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特開2023-27283注入ヘッドおよびそれを備える薬液注入装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027283
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】注入ヘッドおよびそれを備える薬液注入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61M5/14 582
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199985
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2019555373の分割
【原出願日】2018-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2017226350
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391039313
【氏名又は名称】株式会社根本杏林堂
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】根本 茂
(72)【発明者】
【氏名】吹越 由美子
(72)【発明者】
【氏名】金高 利雄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 康史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作者が、注入前にシリンジ内の気泡混入状態を良好に確認することができる注入ヘッドおよび薬液注入装置を提供する。
【解決手段】薬液注入ヘッド110は、a:円筒状のシリンダ部材にピストン部材がスライド自在に挿入されたシリンジを保持するシリンジ保持部と、b:上記シリンジのピストン部材を移動させるためラム部材131を有するピストン駆動機構と、c:第1の色で発光し上記シリンジを照らす第1の発光部133aおよび第2の色で発光し上記シリンジを照らす第2の発光部133bとを備え、第1の発光部133aおよび第2の発光部133bは、注入ヘッドの使用時姿勢で見て、上記ラム部材131よりも上方に設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のディスプレイと、
第1の薬液が充填された第1の薬液収納体および第2の薬液が充填された第2の薬液収納体から薬液を押し出す装置における注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースの情報を保持した制御装置と、
を備える注入条件設定システムであって、
前記グラフィカルユーザインターフェースは、
第1の薬液と第2の薬液との混和条件に関する情報を示す表示部と、
混和条件を変更するためのウィンドウであって、操作者が入力を行うための入力ボタン画像と、混和の方式を選択するための複数の混和方式設定ボタンとを含むウィンドウと、
を含む、注入条件設定システム。
【請求項2】
前記複数の混和方式設定ボタンとして、
倍率方式ボタン、割合方式ボタン、および比率方式ボタンのうち少なくとも2つが表示される、
請求項1に記載の注入条件設定システム。
【請求項3】
操作者が入力を行うための前記入力ボタン画像がテンキーである、請求項1または2に記載の注入条件設定システム。
【請求項4】
前記第1の薬液収納体が第1のシリンジであり、
前記第2の薬液収納体が第2のシリンジである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の注入条件設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に造影剤などの薬液を注入する注入ヘッドおよび薬液注入装置に関し、特には、操作者が、注入前にシリンジ内の気泡混入状態を良好に確認することができる注入ヘッドおよび薬液注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の画像診断装置として、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等が知られている。このような撮像装置を使用する際、患者に造影剤や生理食塩水など(以下、これらを単に「薬液」とも言う)を注入することがある。
【0003】
薬液を自動注入する装置としては従来、種々のものが知られている。装置の構成や性能は、その装置がどのような検査で使用されるか(換言すれば、どのような種類の撮像装置とともに使用されるか)等によって異なっているが、血管造影用の薬液注入装置としては例えば特許文献1のようなものが知られている。血管造影検査は、通常、細いカテーテルと呼ばれる中空の管を血管内に導入し、目的の血管対象部付近にカテーテルの先端を位置させた後、造影剤等を血管内に流し、撮影を行うというものである。これにより造影された血管がディスプレイ等に映し出され、医師はその画像を見ながら診断および治療を行う。血管造影検査は、細いカテーテルを通じて薬液の注入が行われるものであるので、注入圧力が非常に高くなるという特徴があり、この点がCT検査用の薬液注入装置やMR検査用の薬液注入装置との大きな違いの1つとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5586310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、血管造影検査では、薬液注入装置に空のシリンジをセットし、院内で必要量の造影剤をシリンジ内に吸引して注入を行うのが一般的である。薬液の注入においては、被検者側へ気泡が送り込まれないように、注入前にシリンジ内の気泡混入状態が良好に確認できるようになっていることが望ましい。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作者が、注入前にシリンジ内の気泡混入状態を良好に確認することができる注入ヘッドおよびそれを備えた薬液注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一形態による発明は、下記の通りである:
a:円筒状のシリンダ部材にピストン部材がスライド自在に挿入されたシリンジを保持するシリンジ保持部と、
b:前記シリンジのピストン部材を移動させるためラム部材を有するピストン駆動機構と、
c:第1の色で発光し前記シリンジを照らす第1の発光部および第2の色で発光し前記シリンジを照らす第2の発光部と、
を備える注入ヘッドであって、
第1の発光部および第2の発光部は、注入ヘッドの使用時姿勢で見て、前記ラム部材よりも上方(正面側から見てラム部材の中心点よりも上方をいう)に設けられている、注入ヘッド。
・「注入ヘッドの使用時姿勢」とは、注入ヘッドにセットされたシリンジの先端側が後端側と同じ高さまたはそれより低くなるような姿勢のことをいう。
【0008】
(用語の説明)
・「薬液注入装置」とは、薬液を注入する薬液注入装置のことをいい、本明細書では、少なくとも造影剤(特には血管造影に用いられる造影剤)を注入する装置のことをいう。薬液注入装置は、カテーテルを通じて薬液を注入するものであってもよい。薬液注入装置は、次の構成要素(一部または全部)を備えていてもよい:1つまたは複数のピストン駆動機構、1つまたは複数の制御回路(制御部等であってもよい)、1つまたは複数のヘッドディスプレイおよび1つまたは複数のディスプレイ。薬液注入装置が注入ヘッドおよびコンソール等を備える場合には、(a)注入ヘッドにピストン駆動機構およびヘッドディスプレイが備えられ、コンソールに制御部とディスプレイとが備えられてもよい。(b)注入ヘッドとコンソールの双方に制御部が設けられもよい。この形態の一例としては、注入ヘッドの内部に制御回路が配置され、コンソール内にも他の制御回路が配置されるようなものが挙げられる。
【0009】
・「薬液」とは、例えば、造影剤、生理食塩水、所定の薬剤、またはそれらを混合したものをいう。
・「接続」-本明細書において、所定の機器と他の機器とが接続されていると言った場合には、有線接続または無線接続のいずれの形態であってもよい。また、機器どうしが互いに直接接続されているものに加え、他の要素を介して間接的に接続されている場合も含む。
【0010】
・「造影剤」の具体例としては、(i)ヨード濃度240mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度3.3mPa・s、比重1.268~1.296)、(ii)ヨード濃度300mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度6.1mPa・s、比重1.335~1.371)、(ii)ヨード濃度350mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度10.6mPa・s、比重1.392~1.433)、等がある。なお、ヨード濃度が370mg/mlまたはそれ以上の造影剤も利用可能である。
・「生理食塩水」の生理食塩水の具体例としては、生理食塩水20mL中に塩化ナトリウム180mgを含有した生理食塩水(例えば、20℃において粘度0.9595mPa・s、比重1.004~1.006)等がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作者が、注入前にシリンジ内の気泡混入状態を良好に確認することができる注入ヘッドおよびそれを備えた薬液注入装置を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一形態の実施形態の薬液注入装置を含むシステムの構成例を示す模式図である。
図2】注入ヘッドの一例を示す斜視図である。
図3】シリンジおよびそれに装着される保護カバーの斜視図である。
図4】薬液中入装置の各部構成を模式的に示すブロック図である。
図5】注入ヘッド前端部を示す斜視図である。
図6】注入ヘッド前端部を示す正面図である。
図7】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(初期画面)。
図8】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(身体区分の1つを選んだ状態)。
図9】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(撮像部位の1つを選んだ状態)。
図10】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(スタンバイ状態)。
図11】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(スタートOK状態)。
図12】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(希釈倍率の変更)。
図13】薬液注入中の画面の一例である。
図14】注入が一時的に停止されている状態の画面の一例である。
図15】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースである(撮像部位の変更)。
図16】撮像部位のアイコンの一例である。
図17】ディスプレイに表示される画像を意匠の一部とする薬液注入器用インジェクタの操作機(コンソール)の六面図である。
図18】注入ヘッドの保持機構の一例を示す斜視図である。
図19】ミキシングデバイスを用いた混和であることを示す画像を含む画面の一例である。
図20】ミキシングデバイスを用いた混和であることを示す画像を含む画面の他の例である。
図21】ミキシングデバイスを用いた混和であることを示す画像を含む画面のさらに他の例である。
図22】注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースの一例である。
図23】薬液注入中の画面の別の例を示す図である。
図24】注入条件の表示態様の一例を示す図である。
図25A】薬液注入装置を含む病院システムの一例を示す図である。
図25B】注入結果表示の一例を示す図である。
図25C】注入結果の詳細表示の一例を示す図である。
図26】注入ヘッドを保持するための機構の一例を示す斜視図である。
図27】注入ヘッド等の取付機構の一例を示す斜視図である。
図28図27の取付機構を正面側から見た図である。
図29図27の取付機構の細部を示す斜視図である。
図30図27の取付機構を側面側から見た図である。
図31】注入ヘッドの保持機構の一例を示す斜視図である。
図32図31の保持機構の細部を示す斜視図である。
図33図31の保持機構の細部を示す斜視図である(保持アセンブリ)。
図34図31の保持機構の細部を示す斜視図である(ハンドル)。
図35】注入ヘッド等の取付構造の別の例を示す斜視図である。
図36】注入ヘッド等の取付構造の別の例を示す斜視図である。
図37図35の取付構造の細部を示す斜視図である。
図38図35の取付構造の細部を示す図(側面側から見た図)である。
図39A】インフュージョンモードの画面の一例である(チェック状態)。
図39B】インフュージョンモードの画面の一例である(スタンバイ状態)。
図39C】インフュージョンモードの画面の一例である(スタートOK状態)。
図39D】インフュージョンモードの画面の一例である(注入中)。
図40】注入ヘッドの発光部であるインジケータ部分を変更した例を示す斜視図である。
図41】発光パターンを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一形態を図面を参照して以下に説明する。なお、以下では薬液注入装置等の具体的な一例が開示されているが、本発明は必ずしもこれらの具体的構成に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の薬液注入装置100は、図1に一例を示ように注入ヘッド110とそれに電気的に接続されたコンソール210とを備えている。また、注入ヘッド110とコンソール210とに電力を供給する電源ユニット190が設けられていてもよい。図1では2つの撮像装置300-1、300-2(単に撮像装置300ともいう)が設けられている。但し、撮像装置は1つのみであってもよい。電源ユニット190は、制御回路を内蔵したものであってもよく、この制御回路は、一例で、注入ヘッドおよびコンソールの少なくとも一方に接続され信号のやり取りを行う。図1の薬液注入装置100は3つの機器からなるものであるが、コンソール210と注入ヘッド110とで構成されるものであってもよい。
【0015】
撮像装置300としては、例えばX線CT撮像装置300-1と、血管造影用の撮像装置300-2とが設けられていてもよい。血管造影用の撮像装置としては、Cアームを有するものであってもよい。撮像装置300は、薬液注入装置100と連携可能に接続され、所定の情報を相互間でやりとりする。例えば、一方の動作開始もしくは動作終了と、他方の動作開始もしくは動作終了のタイミングが同期するように構成されていてもよい。
【0016】
〔1.血管造影用シリンジおよび保護ケース〕
シリンジ等の構成に関し、血管造影用シリンジおよびその保護ケースは図3に示すようなものであってもよい。血管造影用のシリンジ800(800A、800B)は、円筒状のシリンダ部材810と、その内部にスライド自在に挿入されたピストン部材820(図4参照)とを有している。シリンジ800の容量は、限定されるものではないが、例えば50ml~300ml程度、または100ml~200ml程度である(本明細書では「a~b」はa以上b以下を意図する)。
【0017】
シリンダ部材810の材質は、樹脂、ガラス、または金属等であってもよい。シリンダ部材810は、その基端部または基端部付近にフランジ部811fが形成されている。フランジ部811fの輪郭形状はどのようなものであっても構わないが、例えば、円形、楕円形、または多角形等であってもよいし、それらの外周部分を直線で部分的に切除したような形状であってもよい。フランジ部811fには、1つまたは複数の切欠き部が形成されていてもよく、例えば、フランジ部811fの一方の側とその反対側とのそれぞれに凹部として形成された切欠き部が1つずつ形成されていてもよい。切欠き部に対しては、注入ヘッド側に設けられた不図示の係止機構が係止する。シリンダ部材810の先端部には細長く突出した導管部(ノズル部)811aが形成されている。導管部811aの先端には、薬液チューブを接続するためのルアーロック構造が形成されている。ピストン部材820(図4参照)は、いわゆるロッドレスタイプのプランジャであり、ピストン部材820の背面には所定のロッド(不図示)またはピストン駆動機構のラム部材(詳細は図5参照)が連結可能な係止突起814が形成されている。
【0018】
なお、血管造影用のシリンジ800には、通常、製品の保証耐圧が設定されている。保証耐圧は、一例で、600psi以上、800psi以上、または1000psi以上であってもよい。なお、シリンジは予め薬液(造影剤または生理食塩水等)が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。
【0019】
血管造影用のシリンジ800は、図3に例示するような保護ケース840内に挿入された状態で注入ヘッド110に装着される。このような保護ケース840としては、一例で、略円筒形の中空の本体部材841を有するものであってもよい。本体部材841は、先端側が略閉じ、後端側が開口した構成となっている。シリンジ800は保護ケース840の後端側の開口から挿入される。本体部材841の先端面にはシリンジの導管部811aを通すための開口部841hが形成されている。保護ケース840の基端部には、フランジ部841fが形成されている。フランジ部841fは、注入ヘッド側の保持構造(例えばクランパ機構)によって保持されるのに適した形状および/または強度に設計されている。保護ケース840の材質は、特に限定されないが、樹脂、ガラス、金属等であってもよい。
【0020】
〔2.注入ヘッド〕
注入ヘッド110は、図2に示すように、筐体111を有し、その筐体111の前端側に2本のシリンジ800A、800B(図4参照)が装着されるようになっている。なお、ここでは、二筒式の注入ヘッドで説明するが、本発明は単一のシリンジを保持するシングルタイプのもの等にも応用可能である。
【0021】
注入ヘッド110は、保護ケース840(図3参照)に入った状態でシリンジ800を保持するシリンジ保持部140と、筐体111内に配置されたピストン駆動機構130(図4図5参照)と、そのピストン駆動機構130に電気的に接続された制御回路150(図4参照)とを有している。
【0022】
シリンジ保持部140は、一対のクランパ145と、保護ケース受け141とを有している。クランパ145は、保護ケース840の一部を保持する保持手段である。保持手段としては、保護ケース840を安定的に保持できるものであればどのような構成であってもよく、例えば、特許第5492873号に開示された方式であってもよい。保護ケース受け141は、クランパ145よりも先端側に位置しており、保護ケース840の外周面を保持する凹部を有している。この凹部は、例えば、保護ケース840の外周面形状に対応する円弧状(略半円)に形成され、保護ケース840の下側を保持する。この保護ケース受け141は、透明または半透明の材質で形成されていてもよいし、または、不透明の材質で形成されていてもよい。
【0023】
本実施形態の注入ヘッド110には、図5に示すような位置に発光部133a、133b(発光部133ともいう)が設けられている。図5に示されている符号131は、ピストン駆動機構の一要素であるラム部材であり、シリンジのピストン部材820をスライド移動させるための部材である。ラム部材131は全体的な形状が略棒状の部材であり、その軸線は、一例で、シリンジ800の中心軸と一致するように設計されている。
【0024】
発光部133a、133bは、注入ヘッド110の筐体111の前端部に位置している。具体的には、図6に示すように、ラム部材131と同軸の基準円L131に沿うような円弧形状の開口部として設けられている。円弧は、その中心角が90度もしくはそれ未満、または、60度もしくはそれ未満
となるような範囲で形成されたものであってもよい。一方の発光部133aが第1の薬液であることを示す所定の色で発光(例えば、造影剤であることを示す色として緑色)し、他方の発光部133bが別の色(例えば、白色)で発光するように構成されていてもよい。
【0025】
もう一方のシリンジ側の発光部133a′、133b′に関しても、一方の発光部133a′が第2の薬液であることを示す所定の色で発光(例えば、生理食塩水であることを示す色として青色)し、他方の発光部133b′が別の色(例えば、白色)で発光するように構成されていてもよい。
【0026】
別の態様として、発光部133aを、シリンジ内の薬液に対応した第1の色(例えば緑色)とし、発光部133a′を、もう一方のシリンジ内の薬液に対応した第2の色(例えば青色)とし、発光部133b、133b′についてはそれ以外の色(第3の色)としてもよい。このような3色以上の発光パターンをある特定の状態となった場合に実施することで、操作者はその発光パターンを見て薬液注入状態の現在の状態を確認することが可能となる。タイミングとしては、特に限定されるものではないが、例えば、スタンバイ状態が解除された時点であってもよい。
【0027】
図6の図示左側(Aシリンジ側)の発光部133a、133bを例として他の発光態様についても説明する。Aシリンジ側を例としているが、Bシリンジ側も同様の動作をするようになっていてもよい。例えば、保護ケース840(図3)が未装着の場合、発光部133a、133bは発光させない。保護ケース840が装着されたら、発光部133a、133bのうちいずれか一方、または、両方を点灯させるようにしてもよい。具体的には、白色の発光部133bを点灯させるようにしてもよい。点灯ではなく、点滅させる形態であってもよい。このような発光切替は、例えば、保護ケース840の有無の検出結果をトリガとして行われてもよいし、または、クランパ145の開閉の検出結果をトリガとして行われてもよい。
【0028】
薬液注入中の発光態様としては、例えば、AシリンジとBシリンジのうち、Aシリンジ側のみの注入の場合には、Aシリンジ側は発光部133a(例えば緑色)のみを発光させ、Bシリンジ側は発光部133b′(例えば白色)のみを発光させる(もしくは発光させなくてもよい)。発光部133aは、点灯でも点滅でもいずれであってもよい。Bシリンジ側のみの注入の場合には、Aシリンジ側は発光部133b(例えば白色)のみを発光させ(もしくは発光させなくてもよい)、Bシリンジ側は発光部133a′(例えば青色)のみを発光させる。発光部133a′は、点灯でも点滅でもいずれであってもよい。
【0029】
薬液注入中における発光態様として、注入している側を点滅(特にはシリンジ内の薬液に対応した色での点灯)で、注入していない側を点灯(特にはシリンジ内の薬液に対応した色での点灯)させるようにしてもよい。Aシリンジの薬液とBシリンジの薬液とが注入されるプロトコルの時にはこの態様としてもよい。次に、Aシリンジ側のみが注入されるプロトコルの場合、注入している側を点滅(特にはシリンジ内の薬液に対応した色での点灯)で、注入していない側を消灯としてもよい。Bシリンジ側のみが注入されるプロトコルの場合、注入している側を点滅(特にはシリンジ内の薬液に対応した色での点灯)で、注入していない側を点灯(特にはシリンジ内の薬液に対応した色での点灯)としてもよい。
【0030】
AシリンジとBシリンジの同時注入の場合には、発光部133a(例えば緑色)と発光部133a′(例えば青色)のみを発光させ、発光部133b、133b′は発光させないようにしてもよい。このときの発光は、点灯でも点滅でもいずれであってもよい。
【0031】
何らかのエラーが生じた場合には、全ての発光部を点滅表示させるようにしてもよい。
【0032】
発光部133a、133bの光源としては、限定されるものではないが、例えばLED(light emitting diode)を使用することができる。光源の照射方向は、シリンジ800の中心軸と平行な方向であってもよい。発光部133a、133bの光でシリンジ内の薬液を照らすことで、操作者は、シリンジ内部の薬液の量や気泡の混入などを良好に目視確認できるものとなる。基準円L131の大きさ(言い換えれば発光部133a、133bの位置)は、保護ケース840(図3参照)のフランジ部841fと同程度であってもよいし(この場合、光はフランジ部841fに対して照射される)、フランジ部841fよりも外側となる位置であってもよい。
【0033】
具体的な構成例として、注入ヘッド110の前端面111aが垂直面として形成されており(ヘッドを水平姿勢とした場合)、発光部133a、133bがその面に形成された開口部であってもよい。薬液の浸入等を防ぐために、開口部には透過性の樹脂部材がはめ込まれていてもよい。また、その透過性樹脂部材が前端面111aから突出したり窪んだりしないように、同面と面一に形成されていることも一例として好ましい。
【0034】
注入ヘッド110を構成する複数の構造部については従来公知の構成を利用可能であり、詳細な説明は省略するものの、ピストン駆動機構、制御回路、および各種センサ等は次のようなものであってもよい。
【0035】
(ピストン駆動機構)
ピストン駆動機構130は、図4に示すように、アクチュエータとしてのモータ139と、モータ139の回転出力を伝達する伝達機構137と、伝達機構137により回転させられるボールねじ135と、ボールナットユニット132と、ボールナットユニット132の移動に伴って進退移動するラム部材131と、これらの要素の少なくとも一部を保持するフレーム(不図示)とを有している。一形態においては、ボールねじ135にエンコーダ(不図示)が設けられ、回転量、回転角度が検出可能に構成されている。
【0036】
モータ139としては、直流モータを用いることができ、その中でも特に、直流ブラシレスモータを好ましく用いることができる。ブラシレスモータは、ブラシが無いことにより、音が静かで耐久性に優れるという利点を有している。一般的にブラシレスモータは、内部のマグネットの位置を検出するためにセンサを有している。そこで、このセンサからの出力を利用して、モータの回転量および回転速度を検知するようにしてもよい。もっとも、モータの回転量および/または回転速度を検出するための回転センサ139sが別途設けられていてもよい。具体的には、ロータリエンコーダやレゾルバ等を利用することができる。血管造影検査において比較的高圧で造影剤注入を行うために、高出力のモータ、例えば出力が70w以上、150W、250W以上、300W以上、450W以上のものを用いることも好ましい。
【0037】
モータ139の出力は、伝達機構137を介して、ボールねじ135に伝達される。伝達機構137としてはどのようなものであっても構わないが、一例で、モータ139の出力軸に直接的または間接的に接続された第1のプーリ(不図示)と、ボールねじ135に直接的または間接的に接続された第2のプーリ(不図示)と、これら2つのプーリ間に掛け回されたベルト(不図示)とを有するものであってもよい。なお、このようなベルト伝達機構の代わりに、歯車装置やチェーン伝達機構等を用いてもよい。
【0038】
(ブロック図についての説明)
注入ヘッド110は、図4に示すように、一例で、制御回路150と、記憶部168と、入力デバイスとしての物理的ボタン161と、他の入力デバイスとしての操作ノブ170、各種センサ162~165と、表示部146、ヒータ141a、インジケータ173等を備えている。
【0039】
操作ノブ170は、注入ヘッド110の筐体111内部の所定の機構に物理的にリンクしており、操作ノブ170を回転させるとその力がピストン駆動機構130に伝達されてラム部材131が前進または後退するように構成されたものであってもよい。あるいは、操作ノブ170は、筐体111内部の所定の機構に物理的にはリンクしておらず(非接触)、回転を電気的に検出して、その検出結果を利用してピストン駆動機構130の駆動源を動作させ、ラム部材131を前進または後退させるものであってもよい。後者の場合、操作者が操作ノブ170を回していることを実感し易くするために、回転に応じてクリックが得られるような構成を採用してもよい。
【0040】
(制御回路)
制御回路150は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とメモリとインターフェース等を有し、メモリ内に格納されたコンピュータプログラムを実行することで様々な機能を実現する。制御回路150はワンチップマイコン等のプロセッサを備えるものであってもよい。所定の基板上にプロセッサが実装されるとともに、種々の電気回路(例えばモータ駆動回路)がその基板上に設けられたものであってもよい。制御回路150は、注入ヘッドの各種要素に電気的に接続されている。
【0041】
制御回路150は一例で下記のような処理を行うように構成された(プログラムされた)ものであってもよい:
-各種センサからの信号に基づいて所定の演算処理、制御を行う、
-ピストン駆動機構に対して所定のモータ制御信号を送り動作を制御する、
-ディスプレイに所定の情報を表示させる、
-物理ボタン等の入力装置を通じた操作者からの入力を受け付ける、
-ヒータの動作を制御する、等。
【0042】
(各種センサ等)
(a1)位置センサ
位置センサ162は、ラム部材131の可動範囲を規定するためのものである。例えば、ラム部材131が最前進位置まで移動したことを検出する第1のセンサと、ラム部材131が最後退位置まで移動したことを検出する第2のセンサとを有するものであってもよい。これらのセンサとしては、接触式のものであってもよいし、または、非接触式のものであってもよい。非接触式のものとしては、発光素子と受光素子を有する光学式のセンサを利用することができる。具体的には、被検出体によって光が遮られることにより、受光素子の受光量が減少し、この減少をとらえて検出を行うフォトインタラプタであってもよい。または、反射型のフォトインタラプタを利用してもよい。第1のセンサは、図4に模式的に示すようにラム部材の移動方向に沿った方向の前方側(符号p1参照)に配置され、第2のセンサは後方側(符号p2参照)に配置されていてもよい。他にも、位置センサとしては、物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、近接センサ、等を利用することもできる。
【0043】
(a2)クランパセンサ
クランパセンサ163としては、クランパ145が所定の閉止位置まで閉じられた際に、その一部に接触するように構成された接触式のセンサであってもよい。または、クランパ145が所定の閉位置まで閉じられた際に、その一部の位置を、光学的または磁気的に検出する非接触式のセンサであってもよい。
【0044】
(a3)シリンジ検出センサ
シリンジセンサ164は、シリンジおよび/または保護ケースが装着されたか否かを検出するのに利用される。さらには、どのような種類のシリンジおよび/または保護ケースが装着されたかをも判定できるものであってもよい。このようなセンサとしては、接触式または非接触式のいずれであってもよく、例えば次のようなものを利用できる:物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、近接センサ等。
【0045】
上記各種センサは、シリンジの検出ではなく、保護ケースの検出にも応用可能である。例えば、保護ケースに1つまたは複数の識別部材を設けておき、これをセンサで検出するようにしてもよい。識別部材としては、金属またはマグネット等を利用可能である。識別される情報としては、保護ケースのサイズ(直径寸法および/または長さ寸法など。別の言い方をすれば、どのような直径のシリンジに対応したものか、および/または、どのような長さのシリンジに対応したものか。)およびシリンジの薬液情報等の少なくとも1つを含むものであってもよい。マグネットの極性の違いを検出して情報の識別を行うようにしてもよい。マグネットは1つまたは複数のいずれでも構わない。識別部材を設ける位置は特に限定されるものではないが、例えば、保護ケースのフランジ部またはその周辺であってもよい。具体的には、フランジ部から突出した部分に識別部材が1つまたは複数設けられていてもよい。この「フランジ部から突出した部分」としては、略板状の構造部であってもよく、一例で、フランジ部の径方向外側に所定長さ張り出した形状であってもよい。
【0046】
具体的な例として、複数のマグネットを利用し、いずれもN極の場合には第1のタイプ、いずれもS極の場合には第2のタイプ、一方がN極で他方がS極の場合には第3のタイプ、一方がS極で他方がN極の場合には第4のタイプなどと検出を行うことができる。薬液注入装置は、こうして読み取った情報に基づき、ラム部材の可動範囲を自動設定するように構成されていることが、一形態において、好ましい。また、薬液注入装置は、こうして読み取った情報に基づき、薬液の種類や製品名、あるいは、プレフィルドシリンジか否か等を認識するように構成されていてもよい。
【0047】
(a4)圧力センサ
圧力センサ165は、シリンジのピストン部材820を押す圧力を算出するためのものであり、これにより、薬液の圧力推定値を求めることができる。圧力センサ165は、一例でロードセルであってもよい。ロードセルは、ピストン駆動機構130のラム部材131がピストン部材を押す圧力を検出できるような位置に設けられていればよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求める場合、その算出は、針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われてもよい。なお、圧力の算出は、上記したような圧力センサを利用するもののほか、ピストン駆動機構のモータ電流に基いて行われるものであってもよく、また、こうしたモータ電流方式は、圧力センサと併用されてもよいし、圧力センサを設けることなく単独で実装されてもよい。
【0048】
(a5)ディスプレイ
所定の情報を表示するための1つまたは複数の表示部146が注入ヘッドに、または注入ヘッドとは別に、設けられていてもよい。表示部146はLCD(Liquid Crystal Display)でもよいし、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイを利用したものであってもよい。
【0049】
続いて、表示部146に表示される内容としては、特に限定されないが、次のようなもの少なくとも1つであってもよい:
-セルフチェックに関する表示、
-注入開始前の所定の状態表示、
-ヘッドの姿勢に関する所定の表示、
-シリンジ装着に関する所定の表示、
-注入動作中の所定の状態表示、
-注入予定の薬液注入条件の表示、
-注入された薬液注入条件の表示、
-異常時のワーニング表示、等。
【0050】
(a6)ヒータ
本実施形態の注入ヘッドにおいてはシリンジ内の薬液を加温するための加温素子が設けられていてもよく、一例として、ITO膜を用いた透明ヒータ141aが設けられていてもよい。
【0051】
(a7)インターフェース
インターフェース169は、コンソール210と信号のやりとりを行うための接続部である。コンソール210と注入ヘッド110との接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0052】
(a8)記憶部
記憶部168は、データを記憶可能な記憶媒体であればどのようなものであってもよく、メモリ、ハードディスク等で構成しうる。記憶部168には、注入ヘッドの基本的な動作に関する情報(動作アルゴリズム等)やデータテーブル等が記憶されていてもよい。このような情報の一部は、注入ヘッド側ではなくコンソール側の記憶部261に記憶されていてもよい。
【0053】
(a9)物理ボタン
物理ボタン161としては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい:
-ラム部材を前進させるための前進ボタン、
-ラム部材を前進させるための後退ボタン、
-前進ボタンまたは後退ボタンと同時に押すことでラム部材の移動速度を早くするアクセラレータボタン(加速ボタン)、
-ラム部材を後退位置まで戻すリターンボタン、
-ヘッドの動作を停止させる停止ボタン、等。
【0054】
(a10)発光部
図4のインジケータ173は、一例でLED(Light Emitting Diode)であり、注入ヘッドの動作状態を操作者に知らせるためのものである。
【0055】
〔3.コンソール〕
コンソール210としては、図4に示すように、制御部250と、記憶部261と、通信部262と、スロット257と、タッチパネル253と、ディスプレイ251とを有するものであってもよい。一例で、1つの筐体内に制御部250が配置されるとともに、その筐体前面にディスプレイ251が配置されたような一体型のコンソールとしてもよい。1つのコンソールではなく、複数のコンソールを利用するシステムとしてもよい。
【0056】
筐体の形態は何ら限定されるものではない。コンソールが使用される場面に応じて適宜好ましい筐体形状としてもよい。例えば、次のようなものであってもよい:
-操作室のテーブルに配置されて使用されるのに適した据置型の筐体形状、
-所定の支持部材あるいは壁などに好適に取り付けることができる筐体形状(例えば背面側が略フラットに形成された薄型の筐体)、等。
【0057】
コンソールのディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等を利用した表示部であってもよい。また、タッチパネル式ディスプレイであってもよい。
【0058】
制御部250は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とメモリとインターフェース等を有しており、メモリ内に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、様々な機能を実現する。制御部250は、CPU、ROM、RAM、およびI/F等のハードウェアを有しプログラムが実装されたプロセッサを有するものであってもよい。制御部250は、実装されたプログラムにしたがって多数の機能を有するが、コンソールの機能としては、一例で次のようなものが挙げられる:注入条件設定GUI表示機能、注入条件設定機能、注入中の画面表示機能、注入後の画面表示機能、入力検出機能、注入制御機能等。
【0059】
コンピュータプログラムはコンソールが有する記憶部に予め記憶されたものであってもよいし、ネットワーク等を通じて外部からダウンロードされ記憶部に記憶されるものであってもよいし、あるいは、スロットに挿入された情報記憶媒体から読み取られるものであってもよい。注入ヘッドの動作を制御するコンピュータプログラムに関しても同様であり、ヘッドの記憶部またはコンソールの記憶部に記憶されたものであってもよいし、外部から読み込まれるものであってもよい。
【0060】
上記の各機能について簡単に説明する。注入条件設定GUI表示機能は、注入条件を設定するためのGUI画面をディスプレイに表示する。具体的な一例として、身体区分アイコン、撮像部位アイコン等の少なくとも1つを表示し、それが選択された場合には所定の薬液注入条件をディスプレイに提示する。詳細なGUI画面については他の図面も参照して後述するものとする。
【0061】
注入条件設定機能は、上記のように提示された薬液注入条件が医師または医療従事者によって確認/修正された後、その内容を注入条件として設定する。
【0062】
注入中の画面表示機能は、薬液の注入中に、静止画像もしくはアニメーション画像等をディスプレイに表示する。また、薬液の注入中に、薬液の圧力情報をディスプレイに表示する。
【0063】
注入後の画面表示機能は、実施した薬液注入に関する情報をディスプレイに表示する。
【0064】
入力検出機能は、タッチパネルや物理ボタン等(一例)を通じて行われる医師または医療従事者からの入力を受け付ける。
【0065】
注入制御機能は、設定された注入条件にしたがってピストン駆動機構を動作させ、薬液の注入を実施する。ピストン駆動機構の動作条件に関する情報が、コンソールから注入ヘッドへと送信され、注入ヘッドの制御回路がその情報に基いてピストン駆動機構を制御する構成であってもよい。
【0066】
制御部250は、さらに、注入履歴生成機能を有していてもよい。注入履歴生成機能は、注入履歴データを生成する機能である。「注入履歴データ」としては、例えば、次のようなものの一つまたは複数であってもよい:
-ヒータの動作に関するデータ(加温開始時間、加温終了時間)、
-注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、
-注入開始および終了の日時、
-薬液注入装置の識別情報、
-注入条件である薬液や撮像部位の情報、
-注入結果としての薬液や注入圧力の情報、等。
【0067】
再び図4を参照し、スロット257は、所定の情報記憶媒体が差し込まれる部分であり、コンソール210はこの情報記憶媒体から所定のデータを読み込むことができる。インターフェース269は、注入ヘッド110との接続を行うための接続部である。コンソール210は、また、通信部262を介して外部のネットワーク(例えば病院システムまたはインターネット)に接続可能となっていてもよい。図4には示していないが、コンソール210は、入力手段として、例えば、ハンドスイッチやフットスイッチを有するものであってもよい。ハンドスイッチとしては、コンソールに有線または無線で接続され操作者の手元で操作されるものであり、押しボタン式のスイッチ等を有するものであってもよい。これらのスイッチを操作することで注入ヘッド110および/またはコンソール210の動作が制御されるように構成されていてもよい。フットスイッチは、他の形態では、注入ヘッド110に接続されてもよい。コンソールは、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。コンソールは、音声を入力するためのマイク等(不図示)を有していてもよい。
【0068】
〔グラフィカルユーザインターフェース〕
薬液注入装置100は、次のような画面の1つまたは複数のデータを有し、それを表示するものであってもよい:起動・セルフチェック画面、アンギオモード画面、ホーム画面、注入結果画面、プロトコル設定画面、およびエラー画面、等。
【0069】
(b1:画面遷移)
薬液注入装置は、次のようなユーザインターフェース画像を表示するものであってもよい。まず、図7のような、撮像部位を選択するための画面を表示する。この画面では、人体形状の画像701(人体画像701ともいう)が表示される。人体画像701は、複数の部位で構成されており、この例では、頭部、胸部、腹部、脚部の部位が表示されている。それぞれの部位は、画像ボタンとして機能し、選択可能となっている。なお、この画面では、注入ヘッド110にセットされている各シリンジの残量も表示されている。
【0070】
次いで、人体画像701のうちの1つの部位を選択すると、図8のように、その部位に関連付けられた1つまたは複数の撮像部位703が表示される。この撮像部位703としては、例えば異なる複数の血管等であってもよい。撮像部位703も画像ボタンとして機能し、選択可能となっている。
【0071】
次いで、表示された撮像部位703のうちの1つを選択すると、図9のように当該撮像部位703に関連付けられた薬液注入条件が表示される。ここでは、注入速度ウィンドウ705aと、注入量ウィンドウ705bとが表示される。注入速度ウィンドウ705aには、この例では、注入速度の情報(10mL/sec)と、造影剤および生理食塩水の混和条件に関する表示(各薬液の注入速度)とが含まれている。注入量ウィンドウ705bには、この例では、注入量の情報(30mL)と、各薬液の注入量の情報とが含まれている。なお、図9の画面では、造影剤と生理食塩水の混和条件に関する情報を表示す画像ボタン711も表示されている。具体的には、画像ボタン711には、希釈割合「50%」という情報が表示されている。
【0072】
図9の画面上部には、「チェック」と示された画像ボタン707(チェックボタン707ともいう)が表示されている。チェック状態とは、テストショット(テスト注入)と本注入のいずれの実施も禁止されている状態である。ここで、「テストショット」とは、例えばカテーテルの先端位置を確認することなどを目的として少量(本注入よりも少量であることをいう。注入速度が本注入よりも遅いおよび/または圧力条件が本注入よりも低い注入条件としてもよい。)の造影剤を注入することをいう。ハンドスイッチまたはフットスイッチを押している間のみ注入が継続され、押していない状態となると注入が停止されるような方式でもよい。図9の状態では、このテストショットの実施が禁止されている。チェックボタン707を押すことにより、この禁止状態が解除され、テストショットの実施が可能となる。
【0073】
この状態が、図10「スタンバイ」状態である。スタンバイ状態とは、テストショットの実施は可能であるが本注入の実施は禁止されている状態である。スタンバイ状態で、例えばカテーテルを被検者体内の所定の目的位置まで移動させたら、操作者は次いでスタンバイボタン708を押す。
【0074】
すると、図11のようなスタートOKの表示となっている画像ボタン709が現れたスタートOK状態に遷移する。スタートOK状態とは、操作者からの最終的な入力があった場合に薬液注入を開始することができる状態である。例えば、ハンドスイッチを押すことにより(またはフットスイッチを押すことにより)、薬液注入がスタートし、設定された注入条件にしたがって注入ヘッドが動作して、所望の薬液注入が行われる。
【0075】
なお、上記の説明では、図8の画面で部位の選択を行うと図9の画面に遷移する例を述べたが、図9の画面を省略し、部位の選択後、直接図10の画面に遷移にする形態としてもよい。
【0076】
(b2:テンキーウィンドウ)
本実施形態では、混和条件(希釈条件)に関する数値を変更するために画像ボタン711を押した際に、図12に示すようなテンキーウィンドウ715が表示されるようになっていてもよい。このテンキーウィンドウ715には、テンキー712およびエンターキー714が表示されるとともに、複数の希釈設定ボタン713a~713cが表示されている。希釈設定ボタンとしては、この例では、倍率方式ボタン713a、割合方式ボタン713b、および比率方式ボタン713cが表示されている。
【0077】
これらのボタン713a~713cは、混和条件に関する数値に係る入力の方式を切り替えるためのものである。倍率方式ボタン713aは、例えば「2倍」、「3倍」、「4倍」のように造影剤の希釈倍率を変更するためのものであり、同ボタン713aを押し、例えばテンキー712で任意の数字を選択することで倍率の入力を行うことができる。
【0078】
割合方式ボタン713bは、例えば「30%」、「50%」、「70%」のように造影剤の混和割合を変更するためのものである。比率方式ボタン713cは、例えば「1:1」、「2:1」、「3:1」のように造影剤と生理食塩水との混和割合を変更するためのものである。
【0079】
このように、本実施形態では倍率方式ボタン713a、割合方式ボタン713b、比率方式ボタン713cが表示され、いずれかの入力方式を選んで数値を設定できるので、操作者は、自身が使用したい方式で数値を入力、修正することが可能となる。上記の例では、倍率、割合、比率の3つが選択できる構成であったが、そのうちの2つのみが表示される構成であってもよい。
【0080】
混和条件の数値を変更する上記モードは、変更内容をエンターキー714で確定することにより、または、テンキーウィンドウ715とともに表示された「x」ボタンを押すことにより、終了する。造影剤と生理食塩水との混和以外にも、異なる濃度の第1の薬液と第2の薬液の混和の場合にも上記の内容は応用可能である。
【0081】
(b3:注入中画面)
続いて、薬液注入中に表示される画像としては図13のようなものであってもよい。この画像には、第1のシリンジ717aと、第2のシリンジ717bと、2つの薬液の合流個所に表示されたミキシングデバイス718とが表示されている。ミキシングデバイス718は、その内部で旋回流を生じさせて2つの薬液を良好に混合させる機能を備えたコネクタである。具体的には、特許5804543号に開示されたデバイスを利用することができる。
【0082】
薬液注入中においては、第1のシリンジ717aとミキシングデバイス718とをつなぐ経路719aで複数の液滴が被検者側に向かって進行していくようなアニメーション表示がされ、第2のシリンジ717bとミキシングデバイス718とをつなぐ経路719bについても複数の液滴が被検者側に向かって進行していくようなアニメーション表示がなされるようになっていてもよい。
【0083】
また、ミキシングデバイス718では、旋回流を示す斜縞状の模様が被検者側に向かって進行していくようなアニメーション表示がなされるようになっていてもよい。このように、注入中の画面に、ミキシングデバイス718が表示され、かつ、そのデバイス内で旋回流による混和がアニメーション表示される構成とすることで、操作者はミキシングデバイスを用いた注入を実施していることを視覚的に良好に認識することができる。
【0084】
薬液注入に、操作者からの所定の入力(例えばボタンが押される)により注入が一旦停止された場合、例えば図14に示すように、一時停止表示721が表示されるようになっていてもよい。注入再開のため、操作者から所定の入力(例えば別途ボタンが押される)がされることにより、この一時停止表示721が消え、再び図13の画面となって注入が再開される。
【0085】
薬液注入中の画像は、図23のようなものであってもよい。この画像では、図13のものと比較して2つのシリンジ717a、717bがより小さいサイズで表示され、一方、ミキシングデバイス718はより大きいサイズで表示されている。その他の要素は図13のものと同様であってもよいが、この例では、ミキシングデバイス718の先端からも複数の液滴が吐出されるような表示となっている。図13と同様、液滴はアニメーション表示されるものであってもよい。なお、図13の画像においても、ミキシングデバイス718の先端から複数の液滴が吐出される態様としてもよい。
【0086】
なお、本出願は、図13図23の画像を意匠の一部とする部分意匠も開示する(図17参照)。図13図23の画像のうち、その一部のみ(例えば、ミキシングデバイス718のみ、経路719a、719b等の液滴の表示のみ、またはそれらとシリンジ717a、717bとの組合せ等)が登録を受けようとする部分であり、その他は破線で描かれる部分意匠をも開示する。または、他の要素の1つまたは2つ以上の任意の組合せであってもよい。図23の画像は、図17でコンソールに表示されている画像と置換されてもよい。
【0087】
(b4:部位選択等に関する画面)
注入条件を設定するための画面は、図7図9等を参照しながら前述したが、図15のようなものであってもよい。この画面では、人体画像701が表示され、胸部が選択された状態となっている。そして、胸部に対応する複数の撮像部位703(この例ではLCA、LVG、RCA等)が表示され、そのうちの1つが選択された状態となっている。
【0088】
選択された撮像部位703に関連付けられた注入条件が画面に表示される。ここでは、注入速度、注入量、注入時間等の情報が表示されている。画面には、また、注入のディレイ時間の情報や、立上り時間時の情報、および圧力リミットの情報も表示されている。
【0089】
ディレイ時間は、薬液注入装置の動作と撮像装置の動作とが連動(同期)する構成を前提とするものである。すなわち、まず撮像装置のスキャンを開始し、所定時間経過後に薬液注入を開始する場合に、撮像装置のスキャン開始点に対する遅延の時間がディレイ時間である。この例では、一例で10secである。本実施形態では、撮像装置のスキャンが開始すると、このディレイ時間の表示がカウントダウン方式で減少していく表示態様となっていてもよい。
【0090】
図15はすでに1つの撮像部位703(LVG)が選択された状態である。この状態から、別の撮像部位703を選択するために、例えば、一旦、大区分である人体画像701(胸部)を選択し直し、続いて、中区分である別の撮像部位703(例えばLCA)を選択するという方式も考えられる。しかしながら、本実施形態では、大区分の人体部位701を再度選択することなく、直接、別の撮像部位703(例えばLVG→LCA)に切り替えることができる構成となっている。言い換えれば、図15の複数の撮像部位703のそれぞれが選択可能に構成されており、そのうちの1つを選ぶことで、直接、別の撮像部位が選択され、それに関連付けられた条件が設定されるようになっている。このような選択方式によれば、一旦、大区分である人体部位701を選択し直す必要が無いことから、簡便かつ直感的に操作を行うことが可能となる。
【0091】
撮像部位703に関し、単に対象部位の名称(LCA、LVG、RCA等)を表示するだけではなく、例えば図16に示すように、どのような薬液が注入されるかを表すインジケータ704a、704bが表示されるようになっていてもよい。インジケータ704a、704bは、それぞれ、第1の薬液(造影剤)および第2の薬液(生理食塩水)が注入されることを意味する。第1の薬液のみの注入の場合インジケータ704aのみの表示となり、第2の薬液のみの注入の場合インジケータ704bのみの表示となり、同時注入の場合は両方のインジケータ704a、704bの表示となる。第1の薬液(造影剤)と第2の薬液(生理食塩水)とは異なる色で表示される。このような構成によれば、ある撮像部位に対する注入条件がどのような設定であるかを、撮像部位703のボタンを見ただけで視覚的に確認することが可能となる。
【0092】
部位が選択された後の画面としては、図9などのものの他にも、図24のような画面に遷移する構成であってもよい。この例では、身体区分のうち胸部が選択され、さらにそのサブカテゴリである撮像部位のうち「LCA」が選ばれている。
【0093】
図24の例は、第1フェーズが2つの薬液の混和注入で、第2フェーズが1つの薬液のみでの注入であるが、各フェーズの注入条件がウィンドウ1705a、1705bのそれぞれに表示されている。各ウィンドウ内には、注入速度の情報と注入量の情報とが表示されている。特に、混和注入である第1フェーズのウィンドウ1705aについては、第1の薬液の注入速度および注入量の情報と、第2の薬液の注入速度および注入量の情報とが表示されている。限定されるものではないが、このように多くの情報を含むウィンドウ1705aの方が、ウィンドウ1705bよりも大きいサイズで表示されるようになっていてもよい。なお、図24の画面も、図9と同様、チェック状態の画面である。
【0094】
(b5:注入結果の画面表示)
血管造影検査では、カテーテルを所定の目的位置に移動させて造影剤を注入し、次いで、また別の目的位置にカテーテルを進めて別の注入条件で造影剤を注入し、以降同様の工程を繰り返すことが行われる。したがって、注入結果の画面表示としては、例えば、ある被検者について、第1の注入の結果(時刻、注入量、注入速度、希釈に関する情報、注入部位等の情報を含む)、第2の注入の結果(時刻、注入量、注入速度、希釈に関する情報、注入部位等の情報を含む)というように、複数の結果が順次表示されるようになっていてもよい。それぞれの注入結果に連番(例えば「1」~「10」)が付され、表示されるようになっていてもよい。
【0095】
なお、血管造影検査では造影剤シリンジを交換することも想定される。例えば、現在のシリンジを注入ヘッドから外し、保護ケースに入った別のシリンジをセットした際に、別の被検者に対する検査が開始されたものとして、別の被検者の注入結果を順次記憶、表示していくようにしてもよい。シリンジがセットされたことは、上述したように、保護ケースに設けられた識別素子を注入ヘッドが認識することで、判別することができる。
【0096】
(注入結果の出力)
本発明の一形態に係る薬液注入装置およびシステムは、薬液の注入後、その注入結果の情報が外部に出力されるように構成されていてもよい。図25Aに示すように、この病院システムは、薬液注入装置100と、RIS311と、PACS313と、情報管理装置315と、情報表示端末317と、撮像室内モニタ319とを備えている。なお、これらの全てが必須というわけではなく、1つまたは複数が省略されていてもよい。
【0097】
このようなシステムにおいて、薬液注入装置100は、次の情報のうち1つまたは複数を外部に出力するように構成されていてもよい:
-薬液の注入積算量の情報、
-設定された注入条件(注入圧力、注入量、注入時間、身体区分、撮像部位等のうち1つまたは複数)の情報、
-実施した薬液注入に関する各種情報(注入圧力、注入量、注入時間、身体区分、撮像部位等のうち1つまたは複数)、等。
【0098】
特に限定されるものでなないが、これらの情報は、薬液注入装置100から情報管理装置315に一旦送られ、その情報管理装置315が各機器と通信を行って、情報を送信するように構成されていてもよい。
【0099】
情報表示端末317は、一例として可搬性のタブレット端末であってもよく、このタブレット端末に上記の情報の少なくとも1つを表示できるように構成されていてもよい。
【0100】
薬液の注入積算量の情報などを用い、システム内で所定の会計処理がなされるように構成されていることも好ましい。情報管理装置315は、RIS311から被検者情報を読み込むように構成されていてもよい。この場合、情報管理装置315は、注入結果の情報ととともに当該被検者情報も各機器(情報表示端末317、撮像室内モニタ319、およびPACS313の少なくとも1つ)に送ることができるように構成されていることも好ましい。また、被験者情報として、その被検者の腎機能に関する情報(例えば、推算糸球体濾過量(eGFR)の値等)が含まれている場合、その情報がシステム内の任意の機器に送られ、検査の適否の判断に使用されたり、適宜表示されたりする処理が行われてもよい。
【0101】
なお、注入結果としては、例えば図25Bのように、一連の検査ごとの注入結果表示1761が複数表示されるような態様であってもよい。この注入結果表示1761には、一例で、検査番号、日付、注入を開始した時間、その検査での薬液の総注入量、検査の対象となった部位の情報が含まれている。これらのうち1つまたは複数が省略されてもよいし、図示していない他の情報が含まれてもよい。
【0102】
この例では、1つの画面に「1」~「10」までの10の注入結果表示1761が表示されている。一連の検査の中で、どのタイミングからどのタイミングまでを1つの注入結果表示1761にまとめるかは適宜自由に決定されるものであってもよいが、本実施形態では、例えば次のようなものであってもよい。すなわち、ある被検者に対する一連の検査が終わり、次の検査のためにシリンジが注入ヘッド110(図2参照)のクランパ145から外される。そして、次の新しいシリンジがクランパ145にセットされる。クランパ145が開いたこと、閉じたこと、またはそれらの両方が検出された場合に、次の検査の注入結果表示1761が自動的に作成されるようになっていてもよい(例えば、前回の検査が「1」であれば、「2」の注入結果表示1761が自動作成される)。クランパ145の開閉ではなく、シリンジまたは保護ケースの着脱をトリガとしてそのような処理が実行されてもよい。
【0103】
なお、図25Bの画面では、行われた薬液注入のモードを示すモード表示1762も含まれている。モード表示1762としては、「アンギオグラフィ」、「インフュージョン」、「CT」等が表示されていてもよい。本実施形態の装置では、アンギオグラフィモード、インフュージョンモード、CTモード(詳細後述)のように複数のモードを実施することができる。ここで、例えば、最初の検査がアンギオグラフィモードであり、次の検査がインフュージョンモードであり、次の検査がCTモードであったとする。注入結果の表示方式としては、これらの3つを1つの画面にまとめて表示するようなものであってもよいが、本実施形態では次のような表示方式となっている。すなわち、それぞれのモードごとに、実施した注入結果がグループ化して表示されるようになっている。つまり、図25Bの例ではアンギオグラフィのモード表示1762が選択されているので、ここで表示されている「1」~「10」の結果は全てアンギオグラフィモードでの結果ということになる。3つのモード表示1762は画像ボタンとして選択可能となっており、例えば、インフュージョンを選択すればインフュージョンモードとしてグループ化された一連の注入結果が表示され、CTを選択すればCTモードとしてグループ化された一連の注入結果が表示されるように構成されている。このような表示態様によれば、薬液注入の結果を実施したモードごとに確認することができ有用である。
【0104】
図25Bの複数の注入結果表示1761のうち1つを選択することにより、例えば図25Cのように、そこに含まれる詳細結果が表示されるように構成されていてもよい。図25Cの画面では、一例として番号「9」の注入結果の詳細がウィンドウ1763内に表示されている。限定されるものではないが、詳細結果の内容としては、例えば、次の項目に関する情報の1つまたは複数であってもよい:薬液注入を行った時刻、最大速度、注入量、注入フェーズ数、単一の薬液のみの注入か複数の薬液の同時注入(希釈注入)か、注入時間、注入圧力、対象部位、混和比率、混和倍率、混和割合、ディレイ時間、立上り時間。これらの情報が、例えば実施された検査や手技ごとにグループ化され、「1」、「2」の番号を付する等して表示されてもよい。また、詳細結果として一連の注入での総注入量の情報が表示されてもよい。詳細結果の表示の具体例として、図16を参照して説明したようなインジケータを用いた表示を行うようにしてもよい。例えば、第1のフェーズ(希釈注入)と第2のフェーズ(単一の薬液のみの注入)とを含む注入が実施されたとして、このことが視覚的に分かるように、第1のフェーズに対応するものとして2つのインジケータが表示され、第2のフェーズに対応するものとして1つのインジケータが表示される(図25Cの「3」の番号が付された結果の表示内容参照。第1フェーズのインジケータの右に第2のフェーズのインジケータが表示される。)。このようなインジケータを用いた表示は、インジケータの個数や色を見て各フェーズの注入内容を的確に把握することができる点で好ましい。また、文字情報を表示する場合に比べ、比較的小さいサイズでも十分な情報量を与えることができるので、図25Cのような態様での注入結果の表示に特に好適である。
【0105】
(b6:他の画面表示)
ミキシングデバイスを用いた混和であることを示す表示としては、図19のように、画面の所定のウィンドウ707w内に表示されたミキシングデバイス画像707sであってもよい。ウィンドウ707wは、この例では、画面の上端付近のバー状のウィンドウである。このようにミキシングデバイス画像706sが表示されていることで、操作者は、ミキシングデバイスを用いた混和であることを直感的に確認することができる。
【0106】
また、図20のような表示態様であってもよい。この例では、2つのフェーズを含む注入条件が設定されており、各フェーズの注入条件(注入速度、注入量等)が第1フェーズ表示部706a、第2のフェーズ表示部706bにそれぞれ表示されている。そして、第1フェーズ表示部706a、第2のフェーズ表示部706bに、ミキシングデバイス画像706sが表示されている。これは、それぞれのフェーズで混和注入が行われることを意味している。
【0107】
このミキシングデバイス画像706sは画像ボタンとして機能するものであってもよい。ミキシングデバイス画像706sを押すと、所定の注入条件変更画面(例えば図22)が表示されるように構成されていてもよい。図22の例では、図12のものと概ね類似するテンキーウィンドウ715′が表示され、このウィンドウ内には希釈設定ボタン713a~713cが表示されている。また、同ウィンドウ内に、ミキシングデバイス画像715sおよび/または現在の希釈割合(ここでは「50%」)が表示されるようになっていてもよい。
【0108】
図21の表示態様のように、第1フェーズ表示部706cのみが表示され、その付近(この例では側方)にミキシングデバイス画像706sが表示されるようになっていてもよい。当該画像も、上記と同様、画像ボタンとして機能するものであってもよい。
【0109】
以上、本発明の具体的な形態について図面を参照しながら説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0110】
(1)例えば、上記形態では、グラフィカルユーザインターフェースをコンソールのディスプレイに表示することについて説明したが、それ以外にも、例えば、デスクトップ型のコンピュータとして設けられたワークステーションや、タブレット型の端末等に上述したような機能が実装されていてもよい。
【0111】
上記した一連のグラフィカルユーザインターフェースの表示態様等については、表示の方法に関する発明として表現可能であり、また、コンピュータに当該方法を実施させるためのコンピュータプロラムの発明としても表現可能である。
【0112】
(2)例えば、注入ヘッドは注入ヘッドの傾きを検出する傾斜センサを有していてもよい。一般に、この種の注入ヘッドは、その前端側(つまりシリンジ側)が上方となるような姿勢でシリンジ内への薬液吸引が実施される。一方、薬液注入は、注入ヘッドの前端側が相対的に下方となるような姿勢(先端側をやや下に向けた姿勢)で実施される。傾斜センサの検出結果を用いることで、例えば、望ましくない姿勢での薬液吸引または薬液注入することを防止するこができる。また、傾斜センサの検出結果に基づき、注入ヘッドが上方を向いているか、下方を向いているかを識別し、表示部146に表示させる文字等の向きを上下反転させる制御を行うようにしてもよい。このような構成によれば、注入ヘッドの向きに関わらず、操作者は良好に表示内容を確認できるものとなる。
【0113】
(3)注入ヘッド110を保持する機構としては図18のようなものであってもよい。この保持機構1320は、ベース部1325と、該ベース部1325に回動可能に連結された第1のアーム部材1331と、上記ベース部1325に回動可能に連結された第2のアーム部材1337と、上記第1および第2のアーム部材の先端側の端部がそれぞれ回動可能に連結され注入ヘッド110が取り付けられる保持部材1341とを備えている。ベース部1325、第1および第2のアーム部材1331、1337、ならびに保持部材1341によって平行リンクが構成される。
【0114】
ベース部1325は、他の部材を介してまたは介することなく、可動式のスタンドの支柱(不図示)または撮像装置の寝台の所定の取付位置に固定される。図18の保持機構は、平行リンク機構として設けられているので、注入ヘッド110の同じ姿勢のまま、前後方向に回動させることができる。
【0115】
図18の注入ヘッド保持機構1320を医療施設内の所定の箇所または所定の医療機器に取り付けるために、図26のような取付機構を利用することができる。この取付機構500は、注入ヘッド等を撮像装置のガイドレール(詳細下記)に固定するためのものである。
【0116】
取付機構500は、大きく分けて、注入ヘッド保持機構1320の一部を保持するための保持アセンブリ510と、その保持アセンブリ510を支持するベースアセンブリ550とで構成されている。なお、保持アセンブリ510とベースアセンブリ550は、別部品であってもよいし、一体的に構成されたものであってもよい。
【0117】
保持アセンブリ510は、図27にも示すように、注入ヘッド保持構造1320に設けられた丸軸1327が挿入される受入れ孔515を有する部材である。受入れ孔515は、この例では、丸孔で垂直に延在するように形成されている。なお、受入れ孔515の細部の構造や丸軸1327を固定するための構造等については他の図面も参照して後述するものとする。
【0118】
ベースアセンブリ550は、撮像装置のガイドレール330に取外し可能に固定される部材である。ガイドレール330は、例えば撮像装置の寝台の側部に設けられており、必要に応じて各種医療用機器が取り付けられる。ガイドレール330は、一般的に、矩形断面の金属製長尺部材である。
【0119】
ベースアセンブリ550は、その上面部に保持アセンブリ510が固定されている。ベースアセンブリ550は、この例では、ガイドレール330に対して上方から載せるようにして取り付けられるものである。ベースアセンブリ550は、図27に示すように、下方に延び出した2つの延出部551A、551Bを有している。延出部551A、551B(区別せず延出部551ともいう)には、下面側から鉛直上方に向かって形成された受入れ溝560が設けられており、この溝内にガイドレール330が入るようになっている。
【0120】
ベースアセンブリ550の全体的な形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では図28(ガイドレール330の側面に垂直な方向から見た図)に示すように、略逆∨字状(水平部分とその両端から斜め下方に向かって延びる2つの部分とからなる)となっている。ベースアセンブリ550は、図28の符号559に示すような直方体型のブロック状部材で構成してもよいが、本実施形態では、そのようなブロック状部材559の左右の肩部559a、559b、および、中央下部559cを省いたような全体形状である。これにより、保持の安定性を維持しつつコンパクトかつ軽量な構造となっている。
【0121】
図29図30に示すように、延出部551には締付けハンドル556が設けられており、これを回すことで受入れ溝560内に当接部材555が進出するように構成されている。当接部材555は、この例では、フラットな押圧面555aを有しており、この押圧面555aがガイドレール側面に当接するようになっている。
【0122】
図31図34を参照して、保持アセンブリ510による保持の仕組みについて説明する。図31図32に示すように、保持構造1320の丸軸1327は、ベース部1325から下方に突出しており、その一部に凹部1327aが形成されている。凹部1327aは、丸軸1327の径を部分的に小さくした部分であり、ここに、後述する保持アセンブリ510の当接部材527が嵌まるようになっている。丸軸1327の基端部付近には、軸から径方向外側に向かって張り出したキー部1327bが形成されている。限定されるものではないが、キー部1327bは、左右の2つの斜辺とその2つをなだらかなカーブでつなぐ頂部とで形作られる山型の形状であってもよい。
【0123】
このように形成された丸軸1327は、保持アセンブリ510の受入れ孔515に差し込まれる。受入れ孔515の入口付近には、図33に示すように、凹部515c(キー部1327bと相補的な形状)が形成されており、丸軸1327のキー部1327bがそこに嵌まり込むように丸軸1327の取付けが行われることで、丸軸1327の回転が規制されるようになっている。
【0124】
保持アセンブリ510に設けられたハンドル526を回すことで、受入れ孔515内に係合部材527が進出する。係合部材527は、丸軸1327の凹部1327aの外周に沿うような形状の湾曲面527aを先端に有している。係合部材527を所定位置まで進出させると、係合部材527の先端部が凹部1327a内に入った状態となり、これにより、丸棒1327が受入れ孔515から抜けることが防止される。
【0125】
上述したような保持構造では、丸軸1327の回転方向の動きおよび軸方向の動きの双方が規制される。したがって、不測の原因により丸軸1327が抜けて保持構造1320(さらにはそれに保持された注入ヘッド110)が落下することが防止される。また、キー部1327bと凹部515cの係合作用で回転を規制する方式であるので、構造が簡素であり、かつ、回転規制のために取付時に煩雑な作業も要しない。丸棒1327の抜けの防止に関しても、ハンドル526を回すだけなので作業は簡単である。
【0126】
さらに、図35図38に示すような構造を採用してもよい。この取付構造500′は、基本的には上述した取付構造500と同様の機能を有するが、ガイドレール330への固定方式が異なっている。取付構造500と同様の構造および機能に関しては、重複を避けるため説明を省略するものとする。すなわち、取付構造500をガイドレール330に対して上方から取り付けるのではなく、ガイドレール330の端部側から取付構造500をスライドさせるようにして取り付ける方式である。
【0127】
図37図38に示すように、延出部551は矢印A方向から見て、ガイドレールを取り囲むような略コの字型に形成されている。「略コの字型」は、図38に示すように、ガイドレール330の側面の一方の面する第1部分557と、ガイドレール330の上面および下面に沿う第2部分558aおよび第3部分558bと、ガイドレール330の反対側の側面に面する第4部分559とで構成されている。より詳細には、第4部分559としては、ガイドレール330の上面側に当接する上方の第4部分559と、ガイドレール330の下面側に当接する下方の第4部分559とが形成されている。このような構成により、結局、図38に示すように空隙部S551が形成さされることとなる。このような構成とすることで、ガイドレール330に取り付けられた他の部材(不図示)等と干渉することなく、取付構造500をガイドレール330に沿ってスライド移動させることが可能となる。
【0128】
図35図38の例では、ハンドル526′、556′の形状が前述したものと異なっているが、このように取付構造500の各部の形状や部品に関しては種々のもの使用することができる。ハンドル556′を回し、当接部材555のフラットな当接面555aと第4部分559のフラットな面559aとでガイドレール330の両側面を挟み込むことで、取付構造500のガイドレール330への安定的な固定が実現される。
【0129】
(4)薬液注入装置の機能説明の補足
本発明の一形態に係る血管造影用の薬液注入装置は、「インフュージョンモード」による自動注入を実施するものであってもよい。血管造影検査の場合、通常、医師が薬液注入装置の所定のスイッチを押している間のみ薬液の自動注入が行われる。しかしながら、インフュージョンモードでは、予め設定された注入速度および/または注入量で所定時間にわたって薬液の自動注入が行われる。この場合の薬液としては例えば抗がん剤などが挙げられる。このモードでは、注入速度は比較的低速に設定される。図39の例では1.0mL/secである。インフュージョンモードとしては、図39A図39Dのような画像が表示されてもよい。
【0130】
図39Aは、チェック状態の画面である。この画面では、シリンジの画像717p、シリンジ残量、全量注入ボタン、注入速度、注入量、注入時間、積算量等の情報が表示されている。なお、これらのうち1つまたは複数が省略されてもよい。この画面で「チェック」ボタンを押すと、次いで、図39Bのスタンバイ状態に遷移する。なお、これらの状態で、例えばホームボタン(不図示)を押すことで、ホーム画面(当該画面から各種モードを選択してそのモードに移行できる画面のことをいう)に戻ることができるように構成されていてもよい。
【0131】
図39Bの画面で「スタンバイ」ボタンを押すと、次いで、図39Cのスタンバイ状態に遷移する。この画面では、一例として「スタートOK」の文字と注入開始用の表示に切り替わったボタンが表示されている。そしてこのボタン722を押すことで、または、他の所定のボタンを押すことで、インフュージョンモードでの自動注入が開始される。
【0132】
注入中は、図39Dのような画面が表示されるようになっていてもよい。この注入中画像では、1つのシリンジ717pから複数の液滴が送出されているようなアニメーション表示が行われる。インフュージョンモードであることを医療従事者が良好に確認できるように、一形態では、シリンジ内の薬液の色および/液滴の色を、血管造影のための通常注入時の注入画面でのものと異なる色で表示するようにしてもよい。例えば、通常注入時では造影剤を緑色で生理食塩水を青色で表し、インフュージョンモードでは薬液をその他の色で表示するようにしてもよい。注入時間に関しては、残り時間がカウントダウン方式で表示されてもよいし、視覚的に確認できるインジケータが表示されてもよい。
【0133】
なお、インフュージョンモードは、基本的には、シリンジ内の薬液を全て打ち切るまで注入が継続するものであってもよいが、必要に応じ、途中で中断・停止することができるように構成されている。
【0134】
(5)血管造影用薬液注入装置でのCTモード注入
図18に示されているような血管造影用の薬液注入装置の注入ヘッドは、細いカテーテルを通じて造影剤を注入する必要があることから、基本的には高圧で注入が行われる(一例で、500psi~1200psi)。しかしながら、CT検査用の注入ヘッドで実施されるような比較的低圧の注入を行う「CTモード」が用意されていてもよい。CTモードの薬液注入では、例えば300psi以下の範囲で注入が実施される。また、血管造影とは異なる注入速度の上限値(例えば10ml/sec以下)が設定されていてもよい。限定されるものではないが、いずれのモード(ここでは、アンギオグラフィモードとCTモード)で薬液注入を実施するかを、グラフィカルユーザインターフェースを介して選択できるように構成されていてもよい。例えば、各モードを示すアイコンがコンソール画面上に表示され、操作者がそのいずれかを選ぶことでモードが選択されてもよい。
【0135】
このようにアンギオグラフィモード(血管造影)での注入と、CTモードでの注入のように、異なるモードの注入が実施可能な構成においては、共通の入力操作によって各モードでの薬液注入が開始されるように構成してもよいが、本実施形態では次のように構成されていてもよい。すなわち、あるモードにおける注入開始のための入力と、他のモードにおける注入開始のための入力とが、異なる操作となるように設定されている。具体的には、アンギオグラフィモードで注入を行うためには例えばハンドスイッチを押すことが必要であり、CTモードで注入を行うためには例えばそれとは別の機器の所定のスイッチを押すことが必要となっている。このように敢えて異なる入力が必要とされていることで、より安全な薬液注入が実施可能となる。
【0136】
薬液注入装置100が血管造影用の撮像装置300-2と通信可能に接続されている構成においては、両機器が連動して動作するように構成されていることが一形態において好ましい。例えば、撮像装置300-2の所定の機器を操作すると、薬液注入装置100の注入が開始されるようになっていても良い。連動がON状態であることを示す画像(アイコン等)が薬液注入装置100の所定の表示デバイス上に表示されるようになっていてもよい。スタンバイ画面に移行した場合にON状態であることを示す画像(アイコン等)が表示されるようになっていてもよい。例えば、不意にケーブルが抜けるなどして非接続状態となった場合、次のような動作を行うように構成されていてもよい:
-スタンバイ状態での非接続状態化の場合、スタンバイを解除する、
-注入中であれば注入を中断する。
【0137】
(6)発光パターン
注入ヘッド110の動作に関し、操作ノブ170(図40参照)を回したときやピストン駆動機構の動作状況に応じて、発光部173′が所定の発光パターンで発行するように構成されていてもよい。発光部173′の発光素子の配置パターンとしては種々のパターンを採用し得るが、ここでは、図41のように、操作ノブ170を包囲するような態様で複数の発光素子が配置されているものとする。
【0138】
発光素子としては、1つの素子で複数種類の色での発光を行うことができるものを並べてもよいし、あるいは、発光色の異なる素子を交互に、または、所定の順番で並べていってもよい。図41では、色の違いを模式的に示すために第1の色173aと第2の色173bとが示されている。
【0139】
注入ヘッド110は、ピストン駆動機構のラム部材を前進させるときに(薬液注入時、操作ノブを手動動作させた場合等)、第1の色173aを時計回りまたは反時計周りに順次表示して行くアニメーション表示を行うように構成されていてもよい。この場合、第2の色173bは発光させない。操作ノブを手動操作している場合には、その回転の速さに合わせてアニメーション表示の速度(つまり、発光素子の発行状態を切り替えていく速さ)を変更させてもよい。ラム部材を後退させるときには、上記と反対方向の表示を行うようにする。自動注入の場合には、設定された薬液注入速度に合せて、アニメーション表示の速度(つまり、発光素子の発行状態を切り替えていく速さ)を変更させてもよい。
【0140】
発光部173′の発光パターンによって、薬液注入装置が今どのようなステータスにあるかが分かるようになっていることも好ましい。そこで、本発明の一形態では、例えば「スタートOK」状態になっているのであれば、次の表示を行うように構成されていてもよい:
注入ヘッド110の2つの発光部173′のうち、一方については、第1のシリンジに対応した第1の色(例えば緑色)で発光素子を点灯させ、他方については、第2のシリンジに対応した第2の色(例えば水色)で点灯させる。
【0141】
何らかの理由でエラー状態となった場合には、2つの発光部173′のうち一方または両方で、点灯と消灯とを繰り返す発光パターンとしてもよい。
【0142】
本明細書に開示した個々の技術的特徴部は、他の技術的特徴部と適宜組み合わせることが可能である。また、複数の要素のうち1つまたは複数を省略することも可能である。
【0143】
なお、本明細書で云う各種の構成要素(デバイス、装置、手段、部、ユニットなど)は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていてもよい。一つの構成要素が複数の部材で形成されていてもよい。ある構成要素が他の構成要素の一部であってもよい。ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していてもよい。
【0144】
(付記)
本出願は以下の内容を開示する。なお、括弧内の符号は参考として付したものであり、本発明を限定する意図のものではない。
1.a:円筒状のシリンダ部材にピストン部材がスライド自在に挿入されたシリンジを保持するシリンジ保持部(140)と、
b:上記シリンジのピストン部材を移動させるためラム部材(131)を有するピストン駆動機構(130)と、
c:第1の色で発光し上記シリンジを照らす第1の発光部(133a)および第2の色で発光し上記シリンジを照らす第2の発光部(133b)と、
を備える注入ヘッド(110)であって、
第1の発光部(133a)および第2の発光部(133b)は、注入ヘッドの使用時姿勢で見て、上記ラム部材(131)よりも上方に設けられている、
注入ヘッド(110)。
【0145】
2.上記第1の発光部(133a)および第2の発光部(133b)は、円弧形状に形成されている。
【0146】
3.上記第1の発光部(133a)および第2の発光部(133b)は、上記ラム部材の中心軸と同軸の円弧形状である。
【0147】
4.上記シリンジは保護ケース(840)に収めた状態で上記シリンジ保持部に保持される。
【0148】
5.上記第1の発光部(133a)および第2の発光部(133b)の発光に関し、
薬液注入の準備フェーズでは、第1の発光部(133a)を点灯または点滅させず、
薬液注入フェーズで、第1の発光部(133a)を点灯または点滅させる、ように構成されている。
【0149】
・「薬液注入の準備フェーズ」とは、薬液注入フェーズに至る前のフェーズであって、シリンジ等が注入ヘッドにセットされる段階や、シリンジ内に薬液を充填する段階のことをいう。
・「薬液注入フェーズ」とは、実際に薬液を注入している段階のみであってもよいし、または、それに加えて、その直前段階(例えば注入を開始するために操作者が最終的な入力(「スタートOK」を押す等)を行う段階)、および/または、直後段階(注入停止の段階)を含むものであってもよい。
【0150】
このように、準備フェーズと注入フェーズとで、発光の態様を変えることで、操作者は、現時点のフェーズが何であるかを知ることが可能となる。
【0151】
6.上記シリンジを検出した場合、または上記シリンジに装着された保護ケースを検出した場合に、第1の発光部または第2の発光部のいずれかまたは両方を点灯または点滅させるように構成されている(消灯状態からの点灯/点滅状態への遷移)。
【0152】
7.上記シリンジ保持部は、上記シリンジの一部または同シリンジに装着された保護ケースの一部を保持するクランパ機構を有し、
上記クランパ機構が開状態から閉状態に切り換わった場合、または、閉状態から開状態に切り換わった場合に、第1の発光部または第2の発光部のいずれかまたは両方を点灯または点滅させるように構成されている(消灯状態からの点灯/点滅状態への遷移)。
【0153】
8.上記のいずれかに記載の注入ヘッド(110)と、上記注入ヘッドに接続されたコンソール(210)と、を備える薬液注入装置。
【0154】
9.1つまたは複数のディスプレイ(146)と、
第1の薬液が充填された第1の薬液収納体(800A)および第2の薬液が充填された第2の薬液収納体(800B)から薬液を押し出す装置における注入条件を設定するためのグラフィカルユーザインターフェースの情報を保持した制御装置(250)と、
を備える注入条件設定システム(210)であって、
上記グラフィカルユーザインターフェースは、
第1の薬液と第2の薬液との混和条件に関する情報を示す表示部(716)と、
混和条件を変更するためのウィンドウ(715)であって、操作者が入力を行うための入力ボタン画像(712)と、混和の方式を選択するための複数の混和方式設定ボタン(713)とを含むウィンドウ(715)と、
を含む、注入条件設定システム。
【0155】
10.上記複数の混和方式設定ボタン(713)として、倍率方式ボタン(713a)、割合方式ボタン(713b)、および比率方式ボタン(713c)のうち少なくとも2つが表示される。
【0156】
11.操作者が入力を行うための上記入力ボタン画像(712)がテンキーである。
【0157】
12.上記第1の薬液収納体が第1のシリンジであり、上記第2の薬液収納体が第2のシリンジである。
【符号の説明】
【0158】
100 薬液注入装置
110 注入ヘッド
111 筐体
111a 前端面
130 ピストン駆動機構
131 ラム部材
132 ボールナットユニット
133a、133b(133)、133a′、133b′ 発光部
135 ボールねじ
137 伝達機構
139 モータ
139s 回転センサ
140 シリンジ保持部
141 保護ケース受け
145 クランパ
146 表示部
150 制御回路
161 物理ボタン
162 位置センサ
163 クランパセンサ
164 シリンジセンサ
165 圧力センサ
168 記憶部
169 インターフェース
170 操作ノブ
173 インジケータ
190 電源ユニット
210 コンソール
250 制御部
251 ディスプレイ
253 タッチパネル
257 スロット
261 記憶部
262 通信部
269 インターフェース
300(300-1、300-2) 撮像装置
330 ガイドレール
311 RIS
313 PACS
315 情報管理装置
317 情報表示端末
319 撮像室内モニタ
500 取付機構
510 保持アセンブリ
515 受入れ孔
526 ハンドル
527 係合部材
550 ベースアセンブリ
551A、551B 延出部
555 当接部材
556、556′ ハンドル
557、558a、558b、559 第1部分~第4部分
560 受入れ溝
701 人体画像
703 撮像部位
704a、704b インジケータ
705a 注入速度ウィンドウ
705b 注入量ウィンドウ
706a、706b、706c フェーズ表示部
706s、707s ミキシングデバイス画像
707w ウィンドウ
707~709 画像ボタン
711 画像ボタン
712 テンキー
713a~713c 希釈設定ボタン
714 エンターキー
715、715′ テンキーウィンドウ
717a、717b、717p シリンジ
718 ミキシングデバイス
719a、719b 経路
721 一時停止表示
722 画像ボタン
800(800A、800B) シリンジ
810 シリンダ部材
820 ピストン部材(プランジャ)
840 保護ケース
1320 保持機構
1325 ベース部
1327 丸棒
1331、1337 アーム部材
1341 保持部材
1705a、1705b ウィンドウ
1761 注入結果表示
1762 モード表示
1763 ウィンドウ
図1
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