(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027209
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物および有機発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 209/86 20060101AFI20230221BHJP
C07D 403/10 20060101ALI20230221BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20230221BHJP
C07D 407/14 20060101ALI20230221BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20230221BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20230221BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20230221BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20230221BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230221BHJP
C07D 251/24 20060101ALI20230221BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C07D209/86
C07D403/10 CSP
C07D409/14
C07D407/14
C07D487/04 137
C07D491/048
C07D495/04 103
C07D495/04 105Z
C07D401/12
C07D471/04 112T
C07D251/24
C09K11/06 690
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022196082
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2020570470の分割
【原出願日】2019-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0070358
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】パク,ゴン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,スン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウィ-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヘテロ環化合物、およびこれを含む有機発光素子を提供する。
【解決手段】化学式1で表されるヘテロ環化合物(式中、L
1およびL
2は、直接結合;置換/非置換のアリーレン基;または置換/非置換のヘテロアリーレン基であり、Ar
1は、置換/非置換のアルキル基;置換/非置換のアリール基;置換/非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;または-P(=O)RR’であり、X
1は、CR
xであり、X
2は、CR
yである)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるヘテロ環化合物:
【化1】
前記化学式1において、
L
1およびL
2は、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Ar
1は、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;または-P(=O)RR’であり、
X
1は、CR
xであり、
X
2は、CR
yであり、
前記R
xおよびR
yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して直接結合を形成し、
R
1~R
8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成し、
R
9およびR
10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択され、
前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
pは、0~8の整数であり、
qは、0~2の整数であり、
mおよびnは、0~5の整数であり、
p、q、mおよびnがそれぞれ2以上の整数の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式3または4で表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化2】
【化3】
前記化学式3および4において、
R
1~R
10、Ar
1、L
1およびL
2、p、qおよびmの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
R
mおよびR
nは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【請求項3】
「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル;C3~C60の単環もしくは多環のシクロアルキル;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環もしくは多環のアリール;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリール;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環もしくは多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールアミンからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味し、
前記R、R’およびR”の定義は、前記化学式1における定義と同じである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項4】
前記L1およびL2は、直接結合;C6~C40のアリーレン基;またはC2~C40のヘテロアリーレン基である、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項5】
前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロ環を形成するものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項6】
前記Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;または-SiRR’R”であり、
前記R、R’およびR”の定義は、前記化学式1における定義と同じである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項7】
前記化学式1は、下記化学式5または化学式6で表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化4】
【化5】
前記化学式5および6において、
L
1、L
2、Ar
1、R
1~R
10、X
1、X
2、p、q、mおよびnの定義は、前記化学式1における定義と同じである。
【請求項8】
前記化学式1は、下記の化合物のいずれか1つで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化6】
【請求項9】
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~8のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
【請求項10】
前記ヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を追加的に含むものである、請求項9に記載の有機発光素子:
【化7】
前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiR
101R
102R
103;-P(=O)R
101R
102;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成し、
R
101、R
102、およびR
103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
rおよびsは、0~7の整数である。
【請求項11】
前記化学式2は、下記のヘテロ環化合物のいずれか1つで表されるものである、請求項10に記載の有機発光素子:
【化8】
【請求項12】
前記RcおよびRdは、水素である、請求項10に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC6~C40のヘテロアリール基である、請求項10に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホスト物質を含み、前記ホスト物質は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含むものである、請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物、および下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物:
【化9】
前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiR
101R
102R
103;-P(=O)R
101R
102;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成し、
R
101、R
102、およびR
103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
rおよびsは、0~7の整数であり、
rおよびsがそれぞれ2以上の整数の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【請求項18】
前記組成物内の前記ヘテロ環化合物:前記化学式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は、1:10~10:1である、請求項17に記載の有機発光素子の有機物層用組成物。
【請求項19】
基板を用意するステップと、
前記基板上に第1電極を形成するステップと、
前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、
前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、
前記有機物層を形成するステップは、請求項17に記載の有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記有機物層を形成するステップは、前記化学式1のヘテロ環化合物、および前記化学式2のヘテロ環化合物を予備混合(pre-mixed)して、熱真空蒸着方法を利用して形成するものである、請求項19に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年6月19日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0070358号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いという利点がある。
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置させた構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて、単層または多層から構成される。
有機薄膜の材料は、必要に応じて、発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、その製造方法および有機物層用組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
L
1およびL
2は、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Ar
1は、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;または-P(=O)RR’であり、
X
1は、CR
xであり、
X
2は、CR
yであり、
前記R
xおよびR
yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して直接結合を形成し、
R
1~R
8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成し、
R
9およびR
10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択され、
R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
pは、0~8の整数であり、
qは、0~2の整数であり、
mおよびnは、0~5の整数であり、
p、q、mおよびnがそれぞれ2以上の整数の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
また、本出願の一実施態様において、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0005】
さらに、本出願の一実施態様は、前記化学式1のヘテロ環化合物を含む有機物層が、下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を追加的に含む有機発光素子を提供する。
【化2】
前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiR
101R
102R
103;-P(=O)R
101R
102;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成し、
R
101、R
102、およびR
103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
rおよびsは、0~7の整数である。
【0006】
また、本出願の他の実施態様は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0007】
最後に、本出願の一実施態様は、基板を用意するステップと、前記基板上に第1電極を形成するステップと、前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、前記有機物層を形成するステップは、本出願の一実施態様に係る有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物が有機発光素子の発光層材料として使用可能である。
具体的には、前記化合物は、単独で発光材料として使用されてもよく、発光層のホスト材料またはドーパント材料として使用されてもよい。前記化学式1で表される化合物を有機物層に用いる場合、素子の駆動電圧を低下させ、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって素子の寿命特性を向上させることができる。
【0009】
特に、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、同時に有機発光素子の発光層の材料として使用可能である。この場合、素子の駆動電圧を低下させ、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって素子の寿命特性を特に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本出願について詳しく説明する。
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0012】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
【0013】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、さらに具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0014】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。
【0016】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子として、O、S、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0019】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、さらに具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0020】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化3】
などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子として、S、O、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0023】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH2;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択され、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0025】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環におけるオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環における同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈される。
【0027】
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0028】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル;C3~C60の単環もしくは多環のシクロアルキル;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環もしくは多環のアリール;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリール;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環もしくは多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールアミンからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0029】
本出願の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0030】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式3または4で表されてもよい。
【化4】
【化5】
前記化学式3および4において、
R
1~R
10、Ar
1、L
1およびL
2、p、qおよびmの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
R
mおよびR
nは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0031】
本出願の一実施態様において、前記RmおよびRnは、水素であってもよい。
【0032】
本出願の一実施態様において、RxおよびRyは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して直接結合を形成してもよい。
【0033】
他の実施態様において、前記RxおよびRyは、水素であるか、互いに結合して直接結合を形成してもよい。
【0034】
本出願の一実施態様において、前記L1およびL2は、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0035】
他の実施態様において、前記L1およびL2は、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0036】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0037】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、直接結合;C6~C40のアリーレン基;またはC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0038】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、直接結合;C6~C20のアリーレン基;またはC2~C20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0039】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;または2価のピリジン基であってもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記L2は、直接結合であってもよい。
【0041】
本出願の一実施態様において、前記R9およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択される。
【0042】
他の実施態様において、前記R9およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0043】
さらに他の実施態様において、前記R9およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0044】
さらに他の実施態様において、前記R9およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素であってもよい。
【0045】
本出願の一実施態様において、前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成してもよい。
【0046】
他の実施態様において、前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成してもよい。
【0047】
さらに他の実施態様において、前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成してもよい。
【0048】
さらに他の実施態様において、前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロ環を形成してもよい。
【0049】
さらに他の実施態様において、前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1~C40のアルキル基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;C6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;およびC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC1~C40のアルキル基で置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環またはC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロ環を形成してもよい。
【0050】
さらに他の実施態様において、前記R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;ナフチル基;トリフェニレニル基;ジメチルフルオレニル基;ジベンゾチオフェン基;ジベンゾフラン基;フェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;フェニル基で置換もしくは非置換のベンゾ[c]カルバゾール基;ジフェニルアミン基;およびジビフェニルアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してベンゼン環;メチル基で置換もしくは非置換のインデン環;フェニル基で置換もしくは非置換のインドール環;ベンゾフラン環;またはベンゾチオフェン環を形成してもよい。
【0051】
本出願の一実施態様において、前記Ar1は、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiRR’R”;または-P(=O)RR’であってもよい。
【0052】
他の実施態様において、前記Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;または-SiRR’R”であってもよい。
【0053】
さらに他の実施態様において、前記Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;または-SiRR’R”であってもよい。
【0054】
さらに他の実施態様において、前記Ar1は、C6~C40のアルキル基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;C6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;または-SiRR’R”であってもよい。
【0055】
さらに他の実施態様において、前記Ar1は、フェニル基;ジメチルフルオレニル基;トリフェニレニル基;フェニル基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジメチルフルオレン基、トリフェニレニル基、ジベンゾチオフェン基、およびジベンゾフラン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェナントロリン基;フェニル基で置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基;フェニル基で置換もしくは非置換のキノール基;フェニル基で置換もしくは非置換のキナゾリン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基で置換もしくは非置換のベンゾ[4.5]チエノ[3,2-d]ピリミジン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン基であってもよい。
【0056】
本出願の一実施態様において、前記Ar1は、-CNまたはメチル基でさらに置換されていてもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0058】
他の実施態様において、前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基であってもよい。
【0059】
さらに他の実施態様において、前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0060】
さらに他の実施態様において、前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0061】
さらに他の実施態様において、前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C40のアリール基であってもよい。
【0062】
さらに他の実施態様において、前記R、R’およびR”は、フェニル基であってもよい。
【0063】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式5または6で表されてもよい。
【化6】
【化7】
前記化学式5および6において、
L
1、L
2、Ar
1、R
1~R
10、X
1、X
2、p、q、mおよびnの定義は、前記化学式1における定義と同じである。
【0064】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式7~12のいずれか1つで表されてもよい。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
前記化学式7~12において、
L
1、L
2、Ar
1、R
1~R
10、X
1、X
2、p、q、mおよびnの定義は、前記化学式1における定義と同じである。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記の化合物のいずれか1つで表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化14】
【0066】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に使用される置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求する条件を満たす物質を合成することができる。
【0067】
さらに、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細調節可能にし、一方で、有機物の間における界面での特性を向上させ、物質の用途を多様化することができる。
【0068】
一方、前記化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高くて熱的安定性に優れている。このような熱的安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因になる。
【0069】
また、本出願の一実施態様において、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0070】
本出願の一実施態様において、前記第1電極は、陽極であってもよく、前記第2電極は、陰極であってもよい。
【0071】
他の実施態様において、前記第1電極は、陰極であってもよく、前記第2電極は、陽極であってもよい。
【0072】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は、前述したものと同じである。
【0073】
本発明の有機発光素子は、前述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造できる。
【0074】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法のみならず、溶液塗布法によって有機物層に形成される。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0075】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機物層を含んでもよい。
【0076】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を追加的に含む有機発光素子を提供する。
【化15】
前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;-SiR
101R
102R
103;-P(=O)R
101R
102;および置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のヘテロ環を形成し、
R
101、R
102、およびR
103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
rおよびsは、0~7の整数である。
【0077】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2のRcおよびRdは、水素であってもよい。
【0078】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0079】
他の実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC6~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0080】
さらに他の実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基、C6~C40のアリール基、-CN、および-SiR101R102R103からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;またはC6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0081】
さらに他の実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基、-CN、または-SiR101R102R103で置換もしくは非置換のフェニル基;フェニル基で置換もしくは非置換のビフェニル基;ナフチル基;メチル基またはフェニル基で置換もしくは非置換のフルオレン基;スピロビフルオレン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジメチルフルオレン基、ジベンゾチオフェン基、およびジベンゾフラン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のトリフェニレン基であってもよい。
【0082】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2のR101、R102、およびR103は、フェニル基であってもよい。
【0083】
前記化学式1の化合物および前記化学式2の化合物を有機発光素子の有機物層に含む場合、より優れた効率および寿命効果を奏する。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキサイプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。
【0084】
前記エキサイプレックス(exciplex)現象は、2分子間の電子交換によりdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)のLUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。2分子間のエキサイプレックス(exciplex)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これによって蛍光の内部量子効率が100%まで上昇できる。正孔輸送能力が良いdonor(p-host)と電子輸送能力が良いacceptor(n-host)が発光層のホストとして使用される場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を低下させることができ、それによって寿命向上に役立つことができる。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記化学式2は、下記化学式13~20のいずれか1つで表されてもよい。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
前記化学式13~20において、
Ra、Rb、Rc、Rd、rおよびsの定義は、前記化学式2における定義と同じである。
【0086】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2は、下記のヘテロ環化合物のいずれか1つで表されてもよい。
【化24】
【0087】
また、本出願の他の実施態様は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は、前述したものと同じである。
【0088】
前記組成物内の前記化学式1で表されるヘテロ環化合物:前記化学式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は、1:10~10:1であってもよく、1:8~8:1であってもよく、1:5~5:1であってもよいし、1:2~2:1であってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0089】
前記組成物は、有機発光素子の有機物の形成時に用いることができ、特に発光層のホストの形成時により好ましく利用可能である。
【0090】
本出願の一実施態様において、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含み、燐光ドーパントと共に使用可能である。
【0091】
本出願の一実施態様において、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含み、イリジウム系ドーパントと共に使用可能である。
【0092】
前記燐光ドーパント材料としては、当技術分野で知られているものを使用することができる。
【0093】
例えば、LL’MX’、LL’L”M、LMX’X”、L2MX’およびL3Mで表される燐光ドーパント材料を使用することができるが、これらの例によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0094】
ここで、L、L’、L”、X’およびX”は、互いに異なる二座配位子であり、Mは、八面体錯体を形成する金属である。
【0095】
Mは、イリジウム、白金、オスミウムなどになってもよい。
【0096】
Lは、sp2炭素およびヘテロ原子によって前記イリジウム系ドーパントとしてMに配位される陰イオン性二座配位子であり、Xは、電子または正孔をトラップする機能を果たすことができる。Lの非限定的な例としては、2-(1-ナフチル)ベンゾオキサゾール、(2-フェニルベンゾオキサゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(7,8-ベンゾキノリン)、(チオフェン基ピリジン)、フェニルピリジン、ベンゾチオフェン基ピリジン、3-メトキシ-2-フェニルピリジン、チオフェン基ピリジン、トリルピリジンなどがある。X’およびX”の非限定的な例としては、アセチルアセトネート(acac)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、ピコリネート、8-ヒドロキシキノリネートなどがある。
【0097】
さらなる具体例を下記に表すが、これらの例のみに限定されるものではない。
【化25】
【0098】
本出願の一実施態様において、前記イリジウム系ドーパントとしては、緑色燐光ドーパントとしてIr(ppy)3が使用できる。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記ドーパントの含有量は、発光層全体を基準として、1%~15%、好ましくは3%~10%、さらに好ましくは5%~10%の含有量を有することができる。
【0100】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子注入層または電子輸送層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0101】
他の有機発光素子において、前記有機物層は、電子阻止層または正孔阻止層を含み、前記電子阻止層または正孔阻止層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0102】
さらに他の有機発光素子において、前記有機物層は、電子輸送層、発光層、または正孔阻止層を含み、前記電子輸送層、発光層、または正孔阻止層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0103】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロック層、および正孔ブロック層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0104】
図1~3に本出願の一実施態様に係る有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したわけではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用可能である。
【0105】
図1によれば、基板100上に、陽極200、有機物層300、および陰極400が順次に積層された有機発光素子が示される。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、
図2のように、基板上に、陰極、有機物層、および陽極が順次に積層された有機発光素子が実現されてもよい。
【0106】
図3は、有機物層が多層の場合を例示する図である。
図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて、発光層を除いた残りの層は省略されてもよく、必要な他の機能層がさらに追加されてもよい。
【0107】
本出願の一実施態様において、基板を用意するステップと、前記基板上に第1電極を形成するステップと、前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、前記有機物層を形成するステップは、本出願の一実施態様に係る有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【0108】
本出願の一実施態様において、前記有機物層を形成するステップは、前記化学式1のヘテロ環化合物、および前記化学式2のヘテロ環化合物を予備混合(pre-mixed)して、熱真空蒸着方法を利用して形成する有機発光素子の製造方法を提供する。
【0109】
前記予備混合(pre-mixed)は、前記化学式1のヘテロ環化合物、および前記化学式2のヘテロ環化合物を有機物層に蒸着する前に、まず材料を混ぜて1つの供源に入れて混合することを意味する。
【0110】
予備混合された材料は、本出願の一実施態様に係る有機物層用組成物と言及される。
【0111】
前記化学式1を含む有機物層は、必要に応じて、他の物質を追加的に含んでもよい。
【0112】
前記化学式1および前記化学式2を同時に含む有機物層は、必要に応じて、他の物質を追加的に含んでもよい。
【0113】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1または前記化学式2の化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料に代替可能である。
【0114】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属、または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0115】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物、または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0116】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)、またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))などを使用することができる。
【0117】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが使用可能であり、低分子または高分子材料が使用されてもよい。
【0118】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用可能であり、低分子物質のみならず、高分子物質が使用されてもよい。
【0119】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0120】
発光材料としては、赤色、緑色、または青色発光材料が使用可能であり、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。この時、2以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することができる。また、発光材料として蛍光材料を使用してもよいが、燐光材料として使用してもよい。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0121】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系のホストを混合して使用してもよく、異なる系のホストを混合して使用してもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として使用可能である。
【0122】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0123】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても有機発光素子に適用されるのと類似の原理で作用できる。
【実施例0124】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳しく説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0125】
【0126】
1)化合物1-1-4の製造
(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ボロン酸((2-chloro-4-fluorophenyl)boronic acid)10.0g(57.4mM)、2,2’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル(2,2’-dibromo-1,1’-biphenyl)19.7g(63.1mM)、Pd(PPh3)4 3.3g(2.9mM)、K2CO3 15.9g(114.8mM)を1,4-dioxane/H2O200mL/40mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:10)で精製して、目的化合物1-1-4 16.6g(80%)を得た。
【0127】
2)化合物1-1-3の製造
化合物1-1-4 10g(27.7mM)、Pd(OAc)2 622mg(2.8mM)、PCy3・HBF4 2.0g(5.5mM)、K2CO3 7.7g(55.4mM)をDMA100mLに溶かした後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:10)で精製して、目的化合物1-1-3 6.5g(83%)を得た。
【0128】
3)化合物1-1-2の製造
化合物1-1-3 6.0g(21.4mM)、9H-カルバゾール(9H-carbazole)3.6g(21.4mM)、K2CO3 5.9g(42.8mM)をDMF100mLに溶かした後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1-1-2 8.2g(90%)を得た。
【0129】
4)化合物1-1-1の製造
化合物1-1-2 8.2g(19.2mM)、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)7.3g(28.8mM)、PdCl2(dppf)0.7g(0.9mM)、KOAc5.6g(57.3mM)を1,4-dioxane100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1-1-1 8.5g(85%)を得た。
【0130】
5)化合物1-1の製造
化合物1-1-1 8.4g(16.1mM)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)4.7g(17.7mM)、Pd(PPh3)4 0.9g(0.8mM)、K2CO3 4.5g(32.3mM)を1,4-dioxane/H2O200/40mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1-1 8.2g(82%)を得た。
【0131】
前記製造例1において、9H-カルバゾール(9H-carbazole)の代わりに下記表1の中間体Aを用い、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表1の中間体Bを用いたことを除き、製造例1の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0132】
【0133】
前記製造例1において、(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ボロン酸((2-chloro-4-fluorophenyl)boronic acid)の代わりに(4-クロロ-2-フルオロフェニル)ボロン酸((4-chloro-2-fluorophenyl)boronic acid)を用い、9H-カルバゾール(9H-carbazole)の代わりに下記表2の中間体Aを用い、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表2の中間体Bを用いたことを除き、製造例1の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0134】
【0135】
【0136】
1)化合物3-3の製造
3-ブロモ-1,1’-ビフェニル3.7g(15.8mM)、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール6.5g(15.8mM)、CuI3.0g(15.8mM)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、K3PO4 3.3g(31.6mM)を1,4-オキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物3-3 7.5g(85%)を得た。
【0137】
前記製造例2において、3-ブロモ-1,1’-ビフェニルの代わりに下記表3の中間体Aを用い、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾールの代わりに下記表3の中間体Bを用いたことを除き、製造例2の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0138】
【0139】
【0140】
1)化合物4-2-2の製造
2-ブロモジベンゾ[b,d]チオフェン4.2g(15.8mM)、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール6.5g(15.8mM)、CuI3.0g(15.8mM)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、K3PO4 3.3g(31.6mM)を1,4-オキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物4-2-2 7.9g(85%)を得た。
【0141】
2)化合物4-2-1の製造
化合物4-2-2 8.4g(14.3mmol)とTHF100mLを入れた混合溶液を-78℃で2.5M n-BuLi7.4mL(18.6mmol)を滴加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物にトリメチルボレート4.8mL(42.9mmol)を滴加し、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:3)で精製し、DCMで再結晶して、目的化合物4-2-1 3.9g(70%)を得た。
【0142】
3)化合物4-2の製造
化合物4-2-1 6.7g(10.5mM)、ヨードベンゼン2.1g(10.5mM)、Pd(PPh3)4 606mg(0.52mM)、K2CO3 2.9g(21.0mM)をトルエン/EtOH/H2O100/20/20mLに溶かした後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物4-2 4.9g(70%)を得た。
【0143】
<製造例4>化合物4-3の合成
前記製造例3において、ヨードベンゼンの代わりに4-ヨード-1,1’-ビフェニルを用いたことを除き、化合物2-2の製造と同様の方法で製造して、目的化合物4-3(83%)を得た。
【0144】
前記製造例1~製造例4および表1~3に記載の化合物以外の残りの化合物も、前述した製造例に記載の方法と同様に製造した。
【0145】
下記表4および表5は、合成された化合物の1H NMR資料およびFD-MS資料であり、下記の資料により、目的の化合物が合成されたことを確認することができる。
【0146】
【0147】
【0148】
<実験例1>-有機発光素子の作製
1,500Åの厚さにITO(Indium tin oxide)が薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV(Ultraviolet)洗浄機でUVを用いて5分間UVO(Ultraviolet ozone)処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0149】
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストとして下記表6に記載の化学式1の化合物を400Å蒸着し、緑色燐光ドーパントはIr(ppy)3を発光層の蒸着厚さの7%ドーピングして蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCP(bathocuproine)を60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
【0150】
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとにそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLEDの作製に使用した。
【0151】
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/m2の時の、T90を測定した。
【0152】
本発明により製造された有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表6の通りであった。
【0153】
【0154】
<実験例2>-有機発光素子の作製
1,500Åの厚さにITO(Indium tin oxide)が薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV(Ultraviolet)洗浄機でUVを用いて5分間UVO(Ultraviolet ozone)処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0155】
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、下記表7に記載のように、ホストとして下記表7に記載の化学式1の化合物のうちの1種と、下記表7に記載の化学式2の化合物のうちの1種とをpre-mixedして予備混合後、1つの供源で400Å蒸着し、緑色燐光ドーパントとしてIr(ppy)3を発光層の蒸着厚さの7%の量でドーピングして蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCP(bathocuproine)を60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
【0156】
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとにそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLEDの作製に使用した。
【0157】
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/m2の時の、T90を測定した。
【0158】
本発明により製造された有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表7の通りであった。
【0159】
【0160】
前記表6の結果から分かるように、本発明の有機電界発光素子の発光層材料を用いた有機電界発光素子は、比較例1~12に比べて、駆動電圧が低く、発光効率が向上しただけでなく、寿命も著しく改善された。
【0161】
表7の結果をみると、化学式1の化合物および化学式2の化合物を同時に含む場合、より優れた効率および寿命効果を奏する。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキサイプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。
【0162】
前記エキサイプレックス(exciplex)現象は、2分子間の電子交換によりdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)のLUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。2分子間のエキサイプレックス(exciplex)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これによって蛍光の内部量子効率が100%まで上昇できる。正孔輸送能力が良いdonor(p-host)と電子輸送能力が良いacceptor(n-host)が発光層のホストとして用いられる場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を低下させることができ、それによって寿命向上に役立つことができる。本願発明では、donorの役割は前記化学式2の化合物、acceptorの役割は前記化学式1の化合物が発光層ホストとして用いられた場合に、優れた素子特性を示すことを確認することができた。
【0163】
前記表6の結果から、前記Ref.1および3の化合物のようにトリフェニレン基にカルバゾール系の置換基がない場合には、正孔移動度が下がり、発光層で正孔と電子とのバランスが崩れて寿命が低下することを確認することができ、前記Ref.2および4の化合物のようにトリフェニレン基にトリアジンがない場合には、電子移動度が下がり、発光層で正孔と電子とのバランスが崩れて寿命が低下することを確認することができた。
【0164】
前記Ref.5および6の化合物は、本発明の化合物と置換基は同じであるが、置換の位置が異なる。この化合物はLUMOオービタルがトリアジンからトリフェニレンまで非偏在化した。これは、本願の化合物1-1および2-1のLUMOオービタルがトリフェニレンに偏在化していることより、電子の安定化と電子移動度を減少させて寿命が低下することを確認することができた。
【0165】
本発明の化合物1-1および2-1の置換基は、互いにメタ(meta)位に結合している。オルト(ortho)位に結合した化合物は、2つの置換基の間のsteric effectによって分子の安定性が低くなって寿命低下の原因になり、パラ(para)位に結合した化合物は、2つの置換基の間のcharge transferが活発化してバンドギャップが狭くなり、T1 stateが低くなって効率の低下をもたらす。
【0166】
本願の化合物1-86および1-117、2-86および2-100は、ホール移動度の性格を有する物質であって、トリフェニレンに1つ以上のカルバゾールおよびアミン置換基を有する。化合物1-86および1-100、2-86および2-100は、トリフェニレンを中心としてビスカルバゾール置換基とアリール基、ヘテロアリール基、-SiRR’Rで置換されている。これは、トリフェニレンに偏在化しているLUMOオービタルをアリール基、ヘテロアリール基、-SiRR’Rに非偏在化させ、電子の安定性を高める。本願の化合物1-101、1-113、1-114および1-115は、2つの置換基ともホール移動度の特性を有する置換基を導入してホール移動度を向上させたものであり、本願の化合物1-116および1-117は、アミン置換基を用いてカルバゾール基を用いた場合より、ホール移動度を向上させたものである。
「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル;C3~C60の単環もしくは多環のシクロアルキル;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環もしくは多環のアリール;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリール;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環もしくは多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールアミンからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか;前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味し、
前記R、R’およびR”の定義は、前記化学式7~9,11及び12における定義と同じである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~6のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
前記RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC6~C40のヘテロアリール基である、請求項8に記載の有機発光素子。
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。