(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027386
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】バランスを判定するための機器およびその作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20230221BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61B5/11 210
A61H1/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207827
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2020526662の分割
【原出願日】2018-07-26
(31)【優先権主張番号】2017902981
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】520034808
【氏名又は名称】ペリメーター・セキュリティ・インダストリーズ・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン,イアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被験者のバランスの判定を容易にする。
【解決手段】光源と、光ガイドと、光検出器とを備える、バランスを判定するための機器であって、光源が、光ガイドに光を導くように構成され、光ガイドが、その上に被験者が立つように構成され、前記光検出器が、前記光ガイドから発する光を検出するように構成され、それにより、前記光ガイドの上に立っている被験者のバランスの判定を実行し、バランスの判定が、ある一定期間での光検出器の出力の変動を、人間のバランス能力の全般的な指標を表す変動スコアという数に変換して実行される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光ガイドと、
光検出器と
を備える、バランスを判定するための機器であって、
前記光源が、前記光ガイドに光を導くように構成され、
前記光ガイドが、その上に被験者が立つように構成され、
前記光検出器が、前記光ガイドから発する光を検出して、それにより、前記光ガイドの上に立っている被験者のバランスの判定を容易にするように構成される、機器。
【請求項2】
前記光源が発光ダイオードである、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記光ガイドが、実質的に平面の構成で回旋された光ファイバである、請求項1または2のいずれか一項に記載の機器。
【請求項4】
前記光ファイバがグリッドパターンで回旋されている、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記グリッドパターンが、実質的に直交するグリッドパターンである、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記光ファイバがマットに埋め込まれている、請求項3~5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記光検出器が、前記光ガイドから発する光の強度を測定するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
バランスの前記評価が、ある一定期間での前記光検出器の出力の変動に基づいている、請求項1~7のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
請求項1による機器を提供するステップと、
光ガイド上に立つよう被験者に指示するステップと、
光検出器の出力を分析して、それによって前記被験者のバランスを判定するステップとを含む、
前記被験者の前記バランスを判定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランス(balance)を判定する(assessing)ための機器(apparatus)および方法に関する。本発明の実施形態は、人々のバランスを判定する際の特定の用途を見いだすが、動物のバランスを判定するのに使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
バランスとは、特定の姿勢を維持する個人の能力を指す。立っている状態を維持するには、継続的で連続的な姿勢調整が必要となる。個人のバランスを特徴付けるためのツールは、転倒リスク判定(falls risk assessment)、脳振盪評価(concussion evaluation)、神経疾患判定(neurological disease assessment)、良好なバランスを要するスポーツでの能力などの目的で、ある一定範囲の健康およびスポーツの組織で使用される。
【0003】
現在使用されているツールは、アンケートと、Nintendo WiiおよびWiiの設計に基づく装置(device)を含むフォースプレート(force plate)およびバランスボード、ならびに揺れパターンを描くペンとともに被験者の胴体に取り付けられるストラップを含む、被験者の圧力中心の動きを計算するソフトウェアを有する機器と、携帯電話でのアクセラレータ(accelerators)を使用するアプリとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでに利用可能なツールは、製造コストが高いという問題に悩まされるか、実装するのに専門的な訓練が必要となるか、または一貫性のない結果をもたらすかのいずれかである。被験者のバランスを判定するための改良された機器および方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、光源と、光ガイドと、光検出器とを備える、バランスを判定するための機器を提供し、この光源は、光ガイドに光を導くように構成され、光ガイドは、その上に被験者が立つように構成され、光検出器は、光ガイドから発する光を検出して、それにより、光ガイドの上に立っている被験者のバランスの判定を容易にするように構成される。
【0006】
光源は、発光ダイオードでもよい。
光ガイドは、実質的に平面の構成で回旋された光ファイバでもよい。
この光ファイバは、グリッドパターンで回旋されてもよい。
【0007】
このグリッドパターンは、実質的に直交するグリッドパターンでもよい。
光ファイバは、マットに埋め込まれてもよい。
光検出器は、光ガイドから発する光の強度を測定するように構成されてもよい。
【0008】
バランスの判定は、ある一定期間での光検出器の出力の変動に基づいていてもよい。
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による機器を提供するステップと、光ガイド上に立つよう被験者に指示するステップと、光検出器の出力を分析して、それによって被験者のバランスを判定するステップとを含む、被験者のバランスを判定する方法を
提供する。
【0009】
次に、添付図面を参照しながら、ほんの一例として本発明の一実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】人間のバランスを判定するための機器の概略図である。
【
図2】光ファイバの回旋のパターンを示すように部分的に構成されたマットを示す図である。
【
図3】
図1の機器を使用して得られる試験結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、発光ダイオード(LED)22の形式での光源と、回旋状の光ファイバ24の形式での光ガイドと、フォトトランジスタ26の形式での光検出器とを備える、(人間である)被験者のバランスを判定するための機器10が示してある。光ファイバは回旋されており、マット20に埋め込まれている。
【0012】
使用される光ファイバは、ポリエチレンで被覆された光ファイバコードなどのプラスチック光ファイバである。この光ファイバは回旋されており、マットタイプの装置に埋め込まれている。光ファイバは、使用するため地面に置かれたマットの内側において、2つの接着性ポリエチレンフォームの間にメッシュで挟まれている。
【0013】
図2を参照すると、光ファイバの回旋パターンを示すように、構造体の途中までマットが示してある。このファイバは、曲がり具合が密になりすぎないように織られたグリッドパターンで回旋されている。前後のパターンは、最初に一方向(東西)に配置され、これに続いて、もう一方向(南北)に配向されたグリッドパターンの後続層が配置される。2層でのファイバは、互いにほぼ直交するように配向されている。続いて、ファイバ28の自由端が、既知のやり方で光コネクタによって終端される。
【0014】
再び
図1を参照すると、光ファイバ24の終端された端部が、完成したマットのエッジ部分に収容されている小型の電子モジュールに接続する。このモジュールは、アナログ段およびデジタル段を備える。アナログ段はLEDを駆動し、フォトトランジスタからアナログ出力電圧を受信する。このモジュールは、LEDを制御し、フォトトランジスタから受信した信号を処理する、デジタル段をさらに備える。デジタル段は、RS485インターフェースおよびケーブルによって、ラップトップコンピュータ(図示せず)などのコンピューティング装置とインターフェースする。
【0015】
人間のバランスを判定するために、回旋状の光ファイバを含むマットが地面に置かれる。次いで、この人間は、一定時間(たとえば1分間)マット上に直立するように指示される。この人間は、試験中に静的な直立姿勢を維持し、可能な限り動かないよう努めるように求められる。
【0016】
試験中、コンピューティング装置は、フォトトランジスタからの調整済み出力を受信し、これを処理する。1分間で、フォトトランジスタの出力は、1200回(毎秒20回)サンプリングされる。マット上に立っている人間がおこなう大小のいかなる動きも、光ファイバの曲げ運動を引き起こし、その結果、フォトトランジスタによって検出される光の強度が変動し、したがってフォトトランジスタの出力に影響を及ぼす。ある一定期間でのフォトトランジスタの出力の変動が、人間のバランスを判定するための基礎として使用される。
【0017】
ラップトップコンピュータは、人間のバランス能力の全般的な指標として、1~100
のスケールでの数として、ある一定期間でのフォトトランジスタの出力の変動を表すグラフィカルユーザインターフェースを表示する。このインターフェースはまた、必要に応じて、生データ(1200個のデータ点)をダウンロードおよび分析して、続いて試験結果をさらに分析できるようにする。
【0018】
図3を参照すると、試験の最後にユーザインターフェースによって表示される出力のいくつかの例が示してある。垂直軸は変動を示し、水平軸は時間を示す。
A-第1のグラフには、1.1の典型的な変動スコアを有する、バランスの良好な個人についての結果の典型的な例が示してある。
【0019】
B-スコアが100のグラフには、自身のバランスを維持するのが非常に困難な人間によって示されるパターンが示してある。この結果を出した人間は、自身のバランスを維持するのに明らかに苦労していた。
【0020】
C、D、E、およびF-40台の変動スコアを示すこれら4つのグラフは、自身のバランスを維持するように、わずかな姿勢調整を頻繁におこなう人々に典型的である。
変動スコアを計算することによって、このシステムは、バランスの良好な人々(変動スコアが1未満であることが一般的である)とバランスの悪い人々とを、一貫して迅速かつ容易に区別することができる。「バランス問題」を抱える人々を特定したら、複数の試験にわたって生データを分析して、問題の原因を診断する目的でバランス問題の範囲をさらに見通すことができる。
【0021】
前述の実施形態では、マット内の電子モジュールが、ケーブルによってコンピューティング装置に取り付けられていたが、他の実施形態では、このマットは無線で通信してもよい。
【0022】
前述の実施形態では、フォトトランジスタの形式での光検出器が利用された。他の実施形態では、光依存抵抗器(light dependent resistor)など他のタイプの構成部品を使用してもよい。
【0023】
この機器および方法は、転倒リスク判定での高齢者介護、スポーツでの脳振盪試験、ヨガのクラスで使用するための単一の踏み段を有するマット、治療を受けている患者の進捗を監視するためにリハビリテーションで使用することなど、数多くの様々な領域で使用することができる。
【0024】
前述の実施形態は、人々のバランスを判定するのに使用する場合で説明されたが、動物など他のタイプの被験者を判定してもよい。
本発明の各実施形態は、以下の利点のうち少なくとも1つの利点を有することが分かる。
・典型的な被験者は、バランス障害(balance disorder)または潜在的なバランス問題を抱えている場合がある。マット内で回旋される光ファイバの構成は非常に薄型であり、被験者が乗り降りするのが容易であり、被験者にとって使いやすくなり、こうした被験者は試験中に安全に感じることができる。
・この機器は、軽量で容易に持ち運ぶことができ、どんな平面上でも使用することができる。
・この機器は、単純で耐久性のある構造であり、ある試験から別の試験まで一貫した試験結果を提示する。
・この機器および方法を使用するのに、専門的な訓練は必要としない。
・使用される試験方法は、被験者側での協働または努力をほとんど必要とせず、任意の場所で迅速かつ容易に実施することができる。
【0025】
別段の定めがない限り、本明細書に含まれる従来技術へのいかなる言及も、その情報が共通の一般的知識であると認めるものとして解釈すべきではない。
最後に、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、前述の各部分に様々な変更または追加を加えてもよいことを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光ガイドと、
光検出器と
を備える、バランスを判定するための機器であって、
前記光源が、前記光ガイドに光を導くように構成され、
前記光ガイドが、その上に被験者が立つように構成され、
前記光検出器が、前記光ガイドから発する光を検出するように構成され、それにより、前記光ガイドの上に立っている被験者のバランスの判定を実行し、
バランスの判定が、ある一定期間での前記光検出器の出力の変動を、人間のバランス能力の全般的な指標を表す変動スコアという数に変換して実行される、機器。
【請求項2】
前記光ガイドが、平面の構成で回旋された光ファイバである、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記光ファイバがグリッドパターンで回旋されている、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記グリッドパターンが、直交するグリッドパターンである、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記光ファイバがマットに埋め込まれている、請求項2~4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
請求項1のバランスを判定するための機器の作動方法において、
前記光源が、その上に被験者が立つ前記光ガイドに光を導く工程と、
前記光検出器が、ある一定期間前記光ガイドからの光を所定の時間間隔毎に繰り返し検出する工程と、
を実行して、当該一定期間における検出された光の変動を取得する、作動方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
別段の定めがない限り、本明細書に含まれる従来技術へのいかなる言及も、その情報が共通の一般的知識であると認めるものとして解釈すべきではない。
最後に、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、前述の各部分に様々な変更または追加を加えてもよいことを理解されたい。
〔態様1〕
光源と、
光ガイドと、
光検出器と
を備える、バランスを判定するための機器であって、
前記光源が、前記光ガイドに光を導くように構成され、
前記光ガイドが、その上に被験者が立つように構成され、
前記光検出器が、前記光ガイドから発する光を検出して、それにより、前記光ガイドの上に立っている被験者のバランスの判定を容易にするように構成される、機器。
〔態様2〕
前記光源が発光ダイオードである、態様1に記載の機器。
〔態様3〕
前記光ガイドが、実質的に平面の構成で回旋された光ファイバである、態様1または2のいずれか一項に記載の機器。
〔態様4〕
前記光ファイバがグリッドパターンで回旋されている、態様3に記載の機器。
〔態様5〕
前記グリッドパターンが、実質的に直交するグリッドパターンである、態様4に記載の機器。
〔態様6〕
前記光ファイバがマットに埋め込まれている、態様3~5のいずれか一項に記載の機器。
〔態様7〕
前記光検出器が、前記光ガイドから発する光の強度を測定するように構成される、態様1~6のいずれか一項に記載の機器。
〔態様8〕
バランスの前記評価が、ある一定期間での前記光検出器の出力の変動に基づいている、態様1~7のいずれか一項に記載の機器。
〔態様9〕
態様1による機器を提供するステップと、
光ガイド上に立つよう被験者に指示するステップと、
光検出器の出力を分析して、それによって前記被験者のバランスを判定するステップと
を含む、
前記被験者の前記バランスを判定する方法。
【外国語明細書】