(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027435
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】サポート装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20230222BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230222BHJP
G03B 35/08 20210101ALI20230222BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/00 W
G03B35/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132513
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】520447916
【氏名又は名称】合同会社アパラティス
(71)【出願人】
【識別番号】520029860
【氏名又は名称】株式会社ワールドスキャンプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】山舩 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 良平
(72)【発明者】
【氏名】市川 泰雅
【テーマコード(参考)】
2H059
2H105
【Fターム(参考)】
2H059AA10
2H105AA02
2H105AA17
2H105AA30
2H105AA46
(57)【要約】
【課題】 作業者が持ち運び可能な、フォトグラメトリ用の撮影カメラを取り付けることができるサポート装置を提供する。
【解決手段】 サポート装置(100)は、作業者のショルダーに接する一対のショルダー部(PT)と、一対のショルダー部から前後に伸びる一対の第1フレーム(10D)と、一対の第1フレームの上側に、且つ一対の第1フレームと並行に伸びる一対の第2フレーム(10U)と、一対の第1フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第1マウント(26)と、一対の第2フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第2マウント(22)と、一対の第1フレーム又は一対の第2フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第3マウント(24)と、を備える。。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者のショルダーに接する一対のショルダー部と、
前記一対のショルダー部から前後に伸びる一対の第1フレームと、
前記一対の第1フレームの上側に、且つ前記一対の第1フレームと並行に伸びる一対の第2フレームと、
前記一対の第1フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第1マウントと、
前記一対の第2フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第2マウントと、
前記一対の第1フレーム又は前記一対の第2フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第3マウントと、
を備えるサポート装置。
【請求項2】
前記一対の第1フレーム及び前記一対の第2フレームの各々は、それらの断面が円形もしくは多角形である、又は断面が長方形の平板であり、
前記一対の第1フレームと前記一対の第2フレームとは、それぞれ上下に伸びる連結部で連結されている、
請求項1に記載のサポート装置。
【請求項3】
前記一対の第1フレーム及び前記一対の第2フレームの各々は、前記ショルダー部から前方向に50cmから100cm伸び、且つ前記ショルダー部から後方向に50cmから100cm伸びており、
前記第1マウント及び第3マウントは、前記ショルダー部から50cmから100cm離れた位置に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載のサポート装置。
【請求項4】
前記第2マウントが8台配置される場合に、前記第1フレームもしくは前記第2フレームは、水平方向に所定幅を有する領域が形成されている、
請求項2に記載のサポート装置。
【請求項5】
前記一対の第1フレームもしくは前記一対の第2のフレームの一方は、前記一対の第1フレームもしくは前記一対の第2のフレームの他方に、可撓性もしくは折り畳み式の結合部で結合されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサポート装置。
【請求項6】
前記一対の第1フレームの前方に、作業者が把持するためのそれぞれ把持棒が配置されており、
前記把持棒は、着脱もしくは折り畳み可能である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサポート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次元写真から、視差情報を解析して三次元写真を生成するフォトグラメトリーに用いられる撮影装置のサポート装置に関する。特に、天井風景がある空間(地下街、アーケード街、教会内、神社仏閣内、ショッピングセンター内などの室内、木々が生い茂ってトンネルのような室外等)で、特に天井風景の映像が必要な箇所で使用されるサポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像処理技術及びコンピュータ処理速度の向上により、フォトグラメトリが注目を集め始めている。フォトグラメトリは、様々な角度から撮影した写真から、その画像や位置を精密にデータ化し、そこからリアルな三次元オブジェクトを再現する技術である。フォトグラメトリ用の写真撮影を容易にするために、例えば特許文献1では、複数のカメラを有するカメラユニットで人物等の被写体のフォトグラメトリー用撮影装置を開示している。また特許文献2は、異なる方向を向いたカメラを複数台装着できる雲台を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-32226号公報
【特許文献2】実用新案登録第3216933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のフォトグラメトリ用撮影装置は、大型で固定された装置内に人物等が入って撮影する装置である。また特許文献2は単純な三次元画像を制作するための雲台であり、作業者の映り込み等を考慮したフォトグラメトリ用の雲台には適していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、作業者が持ち運び可能な、撮影カメラを取り付けることができるサポート装置を提供する。
【0006】
本実施形態のサポート装置は、作業者のショルダーに接する一対のショルダー部と、一対のショルダー部から前後に伸びる一対の第1フレームと、一対の第1フレームの上側に、且つ一対の第1フレームと並行に伸びる一対の第2フレームと、一対の第1フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第1マウントと、一対の第2フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第2マウントと、一対の第1フレーム又は一対の第2フレームに配置される、撮影カメラ用の少なくとも6台の第3マウントと、を備える。
【0007】
サポート装置の一対の第1フレーム及び一対の第2フレームの各々は、それらの断面が円形もしくは多角形である、又は断面が長方形の平板である。また、一対の第1フレームと一対の第2フレームとは、それぞれ上下に伸びる連結部で連結されている。
また一対の第1フレーム及び一対の第2フレームの各々は、ショルダー部から前方向に50cmから100cm伸び、且つショルダー部から後方向に50cmから100cm伸びている。第1マウント及び第3マウントは、ショルダー部から50cmから100cm離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0008】
第2マウントが8台配置される場合に、第1フレームもしくは第2フレームは、水平方向に所定幅を有する領域が形成されていることが好ましい。
また一対の第1フレームもしくは一対の第2のフレームの一方は、一対の第1フレームもしくは一対の第2のフレームの他方に、可撓性もしくは折り畳み式の結合部で結合されていることが好ましい。
一対の第1フレームの前方に、作業者が把持するためのそれぞれ把持棒が配置されており、把持棒は、着脱もしくは折り畳み可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のサポート装置は、撮影カメラを取り付けて、フォトグラメトリ撮影を容易にすることができるができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】撮影カメラ及び照明ライト等を取り付けた状態のサポート装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態のサポート装置の平面図、側面図及び背面図である。
【
図3】(A)は第2フレーム10Uの上面に配置されたカメラの向きを示した図であり、(B)は第1フレーム10Dの上面に配置されたカメラの向きを示した図である。
【
図4】撮影カメラの横方向(XY平面)の撮影画角の重なり具合を示した図であり、(A)は60度間隔に配置された撮影カメラCA1の図であり、(B)は45度間隔に配置された撮影カメラCA2の図である。
【
図5】第1フレーム10Dの上面の先端付近の斜視図である。
【
図6】第2実施形態のサポート装置の平面図、側面図及び背面図である。
【
図7】第3実施形態のサポート装置の平面図、側面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また各図面では部材を強調するため実際の寸法通りに描かれていない。
【0012】
<<第1実施形態>>
<サポート装置の概要>
図1は、第1実施形態のサポート装置100の斜視図であり、作業者がサポート装置100を肩に担いでいる状態を示している。サポート装置100は、撮影カメラCA(CA1、CA2、CA3)、照明ライトLT等を少なくとも1つ以上を取り付けることができる。以下の説明において、サポート装置100が作業者に担がされている際の基本姿勢において、天井側を上(+Z軸)、地面側を下(-Z軸)と定義する。作業者が自身の前で把持する把持棒19が配置された方向を前(+Y軸)と定義し、その反対側を後(-Y軸)とする。そして、作業者の右手方向で、
図1の紙面奥側を右(-X軸)、紙面手前側を左(X軸)とする。
【0013】
本実施形態のサポート装置100は、作業者がある場所を歩き回り、その周囲の三次元写真を生成するフォトグラメトリに用いられるカメラを支えるものである。特に、木々が生い茂ってトンネルのようになった室外、天井のある室内空間(地下街、アーケード街、教会内、神社仏閣内、ショッピングセンター内等)を作業者が歩き回って、水平方向に広がる風景もしくは壁及び床もしくは地面だけでなく、特に天井風景の映像が必要な箇所で使用される。また作業者がサポート装置100を担いで歩き回るため、できるだけ軽い材料で形成されることが好ましい。
【0014】
サポート装置100のサイズは、例えば前後方向(Y軸方向)に100cmから200cm、左右方向(X軸方向)に25cmから60cm、高さ方向(Z軸方向)に30cmから60cmに収まるように構成されている。このようなサイズにする理由として、前後方向に100cm以下であると撮影カメラCAの画角範囲に、作業者の頭部や脚部が映り込んでしまうからであり、200cm以上であると、サポート装置100の自重が重くなりまた細い路地などにおいて取り扱いが難しくなるからである。また、左右方向に25cm以下であると作業者はショルダーに担ぐことができなくなり、60cm以上であるとショルダーに担ぎにくくなるからである。また、高さ方向が30cm以下であると撮影カメラCAの画角範囲に、作業者の頭部が映り込んでしまい、60cm以上であると、サポート装置100の取り扱いが難しくなるからである。
【0015】
サポート装置100に取り付けられる撮影カメラCA(静止画カメラ及び動画カメラも含む。)及び照明ライトLTは、用途に応じて自在に変更できる。照明ライトLTは明るい空間であれば不要であり、暗い空間であれば照明ライトLTは、適宜1又は3以上配置したり、より明るい照明ライトLTに変更したりすることができる。
【0016】
サポート装置100は、作業者がサポート装置100の重量を支えるため、作業者のショルダーに接する一対のショルダー部PTを備えている。またサポート装置100は一対のショルダー部PTから前後に伸びる一対の第1フレーム10Dと、一対の第1フレームの上側に配置され、一対の第1フレーム10Dと並行に伸びる一対の第2フレーム10Uとを備えている。一対の第1フレーム10Dのそれぞれと、一対の第2フレーム10Uのそれぞれは、前方向に形成された前連結棒15及び後方向に形成された後連結棒15で連結されている、
【0017】
左側の第1フレーム10Dは、右側の第1フレーム10Dに可撓性もしくは折り畳み式の結合部17で結合されており、また左側の第2のフレーム10Uは、右側の第2のフレーム10Uに可撓性の結合部で結合されている。
図1では後方向に形成された後連結棒15の上下に2本の結合部が配置されて、左側の第1フレーム10Dと第2フレーム10Uが、右側の第1フレーム10Dと第2フレーム10Uとが結合されている。
【0018】
また一対の第1フレーム10Dの前方に、作業者が把持するための把持棒19がそれぞれ配置されている。作業者は、サポート装置100の重量を作業者のショルダーで支えるとともに、把持棒19でサポート装置100の前後方向の水平を保つ。
【0019】
<ショルダー部の概要>
図2(A)は+Z軸方向からサポート装置100を観察した平面図であり、
図2(B)は-X軸方向からサポート装置100を観察した側面図であり、
図2(C)は-Y軸方向からサポート装置100を観察した背面図である。
図2に示されるショルダー部PTは、サポート装置100の重量を作業者のショルダーで支えられるため、ショルダーが痛くならないように、ゴム材、ウレタン、発泡スチロール、綿入り布材等の弾性部材で形成されている。またサポート装置100を支え易くするように、ショルダー部PTはその一部が円弧状もしくは台形状に切り欠かれていることが好ましい。ショルダー部PTは、第1フレーム10Dに接着剤もしくはネジ止め等で固定されてもよく、ベルト留めで取り外し可能に固定されてもよい。
【0020】
<フレームの概要>
図2に示される一対の第1フレーム10Dは、ポリプロピレンもしくはABS等の軽量プラスチック、軽量木材、クロム鋼もしくはアルミ合金等の軽量金属で形成される。第1実施形態では、断面が長方形の平板状の中空プラスチックが使用されている例である。また平板状の第1フレーム10Dの幅(X軸方向)は例えば6cm~10cmであり、第1フレーム10Dの前後方向の長さL1、L2は例えばショルダー部から前方向に50cmから100cm伸び、ショルダー部から後方向に50cmから100cm伸びている。さらに好ましくは前方向の長さL1が70cmから90cmであり、ショルダー部から後方向の長さL2が70cmから90cmであってもよい。第1実施形態では、第1フレーム10Dの長さが一定であるが、長さを可変できるようにしてもよい。第1フレーム10Dの前後方向の長さが同じであるが、互いに異なった長さであってもよい。
【0021】
上側に配置される一対の第2フレーム10Uも、第1フレーム10Dと同様に、中空プラスチック、木材又は軽量金属で形成され、同じ長さで形成されることが好ましい。第1フレーム10D及び第2フレーム10Uは、後述する連結部15で連結され、互いに並行に配置されている。
【0022】
<連結部の概要>
下側の第1フレーム10Dと上側の第2フレーム10Uは、連結部15で連結されている。連結部15も中空プラスチック、木材または軽量金属で形成される。連結部15の高さH1(正確には第1及び第2フレームとショルダー部の高さも含む)は30cmから60cmであり、好ましくは35cmから50cmである。高さH1が30cm以下であると撮影カメラCAの撮影(画角)範囲に、作業者の頭頂部が映り込んでしまうため不適である。なお、作業者のショルダーから頭頂部が映り込まないように、連結部15に高さ調整機構を取り付けても良い。第1実施形態では、前後に2本(一対で4本)の棒形状の連結部15で連結されているが、左右それぞれ3本以上であってもよく、前後に伸びる左右それぞれ1枚の平板状の連結部15で連結されていても良い。なおサポート装置100の運搬の際に車内に積み易くするためもしくは保管スペースを小さくするために、連結部15は折り畳み可能であることが好ましい。つまり下側の第1フレーム10Dと上側の第2フレーム10Uとをほぼ接するように連結部15が折り畳めることが好ましい。
【0023】
<結合部の概要>
左側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uと右側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uとは、ほぼ上方から観察してほぼ平行に作業者のショルダーに担がれていることが好ましい。このため、左側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uの少なくとも1つと右側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uの少なくとも1つとが結合部17で結合されている。第1実施形態では、左側の第1フレーム10Dと右側の第1フレーム10Dとが直接接合されるのではなく、後側の棒形状の連結部15を介して結合されている。同様に、左側の第2フレーム10Uと右側の第2フレーム10Uとが直接接合されるのではなく、後側の棒形状の連結部15を介して結合されている。
図2では描かれていないが、前方側(+Y軸側)の右側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uの少なくとも1つと右側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uの少なくとも1つとが結合部17で結合されていてもよい。
【0024】
結合部17は、剛性のある軽量プラスチック棒もしくは軽量金属丸棒であってもよく、伸縮性の少ない可撓性の紐であってもよい。
図2では結合部17は帯状の紐で形成されている。結合部17が帯状の紐で形成されているため、左側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uと右側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uとが重なり合うように、折り畳むことができる。剛性ある金属製の場合には、サポート装置100を車内に積み込みやすくするためもしくは保管スペースを小さくするために、左側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uと右側の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uとが重なり合うように、折り畳み機構があることが好ましい。
【0025】
<把持棒の概要>
把持棒19は、作業者がサポート装置100のバランスを取るために、一対の第1フレーム10Dの前方に設けられている。把持棒19は中空プラスチック、軽量木材または軽量金属で形成されることが好ましく、作業者が把持棒19を握りやすいように把持棒にグリップが設けられていることが好ましい。また把持棒19は、30cmから50cmぐらいの長さであり、サポート装置100を車内に積み込みやすくするため、折り畳み機構もしくは第1フレーム10Dからの着脱機構があることが好ましい。
【0026】
<マウントの概要>
フォトグラメトリ用の写真撮影を容易にするために、撮影カメラCAを取り付けるマウントがサポート装置100に複数配置される。サポート装置100を担ぐ作業者自身が映り込まないように、且つサポート装置100の周囲全体を撮影できるように、マウントが配置される。
【0027】
図2(A)に示されるように、一対の第2フレーム10Uの上側(+Z軸方向)には、撮影カメラ用の少なくとも6台の第2マウント22が設けられている。また一部が図示されていないが、一対の第1フレーム10Dの下側(-Z軸方向)には、撮影カメラ用の少なくとも6台の第1マウント26が設けられている。また第1マウント26のXY平面の配置は、第2マウント22と同様な配置である。また、一対の第1フレーム10Dの上側又は一対の第2フレーム10Uの下側に配置され、撮影カメラ用の少なくとも6台の第3マウント24が設けられる。第1実施形態では、
図2(B)及び(C)に示されるように、第3マウント24が第1フレーム10Dの上側に設けられており、後述するように8台の第3マウント24が設けられている。
【0028】
第1、第2及び第3マウントは、例えば三脚の雲台と同等の機能を有し、ロール方向、ピッチ方向及びヨー方向のうち、少なくともピッチ方向が自由に設定できるように構成される。第1、第2及び第3マウントは、の基準軸は、水平方向に所定角度向いて配置されることが好ましい。
【0029】
<撮影カメラの配置及びマウントの配置>
フォトグラメトリでデジタル3Dモデルを作成するための写真撮影は、各写真にオーバーラップが十分に確保されていることである。つまり、1枚目の写真と2枚目の写真とは60%(横方向)または80%(縦方向)以上のオーバーラップしていることが好ましい。さらに精密な3Dモデルを作成するためには撮影の対象物は少なくとも3以上の別々の角度から撮影されていることが好ましい。
【0030】
図3(A)は第2フレーム10Uの上面である。
図2(A)及び
図3(A)に示されるように、第2フレーム10Uの上面には、第2マウント22が+Y軸方向を基準にして、30°、90°、150°、210°、270°及び330°方向を向いて配置される。つまり
図3(A)中のθAは隣り合う第2マウント22はそれぞれ60°に設定されている。そして撮影カメラCA1が斜め上方(例えば水平面を基準にピッチ方向+45°前後)を向いてそれぞれの第2マウント22に配置される。撮影カメラCA1の画角にもよるが、第2マウント22が60度間隔で向きを変えて配置されることにより、撮影カメラCA1で撮影される各写真にはオーバーラップが十分に確保されている。
【0031】
また、第2マウント22のそれぞれは、第2フレーム10Uの先端及び後端(Y軸方向)に配置されている。上述したように、第1フレーム10Dの前後方向の長さL1、L2が50cmから100cmであるので、第2マウント22の配置も、ショルダー部から50cmから100cmの位置である。
【0032】
なお、図示されていないが、第1フレーム10Dの下面には、第1マウント26が+Y軸方向を基準にして、30°、90°、150°、210°、270°及び330°方向を向いて配置される。つまり第1フレーム10Dの下面は、下方(-Z軸方向)から観察すると、第1マウント26は
図3(A)と同様な配置になる。そして撮影カメラCA3が斜め下方(例えば水平面を基準にピッチ方向-45°前後)を向いて配置される。
【0033】
図3(B)は第1フレーム10Dの上面図である。第1フレーム10Dの上面には、8台の第3マウント24が+Y軸方向を基準にして、θBが45°毎、つまり0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°及び315°方向を向いて配置される。そして
図3(B)に示されるように撮影カメラCAが水平方向を向いてそれぞれの第3マウント24に配置される。第3マウント26が45度間隔で向きを変えて配置されることにより、撮影カメラCA2で撮影される各写真にはオーバーラップが十分に確保されている。
なお、フォトグラメトリ用の写真撮影のため少なくとも6台の第3マウント24が設けられていればよい。また第2マウント22及び第1マウント26も、第3マウント24のように、45度間隔で配置してもよいし、第1、第2及び第3マウントが30度間隔で12個配置されていてもよい。
【0034】
<撮影範囲>
図4は、撮影カメラCA(CA1,CA2)が水平画角100°の場合に、撮影範囲の横方向(XY平面)の重なり具合を示した図である。(A1)は第2フレーム10Uの上面に取り付けられた6つの撮影カメラCA1の撮影範囲(水平画角100°)AFを示した図であり、(A2)は6つの撮影範囲AFを1点に集めた図である。(B1)は第1フレーム10Dの上面に取り付けられた8つの撮影カメラCA2の撮影範囲(水平画角100°)AFを示した図であり、(B2)は8つの撮影範囲AFを1点に集めた図である。なお、作業者が+Y軸方向に移動していく際に、撮影カメラCAは定期的に撮影するため、イメージとして複数方向の撮影した撮影範囲AFを1点に集めた図として描かれている。
【0035】
図4(A2)に示されるように、撮影カメラCA1で撮影される撮影範囲AFにはオーバーラップが十分に確保されている。
図4(B2)に示されるように、撮影カメラCA2で撮影される撮影範囲AFにはオーバーラップが十分に確保されている。
【0036】
これまでに天井を含むフォトグラメトリは、作業者によって手持ち撮影カメラで角度を変えて一カ所を多角度から撮影することにより行っていたが、撮影方向の異なる撮影カメラCAを少なくとも6台取り付ければ、作業者が一方向(例えば+Y軸方向)に移動するだけで、天井風景がある空間のフォトグラメトリ用の写真が撮影できる。
【0037】
図5は、第1フレーム10Dの上面の先端付近の斜視図であり、+Y軸方向(0°方向)に向いた撮影カメラCA2とその隣で+45°方向に向いた撮影カメラCA2とを含む拡大図である。
図5(A)と(B)とは、斜視の角度が異なる。
図5に示される撮影範囲AFは、撮影カメラCA2の水平画角100°,垂直画角65°の場合を示した概念図である。
【0038】
撮影カメラCAの大きさ及び水平画角にもよるが、Y軸方向(0度方向または180度方向)に向いた撮影カメラCA2(CA21)と+45度方向または225度方向に向いた撮影カメラCA2(CA22)があると、Y軸方向及びX軸方向にある程度距離を離さなければ、隣り合う撮影カメラCA2の一部が撮影範囲内に入るおそれがある。このため、撮影カメラCA21と撮影カメラCA22とは、画角から外れるようにX軸方向に6cmから10cm離れた方がよいため、第1フレーム10Dの幅W1は、例えば6cmから10cmであることが好ましい。また、第1フレーム10DがZ軸方向から観察して長方形である場合、撮影カメラCA22の垂直画角内に、第1フレーム10Dの角部が入る。このため、
図5(A)及び(B)に示されるように、第1フレーム10Dに切り欠き部11が形成され、撮影カメラCA22の垂直画角内に1フレーム10Dが入らないようにすることが好ましい。
【0039】
<第2実施形態のサポート装置>
図6は、第2実施形態のサポート装置100Aの側面図であり、
図6(A)は+Z軸方向からサポート装置100Aを観察した平面図であり、
図6(B)は-X軸方向からサポート装置100Aを観察した側面図であり、
図6(C)は-Y軸方向からサポート装置100Aを観察した背面図である。第1実施形態のサポート装置100では第1フレーム10D、第2フレーム10U等が軽量木材で構成されていたが、第2実施形態のサポート装置100Aでは第1フレーム110D、第2フレーム110U等が円形もしくは八角形断面のアルミフレームで構成されている点である。これに伴い、連結部及び結合部等の構成も異なっている。
【0040】
<フレーム、マウント、ショルダー部の概要>
第1フレーム110D及び第2フレーム110Uの長さ及び配置は、第1実施形態の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uと同様である。また、第1マウント26、第2マウント22及び第3マウント24の配置及び各マウントの向きも、第1実施形態と同様である。ショルダー部PTは、サポート装置100の重量を作業者のショルダーで支えられるため、ショルダーが痛くならないように、円柱状のゴム材、綿入り布材等の弾性部材で形成されて、第1フレーム110Dに巻かれている。
【0041】
第1フレーム110D及び第2フレーム110Uは、直径が例えば約3cmの断面が円形もしくは八角形のアルミフレームである。<撮影範囲>の項で説明したように、Y軸方向(0度方向または180度方向)に向いた撮影カメラCA2(CA21)と+45度方向または225度方向に向いた撮影カメラCA2(CA22)は、Y軸方向及びX軸方向にある程度距離を離さなければ、隣り合う撮影カメラCA2の一部が撮影範囲内に入るおそれがある。そのため、第1フレーム110DからX軸方向に拡張第1フレーム111Dが形成され、
図6(A)に示されるように第1フレーム110Dから拡張第1フレーム111Dまでの幅W1は、例えば6cmから10cmである。
【0042】
<連結部の概要>
下側の第1フレーム110Dと上側の第2フレーム110Uは、連結部115で連結されている。第2実施形態の連結部115は、例えば直径が約2cmの円形もしくは八角形断面のアルミフレームで構成されている。連結部115の高さは、第1実施例の連結部15と同等の高さである。連結部115には折り畳み機構116が設けられており、第1フレーム10Dと第2フレーム10Uとをほぼ接するように連結部15が折り畳める。
【0043】
<結合部の概要>
左側の第1フレーム110D及び第2フレーム110Uと右側の第1フレーム110D及び第2フレーム110Uとは、左側の第2フレーム110Uと右側の第2フレーム110Uとが結合部117で結合されている。さらに、左側の第1フレーム110Dと右側の第1フレーム110Dとが結合部117で結合されてもよい。
【0044】
結合部117は、例えば直径が約2cmの円形もしくは八角形断面のアルミフレームで構成されている。結合部117には折り畳み機構116が設けられており、左右の第1フレーム10D及び第2フレーム10Uをほぼ接するように折り畳める。
【0045】
<把持棒の概要>
把持棒119は、一対の第1フレーム110Dの前方に設けられている。把持棒119は例えば直径が約4cmの円形もしくは八角形断面のアルミフレームで構成されており、コルク又はゴムのグリップが設けられてもよい。また把持棒119は、折り畳み機構118があり、点線で示されるように、把持棒119の途中から折り畳むことができる。
【0046】
<第3実施形態のサポート装置>
図7は、第3実施形態のサポート装置100Bの側面図であり、
図7(A)は+Z軸方向からサポート装置100Bを観察した平面図であり、
図7(B)は-X軸方向からサポート装置100Bを観察した側面図であり、
図7(C)は-Y軸方向からサポート装置100Bを観察した背面図である。第2実施形態のサポート装置100Aと同様に、第3実施形態のサポート装置100Bの第1フレーム110D及び第2フレーム110Uは断面が円形もしくは八角形のアルミフレームである。第2実施形態のサポート装置100Aでは拡張第1フレーム111Dが2箇所設けられていたが、第3実施形態のサポート装置100Bでは拡張第1フレームが設けられていない。また、連結部115及び結合部117には折り畳み機構116が設けられていない。他の第3実施形態の構成は、第2実施形態とほぼ同じである。
【0047】
第3実施形態のサポート装置100Bでは、撮影カメラCA2用の第3マウント24が、左右の第1フレーム10Dの上側だけでなく、左右の第2フレーム10Uの下側にも設けられている。<撮影範囲>の項で説明したように、Y軸方向(0度方向または180度方向)に向いた(CA21)と+45度方向または225度方向に向いた撮影カメラCA2(CA22)は、Y軸方向及びX軸方向にある程度距離を離さなければ、隣り合う撮影カメラCA2の一部が撮影範囲内に入るおそれがある。
【0048】
第3実施形態では、第2フレーム110の上方に6台の第2マウント22が配置され、
図7(B)及び
図7(C)に示されるように、第2フレーム110の下方に2台の第3マウント24が配置されている。この2台の第3マウントは、例えばY軸方向(0度方向または180度方向)に向いた第3マウント24、又は+45度方向または225度方向に向いた第3マウント24のいずれか一方である。
【0049】
角度に関して隣り合う撮影カメラCA2(CA21)と撮影カメラCA2(CA22)とは、高さ方向(Z軸方向)に30cmから60cm離れているため、互いに撮影カメラCA2の一部が映り込むことが無い。
【0050】
第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態において、撮影カメラ用のバッテリ電源や照明ライト用のバッテリ電源が描かれていないが、サポート装置100にバッテリ電源が設けられてもよい。本開示のサポート装置は、様々な角度から撮影する撮影カメラを配置することができるため、フォトグラメトリに有効である。
【符号の説明】
【0051】
100(100A~100B) … サポート装置
10D、110D … 第1フレーム、 10U,110U … 第2フレーム
15,115 … 連結部 17,117 … 結合部
19 … 把持部
22、24,26 … 撮影マウント
CA … 撮影カメラ
LT … 照明ライト
PT … ショルダー部