあらゆる箇所において、単語「有する」および「含む」またはその変形(「有している」または「含んでいる」など)は記載された整数または整数の群を含むが、他のあらゆる整数または整数の群を除外しないことを示すことが理解される。
【0217】
本明細書で言及されているあらゆる刊行物および他の参考文献は、参照によってそれらの全体が組み込まれる。多数の文書が本明細書で引用されているが、この引用は、これらのあらゆる文書が当分野の一般知識の一部を形成するということの承認を構成しない。
【0218】
本発明がよりよく理解され得るために、以下に実施例を記載する。これらの実施例は単に説明の目的であり、いかなる様式においても本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例0219】
実施例1:抗LAG-3抗体レパートリーの作製およびスクリーニング
2つの抗LAG-3抗体レパートリーを、LAG-3細胞外ドメイン(ECD)またはLAG-3 ECD Fc融合タンパク質での免疫によって作製した。1つの抗体ライブラリーを、免疫化OmniRat(登録商標)ラット由来の単一細胞ソーティングされたB細胞からSymplex(商標)抗体発見技術(Osborn et al., J Immunol. 190(4): 1481-90 (2013); Meijer et al., J Mol Biol. 358(3): 764-72 (2006))を用いて調製した。この抗体レパートリー由来の発現コンストラクトは、IgG1抗体のFc領域のエフェクター機能を減少させることが知られている2つの変異(L234A/L235A)(Hezareh et al., J Virol. 75(24):12161-8 (2001))を有するIgG1形式の完全ヒト免疫グロブリンをコードしていた。第2の抗体レパートリーを、免疫化野生型ニワトリ(セキショクヤケイ)のリンパ器官から生じた単一細胞ソーティングされたB細胞を用いて構築した。
【0220】
両方の抗LAG-3レパートリーからのクローン化抗体を、293fectin(商標)遺伝子導入試薬(Invitrogen、カタログ番号12347-019)を用いて384ウェル形式でHEK293細胞に個別に遺伝子導入して発現させ、抗体を含む上清を遺伝子導入の6日後に回収した。
【0221】
細胞に基づく抗体スクリーニングについて、CHO-S細胞に、FreeStyle(商標)MAX試薬(Invitrogen、カタログ番号16447-100)を用いて384ウェル形式で遺伝子導入し、GPI結合ヒトLAG-3を発現させた。無関係のGPI結合対照タンパク質を遺伝子導入した細胞を陰性対照として使用した。マルチプレックススクリーニングの設定を可能にするために、対照細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)を用いて標識し、非標識LAG-3を遺伝子導入した細胞と1対1の比率で、1mL当たり1×106細胞の密度で混合した。384ウェルプレートにおいて、40μLのこの細胞混合物を、10μLの抗体を含む上清と混合した。細胞に結合した抗体を、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)AF647二次抗体(Molecular Probes、カタログ番号A21445)を添加することによって明らかにした。並行して、抗体をカニクイザルLAG-3との結合について類似の設定でスクリーニングした。ハイスループットフローサイトメトリー(iQue(登録商標) Screener、Intellicyt)を用いて試料を得、ForeCyt(登録商標)ソフトウェアを用いてCFSEに対してヒトIgG結合(AF647)をプロットすることによってデータを分析した。LAG-3特異的な一次ヒットを、ヒトおよびカニクイザルLAG-3遺伝子導入細胞(CSFE陰性)両方に結合するが、対照細胞(CSFE陽性)には結合しない抗体クローンとして同定し、プレート番号およびプレート座標をヒットの選別(hit picking)およびその後の配列分析のために収集した。
【0222】
6つの機能的なOmniRat(登録商標)由来の抗LAG-3抗体(15646、15532、15723、15595、15431および15572)および1つの機能的なニワトリ由来抗LAG-3抗体(15011;実施例2参照)の重鎖および軽鎖可変領域DNAならびにタンパク質配列を、以下の配列表の節に与える。可変および定常領域DNAおよびタンパク質配列の配列番号の概要を表8および9に与える。CDRの配列番号は表9に見出される。本明細書におけるCDR配列は、CDR1およびCDR2についてIMGT(登録商標)の定義に従って決定された。重鎖および軽鎖CDR3について、本明細書における定義は、IMGT-CDR3の上流に1つの追加のアミノ酸残基(Cys)および下流に1つの追加のアミノ酸残基(H-CDR3についてTrp、L-CDR3についてPhe)を含む。6つのOmniRat(登録商標)由来抗体の生殖系列遺伝子の使用は表10に示される。
【0223】
実施例2:ニワトリ由来抗LAG-3抗体のヒト化
ヒトに投与した場合に最小限の免疫原性を有するが、親のニワトリ抗体の特異性および親和性を実質的に保持する抗体分子を作製するために、ニワトリ由来抗LAG-3抗体のフレームワーク領域のヒト化を行った。
【0224】
ニワトリ由来抗体のヒト化を「CDR移植」の手法(この方法はJones et al., Nature 321(6069):522-5 (1986)によって最初に記述された)を用いて行った。最初に、抗体の可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を、最も近いヒト生殖系列遺伝子を見出すためにヒトIgGデータベースに対してblast検索した。これは、ニワトリVHおよびVL遺伝子に最も近い遺伝子としてそれぞれIGHV3-23*01(M99660)およびヒトIGLV3-19*01(X56178)遺伝子を同定した。同様に、J遺伝子領域のヒト化について選択されたヒトアミノ酸配列は、VHおよびVLについてそれぞれIGHJ1*01(J00256)およびIGLJ6*01(M18338)に由来していた。次に、抗体VHおよびVL遺伝子をニワトリ生殖系列遺伝子に対してアラインし、抗体の機能および/または構造に関与し得るフレームワーク領域内の体細胞変異を同定した。最後に、対応する生殖系列由来のヒトまたはニワトリ残基のいずれかを含む代替のヒト化抗体変異体を作製するために、抗体の構造、安定性および機能に重要な役割を果たしていることが知られている特定のアミノ酸位置(いわゆる「バーニア残基(Vernier residue)」(Nishibori et al., Mol Immunol. 43(6):634-42 (2006)))を考慮した。
【0225】
ニワトリCDRおよびヒトフレームワーク領域の構築をインシリコ(in silico)で行い、ヒト化VHおよびVLをコードする合成遺伝子をGenscript Incから注文した。VHおよびVL遺伝子を、ヒト抗体軽鎖および重鎖の定常領域を有する発現ベクター(プラスミド)にクローン化した。具体的には、VLをヒトラムダ定常IGLC1*01(J00252)に連結した。ラムダ鎖の上流のシグナルペプチドの正確な切断を増加させるために、ラムダ遺伝子IGLV3.19の2位のアミノ酸(Ser)を、他のヒト生殖系列(例えばIGLV3.25)に存在する別のアミノ酸(Tyr)に交換した。
【0226】
この実施例に記載されるように作製された抗体クローンの代表的なフローサイトメトリードットプロットを
図1A~Cに示す:(A)ヒトLAG-3遺伝子導入細胞に特異的に結合する抗体クローン、(B)CHO-S細胞に非特異的に結合する抗体クローン、および(C)スクリーニングに使用されたいかなる細胞集団にも結合しない抗体クローン。
【0227】
実施例3:抗LAG-3参照抗体類似体のクローン化
25F7-Lag3.5およびBAP050の抗体類似体の重鎖および軽鎖可変領域をコードするアミノ酸配列を、それぞれ米国特許出願公開2014/0093511 A1(配列番号12および14)およびPCT特許出願公開WO2015/138920 Al(配列番号6および16)から取得した。タンパク質配列を、ヒトコドンの使用を伴ってDNA配列に逆翻訳した。次に、対応するDNA配列を合成し、ヒトIgG4重鎖またはカッパ軽鎖定常領域のコード配列を含む発現ベクターにクローン化し、これは完全長抗体の発現をもたらした。Fabアームの交換を妨げるために、228位のセリン残基をプロリンに置換した(Angal et al., Mol. Immunol. 30:105-108 (1993))。得られた発現プラスミドをCHO細胞に標準的なタンパク質発現系を用いて遺伝子導入した。対応する抗体上清を標準的なプロテインA精製カラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0228】
実施例4:SEB+PBMCアッセイにおけるLAG-3特異的mAbのパネルのスクリーニング
大規模なパネルのLAG-3特異的mAbがブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で処理された末梢血単核細胞(PBMC)からのIL-2分泌を刺激する能力を、単一のドナー由来のPBMCを用いて評価した。SEBはMHCクラスII分子およびT細胞受容体(TCR)の特異的なVβ領域に結合するスーパー抗原であり、T細胞の非特異的な刺激を誘導する。これは、ポリクローナルT細胞活性化/増殖およびサイトカイン(IL-2を含む)の放出をもたらす。健常なドナー由来のバフィーコートから単離されたヒトPBMCを384ウェルプレートに播種し、未処理のまま放置したか、または10ng/mL SEBおよび10μg/mLの抗体で処理した。加湿インキュベーター中において37℃で48時間後、上清を取り出し、IL-2 ELISAキット(Life Technologies)を用いてIL-2レベルを分析した。
【0229】
抗LAG-3 mAbレパートリーまたは25F7-Lag3.5類似体で処理した後のIL-2分泌の増加が
図2に見られる。種々の抗LAG-3 mAbでの処理後におけるIL-2レベルは非常に様々であったことは明白であり、これは、レパートリー中のいくつかの抗体はこのアッセイにおいて機能性を有しておらず、他の抗体は25F7-Lag3.5類似体に類似するレベルまでIL-2分泌を誘導したことを示している。
【0230】
実施例5:細胞が発現したヒトまたはカニクイザルLAG-3への抗体結合
抗体の結合についてのEC50値をフローサイトメトリーによって決定するために、FreeStyle(商標) MAX試薬(Invitrogen、カタログ番号16447-100)を用いて、CHO-S細胞に一過性に遺伝子導入し、ヒトまたはカニクイザルLAG-3を発現させた。抗体を染色緩衝液(PBS;2% FBS;NaN3)中に10μg/mLから0.05μg/mLまで3倍希釈で滴定し、ヒトまたはカニクイザルLAG-3遺伝子導入細胞のいずれかと混合およびインキュベートした。染色緩衝液で2回洗浄した後、細胞に結合した抗体をヤギ抗ヒトIgG(H+L)AF647二次抗体(Molecular Probes、カタログ番号A21445)の添加によって明らかにした。ハイスループットフローサイトメトリー(iQue(登録商標) Screener、Intellicyt)を用いて試料を取得し、ForeCyt(登録商標)ソフトウェアを用いてAF647について抗体濃度に対して平均蛍光強度(MFI)をプロットすることによってデータを分析した。EC50値をForeCyt(登録商標)の「用量反応グラフ」機能を用いて計算した。
【0231】
滴定によって測定された抗体結合特性の要約が以下の表1に見出され、ここでhuLAG-3およびcyLAG-3はそれぞれヒトLAG-3遺伝子導入細胞およびカニクイザルLAG-3遺伝子導入細胞である。表1に示されるように、抗体15646、15532、15723、15595、15431および15572はヒトLAG-3およびカニクイザルLAG-3の両方に結合する。
表1.抗体特性の概要
【表1】
【0232】
実施例6:MHCII遮断活性についての抗LAG-3抗体のフローサイトメトリー分析
この実施例は、表面MHCII陽性A375細胞および蛍光色素標識された可溶性LAG-3を用いてフローサイトメトリー競合アッセイを行うことによって、抗LAG-3抗体が主要組織適合複合体II(MHCII)遮断活性についてどのようにテストされたかを説明する。
【0233】
MHCII遮断活性を、ヒトメラノーマ細胞株A375(ATCC(登録商標) CRL-1619(商標))を用いて細胞に基づくアッセイにおいて調べた。R-PE標識ヒトLAG-3-Fcキメラタンパク質はA375上の表面に発現したMHCIIに特異的に結合でき、これはフローサイトメトリーによるこの相互作用の定量化を可能にする。市販の組換えヒトLAG-3-Fcキメラタンパク質(R&D Systems、USA)を、Lightning-Link(登録商標)R-フィコエリトリン結合キット(Innova Biosciences、UK)を用いてR-PEと結合させた。A375細胞を酵素不含細胞解離緩衝液(Gibco(商標))を用いて回収し、洗浄し、冷やした染色緩衝液(PBS、2% FBS、NaN3)中に再懸濁した。テストする抗LAG-3抗体を96ウェル形式で播種し、50μL染色緩衝液で20μg/mLに調整した。1μLのLAG-3-Fc-PE(約0.17μg LAG-3-Fcに対応する)を各ウェルに添加して混合し、プレートを4℃で30分間インキュベートし、LAG-3抗体複合体を形成させた。インキュベーション中に、1×105個のA375細胞(100μL染色緩衝液中)を96ウェル形式で播種し、遠心分離によって沈降させ、細胞ペレットをプレインキュベートしたLAG-3/抗体混合物中に再懸濁した。細胞を4℃でさらに20分間インキュベートし、200μLの冷やした染色緩衝液で1x洗浄し、収集のために100μL染色緩衝液中に再懸濁した。
【0234】
テストされた7種の抗LAG-3抗体(20μg/mL)のうち、4種(15532、15595、15431および15011)は、LAG-3のMHCIIへの結合(MFI)の、陰性対照抗体存在下における結合と比較して約90%の減少を誘導した。したがって、これら4種は相互作用の有効な遮断物質であると考えられる。残りの3種の抗体(15646、15723および15572)はLAG-3-MHCII結合に対する制限された効果のみを有し、不十分な遮断物質であると考えられ得る。参照抗体25F7-Lag3.5類似体は中間の遮断活性を示した。結果を表2に要約する。
表2.抗LAG-3抗体存在下におけるLAG-3のA375細胞上のMHCIIへの結合の遮断
【表2】
*陰性対照抗体存在下におけるLAG-3結合に対して規格化された中央値。
【0235】
実施例7:SEB+PBMCアッセイにおける抗LAG-3モノクローナル抗体の有効性
7種の抗LAG-3 mAbがブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で処理された末梢血単核細胞(PBMC)からのIL-2分泌を刺激する能力を評価した。この実施例は、数種のPBMCドナーにおける7種の抗LAG-3 mAbの有効性を記述する。さらに、他の配列クラスター由来の4種の抗LAG-3 mAbの有効性を記述する。配列クラスターの番号は抗体番号の後の括弧内に示され、実施例13にさらに記述される。抗LAG-3抗体を、実施例4に記載されるようにSEB+PBMCアッセイにおいて10または12.5μg/mLでテストした。
【0236】
抗LAG-3 mAb 15431、15532、15572、15595、15646、15723および15011または25F7-Lag3.5類似体での処理後におけるIL-2分泌の増加を
図3に示す。各点は、単一のPBMCドナーからのIL-2分泌のレベルを表す。抗LAG-3 mAbでの処理後におけるIL-2レベルは種々のPBMCドナー間で様々であることが明白であるが、全7種の抗LAG-3 mAbは類似のレベルでIL-2産生を刺激した。これは、IL-2産生を増加させない抗LAG-3 mAb 15445、15429および15491とは対照的である。
【0237】
実施例8:細胞に基づくLAG-3-MHCクラスII遮断アッセイにおける抗LAG-3モノクローナル抗体の効果
7種の抗LAG-3 mAbをさらに特徴付けるため、LAG-3-MHCクラスII相互作用を遮断する能力を細胞に基づくアッセイにおいてテストした。
【0238】
NFAT-REで制御されたルシフェラーゼ遺伝子を有し、改変TCRおよびLAG-3を発現するJurkat細胞(Promega)を、MHCクラスIIを発現するRaji細胞株、50ng/mLブドウ球菌エンテロトキシンD(SED)および実施例4に示される種々の濃度のモノクローナル抗体と共にインキュベートした。加湿インキュベーター中で37℃で6時間後に、ルシフェラーゼ基質(Promega)を添加し、発光を測定した。発光はルシフェラーゼ発現の尺度であり、これはTCRシグナル伝達によって制御され、LAG-3シグナル伝達によって阻害される。したがって、(例えばLAG-3-MHCII相互作用を遮断することによる)より低いLAG-3シグナル伝達は発光の増加を導く。
【0239】
抗LAG-3 mAb 15431、15532、15572、15595、15646、15723および15011または25F7-Lag3.5類似体での処理後における発光の増加を
図4に示す。テストされた全ての抗LAG-3抗体は類似のレベルで発光を増加させることが見出された。
【0240】
実施例9:LAG-3の細胞内レベルに対する抗LAG-3モノクローナル抗体の効果
選択された抗LAG-3 mAbをさらに特徴付けるために、LAG-3レベルを下方制御する能力を、LAG-3を過剰発現するT細胞株においてテストした。
【0241】
改変TCRおよびLAG-3を発現するJurkat細胞(Promega)を、実施例5に示される25mg/mLのモノクローナル抗体と共にインキュベートした。加湿インキュベーター中で37℃で24時間後に上清を回収し、細胞溶解させた。細胞中のLAG-3のレベルを、抗LAG-3検出抗体(Novus Biologicals)およびシンプルウェスタンの技術(Sally Sue, Proteinsimple)を用いて評価した。上清中のLAG-3のレベルを抗LAG-3 ELISA(R&D Systems)を用いて評価した。結合競合研究によって、テストされた抗LAG-3抗体が溶解LAG-3への結合についてELISA検出抗体と競合しないことが確認された。多重比較についての補正を伴う一元配置分散分析およびその後のボンフェローニ補正された事後t検定を用いて統計解析を行った。
【0242】
抗LAG-3 mAb 15431、15532、15011、25F7-Lag3.5類似体またはBAP050類似体での処理後における細胞内LAG-3および溶解LAG-3のレベルを
図5に示す。15532、15011、25F7-Lag3.5類似体またはBAP050類似体は、細胞内LAG-3および溶解LAG-3のレベルを減少させた。15532は、細胞内LAG-3レベルを25F7-Lag3.5類似体よりも統計的に有意に低いレベルまで減少させ、溶解LAG‐3レベルを25F7-Lag3.5類似体およびBAP050類似体よりも統計的に有意に低いレベルまで減少させた。15431は、細胞内または溶解LAG‐3レベルのいずれも低下させなかった。
【0243】
実施例10:2つの同質遺伝子的なマウス腫瘍モデルにおける抗体15011のインビボ有効性
この実施例は、2つの同質遺伝子的なマウス腫瘍モデルにおける抗体15011のインビボ有効性を示す。
【0244】
方法
2×105個のSa1N(線維肉腫)細胞および5×106個のASB-XIV(肺がん)細胞を、6~8週齢の雌性A/J(Sa1N)マウスまたはBALB/cAnNRj(ASB-XIV)マウスの側腹部に皮下接種した。腫瘍を2つの寸法においてキャリパーで週に3回測定し、mm3における腫瘍体積を、式:(幅)2×長さ×0.5に従って計算した。接種後5~7日目の30~50mm3の平均腫瘍サイズにおいて、マウスを10匹の動物の2つの群に無作為に分け、処理を開始した。マウスを、賦形剤緩衝液またはモノクローナル抗体15011の腹腔内注射によって週に3回、全体で6回処理し、その後を観察期間とした。抗体処理を10mg/kgで投与した。ボンフェローニの多重比較検定を伴う二元配置分散分析を適用し、処理群間の各時点における腫瘍体積を比較した。GraphPad Prismバージョン5.0(GraphPad Software, Inc.)を用いて統計解析を行った。
【0245】
結果
結果は、テストされた同質遺伝子的腫瘍モデルにおける抗体15011の著しい腫瘍阻害効果を示した(*P<0.001)(
図6)。15011は、Sa1N腫瘍を移植されたマウスの50%において腫瘍増殖の退縮を誘導し、ASB-XIV同質遺伝子的腫瘍モデルにおいて腫瘍増殖の遅延をもたらした。
【0246】
実施例11:ヒトPBMCを用いて再構成され、ヒトメラノーマA375細胞を移植されたNOGマウスにおける抗体15532のインビボ有効性
この実施例は、半ヒト化異種移植腫瘍モデルにおける抗体15532のインビボ有効性を示し、ここでNOGマウスの免疫系はヒトPBMCを用いて再構成され、マウスにヒトメラノーマA375細胞を移植した。
【0247】
方法
試験の0日目において、NOGマウスに2~4.5×106個のA375メラノーマ細胞を皮下注射し、試験の2日目においてマウスは9または12×106個のPBMCを腹腔内に受けた。各実験において単一のドナー由来のPBMCを用いた。PBMCを接種した日に処理を開始し、マウスを賦形剤緩衝液またはモノクローナル抗体15532(10mg/kg)の腹腔内注射によって週に3回、全体で6または9回処理し、その後を観察期間とした。腫瘍を2つの寸法においてキャリパーで週に3回測定し、mm3における腫瘍体積を、式:(幅)2×長さ×0.5に従って計算した。ボンフェローニの多重比較検定を伴う二元配置分散分析を適用し、処理群間の各時点における腫瘍体積を比較した。GraphPad Prismバージョン5.0(GraphPad Software, Inc.)を用いて統計解析を行った。
【0248】
結果
図7は、抗LAG-3処理に応答した2つの異なるヒトPBMCドナーを用いた2つの実験からの結果を示す。15532での処理は、賦形剤で処理した群と比較して有意な腫瘍増殖の遅延をもたらした[P<0.05(ドナー1)およびP<0.001(ドナー2)]。
【0249】
実施例12:抗LAG-3モノクローナル抗体のヒト、カニクイザルおよびマウスLAG-3への親和性の測定
この実施例は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される抗LAG-3抗体のヒト、カニクイザルおよびマウスLAG-3細胞外ドメインへの結合を示す。ヒトLAG-3のタンパク質配列は、UniProtアクセッション番号P18627(配列番号68)として入手可能である。カニクイザルLAG-3のタンパク質配列は、NCBIアクセッション番号XP_005570011.1(配列番号69)として入手可能である。マウスLAG-3のタンパク質配列は、UniProtアクセッション番号Q617900(配列番号72)として入手可能である。
【0250】
材料と方法
速度論的結合解析を、IBIS MX96 SPR装置(IBIS Technologies, The Netherlands)と組み合わせた連続フローマイクロスポッター(Continuous Flow Microspotter)(CFM、Wasatch Microfluidics、Salt Lake City、US)を用いて表面プラズモン共鳴(SPR)によって行った。
【0251】
Genovis(Sweden)によって提供されたキットを用いてIgG1抗体をGingisKHAN酵素で消化することによって、抗LAG-3 Fab抗体を作製した
【0252】
ヒトおよびカニクイザルLAG-3の細胞外ドメインをコードするLAG-3 cDNAを合成し、それぞれをCMVプロモーターおよびヒトIgG1 Fc配列(AA P101-K330)を含むベクター中にクローン化し、これはクローン化されたLAG-3 ECDのC末端へのIgG1 Fcの融合をもたらした。LAG-3 Fc融合コンストラクトを標準的なPCRおよび設計技術によって作製し、タンパク質をExpiCHO(商標)発現系を用いて2mL培地中に一過性に発現させた。ヒトLAG-3 Fc融合コンストラクトを9日後に回収し、上清をLAG-3 Fab抗体への結合親和性についてSPRによってテストした。抗原を標準的な手段を用いて精製し、連続フローマイクロスポッター(CFM、Wasatch Microfluidics、Salt Lake City、US)を用いてG-a-hu-IgG Fc SensEye(登録商標)(Ssens BV, The Netherlands)上に15分間捕獲した。スポッティング後、SensEye(登録商標)をIBIS MX96バイオセンサー内に配置し、残りの捕獲部位を遮断した。いわゆる速度論的滴定系列(kinetic titration series)(Karlsson R. 2006)を適用することによって動態解析を行い、ここで本発明の抗体の単量体Fabフラグメントを、各Fab注入後に表面再生の工程を適用することなく、1nMから1000nMまでの増加していく濃度で注入した。Fab結合を15分間行い、抗原解離を15分間行った。オン速度(on-rate)(konまたはka)、オフ速度(off-rate)(koffまたはkd)および親和性(KD)定数の計算のために、記録された結合応答をScrubber 2ソフトウェアを用いて単純なラングミュアの1:1結合モデルにフィットさせた。
【0253】
結果
親和性測定の結果は、評価された抗体15532、15431、15572、15011および参照抗体類似体25F7-Lag3.5が種々の親和性でヒトおよびカニクイザルLAG-3に結合することを示す。15011はマウスLAG-3との交差反応性を有する唯一の抗体である。詳細な結合の速度論を以下の表3に示す。
表3.SPRによって測定された抗LAG-3 Fabフラグメントの、ヒト、カニクイザルおよびマウスLAG-3 ECDへの結合の速度論
【表3】
*NB:結合なし
【0254】
実施例13:抗LAG-3抗体のエピトープビニング
この実施例は、サンドウィッチアッセイにおける対での競合パターンに基づいて、抗LAG-3抗体をどのようにエピトープビンに分類したかを説明する。異なるエピトープビンに属する抗体は、LAG-3 ECD上の異なるエピトープを認識する。
【0255】
材料および方法
対の抗体競合の調査を、IBIS MX96 SPR装置(IBIS Technologies, The Netherlands)と組み合わせた連続フローマイクロスポッター(CFM)(Wasatch Microfluidics, US)を用いて表面プラズモン共鳴(SPR)分析によって行った。表面プラズモン共鳴イメージング分析を、ヤギ抗ヒトIgG Fc SensEye(登録商標) SPRセンサー(Ssens BV, The Netherlands)上で行った。全13種の抗LAG-3抗体(参照抗体25F7-Lag3.5を含む)を、0.05%Tween20を含むPBS緩衝液(PBS-T)、pH7.0で7.5μg/mLに希釈した。抗体を、連続フローマイクロスポッターを用いて15分間スポッティングすることによって抗Fcセンサー表面上に捕獲した。スポッティング後、SensEye(登録商標)をIBIS MX96バイオセンサー内に配置し、残りの抗Fc部位を30μg/mLの非特異的ヒトIgG1の注入によって遮断した。捕獲された抗体をFixIt kit(Ssens BV、The Netherlands)を用いて表面に結合した。センサーを調製した後、センサー上に注入された場合に、固定化された抗体(リガンド)を用いて溶液中の一価のLAG-3抗原(50nM、Acro Biosystems, China)を捕獲した。次に、(PBS-T緩衝液で15μg/mLに希釈された)LAG-3抗体のパネルを分析物としてセンサー上に1つずつ注入し、サンドウィッチアッセイにおいて捕獲されたLAG-3への結合についてテストし、抗体競合パターンを確立した。各抗体の注入後、センサー表面を100mM H3PO4緩衝液、pH3.0を用いて再生した。
【0256】
結果
13種の抗LAG-3抗体の競合パターンを
図8に示す。抗体をそれらのID番号に従って名付け、クラスター群を括弧内に記載している。クラスターメンバー由来のタンパク質配列は高度に関連しており、数個の位置が異なるのみであるため、同一のクラスター群由来のmAbは同一のエピトープビンに結合することが予想される。
【0257】
全ての抗体はうまくエピトープビニングされたが、抗体15595(52)、15613(33)および15431(38)はリガンドとして使用した場合に機能せず、分析物としてのみテストすることができた。抗体15646(15)および15011(94)はリガンドとしてのみテストした。
【0258】
競合分析は、LAG-3抗体のパネルが6つの主要なエピトープビンを包含していることを示した(
図8)。抗体15011(94)は、パネル由来の他のいかなる抗体によっても交差遮断(closs block)されなかった固有のエピトープに結合し、したがってこの抗体をエピトープビン1に帰属させた。エピトープビン2は、この群由来の他のmAbのうちいくつかと交差競合(cross compete)する7種の抗体を含み、これらの抗体は下位(sub)のビンにさらに分割された。mAb 15584(54)はリガンドまたは分析物としてテストした場合に、15532(17)および15595(52)を共に交差遮断することを特徴としていたが、分析物としてテストした場合に参照mAb 25F7-Lag3.5によって遮断されなかった。mAb 15613(33)は分析物としてのみテストされ、15723(39)、15532(17)および15646(15)によって遮断されたが25F7-Lag3.5によって遮断されなかったことが示された。結果として、15532(17)は25F7-Lag3.5と重複するエピトープに結合したが、15584(84)および15613(33)との競合における差異のため、15532(17)のエピトープは25F7-Lag3.5のエピトープとは異なっており、これらの抗体は結果として異なる下位のビンに帰属された。同様に、エピトープビン2における他のmAbは、ビン2における他の抗体との競合パターンに基づいて下位のビンに帰属された(
図8)。
【0259】
mAb 15572(91)はmAb 15584(54)と交差競合することのみが見出され、別個のビン3に帰属された。同様に、mAb 15431(83)はmAb 15723(39)のみと交差競合するため、別個のビン4に帰属された。最終的に、非機能的活性を有する抗体を含む2つの別個のエピトープビンが同定された。エピトープビン5は交差遮断する抗体15445(70)および15491(84)を含み、エピトープビン6はパネル由来のいかなる抗体も交差遮断しなかったmAb 15429(72)を含んでいた。ビン5の抗体はまた、これらを分析物としてテストした場合に、ビン2由来の抗体25F7-Lag3.5、15532(17)および15723(39)を遮断した(
図8)。リガンド抗体の競合パターンの要約を
図9に示し、ここでmAbのエピトープ関連性がユークリッド距離を用いたクラスター化に基づいて示されている。クラスターの図から、x軸の0より大きな値に分岐点を有する抗体は、テストされたLAG-3パネル内の他の抗体と比較して異なるエピトープを有することが観察できる。mAb 15595(52)、15613(33)および15431(38)はリガンドとして機能しなかったため、クラスター分析に含めなかった。
【0260】
実施例14:LAG-3変異誘発によるLAG-3抗体のエピトープマッピング
抗体エピトープは一般に、直線状エピトープ(連続エピトープとも呼ばれる)または立体構造エピトープ(不連続エピトープとも呼ばれる)として特徴付けられ得る。直線状エピトープは単一の連続するアミノ酸配列に基づいて規定されるが、立体構造エピトープは多くのより小さく不連続な直鎖状配列または単一の接触残基からなり得る。抗体と抗原との間の分子間タンパク質界面でクラスター形成する接触残基の一群はホットスポットとも呼ばれる(Moreira et al., Proteins 68(4):803-12 (2007))。現在、ほとんどのB細胞エピトープは、2~5アミノ酸が結合の大部分に寄与する15~22アミノ酸残基に及ぶ平均的なエピトープを伴って(Sivalingam and Shepherd, Mol Immunol. 51(3-4):304-92012 (2012), Kringelum et al., Mol Immunol. 53(1-2):24-34 (2013))、本質的に不連続であることが広く認められている(Sivalingam and Shepherd、上記)。
【0261】
108種のLAG-3変異体への結合親和性を順位付けすることによって、この実施例は、抗LAG-3抗体15532、15431、15572および15011の結合エピトープが参照抗体25F7-Lag3.5類似体によって認識されるエピトープとは異なる直線状エピトープおよびホットスポットにどのように分類され得るかを説明する。
【0262】
方法
ヒトLAG-3受容体(CD223)は、427アミノ酸(23~450残基)の細胞外ドメイン(ECD)ならびにそれに続く膜貫通ドメイン(451~471残基)および細胞質ドメイン(472~525残基)を含む525アミノ酸(AA)の膜貫通タンパク質である。LAG-3 ECDは4つの免疫グロブリンドメイン(D1~D4)を含み、第1のドメイン(IgV型ドメイン)はリガンド結合(MHCII結合)に関与し、残りの3つのドメインはIgC2型ドメインである。リガンド結合には最初の2つのN末端ドメイン(D1~D2)のみで十分であり、D2は正確な受容体提示に必要であることが示されている(Huard et al., Proc Natl Acad Sci USA 94:5744-5749 (1997), Andrews et al., Immunol Rev. 276(1):80-96 (2017))。ドメイン1は、他のIgVドメインには見出されない、リガンド結合に重要であることが示されている30アミノ酸のさらなる固有の区間(追加のループ)を含む。アミノ酸(AA)99、110、125、131および137はまた、リガンド結合に重要なアミノ酸(成熟タンパク質におけるY77、R88、R103、D109、R115)として同定されている(Huard et al.、上記;Andrews et al.、上記)。LAG-3の構造は公表されていない。しかしながら、LAG-3とCD4との間の配列相同性および進化的相同性が同定されており、したがってCD4のホモロジーモデリングに基づいてLAG-3の構造情報を利用することが可能である(Huard et al.、上記;Andrews et al.、上記)。
【0263】
ヒトLAG-3およびオルソログのタンパク質配列をUniProtまたはNCBIからダウンロードした;ヒト(P18627;配列番号68)、カニクイザル(カニクイザル(Macaca fascicularis)、XP_005570011.1;配列番号69)、ラット(ドブネズミ(Rattus norvegicus)、Q5BK54;配列番号70)およびイヌ(イヌ(Canis Lupus Familiaris)、F1P7Z3;配列番号71)。種々のLAG-3細胞外ドメインアミノ酸配列の配列同一性を以下の表4に示す。
表4.異なる種由来のLAG-3の細胞外ドメインにおけるヒトLAG-3とのアミノ酸の差異および配列同一性の表
【表4】
【0264】
天然のヒトLAG-3構造に関連して直線状エピトープをマッピングするために、ヒトLAG-3 ECD配列における10アミノ酸を5アミノ酸が重複したセグメントにおいてラット配列に連続的に交換し、特に興味がある領域(例えば重要なAA挿入配列およびループ区間)においてイヌおよびカニクイザルのバージョンを追加した35種のキメラタンパク質を設計した。配列交換を、アミノ酸23~170に及ぶヒトLAG-3のドメイン1において行った。CD4の結晶構造(1WIO、1WIQ)およびアミノ酸配列アラインメントに基づいて構築された相同性モデルから、表面に露出したアミノ酸が同定され、ヒトLAG-3ドメイン1上に80個の置換が設計された。導入された点変異は主にアラニン置換であった。表面に露出した残基がアラニンであった場合、この位置はセリンに交換された。
【0265】
ヒトLAG-3細胞外ドメイン(AA1~266)のドメイン1および2をコードするLAG-3 cDNAを遺伝子合成し、CMVプロモーターおよびヒトIgG1 Fc配列(AA P101~K330)を含むベクターにクローン化し、これはLAGドメイン1~2 Fc融合タンパク質の発現をもたらした。変異ヒトLAG-3 Fc融合コンストラクトを標準的なPCRおよび設計技術によって作製し、タンパク質をExpiCHO(商標)発現系を用いて2mL培養物中に一過性に発現させた。ヒトLAG-3 Fc融合コンストラクトを回収および精製し、抗LAG-3 mAbへの結合親和性について表面プラズモン共鳴(SPR)によってテストした。LAG-3融合タンパク質を、連続フローマイクロスポッター(CFM、Wasatch Microfluidics、Salt Lake City、US)を用いてG-a-hu-IgG Fc SensEye(登録商標)(Ssens BV, The Netherlands)上に15分間固定化した。スポッティング後、SensEye(登録商標)をIBIS MX96バイオセンサー内に配置し、捕獲されたタンパク質を結合親和性について評価した。いわゆる速度論的滴定系列(Karlsson R. 2006)を適用することによって動態解析を行い、ここで本発明の抗体の単量体Fabフラグメントを、各Fab注入後に表面再生の工程を適用することなく、0.4nMから300nMまでの増加していく濃度で注入した。Fab結合を15分間行い、抗原解離を15分間行った。オン速度(konまたはka)、オフ速度(koffまたはkd)および親和性(KD)定数の計算のために、記録された結合応答をScrubber 2ソフトウェアを用いて単純なラングミュアの1:1結合モデルにフィットさせた。
【0266】
結果
抗LAG-3抗体15532、15431、15572、15011および参照抗体25F7-Lag3.5類似体のFabフラグメントの結合親和性を、LAG-3変異体構成物への結合の変化に関して評価した。Fabフラグメントの変異LAG-3構成物への結合の結合親和性を、KD変異体/KD野生型の比(規格化された結合親和性)として表した。以下の表5および6はそれぞれ、テストされた全てのキメラタンパク質への規格化された結合親和性、およびアラニンスキャニング実験の規格化された結合親和性を示す。少なくとも5倍の親和性減少のカットオフを、変異LAG-3構成物への有意に減少した結合親和性を検出する基準として利用した。いくつかの例において、特異的抗体への結合は検出できなかった。これらの構成物は結合なし(N.B.)として記載されている。
【0267】
この分析は、抗LAG-3抗体15532、15431、15572、15011の結合エピトープが参照抗体25F7-Lag3.5類似体の結合エピトープとは異なることを示した。15532の結合エピトープは、78~87、84~92、88~97位に挿入されたAAを含むキメラタンパク質から明白であった:LAG-3のドメイン1の追加のループ内にある集団的なアミノ酸区間。しかしながら、25F7-Lag3.5とは異なり、15532の直線状エピトープはこの区間を超えて広がっており、AA95~100、AA98~105およびAA123~131を含んでいる。興味深いことに、リガンド相互作用に重要なアミノ酸が99~131のセグメントにおいて同定されている(Y99、R125およびD131;Huard et al、上記)。25F7-Lag3.5類似体は、リガンド結合に重要な領域内の変異についていかなる感受性も示さなかった。アラニン置換によって測定された15532の接触残基はH85、P86、A87、P89、S91、W92およびG93として同定されたが、25F7-Lag3.5類似体はP86およびS91への感受性を示さず、これはAA85~93領域内の接触残基が区別されていることを示していた。15532はカニクイザルAA復帰変異(P84H;H85R;S90Y)を伴うキメラ構成物#28に結合できたが、25F7-Lag3.5類似体は結合できず、これはAA84~90領域内の精密に区別されたエピトープを再度反映していた。
【0268】
2つの抗体15431および15572はともに、AA23~30および40~66のセグメントにおける直線状エピトープに結合することが見出された。さらなるアラニンスキャニングは、両方の抗体がA40、Q41、P43、P46、P49、D52、T62、Q64、H65、Q66、P67およびD68の位置において同一の接触残基を共有していたことを示した。15431はさらに、キメラ構成物88~97、95~100および98~105(セグメントAA88~105)に感受性であった。AA領域98~105は、15532、15431、15572および15011の間で共有される唯一のエピトープであることが示された。25F7-Lag3.5類似体はこのエピトープに結合しなかった。アラニンスキャニングは、15431および15572が接触残基P96、Y99、T100、V101、P106およびG107を共有し、15431がG93、P94およびR98の位置に固有の接触を有していたことを示した。抗体15431はまた、AA123~131、128~137および148~154のセグメントにおいて直線状エピトープを有していた。興味深いことに、125位、131位および137位はリガンド結合に重要であることが以前に示されている(Huard et al、上記)。また、これらのセグメント(AA123~131、128~137および148~154)は15572において重要であり、15572はAA118~137および148~161のセグメントにおいて直線状エピトープを認識した。アラニンスキャニングは、15431および15572の両方がR119、E124、R129、G130、D131、S133、R137、P138、D143、R148およびR163の位置において接触残基を共有し、25F7-Lag3.5類似体はこれらのエピトープ領域またはアミノ酸位置のいずれにも感受性を示さなかったことをさらに示した。
【0269】
抗体15011はAA98~105の範囲に変異を有するキメラ構成物によって規定された直線状エピトープを含み、アラニンスキャニングは、G107、L109、R110およびS111の位置における接触残基を含むように固有のエピトープをさらに広げた。興味深いことに、R110はリガンド結合に重要であることが示されている(Huard et al、上記)。この領域(AA98~113)のアミノ酸配列は、ヒト、カニクイザル、マウスおよびラットオルソログの間で良く保存されており、これはこの抗体のマウスおよびカニクイザルLAG-3への交差反応性を説明する(実施例12)。収集されたエピトープマッピングの知見の要約を以下の表7に示す。
【0270】
要約すると、我々は108種のLAG-3変異体のパネルへの結合を単一アミノ酸分解能で分析することによって、4つの抗体15532、15431、15572および15011がLAG-3のドメイン1において固有であるが部分的に重複したエピトープを認識することを示した。この知見は実施例13のエピトープビニング分析と一致しており、この分析は15532が25F7-Lag3.5類似体と交差競合するが、他のLAG-3抗体との区別された競合パターンを有し、したがって異なるエピトープを有していることを示した(表7)。15431、15572および15011は15532または25F7-Lag3.5との結合について競合せず、別々のエピトープビン2抗体との固有の競合パターンを有していた。帰属されたエピトープビン(実施例13)は、各抗体が固有の区別されるエピトープを示したことを明らかにしたエピトープマッピング(表7)と良く一致している。キメラ構成物#28を含むエピトープデータはまた、15532がカニクイザルLAG-3との有意な結合を示し、25F7-Lag3.5が示さなかった(これは区別される接触残基による抗体の異なる性質を反映している)結合親和性分析(実施例12)を良く裏付けた。
表5.抗LAG-3抗体のFabフラグメントの、ラット、イヌまたはカニクイザル配列セグメントの挿入を含む変異LAG-3 ECD構成物への結合についての結合親和性分析の要約。規格化された結合はK
D変異体/K
D野生型として表した。
【表5-1】
【表5-2】
【0271】
表6.抗LAG-3抗体のFabフラグメントの、点変異スキャンされたヒトLAG-3への結合の結合親和性分析の要約。規格化された結合はK
D変異体/K
D野生型として表した。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0272】
表7.テストされた抗LAG-3抗体について同定された結合エピトープの要約
【表7】
【0273】
表8.VH、VL、HCおよびLC DNAおよびタンパク質配列の配列番号
【表8】
【0274】
表9.抗LAG-3抗体のVHおよびVL DNAおよびタンパク質配列ならびにH-CDR1~3およびL-CDR1~3アミノ酸配列の配列番号
【表9】
【0275】
表10.抗LAG-3抗体の相補性決定領域(CDR)およびOMTラット由来抗体の生殖系列遺伝子起源
【表10-1】
【表10-2】
*ヒト化のために使用された遺伝子、実施例2参照。
【0276】
配列表
VHおよびVL DNAおよびタンパク質配列
配列番号1(15646 VH DNA配列)
CAGGTGCAGCTGCAGCAGTGGGGTGCCGGTCTGCTGAAGCCTTCTGAAACTCTGTCTCTGACTTGTGCCGTCTATGGTGGATCATTCAGCGGCTACTATTGGTCCTGGATCAGGCAGCCCCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCGAGATCAACCACCGGGGCTCTACCAACTACAATCCCTCTCTGAAGAGCAGGGTGACCATCTCCGTGGACACATCTAAGAATCAGTTCAGCCTGAAGCTGAGCTCCGTGACCGCCGCTGATACAGCCGTGTACTATTGCACAAGGGGGGAGGAATGGGAGTCACTGTTCTTTGATTACTGGGGGCAGGGGACACTGGTCACAGTCTCGAGT
配列番号2(15646 VL DNA配列)
GAAATCGTCCTGACCCAGTCCCCCGCCACCCTGAGCCTGAGCCCCGGAGAAAGAGCCACCCTGTCCTGCCGAGCAAGCCAGTCCATCAGCTCCTATCTCGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGCCAGGCTCCCCGGCTGCTGATCTACGGCGCCTCCAACAGAGCTACAGGAATCCCAGCCCGCTTCAGCGGCTCCGGCTCTGGCACAGACTTTACCCTGACAATCTCTAGCCTGGAGCCTGAGGATTTCGCCGTGTACTATTGCCAGCAGAGATCTAATTGGCCACTGACATTCGGCGGCGGCACACGGGTGGAGATCAAG
配列番号3(15646 VHタンパク質配列)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSGYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHRGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCTRGEEWESLFFDYWGQGTLVTVSS
配列番号4(15646 VLタンパク質配列)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTRVEIK
配列番号5(15532 VH DNA配列)
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTGGGGCGCCGGCCTGCTGAGACCAAGCGAGACCCTGTCCCTGACATGCGCCGTGTATGGCGAGAGCTTCTCCGGCTATTACTGGAACTGGATCCGGCAGCCTCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCGAGATCAATCACTCCGGCTCCACCAATTACAACCCATCCCTGAAGTCTCGGGTGACAATCAGCGTGGATACAAGCAAGACCCAGTTCAGCCTGAAGCTGAGCTCCGTGACAGCTGCCGATACCGCCGTGTATTACTGCGCCAGAGGCTGGGACCTGCTGGATTGGAATGACTACTGGAATGAGTACTGGGGCCAGGGGACCCTGGTGACCGTCTCGAGT
配列番号6(15532 VL DNA配列)
GAGATCGTGCTGACCCAGTCCCCTGCCACCCTGTCTCTGTCCCCTGGCGAGCGGGCCACCCTGTCCTGTAGAGCTTCTCAGTCCGTGTCTTCCTACCTGGCTTGGTACCAGCAGAAGCCAGGACAGGCCCCAAGACTGCTGATCTATGACGCTTCCAATCGGGCTACCGGCATCCCAGCTCGCTTTAGCGGCTCCGGCTCCGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGGAGCCAGAGGATTTTGCCGTGTATTACTGTCAGCAGAGGTCCAATTGGCCACTGACATTTGGCGGCGGCACAAAGGTTGAGATCAAG
配列番号7(15532 VHタンパク質配列)
QVQLQQWGAGLLRPSETLSLTCAVYGESFSGYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKTQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGWDLLDWNDYWNEYWGQGTLVTVSS
配列番号8(15532 VLタンパク質配列)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIK
配列番号9(15723 VH DNA配列)
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTGGGGCGCTGGCCTGCTGAAGCCCTCTGAGACCCTGTCTCTGACCTGTGCCGTGTATGGCGGCAGCTTCTCCGGCTATTACTGGAACTGGATCCGCCAGCCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCGAGATCAACCACTCCGGCTCTACCAACTACAATCCTTCTCTGAAGTCCAGGGTGACAATCAGCGTGGACACCAGCAAGAACCAGTTTAGCCTGAAGCTGTCCAGCGTGACAGCTGCCGATACAGCCGTGTATTACTGCGCCAGAGGCGAGGATTGGGGCGAGAGCTTCTTTGATTACTGGGGCCAGGGGACCCTGGTGACCGTCTCGAGT
配列番号10(15723 VL DNA配列)
GAGATCGTGCTGACCCAGTCCCCTGCCACCCTGTCTCTGTCCCCTGGCGAGCGGGCCACCCTGAGCTGTCGGGCCTCCCAGTCCGTGAGCTCCTACCTGGCTTGGTATCAGCAGAAGCCAGGACAGGCCCCAAGACTGCTGATCTACGCCGCTTCCAATCGGGCCACCGGCATCCCCGCCAGATTTTCCGGCTCTGGCTCCGGCACCGATTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGGAGCCAGAGGACTTCGCCGTGTACTACTGCCAGCAGAGGTCTAATTGGCCACTGACATTTGGCGGCGGCACCAAGGTTGAGATCAAG
【0277】
配列番号11(15723 VHタンパク質配列)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSGYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGEDWGESFFDYWGQGTLVTVSS
配列番号12(15723 VLタンパク質配列)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYAASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIK
配列番号13(15595 VH DNA配列)
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCCGGCGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGAGCTTCTGTGAAGGTTTCCTGTAAGGTTTCCGGCTATAGCCTGACCGAGATCTCTATGCACTGGGTACGGCAAGCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATGGGCGGCTTTGACCCAGAGGATGGCGAGACCATCTACGCTCAGAGGTTTCAGGGGCGCGTGATCATGACCGAGGATACCAGCACCGATACCGCCTACATGGAGCTGTCCAGCCTGAGATCCGAGGATACCGCCGTGTATTACTGCGCTACTGGTGGCTGGGGCCCCAATTGGTTCGATCCTTGGGGCCAGGGGACCCTGGTGACCGTCTCGAGT
配列番号14(15595 VL DNA配列)
GACATCCAGATGACACAGTCTCCTTCCTCTGTGAGCGCCTCTGTGGGCGACCGCGTGACCATCACATGCCGCGCTTCCCAGGGGATCTCTTCCTGGCTGGCTTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTATGCTGCCAGCAGCCTGCAGTCCGGCGTGCCTTCCAGGTTTAGCGGCTCCGGCTCCGGCACCGACTTTACACTGACAATCAGCTCCCTGCAGCCCGAGGATTTTGCCACCTATTACTGTCAGCAGGCGAATTCCTTCCCTTTTACATTCGGCCCTGGCACCAAGGTTGATATCAAG
配列番号15(15595 VHタンパク質配列)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKVSGYSLTEISMHWVRQAPGKGLEWMGGFDPEDGETIYAQRFQGRVIMTEDTSTDTAYMELSSLRSEDTAVYYCATGGWGPNWFDPWGQGTLVTVSS
配列番号16(15595 VLタンパク質配列)
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPFTFGPGTKVDIK
配列番号17(15431 VH DNA配列)
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTCCGGCCCCGGCCTGGTGAAGCCAAGCCAGACCCTGTCTCTGACATGCGCCATCTCCGGCGACAGCGTGTCCTCTAACTCCGCCGCTTGGAATTGGATCCGGCAGTCTCCATCCAGAGGCCTGGAGTGGCTGGGCAGAACCTATTACCGGTCCAAGTGGTACAACGATTATGCCGTGTCCGTGAAGAGCAGAATCACCATCAACCCTGATACCAGCAAGAACCAGTTCAGCCTGCAGCTGAATTCCGTGACCCCAGAGGATACAGCCGTGTATTACTGTGCTAGGGACGATGATTGGAATGACTTCGATTACTGGGGCCAGGGGACCCTGGTGACAGTCTCGAGT
配列番号18(15431 VL DNA配列)
GAGATCGTGCTGACCCAGTCCCCAGCTACACTGTCCCTGTCTCCCGGCGAGCGGGCCACCCTGAGCTGTAGAGCTTCCCAGTCCGTGTCTTCCTATCTGGCTTGGTATCAGCAGAAGCCAGGACAGGCCCCAAGGCTGCTGATCTACGACGCCTCCAATAGAGCCACCGGCATCCCAGCTAGATTTTCTGGCTCCGGCTCCGGCACCGATTTCACACTGACCATCTCTAGCCTGGAGCCAGAGGATTTTGCTGTATATTACTGCCAGCAGCGCAGCAACTGGCCCCTGACATTTGGCGGCGGCACCAAGGTTGAGATCAAG
配列番号19(15431 VHタンパク質配列)
QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARDDDWNDFDYWGQGTLVTVSS
配列番号20(15431 VLタンパク質配列)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIK
【0278】
配列番号21(15572 VH DNA配列)
CAGCTGCAGCTGCAGGAAAGCGGCCCCGGCCTGGTGAAGCCCTCTGAGACCCTGTCCCTGACATGCACCGTGAGCGGCGATTCCATCAGCTCTTCCAGCTATTACTGGGGCTGGATCCGGCAGCCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCAGCATCTTCTACTCCGGCAATACATATTATAATCCTTCTCTGAAGAGCAGGGTGACAATCAGCGTGGATACCTCCAAGAATCAGTTTAGCCTGAAGCTGAGCTCCGTGACAGCTGCCGATACAGCCGTGTATTACTGCGCTAGGGAGGACGATTTTCTGACCGATTATTACGGCGCTTTCGACATCTGGGGCCAGGGGACAATGGTGACAGTCTCGAGT
配列番号22(15572 VL DNA配列)
GATATCCAGATGACCCAGTCTCCAAGCACCCTGAGCGCCTCTGTGGGCGATCGGGTGACCATCACATGTCGGGCTTCTCAGTCCATCAGCAGCTGGCTGGCTTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCAAAGCTGCTGATCTACAAGGCCTCTTCCAGCGAGAGCGGCGTGCCATCCAGGTTTAGCGGCTCCGGCTCCGGCACCGAGTTTACCCTGACCATCTCTTCCCTGCAGCCCGATGACTTTGCCACCTACTACTGTCAGCAGTACAATTCCTATCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTTGAGATCAAG
配列番号23(15572 VHタンパク質配列)
QLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGDSISSSSYYWGWIRQPPGKGLEWIGSIFYSGNTYYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAREDDFLTDYYGAFDIWGQGTMVTVSS
配列番号24(15572 VLタンパク質配列)
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQSISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSSESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYLTFGGGTKVEIK
配列番号25(15011 VH DNA配列)
GAGGTGCAGCTGCTGGAATCCGGAGGAGGACTGGTCCAGCCAGGTGGATCCCTGCGACTGAGCTGCGCCGCTTCTGGCTTCGACTTTAGAAGCTACGCAATGATGTGGGTCCGCCAGGCACCAGGAAAGGGACTGGAGTGGGTGGGAGGGATCAACGGTGAAGTCGGTGGCTCTAATACATACTATGCACCTGCCGTCAAGGGAAGGGCTACTATTAGTCGGGACAACTCAAAAAATACCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGGGCCGAGGATACCGCCGTGTACTATTGCGTGAAAGGTGCTGGCGCATGCGGCATCTGTAATGACGATATTGATGCATGGGGACAGGGGACCCTGGTGACAGTCTCGAGT
配列番号26(15011 VL DNA配列)
AGTTATGAGCTGACTCAGGACCCAGCAGTGTCAGTCGCCCTGGGCCAGACAGTGAGAATCACTTGCAGTGGGGCTGGTTCATATGCAGGCTCCTACTATTACGGATGGCACCAGCAGAAGCCCGGACAGGCACCTGTGACAGTCATCTACGACAACGATAAAAGGCCAAGCAATATTCCCGACCGGTTCTCTGGGTCCAGCTCTGGTAACACCGCCTCCCTGACCATTACTGGGGCCCAGGCTGAGGACGAAGCTGATTATTACTGTGGCTCTACAAACGATAATGACGATGGCGGACTGTTTGGCTCCGGAACTAAGGTCACCGTCCTA
配列番号27(15011 VHタンパク質配列)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFRSYAMMWVRQAPGKGLEWVGGINGEVGGSNTYYAPAVKGRATISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVKGAGACGICNDDIDAWGQGTLVTVSS
配列番号28(15011 VLタンパク質配列)
SYELTQDPAVSVALGQTVRITCSGAGSYAGSYYYGWHQQKPGQAPVTVIYDNDKRPSNIPDRFSGSSSGNTASLTITGAQAEDEADYYCGSTNDNDDGGLFGSGTKVTVL
定常領域DNAおよびタンパク質配列
配列番号29(IgHC定常領域DNA配列)
GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAAGCCGCCGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号30(IgHC定常領域タンパク質配列)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0279】
配列番号31(IgLC定常領域DNA配列)
GGCCAGCCCAAGGCCAACCCCACTGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTCCAAGCCAACAAGGCCACACTAGTGTGTCTGATCAGTGACTTCTACCCGGGAGCTGTGACAGTGGCCTGGAAGGCAGATGGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCAAACCCTCCAAACAGAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTACCTGAGCCTGACGCCCGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCA
配列番号32(IgLC定常領域タンパク質配列)
GQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
配列番号33(IgKC定常領域DNA配列)
CGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
配列番号34(IgKC定常領域タンパク質配列)
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号35(15646/15723 H-CDR1)
GGSFSGYY
配列番号36(15646 H-CDR2)
INHRGST
配列番号37(15646 H-CDR3)
CTRGEEWESLFFDYW
配列番号38(15646 L-CDR1)
QSISSY
配列番号39(15646 L-CDR2)
GAS
配列番号40(15646/15532/15723/15431 L-CDR3)
CQQRSNWPLTF
【0280】
配列番号41(15532 H-CDR1)
GESFSGYY
配列番号42(15532/15723 H-CDR2)
INHSGST
配列番号43(15532 H-CDR3)
CARGWDLLDWNDYWNEYW
配列番号44(15532/15723/15431 L-CDR1)
QSVSSY
配列番号45(15532/15431 L-CDR2)
DAS
配列番号46(15723 H-CDR3)
CARGEDWGESFFDYW
配列番号47(15723/15595 L-CDR2)
AAS
配列番号48(15595 H-CDR1)
GYSLTEIS
配列番号49(15595 H-CDR2)
FDPEDGET
配列番号50(15595 H-CDR3)
CATGGWGPNWFDPW
【0281】
配列番号51(15595 L-CDR1)
QGISSW
配列番号52(15595 L-CDR3)
CQQANSFPFTF
配列番号53(15431 H-CDR1)
GDSVSSNSA
配列番号54(15431 H-CDR2)
TYYRSKW
配列番号55(15431 H-CDR3)
CARDDDWNDFDYW
配列番号56(15572 H-CDR1)GDSISSSSYY
配列番号57(15572 H-CDR2)
IFYSGNT
配列番号58(15572 H-CDR3)
CAREDDFLTDYYGAFDIW
配列番号59(15572 L-CDR1)
QSISSW
【0282】
配列番号60(15572 L-CDR2)
KAS
配列番号61(15572 L-CDR3)
CQQYNSYLTF
配列番号62(15011 H-CDR1)
GFDFRSYA
配列番号63(15011 H-CDR2)
INGEVGGSNT
配列番号64(15011 H-CDR3)
CVKGAGACGICNDDIDAW
配列番号65(15011 L-CDR1)
GSYAGSY
配列番号66(15011 L-CDR2)
DND
配列番号67(15011 L-CDR3)
CGSTNDNDDGGLF
配列番号68(ヒトLAG-3)
MWEAQFLGLLFLQPLWVAPVKPLQPGAEVPVVWAQEGAPAQLPCSPTIPLQDLSLLRRAG
VTWQHQPDSGPPAAAPGHPLAPGPHPAAPSSWGPRPRRYTVLSVGPGGLRSGRLPLQPRV
QLDERGRQRGDFSLWLRPARRADAGEYRAAVHLRDRALSCRLRLRLGQASMTASPPGSLR
ASDWVILNCSFSRPDRPASVHWFRNRGQGRVPVRESPHHHLAESFLFLPQVSPMDSGPWG
CILTYRDGFNVSIMYNLTVLGLEPPTPLTVYAGAGSRVGLPCRLPAGVGTRSFLTAKWTP
PGGGPDLLVTGDNGDFTLRLEDVSQAQAGTYTCHIHLQEQQLNATVTLAIITVTPKSFGS
PGSLGKLLCEVTPVSGQERFVWSSLDTPSQRSFSGPWLEAQEAQLLSQPWQCQLYQGERL
LGAAVYFTELSSPGAQRSGRAPGALPAGHLLLFLILGVLSLLLLVTGAFGFHLWRRQWRP
RRFSALEQGIHPPQAQSKIEELEQEPEPEPEPEPEPEPEPEPEQL
配列番号69(カニクイザルLAG-3)
MWEAQFLGLLFLQPLWVAPVKPPQPGAEISVVWAQEGAPAQLPCSPTIPLQDLSLLRRAGVTWQHQPDSG
PPAXAPGHPPVPGHRPAAPYSWGPRPRRYTVLSVGPGGLRSGRLPLQPRVQLDERGRQRGDFSLWLRPAR
RADAGEYRATVHLRDRALSCRLRLRVGQASMTASPPGSLRTSDWVILNCSFSRPDRPASVHWFRSRGQGR
VPVQGSPHHHLAESFLFLPHVGPMDSGLWGCILTYRDGFNVSIMYNLTVLGLEPATPLTVYAGAGSRVEL
PCRLPPAVGTQSFLTAKWAPPGGGPDLLVAGDNGDFTLRLEDVSQAQAGTYICHIRLQGQQLNATVTLAI
ITVTPKSFGSPGSLGKLLCEVTPASGQEHFVWSPLNTPSQRSFSGPWLEAQEAQLLSQPWQCQLHQGERL
LGAAVYFTELSSPGAQRSGRAPGALRAGHLPLFLILGVLFLLLLVTGAFGFHLWRRQWRPRRFSALEQGI
HPPQAQSKIEELEQEPELEPEPELERELGPEPEPGPEPEPEQL
配列番号70(ラットLAG-3)
MRQDLFLDLLLLQLLWEAPVVSSGPGKELSVVWAQEGAPVHLPCSLEFPHLDPNFLRRGW
VTWQHRPDSDQPASIPALDLLQGMPSTRRHPPHRYTVLSVAPGGLRSGRQPLLSHVQLEK
RGPQRGDFSLWLRPATRKDAGEYHAFVRLPDRDFSCSLRLRVGQASMIASPPGTLKPSDW
VILNCSFSRPDRPVSVHWFQGQSRVPVHNSPRHYLAESFLLLPQVSPLDSGTWGCVLTYR
DGFNVSITYNLKVQGLEPVAPLTVYAAEGSRVELPCHLPPVVGTPSLLIAKWTPPGGGPE
LPVTGKSGNFTLQLENVGRAQAGTYTCSIHLQGRQLSAAVTLAVITVTPKSFGLPGSPQK
LLCEVVPASGEGRFVWRPLSDLSRSSLGPVLELQEAKLLAEQWQCQLYEGQKLLGATVYT
AESSSGAWSAKRISGDLKGGHLFLSLILGALALFLLVTGAFGFHLWRRQLLRRRFSALEH
GIRPPPVQSKIEELEREPETEMEPETEPDPEPQPEPELEPESRQL
【0283】
配列番号71(イヌLAG-3)
MWEVQFLVLLLLQLLWVAPVAAPGSGTEVQVVWAQEGAPVQLPCSPTIPLQDVSLLRNAG
VTWYHLPESGPAAPALSLRPAAPSARGPGPRSYVVLMRAPGGLRSGLVPTVNALALNSPG
PTRFSLALQTVISLPHSWLFPGPSSLPGQPLASCWPSPHVGVGCVCEHPPFIHLTLLPAR
QSPLLFLLPSLQPQCSASLYLSLSASTLASSFPGLEPSGPLTVYTGAGSRVGLPCRLPPG
VGTQSFLTAKWTPPGGGPDLLVAGDDGNFTLQLEVVNQAQAGTYTCHIHLQGQQLSTTVT
LAVITVTPKSSGLPGNLRKLLCEVTPASGQERFVWSPLDKQSWRGSPGPCLEMQETRLLS
QPWQCHVYQAERLLGTAVYLIDPAGPGAQRSGRAQGVLKTGHLSLLLILGILFLLLLMTG
AFGFQLWRRQWRPRRFSALELGTHPPQAQSKIGELEQEPELELEPEPELEPEPEPE
配列番号72(マウスLAG-3)
MREDLLLGFLLLGLLWEAPVVSSGPGKELPVVWAQEGAPVHLPCSLKSPNLDPNFLRRGG
VIWQHQPDSGQPTPIPALDLHQGMPSPRQPAPGRYTVLSVAPGGLRSGRQPLHPHVQLEE
RGLQRGDFSLWLRPALRTDAGEYHATVRLPNRALSCSLRLRVGQASMIASPSGVLKLSDW
VLLNCSFSRPDRPVSVHWFQGQNRVPVYNSPRHFLAETFLLLPQVSPLDSGTWGCVLTYR
DGFNVSITYNLKVLGLEPVAPLTVYAAEGSRVELPCHLPPGVGTPSLLIAKWTPPGGGPE
LPVAGKSGNFTLHLEAVGLAQAGTYTCSIHLQGQQLNATVTLAVITVTPKSFGLPGSRGK
LLCEVTPASGKERFVWRPLNNLSRSCPGPVLEIQEARLLAERWQCQLYEGQRLLGATVYA
AESSSGAHSARRISGDLKGGHLVLVLILGALSLFLLVAGAFGFHWWRKQLLLRRFSALEH
GIQPFPAQRKIEELERELETEMGQEPEPEPEPQLEPEPRQL