(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027387
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20230221BHJP
E06B 9/70 20060101ALN20230221BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207900
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2020111091の分割
【原出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】土田 健治
(57)【要約】
【課題】昇降コードを用いてモーターの駆動力で遮蔽材を昇降可能とする際の遮蔽材の上昇性能又は降下性能を向上させた遮蔽装置を提供する。
【解決手段】本発明の遮蔽装置は、遮蔽材(上部スクリーン6U又は下部スクリーン6L)の下端に設けられるレール(中間レール7U又はボトムレール7L)の昇降により当該遮蔽材を昇降させるための昇降コード3U又は3Lを巻き取り、或いは巻き戻す巻取ドラム51U又は51Lと、サポート部材(軸ケース50及び軸カバー53、並びに滑車55,56を回転可能に軸支するコード出口部材54)と、を備える。当該サポート部材は、巻取ドラム51U又は51Lによる当該昇降コードの巻き取り時に、前記昇降コードを順次押し巻きさせる機能(軸カバー53に形成された突起部53eの先端部53f)を有する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を昇降可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の下端に設けられるレールの昇降により前記遮蔽材を昇降させるための昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す巻取ドラムと、
前記巻取ドラムを回転可能に支持するサポート部材と、を備え、
前記サポート部材は、前記巻取ドラムによる前記昇降コードの巻き取り時に、前記昇降コードを順次押し巻きさせる機能を有することを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記サポート部材は、前記巻取ドラムにおける前記昇降コードの巻き取りを開始する基端部側に設けられる軸カバーを有し、
前記サポート部材は、前記巻取ドラムによる前記昇降コードの巻き取り時に、前記昇降コードを順次押し巻きさせる機能を有する突起部を有し、
前記突起部は、前記軸カバーに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記基端部に対し前記昇降コードのコード径よりも小さい隙間を維持するように湾曲した湾曲面を有し、
前記突起部の先端部は、当該押し巻きの機能を助力する弾性を有することを特徴とする、請求項2に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材を昇降可能とする遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽材を昇降可能とする遮蔽装置のうち、電動遮蔽装置は、典型的には、モーターの駆動力で駆動軸を回転させ、昇降コード(紐状コード或いはテープ状の昇降テープを含む)を巻取ドラムで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、遮蔽材を昇降可能となっている。
【0003】
このような電動遮蔽装置では、ヘッドボックス内にモーターが配設され、そのモーターの出力軸の回転が駆動軸に伝達され、その駆動軸の回転に基づいて遮蔽材が昇降される。
【0004】
また、電動遮蔽装置のヘッドボックス内には駆動軸の回転速度及び回転量を検出するエンコーダーが配設され、そのエンコーダーから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、ヘッドボックス内に配設される制御装置によりモーターの回転速度及び回転量が制御される。このような動作により、遮蔽材の昇降の速度が適宜に調整されるとともに、昇降させた遮蔽材の停止位置が制御される。
【0005】
一方で、手動遮蔽装置において、手動式専用の巻き取りユニットとして、上下方向に連ねた上部遮蔽材と下部遮蔽材の各々の昇降用の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻すための各巻取ドラムを回転可能に支持するサポート部材を構成したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
特許文献1に開示される手動遮蔽装置では、昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻すための巻取軸(即ち、巻取ドラム)を回転可能に支持するサポート部材に、挿通孔と、昇降コードの乱巻き防止用のスリット状ガイド部とを設けた巻き取りユニットを構成しており、このスリット状ガイド部は、当該サポート部材の下側からその挿通孔に挿通された昇降コードを巻取ドラムに向けて案内するようになっている。
【0007】
また、特許文献2に開示される手動遮蔽装置では、巻取軸(即ち、巻取ドラム)を回転可能に支持する巻き取りユニットの軸ケース(即ち、サポート部材)に、巻取ドラムの基端部側上方で軸カバーが設けられ、特に、特許文献2に開示される軸カバーは、昇降コードの移動に抵抗を付与することで、遮蔽材の下端に設けられるレールの自重降下を防止するブレーキ機構として機能するようになっている。尚、特許文献2に開示される軸ケースの下方には、上部遮蔽材用の昇降コードの巻取ドラムからの垂下を案内する滑車を挿通孔の上部に設ける例が図示され、この滑車の軸は巻取ドラムの軸方向に対し平行となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6282064号明細書
【特許文献2】特開2019-85851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、電動遮蔽装置は、典型的には、モーターの駆動力で駆動軸を回転させ、昇降コードを巻取ドラムで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、遮蔽材を昇降可能となっている。
【0010】
そして、電動遮蔽装置において、各巻取ドラムを回転可能に支持する軸ケースを有する巻き取りユニットについて、手動式専用の巻き取りユニットを転用することは原理的には可能である。
【0011】
しかしながら、電動遮蔽装置においては、一般的に、手動遮蔽装置の場合よりも遮蔽材の昇降速度が低く抑えられている。これは、電動遮蔽装置において手動式では操作負荷が大きくなる遮蔽材を扱うこともあることや、モーター負荷の軽減、又は操作の安全性が配慮されているためである。
【0012】
このため、電動遮蔽装置において、手動式専用の巻き取りユニットを転用すると、種々の問題が生じる。
【0013】
例えば、特許文献1に開示される手動式専用の巻き取りユニットを電動遮蔽装置に適用すると、上部遮蔽材の昇降下限付近で、上部遮蔽材用の昇降コードを巻取ドラムへと案内する際のスリット状ガイド部における乱巻き防止の隔壁に対する負荷成分が、低速の下降動作に対して無視できないほど大きくなり、上部遮蔽材が昇降下限位置まで余裕をもって十分に下降できず上部遮蔽材の降下性能に問題が生じることがある。
【0014】
また、特許文献2に開示される手動式専用の巻き取りユニットを電動遮蔽装置に適用すると、下部遮蔽材の昇降下限付近で、下部遮蔽材用の昇降コードを巻取ドラムへと案内する際の軸カバー(又は滑車)の負荷成分が、低速の下降動作に対して無視できないほど大きくなり、下部遮蔽材が昇降下限位置まで余裕をもって十分に下降できず下部遮蔽材の降下性能に問題が生じることがある。
【0015】
また、特許文献1,2に開示される手動式専用の巻き取りユニットを電動遮蔽装置に適用すると、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々の低速の上昇駆動時では、各巻取ドラムによる各昇降コードの巻き取りにおけるコード滑りが生じにくく、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々がガクガクと上昇するシャクリ現象が生じ、上昇性能に問題が生じることがある。
【0016】
尚、上述した問題は、上下方向に連なって配設した複数の遮蔽材の各々の昇降を行う電動遮蔽装置に限らず、前後に配設した複数の遮蔽材の各々の昇降を行う電動遮蔽装置、或いは単一の遮蔽材の昇降を行う電動遮蔽装置についても同様の問題が生じる。
【0017】
このため、電動遮蔽装置用に、各遮蔽材の昇降時の昇降コードの巻き取り、或いは巻き戻し性能を向上させる巻き取りユニットが要望される。また、手動で遮蔽材を昇降させる遮蔽装置においても適用可能な巻き取りユニットが要望され、上昇性能又は降下性能を向上させる技法が要望される。
【0018】
従って、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、昇降コードを用いてモーターの駆動力で遮蔽材を昇降可能とする際の遮蔽材の上昇性能又は降下性能を向上させた遮蔽材を昇降可能とする遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明による遮蔽装置は、遮蔽材を昇降可能とする遮蔽装置であって、前記遮蔽材の下端に設けられるレールの昇降により前記遮蔽材を昇降させるための昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す巻取ドラムと、前記巻取ドラムを回転可能に支持するサポート部材と、を備え、前記サポート部材は、前記巻取ドラムによる前記昇降コードの巻き取り時に、前記昇降コードを順次押し巻きさせる機能を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明による遮蔽装置において、前記サポート部材は、前記巻取ドラムにおける前記昇降コードの巻き取りを開始する基端部側に設けられる軸カバーを有し、前記サポート部材は、前記巻取ドラムによる前記昇降コードの巻き取り時に、前記昇降コードを順次押し巻きさせる機能を有する突起部を有し、前記突起部は、前記軸カバーに設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明による遮蔽装置において、前記突起部は、前記基端部に対し前記昇降コードのコード径よりも小さい隙間を維持するように湾曲した湾曲面を有し、前記突起部の先端部は、当該押し巻きの機能を助力する弾性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、昇降コードを用いてモーターの駆動力で遮蔽材を昇降可能とする遮蔽装置における遮蔽材の上昇性能又は降下性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図、正面図及び側面図である。
【
図2】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る一実施例の巻き取りユニットの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る一実施例の巻き取りユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図5】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニットにおけるコード出口部材の滑車の配置転換を可能とする様子を示す平面図である。
【
図6】本発明に係る一実施例の巻き取りユニットの概略構成を示す部分的に断面図示した正面図である。
【
図7】(a)は、本発明に係る一実施例の巻き取りユニットの概略構成を示す部分的に断面図示した側面図であり、(b)はその簡略図である。
【
図8】(a)は従来技術に基づく比較例の巻き取りユニットの下降性能に関する動作を示す簡略図示した平面図であり、(b)は本発明に係る一実施例の巻き取りユニットの下降性能に関する動作を示す簡略図示した平面図である。
【
図9】(a)は、本発明に係る変形例の巻き取りユニットの概略構成を示す部分的に断面図示した側面図であり、(b)は本発明に係る変形例の巻き取りユニットにおけるコード出口部材の滑車の配置転換を可能とする様子を示す平面図である。
【
図10】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニットにおける軸カバーの配置転換を可能とする様子を示す平面図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニットにおける一実施例の軸カバーの突起部による昇降コードの巻き取りに係る押し巻きを行う際の線接触時及び点接触時の様子を示す平面図である。
【
図12】(a)は従来技術に基づく比較例の巻き取りユニットの上昇性能に関する動作を示す簡略図示した平面図であり、(b)は本発明に係る一実施例の巻き取りユニットの上昇性能に関する動作を示す簡略図示した平面図である。
【
図13】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニットにおける変形例の軸カバーの形状と、その変形例の軸カバーの突起部による昇降コードの巻き取りに係る押し巻きを行う際の様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、
図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動遮蔽装置の左側、及び、図示右方向を電動遮蔽装置の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0025】
(全体構成)
図1(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図(見下げ図)、正面図及び側面図である。
図1に示す電動遮蔽装置の代表例として複数の遮蔽材を上下に連なって配設しそれぞれ昇降可能とする電動プリーツスクリーンを示している。ただし、紐状の昇降コードを用いて、単一又は複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば、プリーツスクリーン、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下又は前後方向に配設するように組み合わせたハイブリッド構成の電動遮蔽装置としてもよい。
【0026】
図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1の下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした上部スクリーン6Uが吊下支持され、その上部スクリーン6Uの下端は、錘部材として機能する中間レール7Uの上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
【0027】
本例の上部スクリーン6Uは、
図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下される昇降コード3U,3Lが挿通される。このため、昇降コード3U,3Lは上部スクリーン6Uの背面側に垂下して、
図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、上部スクリーン6Uの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3U,3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図1(c)に示すように、昇降コード3U,3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Uが垂下され、その下端が中間レール7Uに取着されている。このピッチ保持コード4Uには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3U,3Lが挿通されている。そして、中間レール7Uを下降させて上部スクリーン6Uを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Uの各支持コード40に支持されて、上部スクリーン6Uの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0028】
また、中間レール7Uの下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした下部スクリーン6Lが吊下支持され、そのスクリーン6Lの下端は、錘部材として機能するボトムレール7Lの上面に取着される。
【0029】
本例の下部スクリーン6Lについても、上部スクリーン6Uと同様に、
図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下され中間レール7Uを貫通する昇降コード3Lが挿通される。このため、昇降コード3Lは下部スクリーン6Lの背面側に垂下して、
図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、下部スクリーン6Lの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図1(c)に示すように、昇降コード3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Lが垂下され、その下端がボトムレール7Lに取着されている。このピッチ保持コード4Lには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3Lが挿通されている。そして、ボトムレール7Lを下降させて下部スクリーン6Lを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Lの各支持コード40に支持されて、下部スクリーン6Lの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0030】
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各巻き取りユニット5には、巻取ドラム51U,51Lが前後に並設されて回転可能に支持される。
【0031】
それぞれの巻取ドラム51Uには、紐状の昇降コード3Uの上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Uの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、中間レール7Uに取着される。巻取ドラム51Uは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、紐状の昇降コード3Uが巻取ドラム51Uに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0032】
また、それぞれの巻取ドラム51Lには、紐状の昇降コード3Lの上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Lの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、更に、中間レール7Uを貫通して、下部スクリーン6Lの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、ボトムレール7Lに取着される。巻取ドラム51Lは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、紐状の昇降コード3Lが巻取ドラム51Lに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0033】
それぞれの巻取ドラム51Uの中心軸には駆動軸2Uが挿通され、駆動軸2Uの回転を巻取ドラム51Uに伝達するようになっている。
【0034】
同様に、それぞれの巻取ドラム51Lの中心軸には駆動軸2Lが挿通され、駆動軸2Lの回転を巻取ドラム51Lに伝達するようになっている。
【0035】
特に、詳細は後述するが、本実施形態の巻き取りユニット5は、巻取ドラム51U,51Lの基端側をカバーするとともに、それぞれの昇降コード3U,3Lの巻き取りに係る押し巻きを行ってシャクリ現象を抑制しそれぞれ上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lの上昇性能を向上させる軸カバー53と、それぞれの昇降コード3U,3Lを外部に導出するよう案内するとともに、それぞれの昇降コード3U,3Lにおける少なくとも送り出し負荷を軽減させる所定の傾斜角度で、各巻取ドラム51U,51Lの軸方向に対し傾斜して配置し、それぞれ上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lの下降性能を向上させる滑車55,56と、を備えるように構成されている。
【0036】
ところで、巻取ドラム51Uには、中間レール7Uの下降が障害物との接触により妨げられると駆動軸2Uの回転をロックするクラッチ機構(図示略)が障害物検知停止装置として設けられている。また、巻取ドラム51Lにおいても、ボトムレール7Lの下降が障害物との接触により妨げられると駆動軸2Lの回転をロックするクラッチ機構(図示略)が障害物検知停止装置として設けられている。
【0037】
駆動軸2Uの一端は、駆動軸連結器20Uを介してモーター9Uの出力軸に連結され、モーター9Uの出力軸の回転が駆動軸2Uに伝達される。従って、モーター9Uの駆動力で駆動軸2Uを回転させ、駆動軸2Uの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Uで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール7Uを昇降可能とし、これにより上部スクリーン6Uを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Uは、上部スクリーン6Uの下降時に昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール7Uの自重)を利用しているため、その駆動力がクラッチ機構(図示略)を介して巻取ドラム51Uから駆動軸2Uに伝達し、この駆動軸2Uに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0038】
また、駆動軸2Lの一端は、駆動軸連結器20Lを介してモーター9Lの出力軸に連結され、モーター9Lの出力軸の回転が駆動軸2Lに伝達される。従って、モーター9Lの駆動力で駆動軸2Lを回転させ、駆動軸2Lの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Lで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7Lを昇降可能とし、これにより下部スクリーン6Lを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Lは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3Lに係る張力(下部スクリーン6L及びボトムレール7Lの自重)を利用しているため、その駆動力がクラッチ機構(図示略)を介して巻取ドラム51Lから駆動軸2Lに伝達し、この駆動軸2Lに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0039】
モーター9U,9Lの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9U,9L、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉を操作するための操作装置25から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9U,9LをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9U,9Lに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9U,9Lの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2U,2Lのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8U,8Lが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8U,8Lから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御する。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降速度を適宜に調整するとともに、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降停止位置を制御する。
【0040】
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、中間レール7Uをヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間に上部スクリーン6Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7Lを下降させれば、ヘッドボックス1から下部スクリーン6Lが所望位置まで遮蔽された状態となる。
【0041】
また、ボトムレール7Lを下限まで下降させた状態で、中間レール7Uをボトムレール7L上まで下降させると、中間レール7Uとボトムレール7Lとの間で下部スクリーン6Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間で上部スクリーン6Uが遮蔽された状態となる。従って、例えば上部スクリーン6Uを採光性生地とし、下部スクリーン6Lを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。
【0042】
そして、ボトムレール7Lを下限まで下降させ、中間レール7Uをヘッドボックス1とボトムレール7との中間に位置させれば、採光性生地とした上部スクリーン6Uを透過した柔らかな光を採光することができる。
【0043】
また、ボトムレール7Lを上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール7Uと共にボトムレール7Lを引き上げ、ヘッドボックス1とボトムレール7Lとの間に上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
【0044】
(制御装置の構成)
図2は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0045】
制御装置10は、操作装置25からの操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えば制御装置10は、エンコーダー8U,8Lからのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理してモーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御し、各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の昇降速度を適宜に調整するとともに、各遮蔽材の昇降停止位置を制御する。
【0046】
そして、
図2に示すように、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、通信インターフェース(IF)部103、モーター駆動部107U,107L、異常検知部108U,108L、及びパルス検出部109U,109Lを備える。
【0047】
通信IF部103は、
図2では包括的に図示しているが、操作装置25の各形態に応じて、操作装置25との双方向又は片方向の通信を行い、操作装置25からの操作信号を受信して、マイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
【0048】
例えば、通信IF部103は、操作装置25が近距離無線通信で操作信号を発信するように構成されているときは、当該操作装置25からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能を有し、マイクロコンピュータ部101と操作装置25との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
【0049】
また、通信IF部103は、操作装置25が赤外線信号で操作信号を発信するように構成されているときは、当該操作装置25からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能を有する。
【0050】
また、通信IF部103は、操作装置25が双方向又は片方向の有線通信で操作信号を発信するように構成されているときは、当該操作装置25からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能を有する。
【0051】
例えば、本発明に係る操作装置25は、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉位置指定が不能な形態、例えば、各遮蔽材の開閉を個別に操作可能とする有線又は無線スイッチ、赤外線スイッチ、マルチスイッチ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ゾーンスイッチ、ダイヤルスイッチ等とするだけでなく、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)のそれぞれの開閉位置について個別又は同時に指定して、有線又は無線で操作するためのマルチスイッチ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ゾーンスイッチ、ダイヤルスイッチ等とすることができる。
【0052】
モーター駆動部107U,107Lは、それぞれモーター9U,9Lの駆動を行うモータードライバーである。
【0053】
異常検知部108U,108Lは、それぞれモーター駆動部107U,107Lにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
【0054】
パルス検出部109U,109Lは、それぞれエンコーダー8U,8Lからのパルス信号をそれぞれ受信し、マイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
【0055】
マイクロコンピュータ部101は、記憶部102に予め記憶させたプログラムを読み出して実行することにより、通信IF部103を介して受信する操作信号を受け付け、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを処理する。これにより、電動遮蔽装置の各種制御を行う制御装置10をコンピュータとして構成することができる。
【0056】
そして、マイクロコンピュータ部101による当該プログラムの実行によって実現される制御装置10の機能には、操作信号を受け付け当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを判別し対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う機能、各エンコーダー8U,8Lからのパルス信号をそれぞれ受信するパルス検出部109U,109Lを介してエンコーダーパルスの有無及びエンコーダーパルス数のカウントを行いながら、適宜、そのカウント値を記憶部102に記憶して管理する機能、エンコーダーパルス数のカウント値に応じて設定可能な各遮蔽材の設定上限位置や設定下限位置等に関する各種設定を記憶部102に記憶して管理する機能、モーター9U,9Lの駆動をそれぞれ行うモーター駆動部107U,107Lを介してモーター9U,9Lの駆動制御を行う機能、及び、モーター駆動部107U,107Lにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上の)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する異常検知部108U,108Lを介して、その異常値を監視する機能が含まれる。
【0057】
尚、本実施形態の電動遮蔽装置では、モーター9L,9Uの各々と制御装置10はモーターハーネスで接続されているが、従来の電動プリーツスクリーンのようなスクリーンを昇降させる際の物理上限位置及び物理下限位置を検知するための物理的な検出スイッチを設けていない。この場合でも、制御装置10は、エンコーダー8L,8Uから得られるエンコーダーパルスのカウント値による絶対的な上設定下限位置を定めておくか、或いは異常検知部108L,108Uによるモーター駆動部107L,107Uにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又は動作制御中に所定時間の当該エンコーダーパルスの入力が無くなることを検知するなど、これら1以上の方法で、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、その物理的な昇降操作可能範囲を規定する物理上限位置及び物理下限位置を検出することができる。そして、制御装置10は、検出した物理上限位置及び物理下限位置を基準に、各遮蔽材の設定上限位置や設定下限位置等に関する各種設定を行うことができる。
【0058】
(巻き取りユニット)
図3は、本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5の概略構成を示す斜視図であり、
図4は、巻き取りユニット5の概略構成を示す分解斜視図である。尚、
図4は、
図1(a)に示す左右にそれぞれ配置される巻き取りユニット5のうち、左側に配置される巻き取りユニット5の分解斜視図であり、右側に配置される巻き取りユニット5とは軸方向に向きを反転配置されているが、いずれも同一構造を有しており、左右向きの配置転換可能な部材で構成されている。また、
図5(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5におけるコード出口部材54の各滑車55,56の配置転換を可能とする様子を示す平面図である。そして、
図6は、巻き取りユニット5の概略構成を示す部分的に断面図示した正面図である。
【0059】
特に、
図4を参照して説明するに、本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5は、軸ケース50と、障害物検知停止装置として機能させるクラッチ機構52U付きの巻取ドラム51Uと、障害物検知停止装置として機能させるクラッチ機構52L付きの巻取ドラム51Lと、軸カバー53と、コード出口部材54と、昇降コード3U用の滑車55と、昇降コード3L用の滑車56と、を備える。
【0060】
軸ケース50及び軸カバー53は、各巻取ドラム51U,51Lを回転可能に支持するサポート部材として構成され、滑車55,56を回転可能に軸支するコード出口部材54は、軸ケース50の底面側に取着される当該サポート部材の一部として構成される。従って、本実施例におけるコード出口部材54と軸ケース50は、組み立て性の観点からの好適例として別部材としているが、一体の部材とすることも可能である。
【0061】
まず、巻取ドラム51U及びクラッチ機構52Uの中心軸には駆動軸2Uが挿通され、同様に、巻取ドラム51L及びクラッチ機構52Lの中心軸には駆動軸2Lが挿通される。
【0062】
各巻取ドラム51U,51Lは、それぞれ昇降コード3U,3Lの巻き取りを開始する基端部側から昇降コード3U,3Lの一端を取着するコード取着部51cが設けられた先端部にかけて徐々に径が小さくなるコーン形状を有しており、全体として基端部側で急傾斜面を有する急斜面部位51dと、急斜面部位51dから先端部にかけて緩傾斜面を有する緩斜面部位51eとに分けられる。そして、各巻取ドラム51U,51Lの基端部側にはそれぞれクラッチ機構52U,52Lを部分的に収容する軸部51bが設けられており、コード取着部51cが設けられた先端部にはそれぞれの駆動軸2U,2Lを非係合に貫通する貫通孔511が形成された軸部51aを有するキャップ部材が固着されている。尚、各巻取ドラム51U,51Lにおける急斜面部位51dは、緩斜面部位51eの領域に比べて径変化が大きいものとなっている。
【0063】
各クラッチ機構52U,52Lは、それぞれの駆動軸2U,2Lの回転を巻取ドラム51U,51Lに伝達し、且つそれぞれ巻取ドラム51U,51Lの駆動力を駆動軸2U,2Lに伝達するよう係合する筒状の回転ドラム(図示略)と、それぞれの当該回転ドラムに対し軸方向にスライド可能とする筒状のカムクラッチ52aとを有している。筒状のカムクラッチ52aの周壁には鋸歯状のカム部52bが形成されている。
【0064】
そして、上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを有する上部スクリーン6U)の下降時に、駆動軸2Uと係合する当該回転ドラムの回転に対し巻取ドラム51Uの回転に遅れが生じたときに(即ち、障害物を検知したときに)、クラッチ機構52Uにおけるカムクラッチ52aのカム部52bが軸方向に巻取ドラム51Uの軸部51bから突出し、障害物が除去されると軸部51b側に引っ込むようにスライドするようになっている。同様に、下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを有する下部スクリーン6L)の下降時に、駆動軸2Lと係合する当該回転ドラムの回転に対し巻取ドラム51Lの回転に遅れが生じたときに(即ち、障害物を検知したときに)、クラッチ機構52Lにおけるカムクラッチ52aのカム部52bが軸方向に巻取ドラム51Uの軸部51bから突出し、障害物が除去されると軸部51b側に引っ込むようにスライドするようになっている。
【0065】
尚、本実施形態の各巻取ドラム51U,51Lでは、それぞれの駆動軸2U,2Lの回転を各クラッチ機構52U,52Lを介して伝達するものとしているが、各クラッチ機構52U,52Lを設けない構成としてもよく、その場合には、それぞれの駆動軸2U,2Lの回転を各巻取ドラム51U,51Lに直接的に伝達するように相対回転不能に係合挿通する構成とする。
【0066】
軸ケース50は、各巻取ドラム51U,51Lを前後方向に並設して回転可能に支持する図示するような椀状の収容部50aを有している。そして、軸ケース50の基端部側に設けられる前後方向に一対の環状の軸受部50bには、それぞれ巻取ドラム51U及び巻取ドラム51Lの基端側の各クラッチ機構52U,52Lにおける筒状のカムクラッチ52aが挿通支持される。そして、軸ケース50の先端部側に設けられる丸凹部50cには、それぞれ巻取ドラム51U及び巻取ドラム51Lの先端側の軸部51aが支持される。尚、軸ケース50は、前後方向で配置転換しても対称となる形状となっている。
【0067】
また、軸ケース50には、各巻取ドラム51U,51Lにおける軸部51bをそれぞれ支持する一対の軸受部50eも形成され、一対の軸受部50eと収容部50aとの境界には壁部50dを持つ段差が形成されている。そして、軸ケース50は、各巻取ドラム51U,51Lにおける軸部51b及び急斜面部位51dの境界が壁部50dに位置した状態で、各巻取ドラム51U,51Lを前後方向に並設して回転可能に支持するようになっている。尚、各軸受部50e上には凸部50fが形成されており、各クラッチ機構52U,52Lにおけるカムクラッチ52aのカム部52bが軸方向に各巻取ドラム51U,51Lの軸部51bから突出したときに、それぞれの凸部50fに当接することで各駆動軸2U,2Lの回転をロックするようになっている。
【0068】
軸ケース50には、各巻取ドラム51U,51Lを載置した状態でその上方から軸カバー53を嵌着するために、各巻取ドラム51U,51L用の一対の軸受部50b,50eの前後においてそれぞれ端壁片50gが直立形成され、また当該一対の軸受部50b,50e間には平面部50iが形成されており、各端壁片50gには嵌合孔50hが設けられている。
【0069】
軸カバー53は、各巻取ドラム51U,51Lの軸部51bを上方から支持する本体部53aを有し、その本体部53aの後端側略中央部には嵌合凸部53b、本体部53aの前端側略中央部には嵌合凸部53cが形成されている。そして、本体部53aの前後方向の略中央部には下方に延びる突き当て片53dが形成されている。この突き当て片53dが軸ケース50の平面部50iに突き当てられた状態で、各嵌合凸部53b,53cがそれぞれ軸ケース50の各端壁片50gに設けられる嵌合孔50hと嵌合させることにより、軸ケース50に載置した各巻取ドラム51U,51Lの軸部51bを上方から回転支持するように、軸カバー53を嵌着することができる。
【0070】
ところで、本実施形態の各巻取ドラム51U,51Lを回転可能に支持するサポート部材は、軸カバー53によって、本体部53aの左右端両側において、各巻取ドラム51U,51Lの急斜面部位51d単体で巻き取り可能な各昇降コード3U,3Lの巻き数(本例では、7本)をより少ない所定本数以下(確実には、3巻き以下)とするように突起する段差状の突起部53eが形成されている。各突起部53eと急斜面部位51dとの間は各昇降コード3U,3Lのコード径よりも小さい隙間を維持するように湾曲した湾曲面531が形成されている。また、各突起部53eの先端部53fは、好適例として当該押し巻きの機能をより向上させるべく、より肉厚を抑えることで弾性を有するものとし、各昇降コード3U,3Lに対し線接触でも点接触でもよいように、上方から見て略三角状に形成されている(
図10及び
図11を参照して後述する。)。尚、各昇降コード3U,3Lに対し線接触でも点接触でもよいので、各突起部53eにおける先端部53fの上方から見た形状は、円形状でも楕円形状でもその他の多角形状でもよい。このため、各突起部53eは、各巻取ドラム51U,51Lが低速回転でもそれぞれの昇降コード3U,3Lを順次押し巻きさせる機能を有している。
【0071】
即ち、
図4に図示する例において、本体部53aの右端両側に設けられている各突起部53eにより、それぞれの各昇降コード3U,3Lが各巻取ドラム51U,51Lに対し1巻きずつ滑りながら巻き取りを行うことができるようになる。尚、合計4つの段差状の突起部53eは、本体部53aの左右端両側に設けられているが、巻き取りユニット5の左右向きの配置転換を可能とするためである。また、このような当該押し巻きの機能を持つ各突起部53eは、軸カバー53に設ける代わりに、軸ケース50側に設けることも可能である。ただし、軸カバー53側に各突起部53eを設けることで、それぞれの昇降コード51U,51Lを各巻取ドラム51U,51Lにより巻き取り始める位置で押し込み作用を働かせることができるので、当該押し巻きの性能を、より向上させることができる。
【0072】
また、軸ケース50には、その底面側から、各巻取ドラム51U,51Lから垂下する各昇降コード3U,3Lについて各滑車55,56を介して案内するコード出口部材54を嵌着するために、前後方向に開口部50j,50K,50mが設けられ、開口部50j,50K間及び開口部50j,50m間にはそれぞれ板状受片50nが形成されるとともに、各突き当て片50nの左右方向両端には嵌合受部50pが形成されている。
【0073】
コード出口部材54は、各滑車55,56を回転可能に軸支し、各巻取ドラム51U,51Lから垂下する各昇降コード3U,3Lについて各滑車55,56を介して案内するための部材である。特に、コード出口部材54は、各滑車55,56の軸55a,56aを各巻取ドラム51U,51Lの軸方向に対し非平行、即ち傾斜して配置させ、各昇降コード3U,3Lの巻取ドラム51U,51Lからの垂下に係る負荷(少なくとも送り出し負荷)を軽減させて案内するようになっている。
【0074】
より具体的に、コード出口部材54は、略平板状の本体の後端側に直立する概ねコの字断面のカバー壁54bが形成された外形を有し、その略平板状の本体の前端側及び前後方向略中央部に突き当て片54aが形成されている。そして、略平板状の本体の前端側の突き当て片54aの左右方向両端側近傍に一対の掛片54eが前方に突出形成され、略平板状の本体の前後方向略中央部の突き当て片54aの左右方向両端側近傍に一対の爪部54fが後方に突出形成されている。一対の掛片54e及び一対の爪部54fは、軸ケース50の開口部50jの前後に形成されるそれぞれの嵌合受部50pと嵌合し、コード出口部材54を軸ケース50の下方から装着できるようになっている(
図7(a)を参照して後述する。)。
【0075】
コード出口部材54が軸ケース50の下方から装着された状態では、コード出口部材54のカバー壁54bを含む本体形状により、軸ケース50の開口部50j,50kが塞がれる。ここで、軸ケース50の開口部50mが塞がれていない。ただし、本例では、巻き取りユニット5の左右向きの配置転換可能とするべく、コード出口部材54の前後方向の配置転換も可能としており、軸ケース50に対し図示する例とは反転装着すると、軸ケース50の開口部50j,50mが塞がれる。そこで、開口部50mが塞がれるようにカバー壁54bと同様のカバー壁を略平板状の本体の前端側に設けることも可能であるが、本例では、軸ケース50に対するコード出口部材54の装着向きが一目で理解できるようにするとともに、昇降コード3Uのはみ出しを抑制できる側にのみカバー壁54bを設けている。尚、コード出口部材54の底面下方には角状突起部54k(
図7(a)参照)が形成されており、この角状突起部54kがヘッドボックス1の底面に形成される角状孔(図示略)と係合し、尚且つ軸ケース50の端壁片50gがヘッドボックス1内に係合して載置されることで、前後・左右・上下のがたつきが抑制される。
【0076】
特に、本実施形態のコード出口部材54においては、巻取ドラム51Uから垂下する昇降コード3Uを挿通させるための挿通孔54cがコード出口部材54における前後方向略中央部の突き当て片54aの前後方向略中央部の前側近傍に設けられ、巻取ドラム51Lから垂下する昇降コード3Lを挿通させるための挿通孔54dがコード出口部材54におけるカバー壁54bの前後方向略中央部の前側近傍に設けられている。
【0077】
そして、
図5(a),(b)におけるコード出口部材54の平面視(見下げ図)から理解されるように、滑車55の両端の軸55aを回転可能に係合軸支するための2種類の一対の軸受部54g、54hが設けられ、この2種類の一対の軸受部54g、54hのいずれも、巻取ドラム51Uの軸方向に対し非平行、即ち傾斜して滑車55を配置させるようになっている。そして、一対の軸受部54g、54hの各々は、滑車55の軸55aを着脱可能であるが、一旦嵌め込むと容易に外れることがないように略Ω形状の軸受溝541が形成されている。同様に、滑車56の両端の軸56aを回転可能に係合軸支するための2種類の一対の軸受部54i、54jが設けられ、この2種類の一対の軸受部54i、54jのいずれも、巻取ドラム51Lの軸方向に対し非平行、即ち傾斜して滑車56を配置させるようになっている。そして、一対の軸受部54i、54jの各々は、滑車56の軸56aを着脱可能であるが、一旦嵌め込むと容易に外れることがないように略Ω形状の軸受溝542が形成されている。滑車55,56の各々は、同一形状とする例を示しているが、径の異なる別形状としてもよい。
【0078】
そして、
図5(a),(b)に対比して示すように、各滑車55,56の傾斜角度は、設置向きの配置転換を可能とする対称な複数種が設定されている。即ち、
図1(a)に示す左右にそれぞれ配置される巻き取りユニット5のうち、左側に配置される巻き取りユニット5については
図5(a)に示すように滑車55,56の各々を配置させ、
図1(a)に示す左右にそれぞれ配置される巻き取りユニット5のうち、右側に配置される巻き取りユニット5については
図5(b)に示すように滑車55,56の各々を配置させることができ、同一部材で巻き取りユニット5の左右向きの配置転換を可能としている。
【0079】
尚、それぞれ巻取ドラム51U,51Lの軸方向に対する滑車55,56の各々の傾斜角度として、平行な状態を0°、垂直な状態を90°とすると、
図5(a),(b)に示す例では、傾斜角度30°とする例を示しているが、利用する巻取ドラム51U,51Lの形状や大きさによって、採用する傾斜角度として0°より大きく、90°より小さい任意の角度が想定される。
図6には、コード出口部材54において、滑車55の軸55aを巻取ドラム51Uの軸方向に対し非平行、即ち傾斜して配置させ、昇降コード3Uの巻取ドラム51Uからの垂下に係る負荷(少なくとも送り出し負荷)を軽減させて案内する様子を示している。
【0080】
また、
図7(a)は、本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5の概略構成を示す部分的に断面図示した側面図であり、
図7(b)は、
図7(a)における各滑車55,56の配置を分かりやすく図示した簡略図である。
図7(a)に示すように、コード出口部材54における一対の掛片54e及び一対の爪部54fは、軸ケース50の開口部50jの前後に形成されるそれぞれの嵌合受部50pと嵌合し、コード出口部材54を軸ケース50の下方から装着できるようになっている。
図7(a),(b)に示すように、各突起部53eが形成された軸カバー53を用いることで、各突起部53eの先端部53fの機能により、各巻取ドラム51U,51Lが低速回転でもそれぞれの昇降コード3U,3Lを順次押し巻きさせる。更に、各滑車55,56の軸55a,56aを各巻取ドラム51U,51Lの軸方向に対し非平行、即ち傾斜して配置させるコード出口部材54を用いることで、各昇降コード3U,3Lの巻取ドラム51U,51Lからの垂下に係る負荷(少なくとも送り出し負荷)を軽減させて案内する。
【0081】
尚、
図7(b)から理解されるように、コード出口部材54は、各滑車55,56の配置について、傾斜して配置させるだけでなく、巻取ドラム51U,51Lの形状に合わせて、巻取ドラム51U,51Lの中心軸からの距離La,Lbとして同じとしてもよいし、本例のように異なる距離として、2種類の一対の軸受部54g、54h、及び2種類の一対の軸受部54i、54jを形成したものとすることができる。即ち、各滑車55,56は、対応する各巻取ドラム51U,51Lと昇降コード3U,3Lを外部に導出するように設けられている挿通孔54c,54dとの間に設けられているが、巻取ドラム51Uと挿通孔54cとの位置関係、並びに巻取ドラム51Lと挿通孔54dとの位置関係に基づいて、各巻取ドラム51U,51Lに対する距離La,Lbが設定されている。
【0082】
また、本実施形態では、
図7(a),(b)に示すように、巻取ドラム51Uの図示右側(後方側)から昇降コード3Uを垂下させて滑車55を介して挿通孔54cに垂下させる例を示しているが、巻取ドラム51Uの巻き取り方向を逆側にして、巻取ドラム51Uの図示左側(前方側)から昇降コード3Uを垂下させて滑車55を介して挿通孔54cに垂下させてもよく、この場合も、滑車55を傾斜配置としていることから、巻取ドラム51Uからの垂下に係る負荷(少なくとも送り出し負荷)を軽減させて案内することができる。同様に、巻取ドラム51Lの図示右側(後方側)から昇降コード3Lを垂下させて滑車56を介して挿通孔54dに垂下させる例を示しているが、巻取ドラム51Lの巻き取り方向を逆側にして、巻取ドラム51Lの図示左側(前方側)から昇降コード3Lを垂下させて滑車56を介して挿通孔54dに垂下させてもよく、この場合も、滑車56を傾斜配置としていることから、巻取ドラム51Lからの垂下に係る負荷(少なくとも送り出し負荷)を軽減させて案内することができる。
【0083】
(下降性能の従来比較)
図8(a)は従来技術に基づく比較例の巻き取りユニット5Pの下降性能に関する動作を示す簡略図示した平面図であり、
図8(b)は本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5の下降性能に関する動作を示す簡略図示した平面図である。尚、
図8において、上述した同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0084】
まず、
図8(a)に示す比較例の巻き取りユニット5Pでは、正確に図示したものではないが、特許文献1に開示されるスリット状ガイド部Sがコード出口部材54に設けられ、巻取ドラム51Uから垂下する昇降コード3Uを、スリット状ガイド部Sを介して挿通孔54cに挿通させる構成を例示している。また、
図8(a)に示す比較例の巻き取りユニット5Pでは、特許文献2に開示されるような巻取ドラム51Lの軸方向に対し平行な滑車54dがコード出口部材54に設けられ、巻取ドラム51Lから垂下する昇降コード3Lを、その巻取ドラム51Lの軸方向に対し平行な滑車54dを介して挿通孔54dに挿通させる構成を例示している。
【0085】
このような従来技術に基づく比較例の巻き取りユニット5Pでは、
図8(a-1)に示すように各遮蔽材(上部スクリーン6U及び下部スクリーン6L)の下降時の下限付近では、電動遮蔽装置として、手動遮蔽装置よりも低速回転で各巻取ドラム51U,51Lを回転させることが通常であるため、その低速回転で各昇降コード3U,3Lの送り出し負荷が増大する。このため、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の昇降下限付近で、上部遮蔽材用の昇降コード3Uを巻取ドラム51Uへと案内する際のスリット状ガイド部Sにおける乱巻き防止の隔壁に対する負荷成分が、低速の下降動作に対して無視できないほど大きくなり、上部遮蔽材が昇降下限位置まで余裕をもって十分に下降できず上部遮蔽材の降下性能に問題が生じることがある。また、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の昇降下限付近で、下部遮蔽材用の昇降コード3Lを巻取ドラム51Lへと案内する際の軸カバー54(又は図示する巻取ドラム51Lの中心軸に対し平行配置の滑車54d)の負荷成分が、低速の下降動作に対して無視できないほど大きくなり、下部遮蔽材が昇降下限位置まで余裕をもって十分に下降できず下部遮蔽材の降下性能に問題が生じることがある。
【0086】
尚、このような従来技術に基づく比較例の巻き取りユニット5Pにおいて、
図8(a-2)に示すように各遮蔽材(上部スクリーン6U及び下部スクリーン6L)の下降時の上限付近(或いは下限付近以外)では、電動遮蔽装置として、手動遮蔽装置よりも低速回転で各巻取ドラム51U,51Lを回転させても、各昇降コード3U,3Lの送り出し負荷が小さく、降下性能に問題が生じない。
【0087】
一方、
図8(b)に示す本発明による一実施例の巻き取りユニット5では、正確に図示したものではないが、各巻取ドラム51U,51Lの中心軸に対し非平衡、即ち傾斜した滑車55,56がコード出口部材54に設けられ、巻取ドラム51Uから垂下する昇降コード3Uを、その傾斜した滑車55を介して挿通孔54cに挿通させ、巻取ドラム51Lから垂下する昇降コード3Lを、その傾斜した滑車56を介して挿通孔54dに挿通させる構成を例示している。
【0088】
このような本発明による一実施例の巻き取りユニット5では、
図8(b-1)に示すように各遮蔽材(上部スクリーン6U及び下部スクリーン6L)の下降時の下限付近では、電動遮蔽装置として、手動遮蔽装置よりも低速回転であっても、各昇降コード3U,3Lの送り出し負荷が増大することがなく、従来技術よりも当該送り出し負荷を減少させることができる。このため、上部遮蔽材が昇降下限位置まで余裕をもって十分に下降できるようになり、上部遮蔽材の降下性能を従来技術よりも向上させることができる。
【0089】
また、このような本発明による一実施例の巻き取りユニット5において、
図8(b-2)に示すように各遮蔽材(上部スクリーン6U及び下部スクリーン6L)の下降時の上限付近(或いは下限付近以外)において、電動遮蔽装置として、手動遮蔽装置よりも低速回転で各巻取ドラム51U,51Lを回転させても、各昇降コード3U,3Lの送り出し負荷が小さく、降下性能に問題が生じない。
【0090】
従って、本発明による一実施例の巻き取りユニット5を備える本実施形態の電動遮蔽装置によれば、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の降下性能を向上させることができる。尚、単一の遮蔽材で構成した電動遮蔽装置においても同様に、本発明による一実施例の巻き取りユニット5における傾斜した滑車を備える構成とすることで、その単一の遮蔽材の降下性能を向上させることができる。
【0091】
尚、本発明による一実施例の巻き取りユニット5においては、各巻取ドラム51U,51Lと、コード出口部材54における対応する各挿通孔54c,54dとの間に、それぞれ滑車55,56を配置しているが、特許文献1に開示されるスリット状ガイド部Sを設けていない例を示している。ただし、本発明による別の実施例の巻き取りユニット5として、各滑車55,56と、対応する各挿通孔54c,54dとの間に、スリット状ガイド部Sを設けたコード出口部材54としてもよい。
【0092】
(滑車配置に関する変形例)
図9(a)は、本発明に係る変形例の巻き取りユニット5の概略構成を示す部分的に断面図示した側面図であり、
図9(b)は本発明に係る変形例の巻き取りユニット5におけるコード出口部材54の各滑車55,56の配置転換を可能とする様子を示す平面図である。尚、
図9において、上述した同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0093】
まず、本発明に係る変形例の巻き取りユニット5として、
図9(a)から理解されるように、コード出口部材54は、各滑車55,56の配置について、それぞれ巻取ドラム51U,51Lの中心軸に対し前後・上下を含む空間的に傾斜したものとしてもよい。即ち、コード出口部材54は、巻取ドラム51U,51Lの形状に合わせて、巻取ドラム51U,51Lの中心軸から各滑車55,56の両軸部55a,55bの距離La(本例では、La1,La2),Lb(本例ではLb1,Lb2)として、より負荷が小さくなるよう異なる距離とするように、2種類以上の一対の軸受部54g、54h、及び2種類以上の一対の軸受部54i、54jを形成したものとすることができる。即ち、本例においても、各滑車55,56は、対応する各巻取ドラム51U,51Lと昇降コード3U,3Lを外部に導出するように設けられている挿通孔54c,54dとの間に設けられているが、巻取ドラム51Uと挿通孔54cとの位置関係、並びに巻取ドラム51Lと挿通孔54dとの位置関係に基づいて、各巻取ドラム51U,51Lに対する距離La(本例では、La1,La2),Lb(本例ではLb1,Lb2)が設定されている。また、各滑車55,56のそれぞれの高さ方向の関係だけでなく、前後方向の関係も、それぞれ個別に設定した2種類以上の一対の軸受部54g、54h、及び2種類の一対の軸受部54i、54jを形成したものとすることができる。また、各滑車55,56のそれぞれの高さや傾斜角度が異なる複数種のコード出口部材54を予め用意して、巻取ドラム51U,51Lの形状に合わせて適宜選択する形態としてもよい。
【0094】
例えば、
図9(b)には、4種類の一対の軸受部54g‐1,54g‐2、及び54h‐1,54h‐2、並びに4種類の一対の軸受部54i‐1,54i‐2、及び54j‐1,54j‐2を形成したコード出口部材54の例を示している。
図9(b)に例示したコード出口部材54においても、巻き取りユニット5の左右向きの配置転換可能とするべく、コード出口部材54の前後方向の配置転換も可能とするよう、各滑車55,56の傾斜角度は、設置向きの配置転換を可能とする対称な複数種が設定されている。
【0095】
(軸カバーの配置転換)
図10(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5における軸カバー53の配置転換を可能とする様子を示す平面図である。また、
図11(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5における一実施例の軸カバー53の突起部53eによる昇降コード3U,3Lの巻き取りに係る押し巻きを行う際の線接触時及び点接触時の様子を示す平面図である。
【0096】
図10(a),(b)に示すように、本実施例の軸カバー53は、本体部53aの左右端両側において、
図3及び
図4を参照して説明したように、各巻取ドラム51U,51Lの急斜面部位51d単体で巻き取り可能な各昇降コード3U,3Lの巻き数(本例では、7本)をより少ない所定本数以下(確実には、3巻き以下)とするように突起する段差状の突起部53eが形成されている。各突起部53eの先端部53fは、好適例として当該押し巻きの機能をより向上させるべく、より肉厚を抑えることで弾性を有するものとし、上方から見て略三角状に形成されており、この略三角状の先端部53fは、各昇降コード3U,3Lに対し点接触を可能とする点接触部位Pvを頂点とし、その頂点の両辺を各昇降コード3U,3Lに対し線接触を可能とする線接触部位Psとする形状となっている。そして、本実施例の軸カバー53は、
図10(a)又は
図10(b)に示すように上下中央の軸に対し左右に対称の構造となっており線接触を可能とする線接触部位Psの傾斜が維持される。更に、場合によっては、
図10(a)と
図10(b)に対比されるように上下に反転させても、線接触を可能とする線接触部位Psの傾斜が維持される。突起部53eの先端部53fは、各昇降コード3U,3Lの巻き取りに係る押し巻き動作を可能とする形状であれば、各昇降コード3U,3Lに対し線接触(
図11(a)参照)でも点接触(
図11(b)参照)でもよいので、各突起部53eにおける先端部53fの上方から見た形状は、円形状でも楕円形状でもその他の多角形状でもよい。
【0097】
従って、各突起部53eの先端部53fは、各昇降コード3U,3Lに対し少なくとも点接触を含む線接触を可能とする形状を有するものとなっている。このため、各突起部53eは、各巻取ドラム51U,51Lが低速回転でもそれぞれの昇降コード3U,3Lを順次押し巻きさせる機能を有し、これにより上部遮蔽材及び下部遮蔽材の上昇性能を向上圧せることができる。
【0098】
(上昇性能の従来比較)
図12(a)は従来技術に基づく比較例の巻き取りユニット5Pの上昇性能に関する動作を示す簡略図示した平面図であり、
図12(b)は本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5の上昇性能に関する動作を示す簡略図示した平面図である。尚、
図10において、上述した同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0099】
まず、
図12(a)に示す比較例の巻き取りユニット5Pでは、正確に図示したものではないが、例えば平坦な端部53E(本発明に係る少なくとも各巻取ドラム51U,51Lの急斜面部位51d単体で巻き取り可能な各昇降コード3U,3Lの巻き数(本例では、7本)をより少ない所定本数以下(確実には、3巻き以下)とするような突起部53eを有していない。)を有する軸カバー53Pにより、各巻取ドラム51U、51Lの基端側を上方から支持する構成を例示している。
【0100】
このような従来技術に基づく比較例の巻き取りユニット5Pでは、
図12(a)の(平面断面視)から理解されるように、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々の低速の上昇駆動時に各巻取ドラム51U,51Lが低速回転し、このような低速回転では各巻取ドラム51U,51L上で、「4~5巻きして滑る」を繰り返す動作となり、各巻取ドラム51U,51Lによる各昇降コードの巻き取りにおけるコード滑りが生じにくく、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々がガクガクと上昇するシャクリ現象が生じ、上昇性能に問題が生じることがある。
【0101】
一方、
図12(b)に示す本発明に係る巻き取りユニット5では、各巻取ドラム51U,51Lの急斜面部位51d上で各昇降コード3U,3Lを3巻き以下とするように突起する段差状の突起部53eが形成されている軸カバー53を備えている。各突起部53eは、各巻取ドラム51U,51Lが低速回転でもそれぞれの昇降コード3U,3Lを順次押し巻きさせる機能を有している。そして、当該押し巻きの機能を助力させるべく、各突起部53eの先端部53fは、本実施例のように、より肉厚を抑えることで弾性を有するものとするのが好適である。尚、本実施例の各突起部53eの先端部53fは、上方から見て略三角状に形成されている。
【0102】
このため、本発明に係る巻き取りユニット5では、
図12(b)の(平面断面視)から理解されるように、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々の低速の上昇駆動時に各巻取ドラム51U,51Lが低速回転し、このような低速回転でも、各巻取ドラム51U,51L上で、「1巻きずつ滑る」を繰り返す動作となり、シャクリ現象が生じなくなり、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々の上昇性能を向上させることができる。尚、単一の遮蔽材で構成した電動遮蔽装置においても同様に、本発明による一実施例の巻き取りユニット5における突起部53eを備える構成とすることで、その単一の遮蔽材の上昇性能を向上させることができる。
【0103】
尚、本発明に係る巻き取りユニット5において、下降性能の向上のために滑車55,56を各巻取ドラム51U,51Lの中心軸に対し傾斜させるコード出口部材54の構成と、上昇性能の向上のために突起部53eの先端部53fの機能により、各巻取ドラム51U,51Lが低速回転でもそれぞれの昇降コード3U,3Lを順次押し巻きさせる軸カバー53の構成とは、それぞれ独立した機能を有する構成であるため、そのいずれか一方、又は双方を有する巻き取りユニット5を構成することができる。
【0104】
従って、本実施形態によれば、紐状の昇降コードを用いてモーターの駆動力で遮蔽材を昇降可能とする電動遮蔽装置における遮蔽材の上昇性能又は降下性能を向上させることができる。
【0105】
(軸カバーの変形例)
図13(a),(b)は、それぞれ本発明に係る一実施例の巻き取りユニット5における変形例の軸カバー53の形状と、その変形例の軸カバー53の突起部53eによる各昇降コード3U,3Lの巻き取りに係る押し巻きを行う際の様子を示す平面図である。尚、
図13において、同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
図13(a)に示すように、本変形例の軸カバー53の突起部53eは、
図10に示したような各昇降コード3U,3L用に分離して突起する形状とする代わりに、各昇降コード3U,3L用に連なって突起する形状となっている。このような本変形例の軸カバー53の形状であっても、
図13(b)に示すように、
図12(b)に示すものと同様、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々の低速の上昇駆動時に各巻取ドラム51U,51Lが低速回転し、このような低速回転でも、各巻取ドラム51U,51L上で、「1巻きずつ滑る」を繰り返す動作となり、シャクリ現象が生じなくなり、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々の上昇性能を向上させることができる。また、本変形例の軸カバー53においても、
図13(a)又は
図13(b)に示すように上下中央の軸に対し左右に対称の構造となっており線接触を可能とする線接触部位Psの傾斜が維持される。更に、場合によっては、
図13(a)と
図13(b)に対比されるように上下に反転させても、線接触を可能とする線接触部位Psの傾斜が維持される。
【0106】
また、
図13(a),(b)に示す変形例においても、突起部53eとして図示したが、そのような突起部53eを設けずに、軸カバー53、コード出口部材54、或いは軸ケース50によって、当該サポート部材が、巻取ドラム51U又は51Lの急斜面部位51d単体で巻き取り可能な当該昇降コードの巻き数をより少ない所定本数以下に制限し、順次押し巻きさせる機能を有するように構成してもよい。
【0107】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0108】
例えば、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、紐状の昇降コードを用いて、単一又は複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば、プリーツスクリーン、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下又は前後方向に配設するように組み合わせたハイブリッド構成の電動遮蔽装置としてもよい。また、上述した実施形態の例では、主として電動遮蔽装置を例に説明したが、手動で遮蔽材を昇降させる手動遮蔽装置においても本発明に係る巻き取りユニット5を適用し、下降性能又は上昇性能を向上させたものとすることができる。
【0109】
従って、本発明に係る電動遮蔽装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明によれば、モーターの駆動力で遮蔽材を昇降可能とする電動遮蔽装置の昇降性能を向上させることができるので、電動遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0111】
1 ヘッドボックス
2U,2L 駆動軸
3U 上部スクリーン用の昇降コード
3L 下部スクリーン用の昇降コード
5 巻き取りユニット
6U 上部遮蔽材(上部スクリーン)
6L 下部遮蔽材(下部スクリーン)
7U 中間レール
7L ボトムレール
8U,8L エンコーダー
9U,9L モーター
10 制御装置
11 DC電源
20U,20L 駆動軸連結器
25 操作装置
50 軸ケース
51U,51L 巻取ドラム
53 軸カバー
53e 突起部
53f 突起部の先端部
54 コード出口部材
55,56 滑車