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特開2023-27390情報提供装置、情報提供方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027390
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20230221BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
G01C21/36
G01C21/26 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208042
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2019545052の分割
【原出願日】2018-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2017191848
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 智博
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動体に搭載される際に、移動体の各々に適した情報提供または応答を行うことが可能な情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラムを提供する。
【解決手段】情報提供装置は、複数の移動体に搭載可能な情報提供装置であって、1の移動体の移動に関する情報でありかつ1の移動体に関連付けて記憶される情報である移動関連情報を取得する移動関連情報取得部と、情報提供装置が現在搭載される移動体の特定に資する情報である移動体特定情報を取得する移動体特定情報取得部と、移動体特定情報に基づいて1の移動体が特定された際に、1の移動体に関連付けられた移動関連情報に基づく提供情報を出力する情報出力部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体に搭載可能な情報提供装置であって、
1の移動体の移動に関する情報でありかつ前記1の移動体に関連付けて記憶される情報である移動関連情報を取得する移動関連情報取得部と、
前記情報提供装置が現在搭載されている移動体の特定に資する情報である移動体特定情報を取得する移動体特定情報取得部と、
前記移動体特定情報に基づいて前記1の移動体が特定された際に、前記1の移動体に関連付けられた前記移動関連情報に基づく提供情報を出力する情報出力部と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置に関し、例えば、移動体に搭載された際に当該移動体の搭乗者に情報を提供する情報提供装置、情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を使用する個人を認証し、各個人に対応するエージェントデータを使用して、個人への応答を行うエージェント端末が提案されている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4664524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されているエージェント端末によっては、車両を使用する各個人に関連付けて個人の好み等を学習することで、各個人にあった応答を行うことが可能である。しかし、エージェント端末が複数の異なる車両に搭載され得る場合に、車両毎に適切な応答を行わせることが困難であるということが問題の一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、例えば、移動体に搭載される際に、当該移動体の各々に適した情報提供または応答を行うことが可能な情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の移動体に搭載可能な情報提供装置であって、1の移動体の移動に関する情報でありかつ前記1の移動体に関連付けて記憶される情報である移動関連情報を取得する移動関連情報取得部と、前記情報提供装置が現在搭載される移動体の特定に資する情報である移動体特定情報を取得する移動体特定情報取得部と、前記移動体特定情報に基づいて前記1の移動体が特定された際に、前記1の移動体に関連付けられた前記移動関連情報に基づく提供情報を出力する情報出力部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項7に記載の発明は、複数の移動体に搭載可能な情報提供装置を用いて情報提供を行う情報提供方法であって、前記情報提供装置が1の移動体の移動に関する情報でありかつ前記1の移動体に関連付けて記憶される情報である移動関連情報を取得するステップと、
前記情報提供装置が、前記情報提供装置が現在搭載されている移動体の特定に資する情報である移動体特定情報を取得するステップと、前記情報提供装置が、前記移動体特定情報に基づいて前記1の移動体が特定された際に、前記1の移動体に関連付けられた前記移動関連情報に基づく提供情報を出力するステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項8に記載の発明は、複数の移動体に搭載可能な情報提供装置に、1の移動体の移動に関する情報でありかつ前記1の移動体に関連付けて記憶される情報である移動関連情報を取得するステップと、前記情報提供装置が現在搭載されている移動体の特定に資する情報である移動体特定情報を取得するステップと、前記移動体特定情報に基づいて前記1の移動体が特定された際に、前記1の移動体に関連付けられた前記移動関連情報に基づく提供情報を出力するステップと、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1であるエージェント端末を含むシステムの図である。
図2図1のシステムのエージェント端末の構成の一例を示すブロック図である。
図3図1のシステムのサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図4A】車両情報テーブルの一例を示す図である。
図4B】車両情報テーブルの一例を示す図である。
図5】本発明の実施例1のエージェント端末を含むシステムを実現するための動作ルーチンのフロー図である
図6】本発明の実施例1のエージェント端末を含むシステムを実現するための動作ルーチンのフロー図である。
図7】本発明の実施例1のエージェント端末を含むシステムを実現するための動作ルーチンのフロー図である。
図8】本発明の実施例1のエージェント端末を含むシステムを実現するための動作ルーチンのフロー図である。
図9A】車両情報テーブルの一例を示す図である。
図9B】車両情報テーブルの一例を示す図である。
図10】本発明の実施例2のエージェント端末を含むシステムを実現するための動作ルーチンのフロー図である。
図11】本発明の実施例2のエージェント端末を含むシステムを実現するための動作ルーチンのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
[1.システムの構成及び動作]
以下に、本発明の実施例1である情報提供装置としてのエージェント端末10を含む情報提供システム100及び情報提供方法について添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施例1であるエージェント端末10を含む情報提供システム100を示している。エージェント端末10は、具体的には、例えば、スマートスピーカーの機能を有する端末である。
【0011】
図1に示すように、情報提供システム100は、エージェント端末10及びサーバS(「サーバ装置」の一例)を含んで構成されている。なお、図1においては、エージェント端末が移動体の一例としての自動車Mに搭載されている場合を示している。
【0012】
車載装置VEは、自動車Mに搭載されているカーステレオ等の車載装置である。車載装置VEは、各々が固有の装置識別子(以下、車載装置IDともいう)を有している。当該固有の装置識別子は、例えばMACアドレス等であってもよい。以下の説明においては、車載装置VEは自動車Mに常設されているとして説明する。従って、車載装置VEの装置識別子が自動車M自体の識別子と同視できるとして説明する。ユーザ端末MTは、自動車Mに搭乗したユーザが持ち込んだスマートフォン等の携帯端末である。
【0013】
エージェント端末10とサーバSとは、ネットワーク(通信路)を介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。また、サーバSは、例えば、ホテル等施設の予約処理が可能なエージェントサーバ等の他のサーバDSとネットワークを介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークは、例えば、移動体通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信及び有線通信を含むインターネット通信により構築されて得る。
【0014】
エージェント端末10は、車載装置VE及びユーザ端末MTとWi-Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)等の無線通信または有線通信によって通信可能に接続可能である。
【0015】
図2にエージェント端末10の構成を示す。例えば、エージェント端末10は、システムバス21を介して、大容量記憶装置23と、制御部25と、入力部27と、出力部29と、データ通信部31と、走行情報生成部33とが協働する装置である。
【0016】
大容量記憶装置23は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、端末用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、大容量記憶装置23に記憶される各種プログラム(後述する処理のエージェント端末10における処理を実行するためのプログラムを含む)は、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0017】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)25A、ROM(Read Only Memory)25B、RAM(Random Access Memory)25C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU25Aが、ROM25Bや大容量記憶装置23に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0018】
入力部27は、エージェント端末10に備えられているマイク等の音声入力装置である。入力部27からの音声入力に基づいて制御部25が音声情報を生成可能である。また、入力部は、例えば、タッチパネル、スタイラスペン等の入力装置を含んでいてもよい。
【0019】
情報出力部としての出力部29は、エージェント端末10に備えられているスピーカー等の音声出力装置である。また、出力部29は、例えば、エージェント端末10に備えられているディスプレイを含んでいてもよい。
【0020】
出力部29は、サーバ装置Sから送信されたデータに基づいて音声を出力可能である。また、出力部29がディスプレイを含む場合は、出力部29は、サーバ装置Sから送信されたデータに基づいて画像表示を行うことも可能である。
【0021】
データ通信部31は、上記したネットワークに接続されており、種々のデータをサーバS等の他の機器との間で送受信する。また、データ通信部31は、車載装置VE及びユーザ端末MTとの上述したようなWi-Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)等の無線通信、または有線通信によって通信可能である。
【0022】
例えば、エージェント端末10は、データ通信部31を介して現在エージェント端末10が搭載されている自動車Mの車載装置VEと通信し、車載装置VEの装置識別子を取得可能である。上述の通り、車載装置VEの装置識別子は、車載装置VEが搭載されている自動車Mの識別子としてみることができる。従って、エージェント端末10は、データ通信部31による車載装置VEとの通信によって、エージェント端末10が現在搭載されている自動車Mの識別に資する情報が入手可能である。
【0023】
また、エージェント端末10は、入力部27の音声入力によって制御部25によって生成された音声情報をサーバSに送信可能である。
【0024】
なお、エージェント端末10は、ユーザ端末MTと通信し、ユーザ端末MTを入力部27または出力部29の代替として使用することが可能である。
【0025】
移動関連情報取得部または移動体情報取得部としての走行情報生成部33は、例えば、GPS(Global Positioning System)装置等の位置特定装置、加速度センサ及びジャイロセンサを含み、自動車Mの走行に関する情報である走行関連情報を生成可能である。なお、走行情報生成部33に含まれる位置特定装置は、エージェント端末10ひいては自動車Mの位置が特定できる装置であればよく、例えば、近接する携帯電話網の基地局等に基づいて位置を特定可能な装置等、他の位置特定装置であってもよい。走行情報生成部33は、エージェント端末10の位置を特定可能な位置特定情報、移動速度情報または加速度情報を含む走行関連情報を生成可能である。なお、走行関連情報には、運転操作に関する情報が含まれてもよい。当該運転操作に関する情報を得るために、走行情報生成部33は、自動車Mに搭載されている機器と通信する等して、自動車Mのハンドルまたはアクセル及びブレーキの操作を検出可能であってもよい。
【0026】
エージェント端末10は、走行情報生成部33が生成した走行関連情報を、データ通信部31によってサーバSを含む他の装置に送信可能である。
【0027】
図3にサーバSの構成を示す。例えば、サーバSはシステムバス41を介して、データ通信部43と、大容量記憶装置45と、制御部47とが協働している装置である。
【0028】
データ通信部43は、上記したネットワークに接続されており、種々のデータをエージェント端末10、他のサーバDS等の他の機器との間で送受信する。データ通信部43は、エージェント端末10から、エージェント端末10の位置を特定可能な位置特定情報を含む走行関連情報を受信可能である。また、データ通信部は、エージェント端末10から、エージェント端末10の入力部に入力された音声に基づいて生成された音声情報を受信可能である。
【0029】
大容量記憶装置45は、例えば、ハードディスク装置及びSSD(solid state drive)等により構成されており、オペレーティングシステムや、サーバ用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0030】
また、大容量記憶装置45内には、エージェント端末10が搭載された1または複数の自動車Mの車載装置VEの装置識別子、および当該車載装置VEの装置識別子の各々に紐付けられている(関連付けられている)当該1または複数の自動車Mの各々の車種、車検日、走行データ等を含む車両情報が保存されている。また、大容量記憶装置45には、サーバSから送信した音声情報に基づいて、自動車Mに搭載された際にエージェント端末10から発せられる音声の声色及び口調を含む設定情報が保存されている。
【0031】
上記車両情報は、大容量記憶装置45内の車両情報データベース(図中、車両情報DBと示す)45Aに保存されている。また、上記設定情報は、大容量記憶装置45内の設定情報データベース(図中設定情報DBと示す)45Bに保存されている。
【0032】
大容量記憶装置45内には、道路地図を含む地図情報が保存されている地図情報データベース(図中、地図情報DBと示す)45Cも含まれている。地図情報データベース45Cの地図情報は、例えばナビゲーション装置に用いられている地図情報と同等の情報を有しているデータベースである。
【0033】
制御部47は、CPU(Central Processing Unit)47A、ROM(Read Only Memory)47B、RAM(Random Access Memory)47C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU47Aが、ROM47Bや大容量記憶装置45に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0034】
本実施例において、大容量記憶装置45またはROM47には、会話型AIアプリケーションプログラムが記憶されている。従って、制御部47は、当該記憶されている会話型AIアプリケーションプログラムを実行し、AI会話ロボットとして振る舞うことが可能である。
【0035】
具体的には、例えば、制御部47は、エージェント端末から送信された音声情報の内容を解釈して当該音声情報が問いかけであった場合には返答音声を生成してもよい。また、制御部47は、所定の条件下において問いかけがあったかにかかわらず発話させる音声を生成してもよい。制御部47は、この返答または発話の音声の生成において、車両情報データベース45B及び地図情報データベース45Cを含むデータベースをナレッジベースとして用いる。すなわち、制御部47は、車両情報データベース45B及び地図情報データベース45Cをナレッジベースとした会話ロボットとして機能可能である。
【0036】
なお、本実施例のエージェント端末10は、車両情報データベース45Bのうち、当該エージェント端末10が現在搭載されている自動車Mに紐付けられている情報のみを用い得る。
【0037】
なお、大容量記憶装置45は、ナレッジベースとして、車両情報データベース45B及び地図情報データベース45C以外のデータベースを含んでいてもよい。また、サーバSと通信可能に接続された他のサーバDS内のデータベースをナレッジベースとして活用してもよい。
【0038】
なお、制御部47が、エージェント端末10から送信された音声情報の内容を解釈した際、当該音声が何かしらの命令であった場合には、その命令に従った機能を果たしてもよい。
【0039】
また、本実施例において、大容量記憶装置45またはROM47には、カーナビゲーションプログラムが記憶されている。従って、制御部47は、当該記憶されているカーナビゲーションプログラムを実行し、カーナビゲーション装置として振る舞うことが可能である。例えば、制御部47は、エージェント端末10から送信された音声情報がカーナビゲーション機能を求める命令であった場合、上記カーナビゲーションプログラム及び地図情報データベース45Cによってカーナビゲーション機能を提供してもよい。
【0040】
図4Aに、設定情報データベース45A内に保存される設定情報テーブルTB1の一例を示す。設定情報デーブルTB1は、各エージェント端末10の各々について作成されている。設定情報テーブルTB1の左上には、エージェント端末10のIDが記載されている。
【0041】
設定情報テーブルTB1には、登録されている車載装置VEの装置識別子が車載装置IDの欄の下に列挙されている。声色の欄には、エージェント端末10が、特定の車載装置が搭載された自動車Mに搭載された際の声色が記載されている。また、口調の欄には、エージェント端末10が、特定の車載装置が搭載された自動車Mに搭載された際の口調が記載されている。
【0042】
サーバSの制御部47が上記したAI会話ロボットとして機能する場合、設定情報テーブルTB1に車載装置VEの装置識別子に紐付けて記載された声色及び口調に基づいて会話音声が生成される。
【0043】
この設定情報テーブルTB1に含まれている声色及び口調の情報は、エージェント端末10が未だ登録されていない自動車M、すなわちエージェント端末10が初めて搭載される自動車Mに搭載された際にユーザによって設定されて保存され得る。この設定の内容は、エージェント端末10の入力部27を通して、またはエージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを通して入力され得る。また当該設定の内容は、当該入力された設定内容がサーバSに送信されることで設定情報データベース45A内に保存され得る。
【0044】
図4Bに、車両情報データベース45B内に保存される車両情報テーブルTB2の一例を示す。車両情報テーブルTB2は、各エージェント端末10の各々について作成されている。車両情報テーブルTB2の左上には、エージェント端末10のIDが記載されている。
【0045】
車両情報テーブルTB2には、登録されている車載装置VEの装置識別子が車載装置IDの欄の下に列挙されている。車種の欄には、例えば、車載装置VEの各々が搭載された自動車Mの車種等の車両情報を含む車両データ、当該自動車Mの車検日等の保守点検情報を含む保守点検データ及び自動車Mの走行履歴を含む走行データが記録されている。
【0046】
なお、車両情報には、自動車Mの車種に加えて、または車種に変えて、自動車Mの使用燃料の種類、乗車可能人数、右/左ハンドルの別、車両サイズ等の情報が含まれていてもよい。また、自動車Mの保守点検情報には、オイル交換日またはワイパー交換日等の情報が含まれていてもよい。
【0047】
この車両情報テーブルTB2に含まれている車両情報は、エージェント端末10が未だ登録されていない自動車M、例えばエージェント端末10が初めて搭載される自動車Mに搭載された際にユーザによって入力されて保存され得る。この車両情報は、エージェント端末10の入力部27を通して、またはエージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを通して入力され得る。また当該車両情報は、当該入力された車両情報がサーバSに送信されることで車両情報データベース45B内に保存され得る。
【0048】
また、走行履歴には、例えば、自動車Mの出発地、到着地及び立寄地、自動車Mの走行経路、走行速度、加速度の履歴が含まれていてもよい。走行履歴に含まれる情報は、例えば、エージェント端末10が自動車Mに搭載された際にエージェント端末10から送信される走行関連情報、および地図情報データベース45Cに記憶された地図情報に基づいて生成されてもよい。なお、走行データは、エージェント端末10が自動車Mに搭載されている間、常に更新され得る。
【0049】
[2.制御ルーチン]
以下に、実施例1の方法及びエージェント端末10及びサーバSを含むシステムを実現するための制御ルーチンについて説明する。以下の説明において使用されるルーチンの図における破線は、エージェント端末10とサーバSとの間の通知またはデータ等の送受信の様子を模式的に示すものである。
【0050】
[2-1.走行データ記録ルーチン]
図5に、ユーザがエージェント端末10を自動車Mに持ち込んだ際、すなわちエージェント端末10が自動車Mに搭載された際に、エージェント端末10及びサーバSによって実行される走行データ記録ルーチンR1を示す。なお、エージェント端末10によって実行されるルーチンをR1A、サーバSによって実行されるルーチンをR1Bとして示す。
【0051】
例えば、ルーチンR1A及びルーチンR1Bは、それぞれエージェント端末10及びサーバSが起動されると開始され、その後繰り返し実行され得る。
【0052】
エージェント端末10の制御部25は(以下、ルーチンの説明において、単に「エージェント端末10は」と記載する)、ルーチンR1Aを開始すると、まずステップS11Aにおいて搭載されている自動車Mのアクセサリー電源(以下、ACC電源という)がオンになっているか否かを判定する(ステップS11A)。この判定は、エージェント端末10が車載装置VEとの通信の確立を試みることでなされてもよい。すなわち、通信が確立すれば車載装置VEの電源が入っており、ACC電源がオンになっていると判定される。また、通信が確立されなければ車載装置VEの電源が入っておらず、ACC電源がオンになっていないと判定される。
【0053】
ステップS11Aにおいて、ACC電源がオンになっていないと判定された場合(ステップS11A:NO)ACC電源の監視を継続する。ステップS11Aにおいて、ACC電源がオンになっていると判定される(ステップS11A:YES)と、車載装置VEの装置識別子(車載装置ID)が取得される(ステップS12A)。すなわち、S12Aにおいて、制御部25は、移動体特定情報取得部として機能する。ステップS12Aが終了すると、エージェント端末10の端末識別子(端末ID)及び当該取得された車載装置VEの車載装置IDがサーバSに送信される(ステップS13A)。
【0054】
サーバSの制御部47は、(以下、ルーチンの説明において、単に「サーバSは」と記載する)は、ルーチンR1Bを開始すると、まずステップS11Bにおいて上記エージェント端末10の端末IDと車載装置IDの受信を待機する(ステップS11B)。その後、ステップS12Bにおいて、上記ステップS13Aにおいて送信される端末ID及び車載装置IDの受信がなされたか否かを判定する(ステップS12B)。
【0055】
ステップS12Bにおいて、未だ端末ID及び車載装置IDが受信されていないと判定される(ステップS12B:NO)と、これらのIDの受信を一定時間待機し、再度ステップS12Bが実行される。
【0056】
ステップ12Bにおいて、端末ID及び車載装置IDが受信されたと判定される(ステップS12B:YES)と、当該受信された端末ID及び車載装置IDの組み合わせが設定情報データベース45Aおよび車両情報データベース45Bに登録されているかが判定される(ステップS13B)。この判定は、設定情報データベース45A内の設定情報テーブルTB1および車両情報データベース45B内の車両情報テーブルTB2のうち、受信した端末IDが付されたテーブルがあり、かつ受信した車載装置IDが当該テーブル内に記載されているか否かによって判定され得る。
【0057】
ステップS13Bにおいて、車載装置VEが登録されていないと判定される(ステップS13B:NO)と、サーバSはエージェント端末10に設定情報及び車両情報を含む登録情報を要求し(ステップS14B)、その後、サーバ側情報登録サブルーチンが実行される(ステップS15B)。このサーバ側情報登録サブルーチンにおいては、エージェント端末10から声色及び口調等の会話音声に関する設定情報及び車両情報を受信して、これらの情報を今回登録される車載装置VEの車載装置IDに紐付けて保存する処理がなされる。その後の処理において、エージェントから送信される情報はステップS15Bにおいて保存されて登録された車載装置IDに紐付けて保存される。
【0058】
ステップS13Bにおいて、車載装置VEが登録されていると判定される(ステップS13B:YES)と、その後の処理において、エージェント端末10から送信された情報は、当該登録されている車載装置VEに紐付けて保存される。
【0059】
エージェント端末10は、ステップS13Aの終了後、サーバS側のステップS14Bにおいて送信される登録情報の要求を受信したか否かを判定する(ステップS14A)。この判定は、ステップS13Aの終了後の一定時間内に当該登録情報の要求を受信したか否かでなされてもよい。
【0060】
ステップS14Aにおいて登録情報の要求を受信したと判定される(ステップS14A:YES)と、エージェント側情報登録サブルーチンが実行される(ステップS15A)。このエージェント側情報登録サブルーチンにおいては、ユーザからの声色及び口調等の会話音声に関する設定情報及び車両情報の入力を受け付けて、これらの情報をサーバSに送信する処理がなされる。ステップS14Aにおいて、登録情報の要求を受信していないと判定される(ステップS14A:NO)と、ステップS16Aが実行される。
【0061】
サーバSは、ステップS15Bのサブルーチンの終了後、走行データの記録の開始通知をエージェント端末10に送信して、走行データ記録のためのデータの受信を待機する(ステップS16B)。
【0062】
エージェント端末10は、ステップS15Aのサブルーチンの終了後、走行データの記録の開始通知を受信したか否かを判定する(ステップS16A)。この判定はステップS15Aの終了後の一定時間内に当該走行データの記録の開始通知を受信したか否かでなされてもよい。
【0063】
ステップS16Aにおいて、走行データの記録の開始通知を受信したと判定される(ステップS16A:YES)と、サーバSに向けて、例えば上記したエージェント端末10の走行関連情報を含む走行データの送信が開始される(ステップS17A)。この走行データの送信は、連続的になされても良いし、一定な時間感覚でまたは不均一な時間間隔で断続的にまたは間欠的になされてもよい。ステップS16Aにおいて、送信されたデータはサーバSによって受信され、車両情報データベース45B内に車載装置IDに紐付けて保存される。
【0064】
ステップS16Aにおいて、走行データの記録の開始通知を受信していないと判定される(ステップS16A:NO)と、一定時間の後再度ステップS16Aが実行される。
【0065】
ステップS17Aの後、ステップS18Aにおいて、自動車MのACC電源がオフになったか否かが判定される。この判定は、エージェント端末10が車載装置VEとの通信の確立を試みることでなされてもよい。すなわち、通信が確立すれば車載装置VEの電源が入っており、ACC電源がオフになっていないと判定される。また、通信が確立されなければ車載装置VEの電源が切れており、ACC電源がオフになっていると判定される。
【0066】
ステップS18Aにおいて、ACC電源がオフになっていないと判定される(ステップS8:NO)と、走行データの送信(ステップS17A)が継続され、一定時間後に再度ステップS18Aが実行される。
【0067】
ステップS18Aにおいて、ACC電源がオフになったと判定される(ステップS18A:YES)と、サーバSに向けてデータ送信終了通知が送信され(ステップS19A)、ルーチンR1Aが終了する。
【0068】
サーバSは、ステップS16Bの終了後、エージェント端末10がステップS19Aにおいて送信するデータ送信終了通知が受信されたか否かを判定する(ステップS17B)。ステップS17Bにおいて、データ送信終了通知が受信されていないと判定される(ステップS17B:NO)と、走行データの受信待機が継続され(ステップS16B)一定時間の後再度ステップS17Bが実行される。
【0069】
ステップS17Bにおいて、データ送信終了通知が受信されたと判定される(ステップS17B:YES)と、データ受信待機が終了され(ステップS18B)、その後ルーチンR1Bが終了する。
【0070】
[2-2.情報登録サブルーチン]
図6に、走行データ記録ルーチンR1内の情報登録サブルーチンR2を示す。なお、エージェント端末10によって実行されるルーチンをR2A、サーバSによって実行されるルーチンをR2Bとして示す。
【0071】
エージェント端末10は、ルーチンR2Aを開始すると、まず車両情報及び設定情報を含む登録情報の入力を待機する(ステップS21A)。これは、例えば、エージェント端末10の出力部29によって音声または画像等でユーザに車両情報及び設定情報を含む登録情報の入力を促し、入力部27を介した入力を受け付けることで行われてもよい。この際、入力部27の代わりに、エージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを介して入力が行われてもよい。
【0072】
ステップS21Aの終了後、登録情報の入力が終了したか否かが判定される(ステップS22A)。この判定は、一定時間が経過したかまたはユーザによって入力部27または携帯端末MTを介して登録情報の入力の終了の意思表示がなされたか否かで判定されてもよい。ステップS22Aにおいて、入力が終了していないと判定される(ステップS22A:NO)と、登録情報の入力の待機(ステップS21A)が継続され、一定時間の後再度ステップS22Aが実行される。
【0073】
ステップ21A及びステップ22Aにかけて入力される車両情報は、例えば、上記説明したテーブルTB1に含まれる車検日、車種の他に、車両の仕様、車両のサイズ、使用燃料の種類、乗車定員、左右ハンドルの別等を含んでいてもよい。すなわち、ステップ21A及びステップ22Aにおいて、制御部25は、移動体情報取得部として機能する。
【0074】
また、ステップ21A及びステップ22Aにかけて入力される設定情報は、テーブルTB2に含まれるエージェント端末10の出力部から出力される音声の声色及び口調の少なくともいずれかを含む音声設定情報である。すなわち、ステップ21A及びステップ22Aにおいて、制御部25は、音声設定情報受付部としても機能する。
【0075】
ステップS22Aにおいて、入力が終了したと判定される(ステップS22A:YES)と、受け付けられた登録情報がサーバSに送信され(ステップS23A)、ルーチンR2Aが終了する。
【0076】
サーバ装置Sは、ルーチンR2Bを開始すると、まずエージェント端末10からの登録情報の受信を待機する(ステップS21B)。その後、サーバ装置Sは、エージェント端末10から登録情報の受信があったか否かを判定する(ステップS22B)
ステップS22Bにおいて登録情報が受信されていないと判定される(ステップS22B:NO)と、登録情報の受信の待機(ステップS21B)が継続され、一定時間の後再度ステップS22Bが実行される。
【0077】
サーバ装置Sは、ステップS22Bにおいて、登録情報が受信されたと判定する(ステップS22B:YES)と、受信された登録情報をルーチンR1BのステップS12Bにおいて受信された車載装置IDと紐付けて、設定情報は設定情報データベース43Aに、車両情報は車両情報データベース43Bに保存する(ステップS23B)。ステップS23Bが実行された後、ルーチンR2Bは終了する。
【0078】
[2-3.会話ルーチン]
図7及び8に、ユーザがエージェント端末10を自動車Mに持ち込んだ際、すなわちエージェント端末10が自動車Mに搭載された際に、サーバSがエージェント端末10を介してユーザとの会話を行う際にエージェント端末10及びサーバSによって実行される会話ルーチンR3を示す。なお、エージェント端末10によって実行されるルーチンをR3A、サーバSによって実行されるルーチンをR3Bとして示す。
【0079】
例えば、ルーチンR3A及びルーチンR3Bは、それぞれエージェント端末10及びサーバSが起動されると開始され、その後繰り返し実行され得る。
【0080】
エージェント端末10は、ルーチンR3Aを開始すると、まずステップS31Aにおいて搭載されている自動車MのACC電源がオンになっているか否かを判定する(ステップS31A)。この判定は、エージェント端末10が車載装置VEとの通信の確立を試みることでなされてもよい。すなわち、通信が確立すれば車載装置VEの電源が入っており、ACC電源がオンになっていると判定される。また、通信が確立されなければ車載装置VEの電源が入っておらず、ACC電源がオンになっていないと判定される。
【0081】
ステップS31Aにおいて、ACC電源がオンになっていないと判定される(ステップS31A:NO)と、一定時間を置いてステップS31Aが再度実行される。ステップS31Aにおいて、ACC電源がオンになっていると判定される(ステップS31A:YES)と、車載装置VEの車載装置IDが取得される(ステップS32A)。ステップS32Aが終了すると、エージェント端末10の端末識別子(端末ID)及び当該取得された車載装置VEの車載装置IDがサーバSに送信される(ステップS33A)。
【0082】
サーバSは、ルーチンR3Bを開始すると、まずステップS31Bにおいて上記エージェント端末10の端末IDと車載装置IDの受信を待機する(ステップS31B)。その後、ステップS32Bにおいて、上記ステップS33Aにおいて送信される端末ID及び車載装置IDの受信がなされたか否かを判定する(ステップS32B)。
【0083】
ステップS32Bにおいて、未だ端末ID及び車載装置IDが受信されていないと判定される(ステップS32B:NO)と、これらのIDの受信を一定時間待機し、再度ステップ32Bが実行される。
【0084】
ステップ32Bにおいて、端末ID及び車載装置IDが受信されたと判定される(ステップS32B:YES)と、当該受信された端末ID及び車載装置IDの組み合わせが設定情報データベース45Aまたは車両情報データベース45Bに登録されているかが判定される(ステップS33B)。この判定は、設定情報データベース45A内の設定情報テーブルTB1または車両情報データベース45B内の車両情報テーブルTB2のうち、受信した端末IDが付されたテーブルがあり、かつ受信した車載装置IDが当該テーブル内に記載されているか否かによって判定され得る。
【0085】
ステップS33Bにおいて、車載装置VEが登録されていないと判定される(ステップS33B:NO)と、ルーチンR3Bは終了する。サーバSは、ステップS33Bにおいて、車載装置VEが登録されていると判定する(ステップS33B:YES)と、会話待機通知をエージェント10に送信して、会話待機を開始する(ステップS34B)。この会話待機状態において、サーバSは、エージェント端末10からの音声データの受信を待機する。また、この会話待機状態において、サーバSは、状況に応じて、例えば、ルーチンR1によって受信される走行データに基づいて、必要に応じて発話処理を行う。
【0086】
エージェント端末10は、ステップS33Aが終了すると、ステップS34Aにおいて、ステップS33BにおいてサーバSから送信される会話待機通知を受信したか否かを判定する。この判定は、ステップ33Aの終了後、すなわち端末ID及び車載装置IDをサーバSに向けて送信してから所定時間内に会話待機通知を受信したか否かでなされ得る。
【0087】
エージェント端末10は、ステップS34Aにおいて、会話待機通知が受信されなかったと判定される(ステップS34A:NO)と、サーバSにおいて車載装置VEの車載装置IDの登録がなかったと判定し、ルーチンR3Aを終了する。上述のように、ルーチンR3Aは繰り返し実行される。従って、ルーチンR3Aの繰り返しの実行中に、例えば、上記説明した情報登録サブルーチンR2が実行され、車載装置VEの車載装置IDの登録がなされれば、ステップS33B及びステップS34Aの判定が変化し得る。
【0088】
エージェント端末10は、ステップS34Aにおいて、会話待機通知を受信したと判定する(ステップS34A:YES)と、会話待機を開始する(ステップS35A)。この会話待機状態においては、エージェント端末10は、入力部27または携帯端末MT介した音声の入力の受付状態を維持している。また、この会話待機状態においては、エージェント端末10は、サーバ装置Sからの音声情報の受信を待機している。
【0089】
エージェント端末10は、会話待機状態に入った後、入力部27または携帯端末MTを介した音声入力があったか否かを判定する(ステップS36A)。エージェント端末10は、ステップS36Aにおいて、音声入力があったと判定する(ステップS36A:YES)と、当該入力された音声をデータ化してサーバSに向けて送信する(ステップS37A)。
【0090】
エージェント端末10は、ステップS36Aにおいて音声入力がなかったと判定する(ステップ36A:NO)かまたはステップS37Aを実行した後に、ステップS38Aにおいて、サーバSから音声データを受信したか否かを判定する。この判定は、ステップS36Aの判定後またはステップS37Aの実行後の一定時間以内にサーバSからの音声データが受信されたか否かで行ってもよい。
【0091】
エージェント端末10は、ステップS38Aにおいて音声データを受信したと判定する(ステップS38A:YES)と当該音声データに基づいて音声を生成して出力部29または携帯端末MTを介して当該音声を提供情報として出力する(ステップS39A)。なお、音声は、エージェント端末10の内蔵のスピーカーから出力されてもよいし、通信接続したカーステレオ等の車載装置VEから出力するようにしてもよい。
【0092】
エージェント端末10は、ステップS38Aにおいて音声データを受信しなかったと判定する(ステップS38A:NO)またはステップS39Aの実行後、自動車MのACC電源がオフになったか否かを判定する(ステップS310A)。この判定は、エージェント端末10が車載装置VEとの通信の確立を試みることでなされてもよい。すなわち、通信が確立すれば車載装置VEの電源が入っており、ACC電源がオフになっていないと判定される。また、通信が確立されなければ車載装置VEの電源が切れており、ACC電源がオフになっていると判定される。
【0093】
ステップS310Aにおいて、ACC電源がオフになっていないと判定される(ステップS310A:NO)と、会話待機状態が維持されS36Aが再度実行される。
【0094】
ステップS310Aにおいて、ACC電源がオフになったと判定される(ステップS310A:YES)と、サーバSに向けて会話待機終了通知が送信され(ステップS311A)、ルーチンR3Aが終了する。
【0095】
サーバ装置Sは、ステップS34Bが終了して会話待機状態に入った後、ステップS35Bにおいて、エージェント端末10から音声データを受信したか否かを判定する。サーバ装置Sは、ステップS35Bにおいて音声情報を受信したと判定する(ステップS35B:YES)と、当該音声データを解析し、返答が必要であるか否かを判定する(ステップS36B)。
【0096】
この判定は、例えば、音声の内容が自動車Mの搭乗者同士の会話であるか否かで判定する。例えば、1の音声の内容が疑問形であるが、すぐに当該疑問に対する回答を示す他の音声があった場合には、音声の内容が自動車Mの搭乗者同士の会話であると判定し、返答は不要であると判定してもよい。また、例えば、1の音声の内容が疑問形であり、一定時間他の音声がなかった場合には、当該音声が自動車Mの搭乗者からサーバSへの問いかけであるとして、返答が必要であると判定してもよい。
【0097】
サーバ装置Sは、ステップS35Bにおいて音声情報を受信していないと判定すると、発話条件が発生しているか否かを判定する(ステップS37B)。この判定は、例えば、エージェント10から送信される走行関連情報等によってなされ得る。例えば、走行関連情報に基づいて危険運転等の移動体Mにおける異変が検出された際には、発話条件が発生したと判定する。発話条件が発生した際に、走行関連情報に基づいて生成された運転操作に関するアドバイスが生成されてもよい。
【0098】
サーバ装置Sは、ステップS36Bにおいて返答が必要と判定する(ステップS36B:YES)かまたはステップS37Bにおいて発話条件が発生したと判定する(ステップS37B:YES)と、音声データを生成してエージェント端末10に向けて送信する(ステップS38B)。
【0099】
この音声データは、ステップS36の判定における解析に基づいて、またはステップS37Bの発話条件に基づいて生成される。また、この音声データは、ナリッジベースである車両情報データベース45B及び地図情報データベース45Cに基づいて生成され得る。
【0100】
例えば、上記した走行関連情報に基づいて生成された運転操作に関するアドバイスが提供情報として生成されて音声データとして送信されてもよい。また、この音声データは、テーブルTB1において、車載装置VEの車載装置IDに紐付けて記憶されている声色及び口調の少なくともいずれかに基づいて生成される。
【0101】
サーバ装置Sは、ステップ36Bにおいて返答の必要がないと判定する(ステップS36B)か、ステップ37Bにおいて発話条件が発生していないと判定する(ステップS37B)か、ステップ38Bが終了すると、エージェント端末10から会話待機終了通知が受信されたかを判定する(ステップS39B)。
【0102】
ステップ39Bにおいて、会話待機終了通知が受信されていないと判定される(ステップS39B:NO)と、会話待機状態が維持され、ステップS35Bが再度実行される。ステップ39Bにおいて、会話待機終了通知が受信されたと判定されると、会話待機状態が解除され、ルーチンR3Bが終了する。
【0103】
なお、上記会話ルーチンにおいてなされる会話としては、以下の様なものがある。
例えば、ユーザが「次の車検はいつだっけ?」と質問すると、サーバSにおいて返答が生成され、エージェント端末10から「今年の○月○日です。」と出力される。また、例えば、ユーザが「目的地まであと何キロ?」と質問すると、サーバSが地図情報データベース45Cアクセスして返答を生成し、エージェント端末10から「あと○○kmです。」と出力される。
【0104】
また、ユーザが「今度の土曜の夜にいつものレストランを予約して」と命令すると、サーバSが他のサーバDSにアクセスして返答を生成し、エージェント端末10から「○時であれば予約可能です。予約しますか?」と出力される。
【0105】
また、ユーザが「先月末はどこに遊びに行ったっけ?」と質問すると、サーバSが車両情報データベース45Bにアクセスして返答を生成し、エージェント端末10から「先月末は、○○遊園地に行きましたね。」と出力される。
【0106】
また、ユーザが「お腹減った」と現在の気持ちを話しかけると、サーバSが、過去に訪問した飲食店の履歴からユーザが好きな食べ物が何かを判断し、例えばユーザが好きな食べ物はラーメンだと判断した場合、「1km先に有名なラーメン店があります。立寄地に設定しますか?」と出力される。
【0107】
上述のように、本実施例のエージェント端末10を含むシステム100においては、自動車Mを特定可能な情報である車載装置VEの車載装置IDに紐付けて様々な情報を管理している。従って、エージェント端末10は、当該エージェント端末10が搭載されている車載装置IDに紐付けられて保存されている情報に基づいた情報を提供することが可能である。
【0108】
具体的には、エージェント端末10は、例えば、エージェント端末10が搭載された車両の走行に関する履歴に基づく情報を当該車両に対してなされた設定に基づいた音声で提供することができる。従って、エージェント端末10が複数の異なる自動車Mに搭載され得る場合であっても、自動車Mの各々に適合した情報提供をなすことが可能である。
【実施例0109】
[1.システムの構成及び動作]
以下に、本発明の実施例2である情報提供装置としてのエージェント端末10を含む情報提供システム100及び情報提供方法について添付図面を参照しつつ説明する。なお、実施例2においては、システム100の全体構成及びエージェント端末10及びサーバSの各々構成については、実施例1と同一である。
【0110】
図9Aに、設定情報データベース45A内に保存される設定情報テーブルTB3の一例を示す。設定情報デーブルTB3は、各エージェント端末10の各々について作成されている。設定情報テーブルTB3の左上には、エージェント端末10のIDが記載されている。
【0111】
実施例1の設定情報テーブルTB1(図4A参照)とは異なり、設定情報テーブルTB3では、車両識別子の欄の下に、自動車Mの各々に設定された車両識別子が「ビル」、「ジェニファー」の様なニックネームの態様で列挙されている。
【0112】
車載装置VEの車載装置IDは、車載装置IDの欄の下に列挙されている。また、声色の欄には、エージェント端末10が特定の識別子(ニックネーム)を与えられた自動車Mに搭載された際の声色が記載されている。また、口調の欄には、エージェント端末10が特定の識別子(ニックネーム)を与えられた自動車Mに搭載された際の口調が記載されている。すなわち、実施例2においては、車両識別子(ニックネーム)に車載装置ID、並びに声色及び口調が紐付けられている。
【0113】
サーバSの制御部47が実施例1で説明したようなAI会話ロボットとして機能する場合、設定情報テーブルTB3に車両識別子(ニックネーム)に紐付けて記載された声色及び口調に基づいて会話音声が生成される。
【0114】
この設定情報テーブルTB3に含まれている声色及び口調の情報は、エージェント端末10が未だ登録されていない自動車M、すなわちエージェント端末10が初めて搭載される自動車Mに搭載された際にユーザによって設定されて保存され得る。この設定の内容は、エージェント端末10の入力部27を通して、またはエージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを通して入力され得る。また当該設定の内容は、当該入力された設定内容がサーバSに送信されることで設定情報データベース45A内に保存され得る。
【0115】
図9Bに、車両情報データベース45B内に保存される車両情報テーブルTB4の一例を示す。実施例1の設定情報テーブルTB2(図4B参照)とは異なり、設定情報テーブルTB4では、車両識別子の欄の下に、自動車Mの各々に設定された車両識別子が「ビル」、「ジェニファー」の様なニックネームの態様で列挙されている。車両情報テーブルTB4は、各エージェント端末10の各々について作成されている。車両情報テーブルTB4の左上には、エージェント端末10のIDが記載されている。
【0116】
車両情報テーブルTB4には、登録されている車載装置VEの装置識別子が車載装置IDの欄の下に列挙されている。車種の欄には、例えば、車載装置VEの各々が搭載された自動車Mの車種等の車両情報を含む車両データ、当該自動車Mの車検日等の保守点検情報を含む保守点検データ及び自動車Mの走行履歴を含む走行データが記録されている。すなわち、実施例2においては、車両識別子(ニックネーム)に車載装置ID、並びに車両データ、保守点検データ、走行データが紐付けられている。
【0117】
なお、車両情報には、自動車Mの車種に加えて、または車種に変えて、自動車Mの使用燃料の種類、乗車可能人数、右/左ハンドルの別、車両サイズ等の情報が含まれていてもよい。また、自動車Mの保守点検情報には、オイル交換日またはワイパー交換日等の情報が含まれていてもよい。
【0118】
この車両情報テーブルTB4に含まれている車両情報は、エージェント端末10が未だ登録されていない自動車M、すなわちエージェント端末10が初めて搭載される自動車Mに搭載された際にユーザによって入力されて保存され得る。この車両情報は、エージェント端末10の入力部27を通して、またはエージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを通して入力され得る。また当該車両情報は、当該入力された車両情報がサーバSに送信されることで車両情報データベース45B内に保存され得る。
【0119】
また、走行履歴には、自動車Mの出発地、到着地及び立寄地、自動車Mの走行経路、走行速度、加速度の履歴が含まれていてもよい。走行履歴に含まれる情報は、例えば、エージェント端末10が自動車Mに搭載された際にエージェント端末10から送信される走行関連情報、および地図情報データベース45Cに記憶された地図情報に基づいて生成されてもよい。なお、走行データは、エージェント端末10が自動車Mに搭載されている間、常に更新され得る。
【0120】
[2.制御ルーチン]
以下に、実施例2の方法及びエージェント端末10及びサーバSを含むシステムを実現するための制御ルーチンについて説明する。なお、走行データ記録ルーチン及び会話ルーチンに関しては、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0121】
実施例2においては、情報の登録の際に、ユーザが実施例1の登録情報の他に車両識別子を入力して、それがサーバSのデータベースに登録される。そして、登録情報は、車両識別子(ニックネーム)に紐付けられて保存されることとなる。
【0122】
[2-1.情報登録サブルーチン]
図10に、実施例2における情報登録サブルーチンR4を示す。なお、エージェント端末10によって実行されるルーチンをR4A、サーバSによって実行されるルーチンをR4Bとして示す。
【0123】
エージェント端末10は、ルーチンR4Aを開始すると、まず、新規情報登録または車両入替の選択を待機する(ステップS41A)。これは、例えば、エージェント端末10の出力部29によって音声または画像等でユーザに新規情報登録なのか、車両識別子(ニックネーム)及び当該識別子に紐付けられた情報を今搭乗している新たな自動車M(車載装置VE)に引き継ぐ車両入替なのかの選択入力を促し、入力部27を介した選択入力を受け付けることで行われてもよい。
【0124】
この際、入力部27の代わりに、エージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを介して入力が行われてもよい。
【0125】
ステップS41Aが終了すると、エージェント端末10は、車両入替か否かを判定する(ステップS42A)。当該判定は、ステップS41Aにおいて、車両入替が選択されたか否かで判定される。
【0126】
エージェント端末10は、ステップS42Aにおいて、車両入替であると判定する(ステップS42A:YES)と、車両入替処理開始通知をサーバSに向けて送信し(ステップS43A)、車両入替サブルーチンを開始する(ステップS44A)。ステップS44Aのサブルーチンが終了すると、ルーチンR4Aは終了する。
【0127】
車両入替サブルーチンにおいて、エージェント端末10は、サーバSからエージェント端末10について保存されている1または複数の車両識別子及び当該1または複数の識別子に紐付けられた車両情報のセットをエージェント端末10に送信する。
【0128】
そして、ユーザは、今搭乗している新たな自動車Mに引き継ぎたいニックネームである車両識別子を選択し、その選択結果がサーバSに送信される。サーバSにおいては、その選択された車両識別子のうち、今まで紐付けられていた自動車M(車載装置VE)に固有の情報を削除し、その他の情報(自動車Mに固有では無い車両情報及び設定情報)をユーザが現在搭乗している、すなわちエージェント端末10が現在搭載されている自動車Mに引き継ぐ。
【0129】
エージェント端末10は、ステップS42Aにおいて、車両入替ではないと判定する(ステップS42A:NO)と、新規情報登録処理を開始し、車両識別子及び登録情報の入力を待機する(ステップS45A)。これは、例えば、エージェント端末10の出力部29によって音声または画像等でユーザにニックネーム並びに車両情報及び設定情報を含む登録情報の入力を促し、入力部27を介した入力を受け付けることで行われてもよい。この際、入力部27の代わりに、エージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを介して入力が行われてもよい。
【0130】
すなわち、ステップS45Aにおいて、現在エージェント端末10が搭載されている自動車Mに対する1の識別子の付与が行われる。言い換えれば、ステップS45Aにおいて、エージェント端末10の制御部25は、付与受付部として機能する。
【0131】
エージェント端末10は、ステップS45Aの終了後、車両識別子及び登録情報の入力が終了したか否かを判定する(ステップS46A)。この判定は、一定時間が経過したかまたはユーザによって入力部27または携帯端末MTを介して登録情報の入力の終了の意思表示がなされたか否かで判定されてもよい。ステップS46Aにおいて、入力が終了していないと判定される(ステップS46A:NO)と、車両識別子及び登録情報の入力の待機(ステップS45A)が継続され、一定時間の後再度ステップS46Aが実行される。
【0132】
ステップS46Aにおいて、入力が終了したと判定される(ステップS46A:YES)と、受け付けられた車両識別子及び登録情報がサーバSに送信され(ステップS47A)、ルーチンR4Aが終了する。
【0133】
サーバ装置Sは、ルーチンR4Bを開始すると、まずエージェント端末10からの情報の受信を待機する(ステップS41B)。その後、サーバ装置Sは、エージェント端末10から車両入替処理開始通知の受信があったか否かを判定する(ステップS42B)。この判定は、一定時間内に車両入替処理通知が受信される否かによって行われてもよい。
【0134】
ステップS42Bにおいて、車両入替処理開始通知が受信されたと判定される(ステップS42:YES)と、車両入替サブルーチンが開始される(ステップS43B)。
【0135】
サーバSは、ステップS42Bにおいて、車両入替処理開始通知が受信されていないと判定する(ステップS42B:NO)と、新規情報登録処理を開始し、エージェント端末10から車両識別子及び登録情報の受信があったか否かを判定する(ステップS44B)。この判定は、一定時間内に車両識別子及び登録情報が受信される否かによって行われてもよい。
【0136】
サーバSは、ステップS44Bにおいて、車両識別子及び登録情報の受信があったと判定した場合には、当該受信された登録情報及び現在エージェント端末10が搭載されている車載装置VEの車載装置IDを当該受信された車両識別子に紐付けて保存し(ステップS45B)、その後ルーチンR4Bが終了する。
【0137】
サーバSは、ステップS44Bにおいて、車両識別子及び登録情報の受信がなかったと判定した場合には、新規情報登録処理を一旦中止し、再度ステップS42Bを実行する。
【0138】
[2-2.車両入替サブルーチン]
図11に、実施例2における車両入替サブルーチンR5を示す。なお、エージェント端末10によって実行されるルーチンをR5A、サーバSによって実行されるルーチンをR5Bとして示す。
【0139】
上述のように、車両入替サブルーチンにおいて、エージェント端末10は、サーバSからエージェント端末10について保存されている1または複数の車両識別子(ニックネーム)及び当該1または複数の車両識別子に紐付けられた車両情報のセットをエージェント端末10に送信する。そして、ユーザは、今搭乗している新たな自動車Mに引き継ぎたいニックネームである車両識別子を選択し、その選択結果がサーバSに送信される。サーバSにおいては、その選択された車両識別子のうち、今まで紐付けられていた自動車M(車載装置VE)に固有の情報を削除し、その他の情報(自動車Mに固有では無い車両情報及び設定情報)をユーザが現在搭乗している、すなわちエージェント端末10が現在搭載されている自動車Mに引き継ぐ。
【0140】
ルーチンR5Aが開始されると、エージェント端末10は、車両識別子及びそれに紐付けられた登録情報の受信を待機する(ステップS51A)。
【0141】
ルーチンR5Bが開始されると、サーバSは、サーバS内のエージェント端末10の端末IDに対応するテーブルTB3及びTB4に含まれる1または複数の車両識別子及び登録情報のセットを送信してエージェント端末10においてユーザによって選択された1の車両識別子の受信を待機する(ステップS51B)。
【0142】
エージェント端末10は、ステップS51Aの実行の後、車両識別子及び登録情報を受信したか否かを判定する(ステップS52A)。なお、エージェント端末10について保存されている車両識別子がない場合には、その旨をエージェント端末10に送信し、これをして車両識別子及び登録情報のセットを送信したと見なされる。
【0143】
エージェント端末10は、ステップS52Aにおいて車両識別子等の受信をしたと判定する(ステップA52A:YES)と、当該受信した1または複数の車両識別子の中から1つのニックネームの選択入力を待機する(ステップS53A)。すなわち、ステップS53Aにおいて、エージェント端末10の制御部25は、変更付与を受け付ける付与受付部として機能する。
【0144】
これは、例えば、エージェント端末10の出力部29によって音声または画像等でユーザに現在搭乗している未登録の自動車Mに引き継ぎたいニックネームである車両識別子の選択入力を促し、入力部27を介した選択入力を受け付けることで行われてもよい。
【0145】
この際、入力部27の代わりに、エージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを介して入力が行われてもよい。
【0146】
エージェント端末10は、ステップS52Aにおいて、車両識別子等を受信していないと判定する(ステップS52A:NO)と、一定時間経過後に再度ステップS52Aを実行する。
【0147】
エージェント端末10は、ステップS53Aの終了後、車両識別子選択入力が終了したか否かを判定する(ステップS54A)。この判定は、一定時間が経過したかまたはユーザによって入力部27または携帯端末MTを介して登録情報の入力の終了の意思表示がなされたか否かで判定されてもよい。ステップS54Aにおいて、選択入力が終了していないと判定される(ステップS54A:NO)と、車両識別子選択入力の待機(ステップS53A)が継続され、一定時間の後再度ステップS54Aが実行される。
【0148】
ステップS54Aにおいて、選択入力が終了したと判定される(ステップS54A:YES)と、エージェント端末10は、当該選択された車両識別子をサーバに向けて送信してサーバからの問い合わせを待機する(ステップS55A)。
【0149】
サーバSは、ステップS52Bにおいて、当該選択された車両識別子が受信されていないと判定する(ステップS52B:NO)と、一定時間の後再度ステップS52Bを実行する。サーバSは、ステップS52において当該選択された車両識別子を受信したと判定する(ステップS52B:YES)と、当該選択された車両識別子に紐付けられた登録情報のうち現在登録されている自動車Mの車両に特有かまたは固有な情報である車両固有情報を消去して、新たに登録される自動車Mの車両固有情報をエージェント端末10に問い合わせる(ステップS53B)。
【0150】
例えば、当該消去される車両固有情報には、自動車Mの特性に依る情報及び自動車Mの整備に関する情報の少なくともいずれかを含む。また、自動車Mの特性に依る情報は自動車Mの物理的特性に関する情報を含む。この物理的特性に関する情報としては、例えば、車種の他に、車両の仕様、車両のサイズ、使用燃料の種類、乗車定員、左右ハンドルの別等がある。また、自動車Mの整備に関する情報には、自動車Mのオイル交換、部品交換等のメンテナンス予定日、または車検日が含まれ得る。
【0151】
また、ステップS53Bにおいて消去される情報には、走行データのうち、自動車Mの車両の特性に依存し、新たな自動車Mには適さないものが含まれていてもよい。具体的には、例えば、自動車Mがガソリン車から電気自動車に変わった場合に、立寄地に含まれるガソリンスタンドを消去したり、車両が小型車から大型車に変わった場合に、経路に含まれる大型車通行禁止道路を消去したり、車両が高くなった場合に、車両高制限のある駐車場の使用履歴を消去したりする。このように、新たな車両に適さない情報を消去することで、かつては頻繁に利用していた施設等であっても、新たな自動車Mでは利用不能な施設等については、エージェント端末を介して推奨されないようにできる。
【0152】
エージェント端末10は、ステップS55Aの終了後、サーバSからの問い合わせがきたか否かを判定する(ステップS56A)。エージェント端末10は、ステップS56Aにおいて、問い合わせを受信していないと判定する(ステップS56A:NO)と、一定時間の後ステップS56Aを再度実行する。
【0153】
エージェント端末10は、ステップS56Aにおいて、問い合わせを受信したと判定する(ステップS56A:YES)と、車両固有情報の入力を待機する(ステップS57A)。これは、例えば、エージェント端末10の出力部29によって音声または画像等でユーザに現在搭乗している未登録の自動車Mの車両固有情報の入力を促し、入力部27を介した入力を受け付けることで行われてもよい。
【0154】
この際、入力部27の代わりに、エージェント端末10と通信可能な携帯端末MTを介して入力が行われてもよい。
【0155】
エージェント端末10は、ステップS57Aの終了後、車両識別子選択入力が終了したか否かを判定する(ステップS58A)。この判定は、一定時間が経過したかまたはユーザによって入力部27または携帯端末MTを介して登録情報の入力の終了の意思表示がなされたか否かで判定されてもよい。ステップS58Aにおいて、選択入力が終了していないと判定される(ステップS58A:NO)と、車両識別子選択入力の待機(ステップS57A)が継続され、一定時間の後再度ステップS58Aが実行される。
【0156】
ステップ57A及びステップS58Aにかけて入力される車両固有情報は、上述のように、例えば、上記説明したテーブルTB3に含まれる車検日、車種の他に、車両の仕様、車両のサイズ、使用燃料の種類、乗車定員、左右ハンドルの別等を含んでいてもよい。すなわち、ステップ57A及びステップ58Aにおいて、制御部25は、移動体情報取得部として機能する。
【0157】
また、ステップ57A及びステップ58Aにかけて入力される設定情報は、テーブルTB4に含まれるエージェント端末10の出力部から出力される音声の声色及び口調の少なくともいずれかを含む音声設定情報である。すなわち、ステップ57A及びステップ58Aにおいて、制御部25は、音声設定情報受付部としても機能する。
【0158】
ステップS58Aにおいて、選択入力が終了したと判定される(ステップS58A:YES)と、エージェント端末10は、当該入力された車両固有情報をサーバSに向けて送信し(ステップS59A)、ルーチンR5Aが終了する。
【0159】
サーバSは、ステップS53Bの終了後、エージェント端末10から車両固有情報が受信されたか否かを判定する(ステップS54B)。サーバSは、ステップS54Bにおいて、車両固有情報が受信されていないと判定する(ステップS54B:NO)と、一定時間の後再度ステップS54Bを実行する。サーバSは、ステップS54において車両固有情報を受信したと判定する(ステップS54B:YES)と、当該受信された車両固有情報をステップS52Bにおいて受信された車両識別子、すなわちユーザによって選択されたニックネームに紐付けて保存し(ステップS55B)、ルーチンR5Bが終了する。
【0160】
実施例2のルーチンR5においては、ステップS53Bにおいて、車両識別子に紐付けられた登録情報のうち自動車Mに固有な情報である車両固有情報を消去するとしたが、当該車両固有情報を無効にしつつ残し、新たに登録される自動車Mの車両固有情報を追加的に保存してもよい。その場合、会話ルーチンR3において当該無効にされた車両固有情報は会話生成の情報源としては使用されない。
【0161】
なお、実施例2においては、会話ルーチンR3において、音声データを生成してエージェント端末10に向けて送信するステップS38Bにおいて、音声データは、テーブルTB3において、車両識別子に紐付けて記憶されている声色及び口調の少なくともいずれかに基づいて生成される。
【0162】
上記実施例2によれば、車両識別子を登録することで、車両にニックネームをつけることかできる。さらに、車両識別子に紐付けして各種情報を記憶することで、新たに乗り換えた車両に、馴れ親しんだ以前の車両のパーソナリティを乗り移らせることができる。
【0163】
また、上記実施例2によれば、車両識別子をニックネームの態様で登録することで、ユーザに車両をより親近感ある人格として感じさせることができる。また、当該登録されたニックネームをキーワードとすることで、車室内の乗員同士の会話なのか、エージェント端末10へ向けての発話なのかをより正確に判定することが可能となり、エージェント機能の精度向上に貢献する。
【0164】
例えば、搭乗者同士の会話の中の「明日晴れるといいなぁ」という発話にエージェント端末10が返答をすると、会話が中断されてわずらわしい場合がある。
【0165】
そこで、上記会話ルーチンR3において、複数人での会話中は返答不要であると判定するようにしておき、搭乗者同士の会話中であっても「明日晴れるといいなぁ、ビル」、「ビル、明日も雨かな?」といったように、発話の前後にニックネームが含まれる場合にのみ、エージェント端末へ向けての発話であると判定し、返答要の判定をして音声情報を生成するようにできる。
【0166】
ここまで、ユーザが車両識別子としてニックネームを付与可能な実施例を説明したが、車両識別子は、自由にニックネームを付与できるものであっても、例えば、「マイカー1」、「マイカー2」のように予め設定された複数の属性から、ユーザが選択できるものであってよい。
また、上記実施例においては、エージェント端末10が、外部のサーバSの大容量記憶装置45に各種情報を記憶させる例で説明したが、エージェント端末内に記憶部を設け、当該記憶部に各種情報の一部または全部を記憶するようにしてもよい。
【0167】
なお、上記実施例においてサーバSが保持していた各種情報の全部をエージェント端末10内の記憶部に記憶する場合は、会話型AIアプリケーションプログラム、カーナビゲーションプログラム等をエージェント端末10内に内蔵し、サーバSとの接続を行わないクローズなシステムを構築してもよい。
【0168】
また、上記実施例では、搭載された自動車Mを識別するために、車載装置VEと通信接続し、車載装置IDを取得することとしたが、これに代えてエージェント端末10にカメラを内蔵し、カメラにより撮影された車室内の構造物の画像パターンに基づいて、エージェント10が搭載されている自動車Mの車種を識別するようにしてもよい。
【0169】
また、上記実施例では、エージェント端末10が、提供情報を音声で出力する例で説明したが、これに代えて、または加えて、提供情報を画像で出力するようにしてもよい。例えば提供情報を外部のヘッドアップディスプレイにテキストなどで表示するようにしてもよい。
【0170】
上述した実施例におけるエージェント端末、ユーザ端末、車載装置もしくはサーバの構成、ルーチン、または表示もしくは入力の態様等は、例示に過ぎず、用途等に応じて、適宜選択または変更することができる。例えば、ルーチンにおける各ステップは、上記した例に関わらずサーバ、エージェント端末、ユーザ端末または車載装置のいずれが行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0171】
100 情報提供システム
10 エージェント端末10
21,41 システムバス
25,47 制御部
23,45 大容量記憶装置
33 走行情報生成部
S サーバ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11