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特開2023-27460フランジ取付治具ユニットとフランジ付き管構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027460
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】フランジ取付治具ユニットとフランジ付き管構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/053 20060101AFI20230222BHJP
   F16L 23/026 20060101ALN20230222BHJP
【FI】
B23K37/053 E
F16L23/026
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132558
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000132127
【氏名又は名称】株式会社スガテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】磨樒 忠義
【テーマコード(参考)】
3H016
【Fターム(参考)】
3H016AA02
3H016AB06
3H016AC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】管体から様々な方向に向けられる枝管へのフランジの取付を補助する。
【解決手段】本発明に係るフランジ取付治具ユニット1は、管構造体TFにフランジFを取り付けるために用いられるフランジ取付治具ユニットである。管構造体は管体T1と第1枝管体T2と第2枝管体T3とを含む。フランジは第1フランジF1と第2フランジF2と第3フランジF3とを含む。フランジ取付治具ユニットは、第1フランジ取付補助用の第1治具10,20と、第2フランジ取付補助用の第2治具30と、第3フランジ取付補助用の第3治具40と、を有してなる。管体の軸方向視において、第2治具と第3治具とは管体の側方に配置され、第1治具は、第1フランジを介して第1枝管体の第1中心軸線が水平方向と平行になるように管体を保持可能であり、かつ、第1フランジを介して第2枝管体の第2中心軸線が水平方向と平行になるように管体を保持可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管構造体にフランジを取り付けるために用いられるフランジ取付治具ユニットであって、
前記管構造体は、
円筒状の管体と、
前記管体の外周面に連結される第1枝管体と、
前記第1枝管体とは異なる方向に向けて、前記外周面に連結される第2枝管体と、
を含み、
前記フランジは、
前記管体の第1端部と第2端部それぞれに取り付けられる第1フランジと、
前記第1枝管体の端部に取り付けられる第2フランジと、
前記第2枝管体の端部に取り付けられる第3フランジと、
を含み、
前記フランジ取付治具ユニットは、
前記管体の前記第1端部と前記第2端部それぞれへの前記第1フランジの取付を補助する一対の第1治具と、
前記第1枝管体の前記端部への前記第2フランジの取付を補助する第2治具と、
前記第2枝管体の前記端部への前記第3フランジの取付を補助する第3治具と、
を有してなり、
前記管体の軸方向視において、
前記第2治具と前記第3治具それぞれは、前記管体の側方に配置され、
前記第1治具は、前記第1フランジを介して、前記第1枝管体の第1中心軸線が水平方向と平行になるように前記管体を保持可能であり、かつ、前記第1フランジを介して、前記第2枝管体の第2中心軸線が前記水平方向と平行になるように前記管体を保持可能である、
ことを特徴とするフランジ取付治具ユニット。
【請求項2】
前記第1フランジは、
前記管体の前記端部が挿入される第1挿入孔と、
前記第1挿入孔の径方向外方に等角度間隔で配置される複数の第1ボルト孔と、
を備え、
前記第1治具それぞれは、
鉛直方向と平行で、前記第1フランジが当接するように構成される第1当接面と、
前記第1当接面に配置され、前記第1挿入孔に連通するように構成される第1中央孔と、
前記第1当接面において、前記第1中央孔と同心の仮想円上であって、前記第1中央孔の中心点に対して点対称の位置に配置される一対の第1取付孔および一対の第1回転孔と、
前記第1取付孔または前記第1回転孔と、前記第1フランジの複数の前記第1ボルト孔のいずれかと、に通されて、前記第1フランジを前記第1当接面に固定するように構成される第1固定部材と、
を備え、
前記第1フランジが前記管体の前記第1端部と前記第2端部それぞれに取り付けられ、前記軸方向視において、一対の前記第1取付孔それぞれの位置と、前記第1ボルト孔のうち、2つの前記第1ボルト孔それぞれの位置と、が一致し、かつ、前記第1中心軸線が前記水平方向と平行であるとき、
前記軸方向視において、前記第1回転孔は、複数の前記第1ボルト孔のうち、いずれかの位置から、前記第1中央孔の前記中心点を中心として、前記第2中心軸線と前記水平方向との間の第1角度回転した位置に配置される、
請求項1記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項3】
前記軸方向視において、前記第1回転孔は、前記第1取付孔の位置から、前記第1中央孔の前記中心点を中心として、前記第1角度回転した位置に配置される、
請求項2記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項4】
前記第1フランジが前記第1取付孔と前記第1ボルト孔とに通された前記第1固定部材により前記第1当接面に固定されたとき、
前記仮想円の周方向において、前記第1回転孔の位置は、前記第1フランジの前記第1ボルト孔の位置と異なる、
請求項2または3記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項5】
前記第1取付孔と前記第1回転孔とは、円弧状の長孔として一体に構成される、
請求項2乃至4のいずれかに記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項6】
前記長孔の両端は、前記第1取付孔と前記第1回転孔として機能する、
請求項5記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項7】
前記第2フランジは、
前記第1枝管体の前記端部が挿入される第2挿入孔、
を備え、
前記第2治具は、
鉛直方向と平行で、前記第2フランジが当接するように構成される第2当接面と、
前記第2当接面に配置され、前記第2挿入孔に連通するように構成される第2中央孔と、
を備え、
前記第1中心軸線が前記水平方向と平行なとき、
前記第2当接面は、前記第1枝管体の前記端部の開口面と平行に配置され、
前記第1中心軸線は、前記第2中央孔の中心点に向けられる、
請求項1乃至6のいずれかに記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項8】
前記第3フランジは、
前記第2枝管体の前記端部が挿入される第3挿入孔、
を備え、
前記第3治具は、
鉛直方向と平行で、前記第3フランジが当接するように構成される第3当接面と、
前記第3当接面に配置され、前記第3挿入孔に連通するように構成される第3中央孔と、
を備え、
前記管体に取り付けられた前記第1フランジが、前記第2中心軸線が前記水平方向と平行になるように前記第1治具に固定されたとき、
前記第3当接面は、前記第2枝管体の前記端部の開口面と平行に配置され、
前記第2中心軸線は、前記第3中央孔の中心点に向けられる、
請求項1乃至7のいずれかに記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項9】
複数の前記第2枝管体が、前記管体の前記外周面に連結され、
複数の前記第2枝管体に対応する複数の前記第3治具、
を有してなり、
複数の前記第3治具それぞれの前記第3当接面は、同一仮想平面上に配置される、
請求項8記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項10】
複数の前記第3治具が取り付けられる台座、
を有してなり、
複数の前記第3治具と前記台座とは、一体の治具ユニットを構成する、
請求項9記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項11】
前記管体に対する複数の前記第2枝管体の構成は、複数あり、
複数の前記構成に対応する複数の前記治具ユニット、
を有してなり、
複数の前記治具ユニットそれぞれは、互いに交換可能である、
請求項10記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項12】
前記第1フランジは、
前記管体の前記端部が挿入される第1挿入孔と、
前記第1挿入孔の径方向外方に等角度間隔で配置される複数の第1ボルト孔と、
を備え、
前記第1治具それぞれは、
鉛直方向と平行で、前記第1フランジが当接するように構成される第1当接面と、
前記第1当接面に配置され、前記第1挿入孔に連通するように構成される第1中央孔と、
前記第1当接面において、前記第1中央孔と同心の仮想円上であって、前記第1中央孔の中心点に対して点対称の位置に配置される一対の第1取付孔、一対の第1回転孔および一対の第2回転孔と、
前記第1取付孔、前記第1回転孔または前記第2回転孔と、前記第1フランジの複数の前記第1ボルト孔のいずれかと、に通されて、前記第1フランジを前記第1当接面に固定するように構成される第1固定部材と、
を備え、
前記第1取付孔と前記第1ボルト孔とに通された前記第1固定部材により前記第1当接面に固定された前記第1フランジが前記管体の前記端部に取り付けられたとき、前記管体の前記軸方向視において、
前記第1回転孔は、前記第1取付孔の位置から前記第2中心軸線と前記水平方向との間の第1角度回転した位置に配置され、
前記第2回転孔は、前記第1取付孔の位置から前記第1中心軸線と前記水平方向との間の第2角度回転した位置に配置される、
請求項1記載のフランジ取付治具ユニット。
【請求項13】
管構造体にフランジを取り付けるために用いられるフランジ取付治具ユニットを用いた、フランジ付き管構造体の製造方法であって、
前記管構造体は、
円筒状の管体と、
前記管体の外周面から、前記管体の径方向に突設される第1枝管体と、
前記外周面から、前記第1枝管体とは異なる前記径方向に突設される第2枝管体と、
を含み、
前記フランジは、
前記管体の第1端部と第2端部それぞれに取り付けられる第1フランジと、
前記第1枝管体の端部に取り付けられる第2フランジと、
前記第2枝管体の端部に取り付けられる第3フランジと、
を含み、
前記フランジ取付治具ユニットは、
前記管体の前記第1端部と前記第2端部それぞれへの前記第1フランジの取付を補助する一対の第1治具と、
前記第1枝管体の前記端部への前記第2フランジの取付を補助する第2治具と、
前記第2枝管体の前記端部への前記第3フランジの取付を補助する第3治具と、
を有してなり、
前記フランジ付き管構造体の製造方法は、
前記第1治具に固定された前記第1フランジを、前記管体の前記第1端部と前記第2端部それぞれに取り付ける第1フランジ取付工程と、
前記第1枝管体の第1中心軸線が水平方向に沿うように、前記第1治具に対する前記管体の位置を合わせる第1位置合わせ工程と、
前記第2治具に固定された前記第2フランジを、前記第1枝管体の前記端部に取り付ける第2フランジ取付工程と、
前記第2枝管体の第2中心軸線が前記水平方向に沿うように、前記第1治具に対する前記管体の位置を合わせる第2位置合わせ工程と、
前記第3治具に固定された前記第3フランジを、前記第2枝管体の前記端部に取り付ける第3フランジ取付工程と、
を含む、
ことを特徴とするフランジ付き管構造体の製造方法。
【請求項14】
前記フランジ付き管構造体の製造方法は、
前記第1枝管体が前記第2フランジに保持される保持工程、
を含み、
前記保持工程は、前記第1位置合わせ工程の後に実行される、
請求項13記載のフランジ付き管構造体の製造方法。
【請求項15】
前記第1フランジ取付工程と前記第2フランジ取付工程それぞれは、前記第1位置合わせ工程の後に実行され、
前記第2位置合わせ工程は、
前記第1フランジ取付工程と前記第2フランジ取付工程との後に実行され、
前記第2中心軸線が前記水平方向に沿うように、前記管体に取り付けられた前記第1フランジを回転させた後に、前記第1フランジが前記第1治具に固定される回転固定工程、
を含む、
請求項13または14記載のフランジ付き管構造体の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ取付治具ユニットとフランジ付き管構造体の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼用のガスが大量に用いられる大型の工場設備(例えば、コークス炉や高炉)は、ガスの本流に対応する本管と、本管から分岐する複数の枝管と、により構成される管構造体同士が連結されることにより構成される複雑な配管構造を有する。管構造体同士は、本管の端部に取り付けられるフランジを介して連結される。また、各枝管は、同枝管の端部に取り付けられるフランジを介して、設備内の各所へガスを供給する種々の枝配管に連結される。そのため、各枝管は、本管の軸方向視において、様々な方向に向けて本管に連結される。
【0003】
各管構造体は、大量のガスの供給に対応するため、大型(例えば、本管は数mの長さを有する)で、複数の枝管が連結される複雑な構造を有する。そのため、本管と枝管とに対するフランジの取付位置(管体の周方向および軸方向の位置、軸方向に対する角度、など)が少しでもずれると、そのずれは、その位置から離れるほど大きくなる。したがって、管構造体へのフランジの取付には、高い精度が要求される。そのため、フランジは、管構造体が設置される現場において、管体との位置合わせをしながら管体に溶接される。
【0004】
このような管構造体は、炭素鋼などの金属製である。そのため、管構造体は、供給するガスそのものや、ガスに含まれる水分により腐食され得る。したがって、これらの管構造体の内面には、フッ素樹脂などの樹脂によるコーティングが施され得る。
【0005】
管構造体やフランジの内面との間に隙間(空隙)があると、ガスの熱による空気の膨張により、コーティングの亀裂、剥離などの不具合が生じる。そのため、隙間や凹凸が無いように管構造体やフランジの内面は平滑に仕上げられる。また、コーティングは、端から剥がれ易い。したがって、コーティングは、管構造体にフランジが取り付けられ、内面が平滑化された後に、フランジと管との溶接部分を覆うように管構造体の内面全体に施される。すなわち、フランジは、コーティングが施される管構造体に、事前に取り付けられなければならない。そのため、本管や枝管へのフランジの取付には、現場での位置合わせによる取付と同等な高い精度が要求される。
【0006】
これまでにも、管体の両端にフランジを高精度に取り付けるための技術が提案されている(例えば、特許文献1-3参照。)。
【0007】
特許文献1に開示された技術において、管体の両端の開口面に対向するように配置される面板に固定されたフランジに管体の端部が挿入されて、管体に対するフランジの位置合わせが行われる。次いで、フランジが管体に仮溶接された後に、フランジが面板から取り外されて、フランジが管体に本溶接される。同技術では、面板が複数種のフランジに対応するボルト孔を備えることにより、1つの治具(面板)が複数の大きさの管体へのフランジの取り付けに対応する。しかしながら、同技術は、枝管に対するフランジの取付に対応できない。また、同技術において、フランジの本溶接を行うには、フランジが管体ごと面板から取り外されなければならず、作業工程が複雑になる。
【0008】
特許文献2に開示された技術において、回転可能な爪に固定されたフランジに管体の端部が挿入されて、管体に対するフランジの位置合わせが行われる。次いで、溶接用トーチにより、管体の内側および外側とフランジとが同時に溶接されつつ、爪が回転することによりフランジと管体とが回転する。その結果、同技術は、管体の端部にフランジを位置決めしつつ本溶接を実現する。しかしながら、同技術では、溶接個所を介して管体が回転し、溶接個所は回転することにより増加する。そのため、回転初期に溶接個所に応力が集中し、溶接個所の破断等の不具合が生じ得る。また、同技術は、枝管に対するフランジの取付に対応できない。
【0009】
特許文献3に開示された技術において、回転可能なチャック部に固定されたフランジに管体の端部が挿入されて、管体に対するフランジの位置合わせが行われる。管体には、管体の外周面から90°方向に突出する1つの分岐管が連結されている。次いで、端部にフランジが固定された第2の分岐管が、管体の側方に配置される分岐管ポジショナーに固定される。次いで、チャック部が回転することにより、管体の分岐管が水平方向に向けられる。次いで、分岐管ポジショナーの位置が調整されることにより、管体の分岐管の端部と第2の分岐管の端部とが位置決めされる。その結果、同技術は、管体とフランジとの位置合わせと共に、分岐管の位置合わせを実現する。しかしながら、同技術は、1つの枝管へのフランジの取付には対応し得るが、様々な方向に向けられる枝管へのフランジの取付には対応できない。また、同技術は、フランジをチャックしたままフランジと管体との本溶接には対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭51-44755号公報
【特許文献2】特開2013-18047号公報
【特許文献3】特開2002-45994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、管体から様々な方向に向けられる枝管へのフランジの取付を補助することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るフランジ取付治具ユニットは、管構造体に、フランジを取り付けるために用いられるフランジ取付治具ユニットである。管構造体は、円筒状の管体と、管体の外周面に連結される第1枝管体と、第1枝管体とは異なる方向に向けて同外周面に連結される第2枝管体と、を含む。フランジは、管体の第1端部と第2端部それぞれに取り付けられる第1フランジと、第1枝管体の端部に取り付けられる第2フランジと、第2枝管体の端部に取り付けられる第3フランジと、を含む。上記フランジ取付治具ユニットは、管体の第1端部と第2端部それぞれへの第1フランジの取付を補助する一対の第1治具と、第1枝管体の端部への第2フランジの取付を補助する第2治具と、第2枝管体の端部への第3フランジの取付を補助する第3治具と、を有してなる。管体の軸方向視において、第2治具と第3治具それぞれは、管体の側方に配置される。第1治具は、第1フランジを介して、第1枝管体の第1中心軸線が水平方向と平行になるように管体を保持可能であり、かつ、第1フランジを介して、第2枝管体の第2中心軸線が水平方向と平行になるように管体を保持可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、管体から様々な方向に向けられる枝管へのフランジの取付を補助できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るフランジ取付治具ユニットと、同フランジ取付治具ユニットを用いて製造されるフランジ付き管構造体と、の実施の形態を示す斜視図である。
図2図1のフランジ付き管構造体のA矢視図である。
図3図2のフランジ付き管構造体のBB線における断面図である。
図4】(a):図1のフランジ付き管構造体が備える第1フランジの正面図であり、(b):同第1フランジの(a)のCC線における断面図である。
図5】(a):図1のフランジ取付治具ユニットが備える第1治具の正面図であり、(b):同第1治具の右側面図である。
図6図5の第1治具が備える第1取付孔に対する第1回転孔の位置関係を説明する模式図である。
図7】(a):図1のフランジ取付治具ユニットが備える別の第1治具の正面図であり、(b):同第1治具の右側面図である。
図8】(a):図1のフランジ取付治具ユニットが備える第2治具の正面図であり、(b)同第2治具の右側面図である。
図9】(a):図1のフランジ取付治具ユニットが備える第3治具の正面図であり、(b):同第3治具の右側面図である。
図10図1のフランジ取付治具ユニットが備える治具ユニットの例を示す模式図である。
図11】本発明に係るフランジ付き管構造体の製造方法の実施の形態を示すフローチャートである。
図12図11の製造方法の各段階における、フランジ取付治具ユニットと、図1のフランジ付き管構造体が備える管構造体とフランジと、を示す模式図である。
図13】本発明に係るフランジ取付治具ユニットと、同フランジ取付治具ユニットを用いて製造されるフランジ付き管構造体と、の別の実施の形態を示す斜視図である。
図14】(a):図13のフランジ取付治具ユニットが備える第1治具の正面図であり、(b):同第1治具の右側面図である。
図15図14の第1治具が備える第1取付孔に対する第1回転孔と第2回転孔それぞれの位置関係を説明する模式図である。
図16】(a):図13のフランジ取付治具ユニットが備える別の第1治具の正面図であり、(b):同第1治具の右側面図である。
図17】本発明に係るフランジ付き管構造体の製造方法の別の実施の形態を示すフローチャートである。
図18図17の製造方法の各段階における、フランジ取付治具ユニットと、図13のフランジ付き管構造体が備える管構造体とフランジと、を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフランジ取付治具ユニット(以下「本ユニット」という。)と、本ユニットを用いた本発明に係るフランジ付き管構造体の製造方法(以下「本方法」という。)と、の実施の形態について説明する。以下の説明において、本発明におけるフランジ付き管構造体は、コークス炉の下方においてコークス炉にガスを供給する水平管である。
【0016】
●フランジ付き管構造体●
●フランジ付き管構造体の構成
先ず、本方法により製造される、フランジ付き管構造体について説明する。
【0017】
図1は、本ユニットとフランジ付き管構造体との実施の形態を示す斜視図である。
図2は、フランジ付き管構造体の図1のA矢視図である。
図3は、フランジ付き管構造体の図2のBB線における断面図である。
【0018】
フランジ付き管構造体TFは、例えば、コークス炉に燃料ガスを供給する配管構造の一部を構成する。フランジ付き管構造体TFは、管構造体TとフランジFとを備える。管構造体Tは、本管T1と、分岐管T2と、複数(本実施の形態では3つ)の枝管T3と、を備える。フランジFは、一対の第1フランジF1と、第2フランジF2と、複数(本実施の形態では3つ)の第3フランジF3と、を含む。
【0019】
本管T1と分岐管T2と枝管T3それぞれは、円筒状で、例えば、炭素鋼などの金属製の管である。分岐管T2の内径(外径)は、本管T1の内径(外径)より小さく、枝管T3の内径(外径)よりも大きい。各枝管T3の構成(形状、内径、外径、長さ)は、同一である。本実施の形態において、本管T1は本発明における管体の例であり、分岐管T2は本発明における第1枝管体の例であり、枝管T3は本発明における第2枝管体の例である。
【0020】
分岐管T2は、分岐管T2の中心軸線L2が本管T1の中心軸線L1と直交するように、本管T1の外周面から本管T1の径方向に向けて突設されている。中心軸線L2は本発明における第1中心軸線の例である。
【0021】
3つの枝管T3それぞれは、枝管T3の中心軸線L3が本管T1の中心軸線L1と直交するように、本管T1の外周面から分岐管T2とは異なる本管T1の径方向に向けて突設されている。すなわち、枝管T3の中心軸線L3は、本管T1の軸方向視において、分岐管T2の中心軸線L2とは異なる方向に向けられている。本管T1の軸方向視における分岐管T2と枝管T3との間の角度θは、鈍角である。各枝管T3は互いに平行に配置され、各枝管T3の端部T3aの開口面は同一仮想平面上に配置されている。中心軸線L3は本発明における第2中心軸線の例である。
【0022】
一対の第1フランジF1は、本管T1の両端部T1a,T1bそれぞれに取り付けられて、例えば、隣接する別の管構造体のフランジ(不図示。以下同じ。)と連結している。第1フランジF1の構成は、後述する。本管T1の両端部T1a,T1bは、本発明における第1端部と第2端部との例である。
【0023】
第2フランジF2は、分岐管T2の端部T2aに取り付けられて、対応する設備の配管のフランジ(不図示)と連結する。第2フランジF2の構成は、後述する。
【0024】
3つの第3フランジF3は、枝管T3の端部T3aそれぞれに取り付けられて、対応する設備の配管のフランジ(不図示)と連結している。第3フランジF3の構成は、後述する。
【0025】
第1フランジF1と第2フランジF2それぞれの構成は、大きさが異なる点を除き共通する。第1フランジF1と第3フランジF3それぞれの構成は、大きさと、後述するボルト孔の数とが異なる点を除き共通する。そのため、以下の説明は、第1フランジF1の構成を例に、第2フランジF2と第3フランジF3の構成も併せて説明する。以下のフランジFの説明において、フランジFの管構造体Tに向けられる方向がフランジFの後方であり、その反対方向がフランジFの前方である。
【0026】
図4(a)は第1フランジF1の正面図であり、(b)は第1フランジF1の(a)のCC線における断面図である。
説明の便宜上、同図の[]内の符号は、第2フランジF2および第3フランジF3が備える要素に付される符号を示す。同図は、本管T1の端部T1a(T1b)と、分岐管T2の端部T2aと、枝管T3の端部T3aと、を二点鎖線で示す。
【0027】
第1フランジF1は、リング板状で、例えば、炭素鋼などの金属製である。第1フランジF1は、挿入孔F1h1と、複数(本実施の形態では12個)のボルト孔F1h2と、を備える。挿入孔F1h1は本発明における第1挿入孔の例であり、ボルト孔F1h2は本発明における第1ボルト孔の例である。
【0028】
挿入孔F1h1は、本管T1の両端部T1a,T1bのいずれかが挿入される貫通孔である。挿入孔F1h1は、第1フランジF1の中央に配置されている。挿入孔F1h1の前端部の内面は、挿入孔F1h1の径方向内方に張り出して縮径部F1h1aを構成している。縮径部F1h1aの内面は、R面取り加工が施された、断面視において円弧状の曲面である。縮径部F1h1aの後面は、挿入孔F1h1の内周面から直立し、本管T1の端部T1a(T1b)の端面が突き当てられる突当面F1h1bを構成している。第1フランジF1の径方向において、突当面F1h1bの長さは、本管T1の厚みと同じである。
【0029】
ここで、縮径部F1h1aを有さないフランジ(例えば、板フランジ)では、フランジの内面と管体の端部との間の溶接後に、溶接の余盛部分にR面取り加工が施される。同加工は、通常、グラインダなどにより人手で施される。そのため、加工精度の維持が難しく、加工時間が長くなり易く、加工コストも高くなり易い。また、アンダーカットやフランジのシール面の損傷などの不具合も生じ易い。しかしながら、第1フランジF1は縮径部F1h1aを有するため、前述の余盛部分のR面取り加工が不要となる。その結果、R面の精度の維持が容易になり、加工による損傷は生じない。また、グラインダによる加工は、後述する平滑化加工のみとなり、加工時間が短縮され、加工コストも低減される。
【0030】
ボルト孔F1h2は、第1フランジF1を別の管構造体のフランジに固定するボルト(不図示)が通される貫通孔である。ボルト孔F1h2は、挿入孔F1h1の径方向外方に、挿入孔F1h1と同心の仮想円上に等角度間隔で配置されている。
【0031】
前述のとおり、第2フランジF2の構成は、第1フランジF1の構成と共通する。すなわち、第2フランジF2は、挿入孔F2h1と、縮径部F2h1aと、突当面F2h1bと、複数(本実施の形態では12個)のボルト孔F2h2と、を備える。挿入孔F2h1は、本発明における第2挿入孔の例である。
【0032】
前述のとおり、第3フランジF3の構成は、第1フランジF1の構成と共通する。すなわち、第3フランジF3は、挿入孔F3h1と、縮径部F3h1aと、突当面F3h1b複数(本実施の形態では4個)のボルト孔F3h2と、を備える。挿入孔F3h1は、本発明における第3挿入孔の例である。ボルト孔F3h2は、挿入孔F3h1の径方向外方に、挿入孔F3h1と同心の仮想円上に等角度間隔で配置されている。
【0033】
●フランジ取付治具ユニット(1)●
●フランジ取付治具ユニット(1)の構成
次に、図1図4も参照しながら、本ユニット1の実施の形態について説明する。以下の本ユニット1の説明において、管構造体Tに向けられる方向が本ユニット1の前方であり、その反対方向が本ユニット1の後方である。
【0034】
本ユニット1は、管構造体TにフランジFを取り付けるとき、本ユニット1の使用者により用いられる治具の集合体である。本ユニット1は、一対の第1治具10,20と、第2治具30と、複数(本実施の形態では3つ)の第3治具40と、台座50と、土台60と、管保持治具70と、を有してなる。
【0035】
図5(a)は第1治具10の正面図であり、(b)は第1治具10の右側面図である。
同図は、説明の便宜上、後述する第1固定部材13を二点鎖線で示す。
【0036】
第1治具10は、本管T1の端部T1aへの第1フランジF1の取付を補助する治具である。第1治具10は、側方視においてL字状で、例えば、炭素鋼やステンレス鋼などの金属製である。第1治具10は、底板11と、保持板12と、第1中央孔10h1と、第1取付孔10h2と、第1回転孔10h3と、第1固定部材13と、を備える。
【0037】
底板11は、保持板12を支持すると共に、保持板12を土台60の所定の位置に固定する。保持板12は、第1フランジF1を保持すると共に、第1フランジF1を介して本管T1を保持する。底板11と保持板12とは、矩形板状である。保持板12は、底板11の前端から上方に向けて立設されている。保持板12の前面は、第1フランジF1が保持板12に固定・保持されるときに第1フランジF1が当接する第1当接面12aである。第1当接面12aは、鉛直方向と平行である。
【0038】
第1中央孔10h1は、第1フランジF1が本管T1に取り付けられるとき、使用者が所定の作業(例えば、後述する位置合わせや内面溶接)をするための貫通孔である。第1中央孔10h1は、保持板12の中央に配置されている。第1中央孔10h1の内径は、第1フランジF1の挿入孔F1h1の内径と略同じであり、本管T1の外径よりも大きい。
【0039】
第1取付孔10h2は、第1フランジF1が本管T1の端部T1aに取り付けられるとき、第1フランジF1を第1当接面12aに固定するために第1固定部材13が通される(ねじ込まれる)孔である。本実施の形態において、第1取付孔10h2は、4つの第1取付孔10h21~10h24を含む。第1取付孔10h21,10h22は後述する第1固定部材131,132に対応する貫通孔であり、第1取付孔10h23,10h24は後述する第1固定部材133,134に対応する雌ねじ孔である。以下の説明において、各第1取付孔10h21~10h24は、特に区別されない限り、第1取付孔10h2と表記される。
【0040】
正面視において、第1取付孔10h2は、第1中央孔10h1と同心の仮想円C1上に、等角度間隔(本実施の形態では90°間隔)で配置されている。第1取付孔10h21は第1中央孔10h1の上方に配置され、第1取付孔10h22は第1中央孔10h1の下方に配置され、第1取付孔10h23は第1中央孔10h1の左方に配置され、第1取付孔10h24は第1中央孔10h1の右方に配置される。2つの第1取付孔10h21,10h22は第1中央孔10h1の中心点O1に対して点対称の位置に配置され、2つの第1取付孔10h23,10h24は同中心点O1に対して点対称の位置に配置されている。2つの第1取付孔10h21,10h22と2つの第1取付孔10h23,10h24それぞれは、本発明における一対の第1取付孔を構成している。
【0041】
第1回転孔10h3は、第3フランジF3が枝管T3の端部T3aに取り付けられるとき、第1フランジF1を第1当接面12aに固定するために第1固定部材13が通される(ねじ込まれる)孔である。本実施の形態において、第1回転孔10h3は、4つの第1回転孔10h31~10h34を含む。第1回転孔10h31,10h32は後述する第1固定部材131,132に対応する貫通孔であり、第1回転孔10h33,10h34は後述する第1固定部材133,134に対応する雌ねじ孔である。以下の説明において、各第1回転孔10h31~10h34は、特に区別されない限り、第1回転孔10h3と表記される。
【0042】
第1回転孔10h3は、正面視において、仮想円C1上に等角度間隔(本実施の形態では90°間隔)で配置されている。第1回転孔10h31は、正面視において、中心点O1を中心として、対応する第1取付孔10h21から反時計回り方向に第1角度「θ1」回転した位置に配置されている。同様に、第1回転孔10h32~10h34は、対応する第1取付孔10h22~10h24から反時計回り方向に第1角度「θ1」回転した位置に配置されている。すなわち、2つの第1回転孔10h31,10h32は第1中央孔10h1の中心点O1に対して点対称の位置に配置され、2つの第1回転孔10h33,10h34は同中心点O1に対して点対称の位置に配置されている。第1角度「θ1」については、後述する。2つの第1回転孔10h31,10h32と2つの第1回転孔10h33,10h34それぞれは、本発明における一対の第1回転孔を構成している。
【0043】
第1固定部材13は、第1フランジF1を第1当接面12aに固定するボルトである。第1固定部材13は、例えば、高強度鋼などの金属製である。本実施の形態において、第1固定部材13は、4つの第1固定部材131~134を含む。第1固定部材131,132は、例えば、六角リーマボルトである。第1固定部材133,134は、例えば、全ねじ部を有する六角ボルトである。
【0044】
図6は、第1取付孔10h2に対する第1回転孔10h3の位置関係を説明する模式図である。同図は、第1治具10を背面から見た状態(本管T1の軸方向視)を示す。同図は、説明の便宜上、中心軸線L2,L3も併せて示す。
【0045】
第1角度「θ1」は、第1取付孔10h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13により第1当接面12aに固定された第1フランジF1の挿入孔F1h1に本管T1の端部T1aが挿入されて、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向に向けられたとき(水平方向と平行であるとき)、本管T1の軸方向視における、中心軸線L3と水平方向との間の角度(90°以下)により決定される。すなわち、例えば、第1角度「θ1」は中心軸線L3と水平方向との間の角度と同じである。
【0046】
第1取付孔10h2に対する第1回転孔10h3の位置は、背面視において、中心軸線L3が水平方向になるように、中心点O1を中心として、第1取付孔10h2の位置から第1角度「θ1」回転した位置である。
【0047】
ここで、第1角度「θ1」は、第1フランジF1のボルト孔F1h2間の角度(30°、45°、90°のいずれか)とは異なる。すなわち、第1フランジF1が第1取付孔10h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13により第1当接面12aに固定されたとき、第1フランジF1の周方向(仮想円C1の周方向)において、第1回転孔10h3の位置は、第1フランジF1のボルト孔F1h2それぞれの位置と異なる。
【0048】
図7(a)は第1治具20の正面図であり、(b)は第1治具20の右側面図である。
【0049】
第1治具20は、本管T1の端部T1bへの第1フランジF1の取付を補助する治具である。第1治具20は、底板21と、保持板22と、第1中央孔20h1と、4つの第1取付孔20h21~20h24と、4つの第1回転孔20h31~20h34と、4つの第1固定部材231~234と、を備える。以下の説明において、特に区別されない限り、4つの第1取付孔20h21~20h24は第1取付孔20h2と表記され、4つの第1回転孔20h31~20h34は第1回転孔20h3と表記される。
【0050】
第1治具20の構成は、正面視における左右方向が、第1治具10に対して鏡像関係となる点を除き、第1治具10の構成と共通する。そのため、第1治具20の構成の詳細は、省略する。
【0051】
図8(a)は第2治具30の正面図であり、(b)は第2治具30の右側面図である。
【0052】
第2治具30は、分岐管T2の端部T2aへの第2フランジF2の取付を補助する治具である。第2治具30は、側方視においてL字状で、例えば、炭素鋼やステンレス鋼などの金属製である。第2治具30は、底板31と、保持板32と、第2中央孔30h1と、第2取付孔30h2と、第2固定部材33と、を備える。第2治具30の構成は、第2治具30が第1回転孔と第2回転孔とを備えない点と、大きさと、を除き、第1治具10の構成と共通する。そのため、第2治具30の構成の説明は、一部省略する。
【0053】
底板31と保持板32とは、矩形板状である。保持板32は、底板31の前端から上方に向けて立設されている。保持板32の前面は、保持板32が第2フランジF2を保持するときに第2フランジF2が当接する第2当接面32aである。第2当接面32aは、鉛直方向と平行である。
【0054】
第2中央孔30h1は、保持板32の中央に配置されている。第2中央孔30h1の内径は、第2フランジF2の挿入孔F2h1の内径と略同じであり、分岐管T2の外径よりも大きい。
【0055】
第2取付孔30h2は、4つの第2取付孔30h21~30h24を含む。第2取付孔30h21,30h22は後述する第2固定部材331,332に対応する貫通孔であり、第2取付孔30h23,30h24は後述する第2固定部材333,334に対応する雌ねじ孔である。以下の説明において、各第2取付孔30h21~30h24は、特に区別されない限り、第2取付孔30h2と表記される。
【0056】
第2固定部材33は、4つの第2固定部材331~334を含む。第2固定部材331,332は、例えば、六角リーマボルトである。第2固定部材333,334は、例えば、全ねじ部を有する六角ボルトである。
【0057】
図9(a)は第3治具40の正面図であり、(b)は第3治具40の右側面図である。
【0058】
第3治具40は、枝管T3の端部T3aへの第3フランジF3の取付を補助する治具である。第3治具40は、側方視においてL字状で、例えば、炭素鋼やステンレス鋼などの金属製である。第3治具40は、底板41と、保持板42と、第3中央孔40h1と、第3取付孔40h2と、第3固定部材43と、を備える。第3治具40の構成は、大きさを除き、第2治具30の構成と共通する。そのため、第3治具40の構成の説明は、一部省略する。
【0059】
底板41と保持板42とは矩形板状である。保持板42は、底板41の前端から上方に向けて立設されている。保持板42の前面は、保持板42が第3フランジF3を保持するときに第3フランジF3が当接する第3当接面42aである。第3当接面42aは、鉛直方向と平行である。
【0060】
第3中央孔40h1は、保持板42の中央に配置されている。第3中央孔40h1の内径は、第3フランジF3の挿入孔F3h1の内径と略同じであり、枝管T3の外径よりも大きい。
【0061】
第3取付孔40h2は、4つの第3取付孔40h21~40h24を含む。第3取付孔40h21,40h22は後述する第3固定部材431,432に対応する貫通孔であり、第3取付孔40h23,40h24は後述する第3固定部材433,434に対応する雌ねじ孔である。以下の説明において、各第3取付孔40h21~40h24は、特に区別されない限り、第3取付孔40h2と表記される。
【0062】
第3固定部材43は、4つの第3固定部材431~434を含む。第3固定部材431,432は、例えば、六角リーマボルトである。第3固定部材433,434は、例えば、全ねじ部を有する六角ボルトである。
【0063】
図1に戻る。
台座50は、複数の第3治具40の相互の位置関係を固定し、複数(本実施の形態では3つ)の第3治具40と共に一体の治具ユニットUを構成している。台座50は、矩形板状で、例えば、炭素鋼やステンレス鋼などの金属製である。
【0064】
図10は、治具ユニットUの例を示す模式図である。
図10に示されるとおり、本実施の形態において、本ユニット1は、第3治具40の位置および/または数が異なる複数の治具ユニットU(図10では、U1~U4)を備える。治具ユニットUそれぞれにおける第3治具40の位置と数とは、枝管T3の構成(長さ、位置、数)に対応する。治具ユニットUそれぞれは、互いに交換可能である。本実施の形態において、治具ユニットU1~U3上の台座50に固定された第3治具40それぞれの第3当接面42aは、同一仮想平面上に配置されている。
【0065】
なお、本発明における治具ユニット上の第3治具それぞれの第3当接面は、同一仮想平面上に配置されなくてもよい。すなわち、例えば、枝管の長さが異なるとき、第3治具それぞれの当接面は、図10の符号「U4」が付された治具ユニットのように、対応する枝管の長さに応じて、前後方向にずれて配置されていてもよい。
【0066】
図1に戻る。
土台60は、管構造体Tに対する所定位置に、本ユニット1(第1治具10,20、第2治具30、治具ユニットU(第3治具40と台座50))を固定する。具体的には、第1治具10は本管T1の軸方向の一側方に配置され、第1治具20は本管T1の軸方向の他側方に配置されている。また、本管T1の軸方向視において、第2治具30は本管T1の一側方に配置され、第3治具40は本管T1の他側方に配置されている。土台60は、矩形板状で、例えば、炭素鋼などの金属製である。土台60は、例えば、本ユニット1を所定位置に固定するためのボルト(不図示)がねじ込まれる複数のボルト孔(不図示)を備える。
【0067】
管保持治具70は、管構造体Tを所定の高さ位置に保持する。管保持治具70は、フレーム71と、一対のローラ72(一方は、不図示。以下同じ。)と、を備える。フレーム71は、ローラ72の位置が所定の高さに位置するように、ローラ72を回転可能に保持する。ローラ72は、後述する本管T1を回転させるとき、本管T1の回転と共に回転することにより、本管T1の回転を補助する。
【0068】
●フランジ付き管構造体の製造方法(1)●
次に、図1図9も参照しながら、本方法の実施の形態について説明する。以下の説明は、本ユニット1を用いて、管構造体TにフランジFが取り付けられる場合を例に本方法を説明する。
【0069】
図11は、本方法の実施の形態を示すフローチャートである。
図12は、本方法の各段階における本ユニット1と管構造体TとフランジFとを示す模式図である。図12は、説明の便宜上、第1取付孔10h21~24と第1回転孔10h31~10h34それぞれを縮径して「●」で示す。また、同図は、第1固定部材131~134を二点鎖線で示す。さらに、同図は、第1治具10を背面から見た状態(本管T1の軸方向視)を示す。
【0070】
先ず、第1治具10,20と第2治具30と治具ユニットUと管保持治具70とが土台60の上に載せられ(本ユニット1の設置)、管構造体Tが管保持治具70により土台60から所定の高さ位置に保持される(S1)。このとき、第1治具10は本管T1の軸方向の一側方に配置・固定され、第1治具20は本管T1の軸方向の他側方に配置され、第2治具30は本管T1の径方向の一側方に配置され、第3治具40は本管T1の径方向の他側方に配置される。
【0071】
次いで、フランジFが、本ユニット1に固定される(S2)。すなわち、第1フランジF1が第1治具10,20に固定され、第2フランジF2が第2治具30に固定され、第3フランジF3が第3治具40に固定される。
【0072】
ここで、第1フランジF1は、第1固定部材13により、第1当接面12aに固定される。具体的には、第1フランジF1の前面が第1治具10の第1当接面12aに当接した状態で、第1固定部材131,132が、ボルト孔F1h2と第1取付孔10h21,10h22とに挿通される。その結果、第1フランジF1は、第1当接面12aに対して位置決めされる。また、第1固定部材133,134がボルト孔F1h2に挿通され、第1取付孔10h23,10h24にねじ込まれる。その結果、第1フランジF1は、第1治具10の第1当接面12aに固定される。同様に、第1フランジF1が、第1治具20に固定される。このとき、第1中央孔10h1は、第1フランジF1の挿入孔F1h1に連通している。本管T1の軸方向視において、第1中央孔10h1の中心点O1は、挿入孔F1h1の中心点と重複している。
【0073】
以下の説明において、第1固定部材131,132(第1固定部材231,232)が挿通されるボルト孔F1h2は第1基準孔と表記される場合が有り、第1固定部材133,134(第1固定部材233,234)が挿通されるボルト孔F1h2は第2基準孔と表記される場合が有る。
【0074】
また、第2フランジF2は、第2固定部材33により、第2当接面32aに固定される。このとき、第2中央孔30h1は、第2フランジF2の挿入孔F2h1に連通している。分岐管T2の軸方向視において、第2中央孔30h1の中心点O3は、挿入孔F2h1の中心点と重複している。第2フランジF2の第2治具30への固定方法は、第1フランジF1の第1治具10への固定方法と同様であるため、詳細は省略する。
【0075】
さらに、第3フランジF3は、第3固定部材43により、治具ユニットUの各第3当接面42aに固定される。このとき、第3中央孔40h1は、第3フランジF3の挿入孔F3h1に連通している。第3中央孔40h1の中心点O4は、挿入孔F3h1の中心点と重複している。ここで、治具ユニットUは、予め使用者により選択されている。第3フランジF3の第3治具40への固定方法は、第1フランジF1の第1治具10への固定方法と同様であるため、詳細は省略する。
【0076】
次いで、本管T1の端部T1aが、第1治具10に固定された第1フランジF1の挿入孔F1h1に挿入される(S3)。
【0077】
次いで、本管T1の端部T1bが、第1治具20に固定された第1フランジF1の挿入孔F1h1に挿入される(S4)。このとき、例えば、使用者が第1治具20を前方(本管T1の方向)に移動させることにより、端部T1bは、挿入孔F1h1に挿入される。
【0078】
次いで、本管T1の軸方向において、挿入孔F1h1に対する本管T1の端部T1a,T1bの端面が対応する突当面F1h1bに突き当たるまで、第1治具20と管構造体Tとが、第1治具10側に押し込まれる(S5)。その結果、挿入孔F1h1に対する端部T1aの位置が合わせられる。前述のとおり、保持板12,22には、第1フランジF1の挿入孔F1h1の内径と略同径の第1中央孔10h1,20h1が配置される。そのため、使用者は、第1中央孔10h1,20h1を通して、挿入孔F1h1内における本管T1の端部T1a,T1bの位置を容易に視認することができる。すなわち、第1フランジF1(挿入孔F1h1)に対する端部T1a,T1bの位置合わせが容易になる。
【0079】
次いで、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向に沿うように(水平方向と平行になるように)、本管T1が第1フランジF1の周方向に回されることにより、第1治具10,20に対する本管T1の位置が合わせられる(S6:第1位置合わせ工程)。
【0080】
次いで、管構造体Tに対する、第2フランジF2が固定された第2治具30の位置が調整される(S7)。具体的には、第2当接面32aが分岐管T2の端部T2aの開口面と平行に配置され、中心軸線L2が第2中央孔30h1の中心点O3に向けられる。
【0081】
次いで、分岐管T2の端部T2aが、第2フランジF2の挿入孔F2h1に挿入される(S8)。このとき、例えば、使用者が第2治具30を分岐管T2側に移動させることにより、端部T2aは、挿入孔F2h1に挿入される。
【0082】
次いで、分岐管T2の軸方向において、挿入孔F2h1に対する分岐管T2の端部T2aの端面が、対応する突当面F2h1bに突き当たるまで、第2治具30が分岐管T2側に押し込まれる(S9)。その結果、挿入孔F2h1に対する端部T2aの位置が合わせられる。このとき、使用者は、第2中央孔30h1を通して、挿入孔F2h1内における分岐管T2の端部T2aの端面の位置を容易に視認することができる。すなわち、第2フランジF2に対する端部T2aの位置合わせが容易になる。
【0083】
このとき、第1フランジF1は、本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられていない(溶接されていない)。そのため、本管T1は、分岐管T2(または枝管T3)の重量により、分岐管T2(枝管T3)が下がる方向へ回転する応力を受ける。しかしながら、分岐管T2の端部T2aが第2フランジF2の挿入孔F2h1に挿入されることにより、端部T2aは、第2フランジF2を介して、第2治具30に保持されている(保持工程)。すなわち、本方法において、第1位置合わせ工程の後に保持工程が実行される。そのため、本管T1は、第1フランジF1が取り付けられる前であっても回転することなく、中心軸線L2が水平方向と平行になるように、第1フランジF1と第2フランジF2とを介して、第1治具10,20と第2治具30とに保持されている。
【0084】
次いで、第1フランジF1それぞれが、本管T1の端部T1a,T1bに溶接される(S10)。その結果、第1フランジF1それぞれが、本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられる(第1フランジ取付工程)。このとき、本管T1の外周面と第1フランジF1の後面とが溶接される(外面溶接)と共に、本管T1の端部T1a,T1bそれぞれの端面と対応する突当面F1h1bとが溶接される(内面溶接)。このとき、使用者は、第1中央孔10h1,20h1を通して、溶接用トーチを第1フランジF1の挿入孔F1h1内に挿入することにより、第1治具10,20に第1フランジF1を固定した状態で、容易に内面溶接を施すことができる。
【0085】
ここで、本管T1の端部T1a,T1bの端面には、「レ」型の開先加工が施されており、内面溶接は、開先加工部分を含めて、端面と突当面F1h1bとの間の隙間を埋めるように施される。その結果、内面溶接部分に空気が残留せず、ガスの熱に基づく残留空気の膨張(内面溶接部分の膨張)は生じない。したがって、フランジ付き管構造体TFの内面にコーティングが施されても、内面溶接部分を起点とするコーティングの剥離などの不具合は生じない。
【0086】
次いで、内面溶接部分の余盛部分が、グラインダなどにより平滑化される(S11)。このとき、使用者は、第1中央孔10h1,20h1を通して、グラインダを第1フランジF1の挿入孔F1h1内に挿入することにより、第1治具10,20に第1フランジF1を固定した状態で、容易に平滑化加工を施すことができる。また、本平滑化加工は、内面溶接部分を本管T1の内径に合わせて平滑化するだけであるため、加工は容易かつ短時間で行うことができる。このように平滑化加工が施されることにより、フランジ付き管構造体TFの内面にコーティングが施されても、内面溶接部分にはコーティングの破断の要因となり得る凹凸が無く、内面溶接部分を起点とするコーティングの剥離などの不具合は生じない。
【0087】
ここで、本管T1に取り付けられた第1フランジF1が第1治具10,20に固定された状態(第1取付状態)において、分岐管T2の中心軸線L2は水平方向と平行であり、枝管T3の中心軸線L3は水平方向から第1角度「θ1」傾斜する。一方、第1回転孔10h3,20h3は第1取付孔10h2,20h2(第1基準孔、第2基準孔)の位置から第1角度「θ1」回転した位置に配置される。このように、第1治具10,20は、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向と平行になるように、端部T1a,T1bそれぞれに取り付けられた第1フランジF1を固定可能である。換言すれば、第1治具10,20は、第1フランジF1を介して、中心軸線L2が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能である。
【0088】
第1取付状態における本管T1の軸方向視において、第1取付孔10h2それぞれの位置と、第1基準孔および第2基準孔であるボルト孔F1h2の位置と、は一致している。また、中心軸線L2は、水平方向と平行である。同軸方向視において、第1回転孔10h3,20h3は、複数のボルト孔F1h2のうち、第1基準孔であるボルト孔F1h2と第2基準孔であるボルト孔F1h2それぞれの位置から、第1中央孔10h1,20h1の中心点O1,O2を中心として、第1角度「θ1」回転した位置に配置されている。
【0089】
次いで、第2フランジF2が、第1取付工程と同様に、分岐管T2の端部T2aに溶接される(S12)。その結果、第2フランジF2が、分岐管T2の端部T2aに取り付けられる(第2フランジ取付工程)。このとき、使用者は、第2治具30に第2フランジF2を固定した状態で、第2中央孔30h1を通して、容易に内面溶接を施すことができる。
【0090】
次いで、第1フランジF1と同様に、内面溶接の余盛部分が、グラインダなどにより平滑化される(S13)。このとき、使用者は、第2治具30に第2フランジF2を固定した状態で、第2中央孔30h1を通して、容易に平滑化加工を施すことができる。
【0091】
ここで、分岐管T2に取り付けられた第2フランジF2が第2治具30に固定された状態(第2取付状態)において、分岐管T2の中心軸線L2は水平方向と平行であり、枝管T3の中心軸線L3は水平方向から所定角度「θ1」傾斜している。
【0092】
次いで、分岐管T2に取り付けられた第2フランジF2と本管T1に取り付けられた第1フランジF1とが、第1治具10,20と第2治具30とから取り外される(S14)。具体的には、第2フランジF2が第2治具30から取り外され、次いで、第1フランジF1が第1治具10,20から取り外される。その結果、第1フランジF1が取り付けられた管構造体Tは、移動可能となる。
【0093】
次いで、枝管T3の中心軸線L3が水平方向に沿うように(水平方向と平行になるように)、本管T1が第1フランジF1の周方向に回されることにより、第1治具10,20に対する本管T1の位置が合わせられる(S15:第2位置合わせ工程)。具体的には、本管T1の軸方向視において、第1基準孔(ボルト孔F1h2)が第1治具10,20の第1回転孔10h31,10h32,20h31,20h32に重複するように、本管T1は、本管T1の中心軸線L1を中心として、本管T1の周方向に所定角度(「θ1」)回される。このとき、管保持治具70のローラ72が本管T1と共に回転することにより、本管T1は、スムーズに回転可能である。本管T1の回転後、第1フランジF1は、第1治具10,20に固定される(回転固定工程)。すなわち、例えば、第1フランジF1の前面が第1治具10の第1当接面12aに当接した状態で、第1固定部材131,132が、第1基準孔と第1回転孔10h31,10h32に挿通される。その結果、第1フランジF1は、第1当接面12aに対して、第1基準孔が第1取付孔10h21,10h22から第1フランジF1の周方向に第1角度「θ1」回転した位置に位置決めされる。また、第1固定部材133,134が第2基準孔に挿通され、第1回転孔10h33,10h34にねじ込まれる。その結果、第1フランジF1は、第1治具10の第1当接面12aに固定される。同様に、第1フランジF1は、第1治具20の第1当接面22aに固定される。このとき、枝管T3の中心軸線L3は、水平方向と平行となる。このように、第1治具10,20は、枝管T3の中心軸線L3が水平方向と平行になるように、端部T1a,T1bそれぞれに取り付けられた第1フランジF1を固定可能である。換言すれば、第1治具10,20は、第1フランジF1を介して、中心軸線L3が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能である。
【0094】
次いで、管構造体Tに対する、第3フランジF3が固定された治具ユニットU(第3治具40、台座50)の位置が、調整される(S16)。具体的には、第3当接面42aが枝管T3の端部T3aの開口面と平行に配置され、中心軸線L3それぞれが対応する第3中央孔40h1の中心点O4に向けられる。
【0095】
次いで、枝管T3の端部T3aそれぞれが、対応する第3フランジF3の挿入孔F3h1に挿入される(S17)。このとき、例えば、使用者が治具ユニットU(第3治具40、台座50)を枝管T3側に移動させることにより、端部T3aは、挿入孔F3h1に挿入される。
【0096】
次いで、枝管T3の軸方向において、挿入孔F3h1に対する枝管T3の端部T3aの端面が突当面F3h1bに突き当たるまで、治具ユニットU(第3治具40、台座50)が、枝管T3側に押し込まれる(S18)。その結果、挿入孔F3h1に対する端部T3aの位置が合わせられる。このとき、使用者は、第3中央孔40h1を通して、挿入孔F3h1内における枝管T3の端部T3aの位置を容易に視認することができる。すなわち、第3フランジF3に対する端部T3aの位置合わせが容易になる。
【0097】
ここで、前述のとおり、治具ユニットUにおける3つの第3当接面42aそれぞれは、同一仮想平面上に配置される。そのため、使用者は、対応する枝管T3の端部T3aの端面を、3つの第3フランジF3の突当面F3h1bそれぞれに一括で突き当てる(位置決めする)ことができる。また、仮に、第3フランジF3の取付に支障の無い程度に枝管T3の長さが異なる場合であっても、使用者は、各第3フランジF3を同一仮想平面上に揃えた状態で枝管T3の端部T3aに取り付けることができる。
【0098】
次いで、第3フランジF3が、第1取付工程と同様に、枝管T3の端部T3aに溶接される(S19)。その結果、第3フランジF3が、枝管T3の端部T3aに取り付けられる(第3フランジ取付工程)。このとき、使用者は、第3治具40に第3フランジF3を固定した状態で、第3中央孔40h1を通して、容易に内面溶接を施すことができる。
【0099】
次いで、第1フランジF1と同様に、内面溶接の余盛部分が、グラインダなどにより平滑化される(S20)。このとき、使用者は、第3治具40に第3フランジF3を固定した状態で、第3中央孔40h1を通して、容易に平滑化加工を施すことができる。
【0100】
次いで、枝管T3に取り付けられた第3フランジF3と本管T1に取り付けられた第1フランジF1とが、第1治具10,20と第3治具40とから取り外される(S21)。その結果、全てのフランジFが取り付けられた管構造体T(すなわち、フランジ付き管構造体TF)は、本ユニット1から取り外される。その後、フランジ付き管構造体TFには、必要に応じて、内面のコーティングが施される。
【0101】
このように、本方法は、第1位置合わせ工程と、第1フランジ取付工程と、第2フランジ取付工程と、第2位置合わせ工程と、第3フランジ取付工程と、を含む。この構成では、使用者は、本管T1の端部T1a,T1bに対する適切な位置に、容易に第1フランジF1を取り付けることができる。また、使用者は、中心軸線L2が水平方向と平行となるように管構造体Tを回して管構造体Tを第1治具10,20に固定することにより、分岐管T2の端部T2aに対する適切な位置に、容易に第2フランジF2を位置決めし、取り付けることができる。同様に、使用者は、中心軸線L3が水平方向と平行となるように管構造体Tを回して管構造体Tを第1治具10,20に固定することにより、枝管T3の端部T3aに対する適切な位置に、容易に第3フランジF3を位置決めし、取り付けることができる。すなわち、本方法は、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0102】
また、第1フランジ取付工程と第2フランジ取付工程それぞれは、第1位置合わせ工程の後に実行される。この構成では、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに対する適切な位置に位置決めされ、かつ、第2フランジF2が分岐管T2の端部T2aに対する適切な位置に位置決めされた後に、第1フランジF1と第2フランジF2それぞれを、対応する端部T1a,T1b,T2aに連続して(または、同時に)取り付けることができる。
【0103】
さらに、第2位置合わせ工程は、第1フランジ取付工程と第2フランジ取付工程との後に実行されると共に、回転固定工程を含む。この構成では、使用者は、管構造体Tごと回転させた第1フランジF1を第1治具10,20に固定するだけで、中心軸線L3が水平方向と平行となった状態で、管構造体Tを第1治具10,20に保持することができる。その結果、枝管T3に対する第3フランジF3の取付は、容易となる。
【0104】
さらにまた、本ユニット1において、第1治具10,20は、本管T1に第1フランジF1が取り付けられるとき、第1フランジF1を介した管構造体Tの保持と本管T1に対する第1フランジF1の位置調整という機能を有し、分岐管T2に第2フランジF2が取り付けられるとき、管構造体Tの保持という機能を有し、枝管T3に第3フランジF3が取り付けられるとき、管構造体Tの保持という機能を有する。換言すれば、本ユニット1において、第1~第3フランジF1~F3が管構造体Tに取り付けられるとき、管構造体Tの保持は、第1治具10,20のみで実行することができる。また、本ユニット1では、作業者は、第1治具10,20の移動や交換をすることなく、第1位置合わせ工程、第1フランジ取付工程、第2フランジ取付工程、第2位置合わせ工程、回転固定工程、第3フランジ取付工程、を連続的に実行することができる。
【0105】
なお、本発明における第2フランジと第3フランジとは、第2治具30と第3治具40それぞれの位置の調整時に、第2治具と第3治具とに固定されてもよい。
【0106】
また、本ユニットを用いたフランジの取付の回転効率を向上させるため、処理(S10,S12,S19)において、外面溶接のみの仮溶接が施され、処理(S21)の後に内面溶接が実行されてもよい。この場合、処理(S11,S13,S20)は、内面溶接の後に連続して、または同時に実行されてもよい。
【0107】
さらに、本方法において、処理(S12)は、処理(S10)と連続して、または同時に実行されてもよい。この場合、その後に、処理(S13)は、処理(S11)と連続して、または同時に実行されてもよい。
【0108】
●まとめ(1)
以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、第1治具10,20と第2治具30と第3治具40とを有してなる。本管T1の軸方向視において、第2治具30と第3治具40それぞれは本管T1の側方に配置される。第1治具10,20は、第1フランジF1を介して、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能であり、かつ、第1フランジF1を介して、枝管T3の中心軸線L3が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能である。この構成によれば、使用者は、水平方向と平行な中心軸線L2を本管T1の一側方に配置された第2治具30に向けることにより、第2治具30を用いて第2フランジF2を分岐管T2の端部T2aに取り付けることができる。一方、使用者は、水平方向と平行な中心軸線L3を本管T1の他側方に配置された第3治具40に向けることにより、第3治具40を用いて第3フランジF3を枝管T3の端部T3aに取り付けることができる。すなわち、本ユニット1は、第1フランジF1を介して、中心軸線L2,L3それぞれが水平方向と平行になるように本管T1を保持するという簡易な構成により、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0109】
また、以上説明した実施の形態によれば、第1治具10,20それぞれは、鉛直方向と平行な第1当接面12a,22aと、第1中央孔10h1,20h1と、第1中央孔10h1,20h1と同一仮想円上に配置される一対の第1取付孔10h2,20h2と一対の第1回転孔10h3,20h3と、第1固定部材13,23と、を備える。第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられ、本管T1の軸方向視において、第1取付孔10h2それぞれの位置と、第1基準孔および第2基準孔であるボルト孔F1h2の位置とが一致し、かつ、中心軸線L2が水平方向と平行であるとき、同軸方向視において、第1回転孔10h3,20h3は、複数のボルト孔F1h2のうち、いずれかの位置(本実施の形態では、第1基準孔であるボルト孔F1h2と第2基準孔であるボルト孔F1h2それぞれの位置)から第1角度「θ1」回転した位置に配置される。この構成によれば、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられるときに第1固定部材13,23が通されていたボルト孔(第1基準孔)F1h2と第1回転孔10h3,20h3とに第1固定部材13,23を通すことにより、容易に中心軸線L3を水平方向と平行にすることができる。つまり、本ユニット1は、第1治具10,20が第1角度「θ1」に対応する第1回転孔10h3,20h3を備えるという簡易な構成により、中心軸線L2,L3を水平方向と平行にし、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0110】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、第1回転孔10h3,20h3は、第1取付孔10h2,20h2の位置から、第1中央孔10h1,20h1の中心点O1を中心として、第1角度「θ1」回転した位置に配置される。この構成によれば、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられるときに第1固定部材13,23が通されていたボルト孔(第1基準孔)F1h2と第1回転孔10h3,20h3とに第1固定部材13,23を通すことにより、容易に中心軸線L3を水平方向と平行にすることができる。すなわち、使用者は、複数のボルト孔F1h2のうち、第1基準孔および第2基準孔のみを用いて、回転固定工程を実施可能である。そのため、使用者は、迅速かつ誤りの無い回転固定工程を実施可能である。
【0111】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1フランジF1が第1取付孔10h2,20h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13,23により第1当接面12a,22aに固定されたとき、第1フランジF1の周方向(仮想円C1の周方向)において、第1回転孔10h3,20h3の位置は、第1フランジF1のボルト孔F1h2の位置と異なる。この構成によれば、第1回転孔10h3,20h3は、第1取付孔10h2,20h2に対して、第1フランジF1のボルト孔F1h2間の角度とは異なる任意の角度に配置可能である。その結果、本ユニット1は、水平方向に対してボルト孔F1h2間の角度とは異なる角度に向けられる中心軸線L2,L3が水平方向と平行になるように、管構造体Tを固定することができる。
【0112】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、中心軸線L2が水平方向と平行なとき、第2当接面32aは分岐管T2の端部T2aの開口面と平行に配置され、中心軸線L2は第2中央孔30h1の中心点O3に向けられる。この構成によれば、使用者は、第2治具30を端部T2a側に押し込むことで、第2フランジF2を端部T2aに容易に位置合わせすることができる。
【0113】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本管T1に取り付けられた第1フランジF1が、中心軸線L3が水平方向と平行になるように第1治具10,20に固定されたとき、第3当接面42aは枝管T3の端部T3aの開口面と平行に配置され、中心軸線L3は第3中央孔40h1の中心点O4に向けられる。この構成によれば、使用者は、第3治具40を端部T3a側に押し込むことで、第3フランジF3を端部T3aに容易に位置合わせすることができる。
【0114】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、複数(3つ)の第3治具40それぞれの第3当接面42aは、同一仮想平面上に配置される。この構成によれば、使用者は、複数の第3フランジF3それぞれを、対応する枝管T3の端部T3aの端面に一括で位置合わせすることができる。また、仮に、第3フランジF3の取付に支障の無い程度に枝管T3の長さが異なる場合であっても、使用者は、各第3フランジF3を同一仮想平面上に揃えた状態で枝管T3の端部T3aに取り付けることができる。
【0115】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、複数の第3治具40と台座50とは、一体の治具ユニットUを構成する。この構成によれば、使用者は、複数の第3治具40の位置関係を台座50に固定した治具ユニットUを移動させるだけで、第3治具40の位置関係を固定した状態で全ての第3治具40を移動させることができる。
【0116】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、枝管T3の構成(数、配置)に対応する複数の治具ユニットを備える。この構成によれば、使用者は、色々な枝管T3の構成を有する管構造体Tそれぞれに対応する治具ユニットUに交換することで、第3フランジF3それぞれを一括で位置合わせすることができる。
【0117】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2治具と第3治具それぞれの構成は、第1回転孔の有無と大きさとを除き、第1治具の構成と共通する。この構成によれば、本ユニット1は、本管T1と分岐管T2と枝管T3それぞれごとに、特殊な構成を有する治具を必要とせず、第1フランジF1を介して、中心軸線L2,L3それぞれが水平方向と平行になるように本管T1を保持するという簡易な構成により、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0118】
●フランジ取付治具ユニット(2)●
次に、本ユニットの別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)について、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)とは異なる部分を中心に説明する。第2実施形態では、第1治具の構成が、第1実施形態と異なる。以下の説明において、第1実施形態と共通する要素、および第1実施形態と姿勢(配置および向き)のみが異なる要素については、同一の符号が付され、その説明の一部または全ては省略される。以下の本ユニットの説明において、管構造体に向けられる方向が本ユニットの前方であり、その反対方向が本ユニットの後方である。
【0119】
●フランジ付き管構造体(2)の構成
図13は、本ユニットとフランジ付き管構造体との第2実施形態を示す斜視図である。
【0120】
第2実施形態において、フランジ付き管構造体TFAの構成は、本管T1の軸方向視において、第1基準孔であるボルト孔F1h2に対する分岐管T2と枝管T3それぞれの位置が、第1実施形態におけるフランジ付き管構造体TFの構成と異なる。分岐管T2と枝管T3それぞれの位置の詳細は、後述する。
【0121】
●フランジ取付治具ユニット(2)の構成
【0122】
本ユニット1Aは、管構造体TにフランジFを取り付けるとき、本ユニット1Aの使用者により用いられる治具の集合体である。本ユニット1Aは、一対の第1治具10A,20Aと、第2治具30と、複数(本実施の形態では3つ)の第3治具40と、台座50と、土台60と、管保持治具70と、を有してなる。
【0123】
図14(a)は第1治具10Aの正面図であり、(b)は第1治具10Aの右側面図である。
【0124】
第1治具10Aは、本管T1の端部T1aへの第1フランジF1の取付を補助する治具である。第1治具10Aの構成は、第1治具10Aが第2回転孔10Ah4を備える点を除き、第1実施形態における第1治具10の構成と共通する。すなわち、第1治具10Aは、側方視においてL字状で、例えば、炭素鋼やステンレス鋼などの金属製である。第1治具10Aは、底板11と、保持板12と、第1中央孔10h1と、第1取付孔10h2と、第1回転孔10h3と、第2回転孔10Ah4と、第1固定部材13と、を備える。
【0125】
第2回転孔10Ah4は、第2フランジF2が分岐管T2の端部T2aに取り付けられるとき、第1フランジF1を第1当接面12aに固定するために第1固定部材13が通される(ねじ込まれる)孔である。本実施の形態において、第2回転孔10Ah4は、4つの第2回転孔10Ah41~10Ah44を含む。第2回転孔10Ah41,10Ah42は後述する第1固定部材131,132に対応する貫通孔であり、第2回転孔10Ah43,10Ah44は後述する第1固定部材133,134に対応する雌ねじ孔である。以下の説明において、各第2回転孔10Ah41~10Ah44は、特に区別されない限り、第2回転孔10Ah4と表記される。
【0126】
第2回転孔10Ah4は、正面視において、仮想円C1上に等角度間隔(本実施の形態では90°間隔)で配置されている。本実施の形態において、第2回転孔10Ah41は、正面視において、中心点O1を中心として、対応する第1取付孔10h21から時計回り方向に第2角度「θ2」回転した位置に配置されている。同様に、第2回転孔10Ah42~10Ah44は、対応する第1取付孔10h22~10h24から時計回り方向に第2角度「θ2」回転した位置に配置されている。すなわち、2つの第2回転孔10Ah41,10Ah42は第1中央孔10h1の中心点O1に対して点対称の位置に配置され、2つの第2回転孔10Ah43,10Ah44は同中心点O1に対して点対称の位置に配置されている。第2角度「θ2」については、後述する。2つの第2回転孔10Ah41,10Ah42と2つの第2回転孔10Ah43,10Ah44それぞれは、本発明における一対の第2回転孔を構成している。
【0127】
図15は、第1取付孔10h2に対する第1回転孔10h3と第2回転孔10Ah4それぞれの位置関係を説明する模式図である。同図は、第1治具10Aを背面から見た状態(本管T1の軸方向視)を示す。同図は、説明の便宜上、中心軸線L2,L3も併せて示す。
【0128】
第1角度「θ1」と第2角度「θ2」とは、第1取付孔10h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13により第1当接面12aに固定された第1フランジF1が本管T1の端部T1aに取り付けられたとき、本管T1の軸方向視における、中心軸線L2,L3と水平方向との間の角度(90°以下)により決定される。すなわち、例えば、第1角度「θ1」は中心軸線L3と水平方向との間の角度と同じであり、第2角度「θ2」は中心軸線L2と水平方向との間の角度と同じである。
【0129】
第1取付孔10h2に対する第1回転孔10h3の位置は、背面視において、中心軸線L3が水平方向になるように、中心点O1を中心として、第1取付孔10h2の位置から第1角度「θ1」回転した位置である。一方、第1取付孔10h2に対する第2回転孔10Ah4の位置は、背面視において、中心軸線L2が水平方向になるように、中心点O1を中心として、第1取付孔10h2の位置から第2角度「θ2」回転した位置である。
【0130】
ここで、第2角度「θ2」は、第1フランジF1のボルト孔F1h2間の角度(30°、45°、90°のいずれか)とは異なる。すなわち、第1フランジF1が第1取付孔10h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13により第1当接面12aに固定されたとき、第1フランジF1の周方向(仮想円C1の周方向)において、第2回転孔10Ah4の位置は、第1フランジF1のボルト孔F1h2それぞれの位置と異なる。
【0131】
図16(a)は第1治具20Aの正面図であり、(b)は第1治具20Aの右側面図である。
【0132】
第1治具20Aの構成は、正面視における左右方向が、第1治具10Aに対して鏡像関係となる点を除き、第1治具10Aの構成と共通する。そのため、第1治具20Aの構成の詳細は、省略する。
【0133】
●フランジ付き管構造体の製造方法(2)●
次に、図1図9図13図16も参照しながら、本方法の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)について、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)とは異なる点を中心に説明する。以下の説明は、本ユニット1Aを用いて、管構造体TにフランジFが取り付けられる場合を例に本方法の第2実施形態を説明する。
【0134】
図17は、本方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
図18は、本方法の各段階における本ユニット1Aと管構造体TとフランジFとを示す模式図である。図17は、説明の便宜上、第1取付孔10h21~24と第1回転孔10h31~10h34と第2回転孔10Ah41~10Ah44それぞれを縮径して「●」で示す。また、同図は、第1固定部材131~134を二点鎖線で示す。さらに、同図は、第1治具10Aを背面から見た状態(本管T1の軸方向視)を示す。
【0135】
先ず、第1実施形態における本方法の処理(S1)と同様に、第1治具10A,20Aと第2治具30と治具ユニットUと管保持治具70とが土台60の上に載せられ(本ユニット1Aの設置)、管構造体Tが管保持治具70により土台60から所定の高さ位置に保持される(S101)。
【0136】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S2)と同様に、フランジFが、本ユニット1Aに固定される(S102)。
【0137】
以下の説明において、第1固定部材131,132(第1固定部材231,232)が挿通されるボルト孔F1h2は第1基準孔と表記される場合が有り、第1固定部材133,134(第1固定部材233,234)が挿通されるボルト孔F1h2は第2基準孔と表記される場合が有る。
【0138】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S3)と同様に、本管T1の端部T1aが、第1治具10Aに固定された第1フランジF1の挿入孔F1h1に挿入される(S103)。
【0139】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S4)と同様に、本管T1の端部T1bが、第1治具20Aに固定された第1フランジF1の挿入孔F1h1に挿入される(S104)。
【0140】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S5)と同様に、本管T1の軸方向において、挿入孔F1h1に対する本管T1の端部T1a,T1bの端面が対応する突当面F1h1bに突き当たるまで、第1治具20Aと管構造体Tとが、第1治具10A側に押し込まれる(S105)。
【0141】
次いで、本管T1が第1フランジF1の周方向に回されることにより、第1フランジF1の周方向(ボルト孔F1h2)に対する本管T1の位置が合わせられる(S106)。第1フランジF1に対する本管T1の位置は、例えば、フランジ付き管構造体TFAが設置される配管構造に対応して、予め決定されている。
【0142】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S7)と同様に、第1フランジF1それぞれが、本管T1の端部T1a,T1bに溶接される(S107:第1フランジ取付工程)。
【0143】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S11)と同様に、内面溶接の余盛部分が、グラインダなどにより平滑化加工される(S108)。
【0144】
ここで、本管T1に取り付けられた第1フランジF1が第1治具10A,20Aに固定された状態(第1取付状態)において、分岐管T2の中心軸線L2は水平方向から第2角度「θ2」傾斜し、枝管T3の中心軸線L3は水平方向から第1角度「θ1」傾斜する。一方、第1回転孔10h3,20h3は第1取付孔10h2,20h2の位置から第1角度「θ1」回転した位置に配置され、第2回転孔10Ah4,20Ah4は第1取付孔10h2,20h2の位置から第2角度「θ2」回転した位置に配置される。
【0145】
次いで、本管T1に取り付けられた第1フランジF1が、第1治具10A,20Aから取り外される(S109)。その結果、第1フランジF1が取り付けられた管構造体Tは、移動可能となる。
【0146】
次いで、枝管T3の中心軸線L3が水平方向に沿うように(水平方向と平行になるように)、本管T1が第1フランジF1の周方向に回されることにより、第1治具10,20に対する本管T1の位置が合わせられる(S110:第1位置合わせ工程)。具体的には、本管T1の軸方向視において、第1基準孔(ボルト孔F1h2)が第1治具10A,20Aの第1回転孔10h31,10h32,20h31,20h32に重複するように、本管T1は、本管T1の中心軸線L1を中心として、本管T1の周方向に所定角度(「θ1」)回される。このとき、管保持治具70のローラ72が本管T1と共に回転することにより、本管T1は、スムーズに回転可能である。本管T1の回転後、第1フランジF1は、第1治具10A,20Aに固定される(第1回転固定工程)。すなわち、例えば、第1フランジF1の前面が第1治具10Aの第1当接面12aに当接した状態で、第1固定部材131,132が、第1基準孔と第1回転孔10h31,10h32とに挿通される。その結果、第1フランジF1は、第1当接面12aに対して、第1基準孔が第1取付孔10h21,10h22から第1フランジF1の周方向に第1角度「θ1」回転した位置に位置決めされる。また、第1固定部材133,134が第2基準孔に挿通され、第1回転孔10h33,10h34にねじ込まれる。その結果、第1フランジF1は、第1治具10Aの第1当接面12aに固定される。同様に、第1フランジF1は、第1治具20Aの第1当接面22aに固定される。このとき、枝管T3の中心軸線L3は、水平方向と平行となる。このように、第1治具10A,20Aは、枝管T3の中心軸線L3が水平方向と平行になるように、端部T1a,T1bそれぞれに取り付けられた第1フランジF1を固定可能である。換言すれば、第1治具10A,20Aは、第1フランジF1を介して、中心軸線L3が水平方向と平行になるように、本管T1を保持可能である。ここで、処理(S110)は、第1実施形態における第2位置合わせ工程に対応する。
【0147】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S16)と同様に、第3フランジF3が固定された治具ユニットU(第3治具40、台座50)の管構造体Tに対する位置が、調整される(S111)。
【0148】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S17)と同様に、枝管T3の端部T3aそれぞれが、対応する第3フランジF3の挿入孔F3h1に挿入される(S112)。
【0149】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S18)と同様に、枝管T3の軸方向において、挿入孔F3h1に対する枝管T3の端部T3aの端面が突当面F3h1bに突き当たるまで、治具ユニットU(第3治具40、台座50)が、枝管T3側に押し込まれる(S113)。
【0150】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S19)と同様に、第3フランジF3が、第1取付工程と同様に、枝管T3の端部T3aに溶接される(S114)。その結果、第3フランジF3が、枝管T3の端部T3aに取り付けられる(第3フランジ取付工程)。
【0151】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S20)と同様に、第1フランジF1と同様に、内面溶接の余盛部分が、グラインダなどにより平滑化加工される(S115)。
【0152】
ここで、枝管T3に取り付けられた第3フランジF3が第3治具40に固定された状態(第2取付状態)において、枝管T3の中心軸線L3は水平方向と平行であり、分岐管T2の中心軸線L2は水平方向から所定角度(本実施の形態では角度「|θ1+θ2|」)傾斜する。
【0153】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S21)と同様に、枝管T3に取り付けられた第3フランジF3と本管T1に取り付けられた第1フランジF1とが、第1治具10A,20Aと第3治具40とから取り外される(S116)。その結果、第1フランジF1が取り付けられた管構造体Tは、移動可能となる。
【0154】
次いで、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向に沿うように(水平方向と平行になるように)、本管T1が第1フランジF1の周方向に回されることにより、第1治具10A,20Aに対する本管T1の位置が合わせられる(S117:第2位置合わせ工程)。具体的には、本管T1の軸方向視において、第1基準孔(ボルト孔F1h2)が第1治具10A,20Aの第2回転孔10Ah41,10Ah42,20Ah41,20Ah42に重複するように、本管T1は、本管T1の中心軸線L1を中心として、本管T1の周方向に所定角度(「|θ1+θ2|」)回される。このとき、管保持治具70のローラ72が本管T1と共に回転することにより、本管T1は、スムーズに回転可能である。本管T1の回転後、第1フランジF1は、第1治具10A,20Aに固定される(第2回転固定工程)。具体的には、第1フランジF1の前面が第1治具10の第1当接面12aに当接した状態で、第1固定部材131,132が、第1基準孔と第2回転孔10Ah41,10Ah42とに挿通される。その結果、第1フランジF1は、第1当接面12aに対して、第1基準孔が第1取付孔10h21,10h22から第1フランジF1の周方向に第2角度「θ2」回転した位置に位置決めされる。また、第1固定部材133,134が第2基準孔に挿通され、第2回転孔10Ah43,10Ah44にねじ込まれる。その結果、第1フランジF1は、第1治具10Aの第1当接面12aに固定される。同様に、第1フランジF1は、第1治具20Aの第1当接面22aに固定される。このとき、分岐管T2の中心軸線L2は、水平方向と平行となる。このように、第1治具10A,20Aは、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向と平行になるように、端部T1a,T1bそれぞれに取り付けられた第1フランジF1を固定可能である。換言すれば、第1治具10A,20Aは、第1フランジF1を介して、中心軸線L2が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能である。ここで、処理(S117)は、第1実施形態における第1位置合わせ工程に対応する。
【0155】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S7)と同様に、第2フランジF2が固定された第2治具30の管構造体Tに対する位置が調整される(S118)。
【0156】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S8)と同様に、分岐管T2の端部T2aが、第2フランジF2の挿入孔F2h1に挿入される(S119)。
【0157】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S9)と同様に、分岐管T2の軸方向において、挿入孔F2h1に対する分岐管T2の端部T2aの端面が、対応する突当面F2h1bに突き当たるまで、第2治具30が分岐管T2側に押し込まれる(S120)。
【0158】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S12)と同様に、第2フランジF2が、分岐管T2の端部T2aに溶接される(S121)。その結果、第2フランジF2が、分岐管T2の端部T2aに取り付けられる(第2フランジ取付工程)。
【0159】
次いで、第1実施形態における本方法の処理(S13)と同様に、内面溶接の余盛部分が、グラインダなどにより平滑化加工される(S122)。
【0160】
ここで、分岐管T2に取り付けられた第2フランジF2が第2治具30に固定された状態(第3取付状態)において、分岐管T2の中心軸線L2は水平方向と平行であり、枝管T3の中心軸線L3は水平方向から角度「θ1+θ2」傾斜する。
【0161】
次いで、分岐管T2に取り付けられた第2フランジF2と本管T1に取り付けられた第1フランジF1とが、本ユニット1A(第1治具10A,20Aと第2治具30)から取り外される(S123)。その結果、全てのフランジFが取り付けられた管構造体T(すなわち、フランジ付き管構造体TFA)は、本ユニット1から取り外される。その後、フランジ付き管構造体TFAには、必要に応じて、内面のコーティングが施される。
【0162】
このように、本方法は、第1フランジ取付工程と、第1位置合わせ工程と、第3フランジ取付工程と、第2位置合わせ工程と、第2フランジ取付工程と、を含む。この構成では、使用者は、本管T1の端部T1a,T1bに対する適切な位置に、容易に第1フランジF1を取り付けることができる。また、使用者は、中心軸線L2が水平方向と平行となるように管構造体Tを回して管構造体Tを第1治具10A,20Aに固定することにより、分岐管T2の端部T2aに対する適切な位置に、容易に第2フランジF2を位置決めし、取り付けることができる。同様に、使用者は、中心軸線L3が水平方向と平行となるように管構造体Tを回して管構造体Tを第1治具10A,20Aに固定することにより、枝管T3の端部T3aに対する適切な位置に、容易に第3フランジF3を位置決めし、取り付けることができる。すなわち、本方法は、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0163】
なお、本発明における第2フランジと第3フランジとは、第2治具と第3治具それぞれの位置の調整時に、第2治具と第3治具とに固定されてもよい。
【0164】
また、本ユニットを用いたフランジの取付の回転効率を向上させるため、処理(S107,S114,S121)において、外面溶接のみの仮溶接が施され、処理(S123)の後に内面溶接が実行されてもよい。この場合、処理(S108,S115,S122)は、内面溶接の後に連続して、または同時に実行されてもよい。
【0165】
●まとめ(2)
以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1Aは、第1治具10A,20Aと第2治具30と第3治具40とを有してなる。本管T1の軸方向視において、第2治具30と第3治具40それぞれは本管T1の側方に配置される。第1治具10A,20Aは、第1フランジF1を介して、分岐管T2の中心軸線L2が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能であり、かつ、第1フランジF1を介して、枝管T3の中心軸線L3が水平方向と平行になるように本管T1を保持可能である。この構成によれば、使用者は、水平方向と平行な中心軸線L2を本管T1の一側方に配置された第2治具30に向けることにより、第2治具30を用いて第2フランジF2を分岐管T2の端部T2aに取り付けることができる。一方、使用者は、水平方向と平行な中心軸線L3を本管T1の他側方に配置された第3治具40に向けることにより、第3治具40を用いて第3フランジF3を枝管T3の端部T3aに取り付けることができる。すなわち、本ユニット1Aは、第1フランジF1を介して、中心軸線L2,L3それぞれが水平方向と平行になるように本管T1を保持するという簡易な構成により、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0166】
また、以上説明した実施の形態によれば、第1治具10A,20Aそれぞれは、鉛直方向と平行な第1当接面12a,22aと、第1中央孔10h1,20h1と、第1中央孔10h1,20h1と同一仮想円上に配置される一対の第1取付孔10h2,20h2と一対の第1回転孔10h3,20h3と一対の第2回転孔10Ah4,20Ah4と、第1固定部材13,23と、を備える。本管T1の軸方向視において、第1取付孔10h2それぞれの位置と、第1基準孔および第2基準孔であるボルト孔F1h2の位置とが一致し、中心軸線L2が水平方向と平行であるとき、同軸方向視において、第1回転孔10h3,20h3は、複数のボルト孔F1h2のうち、第1基準孔であるボルト孔F1h2と第2基準孔であるボルト孔F1h2それぞれの位置から第1角度「θ1」回転した位置に配置される。一方、同軸方向視において、第2回転孔10Ah4,20Ah4は、複数のボルト孔F1h2のうち、第1基準孔であるボルト孔F1h2と第2基準孔であるボルト孔F1h2それぞれの位置から第2角度「θ2」回転した位置に配置される。この構成によれば、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられるときに第1固定部材13,23が通されていたボルト孔(第1基準孔)F1h2と第1回転孔10h3,20h3とに第1固定部材13,23を通すことにより、容易に中心軸線L3を水平方向と平行にすることができる。一方、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられるときに第1固定部材13,23が通されていたボルト孔(第1基準孔)F1h2と第2回転孔10Ah4,20Ah4とに第1固定部材13,23を通すことにより、容易に中心軸線L2を水平方向と平行にすることができる。つまり、本ユニット1Aは、第1治具10A,20Aが第1角度「θ1」に対応する第1回転孔10h3,20h3と第2角度「θ2」に対応する第2回転孔10Ah4,20Ah4とを備えるという簡易な構成により、中心軸線L2,L3を水平方向と平行にし、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0167】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、第1回転孔10h3,20h3は、第1取付孔10h2,20h2の位置から、第1中央孔10h1,20h1の中心点O1を中心として、第1角度「θ1」回転した位置に配置される。一方、第2回転孔10Ah4,20Ah4は、第1取付孔10h2,20h2の位置から、同中心点O1を中心として、第2角度「θ2」回転した位置に配置される。この構成によれば、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられるときに第1固定部材13,23が通されていたボルト孔(第1基準孔)F1h2と第1回転孔10h3,20h3とに第1固定部材13,23を通すことにより、容易に中心軸線L3を水平方向と平行にすることができる。一方、使用者は、第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられるときに第1固定部材13,23が通されていたボルト孔(第1基準孔)F1h2と第2回転孔10Ah4,20Ah4とに第1固定部材13,23を通すことにより、容易に中心軸線L2を水平方向と平行にすることができる。すなわち、使用者は、複数のボルト孔F1h2のうち、第1基準孔および第2基準孔のみを用いて、第1、第2回転固定工程を実施可能である。そのため、使用者は、迅速かつ誤りの無い第1、第2回転固定工程を実施可能である。
【0168】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1フランジF1が第1取付孔10h2,20h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13,23により第1当接面12a,22aに固定されたとき、第1フランジF1の周方向(仮想円C1の周方向)において、第1回転孔10h3,20h3と第2回転孔10Ah4、20Ah4それぞれの位置は、第1フランジF1のボルト孔F1h2の位置と異なる。この構成によれば、第1回転孔10h3,20h3と第2回転孔10Ah4,20Ah4それぞれは、第1取付孔10h2,20h2に対して、第1フランジF1のボルト孔F1h2間の角度とは異なる任意の角度に配置可能である。その結果、本ユニット1は、水平方向に対してボルト孔F1h2間の角度とは異なる角度に向けられる中心軸線L2,L3が水平方向と平行になるように、管構造体Tを固定することができる。
【0169】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本管T1に取り付けられた第1フランジF1が、中心軸線L2が水平方向と平行になるように第1治具10A,20Aに固定されたとき(中心軸線L2が水平方向と平行なとき)、第2当接面32aは分岐管T2の端部T2aの開口面と平行に配置され、中心軸線L2は第2中央孔30h1の中心点O3に向けられる。この構成によれば、使用者は、第2治具30を端部T2a側に押し込むことで、第2フランジF2を端部T2aに容易に位置合わせすることができる。
【0170】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本管T1に取り付けられた第1フランジF1が、中心軸線L3が水平方向と平行になるように第1治具10A,20Aに固定されたとき、第3当接面42aは枝管T3の端部T3aの開口面と平行に配置され、中心軸線L3は第3中央孔40h1の中心点O4に向けられる。この構成によれば、使用者は、第3治具40を端部T3a側に押し込むことで、第3フランジF3を端部T3aに容易に位置合わせすることができる。
【0171】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、複数(3つ)の第3治具40それぞれの第3当接面42aは、同一仮想平面上に配置される。この構成によれば、使用者は、複数の第3フランジF3それぞれを、対応する枝管T3の端部T3aの端面に一括で位置合わせすることができる。また、仮に、第3フランジF3の取付に支障の無い程度に枝管T3の長さが異なる場合であっても、使用者は、各第3フランジF3を同一仮想平面上に揃えた状態で枝管T3の端部T3aに取り付けることができる。
【0172】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、複数の第3治具40と台座50とは、一体の治具ユニットUを構成する。この構成によれば、使用者は、複数の第3治具40の位置関係を台座50に固定した治具ユニットUを移動させるだけで、第3治具40の位置関係を固定した状態で全ての第3治具40を移動させることができる。
【0173】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、枝管T3の構成(数、配置)に対応する複数の治具ユニットを備える。この構成によれば、使用者は、色々な枝管T3の構成を有する管構造体Tそれぞれに対応する治具ユニットUに交換することで、第3フランジF3それぞれを一括で位置合わせすることができる。
【0174】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1治具10A,20Aそれぞれは、第1当接面12a,22aと、第1中央孔10h1,20h1と、一対の第1取付孔10h2,20h2と、一対の第1回転孔10h3,20h3と、一対の第2回転孔10Ah4,20Ah4と、第1固定部材13と、を備える。第1取付孔10h2,20h2とボルト孔F1h2とに通された第1固定部材13により第1当接面12a,22aに固定された第1フランジF1が本管T1の端部T1a,T1bに取り付けられたとき、本管T1の軸方向視において、第1回転孔10h3,20h3は、第1取付孔10h2,20h2の位置から第1角度「θ1」回転した位置に配置され、第2回転孔10Ah4,20Ah4は、第1取付孔10h2,20h2の位置から第2角度「θ2」回転した位置に配置される。この構成によれば、本ユニット1Aは、第1治具10A,20Aが第1角度「θ1」に対応する第1回転孔10h3,20h3と第2角度「θ2」に対応する第2回転孔10Ah4,20Ah4とを備えるという簡易な構成により、中心軸線L2,L3を水平方向と平行にし、本管T1の外周面に異なる角度で連結される分岐管T2と枝管T3とに対するフランジFの取付を補助することができる。
【0175】
●その他の実施形態●
なお、本発明に係るフランジ付き管構造体の構成は、以上説明した各実施形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明に係るフランジ付き管構造体は、複数の分岐管を備えてもよく、あるいは、分岐管に代えて、1以上の枝管を備えてもよい。また、例えば、本発明における枝管の数は、「2」以下でもよく、あるいは、「4」以上でもよい。さらに、例えば、枝管それぞれの長さは、異なってもよい。
【0176】
また、以上説明した各実施形態では、枝管が本発明における第1枝管として機能し、分岐管が本発明における第2枝管として機能してもよい。この場合、例えば、各実施形態において、第2治具が本発明における第3治具として機能し、第3治具が本発明における第2治具として機能する。
【0177】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本管の軸方向視において、分岐管の位置と枝管の位置とが入れ替わっていてもよい。この場合、例えば、本管の軸方向視において、管構造体に対する第2治具と第3治具とは、以上説明した各実施形態と反対の位置に配置される。
【0178】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における分岐管と枝管それぞれの中心軸線は、本管の中心軸線に交わればよく、同中心軸線に直交しなくてもよい。すなわち、例えば、本発明における分岐管および枝管それぞれの中心軸線は、本管の側方視において、本管の中心軸線に対して鋭角(鈍角)に交わってもよい。
【0179】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における分岐管と枝管それぞれの中心軸線間の角度は、鋭角でもよい。
【0180】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明におけるフランジは円筒状の管体の端部に取り付け可能なフランジであればよく、その構成は本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるフランジは、JIS(Japanese Industrial Standards)規格に適合する各種フランジ(例えば、板フランジ)でもよい。この構成では、例えば、処理(S5)において、挿入孔に対する本管の端部の端面の位置は目視で適切な位置(溶接可能な位置)に合わせられ、処理(S11)において、内面溶接の余盛部分はグラインダなどによりR面取り加工される。
【0181】
さらにまた、第1~第3フランジのボルト孔の数は、各実施形態に限定されない。すなわち、例えば、第3フランジのボルト孔の数は、第1フランジのボルト孔の数と同数(12個)でもよい。
【0182】
さらにまた、本発明における第1回転孔の配置は、本発明における枝管の中心軸線が向けられる方向に対応すればよく、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における第1回転孔は、正面視において、第1取付孔から時計回り方向に配置されてもよい。
【0183】
また、本発明における第1回転孔と第2回転孔それぞれの配置は、本発明における分岐管と枝管それぞれの中心軸線が向けられる方向に対応すればよく、第2実施形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における第2回転孔は、正面視において、第1回転孔と共に、第1取付孔から反時計回り方向に並んで配置されてもよい。
【0184】
さらに、以上説明した各実施形態では、本発明における第1取付孔と第1回転孔と第2回転孔それぞれは第1中央孔の直径線の延長上に一対で(中心点に対して点対称で)配置されればよく、これらの数は、2つでもよい。本発明における第2取付孔と第3取付孔の数も、同様に、2つでもよい。この場合、本発明における第1固定部材と第2固定部材と第3固定部材それぞれは、リーマボルトのみで構成されてもよい。
【0185】
さらにまた、以上説明した第2実施形態では、本発明における第1治具は、第1回転孔と第2回転孔とは異なる位置に3つ目の回転孔(第3回転孔)を備えてもよい。この場合、第3回転孔は、例えば、第2中心軸線または第3中心軸線と水平方向との間の第3角度(第1角度および第2角度とは異なる角度)回転した位置に配置される。
【0186】
さらにまた、以上説明した第1実施形態では、本発明における第1治具は、複数種の第1回転孔を備えてもよい。すなわち、例えば、本発明における第1治具は、第1取付孔から第1角度「θ1」「θ11」「θ12」回転した位置に配置される3種の第1回転孔を備えてもよい。この構成では、本発明における第1治具は、例えば、枝管の突設方向が第1実施形態と異なる2種の管構造体にも対応できる。
【0187】
さらにまた、以上説明した第2実施形態では、本発明における第1治具は、複数種の第1回転孔と第2回転孔とを備えてもよい。すなわち、例えば、本発明における第1治具は、第1取付孔から第1角度「θ1」「θ11」回転した位置に配置される2種の第1回転孔と、第1取付孔から第2角度「θ2」「θ21」回転した位置に配置される2種の第2回転孔と、を備えてもよい。この構成では、本発明における第1治具は、例えば、枝管と分岐管の少なくとも一方の突設方向が第2実施形態と異なる3種の管構造体にも対応できる。
【0188】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における第1固定部材と第2固定部材と第3固定部材それぞれは、全ねじ部を有するボルトのみで構成されてもよい。
【0189】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における第1治具と第2治具と第3治具(治具ユニット)それぞれは、管構造体に対してスライド可能に、土台に取り付けられてもよい。
【0190】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における第1治具は、2つの板状の腕が上方に向く「U」字板状の保持板を備えてもよい。この場合、2つの腕の間隔は、本管の外径よりも大きい。この場合、2つの腕の股部は中央孔として機能し、本管は2つの腕の間から上方に取り出し可能である。この構成では、第1フランジは、第1治具の背面側に取り付けられてもよい。
【0191】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における第1中央孔(第2中央孔、第3中央孔)の内径は、使用者が所定の作業(例えば、後述する位置合わせや内面溶接)を可能な大きさであればよく、対応する本管(分岐管、枝管)の挿入孔の内径以下でもよい。
【0192】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における第1治具は、第1取付孔および第1回転孔(および第2回転孔)としても機能する円弧状の長孔を備えてもよい。換言すれば、第1取付孔と第1回転孔と(第2回転孔と)は、円弧状の長孔として一体に構成されてもよい。この構成によれば、使用者は、長孔内であれば、任意の角度で第1フランジと本管とを回転させることができる。このとき、使用者は、第1固定治具を取り外すことなく、第1固定部材を緩め、長孔内で第1固定部材をスライドさせることにより、第1フランジと本管とを回転させることができる。その結果、本ユニットの作業性は、向上する。また、本ユニットは、一対の第1治具で、第1角度と第2角度とが異なる複数種の管構造体に対応することができる。
【0193】
さらにまた、前述の長孔の構成では、長孔の両端は、取付孔と第1回転孔と(第2回転孔と)のうち、いずれか2つとして機能してもよい。この構成によれば、使用者は、長孔内で長孔の両端に当接するまで固定部材をスライドさせるだけで、第1フランジを位置決めすることができる。
【0194】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、第1取付状態での本管T1の軸方向視において、第1取付孔それぞれの位置と第1フランジのボルト孔の位置とが一致し、かつ、分岐管の中心軸線が水平方向と平行であるとき、本発明における第1回転孔の配置は、本管T1の軸方向視において、複数のボルト孔のうち、いずれかの位置から、第1中央孔の中心点を中心として、第1角度「θ1」回転した位置であればよく、第1基準孔であるボルト孔と第2基準孔であるボルト孔それぞれの位置から第1角度「θ1」回転した位置に限定されない。すなわち、例えば、本発明における第1回転孔は、第1基準孔であるボルト孔の隣のボルト孔の位置から第1角度「θ1」回転した位置に配置されていてもよい。この構成では、第1回転孔の位置が第1取付孔の位置から第1角度「θ1」回転した位置に限定されず、例えば、第1回転孔は、第1取付孔に隣接するように配置可能となる。すなわち、第1治具において、第1角度「θ1」の大きさに関わらず、第1取付孔と第1回転孔とは、第1角度「θ1」よりも小さな角度範囲内に隣接するように配置可能となる。その結果、様々な回転孔が、より隣接した範囲内に集中して配置可能となる。
【0195】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本発明における第1取付孔の位置は、中央孔と同心の仮想円上に配置されていればよく、中央孔の上下左右に限定されない。すなわち、例えば、本発明における第1取付孔は、配管構造に対する分岐管や枝管の位置に基づいて、配置されてもよい。
【0196】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、本ユニットは、台座を備えなくてもよい。すなわち、本発明における第3治具は、治具ユニットを構成していなくてもよい。この場合、第3治具それぞれは、個別に土台に取り付けられ、個別に位置調整される。
【0197】
さらにまた、以上説明した第2実施形態では、分岐管の端部に第2フランジを取り付けた後に、枝管の端部に第3フランジを取り付けてもよい。すなわち、例えば、第1位置合わせ工程では、分岐管の中心軸線が水平方向に沿うように、第1治具に対する本管の位置が合わせられ、第2位置合わせ工程では、枝管の中心軸線が水平方向に沿うように、第1治具に対する本管の位置が合わせられてもよい。
【0198】
さらにまた、以上説明した各実施形態では、管保持治具は、ローラに代えて、本管の外径と略同じ内径を有する半円状の面を備えてもよい。
【符号の説明】
【0199】
1 フランジ取付治具ユニット
10 第1治具
10h1 第1中央孔
10h2 第1取付孔
10h3 第1回転孔
12a 第1当接面
13 第1固定部材
20 第1治具
20h1 第1中央孔
20h2 第1取付孔
20h3 第1回転孔
22a 第1当接面
23 第1固定部材
30 第2治具
30h1 第2中央孔
32a 第2当接面
40 第3治具
40h1 第3中央孔
42a 第3当接面
50 台座
U 治具ユニット
FT フランジ付き管構造体
F フランジ
F1 第1フランジ
F1h1 挿入孔(第1挿入孔)
F1h2 ボルト孔(第1ボルト孔)
F2 第2フランジ
F2h1 挿入孔(第2挿入孔)
F3 第3フランジ
F3h1 挿入孔(第3挿入孔)
T 管構造体
T1 本管(管体)
T1a 端部(第1端部)
T1b 端部(第2端部)
T2 分岐管(第1枝管体)
T2a 端部
T3 枝管(第2枝管体)
T3a 端部
1A フランジ取付治具ユニット
10A 第1治具
10Ah4 第2回転孔
20A 第2治具
20Ah4 第2回転孔

図1
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